○小金
委員 武器等製造法案につきましては、昨年ですかすでに
説明を求めて、同僚の
福井勇
委員からいろいろな問題について
質問が始められました。私はここで、この
武器等製造法案に関連して重要な問題を
二つほどお尋ねいたしておきたいと思います。われわれは第十三国会において航空機製造法を
審議いたして、これを成立せしめております。航空機は必ずしも武器そのものではない。けれども軍隊を持つたり、また軍艦あるいはまた戦争をする覚悟を持
つておる国にとりましては、航空機というものは兵器のうちの一番根幹をなすものの
一つであると思
つております。今提案にな
つておりまするこの法案は直接に武器等製造という銘を打
つておるのであります。そうして第二条かに、「この法律において「武器」とは、左に掲げる物をいう。ということで、はつきり表向き武器という字を出しております。この武器あるいは兵器といわれるものは、各国の工業
生産の中で一番先端を行く精鋭をきわめたもの、すなわち精度の最も高い工業が武器の
生産工業だ、こう申してさしつかえないと思います。そうすると一国の工業力ないしは工業力の精度といいますか、その高さを決するものが、私は兵器の
生産ないしは機構だろう、こういうふうに一応
考えます。たしか
昭和二十年の十月十日のポツダム宣言の共同省令か何かで、兵器、航空機等の
生産制限に関する件という
ようなものがあ
つてもうすでにこれは昨年失効してしま
つておる。野放図の状態では置けないから、この
法律案を出す、こう私は一応了解いたします。しかしてこの法案は、
国民経済の健全なる運行に寄与するとともに、公共の安全を確保することを目的とするという
二つの大きな目的を持
つております。これはこの法案の
性格を示しておるものと思いますが、ここで武器という文字を表向き法律の名前にし、その内容を定めております点について、私は大きな問題点として
二つ伺いたい。その
一つは、憲法第九条の規定に抵触しはしないかということと、もう
一つは、こういう法案を出しまして公然と
審議し、これを国法として定める際に、戦争を放棄した日本がこういう法律を持つということについて、これが世界の各国にどういう影響を及ぼすか、日本の国交上あるいは貿易上あるいはまた将来のいろいろな国家間の
関係を結び、また国家間の
関係をつけて行く上において、支障になりはしないか、この
二つの問題であります。憲法第九条に関連いたしまして、私は
政府を代表して
法制局長官からお答えをはつきりとお聞きいたしたいのであります。憲法第九条第一項で、日本は要するに戦争をしない、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を
解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」こう書いてありまして、第二項に「前項の目的を達する
ため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」こう書いてありますが、陸海空軍は日本は持
つていませんが、その他の戦力になりはせんかという問題がここに起
つて来るのであります。戦力というのは、国際間の近代戦争を遂行するのに必要なあるいはまた役に立つ
程度の装備、編成、これをさすものであ
つて単なる武器そのものは、戦力の内容の
一つにはなるかもしれませんが、戦力そのものではない。
従つて武器そのものの製造を認めることは、憲法の戦力保持の禁止に関する規定に抵触するものではない、こういう解釈を私どもは一応立てておるのでありますが、これらについて明確なる
政府の所信をお答え願いたいのであります。