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1953-03-10 第15回国会 衆議院 通商産業委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 坪川 信三君    理事 高木吉之助君       河合 良成君    中峠 國夫君       福井  勇君    福井 順一君       南  好雄君   生悦住貞太郎君       高橋 長治君    長谷川四郎君       山手 滿男君    加藤 清二君       木下 重範君  出席政府委員         通商産業政務次         官       小平 久雄君         中小企業庁長官 岡田 秀男君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君     ————————————— 三月九日  委員大倉三郎辞任つき、その補欠として水  田三喜男君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員水田三喜男辞任つき、その補欠として  大倉三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月九日  輸出取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第一六六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  中小企業金融公庫法案内閣提出第一三八号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一五三号)  輸出取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第一六六号)  特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部  を改正する法律案南好雄君外二十五名提出、  衆法第四九号)     —————————————
  2. 坪川信三

    坪川委員長 これより会議を開きます。  本日はまず昨日付託になりました輸出取引法の一部を改正する法律案議題といたし、政府より提案理由説明を求めます。小平政務次官
  3. 小平久雄

    小平政府委員 輸出取引法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  昨年輸出取引法を制定いたしまして、国際信用を高めるために、不公正な輸出取引の防止をはかり、輸出取引秩序確立する必要上、輸出業者協定または輸出組合設立を認めて参りました。しかるに一方輸出取引におきましては、これら輸出業者間の協定または現行法による輸出組合活動をもつてしましてもいまだ仕向国の不安を除去し、かつ国内の輸出取引秩序確立するためには不十分な場合が生じてきました。他方輸入取引の面におきまして、現行法には何らの規定がありませんから、過度の競争から貴重な外貨を浪費する結果を生じ、あるいは通商協定の履行上、割高な物資輸入することも必要な場合が生じ、そのため輸入の面におきましても、その取引秩序確立するために輸入業者協定または輸入組合設立を認める必要が生じて参りました。従つて現行輸出取引法に、これらの必要性を満たす規定を盛り込み、輸出入取引秩序確立し、わが国貿易の健全な発展をはかり、もつて公正な国際貿易拡大に寄与しますとともに、他方目前に控えたわが国ガツト加入についても、列国のわが国に対する信用の保持に最善の考慮をいたさんとするのが、本法案提案いします目的であります。  この法案は、右の目的達成のために制定せんとするものでありまして、その主要点大要次の通りであります。  第一に、題名を輸入取引法に改めました。  第二に、現行法におきまして輸出業者間にのみ協定締結を認めましたが、輸出業者間のみの協定では不十分または不適当な場合に、輸出業者生産業者または販売業者との間で協定締結することができるよういたしました。  第三に、輸出業者協定締結のできる場合を現行法より拡大し、新たに仕向国に対する輸出がその仕向国関係産業に相当の影響を与える場合及び輸出において競争国より不利な競争條件の存在する場合等を追加しております。  第四に、輸出組合つきましては、おむね現行法のままでありますが、出資制をとることができるようにし、かつ組合事業として団体協約締結を行いうるようにしております。  第五に、輸出業者協定が行われている場合または輸出組合組合員の遵守すべき事項が定められている場合でありまして、その協定または組合員の遵守すべき事項をもつていたしましては、その実効が上らず、輸出秩序確立輸出貿易の健全な発達のため特に必要と認められるときには、その貨物輸出業者に対し、命令をもつて一般的な制限を課することができるようにいたしております。  第六に、輸入取引競争が過度に行われる場合、通商協定達成のために割高な貨物でも輸入する必要がある場合等におきましては、輸入業者間で協定締結することができるようにし、さらにこの協定では不十分または不適当と認める場合には、輸入業者輸入貨物需要者または販売業者との間に協定締結することができるようにしております。  第七に、輸入取引秩序確立に寄与すると認められる貨物でありまして、政令で定めるものの輸入業者つきましては、輸入組合設立を認め、輸入組合輸入貨物の価格、数量等について組合員の遵守すべき事項を定め、また団体協約締結を行いうるようにいたしております。  第八に、本法案に基く認可を受けてした正当な行為に対しましては、独占禁止法適用を除外しております点及び本法案施行に際しましては、必要に応じ、公正取引委員会または物資主務大臣の同意を受けるものとしております点は現行法と同様であります。  これを要するに、長年のわが国貿易業界の念願のもとに成立しました輸出取引法つきまして不備な点を改正したものが本改正法案でありまして、この法律案の成立によりまして、わが国の公正にしてかつ秩序ある輸出及び輸入取引を促進し、国際的信用をますます高め、わが国貿易の増進に役立ち、ひいては世界の貿易拡大に寄与するものでありますことを確信しております。  以上がこの法案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。     —————————————
  4. 坪川信三

    坪川委員長 次に特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたし、提案者より提案理由説明を求めます。
  5. 南好雄

    南委員 ただいま提案になりました特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案つきまして、提案理由を簡単に、またその概要を御説明申し上げます。  まづ、提案理由について御説明申し上げます。  本法立法当時におきましては、不況発生によるコスト割れの著しい業種について独占禁止法及び事業者団体法適用を除外する点に最大の意義を持つておりましたが、現在国会において御審議中の独占禁止法改正に伴い、本法にも所要の改正を加える必要が生じて参りますとともに、現在までの施行の経験上著しく支障のある点についてもこの際あわせて改正せんとするものであります。  すなわち改正の要点は、第一に独占禁止法改正により、不況カルテルが一定の要件のもとに一般的に容認されることになりましたので、本法におきましても緊急臨時立法でなく、恒久立法に改めるとともに、経済の底が浅く、不況に対する抵抗力が弱い中小企業特殊性にかんがみ、業種指定要件を緩和し、あわせて本法に基く調整組合事業拡大いたしましたこと。  第二には従来生産制限等に関する勧告及び命令は、具体的に制限内容を示すことになつていましたが、これを既存の調整組合及び連合会の定める制限に従うべき旨の勧告命令に改めましたこと。  第三に昨年本法審議可決されました際、衆議院においても参議院におきましても、ほとんど全会一致決議がございました。その決議趣旨に従いまして、第一に設備制限に関する命令発動の際、新規設備抑制措置規定すること。第二は調整組合等生産調整資金を借り入れる場合におきまして、政府金融機関に対して利子を補給することができるものとすることといたしました。  以上の諸点であります。中小企業不況を打開するため、本法案愼重御審議の上なるべくすみやかに御賛同あらんことをお願いいたす次第であります。     —————————————
  6. 坪川信三

    坪川委員長 次に中小企業金融公庫法案及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案議題といたし、質疑を行います。  質疑の通告がありますから、これを許します。南好雄君。
  7. 南好雄

    南委員 昨日私は本委員会に、おきまして、かねて御提案になつております中小企業金融公庫法案つきまして大体の総論的な御質問を申し上げたわけであります。その際におきましても、同僚長谷川さんあたりから関連質問がありまして、大分この公庫内容が明らかになつたのでありますが、もう少し掘り下げていろいろな点について政府の御意向をはつきりさせておいた方がいいと考えまして御質問を申し上げたいと思うのであります。  まずこの公庫利子、それから一番上に公庫があつてそれから商工中金なり従来ありました金融機関にだんだん伝わつて、最後に中小企業者資金が流れて行くその径路における各経由機関手数料、そういうものをこの際はつきりさせておいていただきたいと思います。
  8. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 公庫から流れます資金は、いかなる金融機関の窓口を通りましても、最終金利を一割にいたしたいと考えております。金融機関に差上げますところの手数料は、貸出方式によつて二色にわかれるのでありまして、金融機関に対しまして、事務をほとんど全部まかす、つまり申込みから審査その他貸す金額、いかなる金額をいかなる期間で貸すかというようなところまで全部当該金融機関決定いたしまして、それを公庫に通知するというような、ほとんど全部金融機関にまかす場合におきましては、金融機関当該貸出つきまして、公庫に八割の保証をする。その場合には手数料といたしまして公庫から四分五厘を差上げる。従いまして公庫手取りは五分五厘に相なるわけであります。なお金融機関貸出決定自分でいたしませんで、公庫決定を持ち上げて来るという場合があるのでありまするが、この場合には金融機関公庫に対する債務保証は三割にいたしまして、手数料として三分を差上げる。公庫手取りが七分に相なるわけであります。
  9. 南好雄

    南委員 そういたしますると、いずれの場合におきましても、金融機関は八割のいわゆる焦げつきに対するギヤランテイ、あるいは三割のギヤランテイというものがありまして、それに五分五厘とかあるいは四分五厘というような手数料で、はたしてこの資金が円滑に中小企業のところへ流れて行くという見通し実績その他によつてつけておいでになるのか。あるいは開発銀行中小企業金融というようなものからヒントを得られて、そういう考案をなさつたのか、その点をひとつ詳しく伺いたいと思います。
  10. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 現在公庫と非常に似通つた仕事をしておりまする開発銀行に例をとつてみますると、開発銀行が見返り資金によりまして中小企業向け貸出をいたしておりまするが、大体三つ方式があるのでございます。     〔委員長退席高木委員長代理着席〕  代理機関に対しまして、全部全額支払い保証と申しまするかそれをやらしまして、貸しておる場合における当該代理機関は五分の手数料をもらつておるのであります。今度私どもがやりますのは、八〇%の支払い保証で四分五厘でありまして、開発銀行の場合は一〇〇%の支払い保証をもつて五分の手数料、こう考えて参りますと、公庫の四分五厘制度というのはかかる代理機関に対しまして開発銀行に比べて逆に有利じやないかというふうにも考えられるのであります。なお開発銀行は、そのほかにも支払い保証の七〇%の場合におきましては、三分五厘の手数料をやるというもう一つ他方式があるのであります。七〇%では手数料三分五厘、私の方は八〇%で四分五厘でありますから、開発銀行のやり口と比べますれば、代理金融機関としては決して悪くない。しかも開発銀行のやつておりまする操作から見ますると、銀行としては自分支払い保証は重いけれども手数料五分というやつが非常に繁昌しておるのであります。これらの実績を見ますれば、この四分五厘という制度がむしろ金融機関としては好んでやる方式ではなかろうか、こういうふうに想像いたしております。
  11. 南好雄

    南委員 やつてみなければはつきりしたことはわからぬと思いますが、そういたしますと、先ほどのお答えの中には、最終利率中小企業に行くときの金利が一割というお話でありました。金融機関が七〇%保証したり、八〇%保証したりする場合に、たしか今国会にもすでに提案なつたか、あるいは提案になるだろうと予定されております、例の信用保険、これは一体あわせつけられるものかどうか。つけた場合にその保険料とか、いわゆる金利というものは、一体その一割の中に入つておるのか、上に出るのか、それをひとつお伺いしたい。
  12. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 すでに本委員会に付託いたしまして、御審議をお願いいたしております信用保険法の一部改正案の中には、従来銀行が、代理貸し制度等におきまする保証債務つきましては、保険がつけられなかつたのでありますが、今度の改正案には、かような保証債務保険の対象になるように仕組んでおるのであります。この改正案が通りますれば、たとえば今度公庫仕事をいたします場合における相手方の金融機関保証債務八割ないし三割というものが、信用保険につけ得ることに相なるのであります。その保険料保険金額に対してでございますから、八割責任の場合には貸付額の一分四厘四毛、三割責任の場合には同じく五厘四毛となるわけであります。そしてこの保証債務の場合におきましては、借主に転嫁は今のところ認めない考え方にいたしておるのであります。
  13. 南好雄

    南委員 その金利を借りた中小企業者転嫁されないことはいいのでありますが、そうなりますと、一体最終利率が一割というようなもののその内に計算するのか、外に計算するのか、これは非常に大事なことであります。と申しますのは、商工中金あたり一割三分になつております。もしもこれが外わくになるということになりますれば、大体商工中金あたりと同じことになつて参りますし、また先ほどからしばしば御説明にありました、あるいは御答弁にありました、最終利率が一割であるというお答えにもどつて参るのであります。非常に大事なことでありますから、はつきりひとつお伺いしたい。
  14. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 私、先ほど数字の申し方が誤つておりましたが、保険保証債務の六〇%を保険にとることにいたすわけでありまして、従つて三分といたしましても、その六〇%を保険にとるわけでありますから、三分の六〇%、一分八厘になるのでありまして、さらに保証責任の割合を乗じた一分四厘四毛、五厘四毛というものが保険料として実際上とることに相なるわけであります。これは銀行手数料の中から払つてもらうようにいたしまして、中小企業者転嫁することはさせないように運用いたしたい、かように考えておるわけであります。
  15. 南好雄

    南委員 そういたしますと非常にいいことなんであります。ぜひそういうふうな方針をとつていただきたいのであります。五分五厘とかあるいは四分五厘とかいつて、経由された金融機関のいわゆる手取り手数料はそれだけ減つて行くのでありますが、その反面におきまして焦げつき国家補償によつて損害を補償されるという有利の点もありますが、現実の銀行業務におきまして、一体どの程度の実収があり、自分がやつております一般の貸付業務と比較いたしまして、はたしてそれが得か損かということも考えられて参りますし、さらに進んで、この間から政府の出しております信用保険におきまする政府出資と申しますものは、これはいわゆるフアンドであつて、なるべく元金を繰込まぬというような御趣旨もかねがね聞いておるのでありますが、結局回収の困難な、いわば焦げつき可能性のあるものだけがそこへ逃げ込んで行くということにもなつて、非常にむずかしい問題が起きて来ると思う。その辺の見通し監督官庁として、十分見きわめになつておいでにならないと、せつかくつくつたあれが、単に方針だけ、あるいは基準だけになりまして、動かなくなるおそれがあるのでありますから、もう少し詳しく具体的に、こういう場合にはこういうような金融機関手数料になるというこまかい御説明をこの際していただいて、速記録に残しておきたいと思います。
  16. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 今度の公庫仕事をいたします場合に、いわゆる代理金融機関にほとんど全部の仕事をまかす場合におきましては、四分五厘の手数料を差上げるわけでございまするから、もしこの金融機関公庫に対しまするところの保証債務信用保険につけるといたしますれば、その保険料つまり填補率を六〇%としての信用保険でございまして、六〇%の填補率に対しまして三分の保険料でありまするから、保険料として一分八厘というものが必要なことに相なるわけであります。そこで四分五厘から一分八厘を引けば、金融機関手取りが二分七厘ということになるわけでありまして、さような場合には金融機関としてはもうけが減ることは確かでございます。しかし一方においていざという場合の危険が六割は減るわけでありますから、その辺の見合いは適当にやるのじやないか。たとえば従来すでにかような保証債務じやない場合にも信用保険でやつておりまして、これは七分五厘の填補率に対して三分の保険料をとつておりますから、金額に対しまして二分二厘五毛の保険料になり、それを金融機関と借りる債務者とが半々に負担をいたしておるのであります。それが従来から保険料高い高いということでいろいろと非難は受けておるのでありますが、それでもすでにこの信用保険が始まりましてから二年ほどの間に百億以上の信用保険をやつているのでありまして、過去の実績から見ますれば、今度転嫁を認めないというようなことにいたしましても、かなり金融機関としては利用できるのじやなかろうか。私どもが一番懸念いたしておりますのは、信用保険が全部逆選択を認めている点でありまして、その逆選択は非常にこわいのでありますが、その逆選択のこわい点、それから信用保険独立採算制を持つているという点、同時にまたそうかといつて保険としての効果がなくてはいかぬという点、その他を考えまして、六〇%という填補率を今度考えたのであります。この保証債務に対する信用保険の今後の見通しといたしましては、おおむね月三億円程度のことでまず行くのじやなかろうかということで、年額三十六億円程度保険わくを一応予想いたしておるのであります。
  17. 南好雄

    南委員 その点はその程度にしておきまして、次にもう少しお伺いしたいと思いますのは、この百五億の本年度の公庫資金を大体どういう系統別に流される御予定か。これはやつてみなければわからぬという点もあるのでありますが、大体の見当として、商工中金にはどの程度、あるいは市中銀行にはどの程度庶民金融機関にはどの程度というような目安でもありましたなら、この際ひとつお聞きしておきたいと思います。
  18. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 実は昨日も申し上げたと思うのでありますが、大体この公庫仕事を委託して行こうといたします金融機関種類としては、まず商工中金という組合専門金融機関一つ、それからいわゆる市中銀行、地方銀行を含めました銀行筋相互銀行並びに信用金庫信用組合というような大わけの種類があるわけでございます。これに対しまして公庫がどれだけの——つまり信用金庫だけ申しましても五百五、六十、六百近くあるし、信用組合が百六、七十ある、そのすべての金庫なり組合公庫取扱店としてお願いできるのかどうか、かような点につきましてはいまだはつきりした方針がきまつておらぬのでありまして、いずれにいたしましても開発銀行が現在代理店といたしましてある程度金融機関を選定いたしておるのでありますが、これは経済事情から見ますれば、すでにかなり前のデータによつて金融機関を選定いたしておるのでございますから、その後の情勢を加味いたしまして、代理店範囲を選定しなければならぬと思います。さような点もございますので、商工中金幾らの金を流す、あるいは相互銀行信用金庫等にそれぞれどれだけの金を具体的に流すかということにつきましては、今すぐ申し上げることはいかがかと思うのであります。公庫幹部等のできました上で、私ども大蔵省等十分懇談の上できめるべき問題ではなかろうかと思うのであります。ただ大ざつばに申しまして、商工中金貸出残高というものだけを押えて行きますれば、これは統計的には百分の三、四ぐらいでございますので、これだけ押えたのではいけない。そうではなくて、商工中金というものは預金も吸収しにくい機関でございますし、また法律によつて活動範囲の限定された。ちよつとむずかしい金融機関でもあるというふうな点を考慮し、かつまた特殊の使命を持つて大いに今後活躍してもらわねばならぬような筋合いも考慮いたしまして、この商工中金に対しまする資金わくは、他の金融機関と比べまして見劣りのしない、太い筋で流さねばならぬということだけははつきり申し上げられると思うのであります。
  19. 南好雄

    南委員 私の質問が悪かつたのか、あるいはそういうようにわざと逃げられたのかどちらかわかりませんけれども、私の聞いておるのは具体的に金融機関とどの程度の契約をするかということを聞いておるのではない。つまりわれわれの一番重視しておる商工中金に対しては、一体百五億の何パーセントぐらいを出す予定か、あるいは幾つか選定される市中金融機関に何パーセントぐらいやられるか、それから庶民金融機関である相互銀行とか信用金庫とかいうものに百五億のうちどの程度ウエートを置かれるのか、それぐらいのことはこの際聞いておかないと、長官は盛んに商工中金をかばつておられるような御答弁でありますが、相手の方が数が多いのであります。しかも商工中金一つでありまして、それだけが組合機関としてクローズ・アツプされております関係から、ややもすればその方に流れる資金が減つて来るのではないか、そういうことを心配するから、商工中金にはどの程度流すわくをお考えになつて出るか、その他へどの程度考えになつておるか、これは多少違つてもそう責任が起きるわけでもないのでありますから、監督官庁としてこういう方面については、かねがねの御言明が真実であるとするならば、この際やはり組合金融にどのくらいのウエートを置くかということははつきり御返事しておいていただきたいと思う。
  20. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 先ほどるる申し上げましたように、今この資金の百五億というものははつきりいたしておりまして、その他産業特別会計から二十三、四億の出資、これは債権の形の出資であります。従つて現金の形から申せば、百五億のうち、二十億を現に商工中金に貸しておりますから残り八十五億円で、その八十五億円のうち幾ら商工中金にやるか、あるいは何割を商工中金にやるか、いずれにしても同じことだと思うのでありますが、その具体的な数字を今ここで申し上げることは、まだちよつと時期尚早ではないかと思いますので、抽象的で申訳ないのでありますが、私といたしましては商工中金というものに対してはいろいろの特殊事情を認めつつ、特別なわくを重点的にやるということなら申し上げられます。しかし具体的にどうかという数字のことにつきましては、いま少しお待ち願いたい、かように思います。
  21. 南好雄

    南委員 急に御返事ができなければ、結論の出るところまで大体の方針を、この次の私または同僚議員質問のときまでにひとつきめておいていただかないと、これは非常に大きな問題です。中小企業組織化をかねがねわれわれは叫び、それに対する金融梗塞をできるだけ打開して、その方面からも組織化を促進して行こうと言つておるのであります。私はこの金庫ができて悪いというのではありませんが、これが組合及び組合員また組合に入つておらぬ中小企業者と相並んで供給源になつております関係から、その点をきのうもしつこく政務次官にも長官にも御質問申し上げたのでありますが、締めくくりましてこれはあとでもう一ぺん御質問申し上げます。監督官庁も単に通産省でなくて大蔵省もなつておる関係で、今までのあり方というものを考えてみますと、私はやはり商工中金に対する資金源というものは、大方針としてこの際ぜひとも毎年々々——もつともわくをきめておいても借りる人がなければ別であります。しかし借りる人ありとするならば、借りる組合ありとするならば、通産省としてはあくまでやはり商工中金ウエートがあるのだということの大方針をぜひともはつきりさせておいていただきたい、こう考えるのであります。すぐに御返事ができなくてもけつこうでありますから、十分にひとつ研究していただきたい。  もう一つここに公庫の資本金に吸収せられております二十八年度の自転車の産業振興費が約四億円ありますが、一体これはどうなるのか。それから吸収された資金はまた従来のように自転車産業振興の趣旨に使われて行くのか、その間の御説明をぜひ承つておきたいと思います。
  22. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 先ほどの商工中金にどのくらいの金が行くかということがはつきりしないといかぬじやないかというお話でありますが、私が今すぐその具体的数字のところまで申し上げかねる、もう少し時をかしていただきたいと申しますゆえんのものは、この公庫法の二十二條におきまして、公庫ができますと四半期ごとに資金計画を作成して、主務大臣の認可を受けることに相なつておるのであります。つまりどの金融機関へどれだけの分量の金を流すかということがそこできまるわけなのであります。従いまして今ここで数字のところまで私がしやべつてしまいますことは、あるいは行き過ぎではなかろうかとも考えますので、抽象的ではございますけれども、この公庫の運用といたしまして、商工中金に対しては重点的な資金の配分をいたしたいということで御了承を願いたいと考えておる次第であります。  自転車の関係つきましては、自転車の貸出しの対象は必ずしも公庫の対象といたすような中小企業事業に限定されておらないのでございます。大づかみに自転車に対しまして四億というような運用が従来なされておるのであります。そこで私どもといたしましては、それとこの公庫中小企業への資金ということとの兼ね合いを考えまして、従来すでに貸しておりますところの回収金、これは公庫の対象外、つまりこの公庫できめておりますよりは大きい規模の自転車の方へ流させまして、残余の金につきましては公庫から出すということによつて総額四億というわくと、それから中小企業中小企業でない自転車の操作をしかるべくやつて参りたいと考えておるのであります。一番の問題は全利の調節の問題でございまして、従来七分五厘で出しておりましたものを今度の公庫から出しますれば一割になる。この調節をいかにするかという点を実は苦慮いたしたのでありまして、自転車業界からいたしますれば、七分五厘はもう既得権である、これを侵害するのはけしからぬという議論も成り立つと思うのであります。実はこの既得権という御主張もまことに無理からぬ点もあろうかと思いますが、また公庫の運用といたしまして、一割をある特定のものだけに七分五厘することもなかなか苦しい事情もございますので、その辺のところをいかに調節するかということを今検討中でございます。
  23. 山手滿男

    ○山手委員 ちよつと関連して。今同僚の南委員質問に対する岡田長官の御説明でありますが、私はこの二十條から二十一條、二十二條、ここらあたりがこの法案一つの山でもあろうと思うのであります。こういう公庫をつくつて、実際に中小企業に金が流れて行くかどうか、これが問題なんです。従来も政府は、相当な資金中小企業に流すと称して来た。しかし実際には流れておらない。今度公庫をつくつてみても実際に中小企業にそれが円滑に流れて行くかどうか。流れる態勢をつくらなければいかぬというのが私どもがこの法案審議する主眼点であろうと思うのであります。そこで商工中金一つある。一般銀行が八十ある。相互銀行が七十ばかりある。信用金庫が五百ぐらいある。信用協同組合が百五、六十ある。それではどこを中心にして流すか。百二十九億なら百二十九億流すということになると、これはどういう序列で流すか。そしてどういうふうにこれを円滑に下に持つて行くかということが十分ここで解明されなければ、私はこの法案審議できないと思う。やはり一般市中銀行に大半の金が流れるという事態であるならば、こんなものは従来この公庫をつくらなかつたときと同じことで、屋上屋を架することになつて必要ないことになるので、もう一ぺん長官の方から、この法案審議をするためにはどういうふうにこれを流すのか、具体的に御説明願いたいと思う。
  24. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 その流し方は、大略申しますれば現在開発銀行が見返り資金から中小企業向け貸出しをいたしておるのであります。昨年の九月十六日に始めまして貸出しを始めましたのが昨年の十月十一日からでありますが、これは全国でたしか百数十の金融機関代理店といたしまして、その代理店中小企業者に貸すということがはつきりした場合に開発銀行から金が流れるという仕組みで、商工中金も含めまして各種銀行その他信用金庫等代理店としてやつておるのであります。あのやり方がもう少し大規模に今回の公庫の操作によつて行い得るというふうに考えて参りますれば、大体は似たものではないかと思うのであります。これは結局公庫からそれぞれの銀行あるいは商工中金あるいは信用金庫等に一定のわくをつくりまして、そのわく範囲内においてそれぞれの金融機関中小企業者に具体的にどれだけの金額を貸すということがきまりましたならば、それを公庫の方へ通知していただく。そうすれば公庫の方から金を流して、それが中小企業者に行く。ただその場合にあまりにそれを厳格にやりますと時間がかかりますから、大体もう審査が済みそうな、件数がどれだけたまつておるかということがあらかじめわかつて来ますれば、その程度の金はちよつと事前に金融機関の手元へ置いておくという操作は事務の敏活のためにやりたいと思いますが、これをはつきり区別して考えますれば、金融機関がこの法案できめますところの中小企業者に具体的に金を貸すということがはつきりしたら、公庫から金融機関に金を流すというわけでございますので、かりにいわゆる市中銀行を窓口としてのこの公庫の金が流れる場合におきましても、市中銀行がこれを中小企業以外の者に貸さんといたしましても貸し得ないことに相なるわけでございます。その横流れの危険は絶対に防止し得る仕組みに相なつておると思うのであります。各種の金融機関にどれだけのわくを設定するかという具体的の数字つきましては、先ほど申し上げましたように公庫資金計画によつてきまりまするので、具体的には申しかねますけれども、私どもの運用の方針といたしましては、組合の金融を担当しております商工中金でありまするとか、比較的零細な金融を担当しております相互銀行なり、信用金庫等方面には、重点を置いて運用をいたすべきものと考えておるのであります。
  25. 山手滿男

    ○山手委員 長官の今のお話で行きますと、市中銀行なり、相互銀行貸出すという腹をきめて連絡をすれば公庫から流す、それは絶対に大企業なんかに横流れする気づかいはないというお話でありましたが、そういうことになると、信用協同組合は、百六十ほどあつて数が非常に多いのでございますし、信用金庫も四百七、八十ある、これがそれぞれ各行とも二、三千万円ずつ貸してくれという申出をすることになると、商工中金はたつた一つしかない、一般市中銀行も八十しかないので、数が非常に多い信用協同組合なんかの申入れが殺到した場合には、その先着順にどんどん貸して行くものか、それの制限はどういうふうにつけるか、それを説明していただきたい。
  26. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 先ほども申しましたように、現に開発銀行がこれとやや類似の業務の運営をいたしております。開発銀行も昨年この業務を開始いたしますときの資金源がおおむね三十億足らずの金額で、今度の公庫よりはよほど規模が小さかつたのであります。その場合一定の標準によりまして取扱い金融機関を選定いたしたのであります。その基準というものは預金残高が何ぼとかいうような客観的なある目安でやつたように聞いておるのであります。その基準をそのまま現在の状況に当てはめることになりますれば、経済の情勢に合わぬ点があろうかと思うのでありますが、開発銀行のやりました先例等を参酌いたしまして、その後の経済状況の変化を加味いたしまして、取扱店の選定をいたして行くのが妥当じやなかろうか、かように考えておるのであります。
  27. 山手滿男

    ○山手委員 どうもまだ明らかでないのでありますが、信用協同組合信用金庫あるいは相互銀行は、中小企業に比較的親しい金融機関でありますが、実績は少い、しかし数は非常に多くて、しかも行渡つておる、こういうものがどういうふうにうまく公庫を利用するかということがこの法案一つのポイントでもあるし、商工中金がこれとどういうふうにうまくタイ・アツプして行けるかということが法案のポイントでもあるわけでありますが、今の御説明では、はたしてどの程度のものが信用協同組合なり、信用金庫なり、商工中金に流れて行くかということの回答にはなつておらないと私は思う。  もう一つ具体的に長官考えておられる御構想を御説明願いたいと思うのは、そのわくの基準をどういうところにとろうとしておるか。それをまず明らかにしていただきたい。
  28. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 私ども考えといたしましては、まず金融機関種類別、たとえば商工中金あるいは十一大銀行を含めましたいわゆる銀行、あるいは相互銀行信用金庫信用組合というふうな大分類別に比率をつくつて、そしてそれをまた小わけにわけて行くというやり方をやつたらどうだろうかと思つております。
  29. 山手滿男

    ○山手委員 大分類別に比率をつくつて、それをさらに小わけをするということになることは私はその通りであろうと思います。しかしいわゆる実績主義で行つた場合には、従来非常に中小企業と密接につながつてつたものは実績が少い。だからこの基準をどういうふうにとつて行くかということが基本的な構想にならなければいかぬと思うのですが、信用組合や、四百も五百もある信用金庫あるいは商工中金の手足というものがこれによつて死命を制せられることにもなるのでありますが、その基準はどういうことなんですか。
  30. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 基準のとり方はいろいろあろうかと思いますが、本日新聞に出ております今度二百億の預託をやつたというあれは、中金が十億その他でございまして、今度のは普通銀行に百五十億というのでちよつと比率が多いようでございますが、あの普通銀行のものは、従来の預託を全部引上げまして、かわりに百五十億出した、商工中金等は従来の預託の五十三億が残つた上に十億出した。ですから商工中金の預託の残高は六十三億になつたわけでありまして、今度の預託でははつきりした比率が出ないかもしれませんが、この預託の例にとりましても、過去の実績と申しますか、たとえば預金の点だけを押えましても預金残高という点から申しますれば、商工中金の預金残高は非常に小さいのであります。小さいにかかわらず、十億という比率、累計にいたしますれば六十三億という預託をやる、銀行全部で百五十億でありますから、大蔵省が今度私どもと無関係にやつております預託の関係でも、かなり中小企業専門の金融機関に対するウエートが高くなつておるということはお認め願えるかと思うのでありまして、われわれが今度公庫の分類別の割合をきめる場合においても、商工中金実績主義でやりますれば、かりに百億なら四億もわくをつければよろしいということになるのでありますけれども、さようなつもりではないのであります。もつといろいろの、預金がとりにくい点とか、組合ないし組合員だけしか相手にできないという特殊な制限がある点、協同組合を大いに発展助長せしめてもらいたいという中金の使命に対する期待等の点を加味いたしまして、相当の量を中金に扱つてもらつて行きたいという考えからこのわくの配分をやつて行きたい、相互銀行等につきましてもそれぞれそういう意味合いで、単なる実績主義ではなしに、ある程度われわれの今後の方針も織り込んでやつて行きたい。具体的にどうかという点につきましては、先ほど来申し述べまするように、今すぐ申し上げる段階でないように思います。
  31. 山手滿男

    ○山手委員 この法案はここがポイントになるのです。信用協同組合はいわゆる加入者に限つて預金もできるし、信用金庫にしましても員外者の場合はほかの一般市中銀行等はわくにはめられないという制限もあるので、単純な考え方でこの法案を通したのでは、ほんとうに流れて行くものが流れないことによつて、屋上屋を架したようなことになつて来ると思う。この基準をどういうふうにとるかということをもう少し具体的に解明されなければ、この法案の二十條から二十二、三條までのところは私はたいてい大蔵省にやられてしまうという結論になつて行く。大蔵省的なものの考え方ではこの中小企業の金融の問題はわれわれ賛成することができない。だから、委員長、この問題はもう少し具体的にはつきり政府の方から御説明がなければわれわれは審議することができないと思う。これは非常に重要なところだと思う。この問題をもう少しはつきりしてもらわなければこの法案審議しても意味がない。
  32. 南好雄

    南委員 同僚山手君から御意見が出ましたが、委員会は継続して審議ができるのでありますから、この次は大蔵省の銀行局長あたりに来てもらつて一緒に並べてこの問題をひとつ……。
  33. 木下重範

    ○木下(重)委員 先ほどから真剣な討議が行われておりますが、この際私も一言この点について申し上げておきたいと思います。商工中金の弱体化を非常にわれわれ憂えるのでありますが、局長も聞いて御存じだろうと思いますが、現在商工中金の欠陥は、窓口が少ない、結局利用者が限られたもので預貯金の吸収が非常に困難である。これは、こういうことを申し上げるとばかげたような話でありますが、どうかすると末端にあつてはこういうものがあつて利用されるものだということを知らないわけであります。そこで私はもう少し全国各市町村に窓口を拡大する方法を考えられたらどうかと思いまするが、この点について何か抱負がありますかどうか伺いたい。
  34. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 中金の店舗をふやすという問題でございますが、現在は一応各都道府県に一つずつできているわけであります。このできましたのは必ずしも貸出しが多いからとか預金が多いからとかいう、つまり営利的な見地を全然離れまして、とにかく都道府県には一つずつやらねばならぬというのでやつとできたのでございます。従つて中にはもうからぬ店舗もいろいろありまして、相当経費がかさんで困つているような一つの原因にもなつているのでありますが、しかし一方において商工中金仕事が隅々まで行き渡つて、協同組合ないし組合員の方々の御便宜をはかるという点から言えば、御説の通りもう少し、少くとも協同組合の密集地帯には店舗を広げる必要があろうかと思いますが、やつと各府県一つずつということができましたのですから、今後はさような方向に向つて、協同組合の密集地帯等に店舗を広げて行くという方向に努力いたすべきであろうと思うのであります。さような方向に行くであろうと思うのであります。  なお山手委員からいろいろ具体的な数字の御要求がございましてただちにお答えできないのを遺憾に思いますが、現在の貸出残高中小企業向け貸出残高の比率から申しますれば、銀行が六〇%、相互銀行が二割二分、信用金庫組合を合算いたしまして一割五分、中金が三分強ということに相なつているのであります。しかしこの比率ではなしに、先ほど申しましたようにこの比率をある程度中小企業の金融という点に重点を置くなり、あるいは協同組合の維持育成という点にウエートを置くなり、あるいはまたその金融機関の持つております宿命というか、預金の吸収が困難であるとかいろいろな宿命というようなものその他を加味いたしまして、この残高だけではなしに、他の要素も加味して、適当な数字を出すようにして行く。その適当な数字は何ぞやという点は資金計画までお待ちを願いたい。かような意味なのでございます。
  35. 木下重範

    ○木下(重)委員 ただいま承りますと、窓口を拡大することについては、密集地帯になるたけ店舗を持ちたいという話がありましたが、これはどうでしようか、商工中金法における制度を活用いたしまして、現在中小企業等協同組合法によるところの信用組合、これに全面的に商工中金の業務を代理させるということで、いわゆる資金の貸付及び預金の受入れ等をいたしますならば、現在全国に三百余りたしか窓口があると思いまするが、そういたしますれば一般にも浸透いたしますし、貸出しも非常に円滑になつて来るのじやないか。この際思いきつた処置をとらなければ、せつかくつくられてもこの活用の面について何ら役に立たないという懸念が大いにされるのであります。結局そうしたところに、手数料を払うのは同じことでありますから、いわゆる商工中金法における制度を活用いたしまして、協同組合法に基く信用組合を利用するということが最も私は妥当ではないかと思いますが、どう考えておられますか、一応お伺いしたい。
  36. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 商工中金信用協同組合との関係を逐次結びつけて行きまして、そうして商工中金の店舗の足りないところを信用協同組合との結合によつてつてつたらどうかという御意見のように思うのでありますが、最近における商工中金信用協同組合関係は、逐次密接の度を加えつつあるのでございます。預金にしてもまた貸出しにしましても、中金が協同組合との関係において扱つております数字はだんだんとふえている。昨年の暮のごときは、預金におきまして九十八信用組合貸出の場合には四十七の組合を使つてつているというような関係もございますし、今度の十億の預託金が政府から参りました場合にも、一億の金を信用協同組合の方に中金からわけてさらに預託している。そういうような方法もとりたい、かように考えておりますので、中金と協同組合との関係というものは逐次密接の度を加えて行くものと考えているのであります。
  37. 木下重範

    ○木下(重)委員 結局この際思い切つて窓口をふやすという考え方をしますれば私は適当ではないかと思いますが、それに沿うような答弁がありましたが特にその点は御注意を願いたいと思つております。  さらに山手委員からしきりにつつ込んだ質問がありましたが、われわれは同感であります。この金がどう流れるか、はたして中小企業者のところに流れて行くかどうかということが非常に懸念される。私がここで申し上げておきたいのは、中小企業者に理解のある、中小企業者を対象として金融をやつている金融機関にこれを流して行くということになりますならば、先ほど申し上げたような点等を総合して運用して行けば、おそらく中小企業者の手に渡るのじやないかという考えを持つている。たとえば協同組合法による信用組合あるいは信用金庫あるいは相互銀行、すなわち銀行あたり実績からいいますと、たくさんの金がはたして中小企業者のところに行つているかどうか、われわれ疑問を持つておりますが、この際むしろ中小企業者を最も対象として金融をやつている金融機関、これは御承知の通り信用金庫あたりでも一般に普通銀行と違いまして、普通銀行でしたら地方で金を吸収したら地方に持つてつてあまり使えない、ところが信用金庫あたりは御承知の通り一部の地域に限られて、そこの土地の金を吸収したものはその土地に流すというあり方で、中小企業者から非常に重要視されている、こうした中小企業に理解ある金融機関に流すということにされますれば、私はいろいろな問題が起らぬのじやないかという見解を持つておりまするが、この点に対してどういう見解を持つておられるか伺いたい。
  38. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 もとより私るる申し上げておりますように、商工中金であるとか相互銀行信用金庫信用組合というふうな、もつぱら中小企業専門の金融をいたしておりますところの金融機関に、公庫の金を十分に流して御利用願うということは何ら異存はないのでございます。ただ現状の姿を見ますれば、銀行というものも無視できない。残高だけによるわけではございませんけれども、資本金三百万円以下の中小企業者だけの金額を押えましても、今の統計上から見ますれば、六割程度のものが銀行でまかなわれておるという事実、ないし都民銀行とかあるいは大阪不動産銀行とか武蔵野銀行とか、最近いわゆる中小企業を特にねらいといたしまして設立されつつあります銀行もあるわけでございまして、それらの事情も加味し、一方において中小企業専門の金融機関活動は十分尊重しながらも、また一面において銀行の果しておる役目も無視できないというふうに私ども考えておるのでありまして、その辺の調和をある程度つて行くことによりまして、中小企業者の満足が得られるのではなかろうか。また銀行に流す場合におきましても、いわゆる預託制度ではございませんで、法律できめておりますように、中小企業者にほんとうに貸すということがはつきりした場合においてのみ、その銀行公庫から金が流れるという仕組みをとるのでございますから、横流しの危険は全然ないこう申し上げてよろしいかと思うのであります。
  39. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 これは先ほどから同僚議員がたいへん熱心にやつておられますが、ここがこの法案を生かすか殺すかのキー・ポイントだと思う。そこで特に岡田長官にお願いしたいことは、それはただいまのお説は、かつて工業新聞にも出ていたと思います。それで市中銀行が六五%も中小企業のために寄与している。従つてこれは無視できないという考え方ですね。これはごもつともだと思うのです。ごもつともだと思うのですが、その六五%になつ内容がどういう結果から生じて来たかということを長官としてはぜひこの際一応お考えいただきたいと思うのです。私は、中小企業者であるからその点がわかるのです、と申しまするのは、ほんとうはわれわれは信用協同組合なり商工中金なりへ借りに行きたいのです。そこへ借りに行きますと、御承知の政府の預託金なり何なりはあまりない。貸し出すことができないということなのです。そこでやむなく市中銀行へ借りに行かなければならない。ところでこの六五%の構成されている道行きがそういうことであると同時に、またそこで銀行の支店長なり何なりに許可を得て貸してもらえる人物は一体どういうものか考えてみますると、中小企業といえども大体はその大に属する方だけなんです。いわく自分のところの工場設備がいいとか、あるいは資金化してもらえる、その資金に対する担保を自分のところに持つているものとか、自分の財産を見合いにして貸してもらつておる、こういう状況なんです。そこででき上つたのがこの六五%ということなんです。そこで今度のできました法案目的が、中小の企業のうちの一番上の方に属するところ、それのみが対象であるというならば、それはけつこうでございますけれども、もしほんとうに中小企業の小の方、あるいは零細にまでこの政府の恩恵を押し及ぼそうという精神がもしあるとするならば、ぜひ先ほどから同僚議員が述べられておりますように、商工中金ないしは信用協同組合、こちらの方にウエートを置かれるということがその精神を生かすゆえんのものではないか、こう考えているわけなんでありますが、この点ぜひ御考慮に入れて、この計画を編み出していただきたい、こう思うわけであります。
  40. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 私は今のお説の通りを述べているつもりでございます。中小企業専門の金融機関に十分重点を置いて行く。ただしかし銀行筋も無視してしまうわけにも行かないということを申し上げておるのであります。たとえば商工中金の利付債券、三年ものでございまするが、これを発行いたしているうちの二億は地方銀行がとつておるというような銀行も、商工中金等に対してもある程度の援助をしてくれているような点もございますし、先ほど申しました六五%と申しますのは、資本金三百万円以下のものだけの統計でございまするので、銀行もある程度中小企業のための金融として活躍しているということを全部没にすることも相ならぬので、それ相応の関心は持たなければならぬけれども、重点はお説の通りに置いて行きたい、かように思つております。
  41. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それは私も長官のお説を否定するものでもなければ、過去において市中銀行中小企業に貢献した、その功績を否定するものでもない。ところが今日の中小企業市中銀行の支店長との間柄というものは、これはへびの前に出たかえるみたいなもんです。事実言われた通りになるんです。またならなければ、貸してもらえないんです。だからこそ銀行屋さんが盛んに料理屋通いをなさるということが事実行われているんです。  そこで先ほどから、盛んに預託するのでない、借りる連中と貸す連中との契約書なり何なり証拠物件をよく見てから、これにまかせるんだ、従つてもうよそへは流れない、こういうお説でございますが、それはそこまで考えておつていただけることは中小企業にとつてはありがたいのですが、その先をもう一つ見ていただきたい。それ以上私は申し上げるとちよつとぐあいの悪い点もあると思いますので、御賢察願いたいと思いますが、借りる中小企業の弱い連中はとにかくどんな判こでも押すんです。事実そうなんです。押さされる具体的実例を私は持つている。だからこそ先ほど山手委員からも言われましたように、過去に政府がせつかくいろいろ中小企業のためにと思つて援助されたその資金が、ほんとうにそこへ流れていない。途中わが田に水を引く大きな力に引かれて行つてしまつているという具体的実例を私はたくさん知つている。そこでこの点をよく御考慮に入れていただいて、そういう心配がさらさらないという金融機関がなければ別でございますが、そういう心配がない、よそへ行く心配がないという金融機関がちやんと商工中金だとか信用組合というようにあるんだから、そちらにウエートを置かれることが、この法案を生かし、やがて今日の政府中小企業に対する精神を生かす道ではないか、私はかように考えておるわけであります。
  42. 南好雄

    南委員 大分同僚議員の方からいろいろ関連質問が出たのでありますが、ひとつもとへ戻しまして、この中小企業金融公庫は、御承知の通り、第一條においては「中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金」こういうことを言つております。先ほどいろいろ問題になつております預託とか何とか申しますことは、これは主として短期資金なんです。こういうようなものも実績なりあるいは貸出し残高で今度の資金計画なんかを立てられると、これは一大事なんです中小企業のいわゆる長期資金と申しますもの、いわばこれからこの公庫の行う営業と申しますものは、前人未踏のところに行くのでありまして、単なる参考であつて、それがほんとうに重要なる基準になつたら、これはたいへんなことであります。しかし中小企業者の必要とする短期資金は、この第一條にうたつている長期の方を参考にすると、これはたいへんなことであります。そこで、この際この公庫の営業である長期資金内容を、もう少し詳しく長官あるいは政務次官からお聞きしたいと思います。大体長期資金と申しますのはいろいろあるのでありますが、おそらく長期資金という以上は、一年以上だろうと思うのです。一体最長何年くらいをこの資金考えておるのでありますか。
  43. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 従来この金は、たとえば開発銀行等におきましては、長期資金と書かずに設備資金はつきり書いておるのであります。特にここで設備資金と書かずに長期資金といたしましたゆえんのものは、設備資金並びに設備資金をお貸ししたことに伴つて必要となつて来るであろう運転資金のうちの、底だまり的な長期にわたつた運転資金が必要になつて来る事例が多いものでありますから、設備資金並びにこれに関連する長期運転資金もお貸しいたしたいという趣旨から、特に設備資金といたしませんで、長期資金というふうにやつたわけであります。この期限等につきましては、大体すえ置き期間最長一年、回収期間最長五年でありますから、一番長く行きますれば六年まで行き得るということに相なるわけであります。
  44. 南好雄

    南委員 この開発銀行で従来やつて参りました設備資金の貸付と申しますものも、この公庫のいわゆる方針には単なる参考にしかすぎぬと思います。と申しますのは、開発銀行は国の指定した重要産業のうちの比較的資本金額の少いものを中心にしておるのであつて、この公庫目的としておりまする一般の広い意味の中小企業ということから比較いたしますると、職業分類の上から見ると大したパーセントを占めておらぬと思うのであります。大体そういうことになつて参りますので、この公庫のほんとうの営業方針なり貸付方針と申しますことは、当事者も相当苦労されたことだろうと思うのでありますが、一体そうするとこの長期資金——それは設備資金とそれから比較的長期的な運転資金、それでけつこうでありますが、そういう金であれば一体これはどういう種類の担保を必要とするか、その担保のとり方、これも非常に大事な問題でなかろうかと思うのであります。今公庫ではこの資金に対する担保はどういうものを考えおいでになるのか。この際明白にしていただきたい。
  45. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 開発銀行等のやり方はいろいろ参考にいたしておるのでございますが、開発銀行の方も、輸出産業、重要産業、生活必需産業、それに関連する産業というので、範囲はかなり広いかと思つております。それは別といたしまして、担保の関係でございまするが、当該設備資金を出しましてできます設備、これはもとよりでありまして、不動産——財団があれば財団不動産、動産その他の資産もこれでとることができるし、事情によりましては保証人でやつてもいい。担保物件の評価にあたりましては、処分価格の七掛ぐらいを担保価格として見て行つたらどうか、これはいろいろ今後研究を要する問題であろうと思うのでありますが、あまりに担保過重ということになつては運用がむずかしゆうございましようし、といつてあまりに安きに流れますとまた公庫の運用そのものがくずれるわけにもなりますので、その辺の中庸をとつてよろしきを得たい、かように考えております。
  46. 南好雄

    南委員 商工中金あたりの担保のとり方は、大体工場でありますとその持つておるものの時価の六割見当を押えておるようであります。しかもその六割見当で貸してくれて、いわゆる抵当権なりはとつてしまうのであります。商工中金に金を借りますと、担保力がなくなつてほかの取引に非常にさしつかえて来るために非難も起きております。これはもちろん設備資金と比較的長期の運転資金で、短期の資金考えておりませんので、短期資金の融通ということも借りる人たちに考えてやらなければならぬ。そういう場合における担保の必要ということも入れますと、この担保の限定の仕方というものは非常にむずかしいのではないか。いろいろ金融機関がたくさんあるのはありがたいことでありますが、人的担保で貸してくれる場合はいいのでありますが、物的担保になつて参りますと、その担保力の限界ということについて、何と申しますか非常に有利な借金と非常に不利な借金とが出て参るのであります。そういうところに、さなぎだに金融に困難をしております中小企業者にとつてはよほどお考えになつてきめていただきませんと、これによつて百万円ほど借りたら五百万円ほどの工場が全部つぶれてなくなつてしまうということになつたら、仏つくつて魂を入れずでありますから、この点十分注意していただきたい。私の質問は非常にこまかいことになつて行くのであつて、今後この公庫の幹部がいろいろな経験からまた考えてつくらるべきことを今聞こうとするのでありますから、答弁される方も非常につらいだろうと思うのですが、しかしこれは大事なことですから、特にこの点における特段の配慮をお願いしておきます。  これで大体私は総論的の質問は済んだのでありますが、各論的なこまかいことについてもう一ぺん質問をいたすことにして、今日はこの程度で私の質問は打切つておきます。
  47. 高木吉之助

    ○高木委員長代理 他に御質問はございませんか。——御質問がございませんければ本日はこの程度といたし、明日は午前十時より、独占禁止法改正案つきまして、経済安定委員会と連合審査会を開きますからさよう御了承願いたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時七分散会