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中山参考人 私
電気通信協会会長の
中山でございます。本日
電気通信に関する三
法案の御審議に際し、私の
意見を徴されましてまことに光栄に存ずる次第であります。私の
意見を申し述べさせていただきますが、この三
法案の立法に関連いたします
電気通信事業の五箇年
計画とか、
電気通信事業の
経営形態の問題につきましては、今日
意見を述べさせていただくのを御遠慮いたしたいと存じます。ただ三
法案の立法内容につきまして、私以前雇やはり逓信省の役人をや
つておりました経験から、全般にわたりまして
意見を述べさゼていただきたいと存じます。
電気通信事業のいろいろの根本をなしておりました電信法が、このたびいろいろな社会
状態その他のために、監督的
規定と
電気通信事業の
経営に関する
事項とを分離して立法されましたことは、まことに適当な処置と、私は賛成申し上げる次第であります。今日の
状態におきまして、いまだに古い電信法に拘束されておりますことは、
経営者にとりましてまことに迷惑であります。また
利用者にとりましてもまことに迷惑であります。この
法案は大分長らく議会に提出されておりまして、今日に至
つております。どうかひとつ一日も早くこれが
実施されますようにお願いいたしたいと思うのであります。
法律の内容につきまして申し上げますが、まず有線
法案につきまして申し上げまするならば、制定方針につきましては、内容はまことに妥当と思いまして、特に申し上げる点は少いのであります。ことに
私設有線
電気通信設備の従来の制限を大幅に緩和されまして、
一般国民の
私設通信の利便を増大されましたことは、非常に適切と
考えております。公衆
通信の範囲を害しない
程度におきまして、構内
設備とかまたは有線放送
設備等、共同にこれを
設備することを認められましたこともけつこうと思います。それに従いまして、それらの施設を
運用するについて、の
技術基準とか、または取扱い者の認定とかいう方面におきまして、これらの
設備が他人を害せず、また施設者に有効に
利用されるように、ある
程度の基準を置かれましたこともけつこうと存じます。
ただ私がこの有線
法案の中で多少気になりましたのは、罰則の点でありまして、第二十一條によりますと、有線
電気通信設備の損壊、または妨害者を罰しております。これは現在の電信法にもございますが、公衆
通信、
私設通信、両方にこれが適用されております。公衆
通信の
設備にこれが適用されますことは当然でありますが、
私設通信につきましてはどうかと思う点があるのであります。
私設通信と申しましてもいろいろ範囲が広うございますので、
電気事業とか、鉄道とか、また鉱山用とか、公共的な
事業に
関係しておりますものは、やはり公衆
通信と同じように保護しなければならぬと思います。これらの公共的な
事業につきましては、それに
関係する法律で保護
規定がありますので、特に
通信施設だけにつきまして立法されますこともまた必要かと思うのでありますが、これに関連しまして、ごく小規模な
私設設備、ごく家庭的な、また小
事業の同一構内にある施設につきましてまでも、こういう罰則
規定がありますことは、これはその
設備を保護するる点については完全かと思いますが、損壊その他つきまして、この罰則にあるような刑に処しますことは、均衡がとれないのではないかと思うのであります。ことに未遂罪まで罰しております。私の申し上げたいと思いますのは、その小規模の点につきまして例外を認めるなり、または親告罪
程度でいいのではないかと思うのであります。
その次にやはり罰則の第二十三條でありますが、これによりますと、第十六條の
規定に違反して有線
電気通信の秘密を侵した者の処罰が
規定されております。これもやはり未遂罪まで罰しておりますが、現在の電信法によりましては、公衆
通信のみこれを罰しておりまして、
私設通信には及んでないと私は
考えております。またそれも親告罪にな
つております。今回の立法によりまして、
私設通信設備が非常に緩和されまして、従来のように、これをある
程度禁止的の意味を含んだ制限下に置かれてないので、自由に
設備されておりますだけに、これの秘密につきましても、ごく小規模の
私設通信にまで、この秘密は、対話者間の
通信とか、その他この
電気通信以外の
通信につきましても、憲法では
通信の秘密を保護しておるのでありますが、多分に道義的禁止の意味もあるのではないかと思います。私はその道義的の意味の
程度で禁止していただけばいいのではな、いかというふうに
考えておる次第であります。
大体有線法につきましてはその
程度にいたしまして、次に公衆法に移りま一芸、制定の方針につきましては、今回の立法内容は従来に比べますと、非常に特権的の
規定を廃止されております。また従来立法
事項でありましたようなことも、ごく範囲を狭めまして、郵政大臣の認可
事項の方に移して、非常に
合理化されておると認めまして、こういう点非常にけつこうと存ずるのであります。ただ郵政大臣の認可
事項にな
つております項目が、私が気がついただけでも三十項目近くございます。これはこの際もう少し縮小できる余地があるのではないかというふうに
考えておる次第であります。これらの認可
事項が多いために、また監督官庁の郵政省の中に監督官の配置、増員を要するのではないかと
考えられる次第であります。ただこの郵政省の監督官の増員をされるならば、むしろこういう認可
事項のことでなしに、もつとほかの方面におきまして監督する余地が多々あるのではないかと思うのでありまして、現在の監督官を充実されることにつきましては私は賛成でございます。
それから各省にわかれております内容につきまして気のついたところを申し上げますと、第二十六條に、加入
電話として構内交換
電話の
規定を新設されました。従来の単独
電話、共同
電話のほかに、こういう接続
電話の
規定を置かれましたこともけつこうだと思います。
それから第三十八條と第三十九條に、加入権の譲渡及びその
承認につきまして、この制度を確認されておられます。この加入権の問題につきましては多年の問題でありまして、加入権の存在が理論の士、また理想の上からいいまして、望ましくないことは当然でございますが、実際の問題といたしましては、加入権を存続しなければならぬ現在の情勢下においては、私はやむを得ない
措置であつたと
考えるわけでありまして、加入権の問題は、
電話が普及いたしますれば、自然に消滅する問題と思うのでありまして、次善策として賛成いたしておりまして、自然の
需要に適応するためにはやむを得ないと
考えております。
次に第四十七條の市外通話の種類についてでありますが、従来通り特別至急通話が
存置されております。これはやはり
日本の
電話が、先ほど来のお話にありましたように、非常に社会情勢に立ち遅れておる結果でありまして
需要の上からい
つてはやむを得ないかと思うのでありますが、
料金の値上げも再三輿現しました今日におきまして、特別至急通話というような三段階的なものは、もうそろく廃止されてもいいのではないかと
考える次第でありまして、むしろこういう金持の特権的なような制度は廃止されまして、夜間通話というようなものをおつくりになりまして、ひまなときに安くかけられる制度をつくられた方が望ましいのではないかと思うのであります。この点につきましては、電報では翌日配達、例文電報というようなものがございますので、その方向に向
つていただきたいと思うのであります。
次に第六十八條の
料金の決定についてでありますが、法定
料金と認可
料金をお定めになりまして、まことにけつこうと思うのでありますが、その認可
料金中におきましても、郵政大臣の認可を受けなくてもいいような
料金の決定があるのではないかと思うのでありまして、これらにつきましては、
公社または会社に委任されてしかるべきではないかと思
つております。ただその
反対に多少
公共性の強い
料金、たとえていいますならば、新聞電報とか放送無線電報というようなものにつきましては、むしろ法定されて
料金の
基礎を確定されたのがいいのではないかとも
考えております。
なお
料金関係につきましては、七十八條に、役務
料金の返還を
規定されましたし、また百九條では賠償も
規定されまして、まことに民主的に
なつたことと御賛成申し上げます。
次に第百五條の
規定でございますが、構内交換
電話の
設置及びその保守を
自営する道を開かれております。これは先ほど来いろいろ御
意見がござました終戦後の
直営方針の転換でありまして、これも私としましては、先ほどの加入権の譲渡の問題と同様に、現在の段階におきましては、次善策としてやむを得ない
措置ではないかと思うのであります。
予算の
関係もございましようし、またその他
民間の希望もございましようし、またそれらに要する
設備の生産の上から
考えましても、直覚と
自営を併立させて、その
設備者に任意に選ばせるということは、現在の段階において私はけつこうだと御賛成申し上げる次第でございます。
次に第百六條に、
私設有線
設備の公衆
通信設備への接続をある
程度制限して認可されておりますのも、これも
私設有線
設備が公衆
通信を害しない
程度で、この
程度の
規定も私といたしましては賛成申し上げる次第でございます。
次に
料金の問題でございますが、値上げの御方針を伺いますと、老朽施設の取替のための償却費とか、また再評価価格に基く償却費の不足を補うとか、また
設備拡張
資金に充当するとかいうような御方針で、これもけつこうと思います。これによりまして今回の改訂の
増収額の見込み額は八十億と伺いました。現在の収入の約一割増にな
つております。
料金の値上げは望ましくはございませんが、現在の
設備を根本的に改正する上からは、この
程度はやむを得ないと思
つております。なお各種
料金の改訂方針につきましては、各種
料金の不権衡を是正する、また原価を割
つているものを救済ずる、
負担力のあるところをある
程度増額するという御方針でございまして、非常にけつこうと思うのでありますが、もしごの方針を完遂していただきますならば、一割値上げを越えてもつと
増収があるべきと思うのでありまして、もし理論的に、また社会
状態が是認する
程度ならば、もう少し一割以上上
つても、結果的にそれが各
加入者の生計費その他生産費に悪影響を及ぼさなければ、その
程度まで値上げされてもやむを得ないのではないかというふうに私は
考えております。具体的に申しますと、電報の
料金でありますが、今回
基礎料金を五十円から大十円に値上げされました。累加
料金はそのまますえ置きにな
つておりますが、私はこの基本
料金は七十円なり八十円
程度に上げられてもいいのではないかというふうに
考えております。ただ最低の字数を今の十字のを十五字にされたらどうかと思うのであります。現在電信は非常に赤字の
経営をしておる、収入の倍以上の支出をしておるその原因の
一つには、配達費が非常に割高である。といいますことは、結局一通片々の配達に費用を要するのでありますから、その基本
料金をもう少し値上げされてもいいのではないか。それで字数増加その他につきましては、だんだん
通信の疏通について機械化をされておりますので、その方面であまり値上げせずとも、原価に近いような支出で
経営できるようにな
つて行くのではないかと思うのであります。基本
料金を上げたために、
一般の方で迷惑されるところは、現在や
つておられる例文電報とか、翌日配達電報というものをもつと周知して、安く
利用されろことを勧誘されればいいのではないかと思
つております。
次に
電話のことでありますが、市内
電話につきましては、基本
料金のうち、住宅用と事務用との
料金の差を今度非常に狭められましたことは、
基礎的の
料金にあまり差別をつけず、現在の
電話事業の普及の上から行きましても、
利用度が少い面におきましても、
負担をある
程度均等にされまして、私はけつこうと思
つております。ただ度数料をそのままにすえ置いて五円というのは、現在のほかの物価または他の
電話料金から比べて、あまりにも安過ぎるのではないかというふうに
考えている次第でありまして、できればこれを七円なり八円なりに、またもし端数が非常に煩雑ならば、十円にされてもいいのではないかと思います。ただそのためにこれは
加入者に
負担増を非常にかける向きが多くなると思いますが、しかしこれは多数通話をされる方には、外国の例に従いまして、逓減的に安くするという方式をとれば、ある
程度がまんしていただけるのではないかと思うのであります。大体現在の施設の老朽なり、その他不足なりは、現在
日本の
電話が少いためにもよりますが、使う度数が非常に多いことに原因しておりますので、その度数をある
程度抑制する意味におきましても、効果があるのではないかと思うのであります。話中の回数を減らすとか、また中継線の少いのを緩和するとか、また損耗率を薄くするという点について、利益があるのではないかと私は思うのであります。ただ
電話を非常に頻繁に使われる金融界その他においては、非常に御不興があると思うのであります。また今回発行せらるる
電話公債の公募につきましても、悪影響があるものとも感ぜられます。しかしこの点は、ある
程度の度数
料金の値上げならば、がまんしていただけるのではないかと思います。
それから市外通話の
料金も、今度の改訂
料金程度の値上げは、大体けつこうと思うのであります。ただ現在
電話に要する費用が、市内よりも市外の方が少くて済んでおります。ところが今回の
料金の値上げによりまして、従来と同じように、市内の収入よりも市外の収入の方が多いということは、
負担の権衡から行
つてむしろ従来に通行するような点でありまして、今度の改訂方針に矛盾するのではないかと思うのであります。
〔
委員長退席、
中村(梅)
委員長代理着席〕
この点やはり度数
料金のある
程度の是正が是認されるのではないかと
考えている次第であります。
その他、
施行法の
関係におきましても御
意見を申し上げるべきでありますが、大体法令の改廃に伴う経過的
措置としては、私はこれで満足ではないかと思
つております。先ほ
どもはかの
参考人から御
意見のありましたように、最近
電話の
加入者、
利用者について、いろいろな点から非常に
負担が加重されて来ております。いろいろな
負担金につきましても、三十一年三月三十一日までは課せられておりますが、特に今回はまた第十條、第十一條で、一定の制限区域以上に線路を長引かすような加入につきましては、特別の
負担金までおかけになるようになりました。これもやむを得ないとは思いますが、三十一年を待たずに、
公社の
経営が軌道に棄
つて参りまするならば、すみやかにこれらの
負担軽減の方に御努力いただくことを望む次第であります。
以上簡単でございますが、私が気のつきましたことを申し上げた次第であります。