○三橋(則)
政府委員 まず最初に
昭和二十三年六月三十日以前に
給与事由の生じた
恩給の
特別措置に関する
法律に関しまして御
説明いたしまして、それから旧
軍人、
軍属及びその
遺族等の
恩給に関しまする先般
恩給法特例審議会における
建議につきまして御
説明を申し上げたいと思います。
昭和二十三年六月三十日以前に
給与事由の生じた
恩給の
特別措置に関する
法律には、この
法律を実施いたしまして給しまする
恩給につきましては、政令で定める月分からの
恩給について、いわゆる不
均衡是正をするように
規定されておりまして、おそくとも
昭和二十八年の一月分の
恩給からいわゆる不
均衡是正をするようにな
つておるのでございます。ところで
政府におきましてはいろいろと検討を加えました結果、ただいまのところといたしましては、
昭和二十八年一月分からの
恩給につきまして、この
法律に定められておりまする
通り不
均衡是正に関する
措置をするように考えておるのでございまするが、
昭和二十七年度中の
恩給につきましては、実施することは今のところは考えておらないのでございます。
それから旧
軍人、
軍属及びその
遺族等に関する件につきまして御
説明申し上げます。
恩給法特例審議会が去る六月に設置されましてから
恩給法特例審議会はほとんど毎週あるいは小
委員会をあるいは総会を開きまして、旧
軍人、
軍属及びその
遺族等の
恩給に関しまする
重要事項について
審議を重ねて来たのであります。その結果去る二十二日に
政府に対しまする
建議案を決定いたしまして、
建議いたしたのでございます。その
内容はすでにお
手元に配付してあります
通りでございます。
恩給法特例審議会におきましては、まず
審議会の劈頭におきまして、旧
軍人、
軍属及びその
遺族の
方々に
恩給を給すべきかどうかにつきまして論議されたのでございます。その結果、巷間いろいろの議論はあるのではございまするけれども、結局
恩給を給すべきものであるという
結論に到達いたしたのでございます。その
結論に到達いたしたにつきましては、大まかに申し上げますると、この
建議に書いてある
通りでございまして、この
建議をお読みいただけば大体御了解できることで、私が御
説明申し上げることはなかろうかと思います。
それならば
恩給を給するといたしまして、給せられる
恩給の
内容は一体どういうような
内容であるべきか、こういうことがその次にいろいろと論議されたのでございます。ところで
恩給の
内容いかんは御承知の
通り国家の
経済力に非常に影響するものでございますからして、
国家の
経済力を無視して
恩給の
内容をきめることのできないことは当然なことでございまするし、また
恩給制度というものは
一つの
国家の
制度でありまする以上は、
国民の感情の動向なり、あるいはまた
国家のいろいろの
制度のことも考察いたしましてきめて行かなければならないことも私が申し上げるまでもないことと思うのでございます。そこでそういうような点をいろいろと考えられました結果、結局
軍人に給せらるべき
恩給の
内容というものは、
軍人恩給の廃せられました際に
軍人に給せられてお
つたごとき
内容の
恩給に相当の改変を加えらるべきものでなくてはならない、こういうようなことに一応
審議会の
委員の
方々の
意見が一致したのでございます。それならばその次の段階といたしましてはどういうふうにその
内容に改変を加えて行くかということが問題に相な
つたのでございまするが、それにつきましては、結局要するに
遺族の
方々あるいは
傷病軍人あるいは
老齢軍人という
方々に重きを置いて、そうして構想を練
つて行くべきではないかということと、もうひとつは
恩給を給しまする上におきましては、何と申しましても人事に関する諸般の記録というものがはつきりとしているということが必要なのであります。そこで
終戦の前後におきましては、今日から考えてみますると行き過ぎであ
つたことも少くないのでございまして、あるいは今から考えてみますると、あんなことはしなくてもよか
つたと思われるようなことも決して少くないのでございます。そう考えて参りますと
陸海軍の人事に関する記録も、
恩給が完全に
運営されるという前提のもとにきちつと整備せられておるかと申しますと、これについては、必ずしもしつかりと言い得ざる実情であります。その実情というものを考えまして、それに即応するような
制度を立てるということも考えられなければならないということが論議され、また決定されたところでございます。そういうような、大まかに申し上げますると根本的な考えに基きましてこの
建議案の
左記書きの中にありまするような要綱が決定された次第でございます。それならば
左記書きにおける要綱はどういうふうにな
つているかということにつきまして御
説明申し上げます。これはもう読んでいただけば大体わかるようなことでございますので、大まかにまた二、三のことにつきまして申し上げますると、まず第一の点は非常に論議されたことでございますが、
在職年に関する
恩給につきましての問題でございます。
在職年に関する
恩給といいますと、これは
一定期間在職しました者につきまし七は従来から
恩給が給せられることにな
つておりました。その
恩給は年金として給せられる場合と一時金として給せられる場合とがあ
つたのでございます。その
恩給を給せられる場合におきまして、
在職年は従来から実際の
在職年で計算されるばかりでなくして、いわゆる
在職年に対する
加算年を加えて計算されてお
つたのでありますが、
加算年ということは周知のことと思いますが、御
説明申し上げますと、
恩給法上の用語でありまして、実際に在職した年数でなくして想像上の
在職年数でありまして、実際上において十年しか在職しなか
つたにもかかわらず三年の割増しをつけて四年在職してお
つた取扱いをいたします場合におきまして、その三年を
加算年と申しておるのでございます。
審議会におきましてはこの
国家の
現状ということを考えてみますと、
加算年を加えまして
恩給を
陸海軍軍人に従来
通り給するというようなことをいたしますれば、とうてい
国家の財政を維持することはできないという
結論にな
つたのでございます。
加算年を加えまして
恩給を給するといたします場合におきましては、現在の公務員のもら
つておる
支給水準によ
つて恩給給付をいたしますならば、おそらく千数百億円の金が毎年いるのではないか、こういうように私は想像いたすのであります。そこで
審議会といたしましては、
軍人に
在職年によ
つて給しまする
恩給につきましては、実際に在職した年数によ
つて恩給を給する、こういうふうな
方針がとられたのでございます。しかしながらその間におきまして
一つのやむを得ない
措置を講じたのでございます。それは
昭和二十一年の二月一日に
軍人恩給が廃止せられました際にすでに
恩給権を取得してお
つて恩給をもら
つてお
つた人があるのでございます。そういう人たちは
恩給をもらい、すでに
恩給生活に入
つてお
つた人たちでありますが、そういうような人は、
加算年を実
在職年に加えまして、そうして
恩給権を認められてお
つた人でございます。そういう人につきましてはこの
恩給そのものは給するという
措置をと
つたのでございます。しかしながら
恩給の
金額につきましては、実際の
在職年で計算して
恩給を給することといたしまして、そうして
恩給を受けるに、年金を受けるに必要なるところの
在職年のない方につきましては、その不足の年数だけ
恩給金額を減額するという
措置をと
つたのであります。もう少しわかりやすく申し上げますると、実
在職年がわずか四年で、十二年在職してお
つたものとしての
恩給を給されてお
つた人があ
つたと仮定いたします。その人は実際十二年いなければ
恩給はもらえないはずなのでございますが、
加算年がありまして、
加算年が八年加えられて
恩給をもら
つてお
つたのでございます。そういうような場合におきましては従来
通り普通
恩給は給する、しかしながらその八年の
加算年の分につきましては、若干減額した
金額の
恩給を給する、こういうような
措置をとることにいたしたのが
在職年による
恩給についての
措置の
一つの特色でございます。
その次は、この
在職年を計算いたしまする場合におきましては、
軍人の
在職年だけではなくて、あるいは警察官の
在職年あるいは文官の
在職年につきまして、各種公務員相互間の
在職年は通算をいたしまして
在職年を計算するというのが
軍人恩給廃止の際の取扱いであ
つたのでございます。この
在職年通算の取扱いは、
恩給制度ができましてから一貫してそういうような
方針がとられてお
つたかと申しますると、そうではないのでございまして、
恩給制度のできました当初におきましてはそういうような方法はとられていなか
つたのでございます。
昭和になりましてからも各種公務員の在職は必ずしも通算はされなか
つたのでございます。むしろ通算されない建前のとられてお
つた時代もあるのでございます。それは一に、通算を相互にするということになりますれば、結局
恩給の
金額も非常にかさんで来るわけなのであります。それで
国家の財政力というようなことをいろいろ勘案れました結果とられてお
つた措置ではないかと思います。もちろん、り
くつとして申し上げますならば、各種公務員相互間の
在職年は通算するのが私は当然だと思いますけれども、しかしながら
国家の財政その他の
現状ということを考えてみまするならば、そのときどきによ
つてある
程度のやむを得ない
措置も考えなければならないというようなことも一応の議論じやないかと思います。か
つてはそういうような見地に立
つて通算しない
措置がとられたことではないかと思うのでございます。
それで今度の問題におきましては、
軍人の
在職年とほかの公務員の
在職年の通算をどうするかということがいろいろ問題に
なつたわけでございまするが、
軍人恩給の廃止の際にすでに
恩給をもら
つてお
つた人につきましては、従来
通りにその通算は認める、こういう
方針をと
つております。ただ
軍人恩給廃止以後の人たち、すなわち
軍人恩給を廃止するときにおいては、
恩給を受ける資格はあ
つたけれども、まだ
恩給権そのものは取得していなか
つたというような人々につきましては、これは別な取扱いをいたしたのであります。それは
さきに前段におきまして
方針のときに申し上げましたごとくに、
軍人、
軍属に関しまするところの履歴、これらは、今日におきましては必ずしも整備されていないのが実情でございます。従いまして、そういうような事情も勘案いたしまして、しかも公平なる支給のでき得るという見通しの大体つくところ、しかしてまたあとで申し上げまするが、一時
恩給とのにらみ合せも考えまして、大体
軍人の
在職年を七年に限りまして、最後の退職に引続き七年以上存職する場合に限
つて、その在職を一般公務員の在職に通算する取扱いをしよう、こういうふうにいたしておるところがこの
在職年による
恩給支給におきまする取扱いの大きな
一つの特色でございます。
それからその次には、いわゆる
恩給受給年齢のまだ若い人でございます。そういう人に対しまする
恩給の支給をどうするかという問題でございますが、そういう人たちに対しましては、いわゆる俗に言われる若年停止、若い者に対する
恩給の停止という
措置をとりまして、そうしてこの要綱にも書いておりまするが、年齢が四十五歳未満の人に対しましては全額支給をとめる、四十五歳から五十歳未満の人に対しましては半額支給をし、五十歳以上五十五歳未満の者に対しましては十分の三の額を停止する、但し分務傷病者にづきましては例外的な
措置を講ずる、そうして従来
通り停止の
措置をしないで
恩給を給する、こういうふうにいたしたのでございます。現在の文官につきましてはただ今の年齢よりも五歳若くして
恩給が給せられることにな
つておるのでございますから、今の文官に関する
恩給制度とにらみ合せて考えますると、この
措置は年齢が五歳引上げられたことに相なるのでございます。
次に、
恩給外に相当の所得のある者に対する
恩給の停止の問題でございまするが、この
措置につきましては一般文官と同様な
措置をとる、こういうようなことにこの要綱はな
つておるのでございます。
その次に傷病者に給せられるところの
恩給について申し上げますると、傷病者に対して給せられる
恩給につきましては、大まかにわけると年金と一時金とございます。従来も年金と一時金とあ
つたのでございます。しかして年金を受ける傷病者の中にはまた二
通りあ
つたのでございます。これも少し大まかな表現でございまするけれども、いわゆる不具廃疾者として受ける年金受給者と、機能障害者として受ける年金受給者との二つにわかれてお
つたのであります。不具廃疾者に給せられるところの
恩給につきましては、増加
恩給と普通
恩給が従来給せられてお
つたのでございますが、今度も従来
通り併給して給せられる。ただその中で最も
程度の低いもの、たとえば片方の手の親指をなくしたという
程度の不具廃疾者に対しましては年金をやめて一時金にするという
措置が今度はとられましたが、そのほかは大体従来のような建前で行こう、こういうようなふうにな
つておるのでございます。それから機能障害者に給せられておりましたところの年金につきましては、これは全部一時金に切りかえる、こういうような
措置を講ずることにされたのでございます。それから、従来傷病者に一時金の給せられておりましたのは、下士官、兵以下のごく軽微な傷病で兵役を免ぜられた者に対して給せられてお
つたのでございますが、こういうような傷病賜金を給せられてお
つた程度の下士官、兵の傷病者に対しましては、ごく軽いものを除きまして従来
通り傷病賜金を給することに相な
つたのでございます。それからもう
一つ、この傷病者に給せられる
恩給について申し上げておきますることは、この傷病者に給せられる
恩給は、戦争によ
つてけがをした場合と、戦争以外の一般の通常の公務によ
つてけがをした場合によ
つて金額が違
つてお
つたのでございますが、その差別を全然撤廃いたしてしま
つたことでございます。
それから
金額の定め方でございますが、
金額の定め方につきましては、
軍人恩給が廃止せられました当時において定められてお
つたごどき定め方を大体において踏襲いたして参りましたが、しかし
金額そのもののきめ方におきましては重症者と軽症者の間におきましては、重症者の方に重きを置いた
金額の定め方がされております。それから階級といいますか、兵と下士官と将官との間における差によるところの
金額につきましては、従来よりもうんと幅を狭めております。
それからその次に扶助料の問題でございます。扶助料につきましては、たとえば私たちが退職いたしまして、そうして
恩給を給せられる、そして私がなくなりました場合に
遺族に給せられる扶助料と、それから
軍人が戦死いたしました場合その
遺族に給せられる扶助料、また私が公務のために倒れまして、そして私の
遺族に給せられる扶助料とにわけられるわけでございますが、その公務のために死んだ場合に給せられる扶助・料を、私たちは公務扶助料と申しております。それから普通
恩給を給せられてお
つて、私が平病で死んだ場合に私の
遺族に給せられる扶助料を、普通扶助料と申しております。こういうように扶助料は公務扶助料と普通扶助料とにわけられるわけであります。
普通扶助料につきましては、一般の文官と同じように、それからまた従来の
軍人、
軍属に給せられておりました
恩給と同じように取扱われるもので、特にかわ
つた処置はされておらないわけであります。違
つたことは、普通
恩給につきまして、すなわち退職による
恩給につきまして、一番劈頭に申し上げましたような
措置がされまする結果、扶助料につきましてもそれに伴
つて必然的にかわ
つて来るだけでありまして、特別なかわり方というものはございません。
この公務扶助料、すなわち大まかに申し上げますると
軍人の戦死者
遺族に給せられる扶助料につきましては、どういうような点がこの要綱の骨子にな
つておるかと申しますと、まず戦死によ
つてなく
なつた場合と、戦死以外の公務によ
つてなく
なつた場合とによ
つて、
遺族に給せられるところの扶助料は差があ
つたのでございまするが、その差別が全然撤廃されてしま
つております。それが第一。それから第二は、扶助料の
金額を定めるにつきましては、従来の
恩給法で定められておりますごとくまた現在の
恩給法で定められておりまするがごとくに、普通扶助料を基礎といたしまして、その
金額を定めることにな
つておるのでございますが、その
金額を定めるにつきましては、絶対的な
金額につきましては、退職当時の俸給の多い者ほど多くなるようにはな
つておりまするけれども、相対的には、退職当時の俸給の低い者ほど――
軍人について言いますならば、階級の低い者ほど扶助料の
金額が割高になるようにくふうを凝らして、定められております。
それからその次に、一時
恩給の問題でございます。一時
恩給と申しますのは、
在職年限が普通
恩給を給せられる年限に満たないで退職いたしました場合に給せられるところの
恩給でございます。これは現在の
恩給法におきましては、在職三年以上でなければ給されないのでございます。それから
軍人恩給が廃せられました際におきましては、下士官以上の
軍人に限りまして、在職三年以上の者に給せられてお
つた――もちろん普通
恩給の
在職年限未満の在職者に限りますか――給せられてお
つたのでありまして、一般の兵には給せられていなか
つたのでございます。この
措置要綱におきましては、一般の下士官以上の
軍人のみならず、兵隊にも給するようなことにな
つております。そうして従来からの取扱いでは、追放解除者の場合におきましても、一時
恩給につきましては退職時の俸給そのものを土台として
恩給の
金額が計算されることに相な
つてお
つたのでございますが、この要綱によりましては、今の公務員の
恩給支給水準並にベース・アップしたものの一時
恩給を給するように相な
つておるのでございます。この
措置をいたしましたにつきまして、どういうふうにしてこの
措置がとられたかと申しますと、劈頭に申しましたように、従来は加算ということがあ
つたのでございますが、加算を全然やめてしま
つた関係も考慮いたしまして、加算をやめたことによ
つて恩給を受けられなか
つた者に対する
措置ということも相当考えて、こういうような
措置を講ぜられたのでございます。
次に
軍属の問題でございますが、
軍属及びその
遺族に給せられる
恩給につきましては、
軍属及びその
遺族が一般文官と同様に従来取扱われて
恩給が給せられてお
つたということにかんがみまして、
軍属及びその
遺族に対して給する
恩給につきましては、一般の公務員及びその
遺族に給せられる
恩給に準じた取扱いをするということにされたのでございます。
それから直接に
軍人、
軍属の
恩給に関するこの
審議会の
審議事項ではありませんけれども、関連事項といたしまして定められたことが二つございます。その
一つは、戦傷病者戦没者
遺族等援護法による援護に対する
措置のことでございまして、いわゆる援護法によりましては、
恩給法の対象となる者と、そうでない者とひつくるめて援護されておるのでございます。それを今度
恩給法の対象になる者は
恩給法で
措置をすることになりますると、
恩給法の対象にな
つていない人はどうするかという問題が起るわけであります。そういうような人たちに対しましては、荘の旧
軍人、
軍属の
恩給に関しまして、
審議会におきまして、今申し上げたようないろいろの処置をしますことを考慮に入れまして、それぞれの法域において適当に処置されるべきものであるということを
審議会でも
つて決定いたしております。
その次に戦犯者の
恩給の問題でございます。戦犯者の
恩給につきましては、どういうような取扱いに今な
つておるかと申しますと、この
恩給法の特例、これはポツダム政令でございますが、この
恩給法の特例の第八条によりまして、連合国最高司令官によりまして抑留逮捕せられた者に対しましては、
恩給が給せられないことに相な
つており、それが今日に至
つておるのでございます。こういう
方々に対しまして
恩給を給するか給しないかにつきましては、
審議会におきましても非常に慎重にいろいろの角度から論議され房でございまするが、結局この問題につきましては、適当なる時期において一般
軍人、
軍属及びその他の一般公務員とこれらの者の
遺族の例に準じまして、
政府において諸般の事情を考慮して適当に処置をすべきものである、こういうふうにきめられたのでございます。
それからこういうような
措置をいたします場合におきまして、大体どれくらいの
金額、人員になるかということにつきまして申し上げますと、
軍人恩給が廃止せられました際に、
恩給を給せられてお
つた人々の人員並びに
金額につきましては、
恩給局におきましてその書類を保管いたしておりますので、大体正確なるところの数字を申し上げられるのでございますが、
軍人恩給が廃止せられました
昭和二十一年の二月一日に、
恩給を受ける資格があるがまだ
恩給を受けておらなか
つた、こういうような人々の数につきましては、
恩給局では全然わからないのでございます。そういうような人々の数は、結局両復員局の
調査にまたなければならないのでございます。ところで、先ほどもちよつと申し上げましたごとくに、そういうような人々の人事に関する記録というものは必ずしも整然と整理ができていないのが
現状でありまするために、
従つてこの人員の推測を下すということもなかなかむずかしいのでございます。私は従来
国会におきまして、両復員局の報告によりまして、その報告を土台とし、それからまた
恩給局におきまして
軍人恩給の廃止当時給しておりましたところの
恩給受給者の数を調べまして、そして大体
恩給受給者の数はこれくらい、
金額はこれくらいということを申し上げてお
つたのでございます。もちろんこの数につきましては将来なおいろいろ検討を加えまして、若干の異同があるということを申し上げてお
つたのでございますが、今回
審議会が開かれます前後から両復員局におきましていろいろと
調査をしていただいた結果によりますと、かなりその人員というものは少くな
つて来ております。それでありますので、私がここで申し上げまする数字につきましては、あるいは従来の私が申し上げました数字を御承知の方は、非常にいぶかしくお考えになるかと思いますが、そういうような事情でありますから、御承知を願いたいと思います。どれくらいの数に今のところな
つておるかと申しますると、この要綱の
通りに
措置いたしますると、普通
恩給の受給者は、十九万五千人前後に相なるのでございます。もちろんこれは若年停止を行われました結果でございまして、若年停止を行わないで、四十五才未満の人に対しましても普通
恩給を給する、こういう
措置をとりますと、その人員は相当ふえて参りまして、五十七万二千人という数になる見込みでございます。それから増加
恩給の、すなわち先ほど申し上げました不具廃疾者の
方々に給するところの
恩給でございますが、これは大体ことしの三月ぐらいの統計によりますと、四万三千ぐらいでございまするが、将来におきまする増加ということも見込みまして四万五千ぐらいに推定いたしております。それから戦死者――大まかに申し上げますると戦死者、その他の公務でなく
なつた人の
遺族に給せられるところの公務扶助料の受給者の数が百四十三万三千、それから普通の平病でなく
なつた人々の
遺族に給せられる普通扶助料が十六万一千、こういうことに大体なるのでございます。その
金額はそれならどれくらいの
金額になるかと申しますると、若年停止をいたしまして、総
金額といたしましては六百五十一億七千三百万円ぐらいになる予定でございます。この人員につきましては、先ほどからたびたび申し上げまするような、人事に関する記録が十分整備されていない関係もございまするので、その
調査はなかなか困難でありました関係上、確率の点につきましては相当の幅がある、こういうふうにお考え置きを願いたいと思うのでございまして、あるいはこれよりも若干上まわる
金額があるかもしれない、まあ八〇%、九〇%前後の確率ではないか、こういうようにも思われる節があるのでございまして、これについては
恩給局でなおいろいろと
研究をしておるところでございます。一応御参考までにそれだけのことを申し上げておきます。
人員並びに総
金額においてはそういうふうになるのでございますが、それならばどうしてその
金額がそうなるかといいますと、要綱付表によ
つて人員に応じ計算しますと、その結果の集計は、大体そのようなことになる見込みでございます。
今申し上げましたのは年金でございますが、一時金たる
恩給について申し上げますると、一時金たる
恩給は、傷病者に給せられるものとしまして傷病賜金というものがございます。傷病賜金を受ける人員は私のところで年々裁定をいたしておりまする実績に徴しまして、これは年々少くな
つて来ることでございますが、一年間三千人ほどを考えなければいけないのではないか、あるいはこの数は多いかとも思いますが、大体三千人と考えています。それから先ほど申し上げたような一時
恩給を支給する場合におきまして、その該当人員はどれくらいになるか、こういうことが問題になると思いますが、その該当人員は大体
陸海軍の報告によりますと、十七万八千人ぐらい、こういうことにな
つております。合せまして一時金たる
恩給を受ける人の推定人員は十八万一千人、その
金額は大体どれくらいになるかと申しますと、推定でございますが、百十七億五千六百万円くらいになる予定であります。以上のことは今度の
措置をした場合のことでございますが、その
措置をしなか
つた場合においては大体どれくらいになるかということが問題になるところでありますが、
措置をしなか
つた場合におきましては、陸、海軍の報告その他によ
つて推定いたしますと、普通
恩給の受給者は百六十五万四千人。こういう数を大体推定いたしております。先ほど申し上げましたところの十九万五千人は、こんどの
建議の
措置をいたしました場合の数でありますが、この
措置をしないと、普通
恩給を受ける者の数は百六十五万四千人くらいの数になるのではないかという想像でございます。それから増加
恩給を受ける者は、今度の
措置では四万五千人に減
つておりますが
措置をしない場合は大体六万四千人くらいあるのではないかという想像でございます。それから傷病年金、これは先ほど申し上げました機能傷害の
程度の傷病者に給せられるものでありますが、これは全部一時金に切りかえられてしまいました。そしてか
つて一時金をもら
つていた人々に対しては給しないような
措置が講ぜられたのでありますが、それをそのまま従来
通り年金をやるということになりますと、その該当者は大体七万四千人くらいあるのではないかというふうに推定いたしております。それから公務扶助料受給者の問題でありますが、戦死者の
遺族そのほかの公務死亡者の
遺族は百四十三万三千三百人でありまして、
措置をしたときも、しないときも、これはかわりません。それから普通扶助料につきましては、
措置をしないときは人員がふえて参りまして、三十五万五千人くらいになる見込みでございまして、総人員としては三百五十七万九千人、すなわち約三百六十万人くらいの該当者があると思われます。すなわち
建議の要綱により
措置しますと、人員は百八十万人くらいになるのでございますが、この
措置をしないで、昔のままで
恩給を給しますと、三百六十万人をくだらない人員になるのではないかというように考えております。今度は
金額の点でございますが、
金額は結局今の文官と同じような
恩給支給水準によ
つて給するということを考えなければいかないのではないかという観点に立ちまして、一応計算いたしました場合におきましては、一千四百億前後の金にどうしてもならざるを得ないというふうに想像いたしたわけであります。こまごましたことにつきましては、また御
質問に応じてお答えすることにいたしまして、一応たいへん大まかではありましたけれども、これで御
説明を終ります。