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1953-03-11 第15回国会 衆議院 懲罰委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十一日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 南條 徳男君    理事 有田 二郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 熊本 虎三君 理事 古屋 貞雄君       大野 市郎君    岡本  茂君       川島 次郎君    木村 文男君       田中 角榮君    塚原 俊郎君       保利  茂君    松野 頼三君       三和 精一君    石田 一松君       高橋 禎一君    中曽根康弘君       日野 吉夫君    中村 高一君       木原津與志君     ————————————— 三月十日  委員木村文男君、保利茂君及び中曽根康弘君辞  任につき、その補欠として江崎真澄君、大野市  郎君及び並木芳雄君が議長指名委員に選任  された。 同月十一日  委員江崎真澄君、塚田十一郎君及び並木芳雄君  辞任につき、その補欠として木村文男君、保利  茂君及び中曽根康弘君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員長不信任動議     —————————————
  2. 南條徳男

    南條委員長 ではこれから開会いたします。
  3. 石田一松

    石田(一)委員 委員長不信任動議を提出いたします。     〔委員長退席有田(二)委員長代着席
  4. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 ただいま委員長不信任動議が提出されましたので、その動議について議事を進めます。この動議趣旨弁明を許します。石田一松君。
  5. 石田一松

    石田(一)委員 私は、野党各派を代表いたしまして、南條委員長懲罰動議趣旨弁明を試みんとするものであります。     〔「懲罰とは何だ。委員長委員長」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然
  6. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 御静粛に願います。
  7. 石田一松

    石田(一)委員 ただいま懲罰動議と申しましたことは私の失言でございますから、取消しをいたします。南條委員長は、先般の本委員会にあたりまして、与党側より本案件を故意に延引しようとする作戦に出た上、二、三の動議を、われわれ野党発言を封じて採決をしたのであります。その結果、この国会において動議採決するにあたつて、一週間以上、十日以内という、まことに奇々怪々なる動議が可決決定されておるのであります。(「ノーノー」)私たちは、こうした不確定な動議採決をし、しかも懲罰委員会委員長である南條委員長が、与党のためにのみ動き、しかも、最も大切な職責のあるところのこの委員会が過去二、三回開かれたにもかかわらず、われわれ委員に対して、この懲罰動議趣旨弁明をなすつた清瀬一郎氏の提案趣旨弁明のプリントもなければ、あるいはまた、吉田総理大臣が二月二十八日の予算委員会においてなしましたあの暴言の当時の模様を速記した速記録の抜萃も、われわれには渡されなかつたのであります。しかも、この問題に関して、過日の運営委員会において、事務当局に対して本委員から質問をいたしました結果、昨日の理事会においてこの資料が手渡された。これは実にこの委員会委員長自身が引延ばそうとしておる、このことを私たちはこの際断言しなければならぬと思うのであります。  さて、先般動議が可決されましたときに、吉田総理大臣か、あるいは議員個人としての吉田茂君か、もしこれが総理大臣であるならば、本委員会管轄権があるとかないとかいうような、まことに幼稚な動議をこの委員会採決をしておるのであります。それをまた調査するために、学識経験者あるいはその他の資料を集めてこれを研究する、こういうのであります。少くとも本院の本会議が、懲罰事犯ありと決定して、これを懲罰委員会に付託すると決定した以上は、その懲罰動議の命ずるがままに、この委員会がこれを受けて立つて審議をすればいいのでありまして、この委員会がそれを審議する管轄権があるかとか、あるいは総理大臣がどうの、議員がどうのということは問題にならない。このことが後日問題になるといけないと思つたので、——この懲罰動議の本会議に上程される日の議院運営委員会におきまして、大野議長が、土井君の質問に対しまして、「お答えしますが、疑問の点というのは、国務大臣あるいは総理大臣失言あるいは暴言に対しては、罰則の対象になるかどうかということについて、目下研究をいたしております。」こう申しましたので、本委員は、これに対して、「これは議長のお言葉としては、たいへんな失言にあらずんば、不用意であると私は思います。なぜかと申しますと、当運営委員会では、野党各派が提出しておる議員吉田茂君を懲罰に付する動議を、今日の本会議に上程することをただいま可決決定したのであります。しかも、本会議場においてこれが絶対的に否決されることはきまつておりません。議長議長席についた本会議場において、議員吉田茂君を懲罰委員会に付すべしという決定がなされるかもしれないのであります。それにもかかわらずその議長が、ここで懲罰事犯として吉田茂君の問題を取上げることについて疑義があるから研究中であるということは、これはたいへんな疑問がある。しかもこれは、与党と御相談の上でなされたのでしようが、与党は、ただいまこれを懲罰動議として本会議に上程することを異議なく決定した。研究中であるということになると、懲罰動議自体を本会議に上程することに反対していらつしやるということになるのか。これは運営委員会としては、すでに本会議に上程することを可決決定しておる。」こう申しましたところが、大野議長は、これにつきまして、「その通りです。懲罰に付するの動議はただいま可決されて、本日冒頭に上程するということは、御決定がありました通りでありますが、訴状に対しては、私どもの見解は、総理大臣吉田茂君を院議にかけて、この暴言に対する処置を問うという、ここに見解相違があるのであります。従つて、私は、取上げぬとも何ともいう意見ではありません。この点について疑問があるので、目下せつかく研究を続けておるのであります。懲罰動議野党各派からお出しになつて議院運営委員会でこれを採択した。そうして本日の本会議に上程することがきまつた。これはこの委員会でおきめになつたことであるから、その通り取扱う、こういうことであります。」こういうことをおつしやつておるのであります。私が、「そういたしますと、議員吉田茂君の懲罰動議はここで決定したので、議長もそれを承認した、但し、総理大臣吉田茂君を爼上に載せてどうするかということは目下研究中である、こういうことですか。」と言いましたら、「その通りであります。」と議長は言つておるのであります。  要するにこの委員会は、付託された議員吉田茂君の懲罰事犯がいかなるものであるかという実質的審議にただちに入れば、それでいいのであります。しかも一週間以上十日間にわたつて、あの吉田茂君の暴言についての、世の耳目を聳動させたこの重大事件について、いたずらに時日を遷延し、野党が提出せんとするところの内閣不信任の件とからみ合せて、これをやみに葬むろうとするがごとき委員長態度は、絶対にわれわれは許せないと思うのであります。しかも、この吉田総理大臣暴言なるものは、その場において取消されたとはいうものの、この総理大臣言葉によつて、これは清瀬一郎氏の提案趣旨弁明にもあります通り、一旦本院に加えられたところの総理大臣侮辱、全国民に対して与えられたこの侮辱というものは、その一言の取消しによつて払拭されるものではないと私たちは思つているのであります。吉田総理大臣は、これを失言というような意味でお取消しになつていますが、常日ごろから国会を軽視するお殿様のような気持で、だれでも相手を見れば無礼者、ただただ昔の切捨てごめんのような気持を持つていらつしやるから、総理大臣本心があの際興奮の極暴露したものであつて、決してこれは失言ではない。本心である。こういう問題について、この委員会が徹底的に追究し、徹底的に調査して、少くとも私たち除名くらいには行きたいと思うのでありますけれども、それではあまりひどいから、罪一等を減じて、例によりまして本会議場における陳謝文朗読くらいはさせなければならぬ、もしこの朗読をしなかつたら、院議無視除名にしなければならぬ、こういうふうに私は、前例を知つておりますので、やりたいと思つておるのでありますが、これについて何ら実質的審議を進めようとしない南條委員長のあの過日の動議採決、しかも強硬にわれわれ野党発言を封じてしまつて、この委員会を休憩のまま置かれ、しかも、今日ここに開かれる委員会は、何らわれわれの発言を許そうとせず、前理事中曽根君が本委員理事を交代するということを、委員会を開かなければ決定ができないために、本日のこの委員会を開いて、しかも理事の交代だけの件でこの委員会をとじようとしておるのであります。そのことたるや、本委員会委員長自体が、この委員会を否定するものである、自己否定であると私は考えるのであります。こういう不公平な委員長のもとにおいて、この懲罰事犯審議を継続することは不可能であると考えます。よつて、ただいま野党三派名前を連ねまして、委員長不信任動議を提出した次第であります。  以上を以て提案理由の説明といたします。(拍手
  8. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 これにて趣旨弁明は終りました。  討論の通告があります。順次これを許します。木村文男君。
  9. 木村文男

    木村(文)委員 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま提出されました南條委員長に対する不信任動議に対しまして、反対討論を行うものであります。  ただいまの趣旨弁明の中に、数多くの当てはまらない言葉が並べられたようでありますが、当委員会が開かれましてから、二日から十一日まで約この間十日の期間があるのでありますが、この間におきまして委員会を開きましたのは二回、理事会を開きましたのが三回あるのでありまして、この間におきまして、南條委員長としては、きわめて短かい期間でありましたけれども、事の重大なるにかんがみまして、いかにしてこの委員会を円満に、最も野党諸君の要望するようにすみやかな進捗をはかろうかと努力されたのであります。こういうような短かい期間において理事会を三回までも開いておるというところに、南條委員長の大きな苦心がまず形の上で現われているのであり、先ほどの趣旨弁明者石田さんの意見に対しまして、全面的にこれでもつてその反対の意向を強く表わしたいと思うのであります。  次に第二点といたしまして、趣旨弁明者は、その動議の提出の理由といたしまして、議員吉田茂君が議員にあるまじき言動をしたのであるから、しかもこれは極刑に処すべきである、だが軽い刑をもつてわれわれは臨もうとするものであるといつたような、あたかも議員吉田茂君がほんとうに罪人であるということの断定のもとにやつているようでありますが、(「その通り」)当日の議員吉田茂君の発言は、これは発言そのものはあつたにいたしましても——疑義があるとかないとかいうようなことも重大なことでありますけれども、委員長はそういつたようなことにこだわつた形跡は少しも見えなかつたのである。ただ、議員吉田茂君としては提出されておりますが、一方において、客観的に見ますると、これは内閣総理大臣としての身分においての訴状も出ておる。いろいろな観念から、そこが委員長として南條委員長の思慮の深いところであると、私は敬服をしておるのであります。そういうことを勘案いたしまして、資料を集めなければならぬという動議が提出されましたので、むべなるかなという愼重態度をとりまして、ここに相当期間を置きまして、事一身に関する—おそらく議員というものは、野党諸君与党諸君も、ほんとうの命を断たれるよりも、懲罰というような、その職に対する命を断たれることが、いかにわれわれとしては重大なことであるかということを、よく皆様御自身の胸に手を当てて考えてみますると、うなづくところであろうと思うのであります。たといわれわれに裁判権が与えられておるといたしましても、事の重大なるにかんがみまして、きわめて愼重なる態度をもつてこれに臨まなければならない、これがわれわれのとるべき態度である、私はこう考えるのであります。しこうしてまた、さらに論じますならば、議員吉田君が一国の総理大臣であるという立場においては、さらにこれは海外に及ぼす影響等愼重に考慮しなければならぬ。いろいろなことを考えて、ここに資料を集めるということは、事の重大であるということの裏づけである。あやまたざるために、詳細なる資料を集めることは当然な処置である。要するに、これを換言して申し上げますならば、南條委員長理事会空気あるいは委員会空気等を考えてやつたのでありまして、当南條委員長独断の行動によるところの宣言等は断じてしたことはないと、われわれは確信しておるのであります。でありまするから、野党諸君が今回提出いたしました委員長不信任案動議には、われわれは断じて承服することができない。あくまでも反対態度を表明して闘うところの用意があるということを、ここに言明しておきたいのであります。しかも、付言して申し上げますが、私語をとらえてのことで、それからの発端でありますから、さらにこれはわれわれとしては深く考えなければならぬということを、むしろ野党諸君の反省を求めるのであります。  私は、以上をもちまして、わが党の与党としての立場からいたしまして、強くただいまの動議反対の意を表明して、私の討論を終ります。(拍手
  10. 有田二郎

  11. 日野吉夫

    日野委員 私は、日本社会党を代表しまして、ただいまの委員長不信任動議に対して賛意を表するものであります。  まず、過般開かれた第一回の懲罰委員会三つ矛盾を持つていたのです。この三つ解決する責務委員長が持つておりながら、これを一方的な多数をもつて押し切つて、未解決のままに国民疑惑をそのまま残したという点において、私は委員長責任を追究しなければならぬと考える。まず第一に、木村文男君から提出されましたるところの動議内容が不明確である。一週間ないし十日というこの動議内容をまず明確にする必要があつたにもかかわらず、これをうやむやのままに通してしまつたという点が一点。もう一つは、委員会権限に対して疑義が起つたこと、これに対しては賛成討論あり反対討論があつたので、当然この問題を決定しなければならぬのにかかわらず、委員長がこれを何らの決定もせずにうやむやに葬つたということは、見のがすことのできない重大なる一点ではなかつたか。しかももう一つ、本委員会へ本会議で多数をもつて付託され、しかも今日たまたま議員吉田茂君は総理大臣地位にあるをもつて世間の大いなる関心を呼んでいたにかかわらず、うやむやに葬つて、本会議の付託にこたえないと同時に、国民疑惑をそのままに残した。このことがこの委員会の進行の過程において、いろいろな派生的な事実、中間報告等の問題を引起す原因になつたと私は考えますので、かかる問題をそのままにして、多数をもつて押し切つた委員長責任はきわめて重大であると思いますので、その点において賛成をするものであります。まず、何も無理をする必要はないのであります。しかも、与党は多数を擁しており、そうして一騎当千の士をかくのごとく集中している以上、尽すべき点を尽すべきで、多数をもつて押し切る必要をさらにわれわれは認めない。そのくらいの雅量を示していいはずであるにかかわらず、あの暴挙をあえてしたことをわれわれはまことに遺憾とするものであります。  懲罰内容ついてはいろいろの議論がありましよう。これは十分審査すべきである。私は、木村文男君の言われる愼重調査するという点については賛意を表しても、吉田茂君の今日までの問題、これは単にあの委員会において起つた━━者━━という言葉だけではなく、とにかく不逞のやからに始まつて、しばしば議員侮辱議会を軽視する言葉は、常に速記録の上に現われているところである。われわれは、この問題を本委員会がつぶさに検討して、何に値するかということを判断すればいいのである。━━者という言葉は、われわれにとつてはちよつと考えられない。実にわれわれとはその育ちが違う。われわれはいかにけんかしても、━━者という言葉はつい今まで発することができない。そういう心境になれない。吉田さんは今までこの種の言語をしばしば弄しておるという点、しかも━━などという言葉予算委員会の席上において言うに至つては、さたの限りであります。     〔発言する者多し〕
  12. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 静粛に。
  13. 日野吉夫

    日野委員 週間朝日の書いておるところによれば、もしこれがイギリス国会で行われたら、イギリス国会はこれをどう処罰するであろうということを言つておる。とにかくわれわれは、今木村文男君より情状酌量論を聞いたけれども、こういう言葉を発し、しかも、今日までしばしば陳謝をし、取消しをし、釈明をしていながら、依然としてこういう言葉あとを断たないというところに、事案の本質があるのであります。(「その通り」)その点をもう少し究明する必要があろうと考えるのでありまして、情状酌量の余地がないのじやないか。こういう見地から一本委員会はつぶさに検討する必要がある。国会法の命ずるところ、衆議院規則の示すところは明らかであつて、本委員会懲罰する権限があるかないかなどという疑惑を持つほど、ばかばかしい議論はないのであります。(拍手調査の上で、量刑委員会決定すればよろしいのであります。石田君が今言われたように、量刑についてはいろいろ意見がありましよう。その場合は十分考えてよろしいが、委員会調査を放棄してこれを遷延し、あるいは多数をもつて押し切ろうとする態度に対しては、われわれは断固として反対せざるを得ないのであります。(拍手)今日そうして無理押しをする必要はなかろうと思う。今日まで相当期間にわたつて、かかる暴挙を多数の力で押し切つた必然の運命が今日ここに来ておるのであります。おごる平家久しからず、屋島もあり、壇の浦もある。もうそこまで追い詰められた今日、じたばたする必要はないのではないか。(拍手)すなおに、愼重なる調査の上でその刑に服すべきである。しかも、参議院の吉田首相の答弁においては、静かに懲罰委員会決定を待つと言つておるのであります。(拍手)その懲罰委員会愼重審議するならよろしいけれども、審議を放棄して、多数をもつてあるいは遷延し押し流そうとするがごとき印象を国民に与えることは、われわれの断じてとらざるところである。もしこの事態を正しく冷静に進行させる職務を履行せざる場合、われわれは委員長不信任案賛成せざるを得ないのであります。  本委員会は、あくまで国民国会の名においてこの事案を究明し、冷静なる判断をしてこそ、議会の品位と信用を増すゆえんだと思いますので、ただいまの石田君の提案賛意を表するものであります。(拍手
  14. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 次は古屋君。     〔「まだやるのか」「党が違う」と呼び、その他発言する者多し〕
  15. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 御静粛に願います。—御静粛に願います。
  16. 古屋貞雄

    古屋委員 私は、石田君の動議に対しまして、賛成の意を表するものであります。  その理由は数個ございますが、まず第一に、本件吉田茂さんの懲罰事犯というものは、この結果いかんによりましては、国民全体の議会の信任に対する重大な問題であると私は信ずるのであります。もしも、かような問題の審議愼重にいたさずに、しかも国民納得の行くような解決をいたさなければ、これすなわち国内における議会制度否認ということになりまするのみならず、それから及ぼす思想的影響は重大であります。のみならず、本件は、一方において議員たる吉田茂さんであると同時に、内閣総理大臣という重要なる地位をお持ちになつておりまするので、この懲罰事犯は、単に日本国民のみならず、世界の国際信用に関する重大な問題であります。(拍手)従いまして、すみやかにこの事実を審議いたしまして、しかも国民納得の行くような解決をなすことがわれわれ国会議員責務であることを自認し、しかも、本会議から委託されました事案につきましては、この事案そのものを中心として、その事実を調査いたしまして解決すべきものであると私は思うのであります。しかるに、過ぐる六日の委員会におきまして動議が出ておりまするが、この動議内容が私にはわからないのであります。というのは、管轄権があるかないかということを岡本委員から申されておる。管轄権とは何か私にはわからない。しかも、本会議において、議員吉田茂君の懲罰に対する事実を付託されておるのてあります。しからば、この問題について、どこが管轄権を持つておるのか。われわれには議院規則があり、国会法があつて、ここ以外にないではないか、そういうことが問題になつておる。そういたしまして、さらにそのあとにおいて、今度は木村さんの動議によりますると、さような問題であるから、少くとも愼重審議をしなければならぬから、資料を集めるために一週間ないし十日休会をするという動議でありますが、この二つ矛盾している。一方ではこの委員会審議する権利がないと主張し、一方においては早く慎重審議するために資料を集めるというような、自由党諸君そのもの主張矛盾していると私は思う。(拍手)そういうような矛盾ないたしまする動議に対しまして、われわれこれに反対いたしますところの委員発言を十分にさせておりません。これは根本の問題でありまするから、このような根本の問題については、委員全体が納得の行くように、委員長十分発言をさせ、そうして十分に納得させた上において、本件審議すべきだと私は思うのであります。それを与えなかつた、多数を頼んでこれを押し切つた、これが一つ。それから、なお委員会休会の問題を取上げて日野君から言われておりますが、一週間ないし十日というのは不明確である。かような不明確なものに対しては、委員長釈明権を行使して、幾日かということを明確にしなければ不明瞭だ。争いのもとである。かようなことについて、委員長はつきり釈明権の行使をしていないところに、委員長責任の尽されていないものがあると思う。(拍手)  それから、なお進んで、吉田茂君の懲罰事犯は、国会規則の百二十一条によつて提案されまして決定したことは明らかであります。しかるに西村君が百十九条と二十条によつて、みずから議員侮辱されたという主張において提訴いたしておる問題を持つて参りまして、さようなことになつておるのであるから、こちらがわからぬではないかと、主張されておるのでありますが、これは同じ事実でありましても、二つの規定によつているのでありまして、二つ主張権があるのであります。でありますから、これを混同してはならないのであります。だからわれわれは、百二十一条に基く懲罰でございますから、この懲罰においてわれわれの審議を進めればいい。ことに、私が申し上げたいことは、法律論を先に持つて参りまして、そうして法律論に対する各学識経験者というような人の説を聞いて、われわれの態度をきめようという動議のようでございますけれども、われわれは、法律論は事実がはつきりして後に適用すべきものであると思う。最初に法律論を持ち出して、ああでもない、こうでもない、あるいは参考資料にするということでは、まことにわれわれといたしましては納得が行かないのであります。(「見解相違だ」と呼ぶ者あり)私はそう思うのであります。皆さん方見解相違だとおつしやいますけれども、懲罰事犯の事実そのものに対する問題は見解相違ではございません。しかも私は、現在の日本の情勢というものは、国内における事情というものは、現在のような国会の状態が進みまするなら、ば、あるいは国民国会に対するところの批判がだんだん強くなつて来る。どこまでも国会の威信と国会信用をかち得るための努力をすることが、われわれ議員責務でなければならぬ。しかも総理大臣という地位にある方が、国会の内部において、━━━━という言を述べたり、あるいは質問者に対して—者と言うような態度をとつておるということは、まことに遺憾千万のことでございまして、かような事実があつたか、どうか、これをまず先に明確にする必要があると私は思う。それがわれわれ委員に付託された最も忠実な最も簡明直截な審議のやり方だと思う。(拍手)私は、さようなことを考慮いたしまするときに、多数をもつてこの懲罰委員会を押し切るべきものではなくて、少くとも事実を前提とし、この事実に基き、われわれに与えられた職責を尽すべきがわれわれの責務でなければならぬ、かように信ずるのでございます。  なお、私は南條委員長に対する動議にどういうわけで賛成するかと申しますならば、まことに議事の審議において不公平である。たとえば、先ほど申し上げましたような、自由党諸君から管轄権の問題が出、あるいは休会動議が出た。さような場合に、私どもは少くともその動議内容について質問をいたしまして、その動議内容を明確にしたいと思つたのでありますけれども、これに対してむしろ提案者の方面に賛成するかのごとき態度をとつて、われわれの質問を許さない。しかもなお、多数をもつて押し切ろうとしているのであります。私は、さような立場からいたしまして、本事案の重大性にかんがみ、委員長はどこまでも慎重審議、事実を進めることに努力され、しかも公平に進めて行かなければならぬと存ずるのでありますけれども、ただいま申し上げましたような数多のことから申しますならば、疑うべき、公正ならざる事実がございますので、私は反対するのでございます。(拍手)もしも吉田茂さんに現在問題になつておりますような懲罰事犯があつたとするならば、これはまことに重大な問題であります。でありますから、自由党諸君もすみやかにこの事実を明確にいたしまして、懲罰になるのかならぬのか、少くとも一国の大政党の総裁でございますから「皆さんの方も早くこれを審議解決することが忠実なりと思う。ただ感情にとらわれてその責務を果さないということは、われわれのとらざるところであります。  この問題は内容において審議しなければならぬ。それには南條委員長は不適任と考えておるのでありまして、この点において、公平なる委員長を迎えて最も慎重に審議されんことを要望いたします。他面それがわれわれの職責であると存じますので、吉田さんの問題を明確にいたしまして、すみやかに解決されんことを要望して、私の討論を終ります。
  17. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 これにて討論は終了いたしました。  採決いたします。石岡一松君提出の動議賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  18. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 起立少数。よつて動議は否決されました。  委員長の復席を願うことといたします。     〔「議事進行、議事進行」「委員長代理不信任案だ」と呼ぶ者あり〕     〔有田(二)委員長代理退席、委員長着席〕
  19. 南條徳男

    南條委員長 ただいま委員長代理不信任案が出ておるようでありますが、これは委員長の復席によつて代理が消滅いたすことになりますので、有田君に対する不信任動議は成立いたさたいことになります。  ちよつとお諮りいたしますが、先ほどの理事の互選の問題が残つておりますが、(「議事進行」「議事進行」「委員長発言中だ」と呼び、その他発言する者あり)理事の互選の問題を……。     〔「議事進行、議事進行」「発言中だ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然
  20. 有田二郎

    有田(二)委員 本日はこの程度をもつて散会されんことを望みます。     〔発言する者多く、離席する者多く、議場騒然
  21. 南條徳男

    南條委員長 これをもつて散会いたします。     午前十一時三十一分散会