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1953-03-04 第15回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月四日(水曜日)     午後三時十五分開議  出席委員    委員長 青柳 一郎君    理事 鈴木 直人君 理事 雪澤千代治君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君    理事 横路 節雄君       相川 勝六君    阿部 千一君       加藤 精三君    佐藤善一郎君       中井 一夫君    石坂  繁君       森田重次郎君    大石ヨシエ君       赤松  勇君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 向井 忠晴君         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         自治政務次官  鈴木 善幸君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      後藤  博君         大蔵事務官         (理財局長)  石田  正君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      稲田 耕作君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 三月三日  町村合併促進のため特別立法措置陳情書  (第一六一三号)  同(第一六一  四号)  地方議会議員解職請求権に関する陳情書  (第一六一五号)  昭和二十七年度地方財政赤字補てんに関する陳  情書(第一六一  六号)  市町村民税改訂案に関する陳情書  (第一六一七号)  都市営交通事業促進に関する陳情書  (第  一六一八号)  市町村自治体警察廃止反対に関する陳情書  (第一六一九号)  警察制度の改革に関する陳情書  (第一六二〇号)  義務教育費全額国庫負担に伴う地方財政措置に  関する陳情書(  第一六三八号)  国庫補助公営住宅建設事業の起債わく拡大に関  する陳情書(第  一六九五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  九八号)  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二四号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三三号)     ―――――――――――――
  2. 青柳一郎

    青柳委員長 これより会議を開きます。  昨日に引続き地方税法の一部を改正する法律案地方財政法の一部を改正する法律案及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし質疑をいたします。  まずこの際、私より向井大蔵大臣に対して質問いたします。問題は地方公務員等昭和二十七年年末給与改善に必要な財政措置に関する件であります。昨年の十二月二十四日にこの委員会におきまして、本多国務大臣より政府を代表しての発言において、教職員を含み地方公務員の年末給与改善国家公務員と同様に、月額給与の〇・二五分を目途として行い、これが財政措置は後日考慮することを確約せられたのであります。その後本年に至り二月五日衆議院におきまして各党共同提案になる地方公務員等昭和二十七年年末給与改善に必要なる財政措置に関する決議案が上程せられ、これを、全会一致可決いたしました。当時政府におきましては昨年の回答と同様な意見の発表があつたのであります。この問題に関し、その後大蔵省当局におかれましてはいかに処置せられつつあるや、結論が得られましたか、その点について伺いたいと存じます。
  3. 向井忠晴

    向井国務大臣 ただいまの点の御答弁を申し上げる前に、事情を詳しく申し述べたいと存じます。  地方財政の問題につきましては、いろいろ問題がありまして根本的な検討を必要とするのでありますが、さしあたり本年度末の資金不足に対処する緊急措置として、資金運用部引受け二十億円、公募債三十億円合計五十億円の起債を認めることといたしました。資金運用部の現状は、二十七年度においては、資金増加額計画を下まわる心配がありまして、二十八年度におきましても限度一ぱい運用計画しておりますので、まつたく余裕は見込めないのでございますが、今回の措置は二十九年度への繰越しを二十億円減らして、資金を捻出することといたしたものであります。従つて運用部資金による地方公共団体に対する短期融資等を考慮いたしますと、運用部の運営は今後相当困難を生ずる心配がございますので、これ以上増額することはとうてい困難でございます。なお昭和二十七年度末の給与問題に対する御質問でしたが、この財政措置につきましては、国においても予算節約等によつて実施した経緯にかんがみまして、地方公共団体においても極力予算節約に努力されんことを希望いたします。
  4. 青柳一郎

    青柳委員長 質疑の通告がありますのでこれを許します。横路君。
  5. 横路節雄

    横路委員 私は大蔵大臣お尋ねいたしたいのであります。ただいま資金運用部資金から二十億円と公募公債から三十億円、合計五十億円というお話でございますが、この点につきましてただいまお話がございました教職員を含めて地方公務員の年末の〇・二五につきましては、私どもの算定いたしましたところでは、大体都道府県地方公務員が三十一億円、市の公務員関係が十一億円、町村公務員関係が約十億円、従つて〇・二五については約五十一億円ないし五十二億円いるというふうに私ども算定基礎数字について知り得ておるのであります。従つてただいまお話のありました資金運用部資金からの二十億円と公募公債の三十億円、合計五十億円につきましては、今お話のありました金額の総額は〇・二五に見合う金であるというように、私たち承知してよろしいものでしようか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  6. 向井忠晴

    向井国務大臣 ただいまの〇・二五とおつしやいましたが、そのほかの赤字をも含めてこの五十億円を使つてもらいたい、こういう考えでございます。
  7. 横路節雄

    横路委員 実はただいま地方行政委員長から大蔵大臣に御質問のございました〇・二五に関しましては、本地方行政委員会といたしましては、各党とも大体五十億なければ〇・二五についてはどうしてもこれを補填するわけに行かないというようなみなの話合いなのでございますが、五十億の中には〇・二五のほかの赤字も含んでいるということになりますと、この資金運用部資金の二十億円と、公募公債の三十億円、合計五十億円は、大体二十七年度の一般会計においての赤字がどれだけで、〇・二五についての赤字がどれだけと、もしもそういうようにきちつと計算をされて今御答弁があつたのでございますならば、この内訳についてひとつお話をしていただきたいと思うのであります。
  8. 稲田耕作

    稲田説明員 ただいまのお尋ねでございますが、〇・二五の所要額といたしまして自治体の方から出ておりますのは、ただいまお話のありましたように四十四億円程度でございます。そのほかにいろいろ合計いたしまして、地方公共団体要望額といたしましては、五百二十五億円というような厖大な要求があるのでございます。また私の方に対しまする自治庁としての要望額といたしましては、百六十三億円というふうな数字があるのでありまして、大蔵省といたしましても、資金部といたしましても、これは容易ならぬことでありますので、二十七年度の二月までの実績によりまして、原資がどのくらいどういう状況にあるのであろうかと検討を加えたのであります。ところが原資におきまして郵便貯金においては、増加の割合が順調でございまして、大体年度内におきまして計画を上まわる見込がつきました。そのかわり一方におきまして計画を上まわる見込みがつきました。そのかわり一方におきまして簡易保険郵便年金それから厚生保険におきまして遺憾ながら参計画までに満たないという状況にありまして、彼此勘案いたしまして大体十億程度計画を下まわるという状況にあります。従いましてこのままで行きます場合におきましては、二十八年度から二十九年度に移ります場合におきまして、繰越金が、計画では百二十億円といたしておつたのでありますが、それを下まわるような結果になりはしないかと思つております。しかし地方公共団体のお苦しいことは十分わかりますので、できるだけわれわれといたしましても、資金を捻出いたしたいと思いまして、繰越しから二十億をさきまして、今年度中にこれを引受けたいと思つたのであります。(「そんなことでわからないじやないか、もつとはつきり言わぬか」と呼ぶ者あり)いや説明いたしております。それでそのほかに公募のできるところは公募でやつていただくようにと思いまして、三十億公募を認めまして合計五十億で何とかひとつ苦しいところをやつていただきたいと思つております。
  9. 横路節雄

    横路委員 ここに自治庁長官おいででないのでありますが、ただいまのお話では〇・二五については四十四億の地方自治体からの要求だというのですが、この点について大蔵大臣にもお尋ねしたいのですが、自治庁長官からたしか〇・二五については五十億の要求があつて、それから公募公債について三十億の要求があつたと思う。ただいまの説明員お話では自治体からは四十四億の要求があつた、こういうのでございますが、私の聞きましたのは、一体この二十億、三十億、合計五十億のうち〇・二五による赤字が、なんぼあるというふうに算定されたのか、こういうことを私はお聞きしておるのです。今のお話ですと、ただ繰越一したらどうとか、郵便貯金がふえておるからどうとか、簡易保険郵便年金等についてはどうとかいうのですが、私のお聞きしておるのは、この五十億について、一体〇・二五についてはなんぼ見ておるのかということです。もう一ぺんこの点はつきりしていただきたい。
  10. 向井忠晴

    向井国務大臣 自治庁長官からは五十億足りない、それを何とかしたいそういうお話がありまして、それから二十億を運用部資金、三十億を公募でやつてくれ、そういうふうに話した次第でございます。
  11. 横路節雄

    横路委員 今大蔵大臣せつかくお話でございましたが、私は自治庁長官からお聞きしておるのです。ただいま大蔵大臣の御答弁なすつた点は、資金運用部資金から二十億、公募公債で三十億、しかし自治庁としては資金運用部資金からの五十億というものは、絶対に下げることのできない一線として大蔵大臣要求しておるのだ、その点については実は再三私どもにもお話があつた次第です。そこでただいま大蔵大臣お話ですと運用部資金からの五十億の要求を、それがいろいろな関係で三十億と二十億にわけたということですが、自治庁長官は私たちにはそういうふうに言つていないのです。長官は今いらつしやらないので大蔵大臣にその点を御質問しても困ると思いますが、重ねてお聞きしますが、〇・二五について一体赤字としてなんぼ見たのかということを今の説明員の方に聞きたい。あなたの説明では〇・二五について赤字がなんぼだということは、だれが聞いてもはつきりわからない。あなたが御説明できなければ、大蔵大臣を補佐なさるどなたかにはつきり—この点のために大蔵大臣おいでをいただいたのですから、その点ひとつ政府側からはつきり答弁していただきたい。あなたの説明ではわからないのです。
  12. 稲田耕作

    稲田説明員 お答えいたします。ただいまのお尋ねでございますが、二十億を〇・二五に対して見た次第です。またこの点は追つて自治庁側と私の方と協議することに相なつておりますが、こちらの大体の腹づもりとしましては、二十億を〇・二五の不足財源に充てるというつもりで善処した次第であります。
  13. 横路節雄

    横路委員 そうすると、今のお話資金運用部資金の二十億を〇・二五の赤字として見るというわけですね。その点間違いございませんか。はつきりしてもらわないと—あなたはこれから自治庁相談するというようなことを言つておるが、大蔵省としてはそうきめたのですか。
  14. 稲田耕作

    稲田説明員 大蔵省といたしましてはそのつもりでおります。しかしこれは大蔵省だけでなく、やはり自治庁との協議が必要だと思つております。
  15. 横路節雄

    横路委員 二十億をあなたのお話では大蔵省としてきめたのか、これから自治庁相談すればわくが動くのです。そのどちらをあなたは言うのか、さつぱり課長の話ではわからぬですよ。
  16. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいまの問題につきましては、なお大蔵省地方自治庁の方で御相談を要することと思いますので、その点は政府の方で十分両者協議の上で御回答あることを希望いたします。
  17. 横路節雄

    横路委員 今の私の質問した点ですが、ちようど自治庁長官大蔵大臣がおられますから、何でしたらそこで御相談なすつて答弁していただいていいのです。課長の話では、二十億ときめたが、自治庁相談してやりますということでは、相談をすれば自治庁長官としては、当然五十億なければ〇・二五は払えないから、もつとよこせということになるのですが、大蔵省はもつとはつきりした態度を示してもらいたい。大臣どうですか。
  18. 向井忠晴

    向井国務大臣 これは案でございますから、もう少し練つたらどうかと思います。
  19. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま大蔵大臣もそう言われておりますので、政府の方でもう少しお打合せを遂げられてから、御回答いただくことにいたしたい、こう思つております。
  20. 横路節雄

    横路委員 大蔵大臣が参議院の予算委員会に出られるので、時間が足りなければ本多さんにお聞きするのですが、〇・二五については今ここにある資料だけでも、全国都道府県で三十一億、全国市長会においては十一億、それだけで四十二億で、町村等において約五十億というのが、大体みんなの算定した基礎なんです。その点について二十億だけ見るということになれば、当然三十億足りないので、この点をどうするかは非常に問題だと思います。私は大蔵大臣お尋ねしたいのですが、公募公債の三十億といい、あるいは資金運用部資金の二十億といつても、結局はこれは国でいつかは見てやることになるのでございましようね。従つて適当なる時期に五十億円は、平衡交付金増額で見なければならないと私は思うのでございますが、平衡交付金については全然増額を見ないのか、平衡交付金について増額を見るとすれば、この点に関しての増額すべき時期はいつなのか、これは大臣から御答弁願いたいと思います。
  21. 向井忠晴

    向井国務大臣 御答弁いたします。これはあとから増額するというようなことをただいま申し上げるわけに参らないのでまことに遺憾でございます。ただ私どもの趣意としましては、地方団体でせいぜい倹約してつじつまを合していただきたい、ただいまはこれだけを申し上げておきます。
  22. 門司亮

    門司委員 私はきようは黙つて帰るつもりでいたのですが、今の答弁を聞いておつてつて帰れなくなつたのです。大蔵省の物の考え方はどうなんです。ざつくばらんに言いますが、四十四億といい、五十億といい、いろいろな数字は別にしまして、少くとも国家公務員に対して一応処置をした。従つてそれと同じような立場にある地方公務員にも、当然国の一つ施策として行うべきであると思う。これは明らかに国の一つ施策であります。従つて地方自治体財源措置をさせるということは無理だと思う。国がそういう施策を行つておいて、そうして地方に迷惑をかけるということであり、しかも国会におきましては、先ほどから横路君が話しております通り衆議院全会一致決議案に対して、大臣も何らか善処をするということを言われておる。このほかの、たとえば地方公共団体から出ております赤字の問題をどうするかということは、これはお互いに私どもはこの数字をまるのみにすることはできぬと思いますが、これはおのおの見方によつて、多少査定の必要はあると思いますが、少くとも国の施策として行つて参りましたこの〇・二五だけは、国の責任において片づけてもらいたい。一体大臣はこれを国の責任とお考えになつておるかどうか、その基本的な観念を大臣はつきり承つておきたいと思います。
  23. 向井忠晴

    向井国務大臣 国の場合におきましては、節約等でこれを支弁したいのでございますが、地方団体においてもそれでやつてもらいたい、それで足りない部分は、二十億の資金運用部資金をまわそう、そういう考えでございます。
  24. 門司亮

    門司委員 私はその考え方は非常に違うと思う。国の場合は、これは国の財政処置の問題でございますから、節約でお出しになることもけつこうだと思います。しかし今国の予算の中には、一体どれだけの赤字があるかということであります。地方にはこのほかにたくさん赤字を持つておる。従つて、その地方赤字にはいろいろの問題があると思いますが、先ほど申し上げましたように六百億近い数字が出ておる。それをわれわれはまるのみするわけには参りませんが、しかしこれを自治庁が百六十三億でありますかにかりに査定したといたしましても、地方におきましてはすでにそういう大きな赤字を持つておるということである。その上に節約してこの費用を出せとお言いになりましても、実際問題としては節約余地はないと思う。同時に、国の施策において行われました以上は、やはり国が責任を持つて解決するという態度大蔵大臣になければ、私はいつまでたつてもこの問題は片づかぬと思う。すでにこういうことになつて参りますと、これは地方公共団体に勤めております職員との関係でありますから、地方ではおそらく財政のいろいろな関係から、借入金その他で支弁しておるところがないとは限らぬと思う。もしそういうことになつて参りますと、国が地方に食言した形になつて来る。地方でかつてにこしらえた、というと語弊がありますが地方に自然にできて参りました赤字はしばらく伏せておきましても、国会において国として善処するということを大臣はつきり言われておる以上、やはり地方団体におきましては、国が何とか処置をするという考え方のもとに行われておるものだとして、借入金その他の形で支弁されておると考える。もし大臣の方でその支弁しておる場所を全部言えと言えば、私のところに資料がございますから申し上げてもよろしいのであります。二百七十幾つかの市あるいは町村で、どれくらいの市が未処置で、どのくらいの町村で出しているかというと、〇・二五の年末手当を一銭も支給しておらぬ市が三十三あります。そのほか一箇月のものが百幾らありまして、これが全部完了しておる市町村はほとんどないと言つていいくらいである。都道府県においても同じことであります。都道府県におきましても、すでに完了しておるのは、たしか六つかそこらだと思います。こういうふうに地方状態は窮迫いたしておりますので、国が責任を持つてやられる性質のものである以上は、やはり大蔵大臣としてもひとつ国の責任においてこれを解決すべきであるという御答弁をここでいただかないことには—数字は動かすというお話でございますから、この二十億の数字をつかまえて、いつまでも論じませんが、数字を動かすといたしましても国の責任においてこれを解決するということは、この際大蔵大臣から言つていただかなければ、こういうことになつて参りますと、地方財政の上に非常に大きな問題を起すと私どもは思う。国の施策に対して地方が協力できないという形になつて来る。従いましてひとつ大臣からこの点をもう少し—数字はよろしゆうございますから、答弁を強要するわけではございませんが、そういう意味でひとつお話を願いたいと思います。
  25. 横路節雄

    横路委員 委員長、今のに関連してちよつと……。私は先ほど答弁がございました三十億の公募公債という点は、明らかに現在の地方財政状態からいつて非常に困難だと思う。もしも大蔵当局公募公債三十億と言うのであれば、そここに石田理財局長もおりますので、この総体の金額は国の責任でやるという形においては、やはりこれは明らかに一つの仮定として地方債でやつて、当然この五十億については平衡交付金に適当なときに切りかえなければ、今門司委員からも言われたように、これは国の責任国会決議政府答弁してやつたのですから、あわせてこの点も—公募公債の三十億というものは、現在の地方財政からいつても非常に困難である、この点についてはひとつ考慮していただきたい。その点について考慮していただけるかどうか、この点もあわせて御答弁をいただきたいと思います。
  26. 向井忠晴

    向井国務大臣 初めの御質問に対しましては、国の公務員の場合に準じて払つてくれ、そういうことをきめましたので、必ずしも国がそれだけの責任を持つべきものかどうかということは、私は一応疑いの余地を持つているわけでございます。  それからあとの御質問に対しましては、ただいまのところ地方債でむずかしい分を資金運用部でもつて引受けようということは申し上げかねます。
  27. 門司亮

    門司委員 今の大臣の御答弁ですがこれは国に準じてと言われますけれどもこれは国に準じてという以外に方法はございません。国が命令して地方に出させるわけにも参りません。やはり国の施策の一環であつて、これは地方公務員であるとするわけには参りませんしことによけいなことでありますが、現在の地方行政の中には七〇%ないし八〇%というものが国の事務と言われております。きわめて国の事務がたくさんあるということであります。従つて地方公務員につきましても国と切り離して物を考えるわけには参りません。当然これはやはりそういう措置がとられなければならぬと私どもは思う。今横路君からお話があつたのでありますが、これをどうする、公募公債との関係でありますが、大蔵大臣考え方は別といたしまして、二十七年度のこういう措置公募公債その他でたとい三十億でもやるということになつて参りますると、二十八年度の公募公債に、これがしわ寄せされはしないかということになつて来る、そういたしますると、二十八年度の地方財政計画の上に、やはり大きな問題を投げかけはしないか、従つてこれはやはりそういう一つ官僚性を持つて参りますから、少くともこの場合におきましては、国がやはり平衡交付金その他の形で、これを支弁するということにしておきませんと、大臣はそんなことはないとお考えかもしれませんが、これは二十八年度に影響を必ず持つて来ると思う。少くとも三十億というものは—もう三月でありますから、この三月の月末にこれを公募公債でとつて、これが支払われるということになりますと、次の地方に振り当てられて来る公募債にかなり大きな影響を持つて来ることは当然だと思います。この兼ね合いだけは私どもといたしましてもはつきり聞いておきませんと、そつちに金を出してしまつたからどうもあとに行く金がなくなつてまつたということで、二十八年度の公募公債影響があるということでは、地方財政はなお困りはせぬかと思います。この点は先ほど横路君からお話をいたしました通り、これも空論みたいになるかもしれませんが、しかし大臣の方におきましても、今そういうことは言わないということでなくして、これもやはり当然措置をしておいていただきたいということであります。  念のために私、申し上げておきますが、私どもの手元にありまするごく最近の資料では、一・二五のいわゆる国と同じような支給をいたしておりまする市は十八しかありません。一箇月分しか支給してないのが百工、一箇月未満のものが百十市であります。これは市だけであります。全然支払つていませんのが1私、先ほど三十三と申し上げましたが、三十二市がこれを支払つておりません。地方財政はこういう状態です。私は少くともこういう地方財政であつて、国が一つ施策としてきめたものが、なおかつこういう状態でございまする以上は、やはり国が責任を持つて支払うということだけはひとつこの機会に大臣のお言葉をいただきませんと、地方行政委員会としては一体どうすべきか見当がつかなくなります。せつかくここでいろいろな問題を審議しておりまして、そうしてこれが本多国務大臣からのお話もあり、さらにそれを基礎として年末に支給されませんので、全会一致決議案として出されている国会決議、さらに国会の威信にも関係して参りますので、そうたくさんの支出ではないと思うので、今二十億の金が出せるならば、もう二十四億を出していただけば大体片づくのでありますから、この点だけはひとつ大臣の口からまげて処置をするという、はつきりした確答を得なければ、私どもこのまま二十八年度の地方財政に関する法律案を審議するわけに参らぬと思うので、重ねて申し1上げます。
  28. 赤松勇

    ○赤松委員 ちよつと関連して……。先ほど大蔵大臣は五十億のうち三十億を地方自治体節約によつて云々とおつしやいました。これも確かに一つの方法だと思います。それで大蔵大臣節約によつて三十億の捻出は可能だと、こうおつしやいましたが、どんなふうに節約するかその根拠というものを、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。前の門司君の質問にも答えていただきたい。
  29. 向井忠晴

    向井国務大臣 ただいまの御質問に対しましては、三十億は地方公募でやつてくれということを申し上げました。
  30. 横路節雄

    横路委員 私は実際こういうことを御質問するのは、自治庁長官である本多国務大臣に非常にお気の毒だと思うのであります。どうしてお気の毒かというと、お隣りには財政のひもをしつかり握つていらつしやる大蔵大臣がおるので、私がこういうことを聞くのは本多国務大臣にはほんとうに言うに忍びないのでありますけれども、しかし実際本多国務大臣は三月ほど実にこの問題で苦労なさつている。そこで先ほど事務当局の方からも、私どもは五十億であろうと思うが、自治体は四十四億あればとにかく〇・二五については済むのだというお話があつて、今二十億を資金運用部資金で、残り二十四億を公募公債でやるということに実際なつている。そうすると〇・二五について国家公務員に暮に払つてまつた、地方公務員にはまだ払わないから、全国で二十四億を地方公募公債でやるということは、これは自治庁長官として、こういうことをいかに大蔵当局で総体的な財政計画としておきめになつたとしても、これを全国都道府県知事にやるということは言うに忍びないと思う。そこで私はほんとうはここで私たちにこういうことではとても地方財政はまかなえませんと、自治庁長官から言つてもらうと都合がいいわけですが、それではお隣りにすわつていらつしやる大蔵大臣にたいへん相済まぬということになるかもしれませんが、まず最初に自治庁長官から大蔵当局がはじいた四十四億の〇・二五に対する赤字二十億は資金運用部資金で見たら、二十四億は公募公債でやるということについて自治庁長官としては非常にやるに忍びないと思うのですが、この点をひとつこの際遠慮なさらず、自治庁長官として、はつきりこの点お答え願つていただけば、重ねて次に私は大蔵大臣お尋ねしたい点がありますので、ぜひひとつ長官の立場をはつきりさせていただきたい。
  31. 本多市郎

    本多国務大臣 昨年年末国家公務員措置いたしましたものと同様、地方に対する財政措置は国の責任であると考えております。しからばその財政措置平衡交付金でなすことが今日困難でありますので、起債許可の方法によつていたしたいと考えておりますことは、この間も申し上げた通りでございます。その起債許可の中に資金運用部資金から持つて行くもの以外に、公募公債を含むということは絶対に不都合であるというふうには考えないのでございます。それは、従来も地方財政措置である財政計画の中に、公募公債も含んでおりましたので、絶対にいけないとは申し上げられないのでございますけれども、しかしこうした義務的な措置でございますから、その公募公債を割り付ける範囲は、消化確実な範囲でなければならぬということがいえると存じます。この問題につきましては大蔵省からも一応の案は出ているようでございますけれども、なお折衝中でございますし、さらにまた消化可能の限度というようなことにつきましても検討をいたしまして、急速に両省の間で話をつけたいと存じておりますので、しばらく御猶予願いたいと思います。
  32. 門司亮

    門司委員 今の本多大臣の御答弁で大体方針だけはわかるのでありますが、問題は公募公債といわれておりますが、今年は御存じのように地方財政計画の中には、公募公債が百八十億あります。去年より百億増しております。その上にこの三十億が加わつて二百億の公募公債というものの消化ができるかどうかということであります。私の心配しておりますのは二十七年度のこのあとの三十億を公募公債で行うということになつて参りますと、この本年度の財政計画の百八十億に、もし影響があるということになりますと、昭和二十八年度の財政計画もくずれて参ります。そうして今年は単に百八十億の公募公債だけではございませんで、そのほかに九十七億の政府のいわゆる交付公債があります。これらの消化が一体できるのかどうかということであります。もしこれができないということになつて参りますと、二十八年度の財政計画にひびが入つて来る。この点私ども十分考えなければならぬと思う。ただ単に起債を許すからそれでいいというお考えでありますが、これは大臣の御心配通りでありまして、消化の問題に非常に大きく響いて参ります。そこで自治庁として財政計画を立てたこの百八十億というもの、いわゆる昨年より百億多いのでありますが、この百八十億の上にもう三十億プラスするだけの消化の能力が、一体地方にあるかないかということです。この点は自治庁次長おいでになりますし、部長さんもおいでになりますが、一体どうなんです。消化できるということがはつきり答弁できますか。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの公募公債の消化の問題でございますが、今御指摘になりましたうちの交付公債九十七億の分は地方団体から国に少々まわして、国がそれを必ず受取つてくれますので、この点は心配がないと思うのでありますが、残りの百八十億の分は、別途御審議を願つております地方財政法によりまして、できるだけ公募の道を確実につけようということで、あのような制度の改正も考えておる次第でございまして、相当努力を要するとは思いますけれども、何とかなるであろうというふうに考えておる次第でございます。
  34. 門司亮

    門司委員 今の何とかなるだろうというのは、百八十億だけは何とかなるだろうという話で、私の聞いておるのはこの上に、もう三十億プラスになるわけです。それも何とかなるという見通しが、あなたの方につきますかということです。
  35. 青柳一郎

    青柳委員長 大蔵大臣予算委員会から要求がありますから、質問を簡単に願います。
  36. 横路節雄

    横路委員 今大蔵当局説明員から自治庁との間で十分話合いをしていない、こう言われた。十分話合いをすれば、まさか大蔵当局できめた案を、そのまま自治庁に押し付けるというものではないと思う。今自治庁長官からも答弁があつたように、公募公債三十億については、すでに地方財政のわくからいつて限界点を越えるのではないかという一つの懸念があるということは明らかである。今門司委員から指摘せられたように、公募公債昭和二十八年度においては百八十億見ておるわけでありまして、従つてそれはとてもたえられるものではないのですから、ぜひもう一ぺん今のおきめになられた案について、自治庁当局と十分話合いをして公募公債の三十億は他に求めてもらいたい。こういう点について地方財政の建前に立つて自治庁当局と検討してもらいたい。この点だけを強く要望し、できれば大臣のこれに対するお考えを述べていただきたい。
  37. 向井忠晴

    向井国務大臣 御趣旨はよくわかりました。それから地方自治庁長官がお困りになつているのもわかります。御趣旨に全部沿うかどうか、それはここで請合いかねますけれども本多さんとよく打合せして検討いたします。
  38. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 向井さんにすこぶる簡単に質問いたしますが、地方財政が窮乏に陥つていることは、よくあなたも御承知のことと存じ上げます。そこで、脱税の大口があることはあなたは御存じでしようか。主税局長その他の方面から見られたら、幾らでも大品の脱税があるんですがね。私ひとつ大口の脱税を摘発してもらうよう、あなたに申し上げましようか。私は今議員宿舎におります。あの議員宿舎に五十人ぐらいおります代議士は、サントリーウイスキーは全部にせものを飲まされておるのです。あとで見るとみなサントリーのウィスキーでないんです。うそのウイスキーだ。そこで私たちは寿屋へそれを申し込むと、寿屋はとぼける。一体あなた方と寿屋はぐるになつてつておるのか。とにかくあのサントリーウイスキーは非常に脱税をしておる。これを摘発なさつたら、今日の地方財政ももつとゆたかになるのではないか。なぜこういう方面にあなた方は御留意なさいませんか。この点を私は聞きたい。
  39. 向井忠晴

    向井国務大臣 御質問は私承りまして、よく注意をいたしましよう。
  40. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それから、たびたび門司さんがお聞きになりましたので、私はすこぶる簡単にお聞きしたいと思いますが、二十七年度地方財政赤字を何十億円程度と見積つて財政措置考えておられるのか。政府としては財源措置をどういうふうに今後考えていらつしやいますか。その点をお聞きしたい。
  41. 本多市郎

    本多国務大臣 私からかわつてお答えをいたします。地方財政赤字を幾ばくと考え財政措置考えているかという御質問でございますが、地方財政の実際運用の面から生ずる赤字につきましては、昨日も横路さんから御質問がありましたが、実はまだその調査が完了いたさないのでございます。それでは財政計画上の、つまり政府財政措置を講じなければならない範囲内において、どういう赤字を生ずることになるかということに限定いたしてお話し申し上げますならば、大体ただいまのところは、懸案になつておりまする年末措置に対応する財政措置が欠けている、これは国の責任でございまして、その点は欠けているということがいえると存じます。しかしその他のことにつきましては大体不可欠の費用は計上いたしていると存じます。ただ実際運営の面から生じました赤字は莫大な数字に上つておるということを市町村長会、知事会等から聞いてはおりますけれども、今その数字について自治庁で、なるべく正確な数字にしてお示しいたしたいと考えまして、調査しているところでございます。
  42. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それでは第二点、あと一箇月で年度末が終るのですが、大蔵大臣はその具体案を早急に地方自治体考えてやらないと、地方公共団体赤字財政で非常に困りますがこの点私は伺つておきたいと思います。
  43. 向井忠晴

    向井国務大臣 国が払うべきものが欠けておるか、あるいはそうでないかという点を、よく検討しませんとできません話ですから、それには時を与えていただかなければいけないと思います。
  44. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 しからば、時を与えよという、その時は何を意味しておるのですか。
  45. 向井忠晴

    向井国務大臣 検討する時間でございます。
  46. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 その時間はいつごろでございますか。
  47. 向井忠晴

    向井国務大臣 それは今御返事ができません。
  48. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 できないのですか。—それでは第三点、赤字公債とその融資をどの程度大蔵大臣は見積つていらつしやいますか。その点もどうぞ詳細に聞かせてください。
  49. 向井忠晴

    向井国務大臣 それは前に申し上げたと同じでありまして、国の払うべきものでしたならば、国が払わなければならぬ。そうでないものは、国としては引受けられないという点で検討を要すると思います。
  50. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 検討を要す、検討を要すとおつしやいますけれども、私は郷里が舞鶴ですが、現在各地方団体はもう破綻の一歩手前になつております。それでもよろしいのでございましようか、どうですこの点は。
  51. 向井忠晴

    向井国務大臣 国の払うべきものは払わなくちやなりませんと思います。そういう点で検討を要する次第でございます。
  52. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの問題に関連しておりますが、政府の見解、特に大蔵大臣の見解は、五十億だけは国が義務があるから跡始末をしてやるというのであるが、私はきわめて不満足な解決方法であると思います。一応政府はこれを考慮されたようでありますが、それ以外のものは政府責任がないと思うから、今日調査中だというふうにお答えになつておりまするが、私はそれ以外の赤字につきましても、国が相当責任がある、平衡交付金の算出自体におきまして、政府、特に大蔵省が独自の立場において計算をいたしておりまするために、大きな赤字を出しておると私ども考えておる。この部分に対しましては、少くとも大蔵省責任を負うべきである。いずれ自治庁が調査されまして、あるいは大蔵省検討しておられますから、これに対しては、私は明らかに責任をもつて補填していただくべきであると思うが、この点に対して大蔵大臣の御意見を明らかにしていただきたい。  さらにたとい国の義務がないという場合にいたしましても、今日地方自治体が、かような赤字を出しておるものに対して、大蔵大臣としてあるいは国の財政の見地から見まして、全然放任しておいてよろしいかどうか。それに対して何らかの対策を講ずべきではないか、ということを考えていただきたいのであります。直接赤字の生ずる原因にはならなかつたかもしれない。しかし現在相当な赤字を出して、これが地方に対して非常に大きな影響を与えておるという状態であれば、大蔵省あるいは国家といたしまして、当然これに対する道を講じてやるのがいいのではないか。地方自治体が立ち上るだけの道を講ずるのが、国として当然なすべき道ではないかと思う。国家は健全財政をとつておりましても、市町村が非常な赤字財政であれば、国全体としては決してよいものではない。国としてはやはりこの点に対しまして対策を講ずべきであると思うのでありまするが、どうも先ほどの御答弁によりますと、この赤字は国が責任がないから見ないのだというような御意見のようにも思われるのでありまして、この点ははなはだ私は不親切なやり方である、やはり国としまして、かかるものに対しましても、できるだけの努力はなすべきである、少くともその誠意を私は見せていただきたいと思うのでありますが、自治庁長官もそういう誠意を持つておられるように、かねがね承つておるのであります。今回大蔵大臣もおられまするから、早急にこの地方財政に対しましては、国家として対処すべきお考えをひとつ示していただきたい。金額につきましてはあるいは御調査なさらなければ言えないかもしれませんが、考え方についてひとつお示しをいただきたいと思います。
  53. 向井忠晴

    向井国務大臣 五十億とおつしやいましたが、五十億としても、国が責任を持つというふうには私は考えていないので、五十億の程度で苦しいところをしのいでやつてもらいたいというふうに考えておるのでございます。それからその次の点につきましては、国が健全財政を行つていると同じように、地方においても健全に運営をしていただきたい、そういうふうに考えておりますので、苦しんでおられるのをむろん伺つておりますし、またこれに御同情いたしますが、ただちにこれを国で引受けて行かなければならないということは、今の財政上の事情から不可能のことでございますから、これについてはお引受けをするということは申し上げかねるのでございます。
  54. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの御答弁は少し無理があるのではないか。国では義務がないと思うけれども五十億は払つてやるのだ、相当国が誠意を示したものだというふうにお考えになつておりまするが、この点はどうも少し納得が行かない。五十億か四十五億か知りませんが、ある程度までは国が相当の責任があるのではないか。またその他のものにつきましても、国の一般の予算等から見て参りますると、まだまだ誠意を示し、努力をさるべき余地があるのではないか。少くとも何らかの対策を講じなければ今年度末におきましては、非常に困る状態ができるのでありますから、この点は特に政府考えていただきたい。今すぐに御答弁要求することはいたしませんが、この点は自治庁ともよく御相談願いまして対処していただきたい。ただ、ただいまの御答弁そのものにつきましては、どうも私は納得が行かないということだけ明らかにしておきたいと思います。
  55. 門司亮

    門司委員 大臣非常にお忙しいようですが、先ほどの私の質問にはお答えがございませんでした。これは今の床次さんの質問について、多少お答えがあつたようでありますが、大臣としては、先ほど本多大臣の方から、こういうものについては国の責任においてなすべきであるというような御答弁がございましたので、一応本多大臣のお言葉を信じておきす。それで大蔵大臣は、御答弁ができなければ、私はできないものとして、一方的にこれを解釈いたしておきます。  それからこれは大蔵省の方にひとつお聞きしたいのでありますが、大蔵省大臣を非常に苦しめております査定の基礎になるものでありますが、これが一体どういう基礎できめられておるか、最近大蔵フアシヨと言われるくらい大蔵省が官僚主義を発揮して、方々いじめているようであります。いじめるという言葉は悪いかもしれませんが、査定をきびしくしているようであります。少くとも地方公共団体から申出ておりまする五百何十億、—府県三百六十億、五大市の五十五億あるいはその他市町村の百八十億というものを合せますと、六百億近いものが出て参ります。しかし私は全部が全部、赤字であるからこれを何でもかんでも国で埋めてしまえという暴論は申しませんが、自治庁が一応査定して参りました百六十三億、これは非常に切りつめたものの考え方だと思います。それでもなおかつ大蔵省は、自治庁が持つて来たものについて、三十億程度でいいとか、あるいはこのくらいでいいとかいう根拠を示し、数字を示してもらいたい。大蔵省で調査された地方公共団体に対し国の責任において支払うべきものが一体どのくらいあるかということの、はつきりした数字的根拠を示してもらいたいと思う。
  56. 石田正

    石田政府委員 地方財政赤字につきまして、一体どれだけ赤字が出るかという算出の根拠についてのお尋ねと思いますが、これはいろいろ各都道府県につきましては、先ほどお話のような数字もございまして、また自治庁といたしましても、いろいろ御検討になつておるわけでございます。大蔵省としてこれが正しい数字だという数字は遺憾ながら持つておらないのでございます。ただ私たちは資金運用部資金を管理いたしておりますところの立場からいたしまして、昭和二十八年度に百二十億繰越すことになつておりおすけれども、これは決して過大なる余裕金ではないのでありますけれども、特にその中から二十億程度減るということを覚悟の上で出そうかというのが、大蔵省考え方なのでございます。
  57. 門司亮

    門司委員 それはまるつきり大蔵省の御都合だけじやありませんか、そういう答弁は……。国が地方に対していろいろ言いつけております国の仕事がたくさんございます。ことにこの四十四億なんというものは、国の責任において支払うべき金である。にもかかわらず、大蔵省は金がないからこれでいいんだということを言われるのは、大蔵省だけの御都合でないかと私は思う。少くとも大蔵省においても、もし私どもが百歩を譲つて大蔵省の言い分をかりに聞くといたしましても、大蔵省としても自己の持つております手持ち財源がこれだけだから、これだけでがまんしてくれということでは承知ができない。査定しますのには査定されるだけの親切さがなければならぬと思う。私はこの自治庁が出して参りました数字を、大蔵省がどう査定するかということを聞きたいのであつて、単に大蔵省がこれだけの手持ちしかないからこれだけでやつてくれというのなら、何も自治庁で苦労して数字考える必要は毛頭ないと思う。大蔵省の行き方がもしそういうことだとしますと、これは非常に大きい問題です。たとえば地方財政平衡交付金法の三条にはどう書いてあるか。私は地方平衡交付金法の三条が、実際生きているか死んでいるかということを聞きたいのです。国がそういう施策を行つた場合には、第二項には必ず国が出すと書いてあるのである。ことに平衡交付金等におきましても、地方の団体においてこれを算定して、そうしてそのまま国がちやんと出すようになつておる。にもかかわらず、いつの場合にも、地方公共団体が、これだけの平衡交付金をもらいたいと言つて来ておる。しかもそれは法律に基いた算定の基礎によつて数字が出て来ておる。にもかかわらず、大蔵省はいつでも大蔵省の都合でこれを削つて来ておる。今の大蔵省の自己の手持ちの財源だけでこれを算定するということでなくして、もし大蔵省に親切な行き方があるならば、この地方自治体から出ております数字と、さらに自治庁から要求いたしました数字の根拠について、大蔵省としてはこれはこうすべきだというはつきりした根拠を示してもらいたいと思うのです。これだけしか持つていないからこれだけでまかなえという不都合な話が一体どこにあるのか。もしそういうお考えをするならば、国政事務に対して地方団体責任を負わぬと言つたら、あなたは一体どうなさるか。今日の地方自治体がやつております仕事の中で、国の事務がどれだけあるかということである。供出制度なんというものが出て参つておりますけれども、供出の制度もございましようし、これらに要する費用というものは、一つの国の施策だと思う。全額を一体国が支払つておるかどうかということです。大蔵省事務当局のあなた方が、そういうものの考え方で査定されるということになつて参りますと、地方公共団体というものはやつて行けなくなる。だから私が要求いたしておりますのは、これを査定されたはつきりした数字をひとつ示してもらいたいということであります。大蔵省の手持ち財源を私はせんさくしているのではない。どこからこういう数字が出て来たかということです。
  58. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま門司委員からお話のあつたような点につきましても、十分政府にお考え願いまして、そして地方財政に御理解願うように御考慮いただくことにして、〇・二五月分の給与総額、その他地方団体赤字に関する問題の御回答を、もう少し御調査、御研究いただいて、できるだけの善処をしていただくことにきめていただいた上に、あらためて御回答願つておきまして、本日はこの程度にしておきたい、こう考えております。
  59. 門司亮

    門司委員 私は今加藤さんのせつかくのお言葉でありますので、きようはこれでもいいと思いますが、私はこの際大蔵省はつきり要求しておきますのは、大蔵省言つておりまするこの金額については、単に大蔵省の手持ち財源がこうだからということでなくて、これをきめられた算定の基礎をひとつはつきりしてもらいたいと思う。自治庁にはこれを算定された基礎があると思う。その基礎に基いて私ども検討してみたい。私どもといたしましても、これは何度も申しておりますように、地方自治体から出て参りました数字をそのままうのみにしようとは思つておりません。むろんこれにも検討を加えなければならぬ。従つて自治庁が査定された数字が正しいのか、あるいは大蔵省が査定された数字が正しいのかということを考えるようにいたしませんと、地方公共団体に、単に大蔵省の手持ちがこれだけしかないから、お前たちはこれでやれということで、一体今日の社会が通れると、あなた方はお考えになつておるかどうか。もしこういうことになつて参りますと、先ほどから申し上げておりますように、地方自治体は完全に国政事務の遂行が困難になりはしないかと思う。この点はひとつ大蔵省考えてもらいたい。それからもう一つ、この際大蔵省にお聞きをしておきたいと思いますことは、平衡交付金を定められる算定の基礎でありまするが、これもこの場合に来年度の予算に、非常に大きな関係を持つて参りますので、大蔵省の出した算定の基礎をひとつできるだけ精密に出してもらいたい。これは法律に基いた数字でありまして、地方平衡交付金法の第三条にはそのことがはつきり書いてあります。国の定めた法律によつて、そうして出て来た赤字は国が、補填しなければならないということがはつきり書いてある。従つて法律に基いて地方公共団体から出て参りました数字がうそであるということを立証するには、大蔵省でそれだけの数字を出してもらいたい。これはつかみだけではいかぬということです。この際それを要求いたしておきますので、この二つの数字はつきりしてもらいたい。そうしてこの次の委員会に間に合うように持つて来ていただきたい。それを持つて来ていただきませんと、先ほどから申し上げますように、二十八年度の財政計画について、われわれはここでこれがいいとか悪いとかいう判断の資料になりませんので、十分御準備願いたい。
  60. 青柳一郎

    青柳委員長 ただいま門司君からお話のありました二つの資料につきまして、大蔵省当局では提出するに御異議がございませんね。
  61. 石田正

    石田政府委員 ただいまの御要求資料は、私の所管いたしておりますところ以外の部局にも関係いたしますから、相談いたしまして出すようにいたしたいと思います。
  62. 横路節雄

    横路委員 実は今日の大蔵大臣答弁は〇・二五に関する資金運用等につきましては、私は当然大蔵当局自治庁と十分話合いの上で、政府として今日は答弁されるものというように期待をしていたわけなんです。ところが大蔵当局の話ではまだ自治庁とは話をしていない、ただこういうようにわくをきめたので、これから話をするというわけです。そこで、今日はこの程度で本委員会はやめて、まだ四時十五分ちよつと過ぎたばかりですから、今日からあすの朝まで十分話してもらつて政府として一致したとこるを、明日の地方行政委員会にかけていただきたい。自治庁長官としても、いやまだこれから折衝の余地があるとお思いになるだろうし、大蔵省としてもそうだろう。それで今日は一応の数字を見せてもらつたに過ぎませんから、明日の地方行政委員会は開会堅頭から、政府の一致したところを大蔵大臣からでも、自治庁長官からでも御答弁をいただいて、その点が二十八年度の地方財政計画との間で齟齬があるかないか検討しなければならぬ。もう今年度も三月三十一日までであとはわずかしかございませんので、地方も急いでおりますから、そういうふうにとりはからいをいただき、これから大蔵省自治庁当局は一晩中寝ないでも練つてもらつて、明日しつかりした御返事をいただくように希望しておきます。そういうふうに一つとりはからつていただきたい。
  63. 青柳一郎

    青柳委員長 ただいまの問題は後刻理事会でおきめを願うことといたします。
  64. 床次徳二

    ○床次委員 この機会に大蔵省がさらにお聞きしておきたいのですが、今日は主計局関係の方がおられないから、あとでよくお伝え願いたいと思いますが、どうもただいままでの大蔵省の御答弁を伺いますと、地方自治庁要求予算に対する査定方針が、他の一般の各省の予算に対する査定と同じような考えをもつて数字を増減しておられるのであります。ここに根本的な誤りがある。地方自治体数字というものは、各市町村財政状況が反映してここに来ているので、国の手持ちがあるから、金があるからないからといつて、これをそうかつてに増減できるものではないのであります。この基礎数字地方財政の実態を反映していると思います。その取扱いの心構えがどうも大蔵省は十分でないと思います。そのために非常な行き違いが出て参りますし、さらにそれが地方財政赤字の原因になつて来るのだと思います。この点大蔵省はいかような考え方をもつて自治庁予算を査定しておられるか。特に地方財政に対する交付金あるいは財政規模に対する考え方等につきまして、この点をはつきりしていただきたいと思うのであります。自治庁としては、責任を持つて査定して、一応の責任を持つた資料を出しているのだと思いますが、これに対して、先ほど門司委員からお話がありましたように、大蔵省は自分のふところぐあいから、かつてに現実を数字によつて動かしておられる。その結果、非常な無理が地方財政に反映しておるのだと思います。そういうあやまちのないようにいたしたいと思うのであります。そこで、自治庁のこの予算に対する大蔵省考え方というものをよく考え直して来ていただきまして、あらためて御説明をいただきたいと思います。
  65. 青柳一郎

    青柳委員長 他に御発言はありませんか。
  66. 横路節雄

    横路委員 私は今、床次、門司委員からお話がございました点と、ただいまの〇・二五及び二十七年度の赤字に関するところの政府のやり方にりきまして、いわゆる最終的に決定された案を出していただきたい。その上で、再度自治庁並びに大蔵当局からそれぞれ出ていただいて、最終的な案としてお示しいただいたものについて、さらに私は、重ねて質問いたしたいと思います。そういう意味で、この二つの今折衝されておる仮定のものでなしに、本ぎまりになつたものを示されてから、その上で私は二十八年度の地方財政計画について質問いたしたいと思いますので、本日はこの程度会議を打切つていただきたいと思います。
  67. 青柳一郎

    青柳委員長 他に御発言ありませんか。
  68. 門司亮

    門司委員 私は打切ることに賛成ですが、一応これは自治庁長官にお考え願いたいと思います。それから大蔵省当局に聞いておいてもらいたいと思います。いわゆる二十七年度の赤字の問題で、今地方公共団体がいろいろ申しておりますが、実情を申し上げますと、地方公共団体としては、都市によりましては別でありますが、いなかの小さなところでは、まだ大体べース・アップをしておらないところが半分以上私はあると思います。町村に参りますと、ほとんどベース・アップをしていない。市に参りましても大体五十四・五%、もつと上まわるかもしれませんけれども、半分以上はまだベース・アップができていない。そういう状況であります。大都市方面に参りますと、そういうこともできません、国に準じた取扱いをしなければなりませんので、従つて実情といたしましては、それを補うことのために、これを自治体借入金の形において支弁されているものが相当ありはしないかと思う。現実にこれがあると私は思う。またこれらの問題は、起債の許可がない、あるいは起債のわくがないというようなことで、自治体のやむを得ざる一つ処置として、ごく短い期間の市中銀行の借入金が相当なされているのが私は現実だと思う。それらの問題を年度末までにきまりをつけておきませんで、次の二十八年度にこれが繰越されるということになつて参りますと、自治体は非常に困ると思う。こういう点も自治庁並びに大蔵省は十分お考えおきを願つておきたいと思います。すでに借入金によつて支払つた金であつて、これの穴埋めはどうしてもしなければならぬと思います。そういう点を十分よく知つておいていただきたい。  もう一つの問題は、公営事業に対する問題であります。公営事業におきましても、やはり起債のわくが非常にきゆうくつになつております関係から、二十八年度は多少緩和されるように聞いておりますが、これらの問題にいたしましても、やはり一時の借入金その他で、特別会計の方にもかなり赤字が出ていはしないかと私は思う。地方自治体の実態はまつたくその通りであります。私は名前をはつきり言うことをここでは避けますが、ある市に参つて市長に聞いてみますと、市に一時借入金をするために、市長が個人保証をしておるということである。市に金を借りるために、市長さんが個人保証をしなければ、銀行が金を貸してくれぬということになると、これは余談になりますが、市長をやめても、こういう保証をしなければならぬかどうかということを疑われる。しかしこういうことをしなければ金を貸してくれないから、やむを得ずこういう処置をとつて金を借りておるということであります。こういう実情も大蔵省は知つておいていただきたい。何でも押しつけさえすれば、地方自治体がやつて行くだろうという考え方でないようにしてもらいたい。実際上の問題は、実情をよく知つていただいて、そういう借入金に対しましても、現実の赤字はやはり解消してもらうように、私はこの機会に要望しておきます。
  69. 中井一夫

    ○中井委員 先ほど大蔵大臣おいでいただいたときに、最も重要な御論議があつたと察するが、私はよんどころない、用件がありまして、親しく承ることができませんでした。しかし、ただいま横路門司、床次三委員のだんだんお話になりましたことは、まつたくその通りなんです。私がこの際大蔵当局に特に申し上げたいことは、ただいま御発言のあつた諸君は、政治的にはいわゆる野党の立場におられる方であります。それゆえに、本日ここに大蔵当局が御出席になつて、このお話を聞いて、現内閣に対しては野党の人たちであるから、特にむずかしいことを言うのではないかというような偏見を元にしてお考えになるなら、非常な間違いであります。私は自由党の党員の一人であります。地方行政に関し、特に府県、市町村に関しまする予算財政等の問題につきましては、政党政派を離れて、ほんとうに国民生活に属する問題を取上げ、真剣にまじめに心配をいたしておるのであります。従いまして先ほど三人の野党の方々が言われたことをもつて、あえて反対せんがための反対である、政府当局に対して反撃せんがための反撃であるというふうにおとりにならぬように、私は自由党員の一人として、ここに三君の話がほんとうなんである、決してそういう政治的の考慮から出ておるものではないということを保証しておきます。従つて、皆さんはこれから本省にお帰りになりましたら、関係の方々とよく御相談になり、さらに自治庁の皆さんとも御相談になるだろうと思いますが、そのことをはつきり胸に牧めて、最善の努力を願いたい。じようだんごとではございません。ほんとうに国民が、地方自治体の人々が困つておる問題なんである。あえて私はこれ以上多くを申しません。私はもとよりこの政府を担任しておる党の一員でありますから、その内閣、その政党の責任において出しておる問題が、地方自治その他の方面にいろいろな問題を起しつつある一つの原因だと思いますが、それはこの際私は申しません。しかし真剣な皆さんの言葉でありますから、このことだけを腹に締めてお帰りになり、最善を尽されるように、この機会に申しておきます。
  70. 青柳一郎

    青柳委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。     午後四時二十九分散会