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松井委員 私は社会党両派を代表いたしまして、ただいま議題にな
つております
公衆電気通信法案、
有線電気通信法案並びに両案の
施行法案について、原案並びに改進党
修正案に反対をし、両派社会党提出にかかる修正
部分について賛成の
理由を明らかにしたいと思います。
まず
審議の
方法と
内容について一言、直接
法律の
内容には
関係ございませんが、申し上げておきます。先ほど来自由党を代表して羽田君は、十数回にわた
つて会議を開いて、愼重
審議各党が
質疑を行
つたと言うております。ところが十数回会議を開いたことは認めるのでありますが、御
承知のように本
法律案の
審議の
委員会は、国会法上構成された場所で
審議を行
つたのは、本日が初めてであります。これは
法律案審議に国民の代表として真剣であるかないかの度合いをきめるものでありまして、十数回開いたということによ
つて、これが葬り去られる
内容ではないのであります。しかもこの
法律案について毎日出席をして、まじめに
質疑をかわした方が反対であ
つて、
質疑に参画しない方が賛成だという結果についても
考えてもらいたい。なお与党の諸君はすべて賛成でありますが、与党内部に有るもろもろの事情については同情いたします。しかしながら党は違
つても、国民の代表としての
審議権の行使だけはしていただきたいと思います。かような
立場において
審議をされました本
法律案であります。この百数十箇條にわたる
公衆電気通信法の一條一條について、公共性を保持しながら企業性を発揮しなければならない日本の電気通信
事業について、まじめに
審議をしたということについては、われわれ異議があります。こういう
審議の
方法と扱い方によ
つて本日討論に付されることについて、まず第一に反対をいたします。
第二について申し上げますが、第二は
公衆電気通信法に対する、
法律案の
内容に対する構成と扱い方の問題であります。御
承知のように本
法律案は第十三国会に提出されまして、長期にわた
つて審議をいたしたのであります。ところがその
内容において、一つは国有国営から電電
公社法案とな
つて、
公社組織によ
つて業務の運営をするための業務運用に関する規律を規制するについては、
公衆電気通信法が必要である。しかしながらややもすれば、従来国有国営の場合に直営をしておりましたいわゆる
PBXのごときものが、民法上の
所有権の移転から始ま
つて、
保存権混同の問題あるいは
技術者の
認定、
保守規格基準の
認定等、むずかしい問題を業務運用の規律と同一
法律案によ
つて規制することは困難である。
第三点は、
料金の値上げを中心として、電話を利用する国民大衆が
負担すべき
料金にあらざる
公社債の引受、さらにまた普通区域、特別区域に対する
設備をするための費用の
負担、こういうものは
料金を中核とした
単独法案によ
つてまとめ上げることが妥当である。これが一年近くにわた
つて国会の中に持たれた小
委員会の期せずして出た結論だ
つたのであります。そういう事柄がこの
法律案の構成と
内容と扱い方にあるために、十三国会においてはいわゆる継続
審査とな
つている。十四国会においては二日にして解散に
なつたために、この
法律案は廃案と相
なつたのであります。ところがそれほど長期にわた
つて、扱い方と構成について指弾を受けたにもかかわらず、本国会には同様の趣旨で提出をして、
料金もあるいは
PBXの問題も、あるいは業務運用の規制についても、一つの
法律でまとめようというところに大いに無理があるのでありまして、われわれが十分
審議を尽すためにはまだ数日を要するのであります。私の
質問だけでも三分の二残
つておると言うたのでありますが、午前中一時間程度で
質疑を打切るということになりますと、そういう
内容を備える
法案の
審議が尽されるとは
考えておりません。政府みずからが一たび国会に提出をしてそういう指弾を受けて、さらに同一の
考え方、同一の方式で
法律案を提出したということについては賛成できません。特に経済上の変動等があ
つて、
料金を上げたり下げたりする状態が生れて来た場合に、
料金関係中心の一本の
法律ならば、その
法律の改正で済みます。ところが
料金並びに
加入者に
負担をさせる——たとい一銭の問題でも、本
法律案にいわゆる不測の
事態が起
つた場合においては、
公衆電気通信法の一部改正とな
つて出なければならないのでありまして、今後
取扱いの点についてわれわれが困るのではなくて、監督行政を担当する政府が
法律の扱いに困ることは必然であります。さらに業務運用の面について政府が因るとともに、公衆が困るのであります。われわれは党利党略の
立場からものを言
つておるのではございません。国有国営から
公社に移して、公共性を保持しながらいわゆる企業性を発揮して、
サービスを上昇させるとともに、国内、国外を通ずる国家的通信業務の遂行をしたいから申し上げているのであります。しかるにもかかわらず旧態依然とした
立場で、本
法律案の構成をして国会に臨んだというところに、多大の不安を持つのであります。
第三には
PBXの問題で、
法律案の
内容の問題でありますが、われわれは
PBXを中心として、百
五條を中心とした
修正案を提出いたしております。その
理由は先ほど同僚原君が提案
理由を
説明した
通りでありますが、本
法律で扱
つている問題だけを拾
つてみましても、御
承知のように今度は
設備の
設置、
保守等が
加入者自身でもできる、
民間工事屋でもできる、こういう構成に
なつたために、
設備もし、さらに
保守、規格基準の
認定、
技術者の
認定、
所有権と
保存権の問題、こういう問題については将来幾多の問題が残されるでありましよう。この不合理性を改進党の有田君も認めておられるのでありますが、この不合理性をはたして政府が有田君の
希望通り処理して行くかどうかということについて、われわれは多大の危惧を持つものであります。従来のように
公社が一本で、一切の
設備、
保守、規格、
技術、すべての
責任を持つという
立場においてなされますならば、この危惧は取除かれるのであります。そういう
意味を含めた
修正案を出しておるのであります。しかもこの
質疑の過程においてわれわれは
PBXの問題について多少の従業員に対する配置転換が行われることは
伺いましたけれども、配置転換の
内容と配置転換の実情については御答弁がなか
つたのであります。
従つてまだその準備がないことだろうと思いますが、かような状態において、本
法律案の中の一番重要だと思われる
PBXの問題を承認するわけには参らないのであります。
第四点として申し上げたい点は、
料金値上げが本
法律案に含まれておりますが、これは先ほど
法律の扱い方については申し上げたのでありますが、その扱い方について反対であるばかりではなくて、今度の
料金値上げの扱い方であります。御
承知のように
質疑の過程で明らかにされたのは、前回度数料の値上げをしたから、今回は
基本料金の値上げだけである、こういうことであります。そういたしますと、要するに
加入者が
負担するものは、
基本料金だけ上げられるのでありますから、よけい使
つても、よけい使わない人であ
つても、今度の値上げは全部平等になるわけであります。ところが電話等についてわれわれは数よけい度数をかけて使う者が、
料金の
負担をよけいするということが
建前でなければなりません。ところが度数料の値上げはしないで、
基本料金の値上げだけをいたすということになりますならば、よけい使う者も使わない者も同じ
料金を
負担するということになりまして、これは企業性から見まして最も不合理なるものの
考え方であります。しかも度数料と
基本料金とを比較いたしますと、
基本料金が五十億を占めて、度数
料金の約半分を占めるということであります。恐るべきものの
考え方だと思います。
基本料金は電話を持
つておるということに対する
料金でありますから、平等であ
つてよろしいのでありますが、大体
料金の収入二〇%が妥当であります。八〇%は、一日五回使う人よりも十回使う人がよけい
料金を納めるという
建前で組むべきが、企業性を保持する根本でなければなりません。この
考え方に対する反対の
料金値上げの扱いをしておるということについてまず反対であります。
第二は総額八十億にわたる値上げをいたして、八十億の収入を増そうということでありますが、これは予算にも
関係がありまするが、昨年度の電通企業に関する予算は、政府の出資金と申しますか、運用部資金から百三十五億円が出されておる。本年度の予算においては四十億に減らされておる。三分の一以下に減らされております。そうして政府が当然共公性を保持するために
負担すべき投資金等は減らされて、さらに年間二十億からの純利益があると思われる国際電電会社に移して
しまつて、利益のある分を切り離して、利益がなくな
つて、国が
負担をしないで一切かか
つて加入者の
料金にその
負担を求めようとするものの
考え方に、われわれは反対なのであります。公共性を保持するためには、電電会社はコーポレーシヨンでありますから、これは
民間会社ではないのであります。国が投資をし、公債、社債に対する援助をしながら、独立採算の理想を達成するためにものを
考え、建設資金を
考え、さらに利益のある
部分については、
公社が利益のない建設
関係について埋め合せを行いつつ企業の合理性をはかりながら、その上に
料金値上げの構想というものが
考えられて来なければならないのでありますが、われわれの
考えとは反対の
立場において
料金値上げをされておるということについて反対であります。
さらに進めて、
有線電気通信法案について反対
理由を簡単に申し上げますならば、
有線電気通信法案につきましては、われわれ従来の有線電気通信企業
体系から見て妥当だと思われる
條項はございますが、国際電電会社法に対してわれわれは反対でありまして、ただいま同会社法を廃止するの
法律案を本
委員会に提出いたしております。この
有線電気通信法案の中の
八條、九條等は、国際電気通信に最も
関連性を持つものでありまして、しかもこの
関連性は数度にわた
つて質問をいたしましたけれども、
公社と国際電電会社とが扱う国際
関係の通信については、業務上切離せない箇條が多いのであります。従いまして国際電電会社設立について反対であり、国際電電会社法に対する反対の
立場から、
有線電気通信法案についてはわれわれは反対をいたします。
さらに両
法案に対する
施行法案についても
質疑を行
つたのでありますが、両
法案の
関連性に基く
施行法案についても反対をいたします。
簡単でありますけれども、ただいま申し上げたような
理由につきまして、社会党両派は本三
法案の原案並びに改進党の修正に反対をし、
公衆電気通信法案につきましては、両派の社会党提出の
修正案に賛成をいたす次第であります。