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1952-12-24 第15回国会 衆議院 通商産業委員会 第15号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年十二月二十四日(水曜日) 午前十時四十六分
開議
出席委員
委員長
坪川
信三君
理事
小金
義照君
理事
高木吉之助
君
理事
河野
金昇
君
理事
今澄
勇君
理事
永井勝次郎
君 中峠
國夫
君
福井
勇君
福井
順一君
村上
勇君 宇田 耕一君 高橋 長治君
長谷川四郎
君 山手
滿男
君
伊藤卯四郎
君 加藤 清二君
出席国務大臣
外 務 大 臣 岡崎 勝男君
通商産業大臣
小笠原三九郎君
出席政府委員
通商産業政務次
官 小平 久雄君
通商産業事務官
(
鉱山局長
) 川上 為治君
委員外
の
出席者
大蔵事務官
(
理財局総務課
長) 吉田
信邦
君 参 考 人 (
日本鉱業協会
会長
)
羽仁
路之君 参 考 人 (
全国金属鉱山
労働組合連合会
委員長
)
原口
幸隆
君 専 門 員 谷崎 明君 専 門 員 越田 清七君 ――
―――――――――――
十二月二十三日
委員
中
峠國夫
君、
村上勇
君及
び木下重範
君
辞任
につき、その
補欠
として
永野護
君、
前田米藏
君 及び
風見章
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十四日
委員永野護
君、
前田米藏
君及び
風見章
君
辞任
に つき、その
補欠
として中
峠國夫
君、
村上勇
君及
び木下重範
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
十二月二十三日
中小企業等協同組合法
の一部を改正する
法律案
(
今澄勇
君外十二名
提出
、
衆法
第二一号) の審査を本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件
中小企業等協同組合法
の一部を改正する
法律案
(
今澄勇
君外十二名
提出
、
衆法
第二一号)
鉱業
に関する件
貿易
に関する件 ――
―――――――――――
坪川信三
1
○
坪川委員長
これより
会議
を開きます。 本日はまず付託になりました
中小企業等協同組合法
の一部を改正する
法律案
を
議題
といたし、
提出者
より
提案理由
を説明願います。
今澄
君。
今澄勇
2
○
今澄委員
ただいま
議題
と相なりました
中小企業等協同組合法
の一部を改正する
法律案
について、その
提案
の
理由
を御説明いたします。 終戦後七年
有半
をけみしまして、待望の
独立
を迎えましたが、政治上の
独立
を確立いたしますためには、
経済自立
の裏づけが必要であることは、贅言を要しないところであります。このためには、
我が国経済
の基盤を形成するところの
中小商工業
に対して、その
育成振興
を強力に具現いたさなければならないこともまた多言を要しないところであります。 しかるに、
わが国
の
中小企業
は、
資本力
が脆弱であるのみならず、
経営
、技術の面においても不合理な点が多く、かかる欠陥が循環的に
資本力
の脆弱さを倍加いたしておるのが実情でございます。
従つて国内外
の
経済情勢
の
変動
の影響を最も敏感に受けやすい
立場
に置かれながら、財政、
金融
、
税制等中小企業
を囲繞する外的な諸条件の
合理化
に
努力
しなければならないと同時に、
中小企業者自身
もまた
相互扶助
の
精神
に基く
協同組合
を組織し、団結の力によ
つて
各
企業
の
経営内容
の
健全合理化
をはかるための自立的、積極的な
努力
をもいたさなければなりません。 この
組織化
、
協同化
に関する
基本法
として生誕いたしました、
昭和
二十四年
法律
第百八十一
号中小企業協同組合法
は、いわば
中小企業
の
基本法典
とも申すべきものでありまして、公布以来三年
有半
、
本法
に基く
中小企業者
の
組織化
は着々として進捗いたし、その間法の不備を補い、短を改めて、今日に
至つたの
であります。 しかるに
組合員相互
の
自家保険
に関しては、戦後の
損害保険業者
の独占的かつ
高率保険料強行
の重圧より免れんとする
中小企業者
の
自己防衛的手段
として、爾来各地に
保険組合運動
、特に
火災共済運動
が
消費生活協同組合法
に準拠し、あるいはまた
中小企業協同組合
またはこの
連合会
の
附帯事業
として営まれまたは営まれんとする形勢が生じて参
つたの
であります。 このことは
本法制定
当時、
関係者
の間で、
本法
第七十条第一項第三号の
事業協同組合
の
事業
中「
組合員
の
福利厚生
に関する施設」の解釈につき、
組合員相互
の
保険
に関する
事業
を包含するやいなやについて相当の論議があ
つたの
でありまして、
中小企業者
の意図する
相互協同精神
に
画龍点睛
を欠いたうらみを残したまま今日に
至つたの
であります。この際
現行法規
のあいまいな表現を一風し、
中小企業等協同組合法
中にあらためて
火災保険組合
及び
火災保険中央会
に関する条項を追加改正せんとするのが、本
法律案提出
の趣旨であります。次にその大要を申し上げます。 第一に、
保険組合
は、都道府県を
区域
とした
地域組合
に限定いたしました。これは
保険そのもの
の性質から考え、危険を
単位地域
を現在の
行政単位区域
にまで拡大し、リスクの分散をはからんとするのがねらいであります。 第二に、
組合員
の資格に関しては、
農林畜水産業者
を除く
中小企業者
及びその
従業員
を対象とし、
員外利用
を認めない方針といたしたのであります。 第三は、
中小企業者
の
範囲
の限定でありますが、これは、
中小企業等協同組合法
に規定する
中小企業者
の
範囲
と同一といたした点であります。 第四は、
保険
の種類でありまして、これは人の生命または身体に関する事故による
損害
を除き、
火災
によ
つて
こうむる
損害
を補填するための
相互保険事業
を
保険組合
が営み、その再
保険事業
が同
中央会
が行うのであります。 第五は、
保険組合
は、非
出資組合
である点であります。 第六は、
保険組合
の
設立認可
に関する事項を規定した点であります。これには厳重な
保証要件
を求めることといたし、一、
地方公共団体
または
金融機関
が
組合
の
火災保険事業
に要する
資金
を保証すること。二、
保険会社
または
火災保険組合中央会
において再
保険
を引受ることのうち、いづれかを具備しなければならないことといたした点であります。 第七の点は、
保険組合
に対する監督は、
通商商業大臣
の所管とし、その
保険事業
については、
保険業法
の
適用除外
といたしたことであります。 以上が
改正案
の主要な点であります。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
坪川信三
3
○
坪川委員長
以上をも
つて
本案
の
提案理由
の説明は終了いたしました。
本案
に対する質疑は
次会
において行うことといたします。 ――
―――――――――――
坪川信三
4
○
坪川委員長
次に
鉱業
に関する件、特に
産金政策
に関し
調査
を進めたいと存じます。 この際お諮りいたします。本件に関しまして、
日本鉱業協会会長励仁路
之君及び
全国金属鉱山労働組合連合会委員長原品幸隆
君を
参考人
といたし、その
意見
を求めることにいたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
坪川信三
5
○
坪川委員長
御
異議
がなければ、さよう
決定
いたします。 それでは、まず
参考人
より、
産金事業
の
現状
及びその
対策
に関しまして
意見
の御
陳述
をお願いいたします。御
意見
の御
陳述
はお一人大体十五分以内にお願いいたしたいと存じます。まず
日本鉱業協会会長加仁路
之君、次に
全国金属鉱山労働組合連合会委員長原品幸隆
君の順序をも
つて
参考人
よりの御
意見
をお願いいたしたいと思います。
日本鉱業協会会長羽仁路
之君。
羽仁路之
6
○
羽仁参考人
私は、ただいま御紹介にあずかりました
日本鉱業協会会長羽仁路
之でございます。本日
国会
におきまして
通産委員
の
皆様方
に親しくお目にかかりまして、
産金業界
を代表しまして、
産金
に対する私どもの所信を申し述べる機会を与えられましたことを感謝いたします。
戦前
、
産金
はなばなしい時代には、
年産
約二十六トンの
生産
をあげまして、
外貨決済
上輝かしい歴史を持
つて
、いました
わが国
の
金山
が、戦時中
政府
の
強制整備
にあいまして、それから後今日に
至つて
もなおきわめて悲惨な
状態
に苦んでおりますことに関しましては、すでに
業界
からもしばしば
陳情
され、また
言論機関
からもたびたび報道しておりますので、諸
先生方
におかれましても御
承知
のことと存じます。私はここにあらためて
金山
の
窮状
をるる申し述べますことをやめまして、今日
わが国
の
金鉱業
が当面しております
問題点
と、これに対応するわれわれの要望を簡単に申し上げまして、これを
国会
においてすみやかにお取上げくださるようお願いいたしたいと存ずるのであります。 まず今日
わが国
の
金山
が当面いたしております
問題点
のうち、最も重大な事柄として、二つを指摘いたしたいと思います。 第一の点は、
政府
は
昭和
二十五年二月に、
金鉱業復興対策
に関する件を
閣議決定
いたしまして―これはお
手元
にお配りいたしました
陳情書
の十ページにあります
通り
、
経済安定本部
、大蔵省、通商産業省の
共同発表
でございまして、近い将来における
国内産金
の
重要性
を考慮して、
金鉱業
の健全な
復興
をはかることを
決定
しましてこのためには設備の
復元資金
の融資をあつせんする、また
探鉱
を促進するため
探鉱奨励金
を交付する、また
税金
も軽減するし、
鉄道運賃
の
割引
をする等、一連の
奨励策
をきめて、当時
休廃止
中であつた
金山
の復活を慫慂されたのであります。
産金業者
は
政府
のこの
施策
に正直に順応いたしまして、時あたかも銅、鉛、
亜鉛等
の
価格差
、
補給金
の打切られた直後のきわめて苦しい
経営状態
の中から、とにかく
資金
を調達しまして、約三十億円の
建設資金
を投じまして、
労使
の
努力
の結果ようやく
生産
の段階にまで到達いたしたのであります。しかるにこのときにあたりまして、
朝鮮動乱
が勃発し、以来諸
物価
が非常に上昇して来ました。
従つて産金業
の
採算
を根底からくつがえすに
至つたの
であります。今や
金山
はまつたく瀕死の
状態
にあるとい
つて
間違いないと思います。いな、すでに有名な
佐渡
、
高玉
、
春日
、
荒川
、
河津等
の大
金山
ばかりでなく、
中小金山
が相続いて
休山
あるいは
縮小
を行
つて
おるのであります。これにもかかわらず、
政府
は何らこれに対し救済の手を打
つて
いないということは、まことに心外にたえないのであります。
政府
が三年前に奨励して、民間が追従いたして
行つた
三十億円の投資と、これによ
つて
得られた生活が刻一刻と失はれつつあるのであります。このことを十分にお認めいただきたいのであります。 第二の点は、金の
価格
は十八
年間
もすえ置かれているということであります。御
承知
の
通り
、金の
政府買上げ価格
は、一九三四年に
アメリカ
で公定した一オンス三十五
ドル
が基準とな
つて
います。これを円に表示しますと、その後の
為替相場
の
変動
が作用しまして、三百六十円
レート
の
決定
に伴いまして、
昭和
二十五年三月以来は四百一円に
決定
いたしていますが、その元は十八
年間
すえ置きであります。
ドル
の
物価
でさえ、この間に二倍半以上の値上りをいたしておるのであります。その上、
わが国
では
朝鮮動乱勃発
以来だけでも七割の
物価騰貴
であります。こういう
状況
で
金山
が
現実
に成り立つはずはありません。外国でもこの
関係
にかわりはありません。
アメリカ
では
産金奨励策
はと
つて
おらないのでありますが、他の
産金国
ではそれぞれ
税金
の
大幅免除
、
運賃割引
、
補助金交付等
の
助成策
をと
つて
いるのであります。最近の情報によれば、カナダでは一オンス三十五
ドル
の
公定価格
に対し、
最高
一オンス十三
ドル
まで
補助金
を出すことにな
つて
いるようであります。
ひとりわが国
だけが、
富裕国
である
アメリカ並
の
産金政策
とらなければならないということは、われわれ
業者
としては納得できないのであります。
朝鮮動乱
以来、
金物景気
で、銅、鉛、
亜鉛
というような
金属
を兼営いたしております
会社
は、とにかく
金山
は
赤字
ではありますけれども、維持して参
つたの
でありますが、すでに
金物景気
も頂上を越しまして、各種の
金属
は値下りをいたしました。どうしてもこの
赤字
の
金山
を
経営
できない。勢いそういう
鉱山会社
も
金山
の
整理縮小
をしなければならぬという
状況
に相な
つたの
であります。ところが
金山
を
専業
としております
業者
の場合には、まつたく悲惨なものでありまして、銅、鉛、
亜鉛等
の
鉱山
が非常に盛況でありました間も、同じ
地下産業
でありながら、まつたく
赤字
に苦しんで参りまして、低
賃金
を
支払つて
じつとがまんしながら
抜き掘り
を敢行して参
つたの
であります。
従つて鉱山
の寿命を縮めて参
つたの
であります。その
抜き掘り
も今日ではすでに限界に達したのでありますが、
会社
を存続させるためには
金山
の閉鎖、
縮小
を行いたくとも、それさえもできないというような
状況
でございます。こまかい数字的なことは
資料
にございますが、代表的な
専業
の六社について見ますと、
採鉱鉱石
の
金品位
は
全国金山
の
平均
が七・二
グラム
に対しまして、十
グラム
以上を掘
つて
おるのでありますが、それでありましても
年間
約一億以上欠損を生じておるのであります。これは借入金とか、あるいは未払金で食い延ばしておる
状況
であります。そうしてすでに
賃金支払い
にさえ非常に難渋をして参
つて
おるのであります。またさらにこれらの
鉱山
では、
現状
で操業しております限り、
抜き掘り
をいたします結果、
埋蔵金星
の四分の三が
採算圏外
に捨て去られておるのでありまして、
資源愛護
の
観点
からもまことに大きな問題と信ずるのでございます。 以上私は
金山
の当面の
問題点
につきまして申し述べたのでありますが、それではさしあたりこの
窮状
を是正いたしますにはどういう
対策
をお願いしたいか、三点ばかりについて申し述べたいと存じます。 第一は、金の
政府
の
強制買上げ
ということは、金の持ちます本質から見てまことにやむを得ないのではないかと思うのであります。しかし
強制買上げ
をされます以上は、ただいま普通の
金山
の
平均
の
コスト
が七百七
グラム
といたしまして、六百七十円程度かかるのでありまするが、
一般市場
の
価格
は六畠ないし六裏声、われわれとしても
金山
の
合理化
の
目標
といたしまして、大体六百円を
目標
といたしておるのであります。
政府
の
買上げ
がただいま四百一円でありまして、二百円内外の
コスト
割になるのであります。少くとも
政府
で
強制買上げ
をされます以上は、この
強制買上げ
の
数量
に適応いたしましてその
補給
をしていただきたい。 第二点は、ただいま
政府
の
買上げ
四百円と申しますのは、一オンス三十五
ドル
を三百六十円
レート
で換算いたしたものでありますが、それに対しまして四円の
手数料
をと
つて
おられる。換算いたしまして
ちようど
四百五円になるのでありますから、その
手数料
のごときは
政府
の方で負けて四百五円で
買上げ
を願いたい。
グラム
四円でありますので、これは一トンにいたしまして四百万円、六トン出すといたしますれば二千四百万円の少額にすぎぬのでありまするが、今日
金山
が血の出るような
経営
をしておるのでありますから、せめてこれだけの四円の
手数料
は当特われわれの方に返していただくということをお願いいたしたいのであります。 第三の点は、
各国とも
に
国際通貨基金
で昨年
加工用金
の
自由販売
を認めたのであります。それに追従いたしまして
政府
に要望いたしました結果、本年五月から
加工用金
の
販売
を認められたのでありますが、これに対しまして
使用
の
範囲制限
が非常についておるわけであります。しかるに
一般
の
市場
には金の
製品
、たとえば
金側時計
というものが非常に氾濫しておるのであります。これは無税か脱税か、あるいは密輸入とかいろいろな方面から入
つて
来る金が
使用
されておるのでありますが、
大蔵当局
の見解によりますと、
日本
の
産金
をそういうぜいたくに使うのは妥当でない、こういうような
意見
で
使用
の
制限
をまだ厳重に励行されておるのでありますが、事実はかくのごとく
市場
には
金製品
が氾濫いたしておる、従いまして、われわれといたしましては、ぜひ
加工用金
の
使用制限範囲
を拡大して、これを自由にしていただきたいということを要望いたしたいのであります。同時に、ただいま
加工用金
の値段が五百十五円に頭を押えられております。
世界
各国とも
、いずれも
加工用金
の
販売
は大体自由にいたしておるのでありまして、これについての
最高価格
の
制定
は大体ないようであります。この点につきまして、
加工用金
の
使用制限
を廃止していただくと同時に、
最高額
を自由にさせていただきたい。もし万一、
使用制限
は拡大してもよろしい、しかし
価格
の点は引続き押えるという主張でありますならば、これに対しまして、
政府買上げ
のものと同様五百十五円と六百円の
差額
の分は、
助成策
として
補給
をお願いしたい。ただいま金の方におきましては
産金奨励
の
意味
で
探鉱奨励金
というものが二十七年では八千万円ございます。この
探鉱奨励金
という
形式
でさしつかえないと思うのでありますが、
産金助成
という
意味
で
探鉱奨励金
の
形式
で
補給金
を出していただきたい。六百円と
政府買上げ
の
差額
、並びに、
加工用金
をもし
制限
されるならば、その
最高価格
と
一般
に認められている大体六百円というものの
差額
、この
補給
をお願いしたいというわけであります。その数字はただいま
資料
としてお
手元
に差し上げました表によりますと、かりに三分の二
政府買上げ
、三分の一が
加工用金
というふうになりますれば、大体九億程度になるわけであります。
加工用金
の
範囲
に三分の二、
政府買上げ
三分の一ということになりますればそれはさらに減るわけであります。大体われわれの
業界
の希望といたしましては以上三点であります。これにつきましては、特に本
国会
におきまして二十八年度予算の
審議
も聞もないということでございますので、
金奨励
の
補給金
、
助成金
という問題につきましては特に速急に御考慮をお願いしたいということを申し上げまして、
鉱業協会
の代表としてのお願いをいたします。
坪川信三
7
○
坪川委員長
原口幸隆
君。
原口幸隆
8
○
原口参考人
私は全鉱の
原口
でございますが、現在当面する
金山整備
に伴う労働不安を
鉱山労働者
を代表いたしまして一言述べさせていただきたいと思います。
金山
の
窮状
については、前
国会
を初め再三にわた
つて
請願採択
によりまして御周知のことと存じますが、
現実
の
政府
の
施策
とわれわれの要請とはあまりにも大きな懸隔がございます。そして現在
金山
はいささかもその
窮状
が打開されず、かえ
つて
事態
は一層窮迫しておる
状態
であります。すなわち
金山打開
のために
政府
が施行されました唯一の
方策
は、本年八月
加工用金
の
価格引上げ
、すなわち
グラム
五百十五円、
産金業者手取り
五百四円になりますが、これでありまして、この
施策
が
決定
いたしますと同時に、われわれ
労働者
にと
つて
は非常に不幸な
事態
が起
つたの
であります。すなわちそれまでは
労使双方
とも将来の
政府
の明るい
施策
に期待して、
金山経営
に対し、低
賃金
に甘んじながら
生産
に従事して来たのでありますが、この
政府施策
が
決定
されますや、有名な
佐渡金山
を初めとして
春日
、
高玉
、
荒川
、
河津
などの
有力金山
が一斉に
休山
、廃山になりました。そうして
企業整備
が断行され、さらに
串木野金山
は
探鉱停止
と
奨励金
の返上を
決定
したのであります。さらに多くの小さな
金山
の
操業停止
は数限りないのであります。沼ノ上、大谷、津具、土肥、
山ケ野
、大口、
鯛生
、千歳などの
金山
の
窮状
はますます深まり、最も有望とされております伊豆の
持越金山
も
採鉱
を停止するに
至つたの
であります。
戦前
においては五百ないし六百の
金山
がございましたのが、昨年においてはわずかに六十八を数えるに至り、本年はさらにそれが六十に低下しております。この六十のうちでも大
企業
に属するものが十ありまして、あとの五十
鉱山
が純然たる
中小鉱山
でありまして、この
前途
は非常に憂うべきものがあるとわれわれは考えております。さらに
労働賃金
の面においても現在
鉱山
の
坑外ベース
の
平均
は約九千三百円ないし九千七百円にな
つて
おりますが、
金山
の
平均
の
ベース
は非常に低く、約二千円の差がある約七千円の
ベース
しかありません。さらに年末に際してのいろいろな諸手当を合計しても、ほかの
鉱山労働者
の半分にも満たないのが
現況
であります。この現象は、今までの
政府施策
を待望して苦痛に苦痛を耐え忍んで来た
労使双方
が、期待とあまりにも相違した
施策
に絶望した結果、
経営者
が
前途
に対する
経営
の
見通し
を放擲して、山を
休廃
山ないしは
縮小
停止せざるを得なく
なつ
た結果であろうと考えます。もちろん
労働組合
としては
経営者
に対し
事業継続
を熱望しておるのでありますが、残念ながら
経営者
においては今後の
事業経営
の
見通し
がないという
理由
のもとに、以上の措置をと
つて
、現在非常な労働不安を起しておるわけであります。すなわちこの
内容
とするところは、現在の一
グラム
当り生産原価
は、
鉱山局
において
調査
したところによれば、一
グラム
六百四十円かかる。
物価局
の
調査
によれば六百六十九円かかる。それが先ほど申し上げたように、わずかに
加工用金
の
価格引上げ
ですら五百十五円というような低額であるように、非常な
差額
を生じておるわけであります。一
グラム
当り
二百円前後の
赤字
は、
年産金量
六トンといたしますと、十二億円の巨額に達します。
企業
の
赤字
は
自由経済下
においてはときにはやむを得ないこともあるでありましようが、金の場合は
政府
が依然として
生産
、
販売
、
価格等
に厳重な統制を一方において施行しておきながら、
産金業
に関する限りは
政府
の責任であり、
政府
は
産金業
を
赤字経営
と
休廃
山の
窮状
から救済する
義務
があると私たちは考えております。
金山赤字
の最大の原因は、
戦前
と比較して、
一般物価
が三百五十倍にな
つたの
に対し、金の
公定価格
は百三十二倍、約三分の一にしかすぎません。すなわち現在の四百一円という低い
公定価格
が
アメリカ
の一オンス三十五
ドル
という
公債
と
見合つてくぎづけ
にされておるという事実に基いております。 〔
委員長退席
、
小金委員長代理着席
〕
世界
の金の大半、すなわち二万二千トンを保有する
アメリカ
の
金政策
は、
金価格
を維持して、インフレを防ぐ点にあり、そのためにも、他国の
産金
の減少を顧慮しない面がありますし、
他方アメリカ
以外の
産金国
では、
ドル不足
や
貿易収支
のアンバランスから、
産金奨励
に大わらわでありますが、三十五
ドル
の
アメリカ公債
ではとうてい
採算
が合わず、
アメリカ並び
に
国際通貨基金
などの意向にさから
つて
までも実際には種々の
奨励策
を講じているのが
現況
であります。さらに
公債引上げ
のためにも
努力
が傾注され、過般の
通貨基金年次総会
においても
公債引上げ
が強調され、
英連邦首相会議
の
重要議題
ともな
つて
おるわけであります。
日本
においては
占領
当時は
アメリカ
の
金政策
への絶対隷属に終始し、
占領
後も
通貨基金加入
や
不完全独立
の印象を与える
アメリカ
ヘの気がねから、根本的な
産金対策
は樹立できず、二十五年
閣議決定
を見ました
金鉱業復興対策
に関る件という問題もまつたくそのまま実地に移されず、閑却され、
業界
、
労使
をあげての
陳情
、
請願
にも何ら有効適切なる
方策
が講ぜられず、今年の夏に
至つて
ようやく
加工用金価格
の
引上げ
がわれわれの
失望裡
に
決定
されたわけであります。われわれの望むところは、いかに
金山
が危機にあるとはいいながら、社会的に公正妥当でないものを望んでおるのではありません。かかる
観点
から、
産金対策
が
労働組合
の
立場
から次の方向に推進されることを御要請申し上げる次第であります。第一には、
探鉱奨励金
の増額と
支給方式
の変更であります。
平均生産原価
と
平均販売価格
との
差額
が
産金業
の
赤字
であり、要
補償額
でありますから、これを
探鉱奨励金
として交付すること。
金額
は
年間
十億円であります。これは
生産量
に見合う
探鉱
を
義務
とし、
生産実績
に応じて支給するものであり、この間の手続並びに監査を簡素化していただきたい。第一が重大な問題でありまして、第ニには、
政府買上げ金価格
の
引上げ
。これは先ほど
業者
の方も言われたように、対
米写真相場
の四百五円にしてもついたい。つまり現在は四百一円で、その
差額
を
政府負担
とする。しかしこのくらいの
金額
は非常にわずかでございますが、
政府買上げ
の
金価格
の
引上げ
をしてもらいたい。 第三番目には、
加工用金
の
使用制限緩和
と
割当数量
の増加であります。この点は数日前に多少
加工用金
の幅が広がつたように聞いておりますが、さらに
加工用金
の
使用制限緩和
と
割当数量
の増加を要望し、この運営にあた
つて
不当なる、結果において矛盾を来すごときことのないような措置を御考慮願いたいということであります。 第四番目には、
金山整備
合理化
資金
の融資あつせんであります。
昭和
十八年の
金山整備
による設備の転用と
休山
という国策犠牲により
金山
の荒廃ははなはだしく、その後の
施策
貧困のため
金山
の痛手はいえず、今や戦後最大の危機に遭遇したのでありますが、とりあえず前三項の応急救済策によ
つて
操業を維持せしめる一方、恒久的基本
対策
としてこれが自立態勢を確立せしめるための設備
合理化
を企図する必要があると考えます。
合理化
の方向としては、青化製錬所及び浮遊選鉱場の復元と送電線の建設でありまして、これが所要
資金
はさしあたり四十二億一千三百万円をも
つて
二十五
鉱山
に振り当てようとするものであります。最大のネつクは
資金
であり、しかも長期低利
資金
を要しますから、どうしても
政府
あつせん融資でなければなりません。 最後に、
金鉱業
に対する固定資産税、法人税、所得税の免税等について特別の御配慮が願いたい。以上でわれわれの要望する主要点を終るわけでありますが、
金山
の
休廃止
に直面しているわれわれにと
つて
は、重要な労働問題の様相を呈しておりますのみならず、将来の
日本
における
産金
の持つ重要な
立場
からも、
政府施策
による犠牲産業たる現在の
産金業
に対し、すみやかに公正かつ妥当な
対策
を確立されることをお願いする次第であります。統制経済的な
施策
を行
つて
いる以上、十分その裏づけを
政府
自体においてされたいと考えるわけであります。もしそれが不可能であるならば、金に対する一切の統制を撤廃されることを要請いたしたいと思います。 以上のことを申し上げまして、皆様の御理解ある御協力によりまして、われわれの当面する労働不安のみならず、将来の
金属
鉱山
全体の
復興
のために御
努力
されんことを最後にお願いいたしまして、私の陣述を終りたいと思います。
小金義照
9
○
小金
委員長
代理 以上をも
つて
参考人
よりの御陣述は終りました。この際
大蔵当局
からの出席をぜひとりはからうようにいたしたいと思います。 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますから順次これを許します。
永井勝次郎
君。
永井勝次郎
10
○永井
委員
ただいまの
参考人
のお話によりまして、大体
日本
の
産金事業
が瀕死の重症にあるという事情の輪廓だけは了解することができたわけであります。そこで協
会長
の
羽仁
さんにお尋ねをいたしたいのでありますが、
加工
金を三分の一ないし三分の二自由にするということによ
つて
動かされる
金額
はどのくらいであるか、それによ
つて
赤字
の補填がどのくらいできるのであるか。それから四百一円の
政府買上げ
は
アメリカ
へ現送すると仮定しての、金利とか運送賃とか梱包とか、それぞれの所定
手数料
の差引によるもののようでありますが、
現実
にそういう金が送られているのかいないのか。送られているとすれば、そういう協定のもとにそれだけをと
つて
あるのか。不当に
政府
が差引いておるという結果になると思いますが、この点をひ
とつ
伺いたい。 それから終戦後GHQが接収しておりました金が、日銀及び
政府
に返還された。この返還された金に対する再評価によるところの時価相場によ
つて
、浮かされる
金額
がどのくらい見込まれるか、こういう諸点についてお答えを願いたい。
羽仁路之
11
○
羽仁参考人
お答え賭し上げます。 〔
小金
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
加工用金
はただいま三分の一でありますが、三分の二に上るといたしますと、ただいま四百一円で
政府
が
買上げ
て、
加工用金
としては五百十五円で売渡しておるのであります。大体
グラム
百円の差があるわけであります。しかして全然自由になりますと、
加工用金
が三分の一上る場合はプラスが一億七千万円だけふえる。また三分の二の場合は五億七千万円ふえる。それから四百一円に対する現送費でありますが、これは
現実
には大体現送費に若干
手数料
が入
つて
おるそうでありますが、新しい
産金
の現送ということは、ただいままで聞いておりません。従いまして
現実
には、ただいまのところでは現送費は払
つて
おらぬというように考えております。それから評価
差額
の問題でありますが、これは
数量
及び評価額をただいまはつきり
承知
しておりませんので、あらためてまた
資料
として数字を申し上げます。
永井勝次郎
12
○永井
委員
大蔵省の方にお尋ねいたしますが、
政府
は
昭和
二十五年に
産金奨励
の方針を公表したのであります。しかし具体的な方途はまだ示されていないのでありますが、
産金事業
を奨励し、増産しなければならぬという方向は示されたわけであります。その後実際に、
産金事業
は現在瀕死の重症にある。奨励の声明と実態とは非常な食い違い、矛盾を来しておるが、この矛盾を大蔵省はどう見ておるのであるか、そうしてこの矛盾をどういうふうに調整して、
産金奨励
の実績をどういうような方途によ
つて
上げようとしておるのであるか、その具体的な
内容
、方針について伺いたい。
吉田信邦
13
○吉田説明員 お答え申し上げます。
産金
の問題につきましては、大蔵省といたしましても大いに
生産
の増加することを期待しております。しかしながら実際問題として
わが国
の
産金事業
は非常に高い
コスト
のかかる
現状
にございまして、いわば海外の相場の
関係
等から申しまして、
コスト
は非常に割高な
関係
にな
つて
おります。従いまして
生産
を維持するについては、いろいろな困難があるわけであります。若干ながら探
金奨励
金というような道も開かれたわけであります。しかしそれのみではなかなか十分な
生産
を期待することは不可能でございます。今までのところ、
産金
のうち約三分の一をいわば市販用と申しますか、そういうような用途に充てて、これについては
一般
の
為替相場
から裁定される四百五円という基本的な
価格
とは別に、より高い値段で売却できるような形がとられております。最近における
生産
は漸増の傾向にございます。また国民生活も漸次向上して参
つて
おる今日、いたずらに金の
使用
を
制限
するという形をと
つて
おりましては、いわば密輸品の増加その他の形で結局
日本
の金
関係
の産業自体が悪影響を受けるという
現状
にありますので、今回第三・四半期からは今までの市販の量を倍にして、一方にはそういつた金
関係
のいろいろな産業の維持育成という方面に資するようにいたしますとともに、他方におきましては金鉱等におきまして、今まで高い
コスト
のために
採算
が合わなかつた点が、これによ
つて
相当の部分が救われるという方途をとりたいと考えておる次第でございます。たとえて申せば、今までこれらの市販用の金につきましては年額約三トン程度を見込んでおりましたが、これを五トン程度に
引上げ
るという考えでございます。そういたしますと今まで
グラム
当り
四百九円で
政府
が払い出して、それを五百十五円で売
つて
おりました。この間に、これらの市販用の金については、五百十五円引く四百九円ですから、一
グラム
当り
百六円の差があつたわけであります。これの量が今までの三トンから五トンにふえるということによ
つて
、相当程度今まで損失をカバーすることができるのではないかと思うのであります。なお
政府
の
買上げ
価格
につきましても、従来金現送料等を見込みまして、さらに造幣局等の
手数料
として四円を加算いたしまして、結局四百一円で買い上げ、四百九円で売るという形をと
つて
おりましたが、これにつきましても四百五円で買い上げて、これを払いもどす際に四百七円で払いもどすというふうな改正をいたしたいと存じております。これによ
つて
一
グラム
当り
六円、いわば
産金
関係
の手取りがふえることになります。以上のような措置によりまして極力今の
コスト
のアンバランスを是正するよう
努力
いたしたいと考えております。
永井勝次郎
14
○永井
委員
先ほど
産金
関係
業者
からの話によりますと、
日本
の
産金
コスト
標準一
グラム
六百円というにらみをも
つて
企業
の
合理化
をはか
つて
行く、こういうふうに
努力
をして行くということでありますが、現在はそれ以上に
生産
コスト
が高い。ところが
政府買上げ
は現在四百一円、不当に従来しぼりと
つて
いた
価格
の部分を
政府
が全部はき出して直すとしても、一
グラム
について五、六円の増額にしかならない。さらに
加工
金として相当量そのわくをはずすといたしましても、一
グラム
について百円内外の増額にしかならない。いずれにいたしましても、現在
生産
されている
コスト
から見ると相当下まわ
つて
おり、
赤字
生産
以外にはできないという実情にあるわけであります。小手先のそういう
価格
の若干の動かしだけで
現状
の
産金事業
を維持して行くことはもちろんできませんし、また現在や
つて
おる方法が、含有率の非常に高いところだけをねら
つて
ようやく
事業
を維持しておるという
状態
で、不健全な実態であります。こういうような実態の上に立
つて
、
政府
はやはり単に
政府
の
買上げ
価格
を若干
引上げ
る、あるいは
加工
金としてわくを若干はずす、従来の不当な強制のわくをはずすにいたしましても、
事業
そのものの維持あるいは助長、あるいは増産計画というような段階まで踏み込んでいないのでありますが、さらにどういうような方法によ
つて
これらの
赤字
の
差額
を補填して、
産金
振興の方向へ盛り上げて行くのであるか。そういう一つの経過的な措置を明確にせられたいと思います。
吉田信邦
15
○吉田説明員 ただいまお話がございましたように、金
関係
の
コスト
と
価格
の問題は、いろいろ重大な問題を含んでおります。しかしながら金の
価格
も、
世界
市場
の
価格等
を見ますと、いわゆる
アメリカ
等の公定は四百五円でありますし、またやみ
市場
等の
価格
にいたしましても、四百五十円前後というようなところでございまして、これを六百円、七百円という
価格
をつくるということになりますれば、当然密輸等の漸増という形にな
つて
参りまして、そういう
価格
を維持することもできないし、またそういう
生産
を長く続けるということも実質的にはかなりの困難が出て来ると思います。現在の
鉱山
の
コスト
といたしましても、安いところはもちろん四百五円以下の
コスト
でまかなわれるところもございますし、また七百五十円という高い
コスト
のところもあるように思われます。しかしながら金の
生産
につきましては、やはり金とあわせて銀、銅等の産物が出るわけでありまして、これをどういうふうに組み合せれば得であるかといえば、ある
鉱山
においては金じやあまり得ができぬが、一緒にとれるところの銀でよいとか、あるいは銅でよいとかいうようなことで進められておるところが多々あると存じます。従いまして現在の
日本
のような貧弱な
鉱山
の場合におきましては、やはり金だけで
独立
して、それだけでも十分に
採算
が合うというふうにすべてが行くことは困難なのでありまして、あるいはそれと一緒にとれるところの銀、銅等の
コスト
が非常に安いとか、そういうようなところに
採算
点が見出され、また採掘が進められるのではないかと考えております。従いまして全体として六百円、七百円というような
コスト
を維持するように、またそこまで掘れというところまで進むことがはたして国民経済的に言
つて
有利であるかどうかという疑問もあるのでありまして、逆に言えば、金を輸入した方がずつと国民としての負担も安くなるのだというような形にもな
つて
参ります。しかしながら金を輸入するというようなことは、もちろんできるだけ避けるべきことではありますが、いろいろな
観点
からい
つて
、一概に金を増産するからとい
つて
、どんな高い
コスト
でもよいから金を掘れというようなことはできませんし、また
コスト
が
アメリカ
から来る四百五円のものよりも上まわるからとい
つて
、それだからそんなものは出さないでよいのだというようなことは言うべきではないのでありまして、戦時中に荒廃した
鉱山
でもございますので、漸次
合理化
なりあるいはくふうの進め方によ
つて
コスト
を下げて行き、まあこれならば
戦前
の
状態
に復活してや
つて
行ける、そうして
日本
といたしましても旧来からあつた
鉱山
が維持できるというような程度のところに目安を置くべきではないか。そういう点から申しますと、ただいま申しましたように、市販用の金の
範囲
を拡大して、それによ
つて
金
鉱山
の
採算
を救うという方法、あるいはわずかではありますが、
政府
としてはなるべく犠牲を払
つて
、金の現送料とかその他の
手数料
とか、いろいろなものが見込まれておりましたが、そういうようなものについては、なるべく
政府
自体でまかなうという方向で極力解決をいたしたい。また同時に従来の
探鉱奨励金
というようなものも、他の
一般
の
補助金
、
補給金
のような形のものと見合
つて
、全体の見地からできることはすべきではないかというふうに考えておる次第でございます。
今澄勇
16
○
今澄委員
関連して一言御質問申し上げますが、今のあなたの説明によると、
日本
の
産金政策
に対する大蔵省の考え方は、場合によれば安い金があれば
アメリカ
から輸入してもよいのだというようなことは、まことに私は聞き捨てならぬと思います。
ちようど
通産政務次官もおられますのでお聞きいたしますが、今日の造船においては、トン
当り
の鉄鋼の値段が外国に比べて二万円くらい高い。この二万円の
コスト
高で、
日本
の造船工業は諸外国とはなかなか太刀打ちができない。されば造船工業はなくな
つて
いいのかということにな
つて
来ると、断じて
わが国
はこれを守らなければならぬ。その
意味
において、
日本
の
鉱山
鉱業
政策の全般について私は聞きたいのですけれども、本日は
産金事業
にな
つて
おりますから、それに関連して
産金
についてお伺いいたします。通産省は国内
産金事業
を育成、保護助長するのか、それとも外国
市場
との競争でつぶれてもいいのかどうかという基本的な政策があればひ
とつ
明らかにされたい。 第二点はもし国内
産金事業
を保護する
立場
をとるならば、今日の産
金鉱業
について、通産省は
助成金
を出してこれを保護するような
対策
を立てられるものかどうか、これに対する通産政務次官の御答弁を聞いてから大蔵省の方にお聞きしたいと思います。
小平久雄
17
○小平
政府
委員
今澄委員
のお尋ねは、
鉱山
、とくに金
鉱山
の
対策
について通産省は根本的にどう考えておるかというのが第一点でございますが、通産省といたしましては、もちろん広く
わが国
産業の育成ということが一大任務であります。またなるほどただいまのところは金そのものが通貨のもとにはな
つて
おりませんが、われわれとしては長い目で見たとぎに、国際決済の手段としての金、あるいは広く
一般
民生のための金ということにつきましては憂慮いたしておりますので、これをどこまでも助長いたして参りたい。少くとも
企業
として成り立つところまではわれわれといたしましてはめんどうを見て参りたいと考えております。先ほど来いろいろと
企業
者あるいは
従業員
の代表の方、さらにはまたただいま大蔵省当局の説明もあ
つたの
でありますが、通産省といたしましては、先ほど
鉱業
界の代表あるいは
組合
の代表の方からお話がありましたような大体の線に沿うて大蔵省と折衝いたしておるわけであります。今回の措置によりまして、市販分が従来の全
生産量
の三分の一から三分の二に拡大いたされましても、市販の
価格
が五百十五円のところにすえ置かれるということになると、
金山
全般でも大体六億前後の
赤字
になるのではないかと推定されますので、われわれといたしましては、
探鉱奨励金
としてぜひ大蔵省にも出していただき、そうすることによ
つて
金山
が少くとも
企業
としての維持ができるように今後とも
努力
いたしたいと考えておるのであります。助成の点はただいまあわせて申し上げましたが、一にかか
つて
今後
探鉱奨励金
を大蔵省でどの程度まで認めてくれるかという点に重点が今日の段階においてはあるのではないかと考えております。
今澄勇
18
○
今澄委員
私はただいまの通産政務次官の答弁をまことに至当なものと思います。少くとも今日の
日本
国内産業全般にわたる通産省の方針について、大蔵省の所管する金の問題だけについて大きく協力しないということになると、
日本
全体の
鉱業
計画のバランスはくずれる。そこで大蔵省にお尋ね申し上げますが、私どもも予算の編成あるいは各省査定のいろいろな問題に関する大蔵省の権限等、特に
日本
の現下の行政機構においては、大蔵官僚というものがあまりにも
日本
の国の政治全般に対して干渉をし過ぎる傾向があると私は思います。だからあなたが今言われたように、もし安ければ外から金を買うなどという見解は、
日本
の
鉱山
関係
にいささかでも知識を持
つて
おるところの
わが国
の産業を思うものにと
つて
は、まことに聞き捨てならない大きな失言であると私は思います。大蔵省はすべからくこの
日本
の産
金鉱業
については、私は造船工業、もう一つは鉄鋼、銑鉄、これらの鉄鋼工業等の諸外国と太刀打ちのできない基幹産業について財政投資なり、国の
助成金
が私は必要であると思いますが、どうも
金山
については、
探鉱奨励金
という形で出ておるのであるから、これを今政務次官が申されました六億という数字は、当
委員会
においても私どもは研究して妥当であると思
つて
おります。大蔵省は一体この
奨励金
については、幾ばくの
金額
を出すつもりでおられるか、そうしてまた金の輸入をするなどというような、
わが国
の産
金鉱業
をして、もしこれを枯渇せしめるならば、将来
世界
が金決済に入つた場合においては、
日本
は重大なる不利を招くということに相なるのでございまして、私どもは将来の
貿易
決済のあり方並びに
日本
の産
金鉱業
の将来のために、大蔵省の―あなたは課長さんのようでございますが、ひ
とつ
もう少し視野を大きくして御答弁を願いたいと思います。
吉田信邦
19
○吉田説明員 ただいまの私の発言につきまして誤解が生じましたことを非常に申訳なく存じます。私は何も外国から金を輸入したらいいというようなことを申し上げる意思は決してなか
つたの
でありまして、そういうふうに聞えましたならば、私の言葉の足らざるところと思
つて
お許しを願いたいと存じます。ただ私の申し上げました点は、たとえば今の五百十五円という金の
買上げ
価格
でございますが、これでとまらないで、六百円あるいは七百円ということが必要であるかしれません。しかしこれが六百円、七百円ということになると、密輸等が起
つて
、結局思わしくない結果が生じる。これはたとえば金時計等についても、ずいぶん密輸があつたようでございます。これは金の値段というよりもむしろ時計自体の値段がからんでおつたかもしれませんが、今の
日本
としてはどうもそういうことが起りやすい。そういう点を考えておりましたものですから、その点を申し上げたのでありまして、決してそういう
意味
ではないということを御了承願いたいと思います。またただいま
探鉱奨励金
のお話がありました。私
理財局総務課
長といたしまして、金を所管する
立場
といたしまして、実は私としては金の
生産
のより多からんことを願
つて
おります。またそうした
意味
で、でき得るならば
探鉱奨励金
もできるだけ多く出してもら
つて
、それによ
つて
ますます金の
生産
が進むことをこいねが
つて
おるものでございます。ただここに主計官もお見えでございますが、私どもが金を所管するという
立場
から申せば、できるだけ
探鉱奨励金
をふやしてもらいたいということを常々要望いたしておるのであります。また別の
立場
の主計局としての違つた
立場
からすると、まだほかにもいろいろの支出の必要があるようでございます。そういつた
意味
から、なかなか思わしく行かないところもあるようでございます。ただいまお話のありましたように、決して思い上
つて
申し上げているわけではございませんので、どうぞその点は御了承を得たいと思います。
永井勝次郎
20
○永井
委員
今
日本
の経済界の一つの悩みは、
日本
の商品が思う
通り
外国へ出ないということであります。少しやれば
生産
過剰にな
つて
、仕向地がなくな
つて
国内にあふれて来る。それが
生産
過小という条件よりは、
生産
過剰にな
つて
行くという条件が
日本
の現在当面している経済界の危機の実相ではないかとわれわれは考えている。そういうような
立場
からいたしますならば、国内において少しは
コスト
が高くな
つて
も、国内において労力をそこに注ぎ込んで、そうして無から有を生み出して来る、しかもこの生み出す条件のものが国際経済の
貿易
じりの決済におけるところの一つの価値を生み出して来るという、そういう対象である。こういう条件の中におきましては、今の
日本
の経済界の環境と、その中における
日本
国内の経済の条件というようなものを照らし合せて考えますならば、
政府
はこういう地下資源の開発等に当然金を思い切
つて
注ぎ込んで行かなければならないし、それがことに
産金
に対するところの問題であれば、特にこれらの問題を処理する基本的な方針を持
つて
ずつと進めなければならぬ。あるときには
産金
を奨励するがごとく、かけ声だけをかけて、それではというので、
業者
が腰を切
つて
戦時中工場や施設をどんどんつぶされた荒廃した山を
復興
させて来ると、今度は買入れ
価格
によ
つて
これを強制し、しかも全然
採算
が引合わないような
価格
においてこれを統制する。片務的な形において
経営
の
内容
に干渉して行く。しかも当然
赤字
にな
つて
来る分に対するところの補填をしないということは、あまりにひどいやり方ではないかとわれわれは考えるのであります。従
つて
いろいろな経済的な基本的な
施策
の上に立
つて
、
産金
事情を大蔵省はどういうふうに考えているか、これを明確に伺いたいと思います。
吉田信邦
21
○吉田説明員 今後の
生産
がやや過剰になり気味であるということにつきましては、ごもつともでございます。またそういつた場合にある程度多少ペイしない仕事でも、遊んでいるのに比べれば、必要なことを大いにやらせるということは、財政事情の許す限りにおいて可能でもあり、必要でもある。結局そういう場合に
政府
が
補助金
を与えるとすれば、租税負担の問題でございます。これは国民の租税にかか
つて
来るのであります。ほかのところで非常に安くできる物があり、そういつたところから得る利益を租税として徴収して、他の者に奨励のために配られるという形になるものではございません。そういつた
意味
から、おのずからそこに程度と限度はあると思います。金に関しましては、単にほかの
事業
とはかなり違
つて
、その性質からい
つて
も、また将来の
日本
の国の富と申しますか、そういつた点から申しましても、非常に重要であると考えております。
小金義照
22
○
小金
委員
ちよつと関連して……。大体金
鉱山
の話は
参考人
の御
意見
及び永井、
今澄
両君の言われたことで尽きていると思います。
今澄
君のお話にもありましたが、大蔵省自体が思想統一かできていない。理財局は金が欲しい。主計局の方は今国民の
税金
を取上げて、これを
鉱山
の援助費といいますか、穴埋めに使うということは、これは租税だからという慎重な態度をと
つて
おられる。これはある程度までごもつともなことである。また吉田総務課長が先ほど極端な例をあげられましたか、これは一つの例であります。その中間を行きたいというのが理財局の考え方だと思う。大蔵省が予算を編成するのに対してどういう態度をとるかということは、通産省とよく相談して、
日本
の
鉱業
政策をどうするか、
金鉱業
政策をどうするかということに帰するだろうと思う。ところが金だけを取上げると、これは非常に鎖国的の
意味
がのる。秀吉の
産金政策
を初めとして鎖出的の
意味
がある。もう一つはまた金が
世界
的にすべて最後の決済は金でやるというような、非常に広汎な力を持つ、国際的な魔力を持
つて
おる、こうまで言われておるのです。だから一つ金だけを取上げると、両方の極端に走りやすいから、私は
金鉱業
をどうして維持、育成して行くかということは、
日本
の
鉱業
政策、地下資源の開発の基本的なものであるという
立場
からお考えを願いたいと思う。これを取上げないと、金の相場がどうだ、国際
関係
がどうだということだけでやりますと、目先の問題で終
つて
しまう。だから議論もいつまでた
つて
も片づかない。私は十億かかろうが、十五億かかろうが、
日本
の地下資源の問題をどう取扱うかということから出発してもらえば、おのずから妥協点というか、帰着点はきまると思う。だから何億いるか、それらのことは議論の種になると思いますが、
金鉱業
者にこの際息をつかせるということばかりに重点を集中するといかぬ。
金鉱業
というものは、すべての地下資源開発の技術の集約されたものであり、先端を行くものである。だからこの問題を取上げるのにあた
つて
は、ひとり金の
価格
ということだけに縛られずに、またそれに集中しないで、広く
金属
鉱業
あるいは地下資源の開発という点から、
金鉱業
はなぜ生かさなければならぬかということをお考え願いたいと思う。そうするとおのずから出て来る。十数年前も理財局と主計局はいつもこの問題で
意見
が合わなかつた。これは当然な話でありますが、そこをどう調整するかが
政府
部内の
努力
だと思
つて
おります。これは今永井君や
今澄
君が言われたことをよく咀嚼されて御
努力
願いたいと思う。俗に坑夫と言いますが、今
原口
委員長
から聞けば、
労働組合
の方は七千人だと言われる。錬金術その他の技術のことはよく言われますが、坑夫の持
つて
おる技術はなかなか普通の人にはわからない。これは一定年令なり経験があ
つて
、山の匂いによ
つて
、
探鉱
するのですから、これらの人たちがまた路頭に迷つたり、あるいはむやみに離職したり、休職したりすることは、山の匂いを追
つて
ひを見つけ、坑道を切る
資料
を出す貴重な体験者を失
つて
行かなければならぬ。こういうようなことから考えますと、山で働く坑夫の身分といいますか、行く末を考えなければならぬ。こういういろいろな非常に広い
意味
を持
つて
おるので、金だけを取上げてやりますと、とかく国際相場だとか、あるいは大蔵省の
買上げ
価格
とか、あるいは
自由販売
の量とかいうことで議論が起りますが、大局から割り出してみると、一、二年あるいは数年のでこぼこはやむを得ないとしても、将来への大きなステツプになりますから、その脈はよく大蔵部内、通産
関係
というようなところで、
政府
当局の十分な御協議を願いたい。今通産政務次官が言われたように、維持、育成、発展の
方策
を立てなければならぬということはわれわれは全面的に賛成でありますから、その点を考えて、今度の二十八年度の予算等においては、十分織り込んでいただきたい、これだけ私関連して申しておきます。
永井勝次郎
23
○永井
委員
加工用金
は、先ほど従来の倍ほどと言われたのですが、これはやはり一定の
価格
をも
つて
、
数量
だけを広げようというお考えですか。
吉田信邦
24
○吉田説明員
数量
を広げるだけでございます。
永井勝次郎
25
○永井
委員
もし
政府買上げ
の四百五円は、
国際通貨基金
の
関係
で、
アメリカ
ヘの気がねその他の事情から、これの値上げはできないとするならば、国内用に向ける
加工用金
の分は
買上げ
価格
を解除して、
自由販売
の方途を
とつ
たらどうか。そういうことによ
つて
、
政府
は
補助金
を出さなくても、
業者
自体の
企業
技術によ
つて
企業
的な方法によ
つて
自営ができると思いますが、そういうことのお考えはないでしようか。
吉田信邦
26
○吉田説明員 今の市販用の金を自由にするという点につきましては、これは一つの考え方として十分実行性がある問題だと思うのでございます。だから現在の
国際通貨基金
に加盟して、金は四百五円、またそれと関連して
為替相場
の三百六十円というのがきま
つて
おる
現状
におきまして、四百五円は堅持しなければならないし、また通貨基金の
関係
で市販用が四百五円以上にできないとしても、一応できるだけ公的な機関に集めるようにというようなことにもな
つて
おります。従
つて
実際問題としては
数量
をふやすことによりまして、実際には統制の煩雑さ、うるささというものが漸次解消して行くのではないか。また
産金
量等の増加が出て参りますればよろしゆうございますが、さもないと同じ金の中でも、装飾用にまわ
つて
歯医者の方にはさつぱりまわらぬとか、あるいは歯医者の方の金がえらい高いことにな
つて
しま
つて
、国民の保健上重大な支障が生ずるとかいうような問題が生ずるおそれもなしといたしません。従
つて
これは今後の推移に応じて、方向としては、漸次量も増し、また
価格
の点についても実際の
市場
価格
に沿うように行くのが長い目で見た方向だと存じますが、さしあたります
数量
をふやして、需給
関係
等の
状況
を見ることにいたした次第でございます。
長谷川四郎
27
○長谷川(四)
委員
吉田さんに伺うのですけれども、これに
奨励金
をよけい出せとい
つて
も、大蔵省では絶対よけいには出しはしない。ですから、あなたのお話のように
加工用金
をもつと
範囲
を広げてやることはできないかということと、
手数料
四円を撤廃するわけには行かないというようなことで
行つた
ならば
業者
も幾分かそこで息をつく道があるのじやないか。だから、
範囲
をもつと広げることが適当かということと、四円の
手数料
制度を撤廃するわけに行かないかということ、これについて伺いたい。
吉田信邦
28
○吉田説明員 ただいまの御質問まつたくごもつともでございます。私どもといたしましては、今回
数量
を倍にいたすにあたりましては、
使用
用途につきましてはあまりこまかい
制限
はしないという
立場
で実は通産省その他と御協議いたしておる次第でございます。用途につきましては、一番恐れられるものは退蔵用でございまして、これは無
制限
でございます。あるいは、それがまた逆に密輸出とかその他の思わしからざる方面に流れるおそれがある。そういつた方面に流れることはあくまでも避けなければなりませんが、用途といたしましては、必ずしも従来のような考え方にとらわれずに、金として装飾用のものについても認めて行くようにした方がよいのじやないかというような方向で通産省と御相談いたしております。従
つて
現在のところはまだ御要望の
数量
が全額に満ちておりません。各省からの御要求についてはかなりまだ余裕がある、つまり倍にいたします
関係
上そういう要求が残
つて
おるというような
状況
でございます。ことに
日本
の歴史のある金産業、今まで衰微しておつた金産業が発展する、金
加工
業その他の技術も進むという方向へ進まれることが望ましいので、できるだけそういう方向で、通産省その他各省の具体的な割当に対して御考慮いただきたいということで協議を進めておる次第であります。 また先ほどお話がありましたように、四円の
手数料
でございますが、これにつきましては今まで四百一円で買い上げておりましたのを、四百五円で買い上げることにいたしております。いわばその間の四円の金の現送料を見込んだ値段というものは削除することにいたしております。同時に今まで四百九円で還元いたしておりましたものも、まつたく実費というところまで切り下げて四百七円で払い下げることにしている次第でございます。
永井勝次郎
29
○永井
委員
ただいま四百一円で買い上げていたものを四百五円で買
つて
も、あるいは金
加工
用の金の
数量
をふやしたところで、
決定
的な
赤字
の条件というものは幾らか補填されるということで、
赤字経営
で出発して
赤字経営
で終ることは明白であります。こういう事柄に対して
政府
が統制を加える以上、それらの
赤字経営
に対する補填ということ、
企業
の成立ということに対して、どの程度の責任を持てるのか。この限度において
企業
が成り立つという目安を明確に持
つて
いて、それができないのは
業者
が悪いのだ。こういう確信があ
つて
、その
価格
を堅持され、統制を堅持され、そうしてこのわくからふやして
産金
企業
の自立ができるような条件というものの手を、
価格
の
変動
以外に少しも考えない。そういう現在のわくの中における基本的な考え方を伺いたいと思います。これで
経営
が成り立つと考えておるのか。
赤字
であるとするならば、
赤字
は背負
つて
しんぼうして、
政府
の方針だから自腹を切
つて
や
つて
くれ、こういうのですか。
吉田信邦
30
○吉田説明員 なかなかむずかしい御質問でございますが、決して
採算
が合わないから合わないところはやめろという気持は毛頭ございません。できるだけ
採算
が合うように、そういうところの人もカバーできるように行きたいのでございます。大体できるならば商品としての金は自給、またその方に
価格
によ
つて
できるだけカバーいたしたい。どうしてもできない部分については、従来や
つて
おります
探鉱奨励金
等の形をできるだけ採用いたしたい。その場合先ほどもお話がござましたよいうに、
鉱山
全体の問題とも
関係
があり、さらに広く言えば
日本
産業全体の問題とも関連いたしますので、どの程度の
奨励金
が支出できるかという点につきましては、先ほど来申し上げておるようないろいろ困難な事情がありますので、われわれとしてはできるだけその道を打開いたしたいとは考えておりますが、かとい
つて
なかなか理想的なところまでは達し得ないという
状態
にあるのでございまして、今後われわれとしてはできるだけそういう方向で
努力
をいたしたいと考えておる次第でございます。
永井勝次郎
31
○永井
委員
そうしますと、現在の統制を堅持して行く以上、各
金山
の実情によ
つて
経営
の
内容
や
採算
点は違うだろうけれども、その
赤字
の部分については、
赤字
の出ないように
助成金
を出すという方針をとるお考えでありますか。
吉田信邦
32
○吉田説明員 私の
立場
は非常にむずかしい
立場
でございまして、金を管理しているという
立場
から言えば、実は通産省とまつたく同じであります。大蔵省と名前がついておりますので、外から見るとその
立場
が非常に複雑にな
つて
参ります。金を管理するという
立場
から申せば、通産省と同じような考えでおります。ただ実際問題として、まわりを見ておりますと、国民の税負担もなかなか高いし、減税もやらなければならない時代において、またほかの産業、産業のみならず
現実
の生活の重いもの、その他いろいろな方面の財政需要があ
つて
、これをまかなうに主計局がいかに苦労しておるかということも知
つて
おりますので、ひとり金だけの
立場
から、金にはまず最優先に確保せよというところまで言い切れない悩みがございます。全体のバランスを見てきめてほしい。しかしできるだけ多くしてほしい。そしてまた今お話がございましたような金の
コスト
割れの問題をできるだけ解決してもらいたいという希望を持ち、またそういう
努力
を続けておる次第でございます。
永井勝次郎
33
○永井
委員
理財局は予算を査定する
立場
にございませんから、そのことはよくかわるのでありますが、金を管理し、金を統制して
採算
割れをしておるという実態は一番よく知
つて
おるわけであります。従
つて
こういう
採算
割れをしておる実態のもとにおいて、
価格
統制を堅持して行くということは山をつぶすことであるという
立場
に立
つて
、山をつぶしてもよろしいならば現在の統制を堅持したらよろしい、山をつぶしては悪いというのならば、その
赤字
に対する補償はしなければならないはずであります。でありますから、そういう
立場
において主張されるのは当然であり、われわれは現在の統制管理が非常に不当であるる思うので、この点について質問するわけでありますから、理財局としては、みずから不統一ということの認識の上に立つならば、この不当な
現実
の是正のために
努力
する責任があるとわれわれは考えるわけであります。でありますから、
赤字
が現在出ておる、どのように四円、五円を動かしたところで、この
赤字
の補填ができないという
現状
においては、
助成金
を出すか統制を緩和するか、この二つの道以外にはないと思うのでありますが、この二つの道のどれに重点を置いてお考えになるか、とにかくもうかるもうからないは、これは別でありますが、原則として
採算
の合う
経営
を確立するために
努力
するお考えであるかどうか、そして
努力
する場合に、現在の統制を堅持して、そのかわり
赤字
になる部分については、
会社
の経理を監査した上で適当と思う
助成金
を出すというお考えであるか、あるいは
助成金
は一切出さぬ、そのかわり
加工
金の場合においては、相当程度の統制管理はこれを除いて、そしてその面において
企業
者が
採算
が合うように
努力
する、こういう二つの道のうちどつちの方向へ持
つて
行かれるつもりか、これをお聞きいたします。
吉田信邦
34
○吉田説明員 金の統制を解除するかどうかという問題につきましては、完全な
意味
で解除してしまうことはかえ
つて
危険がある。現在の
価格
にいたしましても五百十五円の市販
価格
で、いわゆるやみ値というものはこれをやや上まわ
つて
おるようでございますが、そう二倍だ、三倍だというようなわけでもございません。従
つて
供給量がふえた場合に、はたしてその値段が現在の五百十五円よりもどれだけ高いところにおちつくかということについては保証の限りではございませんし、また自由になれば自由になるに従
つて
、国際的な密輸その他いろいろな方法で金が輸入されたりなんかするようなことにでもな
つて
参れば、五百十五円にしたことに伴
つて
かえ
つて
逆効果を生じて来る。そういう点から言
つて
、完全に自由にすることは、かえ
つて
業界
のためにも、また
金山
の維持のためにも適当ではないと考えております。ただしかしながら、従来のように非常に
使用
を
制限
して、金の需要そのものを無理に押えるという方式は避けたいというような
意味
合いにおいて、今回市販用を倍にいたした次第でございまして、これは実需の
状況
、今後どういう事情が出て来るかということを見ないとわかりませんが、さしあたりのところとしては大体この程度の
数量
があれば需要と供給がある程度バランスするのじやないかというふうに考えているわけでございます。また今度の新しい方法、つまり用途についてあまりこまかい
制限
をしないという方法をと
つて
、それがある程度なれて参りまして、それから先さらに需要が多くあるというふうにな
つて
参つた場合にはそのときに考えることにいたしたい、つまりだんだん無理な統制をやめて行く、そして無理のない、しかし同時に金がいたずらに自由に
なつ
た結果、かえ
つて
逆作用が起らないように、いわばそこいらで統制のよいところと自由のよいところと両方がかみ合わさ
つて
、全
生産
のためにも効果のあるような方向へ進めたいというふうに考えております。なお金を自由にするか、
補助金
を出すかという二つの問題を御提示になりましたが、私どもとしては今申しましたような
意味
において、統制も無理な統制をやめ、
業界
のためにもまた金の
生産
のためにも影に立つ程度の統制をすると同時に、でき得れば
探鉱奨励金
等の
方策
によ
つて
行くというこの二本建が一番望ましいのではないかと思
つて
おります。
永井勝次郎
35
○永井
委員
統制の無理な点も緩和し、
助成金
も出して、上と下の両方から一つの
企業
の
採算
点へしわ寄せして安定させるという方針に対してはわれわれも賛成でありまして、どうかそういう方向に進められんことを特に希望するのであります。なお
産金
企業
をつふしてそこから失
業者
が出て来る、それを失業救済で救
つて
行くというようなばかげたことだけはやらないように、これは特に
日本
の総合的な経済の運営の面から考えて行かなければならないと思うのであります。そこで先ほど来通産政務次官の
産金奨励
に対する態度も明らかにされました。また
大蔵当局
の今後の
産金
企業
に対する考え方及び統制管理に対する考え方等も大体明らかにされたのでありますが、こういう実情のもとにおいてて、
現実
に
企業
を確立させてや
つて
行くためにはどうしたらいいかという考え方について、
羽仁
さんと
原口
さんからそれぞれ所見を伺いたいと思います。
羽仁路之
36
○
羽仁参考人
産金業者
といたしましては、金の国際的な関連性から見まして、一挙にこれが自由金の
生産
になるということは予想をしておらぬ。従いましてやはり金が貨幣
関係
で
政府
の買入れになるという面はやむを得ないと思うのでありまして、これに対して今後
金山
が最小限度は生きるという
方策
を
政府
としてと
つて
いただきたいと思うのであります。御
承知
のように
鉱山
は普通の地上の工場と違いまして、一旦閉鎖したならばこれを復旧するということは莫大な経費がかかるし、またそれがために掘り得る原料をそこに放棄するということにも相なりますので、国家の
金政策
が非常に
変動
して、これがために
金山
が一時
休廃
するということは国家的に見ましても大きな
損害
であろうと思うのであります。
金山
が今日まで残
つて
おりますのは、非常に少く、優秀な
鉱山
だけであります従
つて
われわれとしては、きわめて謙虚な気持でお願いしておるのでありまして、現在辛うじて生きております金
鉱山
がせめて今後とも生きて行けるという最低のラインの要望をいたしておるのであります。従
つて
先ほど
陳述
いたしましたように、
買上げ
に対する金の
助成策
ということはぜひお願いいたしたいのであります。さらにまた
加工用金
の
範囲
の拡大、あるいはまた現送費というものを現在控除しておられまするが、これの
業者
への還付ということは引続いてお願いいたしたいと思います。われわれも決して、
政府
の
施策
にたよ
つて
、それによ
つて
生きようという考えでいるのではありません。すでに万策尽きて、ぜひこれだけは国家として御考慮願いたいということなのでありまして、それは同時に国内資源の開発でもあるし、
従業員
の生活維持の
対策
にもなるのでありまして、
助成策
がことごとく国家に大きな負担をかけるとのみ考えられないのであります。どうかこれらの点を御考慮願いまして、
国会
におきましても十分な御支援を願いたいと思います。 それから永井さんからお話がありました連合軍から返還されました金の量でありますが、これは約百トンで、このうち日銀の保有のものが九十四トン。これはどういう評価にな
つて
いるかということは私どもにははつきりわかりません。それから金
資金
特別会計で保有しているのが六トン、これは評価は十七円だそうであります。従
つて
現在の四百一円に比べますれば三百八十四円の差があるわけでありまして、その合計は二十三億になります。
原口幸隆
37
○
原口参考人
お答えいたします。ただいま
金山
の
関係
労働者
が約七千人おります。そして現在
企業整備
の対象にな
つて
生活の根底を奪われようとしているのが約千五百名前後おります。さらに先ほど大蔵省の方から述べられた点について、いわゆる
金山
というものはほかの含有鉱物と一緒に出て来るという点でまかなえるというお話もありましたが、現在の
産金
量の九〇%は
金山
単独山から出るわけでありまして、あとの一〇%が含有鉱物として出て来るわけであります。その
金山
自体の危機でありますので、今申し上げた
労働者
の数はわれわれの当面する重大な問題とな
つて
おりますし、また
労働者
側から見ても、
賃金
は現在の官公労の
ベース
に比べても七千円前後にくぎづけされているという実態から考えて、いかに
金山
が
窮状
に陥
つて
いるかということがおわかりのことと思うのであります。従
つて
どうしても
金山
の
復興
ということが
金属
鉱山
全体の
労働者
にと
つて
も非常に重大な問題として、われわれの大会においては、その都度
産金対策
の
復興
の問題は
業者
とともに
生産
闘争として私たちの大きな
目標
として取上げられて今日まで来ているわけであります。結論として、
政府買上げ
の
金価格
の
引上げ
とか、
加工用金
の
使用制限
の緩和という問題もありますが、やはり当面する問題の重大な救済策としては、
探鉱奨励金
の大幅な増額と
支給方式
の変更という点が中心にならなければならないとわれわれ
労働組合
としては考えております。
永井勝次郎
38
○永井
委員
われわれが
産金
問題を重視して論議いたしますことは、
日本
の現在の経済構造が平和産業へ指向するか、戦時体制へ切りかえられて行くか、こういう事柄に対する一つの露頭としての
産金事業
に対する
政府
の腰の入れ方というものをわれわれは考えまして重視しておるのであります。武器等製造法というような法案が議場に現われてくるような現在の段階におきましては、平和産業が戦時経済に食われて、押しつぶされて、戦時中の
産金業界
のようなああいう
事態
が再びや
つて
くるのではないかということをわれわれは憂慮するのであります。こういうことがなしくずしに漸次やられて行くことに対して、われわれはここに具体的に現われて来る事象を通しまして、その根ざしておる根源を明確にして行かなければならないという点において、今日
産金事業
に対する
政府
の考え方をわれわれは重視しておるわけであります。従
つて
戦時中のああいうようなあやまちを再び起さないように、
政府
は特にこれらの問題について、総合的な見地から急速に政策を確立して、
企業
の安定とその確立をはかれんことを希望いたしまして、私の質問を終ります。
坪川信三
39
○
坪川委員長
他に御質疑はありませんか。―この降
参考人
各位に一言
委員会
を代表いたしましてお礼を申し上げます。本日は御多用中本
委員会
に御出席になり、貴重なる
意見
の御開陳を願いましたことに対しまして、
委員会
を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。 この際暫時休憩いたします。 午後零時三十二分休憩 ――――◇――――― 午後零時五十三分
開議
坪川信三
40
○
坪川委員長
休憩前に引続き
会議
を開きます。宇田耕一君。
宇田耕一
41
○宇田(耕)
委員
この前の外務大臣に対する質問の留保されておる点はどこかと言いますと、ココム加入がロンドン及びパリ等の電報によ
つて
明らかにな
つて
おりますが、その
会議
の経過
内容
等を聞かしていただきたいということをこちらから申出をしたところ、これは秘密であるから
内容
発表は差控えたい、こういうお話でありました。それではその
会議
には、だれがどういう資格で参加をしたのか、それを聞かしてもらいたいと思います。
岡崎勝男
42
○岡崎国務大臣 これはただいま経済局長が先方
関係者
と協議中だと思
つて
おります。まだ返事が来ていないのじやないかと思います。
宇田耕一
43
○宇田(耕)
委員
それでは話の進むはずがありませんから、その点についてあらためてその時期を外務大臣から
委員会
に示していただくようにとりはから
つて
いただきたいと思います。 それから共産圏国に対する輸出
貿易
の点につきましては、今のお話の解明があつた後にした方がよいと思いますから、これはあらためて御質問いたします。 もう一つ最近非常に問題にな
つて
おるのは、やはり
世界
的に自由国家群におきましても、特に戦略物資等については、非常に強力な需給調整が行われております。それで需給調整の行われておる商品の統制
内容
というものがすみやかにわからないと―特に最近の
わが国
のように特需の発注が活発に行われるということになりますと、特需の注文を受ける品物の基礎材料、たとえば非鉄
金属
で申しますと、タングステン、モリブデン、コバルト、ニツケル等いろいろなものがありますが、そういうようなものは、ほとんど
わが国
でできないものばかりであります。それに対して
各国とも
に需給調整を強力に行
つて
いる、それを打開して
日本
の国際的な需要に応ずるような物資の調達あるいは兵器等の
生産
を行わなくてはならないでしようが、そういう点について外務省は主として国際的な、特に自由国家群との重要な物資の需給をはか
つて
おるでしようか、それについて御
意見
をお伺いいたします。
岡崎勝男
44
○岡崎国務大臣 これは各国に対してそれぞれ話をいたすよりしかたがないと私は思います。国際的の機関というものはないと考えております。ただある国は非常によけいな金を持
つて
―たとえば
アメリカ
のようにたくさん金を持
つて
、非常に多くの物資を入手している国は、その国に向
つて
今度はそれをわけてくれという話はあり得るので、
各国とも
にそういうことはや
つて
いると思います。しかし国際的な機構というものはなく、各国別に話をする以外にないと思います。
宇田耕一
45
○宇田(耕)
委員
先般私が通産大臣に共産圏国に対する輸出の問題について質問をいたしましたときに、通産大臣は国連
関係
国の意向に沿
つて
ものを処理したいということを何回か述べられております。経済、
貿易
関係
から見ますと、国際連合に経済社会
理事
会がありますが、国際連合の経済社会
理事
会の中の専門
委員会
、たとば
貿易
専門
委員会
あるいは重要物資の統制に関する専門
委員会
等があります。それが年中ニユーヨークを中心にして開かれてる。また極東においてもエカフエというようなものもあります。ああいうものによるところの需給の調整に対するいろいろの研究討論というものが多いように思われますが、そういう点については外務省はその重要度というものをどういうふうに見ておられるのか、聞かしていただきたいと思います。
岡崎勝男
46
○岡崎国務大臣 国連の機構は、
一般
的に通商の障害を打破するとか、あるいは各国との間の交易を積極的にふやすとか、こういうような
一般
的の原則問題について取扱いをいたしておる。エカフエはその下にありまして、アジア方面のことについて、
現実
問題として、通商なり技術なりあるいは開発計画なりをどういうふうに行
つて
行くかということを討議しておるわけであります。これは見方によ
つて
はおのおの重要なものであります。ことにエカフエのごときは、アジアに直接の問題でありますから、相当に重要視いたしております。今回もバンドンで開かれる
会議
には、タイの太田大使を初め、相当数の者を出してこれに参加しようと考えております。
宇田耕一
47
○宇田(耕)
委員
私は、国連の持
つて
おる経済社会
理事
会の国際的な機構、そういうものに対する国民の理解はほとんどないに近い、乏しいと思います。そこで、外務省はそういう
会議
に出席をしていろいろな角度から
貿易
、経済その他について討論をなさるでしようが、そういう点民間に対してもう少し強く打出して宣伝をし、あるいはその真相を伝えることについて、何か具体的なお考えがあるかどうか。
岡崎勝男
48
○岡崎国務大臣 これはやるつもりでおります。具体的に言えば、エカフエ等の
会議
がありましたならば―今まで十分でなか
つたの
は、われわれの方でも十分なる人を出し、討論に参加する
立場
になかつたからですが、今度はちやんと話の中に入
つて
いたしますから、これについては、
会議
の結果によりませんと、国民が興味を持つようなものが出て来るか出て來ないかで違いますけれども、十分発表すべきものはいたしたいと考えております。
宇田耕一
49
○宇田(耕)
委員
そういう点につきましては、私は民間人をもなるべく合理的に参加せしめるような
方策
をと
つて
いただきたいと思います。 最近ヨーロつパから帰
つて
来た友人の話によりますと、フランス
政府
当局と話してみたいところが、ココムに
日本
を加入せしめた真相は、実を言えば、フランス当局の
意見
としては、
アメリカ
が中心とな
つて
おるところの、極東地区諸国の共産圏国に対する輸出の管理を強化するという案は、どうしても
日本
の商品が自由国家群によけい流れる危険があるから、そういう方向に行かないようにするために、ココムの。パリ・リストを適用するという方向に持
つて
行つた
方が、
日本
の商品の自由国家群に対する競争をなるべく少くするに役立つだろうと思
つて
、自分たちはココムに加入せしめることを主張したのだ、こういう話であります。そういう点ははたして真相に近いものかどうか、外務大臣にお伺いいたしたい。
岡崎勝男
50
○岡崎国務大臣 宇田君の友人なる方が、フランスのどういう人に会
つて
話されたのか知りませんけれども、おそらく責任あるフランス
政府
の当局ではないと思います。それはフランスの
政府
の人間にもいろいろな人がいますから、いろいろな
意見
は吐くでありましよう。ですから責任の地位にある人の正確な言葉でないものを、あまり御信用になにぬ方がいいと思います。私は、フランス側ではそんなさもしい、とい
つて
はおかしいですが、考えではないと思います。
日本
が
独立
国とな
つて
、しかも極東において非常に重要な地位を占めておる、こういう国をヨーロつパのある機構に参加させるべきは当然であるという考え、別にそれによ
つて
いろいろのかけ引とか、うまく行くとかまずく行くとかいうことではなく、純粋にただそれだけの考えでわれわれを歓迎しておる、こうかたく信じております。
宇田耕一
51
○宇田(耕)
委員
もう一つ、カツトに加入せしめないということの裏には、やはり
日本
の自由国家群に対する輸出についての考えが、先ほどのフランス当局の話と同じような考え方、すなわち、
日本
が輸出
貿易
上の降路をどうしても他に求めざるを得なくなるであろう、他に降路を求めるということ、言葉をかえれば、共産圏国に対する輸出に
日本
を向けしむる間接の処置として、カツト加入を認めない方がいいのじやないかという説がイギリスで盛んに論議されておるのであるから、そういう点についてはよく注意しなければならないだろう、こういう話も聞いております。その点について外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
岡崎勝男
52
○岡崎国務大臣 私もそういうことが新聞の議論の中にあつたことを記憶しております。しかしこれは私の考えるところでは、イギリス側としては、
ドル不足
の現在において、
日本
に最恵国待遇をこの際ただちに与えることについてはかなり議論があり、そのために、イギリスだけじやありますまいが、そのほかの国も躊躇して延ばしておる。しかし一方においてはカツト加入は当然じやないか、これはそういう特殊の問題でなくて、
一般
的に
日本
のカツト加入は当然じやないかという議論がはなはだ多いと思
つて
おります。イギリスといえども、またその他の国といえ、ども、原則的に
日本
のカツト加入に反対であるということを一ぺんも言つたことはない。ただ時期的にずれておるということでありまして、
日本
がガツトに加入したいという議論に対して、それは反対であるということを正面から言うだけのりくつはどこの国も持
つて
いないと思
つて
おります。
加藤清二
53
○加藤(清)
委員
関連して……。ガツト加入の問題でございますが、反対をしていないと言われましたが、先般行われた
会議
におけるイギリス側の発言では、
日本
は重要国であるからよく研究する必要があるという発言によ
つて
延期させられた、こう承
つて
おるのでございますが、それは事実でございますか。希望としては特恵
レート
が早く
日本
に許されるようにわれわれも考えておるわけなのでございますが、いかがでございましようか。
岡崎勝男
54
○岡崎国務大臣 私が申したのは、どこの国でも原則的には反対しておらないということでありまして、延びたのは、何も反対だから延びたのでなく、今おつしやつたように、重要国であり。その影響するところが多いから、インターナシヨナル・コミテイーというものをつくりまして、総会と総会との間の特別の
委員会
でさらに研究してから結論を出そう、こういうことにな
つて
おります。その
委員会
は来年二月ごろ開かれるだろうと思います。しかしいずれにしてもガツト加入については、関税協定等も促進しなければならないわけでありまして、この方にも相当時間はかかります。しかし私の申しておるのは、ガツト加入に対して、どこの国といえども、
日本
の国の加入は反対だという議論を開陳するだけの勇気はない。もつともなんだけれども、もつと余裕をくれ、もつと研究してみるからというのが今の実情であります。
加藤清二
55
○加藤(清)
委員
外国の事情は大体推察できますが、
日本
としてはこれについてはどういう態度に出られますか。
岡崎勝男
56
○岡崎国務大臣
日本
としては当然すみやかなるガツト加入を主張するわけであります。またそれに必要な関税協定等の措置はできる国からどんどんつく
つて
行く、こういうつもりでおります。
坪川信三
57
○
坪川委員長
本日はこの程度といたし、これをも
つて
散会いたします。 午後一時十一分散会