○庄司
政府委員 国際
電信電話株式
会社の評価の問題につきましては、先ほどの
お話の
ように資料の
提出を求められておりまして、その資料はすでに皆様方のお手元に差上げてございますが、資料では必ずしもはつきりしない点もあると思いまして、評価を決定いたしましたまでの経過を、少し時間を拝借いたしまして
お話申し上げたいと思います。
まず評価の
方法といたしましては、
国際電信電話株式会社法の附則に定めてあるところによりまして、郵政省の中に
電気通信設備評価
審議会というものを設置いたしまして、昨年の十一月二十二日にその第一回を開催しまして以来、公式会議は九回開いております。その間現場視察などを
委員で行いまして、現場において非公式の会議を二日にわた
つて開催しております。そして本年の一月十六日に最終の結論に到達いたしまして、その結果、
会社の設立
委員長に通知したのでございます。この
審議会の
委員は
法律に書いてありますが、補助要員として別に
郵政大臣から任命された三名の幹事と、郵政省と
公社職員、合計三十数名の人を使いまして、
審議会の必要とする資料を収集、計算に当らしめてその結果を毎回の
審議会で詳細に検討いたし、その正確を期した次第でございます。その結果につきましてはお手元に差上げてあります資料の通り、出資
財産評価額は三十二億七千八百六十九万四千円と相な
つた次第でございます。評価
審議にあたりまして考慮決定いたしました経過並びに
方法につきましては、その骨子は同様お手元に差上げてありますが、
会社法附則第十項の
規定によ
つたことはもちろんでございます。
会社法附則第十項は、
ちよつと読み上げてみますと、「
電気通信設備評価
審議会は、
公社が
会社に対する出資の目的とし、又は
会社に対し譲渡する
財産について前項の決定をするときは、その
財産に係る
事業により得た収益を、適正な収益率と認められる率により還元して得られる価格を基準とし、その
財産の時価を参しやくしなければならない。」とな
つておりまして、まず収益の算定が問題になるわけであります。
法律には「その
財産に係る
事業により得た収益」と書いてありますので、収益とは、過去において国または
日本電信電話公社が国内、国際の電気通信
業務を一体として
経営していた当時の収益をさすものと解しまして、
経営主体が移行する場合、それは国または
公社と同一性格のものと
考え、単に国際電気通信
業務と国内電気通信
業務を
分離することによ
つて生ずる収支について修正を加えたにとどま
つたのでございます。通常収益還元の
方法をとる場合に、還元の対象となる収益というのは、過去数年間につきほぼ正常に近い純益を基礎として推算するのが一般的でありますが、過去において国または
公社が国内、国際の両
電気通信事業を
経営していた際において、これら両部門において
分離して単独に収支計算が行われたのは
昭和二十六年度以降でありまして、それ以前の年度については
分離した収支計算を行うことは、純益算定上はなはだ不正確となるおそれがありますので、また
昭和二十六年度の国際
電気通信事業の営業成績を検討した結果、ほぼ正常なものと推定されましたので、これを基礎資料といたしまして、二十七年度の上半期の分は
参考とするにとどめたのでございます。こういう
方法で収益を計算したのでございます。
それから次に「適正な収益率」ということでございますが、これについて申し上げますと、国際
電気通信事業は国家の特別な監督のもとにあ
つて、その性格は公共的かつ独占的でありまして、大体において安全な企業であると見られるのでありますが、なお一般経済界及び産業界の変動による影響は免れがたいところであ
つて、ことに
事業の
運営上資本の固定化を免れ得ないのでありますゆえに、資金の調達その他
事業経営上
相当の利潤を必要と認められますので、現時の経済界及び産業界の趨勢から見て、社外分配を八分五厘、社内留保を四分五厘を妥当として、収益率として一割三分を適正なものと認定したのであります。
つけ加えますが、民間企業に移行するにあたりまして当然支出される税法上の諸要素が、
ほんとうは収益計算で加味するのでございますが、御承知の
ように収益計算においては「その
財産に係る
事業により得た収益」と定めてある
法律に従いまして、これらの要素は収益の方に計算しないで、
法律が「適正な収益率と認められる率により還元」すると
規定しております趣旨に従いまして、これらの特殊経費
相当分として三分五厘を附加したのでございます。純利益に対する税率を六割と見まして、前記収益率一割三分を税込み収益率に換算しますと三割二分五厘となり、これに先ほど申し上げました特殊経費の三分五厘を加えて、収益澤元率として三割六分を適当なものとして認定した次第でございます。これがプリントに三割二分五厘と書いてある
根拠でございます。そこで収益を三割六分で除した額が、純
財産に対する収益還元額となるのであります。少し未完成
工事中の新規増設のものを除いてはございますが、これはまた後ほど御
説明いたします。
この収益還元額より譲渡
財産、と申しますと、これほ貯蔵品とか、仮払品、整理品という
ようなものをさすのでありますが、譲渡
財産の時価を控除した額を出資
財産の収益還元額ととたのであります。
次に
財産の時価につきましては、可能の限り最善の
方法を採用することに努力いたしまして、各資産につきましてはその種別に応じて指数法とか、復成法を採用するとか、あるいは外部権威者による鑑定を受ける等のことを決定いたしまして、甲種固定資産、これは通信用の機械、線路等をいうのでありますが、これにつきましては指数法、復成法を使います。乙種固定資産、これは土地、建物、立竹木でございますが、これにつきましては指数法と外部権威者による鑑定を受けるという二
方法を採用したのであります。それから丙種固定資産、これは工作機械器具等でございます。これは指数法によります。また
事業品及び貯蔵品は、出納簿価格をもとにして算定を行
つております。
次に今問題になりましたこの
法律でいう「参しやく」ということにつきましては、出資
財産の収益還元額と出資
財産の時価との比率を六十対四十、収益還元額の方を六十、時価を四十といたしまして、この両者を参酌した
ような次第でございます。
この
ようにしてできた額に未完成
工事の新規増設、これは今
工事をや
つておるものでありまして、
設備をふやす予定にな
つております。その三月三十一日までに増設になる部分の
財産の価額を加えまして、そうして出資
財産の評価額と決定したという次第でございます。
譲渡
財産の評価価額につきましては、これは先ほど申しました
ように、貯蔵品、仮払品、整理品をも
つてその額を決定したのであります。なお出資
財産の方は三月三十一日でございます。譲渡
財産の方は品物が移動いたしますので、一応この金額は
昭和二十七年十月三十一日現在でありましたので、実際に譲渡される備品において多少過不足ができると思います。この過不足は評価の基準に従いまして、
公社と
会社の間で清算されることを予定しておるのであります。こういう
ようないきさつを経まして評価額を決定したのでございます。