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1952-12-19 第15回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十九日(金曜日)     午後二時十六分開議  出席委員    委員長 青柳 一郎君    理事 鈴木 直人君 理事 雪澤千代治君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君    理事 横路 節雄君       阿部 千一君    加藤 精三君       河原田稼吉君    黒金 泰美君       佐藤善一郎君    中井 一夫君       牧野 良三君    石坂  繁君       中野 四郎君    大石ヨシエ君       西村 力弥君    川村 継義君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 十二月十六日  千歳町自治体警察国家地方警察に移管の請願  (薄田美朝君紹介)(第一〇七二号)  地方税法の一部改正に関する請願椎熊三郎君  紹介)(第一一一八号)  同(高橋長治紹介)(第一一一九号)  同(高倉定助紹介)(第一一二〇号)  同(中村幸八君紹介)(第一一二一号) 同月十八日  平衡交付金及び地方債に関する請願加藤精三  君紹介)(第一二二三号)  地方税法の一部改正に関する請願菊川忠雄君  外一名紹介)(第一二二五号)  同(芳賀貢紹介)(第一二三八号)  同(南條徳男紹介)(第一三二九号)  地方議会に送付の官報代金国庫負担に関する請  願(床次徳二紹介)(第一二二七号)  平岡発電所に対する固定資産税課税に関する請  願(今村忠助紹介)(第一四二六号) の審査を本委員会に付託された。 同月十六日  地方公務員に対する職階制反対に関する陳情書  (  第八一八号)  地方公務員給与切下げ反対に関する陳情書  (  第八一九号)  地方財政の改革に関する陳情書  (第八二〇号)  昭和二十七年度平衡交付金配分に関する陳情  書(第八二一  号)  平衡交付金増額並びに地方債わく拡大に関  する陳情書  (第八二二号)  消防財源の確立に関する陳情書  (第八二三号)  同  (第九一九号)  公共事業に対する地元負担金全額起債に関す  る陳情書(第八二  四号)  医業歯科医業及び薬剤師業に対する社会保険  収入特別所得税等撤廃陳情書  (第八二五号)  医業に対する国家公務員共済組合診療収入の特  別所得税撤廃陳情書  (第八二六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二五号)  昭和二十七年度分地方財政平衡交付金単位  費用特例に関する法律案内閣提出第二六  号)     ―――――――――――――
  2. 青柳一郎

    青柳委員長 これより会議を開きます。  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案及び昭和二十七年度分地方財政平衡交付金単位費用特例に関する法律案の両案を一括して議題として、政府より説明を求めます。武岡政府委員
  3. 武岡憲一

    武岡政府委員 提案いたしてございまする二つの法律案につきまして概略の御説明を申し上げたいと存じます。  まず昭和二十七年度分地方財政平衡交付金単位費用特例に関する法律案でございます。これは御承知通り本年度地方財政平衡交付金配分基礎となりまする基準財政需要額測定いたしまするのに用いまする単位費用は、すでに平衡交付金法をもつて規定されておるのでございまするが、今回地方公務員給与改訂によりまして、経費の増加をいたさなければならぬことになりましたし、また本年の十一月から発足をいたしました市町村教育委員会の設置に要する経費、このような新しい経費をあらためて基準財政需要額に算入をいたさなければなりませんために、法律に定まつておりまする単位費用改訂いたそうとするものでございます。内容について申し上げますると、この法律は、昭和二十七年度分地方財政平衡交付金単位費用特例に関する法律として、別個の単独の特例法になつておりまするが、これは昭和二十八年度あるいはその以降におきまする、いわゆる平年度におきまする単位費用と、本年度——これから今年の交付金配分に用いようといたしまするものとの間に、また相当変化が予想されまするので、今回はとりあえず本年度分だけの基準財政需要額測定に用いまする単位費用を特に定めていただこうといたすものでございます。内容といたしましては、各経費種類ごとに定められておりまする測定単位につきまして、単位費用算定いたしまする基礎といたしまして規定いたしました各標準予算、この中に多くのものが給与費を含んでおるのでございますが、そのものにつきましては、その給与費を今回行いまするいわゆる給与改訂に伴いましてそれぞれ増額をいたしました。従いまして、それらの各測定単位につきましては、ほとんど全部につきまして、当初のものに比べまして単位費用がかわつて参るのであります。ただそのうち、たとえば橋梁費でございますとか、あるいは港湾費でございますとか、あるいは社会福祉費の中で被生活保護者の数を測定単位としておりまするもの、それから戦災復旧費及び公債費、これらのものにつきましては、今回の給与改訂とは直接の関係はございませんで、それぞれこれによつて測定いたしまする基準財政需要額にも変化がございませんから、現行の額をそのまますえ置くことにいたしておるのでございます。また本年の十一月から設置されました市町村教育委員会に要しまする経費につきましては、市町村分のいわゆるその他の教育費、これの中に入れてございますし、またさきに行われましたその選挙に要しまする経費につきましては、その他の諸費の中に入れて、この測定単位でもつて測定をいたしまするように、単位費用改訂行つたのでございます。これが単位費用特例に関する法律案の概要でございます。  次に地方財政平衡交付金の一部を改正する法律案でございまするが、この法律案内容といたしまするのは、地方財政平衡交付金法現行規定によりますると、各団体につきまして測定をいたしました基準財政需要額総額から、基準財政収入額総額差引きました額、いわゆる財源不足額でございまするが、その額が普通交付金の額と一致いたしません場合、その場合にはその各団体ごと測定をされました、いわゆる財源不足額に按分をいたしまして交付金配分する、こういう建前に相なつておるのであります。ところがこの方式によりますると、財源不足額合算額が、配分いたそうとする普通交付金総額よりも多い場合、すなわち普通交付金の額がいわゆる交付基準額を下まわるというような場合におきまして、各団体から幾らずつ差引をすればよろしいかという問題につきまして、現行規定によりますると、税の収入が少くて、いわゆる実財源が少くて、その割に基準財政需要額の多いような団体、一言にこれを貧弱団体といつてもよろしいかと思うのでありまするが、要するに財源の非常に不足しておりますような団体につきまして、逆にそれから控除しなければならない普通平衡交付金の額というものが多くなつて来る、比率は同一でございまするが、差引控除をすべき額が多くなつて来る、こういう御意見があつたのでございます。そこで今回はその点を改正をいたしまして、ただいまのように財源不足額総額普通交付金の額よりも多いような場合におきましては、各団体基準財政需要額の大きさに比例をいたしまして、その各団体に配付すべき交付金の額を減額して行きたい、その方が平衡交付金制度が使命といたしますいわゆる均衡化原則によりかなうと思うのでございます。その点をさような算定方法に改めたいというのが、今回改正をいたそうとする法案内容になつておるのでございます。  法案内容は、ごらんの通り第十条第一項につきまして、現在各地方団体に対して交付することになつておりますものを、「地方団体に対して、次項に定めるところにより交付する。」と、こう改めまして、その第十条の第二項を「各地方団体に対して交付すべき普通交付金の額は、当該地方団体基準財政需要額基準財政収入額をこえる額」、すなわち財源不足額でございますが、これを基準とするのでございます。「但し、各地方団体について算定した財源不足額合算額普通交付金総額をこえる場合においては、左の式により算定した額とする。」その算式の意味でございますが、これはまず各団体ごと算定をいたしました基準財政需要額——この場合に基準財政収入額基準財政需要額を上まわるところのいわゆる超過団体は除外して考えるのでございます、そこで基準財政需要額基準財政収入額を越える交付団体基準財政需要額合算額を出しまして、それと、財源不足額合算額普通交付金総額との差額、すなわち普通交付金の額が基準需要額に対して低い額、その額との比率を求めまして、それを各団体ごと基準財政需要額にかけるのであります。そうしてかけ合せました額を各団体ごとに出ております財源不足額から差引いて行く、要するに先ほど申しましたように、現在の基準財政需要額の大きさに比例して交付金の足らないところに割つて行こう、こういう考え方に立つておるのでございます。そういうふうにいたしますと、団体の中でいわゆる財源不足額、その差額分というものが比較的に少くて、しかも基準財政需要額の比較的に大きい団体、すなわちかなり大規模団体であつて、ごくわずかである交付金を、今までの方式によりますれば、もらうことになつてつたような団体につきましては、差引をいたさなければならない額の方が、算定によつて出て参ります財源不足額よりも多いというような場合が生じて来るのであります。そういうものが出て参りますと、その差額に当る部分というものは、それだけの財源をその団体から取上げるわけに参りませんので、いわゆる不交付団体となります関係から、全体で申しますと、普通交付金の額が予定をいたしております額よりも減つて来る。つまり逆に申しますれば、それだけ財源配分上のロスが出て参るわけでございますので、予定をしております普通交付金よりもよけいな財源がいるというような結果を生じて来ることがあり得るわけでございます。そういう場合には、特別交付金として予定いたしておるものから、普通交付金の方にそれだけのものを引当てにいたしたい、特別交付金から普通交付金の方に引移しをいたしたい、かように考えておるのであります。それからまた、むしろ逆に財源不足額総額よりも、普通交付金総額の方が多いということもあり得るわけでございますが、そういう場合にはその超過になつております分は特別交付金の方に算入いたしまして、特別交付金として配分するようにいたしたい。それが第五項でございまして、「普通交付金総額が、第二項本文の規定により算定した各地方団体に対して交付すべき普通交付金の額の合算額をこえる場合においては当該超過額当該年度特別交付金総額に算入し、同項但書規定により算定した各地方団体に対して交付すべき普通交付金の額の合算額に満たない場合においては当該不足額当該年度特別交付金総額の一部をもつて充てるものとする。」こういう規定を置きまして、その間の調和をはかつて参りたい、かように考えておるのであります。  たいへんくどく申し上げましたが、要するにこの法律案のねらいといたしまするところは、現行交付金制度におきまして、算定によつて出て参りまする財源不足額合算額というものが、必ずしも普通交付金の額と一致いたしませんために、その差があるときにとつておりました配分方法を再検討いたしました上、交付金制度の精神といたしまする均衡化をより徹底するというような意味合いにおきまして配分をいたして参りたい、かような点にあるわけであります。  以上概略でございましたが、御説明を終ります。
  4. 青柳一郎

  5. 床次徳二

    床次委員 ただいま御説明をいただきましたこの平衡交付金法の一部を改正する法律案でありますが、これは従来の法律第三条の一つの例外規定であるのじやないかと考えております。法律の本来の建前から申しますと、第三条は、財政需要額とそれから財政収入額測定いたしまして、需要額収入額を上まわる場合には、その不足額に対して平衡交付金を出すというのがその建前でございます。ところが今度の改正におきましては、平衡交付金が少い場合、つまり予算総額が少い場合にどうやつてわけるかということをこれに規定してあるのだと思う。この点におきましては、本来平衡交付金差額の全体を必要かつ十分なだけやるということになつてつたものを、少いことのあることを予想して改正をせんとするもののように見られるのであります。実情においては、最近数年来平衡交付金総額が少いために、その少かつた場合の配分方法としてこういう配分方法をとることはやむを得ないとは思いますが、この改正をいたすことによつて本来の平衡交付金趣旨が非常にくずされたのではないかということをおそれるのでありますが、この点政府はいかようにお考えになつておりますか。今回の改正法律案を出したことによつて平衡交付金総額は必ずしも第三条に規定したような趣旨において、必要かつ十分でなくともかまわない。少い場合のことをむしろ予想しておるというようなことになつたのでは、本来の平衡交付金趣旨が立たぬと私は思いますが、この点に関するお考えを承りたいと思います。
  6. 武岡憲一

    武岡政府委員 御指摘通り第三条は、財政需要額財政収入額を越える場合における当該超過額を補填するために必要かつ十分な額を地方財政平衡交付金として国が予算に計上しなければならない、こうなつておるわけであります。もちろん運営の基本といたしましてはさようなことでございますが、しからば実際に交付金総額をどうやつてきめるかということにつきましては、御承知通り第六条の規定がございまして、第二項によりますと、「毎年度分として交付すべき普通交付金総額は、当該年度において基準財政需要額基準財政収入額をこえると認められる地方団体当該超過額合算額基礎として定める。」こういう規定に相なつておるのでございます。交付金本来の建前から申しますれば、床次さんの御指摘通り、その差額として出て来たものはこれを一般財源として全部補填するというのが建前であろうと思うのでありますが、第六条でその総額をきめます場合に、その超過額の総合算額基礎として定めるということは、必ずしもその超過額がすなわち交付金予算額であるということではなくて、大体その超過額に基いてきめるのである、こういうことになつているのでございます。また実際平衡交付金総額をきめます現実実情につきましては御承知通りでございまして、時期のずれその他の関係から、必ずしもその超過額交付金予算額が一致しない場合は、現在の制度建前から申しましてやむを得ないのではないか、かように考えているのでございます。今回の改正につきまして、御意見では、足りない場合だけを予想して、足りない場合にどういう減らし方をするのだということにとらわれて、従つて交付金超過額から見ればいつも足らぬのだというふうに政府は見ているのではないか、かようなお尋ねのように承つたのでございますが、われわれは決してさようには考えておらないのでございます。交付金総額のきめ方の問題は、ただいま申し上げましたように、第三条並びに第六条の規定によりまして、これは従来の通りで別にかわりはございません。ただ現実の問題として、超過額合算額、いわゆる財源不足額合算額交付金と合わない場合、あるいは逆に交付金の額の方が財源不足額よりも多い場合も当然あるわけでありますし、また少い場合もある。多い場合には、今までは多いものを多いままに、その交付金額に按分して参つたのでありますが、今回はその超過した分は特別平衡交付金として配分しよう、足りない場合につきましての配分考え方の問題でございまして、これを先ほど御説明申し上げましたように、財源不足額だけに比例しないで、むしろ団体財政の状態、財源のあり方というものに比例して配分する、こういういわば配分の技術的な改正をいたしたつもりでございまして、交付金総額自身をどのようにして確保するかという問題には触れておらないつもりでございます。
  7. 床次徳二

    床次委員 ただいま答弁のありましたごとく、第三条を大体建前として、六条は実施上の問題でありますから、多少それを制約するとは思いますが、原則としては不足額を必要かつ十分に補填するように持つて行くという主義だげは守つていただきたいと思うのであります。  それから小さいことでありますが、この法案に刷つてあります掛算の形式は、第一行と第二行との間がくつつき過ぎるからわかりにくいのでありますが、これはもう少し離れておるべきじやないかと思います。これを見ると同じように見えるので、非常にわかりにくい感じがいたします。  次にお尋ねいたしたいのは、単位費用の点であります。これはすでに二十七年度予算がきまりましたので、その予算に対する割当でありますが、今日まで各地方団体から単位費用に対しましては相当の増額修正方の希望があると思いますが、これに対しまして、自治庁において聞いておられる点はいかなる点があるか。なお明年度においてある程度まで増額しなければなるまいというお考えのものがありましたならば、御説明いただきたいと思います。特に私どもとして希望いたしたいのは、警察消防等に関する問題、特に自治体警察維持に関する経費でありまして、この点は相当考慮しなければならぬことは当然だろうと思いますが、消防にいたしましても、従来の消防は非常に額が少いために、地方では施設に困難をして来ておるので、これも増額すべきじやないかと思います。その他自治庁当局におきまして、将来増額すべき単位費用、あるいはその必要を感じておる単位費用について、大体の御説明を承りたいと思います。
  8. 武岡憲一

    武岡政府委員 現在の平衡交付金法によりましておきめいただいております単位費用、並びに今回改正していただこうといたしております単位費用につきまして、御指摘のように、地方団体といたしましていま少し単位費用増額する必要があるのではないかというような御意見が、若干ありますことは伺つております。ただ単位費用算定のやり方につきましては、すでに御承知通りでございますが、二十五年度におきましては、当初法律に要求しておりますいわゆる合理的かつ妥当な水準における行政経費目安を一体どの程度に置いたらよろしいのかということにつきまして、最初のことでもございましたし、なかなか目安がございませんために、大体昭和二十四年度末における各地方予算の現計額というようなものを基準にいたしまして、それからいわば逆算をして単位費用算定いたしておつたのであります。それを昨二十六年度からは、私どもの方といたしましても研究も進めましたし、若干資料も整いましたので、法律の要求いたしておりますようないわゆる合理的な、妥当な標準行政費という意味単位費用作定に努力して参つたのであります。その方法につきましてはこれも御承知通りでございまするし、さらに詳細な資料を後ほど提出いたしたいと考えておりまするが、各団体または各施設ごと標準団体標準施設というものを予定いたしまして、その中で考えられまする標準予算というものからこの単位費用算定いたしておるのであります。そこでもしこの単位費用が少いということ、あるいはまた多いということでございまするならば、われわれがこの設定の基礎にいたしておりまする標準団体あるいは標準施設標準予算というものの立て方が多過ぎるかあるいは少な過ぎるかという問題に相なると思うのでございます。これは標準団体としての規模とり方の問題、あるいはその中に標準的な予算として組み込んで行きまする各単価というようなもののとり方ももちろん影響いたすわけでありまするが、私どもといたしましては現在の全体的な国家地方を通じての財政実情、また国家経済現況、さらにまた国民負担現況と申しましようか、そういうようなことを考えまして、大体この程度のものをこの基準でやるということが、今日の考え方としては標準ではなかろうかというような考え方でありまして、たとえば人件費見方にいたしましても、あるいはその他の物件費消耗品あるいは備品費等見方にいたしましても、国の予算の立て方等に大体基準を置きまして、標準予算を作成いたしておるのでございます。さような方法によりましてこの単位費用算定いたしておりまするので、昭和二十六年度、ことに昭和二十七年度におきましては、二十六年度に比べてさらに改正をいたしたつもりでおりますが、この単位費用につきましては、大体現在の状況としてはこの程度のものでよろしいのではないかと私は考えておるのでございます。問題はそれよりも、その単位費用を用いまして各行政項目ごと測定されます全体の財政需要額というものが、この程度でよろしいかどうか。これはもちろん単位費用のほかに補正係数あるいは基礎となりまする各測定単位の数値、そういうもののとり方によつて、特に補正係数によつて現実には左右されるわけでありますが、そういうものによつて出て参ります財政需要額自身といたしましては、あるいは教育費にいたしましても、あるいは御指摘警察費にいたしましても、そういうところが多少足らぬのではなかろうかというむしろ意見ではなかろうかと思うのでございます。これは今日現在の平衡交付金制度におきまして七〇%方式をとり、そうしてまた平衡交付金総額算定方式というものは、御承知のように大体地方財政計画を立てまして、それから大体の見積りをしておるというような建前でありまして、その範囲におきまして基準財政需要額というものも、おのずから算定されておるような、あるいはそれの基礎においてきまつて来ておりまするような関係から、そういう各行政項目についての基準財政需要額というものをもつと総体的に、国全体の財政とのにらみ合せもあるけれども、プラスする必要があるのではないか、こういう議論も起つて参ると思うのでございます。これも今年度におきましては、さきに御審議をいただきました二十七年度地方財政計画単位、しかもこれは御指摘をいただいたわけでございまするが、大体今の程度におきましてはこの程度のものをもつて地方財政を運用して行くのがやむを得ない程度ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。御指摘単位費用につきまして、これをそれではさらに明年度においてどの程度にふやすか、あるいは今の単位費用としてどれが低いと思うかという問題につきましては、総体的の問題としては大体この程度で行きたいと考えておりまするし、明年度の問題になりますると、明年度さらに財政需要なり、あるいは収入におきまして相当出入り考えられまするし、ことに明年度から地方基準財政需要額の中でも非常に大きな問題でありまする教育費につきまして国庫負担制度等が施行される等の関係もございまするために、交付金算定につきましてはかなりかわつて参るのではなかろうかということは一応想像されるのでございます。ただいま特にどの単位費用をどの程度にしたいということにつきましては検討中でございまして成案を得ておりませんので、御了承を得たいと思います。
  9. 床次徳二

    床次委員 なお平衡交付金算定に関しましては七〇%方式と八〇%方式があつて、一時八〇%方式考えたこともあつたのでありまするが、この改正に関しましては政府としてはどういうふうに考えておりますか。大体従来通り考えておりますか。
  10. 武岡憲一

    武岡政府委員 昨年実は七〇%方式を八〇%方式にいたしてはどうかと考えまして御提案申し上げましたが、成立をいたさなかつたのでございます。この問題につきましてはその後も引続きましていろいろ検討いたしております。いろいろな意見があるわけでございますが、大体いわゆる大規模団体と小規模団体との間において、基準にとるべき財政需要額というものの算定の水準を高く置くか、あるいは低く置くかという問題に結局はなつて来ると思うのでございます。これにつきましては、今のところまだこれをどうするということにつきましては、その後特に固まつた意見を私どもとしては持つておりません。今回お願いをいたしておりまするこの交付金配分方式に関する改正法律というものも、ある意味におきましてその大規模団体と小規模団体との聞の配分につきましての均衡化程度を若干高めて行くということでありまして、傾向的には大体同じ傾向にある問題だと見ておるのでございまして、まずこれにつきましてとりあえず改正をして行きたい。根本的に七〇%方式で行くか、あるいは八〇%方式に改めるか、あるいはそのほか何かこの点について改正をするかという問題につきましては、なおいましばらく検討させていただきたい、かように考えております。
  11. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁がありましたが、今回の改正案と八〇%方式と両方を加味するとすれば、数字的にはさらに開きが大きく出て来るのではないか、貧弱町村によけい来ると思いますが、大体数字的にいうと、どれくらい違うものでありますか。今回の改正によりますと大体数字が出ますが、あれよりもどれくらい大きな割合が出て来るものでありますか。計算になつたことがありますか。
  12. 武岡憲一

    武岡政府委員 特に八〇%方式にして、こういう配分でこうした場合というものの計数を実は持つておりませんので、ちよつとお答えいたしかねますが、御指摘のように、二つの分子が重なつて参るわけでありますから、大体の考え方といたしましては均衡化の度合いはもつと進むはずであると、かように考えます。
  13. 門司亮

    ○門司委員 あとで大臣がおいでになつてから基本的のことを聞きたいと思いますが、昭和二十七年度分地方財政平衡交付金単位費用特例に関する法律案でありますが、これは特例で出さなければならぬという理由が少し書いてあるようでありますし、大臣もそういうことを言われておりますが、こういう問題を特例で出されるということになりますと、来年度平衡交付金算定基礎は一体もう一ぺんあらためてお出しになるお考えなのか、どつちですか。
  14. 武岡憲一

    武岡政府委員 先ほどもその点ちよつと申し上げたのでありますが、二十八年度におきましては今年度に比べまして、さらにかなり財政上の制度に改革が予想されるわけであります。そういうことでありますので、二十八年度単位費用というものは、やはり今度おきめ願おうといたすものに比べまして、相当かわつて参るのではないかと予想されますので、今から平年の分、今後恒久化される分としての単位費用算定することは、今の段階におきましては困難なのであります。そこでとりあえずこれは平衡交付金の一般規定の中でもつて単位費用の普通一般規定として定めていただいて、さらにまた二十八年度になりまして、おそらくまた相当かわるのではないかということが予想される段階におきまして、かような一般規定を入れるということはかえつてどうか。それで今回は特に二十七年度だけの特殊の事情に基きましたものとして、特例法にしてお願いいたした。かように考えております。
  15. 門司亮

    ○門司委員 それでは内容をちよつとお聞きしたいと思います。この内容の中の道路費の問題でありますが、これは少しばかり増額いたしておるようであります。十二円四銭から十二円六十銭となつておりますから、少しふえておるようでありますが、これは地方財政の問題から言いますと、非常に大きな問題でありまして、増額された一応の算定基礎を、もう少し知らせていただきたいと思いますことと、それから私の考えから、この問題はこれだけ取上げて考えてみますと、道路費の算定基礎は非常にむかずしいのでありまして、これは単に道路の面積だけではいけないのでありまして、ここには交通量が当然見込まれなければならない。これは日本の戦争後における都市、ことに駐留軍関係をたくさん持つておりまする都市は、面積だけで算定基礎にされたのでは、どうしても道路の維持管理はできないはずである。御存じのように、大体日本の道路構造令と言いまするか、この法令が生きているかどうかわかりませんが、とにかく従来ありました道路構造令に基いた日本の道路の強靱さというものは、標準を大体十二トンに換算しているはずである。従つて鋪装道路のコンクリートの厚みというものは、大体十二ミリから十五ミリが規定になつているはずであります。なおこれにもう一つ化粧するといたしましても、十七ミリがせいぜいである。十二ミリのものにさらに五ミリのものを加算すればいいということに大体なつておる、こういう状態でありまするのが現状でありまして、従つて日本の、たとえばワービツトといつておりまする鋪装から申し上げましても、最高十七ミリである。これに重量は十二トンを大体限度としてこしらえられておるというのが事実であります。この道路の上に、現状のように進駐軍の使つております三十五トンあるいは五十トンというような車が今日走つておる。そうしてこれが終戦後七年の間ずつと継続いたしておりますので、これでは日本の道路はもう持たぬのであります。従つて日本の今日の道路を破壊しておりまするものは、あげて駐留軍の行為であるということは少し言い過ぎかもしれませんが、実際上はそういうことになつておる。ところが平衡交付金の中には、そういうものがちつとも考えられておらない。私どもはこの算定基礎から言うと、そういうことが考えられる。そういたしますと、実情とは非常に大きな開きがある。ここに私は今日の地方の都市の道路行政の上に、大きな欠陥が一つできて来ておると思う。ことに駐留軍のたくさんおりまする都市におきましては、きわめて困難な状態になつておる。しかも一方においては、やはり駐留軍の——従来は進駐軍でありますが、進駐軍の一つの命令工事というようなことで、厚いコンクリートの道路もできておりますが、今後は私はおそらく駐留軍の命令工事というような形でこれが行われるとは考えられない。やはりもしこれがあるとすれば、行政協定に基く規定の中で、こういうことが行われるということであつて、その費用はおそらく折半されるものではないかと考えられる。従つて破壊いたしておりまする今日の道路に対する維持管理費を測定して行こうとすれば、そういうものが大きく私は考えられて行かなければならないと考えておるが、当局はこの算定基礎の中に、そういうものを入れられておるかどうか伺いたい。
  16. 武岡憲一

    武岡政府委員 お示しをいたしておりまする単位費用算定の中には、ただいま御指摘のような問題は入つておりません。これは先ほど来申し上げておりまするように、単位費用は、どこまでも標準的な規模における、標準的な行政費ということで考えておるのでございまして、ただいま仰せになりましたような、非常な特殊な事情で道路をいためておる、あるいはまた全然——全然ということもございますまいが、負担の極端に軽いようなところにりつぱな道路があるとか、そういうような特殊な問題というのは、この単位費用算定の中には出て参らないのであります。そこでただいまおつしやいましたような、各団体ごとに、しからばそういう特殊事情というものをどうやつて算定に入れて行くんだ、というお話でありますが、これは補正係数の方で見ているわけであります。今例に引かれました、この自動車道路の延長なら延長に対する、自動車の密度あるいは走行キロの数というものが非常にかわつて来ておるではないかということは、御指摘通りでございまするので、それらは補正係数の中で、そういう密度補正はいたしておりまして、現実にとつておりまするのは、これはこの間もやりました仮決定の仕事でありますが、その団体の自動車一台あたりの道路の延長が、どれだけあるかということによりまして、段階的に補正をいたしておるわけでございます。それからまた同じ道路と言いましても、面積だけでその道路に必要な経費測定することの困難なことは、これは御指摘通りだと思いますので、たとえば有効幅員がどれくらいあるかというようなことによりまして、段階的にこれもやはり補正をいたして、種別補正をいたしておるわけであります。なおそのほか法第十三条第二項の第三号にありまする態容補正でありますとか、あるいは第四号の積雪寒冷によります寒冷補正でありますとか、そういうような各要素を組合せまして、必要な基準財政需要額というものを各団体ごと算定をいたしておりまして、そういう意味で、考えられるだけの基準需要額というものは見ておるつもりであります。それからさらにこれらに出ておりますような、これは普通交付金算定でございますから、やはりある程度まで各団体に共通した現象でございますが、これらのいずれの中にも現われて来ないような、非常に特殊な事情がありますような団体、たとえば駐留軍が非常によけいにおりますとか、あるいはまた時期的に、非常に活発にそこを駐留軍関係で使つたとかいうようなところに対しまする交付——この普通交付で恵まれないものに対しましては、特別交付金の中で加減をする、こういうような方法をとつてつておるのでございます。
  17. 門司亮

    ○門司委員 私は時間の関係で、大臣がおいでになりましたから、率直に大臣にお聞きしたいと思いますが、大臣にお聞きをいたしますことは、この地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案でありますが、これにつきましては、先ほど床次委員からも言われたように、大体この一部改正法律案内容は、一応政府説明によりますると、きわめて妥当のように聞えて参りますが、一面から考えて参りますと、この平衡交付金法の根底の基礎をくつがえすようなおそれがありはしないかということをわれわれ危惧するのであります。それは先ほどもお話のありましたように、平衡交付金法の持つておりまする本格的の性質というものは、地方財政のアンバランスを、これで埋めて行くということが大体の基礎になつておりまして、そのことのために、標準財政需要額というようなむずかしいことが言われておる。これに多少の手加減を加えて行こうとする一つの行き方は、この趣旨に非常に反したものであると私は思う。たとえばここに算式が書いてありますが、こういう算式でこれを出して行くということになりますと、財政需要額の割合に多い県と言いまするか、仕事の分量とそれから財政の面から考えて参りまして、比較的アンバランスの少いようなところに対しましては、大体少く行く、それから非常に具体的に言うならば、いなかのようなところには割合よけい行く。それによつて大体の財政を平衡化して行くという一つのねらいだということは、これは大臣の説明通りであると思います。これも一応、平衡交付金法の一つのねらいであつたということには間違いはないと私は思います。こういうふうに国がその財政の需要を、ただ一列に平らにするという行き方は、地方財政建前地方自治の根本の問題から考えて参りますると、少し国の行き過ぎではないか、地方の自治団体には、御存じのように、その自治団体の持つておりまする財政力あるいは経済力というものが、ある程度地方の自治の行政の上に現われて行くということが、やはり一つの自治体の行き方である。これを国が無理にという言葉は言い過ぎかもしれませんが、ある程度の手を加えて、そして全部の平均化して行こうとする今回のこの行き方については、私は平衡交付金法趣旨から言つて二つの見方があるので、一応政府見方見方ではございましようが、その地方自治体の本来の財政基礎としたいろいろな仕事をして行く上においては、政府がかように技巧的にこれをならして行くということについては、私どもはその間において、法の精神を多少曲げて行くように考えますが、この点について大臣はこれでさしつかえないというようにお考えになつておられますか。
  18. 本多市郎

    ○本多国務大臣 お話のような見方もまつたく立つと思いますが、平衡交付金の分配の方法不足額に正比例して減らす。これはつまり普通交付金の額と財政需要額総額との差額、つまり不足する場合の不足額は、各団体不足額に正比例して減額する、こうなりますと、不足額のますます大きなところはその不足額に正比例して減額されますから、ますます減額を多くするという結果になるわけでございます。それを今回の財政需要額に正比例して不足額をそれぞれ負担させるということに改めたのでございますが、一面財政状態のいいところはいいのがあたりまえである、悪いところは悪い財政状態でやつて行くのが、これは自治としてあたりまえであるというような見方から行きますと、門司さんの言われるような見方も出て来ると思いますけれども、しかし平衡交付金の根本のねらいは財政需要額の確保ということにあるのでありまして、その不足額はやはり財政需要額に正比例して不足額を分担させるということになつて平衡交付金の根本でありまする財政需要額の確保という精神に沿うことではないかと考えまして、今回改正案を提案いたしたような次第であります。従前のやり方に比較いたしまして、ただいま申し上げました財政需要額に比例して財源の確保ができるという点において改善であると考えております。
  19. 門司亮

    ○門司委員 これは非常に大きな問題でありまして、実際的に申し上げますと、各都道府県並びに市町村においておのおの配分される額が相当大きな開きを持つて来ることになります。私が今申し上げました中には、地方の自治体の自律性というものを十分考えて行かなければならない、それでこういう算定基礎がどんどん出て参りまして、政府のお考えがそういうことであるといたしますと、将来たとえば非常に貧弱な地方団体というものはどこまでも平衡交付金にたよつてつた方が得なんだ、何も地方でやかましいことを言つてやらなくても、国が十分めんどうを見てくれるのだということで、勢い地方財政に依存主義が強くならないかということを私は考える。このようなことは地方の自治体の運営の上に一つの精神的の支障を来しはしないかと私ども考える。私は何も小さなものが小さくていいのだというものの考え方の上に、必ずしも立つているのではありませんが、一方におきましてはそういう弊害が出て来はしないかということも考えられるわけであります。そうなつて参りますと、地方の自治体が自主的に自立しようとするものの考え方と、一面にはそうやかましいことを言わなくても、大体こういうことになつて、貧弱町村は国が全部めんどうを見てくれることになつているのだから、まあ国に依存していた方がいいのだというようなことで、ますます財政的に中央集権的な度が強くなつて来るということを私どもは実は心配するのであります。その問題について……。さらに次にもう一つお聞きしておきたいと思いますことは、今日のこの地方財政平衡交付金というもののあり方でありますが、これについてそういう弊害を除去することのためには一切の財政を、八〇%、七〇%の議論はありますが、いずれにいたしましても中央にその財政を依存するという行き方よりも、やはり地方団体が自分の持つておりまする一つの経済力、あるいは財政力というようなものから来る財源の確保をするということが、まず私は先に考えられるべきではないかというふうに考えます。そこで問題になつて参りますのは、この従来しばしば言われておる言葉でありますが、地方財政平衡交付金というような形で、実際の運営をやつて行く上においては非常にややこしい問題を毎年繰返しておる状態を避けることのために、町村の自治的の財政によつて町村の運営をして行くという建前から見ましても、地方財政平衡交付金というものは、昭和二十四年まで日本にあつた配付税法的のものに、私は改めることがこの際いいのではないかというように考えるのでありますが、大臣の御意見はこれに対してどうであるか。
  20. 本多市郎

    ○本多国務大臣 ただいまの平衡交付金の交付額があまりに高くなりますので、地方はこの中央の財政に依存する場合が非常に大きくなつておる。これはまつたく事実でございます。しかしながらただいまお示しのように地方の需要を自己の税源でまかなう程度に、自主的な財源を持つということは望ましいことのようには考えられますけれども、もしそこまで一律に財源を与えましたならば、富裕団体と富裕でない団体との財政の懸隔は一段とはげしくなつて行くと存じます。またその税源を与えるといたしましても、結局国民の税負担には限度がございますので、増税ということも困難であるとすれば、国税をその方へ委譲してやるほかなかろうと思いますが、そうしたことになりますと、平衡交付金を支出するのにも、今度は国家財政の面において非常に困難を生じて来るのではないかと存じます。ここにもし全国市町村に普遍的な税源というものが考えることができましたならば、そういう税源によつて幾分の調節は税源を与えることによつてできようと存じております。そうした根本的な問題につきましては、ぜひ門司さんも御出席いただいております地方制度調査会で、御研究を願いたいと存じますが、それでは従前の配付税のような制度にもどつたらどうかという比較しての御意見でありましたが、これならばやはり現在の平衡交付金制度の方が、実際財政の調整という役割は従前の配付税に比較して、より以上に果している。さらにまたこれが年度の中途におけるいろいろな新規の需要というようなものも、政府の責任に属することは一々明らかにして財政の補填もできて行くというようなことで、財政調整の役割を果している点においても、その他すべてのことを明確にする点においても、今の制度がいいと考えているのでございます。しかしこれにはさらに検討を要することと存じますので、今後十分ひとつ御研究を願いたいと思います。
  21. 門司亮

    ○門司委員 何だかそつちで研究しろということに考えられるのでありますが、私は政府に今意向を聞いておきたいと思いますことは、それはそれとして今大臣せつかくのお言葉でありますが、かりに昭和二十四年までありました地方財政に対する配付税法が生きているとすれば、今日の都道府県あるいは市町村が要求しているだけのものは、私は配付税によつて配付ができたと考えている。約五千億の税収がかりにあつたとすれば、この三三・一四%は千七百億くらいで、当初予算の千二百五十億にこの補正予算の二百億を加えても千四百五十億でありますから、その差二百五十億の今の府県の要求している形を当てはめると、私は今から考えれば今ごろこういう大騒ぎはやらなくもいいと考えますが、遺憾ながら平衡交付金なつたために、こういう問題を毎年繰返すことになる。私が申し上げているのはもちろん国が地方に事務を言いつけました場合には、これは地方財政法の規定によつて地方の公共団体に負担をかけてはならないという法律がありまする以上は当然支出すべきである。これは地方財政法にはつきり書いてある通りである。これは平衡交付金だけで考えられるとは思つていないのであります。  従つてこの次に私がお聞きしたいと思いますのは、大臣の御意向がそうだといたしますれば、この算定基礎の割出し方でありますが、これは一体この平衡交付金法の定めておりまするようなアンバランスを埋めるということが、その主体である以上は、全国のアンバランスを必ず国が国家財政の中からさくということにはなつていないのであります。もしこの法律をそのまま書いてある通りに一応受取るといたしますと、当然政府は、地方から資料を集めましたもので集計されたアンバランスだけは、必ず国の財政の中から支払つて行かなければ、この法律の完全な目的は達せられない。今の平衡交付金は配付税法と違つて国家予算に非常に大きく左右されておる。そうして国家予算できまつたものから逆算して、これが大体支払われるようになつておるが、この平衡交付金法自体の配分方法は間違いであつて法律を完全に生かして行こうとするなら、やはり地方のアンバランスだけは、必ず国が見てやるということなら、私は配付税法よりこれの方がいいと考える。しかしそれでないとするならば、やはり国家収入いたしておる税金の中から、地方に必ずこれだけは配分するという方法をきめてやらぬと、実際の問題として今こういう法律が出ておりますが、おそらく地方の都道府県においては、いまだに来年度予算目安がついていないと思います。これが完全に出て来なければ、来年度平衡交付金が自分の都道府県にどれだけもらえるかわからぬはずである。そうすると来年度予算を組むのに非常に支障を来す。これを毎年繰返すと、地方予算の編成にあたりまして、非常にめんどうな問題を来すと思うから、私はこの機会にもう一言大臣に聞いておきたいと思いますことは、どうしてもこの法律によつてきめようとすれば、今の政府のような行き方以外に方法はないのかどうか。簡単に申し上げますれば、地方から出て参つておりまする資料に基いて、そうして国家予算関係なく自治庁といたしましてはこの法律通りに、足らない分だけは国家予算からさくという大臣としての御意思があるかどうか。これは大臣として非常にむずかしい問題であります。
  22. 本多市郎

    ○本多国務大臣 まことにお話の通りの事情にあると存じます。しかし国全体としての予算の調和、困難性のわかち合いという建前に立つて行かなければならないということになりますから、国と地方財政との困難性と申しましようか、それのつり合い問題だろうと存じます。お話のごとく平衡交付金平衡交付金法律に従つて算定いたしますけれども、必ずしもこの算定通りの額が補填されない場合もあるのでありまして、年々少しずつ下まわつております。これは今申し上げました通り、国の財政地方財政と同時に勘案いたしまして、政府としてつり合いを失しないように決定するという、そこから来るものでございます。結局は国力の充実ということにかかつて来る問題ではないかと存じます。
  23. 門司亮

    ○門司委員 どうも大臣の御答弁は非常におざなりであります。もう一つ私は根本問題を聞いておきたいと思います。国と地方との財政の問題でありますが、これは大臣の方がよく御存じだと思いますが、昭和十一年の日本の財政計画の上から見ますると、これは日本における平和の最後の年でありますが、地方予算国家予算に対して一二五であつたか、一三五であつたかと私は記憶しておりますが、かりにこれを一二五といたしましても、昭和十二年の支那事変勃発からずつと地方予算が減つて参りまして、そうして昭和十九年には中央の一〇〇に対して地方は二五に下つておる。これが戦争後にまただんだん復活して参りまして、昭和二十六年には大体八〇%ないし九〇%近い数字が出て参つておりますが、その数字は事務の再配分によつて、必ずしもそのままに受取るわけには行かないのであります。ところが昭和二十七年度、本年度予算を見て参りますと、地方予算と国の予算の比例でありますが、たとえば地方予算は大体七千六億を要求いたしておりましたが、七千六億にはなつておらない。今度の三百二十億を加えて参りましても、大体七千二百億か三百億内外であります。ところが中央の予算は、当初予算におきます八千五百二十七億という数字に今度の数字を加えて参りますと、約一兆近いものが出て参つております。この比例は、明らかに七〇%ないし七五%しか地方財政はないということになつておる。この開きがだんだん大きくなつて来るということは、今国力の培養と言われておりますが、国の政治自体が非常時態勢を明らかに物語つておる一つの大きな左証であつて、これで地方の自治体は完全にやつて行けるかどうかということです。私が大臣にお聞きしたいと思いますことは、大臣といたしましては、国と地方との財政上のバランスは大体どのくらいが至当であるかという大臣の御所見だけ伺つておきたいと思います。
  24. 本多市郎

    ○本多国務大臣 過去のことを比較してのお話でございますが、門司さん自身もお話の通り、これは行政の量に比較しての問題でございますから、行政事務の分担がどういうふうに変更を来しているかによつてつて行くわけでございます。ことにお話の昭和十一年以後は、国の事務が非常に膨脹した時代でございますので、比例も非常に国の方が多くなつて来ておるだろうと存じます。しかしいずれにいたしましても、地方財政が相当きゆうくつであるということは、一般の認むるところでございますので、この確保ということには今後努力して行きたいとは存じますが、どれくらいの割合が適当かということにつきましては、結局今度の調査会あたりで結論が出ましたならば、それでおのずから国の行政と地方の行政の規模がきまり、予算がきまつて行くのではなかろうかと存じます。ただ注意をしなければならないと考えておりますのは、国がみずからの財政の健全化ということを優先的にやるということになりますと、地方がそのしわ寄せを食うということになりますので、こういう点においては十分今後注意して行かなければならぬと考えております。
  25. 青柳一郎

    青柳委員長 横路君。
  26. 横路節雄

    ○横路委員 地方財政平衡交付金法を一部改正する法律説明をいろいろお聞きいたしまして、配分の仕方は、去年やつた配分の仕方よりもこちらの方がいいと思います。しかしこのやり方は地方財政平衡交付金法の立法の精神からいつたら退歩したんじやないかと思う。これはどういうことであるかというと、これから毎年平衡交付金法で行くと、どうも地方財政状態を満たすわけにいかぬ。国の平衡交付金交付基準額との間に、毎年減つて行く傾向があるので、配分の仕方だけはこの際技術的にうまくやろう、こういうのが今回の立法の精神ではないかと思う。これは第三条にちやんと「財政需要額財政収入額をこえる場合における当該超過額を補てんするために必要且つ充分な額を、地方財政平衡交付金(以下「交付金」という)として国の予算に計上しなければならない。」さらに第十条の第二項には、第三条からうたつて来て、その配分の仕方をやはりやる。従つて自治庁としてこういう法律を立法しなければならなくなつた理由は、どうも毎年うまくなさそうだから、配分だけは合理的にやろうというので、法の精神をだんだん忘れて、法自体が退歩するような方向に行くのじやないかと思うのです。その点一体どうなのか。  もう一つ、私の聞いておる数字に間違いがなければ、今私の手元に配付されました十一月十四日付の自治庁財政課の昭和二十七年度地方財政平衡交付金算定に関する調の道府県分の最後に、交付額は交付基準額に按分率〇・九六七七を乗じたものであるとある。ところが昭和二十六年度は、こういう配分の仕方をとらなかつたのですから、各県ごとによつて別々であつても、しかし昭和二十六年度の道府県の配分は、いわゆる交付基準額の率は、私はどの資料を見ましても九六・七七%よりも下つておるものがないわけです。これは私の数字に間違いがあるのかもしれません。これは二十六年度の調査ではたしか、もしも平均ということを行うとするならば、九八・一九%になつているのではないかと思うのでありまして、従つて私は、どうも今回出されたこの改正法案というものは、そういう意味で毎年減額されて行く。それを合理的に配分する配分の仕方という点でこれをやつたので、どうもこの立法の建前は、がんばつて平衡交付金について地方の要望にこたえるという基本的な精神に欠けているのではないか。その点がまずどうなつておるのか。あまり技術的な配分ばかりを考えて、平衡交付金法そのものの精神を忘れておるのではないかというように、私はこれを見まして感ずるわけです。その点を大臣はどうお考えになつているかということと、それからもう一つは、今配付されました資料の九六・七七%というのは、昨年に比べて、これは落ちているのじやないか。この点、これは私の手元にある資料に間違いがあればあれですから、落ちてなければ落ちてない、落ちていれば落ちているというふうに具体的にひとつお話願いたい。
  27. 本多市郎

    ○本多国務大臣 御質問は、平衡交付金を確保するという熱意を失つておるのではないかという意味の御質問に聞えたのでございますが、これはぜひ確保したいという気魄は決して衰えておらないのでございます。しかし算定する時期等も違いますので、どうしても食い違いが、多過ぎるか少な過ぎるかの場合を生ずるのでありまして、不足する場合の計算方法をかように改善していただきたい、こういうことでございまして、さらに不足額を補填するということについての努力は、今まで以上に続けたいと存じます。今回の措置が不足した場合の計算のみではないかということで、そういう感を持たれたことと存じますが、実は同時に算定いたしました平衡交付金の額を上まつて平衡交付金が決定された場合、その場合の過剰の額は特別交付金の方へ繰入れるという措置も同時にお願いをいたしておるのでございまして、われわれはぜひ下まわらないように今後努力する考えでございます。さらに資料についての説明は、政府委員から申し上げます。
  28. 武岡憲一

    武岡政府委員 昭和二十六年度と二十七年度の仮決定の際におきまするいわゆる按分率についてのお尋ねでございますが、これは御指摘通り、二十六年度は大体九八%ぐらい、それから二十七年度の仮決定におきましては大体九七%弱、こういう数字になつておるのでございます。按分率自身は落ちておるのでございまするが、これは先ほどもちよつと申し上げましたように、二十六年度、二十七年度というのは、単位費用算定を初めてやりまして、二十五年度には最初のことでございましたので、大体現実予算額等から逆算してこの数字を出したというような関係もございまして、むしろ交付率というものを一にする。交付基準額と交付額とが一致するような結果になつたのでございますが、二十六年度に初めていわゆる客観的な合理的な単位費用をとりたいということで、いろいろ資料を集め努力をいたしたのでございまして、その後なおその単位費用のほか補正係数等におきましても、いろいろ研究の過程にございまするために、本決定のときと仮決定のときとで、また数字がかわつたというようなこともございまして、まあ一口に申しますると二十六年度、二十七年度という最近までのところは、この制度はまだすつかり軌道に乗つた固まつた制度になつておりませんために、結果から見ますと、按分率が高くなつたり、低くなつたりしているような結果になつておるわけであります。それによりまして、今御指摘の、だんだん交付金の按分率というものが落ちて行くのじやないか、つまり逆に言えば平衡交付金の額があるべき額よりも非常に減つて行くのじやないか、こういう御懸念のようでありますが、これはただいま大臣からも申し上げましたように、決してわれわれさようには考えておらないのでございまして、今回の改正法も、先ほど私も御説明申し上げましたように、多い場合も当然予想しておるのであります。本来から言えば、この財源不足額合算額交付基準額というものが一致するのが本筋でございますが、その予算編成の時期等の関係から、どうも実際問題として若干下まわつております。現実に二十六年度、二十七年度の結果を見ますると、このように若干財源不足額の方が交付金の額よりも二、三パーセント低いというような結論も出ておりますので、たまたま不足の場合の按分ということが特に問題になつたわけでございます。これはこの際このように改善したい、かような意味で提案いたしておるのであります。
  29. 横路節雄

    ○横路委員 次に私は単位費用特例に関する法律案の中でお尋ねをいたしたいのですが、この単位費用特例に関する法律案を読んでみると、私は筋が通つてない点があるのじやないかと思うのです。それはたとえば道府県の教育費あるいは市町村教育費につきましても、小学校費、中学校費の場合に、児童数、学級数、学校数というように三つにわけてある。ほかの方はたとえば厚生労働費は人口、警察費も人口、消防費も人口、こうなつておる。ところが教育費については児童数、学級数、学校数となつておる。これは明らかに人口と面積というものがからんでいるわけです。そうでなければ児童数だけでいいわけです。ところが御承知のように学校の場合には、児童数十五人という単級の小学校もある。これも一学級、一校なんです。これは面積との関連で生まれて来る。ところが片一方になると三千人という学校ができて来て、学級数が五十学級というのが出て来る。これも人口と面積との関連からそれが生まれて来るわけです。そうなれば当然——ここにありますところの厚生労働費のうちの社会福祉費は人口だけできめてある。衛生費も人口です。保健所の数等もありますけれども、ことに大事な警察消防に関しては人口だけしか見ていない。警察については、一人当り二百六十三円七十二銭という単位はございますが、しかしやはり私は面積というものがそれにからんで行かなければ、逆に人口五百人なら五百人に対して一人という、そういうものの考え方もあるけれども、同時に人口五百人のその居住しておる範囲の面積というものは、当然その中に考慮されなければならない。だから私は、警察費にしても消防費にしても、当然ここに、「人口一人につき」となれば、これと同時に面積と、こう出て来なければならない。私は今回の単位費用特例等におきましても、やはり人口の密集したところばかりをお考えになつておるのではないかと思うのです。ですから当然私は小学校、中学校の教育費について、人口、言いかえたならば児童数というのはやはり人口の一つの現われです。それと面積との関連でそういう学級数、学校数があると同様に、警察消防についても人口と面積、面積に関しても当然こういうふうに単位費用の中に出さなければ、私は全体の筋が通らぬと思うのです。その点について、当然私は警察消防等については、面積を入れてやるべきだと思いますが、はずされている理由について伺いたい。
  30. 武岡憲一

    武岡政府委員 法律に定まつておりまする測定単位とり方の問題でありまするが、教育費につきましては、特に児童数と学級数、学校数というかみ合せになつております。これももちろん小学校と中学校でございまして、高等学校の場合には生徒数だけとなつており、その他の教育費は人口一本で測定をいたしておるのでございます。それに対して警察費消防費というものは、それぞれ人口一本だけで測定をいたしておるのでございまするが、教育費は御承知のように、総体の基準財政需要額の中で、しかもウエートが非常に高いのでありまして、大体府県の場合でございますと、基準財政需要額の中のほとんど三割くらいのものが、教育費として算定されている、そういうような非常に重要度の高い費目でございます。それだけにその測定につきましても、できます限り精密に、測定単位の数等もふやしまして、各団体ごとに、その特色のあるところを捉え得るような測定をいたしたい、こういうことが立法の精神になつておるのだと考えるのでございます。もつともその他のものにつきまして、人口あるいは生徒数というふうに一本になつておる。これは測定が楽でよいということではございませんけれども、これは行政区画の問題でございまして、測定単位を一本にした方がいいか、あるいは二本にした方がいいかということは、その経費の性質にもよりましようし、またその全体的の重要性等から考えまして、かような測定単位が法定されているものと思うのでございます。そこで警察費、あるいは消防費というものについても、人口一本というのが非常に楽であつて、たとえば面積のようなものも当然これに考えられなければならないのではないかという点は、まことにごもつともでありまして、測定単位としては法律では一本になつておりますが、実際の各団体ごと基準財政需要額測定いたします際に用います補正係数でもつてそれを考えておるのでございます。具体的に申し上げますと、第三号の補正と呼んでおりますいわゆる態容補正の中におきましても、可住地の密度というようなものも当然取入れまして、具体的な算定はいたしておるのでございますから、ただいま御意見のございましたような点は、この基準財政需要額の各団体ごと算定の際には、当然取入れているものと、われわれはさように考えております。
  31. 横路節雄

    ○横路委員 そうするとただいまのお話で、警察消防それから社会福祉、衛生と、こういう点につきましても、やはり人口ばかりでなしに、面積についても、基本的には当然法の中に明らかに出しておくべきだ。それがないから補正係数の中で今やつているのだ。そうであれば、当然面積については明確にこれをうたつておいたらどういうものでしようか。
  32. 武岡憲一

    武岡政府委員 測定単位として、人口及び面積というふうにやるか、あるいは人口一本で測定するかという問題でございまするが、これは立法論の問題でございまして、測定単位の数をふやして行けば行くほど、測定はだんだん精密になつて来ると思うのでございます。ただしかしながら、それだけに全体的な事務というものは非常に煩雑になつて参りますし、係数のとり方あるいは各単位ごとに補正係数を定め、測定単位の数値を算定して行くということで、事務的にも非常に煩雑になりますし、そうでなくても現在の程度交付金算定におきましても、どうも少し複雑過ぎるのではないかというような御意見も、各方面から伺つておるような次第でございまして、大体大きな開き、見当違いにならないような程度測定ができます限りにおいては、測定単位は少くて済ますことができれば、それでよいのではないかと考えるのでございます。  なお面積等の分子、これを実際に入れて、全体の基準財政需要額測定するのについて、ただいまの法律ではただ単位費用、各行政費目ごとの測定単位及び単位費用だけが法定されておりまして、補正係数等は総理府令にまかされていますために、法律上、上つて参りませんけれども——これはずつと前にも申し上げたかもしれませんが、私どもといたしましては、この補正係数もできるだけすみやかに法定いたしたいと考えておるのであります。ただいまの法律建前では、二十九年度から法定するようにということになつておるのでございますが、私たち事務の者といたしましては、できますれば二十八年度明年度からでも法定することができますように、事務的な準備をただいま進めておるような次第でございます。
  33. 横路節雄

    ○横路委員 私特に今の点で二十八年度から単位費用単位について、そういうように何か立法するという御趣旨のように承りましたが、実はやはり今のお話の中で——これはちよつと言葉上の問題であると思いますが、計算するのに複雑だし、事務が複雑だから、単位については一本の方がいいということになると、これは事務屋さんのお話のことで、実際には今のお言葉はあまり妥当ではないと思うのです。たとえば消防費の場合など、人口が密集しておれば、それはこれでいいでしよう。しかしこつちの部落に三十戸、向うの部落に五十戸、こちらの部落に何十戸というのが、これが実際の町村の実態なんです。ですから消防費をその土地における人口だけ集めて、まるで東京のように密集したところで、電車の走るようなかつこうだけをお考えになると、非常に地方市町村の実態から行つてそぐわないわけです。従いましてこの間も問題になりました自治体の警察の点につきましても、これは人口だけでやるから、町村の自治体警察が維持できなくなる。たとえば警察官一人で担当するいわゆる人口割というものがきまつておりますが、しかしそれが非常に面積が広大だと、これだけの単位費用測定ではできないわけですから、今の点は事務当局としては、なるほどそろばんをはじく上から行けば都合がよいかもしれませんが、実際に行政をやる上からは、ちよつと穏当ではないと思われる。次に教育費のところでちよつとわからないのでお聞きいたしますが、児童数はわかりますが、学級数というのは一体何を学級数と言つているか、私のものの言い方がおかしいようですが、それは実際に全国の小学校、中学校の学級を言つているのか、それとも自治庁の方で何々府県小学校生徒何十万、これを五十人に割つて何ぼというふうに普通言われている理論学級でやつているのか、それとも実際にある実学級でやつているのか、それが非常に問題でございまして、その点が第一点、それから学校数につきましても、これもやはり僻陬の地に参りますと、あるいは都市の周辺でもそうですが、本校の分教場、分校があるわけでございますが、それらも学校という点から言えば、単式の小中学校、あるいは複式の小中学校と同じように扱われるべきだと思いますが、それはどうなつておりますか、その点をひとつお聞きいたしておきたい。
  34. 武岡憲一

    武岡政府委員 お尋ねの点の第一点は、学級数ということは何のことであるかということでありますが、これは別途の資料としてお配りしてありますが、この算定をいたしますための総理府令の中に規定しております本年の仮決定の際に用いました総理府令によりまするお尋ねの点は、かようになつているのでございます。これは小学校の場合でございますが、昭和二十七年五月一日現在における市町村立の小学校に在学する年齢児童をもつて編成された実学級の数、複式学級の場合でございますが、これは一学級とみなす、こういうことにいたしております。この場合におきまして地方団体の組合の設置する学校がございまするが、この小学校の場合に在学する学齢児童をもつて編成された学級数に対しては、その補正後の数値をその学齢児童の居住地の市町村の数で按分したものを、それぞれ関係市町村に属する学級数とする。組合学校の場合には大体按分で行く、こういう考え方でございます。  第二の小学校の問題の学校数の問題でございますが、これはやはり総理府令の中で昭和二十七年五月一日現存における市町村立の小学校、そのうち分校の問題につきましては、分校として都道府県の教育委員会に届けられたものは学校とみなしております。これは名称は分教場というような名前になつているものも含む、こういうふうに規定をいたしているのでございます。
  35. 横路節雄

    ○横路委員 私は大臣にお尋ねをいたしたいのですが、先ほど申し上げました、私たちの手元に配付されました昭和二十七年度地方財政平衡交付金算定に関する調べ書を見ましても、やはり都道府県の要求を満たしていないわけです。これは当然全国知事会その他からお話がありましたが、そこで大臣に特にお尋ねいたしたいことは、この間十六日に予算委員会で与党の自由党の方から、附帯決議をつけて予算委員会を通されたわけであります。今回の補正予算については、われわれとしては非常に地方財政の窮乏の折からぜひ地方財政平衡交付金並びに地方起債については増額しなければならぬと思つたのですが、附帯決議がついて私どもの主張が破れたのです。そのとき大蔵大臣は何とかこれについては早急に考えたい。その中には御承知のように、公務員の給与ベースについてはすみやかに適切なる措置云々とあるわけです。この点につきましては衆議院の本会議では別にお話ありませんでしたけれども、参議院の予算委員会で向井大蔵大臣から、二十日までにこの点については具体的な計数を出したい、こういうお話でございます。新聞等の発表によりますと、閣議では今回政府が補正予算で決定したほかに〇・二五箇月分だけ支給したい、こういうように伝えられているわけでございます。そこでまず私のお尋ねいたしたい点は、おそらく閣議か何かの形できまつているのではないかと思いますので、この一月分の〇・二五というものが今回補正予算できまつて、その一月分の上にさらに増額することにきまつたのかどうか、その点が第一点。次には〇・二五を増額して支給するときまつた場合に、今でさえこういうように窮乏している都道府県市町村地方財政なので、この〇・二五をやるということになれば、私はこまかい数字はわかりませんが、おそらく大体五十億ないし六十億くらいのものについては見なければならないのでないかと思うわけでございます。そこで私はこの点を特に明らかにしていただきたいと思いますことは、この〇・二五をプラスするということにきまつたとするならば、一体これの財源措置はどうなさるのか。これまた新聞等に伝えられるところによると、政府が責任をもつて一時借入れの道を講じて、そうしてこの年末をしのいでおく、こういうようにも伝えられておりまするが、一時借入れでしのぐということになると、地方自治体はそれはやはりどこかで返済をしなければならぬ。そうするとこの前から委員会で問題になりましたように、二十七年度の末に至つて何らかの操作をしなければならぬ、こういうわけでございます。まあおそらく閣議でも決定なさつているのでないかと思いますので、この点が明らかにならないと、今出されたこの資料等に関連いたしまして、ただ単に〇・二五をやるのだ、しかしそうなることについては借入金または適当に地方財政の許す範囲内で自主的にやれなどということになると、それはとんでもないことになりますので、その点をまず大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  36. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方財政の窮迫を何とかして先日御決定願いました補正予算で切抜けて行くというこの根本方針にはかわりないのでありますけれども、金繰り等の関係で短期融資あるいは公募公債等によつて処理してもらうような方法は講じなければならないと考えております。さらに一般公務員の年末手当の増額につきまして、実はあすまでに大蔵大臣が方針を決定して、予算委員会等に発表しようという心組みにはなつておるのでございますが、その心組みは一般公務員につきましてただいまお話の通り〇・二五を年末手当としてやるというような考えはないのでございます。ただ年内の超勤手当の予算不足額を第四・四半期分の超勤手当の財源から繰上げて支払う等の方法を講じたいというようなことが話には出ておるのでございますが、これが具体的にどういうふうになるか。はたして年末手当という性質のものになるか、なるとすればお話の通りこれに準ずる地方財政といたしましても約五十億の不足を生ずるのでございますので、なお研究中でございます。
  37. 横路節雄

    ○横路委員 最初の方のお言葉でちよつと私聞き漏らした点がありまするので、またあとでお知らせ願いたいと思います。短期融資のことは、私たちも年末に至つて政府のああいう決定から行けば一時借入れ、しかも短期ということで行くより方法がないのじやないかと思います。その次の点は、起債をどうするというのか、その点をあとでもう一ぺんお聞かせいただきたいと思います。そこで一般の国家公務員について〇・二五箇月分だけを、まあ年末手当というのか、どういうのか、意味は別にしても、今のお話で第四・四半期分の超過勤務手当を前払いするといいますか、そういう操作は私は国家公務員についてはできるだろうと思います。なぜならば超過勤務手当という一つの支給の方法があるのですから……。ところが今回の地方財政の中でまかなわなければならない中に、約五十万人に及ぶ教職員がいるわけです。これにつきましては、御承知のように、たしか超過勤務手当ということは一般の国家公務員と同じような形では支給されないわけです。そうすれば今お話ございました第四・四半期分のいわゆる超過勤務手当を一般国家公務員に前払いの形で渡すとしても、いわゆる地方公務員に入つておるところの教職員にはないわけです。その点自治庁の長官としてはどういうようになさるのか。もちろんあす向井大蔵大臣から全般的な発表はあるでしよう。そういう約束なんですから……。しかし長官としてやはり窮乏している地方財政を救うという意味から行きましても、ぜひ明らかにしていただきたい。  もう一つ私は特に大臣にこの点お考えを願いたいと思いますことは、今地方の都道府県議会はこの国会に並行して開いて、おそらくどの県でも今地方公務員に対して年末手当を何ぼやるかということについては都道府県の知事がそれぞれの職員団体に回答ができなくて、本多国務大臣がどういう回答をなさるかということを都道府県の知事並びに百五十万にわたる地方公務員は非常に期待をいたしておりますので、やはりきようあたりが適当なころだと思いますから、ぜひこの際明らかにしていただきたい。
  38. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方財政の困難を打開するためには、公募公債の額を拡張すべきではないかということを申し上げたのでございまして、こうしたことはぜひ実現いたしたいと考えております。さらに今の一般公務員についての年末手当の問題でございますが、年末手当は一月分となつておるのを、〇・二五増額するのかしないのかという横路さんの御質問だろうと思います。これにつきまして今日までの政府部内の話合いでは、年末手当は増額しない。十二月までに超過勤務をした者に対するその超過勤務の手当を、財源の不足をしておるところもあるので、その分だけ年内のものであるから年末のことでもあるので、年内にひとつ払うような方法を講じよう、それには第四・四半期分の財源、これをもつて先払いをするようにしたらどうだということでございまして、年末手当として支給するものではないということになつておるのであります。しかしただいま大蔵大臣が考えておりますような操作でこれが実際行えるものかどうか、これは各省の超過勤務手当の状況も見なければならないことでありますから、われわれもそれを注視いたしておるような次第でございまして、もしこれが年末手当というようなことで出さなければならないということになりましたならば、それに準じて地方財源も確保するという考えでおるのであります。
  39. 横路節雄

    ○横路委員 今のお話で大臣お答えがなかつたのですが、地方公務員の中の教職員については、実際超過勤務手当という支給制度がないのです。ですからそれに対してやると言つてもやりようがないのですから、その点を一体どうなさるのか。それをひとつお聞かせ願いたい。
  40. 本多市郎

    ○本多国務大臣 ただいまもお答え申し上げました通りに、年末手当ということで支給される場合は、これに準ずべきでありますから、これは地方公務員にも当然同額の財源措置が必要かと思いますが、年末手当でない超過勤務の当然払うべきものを払うのであるという建前でありますと、超過勤務がないところに払うべきわけはないのでありますから、これは支給されないということになると思います。
  41. 横路節雄

    ○横路委員 大臣の答弁はあまり機械的だと思いますし、それから閣議でも相当話が出ておりますのに——もちろん今発表するについては制約されておるかもしれないが、今のお話で行けば、超過勤務手当で国家公務員並びに地方公務員については支給するが、学校教職員については超過勤務という制度がないから支給しない。今の大臣の言葉を率直に聞けば支給しないということになるのです。これは実際にあり得ないと思う。支給しないと言えば、たとえば千葉県なら千葉県の県庁に勤めている職員には〇・二五やる。ところが千葉県の知事が、千葉県の教職員も〇・二五じやないかといえば、いや、それはそういうわけに行かない。それじや〇・二五は何でやつたらいいか。それはまたお前たちかつてにやれ——それでは私は大臣としての御答弁ではないと思う。それはいろいろあとの発表もありますし、いろいろ制約されておる点はありましようが、大臣としては何らかの方法でやるならばやるとおつしやつていただかねばならぬ。今日のお話では、地方の教職員には絶対にやらぬ、あとは都道府県の知事がかつてにとれ——これではやはり長官としてお答えがどうも少しうまくないのじやないかと思います。その点もう一ぺんお聞かせ願いたい。
  42. 本多市郎

    ○本多国務大臣 前提があつてお話申し上げたことでございまして、一般公務員に対する超過勤務手当の支払いでございますが、ほんとうの超過勤務手当の財源と、それから超過勤務の状況に応じて払われるものか、あるいはお話の通り、〇・二五に達するまで何らかの金をもつて補填して支給することになるものか、これはいまだ政府部内においてきまつておらないのでございます。それが年末手当という性質のものでありますならば、超過勤務手当のあるなしにかかわらず、教職員に対しても同じ割合で財源を確保して支給すべきであると考えておりますが、政府が支給しようと今話合いに出ておりますものが、年末手当であるか、超過勤務手当の現実にしたものに対する支払いであるかということに対して、まだ検討中なのであります。
  43. 横路節雄

    ○横路委員 私は今のお答えの中で非常に大事だと思いますことは、もしも年末手当ということになれば、当然政府としてはそれに相当する歳入歳出を見て出さなければならぬということになると、補正予算の第二号ということになるのじやないかと思うのでございます。ですから今の大臣のお話で、年末手当という形で出せば、当然それは私たちも補正予算第二号ということになつて、あす提出するのか、それとも二十二日に提出するのかということになる。その場合には、当然政府としては、一般の公務員に対する分、並びに地方公務員に対しては、地方財政平衡交付金増額で見ることは当然だと思うのです。この点私はかえつて政府が年末手当というかつこうで思い切つて出された方がはつきりしていいと思う。ところが問題は、どうもそうではなしに、今大臣のお話のように、片方には超勤手当でやるのだ、片方には超勤手当はないのだ。しかし困るだろうから短期融資をやつてやる。しかし短期融資にしても、それは金を返さなければならぬ。その返さなければならない金は、今長官もおつしやつたように、〇・二五を超勤手当にしろ何にしろ別の名前でやつても、大体五十億ないし六十億の金がいるとするならば、二十七年度の末に、どうなさつてこの地方財政の赤字を補填なさるお見通しか、その点についてもう一ぺんお聞かせ願いたい。
  44. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これは国家公務員についての処置がきまるときに同時に決定いたしたいと思つております。また国家公務員に対しまして、ただいま申し上げましたような超過勤務手当の年内の分を支払おうじやないかという程度の話までは出ておりますけれども、賞与をやるという話まではまだまとまつておりませんので、この国家公務員に対するそうした措置のきまるとき同時に決定しなければならぬことと思つております。年末手当を〇・二五やるということが国家公務員について決定いたしますならば、お話の通り財政措置が必要でありまして、短期融資で財政措置というわけには参らぬのでありますから、当然平衡交付金増額ということになつて参るだろうと思います。あるいは預金部資金の起債のわくの拡大ということにならなければ財政措置にはならないのでございますが、ただいま申し上げました国家公務員に対する措置が、年末手当ということでなしに、ほんとうの超過勤務手当の払うべきものを払うという限度のものでありますならば、そういうことは講ずることもできないし、また講ずる必要もないかと思いますけれども、実際は年末手当が支給されるということに決定するものといたしますと、お話の通りにしなければならぬと思います。その実際の金をどうして払うかという問題につきましては、これはまたどうしてもそうしなければならないという場合、補正予算が年内にすぐ間に合わぬかも存じませんから、その場合に短期融資をしておいて、あとで財政措置を正式に講ずるということができないことはないと考えております。いずれにいたしましても国家公務員に対する年末手当の増額ということについてもきまつておらないのであります。
  45. 横路節雄

    ○横路委員 今の問題につきまして、私はこれ以上お尋ねいたしませんが、そうしますと、超勤手当にしろ、年末手当にしろ、どちらに決定しても、当然政府としては地方の教職員並びに地方の公務員には、同様なものを名目のいかんを問わず支給しなければならぬと私は思う。従つて政府は閣議ではつきり決定されて発表されるだろうと思います。おそくとも明日には発表する予定ではないかと思いますので、政府の発表と相まつて地方の公務員並びにそれに対するところの地方財政に対する財政的な裏づけ、負担はどうなさるかは、あらためて本多国務大臣からお聞きすることにして、今日はこれ以上いたしませんが、そのときまで私はさらに質問を保留いたします。
  46. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その他教育費の五十七円七十九銭が六十五円五十七銭に上げられておりますが、その差額七円七十八銭が教育委員会の設置費用になるわけですね。
  47. 武岡憲一

    武岡政府委員 市町村の「その他の教育費」を人口で測定することになつておりますが、その単位費用増額分は、教育委員会の設置による経費の新規増の分と、給与改訂による増の分の両方が入つているわけです。
  48. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それで私いろいろ計算してみたのでございますが、この増額ですと、自治庁が示している最低ぎりぎりの教育委員会であつて、専任教育長を置かないにしても、ほとんどその運営が困難である。最低の教育委員会も維持できないということになつておるのです。ところが現実に七千人以下の町村というのは、私の県なんかには相当多数あるのですが、たとえば三千人の村ですと、計算して行くと二万三千三百四十円にしかならない、ところが最低五万六千円というところまで行つているんです。三万三千円までは町村で負担しないと最低の教育委員会もできない、こういうことになるのですが、そういうところはどういうぐあいにお考えになるのでありましようか。また専任教育長を置く費用を見ますと、大体二万人以上の町でないと、専任教育長が置けないという計算になつて来るのです。そうしますと、私の県のことばかり言つておかしいのですが、私の県では市以外は専任教育長はほとんど置けない、町も全然置けないということになつて来るのです。こういうことはどういうぐあいにお考えになつていらつしやるか、お聞かせ願いたいと思います。
  49. 武岡憲一

    武岡政府委員 教育委員会の設置に要します経費として、今回の修正財政計画におきまして見込んでおりますのは、御承知通り十億八千二百万円でございまして、それだけの一々の財政需要額はこの単位費用を用いますと、今度の基準財政需要額の中に全部算入されることになるわけであります。問題はその配分の問題であろうと存じますが、教育長の配置の問題につきましては、市の場合は現行の各市におります教育部課長をそのまま教育長にあてるということで、財政計画ができておりますので、その分は算定に入らないわけでございます。町村の場合には大体全体の約九千数百町村のうちの半数ぐらいに専任の教育長を置くということで考えておりますので、それを現実に各団体配分いたします場合には、補正係数の操作でもつて需要額をそれぞれ測定して行くようにいたしたい、かように考えるのであります。
  50. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと小さい町村ではこの計算で行きますと、最低五万六千五百三十円というこの金が満たない場合には、補正係数でここまで引上げて行く、こういうことになるわけですか。どうも明瞭でないからお聞きするんですが。
  51. 武岡憲一

    武岡政府委員 この場合は段階補正を用いまして、人口段階によりましてそれぞれ補正をいたしますから、かりに現実の、これはまだ実際に係数をつくつて算定をいたしてみませんと、具体的なことは申し上げかねますが、たとえて申し上げますならば、現実の人口がかりに二千五百人しかおらないような町村でございましても、補正の結果その基準財政需要額算定基礎となる数字があるいは五千人になり、六千人になるということがあり得るわけです。それによりましてそれぞれの団体需要額測定いたしまして、全体的に申しますれば、大体人口段階別に教育長を専任する町村と、しからざる町村とを区別して行く、こういうことになると思うのであります。
  52. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと、とにかく二千五百人の村でもここに示されておる五万六千五百三十円の金額に満つるように補正される、こういうぐあいになるんですか、それでよろしいですか。最低は確保されるということになるのですね。
  53. 武岡憲一

    武岡政府委員 この単位費用を用いまして、それから今別途私の方で作成しつつあります補正係数を用いまして計算をいたした結果、それに該当する町村については、それだけの需要額はもちろん確保されるわけです。
  54. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それはそれでわかりました。大臣にちよつとお聞きしたいのですが、この前各市町村で大体標準税率で課税している、こういう御答弁がありましたが、山形県の例によりますと、固定資産税の場合ですが、標準を越えているのが八〇%あるのです。標準を越えて制限ぎりぎりに行つているのが一〇%ある、こういう実態なのでありまして、これは私の県だけの例から申してはおかしいのですけれども、現在全国的に見ましていろいろ町村の財政の困難さから、こういう傾向が相当多いのではないか、かように推測するのですが、それでも大臣としては、全国的な視野に立てば、これは標準を上まわるのはごく例外であつて、全般的には標準でおさまつておる、このようなぐあいに現在でもやはりお考えでございますか、ここのところをお聞かせ願いたいと思うのです。
  55. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これはもう事実の問題でございますから、資料でお示ししてもよろしゆうございますが、先般私が答弁いたしましたときには、おおむね標準税率を採用しておるところが多いということを申し上げたのでありまして、個々の府県に至りましては、お話のようなところもあろうかと存じます。従つて課税は相当充実して行われているという考えは、私もかわりないのでございます。なお全国的な状況につきまして政府委員からもう一度御説明申し上げます。
  56. 武岡憲一

    武岡政府委員 全国的に課税の標準で行つておるか、あるいは制限一ぱいで行つておるかということについてのお尋ねでございますが、大体の傾向としての問題は、先ほど大臣から申し上げた通りでございますが、全国的に各団体別に見て、標準税率で課税しておる団体あるいは標準税率以上の課税をしておる団体等につきましては、具体的な資料は御要求でございますれば、別途資料にして差上げてもいいかと思います。
  57. 青柳一郎

    青柳委員長 次に阿部君。
  58. 阿部千一

    ○阿部(千)委員 私はこの二つの法案については基準財政需要額にウエートを置いての立法の理由にきわめて賛成でありますが、この前の大臣の提案理由の御説明で、近き将来にさらに基準財政収入額その他の重要な改正予定しておるというふうなお考えを承つておりますが、つきましてはこの基準財政需要額にウエートを置く考え方を、昨年ですか一昨年ですか、公布せられました国土総合開発法による指定を受けた特定地域の開発によつて生ずる地方の特殊なる負担というものについて、さらにお考えをいただくような余裕があるかどうかということについて御質問をいたしたいのです。大体国土総合開発法は、当該の府県あるいは市町村等の事業として行われるものでありましても、そういう団体の開発ということが本来の目的でない、国家の開発ということに本旨を置いて、それがたまたま未開発地点に該当して参る、従つてその開発の結果は効果を当然当該府県市町村は受けるには受けますけれども、本来の目的が今後の日本の復興のために、国家の開発を最も効果的にまた急速にやつて行かなければならぬという趣旨のために、特別のところをピックアップしまして指定するという趣旨になつておるものですから、従つて相当厖大なる国の公共事業等と抱合せになる地帯等は、やはり地方で負担して行く場合に、たまたま未開発地帯であるというために、負担能力あるいは償還能力の見地から言いますと、きわめて弱体の地方団体が多いということになると思う。これは新たなる法規が出ましてまだ一年ほどしかたちませんから、該当地方はまだそれほど顕著になつておりませんが、今後やはり国の重要なる施策として続々そういちふうな国策がとられて行くという場合には、同様の地方団体がふえて行くということになると思います。そういう場合に、基準財政需要額に、現在の道路の面積であるとか、あるいは橋梁の面積であるとか、河川の延長であるとかいう現状本位の測定単位だけでは考えられないのであります。そういう非常に急速な開発を要するような、しかも厖大な負担を要するものを国の計画にタイアツプしてやつて行くという場合には、基準財政需要額の中に、あるいは補正係数ででも何でもそういう点をお含みをいただきお考えをいただかなければならぬのではないか。さらにまた相当大きな起債が子々孫々に伝えられるということでありますれば、それを将来償還して行くためにも、その測定単位規定しております道府県、市町村等の公債費、これは現存のところでは災害復旧事業費及び防空関係事業費の財源に充てた地方債の元利償還金というだけに限定されておりますが、今のような国できめた国土総合開発法による開発計画による起債についても、この公債費に見て行かなければ負担力にマッチしないのじやないかというような見通しもあるわけです。今後ぼつぼつそういう府県市町村が多くなるにつきましても、おそらくこれは、やはり現在の方針としては、そういう地方団体のピック・アップ主義によつておるようでありますから、全般的でなくやはり一部の府県の問題になると思うのです。将来平衡交付金法の全面的なあるいは重要な改正をなさる場合には、そういうことをお考えいただく余地がありましようか。その点をお伺いいたしたいということ、これはまたことに地方財政の重要な重圧の条件になつて参ると思います。それともう一つは、これはむしろ地方団体の今の教育制度では全面的な問題になると思うのですが、この間中から何べんも問題になつておりましたように、現在人事権と給与権と申しますか、あるいは給与負担権と申しますか、それがわかれておるという現状において、府県の財政の重要な内容教育費について、——これは先ほどからもお話があつたようですが、今までも、ある方面から輿論としての御要求も再々あるものですから、今後において人事権と給与権との調整をはかるためにも、それを簡易ならしめるためにも、その前提として義務教育費はむしろ全額国庫負担にする方がいいのじやないかという考えもかなりあるようであります。相当この要求もせられておるのでありますが、これらについても、平衡交付金法改正等の場合に関連して御解決を願うということについてお考えを承りたいということと、従来何かこれについて御審議の経過がありましたでしようか、それらの点について伺います。
  59. 本多市郎

    ○本多国務大臣 第一の、国土総合開発のために、その関係地方団体財政的な大きな影響を受けるという問題につきましては、これは一時的なものであれば、その年限りの特別平衡交付金で調整できる限度内でするということも考えられるし、また、大きな地元負担で起債を要するという場合には、お話の通り起債を認めるということも必要な場合があろうかと存じております。これはその国土開発総合計画の実施の状況をよく勘案して研究しなければならないことと存じますので、御趣旨に沿うように今後事務当局をして研究させたいと考えております。  さらに第二の、義務教育費国庫負担を全額にしたらどうかという御意見でございますが、これも根本的には、半額国庫負担も適当であるか否か、さらに進んで全額国庫負担まで行くべきであるかというようなことについて、地方制度調査会等で十分審議していただくことと存じますが、ただいまの私の考えといたしましては、市町村の自治行政といいましても、この教育行政というものは一番大きなものでございまして、教育行政を市町村行政からまつたく離れたものにしてしまうということになりますと、その地方団体の一体的な運営ができないようになつて行くというように考えられるのであります。こうした面から、普遍的な義務教育は、やはり地元自治団体が運営に当るということが地元自治制という上からは望ましいように考えられるのであります。こういう点から半額国庫負担ということについても相当考えておつたのでありまするが、今日その制度が実現いたしておるのでありまして、こういうことが実施された模様も見まして、さらに政府としても考えなければなりませんし、地方制度調査会でも、さらにこれに対して御意見を出していただきたいと考えております。今私の感じておりまするところを申し上げますると以上の程度であります。
  60. 阿部千一

    ○阿部(千)委員 そうすると、義務教育費全額国庫負担については、御審議の経過はまだ何もないというわけでございますか。
  61. 本多市郎

    ○本多国務大臣 実は、シャープ勧告に基きます地方財政制度を樹立いたします際、義務教育費は国庫でその額を補償すべきではないか、あるいは全額国庫負担にすべきではないか、標準費について法制化すべきではないか等の意見があつたのでございますが、当時はいずれも、やはり地方自治制を総合的に運営するためには、そういうことはあまり妥当でないというようなことで、国庫負担あるいは義務教育費標準についての法制化というものがなされないで参つたのでございますが、今回義務教育費確保という建前から半額負担ということが法制化されたのでございまして、これはむしろ両面から考えてみる必要があると存じます。規模において市町村のほとんど半ば以上にもわたるかと思われる教育行政を、全然国家予算にたよらして行くということは、地元との関係において、はたして妥当であるかいなかということについては、これはまだ考える余地は残つているのではないかと考えております。
  62. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 参考のために一点だけお聞きしておきたいと思うのですが、補正に要する財源の金額が、一般平衡交付金総額の何パーセントくらいをとつておるのでしようか。一般平衡交付金を各府県なり市町村配分する場合に、今審議されているところのこの測定単位によつて、一応は配付するでありましようが、それでは具体的な妥当性が期せられないというので、別に補正の財源を持つていて、それで補正をして行くというような方法で、最終決定が行われるということでありますが、その補正に要するところの総金額、財源が一般平衡交付金総額に対してどの程度のパーセンテージを保留しておるかということをお伺いしておきたい。
  63. 武岡憲一

    武岡政府委員 補正単位費用だけに現実の各行政単位ごとの数字をかけて出しました数で、それにいろいろ補正係数によつて補正を加えた額との間に、どれくらいの比率があるかというお尋ねかと思いますが、別に私ども測定をいたしまする際に、金額といたしましては大体今度の修正計画によりまして、たとえば給与改訂による場合としては——これは資料としてお手元に差上げておきましたが、今回修正財政計画によりまして、給与改訂関係の分としてどれくらいふえるか、そのほか内容のかわります分、たとえば各単位ごとに算定をいたしております行政内容等に変更がありまして、それによつてかわるものとこの二つあるわけであります。ただいまお尋ねの趣旨補正係数を用いる場合と用いない場合と、どれくらい違うかというお尋ねと存じますが、その点の計算は別にいたしておりませんで、補正をした上で一体給与関係でどれくらい需要額がふえ、またその内容改訂額ではどのくらいふえるかという計算はしているわけであります。これはお手元に資料として差上げておりますが、府県等で給与改訂関係の分といたしましては、大体百二十一億円ふえるわけでございますが、内容改訂の分としては六千三百万円くらいふえる、こういうふうな計算はいたしているわけであります。
  64. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 一例をとつてみますと、先ほど質問にありましたように小学校、中学校の市町村におけるところの単位費用その他の教育費という点で質問がありましたが、これによりますと人口一人について六十五円、ところがこの通り算定をして全国の市町村にやつたとするならば、ここに不合理が出て来るわけです。たとえば先ほどのお話のように人口の少い町村においても教育委員の数は人口の多いところの町村と同じであるわけでありますから、そうして一人当りの単価も教育委員については同じだということにもなります。しかしまた本年度は全国の半分の町村について教育長を置くというのである。それ以外のところには教育長を置かない、こういうような方針のもとに予算を立てている。そういうような場合に全国に一律に一人について六十五円幾らの数を人口にかけて配付する、財政需要として認めるということになりますると、教育長を置いたところと置かないところで非常に不平等になります。それを平等にするためには補正係数によつて補正をして行くのだ、こういうようなお話でありましたが、その他先ほどの警察官においてもいろいろあるのですが、具体的の場合には相当補正に要するところの経費というものを別途に持つていて、そうして具体的な措置を府県、市町村にして行くならば、明らかに平等になるのではないかというように考えられるわけであります。そういう点からしまして特別交付金は別として一般平衡交付金として総額何億かある、その中の一〇%、二〇%とかいうものを補正に要するところの費用として別にとつておいて、そうして具体的にそれを埋めて行くというやり方をするであろうと、こう考えたのでありまして、もしもそういうことであるとするならば、その補正に使うところの総額費用というものは、一般交付金総額に比較して何パーセントくらいのものになつているのかということをお聞きしておる次第であります。
  65. 武岡憲一

    武岡政府委員 このお示しをいただいております単位費用は、先ほど御説明申し上げましたように、各費目ごとに標準規模の想定をいたしまして、標準予算を組んで、それから出しているわけであります。たとえて申しまするならば、人口十万なら十万の都市について、ある種類の行政を法令の規定に定まつている通りにやつて行く、その単価は先ほど申し上げましたように、国の予算の単価等を基準にいたしまして、大体きめておるわけでございまするが、そういう標準的な規模でもつて、かりに想定をいたしました人口十万の団体で行政をやるとすれば、それが一人当り幾らになる、これが単位費用でございます。そこでその単位費用をそのまま現実の全体の人口数でありますとか、あるいは生徒数でありますとかいうものにかけましても、これは申し上げますれば基準財政需要額として意味のない数字でございまして、単に団体標準的なものということで、一応仮想の上で立てた数字でございますから、あまり意味がないわけでございます。むしろそれを現実に当てはめて行きまする場合には、先ほどお話の通り、それぞれその団体のあり方によつて補正をいたしませんことにはその団体にそれぞれ必要な基準財政需要額というものが出て参りませんので、そういう見地から補正係数というものをはじき出しているわけであります。そこで私どもはこういう作業をいたします際に、そういう標準となる単位費用をそのままかけた場合に幾らになつて、それから補正の分としてどれくらいの財政需要額を別に見る、こういうような作業を実はいたしておりませんので、今お示しのような数字はただいま手元に持つておりません。ただもしそういう意味でもつてそういうことを御承知の上で、単にいわば標準なつまりあるべきということで考えられた、いわば架空の地方団体における標準費用というものを、かりに全体のものの生の数字にかけてみれば、どれくらいになるか、それを現実に私たちが補正係数をかけて算定いたしておりまする基準財政需要額と比較すれば、その差額はどれくらいになるか、こういうことでありますれば、ひとつ計算をいたしてお示しをいたしたいと思います。
  66. 青柳一郎

    青柳委員長 他に御質疑はありませんか。  本日はこの程度で散会いたします。次会は明日午後一時より開会いたします。     午後四時二十九分散会