○松前
委員 英国のBBCにまでただちにわが国の海外
放送が達することのできないのは、
日本の国情よりして
もちろんでありますが、しかし
放送協会なるものが、特殊な立場に立
つて公共性を持つた
放送団体として、
日本の国内における
文化の
普及、あるいはまたその他の公益的な役割を勤めております以外に、特別に与えられた料金の徴集その他の特権と相まちまして、この海外
放送の拡充、すなわちBBCが英国の言論機関として、世界に対する英国の宣伝機関としてその存在を示し、大きな
国家的な機能を現わしておる、この状況と比較してみましても、
日本の国がいかに貧弱であるかということがわかるのであります。ただいまの
お話によりましてもわずかに二十分の一、もつと少いようでありますが、こちらはたつた五時間で向うは九十五時間、百時間近くであります。そのほか
イギリス連邦向けのものが二十四時間でありまして、それとまるで比較にならないような状況にあるのが
日本の現在の地位であると思うのであります。どうか
放送協会におかれましては、
テレビジョンの問題もさることながら、この異常な国際情勢下にある
日本の現状に対しまして、十分な認識を持
つておられての現在の
施設であろうとは思いますが、それほど逕庭を見ておる現状でありますので、国際
放送に対して十分の
努力を払われんことを希望するのであります。また私
どもが海外に旅行しましたときに最も心細く感ずるのは、
日本から出て来る電波、すなわち
日本の海外
放送がいかに貧弱であるかということであります。
日本人はとかく空の電波などにはあまり気をつけないで、目先に見えることだけしかわからないような
状態でありましてなかなか電波などに目をつけておる人は少いのでありますけれ
ども、しかし一旦この空の電波の飛びこうておる現状並びにそれらの情勢を見ておりますと、他の国の
放送に比べて非常に貧弱であるということを痛感するのであります。ところが
日本がいかに貿易だとか、海外発展だとか、あるいはまたその他の政治的な言葉、経済的な言葉を使
つてや
つておる表現の裏に、
日本の非
文化性を具体的に現わしておるのが海外
放送であります。この
意味におきまして、いろいろな反響も海外からございましようけれ
ども、しかしそれらの反響より以上に悪い反響も多分にあるはずでございます。それは
放送協会には参らぬかもしれませんが、当然あることであろうと思うのでございます。どうかこのような海外
放送に対しまして、ことに思想的にも国際的にも非常に困難な情勢にあります世界歴史の現段階における
日本の立場におきまして、
放送の拡充並びに
施設の拡充と同時に、世界を相手にしたプログラムの充実、これこそ今日最も重要な問題であると思うのであります。どうか
放送協会におかれては、ただいま承つただけでもとうてい満足の行かない内容でございますので、先ほど来来年度の御計画もあるかに承
つたのでございますが、そんなことではまだまだ足りないと私
どもは思
つております。どうか十分の御
努力をお願い申し上げる次第であります。
次に伺いたいのは、
公共性の問題に
関連いたすのでございますが、先ほど来
山田委員がいろいろ詳しい御
質問をなす
つたのでございますけれ
ども、その
公共性の立場からいたしまして、
民間放送の事業その他においてはどうしてもできないことを、
放送協会にや
つていただかねばならない。それがすなわち
公共性であると思うのであります。たとえばただいまの国際
放送もさることながら、
放送技術に対する
研究、この問題はこの前も申したのでありますが、
ちようど
放送協会の
会長がおいでにならなか
つたので、ここにあらためてお願いを申したいと思うのであります。
研究機関の拡充、現在
研究所をお持ちでございますけれ
ども、
テレビジョンや
ラジオ等は、国の
文化の前線を行くものでございますので、この
研究というものは非常に大きな
文化のバロメーターをなすものであると思うのであります。この
意味におきまして今後
研究機関に関しましてどのような拡充並びに今後の
研究所の運営に対する方向、これらの御計画がございまするか、伺いたいと思います。