○
古屋委員 私は、
石田君の
動議に対しまして、
賛成の意を表するものであります。
その
理由は数個ございますが、まず第一に、
本件の
吉田茂さんの
懲罰事犯というものは、この結果いかんによりましては、
国民全体の
議会の信任に対する重大な問題であると私は信ずるのであります。もしも、かような問題の
審議を
愼重にいたさずに、しかも
国民の
納得の行くような
解決をいたさなければ、これすなわち
国内における
議会制度否認ということになりまするのみならず、それから及ぼす
思想的影響は重大であります。のみならず、
本件は、一方において
議員たる
吉田茂さんであると同時に、
内閣総理大臣という重要なる
地位をお持ちにな
つておりまするので、この
懲罰事犯は、単に
日本国民のみならず、世界の
国際信用に関する重大な問題であります。(
拍手)従いまして、すみやかにこの事実を
審議いたしまして、しかも
国民の
納得の行くような
解決をなすことがわれわれ
国会議員の
責務であることを自認し、しかも、本
会議から委託されました
事案につきましては、この
事案そのものを中心として、その事実を
調査いたしまして
解決すべきものであると私は思うのであります。しかるに、過ぐる六日の
委員会におきまして
動議が出ておりまするが、この
動議の
内容が私にはわからないのであります。というのは、
管轄権があるかないかということを
岡本委員から申されておる。
管轄権とは何か私にはわからない。しかも、本
会議において、
議員吉田茂君の
懲罰に対する事実を付託されておるのてあります。しからば、この問題について、どこが
管轄権を持
つておるのか。われわれには
議院規則があり、
国会法があ
つて、ここ以外にないではないか、そういうことが問題にな
つておる。そういたしまして、さらにその
あとにおいて、今度は
木村さんの
動議によりますると、さような問題であるから、少くとも
愼重審議をしなければならぬから、
資料を集めるために一週間ないし十日
休会をするという
動議でありますが、この
二つは
矛盾している。一方ではこの
委員会は
審議する権利がないと
主張し、一方においては早く慎重
審議するために
資料を集めるというような、
自由党諸君そのものの
主張が
矛盾していると私は思う。(
拍手)そういうような
矛盾ないたしまする
動議に対しまして、われわれこれに
反対いたしますところの
委員の
発言を十分にさせておりません。これは
根本の問題でありまするから、このような
根本の問題については、
委員全体が
納得の行くように、
委員長は
十分発言をさせ、そうして十分に
納得させた上において、
本件を
審議すべきだと私は思うのであります。それを与えなか
つた、多数を頼んでこれを押し切
つた、これが
一つ。それから、なお
委員会の
休会の問題を取上げて
日野君から言われておりますが、一週間ないし十日というのは不明確である。かような不明確なものに対しては、
委員長は
釈明権を行使して、幾日かということを明確にしなければ不明瞭だ。争いのもとである。かようなことについて、
委員長が
はつきり釈明権の行使をしていないところに、
委員長の
責任の尽されていないものがあると思う。(
拍手)
それから、なお進んで、
吉田茂君の
懲罰事犯は、
国会規則の百二十一条によ
つて提案されまして
決定したことは明らかであります。しかるに西村君が百十九条と二十条によ
つて、みずから
議員が
侮辱されたという
主張において提訴いたしておる問題を持
つて参りまして、さようなことにな
つておるのであるから、こちらがわからぬではないかと、
主張されておるのでありますが、これは同じ事実でありましても、
二つの規定によ
つているのでありまして、
二つの
主張権があるのであります。でありますから、これを混同してはならないのであります。だからわれわれは、百二十一条に基く
懲罰でございますから、この
懲罰においてわれわれの
審議を進めればいい。ことに、私が申し上げたいことは、
法律論を先に持
つて参りまして、そうして
法律論に対する各
学識経験者というような人の説を聞いて、われわれの
態度をきめようという
動議のようでございますけれども、われわれは、
法律論は事実がはつきりして後に適用すべきものであると思う。最初に
法律論を持ち出して、ああでもない、こうでもない、あるいは
参考資料にするということでは、まことにわれわれといたしましては
納得が行かないのであります。(「
見解の
相違だ」と呼ぶ者あり)私はそう思うのであります。
皆さん方は
見解の
相違だとおつしやいますけれども、
懲罰事犯の事実
そのものに対する問題は
見解の
相違ではございません。しかも私は、現在の
日本の情勢というものは、
国内における事情というものは、現在のような
国会の状態が進みまするなら、ば、あるいは
国民の
国会に対するところの批判がだんだん強くな
つて来る。どこまでも
国会の威信と
国会の
信用をかち得るための努力をすることが、われわれ
議員の
責務でなければならぬ。しかも
総理大臣という
地位にある方が、
国会の内部において、
━━━━という言を述べたり、あるいは
質問者に対して—者と言うような
態度をと
つておるということは、まことに遺憾千万のことでございまして、かような事実があ
つたか、どうか、これをまず先に明確にする必要があると私は思う。それがわれわれ
委員に付託された最も忠実な最も簡明直截な
審議のやり方だと思う。(
拍手)私は、さようなことを考慮いたしまするときに、多数をも
つてこの
懲罰委員会を押し切るべきものではなくて、少くとも事実を前提とし、この事実に基き、われわれに与えられた職責を尽すべきがわれわれの
責務でなければならぬ、かように信ずるのでございます。
なお、私は
南條委員長に対する
動議にどういうわけで
賛成するかと申しますならば、まことに議事の
審議において不公平である。たとえば、先ほど申し上げましたような、
自由党の
諸君から
管轄権の問題が出、あるいは
休会の
動議が出た。さような場合に、私どもは少くともその
動議の
内容について
質問をいたしまして、その
動議の
内容を明確にしたいと思
つたのでありますけれども、これに対してむしろ
提案者の方面に
賛成するかのごとき
態度をと
つて、われわれの
質問を許さない。しかもなお、多数をも
つて押し切ろうとしているのであります。私は、さような
立場からいたしまして、本
事案の重大性にかんがみ、
委員長はどこまでも慎重
審議、事実を進めることに努力され、しかも公平に進めて行かなければならぬと存ずるのでありますけれども、ただいま申し上げましたような数多のことから申しますならば、疑うべき、公正ならざる事実がございますので、私は
反対するのでございます。(
拍手)もしも
吉田茂さんに現在問題にな
つておりますような
懲罰事犯があ
つたとするならば、これはまことに重大な問題であります。でありますから、
自由党の
諸君もすみやかにこの事実を明確にいたしまして、
懲罰になるのかならぬのか、少くとも一国の大政党の総裁でございますから「皆さんの方も早くこれを
審議、
解決することが忠実なりと思う。ただ感情にとらわれてその
責務を果さないということは、われわれのとらざるところであります。
この問題は
内容において
審議しなければならぬ。それには
南條委員長は不適任と考えておるのでありまして、この点において、公平なる
委員長を迎えて最も慎重に
審議されんことを要望いたします。他面それがわれわれの職責であると存じますので、
吉田さんの問題を明確にいたしまして、すみやかに
解決されんことを要望して、私の
討論を終ります。