運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-03-05 第15回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月五日(木曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 青柳 一郎君    理事 鈴木 直人君 理事 雪澤千代治君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君    理事 横路 節雄君       相川 勝六君    阿部 千一君       生田 和平君    加藤 精三君       河原田稼吉君    佐藤善一郎君       谷川  昇君    辻  寛一君       中井 一夫君    石坂  繁君       中野 四郎君    森田重次郎君       山本 粂吉君    大石ヨシエ君       平岡忠次郎君    赤松  勇君       川村 継義君  出席国務大臣         法 務 大 臣 犬養  健君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  山口 喜雄君         検     事         (公安調査庁次         長)      高橋 一郎君         検     事         (公安調査庁総         務部長)    関   之君         法務事務官         (公安調査庁調         査第一部長)  柏村 信雄君         検     事         (公安調査庁調         査第二部長)  福島 幸夫君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 三月四日  国会議員選挙等執行経費の基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第一五二  号) 同日  地方自治体警察維持存続に関する請願外三件(  福井勇君外二名紹介)(第三四八三号)  同(内藤友明紹介)(第三四九六号)  営業用トラックに対する自動車税軽減請願(  佐々木更三君紹介)(第三四八四号)  同(伊藤好道紹介)(第三四八五号)  同外一件(徳安實藏紹介)(第三四八六号)  同(尾崎末吉紹介)(第三四八七号)  同外一件(楯兼次郎君紹介)(第三四八八号)  同(中村幸八君紹介)(第三四八九号)  同外一件(牧野良三紹介)(第三四九〇号)  同外三件(木暮武太夫紹介)(第三四九一  号)  同(山田彌一紹介)(第三四九二号)  同(宮幡靖紹介)(第三四九三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公聴会開会承認要求に関する件  警察法案内閣提出第一一二号)     —————————————
  2. 青柳一郎

    青柳委員長 これより会議を開きます。  警察法案を議題としてこれより質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。雪澤君。
  3. 門司亮

    門司委員 ちよつとその前に……。これからの審議方法ですが、大体主として大臣説明並びに政府委員説明に対する概括的質問を少し続けていただきたいと思いますので、その点はひとつ委員長において心得ておいてください。
  4. 青柳一郎

    青柳委員長 承知いたしました。まず本日はただいま門司君の御発言のように概括的、一般的な御質疑をお願いいたします。雪澤君。
  5. 雪澤千代治

    雪澤委員 私は二、三の点についてお伺いいたしたいと存じます。  第一に、政府は現在の諸情勢にかんがみまして、現行警察制度の不適当と認められるところを是正して、そうしてもつて治安の確保と、その責任の明確をはかるために、今回の法律案を御提出になつたということでございますが、まずその前提となりますところの国内治安情勢につきまして、御説明を承りたいと思います。
  6. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。国際情勢を眺めますと、なるほど戦争の危機は、一時われわれが心配いたしましたほどには急速度に破滅に近づいているという状態からは、やや脱却しておるように思われるのであります。しかるにただいまの国際間の軋轢というものは、表向きの戦争ばかりが主眼でないことは雪澤委員もよく御承知通りでありまして、いわゆる冷たい戦争を通じての各国内における騒乱状態をかもすという政策がやはり行われていると見なければならないのであります。この観点から私どもは常に表面平静を持しておるその底に流れる底流を、国民に対する義務として絶えず調査監視をいたしておるのでありますが、その点について私どもは寒心せざるを得ないいろいろの情勢を看取しておるわけでございます。たとえば共産党軍事方針というようなものに関する書類を時々読んでおりますが、これは明らかに軍事方針目標手段というものをうたつているのでありまして、表面は愛される共産党という政治方針をとつておりますが、その底流におきましては、依然として軍事方針一つの重要なる重点に置いていることがわかるのであります。この軍事方針目標というものをさらにつつ込んで研究して参りますと、明らかに電源のダム、重要なる工場とか、あるいはある場合においては警察署そのものとかいうようなものが目標に置かれております。しかも一つの県の数箇所にわたつてこの目標が置かれておる。なお一つの県のみならず、こういう不祥事件が起ります場合は、どうも従来のいろいろ経過並びに軍事方針目標のあとをたどつて参りますと、二つの県以上に同時多発的に起る可能性なしとしないのであります。従つてども治安の任に当つているものにしまして、最悪の場合を予想してこれに備えなければならない。こういうところにこのたび御審議をお願い申し上げておる改正趣旨があるのでございます。先日本会議でもいろいろ御質疑がありましたように、もともと普通の警察事務というものは地方の平和な自治生活に溶けこんでいるのが一番よろしいのでありまして、警察地方国民のものであるという感じを失わしてはならぬと思うのでありますが、他面において現在の世界状勢から見まして、どの国でも、いかに自治的な警察を愛している国の国民といえども警察国家的性格がやむを得ず織りまぜられて来ているということは、これは各国共通に認識しているわけでございまして、この意味において、このたびの改正においては国家的な関係治安に関する限り中央が指令をする権利を持つ。しかしその権利たるや漠然と広がつて国民に迷惑でありますから、これこれの権能以外に中央警察庁ははみ出てはならない。はみ出れば警察国家に堕するおそれがあるとみずから法文に明記して、みずからを束縛する、こういうような建前をとつた次第でございまして、この点を御了承願いたいと思うのであります。
  7. 雪澤千代治

    雪澤委員 大体のお話はわかつたのでありまするが、もう少し詳しくお伺いいたしたいと思うのですけれども、いかがなものでしようか。
  8. 森田重次郎

    森田委員 関連して。この問題は私も非常に重大視しておるのであります。国民もまたこれは詳細に聞きたいことだと思うのです。たとえばあるところで交番の襲撃があつたとか、あるところへ何人かの人が集まつて暴動的なものを起したとか、そういう個々の現象の起つておることは新聞などである程度まで国民も知つておると思う。しかしそれが一貫せる一つの計画を持つた個々の顕現であるという点については、国民は必ずしも深く知つておらぬのであります。従いましてこの警察法改正などをするにあたりましては、ただいま大臣がお述べになられた程度では、とても国民納得の行かないものがある。従いましてもし大臣が詳しいことがよくおわかりにならなければ、専門に御調査になつた方でもよし、また大臣の口から述べられればさらにありがたいことだと思いますが、少くとも三十分なり、一時間の時間を要しても、この点は徹底的に、今御調査になつておられる点の大部分を、ここに現わすような方法でお述べを願いたいと思うのであります。どうかそういう意味でひとつ説明を願いたいと思います。
  9. 石坂繁

    石坂委員 関連して。ただいまの雪澤委員質問に対する大臣の御答弁はあまりに抽予的でありまして、これに関しまして森田委員から申し上げました通り、私どもは現在のこの警察法を根本的に改正する必要のある諸情勢に関して具体的に実は伺いたいのであります。明確にする必要が何としても出て参ります。ただいま大臣の御答弁は、主として共産党関係のことを抽象的にお述べになりましたが、その行動につきましても、具体的に事例を示して納得するような御説明を願いたいと思います。極左のみならず極右行動が、だんだん台頭いたして来つつあるやに灰関するふしもあるのでありまして、現に本朝のごとき、私が家を出ますときに配付された書面は、議員諸君を詰問するという見出しで、かなりきびしい文章の内容のものが参つておるような状況であります。従いましてこの警察法を根本的に改正を必要とする現下の諸情勢につきまして、これを分析し、極右もくしは極左暴力行為、暴力主義的な破壊行動についての事例を十分に説明せられて、同時にこの警察法改正のみならず、それらの行動に対する政府の一般の対策につきましても実はお伺いいたしたいのであります。先ほど雪澤委員がこれを取上げられましたので、私も質疑の第一点にその点を伺いたいと思つておりましたので、関連いたしまして、あわせてこれを申し上げたいのであります。この私の質疑の第一点は、ただいまの雪澤氏の質問に対する関連質問の形において、この際これだけ申し上げておきます。
  10. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。森田委員並びに石坂委員関連質問はごもつとも千万でございます。また私もただいまの雪澤さんにお答えをした答弁だけで、それだから警察国家的性格が必要だなどというまことにおそまつなことで、事を済まそうとは夢々思つておらないのでございまして、要すれば政府委員から詳細に御納得の行くように御説明いたしたいと思います。私も実は抽象的に申しているのではないでありまして、具体的なものを閲覧した上で申しているのでありますが、この詳細なことをどうやつて皆様に御納得をしていただくか、その方法についてはまた委員長なり理事諸公なりと御相談を要する点もあるかと存じます。大体お察し願えると思うのであります。しかしそういう手順のいかんは別として、十分に政府責任上重要な委員諸公の御納得の行くだけの手段をとらなければ、これは不親切というものであろう。これは十分に考えておりますから御了承を願いたいと思います。  次に石坂さんの御質問でございますが、お話のようにようやく右翼団体の台頭及び行動にも注目すべきものがありまして、目下公安調査庁その他で研究の対象にしております右翼団体は約七百五十ございます。ただ左翼、極左暴力主義的破壊活動と違いまして、非常に大きな組織に至つておりません。個々別々的だと申し上げてよいかと思います。しかし永久に個々別々的だという判断を下しかねる点もございます。これも要すればまた後刻御説明申し上げたいと存じます。そこでもう少し詳しいことを政府委員から申し上げまして、なお要すれば今申し上げたように委員長及び理事と御相談しまして、さらにどうやつて納得をしていただくか具体的な御相談もしてみたいと思います。
  11. 相川勝六

    相川委員 ただいま雪澤委員の御質問に関しまして、皆様方から御質問がありましたが、私もまつたく同感であります。そこで今度警察法改正案をお出しになつたことにつきましては政府としても相当深い決心があると申さなくちやならぬと思います。単に枝葉のことをちよいちよい直すということでなくて、ほんとうりつぱな日本警察をこの際つくろうということからだろうと思う。そうすればまず現在の警察では、どうしてもやつて行けないという事情をわれわれに納得するようにお話を願いたいと思う。そうするには現在の治安状況警察対象たる事象というものが、どういう状態になつているかということを包み隠さず具体的にお示し願いたい。さらにその次に申し上げたいことは、こういう事象に対して従来国家警察があらゆる努力をしたけれども、どうしてもこういうわけでうまく行かない、現在の制度では運用上能率がよくない、今までの失敗でも何でも遠慮なくお話くださつて、われわれ委員としてこれでは何とかせねばいかぬという感じを持たせることが必要だ患う。われわれはそういう事象がなくて、現在の制度のまま行けるならば、別に制度を改革する必要はないと思う。警察というものは一党一派に偏すべきものでもなく一階級に偏すべきものでもない。ほんとう国民全体のために、国民が安心して頼つて行けるような警察をつくらなければならぬと思う。だから決してこれは自由党の出した案だから、改進党の出した案だから、あるいは野党の出した案だからというようなことにとらわれずに、ほんとうに全国民が支持するような警察をつくらなければならぬ。従来の警察の悪いところを払拭し、さらに占領政治時代警察の悪いところを考えて、新らしいほんとう国民のための警察、民衆の警察というものをつくつて国民の信頼するものにする。そういう意味におきまして、ひとつこの際真剣に方針を論議し、将来日本警察はかく行くべきであるということをこの委員会でよく御研究したいと思います。将来警察が濫用されないように、国民のためになる警察、これを真剣に考えなければならぬ。こういう意味において、今までのうまく行かなかつたという事情などを遠慮なくお示し願いたいと思います。
  12. 門司亮

    門司委員 委員長にお願いしたいのでありますが、今警察法改正しなければならない根本的な理由はどこにあるかということを、雪沢さん初め各委員からお話があつたのであります。まことにその通りだと思います。私ども予算委員会犬養さんに一応この点は触れてお聞きしたのでありますが、時間的の制約その他で十分の回答は得られなかつたのであります。警察法改正について問題になりますのは、警察当局だけの問題ではこの問題は解決しないと思う。今最も重要な問題になつておりますのは、今の大臣言葉から申し上げますと、思想的なものが相当強く来ているようであります。従つてこの問題を解決しようとするなら、やはり警察だけの立場でなく、公安調査庁諸君に来てもらつて、その内容を聞かなければ、私は国警関係ではいかにこれを聞いてもわからぬと思う。いわゆる破壊活動防止法対象になるものを調査し、検討し、さらにこれの処分を要求することのできるのは公安調査庁である。従つて公安調査庁は目下の日本治安の上には、最も重要な役目を受持つていると思う。それらの意見をやはり警察法改正について十分聞かなければ、単なる警察関係だけの表面だけの理由では、われわれ納得ができない。この機会委員長はひとつ公安調査庁諸君を呼んでいただきまして、そうしてなお委員各位質問に答えていただきたい。これをおとりはからい願いたいと思います。
  13. 青柳一郎

    青柳委員長 承知いたしました。
  14. 横路節雄

    横路委員 ただいま犬養法務大臣から雪澤森田石坂委員に対する国内治安状況についての御答弁のありました点については、各委員から指摘されたように非常に抽象的で、本委員会において警察法審議する場合の国内情勢のいわゆる判断材料にならない。従つてただいま法務大臣からこの点の詳細については委員長並びに各理事と、どういうように国内治安情勢について話をするかよく御相談の上でやりたいと言つている。そうすれば私どもはその情勢について話を聞くのでなければ、ただ法案条文をいじつてみたつてしようがないから、この際本委員会を休憩して、そこで法務大臣が言うようにしたらどうか。あんな話を何べん繰返したところで、ここにいる二十五人の委員はだれだつて了解できない。共産党軍事方針がどうだろうぐらいはだれだつて知つている。読んでみれば電源のスイッチを切るとか、重要鉱山をどうするとかぐらいはすぐわかる。その程度国内情勢判断で、この審議を進めることはできない。だからこの際ここで国内治安情勢について、詳細にわれわれ委員納得できるような説明が継続してできるのであるならば、このまま審議するし、そうでなしに、大臣の言うように委員長並び理事相談の上で、この国内治安情勢取扱いについては考慮したいというのであるならば、委員会を休憩して、委員長理事との間で、もう一ぺん打合せをした上でなければ、何ぼ審議してもみんなが聞きたいことに全然答えられていないのだし、ぜひそういうふうにしてほしい。もし法務大臣が前の言葉を取消して、このままで国内治安情勢について大臣より、われわれの納得できる、国民納得できる点について詳細にお話があればいいけれども、世間に発表されているような共産党軍事方針くらいをあげて説明されただけでは、判断材料にならないのです。従つて私は大臣の希望を入れて休憩して、委員長理事がみんなで集まつて大臣説明を今後どうやつて聞くか、態度を検討した上でなければ、何ぼやつたつて条文解釈程度では、政府の出した法案趣旨に沿わないから、大臣はその点どういうふうにお考えになつておるか。
  15. 犬養健

    犬養国務大臣 まず門司さんにお答えいたします。ごもつともと思いますから、公安調査庁政府委員をさつそく呼んでおります。先日あなたの御質問つたのじやないかと思いまして、あのときすぐ呼んでおいたのですが、ほかの騒ぎで、あの委員会そのものがまぎれてしまいまして、今呼んでおります。  横路委員お答え申し上げますが、私の説明はこれ以上一歩進むにおいては困るから、理事相談してくれなんとは夢にも申さないのでありまして、(「言つたやじないか」と呼ぶ者あり)まあ、お聞きください。私の説明がそれで終るなんということは夢にも思つておりません。従つてここにおります政府委員から説明をいたさせますが、なおその上で御納得ができないようでありましたならば、委員長理事諸公と御相談の上、適当な方法で御説明をいたします。というのは諸外国にもありますように、政府国会議員に対してできるだけ親切にして率直なる説明をいたす義務があると同時に、機密保持という義務がありますので、この二つ義務の融和をどうするかということは、これは委員長並び理事の御職権でありまして、政府の軽々に申すべきことではございません。しかしそれ以前においての説明は、ここに現に控えております政府委員からできるだけ申し上げ、なおそれでも御納得が行かない場合には、政府はあくまでかゆいところに手の届くような態度を差上げたいので、その上は委員長理事と御相談を願いたい、こう言つただけの話でございますから、これは御了承願いたいと思います。
  16. 横路節雄

    横路委員 ただいまの大臣お話であるならば、やはり結論的には、この委員会においては発表できない点が、この国内治安情勢については多々ある。だからやはりその点についての事後取扱いについては、委員長理事の間に御相談するという大臣の言は前とかわりがない。ただ、今お話が出たのは斉藤国警長官から話のできる点はする。しかし今の大臣お話程度では、おそらく十分でないし、機密その他の保持という点もあるから委員長理事相談したいというのであり、重ねて斉藤国警長官から法務大臣と一致したような答弁をなさるのであるならば、やはりここで本委員会を一旦休憩して、事後取扱いについて大臣理事ともう少しお話したいのでしようから、そういう取扱いについてみなが納得した上で会議を進めるのでなければ困る。先ほど各委員から重ねて質問がありましたのに、大臣お話は非常に抽象的で、おそらく斉藤国警長官からも、共産党の対軍事方針書の中に盛られているようなものしか説明ができないのではないかと思いますが、その点について斉藤国警長官から、なおつつ込んだお話があるならばさしつかえないと思いますけれども、私は結論的には委員長理事会に諮つていただきたいのだと言つているのです。     〔「一応進行」「とにかく聞いてみてから」と呼ぶ者あり〕
  17. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 それでは私からできるだけ詳細に申し上げたいと存じます。またそれにつきまして御質問等に応じましてお答えを申し上げたいと存じます。中には公開の席でははばかるというものがございますから、そういうものだけは別の機会に申し上げることにいたしたいと思います。あるいは横路さんは、そんなことは知つていることばかりだとおつしやいますかもしれませんが、一応前提としてお話申し上げます。  御承知のように、昨年の下半期白鳥事件からメーデーあるいは吹田事件からこれまでの間に、全国的に起りましたあの火焔びん的街頭集団暴力行為様相は、これは一々申し上げるまでもございませんが、あの事態は共産党の第五回全国協議会で採択されました新方針にのつとつたものであることは申し上げるまでもありません。  この方針は、一言で申しまするならば今までの共産党の観念的な行動を清算して、共産党最終目的は、武力闘争によつて政権を奪取しなければならないという、この実践に移るという宣言をしたわけであります。それに基きまして軍事方針を打ち出す、軍事組織軍事活動というものに全面的な力を入れて参つたのであります。その結果が、ただいまも申しまするように、昨年の下半期様相を示したのであります。しかしこれらの行動国民政治的なバツクというものと必ずしも一致をしていなかつた国民から遊離をしておつた。これではかえつてマイナスをとるものであるから、むしろこういつた革命的な気分に国民を持つて行く。その方の組織と運動を一層強化をいたすとともに、それによつて、できて参りました機運を、さらに彼らの軍事組織強化軍事行動実践によつて目的を達成するというように変更になつたのは、昨年七月のいわゆる徳田論文以降の様相でございます。  御承知のように、昨年の十月東京都内で開催されました第二十二回の中央委員会の総会におきまして、われわれは四つの論文を採択していると考えるのであります。  その一は、軍国主義復活に反対し、吉田政府打倒に全国民統一強化せよという論文。これは結局反米闘争強化論述であります。  いま一つは、総選挙闘争終つて、その教訓に学び、何ゆえに総選挙において共産党は敗北を喫したか、これを再検討し、次の参議院議員選挙に備えることはもちろん、これを教訓として今後の共産党合法活動をいかに強化するかという点を中心に論述をいたしておるのであります。  第三は、武装闘争思想行動統一についてという論文でございますが、武装闘争というものにつきましては、先ほど申しますように、国民政治的意欲、そしてこの武装闘争をやることにおいて、どういう結果を招来するか、単に武装闘争だけではいけない、政治と結びついた武装闘争強化しなければならないということを詳細に論述をいたしております。この武装闘争思想行動統一という点は、われわれ直接治安面といたしましては、特に関心を払わざるを得ない問題であります。  四番目は、党内教育方針というのであります。党内教育強化し、真に共産主義に身を投ずる真剣なる党員の養成ということを、ここで非常に強化をいたす、その方法等を詳細に教えておるのであります。これによつて党は当面の情勢と、その中にある革命的素因を分析し、また先ほど申しました新綱領の武力革命方針を効果的に発展させる実践方法をさし示し、また先ほども申しますように、党内教育方針によつて、党の質的向上の必要を強調し、その方法等を教えておるのであります。これらの決定事項は、ただわれわれ一片の情報によつて判断をしておるのではありませんので、党内機関紙の「平和と独立のために」の号外、その他党発行の文書の中に、公然と書かれて頒布をされておるのであります。現在日本共産党は、この決定事項に基いていろいろな実践をやつておるのであります。その後最近までにおきましては、この第二十二回中央委員会決定事項党全体の討議が、末端細胞を含めて、ほほ終了したように認められるのであります。某方面におきましては、別に旧臘きめられました全国選挙対策会議の決定を中心といたしまして、各地方委員及び県委員選挙対策会議が一応終了いたしました。  さらに組織的には、彼らの基本組織指導部、それから大衆団体指導部との二本建を建前とする新機構が、各府県ビューローにおきましても確立されまして、大衆団体の内面指導による統一行動組織化の態勢がほぼなつたと認められるのであります。一方党員の個々の能力を高めるための党内教育は、引続き強力に実施されております。特に各重要工業地帯におきまする経営工作学校、農山村における農民工作学校、その他基地工作学校、軍事工作学校、文化工作学校等を諸所に設けまして、彼らの実践と理論の相関的な効果をねらつた教育活動が、漸次各地において活発化いたして参つております。他方前月に引続きまして、自由労組のグループ指導、全医労グループ指導、私鉄グループ指導、教育、各大学学生自治会グループ指導、日農のグループ指導等が、こもごも中央グループ会議を開きまして、大衆団体の指導面の準備が、さらに強化をいたしているような次第でございます。  そこで日本共産党軍事組織は、御承知のように軍事委員会によつて統轄をされておるのでありますが、その組織行動的部面を受持ちまするいわゆる中核自衛隊は、現在われわれのところにわかつておりますのは約六百隊でありまして、隊員数が五千五百名でございます。われわれのわかつている資料によるものはさようであります。またこの中核自衛隊のほかに、遊撃隊組織というものを昨年から組織するようになつて参りました。われわれ当初は、この遊撃隊組織というのは、彼らの文書、レポ等の中に現われておつたのでありますが、これの実体をつかみ得なかつたのであります。しかし御承知の昨年八月埼玉県に発生しました横川事件を取調べて参りますと、これには西部遊撃隊及び武蔵野第一独立遊撃隊というものが存在し、これらの隊員によつて行われたということが明確になつてつたのであります。この遊撃隊組織も全国にわたつて次第に進んでいるように見受けられるのであります。この中核自衛隊及び遊撃隊組織のほかに、日本共産党では中核自衛隊などの今申しました軍事組織の補給源といたしまして、あらゆる闘争の中に反フアッショ委員会、青年行動隊、その他いろいろの名称で、いわゆる抵抗自衛組織というものの活動を強く推し進めている現状であります。  現在の共産党組織と、その党員の数の概略を申し上げてみますと、公然組織、いわゆる合法組織の面におきましては、御存じのように中央、それから九つの地方、各県、及び県内の地区、それから郡市、その下の細胞というようにわかれておりますが、党員は約九万、シンパ数が約十八万と推定をいたしております。非公然の組織も公然組織に対応するものでありますが、この非公然組織のメンバーとして活動いたしております党員が、先ほど申しましたもののほかに三万八千、それから先ほど申しました中核自衛隊という特別な組織のものが約五千五百、これらの組織、並びに党員、シンパ等の数は、いろいろな資料からわれわれ推定をいたしておるのでありまするが、最近党の中央部におきましては、秘密指令をもつて、各府県内の政治地図を作成をするように命じておるのであります。これらの求めておりまするところは、その細胞に至るまでの組織、その組織内の党員、シンパの数、これを町村郡市別に図面に入れまして、なお共産党の発行いたしておりまする秘密文書と申しまするか、冊子と申しますか、そういうものの購読者の数、種類、それから朝鮮人の数、朝鮮人のうちでいわゆる祖国防衛隊の隊員、あるいは民主愛国青年同盟の隊員の数、そういつたぐあいに、朝鮮人の中でいわゆる北鮮系と目される、われわれの治安対象になりまする、彼らの軍事的活動としてただちに立ち上れる組織内に入つておる者の数、あるいはそれが立つた場合に、同時に立つであろう者の数というぐあいに、共産党の彼らのほんとうの勢力、北鮮系の、彼らに呼応する真の勢力というものを、各図面に入れて報告をさせておるのであります。その中には、重要工場、あるいは彼らの言葉をもつていたしまするならば、日本の防衛力といいますか、あるいは権力的なものといいまするか、具体的に申しますると、駐留軍の駐在地、そこの兵員の数、保安隊の駐在地、隊員の数、警察学校の所在地、その数というものを丹念に記入をさせて報告をいたさせております。自分自身の勢力と、これに対抗するであろう日本側及びアメリカ駐留軍の勢力、並びに彼らの目標とする電源地、重要工場、その工場内における工場労働者の数、その中において彼らに呼応し得るであろう数、こういつたものを丹念に調査をしておるのであります。そういつたものからも、われわれ先ほど申し上げましたような数字を推測をいたしておるのであります。もちろんわれわれの方で、そういつた中央に報告するもの一切を知つておるわけではございません。ところどころそういうものを入手し得たものから推測をいたしておるのであります。ことに組織の面におきましても、訓練の面におきましても、いわゆる祖国防衛委員会に所属をいたしまする北鮮系の活動は、さらにとみに潜行的に活発化をいたしております。彼らの非合法面における各種の隊の組織の推進化、実際の訓練というものも、最近特に活発になつて来ておるように見受けられるのであります。祖国防衛隊の方には八千名の決死隊を結成をするということも聞いておるのであります。これはまだ私がはつきりその決死隊ができておるということを確言するには至つておりません。しかしこれは単なるうわさ、想像の程度ではないであろうと考えて、おるのであります。  かようにいたしまして、現在表面はそういつた警察対象になりまする暴力活動というものは、影をひそめたかに見えておりますが、しかし裏面においては、むしろ着々とその準備を進め、時の来るのを待つておるという現状だと考えております。合法面において、各種の段階を通じてあらゆる運動を展開いたしておりますることは、これは御承知通りであります。この点は取締りの対象になるものではございませんけれども、かようにいたしまして、いわゆる思想面、行動面の統一活発化を策しておるというのが、今日の現状のように考えるのであります。そうしてわれわれ警察面におきまして最も注目を要しまするのは、これらが一定方針のもとに立つという場合には、必ず同時多発ということが当然の帰結であります。警察といたしましては、そういつた同時多発の事態に対処し得るように、ふだんからそういつたいわゆる革命勢力と申しますか、軍事行動に移り得るものの実態を完全に把握をいたしまするとともに、どういうやり方で、どういう方法でいわゆる革命的暴力行為をやるかということを調査をしながら、これに対処し得る方法、訓練もやつて行かなければならないのであります。これが実際実施に移されるという場合には、それに対応し得る活動を、ただちに始めなければならないようなわけでありまするから、われわれといたしましては、さような場合に対処し得るのに遺憾のない警察制度、あり方というものを、今のうちに確立をいたしておくことが何よりも肝要だと思うのであります。私から進んで申しまするのはおかしいようでありまするが、さような場合には日本には保安隊があるではないか、それはもつぱら保安隊の責務であろうという考えを持たれる方々が多いのであります。しかしながら保安隊が出動いたしまするということは、何と申しまするか、最悪の場合でなければなりません。できるだけ普通の警察方法でかような事態を防止をし、鎮圧するということが最も望ましいと考えておるのであります。  右翼方面の活動状況はどうであるかというお尋ねでございまするが、右翼方面も最近非常に活発になつて参りました。団体の数もいろいろございまするが、しかし何と申しましても、この暴力を目的として組織的に組織されたというものはまだそうございません。ただいまの段階ではむしろそれよりも数人がなすであろうテロ行為というようなものが、われわれの警察といたしましては対象になつて来つつあるのであります。彼らの暴力を目的にした組織化というものはいまだしど考えております。しかし思想面におきましては相当強く現われて来て参つておるのであります。なお公安調査庁政府委員もおりますから、足りません点はむしろ公安調査庁の方から補足をいたす方が適当であろうと存じますが、御質問に応じましてできるだけお答えいたします。
  18. 青柳一郎

    青柳委員長 次に、先ほど門司委員から要求がありましたが、公安調査庁がらお見えになつておりますので、公安調査庁より現在の治安状況についての陳述を願いたいと思います。高橋公安調査庁次長。
  19. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 公安調査庁の方といたしまして、現在の治安情勢一般をどのように考えておるかということについて、概略申し上げたいと思います。  昭和二十六年に新綱領が打出され、その結果、昨年上半期、御承知のようないろいろな暴力的な事犯が頻発いたしました後に、昨年七月十五日の日本共産党三十周年記念に際しての徳田書記長の論文によりまして、新綱領の正しさは再確認されたのでありますが、その戦術として軍事方針に関する行き過ぎが批判され、その後その種の事犯が著しく減少して参つたのであります。さらに昨年十月の総選挙によつて、その批判がはつきりと国民によつてなされたといたしまして、その後はその種のいわゆる暴力事犯はほとんど影をひそめたといつてもよろしいくらいの現状であります。ところが昨年の十月末に行われたと考えまする第二十二回中央委員会においてやはり軍事方針が討議ざれたと見えるのでありまして、その関係の文書と思われます武装闘争思想と、行動統一についてという文書が流布されておるのであります。それからさらにそれに基いたと思われます軍事会議の結語という文書も流布されておりまして、それによりますと、この団体は、終始軍事方針というものを単に理論的な問題としてではなくして、実践的な問題として持ち続けている。批判されたのは、要するにそのような軍事行動がそれ自体を目的として行われるという点、すなわち政治目的に従属しないという点だけが批判されておるのでありまして、必要により場合に応じて軍事行動に出る、または今日、将来の武装蜂起のための準備として、軍事組織を拡大強化上、武器を収集保管しなければならないというような趣旨方針をずつと持ち続けているわけであります。それからそのような方針のもとにおきまして、これとの因果関係は必ずしもまだ明瞭ではありませんけれども、関東周辺あるいは近畿の方におきまして、種々軍事訓練と思われるような会議が、最近ぼつぼつと行われているようであります。こういうわけで公安調査庁といたしましては、一般に昨年の書記長論文あるいは総選挙の批判以後、非常にそういうふうな危険が遠のいたというようなことは非常な間違いである。底流は依然として非常に危険でありまして、それがいろいろな他の条件と相まちまして、いつ起るかもわからぬということで、今日準備を進めておく必要があるということを常に考えておるわけであります。  今日の左翼関係治安状況につきましては、以上申し上げたような状況であります。  なお右翼につきましては、全国でもいろいろ一応政治目的と見られるような綱領を掲げまして、動いておる右翼団体が相当数あるのでありますけれども、一人一党というようなものも相当あるのであります。中には団体組織で、政治的な、いわゆる暴力事犯に出る可能性もあると思われるものが相当数ございます。それらにつきましても、十分われわれの方として関心を持つて、これを注視いたしておる次第であります。
  20. 門司亮

    門司委員 ただいませつかく次長に来ていただきましてお話を承つたのでありますが、斉藤国警長官お話とほとんど同じようなお話であります。しかもその内容はきわめて抽象的でありまして、こういう大きな警察法改正しなければならない資料にならないわけでありますから、私はこの機会公安調査庁諸君にお聞きをしたいのでありますが、今お話になりましたものの対象は、大体公安調査庁としての仕事であつて、しかもその設置法の第三条に書いてあります破壊活動防止法に対する一つの活動の状況であると私は考える。ところが破壊活動防止法の第四条並びに第五条の規定を見てみますと、そういう場合が起つたときには私は相当な処置がされるようにできておると思います。今までのお話を伺つておりますと、ただそういうことを考えておるということだけで、実際的には処置も何もされておりません。私はそう考える。従つて治安状況については、そういう抽象的な、そうであろう、こうであろうということでは、私どもも、さらに国民の全体もおそらく私は納得しないと思う。もう少しはつきりした資料をこの際私は出していただきたいと思う。従つて右翼団体の団体名あるいはそれらの行動、綱領、大体の勢力—これは共産党に対しても同じであります。共産党がいかなることを考え、さらにいかなることをもくろんでおるか、これらについては公安調査庁といたしましては、今まで長い間かかつて相当私は調べておいでになると思う。そういう資料をこの機会に出していただきたい。そうして一々ここでそういうものを御説明なさるのは私は時間の関係もあるので、煩雑だと思います。そこで公安調査庁といたしましては、そういう今まで調査された—先ほど申し上げましたように、団体名であるとか、団体の綱領であるとか、あるい行動に対する問題であるとか、あるいはその団体の勢力であるとかいうようなものを、ぜひこの機会に明らかにしていただきたい。そういたしませんと、この警察法の、改正に対しては、われわれただちに納得する存には参りませんのので、これは治安関係を主として持つております。しかもその治安関係において、警察法改正に最も重要な役割を演ずるものは、やはり公安調査庁のあり方だとわれわれは考えております。従つて公安調査庁におきましては、そういう資料をぜひこの際出していただきたい。そうしてその資料に基いてなおわれわれが納得の行きませんところがあれば、それに対して質問を継続して行きたいと思うのであります。ひとつ委員長から資料の提出方をお願いしたいと思います。
  21. 横路節雄

    横路委員 私はただいまの門司君の点につきまして法務大臣にお尋ねしたいのです。二月二十八日の予算委員会で、公安調査庁の予算にからんで、私たちの党の予算委員である稻村順三君から、ただいまの点について、法務大臣に、公安調査庁ができてから、今日まで取扱つたところの事件に対する各団体その他についての資料の要求がございまして、この点については、私も当時門司委員予算委員会に予算委員として出ておりましたが、その席上で法務大臣は明確にただいま私は答弁できませんが、公安調査庁関係者にただちにその資料を出させます、こういうように言われて私たちはそのまま本会議に移つたのであります。この点につきましては当然予算委員会には資料を出されたと思いますけれども、なお重ねて本委員会に、国内治安状況の推移等からあわせて重要な資料だと思いますので、ぜひお願いをいたしたい。なお予算委員会に配付しておるならば、その残部について—余りがなければただちにそれを印刷をして私たちに配付してもらいたい。この点は法務大臣から明確にあの際に御答弁がございましたのでお願いしたいのであります。  なおもう一点私は高橋次長にお尋ねするのですが、実はあなたに来ていただいて、どんな話をなさるのだろうと内心思つてつたのですが、あなたのお話は、斉藤国警長官からさきに話を聞いたのと同じなので、苦笑を禁じ得ない。少くとも公安調査庁としてここに出たからには、昨年四月十五日の日本共産党の三十周年の徳田論文であるとか、あるいは十月末の第二十二回の中央委員会であるとか、そういうことではなしに、具体的に、こういう問題を取扱つた従つてそういう意味から非常に国内治安状況は逼迫しておるということをあなたの立場でお話をしていただかなければ、斉藤国警長官はおそらく困つた話をするものだと思つて聞いておつただろうと思います。私はそういう意味で、先ほど各委員からお話のございました点では、こういう組織、こういう組織で、おそらくこうなるのではないかという一つの推測で、どうも具体的な事例となつていないようでございます。本委員会としてはあの程度の話ならば、もうすでに斉藤国警長官から聞いておりますので、高橋次長が公安調査庁としてあの程度答弁しかできないということになれば、私は怠慢だと思う。公安調査庁が発足してから今日まで取扱つたものについて、明確に国内治安情勢について再度お述べをいただかなければ、意味をなさないと思います。大臣と高橋次長の二人に対してそれぞれ質問をいたします。
  22. 森田重次郎

    森田委員 関連して……。第一に秘密事項は一般に公開できないということもあるでございましよう。しかし一般に公開してさしつかえない実情の程度が、今の程度だということでお話になるならば、これはちよつと常識はずれな行き方であつて、その意味においても委員会をばかにしておるような感もしないでもないのです。そんな程度のことならたいていの人は知つていると思う。私らの聞きたいことは、もう少し具体的なことを詳細に知りたいということなのです。具体的でなければなぜこういうような非難のある警察法改正までするかということを国民納得しない。委員は別としても国民納得しません。その意味で私らはできるだけ詳細に知りたいということなのです。たとえば一つ一つ申し上げて見ますと、ただいま軍隊訓練をぼつぼつやつておるようだということですが、一体それはどんな方法で、どんな程度でやられておりますか、それを御説明願わなければ納得ができない。  次に武装蜂起というのですが一体武装蜂起した場合の具体的な方法なり、あるいは地域々々による方法なぞが、どんなふうに想定されているのかということ、あるいはここ四、五年間に起つた個々行動で、今申し上げる共産党一つの革命方法としての、連繋ある具体的現象の統計的な数字、あるいは方法、それから共産党の幹部に対して逮捕状が出ているようであるが、その後これがどんなふうになつて、なぜ一体逮捕ができないのであるか。これなどは警察のあれから見ると実に国民納得の行かないところです。逮捕状を出したならば、それはすぐつかまえられるものでなければならないはずであると思うのだが、今日まで杳としてその消息を知らない。この結末は一体どうなつているのか。そういつたようなこともわれわれは聞いておきたいのです。  それからさらに武装蜂起というのだが、その装備の大体の推定といつたようなものは、一体どういうふうな程度であるのか、あるいは各地区における武装蜂起が一斉に行われるというのであるならば、どういう地方はどの程度というようなこと、それからこれは一体ソ連の方面とはどんな関連性を持つているのであるか、それから北鮮人とわが日共との関係は一体どうなつて、それがソ連の世界革命とどういう関連性を持つか、こういつたようなこと。むろん私が今申し上げたことは、きわめて秘密事項にわたることが多いと思うのです。しかし今申し上げたことで、ある程度話せることが私はあると思うのです。またその表現の方法では、若干話さなくとも暗示される程度での表現も私は可能じやないかと思うのです。ですから、特に公安調査庁からおいで願つて、今話された程度のことでは、はなはだ不満足であります。この点大臣として、この委員会ではこの限度までは話せるのだが、これ以上はどうしてもほかの方法でなければいけないのだというならば、その際理事会なり懇談会で適当な進行の方法をきめてから、御進行願いたいと思う。
  23. 青柳一郎

    青柳委員長 政府答弁をお願いします。
  24. 犬養健

    犬養国務大臣 横路さん、森田さんにお答えいたします。まず便宜上ごめんこうむつて森田委員お答え申し上げます。  ざつくばらんのお話でありますが、今国警長官から申し上げましたように、これは一つの重要なことでございますが、ある地区ある地区から入手いたしました軍事地図のようなものを見ますと、米軍の所在地、その軍勢力、保安隊の所在地及びその軍勢力、警察の所在地、その勢力、暴力主義的破壊活動の方の動員人数、こういうものを照し合せた地図がございます。これは相当重要視すべきことで、この地図を現実に見せろということになりますと、何々県ということになりますので、どこから出たものかということになつて来まして、今後すこぶるやりにくくなつて来る。この点の機密保持しつつ、しかも国民の代表たるあなた方の御心配を晴らす、その中庸の方法はどうしたらよいか。先ほど来私が申し上げております委員長及び理事諸公において方法を御協議願いたいというのはそれなのであります。どうも今後も調べて行かなければなりませんので、今後も調べやすい方法において、かつ皆様に御理解を願う、その両方の調和ということを考えていただきたい。外国の国会でもそういう調和をはかつてつていただいているようです。この点をひとつ御協議を願いたいと思います。  それから横路氏にお答えいたします。いかにも予算委員会でお約束をいたしまして、即刻ここにおります高橋次長以下各部長を呼んだのであります。あのときは何かごたくした騒ぎがありまして、遂に発言の機会を失いましたが、私は予算委員長まで二度ほど、いつでも用意があるということを申し上げておいたのであります。ただ御了解を願わなければなりませんのは左翼、右翼について、どの団体を今調査対象物にしているという固有名詞の列挙については、あの当日においては、少くとも事務当局は難色があつたのであります。今後も調べて行かなければならぬので、団体客の列挙、発表はどうも少し躊躇せざるを得ないということでありまして、場合によつては、あの場合も予算委員長とその御説明方法について協議をしたいと思つておりましたが、何か大騒ぎが起りまして、そのままになつたような次第であります。決して誠意を欠いていたわけではないことを御了承願いたいと思います。
  25. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 はなはだお答えが不満足でございまして、まことに申訳ないと思います。個々別の何か具体的なことというお話でありますが、これは各具体的な御質問によつて、なおお答えすることといたしまして、公安調査庁が何をやつておるかという問題について、ごく簡単にわれわれの考えておるところを申し上げたいと思うのであります。(「公安調査庁の仕事など聞く必要はない」「何をやつたかということです」と呼ぶ者あり)公安調査庁が今日まで何をやつたかという点を御説明したいと思います。従来暴力主義的破壊団体につきまして、いつも歯に衣をきせたような表現しか用いられないでおります。またきようのお答えも非常に不満足だつたと思うのでありますが、要するに私どもは、それがはつきり言えるように、それを法廷に持ち出しても、どこでも主張できるように、こういうことで発足以来ずつと仕事をやつておるわけでございます。たとえば先ほどのいろいろな会議とかあるいは議題であるとか、そういうものにつきましても、先ほど申し上げたように、まだ今日ここではつきり申し上げることは、具体的にそういう事実があつたということは推定できますけれども、それをはつきり断定するという段階になつておりません。これをその段階まで持つて行きつつあるわけでございます。そういう点で非常に私どは陰で苦労しておるわけでございます。公安調査庁が今日まで何をやつてつたかという点は、そういう点もございますことを御了解願いたいと思います。
  26. 門司亮

    門司委員 今の答弁ですが、そういうことでは、これはどうしてもぐあいが悪いのです。私が先ほど申し上げましたように、公安調査庁がどの程度仕事をしたかというよりも、むしろ今どういう社会不安が助長されつつあるかということ、それを今ここでお話になることはいろいろめんどうでもあろうしするから、それをわれわれが知ることのために、一応予備知識として、どういうものを対象として、どういうふうになつておるか、いわゆる地下組織というものについて、右左を問わず、どういう地下組織が今あるのだということの内容を十分知つた上で、その上にさらにわれわれは検討して行きたい、こう考えておりましたので、実は資料を要求したわけであります。今あなた方の方は大体わかつておると思いますが、われわれの方には地下組織がどうなつているか一向わからぬ。共産党というもののあることは知つておりますが、その地下組織がどうなつているかわからぬ。従つてそういう資料に基いて、私どもはどうしても今の警察制度ではその治安保持することができないという納得の線がほしいのでありますから、私がさつき申し上げました資料は、この機会にぜひ出していただきたい。もう一つ聞いておきたいと思いますことは、先ほどの御答弁を聞いておりますと、まるきりめちやくちやでありまして、一体何が何だかわけがわからぬ。今森田さんのお話がありましたように、まつた委員会を侮辱するものであつて、何でもいいから法律を改正すればいいのだという態度に聞える。われわれも法律を改正するからには、何でもいいからおれたちのいうことを聞いて法律を改正しろといわれても、賛成するわけには参らない。従つてもう少し具体的の事実について、はつきりした答弁をしていただきたい。それには答弁のできないものはできない、できるものはできるとして私ども了承いたしますが、さつきの大臣お話について、必ずしも返事のできないものを返事をせよとは申し上げません。返事のできる範囲においてどういうものだつたかということ、それと同時に私どもが非常に奇異に感じておりますものは、この公安調査庁という制度ができる、これの対照になつております破壊活動防止法という法律が片方にある、この法律を二つ対照いたしてみますと、今お話のようなことは、この二つの法律で大体片づくのであります。もしそういう事態があるならば、公安調査庁が取締ることが十分できるようにちやんと法律ができておる。そういたしますならば、私は今日の制度の上においては、公安調査庁の十分なる活動と適切なる処置が行われれば、何も地下組織に対しても今急に警察制度改正しなければならぬほどの事態では私はないと思う。こういう疑念がありますので、ひとつ公安調査庁としてはただそういう概念的なことだけで—共産党が何かするであろうぐらいのことは、われわれ国民はみな知つております。あの団体が平和的な、民主的な団体であると考えておる人は私は少いと思う。右翼の諸君も、やはりあまりおもしろくない非常手段に訴えるであろうということは、だれでも知つておる。しかしそれがあるからといつて警察法をこう改正しなければならぬといつたところで、私ども納得するわけには参りませんので、公安調査庁はもう少し親切に、つつ込んではつきり言つてもらいたい。このことが納得できない限りにおいては、治安関係したこの警察法改正というものは、われわれは困難だと思う。従つて私は要約して聞きますが、公安調査庁におきましては、現行の公安調査庁の法律並びに破壊活動防止法の範囲内においては、これらの治安の確保ができないという断定を下されておるかどうかということを聞きたい。
  27. 横路節雄

    横路委員 関連して……。ただいま高橋次長は私の質問に答えて、いろいろ各団体について調査をしているが、これについては断定する段階ではないと言つておる。それは速記で明らかだ。断定する段階ではないのに、何が一体国内治安情勢が逼迫しているというような事態になるかということです。明らかに今の速記の中には、今いろいろな暴力主義的な団体について調査をしているが、これはこうだと断定する段階ではない、いまだ調査の段階である、こういうような団体は暴力主義適名団体で、これはかくかくであるという断定をする段階ではないと、公安調査庁の次長が言つておる。つまり一方では犬養法務大臣斉藤国警長官は、国内治安情勢については非常に逼迫しておると言つておる。ところが一方公安調査庁の次長は、まだそういう段階については断定する段階ではないと言つておる。一体どちらがほんとうなのか。私は先ほど言いましたように、だからこういう抽象的な話をこういうところで繰返すのでは、これはただ私が聞くだけではなしに、与党の方の委員の方だつて納得しないと思う。やはり大臣それから公安調査庁関係諸君もつと正確に、もつと明確に、しかも公安調査庁は今まで取扱つて来たのだから、はつきり言わなければ、この点についての審議は私はできないと思う。
  28. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 私は確かにまだ断定する段階でないというふうに申し上げました。しかしこれは決し君て大臣などの御答弁と矛盾するものではないと考えておるのであります。それは、私の方の公安調査庁の仕事は、団体規制まで持つて行くための仕事をやつておるわけで、そのために常時調査をし、それを手続に載せてやれるようにしておるわけであります。従いましていろいろな懐疑文書などがありましても、それといわゆる実在の団体との結びつきというものを確かめるまでは、私どもは最後的に断定するということはしないわけであります。しかし、そのような何かの団体かあつてこういう活動をやるに違いないとか、あるいはこういう文書を出しているということは、これはまつたく明らかなことと考えております。断定しないというのはそういう意味でございますから、御了解願います。
  29. 横路節雄

    横路委員 私は先ほどから法務大臣並びに国警長官のお話されているのを聞いていると、こういう暴力主義的な団体がある、その団体は明らかにこういうような一つ方針を打出して来ている、だから今にして対処しなければならぬとこう言う。ところがそれに対して、この団体はまだ暴力主義的な団体と断定する段階でないのだ、あるいは先ほど斉藤国警長官でしたか、高橋次長でしたか、明らかに今度の総選挙を通して、国民共産党軍事方針あるいは軍事行動に対して批判している、その国民の批判の上に立つて、第二十二回の中央委員会をやつたのだということを明確にしている。そうすると、これは国民全体の批判の上に立つて、彼らが今までとつて来た方針なり行動なりについて批判をして逐次それをかえて来ている。そういう情勢であるならば、これは国民が批判すべきものであると思う。そういう暴力主義的な団体かどうかということについては、国民政治的な意識、国民の生活の水準というようなものによつて国民自身がそれを批判すべきものであつて、そういうことについては認めておる。だから公安調査庁の高橋次長が、これは暴力主義的な団体かどうかわからぬ、国民が逐次批判して来ているので、そういうことをやつて来ている団体は、逐次その方向について転じているというならば、明らかに政府みずからが国内治安が逼迫していると言うのとは逆で、国民の批判に従つて彼らは方針をゆるやかに、平和的な手段に求めているということを、あなた方自身が言つていると思う。そういうふうに私はあなたたちの答弁から聞いている。だからその点について、先ほど言いましたようにこの団体についてはこうなつている、この団体についてはこうなつているという点を明快にされない限りは、私たちは、国民みずからが批判して暴力主義的な団体であると一応は考えられる、それからのものが逐次方針行動についてかえつて来ている、暴力主義的な激発ではなしに行つているというふうにどうも聞かされてしようがないから、もしあなたたちが治安が逼迫しておるというならば、もつと明確に話をしていただかなければならぬ、こう思うのです。
  30. 青柳一郎

    青柳委員長 ただいま門司君からの要求のありました資料の点につきましては、政府の御答弁をお願いいたします。
  31. 犬養健

    犬養国務大臣 公安調査庁の仕事の一番重点にある点、それゆえに国警の仕事とわけてある点は、団体規制の点であります。いろいろここに相当切迫した事実が収集せられても、その団体そのものを規制するかどうかということは、あくまで慎重にやつておりますし、これは政治問題ともからむのでありますげしかし一方治安状況個々の現象というものは、公安調査庁においても、国警においても、時々刻々調べておる。その方の取調べの角度から申し上げますと、先ほど申し上げましたように各県下における米軍の軍事力、保安隊の軍事力、警察の力、これに対応するだけの暴力主義的破壊活動の力あるいは工場、電源等において破壊活動の方に参加すると思われる同志ともいうべきものの人数、そういうものを一種の軍事地図的につくつておるということを、はつきり材料をもつて知つております以上は、相当国内治安については関心を持つことが国民に対する政府責任であると存じております。但しそれは何県のどの軍事地図からお前はそう言うのかということになりますと、入手の方法その他が場合によつてはわかることもありますので、そういう点については、委員長並び理事と御協議の上、どういう方法委員諸君説明義務を果し、同時に国家機密を守る義務も果そう、こういうことで申し上げているわけでございます。どうかその点について十分御協議を願いたいと思います。
  32. 川村継義

    ○川村(継)委員 今大臣から聞いた言葉ですが、さつきから長官あたりが説明していることで、これ以上聞く必要はないと思うのですが、私はひとつ資料をもらいたいのです。それはあるいは発表できない資料かもしれませんが、現行法でいつても、国家非常事態の特別措置というのが警察法にあるわけですが、これに関係して国警ではどういうような計画を持つているかということなんです。つまり共産党なら共産党の暴動が起つたような場合に、これに対する鎮圧、あるいは治安を守るという計画ですね。どういう実際の計画があるか。この場合に対処するための訓練は、現在どうやつているか。あるいはそれに対する警察隊員の配置状況というようなものはどうなつているのか。それに対する装備はどういうものを持つておるか。こういうようなことについて、ひとつ詳しい資料をもらいたい。でき得れば関東地区、あるいは近畿、九州と、三地域ぐらいにわけていいのですが、想定された鎮圧計画というようなものの資料をほしいと思います。委員長にお願いしておきます。
  33. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの非常事態の特別措置の計画、訓練、あるいはその場合の装備等の資料を提出するようにというお話でございましたが、具体的に図面に書いたものを出せと言われますと、これはちよつとごかんべんを願いたいと思います。抽象的に申しますと、ふだんの計画はわれわれの想定に基いて一応立てでおるわけであります。実際の場合はもちろんそれとかわつて参りますが、その基本になりますものは、治安が悪化して行つたならば、われわれのまず防護しなければならぬ対象はどれであるか。これには甲乙丙丁とございますが、一番かんじんなところは、産業上はどこであるか、あるいは政治的にはどこであるか、またどこを向うが一番ねらおうとしておるか。そこを防護するのには警察官が何名で足りるか、こういう段階ではここは何名、こういう段階ではここは何名、その配置の計画をふだんからつくつておく必要があるのであります。従つてそういうのをつくつておるわけであります。そこで、それでは警察官を配置するためにはどこからどういうふうに持つて行くか。その運ぶ車はどういう車で、何人ならば何台で運べるか。それに対するふだんの用意とか、その建物の防護の方法とか、そこへ移動をいたしますにも、ふだんやはりそれに基いて訓練をいたすわけであります。装備と申しましても、御承知のように警察官は、現在はピストルと、それから催涙弾程度でありまして、それ以外のものは持つておりません。最近消防ポンプ的なものを若干準備をいたしつつありますが、皆様の目に触れていない隠されたものは、警察は何も持つておりません。そうして実際の場合に、そういつた暴力がどのくらいのときには、どのくらいのものでやれるかということを想定して、ふだんの訓練をいたしておるわけであります。
  34. 青柳一郎

    青柳委員長 それでは午後一時半まで休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ————◇—————     午後二時八分開議
  35. 青柳一郎

    青柳委員長 再開いたします。  休憩前に引続き警察法案を議題として質疑を続行いたします。斉藤政府委員
  36. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 先ほど森田委員から、向うの装備であるとか、あるいは軍隊的な訓練をどんなにやつているとか、あるいはどういう武器を使用しようとしておるかという点を、もう少し詳しく説明するようにというお尋ねでございましたが、まず彼ら革命勢力が現在考えておりまする武器の点について申し上げますが、これはいろいろな向うの文書その他から考えまして言い得ます事柄は、一般的にはその武器というものは、何でも武器に使え、農家の持つているすき、くわでもあるいは竹やりでも、そういつた自分でくふうのできるものは何でもあるから、それを存分に使うように訓練せよということが一つ。それから武器を持つているところは駐留軍、予備隊、保安隊、警察である。これらの武器を、そのときになれば奪え、そして自分のものとしてこれを使え、ふだんからそういう高度の武器は必ずしも持つていなくてもよろしいのだ、ただその使用方法を十分会得しておく必要がある。かような意味から、昨年の夏ごろも保安隊の持つておりますブローニング機関銃の図解図を下部にずつと流して、分解、使用方法を詳しく図解図で示しております事例があります。ピストルの操法というものにつきましても、ひそかに集まつてその操法を会得するような講習会をやつたという、現実にわれわれの知つておる例もたくさんあるわけであります。さらに最近はピストルを自分らの方でつくる—小さな町工場のようなものですが、そういうものをつくるようにという指示もあります。ダイナマイトの収集はもちろん申し上げるまでもございません。また自製の火焔放射器のようなものをつくる訓練をさすというような指示も一、二入手しております。しかし現実に、たとえばどこでピストルとかあるいは火焔放射器というものをつくつているかということを現認いたしますることは、非常に困難なのであります。しかしそうだからといつて、そういうようなものが全然使用されないと安心しておれるかどうかと申しますと、過去の例に見ましても、昨年の上半期のあの火焔びん、あるいは竹やり、あるいは拳銃というものも、その以前に流されておりました文書の通りにそれが使用されておるのであります。われわれの情報、あるいは得た一部の資料から推測するということは、過去の事例から考えましても、決してそんなことはおかしなことだといつて捨ててはおけないので、むしろこれが実現をして来る可能性がほとんど九十九パーセントだ、こう考えざるを得ないのであります。武器の例といたしまして、たとえばこの間の吹田事件の際に—これは武器と訓練とを合せてでありますが、吹田事件の際に、豊中のグラウンドに集まりました数千人の者が、夜中に二手にわかれて、一方は山道から、一方は電車を強要して、山手を行つた者は数里行軍をし、吹田のところで合流をしたのでありますが、この際のあの大衆の指揮の仕方、それから吹田へ現われて来ましたときには、突如竹やりを全員が持つて、八列縦隊に並んで出て来たのでありますが、集まつたときには何にも持つていなかつた。途中にそれを隠し、途中で装備をして、そして八列縦隊の竹やりを持つた者が警察と正面にぶつかつたという。あのときの八千人とか七千人という大部隊の訓練をしたことは—あれが一つの訓練でもあつたと思いますが、以前には確認はしておりませんが、それらを指導する幹部の連中がときどき集まつて、あるいは山奥で、あるいは家の中で、そういつた幹部の指導訓練を相当やつてつたということを認定せざるを得ないのであります。一人か二人の命令者があの八千人を堂々とあそこに部隊行動をとらせるということは、ふだんの訓練がなければできない。そういつた訓練みたようなものは、大部隊でありませんでも、幹部訓練というものはやはり今でもちよいちよい行われておるのであります。ごく最近も奈良県の生駒で、前の参謀本部の地図を持つて、何人か集まつて訓練をしたという実績がある。何県でそういうことがあるというのは、われわれ現実に触れておるのであります。ただそういうことで集まつたということだけでは、法の規制が現在でき得ません。これについて、それ自身を処罰する—公安調査庁で団体規正令にかけるとか、あるいは何か暴力行為の予備として法をもつて処断ができるかといいますと、実際の今日の証拠裁判の上では、これは非常に困難であります。従つて現在たとえば公安調査庁は何をしているか、警察はなぜそれを取締らないかとおつしやいましても、今の法の関係では—それとわれわれの調査力という力の関係、この両方からでありますが、どうしても今すぐに現実その人間をつかまえて裁判所に持つてつて、有罪という判決を下すだけの実際の証拠があるかというと、そこまでの証拠には乏しい。しかしそうかといつて、それは全然ないものとしておれるかどうかというと、おれないというのが今日の現状なのであります。一昨日でしたか、岡谷支署の爆破計画の未然暴露というので新聞に出ておりましたが、ただいま取調べ中でありますから、これがどういう経緯で、どういうものでありましたかは、今この際は差控えさせていただきたいのでありますけれども、その際に穴蔵から押収いたしましたダイナマイトとその導火線、これをカンの中に入れ、包装をし、穴蔵に隠してあつたのでありますが、これはそこにおまわしをいたしますから、こらんをいただきたいと思います。これらは現実に犯罪の資料として二、三日前に押収したのでありますが、こういうものがちよいく出て参るというような事態でございます。  それから北鮮人と日共との関係はどうであるかということでございましたが、これは表裏一体の組織だと申し上げるのが一番簡明であろうと思います。日本共産党の何という組織に、どういう組織で入つているかということは、具体的にまた別個の機会に申し上げることがあろうと思いますが、まつたく表裏一体の組織でありまして、実体から申しまするならば、朝鮮の祖防隊あるいは民主青年同盟、そういつたような活動部隊が、むしろ共産党の第一線の軍事活動を受持つ相当大きな役割をしておると申し上げて、何の支障もないと考えます。  八幹部はどうしてつかまらないかということは、これは一つはわれわれはなはだ微力のいたすところという意味で、おわびをするよりいたしかたないのでありますが、いろいろの面でむずかしい点がございます。多くの党員が彼らのまわりに非常な強い秘密の組織を持ちまして、彼らのいる場所にいたしましても、本人と外部との連絡方法にいたしましても、最も大事な秘匿組織というものは十重二十重となつておりますので、非常にむずかしい点があるのでありまするが、これも一つは今の制度では非常にむずかしい点がある。各警察がそれぞれ分立をしておるからであります。それではこの八幹部のつかまらない責任者はだれであるかという場合に、国警の地域ならば各府県、自治体警察ならばそれぞれの自治体、従つて全国的に見た責任者というものはだれもない。(「だれもないことはない、総理大臣だ」と呼ぶ者あり)総理大臣はこの捜査について何の指揮権も権限も持つていないという状態でありますので、事実上の連絡を緊密にしてやる以外にない。事実上の連絡の緊密と申しましても、捜査をしようという熱と捜査の技術、それらに対する教養、訓練というものとが相まちませんと、なかなか効果があがらないのであります。普通のやり方でそれぞれ思い思いにやつて、ただ連絡を緊密にするというだけではいけない部面が多々あるのであります。  先ほど相川委員のお尋ねに、今日の治安情勢に対処して、現在の警察のままで困る点はどういうことか、それもあわせて述べろということがありましたから、あわせてお答えをいたします。抽象的に申しまするといろいろありますが、まず具体的にこの前の吹田事件の例をとつて率直に申しますならば、吹田事件の大体の情報というものは、割によく事前に入手されておりました。大阪管区本部もあるいは大阪の市警も、それから豊中、池田の警察も、同じ一つの情報を持ち寄りまして、その情報のもとに計画を立て、判断をし、一応の捜査本部も設けてこれに対処いたしたのでありますが、実際の場面になりますと、豊中の公安委員会の管理下において警察は働くという建前であるのでありまして、国警からも大阪の市警からも応援に参りましても、その指揮命令は豊中の公安委員会のもとで行うわけであります。豊中市といたしましては、この会合が無事に終ればそれでよいので、自分のところで事前にこれを検挙する、あるいは解散を命ずるということで事柄をこじらせては困る。従つて警察もそばに近づけないように、会合の状況はどういう状況であるかということを監視しに行くこともさせてはならない、応援部隊は数町離れたところで待機をしてもらいたいということで、管区本部や国警本部の考えておるようにはどうしても参りません。そこに集まつた連中が二方にわかれて散つて行くようだ、どういうように散つて行くのか斥候に出してほしい、市警の警察官を今晩あまり疲れさせることは、明日の競輪の取締りに支障を来すから、それは困るというようなことで、初めのうちに解散させて事なきを得るということができなかつたのであります。こういう事柄が過去の例としては非常に顕著であつたわけであります。しかしこういつた事件が起つてしまいますと、それの鎮圧については比較的うまくあとの処理がなし得るのでありますが、事前にこういう事柄を調査し、事前に処理をするという場合になると、指揮命令系統が一本でありませんから、非常に困つた結果を招来いたすのであります。ことに事前調査という面におきましては、公安調査庁調査網もあります。われわれの方といたしましては、警備関係からそういつた聞き耳も立てておりますが、自警、国警の間には最近とみに連絡がよくなつたとは申しますものの、ほんとうに大事なところは、なかなかそうは行がないというので、この点にも大きな不備を感じておる。これは組織から来る当然の事柄であつて、非難をすることは酷だと考えるのであります。また経費の面から見ましても、市町村がこういつた面で経費を予算に計上されることは、非常に困難の模様でございまして、こういつた事件は国の事件であるから、市町村としてはそういう経費は計上されがたい。また場合によつでは、むしろそういうことはやつてもらわぬ方がよろしいのだ、それよりも、自治体警察であるから、自治体の繁栄が第一義であるという面が強く出過ぎる点も、制度上からやむを得ない点だと考えておるのであります。その他いろいろございますが、直接の国家的治安という面から考えまして非常に困つておる点はそういう点でございます。
  37. 門司亮

    門司委員 大体今聞ききましたのと配付の資料によつて共産党関係は一応わかつたのでありますが、斉藤君の今の国警長官としての答弁も、大体新聞に書いてあつた程度のもので、それ以上に出ていないと私は思います。ここに資料をいただきましたが、資料も大体共産党関係が多いのでありまして、単に警察法改正共産党を目的としたということなら、まだ私どもの意見を申し上げる段階ではございませんので、申し上げませんが、私はもう少しはつきりした資料がなければならないと思う。  もう一つ、この機会に聞いておきたいと思いますことは、公安調査庁では共産党だけをこんなに調査ざれたのか。大臣言葉で聞きますと、七百以上ものたくさんの右翼団体があるというお話でありますが、一体右翼の団体をどう調査ざれたか。今の日本の現状からいいますと、私はいろいろなことが考えられるわけでありまして、左翼が伸びるか、右翼が伸びるか、きわめて危険な状態日本はおかれていると思います。従つて、われわれといたしましては、左翼ばかりでございませんで、右翼団体がどうなつておるか、この点について、国警でもよろしゆうございますが、公安調査庁の方で大体お調べになつていると思いますので、この点をひとつお聞かせを願いたいと思います。
  38. 横路節雄

    横路委員 関連して—私は公安調査庁の高橋次長にお尋ねしたいのですが、二月十六日付の朝日新聞に「公安調査庁は何をしている」という表題で、その中に件数があげてあるのです。この七箇月間に破壊活動防止法が発動されたのは、不穏文書の頒布で破防法違反に問われて起訴された者がわずか十五名だけで、団体に対する規制処分は一件も行われていない。このことが事実かどうか。不穏文書の頒布で破防法違反に問われて起訴された十五名というのは、内容はどういうものか。もう一つ、そうすると、あれほど大騒ぎをして破防法をつくつて公安調査庁なり、公安審議委員会でやつたんだが結局こういう件数から見ると、わが国の国内治安状況というのは、率直に言つて波静かではないか。公安調査庁の今までやつた仕事から見ると、どうもそういうふうに考えられるのですが、いかがですか。
  39. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 ただいまの御質問お答え申し上げますが、今日までにいわゆる破壊活動防止法違反で起訴されている者は五件、八省と承知しております。それから団体規制の請求を出したものはまだ一件もございません。それであれだけ大騒ぎをした破壊活動防止法で、非常に活動が少いのではないかというお尋ねでございますが、表面に現われた数字は、ただいまも申し上げた通りで、確かに非常に少いのであります。この破壊活動防止法違反として処理いたします事案は、これはいわゆる警察と検察庁の調べによりまして、直接裁判所に起訴する事案でございまして、公安調査庁の方ではもちろん常時緊密に連絡しておりますけれども、直接その方を担当しておるわけではないのであります。団体規制の方につきましては、これはいろいろ団体規制のやり方もあろうと思いますけれども、いかなる場合におきましても、団体の規制ということはいろいろ論議されましたように、非常に重要な措置でございます。それとともに、それに要しまする手続あるいは証拠というようなものは、非常に厳格に考えられなければならないというふうに考えております。たとえば日本共産党を解散するというようなことを考えてみましても、それは非常に厖大な組織に対して、非常に困難な調査を積み重ねで行つた上で可能になるわけでございまして、それが破壊活動防止法ができたから、すぐにそういうふうに発動するということにはなかなか参らぬと思つております。それで私どもの仕事といたしましては、そういうふうなことをも可能であるように、常時非常に厳格な意味での証拠を現在積み重ね、かつ整理いたしておる段階でございます。表面には現われませんけれども、これは警察のいわゆる警備あるいは情報というような、そのときどきに役立つというような仕事と違いまして、まつたく別の分野でございまして、この件数に現われないということは、従つて必要でないのであるというふうには、実は考えられないと思つておるのであります。  それから右翼に関しますお尋ねにお答えいたしますが、公安調査庁は、もちろん左翼だけではなくて、右翼に対しましてもいつも注意しております。ただ一般に右翼と申しましても、いわゆる町の暴力団というようなものにつきましては、政治目的を欠くという意味で、破壊活動防止法対象になりがたい点がございますので、そういうものは私どもの一般的な調査の段階でわかりますれば、警察の方に御連絡をして、その活動に資するということで処理する程度でございます。それ以外にいわゆる政治目的を掲げておりまして、そのために暴力行為も辞せないという意味の右翼の団体が、私どもの面接調査対象になるわけでございまして、これにつきましても、常時査察内偵をやつておる次第でございます。
  40. 門司亮

    門司委員 今の御答弁ですが、調査をやつておるということだけではわかりませんので、一体どの程度調査が行われて、どうなつておるかどいう具体的なものを、この際示してもらいたいと思います。
  41. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 これは全国的に見ますと、一人一党的なものも含めまして非常に多数ございまして、一応約七百五十という数字が出ておるのでありますが、その中で一つの例として日本民族擁護会挺身隊というものの例をお答えいたします。これは岐阜にございまして、昭和二十一年の十一月十八日組織されたものでございますが、隊旗を中心に団結しておりまして、その隊旗の真髄ということで、わが隊旗のおもむくところは、大にしては外攻、内乱、悪思想等はもちろん、小にしてはいかなる不退の徒に対しても、隊員の生命のある限り完全にこれをせん滅せずんばやまざるものであるというふうな、いわば綱領を掲げております。一応団体員は約二百名といわれておるのであります。
  42. 門司亮

    門司委員 私どもの聞いておりますのはそういう実際の内容から警察法改正をしなければならぬかという一つの立場を、今お聞きしておるのであります。従つてそれらの一つだけの例をお話になりましたが、この際も、一つつつ込んで聞いておきたいと思いますことは、公安調査庁といたしましては、そういう事件があるが、しがしこれについては公安調査庁調査をして、さらにこれを法に照してさばいて行くということは、今の段階ではできないのだということは、斉藤君の答弁と非常に大きな関連性を持つておりますが、斉藤君の今までのお話を総合して私の方でかつてに解釈してりくつをつけて行きますと、公安調査庁の方でいろいろ今まで発表いたしましたような事態があつて従つてこれについては警察法改正しなければならぬという考え方のように聞える。もしそうだといたしますると、公安調査庁というものはほとんどいらぬということになつて、これも警察の中に入れても大して効果はないと思う。しかも公安調査庁内容は、非常に重要なものが中に含んでおりまして、これを十分に事務を遂行することのために、相当な金額の報償費が出せるようになつておる。場合によつては民間を、動員するという言葉は少し当らないのですが、民間の協力を得ることができ得るような、これは機密費といつていいか何というかわかりませんが、相当な費用が出ている。そういう組織を持つたこの公安調査庁であり、しかもその対象とするところは、破壊活動防止法に書かれておる一切のものである。ことに破壊活動防止法の中にあります四条、あるいは五条がこれの適用の対象になるということになつて参りますと、ここで公安調査庁の四条に書いてあります本来の使命というものが、十分に達し得られるといたしますなら、今国警の斉藤長官が心配しておるようなことは、私は未然に当然防ぎ得るものではないかということが考えられる。そのことのために破壊活動防止法という法律ができておるのです。それに基いて公安調査庁というものができておると考える。私はそう解釈するのだが、しかし今の公安調査庁の考え方では、とても公安調査庁だけでは治安は保てない、どおしても警察法改正が必要だという根拠を、もう少しはつきりここで示してもらいたい。
  43. 横路節雄

    横路委員 関連して……。
  44. 青柳一郎

    青柳委員長 ちよつと申し上げますが、治安状況の聴取について、まず聞こうということになつております。それに重点を置いて御質問願います。
  45. 横路節雄

    横路委員 ただいまの門司委員質問と関連して、私公安調査庁の高橋次長にお尋ねしたいのですが、ただいま門司委員からもお話がございましたが、昭和二十七年度に公安調査庁では、いろいろな団体の調査に当つて、報償費といいますか、そういうものが相当組んである。この点は二月二十八日の予算委員会においても、私たちの同僚議員である稻村順三から、法務大臣質問があり、法務大臣はそれに対して、いろいろそれぞれの報償費を使つている。その点についてたしかその内訳等についても調査要求があつて法務大臣はこれについても即刻公安調査庁の方と連繋をとつて、これに対する資料について提出いたしますと、こういうことになつておる。それでこの点は、私はただいま門司委員質問と関連いたしまして、非常に重要な点である。従つて公安調査庁は、先ほど私もお尋ねをしているのですが、まず第一点は、その点を高橋次長からひとつ答弁をしていただきたい。  第二点は、どうお聞きいたしておりましても、とにかく七箇月間で、まだ団体規制に関しては一件も取扱つていない。これは非常にけつこうだと私は思う。何もあることが望ましいのではないから……。そうするといわゆる破壊活動防止法に規制されているところの、暴力主義的な団体に対する規制が、まだ一件もないということは、言いかえればすなわち心配がないということなんだ。私が高橋次長にお聞きしたい点は、暴力主義的な団体はあるのだけれども、実際はまだ報償費が足りないのだ。何千億もあつたら一ぺんに規制して見せるというのか。手足になつて働く者がないので、実は警察法改正で、特に警察庁の職員について特別の動員をしてやつてもらうというのか。その点金が足りないというのか、それともあなたの方が不勉強だから、団体に対する規制ができないというのか、手足がなかつたというのか。それともまあ今の段階であるならば、この程度国内治安については心配がないというのか。それが第二点です。この点ひとつ関連してお尋ねいたします。
  46. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 警察公安調査庁との関係につきましては、これは私ども情勢判断、あるいは見通しというようなことにつきましては、警察側と常時緊密に連絡しておりまして、その間に少しも食い違いがないようにいたしております。それから破壊活動防止法で、事前に団体を規制すれば、それによつてそのあとに起るべきいろいろな事件が未然に防止できるのである。もし破壊活動防止法が十分に働けば、警察の増強といつたようなことを考えなくてもよいのではないかという問題でございますが、これは私は決してそうではないというふうに考えておるわけであります。一つの根拠といたしまして、破壊活動防止法による団体規制の場合は、占領中の団体等規正令の場合と違いまして、規制処分をやりました場合にも、その執行方法というのはまつたくございません。従いましてそれに対する違反というものは、全部いわゆる刑事事件として処理されることを前提としておるわけでございます。それから現在刑事事件として、破壊活動防止法違反に問われているものは、先ほども申し上げましたように五件、八名というような、非常に僅少な数字でありますのは、これは私としては一つ理由があると思つておるのであります。それは私どもの方で、現在調査しておりますような、いわゆる団体の調査ということが徹底いたしませんければ、その団体との結びつきにおいて、個々の破壊活動をやつたところの、いわゆる破防法違反というものを検挙することに非常に困難が伴うように私は考えておるのであります。  それからもう一つ破壊活動防止法は非常に運用が困難であつて、役に立たないのだ、こういうふうな御疑問もあるいはあるかと思うのでありますけれども、私どもはさように考えておりません。非常に厳格な、いわばきゆうくつな法律でございまして、運用について幾多な困難が伴いますけれども、それでは動かぬ法律かというと、それは動くと申し上げるべきであると考えておるのであります。最初の御質問については大体そういう点であつたと考えます。もし脱けておりましたら、またあとでお答えいたします。  それから次の御質問で、報償費の問題につきましては、先ほど大臣からも答弁がありましたように、当時大臣からただちにお答えをするということで、私ども参りまして、お待ちしておつたわけであります。そのときのお答えをかわつて私から申し上げたいと思うのでありますが、報償費は、左翼あるいは右翼等非常に多数の人に対して交付されるものでありますが、単価はどれくらいかというお尋ねもあつたように思うのでありますが、これは非常にまちまちでございまして、少いのは千円程度から、多ければ何万円というような程度に上ります。これらは直接情報提供者等に交付される金額でございまして、それに伴つて、いわゆる工作費というようなものが付随して若干必要でございます。それでその相手や金額をひとつ明らかにせよというお尋ねでございますが、この点は今後の調査上非常に支障がございますので、これはお答えをいたしたいのでございますが、いたしかねる次第でございます。
  47. 横路節雄

    横路委員 今の報償費の点につきましては、これは非常に重要なんです。少いのは千円程度、多いのは何万円というのですが、何万円についてもいろいろ限度がある。この際やはり直接情報を提供した者に対して、最高一体どれくらい支給されておるか、それからただいまの内訳についてはちよつとここでは申し上げられないという点も今お話がございましたが、私ども実際に懸念しているのは、警察法というものが、日本共産党の破壊活動に対する取締りであるという形で行われて、右翼に対する情報提供その他については、極端に言えばしていないのではないか、こういう懸念を私は実は持つわけです。これはあとで私の質問の番が来たときに大臣に聞こうと思つているのですが、そういう意味で、これはともすると日本共産党に対する情報提供者だけに、この金が使われているのではないか。そうしてみなが懸念している右翼団体に対しては、やつていないのじやないかという心配も実はあるわけなんです。そこで各団体の情報提供にあたつて、どれだけの金額を支出したかということを、私たちは実際にお聞かせをいただきたいし、資料も出してもらいたい。その点についてはあとで理事会並びに委員長との間で話合いをして処理をするというのであれば、それでもさしつかえありませんが、どうもその点の懸念があるのです。最高一体どれくらい出しておるか。このことについては今次長の方から最低千円、最高何万円とだけは言われましたが、まさか一千万円も二千万円も出しておるわけでもないと思う。その点はさしつかえないと思うので、最高の金額はどれだけ支給しているか、ぜひ明らかにしていただきたい。
  48. 犬養健

    犬養国務大臣 政府委員からお答えする間に、一言お断りを申し上げますが、政府は決して共産党その他左翼だけに神経をとがらしているものではありません。いろいろ国際間の軍国熱と申しますか、そういうものに対して必ずその時流に乗つて来るのは、各国ともに右翼的思想でありまして、これは十分国民に対して責任をもつて注意をすべき事柄だと思つております。決して片寄つたへんぱな処置はとつておりません。また先ほど政府委員が申し上げましたように、公安調査庁の団体規制というものは、非常に複雑な困難な仕事でありまして、また団体規制を政府が軽々になすべきものでない、慎重を期すべきものだというのが私の思想でありまして、これはむしろ横路さんにほめられるのではないかと思つているくらいなんであります。そうかといつて団体規制の数が少いから国内が平安であるつて警察法改正の要なしというようなお話になつて来そうな気もいたすのですが、もし邪推ならば大いに弁解を申し上げます。それはまたりくつが違うのではないか。これは横路さんよく御承知通りでありまして、先ほど申し上げたような情勢から言いますと、万一に備えておくということが大切である、こういう考えを持つておるのでございます。
  49. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 先ほど私が何万円と申し上げましたその金額はどうかというお話でありますが、これは五万円でございます。ちよつとお断りしたいのでありますが、報償費のやり方にも、たとえば継続的にやるものと一ぺんだけ交付する場合とございます。今申し上げましたのは前者の方の例でございます。
  50. 青柳一郎

    青柳委員長 委員の方に申し上げますが、現在本委員会治安状況を聴取いたしておるのであります。その点御了承の上御質問を願いたいと思います。
  51. 石坂繁

    石坂委員 ただいま委員長からの御注意もあつたのでありますけれども、きようの本委員会雪澤君が発言されまして、それに関連したいわゆる関連質問というので、相当時間をかけておるようであります。関連質問をお許しにならぬというわけにも参らぬでありましようけれども、伺つておりますと、必ずしも関連質問でないところまで、だんだん発展して行くような傾向があるのでありますから、もう少し関連質問を整理していただきまして、雪澤君の本来の質疑を続けていただくように希望いたします。
  52. 青柳一郎

    青柳委員長 承知いたしました。先ほど理事会におきましてお諮りいたし決定したことく、この委員会は午後は重ねて治安状況を聴取するということに相なつたのであります。その点について十分御留意願います。
  53. 門司亮

    門司委員 私は今の委員長の発言もありますので、率直にお聞きをいたしておきますが、これはいつまで聞いても結局今まで新聞に出ている程度ぐらいしか、実際はわからぬのであります。あとここにもらつた資料を見れば多少出ているかもしれませんが、従つて私はもし当局が公の席で説明ができないというようなことがあるならば、むしろ私は当局の方から進んで秘密会なら秘密会を開いて、なおよく実際の調査をしたいということならば、やはり当局自体も治安の問題については尽力すべきだ患う。ただわれわれの方では今の範囲でいくら押問答しておつてもこの範囲を出ないと思う。ところが今までお聞きをしております範囲では、実際上の問題として、かりに警察法自体を考えてみましても、どうしても治安状況の上から、この警察法改正しなければならないという結論を得るだけの資料にはならぬと思う。これはどなたがお聞きになつてもならぬと思う。従つてこれをもう少し聞こうとしても、午前中からずつと続いておる応答を聞いておりましても、同じようなところを行つたり来たりしているのでありますが、当局は一体これ以上話すことができるというなら話を聞きますが、話ができないというなら、秘密会なり何なりにおいて、はつきりしたことが言えるという自信があなたの方にありますか。
  54. 青柳一郎

    青柳委員長 今のは当局に対する御質問ですか。
  55. 門司亮

    門司委員 用意があるかないかということです。
  56. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 大体私なりその他からお答えいたしたのでありますが、具体的な資料、それからさらに内部の組織という点になりますと、やはり秘密会にでもしていただくか、大体の模様はそれでわかつたからよろしいということでありますれば、私の方からこれ以上進んでぜひ秘密会にしてくれとは申し上げませんが、もう少し聞きたいということでありますれば、秘密会において申し上げたいと思います。
  57. 門司亮

    門司委員 当局の答弁がそういう答弁なら、この会議を続けて参ろうと思います。一日でも二日続けて参る。そちらから要求すればと言うが、私の方でわかつているなら聞きはいたしません。わかつてないから質問するのである。従つてその質問に対してわれわれ納得の行くだけの答弁ができない。事治安関係する問題でありまするから、私どもこれを酌量して、あなた方で公の場合には言えないということがあるなら秘密会にしてもかまわぬから、それを話される用意があるかということを親切に聞いておるのに、斉藤君からそういう答弁を聞くならよろしゆうございす。委員長にお願いして、ここで二日でも三日でも聞きたいと思いますから、これからの治安問題についての質問を続行いたします。  先ほどからいろいろ言われておりまするが、たとえば治安状況を全部われわれが納得の行くようにしてしまいまするには、先ほどから報償金の問題も出ておりまするが、これについては委員長治安状況の外だと言われておりますけれども、これも治安状況の中のきわめて重要な問題であります。そういう民間の個人を秘密に使つて、いわゆるスパイ政策を行わなければ治安が保てないほど、治安状況が紊乱しているかどうかということであります。これは明らかなスパイ政策であります。こういう事態を当局が発表できない、そちらで秘密会を要求するなら話してもいいと言われるが、そういうスパイを使用しなければならないほど、治安が乱れておるかどうかということの立証をすることを、公安調査庁からはつきり言つてもらいたい。
  58. 犬養健

    犬養国務大臣 当局といたしましては、警察法改正の御審議をお願いいたします以上、あくまでもそれに必要な状況説明申し上げることが義務だと存じます。午前中も申し上げましたように、事機密にも関係いたしますので、これ以上のことになりますと、秘密会をお願いいたしたいと存じまするしかし先ほど申し上げた共産党の対策について、ある県ならある県における保安隊の軍事勢力、米軍の軍事勢力、警察の力その他と共産党の力とを力関係で合せた軍事地図その他ができておりますが、その現なまのものを秘密会で見せろということになりますと、これは多少当局としても秘密保持上躊躇する点もあるのでありまして、外国の国会でもそのようでありますが、そういうことでなく、もう少し話したいけれども、どうも公衆の前では少しはばかるという程度のことは、もちろん誠意を尽して申し上げたいと思います。  もう一つ、これは蛇足と存じますがお許しを得て申し上げますが、先ほど雪澤委員の、治安状況はどうであるかという御質問からだんだん間口から奥行きが広くなつてしまつたのでありますが、その間に多少言葉の誤解が起りまして警察法改正は、共産党対策のためにやつておるのだというふうになつて参りましたが、当局の答弁の仕方もおそらく不十分なんでありましよう。しかし本会議でしばしば私が野党の諸君のおしかりを受けながら答弁いたしました要旨は、もちろん治安情勢上もそうであるが、国家警察、自治警察の一本建から生ずる管轄区域の相違から生まれて来る盲点というものは、制度の微妙な運用だけではいかんともすべからず、従つて制度そのものを改正しなければならぬということを申し上げてあるのでありまして、もう一つは私の提案理由説明に申し上げましたように、これまでのように命令系統が不明確であつて責任の所在が不明確であると、どうしても責任が方々に押しつけられるような形になつてうまく行かないので、責任の明確化ということも、今般の警察法改正の主眼点の一つであります。これらのことはすでに申し上げたのでありますが、今日は妙に議論がずつと一本調子に入りまして、私の答弁も悪いのでありましようが、しかしそういう点の誤解のないよう御了承を願いたいと思います。
  59. 高橋一郎

    ○高橋(一)政府委員 私どもは、先ほど来申し上げております通り、情報提供者に対しまして報償金を交付しております。これは今日の情勢におきましては絶対に必要である。この方法がなければ私ども治安情勢ほんとうのところをつかむことはできないと考えております。
  60. 森田重次郎

    森田委員 議事進行について。今までの質疑で大体明瞭になりましたのは、政府がこれ以上治安状況について説明するには、どうしても秘密会へ移行しなければならないということなんです。あといろいろの御議論もありましようし、質疑もありましようが、それはまた後日の機会に譲るということにいたしまして、私らはきようは治安ということだけを、もつと詳しく聞きたいというのが願いなのでありますから、大臣も、秘密会ならばさらに一歩を踏み入つて説明することができるとおつしやるのですから、きようはこの程度で秘密会に移していただいて、治安状況に対するもう一歩進んだ説明を聴取いたしたいと思います。どうかそういうふうなおとりはからいを願います。
  61. 横路節雄

    横路委員 議事進行について。今犬養法務大臣から、警察法案についての提案は、大体共産党対策ではないかという誤解があるというお話ですが、私は斉藤国警長官説明された内容について逐一ノートに書いてある。この書かれた内容共産党以外に何もない。昨年の四月十五日の共産党の三十周年記念から共産党の第二十二回の中央委員会における軍事方針から、吹田事件から、全部そういうことしか話してない。そのことが一つと、もう一つは、今森田さんからのお話だが、われわれの資料要求したその他が全部ここに提示され、もつと具体的な内容について話ができるというのであれば、私も秘密会はさしつかえないが、もし秘密会をやつたところが資料は依然として出さない、同じような話が繰返されるというのであれば、このまま委員長の方で適当に整理されて、次の質問者から逐次続行される方がいいと思う。従つてこの点は犬養法務大臣の決意いかんである。秘密会でも資料は出さない、答弁はできないというのであれば、秘密会には私は了承できない。
  62. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えいたします。まず第一点について横路委員お答えいたします。警察法改正しなければならぬゆえんというものは、すべてあげてこれ私の提案理由がそれでありまして、ただいま御指摘になつた斉藤政府委員の話は、先ほど申し上げましたように、雪澤委員治安状況いかんとお尋ねになりましたので、治安状況はこれこれだという答弁なのでありまして、その点は御了解を願いたいと思います。  次に、たびたび申し上げますように、治安状況について申し上げることが、政府国民に対する義務と思いますが、事柄が事柄でありまして機密を要する部分もあります。従つて横路委員がこれからどういう資料を御要求になるかわかりませんが、一から百まで全部はいと言つて出せるかどうか、これはどうも私として請合いかねるのでありまして、この点はできるだけ各委員において良識をもつて判断を願いたいと思います。
  63. 赤松勇

    ○赤松委員 議事進行について。私はやはり当局が秘密会を要求するならば、一応秘密会を開いていいと思う。今犬養さんが委員会のとりまわしについてあなたの希望を申しておられましたが、ぼくはそういう考え方はいけないと思う。あなたは、制度治安状況二つを併立させて、むしろ制度の方に重点を置くことによつて委員会の進行をはかりたいという底意があるようですが、われわれの方から言えば、むしろ制度の問題はあとまわしにして、この制度を必要とするかしないかという客観的情勢に対する分析なり把握というものがすべて前提になる。そういう意味からいうと、やはり治安状況というものを十分聞きまして、あるいは聞いた結果、私の認識がかわるかもわかりません。ですから、治安状況については、もうお役人式な答弁ではなくて、こういう状況にあるのだからどうしてもひとつ警察法は通してもらいたいと、当局の方から率直に言つてもらいたい。今も高橋政府委員お話を聞いておると、報償金の問題も言うことはできぬというのですが、これは間違つておると思うのです。予算執行の問題ですから、やはり予算の執行過程の内容については、議員としても聞きたい点がある。それから犬養さんは前に大胆に、大体七百万円くらい使つておるのだという発言をされたことがあるのです。ですから、そういうこまかいことはあまりいじくりまわしてやりませんから、これはひとつお役人式な考え方ではなくて、実際はこういう状況になつているのだということをもつと率直に言つてもらいたい。答弁の方も斉藤さんにしても、向うの政府委員にしても、どうもあの答弁の仕方では、この委員会は満足しません。ですから犬養さんはよくよく注意して、答弁なんかももう少し打合せをして、そうして委員会がスムースに進行するように、ひとつ注意していただきたい。
  64. 青柳一郎

    青柳委員長 それでは先ほど犬養法務大臣からの要望もあり、さらに森田君よりの提言もありますので、秘密会といたしたいと思いますが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 青柳一郎

    青柳委員長 御異議なしと認め、秘密会といたします。関係者以外の御退場を願います。      ————◇—————     〔午後三時十二分秘密会に入る〕     〔午後五時五十五分秘密会を終る〕      ————◇—————
  66. 青柳一郎

    青柳委員長 速記を始めてください。  これをもつて懇談を終り、秘密会を閉じることといたします。  この際公聴会開会承認要求の件についてお諮りいたします。すなわち目下本委員会において審査中の警察法案につきまして、公聴会を開会いたしたいと思いますが、衆議院規則第七十条により、公聴会を開こうとするときは、あらかじめ議長の承認を得た後に、その決議をすることになつておりますので、議長に対しその承認を求めたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 青柳一郎

    青柳委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。なお諸般の手続は、ただちに委員長よりとることといたします。その日時は追つて理事会に諮つて決定いたします。  次会は明後七日午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十八分散会