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梶井説明員 ただいまの
企業的見地からこの
事業が成り立つやいなやという
お尋ねのように存ずるのでありますが、この五箇年
計画を遂行して行きます上において
一つの困難な点は、実は収支相償うやという問題であります。その問題は現在の
電話料金が適正なりやいなやということにかかるわけでありますが、
一般物価に比較いたしまして、現在の
料金はむしろ低廉であるということを言い得るのではないか。
従つて電話料金をすみやかに改正することによ
つて、この五箇年
計画の収支相償わない点は是正ができるというふうに
考えております。
従つて料金をどういうふうに改正するかということになりますと、現在の
料金体系が正しいかどうかという根本問題から検討いたしませんと、従来の歴史的に
漸次に上
つて来た
料金が公平であるということは必ずしも言い得ないのではないか、そういうふうに思うのであります。
従つて企業の
合理化という
見地から、
料金の
体系を目下根本的に研究しつつありまして、それによ
つて成案が得られたならば、
料金の改正を必然的にお願いしなければ、収支の
バランスはとりにくいということを言い得るのであります。またもう
一つの問題は、終戦直後できるだけ早く
戦災電話を
復旧する。またできるだけ多く新しく
電話を
架設したいという方の希望を満たすという
意味におきまして、
事業が
継続事業でなか
つたのでありますから、年々歳々の需給だけを
考えて、あらゆる
設備をみな使うことによ
つて今日までや
つて来てみたのでありますが、これを
継続事業にして
考えますと、本来ならば
基礎的な工事からやりまして、そうして全体をかたい
基礎の上に立てなければならないのでありますけれども、ただいま申しましたような事情の結果、今日
東京におきましても、ある局は一本も
電話が
架設できない。あるところは
余裕があるというような、非常な跛行的な
状態にな
つておりまして、これを今後の五箇年
計画によ
つて是正することがぜひとも必要である。そうしないと将来の経営というものはうまく立たない。そういう
意味において、さつき監理官から御
説明がありましたように、従来大体市内、市外平均いたしまして一
加入当り二十五万円の
経費がかかると申してお
つたのでありますが、
基礎的工事もあわせて
考えるならば、当分の間は三十万円ないし三十五万円かかります。さらに
先ほど大臣からお答えがありましたように、実はこの五箇年
計画によ
つて加入者を百五万
増設することにな
つておりますけれども、しかし百五万を
増設したならば、今後の要求は全然なくなるという
状態になるかといいますと、決してそうではありません。なおさらに次の五箇年
計画を立てない限り、申し込んだらばすぐ雪話がつくという
状態にはなり得ません。また市外線の方におきましても、アメリカ、ヨ—ロツパのごとく、申し込んで受話器をあげたままにおいて遠隔の
加入者が出るというふうにまでは、この五箇年
計画においても完成はできないのであります。しかし今日まで長い間遅れて参りました
電話事業でありますから、一年、二年をも
つてそれを回復するということは困難なのでありまして、
従つて五箇年
計画を二回ぐらい継続することによ
つて、大体ヨ—ロツパのレベルに到達したい。アメリカのごとく極度に発達したところまでは持
つて行けないまでも、少くもヨ—ロツパの英国、ドイツ、フランス
程度にまでは持
つて行かなければならないという
考えのもとに、この
計画を立てたのであります。
従つて事業計画といたしましては、将来のことを
考えますと、十分に
償還のできる
程度の収支の
バランスがない限り、単に借入金のみによ
つて事業を経営して行くということは、非常に不安定な
状態にあるわけです。すでに今日まで約六百億
政府資金を借りておるのであります。これもいつかは返さなければならないのであります。ましてや今後
加入者に社債を募集しますのは、
先ほど監理官の
説明の
通り、五箇年間すえ置きで、
あとの五箇年間には
償還するのであります。
従つてあとの五箇年間においては
償還するところの原資となるべき利益が上らなければならない。また
外資導入がたとい可能であるとしましても、やはり同様にこれもさほど長期には借りられない。元金を返す必要があるのであります。
従つて電話料金の改訂という問題は、あわせて元利をも支払うという原則のもとに、収支の
バランスを
考えなければならないのであります。なお
外資の問題につきまして、この
資金をいかにして五箇年
計画に予定するかということでありますが、これは単なるわれわれの目算であります。まだ何らお願いをして承諾を得たわけではありません。仮定的に申し上げますならば、約七百億の原資に対して、二十八
年度におきましては、
政府資金を約三百億、社債を
加入者負担のもの約五十億、それから
一般市場に公募します社債が約十億、それから特に市外専用
電話とかあるいは方式変更を必要とするから社債を持ちたいという方の分を約十億、合せて社債は七十億であります。
加入者の
設備負担金、
東京における三万円というものを合計いたしまして約五十億、それから
事業で生んで参りますところの減損償却の費用が来
年度におきまして百六十五億であります。そうして来
年度予算におきましては、初めは約七百億足らずでありましたのですが、
補正予算において修正されました結果、
補正予算において
計画された工事を二十八
年度につけ加えましたので、七百二十三億ばかり原資が必要とな
つております。
従つてその差額の
資金をできますならば
外資によ
つて得たいというように
考えておりますが、
外資の問題につきましては、実は
公社が八月一日に発足いたしましてまだ日が浅いものでありますから、
外資そのものについてわれわれ十分の知識を持
つておりません。
従つて電力その他で
外資を導入するにつきましては大蔵省が中心にな
つて、その必要を世界銀行から来た人に折衝をするということで目下とりまとめておられるのでありますが、われわれの方もぜひその中に入れていただきたいということを現在お願いしておる
程度であります。しかしあらかじめ世界銀行から派遣されております二人の米人に対しては、現在の
電話事業の
拡充の必要性並びに五箇年
計画の概要を英文に刷りまして、そうしてそれを持
つて行
つて事情を理解していただくというだけの工作はいたしました。けれどもまだ正式に
外資についての交渉を始めたわけではありません。これは
政府において方針をきめられまして、それによ
つてわれわれの方の
外資も世界銀行に交渉するということに決定いたしましたならば、そのとき初めてどれくらいの
程度まで融資していただけるかということもきまると
考えておる次第であります。