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1953-02-23 第15回国会 衆議院 電気通信委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十三日(月曜日)     午後二時五十一分開議  出席委員    委員長 橋本登美三郎君    理事 中村 梅吉君 理事 有田 喜一君    理事 松前 重義君       岩川 與助君    砂原  格君       貫井 清憲君    松村 光三君       中曽根康弘君    中山 榮一君       松井 政吉君    三輪 壽壯君       山田 長司君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  金光  昭君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君  委員外出席者         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 二月二十三日  国際電信電話株式会社法を廃止する法律案(松  前重義君外百十七名提出衆法第三六号) 同月二十一日  市外電話回線増設請願原茂紹介)(第二  四七六号)  電話架設促進に関する請願原茂紹介)(第  二四七七号)  柏原電話局電話交換方式改善等に関する請願  (杉山元治郎紹介)(第二四七八号)  ラジオ東奥株式会社事業許可促進請願(山崎  岩男君外六名紹介)(第二四七九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  有線電気通信法案内閣提出第四九号)  公衆電気通信法案内閣提出第五〇号)  有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(  内閣提出第五一号)     —————————————
  2. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これより開会いたします。  有線電気通信法案公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案一括議題とし、質疑を続行いたします。質疑通告者があります。これを許します。松井政吉君。
  3. 松井政吉

    松井委員 ちよつとお伺いしますが、きよう大臣はお見えになりませんか。
  4. 橋本登美三郎

    橋本委員長 後ほど出席します。
  5. 松井政吉

    松井委員 それでは大臣にお伺いするものは大臣がお見えになつてから答弁をしていただきます。  最初事務当局にお伺いいたしますのは、ただいま審議をいたしております公衆電気通信法有線電気通信法並び施行法案の三法案法律としての扱い方について、経過と、それからこのような形で提出をした理由について、詳しく御説明を願いたいと思います。というのは、この公衆電気通信法の中には、国有国営電気通信企業公社になつたために、公社業務運営に必要欠くべからざる業務運用規定で当然必要なものも載つております。ところが問題になると思われるPBXの場合等は、逆にこれは一種の財産ともいいますか、あるいは所有権移転といいますか、そういう形のもので、広義に考えれば公社業務運用上必要だということに、りくつをつければなりまするけれども、事実はそうでなくて、業務運用上必要だとは考えられないものが入つております。さらにその次には、従来は料金の取扱い方は、御承知の通り料金に関する全部の料金、あらゆる場合の料金、あらゆる場合の加入者負担をきめた法律が一本で扱われて来ておつた。これを今度は、この公衆電気通信法の中に入れて来た。従つて当然必要なる業務運用に関する規定、あるいは財産分離言つても過言でないようPBX取扱い、さらに従来の基本的な料金全般にわたる法律を廃してこれに持つて来た。こういうことでこれを審議をしろということでありまするが、これは法律をつくる方法としては、いろいろ角度を違えて見ればりくつは立ちましようけれども、立法府として審議をする場合にまことに困る。料金の問題については、全体の加入者負担をすべき料金縦横規定した一本の法律審議をすべきが当然でありまして、こういう雑炊のような形において提出されたということのいきさつと理由、それからそうしなければならなかつた理由があるならば、それも加えて御説明を願います。
  6. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。もともと有線電機通信法公衆電気通信法及び両法の施行法の三法につきましては、昨年の十三国会におきまして政府といたしましては提出いたしまして、たまたま同時に出されました日本電信電話公社法あるいは国際電信電話株式会社法の二法案と同時に御審議をお願いいたしたわけでございます。そこでただいま御質問にありましたPBXの問題、あるいは料金の問題につきましても、この公衆電気通信法案以下二法案考えます際には、当然公社形態に移るということを前提といたしまして考えたわけでございます。別に公社になる前にこのPBXの問題の方針を決定いたしまして、公社になつてそのままその方針を踏襲したというわけではないのであります。また料金につきましても、公社としての自主的の経営という面から見まして、ただいままでのよう電信電話料金法というもののごとく、全部の料金をすべて法律で細大漏らさず規定するということよりも、一般利用者に対して非常に重要な関係を持ちます基本的の料金法律の中に定めまして、附加的の料金という面につきましてはこれを公社において案を定めまして、郵政大臣認可料金にするといつた面におきまして、公社の自主的な経営の面を出させるといつた方がよいのじやないかということから、そういう方針にいたしたわけであります。現に国有鉄道等につきましても大体法定料金、それと認可料金、それから国鉄自体できめます自主的な料金という三本建をとつておるわけであります。大体その方針等参考として定めたわけであります。なお電信電話料金法終戦後につくられました法律で、その前は利用関係を規律しております電報規則なり、あるいは電話規則の中にその料金まで定めておつたのでありますが、終戦後におきましてそういうよう料金というものを省令で定めるといつたことは、これは一般国民権利義務関係に重大な影響があるものだからということで、料金法に移したのでありますが、その際におきましてはこれを全部法律にいたしたのでございます。その当時におきましては国有国営の形でやつて参りましたので、今回公社形態にかわるというような場合につきましては、必ずしも国営の場合と同一の観念で考えることがかえつて妥当でないのじやないかという面で、先ほど申し上げましたよう基本的な料金ということに方針を変更したわけでございます。なお今回これを提案いたします際に、料金関係についてのものも一緒にしたということにつきましては、これは昨年十三国会公衆電気通信法を出しました際におきましても、すでにこの料金法公衆電気通信法案の中に統合いたしまして、その別表といたしまして料金を定めましたわけでございまして、今回提案しました際に新たに方針を変更したわけではないのでございます。なおただいまの御指摘のように、こういういろいろ大きな内容を含むものをというお話でございましたが、これにつきましては、今回のこの三法案が、従来すでに十三国会に提案されて、十四国会においても継続審議願つた経緯もございますので、なるべくすみやかな機会であります本国会に、さらに重ねてこれを提案した次第でございます。
  7. 松井政吉

    松井委員 十三国会においては長期にわたつて内容審議をされたが、法律内容とその法律扱い方について疑義が生じて、委員全体からいろいろな質問が出て、十三国会には上げることができないので継続審査にしたが、十四国会が二日で解散になつたので、これは廃案になつた従つて提出された理由が十三国会に出したのだから、そのまま出したという理由は成り立ちません。国会は改まつているのです。要するにこれを一本の法律で出す方がいいというならば、ただいまのよう事務的な説明ではなくて、ほんとうにこの方が運用のためにはよろしいのだという点を、重要なる要項をあげた形で、三つでも四つでもそれを説明願いたい。十三国会に出したから、その法律を出していいかということになりますれば、今度は今国会のあらゆる常任委員会において継続審議になり、あるいは審議未了になつたものを、十六国会に出してよろしいというりくつが成り立つか。これは事務を扱つておる行政府のあなた方はよろしいけれども、今度は国会がかわつただけではないのです。解散になつて、選挙の結果全部の委員がかわつておるのです。それを十三国会に出したのだからこれをそのまま出したというりくつはどこに成り立つか、その点の説明を明らかにしていただきたい。
  8. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの私の答弁が多少言葉が足りなかつたと思いますので、補足して申し上げます。先般この法案を提案いたします際に、大臣からの提案理由で御説明がありましたように、もともと日本の電気通信関係法律というものは、明治時代にできました電信法あるいは電信線電話線建設条例といつたものを基本といたしておるのでございますが、これらの古い法律につきましては、その内容の点から見まして、現在の社会経済情勢からいたしましてへ相当検討を要するような面もございます。また新憲法のもとにおきましては、相当非民主的と思われるよう規定等もございます。そういう点につきましては、なるべくすみやかにこれを改める必要がございます。また第二といたしまして、従来の国営を今回変更いたしまして、公社あるいは会社形態ということに電気通信事業経営を改めまして、すでに昨年の八月一日から公社は発足したわけでございます。こういう面からいたしまして、従来の国有国営の思想のもとにつくられました電信法その他の法律というものを、やはりこういつた公共企業体なりあるいは民営形態に即応して法律を改正するという必要から、この三法案提出したわけでございまして、この点につきましては十三国会の際におきましても、その後におきましても、その事情については何らの変更も見ておりませんし、すでにそういつた公社そのものが発足しておるという状況でございますので、なるべくすみやかにこれを国会に提案した次第でございます。
  9. 松井政吉

    松井委員 大臣がお見えになつたようですから、大臣から明瞭にお答えをいただきたいと思います。ただいま質疑を行つておる内容は、この公衆電気通信法案の中には、初めは公社運営業務規定ようなもので必要欠くべからざるものが入つてつた。ところが今度はこの法案の中に、従来の国有国営のときとかわつた扱いとして入つて来たものに、所有権移転というか分離というか、あるいは財産の払下げというか、これはとりようによつてはいろいろ解釈があろうかと思いますが、そういう業務運用とは考えられない種類の違つたPBXの問題も入つて来ておる。さらに従来は縦横料金加入者負担すべきものを一本の法律規定をして来た、主として業務運用規定と思われる公衆電気通信法案の中に入れて来ておる。こういう扱いについて質問をいたしたのでありまするが、最初の御答弁は十三国会提出をしたのであるから、そのままお出しになつたということである。そこで私は、十三国会において提出したものは、十三国会においてあれほど議論をしたものであるから、十三国会に出したから出したということは、扱い方内容理由にはならない。こう再度質問を申し上げまして、ただいまの答弁と相なつております。そこで大臣にお伺いいたしたいのは、要するに十三国会提出して、何ら今日まで情勢変化がないので、やはりそのときの状態そのままで出したと言われるのでありますが、十三国会においてはこれは与党野党とも施行上の問題、PBX扱いの問題、料金の問題、それから料金規定する法律扱い問題等について相当議論がありまして、遂に十三国会は通過することのできなかつた法律案であります。従つて情勢変化ではなくて、それらを考慮して、運用規定をしなければならないものは運用規定を当然認め、運用規定の問題としてまとめて、さらに料金の問題、加入者負担の問題は縦横一本の法律として出すことが審議も早いし、業務も便利ではないか、にもかかわらず十三国会十三国会ということで、その内容をそのまま提出したものの考え方とその理由をお伺いしておるわけであります。大臣からあらためてこの問題に対する扱い上の理由とその内容についてお答え願いたい。
  10. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 第十三回国会の当時、私は郵政大臣の職になかつたわけでありますが、第十三回国会において、今松井委員からお話がありましたよう議論委員会にあつたことは聞いております。ですから郵政当局といたしましては、むろんそういう議論を無視したわけではございませんが、これも十分検討いたしました結果、実際上は第十三回国会に提案したと同じような案で出すのが妥当と考えて出したわけであります。業務運営についての法規という問題のお話がございましたが、公衆電気通信法案は、むろん公社業務運営についての法規ではございませんで、公社あるいは会社利用者との法定約款という性質を持つておるものであると私は解釈をいたしております。
  11. 松井政吉

    松井委員 私がこの扱い方について、あるいは提出方法について質問をいたしておりますのは、これから話を進め、あるいは質問を続ける料金問題等について最初にお伺いしておかないと質問ができないからなのです。それでお伺いしておるのであります。ただいま大臣は、いろいろ検討したけれども、十三国会提出したと同じような形で出すことを妥当と認めたということでありまするが、先ほど来二回にわたつて事務当局にその妥当の理由を私はお伺いしておるのです。妥当の理由をはつきりさせていただきたいのであります。
  12. 金光昭

    金光政府委員 私から御説明申し上げます。ただいま松井委員から御質問になりました点につきまして、従来の電信法その他の法律におきましては、公衆電気通信利用関係という面と、それから電気通信設備監督規律関係とを、同じ法律の中で規定しておつたのでありまして、そのためにほとんど大半の電気通信関係のサービスというものは、省令でこれを規定しておつたわけでございます。ところがこれらの利用関係の主要なものは、一般利用者あるいは国民に非常に重大な関係がございますので、これらの公衆電気通信利用関係について一本の法律にまとめるのが、妥当であるという考えから、公衆電気通信利用関係についての主要なものを、すべて公衆電気通信法の中に一まとめにいたしたのでございます。そこでただいま例をおあげになりましたPBX問題等につきましても、これは公社一般利用者との間の利用関係についての一つの大きな問題でございますので、この公衆電気通信法の中でその点を明らかにしたわけでございます。また料金につきましても、これは利用関係においての非常に大きな点でございますので、これもやはりこの法律の中に一緒規定をしたというわけでございます。
  13. 松井政吉

    松井委員 それではわれわれが考えて不合理と思われる問題について説明を願います。妥当だという解釈については、具体的に料金の問題、PBXの問題、その他業務運用規定について御説明がないのでありまするから、了解するわけに行きません。しかも料金の問題について、この法律基本的なものをきめるといいましても、この法律の中には、ずいぶん料金に該当するものが、郵政大臣認可あるいは政令で定められることになつておる。さらにまた施行法の第十条、これは読むのを省きますが、この扱いについて、特別加入区域ならば、当然われわれはいろいろなことが考えられると思いまするが、施行法の十条は、普通加入区域に対する加入電話についての超過額負担をきめている条項であります。それが公衆電気通信法施行法、両方で取扱われておる。従つて、具体的にお伺いをいたしまするが、施行法第十条で、普通加入区域について、どういう根拠とどういう理由でこのよう扱いをしなければならないのか、ちよつと説明を願います。
  14. 金光昭

    金光政府委員 お答え申し上げます。ただいま御質問普通加入区域につきましては、公衆電気通信法の二十九条におきまして、その区域の社会的。経済的な諸条件、あるいは行政区画とか加入電話の需要及び供給の見込み、並びに公衆電気通信役務を提供するに要する原価というようなものを考慮して具体的に定めるということで、その方針を定めてあるわけでございます。それに基きまして具体的にそれぞれの電話局についての加入区域が定まるわけでございますが、現在の情勢におきましては、その加入区域内のすべての申込みにつきまして現在の定められた料金のみをもつてしては、十分な架設ができがたいという公社状況にございますので、特に昭和三十一年までの臨時的な措置といたしまして、一定の距離外にあります加入申込みについては、その費用を負担してもらうということにいたしたわけでございます。この施行法におきましてこれらの規定を設けましたのは、特にこれを臨時的な措置として、できるだけすみやかにこの負担をなくすということで、この公衆電気通信法基本法の中にはこれを入れずに、施行法の中でその規定をいたしたわけでございます。なおこれらの負担につきましては、各電話局ごとに具体的な問題となりますので、これを法律で定めるということもできがたいものでございますから、郵政大臣認可を経て公社が定めるという方針をとりたわけでございます。
  15. 松井政吉

    松井委員 ただいまの御説明は、公社状態としてなかなかそういうことは困難であるから、こういうことでありますが、それならば公社以前においてはこの問題についてどのような取扱い方をやつてつたか、参考までにお尋ねをいたします。
  16. 金光昭

    金光政府委員 公社以前におきましても、この施行法にありますと同様な運用行つて参つております。
  17. 松井政吉

    松井委員 それならばお伺いしますが、公社以前並びに公社となつてからも、この、取扱いといいますか、これを考えている法律的な根拠、どの法律によつて公社以前これを扱つて来たか、その基本となつた法律を御説明願います。何という法律の何条を適用してこれをやつたか、ひいては財政法第三一条及びその他の法律との関係がどのようになつているか。
  18. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。法律的根拠いかんというお尋ねでございますが、これらの取扱いについての現在の基本的な法律電信法でございます。電信法では十七条におきまして「電信又ハ電話ニ依ル通信ノ取扱二必要ナル制限ハ命令ノ定ムル所ニ依ル」ということになつており、電話につきましては電話規則という省令を定めておるわけでございます。この規則はすべてのことを規定しておるわけではございませんので、主要な事項を定めておるだけでございまして、ただいまの制限距離外負担につきましては、現在の状況といたしまして、公社以前におきましても、電気通信省時代におきましても、すべての加入申込みに応じられないというので、省令に基きまして電気通信省としてさらに内部的な定めをいたしました。それに基きまして、この制限距離外のものについては申込者との合意のもとにおきまして、申込者がそれを承知するということによつて、特別にこの措置をいたしたという次第でございます。
  19. 松井政吉

    松井委員 だからそこを私は聞いておるわけです。こういう法律料金をきめると、そういう扱いをしなければならない場所が多く出るだろうと思うからお伺いしておる。従来からも、それから今後もそういう扱いをやると言われますが、これはなるほど電信法十七条に基いて省令をつくつた、さらに郵政大臣扱い行つた、さらにその次には加入者との間の契約行つたとこういうのです。一体これはどういうことなんです。加入者にそれじや君の方で施設の金を出してくれるならば、私の方ではこういう設備をしてやろう、こういうようなことで、加入者特別負担がさせられるならば、料金なんというものは法律できめない方がよろしい。それがやはり従来の不合理を、公社になつて料金全体を改めるためには、縦横料金をつまびらかにきめる法律が必要であつて基本法だけを公社法によつて濁して、その他の扱いを、たとえば施行法の十条でも従来あつたからそれを書いたにすぎない。いかよう説明ようとも、従来やつて来たから、それを生かすために書いたにすぎない。そういうことは従来扱いがいいとはいわれなかつた部分なんです。だからいわゆる郵政大臣認可あるいは政令ということで、加入者負担の問題、設備問題等が方々に隠れざるを得ない。それはやはり政令で扱うのでありますから、立法府関係ありませんけれども、そういうことが不合理だというのです。だからもう一ぺん念を押しますけれども、従来もこうやつて来たし、これからもこうやつて行く、加入者同士契約ならば、いわゆる施行法の十条があれば何でもやれるというものの考え方で、普通区域であろうと、特別区域であろうと、それ以外の区域であろうと、こういうことをやれば、拡大解釈によると、これが濫用になるのです。それが正しいとお考えで、今後もそういう運営をおやりになるのかどうか、これを明らかに説明していただきたい。
  20. 金光昭

    金光政府委員 公社以前におきます現在の取扱いにつきまして、先ほど御説明申し上げましたが、電信法に基きまして、現在の電話規則によりますと、二十一条に、加入申込につきまして、工事上の支障のある場合には、加入申込みを受理しないことがあるのだということを、現在においても規定しておるわけであります。この場合はその工事上支障ある場合という例外的な場合として、本来ならばこれは受理できないわけでございますから、特にそういう面につきましても、加入申込者からの強い希望というものがありますものを、むげに断るということもいかがかということで、現在まで運用して参つたわけでございます。今回におきましては、これらの点につきまして、法令を整備する建前から、それを裏に隠さないで、表に出す、しかもそれがほんとうの臨時的な措置だということで、施行法によつてその根拠を明らかにするということにいたした次第でございます。
  21. 松井政吉

    松井委員 これは論争になりまするけれども、たとえば公共的企業でありまするから、時と場合には、僻地あるいは山間、そういうところに文化の一つの使命と、それからそういう僻地におけるもろくの事業に対する才ビス、そういうことで、なかなか困難なところだけれども、その地域の住民との間の約束で、公社は損なんだけれども、公共企業であるから引くということは話がわかる。ところが普通区域であつて建設困難、あるいは加入を申し受けることが困難、しかもそれを断るという条文があつて従来やつて来た。今度はそれを表面の第十条にうたつて合法的にそれを行おうとする。臨時的と逃げても、これはやはり加入者負担全体をきめる料金建前から考えると、合理的ではないのであります。これは臨時的にきめたといいまするけれども、その臨時的というのは一体いつごろまでの考え方で、こういう不合理な扱い方を改める考え方はあるかないか、これをお伺いいたします。要するに私の聞いているのは、基本的な考え方としては、それは加入を受理しないということがうたつてある。公社自身建設をしてから、加入可能な状態にして加入を受付ける、これが常識でなければならないにもかかわらず、契約のもとに、普通加入区域でありながら、特定の負担をさせて引くということは不合理なんです。この不合理を続けるということはあくまでも不合理なんだから、一体これを改める御意思はないか。
  22. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの御説のごとく、この措置は決して合理的なものではございませんので、この施行法の中にも書いてありますように、昭和三十一年の三月三十一日までの臨時的な措置というふうに考えておるわけでございまして、公社の方におきましては、できるだけすみやかに加入区域内における線路設備等を整備いたしまして、これらの制限距離外というようなもののないように努力するということにしたいというふうに存じておる次第であります。
  23. 松井政吉

    松井委員 三十一年三月三十一日というのが法律にうたつてある日にちであつて、それをそのままお答えするなれば、質問しないのです。これでもやはり四年か五年の間があるのです。そうではなくして、ほんとうにこの文字にこだわらないで、急速に、たとえば三箇月でも四箇月でも、こういう不合理な加入者負担の点を改める考えはないか、こう聞いているのです。
  24. 金光昭

    金光政府委員 現在におきます電話の需要状況からいたしますと、昭和三十一年三月三十一日以前において、この点を改めるということは困難かと存じます。
  25. 松井政吉

    松井委員 困難でありながら不合理を認めて、不合理を認めながら困難であるから続けるというのはおかしな話ですが、これはそれでおやりになるのですか。
  26. 金光昭

    金光政府委員 現在の情勢といたしましては、まさにやむを得ない措置だと存じております。
  27. 松井政吉

    松井委員 不合理を認めたがやむを得ないということでありますから、これはあとは水かけ論になります。  その次にお伺いしますが、料金の問題でもう一点伺います。第五章は料金についての条文になつておるようであります。これは先ほども国有鉄道公社を引例して御答弁なさいましたが、国有鉄道の料金及び専売公社のタバコの料金、それから電通公社のいわゆる電信電話料金等をきめる場合における決定の仕方と、それからそういう公共的な仕事であつて国の関係につながるものを規定いたしておりまする財政法第三条の問題をいかようにお考えになつたか、これを御説明願います。
  28. 金光昭

    金光政府委員 財政法三条は、国の行う事業というものの料金を定める規定でございますが、もちろん今回は日本電信電話公社は公共企業体になつて、国自体ではございませんが、その精神はもちろん今後取入れて参るということで、電信電話料金につきましては、その主要な料金法律で定める、附加的の料金については、先ほどもお話し申し上げましたよう郵政大臣認可料金にするということで、この点については財政法三条の精神をそのままできるだけ尊重して参つたということでございます。
  29. 松井政吉

    松井委員 精神はそのままでありますけれども、国有鉄道の料金をきめる場合の、国有鉄道公社財政法第三条と国との関係、電電公社がその精神をくんできめようとするこの法律の条文の内容と、財政法の第三条の規定と国との関係はどうなつておるか、こういうことを聞いておるのです。
  30. 金光昭

    金光政府委員 国有鉄道の場合と日本電信電話公社との場合におきまして、財政法三条との関係については、別に差異をつけるということでなしに、同一の考え規定したわけであります。
  31. 松井政吉

    松井委員 それならば法律取扱いをお伺いしますが、財政法三条では、国有鉄道公社と電電公社料金との解釈に区別がない、こう言われるのでありますが、それなら教えていただきたい。日本国有鉄道が料金の値上げ、値下げを取扱う場合、公社ができてから今日まで扱つて来た法律的な扱い方と、今電電公社が扱おうとする財政法第三条に基く関係は、同一であるか、それとも違つておるか、これをひとつお教え願いたい。
  32. 金光昭

    金光政府委員 日本国有鉄道につきましても、財政法の適用は公共企業体としてないわけでございますので、別に電信電話公社との間の差はないと存じます。
  33. 松井政吉

    松井委員 答弁が違うようでありますので、研究して来て次の機会に御答弁願います。電電公社料金のきめ方をした法律と、国有鉄道の扱い方は違うように思いまするが、違わないという答弁でありますから、研究して来ていただいて、次の機会に御答弁願います。これは違います。  それからその次にお伺いをいたしたいのは、料金の問題に触れて行きまするけれども、今度は料金値上げにより八十億円の収入見込みを、予算の面において考えておられるようであります。ところがわれわれの考え方は、昨年政府が出資したものが百三十五億円、本年度の出資は四十億円であります。この内容については、公社側もこの前私が質問をいたしましたところ、いわゆる諸般の事情だということで、諸般の事情以外にはその内容をお伺いすることができなかつた。この諸般の事情は、諸般の事情としてわれわれは聞く以外には方法がないのでありまして、それにはこだわりません。こだわりませんが、かりに建設資金等の問題で、政府の出資するものが四十億円ではなくて、もう少しふえておつた場合、並びに建設勘定における四百億からの中に含まれておるもろもろの考え方、その中に料金値上げ八十億の中から二十億程度は埋まるのではないか。さらに国際電信電話株式会社ができることになつて準備を進めておるようでありますが、国際関係の純利益といいますか、そういうものが従来当局の答弁でも二十億とわれわれは十三国会以来お伺いしておる。専門家に聞けば、もつとあるであろうというのですけれども、二十億あるという。それは今度離れてしまう。そのはね返りが八十億に近い料金値上げとなつて来ておる。もし建設勘定に政府資金が四十億ではなくて、政府との折衝、すなわち内閣との折衝の結果、建設勘定の四十億がふえた場合、さらに国際関係を離さないで、国際、国内とも経営しておつた場合は、料金値上げは今の半分以下に下るという数字がわれわれの計算では出て来る。そういうことは相対的にお考えになれないかどうか、やはり最初から八十億という料金値上げで埋めるのだ、その上に立つていわゆる政府関係の出資四十億、さらにその上に立つて要するに国際を離したから料金値上げをしなければならない、こういうよう考え方から割出されたものであるかどうか、その割出し方の計算方法と、割出し方の理由について説明を願いたい。
  34. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 お答えいたします。四十億は御承知のよう運用部資金からの借入金による建設の予算であります。そのほかに御承知のように、電信電話公社の社債で百億公募いたしまして、これを建設資金に充てるということになつておるわけであります。国際電信電話会社というものを引離さなかつたならば、その方の利益金から建設費の方へ二十億くらい行くのじやないか、だからこれを引離さなければ、八十億増収をはかる料金値上げをしないでもいいのじやないか、そういう点を考慮したか、こういうような御質問ように思うのでありますが、国際電信電話会社をつくるということはすでに法律できまつておりまして準備を着々進めておつたわけでありますから、この方は別個に考えるのが、法律を尊重する上からいつて当然なわけであります。それを引離しまして、電信電話公社建設、それから今までのベース・アツプ、それから減価償却、それから借金の元利支払い、こういうようなものを全部考慮いたしまして、その程度の料金値上げが財政状態からいつてどうしても必要である、こういう考えできめたものであります。
  35. 松井政吉

    松井委員 それでは資金計画のところで一つお伺いいたしますが、百億の債券を発行するといいますが、前々回の国会においてもやはり電信電話債券の発行を、われわれは承認をいたしておるのでありますけれども、その成績は今日ただいまどのよう状況にあるか御説明を願いたい。
  36. 靱勉

    ○靱説明員 公社側からお答え申し上げます。本年度におきましては、社債は御承知のように主として電話をつけました場合におきまして、加入希望者の方に引受けていただくという方法をとつております。これにつきましては、この前この委員会において御説明申し上げました通り、大体予定の二十億は消化できるというような見通しに立つております。この条件は六分五厘の利子に相なつております。すでに国会を通過いたしまして一月から施行になつております設備負担法の改正によりまして処理いたしておるわけでございますが、見通しとしましては、ただいま申したように大体消化ができるというよう状況に相なつております。
  37. 松井政吉

    松井委員 そうすると、今大臣説明をされました成績にかんがみて、一般から百億の債券による建設資金の獲得は可能だとお考えの見通しをつけているのでありますかどうか、これをひとつ自信を持つてお答えを願いたい。
  38. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいま私が申し上げました公募百億というものと、今御質問の中に入つてつた加入者負担金のような形の社債引受というのは、別個のものに扱つておるわけであります。それで二十七年度において加入者に無理に引受けさせるという社債は二十億、二十八年度は四十七億また別にあるわけであります。そのほかに百億は公募するということになつておりまして、これは鉄道の方も百二十億同じような形で公募するということになつております。しかし鉄道にいたしましても、電信電話公社にしましても、現在のような起債市場の状況で、百億を相当無理な条件で公募をして、これを完全に実現することはなかなか容易なことではないと思います。それで大蔵省とも折衝をいたしまして、大蔵省はこれを保証するというような形でもつて、大蔵省の援助、保証のもとに必ずこれを獲得する、こういうようなことにいたしたわけであります。
  39. 松井政吉

    松井委員 そうすると、うまく行かない場合があつても、電電公社建設資金は大蔵省が保証するという何か約束の形ができておるから心配ないこうおつしやるのでありますか。
  40. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 もしそれが実現できなかつた場合に、別の口から大蔵省がこれを出して保証するという意味ではありませんで、その債券についての元利の保証を大蔵省がしまして、ちようど国の公債のよう扱いを金融界においてしてもらいまして、消化を容易にしてやる、こういう意味であります。
  41. 松井政吉

    松井委員 これは先ほどからお伺いしておつて、その点を直接聞きたかつたのでありますが、大蔵省が責任を持つといいましても、省直接になれば、当然いろいろな意味において、やはり運用部資金を使う場合にも予算に関係して来る。従つて補正予算等の問題が出る。そうではなくて、大蔵省が民間引受に対する援助をするという意味ですか。
  42. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 そういう意味です。
  43. 松井政吉

    松井委員 それだから建設資金は心配ない、こう自信を持たれるわけですね。
  44. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 そうです。
  45. 松井政吉

    松井委員 それではその上に立つて次に進みますが、今度は建設資金獲得の百億のほかに、先ほど大臣説明し、私の質問の中にありました加入者負担の問題であります。これは念のためにお伺いしておきたいのでありますが、普通加入区域における加入者が一本の電話を引こうとする場合に、要するに設備負担並びに債券、いろいろなものを引受けて、平常ならばどの程度の金が必要であるか、これをひとつ具体的に御説明願いたい。
  46. 金光昭

    金光政府委員 お答え申し上げます。東京を例にとつて申し上げますが、加入者加入区域内において電話申込みをいたします場合には、現在におきましては、設備負担金といたしまして三万円、それから債券の引受が、東京でございますれば六万円、それから装置料が四千円、加入料が三百円、全部で九万四千三百円ということに相なります。
  47. 松井政吉

    松井委員 次に移りますが、国際電信電話株式会社に対する評価の問題についてこの前もお伺いをいたしましたが、これについて再度お伺いをいたします。御承知のように、評価の資料もいただいておりますし、パーセントもいただいておりますが、前に国際電信電話株式会社法が当委員会に付託をされたときには、要するに収益を主としないで、時価を主として収益を参酌する、こういうのが当初の法律内容でしたが、参議院において修正をされて、収益を主とした形にして時価を参酌することと相なつている。従つて収益を主として時価を参酌した評価が、このいただいた資料その他の通りの数字になつたとするならば、その審議会における、時価をどのように判断するかという根拠と、審議会の中において出ましたいろいろな御意見、それから収益を押える場合に、先ほども言つたように純利益二十億というのは、これは速記録を調べれば明瞭な通り、当局が説明した収益でありますから、適正利益を参酌したという、その適正利益は一体どのように押えて、総額三十二億ですか、こういうものになつたか、その経過と、審議の過程の説明を聞かしていただきたい。
  48. 庄司新治

    ○庄司政府委員 国際電信電話株式会社の評価の問題につきましては、先ほどのお話ように資料の提出を求められておりまして、その資料はすでに皆様方のお手元に差上げてございますが、資料では必ずしもはつきりしない点もあると思いまして、評価を決定いたしましたまでの経過を、少し時間を拝借いたしましてお話申し上げたいと思います。  まず評価の方法といたしましては、国際電信電話株式会社法の附則に定めてあるところによりまして、郵政省の中に電気通信設備評価審議会というものを設置いたしまして、昨年の十一月二十二日にその第一回を開催しまして以来、公式会議は九回開いております。その間現場視察などを委員で行いまして、現場において非公式の会議を二日にわたつて開催しております。そして本年の一月十六日に最終の結論に到達いたしまして、その結果、会社の設立委員長に通知したのでございます。この審議会の委員法律に書いてありますが、補助要員として別に郵政大臣から任命された三名の幹事と、郵政省と公社職員、合計三十数名の人を使いまして、審議会の必要とする資料を収集、計算に当らしめてその結果を毎回の審議会で詳細に検討いたし、その正確を期した次第でございます。その結果につきましてはお手元に差上げてあります資料の通り、出資財産評価額は三十二億七千八百六十九万四千円と相なつた次第でございます。評価審議にあたりまして考慮決定いたしました経過並びに方法につきましては、その骨子は同様お手元に差上げてありますが、会社法附則第十項の規定によつたことはもちろんでございます。  会社法附則第十項は、ちよつと読み上げてみますと、「電気通信設備評価審議会は、公社会社に対する出資の目的とし、又は会社に対し譲渡する財産について前項の決定をするときは、その財産に係る事業により得た収益を、適正な収益率と認められる率により還元して得られる価格を基準とし、その財産の時価を参しやくしなければならない。」となつておりまして、まず収益の算定が問題になるわけであります。法律には「その財産に係る事業により得た収益」と書いてありますので、収益とは、過去において国または日本電信電話公社が国内、国際の電気通信業務を一体として経営していた当時の収益をさすものと解しまして、経営主体が移行する場合、それは国または公社と同一性格のものと考え、単に国際電気通信業務と国内電気通信業務分離することによつて生ずる収支について修正を加えたにとどまつたのでございます。通常収益還元の方法をとる場合に、還元の対象となる収益というのは、過去数年間につきほぼ正常に近い純益を基礎として推算するのが一般的でありますが、過去において国または公社が国内、国際の両電気通信事業経営していた際において、これら両部門において分離して単独に収支計算が行われたのは昭和二十六年度以降でありまして、それ以前の年度については分離した収支計算を行うことは、純益算定上はなはだ不正確となるおそれがありますので、また昭和二十六年度の国際電気通信事業の営業成績を検討した結果、ほぼ正常なものと推定されましたので、これを基礎資料といたしまして、二十七年度の上半期の分は参考とするにとどめたのでございます。こういう方法で収益を計算したのでございます。  それから次に「適正な収益率」ということでございますが、これについて申し上げますと、国際電気通信事業は国家の特別な監督のもとにあつて、その性格は公共的かつ独占的でありまして、大体において安全な企業であると見られるのでありますが、なお一般経済界及び産業界の変動による影響は免れがたいところであつて、ことに事業運営上資本の固定化を免れ得ないのでありますゆえに、資金の調達その他事業経営相当の利潤を必要と認められますので、現時の経済界及び産業界の趨勢から見て、社外分配を八分五厘、社内留保を四分五厘を妥当として、収益率として一割三分を適正なものと認定したのであります。  つけ加えますが、民間企業に移行するにあたりまして当然支出される税法上の諸要素が、ほんとうは収益計算で加味するのでございますが、御承知のように収益計算においては「その財産に係る事業により得た収益」と定めてある法律に従いまして、これらの要素は収益の方に計算しないで、法律が「適正な収益率と認められる率により還元」すると規定しております趣旨に従いまして、これらの特殊経費相当分として三分五厘を附加したのでございます。純利益に対する税率を六割と見まして、前記収益率一割三分を税込み収益率に換算しますと三割二分五厘となり、これに先ほど申し上げました特殊経費の三分五厘を加えて、収益澤元率として三割六分を適当なものとして認定した次第でございます。これがプリントに三割二分五厘と書いてある根拠でございます。そこで収益を三割六分で除した額が、純財産に対する収益還元額となるのであります。少し未完成工事中の新規増設のものを除いてはございますが、これはまた後ほど御説明いたします。  この収益還元額より譲渡財産、と申しますと、これほ貯蔵品とか、仮払品、整理品というようなものをさすのでありますが、譲渡財産の時価を控除した額を出資財産の収益還元額ととたのであります。  次に財産の時価につきましては、可能の限り最善の方法を採用することに努力いたしまして、各資産につきましてはその種別に応じて指数法とか、復成法を採用するとか、あるいは外部権威者による鑑定を受ける等のことを決定いたしまして、甲種固定資産、これは通信用の機械、線路等をいうのでありますが、これにつきましては指数法、復成法を使います。乙種固定資産、これは土地、建物、立竹木でございますが、これにつきましては指数法と外部権威者による鑑定を受けるという二方法を採用したのであります。それから丙種固定資産、これは工作機械器具等でございます。これは指数法によります。また事業品及び貯蔵品は、出納簿価格をもとにして算定を行つております。  次に今問題になりましたこの法律でいう「参しやく」ということにつきましては、出資財産の収益還元額と出資財産の時価との比率を六十対四十、収益還元額の方を六十、時価を四十といたしまして、この両者を参酌したような次第でございます。  このようにしてできた額に未完成工事の新規増設、これは今工事をやつておるものでありまして、設備をふやす予定になつております。その三月三十一日までに増設になる部分の財産の価額を加えまして、そうして出資財産の評価額と決定したという次第でございます。  譲渡財産の評価価額につきましては、これは先ほど申しましたように、貯蔵品、仮払品、整理品をもつてその額を決定したのであります。なお出資財産の方は三月三十一日でございます。譲渡財産の方は品物が移動いたしますので、一応この金額は昭和二十七年十月三十一日現在でありましたので、実際に譲渡される備品において多少過不足ができると思います。この過不足は評価の基準に従いまして、公社会社の間で清算されることを予定しておるのであります。こういうようないきさつを経まして評価額を決定したのでございます。
  49. 橋本登美三郎

    橋本委員長 松井君の先ほどの大臣に対する質問に関連して、委員長よりちよつとお聞きしたいことがあります。  先ほどの松井委員からの質問の一般公債の問題についてお聞きしたいのでありますが、公社法の精神から見て、いわゆる電信電話債券は一般公債として、主として金融機関が引受けるべき性質のものか、あるいはまた政府電信電話債券を持つことができる、こういう条文があるのでありますが、これは預金部資金の金によつて買えるわけでありますが、この公社法の六十四条の建前からいえば、必ずしも政府は預金部資金で電信電話債券を買わなければならないということではないけれども、過去の電気通信省時代もしくは逓信省時代から全額を、政府電話公債を持つなり、預金部資金を貸し出すなりしてやつてつて来たのであります。今度公社になつて、ことに二十八年度の予算は政府引受額が非常に少いので、一般公債にたよる。こういうよう建前をとられたのは臨時的措置として行われたのか。いわゆる政府の預金部資金の都合上から臨時的措置として行われたのか。あるいはこういうよう建前が今後の原則となるのか、これがまず第一。  もし将来いわゆる独立採算の建前から、単なる一般会社と同様な原則的な扱いからして、自分の力で金融の道をつけるという建前で行われるとすれば、現在公社は国の必要から電報のごとき採算の合わざるものを扱つておる。その金額は毎年大体七十億前後の赤字を生じておる。こういうものに対して公社としては政府に対する請求権が今後考えられなければならないじやないか、これが第二。  第三は従来のごとく預金部資金で引受けておつたとすれば、大体従来の預金部資金の利子は年五分五厘くらいであつたと思いますが、本年度は六分五厘というぐあいに、公債でいえば一分上るわけですけれども、そういうように利子が上るということは、結局電話加入者に対する転嫁になりはしないか、そういう点についての政府のお考えを、松井委員質問に関連して私からも聞いておきたいと思います。
  50. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 二十七年度までは運用部資金からの借入金一本で行つてつたわけであります。それに今度は運用部からの借入金は四十億にしまして、公募百億ということにした点はかわつて来たわけであります。この点はむろん運用部資金からの借入れによります方が資金獲得上容易でありますし、また利息その他の条件から行きましても、公社の財政にとつては有利であることは事実であります。ですから公社財政の立場からいえば、全部がそうなつてほしいということは考えられるわけでありますが、運用部資金の運用計画等か申しまして、なかなか多額の資金を要するというところから、全体的な計画といたしまして、鉄道と公社についてだけは、二十八年度については公募社債ということに、資金部総融資計画という全般を見ての決定になつたわけであります。ですから公社建設資金調達は、必ず公募社債で行かなければならないのだ、こういうりくつから出たわけではむろんないと思います。ただ資金が足りないところから来ておると思います。しかし一面からいえば、公社になつたことは独立採算を強化するという意味もあつたわけでありますから、公募社債で行つて建設費をまかない得るような財政状態になるということが、純然たる独立採算の立場からいえば適当であるとも言えると思います。ただ日本の資金の需要状況、供給状況、また経済のまだ非常に困難な状況にあつて料金の問題も非常にむずかしい時代でありますから、これはただ純然たる独立採算ということにすぐ行くべきではないと思つておりますので、公社になつたのだから、もう預金部資金は一切使わないで公募で行くべきだということで、すぐ実行すべきではないと思います。ですから公募で今年度百億やるということになりましたことは、これからはずつと公募に切りかえて行くのだ、それをすぐ実行するのだという意味ではないと思つております。ただしかし料金との調整の問題、それから日本経済の回復の状況等に応じましては、将来においては、こういう独立採算を基礎とするようなものは、公募社債で行くのが原則であるという時代は来るかと思いますが、まだ今すぐそういうことはできないと私は考えております。  それから電報料金の問題でありますが、これが現在の料金のもとでは確かに赤字がはつきりと相当強く出るということは、計算的、に立証されますので、もし独立採算ということを徹底いたしまして、赤字をなくすべきだということになれば、相当程度の料金の引上げをしなければならない状況にあることは、委員長のおつしやる通りであります。今度の料金引上げで、電報料金もほんのわずか引上げましたけれども、これではむろん収支は償い得ないだろうと思います。ただ電報は公共性が非常に強いということから、単に収支だけ料金をきめることもできないということでありますので、その点については政府公社経営について特殊な考慮を要すると私も考えておるわけであります。  それから利息の問題でありますが、確かに公募ということになりますれば、起債市場の条件で左右されますので、運用部資金からの借入れよりは不利な条件になることは当然予想されるわけであります、しかし、これも大蔵省の元利保証ということがあれば、ちようど国債と同じような確実性を持つことになつて参りますから、銀行その他金融機関も公債並にこれを扱うことになりますので、そう大きな利息の負担の違いはなくできるだろうと予想しおるわけであります。
  51. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ちよつと落したのですが、大臣は百億の債券を公募するためには、大蔵省との話合いの上において、その利子について保証してもらうような話合いができておるということですが、公社法による場合においては、外貨の場合においてのみそういうことができる。六十二条の九項には「政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、第一項の規定による長期借入金及び電信電話債券のうち、外貨で支払われるものについて、保証契約をすることができる。」とあるのですが、国内の債券に対してもこういうことができるかどうか、お尋ねいたします。
  52. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 現在の法律ではそれができないわけであります。それでこの国会にすぐ提案をしまして、修正をすることにいたしております。
  53. 橋本登美三郎

    橋本委員長 次は有田喜一君。
  54. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 ちよつと御質問したいのですが、電信料金電話料金の引しげを企図されておりますが、一体これらの料金を決定されるに、いかなる理論的原則に立つておられるか。たとえば電話事業にしましても、電信事業にしましても、企業である以上は独立採算を考えておかなければならないし、原価計算の上に立つて料金をきめられることとは思いまするが、しかし一方電話事業の有する公益性ということも考えると、その便益に広く浴さしめるためには、ある程度採算を度外視してせなければならぬ場合もある。またその他利用価値の面からも、いろいろと考えて決定されなければならぬが、一体この料金の決定にあたつて、どういうことに重点を置き、どういうよう考え方によつてこれを決定されたか、その根本的なお考えを承りたいと思います。
  55. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私から大体方針を申し上げまして、こまかいことは監理官から申し上げます。  料金問題は非常に重大な問題でありますから、私どもとしても十分慎重に考えたつもりであります。第一は公社が一応独立採算という立場に立つておりますから、収支償わないという状態に置くわけには参りませんので、それを考えたことと、しかしお話ような公共性も非常に強いものでありますから、値上げの一般国民経済に及ぼす影響、あるいは国民生活に及ぼす影響も考えなければなりませんので、これも考慮に入れてあります。それからほかの物価の値上りの状況等も考慮をしなければならない点でありまして、しんしやくをしなければならないので、いろいろなそういう点を考慮いたしまして、一応総収入の一割程度の値上げをはかろうということできめました。それではその値上げをするにつきまして、どういう具体的な方法でやるかということが次に問題になるわけでありますが、それにつきましては、たとえば度数制の方は上げないで、基本料金を上げるとか、近郊区域電話料金を上げるとか、一般的に悪い影響の少いよう方法で値上げをしよう、こういうことで具体的な値上げの方法をきめたというようなわけであります。
  56. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 大体考え方はわかりましたが、独立採算といいますか、原価計算に基本を置いておられることは事実のようであります。今回の傾向を見ますると、損益勘定のうちから二十二億でございましたか、相当建設勘定にまわつておる。先ほども質問があつたようでありますが、私中途に参つたものですから、あるいは重複しておるかもしれないが、この損益勘定から建設勘定にまわつておるということは、事業の基礎の健実性という点から行けば、必ずしも不可とは申しませんけれども、一面料金の点からいえば、この料金は過大の値上げであるとも書史る。いろいろと資金獲得の面からの御説明があつたようでありますが、やはり企業である以上は、資本的勘定と収益勘定というものをはつきり区別して、やはり料金が総括的の原価計算の上に立つて、そうしてあまりに過大な料金の値上げをしないという方向に進むのが私は至当じやないかと思いますが、遺憾ながら今回は損益勘定から相当の金が建設勘定べまわつておる。また償却の点からいいましても、たとえば老朽施設の取替というようなものまで、その方面からまわつておる。一体償却費との関連において、老朽施設の取替等はどういうようにやつておりますか。その点をもう少し明らかにしていただきたい。
  57. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 監理官からお答えいたします。
  58. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。まず最初の点につきましては、確かに建設資金というものを本来の損益の収支の差額からすわして、自己資金で建設をやるということは、考えによつては現在の利用者に多くの負担をしいるというようなことも言えるわけでございますが、電気通信関係のサービスは、ことに電話について申し上げますと、現在の電話サービスをよくするために加入者の増設をはかり、あるいは中継線その他の諸設備を増すということになりますと、現在の加入者自体にとつてもその利用価値が増します。あるいは現在のサービスが向上するというような面もありますので、限られた建設資金をなるべく多くするこいうことで、今回は特に料金の値上げによつて得た財源の一部を、建設資金にまわすということにいたした次第でございます。  なお第二点の償却の問題でございますが、今回の予算の中で、一つは現在の当初の予算におきましては、償却の基礎になりました固定資産の評価は、二十四年の六月を基礎にしておつたわけでございます。ところが御承知のように朝鮮動乱後におきます物価水準から見まして、固定資産につきましては二十六年度末によつて評価をするということが妥当ではないかということで、これによります評価がえをしたわけでございます。それによりまして二十二億円という償却費の増加を見たわけでございます。なおまた戦時中におきましては施設を極度に酷使して参りました。また能率維持のために当然行うべき取替も放置されて参つておりますので、現在の施設についてはこれらの老朽施設というものをいろいろと計算して参りますと、約二百三十億円程度の老朽施設があるわけでございますので、これらのものを一時に償却またはとりかえるということも無理でございますので、今度七年ないし八年間にこれをとりかえることといたしまして、約二百三十億の一四%の二十七億円を、今回は老朽施設の取替としての償却費に計上した次第でございます。
  59. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 先ほど御説明がありましたが、損益勘定から建設勘定にまわすということは、事業を堅実にする目的からいえばうなずけるのでありますが、電話拡張にまわす資金がないからということでは、私は満足できないのであります。やはり拡張資金は運用部資金なり、あるいは起債なり、その他の資金勘定によつてまかなうのが建前でなければならない。二十二億くらいは大したことはないといえば、それまででありますけれども、やはり料金の適正を期するという意味からいつて、その辺の均衡と公平を期する建前から申しまして、納得が行かないのであります。本年限り臨時的にこういうことをやるというのならともかく、また本年の一般財政状況あるいは経済状況から見まして、ある程度のインフレ的の要素もあるようですから、その備えとしてリザーヴするというのなら別ですが、今後の建設勘定が、建設拡張をやつて行くのに料金値上げによつてまかなうということは、建前としては間違つておる。先ほども委員長から質問があつたようでありますが、この点をもつと明確にしておきたいと私は思います。大臣は、将来はそういうことをしない、やはり建設勘定は資金獲得という面で行くのだ、こういう方針だろうとは思いますけれども、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  60. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 厖大な建設資金を料金収入蓄積によつてまかなうということは、こういう公共的性質を持つた事業については好ましくないという点は私もまつたく同感であります。これは普通の事業でありましたならば、自己資本によつて建設して行くことは、財政基礎を強固にする意味からいえば、最も好ましいということも言えるわけでありますが、こういう公共性を持つたものにつきましては、なるべくそういうものは少くすべきである、こう考えておる次第でありまして、これからの方針といたしましては、料金収入をふやして、それで建設をうんとやるというようなことはやるべきでない、こう考えております。
  61. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 将来の方針がややはつきりいたしましたので、これ以上申しませんけれども、郵政大臣としては、もつと積極的に資金の獲得に努力をお願いしたい。そうして電話の拡張をやつて国民の要望に沿うように一層の御努力をお願いするわけです。  次に償却の問題について御答弁がありましたが、一体今回の償却費百九十一億は、二十六年度の固定資産の設備の評価に対して何%になつておりますか、その点をお伺いしたい。
  62. 庄司新治

    ○庄司政府委員 償却費百九十一億でございますが、そのうちの二十七億は、先ほど金光政府委員からお話がありましたように、過去の老朽施設の取替分二百三十億に該当するものであります。従つてそれを差引きまして、百六十四億というものが何%に当るかと申し上げますと、五・七〇六三、約五・七%に当る金額であります。
  63. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 償却率が五・七%、これは現在の電気通信設備に対する償却費として十分と思われておるか、どういうふうにお考えになつておりますか。
  64. 庄司新治

    ○庄司政府委員 五・七%の出ましたもとは、これは総合償却費と言つておりますが、非常に寿命の短かい無線の機械とか、あるいは非常に寿命の長い、建物ではありませんが、コンクリートづくりのマンホールだとか、そういうものをいろいろ長短とりまぜて、それにウエートといいますか、加重しまして、加重平均で出した額でございまして、われわれとしては現在の技術の発達状況では、一応五・七%程度でいいというふうに考えております。ただ無線のように非常に発達する機械がありまして、どんどんとりかえて行かなければ追いつかないということになりますと、この率はまたかわつて来ると思いますが、それは電信電話公社全体の施設の中の無線の部分というふうに限られますから、この五・七という比率はそう大してかわりはないだろう、こう考えております。
  65. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 電気通信設備というのは日進月歩のようでありますから、設備の陳腐化ということも考えなくてはならない。ついては御当局として何年償却が理想だという、何か理想があるに違いないと思います。もちろん無線と有線設備によつても違いはありましようが、無線ならどのくらい、あるいは有線設備ならどのくらいを理想とする、何かそういうものがあるのじやないですか、それをひとつ明示していただきたい。
  66. 庄司新治

    ○庄司政府委員 今ここに無線が幾ら、有線が幾らという数を持ち合せていないのでございますが、考え方といたしましては、この機械は大体どのくらい持つかという有効寿命というものを考えまして、その有効寿命分の一というのを、これは直線法でやつておりますが、大体償却率と考えているのであります。各個別に償却率が幾らということが御入り用でしたら、後ほどまた申し上げたいと思います。
  67. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 話がこまかくなりますから、それはあとで教えてくださればいいと思います。やはりこの電気通信事業というものは企業でありますから、総括的原価ということを一応尊重しなくてはならない。そこで先ほども話があつたように、電話の方は相当企業的にも成り立つが、電信の方は非常に赤字が出ている。ところが今回の料金の値上げ方を見ますと、むしろ電話の方がたくさん上つて電信の方は上げ方が少いようであります。これはどうも均衡がとれてない。私はこの料金値上げのことは歓迎いたしませんけれども、上げるなれば、電信の方をもつと引上げたら、また電話をもう少し遠慮したらどうか、そういうような感じもするのであります。ごとに電信の原価構成はどうなつているか、これはあとで伺いたいのですが、配達費なんか今相当の原価の割合を占めていると思う。ところが電信料金の上げを見ると、基本料金がわずか六十円、十円上つているだけでありますが、もう少し基本料金を上げる。そうして字数は十字まででありますが、これを十五字までにして、もう少し原価計算的な、いわゆる企業的の立場からもこの料金のきめ方をお考えになつたらどうかと思います。何だか今までの惰性で、五十円を十円上げて六十円にした、こういうかつこうに見えるのですが、これらの点はどういうぐあいにお考えになつておられるか、お伺いしたい。
  68. 金光昭

    金光政府委員 ただいまのお話のごとく、電信事業におきましては、二十六年度の決算におきましても約六十六億円に近い赤字を出しているわけでありますが、さらに昨年の十一月から行いました給与ペースの改訂によりまして、その赤字は増しているわけでございます。給与ベース改訂前におきましても、電報におきましては、収入一〇〇に対しまして支出は一七七、おそらく今回のベース改訂によりまして、収入一〇〇に対しまして支出一九二くらいになつたと思つているわけでございます。電報につきましては、もちろん今のお説のごとく、完全な独立採算ということからいたしますれば、相当大幅の値上げを必要とするということに相なるわけでございますが、一方におきまして、最近におきます電報の通数増は、そのカーブが非常にゆるやかでありまして、ほとんど大して逆数の増加がないという状態でございます。いわゆる自然増があまりないよう状態であります。そういうよう状態におきまして、さらに大幅の引上げを行うということになりますと、利用減という面から参りまして、よほど大幅の値上げをやりましても、その収入の増というものがさほどまで上らないというような面もございますので、今回は特に基本料の十円のみにいたしまして、その他の累加料等はこれをすえ置くということにいたした次第でございます。もちろんただいま有田委員お話の、ごとく、電報自体から見ますれば、もつともつと大幅な値上げも必要かと存じますが、一方におきまして電話と比較いたしますと、やはり電報の方が一般大衆に利用され得る現状というような面も一応考慮に入れまして、電信電話総合しての収入という面から、今回はこの程度にとどめた次第でございます。
  69. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 国民生活に対する影響も考えなくちやなりませんので、必ずしも電信電話を原価通りやれとは私は申しません。しかしあまりにも電信料金は赤字が出ておる。そこでこの結果はどうなるか知らぬが、急激な値上げの仕方はできないが、せめて文字を十五字までとして、それをたとえば七十円にするとか、そういうよう電信の方にやや上げ方を多くして、電話の方をもう少し少くする、こういうような方に行くのが、だんだん企業を正常に持つて行く道ではなかろうかと思うのです。電信の収入があまりないからといつて遠慮しておる。これではいつまでも電信は赤字です。これに対して、赤字を防ぐところの抜本的な対策があるならばけつこうだと思いますが、電話管理者が電信事業のために非常な負担をこうむつておる、犠牲をこうむつておる、こういうことも私は考えなくちやならぬと思う。先ほど委員長が言つたように、電信に対しては大衆が大いに利用するのだから、これに対して国庫から別の補助を出すとかいうよう考えで行かれるならば、また一つ方法だと思うのですが、そうでなくて、電信電話を混合して、それで電話利用者から電信の方の赤字をまかなつて行くということは、やはりさるべきではない。といつてだんだん、とその差を少からしめるように持つて行くのが、料金一つの歩み方ではなかろうかと思うのです。ところが今度の改正はむしろそれが逆になつておる、こういう感じを強く持つのです。政府はこの点をお考えにならなかつたか、もう一度お伺いしたい。
  70. 金光昭

    金光政府委員 今回の料金を決定いたすまでには、いろいろとわれわれの中でも論議をいたしまして、ただいまの有田委員お話ようなこともいろいろ考えたわけでございますが、一方におきまして、現在の電報で十字以内のものは、総通数のうちの一三%程度を占めておるよう状態で、これを従来、戦前やつておりましたような十五字にするというようなことになりますと、これらの利用者にとつてみれば相当の値上げになるというようなこと、あるいは一方におきまして電報の経費の方の面についての合理化、この点については、たとえば電報の中継の機械化というようなことで、電信事業自体の経営の合理化の面につきましては、公社の方でも鋭意研究中でありまして、できるだけ経費の面における節約をはかる点についても、現在努力中であるわけでございますけれども、それらの点のみをもつてして、現在の電報の赤字が収支相償うようにただちになるということは考えられないわけでございます。今回の電報の料金の値上率が大体平均の字数でとりまして、一三%程度になつておるわけでございます。従つて一挙にこれを引上げるということもいかがかと存じまして、さらに今後におきましてもただいまのお話ようなことを考慮いたしまして、漸次電報料金についても合理的な料金に持つて行くということにいたしまして、今回はこの程度にとどめおいた次第でございます。
  71. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 この点は将来大いに御注意を願いたいと思います。なお参考のためにあとで資料をもらつてもいいのですが、電信の原価構成、たとえば設備資本に対して、利子がどのくらい、減価償却がどのくらい、そして運転費がどのくらいか。その運転費において配達費がどのくらいの割合いを占めているか、こういうような原価構成の比率を参考のために、あとでけつこうですから伺いたいと思います。そして電信料金がはたして合理的になつておるかというようなことを、もう少し研究してみたいと思います。この答弁はあとでけつこうでございますから、お示しを願いたいと思います。
  72. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの御質問のうち、全部とまでは参りませんが、ただいま手元にあります資料で、わかります程度のことをお答え申し上げます。  二十六年度におきまする電信事業の決算面から見まして、支出が大体百四十二億でございます。そのうちで直接費が約五十九億でございますから、大ざつぱに言いまして三分の一強ということになるかと存じます。これは直接費でございますから、通信費、それから伝送、受付、配達等に要する経費でございます。それから共通費が十一億ございます。これは大体庶務、会計等でいります部分でございます。管理費は二十一億ございます。それから郵政の委託費が相当大きいわけでございまして、三十五億ございます。それからただいまお話の減価償却費は、八億七千万円になつております。大体大きなものを拾い上げるとそういうことでございますが、特に直接費のうちで、さらに配達がどうだとか、あるいは伝送にどうだということにつきましては、後刻また資料をお上げいたしまして、御説明申し上げます。
  73. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 数字のことはやつかいになりますから、あとで資料をもらいたいと思います。私が資料をいただきたい理由一つは、電信基本料が安過ぎはせぬか、それから累加料が高過ぎはせぬかという感じを受ける。ことに基本料のうちには、設備に対する利子、償却あるいは配達費、受付も同様ですが、これは十字でも二十字でも同じ経費がいる。そうすると五字増すたびに十円というのは、少し原価から見て高過ぎはせぬかという感じを受けます。これはもちろん利用価値からも判断しなければ、原価ばかりでは論ぜられる問題ではないのでございますけれども、そのようなところをもう少し研究したいと思いまして、資料を要求する次第でございます。  次にお聞きしたいことは公衆電話のことですが、最近世の中の秩序が大分回復して参りました。しかし今公衆電話を見たときに、依然として終戦後のあの混乱期を私は連想するのであります。つまり公衆電話をかけている人が、通話料をはたして払つているかどうか。また公衆電話が乱暴されて、機械が破損している。こういうことを至るところに見るのですが、私はこれを見て非常に不愉快に思います。公衆電話には十円なら十円の硬貨を入れて通話せしむることが理想だと思いますが、それに対して相当な経費がかかつたり、いろいろな事情があると思いますけれども、十円の銅貨がなければ両がえでもできると思います。利益とか利害というものを越えて、むしろ国民の道徳の高揚ということについて、公衆電話を見ると非常に不愉快な感じを持つ。ひとつ公衆電話を今のような制度でなく、もう少し昔のように秩序あるところの建前にしていただきたい。何とかして通話をするときには必ず金を入れるというふうにしていただきたい。今は通話料五円でございますか、それは公衆の便益のために安いのもけつこうでございますけれども、一般の加入者の度数料と同じだということは、やはり不合理ではないかと思うのです。あまりこれが安いというと、かえつて濫用をされるおそれもあるし、先ほどから言うように、今日公衆電話で金をきちんと払つて通話している人が少い払わないだけならいいけれども、あと酔つぱらいがそれをこわして行つた、こういうのををたびたび見受けるのであります。これはひとつ郵政省としましても、電通公社としましても、国民の道義高揚というような観点から、公衆電話をもう少し根本的に改革していただきたい、かように思うのですが、政府並びに公社の御見解はこれに対していかがでございますか。
  74. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの公衆電話の施設数でございますが、これは全国で約七千あるわけでございます。そのうちで公衆ボツクスが約四千八百、それから委託公衆電話と申しまして、本来電話加入者の人ですが、電話加入者に特に公衆通話も扱うようにということで頼んでおりますものが約八百、それからボツクスのかわりにタバコ屋だとか薬屋さんの店先を借りてやつております、これを簡易公衆電話言つております、これが約千五百あるわけであります。それで今有田委員からお話の、収納状況が悪い、あるいは公衆電話の機械その他をこわすとかよごすとかいうようなものは、主として公衆ボツクスの点だろうと思うのでございます。それで料金の収納につきましては、最近硬貨の出まわりも相当多くなつてつておりますし、一方公社の方でも硬貨式の公衆電話機というものの採用を目下鋭意研究中でありますので、その硬貨式の電話機が完成したあかつきにおいては、それを採用するということになるかと思つておるわけでございます。なおそれと同時に、ただいま申し上げましたような、ボツクス以外の店頭を利用するといつたものによる公衆電話の増設というようなことも、あわせて考えて参る必要があるかと存じます。またボツクスの点につきましてはさらに点検等を行いまして、できるだけ清掃する、その他施設の整備という点に努力いたす必要があるかと存ずる次第であります。なお料金につきましては、現在五円で市内の度数料と同額でございますが、これを十円に引上げたらというような御意見かと存じますが、この点につきましては、現在の公衆通話機関が一般公衆に利用されているという面から申しまして、これをさらに倍額に引上げるということは、ただいまのところは考えておらないわけでございまして、できるだけ広く加入電話の補助的な手段としての公衆通話機関の増置という点に、さらに努力をいたしたいというふうに存じておる次第であります。
  75. 靱勉

    ○靱説明員 有田委員のおつしやる通り、まことに現在のボツクスによるところの普通の公衆電話の利用状況は、感心しない状況にあるわけでございます。これの保守につきましても相当経費を要しておるわけでありますが、なかなか改善されない。ただいま郵政省の方からお答えに相なりましたように、これにつきましては料金の収納に対しまして、コイン制度を二十八年度から実施するということを考え、すでにその試作品もできております。大体の方式といたしましては、昔のよう電話方式ではなくして、結局通話のできない場合にはそのコインがもどつて来るというような方式によりましてやつて行きたい。できるだけ電話交換局を通じないで、大都市と自動化しておる所におきましては、自分でダイヤルをまわしまして、相手方が話し中とか何とかの場合には、入れた料金がもどるというような方式を考える。そういうことによりまして料金収納の面はよろしいのでありますが、なかなか街頭等に施設するのにつきましては、街路の幅等の関係から、その適当な場所を得るというようなことが困難な状況にもありますので、タバコ屋その他の商店を利用するところの公衆電話は、今後相当拡張いたして行きたい。大体五箇年間に三万個の公衆電話を増設いたしたいというふうに考えております。  それから五円の問題につきまして実際におきましては加入電話の度数料より高いというのが、原価的に見ましても正当であると思いますが、これを七円にするというわけにも参りませんし、十円にするというようなことも、一方におきましてはまた批判されるのでありまして、そこで代用貨を用いるということもいろいろ考えてみたけれども、これは必ずしも成功しない。また利用される方についても、一々それをかえなければならぬという不便もあるので、わが国のコイン制度が確立いたしますならば、できるだけやはりコインで行きたいというよう考えで、結局現在におきましては五円でもつて、もちろん料金の収納もはつきり確認できるような方式にするということを基本方針といたしますとともに、店頭等の利用によりますれば料金収入は確保できますので、この方面にさらに拡張いたして行くというようなことによりまして、公衆電話の正常な運用が十分できますように、今後配慮をいたして行きたい、こういうふに考えます。
  76. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 私は公衆電話料金を必ずしも十円に引上げろというわけではないのですが、あまりにも現在の公衆電話状況が悪い、それで金がないからやれないというのだつたら、五円が十円になつてもかまわぬから、公衆電話を改造すべきものは改造し、新しい機械をとりつけるならば機械をとりづけて、そうしてほんとうに通話料を払つて、通話が確実にできるようにする。しかも公衆電話ができるだけよく普及するようにということを望んでおるものですから、大体計画を聞いて意を強くしたのでありますが、ぜひとも現在のようなああいうふしだらなボツクスの公衆電話を改良され、秩序ある方向に持つてつていただきたいと思うのであります。  次に市外通話について、普通と至急と特別至急とこう三つあるのですが、その適用割合はどうなつておりますか。普通ではなかなか電話がかからないから至急、至急ではなかなか電話がかからないからまた特別至急と、こういうふうになつて来ているのではないかと思いますが、たとえば東京、大阪間というような市外通話で、普通と至急と特別至急との割合はどういうことになつておりますか。その傾向を教えていただきいたと思います。
  77. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの御質問についてお答え申し上げますが、資料といたしましては昭和二十七年十月の資料が最も新しいものでありますので、それについて申し上げます。東京、大阪で申しますと、一日の全部の通話を一〇〇%といたしまして、その中で特別至急通話が約五二%を占めております。至急通話が一二%、普通通話が二一%、定時通話及び予約通話が一五%、計一〇〇%ということに相なつております。
  78. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 この数字を見ると、特別通話が非常に多くなつております。これはおそらく至急といつてもなかなかかからぬから特別至急、こうなつて来ておるのではないかと思います。これはいつか公聴会の公述人も申しておりましたが、普通と至急で十分だ。至急なら早く行くのだ、こういうようにひとつうまくやつてもらいたい。これは急には行かぬことかもしれませんが、今日の市外通話はかけてもなかなか間に合わぬというのが原則のよう見える。至急なら早くかかる。普通なら多少の時間はかかるが、とにかく間に合う、こういうことにならないと、至急をかけてもなかなか通じないから特別至急、これはもう東京、大阪間でも五二%というように、半分以上が特別至急ということは、私は変則だと思う。ここを郵政省も電電公社もひとつ考えてもらいたい。これは私希望として申し上げておきますが、早く市外通話の疏通が円滑になるようにされんことを望みます。それからだんだんこまかい点になりますが、公衆電気通信法の十三条及び七十一条の関係であります。新聞通信社の電報に対しては、特別電報として低廉な特別料金を認めておるわけでありますが、放送事業者のニユース取材の電報については、この規定がないように思います。それは’体どういう理由によつて、放送事業者のニユース取材の電報を特別電報として扱わないのか、この根拠をお示し願いたいと思います。
  79. 金光昭

    金光政府委員 最初に有田委員から御希望としてお申出になりました市外通話のことについてちよつと申し上げておきますが、日本の一番大きな通信動脈であります東京・大阪、東京・名古屋、名古屋・大阪につきましては、二十八年度中におきまして、いわゆるCLR方式を採用するごとによりまして、ほとんど即時に近い通話をなすべく、目下公社で鋭意工事を実施中でございまして、この三都市間におきまして、CLR方式が採用されるようになりましたあかつきにおきましては、ただいまお話ような特急通話が全通諸軍の半数以上を占めるといつたような、変態的な現象は解消されることになることと存じます。なおその他の主要都市相互間におきましても、公社といたしましては五箇年計画において、できるだけそういうようなことのないように、特に主要都市については、大体今の東京、名古屋、大阪に近いようなサービス、あるいは少くとも三十分以内で通話ができるといつたようなサービスをするように、目下計画を進めておる次第であります。  第二のお尋ねの点でございますが、新聞電報においては放送事業者を入れておらない。それからあとの新聞予約通話については放送事業者を入れておる。これは一体どういうことかというお話でございますが、もともと現行の制度におきましては、市外専用線につきましては、新聞社及び放送事業者について、特別に低廉な市外専用線を認めておるわけでございます。ただ専用線のないような区間におきまして、予約通話を行うということが、放送事業者の中でも相当多いということでこの電話につきましては新聞社と放送事業者と同一に扱うことといたしたわけでございますが、ほとんど大体の利用というものは電話を利用して、電報については放送事業者はそれほどの利用もないし、また一方におきまして、新聞電報自体が非常に低廉な料金であるというような面から見まして、それほど利用の多いと思われない放送関係につきましては、新聞電報というものの中に入れる必要もないという見地から、電報の方は放送の方を除外したわけでございます。
  80. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 放送事業者が電報を使うことはあるいは少いかもしれない。しかし新聞社も通信社も放送事業者も、同じニユース取材の電報をやるのだから、利用する場合には同じ扱いをした方が私は適切だと思う。これは議論になりますけれども……。これを新聞通信社と同じよう扱いにすることについては、政府はよほどお困りになることがあるのでしようか。まあ多少料金が安くなるということもありましようが、大局から見てお困りになることがあるのでしようか。私は公平論から言つて、放送事業者も、新聞社通信社と同じ扱いをすることが公平だと思う。
  81. 金光昭

    金光政府委員 理論的に申しますと、電話と電報とで、その間に差異をつけるということについてはおかしな点もありますし、また収入の面から見て、これが非常に大きなパーセンテージを占めるかということになりますと、そうも言えない点もございますので、この点につきましてはできるだけすみやかな機会に十分考慮いたしたいと思つております。
  82. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 できるだけすみやかな機会に考慮すると言われるが、今審議しておるのですから、この際またわれわれが考慮してもいいのですが、これは大体わかりましたから次に進みます。  次に公衆電気通信法の三十七条関係でありますが、加入電話設備の修理または復旧について、公社の予算の範囲内においてすみやかにこれを行うと規定しておりますけれども、修理とか復旧の場合に、予算に籍口して、予算がないからこめんだというようなことは、サービスの本旨にもとると思う。またそういうそしりを受けてもどうも答弁のしようがないと思う。いたずらに加入者に不安の念を抱かしめるばかりだと思う。やはり修理とか復旧というものの予算は、原則として常に持つていて、いかなる場合でもこれに対処し得るように、公社としても備えをして置くことが妥当だと思う。予算の範囲内にとあつて、その予算がないから修理は、こめんだ、あるいは復旧はごめんだ、これは加入者に対しても通用しないと思うのですが、その点はいかがお考えになりますか。
  83. 金光昭

    金光政府委員 三十七条の点については、ただいま御指摘になりましたような点からこれを見ますと、確かにそういうような感じもいたす次第でございますが、もともとこの規定自体が、公社の修理、復旧の義務をここで規定しておるわけでございまして、通常の加入電話の障害等については、もちろんできるだけすみやかに復旧するということは当然のことでございますが、たとえば大きな火災があつた、あるいはその他の天災地変等によつて、大規模な電話設備が滅失したというような場合を考慮いたしますと、これはやはり予算の範囲内でなければできないというようなことが考えられるわけでございますのでこの点につきましては、前に加入申込みの受理の点につきましても、予算の範囲内ということで一応の制約を置いたわけでございますが、この修理、復旧につきましても、もちろん通常の修理、復旧については当然公社としては最善の努力をして修理、復旧いたすわけであります。それらの予想されないよう相当大規模な修理、復旧のことを考慮いたしまして、それに対する公社としての可能な限度を定めるために、特に予算の範囲内というふうに規定した次第でございます。
  84. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 電話設備がいたんだならば、修理あるいは復旧するのは当然ですね。三日以内にやれというようなことは、困る場合が実際問題として起るかもしれぬが、いわゆる可能な範囲ですみやかにやるということは、これは当然のことだと思います。予算がなかつたら予算をとればいい。またそのくらいの予備金を置くのが企業経営として当然だと思う。これは電気事業におきましても、会社の予算がないがら、電気がつかなくてもそのままほつておくというわけにいかない。やはり電話事業におきましても、いたんだときには修理する、あるいは復旧する、これは経営者としての当然の義務だと思うのです。予算の範囲内云々ということは、これは不適切だと思うのです。これは議論になりますからこれ以上追究はしませんけれども、相当考慮の余地があると思います。もし非常にお困りのようつたら、困るということをはつきりしていただきたい。私は日を限定すればお困りになると思うのですが、企業としては当然の責務だと思う。どうでしようか。
  85. 金光昭

    金光政府委員 もちろん「すみやかに」の解釈によつては、最大努力してなおかつできない場合においては、その「すみやかに」というのは相当の期間を置くことに相なるかと存じますが、現在におきましては、たとえば戦災電話等につきましても、遺憾ながら公社といたしましてはまだ相当数の未復旧のものを残しておるというような現状でもございますので、公社としてこの予算の範囲内でということがあるからといつて、そういう修理、復旧義務について、これを怠るということはもちろんないわけでございまして、最後の一種の免責条項といいまするか、そういう意味で入れたわけでございます。
  86. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 戦災電話は別に条項があつて、救済規定があるようですからこれはよいのですが、予算の範囲内ということは、いかにも公社が予算がないからということに鶏口して、そして修理を遅らすとか、復旧を遅らすというふうにとれやすいのです。ここはよほど私は考慮してもらう必要があると思います。  次に、質問を続けますが、「新聞電報又は新聞無線電報の料金は、他の電報の料金より低く定めることができる。」こういうぐあいに七十一条でございましたか規定があつたようでございますが、これらの料金は法定されていいのではないか。むしろ別表に明記した方が妥当だと思われるのですが、政府の御見解はどうなんでしよう。抽象的に安くするということだけでは、どの程度安くするものかわからない。やはり料金のことですから、割引率が何割ということをはつきりした方が私は正しい行き方だと思う。
  87. 金光昭

    金光政府委員 今回の公衆電気通信法においては、別表の料金は、一般国民あるいは一般利用者の普遍的に、広範囲に利用するという基本料金のみを法定した次第でございまして、新聞電報だとか、あるいはその他警察、消防等の特定の使途を目的としたものにつきましては、特に法律でこれを定める必要もないのではないかという意味で、認可料金にした次第でございます。
  88. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 認可料金といいながら、やはりこれは新聞電報ならどの新聞も同じよう扱いをされる、またさつきの消防にしましても警察にしましても、割引率あるいは倍率といいますか、これはどこでも同じようにされるのではないですか。認可によつてある通信社には三割引、あるところには五割引、そういうようにされるのではなかろうと思う。五割引なら五割引と、同じようにされるのだと思いますが、何か法律にきめるとお困りになる理由があるのですか。
  89. 金光昭

    金光政府委員 もちろんこれらに関します料金につきましては、特定の新聞社、ことに差別料金をきめるという意味ではございません。新聞社につきましては、新聞社全部を平等な料金に定めることはもちろんのことでございます。法律に定めることは何か非常な支障があるかというお話でございますが、非常に支障があるかとおつしやれば、絶対に困るということは申し上げられませんが、しかし今度の料金が、主として基本的な非常に広い範囲の料金のみを法律で定める面から行きまして、これらの新聞電報料金につきましては、特にこれを法律に定めなかつたのでありまして認可料金のために、特に各新聞社に差別待遇をするというふうなことは毛頭考えておらない次第でありまして、他の国鉄等の運賃等から見ましても、これらの特定のものを相手とするようなものにつきましては、必ずしも法定していないというようなこともありますので、それらの例も参考といたしまして、こういうような立て方をきめた次第でございます。
  90. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 国鉄の運賃の割引は、たとえば砂利はどうだとか、セメントはどうだとか、あるいは食糧はどうだとか、たしかあれは明記してあつたように思うのです。法律でなかつたかどうか、その点は記憶しませんが、法律で明記したように思うのでありまして、そこらのところも研究したいと思いますが、私はこういう制度がある以上は、またそれが画一的に五割引なら五割引とはつきりしておる以上は、法律に明記した方が堂々としていいのではないかと思います。これはまた国鉄の関係とも相にらみ合せまして検討をしたいと思います。  次にPBXの問題です。これは戦前は民間に行わしめていたしたのでありますが、そのとき最も弊害があると思われたことはどういうことであるか、これは公社側にお聞きしたいと思います。
  91. 靱勉

    ○靱説明員 お答え申し上げます。PBXは、御承知のように公衆電話系とまつたく一体的に動くものでありまして遠方から長距離通話があつた場合に、最後の末端のPBXにおいて故障があれば、やはり通話が流通しないという性格のものでございます。従いましてまつたく公衆通信と同様に完全な状態に置かれなければ、他の利用者に非常に迷惑をかける。そこで占領後PBXを直営にするという方針が指示されまして当時電通省におきましてこれを直営といたした次第でありますが、その際におきまして、実際しただいま申し上げたような点において障害があつたという点は、まず第一に、機械の維持、保全が必ずしも十分でなかつた。これはPBXを施設しておる人によつてつておりますが、新聞通信社等におきましては、もちろんりつぱな保全が行われておつた。あるいは規模の小さい商店等におきまして、この保全が必ずしも十分でなかつた。あるいは非常に古い機械をいつまでも使つておりて、容易に通じない。現在におきましても、ある官庁におきましてそういう事例がございますが、その点は、結局PBXを施設しておる方の経済的な問題もあつたかと思います。同じよう状態を生ずるものとしましては、施設する機械がもともと悪い。要するに、PBXの機器自体が非常に粗悪品を売りつけられた。保全があまりできないということによるところの障害、この二つがそのときにおいてはあつたかと思います。それからそれを使う施設者の方といたしましても、なかなか保全につきまして高い料金を要求されるというような点におきまして、——これはすべての業者がそうであつたとは申されないのでございますが、中には非常に暴利をむさぼつておるというような点もあり、そこらの点が自営を認めておりました当時の弊害として、特に強く認められた点であつたと了承いたしております。
  92. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 今のようなことは確かに一つの弊害であつたと私は思うのですが、それに対してこれを是正するといいますか、今回民間にこういうことを行わすことになるよう法律に書いてありますが、これらの弊害を是正する監督方法なりその他の措置について、政府はどういう考えであるか、またこれを是正する確信がありやいなや、それをお聞きいたします。
  93. 庄司新治

    ○庄司政府委員 先ほどの御質問に対しての靱氏のお答えの中にありました弊害の大きなものを拾い上げますと、PBXの保守が悪い、あるいはPBXを初めから悪い機械でつくるというようなことのために、公社につながる回線系全体として非常な迷惑をかけたという点が弊害の一つだというお話でありましたが、これに対しましては、PBX最初設備いたしますときに検査を行います。その検査はどういう基準で検査するかと申し上げますと、公衆法の第百五条の三項に「公衆電気通信業務に支障を及ぼすことを防止するために必要な限度において公社郵政大臣認可を受けて定める技術基準に適合するものでなければならない。」というかうに書いてございますが、この技術基準に適合するかどうかということを検査いたしましてこの技術基準に適合しておれば——あとで非常な支障を及ぼすことのないような技術基準を定めて、この基準に照して検査をするということで、この検査は新しく施設する場合でも、もちろんこの検査に通らなければその機械を使い始めることができない、変更するときも同じである。また一旦そういう検査を受けて施設してしまつた後においても、機械がときどき悪くなり、性能が劣化するということが考えられますが、その劣化に対しても、やはりときどき技術基準に適合しておるかどうかという検査をする。ですから建設の場合についても検査をする。それから建設後においても検査をするということによつて、この弊害を防止するという方法をとることにしてあるのでございます。  それからもう一つの弊害としまして、粗悪なる品物で高い料金をとるというようお話がありましたが、この料金を不当に高くとるということに対しては、法律では別にとつてはいけないというふうに公衆法には書いてございませんが、もしもそういう不当なることを要求する業者がありますれば、そういう人たちは自然商売が繁昌しないといいますか、自然淘汰的に淘汰されて行くのではないかということを考えて、これに対しては公衆法では別に規定しておらないわけでございます。これで実際やつてみて確信があるかということでありますが、これに対しましては、まだ将来のことではございますが、一応こういう万全の措置を講じまして、最善の努力をするよう公社でやつていただくという建前になつております。
  94. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 次にお伺いしますが、戦後公社のみが直接行うことになつた。これに関して公社の経験によつて、あるいは公社でなくても監督官庁から見られた見解でもけつこうですが、公社のみがこれを行うことになつたために、その利用者に不便を与えた、弊害等もあると思いますが、それはどういうことがありますか。
  95. 金光昭

    金光政府委員 利用者側から見ての希望なり不平と申しますのは、逓信省の直営になりましてしばらくの間PBXに関します工事については、当時の逓信省の建設予算の中でまかなうということになつておりましたので、この予算面からの制約といたしまして、利用者側がPBXをつけてもらいたいという峯を出しましても、なかなかそれに応じ得られない、あるいはその要望を満たすまでに相当の期間を要するといつた面で、利用者側については一つの大きな不満がありました。  なおまたその設備自体につきましては、二十六年七月電話設備負担臨時措置法が制定されました後におきましては、その設備に要する実費を今度は利用者からとる、加入者から徴収するということになつたわけでございますので、その後におきましては、予算による制約は一応なくなつたわけでございますが、そのかわりに相当巨額の交換設備等に利用者といたしましては金を出すと同時に、その設備自体も電通省の方に寄付する、提供するということになつたわけなので、たとえば会社等におきましても、経理上の面からそういう多額の財産をただで提供するという面について、相当の問題があつたというふうに聞いておるわけでございます。  なお工事その他の面につきまして、たとえば自分の方としてはこういつたようなタイプのものをつくつてもらいたいということでありましても、電通省の方で引受けますと、どうしてもある程度規格を定めまして、その規格以外のものについては応じ得られないという方法をとらざるを得ないわけでありますので、特にそういう公社の規格外のものをつけたいというような要望は、これはこたえられないというようなことにもなるわけでございます。そういう点が利用者側からの不平不満のおもなるものでございます。  それから電通省からの面でございますが、電通省側から見ますと、これについては加入者から要望がありますれば、設備負担法通過後におきましては、金はもちろん納めてもらいますので、そのPBX設備に要します実費は、もちろん通り抜け勘定になるわけで、予算の制約という点はなくなつて来るのでございます。その法律施行前におきましては、もちろん予算のわくがございますので、せつかく加入者からの要望があつても、十分にこたえられないという点があつたわけでございますが、二十六年七月以降においては、一応その点はなくなつたわけでございます。しかしながらやはり電通省といたしましては、PBXのみをもつぱら行つているわけではありませんで、その他の公衆電気通信業務も全部行つておりますので、そういつた面で、PBX専業といつた場合と比べますと、多少いろいろな器材の準備だとか、その他の点につきましても、大きな部分の一部としてやりますために、それらの手順だとか、あるいは工事等の面につきましても、必ずしも加入者の要望通りに工事を行い得ない、あるいは多少その工事が延びるといつたような面ももちろんあるわけでございます。また電通省でやりますとすれば、たとえば加入者の方から、自分の方としてはいろいろな障害の修理その他の問題については、夜間だけでやつてもらいたい、昼間は困るというような要望がありましても、必ずしもそういう要望にごたえられない、いわゆる特殊のいろいろなサービスの要求ついては、必ずしもそれを全面的に受入れられないというような面もあつたのではないかというふうに存じておる次第でございます。
  96. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 このPBXの問題は、御承知の通り相当問題になつておるわけです。また互いに今までの制度に対する利害得失があると思うのです。これは議論すれば際限ないと思いますが、しかしともかくこれは、施設と補修がしつかりできておれば、私は大した弊害はないと思う。いかにしてこの施設、補修をしつかりやるかというところに問題があると思います。  そこで政府の方は、今まで公社のみで直営でやつてつたのを、今度は民間にもやらせようとしているが、それはおそらく業者が陳情するからというような簡単な問題ではないと思う。政府としては、これを両建でやることが是と信ぜられる特別な理由がなければならぬと私は思います。大体のことは想像されるのですが、しかし端的に、どうしても公社のみでは困るのだ、両建で公社と民間とでやるのがいいのだという確固たる信念といいますか、その理由をひとつ簡明、率直に御説明を願いたいと思う。
  97. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 こういう法令を出しまして、民間でもやれるというふうにいたしました根拠は、今政府委員から申し上げましたような利害得失を十分検討いたしました結果の結論でありまして、結局は利用者の便宜を十分はかるということ、それから電話施設を完備して故障なくやつて行く、こういう両方の面を考えまして、有田委員のおつしやつた前にあつたような弊害を除くと同時に、そういう長所を生かそう、これでやれるというような結論から、実はこういう法令にいたしたわけでございます。
  98. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 この問題は、私はそれほど大きな問題とは考えないのですけれども、さつき言いましたように、施設と補修がしつかりできておらなければお困りになる面があると思う。要は工事業者に対する信頼をどこまでにするか、あるいは施設者に対する信頼をどこまでにするかということにかかつて来ると思うのですが、政府は監督といいますか、目を光らすばかりが能ではありませんけれども、よき意味の指導をやられる必要があると思います。大体政府のお気持はわかりました。  次にもう一、二点お聞きしたい。これと相類似することでありますが、百五条関係であります。その第一項で、構内交換設備等の利用者による設置を認めているのですが、三十六条に、加入者の請求があつて転換器によつて接続する増設電話の設置は、これはもつぱら公社が行うものとしておる。PBXを両建にしておつて、簡単な転換器による接続電話というか、増設電話設備は、公社が必ずやらなくてはならぬということは、やや実情に沿わないようにも思うのですが、これはやはりある程度利用者による設置を認めてもいいのではないか、こういう感じがするのですが、これはどうしても認めては困るというよう理由でもあるのですか。
  99. 金光昭

    金光政府委員 ただいまのお尋ねは、現在乙種増設という言葉で言つております電話機のことでございます。今度の法律では附属機器という言葉を使つておりますが、この乙種増設につきましては、御承知のように本電話機と転換器によつて接続される、あるいは転換器なしにブランチで両方の電話はそれぞれ他の電話と話ができる、直接局線につながつておるといつた種類のもの、あるいはこれをさらに複雑にいたしまして、ワイヤーリング・プランと専用語で呼んでおりますが、いろいろ転換器を、あるいはブランチを組み合せまして、二つなり三つの電話をそれぞれお互いに利用し合うというようないろいろなものを含んでおるわけでございますが、これにつきましては、加入電話としての本電話機とほとんど区別をつけることができないよう状態でございますので、いわゆる甲種増設、PBXとはその間に相当開きがある。PBXにおきましては、増設の交換台ということで、そこからはつきりとわかれるわけでございますが、この乙増の方につきましては、ほとんど本電話機と一体となつておりますので、それらの点を考慮いたしまして、乙増につきましては自営を認めないという方針をとつたわけでございます。なおまた現在乙増につきましては、ほとんど実費を割つておりまして、五千円という負担金で自由に加入者の要望に応じておりまして、これらの点につきましては、加入者の要望に応じ得られないという現状でないのでございます。それらの点もあわせまして、この点については公社の直営を今後においても堅持するという方法を講じた次第でございます。
  100. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 これはあまり希望者がないですか。今までの利用者がこのままでいいというのなら別にそういう制度を設ける必要はないが、もし乙増を自分でやりたいという希望があつたら、政府も別にそれほどこだわる必要もないと思います。転換器だけのことでありますから、それほど私はむずかしい問題ではないと思いますが……。
  101. 金光昭

    金光政府委員 この点につきましては、ただいま申しましたよう設備負担法実施後、実費でその電話をどんどんつけるということにいたしましてから、加入者側からさほどの要望はないように聞いております。
  102. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 要望がなければ、もう少し実情を調べた上で質問をしたいと思いますから、従いましてこの問題はこの程度にとどめます。  次に、公衆電気通信役務を提供しなかつたための損害賠償の規定が百九条に、ございまして、その第一項第三号に、加入電話の通話について五日以上不通の場合というように書いてあるのですが、この五日以上不通ということは、あまり長過ぎるように思うのです。これをもつと短かくした方が妥当でないかと思う。またその六号で、専用設備については四十八時間以上使用不能の場合に云々とございますが、専用電話を使うような者が、四十八時間もそのままほつておかれてはたいへんなことで、もつと時間を短縮する必要がある。これは損害賠償の規定でありますが、もう少し公社側も勉強された方が妥当じやないかと思いますが、いかがですか。
  103. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの損害賠償についてのお尋ねでございますが、有田委員御承知のように、現在すでに電信電話取扱いについては一切賠償しない、いわゆる賠償無責任の原則を打立てておるわけでございます。今回は、特に一方においてはそういつたよう加入者の利益を考慮いたし、一方電気通信サービスのごとく非常に大量の作業を瞬間にやるといつたよう事業の特殊性から考えて両方の要請を勘案してこのような限定賠償の制度をとつたわけでございます。これとあわせて七十八条で料金の返還の措置規定しておるわけでございまして、料金の返還につきましては、利用者の責めに帰することができない事由の場合には、それぞれ料金を返還するという規定を設けておるわけでございます。ただいま御例示になりました電話の障害等についても、料金の返還の場合については二日以上ということを規定しておるわけでございます。それを損害賠償の規定においては五日、それから専用線につきましては、料金の返還の方は二十四時間、損害賠償の方については四十八時間ということで、料金の返還の場合は、損害賠償よりもさらにその期間を短縮いたしましてサービスが正当に行われなかつた場合には、その行われなかつたものに対して料金を返還するという建前をできるだけとつたわけでございます。損害賠償につきましては、先ほども申し上げたように、非常に大量に即時に行われる大作業であること、それと同時に百九条においては、これらの料金額の五倍ということで一応押えたわけでございますが、無過失責任賠償という点からして、それらの賠償の条件をあまりにも厳重にするということになりますと、公社の方でも事業運営がなかなかうまく行かないといつた面もございますので、それらの点をあわせ考慮して、料金の返還の方はできるだけ条件を緩和する、損害の賠償はそこまでは行き得ないので、料金の返還とその条件をかえて、多少ゆるやかにしたというような点で、この規定をつくつた次第でございます。
  104. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 損害賠償といつてもこれは限定賠償で、ほんとうの損害賠償ではない。料金の五倍というと、えらいたいへんなことのように思われるかしれませんけれども、料金の五倍くらいのものはしれたものであつて、このために実際こうむる損害の方が大きいと思う。ことに通信が、五日もほつておいて初めて賠償するなどといつてみたところで、いかにもマンマンデーでセンスが合わない。五日以上不通の場合には料金の五倍を返す。賠償は料金の五倍にすぎない。ことに専用設備についても、急ぐためにかよう設備を持つのに、それが二日間もほつておかれるという感じを与える。通信に対してあまりゆつくりした感じを与えることは、私は策の得たものではないと思う。不通のときは迅速に直すのが建前である。これではあまり長過ぎて当を欠いておる、私はかような見解を持つのです。なおその他いろいろ聞きたいことがありますが、だんだん時間もおそくなりますので、今日はこの程度でやめて、また他日に譲りたいと思います。今の点はよく政府においてお考え願いたい。
  105. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ちよつと有田委員質問に関連してお聞きします。先ほど有田委員は、三十七条の「修理又は復旧」の「公社の予算の範囲内において、」ということに関して、その予算の範囲内は必要ないのではないかということでしたが、大臣はどうお考えになりますか。公社法第四十五条の、「災害の復旧その他避けることができない事由による支出予算の不足を補うため、公社の予算に予備費を設けることができる。」これは予備費に限度があるわけです。そうすると、第四十七条の債務負担行為の第二項に、「公社は、前項に規定するものの外、災害の復旧その他緊急の必要があるときは、毎事業年度、予算をもつて国会の議決を経た金額の範囲内において、債務負担行為をすることができる。」第六十二条の、「公社は、郵政大臣認可を受けて、長期借入金若しくは一時借入金をし、」云々の三つの条、項から考えて、たとえば災害によつて大規模復旧を必要とする場合、予備金でまず行つて、なお不定を生じた場合には借入金をもつてつてもよろしいと思う。借入金はむろん予算に出ておらぬから債務関係になるのですが、その債務関係は、国会の議決を経て払つてつてよい、こう解釈できるのですが、どうお考えですか。
  106. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 委員長もおつしやつたように予備費がありますが、これはいずれそういう災害その他の理由による故障も予想してつくられておると思いますから、それでできる範囲のことはむろんそれで行かなければならぬと思いますけれども、この規定で予想しておるのは、予備費をつくるとき予想できなかつたような、よほど大きな障害を考えておるのだろうと思います。その場合には予備費では行けないので、予算をふやすよう、議会の承認を得るということで行くよりほかございませんでしようが、そういう大規模な障害の場合に、予算に関係なく、必ずすみやかに公社が復旧しなければならぬという義務を厳格に負うことは、公社の経世からいつて非常に困難ではないかと思うのであります。しかし、むろん大規模な災害といえども、できるだけ早く復旧をしなければならぬのはあたりまえでありますから、公社としては努力をして、もし国会に予算を要求できる機会があるなら要求をして、予算をふやしてやるべきであろうと思いますが、法律上の規定といたしましては、この程度の限定は置かなければならないのじやないかと思われます。
  107. 橋本登美三郎

    橋本委員長 今私のお聞きしたのは、四十五条はこれは予備費が予算に入る限度が十億なら十億ときまつておる。四十七条の第二項、「公社は、前項に規定するものの外、災害の復旧その他緊急の必要があるときは、毎事業年度、予算をもつて国会の議決を経た金額の範囲内において、債務負担行為をすることができる。」というのは、前もつて書いておいたからこうなつておるのでしよう。そうすると、第六十二条の「長期借入金若しくは一時借入金」というのは、電信電話債券等が十分に手元に入らぬ場合のつなぎ資金だけを意味しておりますか。「長期借入金若しくは一時借入金をし、又は電信電話債券を発行することができる。」こうなつておるのですが、その場合における長期借入金というのはどういうふうになつて、おりますか。
  108. 庄司新治

    ○庄司政府委員 長期借入金というのは、二十八年度の予算の場合で考えますと、例の資金運用部資金の四十億という金額が、この長期借入金に相当するのでございます。それから一時借入金というのは、資金運用関係で、当然一年たつてみれば収入はそれだけ上つて来ておるのだからそれでいいのですが、一時金がいるというので年度の途中で金を借りて年度の終りまでに金を返すという程度の、大体一年間を限つて借入れをする場合に一時借入金を使う。これは二十七年度予算で言いますと、金額は五、六十億ぐらいだつたと思いますが、そのくらいの金を借りております。
  109. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ぼくの言うのは、そういうような一時借入金をして臨時国会なりそういう国会までの間にそういう復旧を行うために、一時借入金ができるのではないか。従つて予算の範囲内という言葉を使わなくても、結局はあとの近い国会において承認を得ることができるのだから、いわゆる予算の範囲内という言葉はいらぬのではないか、結論としてはこういう意味になるのです。
  110. 庄司新治

    ○庄司政府委員 この長期借入金、それから一時借入金、それから前のお話に出ました債務負担行為、これすべて前年度中に国会できめられた予算の範囲のわくにはまつております。そのわくの範囲内で処理できればこれはいいのでございまするが、わくの範囲を越えた場合のような大きな災害の場合には、どうしてもやはり予算の範囲ということでわくがはまつてしまうのではないかと考えます。
  111. 橋本登美三郎

    橋本委員長 但しその場合、従来の経験から見て、これは戦災のような場合は別だが、従来の普通の災害の場合は、そう何千何百億という災害が一時に起きている例はないのです。十億か二十億でしよう。そうすると一時借入金の流用並びに予備金の流用で、普通の災害というものは復旧できるという建前でなければならぬと思うわけであります。また第四十五条の精神もそこにあると思います。「災害の復旧その他避けることができない事由による支出予算の不足を補うため、公社の予算に予備費を設けることができる。」、大体災害の復旧についてはこの予備金でまかなえるというのが、この第四十五条の精神だろうと思います。そうなれば、またこの法案の方の災害復旧の三十七条のいわゆる予算がなければという言葉は、少し屋上屋を重ね、また予算の言葉にとらわれて逃げ口上になるという非難もあり得るのではないかと思うが、いずれその点についてはまた御相談いたします。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十四日午後一時より第十二委員室で引続き…法案質疑を行いますが、テレビの撮影も行われる予定でありますから御了承願います。これにて散会いたします。     午後五時四十五分散会