運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-12-09 第15回国会 衆議院 電気通信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月九日(火曜日)     午後二時十六分開議  出席委員    委員長 橋本登美三郎君    理事 中村 梅吉君 理事 本間 俊一君    理事 有田 喜一君 理事 松前 重義君    理事 原   茂君       岩川 與助君    寺島隆太郎君       貫井 清憲君    松村 光三君       中曽根康弘君    楢橋  渡君       三輪 壽壯君    山田 長司君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         郵政政務次官  平井 義一君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 愼一君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     古垣 鐵郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     岡部 重信君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 本日の会議に付した事件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)     —————————————
  2. 橋本登美三郎

    橋本委員長 これより開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。前会同様政府当局並びに参考人に対し、並行して質疑を行うことにいたします。質疑の通告があります。松村光三君。
  3. 松村光三

    松村(光)委員 大臣が出席しておりませんので、基本的な質疑はいたしかねるのであります。それで出席できるならばそれから続けてやりますが、もしできないならばやむを得ず部分的のこまかい問題から先に議事を進めるように、いずれでもけつこうですが、政府にお諮り願いたい。
  4. 橋本登美三郎

    橋本委員長 ただいま本会議郵政関係改正法案が出ておりまして、大臣はそちらに行つておりますが、間もなく来ると思いますから、部分的な問題を先に願います。
  5. 松村光三

    松村(光)委員 出ておりますNHK予算に関係することを少し伺いたい。この追加予算が二億九千六百万、大体NHKの現在までの二十七年九月末の予算を見ると、いろいろなものを加えて十九億三千六百万の債券、そのほか長期借入れ六億六千九百万、合計二十六億余の債券並びに長期借入れがあると計算されるのですが、その数字に間違いありませんか。それに追加の二億九千万円が加わると、約二十九億弱の債券長期借入れがあるように思われます。これはここに出ておりますNHK経理の表から計算いたしたのでありますが、私の申し上げた数字に誤りがありませんかどうかをお尋ねいたします。
  6. 岡部重信

    岡部参考人 放送債券のきわめて最近のところを申し上げますと、十一月末で十四億三千三百万円ございます。それから長期借入金が四億円ございます。それにただいまテレビジヨンの御審議願つておる議案の設備資金事業資金が加わるわけでございますが、現在のところはただいま申し上げたように、放送債券長期借入金で十八億三千三百万円でございます。
  7. 松村光三

    松村(光)委員 それは十一月末でありまするが、昭和二十七年度予算に計上された債券並びに長期借入れ予算を見ると、私の申し上げた数字となると思うのです。二十七年度末までにはそうなると思うのです。が……。
  8. 岡部重信

    岡部参考人 ただいま御指摘通り、中波のラジオの方では年度末には十九億八千百万円になるわけでございます。
  9. 松村光三

    松村(光)委員 長期借入れは……。
  10. 岡部重信

    岡部参考人 放送債券が十六億二千四百万円、長期借入金が三億五千七百万円で、中途で返還いたしますものですから……。
  11. 松村光三

    松村(光)委員 多数数字に疑問がありますが、それは根本の問題でありません。  そこでただいまお話のような二十億弱の債務を持つておる。しかもそれは放送債券並びに長期のものである。短期のものは別にあります。こういう負債を持つてつて、さらにテレビに関して追加があるが、一体この追加の二億九千何がしというものは、ただ借入れと書いてあるけれども、これはどういう調達方法をやられる考えであるか。
  12. 岡部重信

    岡部参考人 この二億九千五百万円の借入れでございますが、これは長期で調達する見込みにいたしておりまして、勧業銀行におきまして、国会承認を得ればこれだけ用立てるという約定になつておる次第でございます。
  13. 松村光三

    松村(光)委員 そういたしまするとかなりな金額に上るのであるが、さらに三十八年度以降のこの予算を見ると、これはまたたいへんな金を要し、その合計十四億幾らで、設備資金事業資金借入れを両方合せると二十二億でありますが……。
  14. 岡部重信

    岡部参考人 三十一年度までの合計を御指摘になつておると存じますが、お説の通り設備資金事業資金で、二十一億九千七百万円ということでございます。
  15. 松村光三

    松村(光)委員 ただいまの数字のように、すでに多大の長期のものを持つているほかに、さらに三十一年度までに二十二億の負債をするというが、それはNHKのことであるから可能だけれども、三十一年度までテレビ赤字である。三十二年度に入つてようやく収入が入る。三十一年度までは全然赤字であるが、この状態において四年も五年も赤字で二十二億の金を借りるということは、民間ならば絶対に不可能である。NHKであるから可能であろうが、この償却は、一体どういう方法で将来償却されるか、大体の計画を聞いておきたいと思います。
  16. 岡部重信

    岡部参考人 前々御質問がございますように、NHKといたしましては、できるだけ早くテレビジヨン全国あまねく普及したいというので計画いたした次第でございまして、本年度まず東京において開始し、来年度大阪名古屋で開始する。その確たる見通しにつきましては、こらんいただいたと思いますが、この資料の要綱の七ページにあるように、まず東京大阪名古屋の三局につきまして、これの実現可能であるということを考えている次第でございます。それでさらにこれを毎年できるだけ早く拡充して行くために一応この五箇年計画を立てて、これによつて六五%の全国世帯数をカバーいたしたいという念願でございます。  それでただいま御質問の中にございました資金調達方法でございますが、放送債券はただいま御指摘通り、この年度末におきまして十六億二千四百万円で、これを各年度に割当ててみますと、御承知通り放送債券放送設備に限つて許されているものでございまして、社宅とか単なる事務所、要するに電波を出さない事務所でございますが、そういうところは出せないということに放送法できまつておりますので、それは常に長期借入金なりでやらなければならないことになつておりますが、これを見ますと、この放送債券限度でやり得る、またやれるようにこの計画を立てている次第でございます。
  17. 松村光三

    松村(光)委員 その説明は承服しかねる。設備資金は全部放送債券でやるのが原則であるというが、ここに出ている設備資金だけでも非常な金額で、この表では、今の限度内でまかなえる計算にはまつたくなつておらない。設備資金合計してみますと、設備資金として十四億二千八百万円もあるから放送債券でまかなうとその残りは幾らもない。それはテレビ放送だけでそのほかにラジオ設備を全然やらないというわけではないのですから、そこの点もあるし、もう一つ事業資金は全部長期でまかなうという考え方でありますから、重ねてこの二点について伺います。
  18. 岡部重信

    岡部参考人 ただいま資料について御指摘がございましたように、五年後にこの資金返還が始まります。それからラジオの方におきましても途中の  返還がございまして、そのトータルはどのくらいになるかということを申し上げますと、この通り計画が進捗いたしまして、一番ピークになるときが幾らであろう、これはラジオも含めてでございますが、そうします放送債券長期借入金全部含めまして、二十九年度におきまして総計が三十二億円になる次第でありまして、放送債券の中でまかなえると存じておる次第でございます。自己資金を入れますと、さらに六億円ほどふえます。
  19. 松村光三

    松村(光)委員 その自己資金放送債券でなく長期借入れでまかなうという方針ですか。またそれは見込みだけであつて—見込みだけでもいいのですが、そういう方針ですか。
  20. 岡部重信

    岡部参考人 松村委員の御指摘通り長期資金でやつて行く見込みにいたしております。
  21. 松村光三

    松村(光)委員 見解相違になるかもしれぬが、私は日本経済見通しとして、ここ二、三年は大体こんな調子で行くが、それから先は日本経済も非常な大変革があるということを考えなければなりません。考えようによつては、日本経済の再編成というくらいのことを、二、三年先に当然予期しなければならぬ。この状態日本経済が行けるとは絶対に思えない。これは見解相違であるが、私は絶対にそう思う。だから五年も先の計画として、それを債券長期借入れで行けるという見通しについてはしいて追究しませんが、よほど今から考えておかないといけないと思う。大体NHKばかりでなく、政府当局日本経済をそんな五年も先までこの状態であつて—絶対日本経済はこの状態では五年も続かないということは、常識的にそう考える。そういうことを考えられまして、非常に長期計画を立てることはけつこうだが、その計画を全部借入れでまかなうということはどうかと思う。しいてこの点は追究しませんが、少し甘すぎると私は考える。それと同時に、ラジオ予算がここに出ておらないけれども、これはラジオの問題と関連して聞かなければならぬと思いますが、これはできるかできないかというだけのことで、できると思いますと言えばそれだけのことであります。一応重ねて承つておきます。
  22. 岡部重信

    岡部参考人 私どももこれを実施するにつきましては、御指摘通り相当審重に進めなければならぬ。一方長期になりますのも、できるだけ低廉な料金テレビジョンを実施したいという念願から、かくのごとき計画を立てたわけでございまして、従来の経験に徴しまして実現可能であろうと考えておりますが、御指摘もございますし、慎重に今後とも検討して参る所存でございます。
  23. 松村光三

    松村(光)委員 今の御答弁の中に、低廉の料金ということと、先ほどのできるだけ早く全国に普及するということ、この二つはあとで一括して伺うことにいたします。  そこで経理内容を見ると、NHK全体の積立ては三億余、これは民間のように大体営利を眼目としないからであるけれども、これだけの固有資本十六億に対して一億三千六百万の剰余があるという、再評価もかなりある。しかも積立て割合に少いから、よほど考えないと—NHK自体はこれだけ大きな、固定資産が三十九億、四十億あるが、ラジオ世界的情勢に遅れないように改善して行くためには非常な資金を要するし、さらにテレビに非常な資金を要する。こういうようにNHKが非常な資産を現に持つてつて、これに対する積立金その他もあまり多くない。しかも剰余はその割合に出ておらない。わずかに固有資本十六億に対して八分五厘の剰余が出ておる程度で、将来の大計画、世界的のラジオテレビの拡張をやるという大きな見通し計画を立てておると思うのでありますが、ラジオの方もナレビの方も、こういう大きな計画に対して、償却のこともそうだが、どんどん機械設備を改善して行くことについては、この程度の額では私ははなはだ不満足に思うから、NHKの当事者はどう考えておられますか、償却問題その他のこともあわせてお伺いします。
  24. 岡部重信

    岡部参考人 公共企業体といたしまして、御指摘償却については十分これを念頭におかなければならんことは申し上げるまでもないことでございます。御承知と存じますが償却につきましては、協会資産が比較的消耗度が早いと申しますか、定率法によつて企業健全化を期しておる次第でございます。  なお固有資本と申しますのは、実は従来なかつたのでありまして、二十六年度から放送法施行規則に基きまして経営成果、すなわち損益計算を明確ならしめるために設定しまして、経営成果を見て行きたい。なお経営につきましては、御承知企業会計原則にのつとりまして、公企業としてあるべき姿はそうなければならないのじやないかというので、経理の区分をいたし、再評価につきましても再評価法に準拠いたしましてこれを実施し、一般の企業のように固有資本を設けたのでございます。先ほど剰余金もないじやないかというお話もありましたが、御指摘通り国会において御承認を得た予算を忠実に実行いたしますと、こういう数字になるのでございまして、これもただちに採算が上るというよりは、公共企業体の本質として若干の期間をおくのが本筋ではなかろうか。従いましてさような結果が出ているわけでございます。
  25. 松村光三

    松村(光)委員 一応の説明でありますが、考えなければならぬことは、ラジオも非常な改善を要するのでありますし、ことにテレビアメリカカラーになつていることを考えると、今白黒テレビを遅ればせに始めることは、考え方によつては時代遅れの感もある。だから、将来はカラーに移るということを考えますと、白黒設備をするということは、基本的に革新しなければならなくなることは目の前に見えておる。それもあまり長いことはない。NHKがこれをやらないようなことなら、カラーに移行した場合の準備を今から考えることができないようなら、私はテレビをやるについての根本問題を云々してもいかがかと思います。そういうことを考えるときに、よほどNHK自体資産経理状態を今から基本的に考え直しておかなければならぬと思う。この程度のことでは、私は他日の備えが何もできておらないと思うのです。今から、目先の白黒のみに走つてつて、そういうことに対する準備がない。準備とは、言うまでもなく財産状態を基本的に改善して、そういう変革が起つても、かりに白黒にある程度の金を使つてでも移り得るような経理状態を、今から考えておかなければいかぬというのが一つ、もう一つは、公共事業であるから、あまり剰余金がないようにという今の御説明はまことにけつこうな御趣旨でありますが、しかしこれだけではわかりません。NHK収入は二十九億何がしでありますが、支出のうち、三分の一強の十億幾らというものが人件費になつております。そこでこれは、給与内容をもつとこまかくここに出してもらわなければならない。給与内容をもう少し審査してからでなければ—。大体剰余金をあまり出すまいという考えの結果、給与の極端に多くするおそれなきやいなや。今ここに数字が出てないのでわかりませんが、剰余金が少いということは、給与の問題でNHK経費支出内容を検討しなければいかぬことだと思います。いずれにしてもほかの民間企業給与に比べて、事業支出の三分の一強の給与というのはどうも多いと思います。こういうことを考えますると、繰返して申し上げますが、剰余をあまり出してはいかぬということの反面には、給与その他の浪費—給与浪費ではない、給与その他の浪費であるという言葉を使います。私は給与内容を聞かないから、浪費になつておるかどうか私にはよくわかりませんが、それをもう少し出してもらわなければならない。給料その他のものには浪費があるのではないかという疑義を非常に持つのであります。これは私だけの意見ではなく、しばしば新聞雑誌等で、NHKは相当な浪費が多いということが、長い間の社会の批判的な輿論でありまするので、そういう意味剰余の少いという反面に、そういう浪費なきやいなやをお尋ねしておるのであります。これは資料を持たないから答弁できぬと言うのならば、できるだけ資料を提出願わなければならぬというのはこの意味からであります。一応御答弁を願います。
  26. 岡部重信

    岡部参考人 御承知通り協会予算は、国会承認によりましてこれを使用いたすわけでございますが、その二十七年度予算にも、給与その他の物件費は流用することができないという規定になつておりまして、流用をいたさずにやつてつておるのでございます。なおそれらの単価などにつきましては、二十七年度予算のところに、たしか意見書にございましたと思いますが、提示されておると存じます。なお九月末で支出が過当になつておるのではないかというお話でございますが、この損益計算書事業支出二十九億円というものは、ちようどこの予算に照しますと四七%ということになつておるのでございまして、予算支出上から見ますと、順調になつております。それから給与につきましては、ちようどあの九月でございますから一年の半分で、五〇%が標準になりますが、給与の点については四九%程度になつておる次第であります。
  27. 松村光三

    松村(光)委員 予算その他については国会承認々々と言われるが、責任を転嫁してはいけませんよ。かたく申し上げておきますが、おそらく国会は、このNHK予算などを出して来たところが—そんなことを言うとはなはだ行き過ぎるかもしれませんが、とてもこんな程度予算で、いいとか悪いとか判断する材料にはならぬと私は思う。ほんとうに国会承認するというからには、もつと詳しく経理内容を—ですから国会承認したのだから、それは国会責任があるというような御答弁は差控えてもらいたい。もしそういうことであれば、給与や何か一つ一つ項目について詳しい審査を経てでなければ、国会は断じてさようなことは承服いたすことができません。だから今まではどうか知らぬが、これからは、すでに国会承認を経たのだからというので、責任国会に転嫁するような説明は、絶対に差控えていただかなければいかぬと思う。
  28. 橋本登美三郎

  29. 寺島隆太郎

    寺島委員 この前はきわめてソフト・フォーカスにお尋ねいたしましたが、国会議員たること七年間、実は農林委員会厚生委員会以外に経験を持たざる余輩が、かかるふなれなる委員会において質問いたすということは、テレビジヨン日本に現出せしむべしというきわめて重大なる段階なるがゆえに、あたかも前週末来きようまで農林委員会ちようど休会をいたしておりましたので、その間心配のあまり、与党議員理由をもつて来たのでありますから、高瀬大臣といたしましても率直明快なるお答えを願いたい。しかも率直明快なるお答えの裏口には、吾人はきわめてしろうとであつてテレビジョン大臣は見たかどうか知りませんが、NHKテレビジョンなるものを余輩は見たことがない。しかしながらワシントン、ニューヨーク、サンフランシスコにおいてアメリカテレビジョンは見たことがありますから、その点においてはまんざらテレビジョンの何たるやを知らないというわけでもありませんが、テレビジョンはいかなる骨格構造によつてできるかということに対する知識はないのでありますから、どうぞ私の質問に対して、高瀬商学博士のきわめてラジカルなる論理を駆使してお答えを願いたい。  第一点は、公共テレビジョンもしくは民間テレビジヨン—これは一名商業テレビジョンと呼んでおりますが、公共テレビジョン民間テレビジョン区別、差異の定義いかん
  30. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 公共テレビジョン民間商業テレビジョンとの違い、区別という御質問だと思いますが、私の見解を申し上げますと、これは一つ経営体方面に違いがあります。放送協会のようなものの経営体というものと、民間の純然たる株式会社形態と違います。しかしその区別を設ける基本的な理由は、そういう経営体よりもむしろやはり経営目的従つて事業内容という点に違いがあるというところにあるのではないかと思う。民間テレビジョンといたしましても、やはり普通の民間営利企業とは違うところがあるわけで、新聞ラジオ等と同じような意味において公共性を持つているということは認めなければならない。ですからどちらも公共性は持つている。しかしながら民間テレビジョン経営の仕方として広告料というものを基本的な収入として経営をする、公共放送の方はそうでなくて、受信者から放送料をとつて経営をする、そごに非常な違いがあるのであります。広告料をとつてやる場合でありましても、先ほど言いましたような理由からその営業が相当公共性を持つたものであるということは事実でありますが、広告料収入土台とする点で、一方放送料土台とするものとはどうしても経営方針内容に違いが出て来ると思います。そこに一種の営利性を伴つて参ります。従つて営利的な見地からいつて、どうしてもやれないというようなプログラムとか放送区域はできないという結果になるかと思います。ところが公共放送の方は建前からいいまして、一切そういう常利性を持つておりません。従つて営利性を持つた場合にはやれないプログラムとか、やれない方面への普及というようなことがやれる、そこに違いがあると私は考えております。
  31. 寺島隆太郎

    寺島委員 大臣の御答弁によつて公営放送民間放送とは両者ともにでき上つた終点においては公共性を持つものである、しかしその経営主体が片やスポンサーをもつて収入の大部分とするものであり、片や聴取料金をもつてするものであるということに帰結せられ、その帰納せられる点が、すなわち一方においてはどうしても採算もしくは大衆に仰合といつては恐縮でありますが、大衆の心理にマつチするものにあらざればピつクアつプせられざるということが理論的に解明せられたのであります。両者とも受信者のものであり、受信者それ自体の側に立てるものであるならば、すなわちこれは公共性を持てるものであるという結論を大臣に裏書きしていただきまして、私どもにとつてはきわめて示唆深き御答弁でございますが、これは私は厚生委員長時代からしばしば力説いたしていた問題であります。  そこで派生的にお尋ねいたしたい。この点は現実の問題にはきわめて卓抜せる古垣さんがおいででありますが、これは専門屋でありますから、高瀬商学博士にお聞きいたしたいのであります。放送ないしはテレビジョンというものは大衆のためのものなりや、放送協会もしくは当該会社のものなりや。言いかえますならば、主務大臣といたしましては出で来つた終点においては、大衆利便供与という点において同じく公共性を持てるものであると帰納される、それを一つの論拠にはいたしませんが、行政措置として大臣自身がお考えになつておられる点といたしまして、放送もしくはテレビジョンというものは大衆のものであるか、放送協会のものであるか、日本テレビ網のものであるか、あるいはラジオ東京のものであるか、きのうの政府委員答弁を聞いておりますと、これは大衆のものであるという印象を私は受けたのである。これは大衆のためのテレビジョンなりやいやなという点について、明確なる御答弁を願いたい。
  32. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 テレビジョンなりラジオというものが公共性を持つものであるという点から申しますと、大衆のためであるという点が最も強い点であると思います。また国家あるいは社会という立場から申しましても、それによつて大衆の教養、趣味、文化というものが向上せられるということが、これの実施される一つの大きな目的考えていいと思つております。しかしこれが民間会社として経営される場合は、慈善事業とかその他としてやられる場合とは違うのでありますから、収入はむろん考えなければなりません。収支で樹立できる範囲においてこれを実行するというよりほかしかたがないだろうと思つております。その点公共放送の場合におきましては、大衆がそれだけの利便を受ける場合に、どの程度受信料が適当であるかということを考慮して、受信料によつてまかない得る、秘度のことしかやはりできないという制約はあると思います。
  33. 寺島隆太郎

    寺島委員 しからばもう一つ高瀬商学博士なるがゆえにお尋ねいたしたいのでありますが、実は常利会社、つまりカンパニーなるがゆえに営利目的としなければならないという商学上の制約は肯定するにやぶさかではありません。しかしそのカンパニーにもプライベートのカンパニーあり、また大臣は方々の大学で講義をされて、頭悪き学生をさだめし悩まされた経験もあるだろうと思いますが、会社の中に国策会社、いわゆるホールデイング・カンパニーの類型を持つものもある。過去において日本にも満州鉄道株式会社というものがあつた。商学という学問は私のような百姓議員にはきわめて蘊奥を探求するにかたく、かかる蘊奥を探求する興味もまた今日の段階では有しませんが、現象的にとらえてみても、かつての国策会社がりつばに営利事業を制約して参りました歴史的役割、世界的現状について、商学博士高瀬荘太郎氏の見解いかん。
  34. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 いわゆる国策会社ということになりますと、やはりホールデイング・カンパニーの中にもいろいろあるわけでありまして、国策を加味した目的を持つて経営すべきであるというホールデイング・カンパニーというものが、寺島委員のおつしやつたようなところに当てはまるかと思います。国策会社といわれる場合には、確かに常利以外の国家目的経営目的に入つておる。そこに純然たる営利会社との違いがあると思います。従つてそういう会社である場合には、やはり常利目的以外の政治的な国策的目的遂行を国家が希望するものでありますから、何らかの意味において純然たる営利会社では与えられない特権なり、助成なり、補助なりが与えられておるのが普通であろうと私は思つております。従いまして純然たる常利原則以外の要素によつて経営もまた行われる、こういう状態になつておつたと思います。
  35. 寺島隆太郎

    寺島委員 経営主体といたしまして、高瀬商学博士は、社団法人なる経常組織と、株式会社に国家もしくは国家の指示する法律によつて株を保有せしむる形態において、間接的に国家が監督するという一つ企業システムとの利害得失について、いまだ高等小学校の課程も終らざる頭脳貧困なる寺島委員にひとつお教えを願いたい。
  36. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいまの御質問は、多分純然たる営利会社として経営するということと、国家の監督は受けるけれども、国家からの資本の提供とか、いろいろの援助を受けるという特殊な会社、そういう形態とどちらが適当であるか、こういう意味でございますか。
  37. 寺島隆太郎

    寺島委員 公社の場合と社団法人という一つ経営組織が現在ある。財団法人はこの際別個といたしましても、社団法人という経営組織と、ただいま大臣指摘の公社との組織におきまする組織形態の利害得失、国家が経営上の監督権をどうするとか、あるいはまた国家目的に沿うことであるとか、あるいはそれが企業の能率化に利便を供与する点等の見解を伺いたい。こういう意味なんです。
  38. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 あまりはつきりいたしませんけれども、社団法人というような形態と、公社というような形態という比較になりますでしようか。
  39. 寺島隆太郎

    寺島委員 最近の経営主体といたしましては、公社もしくは社団法人というものと、三つに類型せられるだろうと思いますが、公社と社団法人ということになりますと、あまりに接近し過ぎておりますから、国家が特定の、間接もしくは直接の方法によつて資金等のめんどうを見る、監督権を発動させるという株式会社組織と、現在運営せられております社団法人組織との間における運用上の利害得失、こういうことについて商業学の上から伺いたい、こういうのです。
  40. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいまの御質問で私が理解するところは、社団法人という形態と一般の株式会社というような形態との間の経営上の利害得失、こういうことに理解してよろしいのですか。
  41. 寺島隆太郎

    寺島委員 なかなか質問の焦点が合わないのでありまするが、一般会社はこの際やめよう、一般会社じやないのだ。ちよつと長谷さん。少し私語をやめてください。私は大臣に学問上のことについて聞いておるのですから、あなたがそばで入れ知恵されると困る。つまり一般会社の中において、国家が資本を持てる往年の国策会社的なキャラクター及び運賞を持てるものと社団法人との利害得失いかん、こういうことです。
  42. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 社団法人というような形態で経営するというのと、今日多くあります公社という形態で経営をする場合との比較、こういうように私理解いたしますが、社団法人という方は、ある特定の限られた少数の人たちからなる団体でありまして、それによつて経営をするというのと、公社の場合でありますと、これは非常に公の性質を持つて参りまして、非常に広いものになつて来るかと思います。ある意味では、これは国民的な性質を持つて来るといつていいと私は思うのです。ですから事業の性質が国民全体の利害に非常に関係を持つて来る。あるいは国家の発展というようなこととも非常に利害関係が強いというような場合には、やはり私は社団法人という形よりも、公社という形の方が適当であろう、こういうように考えております。
  43. 寺島隆太郎

    寺島委員 いささか問題が私のねらいとは違つたのでありまするが、形をかえて第二に御答弁願いたい。現行株式会社法の中に、郵政省が監督をし、郵政省が運営についてタつチのできる団体をして、特殊立法をして、その特殊立法に基く当該社団法人もしくは公社が過半数を支配し得る株を持ちたる際においては、片や営利事実である、もしくは民間会社であるというきわめて能率的な利便と、片や公共性を十二分に発揮し得る一つ方法なりと思惟せらるるも、これに関する御見解いかん。
  44. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいまの御質問は、公社がほかの会社の株式を過半数所有して、これをコントロールする、あるいはその経営を主として支配する、こういうことはどうだろうか、こういう御質問でございましようか。
  45. 寺島隆太郎

    寺島委員 はなはだ恐縮でありますが、やがてはこれは関連が及ぶかもしれませんが、法第三十七条第二項の承認を求める案件とは離れて、純然たる国務大臣見解において、現在の金融状況並びに財政状況、その他を取捨勘案せられて、かかる方法をもつて大臣の所期する公的性格の確保ができるかできないかという御見解を、本承認案を離れて承りたい。
  46. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 実は公社としていろいろあるわけでありますが、ある特定の公社が株券を所有することができるというふうに定款等がなつておるかどうかよく存じておりません。なつておるとしたならば、持つことはもちろんさしつかえないわけでありますし、持つということは、やはりその公社の主たる目的を達成するために必要があつてつて、ほかの株式会社の事業に関係するということでありましよう。ですから、やはりそれは具体的な場合によりまして、そういうことがはたして必要であつたのかないのか、こういうことを検討しなければならないのではないかと考えております。
  47. 寺島隆太郎

    寺島委員 わが尊敬する与党の大臣ですから、その程度答弁で第一点は了承いたします。  第二点に行きたいと思います。実は昨日同僚議員の質問に対して—私は郵政省という役所はあまりなじみがないので、頭のはげた局長がだれという名前は寡聞にして存じませんが、堅白同異の弁をもつていろいろお話をせられておつたので、一言これに対して大臣意見をお聞きしなければならぬ。従つて両者の間でメモもしくは私語をもつての連絡はどうぞひとつお願いをいたしたい。私は与党議員として、農林専門の議員として憂慮にたえず御質問をいたしたい、かような立場でありますから、どうか御了承を願いたいのです。電波監理委員会があつた、その電波監理委員会というのがあつて電波法、無線法もしくはこの委員会の議事録を見ても、公営と民営との両者にわけて、いずれも両者並立を建前にしているという前提に立つて、やがては両々相まつのであるという御所論であるのが政府委員説明でありますが、実は大臣のところへさつきわざわざお配りというか、私は頭が悪いので、特に議論をするのに効果あらしめるためそういたしておいたのでありますが、この委員会の議事録の十一ページ—こんな小さいことを国務大臣に聞いては申訳ないのですが、きのうの政府委員がさような答弁をしておられる。大臣にかわつて答弁をするというのですからゆゆしき一大事—、一大事というよりも、かかる前例を不肖いまだかつて終戦後七年間国会議員たるも見ないので、お聞きするわけです。十一ページに「第二措置」というところがありますが、「一全日本放送株式会社」「二株式会社日本テレビジョン放送協会予備免許を与えない。」こういうふうになつておるのでありますが、前国会の参議院の議事録及び衆議院の議事録を検討して、政府委員並びに前の佐藤郵政大臣の御答弁を要約しますと、法の建前では、たとえば民間放送という場合のごときは、きわめて条件を具備して、適格性を把持せるものについては、幾つも免許を与えるのだという方針を御説明になつており、なかんずくこの電波監理委員会の議事録の十二ページの「五株式会社ラジオ東京」については「予備免許を与える決定を留保する」ということが書いてある。さらに当該議事録の十二ページの最後の行「一、テレビのあり方を想定し、チヤンネル・プランを検討すれば、東京には三局を開設し得る。これに対して、申請者のうち、日本放送協会の外に有力なりと認めうるラジオ東京日本テレビ網の二社を開設基準に合致するものとして採択しうる。」ということがあつて、同時にそのすぐ下の段に、「最も合理的な運営をなすことができる。従つてラジオ東京は、まず第一に考慮すべきであり、テレビ放送網もこれと同時に免許して、両者競争の立場におき、テレビ企業の健全なる発達を図るべきである。」これが電波監理委員会の議事録でございます。昨日政府委員は、男か女かという同僚議員の質問に対して、それは男と女と両方でありますというような御答弁をなさつたが、これは噴飯笑うべき御答弁であると私は思う。これは氷であるか熱湯であるかという質問に対して、氷でもなければ熱湯でもない、飲み心地よろしきぬるま湯であり、飲み心地よろしき、口ざわりよろしき、肌ざわりよろしき程度の温度であると答えるのが政府委員のあり方だと思う。この電波監理委員会の議事録を引用して、これをたてにとつての御答弁電波監理委員会の議事録も、電波監理委員会なき今日においては、その所轄の郵政大臣が監督し得る法をもつてこれらの許可、免許の事項を与えるとするならば、当該議事録は現在の郵政大臣の立場を拘束するものなりや、拘束せざるものなりや。昨日の政府委員の言説は、速記録をつまびらかにいたしましたるところ、本所論より引用して、あたかも拘束するがごとき御答弁なりしも、これに対する御所見いかん。
  48. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 電波監理委員会というものは、行政機構改革によりまして消滅をしておるわけであります。従つて電波監理委員会において審議せられました事項は、許可せられたものはむろん許可したものとして認めるわけでありまして、審議された内容につきましては、むろん今後電波行政等の上で十分参考にはすべきであると思います。しかしこれが拘束する力を法的に持つておるとは私は解釈をいたしておりません。そのかわりに電波審議会というものができておりまして、重要な事項をやります場合は、諮問機関としての電波審議会の意向は聞かなければいけない、こう考えております。
  49. 寺島隆太郎

    寺島委員 大臣の御所見によつてきわめて明瞭となり、吾人きわめて満足に存ずる次第であります。昨日の郵政政府委員の御答弁は、電波監理委員会当時における公約のゆえをもつて、本予算が通過いたすならば当然に免許を与えるべきであるという御所論であつたことがわかり、これは新たなる電波審議会のもとにおいて取捨選択せらるるものであるという結論を得ましたことに対しては、満足をするものであります。  第二に、大臣はいろいろ頭を悩ましておられるだろうと思うのですが、昔は御承知のごとく電気通信省という役所があつて、電話を架設しておつたのであるが、これが電電公社になつてからは長足の進歩を遂げて来た。しかしこのよつて来るところのものは、私は官業が非能率であるとは決して申しませんが、今までの官業のものよりも一段と長足の進歩を遂げしめたいという所論のほかに、何といつてもその裏づけになる財政的な影響があるだろうと思うのであります。私は親愛なる郵政大臣に財政的な見解をもとといたしましてもう一ぺんお尋ねいたしたいのでありますが、日本の株式市場における募集条件もしくは財界の現状等にかんがみて、電波法もしくはかかる一連の法律は、要約いたしますれば、明確に設備さえ整つておれば幾局でも許すことができるのであるというプリンシプルの上に立つておられるのであるかどうか、国務大臣としての立場は、おのずから財政及び予算の見地に立つて考えくださるところあろうと思いますので、伺いたいのであります。
  50. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 法律的には電波の割当の許す範囲におきまして、申請者が確実な計画をもつて申請をして来たという場合は許すということになつておると思います。しかしむろんその場合会社の計画を十分に検討いたしまして、この会社の計画が確実であり、そのときの株式市場、資本市場等から考えまして、その計画の実施は間違いない、しかも設備の入手も確実であり、計画通り放送が開始できるだろう、こういう点は十分に検討を要する問題でありまして、ただ申請があつて、まだ電波の割当があるから許すということはむろんできないことだろうと思います。
  51. 寺島隆太郎

    寺島委員 電波の割当ということはわれわれしろうとにしてよくわかりませんが、たとえば東京だけをとつてみましても、現在の保安隊が国内治安用に用いる電波あり、電電自体の持てるものあり、また将来の不測の事態を考慮して余裕をあけておかなければならぬ等の事情もある。これは国会の前の電通委員会の速記録によつて承知いたしたことでありますが、これまた当然考えらるべき問題であります。また公共と民間とを、株式市場もしくは財政市場を重点的に考慮せずしてわけた結果—この意見書には、すなわち法第三十七条第二項の承認を求むるの意見書に「あまねく日本全国において」とある。これは一部特権階級のものではなく、あまねく大衆テレビジョンたらしめるという点において、東京にきわめて多額の費用を投じて二局ないし三局をつくるということの結果、僻陬の地においてかかる便利な機構のポピユラーになることの遅れることを、われわれすこぶる憂慮いたすものであります。かかる措置は中央集権的もしくは都会的考えだと、われわれ百姓議員には思われるのであります。限られたる金融市場もしくは証券市場を対象として考える場合、かかる措置は大臣の所期するテレビジョンをあまねく国民に行き渡たらしむることに矛盾するの結果を来すと吾人考えるのでありますが、国務大臣のこれに対する明白なる御見解を承りたいのであります。
  52. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 テレビジョンを都会だけでなく地方へもあまねく普及をさせたいことは、私もまつたく同感であります。従つてできるだけその方面へ推進しなければならぬと考えておりますが、それをやるにつきましては、どうしても公共放送というものが非常に重要な役割を果すのではないかと私は思つております。商業放送は都会は割合やりやすいと思いますけれども、地方は経営から申しまして、なかなかむずかしいのではないか。そういう意味をもつて、むろんいろいろな点から考えて、地方までできるだけ普及させるような方策をとらなければならぬと思つているわけであります。NHKについて今回意見書をつけて承認を求めたのも、実はそういう意味も相当入つてつて、御承認を求めておるような次第であります。
  53. 寺島隆太郎

    寺島委員 これ以上むし返しますことは討論になりますので省略いたしたいのでありますが、私が先ほどの質問大臣に申し上げました通り、札束が太平洋の中から無限にわく機械が郵政省の中には発見せられておるらしい。ゆえにもつてかかる所論が生れ、その所論が大臣まで影響しているのではないかという考えを抱くのであります。限られたる証券市場の操作、限られたる金融市場の操作をもつてしては、何も東京に御丁寧に二つないし三つ、チャンネルがあいている限りにおいては四つでも許可しようというプリンシプルを持つということは、一国の国務大臣として、テレビジョンをあまねく大衆のものたらしめるという道には遠いのではないか。まあ東京には一局あればたくさんで、もし余力があれば大臣よろしく監督権、行使権を発動せられ、もしくは慫慂せられてやられたいせというのが私の質問の要旨であり、念願であります。私与党の議員でありますからこの程度にいたしておきます。  次に古垣さんにちよつとお伺いいたします。私は与えられたる資料の中でお尋ねを申し上げるのですが、昭和二十七年度日本放送協会追加収支予算追加事業計画及び追加資金計画に対する意見書に関する電波監理委員会の審議の概況なるガリ版が私の手元に参つております。昭和二十七年十二月一日電波監理審議会議長野村秀雄の名前をもつて、郵政大臣高瀬荘太郎あてに答申書が出ておる。その末尾に、「但しテレビジョン放送関係経費は標準放送等の経費と明確に区分して経理する措置を講ずることを要望す、」これは当然なことですが、非常に詳しくその理由を書いてあります。私は高瀬さんのように商学が専門でないので、数字を見ることはきわめて下手な男ですが、昭和二十七年十二月五日現在で郵政省から出ておるテレビジョン放送局申請一覧表におきまして、東京テレビジョン放送局、すなわち日本放送協会の認可申請書による工事費は、ただの八百五十万円、しかして運用費として一億九千九百六十八万五千円、トータルで二億八百十八万五千円という数字が出ておる。ところがNHKさんからいただきましたテレビジョン放送事業計画要綱の二ページに示されておる数字は二億七千二百三十九万円ということになつております。もう一つ、引合いに出すわけではありませんが、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件ということで、私どもが慎重審議を命ぜられておるNHK予算には総額二億五千百五十九万円という数字が出ておる。出て来る数字も出て来る数字ちよいく違つておる。これはどんぶり勘定の個人商店ならばいざ知らず、内幸町に牢固たるビルデイングを構え、しかも千余の職員を駆使するNHK数字としては、きわめてラフとは申しませんが、こうちよちよい違つた数字を羅列して、しかも五箇年計画云々の要綱には、御丁寧にも数字の上に紙を張つて訂正しておるようなことでは困ると思う。そこで昭和三十一年までにわずか十四億円の金をもつて全国総世帯の半分に対して受信を可能ならしめることができるかどうか承りおきたいのであります。
  54. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お答え申し上げます。いろいろ御検当をいただいた結果、御不満の点がありましたことは申訳なく存じております。私どもといたしましては、先ほどからお話に出ておりますように、テレビジョンを一日も早く、国民大衆のものとして、日本の国民の福祉を増進し、また日本の国の文化の向上に最善の努力をいたしたい、こういう念願から計画を立てております。私どもといたしましては、テレビジョンは独立の経理で行うという建前であります。しかしに本放送協会で運営することでございます。従つて運営は一本建でやらなければならないという点、ラジオの方は月五十円の聴取料をいただき、またテレビジヨンの方は月二百円の聴取料をいただくという点もございます。また地域的にラジオが普及しているところすべてが、同様にテレビジョンを入れるということにも初めのうちは行きませんから、経理上は区別して、ラジオを聞いている受信者に被害は与えないように、またテレビジヨンを見る人たちができるだけ安い費用で、またできるだけいいものが見られるようにという念願でいたしております。もちろん経理上ずさんなことはしておりませんし、また先日のこの委員会でも御報告申し上げましたように、公共企業体でありますから、全国八地区から、国会の同意を得、総理大臣の指名を得た経営委員が出ております。そこでテレビジョン予算は長い期間検討して、先ほど来の御注意の点なども十分注意してつくつたものでございます。こまかい数字の点について、なお必要がございますならば、岡部理事がよく存じておりますからお答えいたさせることにいたします。
  55. 寺島隆太郎

    寺島委員 岡部さんなんかに聞いて、数字と取組もうというのじやないのです。出る資料がみな数字が違う。これは電通委員会というおとなしい委員会ならば通るかもしれませんが、私の所属している農林委員会、なかんずく米価審議会などでは、こういう数字を持つて来たら審議庁の一部長は即座につるし上げられ、どうにもこうにもならなくなる。だから数字はきちんと御統一を願いたい、こういうことなのです。  ところで郵政大臣と古垣さんと両方にお尋ねしたいが、テレビジョンの機械を備えつけていれば、ラジオの機械を備えつけておると同様に、放送法の定むるところによつて聴取料をとられる。装置上NHKラジオを聞かないで、民営放送のみを聞こう。世の中にはただほど安いものはございません。しかしNHK以外の放送だけ聞こうと機械装置をコンクリートにするといえども、あなた方の方では金をとる。それで善良な人が料金をお払いになる、もしくは泣寝入りをするということであれば、これは放送協会万々歳であるかもしれませんが、なかなか昨今の事情ではさようには参らぬ。いわんやテレビジョンの本質性においてをやということになりますると、どうしてもこれは特別の措置をとらなければならない。特別の措置とはいかん。寺島隆太郎NHK放送を聞かないで、民営のラジオ放送を聞いておるという事実をお宅様の方で御発見なされましたときには、検察庁に一件々々告発をしなければならない法理的な建前になつておるのでありますが、どうですか、古垣さん。NHKの大機構、大組織をもつて日本中の弁護士を総動員して、払わない連中をみな告発して、これは全部法の解釈として訴追によるにあらずんば解決できないという、電波法もしくはこれらの関連法規は、そういう矛盾を命じておるのでありまして、私は心配のあまりの発言でありますが、かかる点を考慮いたしますと、あまねく国民に普及するという点からいつても、一大ネつクをその規定の中に包蔵いたしておると考えるのでありますが、両者の御所見を承りたい。
  56. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 放送料徴収に関する御質問でありますが、現在の法制から申しますと、ラジオと同様に取扱いできるものと私は解釈をいたしております。しかしそれに対してあるいは違つた御意見もお拠りになるかもしれませんが、私の見解はそういうことであります。それに関して今いろいろの御意見がございましたが、その点は確かに聞くべき点ももると思います。しかし装置の関係、いろいろな点から申しまして、これはやはりラジオと同様に処理されるものと解釈しておるわけであります。
  57. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 ただいまの大臣の御説明に一言つけ加えますと、現在の事情におきまして、ラジオの場合も徴収率は九八%という率を収めておりまして、非常に良好でございます。そして全国の聴取者がよく協力をして受信料を払つていただいております。テレビの場合も全然違つた事情は起らないかと思います。ことにテレビのセつトがラジオのセつトに比較して非常に高い関係もありますし、それからぜひ見ていただかなければならない点がありますから、私どもとしては番組その他施設に万全を期しまして、そしてテレビセつトに設置される方々が快く受信料を払つていただけるようにして行きたいと思つております。
  58. 松村光三

    松村(光)委員 今までのことで二点だけ……。先ほど大臣の御答弁に重大なる間違いがあるのじやないかと思われますので、今お答えを願うこともどうかと思うが、よく御協議の上でお答え願いたい。というのは、電波監理委員会の決議は、郵政省としては一応参考に資するものであるということを言明された。これはおそらく大臣の間違いじやないかと私は思う。審議会の方は諮問機関であるがゆえに、郵政大臣は一応参考にするという言葉を使われても、それはいいと思うが、これは決議決定機関でありますから、郵政大臣といえどもこの決議決定を一応参考にするなどと、軽くあしらわれることはできないのじやないかと思われますので、一応これは事務当局とも御相談の上、あらためてお答えを願いたい。これが第一点。  それから第二点は、大臣並びにNHKの古垣さんの答弁、これは重大なる答弁である。その答弁に、聴取料はラジオと同じように二百円当然とり得ると解釈せられると明確に答えておりますが、これはそう簡単な問題でなくて、いろいろ意見があるという程度の問題です。五十円でも問題になるのに、将来二百円強制的にとるというに至つては、これは容易ならぬ問題でありますので、三つとも一応御注意を促しまして、答弁は将来に留保いたしておきます。
  59. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ただいまのお話に対して、私の意見ちよつと申し上げておきたいと思います。私が電波監理委員会の決定に拘束されないと言つたというふうに御解釈になつたようでありますが、私はそうは申しませんで、電波監理委員会において決定されたものは、もちろんそれは有効であります。しかし審議の家庭においていろいろ意見が出、いろいろなことが論議されましたその内容は尊敬すべきものである、こういうお答えをしたつもりであります。
  60. 松村光三

    松村(光)委員 今の御訂正のお答えならば承服いたします。先ほどの御答弁と少し違う。あとで速記を調べますが、それは御訂正なさつた通りならば問題ありません。これは重大な点でありまして、これだけは決定機関であ場り、決議機関でありますから、その点ここにはつきりしておいていただかぬと、これからの審議は進められないわけですが、今の訂正の御説明ならけつこうであります。
  61. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 先ほど来の大臣の御答弁を承つてちよつと関連してお聞きしたいと思います。大臣が御不在のときに、私は政府委員にいろいろテレビの問題その他を御質問申し上げたのでございますが、政府委員が私に答弁なさつたことは大体大臣方針であると解釈してさしつかえないか、これがまず第一点であります。
  62. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私の不在中、政府委員答弁されたということにつきましては、むろん大体において私の意見考えてさしつかえないと思います。
  63. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 次に質問いたしますが、先ほど寺島君の御意見を拝聴いたしまして非常に感銘したところもございます。討論するわけではありませんが、しかし政府方針として承つておきたいことは、この電波監理委員会テレビジョンに対する決定の一番の中心はどこにあるかというと、冒頭に書いてある「テレビジョン放送事業は、独占企業であつてはならない。」これが一番中軸になると思うのであります。そこで、この文中にありますが、「テレビジヨン放送事業は、日本放送協会によるものと民営によるものとの併存を認め、一企業形態の独占に終ることは、つとめて、これをしりぞけなければならない。」これは放送法の精神でもあり、電波法の精神である。現在の電気事業に関する一貫した体系であり、精神であります。これはもちろん堅持すべきものであるし、政府委員もそういうふうに御答弁なさつておる。ところが先ほど来寺島君の御意見を承りますと、いろいろ事業の経営その他について問題のある向きが感ぜられるのであります。たとえば二つやる場合に、金融上の問題で困難が起きはしないか、あるいは財政的なロスが起きはしないか、国民経済上のロスが起きはしないか、こういう向きのように拝せられました。これも一つの観点であり、傾聴に値する要素だと思います。しかしこの放送法や、あるいは電気事業の根核を貫くものは、民主主義の精神であります。それは思想を独占してはならぬということにあると思う。従つてこの思想を独占してはならないという民主主義の原則は、あらゆる財政的考慮に優位すべきものである。これがくづれるならば、憲法もくづれるという重大性を持つておる。従つて電気や水道やガスのような物質の独占とは違う。思想の独占である。それを排除するというのが、放送法や喜電波法やあるいは電波監理委員会の決議であると私は思う。これだけは断じてくずしてはならぬと思うのであります。そういう厳然たる精神をもつてやるかということが第一。  第三番目に、もしそれがくずれようとするような場合、たとえばすでに免許になつたある会社が、事実上財政的な情勢でできないとか、あるいは国民経済上のロスがあるとか、そういう事情で実施が不適当である、こういう事態に至つたならば、むしろ私はその際は予備免許を取消すべきである。予備免許を申請したときの条項に違反したことになつたのであるから、当然行政処分として予備免許を取消すべきであつて、この放送体系、法体系に矛盾や混淆を来すような措置は断じてとつてはならないはずであると私は信ずるのであります。もしそれがくずれる場合には、民主主義もくずれるし、政府方針もくずれることになります。これは非常に重要な問題であります。特に思想の独占を行つてはならないということであります。この二点について大臣の御信念を承りたいと思います。
  64. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私はたびたびこの委員会テレビジョン放送についての政策の根本方針という意味で、今お尋ねのありましたような質問を受けてお答えをしておるのであります。私もテレビジョン放送というものは、独占すべきでないという建前でやつておるということは、はつきり申し上げておきます。  それから第二点でありますが、第三点もむろんその方針のもとにやるべきである。かりに今お話のような場合があるとすれば、むろんその精神をくずすようなことはすべきでないというつもりで処理をいたします。
  65. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それではもう一ぺん御質問をいたしますが、すでに予備免許を与えた。免許を与えるについては申請の条件があつたわけです。ところがその予備免許を与えられた会社が、金融上の理由とか、あるいは聴取者の関係とか、いろいろな関係でできないというような条件が出て来た。そういう場合には、これは免許の条項に反したことになる。従つて当然それは予備免許を取消すべきである、そう信じます。この点について大臣はいかにお考えになつておりますか。
  66. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 そういう場合はむろん法律に従つて処理しなければならないと考えておりますが、そういう場合についての法律的な問題については、係の方からお答え申し上げます。
  67. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 御参考に申し上げます。予備免許の取消しというような条文は、現在の電波法の中にはございません。ございませんが、予備免許を得られる場合に、落成期限の指定が—これは大体申請者が六箇月ででき上る、こういうことであるならば、その六箇月を期限としまして落成期限が定められてございます。正当なやむを得ない事由がある場合は、落成期限の延長も郵政大臣の認可によつて認められますが、やむを得ない事由がない場合には、その落成期限が来まして、二週間の猶予期間の間にでき上つたという届出、あるいは今申し上げました延長の許可がない場合には、免許は取消されることになります。
  68. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 最後にもう一点お尋ねいたしますが、テレビジョンの決定に関する電波監理委員会方針及び放送法電波法の根本は、くどく申し上げましたように公共企業体のやる部面と、それから私的利益をある程度加味した商業放送の部面との二つの体系になつている。しかも独占を許さない。これが精神だろうと思います。従つてこの精神をあくまで堅持されなければならないのであつて、かりにそういうようなすでに不備免許を与えられたものが、実施不可能とか、財政的に困難が出て来た。そういう場合といえども、ものの考え方からすれば、当然これは公共企業体が優先すべきである。従つて公共企業体は、従来の線を守つて、あくまで独自の線で前進する。もしその場合に私的利益を追求する方の商業放送的なものが困難が出て来た場合には、むしろそれを不適格として退ける方法に処理さるべきであつて公共企業体の部面と私的利益を追求する商業放送とが、何か野合するような、混淆するような措置によつてこれが打開されてはならない、こういうのが法の精神であると思うが、郵政大臣方針はいかん。
  69. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 免許をされました会社が、いろいろな事情で思うように行かぬというような場合がもしありといたしましても、それは根本はやはり会社自体が処理すべき問題でありまして、それがどうしても実施不可能ということになれば、法律的な処置はしなければならぬと思いますが、郵政省がそういう問題に直接関与はすべきでない、こう考えます。
  70. 松村光三

    松村(光)委員 白黒の問題から近くカラーに移らなければならぬということは、当然の道行きであります。そういう場合について、先ほどもちよつと伺つたが、NHKはどういう準備、研究をしておられるか。その場合に今日までかかつた経費は一体どうなるか、それの見通し、処置について一応承りたい。
  71. 岡部重信

    岡部参考人 白黒テレビにつきましては、ただいま御審議いただいておりますように実用の段階に一応到達したと考えられますので、それらにつきましては、御承知通りかねがね研究を進めておりまして、ある程度設備も持つておりますが、今度の放送にそれは活用いたしたいと考えております。それからカラ一・テレビにつきましては、この方式は二通りございますそうですが、ただいまやつておりますのは、CBS方式ということで、ぐるぐるまわるような方式だそうであります。CBS方式というものを実施しておりまして、なお電子管によるカラーテレビジョンについても、将来研究を進めて行きたいというので、ぼつぼつやつております。カラーテレビジョンについては、まだまだと言えまして、昨年度の終りごろから始めまして、現在研究中の段階になつております。
  72. 松村光三

    松村(光)委員 現在研究中というのは、それはNHKで研究中という意味でありますか、はつきりしていただきたい。
  73. 岡部重信

    岡部参考人 お説の通りNHKの研究中のことを申し上げたわけであります。
  74. 松村光三

    松村(光)委員 それならば私の質問がよほど問題になる。アメリカのような非常にテンポの早いところでは、もはや白黒ではなく、カラーに移行するということが、もうほんとうにわずかな聞だが既定の事実になつている。もしこの事実をNHKがつかんでおらないというなら、それはたいへんなことだ。これは郵政省の方ではそこまで専門の研究ができないことは無理はないけれども電波監理委員長の報告などでは、カラーの問題は何かこれからまだまだ前途遼遠のような気分でやつておられるが、アメリカではどんどんカラーをやつておられる。だからNHKが研究中ということはよいが、アメリカがどんどんやつているという場合に、白黒からカラーに—かりに日本の映画の場合を見てもそうなんです。天然色の映画が出て来た場合には、だんだん普通の映画が圧倒されると同じように、テレビも早く考えなければならぬ。研究中でもけつこうです。だから私は率直に少し申し上げるが、今日程度NHKばかりではない、日本民間のレシーバーなどの今日程度の進歩の状態では、あまりにアメリカとかけ離れた感がある、何年かの非常な距離があるのです。日本テレビというものは、民間のレシーバーや何かも、率直に言うとまだようやく試験時代と言うべき程度だと私は思う。こちらはテンポはおそい。しかるに今のアメリカではどんどん進んでいる。こつちは一生懸命に白黒さえも十分キヤつチできない程度でやつている間に、どんどんアメリカが進んで来た場合に、やはり日本人というものは気が早いから白黒じやだめだ、カラーでなければだめだ、むしろ白黒よりも百尺竿頭一歩を進めて、カラーに行く方がよいということは、十分専門家の意見というものはそこまで大体来ているのであるから、それを今さしあたり日本でできないから白黒で行こうということはやむを得ないが、これから五箇年計画白黒に何十億という金をかけている間に、アメリカは進む。そのときに日本は旧態依然たる白黒でやるよりしかたがないということになるかもしれない。だからよほどそこは考えなければならぬ。日本テレビというものは実験、試験時代であるということは、これは申し上げるまでもないことだが、非常な大計画を立てている間に、もう間に合わなくなる。研究もけつこうだが、そういういろいろなことを喫して、NHKのこのカラーに対する研究という程度ではなく、もうすぐその場合に処することを今から考えておかなければならぬ。そのカラーの問題はもうあまり長い年月じやありませんぞ。そのことを率直に申し上げておきます。十分その辺に関する研究でもけつこうだが、あまり金をかけ過ぎてはいけないが、それは東京でやつていたものはいなかへ持つてつてしまつてアメリカのものをこつちへ持つて来るということもあるが、これは計画を立ててやらなければならぬと思う。その基本的なことをNHKはどういうふうに考えておられるか。
  75. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 お答え申し上げます。ただいま非常に有益な御注意などをいただきましたが、私ども前々からそういうことを考えております。そうして世界のこのテレビジョンに対する大勢等についても十分調べております。昨年私ども協会の者がアメリカにも参りまして、テレビの実情も見て参りました。そうして意見を聞いて参りました。またイギリス等におきましては、テレビジョンアメリカより早く始めているところでありまして、カラーについても研究しながら、やはり白と黒で当分進んで行くというような国策を立てていることも知りました。それから南米、欧州その他につきましても、白と黒で国民大衆のものとしてやるというような国策の姿も見て参りました。一方において日本のような資源の乏しい国、アメリカ等に比較して非常に資力の劣る国においては考えなければならぬと思います。さらにまたカラー大衆化というようなものによつて生ずるいろいろなその他の問題なども検討して、さしあたり一刻も早くテレビジョンをやる。また白と黒で始めていてカラーに移行する場合に、かつてアメリカでなめたような困難を打開する見通しもつきました。それから私どもの方で研究いたしましたカラーテレビジョンも、アメリカで許可されたシステムでありまして、それもすでに三越等において展覧いたし、また一方技術的にも十分進めるように、今日そういうような施策には成功いたしております。またRCA等にも技師を送つて研究さしております。そういうような御注意の点、たいへんありがたい適切な御注意でありますので、今後もその線に沿つて間違いのないようにして行きたい、かように存じております。
  76. 松村光三

    松村(光)委員 今の御答弁のうちに英国は国策でというが、英国という国は一体保守の国だ。しかるに英国はテレビジヨンは、私の記憶に間違いがなければ、英国とフランスだけが、大体一本の公共企業体にやらしておる。二つ並立しようというやり方は日本だけですよ。世界で公共企業体と民営と並立させるという国はどこにもないはずだ。これはもしありましたら他の機会に伺いますが、英国のような保守的な国は、そういうところになるべく金はかけたくないことと、保守の思想と両方から白黒で縛られて行こうというのですが、アメリカのようなテンポの早い、しかも全部民営を中心としている国では、観客本位に白黒がだめならこれをすぐ捨ててカラーに移る、これはあたりまえだ。ところが日本は二つ並立するから、NHKの方は英国式に白黒をかたく維持しようということで、一方カラーを研究されておる。ところが非常にあとから来た民間は、白黒をやらずにカラーをただちにキヤつチするというような場合のことも、アメリカと同じようにはやり気の多い日本としては考えなければならぬ。日本人は何でもすぐ新しいものを使うから、アメリカからすぐ輸入して来ますよ。そういう日本人の性格も考えられて、NHKが非常に大きな金を使つて一生懸命やつておる間に、私は五年過ぎるともうカラーの時代が当然来ると思うのだが、NHKもそう思つているだろう。ところが先ほど大いに研究しておるという御答弁と、将来の研究はまだまだという御答弁があつたが、まだまだの方がほんとうだろうと思う。どつちでもよい、これはやむを得ない。その点は今NHKに望むことは無理だが、よほど予算を使う場合に、それが浪費にならないような計画をしていただかなければならぬ。いわんや普遍的に全国的に早く普及々々と言われるが、そこでやはりアメリカのテンポも見られてやられたらどうかと思うので、一言そういう意見を申し上げておきます。これは御答弁はいりません。  なお伺いたいのは、先ほど大臣も答えられたが、民営の方も、当然それはNHKとしてはできないとお答えになるかしらぬが、ラジオと同じように何かその間に民営は民営だけ聞くというような、機械的な技術的の方策は全然できないものであるかどうか、これはむしろNHKよりも郵政省の事務当局、技術当局に伺いたい。これは行政的にとり得るかとり得ないかという、ラジオのような簡単なものではないのだから、技術的にとり得るかとり得ないかという機械技術の面から、それはとるとらないの問題は別です。そういう区別が可能なりやいなやということを伺いたい、
  77. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいま御質問の点は、放送法の第三十二条に関連することだと存ずるのでございますが、三十二条には、ラジオテレビジョンも含めた意味放送ということでございますが、協会放送を受信することのできる受信設備を設置したものは、協会とその放送の受信についての契約をしなければならないという条項がございます。協会放送を受信することのできるものを設置した場合、そのときにその契約を結ばなければならぬということがうたつてあるのでございまして、もしも協会放送を受信することができなくて、ほかの放送だけが聞けるような施設が可能な場合には、この条文の適用はないものと私は考えます。従いましてもしもテレビジョンの場合に、日本放送協会の行うテレビジョン放送は受信できなくて、民間放送だけが受信できるような設備をした場合には、この条文の適用はないものと私は考えます。従つて料金を払う必要は出て来ない。しかし実際問題としてはそういうことは起らないだろうと思いますけれども、条文の解釈上からはそういうことはあり得ますし、技術的にそういうことができるかと申しますと、テレビジョンの場合はでき得るケースがございます。いつでもできるとは申し上げかねますが、できる場合もございます。
  78. 松村光三

    松村(光)委員 今の説明は、ラジオと違つて高級なる機械技術であるがゆえに、そういうようなことは研究技術の進歩によつては可能である、こういう意味にとつてよろしいですか。
  79. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ラジオの場合とテレビジョンの場合とでは、本質的には同じことでございますが、一般のラジオの場合には、そういうことは実際上にはできない状態になつておりますので、ラジオの場合にはほとんど起りませんが、テレビジョンの場合には、NHK放送をされるテレビジョンの波と、民間テレビジョンの波とが非常にかけ離れておる場合が起り得るケースがあります。その場合には、片つ方だけが受かつて、片つ方が受からないというような措置が技術的に不可能とはいえないので、可能の場合が出て参りましよう。
  80. 松村光三

    松村(光)委員 今の局長の答弁は、先ほど大臣が強く、決定的に説明されたことに対する修正というか、条件付の御答弁のように思いますが、大臣がそんなこと知らないで答えられたと思う。今の局長の答弁の方がほんとうだと私は思いますので、一応……。  次にNHKに、アメリカでは劇場テレビをどんどんやつておる。NHKは劇場テレビについて何か考えておられるか。劇場テレビが起つた場合にはどうするのか。何か計画されておりまするか。今計画はなくても、NHKがそういうこともなし得るという可能性を持つというか、これは周波の関係やいろいろな関係もありますので、一応……。
  81. 古垣鐵郎

    ○古垣参考人 アメリカにおきまして劇場テレビといいますか、それから電話によるテレビジョン、いろいろなものがあることを承知しておりまして、目下研究しております。NHKでどういうふうにするのが、最もわれわれの責任と使命を達成するのに適当かというので、研究いたしておる次第であります。
  82. 松村光三

    松村(光)委員 研究を進めてください。こんなにアメリカにはどんどん—これはもう私の手元にさえこんなに来ているほどです。劇場テレビというのは、今日ではもう映画会社が参ておるのたから—映画会社はつぶれつやしないか、つぶれつつある。従つて映画会社は劇場テレビでないといかぬというところまで来ておるのだから、せつかく急いで研究していただかなければいかぬということが一つ。  もう一つは、そういう場合にNHKは—今から聞くのは早いかな、早いかもしれぬ、まだ研究も進めておらぬのに……。しかし実はNHKとしては、劇場テレビに対しては研究と同時に、民間に対してはどうするか。これはあとでそういう場合に政府がどう考えておられるかということも聞かなければならぬが、NHKでも、アメリカの研究と同時に、そういう場合の研究も進めていただきたいということを要望して、いろいろな質問はありまするが、NHKに対する質問はこの程度に……。
  83. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 先ほどの受信料の徴収問題につきまして、大臣の御答弁と私の説明とすつかり食い違つておるというような……。
  84. 松村光三

    松村(光)委員 いや、食い違つてはらぬけれども大臣の方は一般的であつて、あなたの方はほんとうの実情を言うておる。大臣はただ通俗論だ、法律論だ。
  85. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 通俗論というと何ですが、実際問題としましては、片つ方だけが受かつて片つ方が受からないというようなものは出て来ないだろうと思います。しかし技術的には可能かどうかという御質問でございますから、技術的にはそういうこともつくり得るということでございますが、当分二十万とか十何万というような値段をするものが、片つ方だけが受かつて片つ方が受からないような、ことさらの装置は実際しないだろうと思いますので、現実には起つて来ないだろうと思います。
  86. 松村光三

    松村(光)委員 それは今日の技術の程度ではそうだが、これはテンポが早いのだから、今の日本の技術などでそれは起らないだろうという答弁は……。
  87. 橋本登美三郎

    橋本委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は明十日午後一時に開会する予定であります。  なお参考人に対する質疑は大体終了されたと存じますので、今後は必要の際に出席するよう措置したいと存じますので、御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十七分散会