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1953-03-03 第15回国会 衆議院 電気通信委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月三日(火曜日)     午後二時二十四分開議  出席委員    委員長 橋本登美三郎君    理事 中村 梅吉君 理事 有田 喜一君    理事 松前 重義君 理事 原   茂君       岩川 與助君    砂原  格君       貫井 清憲君    羽田武嗣郎君       松村 光三君    水田三喜男君       阿部 五郎君    山田 長司君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  金光  昭君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君  委員外出席者         日本電信電話公         社副総裁    靱   勤君         日本電信電話公         社保全局附   市瀬 幸治君         專  門  員 吉田 弘留君         專  門  員 中村 寅市君     ————————————— 本日の会議に付した事件  有線電気通信法案内閣提出第四九号)  公衆電気通信法案内閣提出第五〇号)  有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(  内閣提出第五一号)     —————————————
  2. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これより開会いたします。  有線電気通信法案公衆電気通信法案有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案一括議題とし、質疑を続けます。質疑の通告があります。原茂
  3. 原茂

    ○原(茂)委員 最近通信障害が頻発すると聞いておりますが、この障害種類、どんな原因で起きるものがあるか、それを簡単にひとつつておきたいと思います。
  4. 庄司新治

    庄司政府委員 通信障害のおもなるものは、大体申し上げまして、山の中とかたんぼの中などにひつぱつてありますところの裸線盗難というのが、通信障害の非常に大逐い部分を占めております。そしてこの裸線盗難といいますか、これの件数は、従来とてもそういう被害はあつたのでございますが、金へん物といいますか、金属類値段が上つて来るに従いまして、この盗難件数がふえるというふうな傾向がよく見られるのであります。大ざつぱに申し上げますと、昭和二十六年の二月ごろから障害件数というのが飛躍的に上つており、そして二十七年もその上つた情勢を続けまして、最近もその件数の多い状態は、依然として減つておらないというのが実情でございます。そして件数を申し上げますと、昭和二十六年弔に公社関係で受けました被害件数は、八千件を越えております。二十七年度の四月から十一月ごろまでの統計によりますと、これは一年間を経過しておらないのでございますが、その被害件数は九千件以上、かれこれ一万件近くの被害件数を数えております。そしてこの一件ありますことによりまして、どういう損害を受けるか申し上げますと、盗まれた銅線値段だけではないのでございまして、盗難をはかる方から見ますと銅線を売ろうという目的かもしれませんが、受ける方から見ますと、その盗まれたものの値段だけではなくて、盗まれることによつて通信がとまるのでございます。そしてそのとまる中には、非常に重要な通信もございましようし、とまつている間に通信もさばけないという被害もございます。それからさらにこれを復旧しなければならないというので、盗む方から見た金額と受ける方で考えた場合の金額とは、非常な開きがあるわけでございます。今復旧費だけを考え金額を申し上げますと、二十六年度中の八千件に対しまして、被害は一億円を少し越すという状態でございます。二十七年度の四月—十一月間の九千八百件というものに対する被害は、一億二千万円というふうな額に達しております。
  5. 原茂

    ○原(茂)委員 通信障害のおもなるものが、盗難その他によることが一番大きい原因になつていることがわかつたわけでございますが、これに対する防衛措置といいますか、予防措置、そういうものをどういうふうに今行つておりますか。
  6. 庄司新治

    庄司政府委員 この被害防衛措置といいますと、一番いいのは盗まれている現場をつかまえるということであります。けれども盗む方から考えますと、そういうへまなことは普通やらないのでありまして、先ほども少し申し上げましたように、山の中とか、人のおらない時、場所を選んで盗難を行うわけでありまして、この防止方法といたしまして、盗難の頻発するような区間に対しまして、電線にある種のリレー装置をつけまして、断線といいますか、切られた場合にすぐアラームが鳴るというような装置をつくつてアラームが鳴ればすぐ現場に飛んで行くというような方法をとつておるのでありますが、それにいたしましてもアラームが鳴つて現場へ着くころには、もう犯人が逃げるというような状態が往々にしてあるのでございます。それでわれわれといたしましては、そういうふうな手を打つ程度のことしかできないのでありますが、できれば盗まれた電線が何らかの方法で盗まれたということを確認するような方法でもとれれば、非常にいいのでないかというような気もいたすのであります。それからもう一つ、こういう問題があるのでございます。盗まれた電線が見つかつた場合でありますが、こういう場合にも、盗んだということが往々にして通信障害を及ぼすという重大性考えて処理されればいいのですが、場合によつてはそういうことを全然知らないでやつた、しかも金額が少いというので非常に軽くと言いますと語弊がありますが、軽く処理されるというふうなこともたまたまあつたのでございまして、そういうことのないように、これは昭和二十六年の六月でございますが、電気通信省の事務次官から法務府の刑政長官あて障害の性質、盗難の及ぼす重大性ということを申し入れまして、それが受入れられまして、刑政長官から地方検事長、検事正にも、通信障害者の処理についてというふうな文書を出していただいたような手も打つておるのでございます。いろいろこういうふうな手段を講じておりますが、必ずしもこれが万全を期しておるということまでは至つていないと考えます。
  7. 原茂

    ○原(茂)委員 今の御答弁で大体要約すると、やはりとつたものを買う業者があるわけですが、この業者とつたものを、あるいは盗んだものを買つた場合に、すぐ届け出るというような措置を講ずれば、盗んだ品物が発見される措置が講ぜられるということになるわけですから、この古物営業者といいますか、こういうものを売買する業者に対する古物営業法の適用の中に、この電線その他の盗難にあつた金属をも取締り物件の対象に含めるというようなことをしたらば、今の御答弁の適正な措置になるかと思うわけであります。今日国有鉄道におきましてはこの金属の回収を通じて、やはり盗難事件を防遏しようというので、福岡、和歌山県その他に県の条例として何か古物営業法に準ずるものを制定しておるようですが、公社ではやはりこういうようなことを、何か特別な条例を正式にかつて国会かその他に申請したことがあるかどうか、その点をひとつお伺いしたい。
  8. 庄司新治

    庄司政府委員 今、原委員の非常に御理解のあるお話があつたわけでございますが、私どももそういうふうな方法をとれば、要するに物が盗まれて、その盗まれた品物がどこへ流れ込むか、流れ先がよくつかめないという実情が、今のような方法をとれば防げるわけでありますが、一時そういうことを考えて正式ではございませんが、非公式にそういう方法をとれないかということを関係方面に聞いたことがあるのであります。そのときに電線のようなものを一々古物の鑑札を持つた者に扱わせるということが、非常に困難だというふうな話をちよつと聞かされまして、そうしてその後実はそのままになつているのでありまして公式にはとつておらないということでございます。
  9. 原茂

    ○原(茂)委員 個人のふところを満たすために、最も公衆の利害に直接関係あるこういう通信線その他の盗難事項が起きることは、どんなことをしても極力これを防遏しなければならない問題でありますから、やはり古物営業法の中にこういうものは入らないという御説明でしたが、新たにこれを入れて、正式にこの種の犯罪が早期に防遏できるような方法の一助にする必要があると考えますので、特にこれは委員長にお願いしたいと思いますが、地方行政委員会に正式に申入れをしまして、この古物営業法取締り物件の中に、この金属類を含めてもらうということにひとつ提案をしてもらいたい、こういうことを最後にお願いして、この問題を打切りたいと思います。
  10. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ただいま原委員からの申入れでありまするが、各位においても大体異議ないと思いますので、明日理事会でそれらについて御協議を願つて、その上申入書については委員会の議決を経て、適当の処置をしたいと思います。さよう御承知を願います。松前重義君。
  11. 松前重義

    松前委員 公衆電気通信法案の百五条「左の公衆電気通信設備の設置は、加入者又は専用者が行うことを妨げない。但し、同一加入電話電話回線又は同一専用設備たる回線の一端に接続するものの全部についてする場合に限る。」これはどうも頭が悪いものだから文章がわからないのですが、御説明を願いたい。
  12. 金光昭

    金光政府委員 この但書に意図しておりますところは、一本の局線に、PBX交換機内線電話機が十くつついていたとしますと、その交換機とその内線電話機の全部を一括していわゆる保守し設置するというものでなければならない。その十個の内線電話機の中の五個だけは加入者が設置し維持する、あとの五個は公社でやつてもらいたい、そういつたものはだめだ。全部一くるめにして、設備を一緒くたにしてどちらかに定めなければならないということを言つたわけであります。
  13. 松前重義

    松前委員 御説明は非常によくわかるけれども、文章が相かわらずわからないのでありますが、ただ問題はPBX、すなわち構内交換設備、このPBXというものの定義を伺いたいと思います。
  14. 金光昭

    金光政府委員 定義と申しますと、二十六条の加入電話種類のところに、単独電話共同電話と並んで構内交換電話というものをあげておりまして、それの説明といたしまして「交換設備及びこれにより接続される電話機並びにその交換設備電話取扱局交換設備との間の電話回線からなるもの」という定義を下してるおわけでございますが、平たく申しますと、電話局の方から申しますと、まず電話局から加入者までの間のいわゆる局線、トランク・ライン、今度はそれに接続されております交換台交換機、それからさらに交換機接続されておりますところのいわゆる内線電話まで、この十三つのものを総称してPBX、いわゆる構内交換電話というふうに言つておるわけでございます。
  15. 松前重義

    松前委員 局線接続されておる場合においては、ある構内私設交換機があつて私設加入者がそれにぶらさがつている場合においては、局線接続しておるときにのみPBXというわけですか。そうなればPBXというものの定義は、局線を中心として考えたときにのみPBXというものを考えられる。局線のつながつていない場合にはPBXではないというわけでございますか。
  16. 金光昭

    金光政府委員 ただいま松前委員のおつしやる通りでございまして、構内交換電話というものは、あくまでも局線につながつているということを関連して考えているわけでございます。
  17. 松前重義

    松前委員 局線につながつている場合でありますけれども、今度の法案に盛られておりまする内容としてのPBX条件ですが、技術的基準に合致するとかいろいろ書いてありますけれども、その条件を大体かいつまんで簡単に御説明願いたい。
  18. 庄司新治

    庄司政府委員 お答え申し上げます。自営PBX施設に対して郵政大臣認可を受けて定める技術基準というのを、実は郵政大臣認可をまだ受けていないわけでありますが、公社として今考えておられる点を、一応内々打合せしておるその技術基準を申し上げますと、これは先日松前委員から資料提出を求められまして、その資料を差上げてあるものの中に簡単に書いてございますが、技術基準の設定の方針は、これは旧逓信省時代告示一〇二一号、PBX技術具備条件という告示がありますが、これをもとといたしまして、その後公社できめました電信電話技術標準実施法の中で必要な部分を抜萃してつくるというような方針で今つくられております。  内容をかいつまんで申し上げますと、大体三つにわけられるのであります。その一つ工事設計基準PBXをつくる場合の設計基準になるべきものをきめなくてはならない。第二は保守基準、このPBXをどういう程度保守するかという基準であります。第三番目には、その設備機器規格でございます。この三つをきめようとしております。工事設計基準設計になります考え方は自営加入者はどういう方式——方式といいますと自動、手動という交換方式でございます。どういう交換方式使つてもそれはさしつかえないということでありますが、ただ自動局区内では磁石の交換方式はやめようというふうなこと、それからPBXのロードが極端に重くなり、従つて通話の疎通がうまくさばけないようなことのないように、そういう通話量との関係から設備数量容量を算出するということであります。たとえて申しますと、公社標準実施法に誉めてありまするトラフィツクを推定する標準、こういうものから仮設設備を防止するための交換機電力機設備数量容量等を算出する標準、また交換設備そのものに対する電気的基準、たとえば絶縁抵抗が十メグオーム以上であるとか、雑音レベルがマイナス五十五デシベル以上であるとか、あるいは自動の場合であれば、ダイヤルの速度、ダイヤル・レイシヨ、ミニマム・ポーズというようなものを規定しようとしておるのであります。それから保守基準といたしましては、大体定期的に自営されているPBX状態を見まして、定期的に試験をする、点検をするというふうな、定期的というその期間を一応定めようということでございます。第三番目の設備機器規格といたしましては、PBX公社の線につながれるということから考えまして、公社規格と大体同じであるということを考えております。ただ公社で今購入しておる品物につきましては、公社規格がございますから、その規格を適用いたしますが、公社で購入しないような新しい型の交換機器が出て来た場合には、公社規格に準じてきめられる条件をやはり適用するということになつております。非常に粗雑でございましたが、以上で一応基準の御説明を終りたいと思います。
  19. 松前重義

    松前委員 非常に詳細な御説明でありましたが、この規格が合つているか合つていないかという検査は、どこでいたしますか。だれがやりますか。どういう組織でやりますか。
  20. 庄司新治

    庄司政府委員 検査方法は、法案の七十七ページ、しまいから二行目の第百五条の四項に書いてありますように、公社検査をするわけであります。今申し上げました四項というのは、新しく設備した場合のことを書いてございますが、五項には、設備された後においても、やはり公社検査をするという建前をうたつてございます。
  21. 松前重義

    松前委員 この聞いただいた資料の中には、内容数字で盛られておりますね。まだ見ておりませんが……。検査内容はわかりましたが、そうするとどのくらいの規模で、どういう機構でおやりになるかということを承りたい。ちよつと見てみると、規模については、数量的にはほとんど書いてなかつたと思います。
  22. 庄司新治

    庄司政府委員 数字の方は、資料には実は書いてなかつたのであります。仰せの通りでございます。数字の方については公社から説明いたします。
  23. 市瀬幸治

    市瀬説明員 機構につきましては、特に考えておらないのでございまして、現行の機構によりまして行つて行きたいと考えております。なお将来検査の量がふえるに従いまして、係のないところには係を置きます。また現在係のあるところは一つでございます。東京の管理局に、自営PBXについた専門の係がおりますが、こういうものを課にして昇格して行く、こういうことを考えております。要員の数につきましては、推定でございますので、この推定が狂いますと、若干数字も狂いますが、一応公社として見込みを立てておる数字を申し上げますと、二十八年度におきまして新規自営がふえるもの、これを内線電話線の数にしまして、大体三万回線推定しております。これに要する検査要員四十名でございます。次に公社直営及び保守受託をしておるものの数、これが現在合せまして二十七万五千名になつておりますが、その約一割が自営の方に移行して行く、今こういうふうに推定しておりますが、これが約三万回線、これに要する検査要員も同じく四十名、それから新規直営部分が、来年に予算面で一万回線が計上されておりますが、これに要する保守要員が九十名、なお管理段階に三十名ばかりいりますので、これを加えますと約二百名の定員の増という計算になります。先ほど申し上げました公社直営及び受託の分から、自営の方に移行しますものを三万としますと、現在保守をやつていたものがいらなくなりますので、これの方の減を考えますと、約二百七十名になる。結局差引きまして、七十名前後のものが定員的に考えまして余つて来る、こういうことになります。この間副総裁からもお話がございましたが、この余つた定員につきましては、二十八年度におきましては、施設増が相当ございますので、そちらの方に転用して行こう、こういう考えでございます。
  24. 松前重義

    松前委員 PBXができますと、監督と申しますか、検査要員までも、公社の経費で持たなければならない。そういうことになるのですが、公社が直接やるならば、検査要員は、あるいは工事保守要員にまわすことができる。民間にゆだねたために、それだけかえつて国家的な重複を来して、不経済になる。こういうことが一応言えるのでありますが、この点については、郵政省はどういうふうにお考えになつておりますか。
  25. 庄司新治

    庄司政府委員 お答え申し上げます。PBXをある程度自営に移すことによりまして、これの検査要員がいるというお話でございますが、なるほど、一応そういう形になるわけであります。しかし公社といたしましては、今まで自営していた当時よりは人数が減りまして、その人数をほかの設備建設とか保守に当らせることができるということになります。また自営でやつておる人たちの側から見ますれば、やはりそれだけの人が仕事を得るという形になると考えます。
  26. 松前重義

    松前委員 どうも今のりくつは、まことにりくつのわからないりくつだと思います。もう一ぺん考え直していただきたい。大体PBXを許したがために、それの自由かつてな、まちまちな規格のもとに、工事とか機械類とかをやられてはかなわないから、何とか公社としては、それを通話のできるような性能のいいものを使わして、いい工事をやらして、仕事をやらせようという目的のもとに、ここに監督要員というか、検査要員のごときものを、ただいまの数字だけを置かなければならない。これだけの給料をお払いにならなければならない。PBXを許さないで、むしろ自分でやれば、直接工事に使われて、そういう二重な手間が必要ないではないか。どうせそれだけの人間が民間にまわることになるから同じだというお話でありますが、そうでない。しかもその監督あるいは検査要員というものは、公社が月給をお払いになり、人件費もお持ちになる。一体PBXのためにそれだけの定員を必要として、それで一般のPBXを備えつけないところの加入者までも、電話料金としてこれを払わなければならないのであるかどうか、この点を私は伺いたい。
  27. 庄司新治

    庄司政府委員 検査要員お話でありますが、公社自身PBX保守し、あるいは建設しておる場合といえども、これを管理する面の人員とか、あるいは最終的な試験をする人員というものが、ある程度はあるのであります。これが今の松前委員お話によりますと、公社自身がやつている場合の人数と、これを全然部外に移した場合の人数との開きを、やはり問題にされておると私は思うのでありますが、そういう形ではやはりそういうことがある程度言えると思うのであります。ただ建設の場合に——これはおしかりを受けるかもしれませんが、現在のPBX工事でも、ある程度部外に請負わせておるのが実情でございます。こういう意味から言えば、大して開きが出ないということも言われると思います。
  28. 松前重義

    松前委員 あまり問い詰め過ぎてはどうかとも思うのですけれども、りくつはまことに合わないのでありまして、実際上公社でやられた工事は、その場で一応合格するものは合格者と認定するようにするのが普通なのであつて、従来ともそうであつたろうと私は思う。別な人が行つて検査部行つてやるという機構は、現在お持ちにならぬと思う。とにかくPBX民間にゆだねたがために、新しい要員を必要とするならば、何ゆえに公社がその人件費までも背負つて検査をしなければならないのか。郵政省がその検査要員機構の中にお取入れになるというならこれはいざ知らず、公社としてはこれはそれだけの要員を持つ必要がないだろうと私は思います。この点は、この案にとり大きな矛盾であると思つております。御答弁があればあとで伺います。  そこで質問いたしたい第二の問題は、鉄道通信とか警察通信とか、あるいは保安庁関係通信だとかいうものと、PBXとの関係にはどういうふうな違いがあるか。先ほど御説明があつたような、加入者線、すなわち局線とつながらないものは、PBXではないという意味では、PBXではないかもしれませんが、鉄道通信警察通信保安庁関係通信などは、いわゆるPBXより以上のりつぱな建設保守、そしてまたこれに対する規格その他も、決して電電公社規格に劣らないものを使つておるはずであり、最も信用あるものであります。もしこういう信頼ある通信機関とこの公社加入者線とがつながりました場合においては、これをPBXとお認めになるのかどうか、これを伺いたいと思います。
  29. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの鉄道あるいは警察事務につきましての通信施設は、御承知のようにこれは有線電気通信法の方で、それぞれの事業のために専用を必要とする通信設備だということで、有線電気通信法で規律をしておるわけでございます。そこで、ただいまお話のありましたような公衆電気通信設備との接続に関しましては、公衆電気通信法の百六条で規定された場合のみについて、接続を認めるということにいたしておる次第であります。
  30. 松前重義

    松前委員 ただいま申し上げたのは、加入電話鉄道通信のごときものとつなぐことができるのであるかどうか、それを認められるかどうかという問題です。
  31. 金光昭

    金光政府委員 それは認めないことにいたしております。
  32. 松前重義

    松前委員 その理由について、少し詳しく伺いたいと思います。
  33. 金光昭

    金光政府委員 もともと警察事務、あるいは鉄道事務に必要なためにつくりました通信設備は、その事業を経営するために専用として設置された通信設備でありまして、これは公衆通信系とは全然別個の通信系をなすものなのでございます。そこでそれらのものを加入電話接続するということになりますと、その専用設備によつて、離れた地点相互間におきまして、公衆通信類似業務を幾らでも行い得るということになりまして、公衆電気通信事業の経営を独占せしめるという方針から見まして、それを破るような行為が非常に容易になる。そういうことで公衆電気通信事業公社及び会社に独占させるという建前からいたしまして、今のような専用設備加入電話との接続というものにつきましては、非常に限定的な場合のみについて認めるということで、ただいまお話のありましたような加入電話との接続を全般的に認めるというような方針をとらなかつたわけであります。
  34. 松前重義

    松前委員 そこは非常に重要な問題であると思います。PBXはたとえば宿屋なら宿屋私設交換機から、各部屋電話がつながつておると思います。部屋部屋の間はこの交換機を通じて話ができる。これは宿屋のための電話であつて公衆通信ではないかもしれません。ある炭鉱なら炭鉱がありまして、あるいは鉄道でもいいですが、そこに鉄道業務のために必要な電話として施設したものが、その交換機を通じて相互に話をするものは、やはり鉄道なら鉄道業務のための通信をやつておる。同じような意味において、両者にそう差はないのであります。ただ名前が鉄道宿屋と違うだけの話で、目的はその業務の遂行のためにやつておるのである。それを片方は公衆通信、すなわち加入者回線を直接局線につなぐことができる、片方は絶対にできない、こういう理由は一体どこにありましようか、ちよつと伺いたい。
  35. 金光昭

    金光政府委員 ただいま例としておあげになりましたもので、たとえば宿屋に関しましては、宿屋の内部においての通信と、それから鉄道等の場合との間に、それほどの差異がない。ところが片方は加入電話接続を認め、片方は加入電話接続を認めないというお話でございましたが、鉄道あるいは警察等におきましては、これは相当大規模な施設を持つておるのでありまして、単に宿屋等のごとく、一つの家の中あるいは一構内等にとどまらないのでございます。御承知のごとく、鉄道のごときは全国的に大規模な施設を、持つておりまして、それによつて公社行つております市外通話と同様な通話を幾らでもなしておる。ところが宿屋の場合におきましては、これは単にその宿屋構内にとどまるわけでございまして、その間におきましては、非常に性質が違うわけでございます。もともとその事業を営むために認められておるということから、単にその構内等にとどまらずに、全国的なあるいは地方的な規模においての施設というものと、それから一邸宅、一構内という場合等においては、やはりそこに格段の開きがある。そういう点から考えまして、単に一邸宅、一構内のものと、それからそういうような大規模な施設にわたるものというものについては、公衆電気通信事業としての独占侵害という面からの相違というものは非常に大きいものでありますので、その点に注目をいたしまして、こういう専用通信設備についての接続というものを原則的に認めないわけであります。
  36. 松前重義

    松前委員 PBXを民営に移すのは、大臣の御説明によれば、公社の独占によつてやらせてはあまりサービスもよくないから、民営でやらせるのだ、こういうような一般的な御説明であつたと記憶しております。あとでは大臣は、いや、そういうわけでなくて、二つやらした方が便利だからというふうに言いかえられておられたようでありますけれども、いずれにしても二本建を必要とするというのが、今度の公衆電気通信法並びに有線電気通信法の改正の目的であろうと思うのであります。その独占を目途としておやりになるならば、何ゆえにPBXを民営にゆだねられるのであるか。その点については私はりくつにならぬと思うのですが、いかがでしようか。
  37. 金光昭

    金光政府委員 PBXにつきましては、先般大臣からも答弁いたしましたことく、現在までの電気通信省あるいは公社におけるPBXのサービスというものについて、利用者方面からの要望というものを考えますと、公社のみにこれを独占させるということは、利用者の要望というものを十分満たし得られない面がある。たとえば期間的に見まして、PBXの設置につきまして、なかなか利用者の方の考えるような期間内に工事ができない場合もあります。また今回は、設備負担金としてのPBXの設置の費用を取上げるわけでなく、債権の引受にいたしましても、やはりPBX設備自体については公社の方の所有権になる。そういう点につきましてPBXの利用者から見れば、やはり自分の方に所有権を持ちたいのだというような要望も相当強いわけでありますので、これらの面において、まずPBXの設置の方面から見まして、公社の独占にまかせるということはいかがかという点、また保守の面につきましても、利用者の業務の態様によりましては、夜中にぜひやつてもらいたい。あるいは急速にやつてもらいたいというようなことで、必ずしも公社によつては要望を満たし得ないという面もありますので、これらの点を考えあわせまして、公社ばかりでなしに、これを民間の方でも一部なし得るという道を開いたわけでありまして、この点専用設備につきましては、公衆通信業務の独占を侵害するということをやらせないという点とは、また違つた観点からなのでございます。
  38. 松前重義

    松前委員 どうもお話が矛盾しておると私は思うのです。大体独占ではうまく行かないから、二本建にしてやらせるのだとおつしやいます。それでもしある構内電話局線につながないならば、——構内といつて宿屋は小さいところで、面積が狭いのでありますが、そのほかの構内電話では相当に厖大なものがある。そういうものを局線につながない場合においては、これはPBXではないということになります。これを局線につないでやる場合においてはPBXになります。その場合において、相当に広汎な構内電話を民営にまかせるということは、独占の侵害になるのと同じであろうと思うのです。それは範囲の大小はありましよう。鉄道を例にとつたのでございますけれども、鉱山の電話だとか、あるいはその他の業務用の電話があります。けれどもそういう場合において、これは独占の侵害であるがゆえにつながせないのだというような理由であるならば、当然PBXというものを民営にまかせるところのこの法案は、非常な矛盾であると私は思いますが、どうですか。
  39. 金光昭

    金光政府委員 鉱山あるいは警察、鉄道等の通信設備というものは、その事業のみのために使います通信設備なのでございます。それから公衆電気通信の方は、不特定、多数の人の用に供するためにつくられるものでございまして全くその設置の場合において、まつたく違つた観点からつくられるものでございます。そこで鉄道あるいは警察等の専用施設につきましては、本来の専用目的のために使用する面につきましては、これはまつたく公衆通信とは関係がないわけでございますので、これについては別に公衆電気通信の独占侵害ということはないわけでございます。ところがそれを加入電話接続するということになりますと、単に事業者の専用目的ばかりでなしに、その他の一般公衆にも通信ができるということになりますので、専用施設というものが不特定、多数の公衆通信用にも利用されるということになつて中るのでございますので、その点を非常に厳格に扱つているわけでございます。それからPBXの方につきましては、もともとPBXは、ここで申します公衆電気通信業務の範囲内でございますが、その公衆電気通信業務の範囲内におきまして、特に例外的に公社の独占を一部解除いたしまして、一部については公社以外の加入者等においてこれを設置することを認めるという方針にいたしたわけでございますので、この専用通信についての公衆通信接続の場合とでは、まつたくその趣を異にしておるわけでございます。
  40. 松前重義

    松前委員 大体そういうふうな業務用の電話をつくる場合において、その業務の遂行のために電話設備をやることを目的としてやられたものであるから、それ以上の範囲を越すことを許さない、こういうお話でございますが、大体そのような過去における法律なり規定に準拠してやられたものか。今日までのその専用あるいは業務用の電話設備が、公衆電気通信といたしまして認められるといたしますならば、これはみんなの非常な希望で、これこそ非常な喜びだろうと思うのです。たとえばその業務の運行を公衆通信、すなわち局線につないだ場合に妨げる、すなわち業務以外のものにその電話回線を使うことによつて業務の遂行を妨げるという傾向を生む場合においては、おのずからその事業体自体がこれを規制することは明らかであります。しかしその業務の運行を妨げない範囲内において公衆電気通信と、いわゆる一般電気通信とつながせるというようなことになるとするならば、これこそ今度の政府の提案された内容というものは十分に生きて来ると思う。言いかえれば、PBXの範囲をもつと広げるというならば、私は一応りくつはわかると思います。このような意味におきまして、ただいまの御説明を承つてみると、今までの法律や規定にあつた範囲内において設置したもので、ことに先ほど来の業務用の電話設備のごときは、その範囲内でお考えになりまして、PBXだけは特別のものとして考えておられる、このような矛盾がこの法律をつくられた思想の中に流れておると私は思うのですが、その点についてどういうふうな解釈を持つておられるか。
  41. 金光昭

    金光政府委員 専用通信施設につきましては、ただいまたびたび申し上げましたごとく、相当大規模なものが多いのでございまして、これを加入電話接続いたしますと、たとえば東京で鉄道専用施設の交換機加入電話を収容する、それから大阪の鉄道電話交換台加入電話を収容するということになりますと、鉄道専用目的といたしまして本来の通信に使います以外に、その加入電話を通じまして、いわゆる公社の行います市外通話と同様の通信が幾らも行い得るのでございまして、ただいま松前委員は、それは事業施設者自体が規制すればよろしいではないかというお話でございましたが、必ずしもそういうふうに行き得ない。それによつて公衆通信業務類似のことが幾らでも行い得るということになるわけでございまして、その線を譲るということになれば、これはもう公衆電気通信の独占というものが明らかに侵害されて来るということになると存じます。PBXの問題につきましては、原則といたしましては、この公衆電気通信業務公社の独占に属するということは当然でございますが、一方におきまして、この公衆電気通信法の一条にありますように、「迅速且つ確実な公衆電気通信役務を合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に提供する」、それによつて公共の福祉を増進するという、国民の側からの通信の利便という面から考えましたときに、このPBXの問題につきましては、公社の現在の実情からいたしまして、このPBXに対する需要及び要望にとうてい応じ得ないという点からいたしまして、これに対します一部の例外として認めたということに相なるわけであります。
  42. 松前重義

    松前委員 何度繰返しても同じようなことになるのですけれども、ただいまの御説明の中に、公社ではどうしても需要に応じ切れないから、民間にもゆだねることにしたとありました。これは大臣よりこの間、公社の方が民間よりもサービスが悪いとは言われなかつたが、公社よりもよりサービスを提供するために民間にゆだねるのだ、こういうふうな御説明があつた。しからば公社の方は、それだけのサービスを競争して負けるつもりであるかということを総裁にお聞きしてみたら、いろいろ御説明もありましたが、大要は負けないというお話であつた。いずれにしましても、予算の幅がないから、できるだけ民間資本を動員するためにやつたというような考え方であるのか。あるいはまた民間資本にいたしましても、国家の全般的な経済の流れの一環でありまして、この民間資本を集めるということにしても、もちろん国家全体の一つの大きなわくの中においてのみ成立するものでありますから、そのような意味において、とにかくこのPBXを民営にゆだねるという問題は、過去における業者の運動の結果として、初めはあなたの方では賛成はしておられなかつたはずであります。それがだんだん外からの力で、そのような方向にひん曲げられて来たのではないかということを私は憂えておるのであります。何となれば、そもそもこのPBXがかつて民営でありました時代において起つた弊害は枚挙にいとまがない。すなわち今の業者の諸君は、そんなに変な人はおられないと思うのでありますけれども、かつては故障でもないのに、あるいはまたすぐ故障が起るような修理をして高い値段をとるとか、その他いろいろな面において弊害が続出して参つた。すなわち小さなPBX業者がたくさんできて、そのために責任を持たない業者によつてなされるため、局線とこれをつないだ場合に障害が多い。その障害の責任はだれが負うか。結局昔は逓信省が責任を負わざるを得なかつた。今度の場合も、公社がおそらく負うことになると思うのであります。この間御質問してみたところが、その障害の場合に、責任の所在を知るということはなかなかむずかしいということである。交換機で分断して、内と外を調べるというが、そんなことをしておる間に一日も二日もたつてしまつて公社がやつた方がよほど障害の回復も早い。このようなことになるのは火を見るよりも明らかであります。いろいろ民間の方の要望はあります。けれども、必ず将来において、その弊害のために、再び元に返してくれという要望が民間から起る場合も考え得ると私は思います。このような過去の歴史を持つておるものに対して、今せつかくここに通信の一元化をはかろうというときに、PBXを再び民間にゆだねて、放任してやろうということは、まことに危険な結論を与えられると思うのであります。そういう点から見まして、いわゆる故障の場合における責任の所在はこの間伺つたのでありますが、交換機でもつて内と外を切りわけて調べた結果、責任の所在を明らかにしてから故障を直すのだという話でありますから、相当な時間がかかり、サービスは必ずしもよくない。と同時に通信の秘密を保つ意味において、憲法によつて保障されておるこの通信の秘密を一体どうして確保されるか、これらの問題について政府の御見解を伺いたいと思います。
  43. 金光昭

    金光政府委員 通信の秘密の確保につきましては、ただいまお話のように憲法に条文がありますが、それを受けまして、公衆電気通信法の中で第五条に、秘密の確保についての条項があるわけでございます。それを受けまして公衆電気通信法の百十二条に、罰則を規定しておるわけでございます。
  44. 松前重義

    松前委員 この通信の機密を侵したという事実は、どういうことで判定されますか。
  45. 金光昭

    金光政府委員 この秘密確保につきましては、単にPBXのオペレーター等ばかりでなく、公社また会社の従業員にしましても、あるいは一般人についても同様でございますが、あらかじめこの秘密を確保するための措置として、絶対確実な方法というものはないわけでございまして、要は通信の秘密確保ということを法律として規定いたしまして、それに対する罰則によつて各人がそれを遵守するということを義務づける以外にないわけでございます。
  46. 松前重義

    松前委員 通信の秘密が漏洩したという事実を、どうしてお知りになるつもりでありますか。電電公社なら電電公社の人間、すなわちその従業員である場合においては、直接の、自分自身の監督下に属しますから、電電公社の責任に属します。けれどもそれがPRXの交換手から漏れたとかいうようなことをどうして御判定になります。
  47. 金光昭

    金光政府委員 これは結局具体的な事例によつてPBXのオペレーターから秘密が漏れたというような事実が明らかになつた場合しか、そういうことを認定することは非常に困難かと存じますが、必ずしも絶対に不可能だとは存じないのでございまして、PBXのオペレーターがそういう秘密を漏らしたという事実をつかんだ場合において、そこから秘密が漏れたということに相なると存じます。
  48. 松前重義

    松前委員 せつかく一元化してあるものが二つに分断される結果起る問題は、通信の円満なる疏通に対する、すなわち通話を円滑に確保するという意味におきましても、またそれを修理するとかいうような作業におきましても、必ずしもPBXを民営にゆだねたがためによくなつて行くということは言い得ない。同時にまた通信の秘密のごとき問題に至りますれば、二元化する場合においては責任者が二人になつて来る。ただいまのようなどこからかそういう事実がわかつたときにというようなことでは、その責任が二分された場合においては、これはほとんどただ条文があるだけであつて、私は空文にすぎなくなると思うのです。このようにいたしまして、先ほど来の独占企業としての姿を侵すというような思想の中から、PBXという畸形児が生れ出た。あなた方もこういう子供を生もうとはお思いにならなかつただろう。私どもはあなたの思想からそう思うのです。この意味におきまして総合的にPBXを民営にゆだねるということが非常に私は危険であるということを強く感じております。そこで政府は、この資源の貧弱なる日本は、できるだけ設備その他を重複しないようにして、むだな費用を省くようにすることが必要であります。従つてことに機械設備などはできるだけむだを省いて、全体を有機的に、日本の産業活動、あるいはその他の政治的なあらゆる活動を旺盛ならしめるということが必要であることは申すまでもありません。過去においては弱電流に対する事業は、少くともその施設はできるだけ統合して、最高の技術で万化した姿においてやつて行く必要があるということを主張されて参り、またその方向に向つておつたのでありますが、これに対しましてこのPBXの問題は逆行であり、政府の今度の案の内容はすべて逆行であり、むだが非常に多くなるということを強く感ずるのであります。これに対する政府の見解を承りたい。
  49. 金光昭

    金光政府委員 先ほど松前委員お話の中にありましたPBXのオペレーターにつきましては、これは公社の直属のオペレーターではないのでありまして、加入者自体が現在も使用しておるわけでございますので、念のために申し添えておきます。  第二点といたしまして、ただいま施設の統合の面から、PBX民間の方にも許すということについては、その精神に反するではないかというお話でございましたが、今回のこの法案制定に際しましては、少くともそういうような施設の統合というようなことを法律的に強制するという建前は、現在の新憲法の建前から見ていかがかということで、法律的な強制の面は落しておるわけでございます。なおPBXにつきましては、たとい民間の方で設置いたしました場合においても、先ほど来のお話のように技術基準なりあるいは検査の面におきまして、これをできるだけ押えて行くということによつて別に公社が施設いたしましても、あるいはPBX加入者が施設いたしましても、その設備自体は必要なところに必要なものを置くわけでございます。その面による施設の重複というのはないのではないかと存じます。
  50. 松前重義

    松前委員 施設の重複の問題ですけれども、これはまあ議論しましても空論に終るかもしれませんし、水かけ論に終るかもしれませんけれども、しかし少くとも施設の重複というよりも、最もよいものを最も経済的に使用するというような面からいたしまして、何といつても電信電話公社というものは相当な力を持つておるのであります。判断のカも持つておれば、あるいはまた工事能力その他も持つておる、その場合におきましては、あらゆる面において、経済的な施設の工事その他すべてが可能であると思うのでありまして、決して重複することがどうのこうのというような意味をあなたに申し上げているつもりではないのであります。いずれにいたしましても、このような施設が非常に複雑な姿に持つて来られた場合において、監督というもののために将来は奔命に疲れるようなおそれがなきにしもあらずと私は思う。ドイツや英国などにおきましても、この施設というものは決して民間にゆだねてはおりません。日本が少くともこういうふうにようやく一元化して、健全な通信を行おうとして参つたときに、あるいは役所としてやつておられた時代には、それは多少の不利不便、あるいは役人としてのサービスの悪さはあつたででありましようが、この間この吉田内閣において公社にやられたばかりの電電公社であります。その公社がサービスが悪いから、また会社に移すという理由は私はないと思う。こういう意味において、総合的にこのPBXの問題は、どうも割切れないところがわれわれに残つておると同時に、将、来において大きな禍根をこれに残すであろうということを私は強く感じておるのです。ただいま政府委員が一生懸命御説明になりましたけれども、それらの御説明は、私には徹頭徹尾納得が行かないものであります。PBXの民営化は、先ほど来申し上げたような非常に危険な将来を持つものであるということを痛切に感じ、このことをここに申し上げて、一応この問題に対する質問を終ります。
  51. 中村梅吉

    中村(梅)委員 私はPBXの問題について若干疑義がありますので、質疑をいたしたいと思います。ただ私はこの電通の委員会に初めて出ましたので、非常に知識が乏しいために、あるいはお尋ねすることが幼稚な点があるかもしれません。そういう点がありましたら、委員長から御指導を願いたいと思います。  ただいま松前委員の御質疑におきまして、通信の秘密に関してのお尋ねがありました。私どもPBXのオペレーターが、公社の派遣人員であれば別ですが、従来から加入者の雇い人によつて交換が行われておるとするならば、PBXの施設及び維持管理が、公社直営かあるいは民間自営によるかということによつては、どうも差異が生じないように実は思うのでありますが、この点について念のためにまず第一に伺いたいと思います。
  52. 金光昭

    金光政府委員 通信の秘密の確保の点につきましては、ただいま御質問のありましたように、たとい公社の従業員であろうとあるいはPBXの従業員であろうと、その秘密確保を遵守するという点については何ら相違はございません。
  53. 中村梅吉

    中村(梅)委員 従来のPBX施設については、加入者からその設備費を徴収しておつた、ところができたその設備はでき上りますと公社の所有に移る取扱いになつておつたようでありますが、われわれの観念からいいますと、何か財産権上の観念から、どうもこの点は理解ができないのです。一種の強制贈与というかつこうにでもなりましようか、自分が経費を出して設備をすれば、たとい何人に施設をしてもらおうとも、通俗の観念からいえば、その経費を出して、施設をどこへなり依頼して施設したものの所有でなければならない、こう思うのですが、従来はどうもそうでなかつたようであります。この点について、そういう理論的な点を伺うのはどうかと思いますが、どういうように当局はお考えになつておりましたでしようか、その点を伺いたいと思います。
  54. 金光昭

    金光政府委員 PBXにつきましては、電気通信省が全部原則として設置、設備、維持をするというふうに方針を変更いたしました後におきましては、当然電気通信省、現在におきましては公社の予算でその設備をいたしまして、適当なる使用料を各加入者からとつて、これを運営すべきものなのでございます。ところが公社の、当時の電気通信省の予算状況といたしまして、予算のわくに縛られまして、PBXの需要に十分応じ得られないということでございましたので、昭和二十六年に電話設備費負担臨時措置法を制定いたしました際に、PBXの希望者の方からPBX設置についての実費を頂戴する。本来これは公社電気通信省が、自分のお金で設置すべきものですが、とうていそれだけの資力がないので、実費を頂戴して設置するということで、あくまでも本来電気通信省でやるべき設備の費用を、あらかじめ負担していただくといいますか、それだけのお金を出していただくという観念で今日まで参つたわけでございます。そこで形から見ますと、加入者の方から申しますと、自分で実費相当額を出しておるにかかわらず、その所有権だけはとられてしまうということになるわけでございますが、実質的に申しますと、むしろそれだけの額を寄付していただくという観念で、負担法ができ上つておつたわけであります。今回はその方針を変更いたしたわけであります。
  55. 中村梅吉

    中村(梅)委員 簡単に伺いたいと思いますが、設備負担法がありましても、PBX施設設置のために要する人員、その他PBXに関した予算というものは公社にあるのだと思いますが、この予算は二十七年度にすればどのくらいの金額であるか、あるいはその予算は別建であるか、あるいは他の予算と一緒にされたものであるか、伺いたい。
  56. 靱勤

    ○靱説明員 これは予算といたしましては、PBX建設につきましては、一般の電気通信設備建設と同じように建設予算を組みまして、それで支出をやつておるわけであります。それから保守につきましては、損益勘定の一方におきまして一般の保守と同様に処置をする、こういう形になつております。ただ若干ほかの建設勘定と違つております点は、非常に希望者がございまして、負担金二十八年度からは社債になりますが、それがよけいに入つて参りました場合には、弾力条項でさらによけいやれるという形になつております。
  57. 中村梅吉

    中村(梅)委員 PBXの設置も一般建設予算の中にあり、あるいは保守の方も一般の経費の方に織り込まれておるのだ、こういうことであるといたしますると、PBXを希望する申込みが多くて、その申込みを満たそうとすれば、一般の電話施設費というものはそれだけその方に削減をされて行く、あるいは一般の電話施設を多くやろうとすれば、PBXの方へどうしても圧迫をして行かなければならぬ、こういう筋合いになつておるのだと思いますが、その点はどうですか。
  58. 靱勤

    ○靱説明員 負担法におきましては、実費の以内ということになつております。従いましてある年度におきまして、三万のPBXを行うという予定を一応立てまして、三万回線の需要があつたといたしまして、それが実費に満たない場合におきましては、それは他の建設予算から差繰らなければなりません。しかしながら予算の建前としましては、また負担法を設定しました観念といたしましては、結局需要がありまして負担されましたその個数だけはやるということで、他に需要がありましても、もちろんその場合にはやはり実費の範囲内で遂められた額だけは頂戴いたしまして建設して行くということでありますので、PBXの需要が非常にあるから、一般の建設勘定からたくさん流用しなければならぬという形にはなりません。同時に、需要が少かつた場合に、PBXの経費をいわゆる食べまして、他の方に拡張できるかと申しますと、負担金が入つて参りませんから、そういうぐあいになつて来ない、こういう形になつております。
  59. 中村梅吉

    中村(梅)委員 負担法による負担金の方はそうなりましよう。いろいろなPBXの施設なり、あるいは一般の電話の施設をする人件費、人繰り、こういう方面はどういうことになりますか。
  60. 靱勤

    ○靱説明員 その点は建設勘定は別にしまして、一般の保守の問題を考えてみますと、これの予算というものは、これだけ保全するからこれだけの人員ということがなかなか的確できないのでございまして公社全体の必要な保守要員というものを、一定の能率によつて算定いたしまして、毎年予算でもつて確定するわけでございますが、もちろん公社の要求と、あるいは大蔵省、郵政省との査定の間におきましては合致いたしません。しかしながら予算ができ上りました場合におきましては、もちろん決定されたところによつて保全、保守工事等をやるわけでありまするが、その際かりにPBXの需要が非常に少いという場合におきましては、それだけの人員につきまして他の方の工事に利用できるという形になりますし、先ほど申しました弾力条項等の問題で、予定より非常にふえて参りました場合におきましては、それに伴つてもちろん損益勘定におきましても収入が入つて行くという形になりますので、あるいは予算の補正あるいは若干の流用その他によりまして埋め合つて行くという形になりますから、人員の点につきましては、一応内部的にはPBX要員というものを一定の能率で算定しておりますけれども、それが他の工事への応援という形は、相互の間において行うということになつております。
  61. 中村梅吉

    中村(梅)委員 先般の大臣の説明によりましても、PBXに対する需要は、現在の公社の制度をもつてしてはなかなか満たすことが困難であるというような意味お話があつたと思いますが、ことに新しく建物を建築したような場合、ビルデイングができるとか、あるいは大きな会社の社屋ができるという場合に、こういう制度の変革にはおのずから一長一短はあると思うのでありますが、民間の会社に随時契約をして委託ができるといたしますならば、利用者側にとつては、自分のところの電話は現在そこに引けるものが何ぼある、それに適するPBXの施設をしたいというような場合に、建物の建築と同時に、配線の施設を建築の進行に従つてつてしまうという便利があると思います。現在の公社の状況では、かねて御説明のありましたように、事実私どもの聞いておるところから見ても、PBXの施設をしたいと思つても、それを公社に申し出てすみやかな施設をするということが困難である。ましてやそういうビルデイングや社屋などの建物ができる場合に、建物の建設、進行に伴つて、いち早く配線施設その他をするというようなことは、私は不可能だろうと思うのです。こういう点については、確かに民間自営にゆだねるということの方が、利用者の便益が非常に多いように思うのですが、この点は私どもの今まで見るところでは、敏速にしかも利用者の考えに即した施設をするということは、公社としておそらく不可能であつたと思うのですが、そういう点はいかがでありましようか。
  62. 靱勤

    ○靱説明員 大体PBXにつきましては、電気通信省当時、特殊の例外を除いては全面的に電気通信省直営ということになりました結果、PBX建設を最もスムーズにやつて行くためには、たとえばビルデイングができた場合、なるべく早くわれわれの方におきまてしもビルデイングの建設者と連絡いたして、その予定期日等も打合せ、できるだけ先方さんの希望の時期に完成するというような手配をして参つたわけであります。もちろん当初におきまして、そういうようなことがなかなかできなかつた点はあろうかと存じますが、大体の基本観念といたしましては、当然サービスとしましてそうであつたわけでございますが、それがある時期に相当一度に出て来るということになりますと、先般来当委員会におきましてお答え申したように、すべてのピークに対しまして全部の人を準備しておくということは、こういう大企業としましてはなかなか困難であります。一方他の工事が割合に繁閑がありますれば、その間にPBXの完成しなければならぬ工事がたくさん出て来たというときに、かえつて融通というものは可能でありますけれども、相当工事が全般的に進んだ場合におきましては、予定された工事量以上にそこに集中して来るという場合には、先方さんの希望されるような期日にすべてが完成するということは、実際上困難であるという事情がある次第であります。
  63. 中村梅吉

    中村(梅)委員 先ほどの政府委員の御説明によりますと、PBXの施設工事については、従来も一部業者に請負わせておつたものがあるというお話であります。これは政府側では非常に恐縮したような態度で御説明になりましたが、各府県その他の各種の工事におきましても、直営工事というもので事実下請に出しておるものはざらにあるのでありまして、いかに直営といいましても、それは直営の管理を行へばよろしいので、末端のささいなことまで一切合財自分のところの人員でやらなければならぬというりくつはない。それで私ども一向さしつかえないと思うのでありますが、下請にやらせた場合の今までの成績はいかがでございましよう。公社人員でほんとうの直営工事をやつたのと下請をした場合とに、何か非常な差異があつたか、あるいは別段これというさしつかえ、支障は伴わなかつたか。
  64. 靱勤

    ○靱説明員 ただいま御指摘のように、建設工事といたしましては民間工事業者に請負に出すということは在来もやつてつておりますし、今後もそういう方針で行くことに相なつております。PBXの例につきましては、公社発足後一時どうしても時期的にできないということで、請負に出した場合もございますが、大体最近におきましては直営を原則といたしております。そこで直営と請負と優劣ありやということでございますが、請負ということになりますれば、もちろん電気通信省なり、公社なりで直接監督してやつて参りまして、その施設はやはり電気通信省の責任になるわけであります。在来におきましては、その間の優劣というものは、その他のいろいろな条件は別として、完成したものにつきましてはないという形に相なつております。
  65. 橋本登美三郎

    橋本委員長 中村委員ちよつとお願いしますが、議長から再三出席するようにという要請がありましたので、簡潔に願います。
  66. 中村梅吉

    中村(梅)委員 それでは要点だけ、なるたけ簡潔に伺ひます。PBXの維持、ことに旧式の施設などを持つておる人たちが、新しい施設に改善したいと思いましても、それには公社の方にわざわざ手続きをしなければならないという煩のために、なかなか改善がない、そういうことも私はあり得ると思う。たとへば民間工事あるいは自営が許されて、自分の好きな人、知つた人に頼んで工事がなし得れば、役所とか役所に類似の公社に手続きをするよりは簡易に、従来の旧式施設を新しいものにかえるということも可能であろうかと思います。またPBXの新しい施設にいたしましても、スムーズに進まない現状にある公社にお願いするよりは、業者に頼んで少し督励をして施設が簡易にできるならば、おれのところもひとつ部屋電話を引いて、PBXを持ちたいという希望の向きも相当私はあると思う。そこでPBXの施設及び保守、管理を自営できるということになれば、PBXの利用者はよほどふえる可能性かある、こう私どもは観察をするのであります。この点に対する当局の見通しと、従つて気やすく施設ができる、あるいは改善ができることによつて電話の利用度というものは非常に向上されるのではないか。われわれの家庭にいたしましても、簡易に頼めれば、各部屋電話を引いておくという便利がある、便利ならば自然に利用度が高まつて行く、こういうことのために使用料の増収ということが期待できると思うのですが、こういう点について、私どもが想像しておるような行き方になると思つておられるかどうか、伺いたいと思う。
  67. 金光昭

    金光政府委員 郵政省といたしましては、民間からの要望を満たす一助といたしまして、こういつた加入者の設置、維持を認めることといたした次第でありますので、今ただちにそれによつて急激にPBXの利用が急増するということは考えられないかもしれません。しかしこれによつてある程度増加する趨勢に向うのではないかということは、一応予想されるのではないかと思います。
  68. 靱勤

    ○靱説明員 使用料の改入の面につきましては、PBXがますます発展し、今まで乙種増設を持つておりましたが、それが非常に普及されて参りますれば、使用の効率及び使用収益から申しましても便利であることは、今おつしやつた通りであります。ただ簡易にできるからということにつきましては、私ども公社の立場から手前みそになるかもしれませんが、公社なつた限りできるだけサービスをよくして、この法案通りました場合に、公社としてもやはり信用を得られるようにやつて行きたいと考えております。
  69. 中村梅吉

    中村(梅)委員 まだ二、三ありますが、省略してこの程度にとどめます。
  70. 橋本登美三郎

    橋本委員長 それでは本日はこの程度にとどめます。明四日午後一時、二十八年度日本放送協会の収支予算を議題として、討論、採決を行います。  これにて散会いたします。     午後四時十一分散会