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1952-12-10 第15回国会 衆議院 電気通信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十日(水曜日)     午後二時十二分開議  出席委員   委員長 橋本登美三郎君    理事 本間 俊一君 理事 有田 喜一君    理事 松前 重義君 理事 原   茂君       西村 茂生君    貫井 清憲君       福井  勇君    松村 光三君       中曽根康弘君    楢橋  渡君       鈴木 義男君    松井 政吉君       三輪 壽壯君    阿部 五郎君       山田 長司君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         郵政政務次官  平井 義一君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君  委員外出席者         郵政事務次官  大野 勝三君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 十二月十日  委員池田勇人君、寺島隆太郎君、山口喜久一郎  君及び淺沼稻次郎君辞任につき、その補欠とし  て福井勇君、廣川弘禪君西村茂生君及び鈴木  義男君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)     —————————————
  2. 橋本登美三郎

    ○橋本委員長 これより開会いたします。  前会に引続き、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたし、質疑を続行いたします。  この際皆さんに御了承願いたいのですが、大臣は三時ちよつと前に他の約束があつて出なければならぬそうでありますから、大臣に御質問の方はその時間内にお願いいたします。松村光三君。
  3. 松村光三

    松村(光)委員 数日来の質疑応答によつて、ある程度の輪郭はわかつたけれども、この機会に基本的な問題について大臣に伺いたい。  第一に、独占はいけないというのは、テレビについては自由競争を原則とするという意味にとつてよろしゆうございますか。
  4. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 テレビ等につきましては、御承知のように電波から来る制限がありまして、普通の意味での自由競争ということはどうしてもできないわけであります。電波の割当の許される限度におきまして独占でない方がいい、こういう見解であります。
  5. 松村光三

    松村(光)委員 それはすでに明瞭になつている。現在においても東京で三本は許される。ことに進駐軍がはずれればさらに四本にふえる。そうするとこれは少くとも三本ないし七本は可能であるという意味であります。電波範囲内であることはもちろんでありますけれども、テレビに関しては大体そういうものは自由に競争させることがいいという考えであるかということを伺つておるのであります。
  6. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 テレビのようなものはどうしても特殊な設備技術、相当の資金等を要するのでありますから、それらの点が完全でしつかりやれるという見通しがつけば、三本許せるものなら三本許して、お互い技術発達なり経営についての錬磨をし合うということが、聴取者から見まして最も望ましいことであろうと私は考えております。
  7. 松村光三

    松村(光)委員 理論上の根拠が不明瞭である。ただ聴取者からというだけでありますが、これは独占自由競争かという経済政策というか、国策の基本に立つ大きな問題でありますので、聴取者からなんという単純なことでなく、企業経営形態その他各方面から見て、もう少し基本的なしつかりした論拠がなければならぬと思う。学理上並びに実際上もう少し徹底した論拠があるべきはずだと思いますが、いかがでありますか。
  8. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 企業性質等から考えてみまして、基本的な理論から申しましても、独占でやるべきものではないであろうと思います。しかしさつき申しましたような技術設備資金等いろいろな関係がありますので、理論的に独占にすべきでないといいましても、それらがそろわなければむろんできないことであると考えております。
  9. 松村光三

    松村(光)委員 同じ郵政省管内において、郵便電信電話企業形態についてはとうお考えでありますか。
  10. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 御承知のように郵便国営形態電信電話国営と純民間中間に当るような公社形態ということになつているわけであります。仕事性質から申しまして、テレビの場合と郵便事業とは違つておりますので、郵便等については私は現在のところはやはり国営がいいと思うのでありまして、これはやはり仕事内容性質から来る結果であると考えております。
  11. 松村光三

    松村(光)委員 公社中間性と見られるが、大体において国営に近い形態である。これは議論でなくて、ただアメリカのまねをして公社という形をとつているが、すべての点において郵政省管理支配権を持つている。そういう意味から言つても、形はかわるけれども本質的には多少そこに問題が残つている。アメリカのように電話を極度に発達させようとするならば、民営にして自由な競争をさせれば発達することは明瞭である。何ゆえ日本において郵便電信電話発達しないかといえば、国営であるからだということは輿論の一致したところであるが、それをはずし得ない。こういう論議から言うならば、国営がいいという議論は簡単に成り立たない。郵便電信電話限つてアメリカのように民営にした方がよりすみやかに、より簡易に発達するというお考えは、大臣においてはまつたくないかどうかということを伺います。
  12. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 アメリカ経済的地盤日本とは非常に違つておりますので、アメリカでそれが非常に発達し、成功したからといつて日本でも必ず行くとは考えません。また電信電話というものは非常に公共性を強く持つておりますので、これを純然たる民営でやるがいいか、相当公共性を持つた国営に近いような形でやる方がいいかということは、やはり政策上の見解の偉いになるかと思つておりますが、私が今日考えるところでは、日本の経済的な地盤、いろいろな点を考えまして、公社形態というようなものが最も適当しておるのではないかと考えます。
  13. 松村光三

    松村(光)委員 今までの行き方にとらわれておれば、今のような御議論が成り立つと思います。しかし電話がかくのごとく幼稚で発達しないという根本の原因は、もう議論の余地はない。国営でやつてつて予算に縛られておるということ、これはすでに問題でない。だから普及とかそういう点から考えるならば、電話民営にしなければいかぬ。ただ国家財政の見地や何かで民営に移せないというなら別ですが、普及発達という点から見るならば、電話民営に移すということは、ことに大臣が持論のように言われておる独占はいかぬ、なるべく自由競争がいいという大きな経済政策観点に立たれるならば、当然民営にしなければならぬ。電話だけが国営がいいというのでは、私は論理的に徹底しないと思うので、重ねて伺います。なお鉄道国営でやつてつたのが、今日国営民営とがまじつて行われておる。今の理論のように、鉄道のようなものは公共性という国家観点から重要であるといつて、最初から国営一本でやつてつたの民営地方鉄道を許した。その道行きを考えても電信電話については、ことに普及、便利という点から見るならば、少くとも電話だけは今日の形態では絶対に普及しないということは明瞭なんでありますが、しかしこの形でも徐々に緩慢に普及するよりしかたがないという考えでありますかどうかを伺います。
  14. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 電話のようなものは普及するにいたしましても、地方の非常に人口の少い不便なところまで普及をさせませんと、公共性には合致しないわけでありますが、純然たる民間ですと、日本のような国ではなかなか困難な事情があるのではないかということも考えまして、先ほどのような意見を申し上げたわけであります。
  15. 松村光三

    松村(光)委員 地方の話が飛んで出ましたが、東京はどうですか。今日東京では二十万円も出さなければ電話がつかぬ。これは簡単明瞭に、地方人口の少いところまでは及ばぬけれども、東京とか大阪とかいう、徹底的にすみやかに普及しなければならないところは民営がいいという結論に、今の大臣お話ではなるのではありませんか。
  16. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 東京は確かにお話のように、非常に電話が不足しておりまして、その整備拡充ができないで、非常に困つておるわけであります。しかし東京のような大都会でありましたならば、料金の点で、営利性で自由にやれるということならば、これはむろんやれるだろうと思います。しかしやはり電信電話というようなものは、さつき申し上げましたように公共性社会性の非常に強いものでありますから、純然たる営利会社のように、ただ採算だけで料金を自由にさせるというわけにも参りません。そういう点も考えますと、公社形態がまず適当ではないかと考えます。
  17. 松村光三

    松村(光)委員 同じことを押問答するのも無益でありますが、普及という点からいうならば、テレビについても普及々々と大臣は言うておる。電話についても普及重点を置くなら、やはりこれは民営でやらす。民営だと、採算がとれるかとれないか、採算がとれなければ始めませんから、そういうことは心配いらぬ。その点は大臣の主観とたいへん違つて、やはり自由競争とかなんとかいうことでなく、何はともあれ、国家で押えておこうという伝統的な頭から切り離し得ないというのが真相でありまして、この点は大臣説明が徹底しない。独占はいかぬ。自由競争がいいという観点に立たれるならば、今のように電信電話もある程度考えなければならぬと思うし、基本的の国策でありますがゆえに、繰返して伺つておるわけでありますが、なおもう一度繰返して言う。採算という点からいえば、引合わなければやりませんから御心配いりません。普及という点からいえば、民営に移さなければ普及できません。もう何十年もそうなつておる、こういう点が、長い間の伝統にとらわれておる国家のこびりついた頭ではできないのだ。テレビに非常に飛躍した構想を持たれるならば、やはり鉄道と同じように、電信電話、ことに電話については、もう一段郵政省としての構想を練つて行われなければ、このままでは——一体電話は二十万円ばかりではない。幾らかけても東京はつかないというのが現情であります。これは簡単に国営なるがゆえにと断定してさしつかえないと思いますが、いかがでありますか。
  18. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私の見解では、現在電話が非常に不足して不便であるということが、松村委員のおつしやるように、ただ純然たる民営企業でないからということだけではないと考えておるのであります。それから競争という問題でありますが、テレビラジオ等は、ほかの事業と種類が違つておりまして、同じ品物を多数の業者で取合いをするというような関係が非常に少いもので、一つ受像機を持つておれば、たくさんのテレビ会社ができましても、みんながそれで聞けるということになりますので、独占による影響とか、競争の場合の状況というものが、非常に違うだろうと私は考えております。
  19. 松村光三

    松村(光)委員 程度の問題だということに解釈するよりしかたがない。テレビとその問題は程度の差ということに解釈してよろしいのですか。程度の差というのは根本的の違いという意味ではない。私は今の説明程度では、程度の差としか解釈できない。
  20. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私の今言つた通りでありますから、それによつて御判断願うよりほかないと思います。
  21. 松村光三

    松村(光)委員 その問題はこの程度にして、私大臣競争独占に関する基本的の、ことに理論的の説明が承服できません。徹底しておると思いません。  第二の問題に移ります。公共性としきりに言われておる公共性という点から見れば、テレビは公営でなければならぬ、こういうことをしきりに言われておる。この公共性ということと大衆性ということとは、どういう関連がありますかを伺います。
  22. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私の見解は、テレビはすべて官営でなければいかぬ、あるいは公社形態でなければいかぬと言つておるわけでは決してございません。やはり民営テレビもいいということを言つておるわけで、放送法によりましても、その並立を認めておるわけであります。
  23. 松村光三

    松村(光)委員 並立は認めておりますが、公共性という観点から見るならば、民営商業ベーステレビではおもしろくないということを過日来言うておられる。公共性という観点から見るならば、民営でない方がいいということをしきりに言われておるが、さような意味ではありませんかということをお伺いいたします。
  24. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 そういう簡単な意味ではございませんで、公共性を特に徹底して発揮できるような形態としては公共放送というものが考えられ、そして営利性をある程度加味して商業放送というものも考えられる。この両方を並用してさしつかえないのだ、こういう私の見解であります。
  25. 松村光三

    松村(光)委員 今のような後説明であるならば、大体NHKの方は公共性がある、こう解釈してよろしゆうございますか。
  26. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 営利性を持たない、つまり広告によらない放送NHKはやるわけであります。その意味営利性制約というものを受けないという点で、営利性から来る制約のためにやれない公共的放送というものもできる、こういう見解であります。
  27. 松村光三

    松村(光)委員 現在のラジオを見ると、実はこれは人の意見もそれぞれ違うと思いますが、どうもNHK民間ラジオプラグラムの状態を見ると、まあ五十歩百歩という現状である。ですから、しきりに政府の強調される両方区別についても、現状ラジオにおいてはある程度の差であつて、五十歩百歩である。従つて政府のねらつているような民間放送よりも片方は公共性があるという問題も、プログラムの組みようです。しかしそれも今日のラジオで大体その見当がつくのである、こういう点からいうならば、実際問題としてそれほど明確なる区別はなし得ないと思うのでありますが、それはそれとして、過日報道機関の問題について、政府ラジオに関してはどういう方針をとるというようなことを、官房長官説明の中に加えたように記憶しておるのですが、私は今それをはつきり記憶しておりませんけれども、将来報道機関というものが認められた場合には、テレビに関しては政府は一体どういう態度をとるのかをお伺いいたします。
  28. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 御質問の要旨が実は正確にはよく私には理解できませんが、放送内容について政府テレビジョンについてどういう政策をとつて行くのか、こういうふうに理解してお答えをいたしたいと思いますが……。
  29. 松村光三

    松村(光)委員 それと同時に政府報道機関NHK重点を置くやいなやという二つの質問であります。
  30. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 今のまず政策方面でありますが、御承知のように言論統制思想統制というようなことは、民主主義下において絶対にやるべきではないという考えを持つて政府はやつて行かなけれげならないと思つております。ただしかし風俗破壊とかいろいろな点でもつて法に触れるようなことがあれば、むろんこれはやらなければなりませんが、テレビのようなものは先ほどから申しますように、たとい民間放送でやりましても公共性を持つておるものでありますから、テレビ会社自体がむろん自粛をすべきものでありますし、お互いにそういう点はやつて行くべきものだと考えております。  それからこれからのテレビ放送について、政府NHKを特に中心にしてやらして行くということをやるのかという御質問でありますが、私はそういう考えは持つておりません。
  31. 松村光三

    松村(光)委員 この間報道機関の問題を出したときに、テレビに関して何か政府は附帯的な説明をしたということを聞き及んでおります。速記録がありませんから、これはいずれ速記録を調べますが、これは政府に近い機関であるがゆえに、少くとも政府に関する報道機関というものは、NHKを重視してやるというような意味合いの説明があつたのではないか、と思いますので、今大臣が……。
  32. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 それは海外放送のことではないのですか。
  33. 松村光三

    松村(光)委員 海外放送のこともむろんそうです。これはしかし商業放送海外放送は絶対にやらぬと今言い切れないと考えます。そこまで推測はつき得ないと思う。そこで、何か官房長官からこれに関する説明があつた。これは速記録を調べまして——はつきり官房長官はそのことを言うておられると思いますから……。
  34. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私も正確には知つておりませんが、新聞に出たところで読んだと記憶しておりますのは、例の問題になつております情報機関設置と関連して何か話があつたように記憶しております。そのときの記事として私が記憶している範囲で申し上げますと、海外への宣伝とかなんとかいうことも政府考えなければならないのだ、そういうような場合には、HNKが現在海外放送もやつているのだから、それを利用するのだというようなことをおつしやつたのだと考えております。
  35. 松村光三

    松村(光)委員 昨日、この電波審議会諮問機関にあらずして決定機関なるがゆえに、政府は当然これに拘束されるという御答弁はつきり聞きました。ところがこの答申案の十一ページに、これは日本放送協会に対していろいろなことを言うているが、その第二に、テレビジヨン放送の実施はこうこういう理由によつて東京において行うことを適当と考えるので、協会事業計画及びこれに伴う収支予算及び資金計画は、東京におけるテレビジヨン放送局に限定して、これを変更すべきものである。」こうはつきり言つております。東京に限定しようということを明確に決議しておるのでありますが、放送局から出る原案は限定も何もしておらない。これは東京大阪名古屋はおろか、全国にこれをやるということを、書類の上ばかりでなく繰返して言うておる。ここに「限定して」とある意味政府はどうおとりになるのでありますか。これをお伺いいたします。
  36. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私がきのう申し上げましたのは、電波監理委員会決定に対して拘束を受ける、その審議過程において出ておりますいろいろの意見は、これは参考にはすべきでありますけれども、その意見通りにしなければならぬという拘束は受けない、こういうことを申しました。そうして今御指摘の十一ページの第二にありますのは、予備免許を与える決定を留保する理由としてあげられているところであります。
  37. 松村光三

    松村(光)委員 留保して与えられているということはただ言葉お答えであつて、ここに明瞭に——これはもう過渡的の説明ではありません。はつきりした報告書です。だからこれは限定して——それはここだけではない。あとたくさんある。もう一つ、それならばこれは参考と言うかもしらぬが、この電波審議会の方の答申にもそれと同じようなことが書いてある。その理由の中に、はつきりと東京におけるテレビ放送局開設大阪名古屋調査をせよということが出ておるのですが、いかがでありますか。
  38. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいま私の意見書を付して御承認を要求しておりますのは、この通りでありまして、東京でもつて来年の二月に放送を開始したいという計画と、大阪名古屋については調査をしたいという計画になつております。
  39. 松村光三

    松村(光)委員 それではNHKをもう一度呼んで来なければわからないことになる。これをよく読んでごらんなさい。開設するのは東京だが、この予算をごらんになると、もう九月には工事が完成するということになつておる。これはあなた常識考えて金を使わずに九月に工事が完成いたしますか。これは調査でなくて開設工事をどんどんやつておるということがはつきりしておるのであります。そういうことになると今の大臣の御説明では私は大いに承服いたしかねます。どんどん工事をやつておるということは、予算ばかりではなくて事実なんです。
  40. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私の理解するところによりますと、調査のための予算を出しておるわけでありまして、事実二十八年度の後半において放送を開始したいという計画は示されておりますけれども、それをもう建設しておるというふうには考えておりません。
  41. 松村光三

    松村(光)委員 今のような御答弁だと、この委員会大阪名古屋その他に出張して実地の調査をやらなければ議論は進みません。しかし九月に開設するというのだから、今から工事を進めておらなければならぬわけで、そういう点もう少し常識論でやつてもらわなければ、われわれ現地に出張して審査しなければならぬことになります。これは重ねて追究するわけでありますが、もう少しNHKの当事者を呼んで聞きたださなければ、ここにちやんと書いてあること自身が非常な間違いになるということになりますよ。こういうものを国会に出して来るということは国会を侮辱しておるということになりますよ。こういう計画を出すこと自身国会を無視しているのです。それでは大臣に聞きますが、二十七年にやつてはならぬと言つておるのにどんどんやつておるのですから、結局ないしよでやつておることになる。それを黙認するかどうかはとにかくとして、やつておるということは事実であり、現実の常識論じやないかと思います。この審議会結論には、東京に限る、そのほかのところは調査程度にしろということになつておる。だからこういう郵政省決定機関を無視してまでこういう予算を出して来るということは、あまりにも国会をなめ過ぎておると思います。そういう意味から、こういうことはこの機関には何も権限はないのだから、参考にしておいて、郵政省はかつてにやるのだというのですか、この点を繰返して伺います。
  42. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 その点については先ほどお答えした通りでありまして、はつきりと確定した事項につきましてはむろん拘束されるわけでありますが、中途過程意見等につきましては、尊重はし参考にはいたしますが、拘束はされない、こういうことになると思います。
  43. 松村光三

    松村(光)委員 それは重大なことです。それは中途過程の問題ではありませんよ。ここにちやんと理由として、何ゆえにあるものを認めて、あるものを却下するか、その理由ですよ。大臣言つても、大臣はおられなかつたのだから無理なのですが、事務当局は知つておられるでしよう。これは過程報告ですか。大臣過程議論だとしきりに繰返して言われますが、これを過程議論だということになると、何でもみな過程議論ということになりますよ。
  44. 長谷慎一

    長谷政府委員 ただいまお話の出ました電波監理委員会議事録で、私の承知いたしておりまするところを申し上げます。ただいまご参照になつておりまする当議事録の十一ページの、日本放送協会に対して予備免許を与える決定を留保する、そういう決定をなしたことについての理由のところを述べておられるのでございますが、私どもは予備免許を与える決定を留保されたことは、行政処分を行わないで郵政大臣に引継がれたものと考えます。言葉をかえて申し上げますと、審議未了と何ら違わないのである。ただ日本放送協会について電波監理委員会がこの瞬間までに検討をした意見を付して、郵政大臣に引継がれたものと解釈されるのであります。なおその際になぜそういう意見を付したかという理由を述べておられますが、その理由の中にあげておられます数字その他も、その後日本放送協会から出ている申請の訂正、補正等によりまして、内容もかわつているのが現状でございまして、ただいま議案として御審議願つております数字その他も、この当時の内容とは違つております。その点を御参考までに申し上げておきます。
  45. 松村光三

    松村(光)委員 数字についても、そのときはいいかげんな数字で審査したもので、あとから出たものがほんとうだということを言い出したならば、今日出したものは過程のものだからだめだ、明日のものでないとほんとうでないということになつて来る。そういうことになつたらいつまでも議論は転回しますよ。かりにいいかげんに出したものであつても、いやしくも議決機関が審査したものに対して、今のような御答弁はなし得ないと私は思います。そういうことであるならば、今後のすべての審議はできません。あとから出たものがほんとうであるという御答弁は詭弁に過ぎると思う。もう少しざつくばらんに、詭弁でなくやつてもらいたい。やはり一旦出た数字というものは信頼してかからなければいかぬと私は思います。     〔橋本委員長退席、有田(喜)委員   長代理首席〕  それからももう一つこれは大体参考資料的のものだ、だから審議未了と見るという御答弁だが、これはどうかと思う。審議未了であるが、しかしこれを基本として審議しておるのです。審議未了というのは、決定はつきり与えたものだけが審議未了でないということになり、留保したものだけが審議未了であるという区別をつけておられますか。留保したものは審議未了であるから参考で、決定を与えたもののみ確定的意見であるという意味でありますか。
  46. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。最初に私が御説明申し上げたのが不十分で御了解を得なかつたと思いますので、補足をさしていただきますが、この理由のところに述べております数字その他がかわつておるということは、この当時の対象になりました日本放送協会から出ておる申請書の内容違つておるのであります。ちよつと御参考に申し上げますれば、その当時は東京だけでなしに、大阪名古屋にも二十七年度中につくり上げるという内容でありましたが、今日議案として御審議願つておりますのは、二十七年一度は東京にのみ本業務を開始して、大阪名古屋は来年度の計画として、本年度は調査だけを行うということに計画の変更がなされました。従つてその申請の内容がかわつておりますので、一言申し上げたわけであります。  次の第二点といたしまして、許可あるいは不許可の行政処分の行われましたものは、そのまま決定事項として郵政大臣拘束し、そのまま引継がれますが、たとい免許を留保したものであろうとも、あるいは審議が全然行われないものであろうとも、同じように審議未了、つまり行政処分が行われないで、郵政大臣に引継がれたものというふうに考えざるを得ないわけであります。
  47. 松村光三

    松村(光)委員 数字の問題は、大体最初でたらめに出したものだから今検討してもつまらぬ、いいかげんのものをやつて、いいかげんの基準で審査したという意味だつたら、やかましく言うと、今度出したものもいいかげんのものだということになる。さつきから大臣調査とかなんとか言つているが、明らかに東京大阪、各古屋はもう調査ではない。内容を見てごらんなさい。しかも、繰返して言うが、二十八年の九月には完成ですよ。完成するならばこれはすでにある程度金を使つておる。これは会計検査院がHNKの会計検査をして、ラジオの金を流用しているかいないかというところまで調べなければいかぬ。郵政省は一体会計監督をやつていますか。そこまで調べなければ、今のような明確な答弁はできない。常識的に考えれば、九月までにやるのなら金は使つておるだろう。使つておるけれども、それは黙許をしておるのだろう。それはとかくあることで、私はそこまでは追究していない。しかし今のように、前の審議会に出したものはいいかげんな数字であつて、かわつてしまつたのだ、ここに出したものがほんとうだと言うが、ここに出したものもまだほんとうとは言えないということを私は申し上げおる。これは大体参考的の数字である、前に出したものはどんどんかわつておるから、何も根拠にならぬ、こういうことはあまりに一時的の答弁であるという意味のことを繰返して申しておるのであります。それから留保したものは審議未了と見るとしますと、却下したものも審議未了と見ますか。
  48. 長谷慎一

    長谷政府委員 先ほど申し上げましたように、許可あるいは不許可になつたものは、行政処分の確定されたものと見なくちやならぬと思います。
  49. 松村光三

    松村(光)委員 これは議論になりますけれども、留保したものは行政処分審議未了であるから、どうでもかつてに行けるという見方は、決定機関であるこの審議会の権威を無視する議論であると思う。それなら審議会がこんなに一生懸命骨を折つて審議しても、行政機関が、あとでどうでもなるのだ、今きまつたことは参考的にしかならぬという意味なんだ。これは繰返して言うが、諮問機関ならそれでよろしい、決定機関での留保とは、ただ時期が今という意味であつて行政処分でやめるともやめないともかつてだということになりますと、これはえらい問題になつて来ますぞ。留保されておるものは一つではないのであります。そういう意味で留保のものは行政処分で自由になる、こういう見解を明確に述べ切れますか。あとにその記録が残つてもいいかどうか、はつきりお答え願いたい。但し行政処分とは、出した内容がおもしろくないとかなんとかいつて、いろいろ事業計画内容を審査してやることはできるが、決定したことでも自由にかつて行政処分によつてどうでもなるという今の説明は、諮問機関決定機関区別を基本として、もう一ぺんここではつきりと記録に残し得るかどうかを伺います。
  50. 長谷慎一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。先ほどから申し上げておりますように、当時の電波監理委員会決定を留保されたものは、結局処分の最後の決定の途中で打切られたというふうに申し上げた方がいいと思うのであります。従つてその後引継がれた官庁におきまして調査を進めて、それの処分の決定を行われるわけであります。審議が完全に完了していないと同様に見られていいのではないかと思います。
  51. 松村光三

    松村(光)委員 調査を進めるとは、申請の当初にさかのぼつてまで調査を進めるという意味ですか。
  52. 長谷慎一

    長谷政府委員 必要があれば当初にもさかのぼつてみる必要があると思います。
  53. 松村光三

    松村(光)委員 しからば決定機関である審議会は、むだなことをやつたと同じようにとれます。参考資料にしかならぬということになりますれば、一番最初までさかのぼつてやりかえるということになれば、それならこんなことを何年もやつたことは無意味になるじやありませんか。一番当初までさかのぼつてつて行ける、やめることもかつてだという今の答弁は、少し無理じやないですか。速記をとめておいてもいいが、あとでえらい問題が起ると思う。一時の便宜に答弁しておると、これは記録に残つてしまう。残つた場合に、初めにさかのぼつて、実はこんなことはどうでもいいのだ、一番当初からやりかえるのだという今の御答弁は、私は郵政省の責任として、そういうことを記録に残すことは避けていただきたいと考える。あまり審議会を無視した答弁と思いますので、繰返して言う、一時の便法的の答弁をなさらずに——記録に残つた場合将来大きな問題になると考えて、一時的でない答弁をお願いする。今訂正されるならば記録は修正になりますから、繰返して申し上げます。
  54. 長谷慎一

    長谷政府委員 ただいまの点を申し上げます。先ほど申し上げましたように、日本放送協会その他一件のテレビジヨンの申請者は審議が結了しないで、結局電波・監理委員会行政処分をなさらないで郵政省に引継がれたのであります。引継がれた郵政省は、先ほど大臣がおつしやつたように、この意見を尊重して参考にされると思いますが、必要があるならば、元の申請までさかのぼつて調査もすることがあり得るということを申し上げたのであります。
  55. 松村光三

    松村(光)委員 あり得るという言葉では濁つて来た。さつきはあり得ると言わない。そういうことは当然の権能として可能なりということで、どつちにもとれる。あり得るということはあいまいである。
  56. 長谷慎一

    長谷政府委員 松村さんには御了解をなさつていただいたと思います。先ほど私が申し上げましたのも、必要がある場合はという言葉をつけておりましたし、権能としてあるいは権限としては私は当然あると思いますが、先ほど申し上げましたように、また常識からいつて同じことを二度繰返す必要もございませんから、もし必要があつた場合にはそういうこともなされるであろう、こういうことを申し上げたのであります。
  57. 松村光三

    松村(光)委員 これは当時の電波監理委員会委員長初め五名の人の審議意見はつきり聞かなければわからぬ。それで電波監理委員会委員全員、並びにあとからできた方の委員も証人として申請します。このことを委員長理事の諸君にお願いしますから、あと委員諸君にお諮り願いたいと思います。  なお大臣がいなくなりましたから、私はまた同じことを繰返さないために、大臣が来てから質疑をすることにして一応留保しておきます。
  58. 松井政吉

    ○松井委員 ちよつとお聞きしますが、今日の理事会では、放送法について質疑が残つている分は、各派とも十分やつて質疑は今日でやめようということが決定されたようです。そうすると理事会の決定通りの運営ができないことになりますが、その点について、これは有田委員長代理に聞いてみても困るとは思いますが、委員長はどのような形でこれを運営するかを一ぺん聞かないと、私は松村さんの御意見に同調するかどうかということについて申し上げられない。  そこで、これは大臣がおらぬから長谷君に質問をいたしますが、御承知のようにただいま松村さんとの質問応答の中に、われわれのちよつと聞きのがしのできない言葉がある。これははつきりしてもらわなければ困る。というのは、電波監理委員会は行政権を持つてつて、行政権を行使する機関である。われわれはテレビジヨンの問題を、前国会において長い間論議したけれども、われわれは立法府として参面しているのであつて調査をする権能と監査をする権能はあるが、行政権を持つておらないために、どこに免許をしていいかという権限はわれわれにはなかつたので、最後の行政権行使の免許は電波監理委員会にまかさざるを得なかつた。電波監理委員会テレビジヨン免許に関し、参考人その他の関係者の意見も聞きながら審議をした、その正式な報告も数度にわたつてお伺いしている。その結果電波監理委員会が今夜の十二時に行政機構改革でなくなるという瞬間に、テレビ放送網株式会社に仮免許を与えることにし、放送協会の方には附帯条件のようなものをつけて、予算上可能の場合にということでおしまいになつておる。しかしその間において電波監理委員会審議を進めたことであり、でたらめではなくて真剣にやつたと思われるのです。ただいま出て来たものは、今度郵政省に移つた審議会決定をした、こういうことになる。ところが電波監理委員会及び審議会決定は、松村委員はインチキである、ごまかしであるというような言葉質問をなさつておる。われわれは行政権を持つている機関がインチキであるとは考えたくない。インチキにあらざる審議の結果、案件となつてここに出て来たのであるかどうか、これはひとつ明確にお答えをしておいてもらわなければ困る。
  59. 松村光三

    松村(光)委員 あなたの言うことと私の質問しておることと反対だ。インチキじやないからこれは重きをおかなければならぬ。こつちの答弁がインチキだから……。
  60. 有田喜一

    ○有田(喜)委員長代理 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  61. 有田喜一

    ○有田(喜)委員長代理 速記を始めてください。
  62. 長谷慎一

    長谷政府委員 松井委員からの御質問に対して申し上げます。私どもは電波監理委員会が合法的に正当に決定をなされたものと思うのであります。従つて電波監理委員会行政処分をおやりになつたことは、そのまま何らかわらない形で郵政省に引継がれております。但し先ほど来お話が出ました予備免許を与えず決定を留保しておることは、結局一般的な言葉で申しますと審議未了一つでございますから、それを引継がれた郵政省内容調査をして、これに免許を与えるか与えないかの決定をする。つまり行政処分郵政省に引継がれたわけであります。その場合には、その申請の内容を引続き調査いたしまして、郵政大臣が意思を決定される。その場合には電波法に基きまして電波監理審議会に諮問をいたしました上で決定をするわけでありますが、もしも必要がある場合には、電波監理委員会の調べた資料その他についても目を通してみる。資料の必要があるならば申請書をもう一度見直すこともあり得るということを申し上げたのでございまして、大臣もしばしば繰返しておられるのでありますが、電波監理委員会決定にはならないが、意見にはこれを十分参考にし、尊重するということを申し上げておるのでありますが、私どももまつたくその通り考えて進んでおる次第であります。
  63. 松村光三

    松村(光)委員 松井君の言われたことは今の答弁で、明瞭と思うので、一応松井君の考え方を御訂正を願います。
  64. 松井政吉

    ○松井委員 今の御答弁で明瞭になりましたから……。
  65. 松村光三

    松村(光)委員 私には少しも明瞭にならぬ。なぜかというと、資金を見直すというたり、全部取消すということもあり得るというたり、大体尊重しないということである。松井君の聞かれた行政機関決定したことを見直してやりかえるのだ、こういうことをしきりに言われておる。見直した以上は、全部やりかえてどうでもなるという意味なのか。いやしくも決定機関である行政処置に対して見直すというならば、行政機関できめたことをもう一ぺん見直すという意味にとれることが一つ、もう一つはそういうことならば大体予算を出す前に、審議会が許可するかしないかを先にきめて、行政決定をしてから予算を出すのでなければならぬ。予算の認可を先に出しておいて、それから行政処分をやるということは逆である。なぜ逆かというと、これはNHKが多分異議の申請をしたはずである。こういう決定をしておいては間違いである。決定を先にしてそれから国会予算を申請するのが筋だという異議の申立てをしたことは、NHKの筋の通りであると思う。今のような許可するかしないかわからないものを、なぜ予算国会に出すかということになる。今の局長の答弁は、予算を出したことが間違いであるということになるどうなるかわからぬものをなぜ予算を先に出した。これがゆえNHKは異議の申し立てをしたのであります。これは議会の審議権に対しまして、予算を先に出したということは非常な間違いだという結論になるが、それでもよろしゆうございますかということを今の点と関連して伺います。
  66. 長谷慎一

    長谷政府委員 私どもの承知いたしています限りにおいて、NHKがそういうような異議申立てをしておるということは聞いておりません。
  67. 松村光三

    松村(光)委員 聞いておらぬと言われるが、その点に関してはどうですか。
  68. 長谷慎一

    長谷政府委員 現在ありません。
  69. 松村光三

    松村(光)委員 いや、そのことじやない。今のように予算を先へ出してもさしつかえないという見解ですか。許可するかしないかわからぬものに対して、これから審議するものに対して、予算を先に出したという前後転倒のことはどう考えておられるか。
  70. 長谷慎一

    長谷政府委員 ただいまのお話の点は、郵政大臣が議案につきましての提案理由を御説明申し上げたときにもお話が出たと思いますが、この議案の御承認国会で得られました場合には、放送協会の申請の内容を審査いたしまして、事実条件等に適合しておるならば、許可を与える意思であるということを申し上げて審議を願つておるわけであります。なお法律的には許可を与えるかいなかという行政処分と、国会の御承認を得るということとは別個に考えられると思いますけれども、郵政大臣とされては国会の意思を重視されまして、御承認を経たあかつきにおいて、すみやかに許可を出し、行政処分をされる、こういうお考えのように承知しております。
  71. 松村光三

    松村(光)委員 言葉は重視というが、ちつとも重視していない。許可するかしないか決定してないものを予算を出して、その予算が通つたらということで、ちつとも重視しておらぬ。一体国会は何を論拠にして決定するか。通るか通らぬかわからぬ、許可を与えるか与えないかわからないものに対して、まず予算を出して、予算をきめてくれればそれを基本に——重視でも何でもない、国会を軽視しておるということになる。許可という言葉が悪ければ、内免許でもいい、何も意思表示をせずに、これを留保されておる。留保されておるということは、今繰返して言つている許可するかしないか、初めにさかのぼつて審査し得るということだ。それでいきなり予算を出して来られたのであるから、主客転倒である。かような予算審議するということでは、私は内容は乏しいと言わざるを得ないのであります。
  72. 大野勝三

    ○大野説明員 だんだん電波監理局長からお答えを申し上げております通りで、いささか繰返しのようになつて恐縮でございますけれども、ただいま御指摘になりました点は、政府側といたしましては十分に国会の御審議をいただいた上で、行政処分はすべきものであるという、これは運用上の考えでありますが、そういうことで、ただいまのような手続に相なつておるわけであります。と申しますのは、ただいま御審議をいただいておりますNHK予算なり、あるいはいろいろな計画資金等の変更は、この内容がすなわち仮免許の対象となるべきテレビ放送の実現を条件づける一番重要な部分でございます。そこでテレビジヨン放送を許すか許さないかということの判断には、当然この問題が十分に検討されまして、妥当なものであるという結論が出た上でなければ、処分はなされないということになる筋合いでございます。そういう筋合いであるのに先に処分をいたしてしまうということは、一方的に政府だけで、計画などはもうよいものだ、独善的なものだと解釈されないとも限らぬと思うのであります。そこで、もちろん主管大臣といたしましての郵政大臣の申されました計画変更等につきましては、法にもその通り定められておりますから、十分検討を加えて意見をつけることは当然でございますので、その意見を付してただいま国会の御審議をいただいておるという段取りになつておるわけであります。そこで国会の御審議をいただきました上で、御承認をいただきますれば、これで初めて完全に行政処分に進み得ると考えておる次第であります。
  73. 松村光三

    松村(光)委員 要するに政府答弁と私の質問とは、ただぐるぐるまわつているだけである。処分ということは、処分でなくても、仮免許というか、いろいろ方法はある。だから処分といつても確定的でなくても、予算を出す以上は——国会事業内容などを審査するこも実はむずかしい、そう簡単にいかぬから、予算だけを審査する。政府予算もそうでしよう、予算を出した以上は、その予算をとつてそれから審議するなどという政府予算が一体ありますか。予算予算でまずきめてもらつて、それから予算をどうするか、使うとか使わないとか、許可するとかしないとか審議するという。それは予算の本質上重視でなくて軽視だと言つているのです。この問題ばかりではない。将来もいろいろな問題で、政府が確定的な処分ができないならば、仮免許とか仮処分とか、国会予算が通つたならば大体この計画は認めるという条件づきでやり得る。     〔有田(喜)委員長代理退席、委員長着席〕 条件も何もつけずに、まず国会予算をきめてもらつたらおれの方できめるというやり方は、予算の本質上からいつても、すべての点からいつても、予算が通つてからあとだという答弁は、私は前後主客転倒しておると思います。今の事務次官の答弁でも同じであります。これは重視にあらずして、繰返し言うように議会を軽視しておる。予算だけきめてしまえ。それからおれの方は行政処分できめよう。これはあまり議会を軽視していますぞ。やはりこれは非常に技術上のめんどうな問題があるから、いろいろ審査してみたら大体いいと思う。しかし決定はできない、処分はできないと言う。内免許だとか、仮免許だとか、もつとはつきりつけて来ないといかぬ。先に国会に責任を転嫁してはいかぬ。予算が通つたらおれの方はきめるのだ、こういうふうに国会に責任を転嫁してはいかぬ。ここへ大臣が来ても同じことを繰返すだけだと思う。こういうことはあとに前例になると思いますし、単にテレビ一個の簡単な問題ではないと思いますので、これ以上同じことを繰返すようならやめていただきたい。
  74. 大野勝三

    ○大野説明員 簡単に一言だけ補足させていただきます。ただいま御審議をいただいております議案は、もちろん審査をいたしまして妥当であるという意見を付して御審議をいただいておるのであります。また行政処分の問題につきまましては、これは提案理由説明等で大臣より御承認をいただければ仮免許を与えるつもりであるというふうに申し上げてあるわけでございます。
  75. 松村光三

    松村(光)委員 今の答弁長谷局長の答弁とたいへん違うのだが、まずこれをやつてもらつてから、これを前にさかのぼつてまで審議し得る……。
  76. 大野勝三

    ○大野説明員 長谷局長が先ほど答えましたのは、電波監理委員会当時に処分が決定をしないで、つまり終局の処分がなされないで引継がれた形のもののその後処分については、必要のあ場合には当初にさかのぼつて調査をすることがあるという一般論を申し上げたものと私は承知いたしております。そこでその点は食い違いがないものと考えております。
  77. 松村光三

    松村(光)委員 一般論でなくて、これを処分するか免許するかということなんだから、時期がどうこうということはあとから派生的に起つたことです。だから予算は先へ通してもらうということは逆じやないかと繰返して言つておる。今の次官の答弁でも明瞭になりませんことを遺憾といたします。  それから、これは事務的なことですが、二十七年度の予算だが、計画は三十二年度まで出ておる。この予算を使う場合に、一体外国にどのくらいのものを注文することになつておるか。すでに注文を発したものありやいなや。二十七年度、二十八年度とわかれば区別してお答えを願いたい。何か資料が出ておるでしよう。
  78. 長谷慎一

    長谷政府委員 ただいま御質問の点の資料は今手元には持つておりませんので、後ほど差上げます。
  79. 松村光三

    松村(光)委員 それならば、なお今の資料のほかに、海外に注文をする、それは外資などに関係があるかないかということ、それからできるならば外資導入の問題、外貨使用の問題と密接な関係がありますので、二十七年度補正予算から年度別に、海外に注文の機械などは聞いてもわからぬかもしれぬが、すでに注文したのはどんなものか、またこれからどんなものを買うか、これはどういう形で外貨はとつてあるか。それは外資委員会に交渉したのかどうか、こういうことをあわせて承りたい。
  80. 長谷慎一

    長谷政府委員 二十七年度のことにつきましては、すでに外資委員会の方に申請をしておる状態でありますが、二十八年度以降は、政府といたしましても、放送協会の持つておる計画が妥当であるかということは、まだ審議未了でありますから、その後のことはわかりません。現在どうしてもとりあえず外国によらざるを得ない機械の一部分及び真空管——大型真空管等でありますが、これらのさしあたつて外国に仰がざるを得ないものは、外資委員会等にも連絡をとつて、外貨の獲得について手続を進めておるように聞いておりますが、もちろんまだこの最後的な決定をいただいておりませんから、結論は出ていないものが大部分だと思います。
  81. 松村光三

    松村(光)委員 審議を進めておるだろう、はずだということをおつしやるが、もう三月までに完成するというのに今から註文して間に合いますか。その時期のずれることはかまいませんが、もう少し明確にお答え願います。
  82. 長谷慎一

    長谷政府委員 既成品は相当短期間に入りますし、設計してつくらなければならぬものは相当長期間を要するわけでありますが、そういうものがあります。またすでに認可を得たものもあるようです。それはNHKが従来研究用として予定しておつたものの一部等が、NHKで今後活用されることになりますから、そういうものはすでに外貨の認可も得て、製作の途中にあるものもあると思います。また既成品ででき上つておる品物で買い得るものは、今後も可能なものが相当にあると思います。
  83. 松村光三

    松村(光)委員 研究中のものはあり得ると思います。そういうようなものは、これから補正予算をとらなくても、とり得るという見通しのもとに注文を発したり、前払いをしたりしておるかおらぬか。それらについてもう少し詳しい数字をあげていただきたい。  ついでにもう少し事務当局に聞いておきたい。日本ではテレビは相当高級ですが、この機械のコントロールのできる技術者は一体どのくらいあるのですか。これはラジオなどと違つて非常にむずかしい。私はなぜそういう質問をするかというと、蔵前の工業大学に行つたときに、日本テレビの機械をコントロールできる人はわずかしかおらないというので、学校で早くテレビ技術者を養成しなければ間に合わぬじやないかと注意したことがあるからであります。つまりテレビのほうとうにわかる技術者はどのくらいあるか、またこわれたときにこれを手がけ得る人間の用意ありやいなや、こういうことをあわせて伺います。
  84. 長谷慎一

    長谷政府委員 ただいま的確な人数を申し上げ得ないので遺憾でございますが、従来からNHKでは長い間テレビジヨンの研究をやつておりますから、そういう人々は建設あるいは維持もできます。また現在試験の段階におきまして、そういう方面の養成もやつておりますし、また製造業者その他の団体方面では、製造技術者あるいは修理業者の養成もやつておりますから、順次そういう人の補充もできると思つておりますが、今的確な数字は申し上げかねる状態であります。
  85. 松村光三

    松村(光)委員 今のことは簡単のようだがそうでない。工業大学では非常に心配して、テレビのわかるエンジニアはいくらもおらぬ、日本全体に百人もおらぬ。そういう状態でテレビをやるのだから、今から学生を養成しなければ間に合わないというので、非常に苦心をされておつた。だから十分な養成とか用意ありというが、私はテレビがよくわからぬが、破損するとラジオ違つて簡単に直らない。現にこの八月、NHKが私の郷里に来てテレビを試験的にやつてみたが、一日半まつたく出なかつた。出ないのが悪いのじやない。距離の関係とかいろいろな関係があつてコントロールできない。一日半かかつて映らない。ようやく二日目の夕方になつて映つた。これは相当デリケートなものであるから、ラジオなどとまつたく考え方が違う。これは郵政省が今簡単に考えておるようなものではなく、よほど今から国家的にエンジニアを養成しなければいけない。計画によると三十何万もテレビを五箇年計画でやろうというのに、テレビがこわれたときに修繕がつかないじやないか。そういうことに関して民間にまかせておくということでなく、技術者の養成や何かで郵政省は何か考えておるか。学校などの整備について何か文部省と連絡をとつて考えておられるものかどうか。
  86. 長谷慎一

    長谷政府委員 ただいまの問題につきましては、御指摘の通りテレビジヨンを今後普及して行く場合には、製造あるいは修理、これを運転する優秀な技術者を確保するということが一つの大きな問題でもあり、解決しなければならぬ問題でございますので、私どもといたしましてもできるだけこの面についても力を尽したいと考えておるわけでありますが、お話のございましたように、文部省関係ばかりでなく、直接関連のあります通産省関係、あるいはその仕事を直接担当いたします製造業者、修理業者等とも連絡をいたしまして、できるだけ早く解決をしたいと努力をいたして来ておりますが、最近において修理業者を主体とした講習会、その他養成所等の卒業生も出るというような状態になつておりまして、急にはできませんけれども、順次そういう技術者の確保、養成ということもはかつてつてテレビジヨン普及にそういう方面からの支障が起きないようにして行きたいと考えておりまして、先ほど申し上げましたように各官庁、各関係方面と連絡をとつて来ておる次第であります。
  87. 松村光三

    松村(光)委員 今の御答弁以上には無理だと思う。大体今から三年の間に二十七万のテレビNHKだけでやろうとする。これに民間放送が加わつて何十万というテレビをやる場合に、エンジニアを今から養成するという心がけはけつこうですが、これはとても間に合わないのじやないか。以前ラジオ普及したときでもそう、このごろはしろうとでもできますが最初は修繕できなくて大騒ぎをした。いわんや高価なテレビは普通のエンジニアではできないと思う。蔵前の工業大学で去年六箇月かかつてようやくワン・セツトつくつて民間でも方々でいろいろなことをやつておられるが、まだあの程度では実用といつていいかどうか問題だ。企業計画だけはどんどん進んで、機械は来た、こわれた、動かないということになると断定する。民間ではどんどんやる、NHKもやる、やるがエンジニアが伴わない。これは明瞭だから一時の答弁でなく、よほど準備してかからないと将来まずいことになる。そういう意味からいつても、この日本テレビをやるということはまだ試験時代、過渡期であると思う。計画だけが先に進んでも実行がこれに伴わないというおそれがありますので、繰返して善処されんことを要望しておきます。
  88. 橋本登美三郎

    ○橋本委員長 皆さんにお諮りいたします。明十一日質疑を続行して質疑を終了したいと存じます。委員各位の御了承を願います。  それでは明十一日の午後一時から、前会に参考人として招致いたしました日本放送協会会長古垣鉄郎君並びに岡部理事参考人として呼びたいと存じます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時三十九分散会