○松原
委員 承知いたしました。
小平次官がこの問題を慎重に考慮する。総合的に、合理的に考えるとおつしや
つた、その言葉に対しては、私は敬意を表し、かつ信頼をしたいと思うものであります。しかし私が私の身をも
つて通産省の首脳部諸君に会うた感じから申しますと、何が何でもこれを再開にひつば
つて行きたいというような気持が、相当強くあるのではないかと疑わせる証拠がある。一例をあげますれば、大阪府の商工部長あるいは副知事というふうな人が、枚方市と寝屋川市の当局者を府庁に招致して、そうしてできるだけ地元の反対を緩和するように努力しろ。しかもその口実たるや、もしこの日セル
——はつきり申しますが、日セルのごとき比較的危険度の少い会社が経営する方がより安全であ
つて、もしそれをしも拒絶するならば、この次には国有国営にな
つて、もつと手ひどい、危険な工場になるから、今において早く反対の空気を緩和した方が、住民のために得であろうというようなことを、
はつきりと申し、あるいは枚方の市
会議員に向
つて、利をも
つていざない、あるいはこれらの口実をも
つて、欺瞞的な勧誘をいたしまして、そうしているいろいろと好ましからざる運動が行われておりまするが、この震源地がどうやら東京にあるような気がしてならないというのが、地元の一般の空気であります。先ほど永井君から
お話がありましたように、昭和二十年に七百戸くらいであ
つたあの近辺の住宅地が、すでに五千七百にふえておる。その人口は二方四千にふえておるのであります。こういう市街地、現に敷地から二、三百メートル離れた所までたくさんの住宅が迫
つて来ておるのであります。こういう住宅
地域にきわめて近接した土地に、こういう火薬
関係の工場があるなどということは、常識上考え及ばざるところであります。しかるにもかかわらず、
通産省の専門の人たちは、その現地へ行
つて、そうして旧工廠の中だけを見て、もちろんそこには新しい家も建
つておりません、住宅も建
つておりません、ただ学校があ
つたり、あるいは旧工廠の建物を転用しておる工場があるだけでありまするが、その以外は全部元のままの草ぼうぼうたる、いわば山の中のような感じがいたす所であります。そこだけを見て、現に小笠原通産
大臣はおととい、あそこは君、山奥じやないかと言うておられますが、
通産省のそれらのことを管掌しておる人たちは、これを山の奥なりと、
次官なりあるいは
大臣なりに報告しておるらしいと思われるふしがここにもあるのでありまするが、しかし事実は二、三百メートル離れた所に、すでに住宅地が迫
つておるという状況であります。その一歩外へ出ましたら、環境がま
つたくかわ
つておる。二万数千の人口をそばに抱えておるような所に、火薬の充填工場が置かれていいものであるかどうかということは、まことに明らかな問題であるにもかかわらず、しかもその中だけの地形を見て、そうして適地であるというような報告が現に
通産省になされておると私は思う。かつそれが大阪府へ相当好ましからざる影響を与えた事態も、今から一箇月ほど前まであ
つたという事実、これらのことは、私どもがこの問題に
関係して痛切に感じたところでありまするが、
小平次官は一体
通産省のこれらに対する報告を耳にしておられるであろうが、私の申したような報告があなたの耳に入
つておるのではありますまいか。その点を明らかにしていただきたいと思います。