○中曽根
委員 次に
質問いたしますが、先ほど寺島君の御
意見を拝聴いたしまして非常に感銘したところもございます。討論するわけではありませんが、しかし
政府の
方針として承
つておきたいことは、この
電波監理
委員会の
テレビジョンに対する決定の一番の中心はどこにあるかというと、冒頭に書いてある「
テレビジョン放送事業は、独占
企業であ
つてはならない。」これが一番中軸になると思うのであります。そこで、この文中にありますが、「
テレビジヨン放送事業は、
日本放送協会によるものと民営によるものとの併存を認め、一
企業形態の独占に終ることは、つとめて、これをしりぞけなければならない。」これは
放送法の精神でもあり、
電波法の精神である。現在の電気事業に関する一貫した体系であり、精神であります。これはもちろん堅持すべきものであるし、
政府委員もそういうふうに御
答弁なさ
つておる。ところが先ほど来寺島君の御
意見を承りますと、いろいろ事業の
経営その他について問題のある向きが感ぜられるのであります。たとえば二つやる場合に、金融上の問題で困難が起きはしないか、あるいは財政的なロスが起きはしないか、国民
経済上のロスが起きはしないか、こういう向きのように拝せられました。これも
一つの観点であり、傾聴に値する要素だと思います。しかしこの
放送法や、あるいは電気事業の根核を貫くものは、民主主義の精神であります。それは思想を独占してはならぬということにあると思う。従
つてこの思想を独占してはならないという民主主義の
原則は、あらゆる財政的考慮に優位すべきものである。これがくづれるならば、憲法もくづれるという重大性を持
つておる。従
つて電気や水道やガスのような物質の独占とは違う。思想の独占である。それを排除するというのが、
放送法や喜
電波法やあるいは
電波監理
委員会の決議であると私は思う。これだけは断じてくずしてはならぬと思うのであります。そういう厳然たる精神をも
つてやるかということが第一。
第三番目に、もしそれがくずれようとするような場合、たとえばすでに免許に
なつたある会社が、事実上財政的な情勢でできないとか、あるいは国民
経済上のロスがあるとか、そういう事情で実施が不適当である、こういう事態に至つたならば、むしろ私はその際は予備免許を取消すべきである。予備免許を申請したときの条項に違反したことに
なつたのであるから、当然行政処分として予備免許を取消すべきであ
つて、この
放送体系、法体系に矛盾や混淆を来すような措置は断じてと
つてはならないはずであると私は信ずるのであります。もしそれがくずれる場合には、民主主義もくずれるし、
政府の
方針もくずれることになります。これは非常に重要な問題であります。特に思想の独占を行
つてはならないということであります。この二点について
大臣の御信念を承りたいと思います。