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1953-02-17 第15回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十七日(火曜日)     午後三時六分開議  出席委員    委員長 青柳 一郎君    理事 鈴木 直人君 理事 雪澤千代治君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君    理事 横路 節雄君       阿部 千一君    加藤 精三君       佐藤善一郎君    中井 一夫君       牧野 良三君    大石ヨシエ君       平岡忠次郎君    西村 力弥君       川村 継義君  出席政府委員         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      後藤  博君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 二月十六日  行政委員会整理統合に関する請願床次徳二  君外九名紹介)(第一九〇九号)  地方税法の一部改正に関する請願島村一郎君  紹介)(第一九一〇号)  地方財政平衡交付金増額等に関する請願外三  件(只野直三郎紹介)(第一九一一号)  国有鉄道特殊施設所在市町村に対する特別措  置に関する請願福永健司君外二名紹介)(第  一九一二号)  市町村消防費に対する補助法制定等に関する請  願(只野直三郎紹介)(第一九一三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 青柳一郎

    青柳委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件について調査を進めます。まず昭和二十八年度地方財政計画について、政府より説明を聴取いたします。武岡政府委員
  3. 武岡憲一

    武岡政府委員 昭和二十八年度の地方財政計画について御説明を申し上げます。昭和二十八年度の地方財政の全体の規模は、この計画によりますると、総額が八千四百十七億六千五百万円となる見込みでございます。この計画の内容につきまして、御手元に提出してございまする資料に基きまして御説明を申し上げたいと存じます。  まず歳出でございますが、一に既定財政規模七千四百三億二百万円といたしてございます。これは昭和二十七年度の修正地方財政計画の最終の数字でございまして、すなわち昭和二十七年度におきましては、当初二十六年度の既定財政規模を六千六十九億七千七百万円と置いておつたのでございますが、それに対しまして当初計画並びに修正計画におきましてそれぞれこれに対する年度内の増加を見込みまして、結局昭和二十七年度におきましては千三百三十三億二千五百万円というものが新規増に相なつたのでございます。従いまして最終的には昭和二十七年度の財政規模は、ここにございまするように総額七千四百三億二百万円と相なつておつたのでございます。昭和二十八年度の計画といたしましては、この既定の財政規模に対しまして二十八年度にどの程度の新規の財政需要額があるかということを推計して参つておるのでございますが、これによりますると、明年度一千億円ほどの財政需要の増加があろうという見込みでございます。その内容について御説明申し上げますると、まず第一は給与改訂に伴う給与関係費増加額、これが三百三十二億一千百万円でございます。この計算の基礎は資料の四ページにございます。すなわち昨年の十一月から実施いたされました、いわゆる給与改訂によりまして、財政需要額が伸びて参りましたものの二十八年度の平年度化に伴う増加分、これを計算いたしたのでございまするが、その内容といたしましては給与費及び各種の手当費、恩給費あるいは共済組合費といつたような給与関係の諸経費でございます。その計算方法は前年度の財政計画に用いました各職種別の給与単価、これに昨年の十一月に行われましたいわゆるベース・アツプによる切りかえ率をかけまして、それに昭和二十八年度の所要の昇給財源を見込んで、新規に二十八年度の単価を推定いたしておるのでございます。この単価に各職種別の人員数を乗じまして二十八年度の改訂給与費の総額を算出し、それから二十七年度の既定額を差引きまして二十八年度の新規増分を推定する、かような方法によつておるのでございます。  それから期末手当及び勤勉手当につきましては、今年度と同様、夏期手当、年末手当並びに勤勉手当それぞれ〇・五、従つて年間におきましては一・五箇月分というものを計上いたしておるのでございます。なおそのほかの各種手当等につきましても、大体今年度の修正地方財政計画の算定の場合に用いましたと同じような方法によりまして計算をいたしたのでございます。その集計が明年度ふえる新規の財政需要額として三百三十二億一千一百万円と相なるわけでございます。  その次は行政整理に伴う不用額といたしまして十八億四千九百万円を控除いたしております。これは今年度の財政計画におきまして御説明申し上げました通り、昭和二十七年度におきまして、一般職員の五%を財政計画行政整理を行うという計画を立てておつたのでございまするが、むろん行政整理は四月一日から一斉に行われるものでございませんので、整理期間等を見込みまして、大体四箇月分の人件費並びに物件費を算入いたしておつたのでございます。その分を二十八年度の財政計画におきましては、既定規模の中から落して行くという計算をいたしておるのでございます。その算定の基礎は資料の五ページにございますが、その五ページのところでちよつと訂正をいたしておきます。五ページの下の方に「行政整理に伴う不用額に関する調」という表がございますが、そのうちの区分、人員という欄が一行ずれておりまして、七千五百六十人というのは道府県の人員であります。八千百七十二名というのが市町村の人員で、一万五千七百三十二名というのが合計、かように御了承願いたいのであります。  三は、教育委員会の設置に要する経費、これが明年度十四億一千三百万円ふえて参るのでございます。その計算でございますが、これは大体昨年の修正地方財政計画におきまして見込みましたのと、ほぼ同じような考え方でございまして、ただ違つておりまするのは、各都市の教育委員会の事務局に設置いたしまする職員といたしまして、今年度におきまして指導主事一名、事務職員一名となつておりましたが、二十八年度のものにつきましては、指導主事を各都市に二名ずつという計算をいたしております。なお単価等は前年用いましたものにベース・アツプによる昇給財源を見込んで単価の引上げを行つております。その他需要費負担金補助金及び交付金というようなものの算定につきましては、資料の六ページから七ページにかけて内訳を書いてございますので、御検討を願いたいのでございますが、大体におきまして今年度と同じようなものでございます。ただ性質上、今年度よりも単価を引伸ばす必要のある種類のものにつきましては、単価の調整を行つております。それによりまして計算いたしますると、二十八年度の教育委員会設置に要しまする全体の経費が二十四億九千七百万円と算出されるのでございます。それから既定の、つまり昭和二十七年度に見込んでおりました十億八千四百方円を控除いたしまして、差引十四億一千三百万円が二十八年度の新規財政需要額というふうに計上いたしたのでございます。  四番目は、自治体警察の廃止に伴う不用額でございますが、これは昨年の六月一日以後廃止になりました自治体警察の職員の給与費でございますが、  これは今年度におきましては、四月分並びに五月分の二箇月分だけが計上になつておりましたので、この分をまず控除いたすわけでございます。それからなおその後一月一日以後廃止になりますもの、このものにつきましては、全額昭和二十八年度の財政計画におきましては、既定経費の中から落して参らなければなりません。さような計算をいたしますると、その関係で二億三千三百万円だけ不用額が出るという計算になつておるのでございます。七ページにその算定の基礎を示してございます。  次は人口等の増加に伴う経費の自然増加額でありますが、これは平衡交付金の算定の基礎といたしております各行政項目の中で、数値の増加に伴つて財政需要額が伸びて参りますものの自然増加の分、総括的に申しますならば、行政費自然増加分でございますが、その計算をいたしたものでございます。すなわち昭和二十七年度から二十八年度にかけて人口においてどれくらいふえるか、生徒数あるいは児童数におきまして教室の関係上どのくらいふえるかという計算をいたしまして、それに昭和二十七年度の平衡交付金の算定に用いました総合補正係数並びに単位費用、それらを乗じて明年度大体どのくらいの財政需要額の伸びがあるかという計算をいたしておるのでございます。その内容は八ページにございますような各行政項目にわたつておりますが、これを総計いたしますと、明年度自然増として四十二億九千四百万円というものが算定いたされるのであります。  それから六番目の恩給の特別措置に関する法律施行に要する経費十億七千四百万円とございますが、これは昨年御制定をいただきました恩給の特別措置に関する法律が今年の一月一日から適用されまして、これに対します費用負担は、四月から支払いになりますので、昭和二十八年度から新規の財政需要額として計上されなければならないわけであります。この関係のものがそこにございます十億七千四百万円でございます。資料の九ページに算定の基礎が示してございます。  次は公債費の増でありますが、公債費算定の基礎といたしまして、昭和二十八年度の地方債計画の問題があるわけでございますが、これは後ほど詳細に御説明申し上げることにいたします。十ページの資料にありますように、二十八年度の普通会計起債計画といたしましては、政府資金の引受けによるもの、並びに公募債のもの、合せまして八百十五億を予定いたしております。これに従来借り入れましたものに対する元金あるいは利子の支払い所要額を計上いたしますと、総額において明年度は七十五億七千二百万円新たにふえて参る、こういう計算に相なるのでございます。  それから八番目は、国の行政施策に伴う増でございますが、まずその中の国の補助金を伴わないで、つまり地方の全額の負担といたしまして、平衡交付金でまかなわれております関係の諸経費でございますが、その増減に関する調べでございます。資料の十一ページをごらんいただきますると、従来いわゆるA系統と申しておつた諸経費でございまするが、二十七年度に比べまして二十八年度は総額で約十億八千三百万円ほど事業費において減つて参ります。その内容のおもなものといたしましては、物価行政事務費でありますとか、あるいは砂糖の配給統制に関する事務、あるいはまた物資調整事務取扱いというような、大体物資統制業務関係の事務の廃止に伴いまして、その関係の職員がいらなくなつて来るという関係。それから金額として大きいのは、その一番下にございます教育委員会選挙費、これが前年は十三億二千五百万円計上いたしておりましたが、二十八年度におきましてはその関係の経費がいらなくなりますので、そういう経費を落して参つているのでございます。差引きいたしまして約十億ばかり減つて来る、こういう勘定でございます。反面ロの方の、国の補助金に伴つてふえて参りまする分、いわゆる普通補助金伴つて地方負担のふえて参りまする分でございまするが、その関係につきましては十二ページの表にございまするように、経費の総額で申しますと、約四十億八千二百万円ほどが事業費としてはふえて参るのであります。これを普通補助金児童保護費負担金というふうにわけて書いてありまするが、御承知のように、明年から児童保護費につきましては、八割の国庫負担制度が実施されることになりますので、その関係だけ特に摘記いたしたのでございます。国の補助金といたしましては、まず児童保護費の関係で、四十三億五千八百万円というものが新たに計上せられまして、これだけが新規にふえて来る勘定でございまするが、その反面地方負担といたしましては、二十五億千四百万円が減つて来るわけであります。差引きいたしまして、児童保護費の関係では事業費が十八億四千四百万円ふえるという勘定になります。そのほかの一般補助負担金については、国庫補助金は十二億二千四百万円減つておりまするが、地方負担分におきまして三十四億六千二百万円というものがふえる。従つて差引全体の事業量といたしましては二十二億三千八百万円ふえるということになつております。これは、この補助金の中で明年度から補助率の相当下つて参りますものがございますのと、反面、生活保護法のように比較的補助率の高いものにおきまして、前年に比べてあまり伸びないような補助金がある。また補助率の比較的低い補助金がふえて来ているという関係がございまして、総体的にいいますと、補助金の割合に地方負担の方がふえて参るような関係になつております。これを差引きいたしまして、この普通補助金の関係で、結局事業量といたしましては四十億八千二百万円が新規の増になるわけであります。  次に臨時事業費の関係でございまするが、そのうちまず公共事業費について申し上げますると、一般公共事業費におきましては、事業費が三百八十二億四千三百万円増になつております。それから災害復旧事業費につきましては、事業費は逆に三十四億二千六百万円が減ということになつております。その関係は十二ページの下の方の表に表示してございますように、一般公共事業費におきましては、国庫の補助金が前年よりも百七十四億二千七百万円ふえる。それから災害の補助金は十億六千六百万円ふえるのであります。それに対する地方負担額の方は、その一番終りの欄をごらんいただきますと、一般公共事業費におきましては、二百八億千六百万円、これだけがふえて参りまするのに、災害復旧事業費におきましては、逆に四十四億九千二百万円が減る勘定になつております。災害復旧事業費におきましては、明年度補助金が十億ふえますが、地方負担が四十四億減ります関係は、昨年法律改正によりまして土木災害復旧事業におきまして、いわゆる原形復旧の限度を越えました超過復旧負担関係がかわつて参りまして、従来は超過復旧につきましては三分の一負担ということになつておりましたものを、原形復旧の場合と同じように、地方の財政力に比例して負担をするということになつて参りました関係が一つ。それからいま一つは、単独公共事業費として取上げまする一件金額を、従前十五万円に限つておりましたものを、今回十五万円に引下げたのでございます。それによりまして公共事業費として取上げられる面が非常に広くなつて参りました。従つて地方標準税収の額にスライドして負担いたしまする地方の負担額というものは、比較的に減つて参るわけでございます。そういう関係で、なお農林災害関係におきましても、総体的に申しまして、国の補助率がやや引上げられておりまする結果から見まして、かようなことに相なつておるのでございます。  次に失業対策事業費の関係でございまするが、十三ページの資料をごらんいただきますると、明年度におきまして国庫補助金が約十五億円ふえて参るのであります。二十七年度は八十億、二十八年度が九十五億でございます。その国庫補助金の内容はそこにございまするように、労務費事務費資材費とわかれておりますが、そのいずれも前年度に比べまして、補助基本額の引上げが行われております。これによりまして労務費並びに事務費におきましては、大体この補助基本額によりまして、国の補助歩合と地方の負担歩合というものがおおむね実績に近いところまで来たと認められるのでございまするが、ただ資材費の関係におきましては、地方の実際の資材費に対する負担の実績を調べてみますると、その下の欄にございまするように、二十七年度の調査によりますると、一人当り八十四円十四銭という数字が出ておるのであります。それに対しまして二十八年度の国庫補助単価は四十五円、これは前年度二十円でございまして、相当大幅に引上げをされたのでございまするが、なお実績から相当遠いわけでございます。そこでその差額に該当いたしまする分、これを計算いたしますると、十八億四千九百万円となります。か、これだけのものが地方のなお超過負担分であるということで、この分と合せて算入いたしてみますると、地方負担額といたしましては、なお前年よりも一億五千万円ふえて来る、こういう勘定になるわけでございます。そこで国庫補助金のふえまする十五億円に、地方負担のふえまする一億五千万円、合せて全体で十六億五千万円の事業費の増がある、こういう計算をいたしておるのでございます。  次に単独事業費について申し上げますが、単独事業費財政計画における見方は、御承知の通り、大体国の公共事実費が年々ふえて参りまする割合に応じて、地方の単独事業費もふえて来る、こういう考え方で計算をいたしております。この二十八年度の財政計画におきましても、そういう基礎に立ちまして計算をいたしたのでございますが、この十三ページの下の方の欄をごらんいただきますと、二十七年度に比べまして、二十八年度における公共事業費——失業対策を含めました公共事業費の増加の割合が二割四分八厘と出ております。そこで既定の財政規模七千四百三億のうち、単独事業費が入つておりますものは五百十三億でございまするが、その五百十三億に今の二割四分八厘という増加率をかけますと、六百四十億二千二百万円となるのであります。これに対しましてさらに雑収入の増二十三億七千五百万円というものを加えております。これは後ほど収入で御説明申し上げまするが、雑収入は明二十六年度の実績から見まして増収を見積つておりますので、これは地方における雑入の増というものは、その性質上それに見合う地方の単独事業が行われているものであるという見地に立ちまして、その分だけ歳出の面におきまして単独事業をふやして行く、こういう計算をいたしたのでございます。その結果前年度に比べまして単独事業費が百五十億九千七百万円ふえる、こういう計算をいたしたのであります。以上合せまして昭和二十八年度の新規財政需要額は一千億四千五百万円ふえるということになるのであります。それに加えまして国庫負担制度の拡張等による超過財源増加額、これを十四億一千八百万円計上いたしておりまするが、これは十四ページに書いてございますように、この児童保護費国庫負担制度明年度から実施される計画になつておりまするのと、なお税収の増減見込み、そういうものによりまして地方の公共団体、いわゆる富裕団体に対する財源の偏在状況というものがかわつて参りますので、その状況を計算いたしてみますると、道府県の関係におきましては、その偏在度というのはやや減つて参りまして、十一億三千三百万円は減るという計算が出ますか、一方市町村の関係におきましては、後ほど税収の内容で御説明申し上げまするが、市町村民税関係が若干延びておりまする関係がございまするので、二十五億五千百万円、これだけ超過財源がふえて来るという計算が出るのでございます。そこで差引をいたしまして、総額といたしましては十四億千八百万円、これだけは財政運営上のロスというような考え方でここに計上いたしたのでございます。以上全部合せまして明年度の歳出の掛額を八千四百十七億六千五百万円と算定をいたしたのであります。次に歳入について御説明申し上げます。まず地方税でございますが、これは昭和二十七年度の最終財政計画における二千九百三十四億六千万円というものに対しまして、二十八年度には三千八十六億五千六百万円見込んでおります。これによりまして、百五十一億九千六百万円というものが増収になるわけでございますが、その内容等につきましては後ほど所管部長から御説明申し上げます。  次に地方財政平衡交付金でございますが、これが前年度の千四百五十億円に対しまして、二十八年度には千七百二十億円、すなわち二百七十億円の増という計画になつております。この計画におきましては、義務教育費国庫負担制度、これを実施いたさないものとすれば、千七百二十億円になるのでございますが、この制度が明年度から実施されることになりますると、その下に括弧書でありまするように、九百二十億円が義務教育費国庫負担金として交付される額になるわけでございます。従いまして平衡交付金は、その差額でありまするところの八百億円ということになるのでございます。これを道府県並びに市町村分として、道府県が千二百四十二億四千四百万円、市町村が四百七十七億五千六百万円とわけてございますが、これはもちろん明年度平衡交付金の配分の確定的な数字はただいまから予測はつかないのでございまするが、一応明年度のかりの単位費用を想定いたしまして、それからまた特別交付金の配分等につきましても、かりに府県と市町村と半々で行くのだというような一応の仮定に立ちまして割つてみますと、大体これくらいの見当になりはしないかという仮定の数字でございます。従いまして明年度平衡交付金を実際に配分いたしますれば、これとは相当異なつた数字に相なつて来るかと思いまするが、これはあらかじめ御了承おき願いたいのでございます。  次の国庫支出金でございますが、これは先ほど歳出の面におきましても御説明申し上げましたように、普通補助負担金それから児童保護費公共事業費並び失業対策事業費負担金等におきまして、ここに示してございますような増減がそれぞれございまして、差引二百二十一億二千八百万円だけ前年度よりも総体としてふえて来る勘定でございます。  次の地方債でございますが、地方債の計画につきましてはその資料の第三ページをごらん願いたいと思います。昭和二十七年度の地方債計画普通会計におきまして六百二十五億円、企業会計におきまして百七十五億円、合せて八百億の計画であつたのでございます。そのうち政府資金引受けのものが七百二十億、公募いたしますものが八十億となつておつたのでございます。これに対しまして明昭和二十八年度におきましては、普通会計において九百十二億、すなわち前年度よりも二百八十七億の増、企業会計におきまして二百三十五億、前年度よりも六十億の増、総計におきましては千百四十七億、すなわち前年度の八百億円に比べまして三百四十七億円の増を計画いたしておるのでございます。まず普通会計のうち国の政府資金をもつて引当てをいたしたいと考えておりますものが七百五億でございまして’公募をいたしたきものが、百十億でございます。なおそのほかに交付公債として九十七億という数字を掲げてございますが、これは国の各種の直轄事業に伴いまする地方公共団体の分担金、これを明年度におきましては地方財政の状況等にかんがみまして、交付公債でもつて地方団体から国に納付するようにいたしたい、こういうことでこの分だけ九十七億と算定をいたして計画いたしておるのであります。これを三つ合せまして九百十二億ということに相なるわけでございますので、政府資金公募債だけで申しますれば八百十五億の増でございます。先ほど公債費の増のところで御説明を申し上げました明年度起債計画八百十五億というのはこの数字をとつたのでございます。交付公債につきましては、まだその発行条件等が確定いたしておりませんので、この地方財政計画におきましては、その関係のものについてはまだ具体的なものを示す段階に至つておらないのでございます。  それから企業会計は前年度に比べまして総額六十億の増でございますが、政府資金の引受分が二十億、公募に出しますものが四十億の増という内訳に相なつておるのでございます。これが二十八年度の地方債計画の概要でございます。  次に歳入の最後は雑収入でございます。雑収入は二十八年度におきまして八百九十六億五百万円を予定いたしておりまして、これは前年度に比べまして七十四億三千九百万円の増に相なるのでございます。その増収見積の根拠は十五ページにございますが、まず使用料手数料でございますが、このうち道府県分につきましては第一の水利使用料、これは二十七年度十一億五千五百万円でありましたものを、二十八年度には十五億千八百万円と見込んでございます。これは二十七年度すなわち現在におきましては水利使用料の単価を百七十円と見ておりますが、二十八年度にはこれを引上げまして二百十五円にいたしたい。大体建設省あるいは通産省等、関係機関との間にも協議いたしまして、地方財政計画におきましては、この数字をもつて計上いたしたのでございます。従つてそれによる増収でございます。その他の使用料におきましては、二十七年度の決算見込額に対しまして二〇%の増加、それから手数料におきましては前年度よりも二八%の増加をそれぞれ見ておりますが、これは前年度の従来の実績を基礎にいたしましたものが一つ。それから給与費の増でございますとか、あるいは学校における児童数の増でございますとか、そういうような指数を元といたしまして、明年度の増収見込額を計算いたしたのでございます。市町村の使用料、手数料におきましては、前年度よりも一八%の増となつておりますが、算定の基礎の考え方はやはり以上の通りであります。なお手数料の増収を期待いたしますために、地方公共団体の手数料条例等、関係の政令あるいは総理府令等は、さきに改正をいたしまして、最高限度の引上げを行つたのでございます。  次に雑収入といたしまして、二十七年度に比べて二十二億四百万円の増加を見込んでおりますが、これはその下の備考にございますように、二十六年度の決算見込額の数字を基礎といたしまして二十八年度を推定いたしますと、大体この程度の増収が見込まれるのでございます。ただこれはさきにも申し上げましたように、地方団体が、たとえば山の公有林を売り払つて学校を建てるというような意味の雑収入が多いのでございまして、その面については、半面において歳出の増加も見なければならぬというので、単独事業の増加を見積ります際に、この分は全部単独事業増加分として歳出の面に見ておるわけでございます。  以上ごく概略でございますが、明年度財政計画の大体を説明申し上げた次第であります。
  4. 青柳一郎

    青柳委員長 次に後藤政府委員。
  5. 後藤博

    ○後藤政府委員 地方税の収入見込みにつきまして、簡単に御説明申し上げます。  ただいまお配りした紙の五枚目の下に総額が出ておりますが、昭和二十七年度の見積りは二千九百三十四億六千万円、昭和二十八年度は三千八十六億五千六百万円と見込みまして、差引き百五十一億九千六百万円の増収になることになります。その内訳道府県分が三億三千万円減収になり、市町村分は百四十八億六千四百万円の増収となります。その内容は、一番初めの紙にかえつてごく簡単に御説明申し上げますと、道府県の法定普通税におきましては四億二千三百万円の増を見込んでおります。その内訳は以下申し上げます数字差引から出て来るのであります。まず第一に法人事業税は二十六億一千六百万円の減収になつております。算出の基礎は右の方にございますが、法人企業の収益率が低下して参つておりますので、減収を見込んだわけでございます。これは法人税の二十六年十月から二十七年九月までの実績基礎として、大体その九四%を見込んでおりますが、課税見込額の三千三百七十九億三千八百万円がその数字であります。それから調定見込額といたしましては、法人税をそのまま捕捉することができませんので、五%落して調定をし、その徴収歩合を九五%と昨年同様に見て徴収見込額を出したわけでございます。これで昨年度と比べて十五億の減になります。  次に、以上は普通の申告分でございますが、更正決定分は年度内の調定を大体五%と従来見ておりますので、五%の計算で徴収見込みを昨年と同じ方式で出して参りまして、十四億七百万円を見込んでおりますが、これは昨年よりも九億三千万円ばかりふえて参ります。  それから特別法人及び清算法人も同じような方式で出しまして、これは二億一千万円でありますから、二百万円ばかり減ります。  それから過年度分であります。これは昨年は九十五億四千三百万円見たわけでありますが、本年は五十九億三千九百万円見込みまして、三十六億ほど減となつております。合計欄で見ますと、徴収調定額は昨年より約五十億円近く落ちて参ります。それから徴収見込額が四十二億円でありますが、滞納繰越分の増加が十五億円ありますから、差引きまして左の欄の通り二十六億円の減になるわけであります。  次の個人事業税は、三十五億円の増になりますが、これは現行法で参りますと、基礎控除の引上げをいたしませんと、六十三億円の増になるのでありますが、税法を改正して基礎控除を三万八千円から五万円に上げますので、二十七億円ばかりそれに要しますから、差引きますと、三十五億四千八百万円の増になるわけであります。これも個人所得税を大体標準にして昨年と同じような方式でもつて見込みを立てたわけであります。  それから次の特別所得税は、現行法で参りますと、二億円近くの増収になるのでありますが、医師等の保険給付の範囲を拡張いたしまして、それに一億三千万円ばかりを要しますので、逆に九千四百万円の減になるわけであります。これも別に昨年とかわつた方式を用いておりません。  それから入場税でありますが、入場税では、昨年と比べまして十四億八千七百万円の減になります。これは二十七年度の改正前の調定見込額を基礎といたしまして現行法による場合を、税率が一月から半減しておりますので、その半減に対して、六九・四八%の増を見ております。その内訳は料金の変動がないといたしますと、三二%の増が見込まれるのであります。また所得の増加によるところの娯楽費の支出が七%ふえております。それから捕捉率を二割強化いたしまして、六九%の増を見込んでおります。さらに改正によつて徴収の強化をはかりたいと存じまして、五月分からの納期を月二回にいたしまして、その分の増収を約十二億円見込んでおりますが、差引十四億円の減になるわけであります。  遊興飲食税は、昨年に比べまして千五百万円の減になります。これは昭和二十六年度の所得税の課税所得から引伸ばして参りまして、所得税の課税所得の五四%増を基礎といたしまして数字を出したわけであります。現行法による場合を、課税標準の捕捉を八五%といたしました。それから改正法による場合に、納期をさらに二回にいたしまして、徴収を強化いたして行きたいと考えております。徴収歩合も従つて増加されますので、昨年は八〇%でありましたが、ことしは八八%の徴収歩合を見たわけであります。そういたしますと、大体昨年度と同じ程度のものがとれる、多少千百万円ばかり減るということになるわけであります。  それから次の自動車税は、登録台数が二十万ばかりふえております。五十三万一千台でありましたが、本年の四月は七千三万四千台になりますので、約二十万台ふえております。非課税のものももちろんふえておりますが、全体の数がふえましたので、その分が大体五億円くらいの増収があるのでありますが、そのほかに税率を五〇%引上げることにいたしたいと考えておりますので、その分を合せまして十七億七千六百万円の増加になるわけであります。  次の鉱区税でありますが、これは九千百万円の増を見ております。これは二十六年の四月現在の鉱区面積、河床延長等を基礎として基礎を出しまして、それに徴収を強化いたしたいと考えておりますので、これは税法の改正を要しますが、徴収を強化いたしまして九千万円の増収を期待いたしたいと考えておる次第であります。  それから狩猟者税でありますが、これで六千三百万円の増を見ております。これは免許件数がふえておりますので、ふえた分だけ増収になるのであります。  それから旧法収入でありますが、これは二十五年の改正以前の税でありますが、だんだん古くなつて参りまして、来年は八億四千万円の減になります。ことしは一億四千万円くらいしか期待できないのであります。  それから市町村全体といたしますと、百四十八億六千四百万円の増加なつております。これは主として市町村民税及び固定資産税の増を見込んでおります。  市町村民税の中で均等割でありますが、均等割は一億三千四百万円の増を見ております。これは納税義務者の数が増加いたしましたためであります。  それから次の所得割の六十八億円の増、これはやはり源泉所得税が非常にふえて参りまして、大体一九%ふえている結果でありまして、算定の仕方は昨年と同様、所得税を課税標準とするものが、税額にして半分ある、それ以外の所得を課税標準とするものが大体半分ある、同じような方式でもつて、ことしも計算したわけであります。所得税を課税標準に全部いたしました場合と、所得を課税標準にいたしました場合との差額を、昨年は六十五億円を見込んでおつたのでありますが、二十八年度は八十八億円を見込んでおります。  次の法人税割でありますが、これは三億四千万円の増となつております。これは前年度分は三%減でありますが、滞納繰越分の増加がありまして、全体としては一・六%の増が見込まれておるわけであります。その基礎となる数字は大体法人税を基礎といたしております。  次に固定資産税でありますが、固定資産税におきましては八十三億円の増になつております。固定資産税の中で土地に対する固定資産税におきまして三十四億三千三百万円の増加を見込んでおります。これは土地のうち、田畑及び宅地が値上りをしておりますので、その値上りを見込みまして、昨年よりも三十億円ばかり税収増加を見込んでおる次第であります。田及び畑は大体五%の値上りを見込んでおります。それから宅地は、平均いたしまして一六%の値上りを見込んでおります。大都市におきましては約二〇%、普通の都市におきましては一五%、町村は一〇%の宅地の値上りを見込んでおります。これは勧銀の調査基礎にいたしまして、大体一昨年の九月と昨年の九月を比較いたしますると、普通の都市におきましては、土地の価格の平均の値上り率は四八%、四割八分上つておるのであります。六大都市におきましては八一%という数字が出ております。大体これを基礎にいたしまして、ただいま申し上げましたような値上りを見込んだわけであります。それ以外の土地は、昨年通りの評価を見込んだわけでございます。  次に家屋でございますが、家屋につきましては、単価は二十七年度のままですえ置きまして、ただ増加分だけを見込んでおります。増加分を約三百万坪と推定いたしまして、三百万坪分だけを見込んでおります。従つて家屋についての二十二億六千八百万円は、大体この増加分に当るわけであります。  次の償却資産も、やはり二十七年度と平均価格はかえておりません。そのままにしております。ただ各企業の設備の拡充が、ちようど二十八年の税収から現われて参りまして、この分の増加だけを見込んでおります。二十七年と二十八年との評価価格におきまして、千四百七十七億円の増加がありますので、その分及びその他で、二十六億八千五百万円の税の増加を見込んでおります。  それから自転車税でありますが、自転車は二十八万台増加しておりますので、その分の増加を見込んでおりますが、滞納分で減る見込みがありますので、差引いたしまして千五百万円の減となるわけでございます。  それから荷車税につきましては、千五百万円の増加を見込んでおります。これは滞納繰越分につきまして多少の増加を見込んでおります。  次の電気ガス税でありますが、これは二十六年度の実績基礎にいたしまして、値上り率を乗じて算定いたしております。前国会におきまして非課税分がふえておりますので、三〇%の非課税を見込んで、推計を立てたわけであります。  次の鉱産税は、通産省の資源局の調査基礎といたしまして、推計いたしまして五千九百万円の増を見込んだ次第であります。  次の木材引取税は、これも林野庁の調査基礎にいたしまして、一億円余の増を見込んでおります。  次の入湯税の一億五千五百万円の増は、入湯税の現在の税率を倍に改正いたしたいと考えておりますので、その分を見込んでおります。  それから、その次の旧法による税収入でありますが、これは先ほど府県の場合に申し上げましたように、二十五年以前の法律に基くところの税収入でありますが、これもだんだん少くなつて参りまして、昨年は二十四億円でありましたが、今年は五億円で、十八億円の減を見込んでおります。  次の目的税には、一億九千万円の増加を見込んでおります。  それから法定外普通税は、六千万円の減、合せまして最初に申し上げましたように、本年の総税収入を三千八十六億五千六百万円といたしまして、百五十一億九千六百万円の増収を見込んだ次第であります。
  6. 青柳一郎

    青柳委員長 御質疑を願います。
  7. 床次徳二

    床次委員 簡単に数点伺いたいと思います。歳出の部におきまして、既定財政規模を従来通りと見ておられるのでありますが、従来の地方財政計画におきましても、政府見込みは非常に厳格に過ぎ、そのために、地方におきましては財政の窮迫をうつたえておつたのであります。この財政の窮迫事情を全然考慮せずに、従来の予算をそのまま既定財政規模にされたのではないかと思うのですが、この点実情を考慮せられておるのかどうか、伺つておきたい。
  8. 武岡憲一

    武岡政府委員 既定財政規模の標準をどの程度に置くかということについては、御指摘の通り、多少問題がないわけではないのであります。しかしながら地方に対しまして、どの程度の財源措置をしなければならないかという目安を立てるための地方財政計画でございますので、やはり国全体の経済力、国民の負担力というものに目標を置かなければならないと考えられるのであります。実際に、地方の財政の運営の結果である決算見込み数字等も、年々とつてつておるのでありますが、昭和二十七年度の財政計画を立てます際にも、その当時わかつておつた昭和二十五年度の決算見込み数字を基調に置きまして、その上に二十六年度の増を組み立てる、こういう方法で推計をして参つておるのであります。すなわち、二十五年度の決算の数字によりますると、地方財政の全体において五千二十三億三千百万円という数字が出ております。大体この年は、御承知のように地方財政に関する根本的な改革が行われた年でありまして、いろいろな意味で、大体今後の地方財政の推移を予測すべき一つの基準年度ではないかということで、この年度の決算見込みというものを一応の目安に置いたわけでございます。そこで二十七年度の計画を立てまする際にも、その二十五年度の決算の数字に対しまして、二十六年度の増加額一千四十六億四千六百万円、これだけのものを加えまして、これを二十六年度の既定財政規模に置く。こういうことで、それを元に二十七年度はさらにそれに対する二十七年度の新規増を見込む、こういうふうに組み立てて参つたのであります。もちろんその新規の財政事情を見る場合におきましても、具体的に申しますれば、公務員の給与の算定におきまして調整を加えるか加えないかというようなことにつきましては、基本的にはいろいろ御意見のあるところでございますが、前に申し上げましたような基本的な考え方で、国として、地方に対する財源措置を考えるためには、やはり地方公務員につきましても、国家公務員の一つの基準となるようなベースというものがあれば、それを元にして、財源措置を考えて行かなければならない。地方の実態とは、あるいは相達するというような問題が起つて参るかもしれませんけれども、国の財源措置の建前といたしましては、やはりそういうところに基調を置いて参らなければならぬのではないか、こういうような考え方で、財政計画を策定いたしておるのであります。そういうような意味におきまして、今御指摘の経済的規模が、これでは実情から見て小さくはないかということにつきましては、御意見はあるかと思いますが、決算の状況等から見ましても、そう地方に対して無理な、つまり財政の運営あるいは自治の運営に非常に大きな支障があるような計画ではない、かように考えておるわけであります。
  9. 床次徳二

    床次委員 議論にわたりますから、繰返して申しませんが、決算というのは、実際、そのときの苦しい財政事情を、そのまま反映して決算になつておるために、実は、もう少し地方としては伸びるべきものが、伸びずに、決算面は低くなつておるのではないか、決算の内容を見ておりますと、ほんとうの地方財政需要というものは、反映していないのではないかと思われるのですが、毎年既定財政規模において修正されることが望ましいという感じを私は持つております。この点まだ多少納得が行かないと思います。  次に伺いたいのは、教育委員会設置に関する経費でありますが、今回政府は、義務教育費国庫負担でありますか、特例法をつくられます。その新しい国の構想に対して、ふさわしいところの教育委員会の活動状態を予想しておられるかどうか。今日、政府が提案せんとするところの、国家公務員たる教員の人事、その他に関連して、必要な教育委員会事務をこの中に見ておるか、あるいは従前の教育委員会の線をそのまま見ておるか、それを伺いたい。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教育委員会制度につきましては、今回の義務教育学校職員制度の改変に関連をいたしまして、多少の変更があろうかと思いますが、本質的な点については、特にかわつた点はございません。ただここで考えておりますのは、市の指導主事を一名増員する数字だけを見ております。
  11. 床次徳二

    床次委員 次に伺いたいことは、自治警廃止に対する費用が出ております。今度政府は、警察制度に対する新しい構想を持つておりますが、その場合におきましては、経費負担が、府県と市町村と、相当移動を生ずるわけでありますが、それに関して、いかように措置される考えであるか、それを伺いたい。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 警察制度の改革をいたしますとすれば、警察設置の単位を変更いたします以上は、警察費の負担に移動を生ずるわけでございまして、国家地方警察と、市町村自治体警察とを統合いたしまして、原則として、府県単位の一つの警察を考えるということになりますと、やはり国及び府県と市町村との間におきまして、財源に変動を生じます。その関係数字につきましては、なお精査中でございまして、具体的に数字をここで申し上げられないのは遺憾でございますが、大体市につきましては、特に平衡交付金を交付しておりません不交付団体が相当数ございますので、かりに市から府県単位に警察が移動いたしました場合におきましては、平衡交付金を移用するということだけでは、まかない得ないところが生ずるわけでございます。さような問題につきましては、やはり将来根本的には、地方の財政制度、税制を全般的に改革いたしませんと、完全な調整は困難であると思いますが、昭和二十八年度につきましては、何らかの便法によつて、その間の調整を講じなければならぬというふうに考えておる次第であります。
  13. 床次徳二

    床次委員 次に伺いたいのは、恩給特別措置に関する経費でありますが、これに関して、かねがね地方で問題になつておりますのは、地方の農業委員会職員恩給遡及に関する問題で、農業委員会が、前の農業調整委員会あるいは農地委員会でありました当時、書記の恩給は、遡及し得ることになつておりますが、その負担が、自己負担なつておる。これにつきましては、かねがね関係者から希望があるのでありますが、これを適当に年次計画によつて地方負担してもらうということが、実情に適しておると思いますが、この点、数字の中に考慮しておられるかどうか、また将来どうされるか、御意見を伺いたい。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御指摘の点は、かねて問題の点でございまして、農業委員会の書記が、国から全額補助で出ておりました時代の、給与費の一定部分を、町村の恩給組合に納付いたさなければ、実質的に加入できないということで、制度上は、町村農業委員会職員が、町村恩給組合に加入できることになつておるかにかわらず、その自己負担に耐えなくて、加入できないという不都合があつたのでありますが、この点につきましては、昭和二十七年度の特別平衡交付金配分の際において、その点を勘案いたしまして、解決をいたしたいと考えておる次第であります。
  15. 床次徳二

    床次委員 災害の点でございますが、臨時事業費の増の中の災害でありますが、災害は、相当減額されました。昨年、災害が少かつたせいによると思いますが、災害事業の復旧状態はどうなつておるか、過年度災害がずいぶん遅延しておるが、その状況は、どういうふうになつておるか、大局がわかりますれば、御説明願いたい。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 災害経費が減りましたのは、先ほど財政部長から御説明申し上げましたように、単独災害基礎が、一件十五万円以下というのが、十万円以下になりました。また、いわゆる超過復旧関係が、従来、原形復旧と別に扱われまして、常に三分の一というような国庫補助でありましたのが、一般の原形復旧と同じようになつたということで、従つて財政力に応じて、災害復旧額がふえて来れば、よけいに負担をしてもらえるということ、になりましたので、減じたわけであります。  過年度災害の復旧進捗状況につきましては、ただいまここに資料がございませんので、具体的な説明は差控えますが、本年度の起債においては、災害の問題につきましても、現年度災は百パーセントつけたいと思つておりますし、過年度災につきましては、少くとも二十六年の最終の率を下らないようにしたいと考えておるのであります。
  17. 床次徳二

    床次委員 過年度災害の復旧進捗状況につきましては、次会にまたお願いすることにして、次にお伺いしたいのは、歳入の点であります。さきほどから伺つておりますと、地方税において若干の増を見ておりますが、その増の中において、中心となるものは、事業税と住民税の増であります。今度の予算を通観してみますと、国税において明らかに減税をいたしておる。減税の主点が国税で、次に府県税において減税になつておることは事実である。ところが、半面において、市町村税において増となつておる。この現象を、大ざつぱに通観してみると、税の負担が、負担能力のある者からだんだん軽くなつて参りまして、一番負担能力の少い者に重くなつて来ておるのじやないか、負担者の対照を考えてみると、そういうことを認め得ると思いますが、これに対して、自治庁当局としては、いかように考えられるか。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御指摘のように、地方税においては、府県税よりも、市町村税の方が、増収になります分が多いのでございまして、それは主として、固定資産税でございますとか、市町村民税でございますが、これらの地方税の体系において、負担能力のない者に対する負担が、だんだんふえて来るんじやないかというような御心配でございますけれども、たとえば、いずれ提案をして御審議を願いたいと思つております地方税法改正案におきましては、たとえば事業税につきましては、基礎控除の現在三万八千円というのを五万円に引上げようというふうに考えておりますし、これもさような基礎計算をいたしております。また市町村民税のいわゆるオプシヨン・ワンの適用は、現在非常にきゆうくつでございますので、従つていわゆるオプシヨン・ツーの、課税総所得金額基礎にいたします課税方式が、より多く利用されるような状況にありますけれども、これをやはり所得税額を基準にいたしますオプシヨン・ワンの方式によりましても、課税第二方式あるいは第三方式と同じような制限額のもとに、徴収できるようにいたしたいというふうに考えております。さように第一方式によりまして徴収をいたします場合には、いわゆる所得税がだんだん上の方に上つて参りまして、下の方の所得者は所得税を納めないでいいようになつて来ておりますし、このオプシヨン・ワンの利用の度合いを増すことによりまして、やはりこれは少額所得者に対しては負担が軽減されるようになるであろうというふうに思うのであります。そういうふうに、総体としましては、たとえば昭和二十五年後全然税率を動かしておりません定額課税、たとえば先ほどの入湯税でございますとか、あるいは自動車税その他、さような定額課税は、若干増税をいたしたいと考えておりますが、これはいずれも手数料とか使用料等が、物価の変動に応じまして、先ほど説明いたしましたように、二割程度の増額をいたしておりますので、むしろそれらとバランスを合せまして他の税負担者との負担の均衡も考えたいという意味で、調整的な意味で税法の改正をいたそうというのでありまして、全体といたしましては、やはり負担の点には特に政府といたしましても慎重に配慮をしておるつもりでございます。
  19. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁がありましたが、所得に関しましては、結局所得税あるいは事業税が減税になつて来て、いわゆる細民——所得税、事業税の対象とならなかつた者の方がふえるおそれがあるのではないかと一応考えられるのですが、その点はいかがでしようか。
  20. 後藤博

    ○後藤政府委員 御承知通り、個人に対する地方税は大体前年の所得をとつています。従つて国税の減税が一年ずれるわけでありますが、たとえば所得税が税法上千億円減税があるといたしますと、市町村民税においては、二百億円の減税になるわけであります。但し私どもの計算におきましては、半分を所得にとり、半分を税にとつております。従つて百億円だけ減税分がこの中に入つておる、こういうことが数字の上では言えるのではないかと思います。また残りの百億円ももちろん幾分かは入つておる、こういうことになつております。ですからこの数字の上で、すでに国税の減税が入つておるというふうに見ていただきたいと思います。総額がふえておることは、これは所得の増加に伴つて総額がふえておる。こういうふうにお考えを願いたいと思います。
  21. 床次徳二

    床次委員 次に伺いますのは、義務教育費あるいは警察費が、今度の警察制度の振りかえ等によつて、交付しない府県が大分出て参るのでありますが、国から金を出す場合には、非常に厳格にはじいてありまして、いわゆる不交付団体というものができておるのでありますが、逆に地方の細民の立場から見ますると、当然国から出してもいいと思うものが出ていない。逆に言えば、今の不交付団体になりました金額は返してもらつてもいいのではないか。すなわち教育職員の場合の俸給差額、いわゆる三百四十九円の部分の金額、これは厳密に言うと四十億くらいになるといつておりますが、この金額、あるいは平衡交付金差引いた場合に生ずるところの二百億というものが、当然平衡交付金の中に加えて地方によけいやつていいのではないかと思うのですが、与えるときに非常に厳格に差引いて与えて、とるときにはとるだけのものをとるというふうな態度のように思われるのですが、この点はいかように考えられますか、お伺いいたしたいと思います。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の義務教育の関係で、現在教員の給与費として見ておりますのは、千百五十五億円でございますが、この数字と今回義務教育費の国庫負担に伴いまして、平衡交付金の中から抜き出しまして府県に還元をいたします経費九百二十億円との差額が御指摘のように二百五十四億円になるわけでございますが、また別に御指摘の、いわゆる給与の財源措置を二十六年にいたしました際に、計算地方の給与が高過ぎるというので差引きました三千四十九円という、教員につきましての給与単価の問題でございますが、これらの点につきましては、国が地方財源計算いたします場合には、非常に厳格に計算をし、また交付しないような場合には、非常に厳格でない計算をするというようなお話でございますが、これは今の教員の給与が高いということで、計算平衡交付金基礎になります財政計画の中からは、三百四十九円に相当いたしまする部分は、これは落して計算をいたしておりまして、ただいま申し上げました千百五十五億円という中には、その数字は入つていないのであります。従つて今回九百二十億円という教育関係経費を引出しまして、それを府県に配分いたします場合に、いわゆる不交付団体から引く場合におきましても、やはりその関係経費のことは考慮に入れないで計算をしてよろしいというふうに考えるのであります。
  23. 床次徳二

    床次委員 ただいまの問題につきましては、いろいろ意見がある思いますが、この次にしたいと思います。  今度警察制度改正になりまして、市で自治警を持つておりますところで、これを廃止した場合、従来警察に充てました財源、これは平衡交付金の中に見ておられるものもありますが、交付金以外の、市自体が負担しておりました過剰部分も実はあると思う。そういうものに対しまして、将来これはその地方の財政的な余裕として残すか、あるいは、当然これは自治警がなくなれば、その経費はほかへ持つて行くという形で差引くかという点ですが、これは地方では、自治体警察が今度の新しい警察制度になりましても、財政的に余裕ができない。従来通りとんとんということになるのですか、どうなるのですか、それを伺いたい。でき得れば私どもは、警察制度改正によつて地方自治団体の経費でありましたものが、国あるいは県に移管されたという場合は、それだけの財源は、地方に残す方がいいのではないか。なるべく固有の財源を残して、財政に余裕を残したいと思つておるのでありますが、どうも今まで平衡交付金でやりまして調節いたしますと、せつかく財源ができても、やはりこれを平均化に使われてしまうおそれがある。この点に関する御意見を伺いたい。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 警察費の負担基礎が変更するということになりますと、その関係でやはり平衡交付金単位費用計算を当然かえて行かなければならぬわけでありまして、従つてその関係で各団体に交付さるべき、いわゆる交付基準額というものは、当然に変動して来るわけであります。その場合に、今御指摘の点は、あるいは不交付になりますような団体に対しても、それを引上げないで、むしろそのまま置くべきではないか、それはなるほどその団体の財政の点から申しますれば、警察事務負担を免れるとはいいながら、やはり従来とてもきゆうくつであつたのであるから、警察費に従来投入しておつた経費を、他の一般的な経費に投入できることは、望ましいに違いないと思いますけれども、やはり現在の国全体の財政、あるいは国民の負担力という点から申しますと、やはり最も有効に経費を使わなければならぬと思いますし、またさほどのゆとりのある全体の財政計画でもございませんので、それだけ経費負担を免れるということに相なりますれば、それをどうしても調整するのほかはないというふうに考える次第であります。
  25. 床次徳二

    床次委員 これは地方財政で根本的の財源配分の場合に、どうするかという問題にもなるのでございますが、義務教育の場合のごとき、あるいは警察制度の変更のごとき、地方財源並びに負担というものに大きな変更のある機会であります。この機会を利用いたしまして、あるいは善用いたしまして、でき得る限り地方財政を充実するという考え方を持つていただくことがいいのじやないか。せつかく財源が浮びましても、それを片つぱしから平衡交付金制度によつて燃やしてしまいますと、せつかく地方に余裕ができたときに、それが全部国の方に吸い上げられてしまうという結果になるのであります。一応お説の通りでありますが、根本的の立場において、ある程度まではこれを留保してもらうという考え方を持つていただくことが地方財政のためになる。さらに根本的にはそういう前提のもとに将来の新しい税制、財政を確立することが必要だと思いますが、自治庁当局はもう少しこの点に対して慎重な態度を持つて、できる限り財源を確保するように、努力すべきではないかという感じがするのであります。その点をわれわれ強く要望したいのでございます。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘の点は、まことに私どもも痛感をしておるところでございまして、今の義務教育費あるいは警察費の制度の改革に関連をいたしまして、当然に今年度におきましては地方制度あるいは地方財政制度、税制等につきましての相当大幅の改革を余儀なくされると思うのでございまして、その際におきましてはできるだけ地方自治の根基を培い得るような税制あるいは財政制度を確立したいというふうに考えておる次第でございまして、この点はまた地方制度調査会の御意見を十分拝聴したいと考えておる次第であります。
  27. 門司亮

    ○門司委員 時間がないからこの内容についてはあとで大臣に聞いた方がいいと思いますが、今の床次さんの御発言から自治庁の答弁について、ちよつと関連したことをお聞きしたいと思います。警察法の改正を見ますと、二十八年度においては、地方負担すべきものについては、従来の自治警を持つておつた町村の費用を、そのまま県に何らかの形で移譲するようなことが書いてあるのですが、またそうでなければ私は県の負担にはならないと思います。そうするとそれに対しては自治庁としては何らかの法律的措置が必要とされるのではないかと考えますが、それに対して自治庁はそういう法律的措置をするというお考えが今おありになるかどうか。
  28. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点につきましては、まだわれわれ事務当局といたしましては、具体的な案を用意する段階になつておりませんが、御指摘のように二十八年度から警察制度につきましての改革を行うということに相なりますと、やはりその間に財源調整をいたさなければならぬわけでございまして、平衡交付金法の警察維持につきましての単位費用改正しなければならぬと思いますし、また府県と市町村との間の財源調整につきましては、税制の改正等を行いません限りは困難でございます。しかし税制改正ということは根本的な税の配分の変更ということになりますから、相当困難であろうと思いますので、従つてあるいは便法として何らかこの税制の変更以外の調整方法をとらなければならぬというふうに考えておる次第でございます。まだ具体的の成案ができていない次第でございます。
  29. 門司亮

    ○門司委員 その点はおかしいと思います。警察制度改正は十月一日からこれを実行しようと言つております。そうすると今度の国会でそれをある程度具体化した成案を持つておらなければ、警察法の改正を十月一日に実施いたしましても、府県はただちに財政的に困ると思う。だからどうしても十月一日以前にこの措置がとられないと私はなかなかうまく行かないと思う。その場合に問題になりますのは、今自治警を持つております市町村経費をどういうふうに算定して、これを県の方に移譲するかということが非常に大きな問題であります。これは全部が自治警察であればそのまま警察に使つている費用だけ向うに持つて行けばいいのでありますが、全部の市町村が自治警察でない関係から、税制等の配分においては私は非常な困難があると思います。税制はやはり一律一体に同じような税金をとつております。この税金について、この市とこの市とこの市の分は、どれだけのものを県に移譲するというようなことはなかなか困難だと思う。そうなつて参りますと警察費の負担関係から来る問題で、どうしても税法の改正以外に何らかのやはり便法の法律が、この際必要になつて来るのじやないかというように考えられます。こういうふうになつて参りますと、私はそう簡単にこの法律ができ上ろうとは考えませんし、またできた上には必ず無理な点がないとは限りません。今お聞きいたしますと、そういうことを考えていないという、まだ考慮していないというお話でありますが、警察法の改正が幸いにして通らなければいいのですが、通るとただちにその問題にぶつかつて来ると思います。また府県としてもこれは非常に重要な問題でありまして、府県の管下に警察が入つて参りますと、警察官の身分もやはり市から県に移譲されなければならない。ただちに出て来ますものは勤続年限から来る恩給制度の問題、それからもう一つは——これはどうなるかはつきりわかりませんが、警察法の改正で言つておりますところの、警視以上のものを国家公務員にするということになると、ここにもやはりそういう問題が出て来る。いろいろな面で私は財政関係のそうした問題が出て来ると思いますので、今のように考えていないというようなことでは——私はこれは警察法の改正法が出て来たときに聞けばいいことでありますが、一応自治庁の意見を聞いておきたいと思いますのでお伺いするのでありますが、今のようにただ考えていないというだけでなくて、何らかの成案をぼつぼつお考えにならなければならぬじやないかと考える。従つてこの際お聞きしておきたいと思いますことは、今度のこの会期中にそういう法律案を出すというお考えがあるのか、あるいは次の、いつ行われるかわかりませんが、とにかく国会にでも間に合うように、そういうものを出すことをお考えになつているか。その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  30. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの警察費の府県及び市町村財源調整あるいは国との間の財源調整でございますが、これにつきましてはやはり何らかの予算的措置並びに立法的な措置が入り用ではないかと私どもは考えております。もちろん警察のある市町村についてだけ税制を考えるということは困難であります。どうしても財源調整を必要とすると思います。これはいつさような措置をとるかということにしては、なお政府として今最終の案を検討中だと思うのでありまして、その措置に従いまして事務的にはいろいろ用意をいたさなければならぬというように考えておる次第であります。
  31. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 入場税についてちよつとお尋ねしてみたいと思うのです。入場税を半減するという措置が一月一日から行われたわけですが、この際に何ゆえに半減したかという点であります。これは大衆の慰安になるものであつて、そういう大衆の慰安に関係する入場税を半減することによつて、料金も少くしてやろう、こういうような考え方が中心となつて半減されたと思うのです。もちろんそれだけでなくいわゆる映画関係の会社とか、あるいは映画館とかいうものの経済的な苦しさを幾分緩和してやろうという考えもあろうと思うのでありますが、大衆課税でございますから、半減したならば、その税が半減されただけ入場料も半減されるということを、一般大衆は期待しておつたように考えられます。ところが入場税が半減されましても、現実の場合においては、入場料は半減されないというようになつておるというように聞いておるのでありますが、現に全国の映画館その他の劇場等において、一月一日から入場税が半減された分に対する入場料の半減その他の措置が行われておるかどうか、その現状をお聞きしてみたいと思います。さらにそういうふうなことについて何らかの行政的の措置を、入場料をとつている事業者に対してとつたことがあるかどうか、その事情をお聞きしてみたいと思います。
  32. 後藤博

    ○後藤政府委員 入場税の半減につきましての御質問にお答えいたします。おつしやる通り入場税が下つたのでありますから、その半減分を下げるべきであると私どもも考えておつたのであります。興行協会その他地方団体におきましても、それぞれの団体に対して、また業者に対して、料金の引下げを交渉しておるようであります。しかし、一面興行者の側に立つて、いろいろ聞いてみますると、入場税はなるほど半減をされたが、たとえば映画の場合には、映画の配給料と申しますか、上演料そのものが非常に上つております。それから映画以外の場合、たとえば帝劇でありますとか、日本劇場とかそういうところの劇場の使用料が非常に暴騰しております。そういうことからして、必ずしも半分に下つたから半分下げなければならないという結論は、当の興行者においては出て来ない、こういうことを言つておるのであります。事実その賃貸料ないしは上演料が上つておることも事実であります。しかし入場税が下つたのでありますから、一般大衆に対してその恩恵を与えなければいけないではないかということを、私どもかねがね申しておりますし、協会あたりでも相当努力をいたしておるようであります。最近一部において、映画において十円程度下げたという話を私も四、五日前に聞いたのでありますが、ともかくも何とか下げたいという気持はあるが下らない実情にあるということを聞いております。しかし実際問題として、税率が半減になつたのでありますので、料金を下げるべきであるという私どもの気持はかわらぬのでありまして、いろいろな機会に、そういう指導をいたしておる次第であります。
  33. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 次に公民館主催によるところの興行に対する課税をしないという措置が、一月一日から行われたのでありますが、これは実は私詳しく勉強してなかつたのですが、府県等におきましては、それにもかかわらず、公民館が主催した場合に税をとるという条例が、まだ残つておるということを聞いておるのですが、これは条例で一月一日から相かわらず税をとるということがあるならば、法律改正いかんにかかわらず、それはどこまでも効力があるということになつておりますか、その全国の実情とその法律上の解釈をお聞きしてみたいと思います。
  34. 後藤博

    ○後藤政府委員 公民館等に対する免税の条例の問題でありますが、昨年末の県会において大体条例を直したと思つております。県会の都合で直し得ないところは、専決処分かなんかでやつたのではないか、一応了解を得ておいて、あとからその事後承認を受けるという形においてやつたというふうに私ども聞いております。もしもさようなところがございましたら、私どもの方で注意をしたいと思います。
  35. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 その実情はよくわかりましたが、もしその条例をある府県がそのまま残しておつたという場合においては、その条例が改正法との関係において効力があるものであるかどうかということの法律上の解釈をお聞きしておきたいと思います。
  36. 後藤博

    ○後藤政府委員 入場税の課税免除の規定は、「課さないことができる」というふうになつておりまして、必ずしも課してはいけないということにはなつていないのであります。しかし法律の、この前の修正の趣旨もございますし、できるだけ課さないような方向がいいではないか、特別な財政事情がある県は別といたしまして、大体私どもの指導は免税措置をとつた方がいいだろう、こういう指導をいたしております。従いまして、条例を存置いたしておりまするところは、法律上はやはりその条例が有効であるということに相なるわけであります。
  37. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 この公民館主催によるところの入場税の免除ということは、社会教育を進歩させる点においては非常に重要なことだと思うのです。そこで至急各府県がどういうふうな条例の措置をとつておるかということを調査して、報告していただきたいと思います。  さらに、入場税の半減によるところの入場料についての措置についても、これを調査して報告していただきたいと思います。これを希望いたしておきます。
  38. 青柳一郎

    青柳委員長 他に御質疑がありますか。大石君。
  39. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 鈴木さんにちよつとお尋ねしますが、ただいま入場税の話が出まして、ちよつと私気がついたのですが、あなたの方はダンス・ホールと教習所とはどういうふうな見解を持つておられますか。ダンス・ホールには確かに入場税がいつたはずです。教習所はどういうふうにしていらつしやいますか。この点どうぞ聞かしてください。
  40. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは御承知のように、各府県がそれぞれ課税の主体でございますから、各府県で若干の実際の運用の違いはあろうかと存じますが、御指摘のように入場税は、遊戯場といいますか、娯楽場といいますか、さようなところに課する、いわゆるそこの入場者、利用者に対して課するものでございますから、今のダンスの教習所というのは、さようないわゆるタンスをやるダンス・ホールとは性質が違うと思うのでありまして、そういうものには入場税をかけないのが原則であろうと思いますけれども、ただ教習所の名において実質的にはダンス・ホールであるというような場合に、県の課税当局が、これをさようなダンス・ホールと認定してかけるというようなところがありはしないかと思うのであります。これは一に各府県の課税当局者の運用の問題でございまして、若干適当不適当の措置があろうかと思いますが、それぞれ地方の実情に応じた措置がとられておるのではないかと思うのであります。
  41. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 あなたは御存じあるかないかは知りませんが、ダンス・ホールに行くと入場税をとられる。だからみな一般の人は教習所という名において踊りに行く。そしてその見解はあなた方はどういうふうに考えておられますか。ダンス・ホールに行くと金がかかる、教習所に行つたら安く踊れる。そうして遊んでおる。あなた方は同一に思つておられるか。  それからもう一つ、ただいま自由党の鈴木先生が御質問になりました公民館で興行すると、とにかくただでできる。それで名目はほんとうは実質的にもうけるのであるけれども、公民館で脱法行為で興行を無料でやる、そして寄付を持つて来て、それをとつておる。ほんとうはもうけておるのである。これに対してあなた方はどういう見解を持つておられますか。それを聞かしてちようだい。
  42. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御指摘の点は、まさに実際の税法の運用につきましては十分留意しなければならない点だと考えます。今の舞踏場でございますか、ダンス・ホールでありますか、ダンス・ホールの施設を利用するものには入場税をかける、こういうことになつておるわけでございまして、御指摘のダンス教習所が税法に言うておりますところの舞踏場であるかどうか、今の脱法の意味で教習所と称しておるようなものでございますならば、これは当然に入場税をかけられるべきだと思うのであります。これは各地方の当局におきましては、相当慎重な運営をいたしていると思うのであります。  それからなお公民館の問題でございますが、これも公民館が行う社会教育、社会事業、更生保護事業というような事業のために公民館でやります映画によつて得ました利潤が支出され、かつ、その催しに参加し、あるいは関係する者が何ら報酬を受けないという場合に限つて免税になるということになつているのでございまして、今御指摘のように、これによつて実質的にはもうけておるのだ、脱法的に公民館を使つて、うまいことをしているのだ、こういうことでございますと、これはやはりこの免税の規定をくぐる脱法措置ということになりまするので、徴税当局としてはさようなものからは免税の特権を認めないで徴収をするということになると思うのであります。ただ実際の運用の上でなかなかさような脱法的な措置が適切に把握できるかどうか、その点に問題があろうと思いますが、重々注意をいたさなければならぬ点であろうというふうに考える次第であります。
  43. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それからもう一つお尋ねしたいのは、たとえて言うと、何々県の寮であるとか、何々荘であるとかいう名目で、盛んに芸者が入つて散財をして、そうして脱法行為をやつて、まるで料理屋のような営業をやつておる。これは一体どういうふうにお考えですか。
  44. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの寮とか、何々クラブというような施設におきまする遊興飲食でございますが、これにつきましては、やはりそれぞれ一般の遊興飲食と見なされまして、ただいま税金を課するように相なつておりますので、かつては御指摘のようにさようなところで事実上脱法の遊興飲食が行われるということはございましたが、ただいまではさようなことはないようになつておる次第でございます。
  45. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私ちよつと鈴木さんに希望しますが、今現にダンス・ホールというと税金が高くつく、だからみんな教習所にしておりますが、一ぺん調べて税をうまく徴収してほしいと思うのですが、いかがなものでしよう。
  46. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御指摘の点は税法の運用上大いに戒心いたさなければならぬと考えておりまするので、なお実際の実情を調査いたしました上で、適当な措置をとりたいと考えております。
  47. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 実際私が調査してよく知つておるのです。みな教習所へ踊りに行くのです。そうすると安くてよく踊れる。ダンス・ホールへ行くと税金が高くつく、その点私よく知つておりますから、どうぞ再吟味してください。
  48. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 承知しました。
  49. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 後藤政府委員にお尋ねいたしますが、市町村民税の所得割の点です。この六十八億一千百万円の税収増の内容は、増収によるところの、納税資格者の自然境ということにあるののですか。
  50. 後藤博

    ○後藤政府委員 そうです。
  51. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 そうしますと、オプシヨン・ワンの制限をはずしたことによりまして、それによる税収増は見ておりませんですか。
  52. 後藤博

    ○後藤政府委員 六十八億一千百万円の増は、二十七年度の大蔵省の国税の補正予算を基礎にいたしまして、課税標準を出したわけでございます。その際に前年よりも二十八年度は申告分で〇・七%くらいふえて参ります。それから源泉分で、課税標準で一九・七%ふえて参ります。その出たものを基礎にいたしまして、所得割の半分のものがオプシヨン・ワンをとる、こういう計算であります。一八%のオプシヨン・ワンをとるという計算で残りの半分をオプシヨン・ツーをとる、こういうことであります。そのオプシヨン・ワンを全部とつた場合と、オプシヨン・ツーを半分とつた場合の差額が八十八億円くらいになります。ですから、この八十八億円分がオプシヨン・ツーによる増収ということになるわけであります。それを昨年度は六十五億円と見ております。そういうことでございます。
  53. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 もう少し限定的に質問をしますが、オプシヨン・ワンの制限は百分の二十の制限率をとりましたね。それで大体オプシヨン・ツーの最高まで行け得るようにしたわけですね、そういうことになりますね。
  54. 後藤博

    ○後藤政府委員 はい。
  55. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 そうしますと、その課税総所得を標準とする場合、それは所得税額に対して平均何パーセントくらいになりますか、私は二〇%を上まわると思うのですが、これは累進的なものですから、なかなかつかむのはむずかしいでしようが、二〇%を越えることは間違いないと思うのです。その点はいかがでしようか。
  56. 後藤博

    ○後藤政府委員 今おつしやいましたオプシヨン・ツーの一〇%、所得の一〇%の場合と、オプシヨン・ワンの場合との幾らになるかということは、非常にむずかしい問題でありまして、個々の所得によつて違うわけであります。ただこういうことは言えるわけであります。相当上まで参りますが、たとえば二五%とつた場合、百十万円の所得者で頭打ちするわけです。従つて頭打ちをしますと、それ以上の所得者は安くなるわけです。そういうところがありますので、自然市町村においてはだれとだれが税率が安いということがあつて、かえつて上げることができないのではないか、そういう反作用もあるだろう。従つて所得税が少くかかる人たちが計算をいたしますと、五〇%くらいかけられる。こういうことをよく言うのであります。なるほど所御税がかかつて来る一番下の段階で行きますと、五〇%のものをとられるということに計算的にはなると思うのです。しかしながらそういたしますと、そのすぐ上の段階の人からずつと上の所得者はだんだん率が下つて行くわけであります。四八%とか、四五%というふうに下つて行く。従つて現実の問題といたしましては、そういう低いところを標準にして税率を出すことはできないだろうと考えております。従つてまあ、納まるところはやはり二〇%前後のところに納まりはしないか、こういうふうに考えております。
  57. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 徴税額の今の絶対量から行けば、やはりオプシヨン・ワンの制限をはずしたら、増額になると思うのです。それから先ほど鈴木次長が説明なすつた点は、なかなか上手に説明されたのですが、要するに負担の階層から行きまして、今のはだれでもオプシヨン・ワンですから、各自治体がどの項でも選べるわけです。そこで第二の方法まで、つまり課税総所得額に対する百分の十の方法ですね。それと同じ程度まで第一の方法における課税制限を撤廃する、こういうことは確かに担税能力の少い人が第二の方法を自治体が選んだときよりは、そういう弊害を食いとめ得るということがいえると思う。つまり担税能力の低い人の災害を防ぐために、今の第一の方法の制限を撤廃したということは納得できますが、絶対量の増加がやはりあると思うのですが、その点は全然見込んでないのですか。
  58. 後藤博

    ○後藤政府委員 税収の上では見込んでおりません。昨年と同じようなはじき方をしております。ただおつしやるような、そういう可能性はあります。実際問題といたしまして、私どもの考え方はほうつておきますと、オプシヨン・ツーの方へ移つて参ります。昨年度よりも二十七年度は多くなつております。問題は、市町村は大体オプシヨン・ツーにしてしまつておりますから一〇%くらいのものが残つておりますけれども、これは富裕の団体と思われる。ところが中都市あたりへ漸次移つております。それから中都市で二〇%とつているところがたくさんあります。この近所の市にたくさんあります。そういうところが財政的に詰まつて参りますと、もうオプシヨン・ツーに移行してしまうのであります。そういたしますと、今の二〇%というのが制限額になつていなくて、その制限があるためにオプシヨン・ツーに移行するという結果になつて来る。そういう増収を期待する場合には二三%くらいのところを基準にしてやつておるようでありますが、そういう可能性はもちろんあります。しかしオプシヨン・ツーになつた場合は低額所得者にかかつて来ます。それを私どもは、なるたけ低額所得者にかかることを避けるような方式をとつて行きたい、税率はどちらにしても上つて行くという気持であります。それでオプシヨン・ワンの最高をオプシヨン・ツーと合せて行きたい、その税率は、なるほどたくさん上げられることになるかもしれませんが、しかし所得の段階のどこを中心とするかという問題によりまして、自然にその市町村において調節して、あまり高いところに行かぬだろう、こういうことであります。
  59. 青柳一郎

    青柳委員長 次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三分散会