○松前
委員 どうも御答弁の
内容によりまして、私ども納得がいかないのであります。何だかもうろうとして、何ものかがそこにひそんでおるような感じがいたします。そもそも
PBXという
——このごろはアメリカ側が
日本を占領いたしましてから、こういうハイカラな名前が出て参つたのでありますが。この私設交換なるものは、か
つてはいわゆる民営に全部まかされておつたのであります。その当時の姿を見てみますと、もちろん当時の逓信省はこれを
監督をしておつたのでございますが、
監督はしておりましても、
PBXの業者がたくさんにできましたときに、その無数の業者の中からいろいろな弊害を生じて参つたのであります。御
承知のように、
利用者というものは電気
通信に関してほとんど知識がない方が多いのでありまして、ある人ならばごまかされもしませんが、ない人はすぐごまかされる。故障もないのに、それを修理するのに大したお金もかからないのにたくさんのお金を請求し、非常な不当な利得を得る、これが当時の姿であり、私どもはこの問題について民間の
施設者が非常に泣いた
事例を知
つておるのであります。今日の業者の人々は、おそらくそういうことをするという仮定のもとに考えてはならない、りつぱな人ばかりであろうとは思うのてありますけれども、しかし年月がたち、人がかわれば、決して
日本が戦前の姿よりもより以上に道義的に発達したとは私は考えないのであります。こういう
意味からいたしまして、ただいまサービスがいいというような
お話でありますけれども、必ずしもサービスがいいというよりも、むしろその反面にただいまのような非常な弊害を生じた。このことは、私どもそれらの
仕事にか
つて関係した者として忘れることのできない事実であります。
監督はするとい
つても、不完全な
設備をして、しかもいつ故障になるかわからぬような
施設によ
つて、大事な長距離回線、非常な多額の投資をやつたところの長距離回線を通じて通話をいたしまするということが、その不完全な、家の中の部屋と部屋をつないだというような、そういうわずかの区間の不誠実な
仕事のために、あるいはその保守の悪いために、全体が死んでしまうというような犠牲を払わなければならないのであります。私どもは小さな個々の問題よりも、
国家の大局よりこれを考えなければならない。先ほども申し上げましたように、世界中でこういう奇妙きてれつなやり方をする国は
日本だけであります。
日本が敗戦の後に復興しなければならないというならば、なぜもつとほんとうに割切つた姿において進んで行かないか。そういう政治がなぜできないだろうか。どこからどういう動きがあつたかわれわれは知りませんか、四べんも五へんも案がかえられたそうであります。
事務当局の案はそうではなかつたそうであります。われわれは冷静な
立場に立
つて、少くとも原案というものが、将来非常な災いを
日本の
通信網に残すということを、今日断言せざるを得ないのであります。
大臣は、このか
つてPBXにありましたところの弊害について、今後はないと
言つて御答弁になるでありましようけれども、この弊害が起つたために、この統一が行われ、多少のサービスのと申しますか、
施設の不平不満はあつたにしても、
公社というものができたということは、すなわち電気
通信省のお役人さんでは、なかなかサービスの改善も自主的な
通信の建設もできない、であるから半官半民のような
公社形態にしてこれをやらせようというその目的を達するために、この間法律がかわ
つて公社に切りかわつたばかりであります。これがサービスが悪いからまた民間にゆだねるのだという、なぜ初めから
電信電話事業を
公社にしないで、民間事業にしなかつたかと言いたいのでありますが、こういう問題について小さな家の中のお台所の話からもう少し外に出て、数千億の資金を投じて
電信電話網の健全な発達をはかろうというときに、世界に類のない珍案をお出しに
なつたその理由、その
関係について大局的な御説明を
大臣から伺いたいと思います。