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1953-02-17 第15回国会 衆議院 電気通信委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十七日(火曜日)     午後二時四十六分開議  出席委員    委員長 橋本登美三郎君    理事 中村 梅吉君 理事 有田 喜一君    理事 松前 重義君 理事 原   茂君       羽田武嗣郎君    松村 光三君       中曽根康弘君    楢橋  渡君       淺沼稻次郎君    松井 政吉君       三輪 壽壯君    山田 長司君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  金光  昭君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君  委員外出席者         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         専  門  員 古田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 二月十七日  委員三木武吉君辞任につき、その補欠として久  野忠治君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事本間俊一君の補欠として久野忠治君が理事  に当選した。     ————————————— 二月十六日  西脇局電話事業拡充等に関する請願(小林絹  治君紹介)(第一九五〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  有線電気通信法案内閣提出第四九号)  公衆電気通信法案内閣提出第五〇号)  有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(  内閣提出第五一号)     —————————————
  2. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これより開会いたします。  お諮りいたします。理事本間俊一君より、理事を辞任いたしたき旨の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 橋本登美三郎

    橋本委員長 御異議なしと認め、さように決します。  理事補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 橋本登美三郎

    橋本委員長 御異議なしと認めます。それでは久野忠治君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 橋本登美三郎

    橋本委員長 この際御報告申し上げます。昨日の委員会におきまして、委員長及び理事に一任になつておりました有線電気通信法案外法案についての参考人を決定いたしましたので申し上げます。  商工関係利用者から東京商工会議所副会頭司忠君、一般利用者から河野美保子君、芸名は越路吹雪君、学識経験者として電気通信協会会長、元逓信省電務局長申次郎君、労働組合関係から全国電気通信従業員組合中央執行委員長久保等君、PBX加入者代表東京私設電話連合会会長読売新聞社総務局次長太田秀雄君、PBX工事者代表電話工事協会会長徳田電気工務所長徳田栄太郎君、このほか専用関係利用者から一名選定いたすことになつておりますが、ただいま折衝中であります。     —————————————
  6. 橋本登美三郎

    橋本委員長 前会に引続き、有線電気通信法案公衆電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案、これを一括議題とし、質疑を続けます。質疑の通告がありますから、その順に従つて質疑を許します。大臣は今出席を要求しておりますから、ただいま出席すると思いますが、とりあえず政府委員並びに電電公社説明員出席しておりますから、両者に御質問願います。羽田武嗣郎君。
  7. 羽田武嗣郎

    羽田委員 大臣がおいでになる前に、政府委員の方に御質問いたしたいと思うのであります。まず第一に御質問を申し上げたいことは、今回の公衆電気通信法第十三条には、国際電気通信業務であつて会社が行うことができるものは政令で定めるとございますが国際電信電話株式会社法第二条によりますと、国際会社は無制限、無条件に国際公衆電気通信事業を営むことができるように解されるのでありますが、一体この二つの矛盾をどう解釈したらいいか、この点をお尋ねいたします。
  8. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。公衆電気通信法におきましては、日本電電公社国際電信電話株式会社の双方が、国際電気通信業務を営むようになつておりまして、ただいま御指摘になりましたように、その国際電気通信業務の分界につきましては、政令で定めるようになつておるわけでございます。現在郵政省として一応考えております政令内容といたしましては、国際通信事業大半仕事は、国際電信電話株式会社が営むことにいたしまして、公社の営みます国際電気通信事業は、ごく例外的なものというふうに考えておる次第であります。一例を申し上げますれば、現在日本南西諸島との間の電信電話国際通信になつておるのでございますが、南西諸島との通信というものは、ほとんど国内的な業務とその性質を同じくしているわけでございまして、そういうものにつきましては、公社国内通信事業と一体的に経営した方がよろしかろうというふうな趣旨から考えておる次第でございます。そこでその他の、たとえばアメリカ向けあるいは欧州同け、その他西南アジア太平洋地域というような、国際電気通信事業大半業務は、あげて国際電信電話株式会社が行うというふうに予定しております。会社定款には、国際公衆電気通信事業を経営するというふうに、これは会社法をそのまま写しまして、定款にもそういうふうに書いておりますが、その間につきまして、ただいま御指摘になりましたように、一応法律的には多少そこにはつきりしない点があるかと思いますが、運用の面におきましては、政令でその業務をわけますので、その関係との混淆はないと存じております。
  9. 羽田武嗣郎

    羽田委員 朝鮮の場合はどういうふうになるのでございますか。
  10. 金光昭

    金光政府委員 朝鮮につきましては、一応やはり会社がこれを行うということを予想しております。
  11. 羽田武嗣郎

    羽田委員 国際電信電話国内における発信または着信業務の問題でありますが、国際会社がみずから行うものと、公社に委託するものとの限界はどうなるのか。公社に委託した場合に、会社公社に支払う額は、一般国内料金に比して高くなるのか安くなるのかという問題について御質問をいたしたいのであります。外国から、たとえば東京世田谷なら世田谷、あるいは杉並なら杉並というところに国際会社で参つた場合に、これを本人に到着させるのには、特に会社出張所杉並に設けるとか、世田谷に設けるとかいうような方法を講じましてやるのか。さもなかつたならば、公社に託送するというような場合が起つて来ると思います。また、たとえば長野県とかいうような地方に参る場合に、会社の方はそういつた施設がないのでありますが、こういう場合、公社に委託するというような場合に、この料金というものはどうなるのか、あるいは出張所を設けるおつもりであるのか、そういう点をお聞きいたしたいのであります。
  12. 金光昭

    金光政府委員 ただいま御質問になりました点につきましては、会社公社の、国内電信電話受付配達あるいはその間の転送の問題でございますが、さしむきの問題といたしましては、国際会社が自分で営業所を持ちまして、受付なり配達をやりますのは、東京、大阪のいわゆる国際電報局国際電話局と称せられているところを一応予定いたしまして、その他国際電報なりあるいは国際通話だけを扱います、たとえば目比谷日活国際会館のごときサービス・ステーシヨンがございますから、そういうものは会社がただちに引継いで、会社営業所として提供いたしますが、その他の都内の電報局で現在扱つております国際電報等につきましては、さしむきはやはり公社の方にその仕事を委託するという建前をとるつもりにしておるわけでございます。そこでお尋ねの、会社公社との間の事務の委託につきましての、いわゆる取扱い手数料と申しますか、そういうものは一体どうなるかというお話でございますが、電報を例にとつて申しますれば、国際電報についての日本側の取り分の中で、公社に委託して扱いますのに要します実費を計算いたしまして、それを大体一通について幾らということで、会社から公社に支払うというふうに予定いたしておる次第でございます。
  13. 羽田武嗣郎

    羽田委員 わかりました。それから第二十九条第二項の普通加入区域は、いわゆる普通に加入できる区域であつて、この区域内においては、法定の設備費負担金及び電信電話債券引受加入ができるというのが、法の建前だと存ずるのであります。しかるに施行法の第十条によりますと、普通加入区域内でありましても、線路の設備費標準額を越えたときには、超過額負担しなければ電話が引けないというのは、どうもりくつに合わないように、また引かんとする者に対して非常に酷ではないかと考えるのであります。普通加入区域といえば、当然これはすべてが平等に扱わるべきものであると考えるのでありますが、この点について、もし費用をとるくらいならば、普通加入区域でなくて、特別加入区域とすべきではないかと考えるので為りますが、この点についてお尋ねいたしたいのであります。
  14. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。加入区域につきましては、ただいま御指摘のように、公衆電気通信法の三十九条で、その原則をきめておる次第でございます。そこで本来から申しますれば、加入区域内の申込みにつきましては、これを平等に、一定加入申込料、あるいは現在におきましては負担金なり債券引受をやつておりますが、そういうものを引受ければ、平等に取扱うべきことが当然でありますが、現在の公社の資金のわくにおきましては、加入区域全般につきまして、同一負担をもつてこれを架設することができがたい状況にありますので、はなはだやむを得ない状況といたしまして、昭和三十一年までの臨時的の措置といたしまして、とりあえず加入区域におきましても、一定制限距離というものをつくりまして、その制限距離内の加入申込みに限りまして、ただいま申しました負担金及び債券引受をもつて申込みを受理いたします。その距離外のものにつきしては、特に御希望の向きにつきましては、一定の金額を負担していただいて、これを架設するということをやつておる次第でございまして、できるだけすみやかな機会に、そういう加入区域内全般につきまして、同一の条件で加入が受理されるように努力をいたしておる次第でございますが、さしむきのところは、そういうことができない状況にあるわけでございます。
  15. 羽田武嗣郎

    羽田委員 とにかく普通加入区域でありますから、できるだけすみやかに平等なる恩典を与えられて、特によけいな金を払わなくてもいいように、すみやかに善処していただきたいということをお願いをいたす次第であります。     〔橋本委員長退席中村(梅)委員   長代理着席〕  それから最近汽車なんかで通つてみますると、鉄道の電話もあり、警察の電話もあり、一般電話線も引かれているというのをお互いに見ている次第でありますが、これは何といつても、再建途上にある日本としては、資材節約の上から言つても、また濫立するこの状況は、美観的な見地から言つても、また耕地において日陰になるというような耕地への影響から申しましても、私ども何とか各種の通信線を統合して行くべきではないかというふうに考えておるのであります。そしてできるだけりつばな柱にいたし、また大きなケーブルにして、地下にでも埋めて、将来の観光日本といたしましての美観的な見地からも、また資材節約の面から言つても、そういうふうにすべきではないかと思うのでありますが、これについての考え方をお尋ねいたしたいのであります。
  16. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの設備の共用、統合と申しますか、これにつきましては、戦時中または終戦後におきましては、一時ある程度の法令根拠に基きまして、これを実施するというようなことも試みたことがあるのでございますが、その後この根拠になります法令等も廃止になりまして、現在においてはそういう根拠としては残つておりませんが、各施設者におきましてできるだけ相談いたしまして、電柱等の共用できる部面につきましては共用するというようなことで、各地ごとに具体的な問題として、各施設相互の間で話をいたして、現在においても実行しておる次第でございます。
  17. 羽田武嗣郎

    羽田委員 続いて大臣質問いたします。公衆電気通信法案規定されておるところの郵政大臣公社あるいは会社に対する認可事項は、約三十八項目を数えておるように見られるのであります。また有線電気通信に関する郵政大臣監督事項は、このほかに有線電気通信法案規定されておる事項もございますし、公社法会社法等監督もあるのでありまして、非常に多種多様なたくさんの監督事項があると私は考えおのであります。こういう監督事務を処理する上において、今どういう機構になつておるかといいますれば、郵政省に六つの局がありまして、その五つまでは郵便関係に属する局でありまして、ただ一つだけが、すなわち電波監理局一つあるわけでありますが、なおこのほかに大臣官房に二人の電気通信監理官と、その下のスタツフがあるだけでありまして、この少数ではたしてこの厖大なる監督事務が処理できるかどうかという問題であります。私はむしろ有線無線は、現在は電波監理局がやつておりまする監督行政とあわせまして、郵政省——何も役所を大きくしろという意味ではないが、実際これだけの大きな仕事を、ただ二人の責任者がやるということであつては、事務の処理をスピード・アツプして行くことも困難だろうし、また疎漏がなきにしもあらずと存ずるのでありまして、むしろ外局を設置して、しつかりした陣容でもつて電波監理並びに今回の法案に示されたところの監督事項許可認可事項を処理して行く、そうして誤りなきを期することが必要ではないかと考ますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  18. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 確かに御説の通り現在の陣容は非常に手薄でありまして、十分の監督をするについては、実は不便を感じておるような実情であります。しかし今日の行政建前から申しますと、あまりこまかいところまでは監督官庁はタツチしませんで、大綱を管理するという建前になつておりますので、その趣旨でできるだけのことをやろうというつもりでおります。現在の監理官二名ということは、確かに仕事の分量から行きまして不十分であるというふうにも思つておりますので、これは実際にやつて参りまして、これではどうしても十分でないとすれば、これは拡大しなければならぬとは考えておりますが、しかし特にこれを外局にいたしまして、監督行政をもう少し拡大してやろうかというような考えは持つておりません。
  19. 羽田武嗣郎

    羽田委員 大臣考え方は、しかるべき点もございますので、これ以上は申しませんが、とにかく流るるごとくして、そうして同時に会社公社事務が円滑に行くように——二人の方では十分ではないと思いますが、御指導なすつて行かれんことを希望いたします。  それから公衆電気通信法の第四条に「公社又は会社の取扱中に係る通信は、検閲してはならない。」と規定されておりますが、これは憲法第二十一条第二項の「検閲は、これをしてはならない。通信秘密は、これを侵してはならない。」という憲法の条章の下部の法律でありますから当然なことではありますが、しかしながら国際問題としていろいろなスパイ事件も起つておりますし、また国際情勢も相当複雑怪奇をきわめておる今日の日本状態におきまして、明らかに日本治安を害したり、あるいは外国に対してわが国の機密を漏らし、国家の存在を危険にするような通信公社の手で取扱われておつても、これに対して全然阻止する手段がないということは、いやしくも国家を構成しておる以上は、非常な抜け穴ではないかと考えるのであります。これは占領下にできた憲法の欠陥の一つとしてわれわれは考えておりますが、こういう点について大臣はどう考えておるか。また将来憲法改正というような場合において、こういつた一般通信秘密は、個人の人権に関することでありますから、これの擁護をすることは当然のことでありますが、こうした国際的な、あるいは日本国内治安を害するような問題については、憲法改正に際して考慮すべき事項の大きな一つではないかと考えるのであります。ことに最近のスパイ通信状態を見ますと、暗号も自由自在にやつたり、そういう点について何か国家存立上まことに遺憾のことではないか、こう私は考えておるのでありますが、この点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  20. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 確かにお話のような点については、十分私どもも矛盾を感じないわけではございません。しかし憲法規定されました条項は、民主主義原則から申しますときわめて重要なことでありますので、やはり検閲というようなことはしないという原則で行かなければならない。そこでいろいろ問題がある場合におきましては、御承知のように刑事訴訟法の方の問題としてこれを取締るということで行くのが、現在においては最も適当であると考えておるわけであります。
  21. 羽田武嗣郎

    羽田委員 刑事訴訟法はすでに国内治安が乱れてしまつたり、あるいは日本の特別な国家機密敵方——敵方というか、相手方渡つてしまつてから刑法取締りを受けましても、これは結局もう結果が通り過ぎて後に、そのあとでもつて追つかけて行つても、これは意味をなさないことでありまして、むしろ予防的な施策というものが必要ではないか、それによつて初めて国家存立というもの、治安の維持というものができる、こう私は考えるのでありまして、こういう点は刑法処罰の対象としてでなく、もつと事前にこれを防止するということを考慮することが必要である、こう私は考えておるのでありまして、こういう点について重ねて大臣の御所見を承り、まあ、今憲法がありますから、憲法わく内の話でありますから、やむを得ないことでありまするが、将来憲法改正というような問題が起つて来た場合には、当然考慮すべき事項の重大なる問題だと考えるのでありますが、この点についてもつと突き進んで、将来の憲法改正というような場合にどうあるべきかという大臣の理想と抱負とを承りたいと思うのであります。
  22. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 取締りという立場から申しますと、あるいは予防というような立場から申しますと、お話のようなふうにいたすことが最も確実であるということは言えると思います。しかし過去における実例等から申しまして、そういうことのために、また通信秘密を侵しましたり、思想の制限をしたりするというような危険もまた一方にあるわけであります。ですからそれはなかなか重大な問題で、憲法のこの規定改正するのが適当であるかどうかということは、私としては今まだ十分に判断がつきませんでございます。現在のところでは、やはり新憲法の精神によりまして、そういう点はできるだけ弊害の起きないような、今の原則を守りつつ何とか予防方法を考えるというのが適当ではないかと考えておりますが、なお検討はいたします。
  23. 羽田武嗣郎

    羽田委員 その点は将来の問題として十分御留意をお願いいたしたい。また事務当局としても十分、そういう場合にはよくごの質疑の行われたことを記憶にとどめて、善処していただきたいということを希望しまして、その点はこれでとめます。  それから電波法の第百七条には、無線によつて日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する通信を発した者は、五年以下の懲役又は禁こに処する。」旨の規定がございます。これに対応しまして、有線通信についても公安を害する通信をした者に罰則を設けるべきであろうと思いますが、大臣の御所見を承りたいと思うのであります。
  24. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 御説のようなことは有線の場合といえども、確かに国家生活から申しますと非常に有害なことでありまして、極力避けなければならないことでありますが、電波の場合と有線の場合では、その及ぼす範囲が非常に違つておりまして、有線の場合は相手だけにしか行かぬという限られた範囲になりますので、電波の場合には厳重な処罰規定がありますが、有線の場合はそれを除いてある、こういう事情にあります。
  25. 羽田武嗣郎

    羽田委員 なるほど特定の限られたる狭い範囲相手方でありますが、しかしかりに国内治安という問題から考えましても、これはやはりまた国際的にもできるわけでありまして、こういう国際的に相手方の国、どこの国にでも有線通信もできるわけでありまして、こういう点についてはやはり何らかの規定をいたして、これを防除することが必要ではないか、こう私は考えますので、この点について、大臣が将来積極的にそういうものを設ける御意思があるかどうか、これをお尋ねいたしておきます。
  26. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 そういうような事例が非常に頻繁に起つて、非常に危険な状態を生ずるというおそれを感じます場合は、むろん考えなければならない問題だと思つております。ただ御承知のように、検閲もできないということになつておりまするので、これをあらかじめ知るということもなかなかむずかしい問題だと思つております。しかしそういうような事例が盛んに起るということになれば、これは検閲の問題にしましても、今のような処罰の問題にしても、ほつておくというわけにも参りませんので、十分そういうことが起ると予想される場合は検討を要する問題だと思つております。
  27. 羽田武嗣郎

    羽田委員 その問題はその程度にいたしておきます。将来御研究をいただきたいと思うのであります。  それから公衆電気通信法の第十三条の二に定義されております新聞電報は、同法の第七十一条によつて一般電報料より低額にすることができるのでありますが、放映事業者放送するための、新聞と同様のニユース内容とする電波をこの中に加えることが適当だと思うのでありまして、今はこれが欠如されております。すなわち現在NHKは、御承知のように新聞編集と同じ態勢で、記者を持つて、そしてスタツフを持ち、編集陣を持ち、そうして新聞社と同様な態勢でもつて、公共の福祉のために、国内国外にわたつてニユースの収集、編集行つておるのでありまして、従つてこのために要する電報無線電報利用も相当活路であるのでございます。この放送事業者に対して、新聞社通信社と同様の通信上の便宜、保護を与えるべきじやないか、またいわゆる民間放送は、現在はニユース新聞社から提供を受けているものが多いようでありますが、将来独自にニユースを収集するようになる態勢にあると思うのであります。こういう点については、やはり新聞社同様の保護を与えて、そうして国内ニユースを敏速に国民大衆に知らせるということが必要であると考えるのでありまして、この点についての大臣の御所見を承りたいと思います。
  28. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 確かに御説のように、放送局につきまして、新聞と同様の特別な扱いを電報についてやつておらないわけであります。その点は現在のところでは同じニユースの問題になりましても、新聞放送の方とは相当の違いもあるというところから区別しておると思いますが、今後やはり放送関係につきましても、ニユースの問題がますます重大になり、その区別をなすことが適当でないというふうになつて来るかもしれません。そういう点につきましては今後なお検討をいたしまして、必要を生じました場合には同様に扱うという方針にしております。
  29. 羽田武嗣郎

    羽田委員 番組放送なんかもすでに低額になつておるわけでありますから、これはおそらく立法当時に、放送局でそういつたみずからニユースを収集するというようなことがなかつたがために脱落したのであろう、故意でなく、そのころはまだそれが発達していなかつたということに原因すると思うのでありまして、これはやはりすみやかに利益の均衡をはかりまして、そうしてニユースを敏速に大衆に知らせるようにしていただきたい、こう希望する次第であります。  それから今回PBXの建設及び保存の直営方針を変更して、加入者による自営を認めることになつたことは、私は非常にしかるべきことだと実は思つておるわけであります。とにかく戦前におきまして、全国に多数のそういつた業者もありまして、それが戦争が苛烈になつて来ましたために、自由企業を禁ぜられて国家に奉還をいたして、電話設備会社に統合をいたしておるような、泣くに泣かれない気持で彼らはその職場を放棄せざるを得なかつたような状態であるのでありまして、今回これを再びこの業者に認めるということは、私はしかるべき措置であると考えておるのであります。ことに加入者または専用者は、設備に要する実費を負担しておるにもかかわらず、所有権が公社に移るというようなことはどうしてもぴつたりしないという点も、現実にそういう施設をされている利用者の苦情、不平不満を絶えず私は聞かされておるのであります。それからそれを施設をするのにも、今まではどうも手続きが煩鎖でありまして、なかなかさつさとやつてもらえないというようなことで、工場や会社、旅館業者といつた人たちが、仕事を進めて行く上に非常な不便があつたと私は思つておるのであります。これはやはりもとをただせば、結局独占的なやり方であつたために、料金も非常に高いし、迅速に施設をしてくれなかつたというような点にあると思うのでありまして、その意味においては今回自営を認めることになつて、業者の介入を許すことになつたことは、利用者にとつては天来の福音ではないかと思うのであります。のみならず、長い間不平不満のあつた業者の人たちが、今再び日の目を見て平和の日本において、自分の十年来やつて来た天職ができるということ、そしてたくさんの人々がこの業務に従い、またたくさんの労働者も従業することができるということは、PBX利用というものがますます盛んになつて来る時世に適したことであると、私は信念としてそう考えておるのであります。今までの行き方から考えて一転機をなしたということは、これらの関係者のためにも、また利用者のためにも、非常に大きな道が開かれ、同時にまた公社の側にいたしましても、これらのものとの自由競争によつてサービスをいたして、真に公社としての使命を果して行くところに、初めて公社というものが愛される公社になり得るのだと考えるのでありまして、この点については政府案は適当であると思つておりますが、今回そういうふうにされるについての大臣としての御所見をあらためて承つておきたいと思うのであります     〔中村(梅)委員長代理退席、委員   長着席〕
  30. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 PBX設備の問題につきましては、今お話のように公社だけでなく、施設者の自由によりまして、ほかの業者にもやらせてさしつかえないということに今度の法律ではいたしたわけであります。その理由はお話のありましたような点が主眼でありまして、やはり施設者の便宜というものを最も尊重しなければなりません。その方が施設者にもサービスが十分できるというように考えましたことは、お話のあつた通りであります。ただそれにつきましては、一方で施設の基準とか、監督とかいうことも十分考えまして、自由にだれでもやれろということにしたために、乱れて基準が落ちる。それがため電話のオペレーシヨンもうまく行かなくなるということになりましては、たいへんなことになりますので、一方でそういうふうに自由にいたしまして、施設者の便宜を十分はかつて行くと同時に、監督方面もこの法律で十分規定をいたしまして、それがために弊害が起らないようにしたい、こういう考えでこの法律をつくつたわけであります。
  31. 羽田武嗣郎

    羽田委員 業者も万全を期すことのできないことはもちろんであります。しかしながら自由競争においては、インチキをいたした者は結局滅びて行くのでありますから、そういう自然的な競争以外になお十分なる御監督をなさつて、そして利用者も十分満足の行くようになされることを希望いたします。  それからこれに関連いたしまして、PBXの自営は、私が今申すように非常にけつこうな改正であると思いますが、それならばなぜ乙種の増設の自画というものをお認めにならなかつたのか、この点についての御所見を承りたいと思います。
  32. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 PBXと乙種増設とは、かなりの実際的違いがございまして、乙種増設の方はPBXと違いまして、普遍の架設とほとんど違いがないというような状況にありますので、これはPBXとは別個に扱いまして、公社にやらせた方が適当である、こういう判断のもとに別個にいたしたいわけであります。
  33. 羽田武嗣郎

    羽田委員 大体私のお訪ねをいたしたいことは以上をもつて終りますが、また何かさらにあらためて承ることがありましたならば、後の機会に承りたいと思います。留保して質問を終ります。
  34. 山田長司

    ○山田(長)委員 有線電気通信法の制定に関する法案について。大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  この電気通信法の制定によりまして、関係を持たれる人は、全国で約四千七百件からの多きに達するわけでございます。この法案は解釈のしにくい点がたくさんありますので、ややもいたしますると、この法案の制定によつて業者自体に迷惑のかかることが生じて来るのではないか。たといばこの法案の中に、人体に危害を及ぼす、もしくは物件に損傷を与えないようにすること、こういうふうなことが規定されておりますが、非常に抽象的な言葉のために、この字句の解釈がなかなかつかないで知らないうちに犯してしまうというような事態がずいぶんあるのではないかと考えられるのです。そこでこれらの業者に対して、政府一定の資格を与えてこれを取締るというふうなことは考えられないものかどうか。今日までの業者の中には、大臣が表彰した業者もある。あるいは公営放送をやつている人たちも中には見受けられるのでありますが、この法案によつてとにかく法律に関心を持たれて、かわるだろうということが考えられるのであります。とにかくこれには常識的にやはり一つわくを持たせる必要があるのではないかと考えるのですが、この点大臣所見はどうであるか、一応伺いたいと思います。
  35. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 確かに御説のように、この法令を見ますと非常に漠然とした点がございまして、わかりにくい部分ができて来るかと思いますが、第十一条によりまして、具体的技術基準は政令で定めるということになつておりますから、政令の方で具体的なこまかい点をわかりやすく規定いたしまして誤解のないように、間違いのないようにして行きたいという考えでおります。従いまして、それがあればだれにでもわかるだろうというようなことで、特に資格というような問題については考えておらないわけであります。
  36. 山田長司

    ○山田(長)委員 この法案によつて、手続が非常に簡素なために、次々こういう形の業者が生れるということが考えられますが、こういう点についてはやはり何か徹底的な指導を当局としては考えてよいのではないかと思うのです。そういう点についていかなる指導の方針をお持ちであるか、これを大臣に伺いたいと思います。
  37. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 確かにある程度そういう指導的な面は考えなければならぬと思つておりますが、実際に考えておるこまかい点は、ひとつ監理官から御説明申し上げます。
  38. 金光昭

    金光政府委員 ではただいまの大臣の答弁に補足して御説明申し上げます。  ただいま御指摘のありましたような点もありますので、有線電気通信設備をいたします施設者の中でも特に大規模のもの、たとえば鉄道事業であるとかあるいは電気事業等につきましては、専用施設の相当厖大なものを持つておりますので、そういうところにおきましては、この通信に関する技術者も相当数を擁しておるわけでございます。そういうところにつきましては、時に届出をさして事前に技術的な指導をいたす必要もないわけでございますが、有線放送だとかその他小規模のものにつきましては、必ずしも技術的の一面で十分でないところもあるやと思いますので、そういうところにつきましては、二週間前に届出をいたさせまして、その工事等について一応技術的な指導をなし得る期間を置いたわけでございます。そこでその事前届出によりまして、先ほど大臣から説明いたしました技術基準に合致しておるかどうかというような面についての指導をいたしまして、それによつて施設後におきます、たとえば他の通信に妨害を与えるとか、あるいは人体、物件等に危害、損傷を与えるというような危険のないような推置を講じたいと存じておる次第であります。
  39. 山田長司

    ○山田(長)委員 イギリスの場合などでは、全国に有線で、日本におけるNHK以上のたくさんの聴取者を持つて、その設備で、国家の一朝有事に備える放送をしているという話を伺つておりますが、日本の場合には、残念でありますが、ほとんど零細資本に近い資本でこういう仕事をおやりになつておられるので、ややともいたしますと、この仕事を冷視しておるのではないかと私は思うのですけれども、これらの問題につきまして、政府といたしましては、この仕事の将来の問題について、これを育成しようというような気構えがあるかどうか、こういう点を大臣にひとつ伺いたいと思います。
  40. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 今お話のような点も、むろん考慮すべき点があると思いますが、現在のところでは、特にそういう問題は考えておりません。今後なお検討を要する問題と思つております。
  41. 山田長司

    ○山田(長)委員 この法案が制定されることによりまして、あるいは都道府県において県の条例とか、あるいは都の条例とか、そういうものがこの法案ができたことによつて、次々と設けられて行くのではないかと思うのです。そういう点について、大臣はどういうふうにお考えになられるか、一応伺いたいと思います。
  42. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいまの御質問、実はあまりはつきり了解しにくいのでございますが、都条例で、どういうような点を次々ときめて行くのではないかというお話でございましようか。それを伺えるとたいへん仕合せでございます。
  43. 山田長司

    ○山田(長)委員 たとえば今声の仕事について、街頭でやられている宣伝放送、あるいは共同聴取の問題、こういう問題の時間の制限というものは、現在何ら設けられておらないと思うのです。それが人畜に危害を及ぼすという法案が出ることによつて、都道府県において、そういうことにおける時間的な制約とか、あるいは声の出力の問題とか、あるいはスピーカーの数の問題とか、こういう問題が当然考えられて来ると思うのですが、これらについて、出ると思われるか思われないか、こういう点を伺いたいと思います。
  44. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 少し技術的の問題もございますので、監理官から御説明申し上げます。
  45. 金光昭

    金光政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。この有線電気通信法で規制しております面は、たとえば有線放送で例をとりますと、あくまでも設備の面のみでございまして、その放送内容だとか、あるいは放送時間というような面につきましては、御承知のように有線放送業務の運用の規正に関する法律という別途の法律で規正するようになつておるわけであります。その施設の面のみをこれは対象といたしておりますので、ただいま御指摘になりましたような面は、むしろ騒音防止といつた別個の見地からの問題ではないかと思いますので、その点につきましては、この法律としては別に触れておらないわけでございまして、都道府県条例等でどういうふうにするかということにつきましては、私の方では今のところ承知しておらない次第でございます。
  46. 山田長司

    ○山田(長)委員 たとえば放送局の自動勤車とか、新聞社が持つている自動車とか、あるいは業者が持つている自動車とかいうふうな場合に、このスピーカーに関連のある設備、これはこの取締り規則のうちに入るのかどうか、これを伺いたいと思います。
  47. 金光昭

    金光政府委員 ただいま御指摘になりましたようなものは、有線電気通信法の規律対象外でございます。
  48. 山田長司

    ○山田(長)委員 たとえば千葉県の木更津の在だという話ですが、ここに五里四方にわたる有線設備があつて、これを郵政大臣が、非常に設備がいいというので、御表彰なすつたそうでございますが、表彰なすつた内容は、どういう基準でなすつたのか、これを伺いたい。
  49. 金光昭

    金光政府委員 ただいま御指摘になりました問題につきましては、おそらく電波関係の方で、ラジオの共同聴取という面で表彰したのではないかと存じますので、私ここにその例を存じておりません。
  50. 山田長司

    ○山田(長)委員 なお伺いたいことがあるのでありますが、次の機会まで一応私の質問を保留いたします。
  51. 松前重義

    ○松前委員 私は公衆電気通信法につきましてお尋ねいたします。先ほど羽田委員から、政府提案を非常におほめになりましたことについて、少しばかり御質問を申し上げます。公衆電気通信法の中のPBXの問題でありますが、このPBXの問題で一番問題になるのは、電気通信という事業、すなわち、電気を通じて、人間から人間に意思や音声を伝えるところの、あるいは電信符号を伝えるような事業、こういう事業につきまして、少くともその建設及び保存の立場から見まして、これを一元化しなければならないという原則は、世界的な原則であり、技術上の絶対条件であるのであります。世界中のすべての国、大体私が知つております国のすべては、このようなものをまちまちにちよん切つて、それぞれの運営を分断するようなことはいたしていないのであります。この意味におきまして、まずPBXの問題につきましては、御提案の趣旨に対して全面的に反対の気持を持つております立場から御賛同を申し上げます。すなわちPBX施設その他につきまして、電話立場から見れば、通話の円滑を期する意味において、障害あるいはその他が起つて、市外線を通じてやるような、そういう通話の場合において、もし故障が起つたような場合においては、一体だれがその障害の責任を負うのであるか、この点についてお答えを願います。
  52. 庄司新治

    ○庄司政府委員 障害が起きました場合の責任の所在いかんというお尋ねかと思いまして、お答えを申し上げたいと思います。電気通信回線が障害になつたという場合に、その障害の所在地がわからない場合には、その回線全体が使えないという状態になるのであります。それでどういうふうにして障害を見つけるかということになるのでありますが、結論的に申し上げますと、区間的に障害を切りわけて行くという方法をとらざるを得ないのでございまして、最初だれが区間的に切りわけて行くかということになるわけであります。そのときには通話をしたいという人が、まず通話ができないということを一番最初に発見するわけであります。そうしてその人がそのものよりの試験台に対して通話ができないということを申し出ましたときに、初めて試験台で障害区間の切りわけという操作を、始めるわけでありまして、その切りわけした結果において、それが公社の区間である場合には、公社が障害の修理をする責任をとるわけであります。そ、れからPBX施設である場合には、その施設者がその障害の回復の責任をとるということに相なると存じます。
  53. 松前重義

    ○松前委員 単純さを持たなければならない、しかも迅速な通話を必要とし、瞬間的に伝わつて行くという電話の特性に対しましては、ほんとうに緩慢にして複雑多岐な関係において、これらの障害の問題をお考えになつておられるということに対して、まずもつてわれわれは奇妙な御提案だと思うのであります。障害の責任の分界点は、今のようなまことに複雑多岐な方法で御発見になり、あるいは一日か二日かかつた後に障害がわかるということに相なるかと思うのでありまするが、その責任の所在は別といたしまして、とにかく通話の円滑を期するという意味におきましては、非常に大きな災いを残すものであるということは、提案者御自身もお認めになつておることであろうと思うのであります。しかもこの問題の最も中心をなします公社もやれば、業者もやるというような、まことに何のことやらわからぬチヤンポンな案、これこそは今のお話をより以上にまことに複雑多岐ならしめるものであると思うのであります。こういう意味におきまして、一応PBXに対して何ゆえにこういう御提案をなさつたか。こういうとんでもない、世界中でも奇妙な案、先ほど羽田君からえらい御讃辞がありましたけれども、あれはまつたくしろうとの何も知らない人の讃辞であると私は言いたいのであります。とにかくこういう天下の珍案をお出しになつた理由について、大臣から伺いたいと思います。
  54. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 工事を画一的に、確実に実行するという趣旨から申しますと、松前委員のおつしやつたように、一本で確実にやらした方がいいというりくつも成り立つかと私は思います。ただしかし日本の現状から申しますと、公社だけがやるということになつたのでは、施設者の希望通りに迅速に、円滑に行かないという事情にあると思います。施設者が希望通り円滑に、早く施設ができるようにしまして、施設者の便宜をできるだけはかつて行きたいという趣旨から、こういう法律をつくつたわけでございます。しかしこれができましたために、松前委員のおつしやるようないろいろの欠陥、弊害等が起きては、またたいへんなことになりますので、それを施設の基準とか監督というような方面から防止して、そういう弊害が起らないようにしながら、施設者の便宜をはかりたいという趣旨で実はつくつたものであります。
  55. 松前重義

    ○松前委員 大臣は、施設者の便宜を、はかり、迅速に工事もでき、これらの通話もできるようにしたいためにやつた、という御趣旨だそうでありますが、しからば公社というものは迅速にやれないのであるかどうか。こういう要求があつたときには、民間業者よりも負けるつもりで初めからおいでになるのかどうか、公社側からお聞きしたい。
  56. 靱勉

    ○靱説明員 松前委員も御存じの通り、かつてPBXはむしろ各施設者が経営するというのが原則であつたのです。しかるに終戦後、特にGHQの指示簿もございまして、全部これを公社の直営とした。その理論的根拠は、事業経営の観念からしまして、特に電話事業におきましてPBXを自営するということは、先ほど御指摘の通り私ども理論的にやはり正しいと存じておりますし、電話事業経営者が電話サービスとして非常に発達した、便利なサービスを他にまかせておくことはいかぬことであることは、理論上まさに正当だと存じております。爾来電通省、現在においては公社におきまして、PBXのサービス改善を非常に熱心にやつて参つたわけでございますが、引継ぎ当初におきまして、必ずしも需要にマツチしなかつた、あるいはサービスの点におきまして、非常に大勢の人が参りまして一個のPBXを設置するのに、ある意味においてははげしい批判の対象になるような事例もあつた次第であります。またみずからその能力のない場合におきまして、たとえば某所においてPBXを設置するという場合に、それをさらに請負に出した。そこで三人の請負者が来てやるのに三人の監督があつたということで、非常に批判を受けた例もございます。しかしながらこれにつきましては、電気通信事業経営者の責任としまして、私どもとしましてはかなりサービスの改善をいたしまして、できるだけ需要者の御希望に沿うような努力を続けて参つております。現在のサービスが百パーセント私ども責任を持つてつているというほどの自信はまだありませんが、非常な改善を見ている段階にあると存じます。従いまして、本法案におきまして規定されている点は、公社が迅速にサービスが提供できないから、施設者の自営にまかせてあるという観念ではないと私ども信じている次第であります。
  57. 松前重義

    ○松前委員 ただいまの公社は必ずしも業者に負けないサービスを今後やるというお話でございますが、先ほど大臣お話では、公社よりも民間の方がはるかにサービスがいいから、そつちもやらせるのだというようなお話でございました。この点はこの法案の非常な矛盾であると思うのでありまするが、大臣はいかがお考えでございますか。
  58. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私が申し上げましたのは、公社がやるよりは他の業者がやつた方が完全に行つていい仕事ができる、こういう意味で申し上げたわけでは決してございません。公社だけにやらしておきますと、公社仕事の能力の問題もございますし、また競争もないということになります。そこで一方優秀な業者もこれがやれるということになりますれば、公社の手の届かないところもそれで補つて行けますし、また自然サービスについての比較の問題も出て参りますので、両方にやらしました方が、利用者からいたしまして好ましいサービスが得られる、こういう意味で申し上げたわけであります。
  59. 松前重義

    ○松前委員 どうも御答弁の内容によりまして、私ども納得がいかないのであります。何だかもうろうとして、何ものかがそこにひそんでおるような感じがいたします。そもそもPBXという——このごろはアメリカ側が日本を占領いたしましてから、こういうハイカラな名前が出て参つたのでありますが。この私設交換なるものは、かつてはいわゆる民営に全部まかされておつたのであります。その当時の姿を見てみますと、もちろん当時の逓信省はこれを監督をしておつたのでございますが、監督はしておりましても、PBXの業者がたくさんにできましたときに、その無数の業者の中からいろいろな弊害を生じて参つたのであります。御承知のように、利用者というものは電気通信に関してほとんど知識がない方が多いのでありまして、ある人ならばごまかされもしませんが、ない人はすぐごまかされる。故障もないのに、それを修理するのに大したお金もかからないのにたくさんのお金を請求し、非常な不当な利得を得る、これが当時の姿であり、私どもはこの問題について民間の施設者が非常に泣いた事例を知つておるのであります。今日の業者の人々は、おそらくそういうことをするという仮定のもとに考えてはならない、りつぱな人ばかりであろうとは思うのてありますけれども、しかし年月がたち、人がかわれば、決して日本が戦前の姿よりもより以上に道義的に発達したとは私は考えないのであります。こういう意味からいたしまして、ただいまサービスがいいというようなお話でありますけれども、必ずしもサービスがいいというよりも、むしろその反面にただいまのような非常な弊害を生じた。このことは、私どもそれらの仕事にかつて関係した者として忘れることのできない事実であります。監督はするといつても、不完全な設備をして、しかもいつ故障になるかわからぬような施設によつて、大事な長距離回線、非常な多額の投資をやつたところの長距離回線を通じて通話をいたしまするということが、その不完全な、家の中の部屋と部屋をつないだというような、そういうわずかの区間の不誠実な仕事のために、あるいはその保守の悪いために、全体が死んでしまうというような犠牲を払わなければならないのであります。私どもは小さな個々の問題よりも、国家の大局よりこれを考えなければならない。先ほども申し上げましたように、世界中でこういう奇妙きてれつなやり方をする国は日本だけであります。日本が敗戦の後に復興しなければならないというならば、なぜもつとほんとうに割切つた姿において進んで行かないか。そういう政治がなぜできないだろうか。どこからどういう動きがあつたかわれわれは知りませんか、四べんも五へんも案がかえられたそうであります。事務当局の案はそうではなかつたそうであります。われわれは冷静な立場に立つて、少くとも原案というものが、将来非常な災いを日本通信網に残すということを、今日断言せざるを得ないのであります。大臣は、このかつてPBXにありましたところの弊害について、今後はないと言つて御答弁になるでありましようけれども、この弊害が起つたために、この統一が行われ、多少のサービスのと申しますか、施設の不平不満はあつたにしても、公社というものができたということは、すなわち電気通信省のお役人さんでは、なかなかサービスの改善も自主的な通信の建設もできない、であるから半官半民のような公社形態にしてこれをやらせようというその目的を達するために、この間法律がかわつて公社に切りかわつたばかりであります。これがサービスが悪いからまた民間にゆだねるのだという、なぜ初めから電信電話事業を公社にしないで、民間事業にしなかつたかと言いたいのでありますが、こういう問題について小さな家の中のお台所の話からもう少し外に出て、数千億の資金を投じて電信電話網の健全な発達をはかろうというときに、世界に類のない珍案をお出しになつたその理由、その関係について大局的な御説明を大臣から伺いたいと思います。
  60. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 公社のみにまかせないで、業者にもやらせて、利用者の希望、自由にまかせるという案にいたしました理由につきましては、実は先ほど申し上げた通りでございます。松前委員のおつしやるように、以前業者に自由にやらせました時分に、いろいろの弊害があつたということは私も聞いております。ですからそういうことがあつてはならないという点はまつたく同感でありますが、一方で十分の監督、規律は実際上なかなかむずかしい点もありましようが、施設についての基準の規律をつくり、これを励行するということによりまして、業者の不当な工事を防ぎ、その後の監督についても法律できめてございますので、これを励行いたしまして、一方でこの法律をつくりましたような、私どもの考えておる利便というものを実現して参りますと同時に、今前委員の御心配になりますような欠陥は、今言つたようなところから、ぜひともこれを除いて参りたいと考えておるわけであります。当時弊害が起きましたいろいろの事例もございましようから、これはむろんこれからの監督行政の参考としてそういうことをできるだけ防止する、そうしてさつき申しましたような利用者の利便と私どもが考えておる点は何とか助長する、こういう方針で実はやつて参るつもりであります。
  61. 松前重義

    ○松前委員 どうもあくまでも承服はできません。この問題についてはもう少しあとに質問を継続することにいたしまして、今日は大綱の御答弁を得たいために先へ移りたいと思います。  その一つ監督要員であります。大体監督要員としてどのくらいの——ただいま監督を非常に厳重にするというお話がございましたが、監督範囲、すなわち技術的監督だけであるかどうか、施設に対する施設費の監督もなさるのであるかどうか、それらに対する監督要員、これらの要員をどのくらい一体見込んでおられるのであるかどうか、これについてお聞かせを願いたい。
  62. 庄司新治

    ○庄司政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げたいと存じます。施設についての監督という簡単な言葉で申し上げましたが、内容は技術的な監督のみでございます。経費の監督はいたさないつもりでございます。技術的な監督は、しからばどういう程度のことをどういう人数でやるかという点につきましては、ただいまではまだ最終的な結論まで通していないのでございまして、目下検討中でありますが、一応の考え方といたしましては、私設設備を、PBX公社の回線に接続した場合に、その接続することによつて公社の現在保持している回線の良好さが阻害されるというようなことのない技術基準をつくりたいと、こう思つております。
  63. 松前重義

    ○松前委員 監督に対する御用意はなくて、監督はするとおつしやるのでありますか。
  64. 庄司新治

    ○庄司政府委員 これは監督の用意がなくてやるという意味ではないのでございまして、最終的な結論がまだ出ていたいということなのであります。その技術基準につきましては法律にも書いてございますように、「公社郵政大臣の認可を受けて定める技術基準に適合しないとき、」というふうな表現を使つてありますように、公社において相当前からいろいろな検討を各方面から加えておるということでありまして、その技術基準は、公社立場からも考えるし、それからをPBX御使用なさいます使用者の立場からも考えるし、あるいはまたこれを工事する人の観点からも、各方面から、しかも種類といたしましては、松前委員はすでに御承知と思いますが、自動とか、共電、磁石、あるいは電力というふうな各方面につきまして、しかもやり方といたしましては建設をやる場合の基準、あるいはこれを保存をする場合の基準というふうに、各方面から相当詳細な検討を加えなければならないのでありまして、その最終的な結論までは今は出てないということを申し上げたのであります。
  65. 松前重義

    ○松前委員 どのくらいの監督要員を見込まれて、どのくらいの予算を見ておられますか。大体この法案を出されるときには、当然監督は厳重にするということをしばしば大臣からも承つておりますから、当然そのくらいの御用意はあると思うのでありまするが、それを伺いたい。
  66. 庄司新治

    ○庄司政府委員 先ほども法文を読みましたのですが、監督という言葉が非常に響きが悪いといたしますと、監督ということですが、内容は私設有線設備が技術基準に適合しておるかどうかということを見るということでありまして、監督という言葉ではないかもしれませんが、技術基準上に適合しておるかどうかということを調べるということなのでありまして、その調べるのは、公社が調べるということになつております。そうしてその技術基準は、どの程度の技術基準であるかということが最終的にきまるのは、郵政大臣の認可を受けてきまるということになつているのであります。公社側では相当陣容もおありになるのでありまして、郵政省側の陣容は少いかもしれませんが、郵政省側としては技術基準をきめる場合の認可をするだけでございまして、郵政省側としては、そうたくさんの人数を考えていないということでございます。
  67. 松前重義

    ○松前委員 いよいよもつて、昔の状態より悪い状態に立ち至ることを証明なさつておられるような感じがいたします。前は逓信省が直接監督をして、相当な監督要員もおつたのでありますか、今度は公社がそれを調べるだけであつて郵政省監督陣容はほとんどなきにひとしい。一体だれがこの通信の円滑な疏通に対する責任を持つのでありますか。郵政大臣が持つといつても、持てるだけの陣容を持たないじやありませんか。そうして通信というものが、その切り離してはならない、電気の通信というものをこんなに分断してはよくないということはわかり切つたことで、こんな案を出したら世界中でほんとうに笑いますよ。私は何らかの含みを持つてやられる政治が日本の政治であるといつても、こんなにまで政治が堕落すべきものではないということを痛切に感ずる。いくら伺いましても同じような答弁ばかりで、また伺えば伺うほど、この内容がおもしろくない。私は昔よりも必ず悪くなる、このことを断言してはばからぬのであります。しかもわれわれ民間側といたしまして一番困ることは、技術的な問題と同時に他岐の問題です。非常にぼられる。それから保守の場合においては、大したことはなくても相当の額を修理費としてとるというような弊害が、今のこれを出願してやるような人たちの中にはないにしても、将来必ず出る、このことを一応大前提として考え、社会的な弊害として考え、そうして通信の一元化の立場から考えなければならぬと思うのであります。そこでそのほかにまだ伺わなければならぬこは、数字上の問題、ことに監督立場においてどのくらいの人間をお使いになるおつもりか。調べるとおつしやるけれども、だれが調べるのか、調べるならばその人たちはどのくらいの人数、定員を予定しておられるのか、組織の機構はどういうようになさるのか、それからまた技術基準は大体どういうものか、それから抽象的なただいまおつしやつたような技術基準はわれわれといえどもわかるけれども、大体どの辺まで監督をやるつもりか、郵政省監督に必要なる陣容は一体どのくらいの陣容でなさるつもりか、これに対する予算体系その他を資料として伺いたいと思うのであります。これはあとでよろしゆうございます。  それからもう一つ問題になりますのは、これは別に大臣にというのではありませんが、このPBXの案が論議されます途上におきまして、私どもが逓信省を去つておりましたときであつたろうと思いますが、私はPBXの問題については全然当時は触れておらなかつた。ところが当時のPBXに関する公聴会において、徳田某という人が証言か何か知りませんが、やつたそうであります。それに私、松前がPBXを民営に移すことに非常に賛成をしておるというような発言をして、それが速記に残つております。私はこのことについて非常に大きな迷惑をこうむつておる次第であります。このことはまつたく事実無根であり、徳田という人がどういう人であるか私は知らない。このような動きの中に生れたところのPBXの案であると私は思う。これは私が一番よく知つておる。こういう虚偽を申し立てる運動の中に起つたものであると私は信ずる。この点につきましても、本質から政府は考え直していただかなければならない。この徳田某の問題は今後の問題として残すのでございますけれども、今日はとりあえずこのことを速記にとどめまして、そうしてただいま申し上げました事柄について、次でもよろしゆうございますから、資料を提供していただきまして、この問題の質疑は今後まだ継続いたすつもりであります。
  68. 橋本登美三郎

    橋本委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます。次会は明後十九日午後一時より、三法案について参考人より意見を聴取することにいたしたいと存じます。   これにて散会いたします。     午後四時二十一分散会