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1953-03-14 第15回国会 衆議院 地方行政委員会法務委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十四日(土曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員   地方行政委員会    委員長 青柳 一郎君    理事 鈴木 直人君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君 理事 横路 節雄君       阿部 千一君    加藤 精三君       黒金 泰美君    佐藤善一郎君       中井 一夫君    石坂  繁君       森田重次郎君    平岡忠次郎君       赤松  勇君    西村 力弥君       川村 継義君   法務委員会    委員長 田嶋 好文君    理事 小畑虎之助君 理事 田万 廣文君       小林かなえ君    佐治 誠吉君       古島 義英君    松永  東君       大川 光三君    後藤 義隆君       長井  源君    木下  郁君       多賀谷真稔君    古屋 貞雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 犬養  健君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     齋藤  昇君         国家地方警察本         部次長     谷口  寛君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         国家地方警察本         部警視長         (刑事部長)  中川 董治君         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  山口 喜雄君  委員外出席者         地方行政委員会         専門員     有松  昇君         地方行政委員会         専門員     長橋 茂男君         法務委員会専門         員       村  教三君         法務委員会専門         員       小木 貞一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  警察法案内閣提出第一一二号)     —————————————
  2. 青柳一郎

    青柳委員長 これより地方行政委員会法務委員会連合審査会を開会いたします。  私が委員長職務を行いますので、よろしくお願いいたします。  議事進行上、まず警察法案について審査を進めることといたし、その後に、刑事訴訟法の一部を改正する法律案について審査をいたしたいと思います。  それではまず警察法案を議題とし、政府よりその提案理由説明を聴取することといたします。犬養法務大臣
  3. 犬養健

    犬養国務大臣 今回提出いたしました警察法案につきまして、その提案理由及びその要点を御説明いたします。  現在の警察制度は、占領下の初期におきまして警察民主化の方策として急激に改革が行われた結果生れたものでありまして、確かに従前警察に見られなかつた民主的な美点を有してはおりますが、他面において現下わが国の実情に適合しない部分のあるのはいなめない事実であります。すなわち現在の制度国家地方警察自治体警察の二本建となつており、その組織はおのおの管轄区域を異にしておりますが、前者は国家的性格に過ぎて自治的要素を欠除し、後者は完全自治に過ぎて国家的性格を欠除し、両者それぞれ長短を兼ね有しているのであります。ゆえに忌憚なく申せば、この制度自身警察本来の性格運営にとつて必ずしも適合せざるものを内蔵している次第であります。かつ、これまでも自治体警察においても国家地方警察においても、相互間の連絡調整のためにはおのおのよく努めて参つたのではありますが、何と申してもその管轄区域の相異より生ずる盲点の存在は世人のすでに指摘するところでありました。かつ中小自治体警察はその単位が小さきに失し、ために効率的運営に欠くるところのあつたこともこれまた認めざるを得なかつたのであります。さらに、国の治安責任の所在につきましては、現制度下においてはきわめて不明確でありまして、この点に関する限り、現下警察組織はかの民主主義の所産である責任内閣制度精神から見て徹底せざるものがあるのであります。それゆえ、これらの点につきましては、現行制度実施後、過去五箇年有余の間にも、数度にわたつて警察法の一部改正が行われたのでありますが、その後におけるわが国治安情勢は、これらの弱点を内蔵する警察制度根本的改正が要請せられるに至つているのでありまして、政府におきましては、過般来慎重に検討を重ねました結果、民主警察美点を保持しつつ、上述の不備を是正し、もつて治安確保行政責任明確化をはかるため、ここにこの法律案を提出し、御審議を願う次第であります。  この法律案の主たる点を申し上げますと、次の通りであります。すなわち、第一には、警察による治安確保についての政府責任を明かにするため、国務大臣をもつてあてるところの警察長官を置きましたが、この長官権限がともすれば、過大に陥らぬよう、その所掌する職務はこれを法律に明記して制限を加えたのみならず、長官責務はあくまで不偏不党、かつ公平中正を旨とすべきことを規定して、かりにも政治警察の弊害の生ぜざるよう、厳格なる保障措置を講じたのであります。かつ他方において、現在の国家公安委員会にかわるところの国家公安監理会は、警察が時の政治勢力に左右せられることのなきよう、常時監視助言機関としてその職責を果すこととなつております。  第二には、先ほど申し述べました自治体警察国家地方警察二本建の弊を除去し、両者それぞれの組織に内包する欠陥を是正せんがために、国家地方警察自治体警察はともにこれを廃止して、新たに都道府県単位都道府県警察を設け、これによつて従来に比して一層効率的な民主警察運営をはかることといたしました。なお、この場合、入口七十万以上の大都市については、それが実質上府県と同様の規模を有しております点にかんがみまして、もしもこれらの市が希望いたします場合には、都道府県警察と同一の性格を有する市警察を置き得る道を開いたのであります。  第三に、都道府県警察については、その民主的な運営保障するため、その処理都道府県会安委員会にゆだねましたが、一方公安委員は常時警察長考課を記してこれを中央に具申し、かつ警察長並びに警察官に対して罷免懲戒勧告権を有することとなつたのであります。かつこの公安委員構成には変更を加えて地方自治機関との連繋を一層緊密にしましたが、警察署等設置、その他、都道府県警察に関する地方的事項はあげてこれを都道府県条例にゆだねるものといたしました、しかしてその職員の大多数は地方公務員とし、警察に要する経費国家的な警察事務を除いてすべて都道府県負担とする等、あとう限り自治体警察の特長と美点とを具備せしめることといたしました。この精神よりいたしまして個々の犯罪捜査の指揮のごときは、中央警察庁はこれを都道府県警察職務に一切をゆだねるべきものでありまして、政府は今般この点につき特にその意の存するところを明らかに示したのであります。  以上の諸点が改正案の骨子でありますが、この制度が実施される結果となりますれば、警察官の数において約一割三分程度を減少し、しかも機構の単一化によつて従前に比してはるかに効率をあぐべきことは論を待ちません。なお、この改正が実施されます場合には、国家地方警察自治体警察ともにその職員身分変更を生ずる結果となりますが、この場合にも努めて新らしい警察機構への受入れを円滑にし、俸給その他の給与恩給等についても特に従来の自治体警察職員であつた者の既得の立場を尊重し、少しでも不利益な結果を招来せぬよう、万全の配慮を払う所存であります。しかして従来の国家地方警察市町村自治体警察がその用に供しておりました財産物品等につきましても、このたびの切りかえにともなう円滑な処理が行われて、新らしい都道府県警察の仕事に支障を来すことのないよう十分の措置を講ずる考えであります。  しかして本法案は幸いに成立いたしましたあかつきは、十月一日を目途として施行の日を政令で定めたいと存じますが、上述のごとく、円満なる引継ぎの万全を期したるため、二十八年度中は都道府県警察に要する経費従前通り負担区分従つて、すなわち従前国家地方警察組織に属するものについては国が、市町村警察組織に属するものについては市町村従前通り支弁することとし、二十八年度中はとの法律施行によつて、国、都道府県市町村間に負担変更を来さないことといたしたのであります。  以上が、本法律案提出理由及びその内容の概要を申し上げた次第であります。何とぞ御審議あらんことをお願いいたします。
  4. 青柳一郎

    青柳委員長 引続き政府より補足説明を聴取いたすことといたします。齋藤国警長官
  5. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 法案の内容につきまして、その逐条の順序に従い御説明申し上げたいと存じます。  この法案は、七章七十二箇条の本文及び附則三十七項からなつております。  第一章は総則といたしまして、この法律の目的、警察責務及び警察職員の宣誓について規定しております。現行法におきましては、特に前文を置いて法制定の趣旨をそのうちに述べておりますが、今日の法形式として前文を置きますことは法律としては異例に属しますので、この際前文の形式を避け、従来前文に盛られておりました精神は、これをこの法律の目的として第一条に規定いたしました。第一条に規定するこの法律の目的とは、すなわち民主的理念を基調とする効率的な警察組織を定めることであります。  次に警察責務につきましては、おおむね現行通りその範囲を限定し、これを越えて権限を濫用することがあつてはならない旨を規定したのでありますが、新たに不偏不党公平中正を旨とすべきことを規定して警察のあるべき姿をさらに明らかにすることに努めました。  第二章は警察庁に関する事項規定いたしております。警察庁を総理府の外局として置くこととし、警察庁長官国務大臣をもつて充てるとともに、警察庁所掌事務について、都道府県警察を指揮監督するものとして、国の治安に関する政府責任を明確にいたした次第でありますが、警察庁の任務は、国の治安確保警察行政における調整をはかることに限定し、その所掌事務の範囲を明示いたしております。また警察庁次長一人を置くこととし、この次長の任免は大事な事柄でありますので、特に国家公安監理会の意見を聞いて行うことといたしております。警察庁内部部局としては、従来の総務部を改めた長官官房のほか、従来と同じ警務、刑事、警備及び通信の四部を置くことといたしております。また付属機関としては、警察大学校、科学捜査研究所及び皇宮警察本部を置くこととしておりますが、これらは現在あるものをそのまま規定したものであります。また地方支分部局としては、地方警備局を仙台、東京、大阪、広島及び福岡に置くこととしたのでありますが、これらは従来の管区本部と異なり、縮小簡素化され、その所掌業務警備、通信、教育訓練及び連絡に限られ、かつその範囲内の事項限つて管内府県警察を指揮監督することとされております。また地方警備局地方警察学校が付置されることとなつておりますが、これは従来の管区学校にあたるものであります。第五節は、警察庁職員規定で、警察庁に所要の職員を置く旨を定めておりますが、そのうち警察庁次長、部長但し通信部長を除きまして、これらは警察官をもつて充て、皇宮警察本部長は、皇宮護衛官をもつて充てる等現行通りであります。  第三章は、国家公安監理会に関する事項規定いたしております。国家公安監理会は、警察庁に所属せしめず、内閣総理大臣の所轄のもとに置かれ、その委員は五人、内閣総理大臣が国会の同意を得て任命し、その任期は五年とされておるのでありまして、任務としては、警察庁長官権限が公正に行われているかどうかの監視に当り、長官に対して、必要と認める勧告助言を行うものとされております。しこうして警察活動の公正を保障するその職責の重要性にかんがみ、形式的な資格制限を設けず、広く人格高潔で警察に対する公正な判断をなし得る者のうちから任命することとなつております。また、こうした任務の重要性から身分保障、服務、報酬その他の点につきましては、すべて従来の国家公安委員会に関する規定にならい、その権限地位ともに重きをなすものとされております。  第四章は、都道府県警察に関する事項規定しております。第一節は、総則といたしまして、都道府県警察の設置、責務及び経費について規定いたしております。従来の警察組織が大きくは国家地方警察自治体警察にわかれ、さらに自治体警察は多数の市町村にわかれ、そのために警察の効率を阻害されることが多かつたのみならず、国家地方警察地方自治の色彩に欠け、自治体警察国家的性格を欠除し、いずれも警察本来の性質に適合しない点にかんがみ、国家地方警察市町村警察ともにこれを廃止して新たに都道府県警察を置き、この都道府郡警察警察万般の責めに任ずるごとといたしたのであります。経費の点につきましては、都道府県において経費を負担するのが原則でありますが、警察事務のうちには一面に国家的性格を有するものが多々ありますので、都道府県警察に要する経費のうち、特に国家的警察活動と目される事務に要する経費及び国家公務員たる警視以上の階級にある警察官給与等については、国が支弁することとするとともに、そのほかの都道府県の負担する経費についても、国が政令の定めるところによつて、一部を負担するこことした次第であります。第二節は、都道府県公安委員会について規定しております。都道府県公安委員会は、各都道府県において警察に関する一切の責めに任ずる機関として、都道府県警察を全面的に管理する権限を有せしめることといたしました。その組織については新たに副知事一人と都道府県議会の議員のうちから議会で選挙された一人とを委員に加えて、知事及び県議会との連繋を緊密ならしめ、知事が都道府県議会の同意を得て任命する一般の委員三人と、計五人の構成といたしました。なお広く適任者を得やすからしめるため、一般の公安委員については資格制限を緩和し、制限は警察と検察の前歴に限ることとしました。その他の点につきましてはおおむね従来の都道府県会安委員会について規定されていたところと同様であります。第三節は、都道府県警察組織について規定しております。都には警視総監、道府県にはそれぞれ警察本部長が置かれ、都道府県会安委員会の管理のもとに、都道府県警察を指揮することとされておりますが、その任免については、警察庁長官国家公安監理会の意見を聞いて行うことといたしました。しかし、これに対して都道府県公安委員会は、常時警察庁長官国家公安監理会に対し、警視総監、または警察本部長の考課を具状し、罷免、懲戒を勧告し得ることとしたのであります。また北海道には道警察本部のもとに、その地域をわかつて五以内の方面本部を置くことといたしました。都道府県警察本部の部以上の組織警察署等機構等については、住民の意図をよく反映した組織をつくり得るものとするため、条例をもつて定めるものといたしました。また警察署のほかに、都及び数個の警察署を置く市の区域においては、数個の警察署を統轄し得る地区警察部を置き得る道を新たに開き、大都市における警察運営の適切を期し得ることといたしたのであります。都道府県警察職員警視総監または警察本部長公安委員会の意見を聞いて任免することとしましたが、公安委員会はこれらの職員についても考課を行い、または警視総監または警察本部長懲戒または罷免を勧告することができることといたしました。また、都道府県警察職員については、国家的性格をも有する警察事務の円滑な遂行をはかるため、警視以上の警察官国家公務員といたしましたが、それ以外の職員はすべて地方公務員といたしました。但しこれらの地方公務員たる職員についても、警察職務の特質上、国家公務員たる警察職員に準じて、一般の地方公務員に対する特例を設け得ることとしているのであります。  第四節は市に関する特例でありまして、人口七十万以上の市においては、これらの市が府県同様の規模を有する点にかんがみまして、もしそれらの市において市議が三分の二以上の多数により議決した場合においては、都道府県警察とまつたく同じ性格市警察を置くことができることとしたのであります。  第五章には警察職員に関する事項規定いたしております。現在国家地方警察自治体警察を合せ警察官定員の合計は、十三万二千を越えておりますが、この制度改革後の新たな定員を約一割三分を減じて十一万五千人といたしましたが、なお従来より一層、警察職務を果し得るものと確信しております。警察官階級については、現在の階級のほかに警視監という階級を一つ附加いたしましたが、この階級に当るべきものとしては、警察庁次長及び警視総監を予定しております。第五十五条から第五十八条までは、警察官職権行使についての規定であります。警察官は、本来その所属の都道府県警察管轄区域内で職権を行使すべきことを原則としますが、例外として、当該管轄区域内における職権行使に関連する場合、援助要求のあつた場合、現行犯人に関する場合、及び移動警察について関係都道府県公安委員会の協議が整つた場合には、それぞれの規定従つて職権を行使し得るように定めているのであります。また武器の携帯、皇宮護衛官被服装備品支給貸与等についても、この際それぞれ法律に明定する措置を講じた次第であります。  第六章は国家非常事態特別措置に関する事項規定いたしております。国定非常事態については、現行警察法規定をそのまま踏襲いたしました。但し、国務大臣をもつて充てる警察庁長官が置かれることとなりましたので、国家非常事態につきまして、その布告と廃止以外については、現行制度では内閣総理大臣権限とされているところを、警察庁長官権限に移しました。  第七章は、雑則として、検察官との関係警察間における管轄区域変更に伴う措置国有財産等無償使用等規定いたしております。  附則は、この法律施行について必要な事項を定めているのであります。第一項には、施行期日を公布の日から六箇月を越えない範囲内で政令で定めることといたしております。この法律施行による制度改正を円滑ならしめるためには、ある程度の準備期間を必要とすると考えますので、一応施行期日の目途を昭和二十八年十月一日と、し、状況によりそれより早く施行される場合をも考慮し、施行期日は、この法律の公布の日から六箇月以内において政令で定めることとしたのであります。第三項は、市警察の設置の手続について規定しているのでありまして、人口七十万以上の市がこの法律施行と同時に、この法律による市警察を持ち得るための手続は、この条項によるのであります。第四項から第六項までは最初の国家公安監理会委員の任命について、第八項及び第九項は最初の都道府県公安委員の任命について規定を設けたものであります。第七項、第十項及び第十一項は警察職員身分引継ぎについての経過規定であります。また第十二項は、現在の警察官定員がさきにも述べましたように、十三万二千を越えておりますので、逐次定員数まで減少するまで、当分の間は十一万五千人を越える人員を置き得ることとしたものであります。第十三項から第十九項までは、現在の国家地方警察及び自治体警察の廃止に伴い、これらの警察の用に供されていた国または市町村の財産を、新たにできる警察庁及び都道府県警察の用に供するために、あるいは譲渡したり、あるいは使用したりする財産処理の方途を講ずる必要がありますので、このため必要なる事項規定したものであります。第二十項から第二十二項までは、この法律施行なつた場合における休職または懲戒不利益処分に関する審査の請求、及び公務災害補償に関する経過措置について規定いたしております。第二十三項第二十五項までは、この法律施行なつた場合における昭和二十八年度中における特例措置について規定いたしております。すなわち、この法律による制度根本改正を、能率の低下や混乱を生ずることなく実施し、新制度への移行を円滑ならしめるため、昭和二十八年度中の特例措置として、この期間においては市町村公安委員会都道府県公安委員会下部機構として存続させ、都道府県警察に要する経費の支弁についても、従前の例によることとし、また職員の給与についても、従前適用法令等によることといたしたのであります。第二十六項から第三十二項までは、恩給法特例についての規定でありまして、この法律施行に伴う職員身分の変動にかかわらず、恩給法を適用または準用し、かつ在職期間を通算し得る規定を設けたものであります。また第三十三項及び第三十四項は、退職手当特例に関する規定でありまして、職員身分の変動に伴う在職期間についての通算の措置に関して規定したものであります。第三十五項及び第三十六項は、この法律施行に伴い必要とされる消防組織法及び恩給法改正についての規定であります。  以上法律案の主要な点につきまして概略を御説明申し上げた次第てあります。
  6. 青柳一郎

    青柳委員長 それでは、これより本案に対する質疑を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許します。田嶋好文君。
  7. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 私は衆議院の法務委員長という立場でおりますので、本日の私の質疑は、自由党所属委員質問というよりも、今日まで法務委員会がいろいろと警察制度について研究をなして参り、また調査もなして参りました点等を考えまして、ある程度委員会の意向というものを含めた質問になりますことを、あらかじめ御承知おきの上、お答えを願いたいと思うのであります。  日本の警察制度が新しく今日のように生れて参りましたのは、敗戦の結果だということにもなろうと思うのでございますが、しかし、戦前の警察、戦時中の警察をわれわれがつまびらかにいたしますときに、そこには確かに警察国家的な色彩を帯び、警察フアツシヨ化のおそれのあることは、認めなければならないと思うものでございます。その意味からいたしまして、戦いに破れた結果の国の構成という意味ばかりではなくして、民主化をたどらなければならない、民主国家をたどらなければならない必然の結果として、今日の警察制度が生れたのではないか、民主警察制度が生れたのではないかと、私たちはこの制度自体を肯定するものであります。しかしながらこの肯定の上に立つて、今日までわれわれがいろいろと具体的に起きた事案を通じて警察制度を検討してみますときに、そうした民主的要求に応じてつくられました警察制度の中にいろいろの欠陥を見出し、その欠陥から当然改正されなければならぬ点等を見出されて参つたことも与党、野党を問わずしてひとしく私は一致した点じやないかと考えておるのであります。  まず第一に、私たちが今日の警察制度で一番なげかわしく思いましたことは、われわれ国会は憲法において国の最高機関として認められております以上は、いかなる国の機関といえども、われわれ国会に対して責任をとるべきことが当然の国家要求であり、これは責務ではないかと考えておるのであります。ところがひとり今日の警察制度におきましては、地方自治体警察等を見ますときに、この警察制度から直接不法原因が生れましても、われわれ国会に対して何らの責任をとるべき機関がない。国家自体責任を追究することができないというまことに矛盾した現象が、ここに生れておつたのでございます。これはぜひとも国家構成の上から警察法において第一に是正をされなければならぬと、与野党を問わずひとしく考えておつた点ではないか。その点に今回の警察制度が目をつけられまして、そこに一貫性を立てようとしたことに対しては、われわれは敬意の一端を払わなければならぬ、こういうふうに考えております。また過ぐるメーデー事件その他を通じて見まして、警察制度の中でわれわれが一番不安に考えますことは、国家を維持して行く上において、治安確保の点から見て、現在の警察制度が当を得ておつたかどうかという点でございます。国家に対する責任機関がないといたしますならば、その結果から当然生れるべき結論でございまして、国家治安の上からしましては、それは現在の警察制度は芳ばしきものでなかつたということは、これまた肯定せられなければならぬと思うのでございます。その点に対して、今度の警察法がいち早く目をつけられまして、制度的に改革しようといたしておる点も、私たちは与野党を問わず異論のない点ではないか、こう我田引水ではなくして、考えております。しなしながらこうした今日の警察制度欠陥矛盾というものによつて警察民主化の基本原理、民主国家建設の基本原理というものが阻害されるものでないことはもちろんでございます。その線はどこまでも維持をせられて行かなければならぬものであります。してみれば今回の警察法改正が、今申しましたような欠陥に目をつけて、その改正に向つておることには敬意を払うのでございますが、その改正というものは、民主警察制度の基本理念をくずすものではないといたしますならば、その改正民主警察制度の上に立つて考えますときは、最小限度の改正でなければならぬ、最小限度の要求でなければならぬということを私は申し上げたいのであります。はたして今回の警察法改正が、そうした最小限度の要求を満たしておるものであるかどうか。最小限度以上の要求をいれて、民主化警察に逆行するような警察法改正であるといたしますれば、私たち国会といたしましては、この点は、ぜひとも是正してもらわなければならぬというふうに思うのであります。従いまして、私はまず第一に今回の改正が今申し上げましたように、最小限度の要求によつてつくられておる改正案であるかどうか、それとも民主化に逆行するような線があるのではないかという点について、責任大臣から御答弁を承りたいと思うのであります。
  8. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。田嶋委員の御指摘の点でございますが、私ども今度の改正案を事前審議を内閣でいたしました折に一番考えましたのは、時の政府のあごでもつて自由に全警察を政治的に動かせるというようなことになつてはいけない、たいへんなことである。同時に先ほど御指摘になりましたが、国会に対して責任の所在をもう少しはつきりしなければならないのではないか。現在の国家公安委員会というものは、なるほど政府が全警察をあごで使えない抑制機関としてなかなか美点があるのでありまして、国家公安委員会はロボットだとか何とかいう人がありますが、私はその抑制の作用というものは、相当大きく評価している一人でございます。昨年のメーデーその他の大事件のあとで、問題になつたことは御承知の通りでありますが、だれが責任を負うか、国家公安委員長が負うといえば負うのでありますが、これは時の政府の一員ではない。それでは警察長官任命するのに、同意を与えた限りにおいては、内閣総理大臣責任があるのでありますが、一地方の事件とか、東京における事件であつても、国家的大破綻を来した事件でないのに、総理大臣に一々責任を負えというのは、どうも話が大げさ過ぎる。それでは担当大臣はどうか、現在私が勤めております地位でありますか、これは相当大臣といつても、総理大臣の代行として、はつきりした根拠を持つて担当しているのではないのでありまして、予算をお願いしたり、その他のことを引受けている大臣というのでありまして、責任明確化という精神から言うと、まことに中途はんぱなものでございます。そこで今後来るべき事態には——よく申し上げますことですが、同時多発的な不祥事件が破壊活動の面から起り得る場合に、責任国会に持つということをはつきりしようではないかというのが、今回御審議を願つております改正案の重点の一つであります。国務大臣をもつて警察長官に充てるという考え方でございます。これは無条件で容認しますと、とんだ警察国家になりますので、中央から地方に命令できる範囲を、警察法の第六条第二項に限定いたしたわけでございます。もつとも地方行政委員会のいろいろの委員の方の御質疑によりまして、これがまだどうにもはつきりしないで、無限大に広がるおそれがあるという御意見もあります。その御心配は一応ごもつともでございますから、政府としましては、それらの御心配を尊重いたしまして第六条第二項の中央警察庁が地方に指揮命令できる事項は、できるだけ詳しく明確に御説明いたしまして、議事録に残して、みずから地方に指揮命令できる幅を縛られたい、こういう考えを持つておるのでございます。  次に御指摘になりました治安確保の面でございますが、私どもの説明の不十分もあろうかと思いますが、ときどき誤解がございます。私どもは今の自治体警察が決してだらしがないとか、ためだ、そういうことばかりを言つているのではないのでありまして、自治体警察もなかなかよく努めるが、いかんせん警察という仕事の性質上、命令が二本建になつていては、なかなかとつさの場合の大事件処理ができないことにたびたび申し上げるように、日本人はいろいろ美点がございますが、命令が二つのところから出て、しかも似たような仕事をする場合が一番うまく行かない。幾多の美点があるにかかわらず、これが一番日本人に向かないやり方である。これは私の信念でありまして、その民族の本性に向かない点は改めなければならぬのじやないかということで、今度組織の一本化をはかつたのであります。しかし国家警察一本に、はかつてはこれまたたいへんでございますので、先ほど申し上げましたように、従来の国警は、国家的性格が強過ぎて自治体の美点がやや乏しい。自治体警察は完全な自治に過ぎて国家的性格がやや乏しい。これを全部白紙に返しまして、府県警察という精神を盛つたのでございますが、府県警察はどういう警察かというと、自治体たる府県の機関でありまして、知事が道府県の議会に諮つて任命した道府県公安委員会の管理のもとに、警察長が入つてしまうわけであります。御承知のように、大体地方の強盗事件、殺人事件あるいはその他の軽犯罪、交通事故なんというものは、これは何も国家がさんずしないでいいのでありまして、できるだけ地方のいわゆるおまわりさんにまかせて、そしてやさしい親切な警察の手でやつてもらう、それだけでいいじやないかという御議論があるのでありますが、そこが私どもと御意見の違いでありまして、そういう自治警察だけでは割切れない事件が発生し得る、これは世界情勢のしからしむるところでありまして、破壊活動に対して対処しなければならない。それはどうしても国家という高い、広い見地から、Aの県に起つた事件がBに移りやすい、あるいはCが同時に起る危険があるという場合に、一歩広い目から指揮命令できるだけの余地をつくつておかなければ、今後の警察としては、うまく行かないのじやないか、この点が非常に御議論の的になつておるのでありまして、それは国家的性格が強過ぎるという御議論と、私どものように、これは最小限度やむを得ないという議論が、地方行政委員会の御議論の重点になつておりますので、十分御批判を仰ぎたいと思います。
  9. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 ただいまの大臣の御説明によりまして意のあるところをくみとることができましたし、私たちの考えておりますことと、大臣の考えております点が、まつたく趣旨において一致をいたしておりますことを喜ぶものであります。しかしそれだからといつて法案内容自体をつまびらかにいたしますときに、大臣の御答弁の御趣旨によつてつくられたといたしますれば、大いに矛盾を感ずるような点が多々あるのでありまして、私はただいまその内容について大臣に質疑を重ねて参りたいと思います。もしもその趣旨を貫くために、この内容におきましていささかでもその趣旨に反する点がありましたならば、民主警察を養成し、民主国家をつくつて行かなければならぬという国民的念願から、修正の点を特に地方行政委員会においてもお考えくださいますようお願いをいたしておきます。  警察法の第一条は、まことにごもつともな御趣旨でございまして、私たちの考えておりますことを規定いたしておるようであります。特に「公共の安全と秩序と保持するため、民主的理念を基調とする効率的な警察」これは忘れてはならないことでございまして、これをうたつていただいておることに、満腔の同意を表するものでありますが、私は、この第二条と第六条の関係が第一条の趣旨にかなうかどうかという意味におきまして、質問を申し上げてみたいと思います。第二条には、警察責務ということが規定されておるのでございまして、これは当然な規定だと考えるのであります。ところが第六条に参りますと、「警察庁は、国の治安確保の責に任じ、及び警察行政における調整を図ることを任務とする。」こういうことが書かれております。第二条は、警察職務として書かれておるのでありますが、この職務の中には、治安確保責務ということは何らうたつておりません。にかかわらず、第六条にもつて行きまして、特に「国の治安確保の責に任じ」ということをうたつたのはいかなる理由によるものでしようか。これも第二条の責務にうたうべきものを第六条に持つてつたのではないか。ここらあたりに臭い点があるんじやないかというような疑いをはさまれる文字でございまして、私はあえてこれを意地悪く解釈するものではないのでありますが、今度の警察法改正が誤解を生んでおる点は、ここらにもあるんではないかと考えるのでありますが、この御説明を願いたいと思うのであります。
  10. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 かわつてお答えを申し上げます、  第六条で「治安確保」と申しておりますのは、警察の行います第二条の個個の事項のうちで、国の治安確保という観点についてのみ責任を持つというような趣旨で立案をいたしたのでありまして、第二条には、生命、身体、財産の保護でありますとか、犯罪の予防、鎮圧、捜査、あるいは第五号に、その他「公共の安全と秩序の保持」というのがございますが、これは個々の警察の行う事項の作用を書いたのでございまするが、この個々の警察の作用を行いまする場合に、国の治安が非常に乱れるという場合に、警察庁長官といたしましては、府県警察に対して指揮監督をする。いわゆる第二条の各項目についてすべて責任を持つのではなくて、第二条の事柄は、警察万般がやるわけでありますけれども、しかし普通の状態においては都道府県警察を指揮監督はしないんだ、しかし治安確保という見地からのみ指揮監督をする、かように制限をいたしたつもりであるのでありまして、第二条の範疇を離れて、あるいはこれとは別個にさような権限を第六条に書いたのでは毛頭ございませんので御了承願いたいと思います。
  11. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 趣旨はわかりましたが、日本の国の治安確保には、ここにできます警察庁以外に保安庁がございます。検察庁もあるのであります。従つて国の治安確保責め警察庁だけが負うべきものではございません。してみると、特に「国の治安確保の責に任じ、」というのは、あなたの御説明通りにいたしましても、何だか警察庁だけが国の治安確保責めに任ずる、ほかはどうでもよろしいのだということになつては、事はたいへんでございます。そうして私がさきにお尋ねをしましたように、職務の点からいたしましても、これまたどうも誤解を招く文字でございまして、この文字をここに用いるのは不必要じやないか、それを用いなくても目的は達するのではないか、こういうふうに考えておりますので、後刻この点を御検討をいただきたいと思うのであります。  次に第六条の二項の一でございますが、「左に掲げる事案で国の治安に係るものについての警察運営に関すること。」と書いてあります。この警察運営という言葉がわからないのでございますが、今まで警察法を見てみまして、今までの警察法には警察運営という言葉は一つも使われていない。これは今度の警察法改正にあたつて初めて用いられた文字のように考えられるのでありまして、初めて用いられる文字であれば、なおさらここでやはり疑問を解消しておかなくちやならぬと思うのでございますが、一体この警察運営というのはどういう意味でございましようか、これをひとつ承りたいと思います。
  12. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 これは現行法にも使つておりまするように、警察の作用を、いわゆる行政面の管理と運営面の管理、かように大体二つにわけておるのでありまして、ここに使つておりまする運営は、いわゆる警察運営、普通の人事とかあるいは予算とか、また一般警察行政というのではなくて、警察自身のオペレーシヨンという趣旨でございます。
  13. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 そうすると警察運営の中には、犯罪捜査とか犯罪捜査に関する指揮とかいうものは含まれないのですか、含まれるのでございますか。
  14. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 犯罪捜査それ自身はこれに含んでおります。運営はその趣旨でございます。
  15. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 そういたしますとここに非常に問題になるのでございますが、犯罪捜査警察運営の中に含まれるといたしますと、第六条の「国の治安確保の責」ということが問題になつて参ります。国家治安確保責めに任じて警察運営をやるのでございますから、その国家治安確保のための犯罪捜査までも警察庁がやる、その指揮までもやるということになりますと、これは地方警察の末端に至るまで、いかなる犯罪でも国家治安に関係があるとすれば、その中に含まれるわけでありまして、すべての犯罪がやはり警察庁に包含される、そして自治体警察というものは名のみであつて、実際は国家が全部やつてしまうのだというような非難がおのずから生れるおそれがあるのであります。私はこれはゆゆしき問題だと思うのでございますが、この点に対するお考えはいかようになつておりますか。
  16. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 それでありまするから、特にこの警察運営につきましては、第一号のイからハまでの三項目に限つて、しかもそれが国の治安に直接関係を持つというものでなければ、運営についての指揮監督はしない、かようにいたしておるのであります。  なおおそらく御質問があると存じまするが、先ほど大臣が提案理由の御説明の中にも申されました通り、捜査につきましても個々の犯罪の指揮は含まない、かように解釈をいたしておるのでございます。
  17. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 それはまたあとで質問いたしますが、そうするとここにまた問題が起きて来るのであります。第二項の五に、「警察職員の勤務及び活動の基準に関するごと」。という規定があります。この活動の基準は犯罪捜査に対する基準等も定めるのでございますか、定めないのでございますか。
  18. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 準則的な基準はこれによつて定めることができると考えております。
  19. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 犯罪捜査に対する基準を定めるといたしますと、やはり私は、この「警察運営」ということと、「国の治安確保の責に任じ、」ということを相当深く考えてもらいませんと、ここに一つの心配が起つて来ると思うのであります。今回の警察法は、大臣が答弁されましたように、最小限度の国家要求に応じてつくられるものであり、それは国家治安確保の最小限度の要求に応ずるものであつて、自治体の自治の精神をこわすものでないといたしますれば、この点に対しては相当御考慮を賜わりませんと、趣旨はそうでありましても、結果においてはやはり自治の精神をこわすことになり、末端警察までも警察庁が干渉を与える結果になるおそれが多分に含まれておると思うのであります。この点はもうこれ以上お聞きいたしませんが、ぜひともそうした逆行の線が生れないように、改正の必要があるといたしますれば、お考えおきを願いたいと思うのであります。  第五の犯罪捜査に対する基準をきめてもいいということになりますと、刑事訴訟法第百九十三条の第一項との関係はどういうように御調整になるお考えでありますか、この点を承つておきたいと思います。
  20. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 刑事訴訟法警察との関係は、これは両者競合いたしますというか、そういうところは、警察と検察との関係は、別に法律で定めるとありますので、刑事訴訟法が優先して適用される、かように考えております。
  21. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 犯罪捜査と申しましても、犯罪捜査をしてそれで終るわけではないのでありまして、結局は裁判をしてもらうためということが前提にならなければならないと思うのであります。してみると、私はその裁判の前提になる公訴ということが、検察庁の手によつて行われるといたしますれば、この活動の基準の中に、犯罪捜査に関する基準の規定をするといたしますと、これはよほど意見調整の必要があるのではないか、こういうように考えますが、いかなる意見の御調整をここでお考えになつておられましようか、その点を伺つておきます。
  22. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 お説のように、犯罪の捜査は公訴の提起、維持と密接に関係がありますから、いわゆる刑事訴訟法の百九十三条の一般的指示というものと、密接に連絡がなければならぬと思います。ただいまも申しましたように、百九十三条の一般的指示がありますならばその方が優先をいたすのであります。しかしながら一般的指示がありませんでも、われわれ警察活動としてやります犯罪捜査の基準を定めます場合にも、公訴の維持に支障があつては、もちろんいけないと存じますので、本法においても警察庁長官と検事総長は緊密な連絡をとらなければならないと雑則に規定いたしております。さような際には事前に十分お打合せができるものと考えております。もちろん犯罪捜査の捜査活動の基準につきましては、公訴の維持に直接関係のないものも相当多いと思います。捜査が能率的であり、またこれは人権擁護の見地に従つて行わなければなりませんので、公訴の維持に関係がありませんでも、警察自身の見地から捜査の適正ということが必要といたされるのであります。従いまして刑事訴訟法の百九十三条の一般的指示と関係のないものは、独立してこちらで基準が定められる、かように考えるのであります。しかし前に申しました通り公訴の維持との関係上雑則で規定をいたしておりますが、第六十八条の第二項にも「長官は、検事総長と常に緊密な連絡を保つ」ということを規定をいたしましたのも、かような場合を考慮いたした規定であります。
  23. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 御趣旨は大分わかりますが、今度刑事訴訟法改正の中に、この規定に関連したと思われるような改正案が盛られております。それは、逮捕状を出す場合に検察官の同意を要するという規定が盛られておる。本日の合同審査委員会でもそれが問題になると思うのでありますが、犯罪捜査に関する基準が、この活動基準の中で定められるといたしますならば、やはり刑事訴訟法の百九十三条と同じような趣旨を規定されておりますこの規定との間には、ぜひとも意見調整せられて後でなければならぬ、こう考えますときに、この規定がある以上は、刑事訴訟法の逮捕状に対する検察官の警察官に対する同意規定、これは当然必要になつて来るのじやないか、こういうことにおいてこれが調整されるのじやないかとも考えておるのでありますが、この点はいかようにお考えになつていられましようか。
  24. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 先ほども申しますように、刑事訴訟法の百九十三条の「一般的指示」というものは、これは捜査について優先をするものと考えておりまするから、従つて百九十三条によりまして今度の改正による指示がなされるという場合には、警察法で定めました基準よりも刑事訴訟法で定めた指示の方が優先をするということになるのでありまするが、しかし公訴維持の面から見て必要であるということと、犯罪の捜査それ自身の能率を上げること、あるいは警察の人権擁護という見地等とも、やはり調整をされなければなりませんから、刑事訴訟法百九十三条の指示が出される場合におきましても、やはり警察との間に緊密な連絡を行つて、しかる後において出されるものと了解をいたしておるのであります。こちらが基準を定めまする際にも、向うと十分な緊密を保つ、この関係は、私は、両者どちらも緊密にし合わなければいけない問題だと考えておるのであります。
  25. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 この点に対して私はどうもまだ納得することができないのですが、これは必ず、警察活動、捜査に関する基準活動と刑事訴訟法の百九十三条とはかち合うことになると思うのです。してみれば、この関係の調整ということは、絶対必要になつて参ると思うのでございますから、この点も、私はこれ以上申し上げませんが、研究の余地がある問題として、ぜひ御研究願いたいと思うのであります。承るところによりますと、閣議の了解事項として、第六条の権限には、犯罪捜査の具体的な指揮は含まないことにするというような了解事項があるとか申しますが、この点は、犬養大臣、いかがになつておるのでございましようか。
  26. 犬養健

    犬養国務大臣 個々の犯罪捜査は含まないという了解をいたしております。
  27. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 閣議の了解事項があれば、それで両方がかち合うといたしましても、うまく調整できるかもしれませんが、閣議の了解事項だけで——まあ内閣がかわるかもしれませんし、今日解散になるかもわからないというこんな現状でございますので、それを一体どこまで信用していいかということになると、私たちは不安になつて参るのでありまして、その点は閣議の了解事項だけで行くのかどうか。それとも明確な規定を必要とするのではないかということも考えられますので、しいてこれ以上申し上げませんが、これは必ずかち合う問題でございますから、私はこの点の改正については十分の御注意を御考慮を願いたいと思うのであります。  次はやはり同じ犯罪捜査関係になりますが、第十二条の規定であります。第十二条によりますと、刑事部所管事務として、警察庁の中に刑事部というものを設けることになつておるようでございますが、一体この警察庁というのは、直接犯罪の捜査、犯罪の指揮—まあ指揮は別として、捜査をやるものでございますか、やらないものでございますか。
  28. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 これは犯罪の直接の捜査はいたしません。現在の国家地方警察本部におきましても、刑事部というのがあるのでございまするが、もちろん現在においては権限がありませんからやらないのは当然であります。現在の国家公安委員会事務局におきましても、刑事部というのがありまして、刑事に関する一般行政管理に関するような事柄をやつておるのであります。これもそれと同様でございます。
  29. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 そこが私は大切なところだと思うのでございますが、私は、今度の警察法改正に対して、これは私の考え間違いじやないと思うのですが、与党といえども野党といえども、ある程度の改正ということは結局認めているのじやないか、必要だということを認めているのじやないか。それをあえて野党が特に反対の意見を述べるというのは、やはり政府にも多少責任があるのじやないかと思うのです。と申しますのは、今の刑事部の問題ですが、警察庁というものは、直接犯罪の捜査をしたり、犯罪の指揮をしたりするようなこと——指揮は別として、捜査をすることがないのにかかわらず、やはり、警察庁をつくつて国家警察にして、末端警察まで監督して、犯罪の捜査まで指揮命令してやる、これが非常に世間では不安の原因になつておりますし、それがやはり反対論の宣伝の一つの材料になつておることは認めざるを得ないと思うのです。刑事部なんていうことになりますと、刑事部というものは犯罪を捜査するところなんです。犯罪を捜査しないのにかかわらず、わざわざ国民を刺激するような刑事部というような言葉を使つて、しないのにするような形を、ここに整えるということ自体が私はおかしいじやないかと思う。むしろ、ほんとうにしないならば、やはり文字、言葉というものをかえて、そうしないんだ、そんな心配はないんだということを、国民に徹底させた方が、私は、やはり立法の趣旨であり、国民の望むところではないかと思うのであります。刑事部という言葉は、そうした犯罪捜査をするのでないといたしますならば、いかにも刺激する言葉であり、適切でないと思うのでありますが、この点どうお考えになりますか。
  30. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 これは御意見の次第もございますが、ただいまも申し上げますように、現行の警察法では、国家公安委員会は行政管理のみを行うとなつておりますが、その事務部局におきましてさえも、現行法刑事部という部を認めておるのであります。また法務省におかれても、刑事局というのがあるわけであります。法務省の刑事局も、あそこで犯罪の捜査も指揮もいたされませんで、ただ刑事に関する一般事務をお扱いになる。さようでございますから、この法律において初めて刑事部という部を設けるならば格別、従前からあるものを、そのまま引継いでいるので、他の犯罪捜査をしない法務省においても、刑事局という言葉を使われておるというのでありますから、この点は御理解が願えるのじやないかと考えておるのであります。
  31. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 従来あるからこれを踏襲するということだけでは、国民の誤解を解いたり、立法の趣旨には沿わないのであります。従来あつたものがまずいといたしますれば、かえつていいものであるといたしますれば、従来あつたからということで、固執しないで、誤解を解くために、ぜひともこの点は御研究願いたい。私どもは従来のもので満足いたしておりません。これは適当でないと考えております。ぜひとも御研究を願つて改正すべき点は、言葉の上のことでございますから、御改正を願い、ほんとうに誤解のないように、国民に知らしていただきたいと思うのであります。  次は、第十八条に移ります。第十八条には、地方警備局規定されておるのでありますが、地方警備局というのは、大分内容もかわつて参つたようでありますが、一体これは従来の管区と、どのような差があるのでございましようか、この点を具体的に御説明願います。
  32. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 性格から申くますと、従来の管区は、本部のやつております事柄を、さらに各管区にわかれた区域においてやるというので、その職能はほとんど本部にある職能を小さくしたものであつたのであります。従つてその中には、一般の人事に関する監督も、あるいは予算、会計、国家地方警察の府県の予算、会計、そういうものも扱つてつたのでございますが、このたびは行政簡素化の趣旨も考えまして、そういつたいわゆる中間的な役割というものを、管区から全部はずしてしまいまして、どうしても数府県統轄して行わなければならないという業務だけに限つたのであります。従いまして部局といたしましても、ただいまは総務部、警務部、警備部、刑事部、通信部の五部があつたのでありますが、そのうち警務部と刑事部、この二部をなくして三部といたし、もつぱら警備関係すなわち警察庁長官運営について指揮監督をいたします国家的な事件で、国の治安に直接関係があるという事件、あとは一般連絡通信及び従来の管区学校は、教養上もまた警備的観点からも必要でありますから、これを附置するというにとどめたのであります。
  33. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 よく御趣旨はわかるのであります。今お言葉の中に、やはり連絡というようなことがありました。警察庁のつかさどる犯罪に対しては、指揮監督ができるというようなことでございますが、連絡ということになりますと、やはりこれは上下の関係になりますので、これを利用することによつて犯罪捜査の指揮監督というようなことも、実際上は行われるおそれがあるのではないか。
  34. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 中央におきましては、一般犯罪の指揮監督はいたしませんから、当然ないと考えます。また行えば違法になります。
  35. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 犯罪捜査の指揮監督をすれば違法になる、そうするとその違法は、何によつて是正されるのでありますか。
  36. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 これは一般権限のないことをやつたということでありますから、場合によれば職権の濫用ということにもなりましようから、政治的に国会その他でも糾弾されると考えます。
  37. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 次に地方警備局の所在地でございますが、この表を見ますと、仙台、東京、大阪、広島、福岡となつておりまして、先ほど齋藤長官のお答えになりましたように、検察事務警察事務は密接なる関係を保つて行かなければならぬ、そのためには六十八条に規定まで設けてその趣旨を示しておるということでございましたが、そうするとこの表から見ると、その趣旨に沿わないようなことになるような心配が生れます。と申しますのは、名古屋には検察庁がございます。長官を置いて——四国にも高松に検察庁がございます。北海道は特別の警察が設けられるようでございますから、これは別といたしまして、名古屋に管区を置かない、高松に管区を置かないということになると、あすこの調整というものは、非常にむずかしくなつて来る、一つの管区で二つの高等検察庁の長官との間に話合いを進めなければいかぬということで、非常に事務的に複雑になるし、この法の制定の趣旨にも沿わないような考えが起るのでございますが、この点はどういうように調整されますか。
  38. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 これは打明けて申しますと、現行法のつくられます際にも、やはり田嶋委員のただいまお述べになりました通り理由によりまして、名古屋及び四国にぜひほしいという意見であつたのでありますが、当時の関係筋としましては、それは許されなかつたという経過があるのであります。今日は自由でありますから、必要に応じてさようなことが十分できるわけでありますので、われわれ事務当局といたしましては要望はいたしておるのでありますが、しかし何分、二つの管区を設けるということは、相当国費も要することでありますので、今後適当な機会を見て、さように実現をお願いをいたしたいと考えております。この際は、とりあえず行政簡素化の際でもありますし、現状を踏襲いたしまして、適当な機会にかような御意見に沿うようにいたしたいと、われわれは考えておる次第であります。
  39. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 適当な機会といいますと、なかなかそれは適当な機会をつかめるものではないのでありまして、その必要性を認めておりますなれば、予算の点も大したこともないようでございますから、最も必要な機関ということを認める以上は、ぜひこういう制度を、今日この場合において設立されんことを希望いたしておきます。  次は三十二条に移ります。都道府県公安委員会でございますが、従来の都道府県公安委員会というものは、御承知でもございましようが、実は名目的なものであつたようにわれわれは考えております。警察の管理等につきましても、実際は、都道府県公安委員会が法規の上では持つておりながら、事実は警察長に一任したというような形でございまして、公安委員会というものは、ほんとうに名目的なものであつたのであります。この名目的公安委員会を、今回の改正によつて、一体どのように防止して行く対策をお考えでございましようか。これが従来通りの名目的なものであるといたしますと、今回の改正の趣旨とはまつたく違つたものが出て参ります。警察長は大臣がこれを任命する。そうして警視までは国家公務員にする、しかも公安委員会は従来通り警察長に一任して進むということになると、自治体警察を認めた趣旨は何ら盛られてないことになるので、非難されておるような国家警察一本というような形が生れて来るのであります。この点私は非常に重大なことだと思いますが、防止策はいかようにお考えになつておりますか。法規の上にどういうように現われておりますか。
  40. 犬養健

    犬養国務大臣 この点は特に重要な点でございますから、私からお答えをし、足らざるところは政府委員からお答えをさせます。まつたくお話の通りでありまして、県の公安委員会警察に対して煙い後見役になりませんことには、非常にあぶない組織になります。ただそう言つても言葉の上だけになりますので、御承知と存じますが、今回は府県の公安委員会運営全般を扱いまして、しかもふだん警察長並びに警察官の点数をつけて、考課表をつくりまして、中央に具申する、罷免懲戒勧告権を与える。これは有名無実にしないで、まかり間違つたら、罷免懲戒の恥をかくという運用を、輿論にもよつてぜひ高めたい、こういうことを衷心から考えております。従来私も伺つております。公安委員会というものは、まるでロボツトだ、ときどきあとで検査のようなことをするというようなお話を伺いますが、今度の法律改正によつて、道府県の公安委員会は、まことに煙い監視役であり、監督役であることになりますよう、政府は衷心から希望している次第でございます。
  41. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 大臣の御答弁、了承するにやぶさかではございません、それであつてほしいのでございます。ところが従来名目的なものであることが、当然認められておつたものが、単に点数とかなんとかいうことで、督励しなければならぬことになりますと、なかなか名目を実質にかえることはむずかしいと私たちは考えざるを得ないのでございます。またそういう心配のもとに、無理にこの法案をつくつて参りましても、その運営上もいかがかと思うのでございます。むしろこの際一歩しりぞきまして、公安委員会というような従来名目的であつたものに多くを期待せずに、やはり民主警察の線を通しながら、国の治安を守り、りつぱな制度をつくるというお考えに到達してもらいますことが、私たちはやはり望ましい線じやないかと思う。その線から考えますと、やはり警察長任免国家が握る、それから警視以上の者を国家公務員にするというようなことではなくして、期待できないものは期待できないとして、将来のことにお考えを願いまして、今回の場合はやはり警察長都道府県公安委員会の線にまかせる、そして議論のある警視以上の国家公務員は、やはり地方公務員の線に入れるというようなすつきりした線をつくつて、自治体の精神を十分生かして、なおこの法の精神も生かすということにした方が、この法案構成の上において望ましいのじやないかという考えを持つのでございます。しかしこれはあえて大臣の答弁を求めるものではないのでございますが、どうかこれらの点におきまして十分な御考慮を賜わりまして、間違いのない警察制度がつくられますことを、ひとえに私はお願いをいたしておく次第でございます
  42. 犬養健

    犬養国務大臣 別に答弁はいらぬというお話でございますが、これは大事なところでございますので、意のあるところを申し上げたいと存じます。公安委員会については、たいへんあつさりおあきらめくださつたのでありますが、私どもとしましては、あくまでも名実ともに煙たい監視役であり、いつ何どきでもふらちがあつたら、罷免懲戒の勧告をされるという、苦い人だという作用を、ぜひとも実現さしていただきたいと思うのであります。やはり大きな組織になりますと、煙い抑制の方法がありませんと、われわれは欠点の多い人間てございますから——そういうものがあると、みずから慎むという作用が起りますので、私は田嶋委員の御好意あるいろいろなお話でございましたが、どうもこれは執着するのでありまして、公安委員会は最大の煙い作用を発動してもらいたいという念願を持つておるのであります。  それからもう一つ、警察長のことで任命の方法でございますが、これは地方行政委員会でも、非常に議論のあつたことでありまして、おそらく議論の最大の重点の一つだと思うのであります。なぜ中央の方から任命をするようにしたかという政府の意のあるところを、御説明申し上げたいと思うのであります。ただいま申し上げましたように、どうも同時多発的な破壊活動があり得る、こういう認定を持つておりまして、たとえば、いろいろな県から文書を手に入れてみますと、電源のダムであるとか、工場であるとか、極端な場合は警察署まで目標にされておるようなことが看取されます。また米軍の兵力、保安隊の兵力、警察の力というものを目標にして、それに対抗できるような破壊活動の分子の人数までも、相対的な表にしておるものもあるのでありまして、そういう大がかりな数県にわたる破壊活動の可能性というものを認識いたしまして、なるべく府県の人に警察長を選ばせる方が、われらの警察ということになつてよいのでありまするが、そうしますと、人材を選ぶ眼界が狭くなるので、任命はそういう広い立場から任命しよう。しかし中央でも誤りがあるといけないから、それは罷免勧告権でもつて、たいへん府県になじまないふらちな者が警察長として行つた場合には、府県の意思によつてやめさせてもらう、罷免してそれをこちらが受ける、そういう一つの抑制法を選んだわけであります。これはひとつ十分御審議を願いたいと存じます。
  43. 田嶋好文

    田嶋法務委員長 今の御答弁がありましたので、もう一度申し上げなければならぬことになりました。同時多発的な犯罪があるので、その必要性が特に叫ばれ、今回のこうした改正なつたということでございますが、この趣旨は私もよくわかりますが、同時多発性の犯罪等の必要性から、警視総監警察本部長任免国家が握るということは、これは世の中の、国家警察をつくり、民主化警察を否定するという非難に対して答えるには、どうも薄弱になつて来るのじやないか。その点を通すためには、まだ他に方法もございましよう。任免権を握らなくとも、簡単に罷免権を持たせればいいと思う。要するにそうした犯罪に対して、それらの人が従わないときには、罷免するという消極的な立場で行つて、十分目的が達せられるのであります。任免するということになりますと、どうしても任免によつてすべて統括する。そして指揮命令を握つてしまうという点が強く出るのであります。結局世の中の人の非難が正当化されるようなことになつて参りますので、大臣の御答弁の趣旨からいたしますれば、任免権よりも、むしろ罷免権の方にかえた方が、より効果的じやないか、私はこう考えるのであります。これは私の意見として御参考に願いますれば、まことにありがたいと思います。従つて私はその意味から行きまして、都道府県警察の中で、国家公務員地方公務員をわけた線がどうもすつきりしない。これに対して国民が納得しない点があり、誤解を受ける点があると思う。特に今日の日本の状況としては、政治的にも経済的にも、すべての点においてこんとんたるときであるし、やはりそうしたときにおける政治というものは、ある程度すつきりした線を出しませんと、国民の誤解を招きまして、くだらぬところでくだらぬ宣伝に乗つて、国の政治が誤解されて曲つてしまうということを非常に心配するのであります。たとえばすつきりしない線があるために、共産党あたりがこの警察法改正に対して非難を浴びせる、そうしてその非難が何だか国家警察をつくるようなことに——私はあえて社会党の左派とは申しませんが、共産党あたりが大いに騒いで、そうしてすつきりした必要性がある警察までも否定されて、国民がその宣伝に乗つて誤解を生んで、くだらぬところで政治がじやまされ、くだらぬところで日本の産業経済がこわれて行くということをおそれるものでありまして、やはりこうした重大な立法につきましては、すつきりした線をつくることが必要であるし、また国民も要求をしておる点ではないかと思います。  これらの点を要望いたしまして、私の質問を終ります。
  44. 青柳一郎

    青柳委員長 休憩いたします。午後は二時より再開いたします。     午後零時五十二分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕