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斎藤(昇)
政府委員 先ほど
森田委員から、向うの装備であるとか、あるいは軍隊的な訓練をどんなにや
つているとか、あるいはどういう武器を使用しようとしておるかという点を、もう少し詳しく
説明するようにというお尋ねでございましたが、まず彼ら革命勢力が現在考えておりまする武器の点について申し上げますが、これはいろいろな向うの文書その他から考えまして言い得ます事柄は、一般的にはその武器というものは、何でも武器に使え、農家の持
つているすき、くわでもあるいは竹やりでも、そうい
つた自分でくふうのできるものは何でもあるから、それを存分に使うように訓練せよということが
一つ。それから武器を持
つているところは駐留軍、予備隊、保安隊、
警察である。これらの武器を、そのときになれば奪え、そして自分のものとしてこれを使え、ふだんからそういう高度の武器は必ずしも持
つていなくてもよろしいのだ、ただその使用
方法を十分会得しておく必要がある。かような
意味から、昨年の夏ごろも保安隊の持
つておりますブローニング機関銃の図解図を下部にずつと流して、分解、使用
方法を詳しく図解図で示しております
事例があります。ピストルの操法というものにつきましても、ひそかに集ま
つてその操法を会得するような講習会をや
つたという、現実にわれわれの知
つておる例もたくさんあるわけであります。さらに最近はピストルを自分らの方でつくる—小さな町工場のようなものですが、そういうものをつくるようにという指示もあります。ダイナマイトの収集はもちろん申し上げるまでもございません。また自製の火焔放射器のようなものをつくる訓練をさすというような指示も一、二入手しております。しかし現実に、たとえばどこでピストルとかあるいは火焔放射器というものをつく
つているかということを現認いたしますることは、非常に困難なのであります。しかしそうだからとい
つて、そういうようなものが全然使用されないと安心しておれるかどうかと申しますと、過去の例に見ましても、昨年の上半期のあの火焔びん、あるいは竹やり、あるいは拳銃というものも、その以前に流されておりました文書の
通りにそれが使用されておるのであります。われわれの情報、あるいは得た一部の資料から推測するということは、過去の
事例から考えましても、決してそんなことはおかしなことだとい
つて捨ててはおけないので、むしろこれが実現をして来る
可能性がほとんど九十九パーセントだ、こう考えざるを得ないのであります。武器の例といたしまして、たとえばこの間の
吹田事件の際に—これは武器と訓練とを合せてでありますが、
吹田事件の際に、豊中のグラウンドに集まりました数千人の者が、夜中に二手にわかれて、一方は山道から、一方は電車を強要して、山手を行
つた者は数里行軍をし、吹田のところで合流をしたのでありますが、この際のあの大衆の指揮の仕方、それから吹田へ現われて来ましたときには、突如竹やりを全員が持
つて、八列縦隊に並んで出て来たのでありますが、集ま
つたときには何にも持
つていなか
つた。途中にそれを隠し、途中で装備をして、そして八列縦隊の竹やりを持
つた者が
警察と正面にぶつか
つたという。あのときの八千人とか七千人という大部隊の訓練をしたことは—あれが
一つの訓練でもあ
つたと思いますが、以前には確認はしておりませんが、それらを指導する幹部の連中がときどき集ま
つて、あるいは山奥で、あるいは家の中で、そうい
つた幹部の指導訓練を相当や
つてお
つたということを認定せざるを得ないのであります。一人か二人の命令者があの八千人を堂々とあそこに部隊
行動をとらせるということは、ふだんの訓練がなければできない。そうい
つた訓練みたようなものは、大部隊でありませんでも、幹部訓練というものはやはり今でもちよいちよい行われておるのであります。ごく最近も奈良県の生駒で、前の参謀本部の地図を持
つて、何人か集ま
つて訓練をしたという実績がある。何県でそういうことがあるというのは、われわれ現実に触れておるのであります。ただそういうことで集ま
つたということだけでは、法の規制が現在でき得ません。これについて、それ自身を処罰する—
公安調査庁で団体規正令にかけるとか、あるいは何か
暴力行為の予備として法をも
つて処断ができるかといいますと、実際の今日の証拠裁判の上では、これは非常に困難であります。
従つて現在たとえば
公安調査庁は何をしているか、
警察はなぜそれを取締らないかとおつしやいましても、今の法の
関係では—それとわれわれの
調査力という力の
関係、この両方からでありますが、どうしても今すぐに現実その人間をつかまえて裁判所に持
つて行
つて、有罪という判決を下すだけの実際の証拠があるかというと、そこまでの証拠には乏しい。しかしそうかとい
つて、それは全然ないものとしておれるかどうかというと、おれないというのが今日の現状なのであります。一昨日でしたか、岡谷支署の爆破計画の未然暴露というので新聞に出ておりましたが、ただいま取調べ中でありますから、これがどういう経緯で、どういうものでありましたかは、今この際は差控えさせていただきたいのでありますけれ
ども、その際に穴蔵から押収いたしましたダイナマイトとその導火線、これをカンの中に入れ、包装をし、穴蔵に隠してあ
つたのでありますが、これはそこにおまわしをいたしますから、こらんをいただきたいと思います。これらは現実に犯罪の資料として二、三日前に押収したのでありますが、こういうものがちよいく出て参るというような事態でございます。
それから北鮮人と日共との
関係はどうであるかということでございましたが、これは表裏一体の
組織だと申し上げるのが一番簡明であろうと思います。
日本共産党の何という
組織に、どういう
組織で入
つているかということは、具体的にまた別個の
機会に申し上げることがあろうと思いますが、ま
つたく表裏一体の
組織でありまして、実体から申しまするならば、朝鮮の祖防隊あるいは民主青年同盟、そうい
つたような活動部隊が、むしろ
共産党の第一線の
軍事活動を受持つ相当大きな役割をしておると申し上げて、何の支障もないと考えます。
八幹部はどうしてつかまらないかということは、これは
一つはわれわれはなはだ微力のいたすところという
意味で、おわびをするよりいたしかたないのでありますが、いろいろの面でむずかしい点がございます。多くの党員が彼らのまわりに非常な強い秘密の
組織を持ちまして、彼らのいる場所にいたしましても、本人と外部との連絡
方法にいたしましても、最も大事な秘匿
組織というものは十重二十重とな
つておりますので、非常にむずかしい点があるのでありまするが、これも
一つは今の
制度では非常にむずかしい点がある。各
警察がそれぞれ分立をしておるからであります。それではこの八幹部のつかまらない
責任者はだれであるかという場合に、国警の地域ならば各府県、自治体
警察ならばそれぞれの自治体、
従つて全国的に見た
責任者というものはだれもない。(「だれもないことはない、総理
大臣だ」と呼ぶ者あり)総理
大臣はこの捜査について何の指揮権も権限も持
つていないという
状態でありますので、事実上の連絡を緊密にしてやる以外にない。事実上の連絡の緊密と申しましても、捜査をしようという熱と捜査の技術、それらに対する教養、訓練というものとが相まちませんと、なかなか効果があがらないのであります。普通のやり方でそれぞれ思い思いにや
つて、ただ連絡を緊密にするというだけではいけない部面が多々あるのであります。
先ほど
相川委員のお尋ねに、今日の
治安情勢に対処して、現在の
警察のままで困る点はどういうことか、それもあわせて述べろということがありましたから、あわせて
お答えをいたします。抽象的に申しまするといろいろありますが、まず具体的にこの前の
吹田事件の例をと
つて率直に申しますならば、
吹田事件の大体の情報というものは、割によく事前に入手されておりました。大阪管区本部もあるいは大阪の市警も、それから豊中、池田の
警察も、同じ
一つの情報を持ち寄りまして、その情報のもとに計画を立て、
判断をし、一応の捜査本部も設けてこれに対処いたしたのでありますが、実際の場面になりますと、豊中の公安
委員会の管理下において
警察は働くという建前であるのでありまして、国警からも大阪の市警からも応援に参りましても、その指揮命令は豊中の公安
委員会のもとで行うわけであります。豊中市といたしましては、この会合が無事に終ればそれでよいので、自分のところで事前にこれを検挙する、あるいは解散を命ずるということで事柄をこじらせては困る。
従つて警察もそばに近づけないように、会合の
状況はどういう
状況であるかということを監視しに行くこともさせてはならない、応援部隊は数町離れたところで待機をしてもらいたいということで、管区本部や国警本部の考えておるようにはどうしても参りません。そこに集ま
つた連中が二方にわかれて散
つて行くようだ、どういうように散
つて行くのか斥候に出してほしい、市警の
警察官を今晩あまり疲れさせることは、明日の競輪の取締りに支障を来すから、それは困るというようなことで、初めのうちに解散させて事なきを得るということができなか
つたのであります。こういう事柄が過去の例としては非常に顕著であ
つたわけであります。しかしこうい
つた大
事件が起
つてしまいますと、それの鎮圧については比較的うまくあとの処理がなし得るのでありますが、事前にこういう事柄を
調査し、事前に処理をするという場合になると、指揮命令系統が一本でありませんから、非常に困
つた結果を招来いたすのであります。ことに事前
調査という面におきましては、
公安調査庁の
調査網もあります。われわれの方といたしましては、警備
関係からそうい
つた聞き耳も立てておりますが、自警、国警の間には最近とみに連絡がよくな
つたとは申しますものの、
ほんとうに大事なところは、なかなかそうは行がないというので、この点にも大きな不備を
感じておる。これは
組織から来る当然の事柄であ
つて、非難をすることは酷だと考えるのであります。また経費の面から見ましても、市町村がこうい
つた面で経費を予算に計上されることは、非常に困難の模様でございまして、こうい
つた事件は国の
事件であるから、市町村としてはそういう経費は計上されがたい。また場合によつでは、むしろそういうことはや
つてもらわぬ方がよろしいのだ、それよりも、自治体
警察であるから、自治体の繁栄が第一義であるという面が強く出過ぎる点も、
制度上からやむを得ない点だと考えておるのであります。その他いろいろございますが、直接の国家的
治安という面から考えまして非常に困
つておる点はそういう点でございます。