運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-03-03 第15回国会 衆議院 大蔵委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月三日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 奧村又十郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 川野 芳滿君    理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君    理事 佐藤觀次郎君    上塚  司君       大泉 寛三君    小山 長規君       島村 一郎君    中田 政美君       西村 茂生君    西村 直己君       宮幡  靖君    荒木萬壽夫君       小川 半次君    加藤 高藏君       笹山茂太郎君    吉田  正君       小川 豊明君    久保田鶴松君       坊  秀男君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    泉 美之松君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    鹽崎  潤君         国税庁長官   平田敬一郎君         大蔵事務官         (国税庁次長) 原  純夫君  委員外出席者         通商産業事務官 秋山 榮一君         参  考  人         (東京商工協         同組合連合会常         任理事)    國井 秀作君         参  考  人         (日本租税研究         会常任理事)  金子佐一郎君         参  考  人         (左京税務署         長)      佐々木重雄君         参  考  人         (全日本企業組         合連盟常任理         事)      荒谷 宗二君         参  考  人         (共栄企業組合         東京支部長)  赤岩 勝美君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 三月二日  委員久保田鶴松君及び三和精一辞任につき、  その補欠として田中織之進君及び岡崎勝男君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員田中織之進君辞任につき、その補欠として  久保田鶴松君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十八日  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一二二号)  日本専売公社法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二三号)  資産評価法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二六号)  昭和二十八年度における特定道路整備事業特別  会計の歳出の財源特例に関する法律案内閣  提出第一二七号)  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一二八号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一二九号)  昭和二十八年度における国債整理基金に充てる  べき資金の繰入の特例に関する法律案内閣提  出第一三一号) 三月二日  国の所有に属する物品売払代金の納付に関す  る法律の一部を改正する法律案(河井彌八君外  二十名提出参法第八号)(予) 二月二十八日  砂糖消費税引上げ反対請願大石ヨシエ君紹  介)(第三一八五号)  噸税港湾管理者に移管の請願篠田弘作君紹  介)(第三一九九号)  酒税法の一部改正等に関する請願外十四件(船  田中君紹介)(第三二一〇号)  酒税引下げに関する請願外百六十件(春日一幸  君紹介)(第三二一一号)  同外七十八件(石井繁丸紹介)(第三二一二  号)  同外百四十件(松尾トシ子紹介)(第三二一  三号)  同外五十六件(西尾末廣君紹介)(第三二一四  号)  同外六十一件(松前重義紹介)(第三二一五  号)  同外五十八件(井伊誠一紹介)(第三二一八  号)  同外九件(吉川兼光紹介)(第三二一七号)  同外四十三件(矢尾喜三郎紹介)(第三二一  八号)  同外三十九件(日野吉夫紹介)(第三二一九  号)  同外六十六件(前田榮之助君紹介)(第三二二  〇号)  同外百三十三件(今澄勇紹介)(第三二二一  号)  同外百二十七件(岡部周治紹介)(第三二二  二号)  同外百十件(竹谷源太郎紹介)(第三二二三  号)  同外一件(土井直作紹介)(第三二二四号)  同外八十五件(細野三千雄紹介)(第三二二  五号)  同外五十六件(中澤茂一紹介)(第三二二六  号)  同(木下郁紹介)(第三二二七号)  同外一件(戸叶里子紹介)(第三二二八号)  同外四十一件(菊地養輔君紹介)(第三二二  九号)  同(片山哲紹介)(第三二三〇号)  同(熊本虎三君外一名紹介)(第三二三一号)  同外一件(井上良二紹介)(第三二三二号)  同外二十三件(大石ヨシエ紹介)(第三二三  三号)  同外四十一件(吉田正紹介)(第三二三四  号)  同外百四十件(門司亮紹介)(第三二三五  号)  同外六十一件(西村力弥紹介)(第三二三六  号)  同外五十二件(石川金次郎紹介)(第三二三  七号)  同外五十件(田万廣文紹介)(第三二三八  号)  同(前田種男紹介)(第三二三九号)  同外二件(田原春次紹介)(第三二四〇号)  同外九十一件(川俣清音紹介)(第三二四一  号)  高千穂町に国民金融公庫代理所設置に関する請  願(川野芳滿紹介)(第三二七三号)  卓球用ラケツトに対する物品税撤廃請願(有  田喜一紹介)(第三二七五号) 三月二日  協同組合に対する法人税免除に関する請願(大  石ヨシエ紹介)(第三三二〇号)  同(吉田正君外五名紹介)(第三三二一号)  台湾における外地資産の補償に関する請願(古  屋貞雄紹介)(第三三二二号)  旅費規程改正に関する請願永田良吉紹介)  (第三三六〇号)  石油関税減免措置延期に関する請願(中曽根  康弘君紹介)(第三三六一号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出  第四〇号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四一号)     ―――――――――――――
  2. 奧村又十郎

    奧村委員長 これより会議を開きます。  本日はまず所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。右両案につきましては参考人出席を求めてありますので、これより順次御意見を拝聴いたしたいと存じますが、参考人の方々におかれましてはこの際忌憚のない御意見の御開陳をお願いいたします。  本日御出席参考人のお名前はお手元に配付してあります印刷物の通りでありまして発言の順位等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。  それではまず東京商工協同組合連合会常任理事國井秀作君の御意見を拝聴いたしたいと存じます。
  3. 國井秀作

    國井参考人 私ただいま紹介を受けました協同組合連合会常任理事國井でございますが、今回提案せられております所得税法の一部を改正する法律案並びに法人税法の一部を改正する法律案の中で、中小企業に関して最も重大な問題点につきまして、条文の詳しい説明等租税研究会金子先生ども出席でございますので、私は主として納税者立場から、この法律改正中小企業者が非常に困難な立場に追い込まれるであろうという点につきまして、私の考えておりまする卑見を申し上げて、諸矢生方の善処をお願いいたしたいと考える次第であります。  まず順序といたしまして、今回の所得税法の一部を改正する法律案のうちで、第三条の二並びに第六十七条の追加一項、さらに六十七条の二の問題についていろいろお話を申し上げてお願いをしてみたいと思うのであります。  ここで条文を一々申し上げるようなことは省略いたしまして、中小企業者納税者立場からこの問題を逆に考えて行つてみたいと思うのであります。まず終戦後、日本の破壊された経済を立て直すための国家の費用をまかなう財源租税であるということは、国民の全般が承知をいたしておるのであります。しかしながら、今日までこの租税のために中小企業者が非常に困つておるということも、これは代議士諸公がいろいろと中小企業者の声を聞く中からもうかがい知れるところでありまして、中小企業者が今日まで納税のためにどれくらい苦しんでおるか、納税のために首をくくつて死んだ人もあります。税務製係官の前で脳溢血を起して死んだ実例もたくさんあるはずです。こういうようなことが今日なお私は行われておると思うのであります。これを一つの例で申しまするならば、ただいまちようど確定申告申告の時期でありまして、各納税者は毎日呼出しを受けて、税務署係官の前でいろいろと説明を申し上げておるときでございます。私も中小企業者の一人として、すでに税務署に呼ばれております。また私どもの関係しておる組合中小工業君も、たくさん毎日のように呼び出されております。私どもはすでに五年前に青色申告制度の問題に対しまして、極力青色申告を慫慂して、多くの中小企業者に、自分の正しい帳面の中から納税の基礎をつくつて行くことを教えて参りました。しかし、すでに青色申告制度ができて五年になつておりまするけれども年々歳々青色申告をいたしまして確定申告に満足の行つた人はきわめて少いと思う。大部分の人は青色申告であろうが白色申告であろうが、差別なく決定が水増しになつて、やむを得ず納税をしておるという実情であることをよくお考え願いたいのであります。税務署の解釈は、諸君の帳面には信憑感性がない、これがこちらの申告を拒否する一つの理由であります。次には、どんな方でも、これは大企業にでもあると思うのでありますが、多少のかけひきというものは、仕事をやつている上にある。このかけひきの中には帳面上に載せられないものもありましよう。また載せることを忘れる善意の場合もあると思う。こういう一点をつかまえますと、税務官吏はすべてを否認せられる。そして今税務署決定したことをのまないならば、徹底的に調べるぞということであります。こんなことはありふれたことを説明するようでありますけれども、決して私はありふれたことではないと思うのであります。この納税のために、どれくらい中小企業者自分企業の健全な活動をはばまれておるか、この納税のためにどれくらい一家が生活に困つておるか、こういう問題は、決して看過できない大きな社会問題だと思うのであります。私ども青色申告制度を慫慂して、今日、はたして五年前より青色申告納税者の数がふえてか行つているか減つて行つているかという一つの事実をつかむだけで、はつきり答えが出ると思うのであります。私は全国の統計を知りませんが、少くとも私が協同組合主任者として、これらの人々の世話を預かつておる立場から申しますと、五年前から現在まで青色申告を継続いたしておる者は、わずかに五分の一に下つておるのであります。しかもこの五分の一の青色申告納税者が、ただいまちようど毎日のように税務署に呼ばれて、帰つて来た話を聞くと、もう今年で青色申告もやめたいという人が大多数であります。日本租税制度は、なるべく国民納得の上の税金を納めざせる、りつぱなお言葉ではありますけれども青色申告者が漸次減つて行つておるという事実は、議員諸公もよくお考えを願わなければならぬ現実の問題であると思うのであります。今年は、税務署に対しては天くだり割当は絶対にないということを聞きまして、非常にありがたいことだと私は考えております。あるいは大蔵大臣が民間から出たためにそういう制度なつたかとさえ私どもは喜んでおつたのであります。しかし、税務署に対する割当はありませんけれども、今年度は、何か各税務署で、実態調査に基いた一つデータを集めて押しつけるということについては、相当強い方針を示しておるのであります。かなり私どもが考えて正直に出してある数字、また企業立場から考えてみまして、これ以上は納税ができないであろうという線、こういう線は、少くしも私どもその企業を見ており、その帳簿を常につけておる立場から考えますれば、大体正しいと思うのであります。しかるに税務署から今日窓口に呼びつけられて向うから示される数字がきわめて大きな数学であり、極端なことを申しますと、倍の決定を受ける人が相当数あります。少くとも今年度の青色申告者で、確定申告のために決算書提出して、そのまま通つておる人は、私が現在知る限りにおいては一人もありません。みな今申し上げた通り、極端なのは倍、少くとも五割、どんなに話をつけても三割五分、あるいは三割増の線を固持して、税務署は受付けません。一体受付けるとか受付けないとかいう点に私は大きな問題があると思うのであります。税務署は、今年度は決して威嚇的に納税者に対して押しつけてはいけないということもよく私どもは聞いておりまして、これもありがたい制度だと思つておるのであります。しかし税務署はこれに対して説明をしてくれません。われわれは実態調査によつて一つデータがあるから、このデータにどうしてもはまらなければいけない。私自身税務署へぶつかつていろいろお話をしたところが、最後に税務署の言うことが、税務署のできておるデータは正しいのである。このデータに対して、きみがこれだけの所得が上らなかつたということは、きみ自身経営が間違つておる。経営に力がなかつたのである。従つて十分な経営上の力を発揮すれば、税務署データに合致するだけの所得を上げたのに違いない、上げなかつたことはきみが悪かつたのだから、納税はやはり税務署決定に従わねばならぬ、こういうことが一番税務署納税者に対する理詰めのやさしい意見なのであります。こういう意見ならばまだわかるのですが、たいがいは依然として頭から、この決定に従わなければ、再調査をするし、さらにどこまでもおれの方で調べるという威喝が依然として行われておる事実であります。納税国民の義務であり、またしなければならぬことはだれも承知をいたしております。しかし現在のような重税ではまつたくごまかすか、それでなければいつそのこと首をくくつて死ぬか、この両極端を行く以外には、完全な納税というものは私は行われていないと思うのであります。どうかこの税法改正にあたりましても、常に納税者納得の行く、ことに納税者生活企業というものを脅やかさない程度に納税のできるようなよい案を立てていただきたいと、私どもは日夜これを念願しておる一人でありまするし、多くの日本中小企業者は、そのことだけでほんとうにいつぱいであろうと私は思うのであります。  そこで今回の改正問題でありまするが、すでにこの点についてはいろいろと御意見もあつたと思いまするけれども、今回の所得税法の第三条の二であります。この法律改正は、私どもから考えますると、中小企業法人は、全部これによつて否認せられると私どもは考えるのであります。なるほど多くの中小企業法人の中には、別に脱税のための中小法人という言葉をよく使われるのでありまするが、脱税のために法人組織しておるという言い方は、非常に苛酷な言い方であります。過去において、警察が人をつかまえてただちにどろぼう呼ばわりをしたと同じ意味であります。中小法人が今日ささやかな法人組織を持つておるというその原因がどこにあつたかと申しまするならば、終戦後の二十三年、二十四年のあのむちやくちやな税金旋風にあおり立てられ、これではとうていやつて行かれない、いろいろ税務代理士意見を聞き、あるいは会計士に意見を聞きまして、それでは法人組織にするよりしかたがないであろうということで、法人になつておるものが大多数であります。従つてこの法人は、まだ経験も浅いのであります。また組織の面、運営の面についても、それは手落ちだらけであろうと思うのであります。これはもちろん手落ちだらけであり、非常に不確実であるという点はありましても、今申し上げたような法人組織によつて、少しでも税金の苦難からおちつきたいという気持でこしらえた法人でありまして、この法人はむしろ育成指導こそしていただきたいと思うのでありまするが、これをただちに脱税的法人なりと断を下すに至りましてはあたかも戦争当時、警察あるいは憲兵隊が、人を見てどろぼう扱いをすると同じことだと私は思うのであります。それでこれに対しまして、一応私ども政府意見等を伺つてみますると、決して中小法人をいたずらにいじめるものではない。ただきわめて悪質な中小法人に対してこれを否認し、これに個人所得を課するということなのであつて、決して中小法人を圧迫したりするものではないということを言われておりまするけれども、しかしこれを逆に考えますと、今日まで税務署は、そういう法人に対しては、法律改正をいたさなくても、この帳面信憑性がないから、とにかく法人法人として、きみの所得はこれだけできめるということで、すでに現実否認しておるのであります。何も法律改正しなくとも、出先税務署はやつておることであります。ところが今回のようにこれを条文においてはつきり現わしますると、いわゆる中小法人を構成しておる重役あるいは株主が、その事業から受けるところの所得に均霑することなくしてある一定の代表者が取得する場合においては、この法人を認めないといいます。これは中小法人全部がひつかかります。法律改正しなくとも現に否認をしておる。税務当局のいわゆる税務行政的な取扱いの面で、これが十分達成せられております。しかるにこういう法律を的確にきめてしまわれたあかつきは一体どうなるでしようか。現在でさえ、先ほどからしばしば申し上げる通り中小企業者税金のために苦しんでおるのであります。そうして今日呼び出されて、先ほどからお話の中でいろいろ申し上げた通り税務製データはこれである、あなたがそれだけの所得を得なかつたことは、あなたの仕事やり方が拙劣であつたからだ、やり方が悪かつたからであるという一つの線のもとに、納得をして納税しようと思つて判を押して来れないでおる現状です。もしこの三条の二が法文で明文化されたときには、そんな理論的なお話もなくなります。もう一撃のもとに、ああいう教養もない、また勉強もしていない、また極端なことを言うならば、帳簿内容も見ることができないような出先税務署青年大蔵事務官が、ただこの条文たてにして否認をして行つたら一体どういうことになるでしようか。気違い刃物といいますけれども、この法案がもしも通つて、今申し上げたような税務署の無経験青年大蔵事務官が、ただ法律たてに一々否認されていつたときに、一体中小法人はどうしたらいいのでしようか。この中小法人は、それならば今度は会社を解散してまた個人にしなければならぬと、いろいろと迷いがそこに出て来るのであります。私はこういう条文をおつくりになつたその結果、中小法人がどんなに動揺を来すか。その動揺の結果がどんなに悲惨で、またどんな悲劇が生れるかを想像をいたしてこの法文決定を十分にお考え願いたいと思うのであります。  さらに六十七条の一項並びに六十七条の二の問題であります。六十七条の追加一項並びに二の問題は、これは企業組合に関係のあることであります。企業組合につきましては、連合会荒谷氏もおいでになつておることですから、いろいろ詳しくお話があることと考えますが、私も協同組合を主催し、さらに企業組合の二、三をお世話いたしておる立場から、これもまた今申し上げたような、気違い刃物を持たすと同じ結果が、この企業組合にもあると思うのでございます。ことにこの六十七条の追加一項並びに六十七条の二は、決して企業組合だけではない、これはあらゆる法人、あらゆる協同組合、あるいは生活協同組合農業協同組合、あらゆる中小企業者組織に影響のある重大な問題だと私は思うのであります。これに対しても後刻荒谷さんからのお話があると思いますが、私の見解を簡単にひとつ申し上げてみたいと思うのであります。  企業組合というのは、いまさら私が申し上げるまでもなく、経済的に独立性の弱い人々が集まりまして、そして一つ企業組合組織自分企業経営をやつておるのであります、中には、悪質のものもございましよう。しかし私はすべてが悪質だとは言い切れないと思う。一般の法人は、手続をいたしまして、登記が済んで、税務署に対しましていわゆる事業開始届を出しますれば、法人としての扱いを無条件に受入れられておるのであります。同じ法人でありながら、企業組合をなぜ税務署差別待遇をするのか、こういう根本的な問題に私はひとつ触れてみたいと思うのであります。  法人の中には、いわゆる税務署で言われる脱税的な法人もありましよう。また帳面も完全につけていない、いわゆる決算も完全にしないような泡沫法人がたくさんある。しかしその法人税務署が一応認めて処理をしております。その法人と同じように登記もし、あるいは場合によつて地方長官の認可まで受けてできておる企業組合を、なぜ法人と同じようにスムーズに税務署でこれを扱つてくれないのであろう、ここに私は大きな問題点があると思うのであります。現在東京都におきましても、企業組合は、数年前は瞭原の火のように三千以上に及んだのでありまするが、現在はその五分の一くらいに減つております。しかも五分の一に減つた中で、税務署企業組合として認めておるのは、わずかに五十二、三であります。あとは全部否認を受けておるのであります。今回の六十七条の追加一項並びに六十七条の二によつて、この企業組合組織がすべてこの法文に当てはまるものであるとして否認をせられて、個人々々に個人所得をかけられるということになりましたら、一体これはどうなることでありましようか。今まで企業組合をつくつたことといい、あるいは中小法人をつくつたことといい、すべてが二十三年、四年のあの税金旋風にあおられて、中小企業者は生きるために法人組織にし、生きるために企業組合を結成しておるのであります。これを内容もよく調べないで、今度は法律でもつて出先窓口が思う存分に切捨てごめんをすることになられては、中小企業者はもう立つて行けなくなるのであります。法律の精神は、不良な中小法人、また不良な企業組合その他の組合というものを規正するためにつくる法律である、これはりつぱなお言葉でございます。その通りであればけつこうであります。しかし別にこの法律改正をせぬでも、現在企業組合の大部分が認められていないのであります。大部分中小法人法人的な待遇を阻止せられておるのであります。この事実から見て、現行法でこの不良なる、不確実なるものを取締る道が少しもないわけではないのであります。私はこういう法律をつくることによつて国民と親しむべき大蔵省の一番の窓口である。税務署当局国民との間の円満融和というものが、ますます欠けることをおそれるのであります。いろいろの法律改正の中には、議員諸公の御努力によつて修正をせられる場合のたくさんあることは私どもも見聞しております。しかし今回の第三条の二及び六十七条の追加一項並びに六十七条の二の法律改正だけは、これは代案がないと私は思う。どうか議員の皆さんにおかれましては、現行法で少しも支障なくこれらの不良が取締られておるという事実をよくお調べいただきまして、かような気違い刃物を持たすような法律改正は、ぜひさしとめていただきたい、こう希望する次第であります。
  4. 奧村又十郎

    奧村委員長 ただいまの國井秀作君の御意見に対して、御質疑があればこれを許します。内藤友明君。
  5. 内藤友明

    内藤(友)委員 いろいろお聞かせいただきましてありがとうございました。実は私どもも、所得税法の一部改正並びに法人税法の一部改正につきましては、今お話の点について非常に心配いたしておりますので、皆さんのおいでをいただいて御意見を伺つておるのであります。そこで私は、なお荒谷さん、赤岩さんなど企業組合の御関係の皆さんがお出ましでありますから、皆さんの御意見を承りまして、あとから少し疑問に思つておりますことをお尋ねしたいと思うのでありますが、今國井さんがお述べになつたことにつきまして、それがどういう御真意かということを、二点ほどあらためてお聞きしたいと思います。  今初めの方で、法人をつくつた、実はそれは税の旋風に吹きまくられてやむにやまれずそういう法人をつくつたのだ、こういうお話があつたのでありますが、これは言葉をかえて申しますと、脱税のためにつくつた、こう税務署では申しておるのでありますが、それとうらはらの言葉のように考えるのでありますが、その御真意はどういうようなことでありますか。やはり脱税のためにおつくりになつたということになるのでありますか。そこをひとつ、どういう御意味かはつきりしていただきたいと思います。
  6. 國井秀作

    國井参考人 ただいまの御質問は、中小企業が非常にたくさん法人組織を今日持つており、それが二十三年、二十四年の税金旋風によつてできておるということは、いわゆる大蔵省、税務署で言うところの脱税法人とうらはらではないか、結局それを認めるような面も若干あるのではないかという御質疑のように拝聴いたした次第でありまするが、私はそういう考えではないのであります。なぜそうでないかと申しますると、いわゆる二十三年、四年の税金旋風は、これはまつたくめちやめちやであつたわけです。従つて帳面が多少つけてあるとかないとかいうことよりも、中小法人が今度税金と闘うには、どうしてもりつぱに帳面をつけて、そうして自分企業というものを帳簿組織の中からはつきり出して税金を納めることがいい、こういうことで法人組織にしたわけであります。決して脱税的な意味ではありません。おそらく帳面さえろくにつかない中小企業者に、この法人組織の手続ができるわけはないのであります。これはいずれも経営に関係のある人々に相談をする、あるいは会計士に相談をする、あるいは税務代理士に相談をして、とにかく個人で始終おびえて仕事をしておつてはしようがないから、自分帳面のめんどうを見てやろう、また税金決算に対してもお世話をしてやろうという親切な言葉にほだされて、みなが中小法人になつておるのであります。ところが先ほども申し上げる通り自分で完全な帳面もつかないような中小企業者ですから、欠陥だらけであるということは、おおいがたい事実であると思う。その欠陥だらけであるおおいがたい事実をつかまえて、脱税法人なりということは、私は過去における憲兵隊警察官が、人を見てただちにどろぼう扱いにすると同じことであるということを申し上げたいのであります。これは育成するように教えてやつたら、必ず育つて行くと私は信じております。
  7. 内藤友明

    内藤(友)委員 その勢いのいい形容詞をお聞きしたいのではないのであります。実相をひとつお聞かせいただきたい。憲兵隊とか、警察とかいう強い形容詞は、私どももよく承知しております。いまさらあなたからお聞きいたしませんでも、よくわかつております。そこで、今のお答えに多少疑義はありますけれども、それはそれといたしておきまして、もう一つ先ほど所得税法の第三条の二は、実は実際やつておるのだ、何もいまさらこんなはつきりしたものをせぬでもいいじやないか、こういうお言葉なんでありますが、そういうことになりますと、私どもの考えからしますると、実際やつておるのならば、条文にしてもいいじやないか、むしろ実際にやつておることをただ認めておるということはおかしいじやないか、こう考えるのでありますが、やはり実際にやつておるのだが、いまさらそんなものはせぬでもいい、そういうことなんでありますか。
  8. 國井秀作

    國井参考人 お答え申し上げます。今の御質問に対しましても、私の見解は若干違うのであります。現に税務署がそのような取扱いをしておるのが事実であるならば、この法律ができても、結果としてはかわりがないであろう、こういうお話のように承るのであります。しかし今日税務署がその法人を否定して、個人所得的な課税をしておるには、相当の割引があります。しかしこういう条文ができましたら、これはもう動かすことのできない税務署一つの規定になるわけです。これによつてびしびし罰して行くというときには、容赦も手かげんもないということになります。私は中小法人が今日ようやく立ち上りつつあるときにおいて、多少の手かげんがあるという程度であつてこそ、初めて納税者税務署の親しみができると思う。これを一条文たてにして、すべてを赤である、白であるといつて区分をつけられてしまつたら、中小法人はどうにもならなくなるのではないか。従つて納税者税務署の間の円満なることも、遂にそれによつて破壊されることになるおそれがある、私はそういうふうに解釈をいたすのでありまして、どうしてもこういう条文をつくらぬでおいていただきたい、こういう結論になります。
  9. 内藤友明

    内藤(友)委員 私は御議論は申し上げたくないのであります。ここは議論のところじやないのです。これは委員長にお願いするのでありますが、中小企業組合につきまして、まだ御関係の方がおられますので、あとでまた質問させていただきたいと思います。
  10. 奧村又十郎

    奧村委員長 了承しました。
  11. 小川半次

    小川(半)委員 一、二お尋ねします。先ほどのあなたの御意見の中に、東京都内においてかつて相当たくさんの企業組合があつたが、最近は五十幾つしかない、これはどうして企業組合がだんだん減つてつたものか、この点をお伺いしたいのであります。それから企業組合育成指導にあたつては――私たちがかつて企業組合法人によつて認めましたのは、零細なる企業者たちが、さつきあなたがおつしやつたように、帳面などを満足につけることができない。従つて税務署の人たちはどこに根拠を置いて税金をとつていいかわからない。結局推定ということになつて来る。推定ということになつて来れば、これは非科学的であつて、たいていそういう場合には、非常に重い税金を課して来るのであります。従つてわれわれはもつと科学的に帳面を明らかにして、そうして合法的に税金を納めるためには、企業組合というものが心要である。そこから生れて来たものであつて、科学性を持つたところの記帳の上において、この企業組合を育成しなければならぬ。従つて今日私たちは、もちろん政府のこの案には反対するものでありますが、現在あなた方は企業組合員に対してどういう指導をやつておられるか。要するに、企業組合に入ることは、税金が安くなるから入れ、こういう指導をしているのか、あるいは個人々々の記帳は非常にめんどうであるし、十分つけることができないから、企業組合に入つて、科学的に帳面をつくり上げて行こう、それがためには企業組合に入つた方が有利である、こういうぐあいに指導しておられるのか、その指導の方法を承りたいのであります。
  12. 國井秀作

    國井参考人 この御答弁はむしろ荒谷さんが適当かと思いますが、私、若干企業組合を世話した立場から申し上げます。私ども企業組合組織あるいは指導した精神は、今小川先生のおつしやつた通りであります。なぜかならば、二十三年、四年のあの旋風のときには、個人々々で帳面もないのですから、一切頭かぶせにやられたわけです。しかし私どもいろいろ組合を世話している者としては、五十人、百人の人を一々その問題についてお世話ができない実情です。であるから、あくまでも今後の納税は、帳簿組織の中から、十分な記帳によつてこれを克服して行く以外にない。ことにまたこの経済の混乱している中で、経済力の弱いわれわれは、組織の力で大企業にも対抗して行かなければならぬだろう。いわゆる企業活動、経済活動というものをみんなの連帯保証の中から一つ生み出して行かなければならぬ。一人一人では計理士も頼めない。だが、ここに五十人なり百人なりの組合組織すれば、諸君のわずかな金によつてりつぱに帳簿の指導をしてくれる計理士も雇える。また企業経営及び運営についてのお世話をしてくれる指導者も雇い得るではないか。だから企業組合によつて、いわゆる経済活動、企業活動を合理化して行こうじやないかということが、私ども企業組合指導の精神であります。いわゆる企業の合理化と経済活動の合理化をはかる、同時に納税は三番目である、私はそういう考えであります。
  13. 小川半次

    小川(半)委員 だんだん企業組合が減つて来たのはどういうわけですか。
  14. 國井秀作

    國井参考人 これは先ほど説明が足りなかつたと思いますが、私も詳しい数を知りませんけれども、二十五年の春には東京都内だけでも約三千数百に及んでおつたと思います。ところがいわゆる二十五年の確定申告当時におきまして、税務署が全部否認したわけです。二十五年に東京都で企業組合税務署が認めたのはたしか十一か十三であります。今日それがようやく五十になつた。ですからみなやめてしまつた。あと先ほど申し上げた企業経営の合理化、あるいは金融に対する合理化等のためにやつて行きたくとも、今度は個人々々の税金で追い立てられてしまつたから、もう皆がくしやつとしてしまつて、つまりやめてしまつたというのが現実であります。つまりせつかく育て上げたものを税務署がたたきつぶしてしまつたようなものだ、そう言えると私は思うのであります。
  15. 小川半次

    小川(半)委員 それではもう一点だけお伺いいたしますが、税務署から否認されたというのは、結局企業組合としての実体を備えてなかつたのではな  いか。実体を備えていたにもかかわらず、税務署がこれを否認したということになれば、これは重大問題である。この点をお尋ねしたいと思います。
  16. 國井秀作

    國井参考人 お答え申し上げますが、これはそういうように的確には、私どもも答弁が困難だと思いますが、要するに企業組合ができたばかりなんですから、私は多少不確実であつても、これを保護育成するという親心であれば育て上げられると思うのです。しかしこの帳簿組織がいけない、企業組合の名を使つておるけれども、めいめいが自分でかつて仕事をしておるではないか、その盲点をつけば幾つも出て来ると思います。これは過程にあるのですから。完成した企業組合ならば完全無欠でしよう。しかし企業組合を創設しても、その過程の中には幾つかの盲点があると思う。この盲点を税務署からつかれて、そして否認されてしまつた。これでは育たないということです。私はそういう点で申し上げておるのです。
  17. 坊秀男

    ○坊委員 ちよつとお尋ねします。先ほど内藤委員のお尋ね申し上げたこととやや関連いたしておりますが、ただいまの國井さんのお話によると、六十七条の二について、新たにつくられようとしております法律がない場合でも、現実にはこういうことが行われておる、もしこの法律が新たにできますならば、税務署納税者との間に、がつちりとこの法律を適用されてしまつて、何ら裁量の余地もなくなる、かような御意見でありましたが、私はこれは非常に重大な事柄だろうと思うのであります。元来この法律がない場合にも現実に行われておる、裁量が行われておるということは、納税者税務署の間で、つまり納税者の中で政治力がある者はうまいことをする、悪く言えば、ごまかしたり不正直なことをする人には緩和されておつて、そうでない人に対しては相当強く税務署から当られておる、こういうことになるようでありますが、もしそうであるならば、今ここにつくられようとしておる法律のよしあしは別として、何らかの標準規定をつくらねばならぬのではないか、こういう結論になりはしないかと思いますが、御意見を伺います。
  18. 國井秀作

    國井参考人 私が申し上げております中で、言葉が足りなかつたかもしれませんが、現在いわゆる企業組合を取締りますには、やはり国税庁から各税務署に対して、いわゆる企業組合認定の九原則というような通達が出ておるのであります。今御質問のような趣旨は、すべて国税庁から各税務署に対して一つの指令が出て行けば、取扱い上には支障がないと思うのであります。私はこういう法文はぜひ新設をしないでおいていただきたい、こう考えるのであります。いわゆる示達事項で十分それらの取締り、及び税務行政上の事務には支障がないと考える次第であります。先ほどお話の中に要領のいいやつ、いわゆる政治力のあるやつがうまく行つて、おとなしいやつがうまく行かないということならば重大なことではないかというお話がありましたが、私がそういうところまで言うとかえつて妙なものができてしまうと思うのです。要するにこういう法律をきめてこれを出先税務署青年大蔵事務官に行使させるということが、より以上の危険だ、私はそう信ずる。
  19. 坊秀男

    ○坊委員 私も國井さんと議論をする  つもりではございません。御意見を承つたのでありまして、今後の質問の材料といたしまして、私はこれで終ります。
  20. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いろいろ國井さんから御説明を聞いたのですが、こういう法律を出すにはいろいろりくつがあつて出すと言つておるが、一体税務署の末端には――私たちもよく知つておりますが、中央で考えておる考え方と税務署の末端でやつておることとが大分違うのだと思うのです。そういう点について、税務署がきつい、ひどいことをしたという例があるかどうか、その点をひとつあなたから御説明願いたい。
  21. 國井秀作

    國井参考人 いわゆる中央の命令が末端の税務署では非常にゆがめられておるという事案、これに対して税務署で非常に苦しめられた実例をひとつ言え、こういうお話のように伺うのですが、私今日その実例を持つて来ておらぬので、無責任なお返事はできないのでありますけれども、ただ私の考えております一つの例を――例にならぬかもしれませんが、一応申し上げてみたいと思うのであります。  青色申告制度が実施せられて、順次この事務的な取扱いの面が詳しくごまかくなつて来ておりましたが、しかし一昨年国税庁は、青色申告者帳簿組織がなくてもよろしい、受取り、あるいは請求書、その他の証憑書類を完全にとじ込んであれば帳簿の記帳がなくても青色申告として認めるぞ、そのことが正しければ認めるという、非常に青色申告納税者に対する寛大な処置が国税庁から命令が行つておる。ところが税務署が、それでは受取りと請求書と、これだけを集めておいてこの通りですと言つても、絶対青色申告を認めておらぬ事実がある。これは総括論的で申訳ありませんが、絶対に受取りだけをとじ込んだのでは税務署は認めておりません。これは国税庁ではそれでよろしい。私どもは高橋長官からもその説明を一ぺん聞いております。簡易な帳面でよろしい。決してむずかしい、会計士でなければつけられない帳面でなくてもいい、極端なことを言えば受取り、請求書その他の支払い証憑書類さえそろえておけばよろしい、こう言われておるのであります。ところがこれでは税務署は絶対に認めません。これだけでも、中央の命令と末端の税務署の取扱い方の違いが私は一例としてでも言えると思います。
  22. 奧村又十郎

    奧村委員長 次に日本租税研究会常任理事金子佐一郎君の御意見を聴取いたします。
  23. 金子佐一郎

    ○金子参考人 日本租税研究会常任理事金子佐一郎であります。法人税法の一部改正のうち、交際費、接待費、機密費等に対する課税問題について少しく意見を述べたいと思います。  今回この交際費等に課税をされた趣意は、これは私の推定ではありますけれども、今考えられております税制改革は、企業の資本蓄積を助成し、資本構成を是正しようというところに目的があるのではないかと考えられます。従つて法人税法のうち、この資本蓄積の対策のために、いろいろと減税措置が考えられるならば、その一つの締めくくりとして、かりに交際費、接待費等の濫費があるならば、これを抑制しようというような考えが盛り込まれているのではないかと考えるのであります。これに対しまして財界各方面は、反対の意見が強いのであります。これは何ゆえでありましようか。もちろん各企業経営者といたしましては、会社の交際費、接待費の濫費をいかにして抑制しようかということに努力いたしても、この反対な考え方を持つ者があろうはずはないのであります。従つてこの税法の趣意に反対の考えを持つ者はないでありましようが、しかしこれが税制ということ、いわゆる税務の面からいたしましてこの問題を取上げているところに反対の理由があると思います。すなわち現在交際費、接待費等をかりに規制しようとするならば、講和後の自立経済下におきましては、あくまでも各企業の自主性にまつべきものであろうと考えます。もし税法等によつてそのようなことが強く考えられるならば、これはかつてつた会社経理統制令と申しますか、これと同じような結果になるのではないかと思うのであります。  なおこの交際費、接待費がはたしてそのように濫費されているかどうかという実情について少しく考えてみますと、現在の日本の各企業は、利益の上つている企業もないとは言えません。もしも利益があるから経営上ゆるみが出まして、交際費等を濫費しているように考えられるならば、これは誤りであります。勘定合つて銭足らずということが実情だと思います。いわゆる現金はないのであります。どこの企業を見ましても、まず銀行その他の金融機関から借入金がないという企業はまことに少いと考えられます。すなわち借金があるのでありますから、これを一部濫費することは、借金をして濫費しているということも言えるのです。この点は、各企業の首脳部がいかに節約とか、あるいは合理化ということについて現在真剣になつているかということは、不況の経済界のもとにおいては当然であるし、また私どももそう考えなければならないと思つております。しかし一部には、そのような濫費をしているものがないとは言えないのであります。しかしそれははたしてちやんと支出が記帳されまして、交際費、接待費、機密費等の勘定に整然と分類されて、それが課税対象になつているような法人であるかどうか、これが問題でございます。もしもかりに濫費しているがごとき印象があるならば、それはおそらくは税をもつて規制できない範囲の方たちであるということも考えられるのでありましてこの点は慎重に考えるべきであります。またかつて超過所得税等が実施されておりましたころには、七割五分あるいは八割まで利益に課税された時代があります。このときによく一般世間においては、こんなに税金をとられるならば使つてしまえというようなことが一部に言われたようにも聞いております。それは過去のことでありまして、現在法人の納めます税金は、その過半を越えておりますけれども、まずもつてそのような考えを起さしめるようなものでもないと考えます。同時にまた、先ほど申し上げた通り税金すら払うのに借入金で苦慮しておるのでありまして、ましてや現金そのものを濫費するがごとき余裕はないのであります。この法律の目的がもしも企業の交際費、接待費、機密費等を抑制しようという考え方からであるならば、このように私は考えて、これは必要がないということが言えるものでございます。しかしそれ以外に、もしもこの法律が課税を目的とし、税収入を目的とするものであるならば、これはまたその方面で考えなければならぬと思います。  もしも課税対象といたしまして、交際費、接待費、機密費等を考えますならば、これは企業の種類あるいは規模、組織等によりまして非常に違うのであります。これは接待費、交際費等の例ではありませんけれども、かりに薬や化粧品は、広告料が非常に多い、こんなものは多過ぎるから節約してしまえということがかりにあつたといたしましても、もしもその広告をいたさなければ、薬や化粧品などは売れないのであります。それと同じように、企業の種類なり規模によりましては、血の出るような借金をしてまでも使わなければならぬ交際費によつて経営が成り立つているものもあるということを、われわれは知らなければならない。そこがこういう問題を取上げる場合に非常に大きな問題でございます。そうしてこの交際費、接待費等は、景気不景気の場合を考えました場合に、不況になればなるほど増額するということであります。もしもこれが、接待費等を使わないで商品がどんどん売れるという好況時でありますれば、おのずから売上げ代金に対して接待費の率は下るのでありますが、不況になりますと、売れ行きは下るけれども、同時に接待費、交際費等によりまして、その競争排除のためにこれを使わなければならないということも考えられます。こういう点は、これらを課税対象といたしますことは何か非常に矛盾があるように考えられます。  さらに客観的な基準が、今申し上げたような理由によつてなかなかつかみにくい。どこのどういうような種類の企業が、どれだけ交際費を使うかどうかという客観的基準を定めることがなかなかむずかしいのであります。同じ業種でありましても、経営の規模その他によつても違いますから、なかなか捕捉しにくい。それを税法においては、かりに数段階設けるにいたしましても、一定の金額をもつて押えようというところにもまた非常に矛盾が出て来るのではないかと思うのであります。特にこの交際費、接待費は、大企業においては案外売上げ代命に比較いたしまして少いのであります。けれども中小企業になればなるほど、これらの問題は非常に加重されて来るおそれがあります。たとえば金融機関から金を借りようといたしましても、ブローカー等が入りまして、百万円金を借りるにも、五万円近くの接待費だか交際費だか手数料だか存じませんが、いろいろの費用を利息以外に使わなければ借りられないというような苦しい立場にある企業もありましようし、また大企業なら、それらの問題は心配なしで金が借りられるというような点もあります。また商品を売りますにも、大メーカーでありますれば、その信用によつてこれを売りさばくこともできますが、もしもそれが中小企業になると、実際面においては、これらの交際費、接待費を使わなければなかなか売り込みができないというようなことになりまして、ひいてはこの中小企業の圧迫ということにもなりはしないかという心配があります。  さらに問題はこの交際費、優待費、機密費というようなものの経理上の処理の問題でございます。もちろん機密費等の問題で、内容が不明確のものについてはすでに課税を受けておりますので、これは別といたしましても、これらの相互間の処理の問題が非常に不明確になりやすいのであります。言いかえてみれば、社内の会議費ももちろん接待費、交際費の中に入るかもしれません。あるいはまたその他広告、宣伝というような、接待費であるか交際費であるかわからないというような不明確なものも出て参ります。中には物を仕入れます場合に、何か附帯的な経費がいれば、それはその物の仕入れ価格に入れあこともできますし、これを分離すれば一つの下相談の費用にもなる、そうすれば、それは交際費であり接待費であるというようなことで、それはその場合によりまして非常につかみにくいのであります。こういつたような経理上の問題のあることも忘れてはならないのであります。しかしこれを一たび課税対象といたしますと、徴税されるところの当局の方からいいますれば、必ずそれに対しては相当厳格な調査が進められると思います。そこでそれらの問題を中心にいたしまして、あるいは論争が起らないとは限りません。かりに接待費が非常に少ければ、何ゆえに少いかということに対してさらにその調査を深められるというような問題もあります。せつかく戦後明朗化して参りましたこの税務行政に、かかる問題を中心としてまたここに不明朗な混乱が起るということも想像がつきますので、この点だけを考えましても、これらの問題は非常に暗い感じを与えておるわけでございます。  今徴税の点から申し上げてみましたけれども、はたしてこれが大きな財源として徴税できるかどうかという問題になりますと、これはおそらく当局のお考え方も、これを重点的に財源として考えられているのではないと考えます。むしろ私が前段階に申しましたように、結局交際費、接待費等が濫費されることをこれによつて幾分なりとも防ぐ、そしてこの税制改革における資本蓄積に対するところの他の減税措置に対応させて、一つの締めくくりと考えられた一連の措置のようにも考えられますので、かくのごとき非常に問題を惹起しやすいもの、しかも課税対象としては各業種、組織あるいは規模によりましていろいろと非常に不公平な結果になりやすいようなものにつきましては、ぜひとも財界の各方面から反対の意見が出ておりますことを十二分に御考慮願いまして、御検討を賜わることが願わしいのでございます。  以上が私のこれに対する私見でございます。
  24. 奧村又十郎

    奧村委員長 ただいまの金子佐一郎君の御意見に対して、御質疑があればこれを許します。
  25. 坊秀男

    ○坊委員 交際費、接待費ということは非常にデリケートなことであると私も思つておるのでございます。ただいま金子さんのお話を承りまして、なおざらにその感を深くするのであります。  お話によりますと、交際費というものは業種別によつて非常に違うものである、また一般的の景気、不景気によつても非常に違うものである、個々の会社の経営が好況であるか不況である  かということによつても非常に違うわけである。こういうお話でございましたが、なるほどその通りだと思います。これは非常にむずかしいことでありましようが、たとえば金子さんの会社におかれまして、そういう会社の内部のことを外にお漏らしになるということは非常にむずかしいことだろうと思いますが、何年のころにはどれくらいの交際費がいつた、何年のころにはどれくらいだつたというようなことについて、お話し願えないものでありましようか。
  26. 金子佐一郎

    ○金子参考人 ただいま具体的な御質問がございました。これはおつしやる通り各業種別、また時期別にも違うと存じますが、私が関係いたします十条製紙株式会社は、このメーカーといたしましては相当大きいのであります。しかもその売先は十四の販売店を通じて売つておりますので、これらの売込みということについてはまつたくその交際費、接待費というものを使つておらないと申し上げていいくらいであります。従つて当社に関する限りは、ほとんどこれらの問題から言えば最低の線にある、むしろこういう問題にはあまり課税を受ける立場にもないのじやないかと考えます。しかしながら、私が会長をやつております企業経営協会で先般各企業からアンケートをとりました、その表がこちらにございますので、これは何か御参考になるかと存じますので、もし御必要があれば置いて参りたいと存じますが、ただこの中で一、二を申し上げてみますと、やはり業種別によつて非常に違うということがわかります。しかし平均いたしまして大体一・〇七%というような数字が出ておりまするこれは売上げ代金に対する比率でございます。そうして中に一%以上と思われるものをあげてみますと、機械製作業が二・四%、それから薬品が二%、倉庫業が三%、あとは一%もしくは一・五二%、これは鉱業、製錬業、それから一・〇五%が造船、肥料が一・二%、化学工業が一・三%等と報告されております。しかしこれは各会社に尋ねましたアンケートでございますので、もしもこの問題について御審議を願うのでございますれば、さらにその会社に問い合わせてもよろしいと存じます。以上が私の手元に参つております概略でございます。
  27. 久保田鶴松

    ○久保田委員 金子さんは租税研究協会の常任理事でございますからちよつとお伺いしたいと思うのでありますが、今度の所得税法の一部改正案の中に、現行法の六十七条でございますが、これを今度六十七条の三項として改正案を出しておりますが、この中に同族会社ということで、こうした会社に対しましても、この会社の側から見ました意見を、今後私たちこの法案を審議いたします上にあたりまして、御意見がございますならばお申し願いたい。
  28. 金子佐一郎

    ○金子参考人 ただいま御質問の件につきましては、実は私きようただいま申し上げた線について見て参りましたので、私見を述べる用意がございませんので、差控えさしていただきます。
  29. 大泉寛三

    ○大泉委員 金子さんにお伺いいたします。大体私どもの考えも金子さんのお考えも同じでありますが、そこで今までの実例として交際費、機密費等に対する税務官吏のいわゆる経費の費目に対する甲乙の差がなかつたか。いわゆるあるべきはずではないのですけれども、往々にしてやはり人によつて違う、あるいは会社によつて違うというようなことを私どもは聞いておりますので、長年経験していらつしやる金子さんに承つておくことは非常に貴重であると存じます。それでこういう実例はなかつたかどうかを承りたいと思います。
  30. 金子佐一郎

    ○金子参考人 ただいま御質問の要点は、おそらく徴税する場合の交際費、接待費等に対する否認関係の問題だと思うのであります。今までこの機密費のようなものの内容がはつきりいたさないものについては、経費と認めておらないのであります。それ以外については、少くとも経費と見ることになつております。しかし寄付金等のようなもので、それがある限度額以上になつておるものには課税することに従来もなつておりますので、こういうものがその中に入つておるとすれば、おそらく税務官吏として否認せざるを得ないと思います。しかしそれが交際費、接待費等であつて機密費というような内容がわからないものではなく、受取書等がはつきりしておるならば、従来も認めておつたと思います。ただ問題は、中小企業等の中でそういうものの整理が全然ないということになると、それが混乱を起すもとになつて来ます。あるいはそういう点で論争があつたかと思いますが、その経費につきましては、ただいま申し上げたような受取書があるかないか、明確な整理がついておるかどうか、それからまた機密費等の問題になりますれば、内容が不明確  である、従つて機密費であると言い切るならば、それは経費と見ないというような点において、はつきりと問題はわかれておりますので、その点の整理いかんによつて、この問題はそういう混乱を起すか起さないかということになるのであります。整理さえはつきりしておれば、おそらく認めてもらえるものだと考えております。
  31. 大泉寛三

    ○大泉委員 経営者が自信を持つて、はつきりとこれは経費であるという立場をとつておるのに、それは利益であるというような判定を受けることは、私は経営の干渉であつて、当然認められないことであると思うのであります。そこでこの法案がかりに実施せられるとして、業者があくまでもこれは経費であるという立場において自信を持つておるとき、これは利益であるという解釈を下された場合、その覚悟はどうか聞いておきたい。
  32. 金子佐一郎

    ○金子参考人 ただいまのお話、結局今度の課税は、経費であるかどうかという問題は先ほどお答えいたしました通り別問題といたしまして、とにかくかりに経費と認めましても、一定の基準以上の支出があつた場合、それは否認して課税しようというのが今度の改正法案の中に盛り込まれた考え方だと思つております。従つて会社自身がいかにこれは経費であるとはつきり言つても、また徴税官吏の方でこれは経費であると認めても、ある基準以上に支出しておる場合においては、これは課税の対象になるというのでございますので、それらの内容の問題もさることながら、それを経費と認めていて、さらにその二分の一に対して課税しようというのが、今回の法律案のように思います。従つてこれらの問題について、課税することになる部分企業によつて違い、同じ企業であつても、一つは課税されないで一つは課税されるという結果になる。たとえば売上げ代金の問題、あるいはその企業自体が弱体であるために交際費を使う、片方はもうすでに信用がありのれんがあつて、交際費を使わないで経営ができるということで、多少そこに矛盾が出て來やしないかということが、特に強く考えられておるのであります。ですから、結局その会社が経費と認めたものを経費と認めても、限度額以上のものに対しては課税しようというのが今回の趣意であるように思いますので、その課税されるかされないかというところにむしろ大きな不公平ができやしないか、これが私の心配しておるところでございます。
  33. 大泉寛三

    ○大泉委員 もう一つ、これは徴税機関の経営に対する干渉になると私どもは考えておるのでありますが、一定限度以上の交際費、機密費は使つてはいけない、かような考えに陥るわけです。それで経営が成り立つか成り立たぬか、業者は千差万別であつて、信用の高いものもあれば低いものもある、商店にしても、新店もあればしにせもあるというような状態において、一定限度の交際費、接待費以上は認めないという結果に陥つたならば、業者の立場は成り立つか成り立たぬか、かような一つの答えを出さなければならぬ。誘導的な質問になるかもしれませんが、これに対するお考えを承りたい。
  34. 金子佐一郎

    ○金子参考人 今おつしやつたことが一番私は重要だと思います。つまり交際費を使うということは、先ほど申し上げた通り経営の監督が不行届きである、あるいはその経営が非常に散漫であるという点であれば、この問題はあるいはその企業をして合理化せしめることになるかもしれません。しかし現在のような不況時において、しかも各企業とも金融難に直面している際に、おそらく経営者としてもこれを濫費するという考えはないのであります。つまり交際費なり接待費をどうしても使わなければならぬというようなところをさらに課税対象とされるならば、そのつらい資金によつて接待しているのに、さらにこれがつらくなる。従つてそれが企業圧迫になるのじやないか。しかもこういうところを、たとい税制であつても法的に措置しようということは、かつての会社経理統制令と同じような結果になりはしないか、その点、私どもとしてはこの問題に対して矛盾を感ずるわけでございます。そこで、これは企業圧迫になるのでありますが、特に圧迫される企業は弱体企業であり、競争において非常に苦しい立場にある企業がそういう結果に陥るのではないかというところが、今の御質問の要旨でもあると存じますが、私も同感に考えておる次第でございます。
  35. 奧村又十郎

    奧村委員長 次に大阪国税局管内の左京税務署長、佐々木重雄君の御意見を拝聴いたしたいと存じます。
  36. 佐々木重雄

    ○佐々木参考人 ただいま御紹介をいただきました大阪国税局管内の左京税務署長であります。  企業組合の課税に関しまして、私ども第一線の税務職員として従来得て参りました経験の一端を率直に申し述べまして、皆様方の御参考に供したいと思うのであります。中小企業協同組合法が施行になりましたのは、御承知のように昭和二十四年の七月でございましたが、当時は所得税の税率の最も高い年でもありましたので、この組合法が施行されますや、企業組合は雨後のたけのこのごとく続々と設立され、まつたく燈原の火のごとくとどまるところを知らない勢いであつたのでございます。もとより私どもといたしましては、組合法第一条の趣旨は真にけつこうなものだと存じております。また日本中小企業の振興策といたしましても、企業組合の存在は有意義なものであると考えております。この考えは現在もかわつておりませんが、残念なことには、せつかく設立されました組合の相当数は、実は税金の逋脱を目的とした、法人を仮装した組合があつたのでございます。たとえば組合費のみを徴収いたしまして経理記帳を糊塗するといつたような組合、あるいは全然本部には現金を集金せず、資金の交流等ももちろん行われず、また組合員には給料も支給しない、組合員はかつてに売上げの中から生活費をまかなつて行く。あるいは中には反税的な言動をする者も一部にあつたように聞いております。そこで私どもは日前のこのよなう事典を見まして、課税秩序の維持の上から、またまじめな組合とそうでない組合、ふまじめな組合とまじめな一般納税者の負担の均衡といつたような面から考えまして、非常に憂慮にたえないものがあつたのであります。課税物件の帰属は形式や名義によらない実質によるべきであるということは、従来からも長年の慣行でありましたが、さてこの法人を仮装したところの企業組合員に所得税を課するかどうかは実に重大な問題であります。一日も早く上級官庁の御指示を得ることを待つてつたのでありまして、ようやく昭和二十五年の十月に至りまして、いわゆる判定九原則が税務署へ通達されました。昭和二十六年の六月ごろからこの判定調査に着手したのであります。しかしながらこの判定調査の作業の困難性は言語に絶し、私が署長をいたしております左京税務署のごとく、京都市内におきましては組合数も事業所の数も少い署においてさえ、他の一般の納税者所得調査事務、及び当時ちようど七月の予定申告の時期でありましたが、この予定申告のサービス等に重大なる支障を来したのであります。多数の組合及び組合員を擁するところの新設の上京税務署、あるいは中京税務署等においては、このためにまつたく名状すべからざるところの困難と税務の混乱を来したようであります。  今、私の署の所得税事務分量を申し上げますと、申告所得税の納税者の総数はざつと五千人です。このうち事業所得者の納税人員として調査の対象になりますものは約三千八百人見当ございます。これに対しましてこれらの所得調査に従事しますところの係員は大体十五名前後でございます。昭和二十六年中におきますところのこの企業組合調査の対象になつ組合数は十六組合、その組合員数は二百八十六人であります。これに要しましたところの一連の作業人数は延三百二十人に及んだのであります。このような努力と他の一般事務に対する犠牲にもかかわりませず、問題の一部は訴訟にまで持ち込まれ、一年有余を経ました今日でもなお係争中であります。訴えを提起いたしましたものは三組合組合員数で二十名ありますが、この訴訟の立証のための証拠収集には、それだけでも約二百五十日くらいの延日数を私の署として要しておるのであります。この日数は外部調査のみの日数でありまして、判定通知あるいは更正決定の前後を通じまして、組合の集団的陳情あるいは抗議のために、署の幹部職員及び署員の費しました日数を計算に入れますと、そのこうむつた影響はまことに甚大なものがあるわけであります。この企業組合組合員数は、私の管内の事業所得納税者数約三千八百人に対しますと七%程度の人員ではありますけれども、一般の約三千八百人の納税者に向つて十二人程度が外部調査に出て、延日数約千二百日内外を要するのに対しまして、企業組合の判定調査等の一連の調査及び行政処分の最終処理、訴訟の挙証、証拠収集事務、これらに要するところの日数は優に五百七十日余を要するわけでありますから、その事務分量から考えますと、優に一般の納税者の五割以上に相当するところの事務分量にひとしいということが言えると思うのであります。その後組合も当時よりは改善されて来ております。なお、まだ法人の実体を備えていない組合も相当あるようでありまして、判定調査はぜひ必要でありますが、右のような所得調査の最盛期にこういつた厖大な手数のために、現在私の署では、昭和二十七年分の判定調査も全然未着手の状態であります。なおまた昭和二十六年分でさえ一部調査未了のものがあるのであります。上京、中京等の組合の多い署におきましては、相当数の組合の判定調査が未了のままにされて、そのために相当困つておるような次第であります。京都市内一円にわたりますところの企業組合のうち、二百六十九人に上る訴訟も、多大の日数を費しながらなかなか解決に至らないと聞いておりまして、まことに困つた現状であるのでございます。所得税の実質課税は当然のことであり、これまで支障なくやつてつたのであります。ところがこういう大きな問題のある時期にこれをはつきりさすことはぜひ必要なことでもありますし、また企業組合でもある程度の責任を持つていただくといつた今回の所得税法改正は、私どもじかに企業組合の困難性を体験して来ましたものといたしまして、今後企業組合に関する課税を適正に、かつ円滑に、一般の納税者のサービスも低下させないで執行するためには、第一線の税務の実情からぜひ必要であろうかと考えております。法案の内容等につきましては、詳細は承知しておりませんが、ただ過去二箇年の経験を通じまして、判定調査は、慎重かつ合理的に、一面調査を受ける企業組合にとつても、将来プラスになるようにやらなければならない。かように考えておる次第でございます。  以上はなはだ概略のことを申し上げましたが、私の考えの一端を申し上げて、御参考に供したい次第でございます。
  37. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 今税務署の方から説明を承りましたが、企業組合について、あなた方税務署は指導した経験がございますか。
  38. 佐々木重雄

    ○佐々木参考人 企業組合の指導育成ということについては、もちろん重要なことでもありますので、忙しい税務のかたわら、私どももそういつた必要性は十分痛感いたしております。施行当時も、いろいろその形式あるいは実態等について、適正に考えられるような組合も多かつたのでありまして、そういつた点についても、組合の幹部諸氏を呼びまして、いろいろお話を申し上げた経験も持つております。
  39. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 企業組合というものは、御承知のように新しい制度ができたあとでございますから、大体今言われるように、あなたの管区でもこの問題はいろいろ手数がかかつたと思います。その原因をなしておるのは、税務署の末端の人が事情を知らずして、初めから企業組合をつぶそうというような行動に出たということは、われわれは実際知つておる。そういうような事態がたくさんあつて、いろいろの行き違いが起きたと思うのです。そういう点について、現在の企業組合には九原則という法則がある。そういうような九原則に照らして、現金管理をしないような企業組合を、税務署は現在絶対に認めていない。認めているならば、九原則をどうして無視したかということが問題になるのですが、そういう点は、あなたの税務署はどういうような処置をとつておりますか。これをひとつ御返答願いたい。
  40. 佐々木重雄

    ○佐々木参考人 ちよつと私今お話がはつきり聞き取れませんでした。九原則を税務署が無視しておる、こういうことでございますか。
  41. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 九原則というものがあるでしよう。その九原則を行わないような企業組合を、税務署は一体組合として課税対象としてやつておるかどうかという問題です。
  42. 佐々木重雄

    ○佐々木参考人 重ねてお聞きしますが、そういう組合に対して課税対象にしておるかどうか……。
  43. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ひとつおちついて考えていただきたい。企業組合というものは、御承知のように、こういうことをやれという九原則というものがある。そういうことを実際行わないような企業組合は、企業組合として認めているか認めないかということを聞いておるのです。
  44. 佐々木重雄

    ○佐々木参考人 お尋ねのように、判定調査で、九原則に照らしまして、法人の実体を備えないような企業組合に対しましては、もちろん個人事業所得として課税いたしております。
  45. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そうすれば、何もこんな法律をわざわざつくる必要はない。原則で認めていないのじやないか。そこがあなたが錯覚なんで、そういうせつかくやつているものを――今日本中で五千二百ばかり認められているのだが、そういうもの以外のものは、税務署は認めていないのでしよう。それならばそんなことをする必要はない、こう私は思うのです。あなたはどういう錯覚があるかわからないが、現在九原則というものがあつて企業組合がこういう原則に合わなければ税務署は認めないのだ。しかるにそれ以外のものを、現金管理をやつていなければいかぬとか、こうしなければいかぬと言うのは、ちよつと話がおかしい。そういうのはどうお考えですか。
  46. 佐々木重雄

    ○佐々木参考人 お答えします。先ほどもちよつと事務量についてお話を申し上げたわけでありますが、そういつた判定の結果、不適正であると認めて、個人課税をいたしましても、これに対しまして再調査の事務、さらには訴訟の提起等によりまして、相当繁忙な事務を一方にかかえながら、これらの調査に非常な困難を感じておるのであります。そこで結局現行法におきましては、これらの課税上の問題におきまして、その挙証、立証の責任を税務当局が負つておるのであります。こういつた調査上非常な手数を食つておりまして、ために国の他の一般の税務行政にも非常な影響を来しておるわけであります。こういつた点から考えまして、今回の税法改正等はぜひ必要なことではなかろうかと思います。
  47. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そうすると、あなたは現在の企業組合についていろいろな不正がある、間違いがあるということをいろいろ言われるが、それならば現在同族法人なんかで、かつてに兄弟同士、あるいはうち中で会社をつくつているものや、あるいは大きな会社でも脱税という問題があるが、そういうことを一体調べたことがあるか。こういう小さいものばかりを調べて、そういう大きなものを一体調べたことがあるかどうか、これを聞きたい。     〔拍手〕
  48. 奧村又十郎

    奧村委員長 傍聴の方は傍聴だけですから、拍手その他一切御遠慮願います。
  49. 佐々木重雄

    ○佐々木参考人 企業組合以外の、いわゆる同族会社に対する脱税等の調査が完全に行われておるか、こういつた御質問だと私聞いたのであります。もちろん同族会社でも非同族会社でも、法人所得調査については相当重点を置いて調べております。従いまして同族会社におきましても、同様な税の逋脱等が行われておる場合には、調査を徹底的に行いまして、十分な課税の充実を期しておるつもりでございます。
  50. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 企業組合というものは、最近できたばかりの法人組織なんです。ところが株式会社とか、いわゆる有限会社というものは、前からあつたものでも、相当現在不正があるわけであります。ところがあなた方は初めから――これは中小企業庁なんかは育成をして努力しておつたけれども税務署は初めから、企業組合をつぶそうつぶそうということばかりやつてつた。私は現に組合理事長をやつておりますから知つておりますけれども、これは指導するのではなく、初めからおどかしたりすかしたり、末端までそういうことをやつた。これはわれわれも国会議員として、現在企業組合の認められた以外の中には、相当悪いのがあることを知つております。けれども、ただ二、三の例外があるがために、いい企業組合がまじめに税金を納めて、法人組織でやつておるものを、こういうような形ではいけないといつて、角をためて牛を殺すというようなやり方を実際税務署はやつている。一体こういう点についての反省があなた方にあるかどうかということを私は聞いておる。そういう点について、あなた方は税務署だけは全然正しいことをやつてつて企業組合の人たちは悪いことをやつていたような考えを持つていられるかどうかということを伺います。
  51. 佐々木重雄

    ○佐々木参考人 お答えいたします。企業組合だけが全部悪いことをしている、みな脱税をやつているというふうに私はもちろん見ておりません。企業組合の中にも、健全なまじめな組合もたくさんございます。私どもが課税上特に取上げて問題にし、課税の均衡をはかるという意味におきましても、課税の実質主義に即しまして、その実体が法人でなく個人であるものに対しては、個人所得税を課すべきであると信じて調査をいたし、決定をいたしておる次第であります。決してみそもくそも一緒にしたような、全企業組合が全部そういつたものだというような先入観でわれわれは仕事をしてないということを確信いたしております。
  52. 久保田鶴松

    ○久保田委員 ほかの参考人でございましたら私遠慮して話すのでありますが、佐乃木さんは税務署の署長さんでいらつしやいまして、大蔵省の出先の第一線の仕事をしていらつしやる方でありますから、私は遠慮をいたしません。あなたのうしろに主税局長の渡邊さんがいらつしやるから、ものを言うのに遠慮をされるかもしれませんが、遠慮なしに答えていただきたい。そこで先ほどあなたの話を聞いておりますると、左京税務署において今訴訟していらつしやる組合があるわけであります。そのあなたの管轄におきまして、企業組合あるいは協同組合法人として認めていらつしやる組合は、幾らあるかということを伺いたい。
  53. 佐々木重雄

    ○佐々木参考人 お答えいたします。企業組合中、私どもの管内で法人として、適正組合として認めております組合が十四組合ございます。今申し上げましたのは昭和二十六年分の判定でございまして、先ほども申しましたように、二十七年分についてはまだ全然判定調査をやつておりません。
  54. 久保田鶴松

    ○久保田委員 署長さんには私いろいろ聞きたいことがあります。それで今内藤さんその他の方から腹が減つたという要求がありますので、署長さんには午後に残つていただきまして、私の質問を保留し、午後引続きこの会議を進めてもらうようにお願いいたしまして、私は一応この程度にとどめます。
  55. 奧村又十郎

    奧村委員長 午前中はこの程度にとどめ、午後一時半まで休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時十三分開議
  56. 奧村又十郎

    奧村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、午前中に引続き参考人の御意見を拝聴いたします。  全日本企業組合連盟常任理荒谷宗二君の御意見を拝聴いたしたいと存じます。
  57. 荒谷宗二

    荒谷参考人 私、ただいまお呼出しにあずかりました全日本企業組合連盟の荒谷でございます。本日この大切な御審議の時間中にかかわらず、日本中小企業団体連盟並びに全日本企業組合連盟を代表いたしまして、私ども中小企業者自身立場から、今回の所得税法並びに法人税法改正に対しまする私どもの考え方を申し述べる機会をお与えくださいましたことを、まず委員長並びに委員各位に厚く御礼を申し上げます。せつかくお与えいただきました時間でございまするから、私はできるだけ簡明に、しかしできるだけ率直に私どもの見ておるところを申し上げたいと存じます。  まず所得税法の方でありまするが、この最初の規定でありまするところの第三条の二でございます。これにつきましては、大蔵当局におきましては、これは従来からすでに徴税上実施されておりましたところの実質課税の原則というものを、この際一応成文にするまでのものであつて、こういう原則はすでに従来から一つの社会通念として何人も承認しておる問題であるから、今これを一応成文にするからというて、これに対しては何人も異論はないはずではないか、かような御意見を承つております。しかしながら私は、当局のそうした御意見に対しましては一応これを了承いたしますけれども、しかし同時に私どもの考えるところでは、この実質課税の原則というものよりも、もつと大きなウエートを持つた別の二つの原別――税法上必ずお考え願わなければならぬところの二つの原則があると考えております。その一つは、何かすべての税法上の規定並びに徴税のやり方というものは、いかなる場合においても国民の産業活動を破壊したり、その自由を拘束するようなものであつてはならない、また国民生活を破壊するがごときものであつてはならない、これは必ず税法並びに徴税上の原則であらねばならぬと考えております。いま一つ、必ずしも税法と限りませんけれども国家が制定するすべての法律においては、憲法によつて保障せられておりまするところの国民の基本的な権利、この場合で申しまするならば、営業の自由の権利、並びに団結の自由の権利、こういう基本的な権利がその一個の法律によつて侵犯されるようなことがあつてはならない、そういう法律が設けられてはならないということであります。この二つの原則というものは、これはここに現われておりまするところの実質課税の原則などというものよりは、もつとはるかに大きな基本的なものであり、動かすことのできない法則上の原則でなければならぬと私どもは信じております。しかるにこの第三条の二、並びにそれの実行方法として規定されておりまするところの第六十八条の三項並びに二であります。これを通観いたして参りますと、当局が主張されておりまする実質課税の原則というものを強く貫こうとするがために、明らかに今申し上げましたところのよりはるか重大な二つの原則が明白に侵されておる、これに違反しておる。こういう法律は、まあ結論を先に申し上げまするならば、かりにこれが国会を通過いたしまして厳然たる法律となりましても、そこには実施の上に非常に大きな障害を生ずるであろう、またさらに、一つ法律論といたしましては、憲法侵犯の疑いある法律として、この施行の上に重大なる疑義を残すであろう、かように私どもは考えておるのでございます。このこと自体が第三条の二に対しまする私どもの反対の理由でございまするが、こうしたことは単なる抽象論では尽きません。第六十七条の方に移りまして、その具体的な実効がわれわれの業務の上に、国民の営業活動の上に、いかなる障害を与えてくるであろうかということを具体的に申し上げてみたいと思います。  第六十七条の三項並びに二を通じまして、その文字の上に幾多の疑義をさしはさむべきものがある。あるいは六十七条の三項の方におきまして「三以上の営業所を有する」ところの三という数字、あるいは六十七条の二の方におきまして「五以上の営業所」というような数字、この数字がどれほどの重要な意味を持つておるのであるかどうか。これは私の了解いたしまするところでは、それほど大した意義があるものとは考えません。要するに第三条の二を適用するにあたりまして、二以下のものに対してはこう、三以上五以上のものに対してはかように扱うとかいつたような軽い御規定にすぎないものと考えておりますが、そうした幾分かの取扱い上の差異といつたようなものを越えまして、最も重大な問題は、この六十七条の三項並びに二を貫いておりまするところの、企業組合その他の中小法人に対し税務当局が推定処置をおとりになるところのその前提条件でございます。この前提条件を拝見いたしますると、簡単に申しますれば、ある一定の場所において先にその営業を営んでおつた者、この意味は個人営業が営まれておつたものと了解いたします。この個人営業を営んでおつた者が、その事業場をそのまま法人に転換した場合においては、そうしてそのものが何らかの形で法人に転換した後の事業に主宰するがごとき関係の位置にある場合におきましては、この法人組織法人性というものがきわめて簡単に否認される。その内容がいいか悪いか、合法的であるか合法的でないか、正しい企業合一体になつているかいないか、そういうことに対しましては、税務当局は何らの調査を加える必要もなく、ただそれだけの外形標準によりまして、これに対して一つの仮装法人なり、別な言葉で申しますれば脱税を目的とするところの不良法人なりという推定を下して、この推定に基いてただちに個人所得決定をされることができる、こうなつておることであります。ここで問題になりますことは、しからば私どもが現に携わつておるところの事実でございますが、いわゆる中小法人と称せられるものでありまして、ここにあげられた二つの前提条件を持たないものが一つでもあるかということなのであります。そういう中小法人というものが一体成立し得るかどうかということであります。私どもが一個の同族会社を組織するといたしましても、それには少くとも三年、五年ないし七年にわたり営々辛苦を重ねまして、幾分かの社会的な信用もでき、資力もでき、親戚とか友人とか、他の人々の資力の助けを受け、あるいは人の助けを受け、この力を加えまして初めて一個の会社が生れる。またそうした会社を創立するだけの域に達しておりません、それだけの力を持つておりませんいわゆる零細業者でありますならば、自分のところだけで一個の会社にすることはできませんから、必ず三人とか五人とか、多ければ三十人とか五十人の人が集まつて相談いたしまして初めて企業組合が生れる、こうして企業の合同が行われるのでございます。しかるにこの法案が一たび法律となつて存在することになりますならば、同族会社であれ、企業組合であれ、この欠くことのできない必然的な成立の要件――ある期間そこで営業を営んで来た、信用ができた、資力ができた、その人に対する信頼が集まり、これをもつて初めて成立する法人である、しかるにその法人の前提条件はそのままとつて、これを税務署否認する要件になつておるのです。その他の条件は全然必要がないのです。ただそれだけで否認される。これでは、現在日本全国にいわゆる中小法人が幾万あるか、幾十万あるかしりませんけれども、いやしくも中小法人であります限り、この法律に抵触しないものは一つもないことになる、税務署によつて否認されないものは一つもありません。幾億、幾十億という大資本を持つておりまする大企業でありますならば、新しい年に新しい設備をして、新しい人が集まつて来て仕事をすることができますが、中小法人の場合におきましてはそういうことは全然できません。ただいま申し上げました二つの要件が必ずその基本条件であらなければならぬのでございます。しかるにこの法律におきましては、いわゆる所得の帰属に対して課税するというこの原則をあくまで貫こうとされるがために、そうしてさきに申し上げましたより以上きわめて重大な要素を持つております二つの原則、この原則が全然忘れられておりまするがために、かような不都合な状態が生ずるのでございます。ここでぜひともお考えを願わなければならぬことは、現在のわが国の産業構成の上から、さらに広くは国民生活の上から考えまして、この中小企業組織化、法人化ということがいかに大切な使命をもつているかということでございます。御承知通り、わが国の現在の産業構成におきましては、その事業場の九八%はなお中小企業に属しております。また商工業に従事いたします者の総数の六〇%は中小企業の従業員でございます。またわが国の商工生産の五〇%はこの中小企業の生産でございます。この事実から見ますならば、わが国の現在の産業構造は、依然としてまだ中小企業を根底として成り立つているものであるという事実は動かすことができません。そうしてわが国の中小商工業者は、その勤勉精励なることにおきましてはおそらく世界に冠絶するものがあると存じます。この中小商工業者の驚くべき精励と勤勉とによりまして、わが国の産業構造は辛うじて維持されているのが現状でございます。しかしながらその一面におきましては、このわが国中小商工業の持つ大いなる根本的な欠点もまたそこにございます。それはその経営規模があまりにも小さ過ぎる、その資力があまりにも少な過ぎる、税金が重過ぎる、さらにその上に最も悲しむべき欠点の一つは、すべての事業経営の基礎となるところの簿記、経理等近代的な知識と技術とがまつたく欠けております。大多数の中小商工業者は、依然として旧来の手工業に依存しておりまして、その設備においてははなはだ不完全であります。その経理の面におきましては、まつたく大福帳式の能力を出ないのであります。この大きな根本的な病患が今や救うべからざるものになつて参りまして、これが強く現われて参りまして、今やわが国の貿易の上におきましても、国民の産業活動全体の上におきましても、非常な危機を招来しつつあるのでございます。かような状態にありますがために、かねて通産省、中小企業庁、各都道府県等におかれましては、どうしてもこの中小企業対策を急がなければならぬとして、その対策の中心は、これら中小企業を合同せしめ、企業の合同を行わせ、経営の合理化を行わせ、その経理規模を大きくするとともに、その経営の中心を正確なる経理、簿記によらしめることを努力されて来たのでございます。業界の識者、先覚者またよくこれにこたえまして、この数年来全力をあげてこの中小企業経営の合理化、企業合同の実現、あるいは簿記経理の知識、技術の普及に努力して参つたものでございます。私ども全日本企業組合連盟を組織しておりますところの組合の者、役員の者の衷心からの希望もまたそのほかにございません。私どもの連盟は昨年の十一月に成立したものではございますが、最初からその事業の目標といたしましてこの零細なる業者を集めて、これに正常なる企業組合組織させ、これを強化すること、さらにこれらに正しい経理の方法を指導するということ、その事業内容を常にこまかく研究し指導し、これに近代的な設備や組織を与えるために全力を尽すというようにいたしたのであります。しかしこうしたことは、残念ながらわが国中小商工業の実情をもつてしますれば、単にその自力のみをもつてしてはできないのであります。力が及ばないのでございますから、従つて中小企業庁を初め各都道府県の方に対しまして、この点に関する力強い育成、指導をみずから要請して参つたのでございます。一例を申し上げますれば、私どもの愛知県におきましても、この連盟の成立と時を同じゆういたしまして、昨年の十月以来愛知県当局に対しまして、あらためて全県下五百三十の企業組合一つ連合会組織いたしたい、そうして県の指導に緊密に協力いたしまして、事業の診断を行い、これらの事業に対する適切なる指導を与え、また県、あるいは名古屋市の信用保証協会、あるいは県の金融課等と連繋いたしまして、ほんとうに内容の正しい企業組合、よい経理が行われておる組合、見込みのある、将来性のある企業に対しましては、連合会自身が責任を持つて、そうした金融の面からも援助を与えてもらう、さようなことを要請いたしまして、幸い県当局またこれを快くいれてくれまして、実は本月中には新しい連合会の成立を見ることに相なつております。これに対しましては県の方からも、まず経常費として一箇年六十万円ずつの補助金を出す金融の面における協力、提携、援助、けつこうである、そうして県の中小企業対策の力強い指導機関として、その一翼として相提携して進もうということに相なつておるのであります。これは決して愛知県だけの問題ではありません。全国至るところの主要なる産業府県におきましては、みな同じようなコースをとつて進行しておるのであります。  企業組合に対しまして先ほど来いろいろな議論を伺いまして、また従来大蔵当局の方々よりは二、三の組合の例をあげまして、こうした脱税組合があるのだ、こうした違法の組合があるのだ、そのためにこれだけ税務署の手を要するのだというような説明を承つております。私どももなるほど現在の企業組合のうちには、あるいは全体の数から見ますれば、五分か一割の程度であると思いますが、そうした未熟な組合もしくは内容の好ましからざる組合がありまする事実は承知いたしております。しかしながらそうした組合をどうしてなくすることができるか、どうして排除することができるか、これはいたずらに、渡邊主税局長言葉をかりて申しますならば、よく切れるどぎつい刀をもつて切り倒すことではございません。そういうことではありません。ただいま申し上げましたような、私ども協会の者どもの責任ある努力に対しまして、それぞれの行政当局の心からなる御協力を願いまして、よい組合を指導し、育成する、悪い組合に対しましては、金融あるいは内容、経理に対する監査、こうした面からこれを改めさせる、改め得ないものはおのずからこれを排除するという方法をおとりになつてこそ、初めてこの中小企業組織を育成することができろと信ずるのでございます。  この点は必ずしも企業組合に限りません。おそらく他の中小企業に対しましても同様であるとは考えまするが、私の立場並びにこの法案の内容といたしまして、企業組合が相当大きなウエートを持つておると考えますので、特にただいまは企業組合の問題を中心に所見の一端を申し述べた次第でございます。なお企業組合の問題に関しまして御質問がございますれば、この際喜んでお答え申し上げておきたいと存じます。
  58. 奧村又十郎

    奧村委員長 ただいまの荒谷宗二君の御意見について何か御質疑があれば、これを許します。  次に共栄企業組合東京支部長赤岩勝美君の御意見を拝聴いたします。
  59. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 所得税法の一部を改正する法律案の六十七条及び六十七条の二に反対意見を申し上げて、御参考に供したいと思います。  私たちの組合は非常に評判が悪いのでございますが、そういう点もここでいくらか御理解していただきたいと思います。私たちにこういう機会を与えてくれたことを非常に感謝いたします。  第一番目に、脱税の目的で組合をつくるのではないかというような御意見がございましたが、脱税の目的だという御意見は一方的であると私は言いたいのであります。これは税法が非常に公平であつて、零細業者に十分に払う能力がある場合には、これはそういうことが言えると思うのであります。ところが法人の場合と個人の場合との税制が非常に違つております。非常に不公平な状態に置かれている場合に、そういうような言葉は一方的な言葉だと言わなければいけないのであります。法人は、明らかに個人よりもいろいろな面におきまして、基礎控除その他の問題が十分に考慮されております。そうなるならば、法人になりました大株式会社というものはいつでも脱税しているか、こういうことになります。そうではないと思うのです。そうしてまた中小業者は、法人となつて自分たちの営業を守つて行くというような立場がとれないのか。それはそうではなくして、とれるのであります。その意味におきまして、脱税の目的で組合をつくるのではないか、こういう言い方は正しくない。現在の税法が、法人に対しては相当いろいろな点の有利性がある。こういうことは言えると思うのであります。現在の中小業者の実態は、どうして企業組合に入るかということでございますが、大体商売を順調にやつて、黙つて税金が払つて行ける間は、企業組合に入ろうという気持は持たないのであります。だれでも自分の営業を組合に合同してしまつて、財産をみな差上げて行くということは望まないのであります。自分が一国一城のあるじとして営業を十分にやつて行きたい。これが大体中小業者のあたりまえの気持であります。ところが現在の中小業者の実態は非常に悪いのであります。毎日々々苦しい状態にあえいでおるわけであります。金融の問題にいたしましてもそうであります。税金の問題にいたしましてもそうであります。いろいろな問題について非常にあえいでおるわけであります。  その一例を申しますと、私はここへ実例を持つて参りました。中野の沼袋のそば屋さんで、鈴木さんという人がおりますが、この人は二十六年度四十九万の決定額を見たのであります。この人のうちはどういうふうになつておるかと申しますと、家族全部で五名働いております。自分の子供たち三名と奥さんと自分と、五名が働いております。その上に使用人一名を持つておるわけであります。計六名が働いておりますが、個人でやつておりまして、子供たちや奥さんたちの月給を払うことができない。現在この人は子供たち二人に、一人に三千円、一人に三千円小づかいをやつております。自分個人でやつておる限りは、税制では自家労働というものは認めることができなくなつております。こういうような調子でありますから、どうしても税額が高くなつてつております。なおこの人は長い間胃下垂で寝ておりまして、四万円の医療費がかかつているのであります。ところが現在の税制におきましては、所得決定額の一割以上の医療費でなければ、これは基礎控除にならないということになつております。またこの人は子供がたくさんありまして、全部で家族が九名おりますが、こういうために非常に困つております。そのために現在経営は赤字であります。家屋も現在差押えられているという状態でございます。  これは一例でありますが、自家労働を認めることができないという個人営業、その基礎控除ができないというような税制、そういう問題が現在どうしても法人にしなければならないという形、法人にして脱税のようなかつこうになるというところに問題があるのでございます。大体中小業者の人々が今営業しておりまして、どういうふうになつておるかというと、この間も新宿の簡易喫茶の人たちの意見でありますが――この人はある程度帳簿をつけておる人でありますが、自分は七年間一生懸命働いて来たけれども、ちつともうまく行かない。経理をすつかりやつてみると、七年間にきつちり税金だけは赤字だつたと言つております。それでこぼして言いますことは、このままではどうやつてつたらいいか、希望は全然なくなつている。自分が考えたいことは、最低の収入でもいい、それを保障してもらいたい、病気になつても何か保障する道を開いてくれることが望ましい、だから企業組合に入つた方がよいと思うという御意見でありました。この間も、これは高田馬場の駅前で花屋を経営しておる人、この人は戦前は非常に大きな土地を持つてつたのでありますが、税金のために毎日一坪ずつ土地を売つて来たことになつておる。こういうことをこぼしております。また上高田の方におる森岡さんは、タバコ屋をやつておりますが、昔のタバコ屋は大蔵省でなかなかやかましいので、すぐさま営業を許可していただけません。この人は昔は相当の物持ちであつたのでありますが、家作三軒をこの六年間に売つてしまつた。そして税金はなお滞納になつております。こういう状態が現在の中小業者の大体の実態であります。朝から晩まで家族全部働きまして、そうしてあすはどうなるやらというような希望のない状態、これを何とかして救わなければならないというところに問題があるのではないかと私は考えます。現在帳簿帳簿税務署が言いますけれども、むずかしい帳簿をつけることができません。計理士を雇うにしても、金がかかります。そういう点でどうしても帳簿が十分につけられないのであります。しかもこの帳簿を十分につけましたならば、先ほど言いましたように基礎控除が割合に少い。二万円では養つて行くことがとうていできません。そのためにどうしても少くしなければならない。そうしないとできないというのが、現在追い込まれておる帳簿の問題であります。これは私は正直なことを申し上げておるのであります。こういう例があります。新井町に幸寿司というすし屋さんがありますが、この人の所得決定額が四十八万円、そのうち三十五万円が税金でとられて行きます。所得税が十一万円、事業税が五万円、住民税が二万円、遊興飲食税が十七万円でありますが、税務署は、そういう税制が無理なんだから、幾らかまけてやろうというわけで、幾らかまけてもらつておりますが、税務署自身もそういうことを認めております。それですから、これで税金を払つて、十三万円で家族五名が生きて行かなければならないということが、この人の問題であります。こういうような状態に追い込まれています。それですから、法人にすれば自家労働を認めてもらうことができるし、企業組合に入ればみなで無尽をやつて金融の問題も解決することができるし、共済制度もできて、最低生活を維持することができるから、やはり企業組合に入りたいというのが追い詰められた中小業者の気持であります。これに対して税務署の状態はどうかというと、今年も確定申告が進んで参りまして、この間二月二十六日、ある公会堂にクリーニング屋さんが集まりましたとき、去年の税金より今年は四割高い、これは国税局からそういう通知が来ておるからと、こういうことを税務署員がはつきり言つております。そうして去年安かつたのに今年高いという人があつたならば、今年が間違いではないのだ、去年が安過ぎたのだから、今年訂正してやるというようなことを言いながら、今年はもう年貢の納め時だというような放言をしておるのであります。こういうふうにおどかして一方的に取上げようというような腹を示しております。なおここで問題になることは、現在所得税法の一部改正案がある。法人企業組合なんか否認されるようになつておりますが、これはわれわれも非常に賛成である、われわれ税務官吏としてもこれを援助するつもりであるということをいつておるのであります。これは明らかに公務員としての政治活動であるといわざるを得ないのであります。これは税務署長さんも列席した会であります。  なお最近、二月二十日でありますが、中野の税務署におきまして、大和町のさしもの屋の近藤福一という人が勧告慫慂に呼ばれております。自由申告が建前でありますが、今年の税金は大きいのだからといつて呼ばれておりますけれども、この呼ばれたきしもの屋の近藤福一は、その場で脳溢血を起して死んでしまつたのであります。台所の方の小使室にかつぎ込まれているうちに死んでしまいました。税務署に行かれた方は、皆さん、業者がどんなに血走つた目をして、困つた顔をして真剣になつているかということはおわかりだと思います。税務署がそういう態度でもつてつて来ておることはみな業者は知つておるのであります。先ほどどなたかから、企業組合が十分うまく行つて法人としてしつかりやつているのに、それに税務署が圧力を加えてやめさせようとしていることはおかしいというお話がありましたが、こういう状態はわれわれの共栄企業組合において起つている。この点で非常にいろいろな問題が起きているように思うのでありますが、これは私は実際その問題に携わつておりませんので、報告からだけしか申し上げることができません。これは現在裁判になつておりますので、裁判に出しました報告てんまつから幾らかのお話をして、私たちの組合脱税組合であるというようなことをいつておりますが、それがどういう状態であつたかという点についての御参考にしたい。そして九州からおいでになつている先生方もおられますので、ぜひ大蔵委員会調査をやつていただければ幸いだと思います。  私は東京におりますので、東京の方の状態を若干お話したわけでありますが、ことに最近大田区の企業組合連合会が国税局に行つて、九州に起つた共栄の弾圧問題はひどいじやないかという意見を申し上げたそうであります。これは大田区の企業組合の人でありまして、共栄の人ではありません。ところが、共栄に対する弾圧は行き過ぎであつたということを何とかいう課長さんが申されておる。東京では、あのようなことはしないと明言いたしておるのであります。九州に起つた問題は、これは脱税だといつてやられたのであります。私たちの企業組合は二十四年十二月九日に発足しておりますが、これは中小企業協同組合法に基いておりまして、ある程度包括的な弾力性ある組織だということが当時もいわれた企業組合であります。そういう組合として発展して参つて、現在全国において二千七百事業所を持つております。私たちは発足以来福岡国税局に対して、法人税法第二十一条によりまして、前年度の実績を記載し、確定申告並びに法人調査に必要な決算報告を三年間ずつと提出して参つております。さらに三年の間、従業員に対する源泉所得税を払つて来ております。その申告書を福岡国税局は受理をして、三年間おつぼらかしておつたのでありますが、毎年われわれの方の理事長並びに役員が参りまして、福岡国税局に調査をしてもらいたいということを申し入れております。三年間に二十数回にわたつて国税局に対して調査依頼の話をしている、ちやんとそういうものを出しております。ところが今まで何にも調査しておらぬのにかかわらず、この十二月になつて、一斉にこれは脱税で違反であるということによつて、大きな弾圧をやつて来たのであります。例をとりますと、一つの営業所に国税局の人たちが七、八人、それから警察官の人が二十人ぐらい固まつて参りまして、いろいろなことを調査及び押収して、非常にはなはだしい人権蹂躪をやつてつた例を申し上げたいのであります。  一つの例は福岡市でありますが、婦人の組合員の事業場に参りまして捜査中に、机のひきだしに家賃として三千四百円入れておいたのでありますが、三千円がなくなつております。かぎのかかつた金庫がそのまま持ち去られてしまつたのであります。私信の手紙も持つて行かれました。それから身体捜査令状も持つておらないのにかかわらず、男子の人でなくて、婦人の組合員の奥さんの着物を脱がせて身体検査をやつております。組合員の医者がおりますが、その人が診療のカルテをすつかり押収されております。山口県では、子供の貯金通帳や妊産婦手帳までとられております。小倉税務署では、組合員の一人だけを署の一室にとじ込めまして、窓にかぎをかけまして組合の実情を調査している。こういう状態もあるのであります。さらに捜査の際、陳列だなのガラス戸を破つているというような乱暴が福岡市にもございます。それから店頭には立入り禁止、何々税務署と張札をいたしまして、客を追い返してしまいましたばかりでなくて、得意先からかかつて来た電話も、今はだめだと言つて自分で切つてしまつたという例がございます。警察官に捜査の手伝いをやらしておきまして、そうして用があつた税務署に来いと言つてつてしまつたというようなことが福岡市の全域において行われております。なお奥さん一人で留守を守つておりますところに五人の税務官吏と警官がやつて来まして、組合とは全然無関係な陸運関係に勤めておる主人のガソリン券を持つてつたのでありますが、これはどうか持つて行かないでくれと言つて泣いて訴えましたにかかわらず、逮捕すると言つておどかしまして、五人の税務官吏が寄つてたかつてこれを持つてつたというのが福岡市にございます。こういうような状態の人権蹂躙が行われておると言わざるを得ないのであります。これに対しまして、共栄企業組合が現在所得法人税の脱税違反の問題につきまして裁判をやつておりますが、これについて、この二月の十八日ごろ国税局の方の弁護団から、この裁判を取下げてくれということを私どもの弁護団の方に申し入れて来ております。これをちよつと追加いたしておきます。  大体脱税でないということは先ほども申し上げたのでありますが、もう少し詳しく申し上げますと、今まで奥さん、子供さん、自分というような形で働いておりますと、これが全部個人所得となつてつております。これが組合になりますと、従業員にも相当の給料を出すということになります。さらに退職金あるいは共同購入資金、あるいは共済会の資金、あるいはその他のいろいろの金融問題というようなものにつきまして、全部やつているのでありますが、個人のような形には所得の問題が参つて来ないのであります。それで大体株式会社のようなものでありませんので、従業員の人件費を削つて株主に配当をふやそうというのではないのでありまして、売上げは組合員の生活水準を高め、さらに店の従業員の給料、厚生設備、共同販売、その他の方向に持つて行くためであります。そういうために黒字にはなつておらない、そういう決算書提出し二十回にわたつて国税局に依頼をしておるわけであります。  さらにこの弾圧の問題につきまして、その後のいろいろな状態が明らかになつて参りましたが、福岡地方裁判所のある判事さんが、共栄の捜査のやり方はあまりにひど過ぎた、税務署員に捜査権を与えるのが誤りであつた、行政官に司法権を持たせたことが危険だつたということを述懐しておられます。地元の商工会を初めといたしまして、地元の福岡地方におきますところの三大新聞が、一斉に共栄は脱税ではないということを支持しております。毎日新聞の記事によりますと、廣渡福岡法務局長は、警官と税吏に人権蹂躪が最も多かつた共栄企業組合の場合、医者の家ではカルテを押収し、洗濯屋の得意先の名簿、商店の売掛帳を持つてつたというが、これがほんとうだつたらたいへんな人権侵犯だということを言つておられるのであります。  先ほどお話がありましたように、中小業者が困つております。もうどうしようと悩んでおるのでありまして、それらを克服いたしまして、だんだんと自分たちの末が見えるような形の企業形態につくつて行きたいと念願しておるわけであります。そのためにいろいろな問題が今起つて来ておりますが、われわれはそういう問題を一つ一つ解決して行きたいと思つております。企業組合は、東京におきましては昨年出発したのでありまして、十分な状態になつていないということも言わざるを得ないのでありますが、これをだんだん組合員に組合の問題を徹底させて、そうしてりつぱな企業組合にして行きたい。こういうことを考えておるのであります。ところがこういう法案ができますならば、現在でもすでにいろいろな形によつて威力的な圧力を加えておりますのに、さらにもつと激しいものが――先ほど荒谷さんが言われましたように、まつたく前の事業主がそのまま営業主であるということのために、それだけの理由でもつて一切が否認されるような状態になりましたならば、中小業者はもう生きる道がなくなつて来るのであります。こういう状態をとくとお考えくださいまして、ぜひ御賢察を願いたいと訴える次第でございます。
  60. 奧村又十郎

    奧村委員長 ただいまの赤岩勝美君の御意見に対して、何か御質疑があればこれを許します。――内藤友明君。
  61. 内藤友明

    内藤(友)委員 赤岩さんにお尋ねしたいと思いますが、ただいま私どもお聞きしてたいへん驚いたのでありますが、そういうことが今の世の中にほんとうにあるのか、またあなた御自身も、私の組合は世間からいろいろと批判を受けておるのだという告白もありまするし、それを聞きまして私どもは、一体それはどういうことなのかさつぱりわからないのであります。実は私は、私の町の農業協同組合長をいたしておるものでありまして、同じ協同組合というと何か一脈相通ずるものがあるかのような気がするのでありますが、それが何だか知りませんが、およそわれわれの常識にないようなことをお聞かせいただいたのであります。そこで赤岩さんに二、三お尋ねいたしたいと思いますが、今あなたのところの組合が現在行つておられます事業は、どういう業種でございますか。それをお教えいただきたい。
  62. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 全体のことは私よく存じておりませんが、東京都におきましてはいろいろな業種が包括されておりまして、たとえば薬品屋、菓子屋、理髪屋、それからさしもの屋、いろいろなものでございますが、一切のものを包括して二千七百事業場がございますが、それを現在専門部別にだんだんと再編成し、専門部においてだんだん発展させて行きたい、そういうような方向でありますので、百貨組合と申してさしつかえないと思います。
  63. 内藤友明

    内藤(友)委員 そういう組合でございますか。そこで今お話を聞きますると、何か九州のお話をしきりにおつしやつたのでありますが、そうすると、あなた方の組合の本部は九州のどこかにあるのでございますか。
  64. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 福岡市の高畑新町の一丁目にございます。
  65. 内藤友明

    内藤(友)委員 それから今あなたの東京でお世話なすつていらつしやる支部というのは、東京の区域でございますか。
  66. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 そうでございます。
  67. 内藤友明

    内藤(友)委員 そうしますと、共栄企業組合というのは、日本中が区域でございますか。
  68. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 大体現在の組合事業場は東京から山口県、広島県、それから九州の方、その程度にわたつております。
  69. 内藤友明

    内藤(友)委員 それからもう一つ。  これは少し突き進んだお話でありますが、組合としての利益は毎年どのぐら  い出ておりますか。
  70. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 これは組合全体の問題になりますが、全体の問題は、私は数字的には存じておりませんが、税務署に出しました二十四年度、二十五年度、二十六年度の決算書でありますが、大体赤字になつております。二十四年度の決算において二万円の赤字、二十五年度は二百二十万円、二十六年度千二百九十六万円赤字、こういう報告を福岡国税局に提出しております。
  71. 内藤友明

    内藤(友)委員 そういう二万円とか、二百二十万円とか、千二百九十六万円とかいう赤字の数字、これは各事業場の決算がずつと集まつてそういう数字が出るのですか。
  72. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 その通りでございます。
  73. 内藤友明

    内藤(友)委員 それでは、先ほどお話では、その事業場に働いておられる人たち、つまり前の店を経営しておられた主人、その奥さん並びに子供さん、そういう人たちが給料をもらうんだ、こういうお話なんでありますが、その給料の基準というのは何かあるのですか。それは適当にそこでやつておれというのですか。
  74. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 組合の規約がございまして、それによつて給与基準ができております。これによりますと、まず基本給としては一律に三千円を出します。それから年齢によつて出します。それから職務の経験によつて出して行きます。そういう形で、給与審査委員会にかけられて決定されておるわけであります。
  75. 内藤友明

    内藤(友)委員 利益があつた場合、どういう御分配があるかということもお聞きしたいのですが、赤字なんですから、そういうお尋ねをすることはできませんが、今欠損があるのですね。その欠損はだれがどういうふうに負担して行くのでありますか。
  76. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 これは組合全体の問題になつて来ると思うのですが、私は本部の方の経理関係については詳しくございませんので、もし参考のために必要でございましたら、本部の理事長が九州におりますが、すぐ電報で呼んで答えたいと思います。どうぞ大蔵委員会で再びこの問題を取上げていただくことをお願いいたして、その点の答弁は福岡の理事長にお願いいたしたいと思います。
  77. 内藤友明

    内藤(友)委員 いや福岡からわざわざお越しいただかぬでもよろしいのです。実は共栄企業組合というのが、われわれは町の農業協同組合をお世話しておるのですが、そういう村の農業協同組合とおよそその観念が何だか妙にかけ離れた、どうもわれわれの常識から出て来ないものでありますから、今のようなお尋ねをしたのでありますが、大体おぼろげながら皆さんの企業組合はどういうものかということがわかつた次第でありまして、決してお越しいただかぬでも、それは大よそ見当がつくのであります。そこで同僚の笹山さんからついでに尋ねろというのですが、かりに所得年額五十万円あるものが、個人であつた場合、それからあなたの共栄企業組合に入つた場合、その税額はどれだけの差があるか。こういうことはよく平生御研究なさつて、また組合員の獲得をなさつていらつしやると思うのですが、おわかりになつたら教えていただきたい。
  78. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 その点私ははつきりわかりませんが、現在われわれの平均の売上げ、これは月間十二、三万円が大体平均だとお考えくださつてさしつかえないと思います。それは東京における実例であります。現在全体としての問題は私はつかんでおりません。しかし東京におきましての実例は十二、三万円どまり、そういうところが平均値でございます。
  79. 内藤友明

    内藤(友)委員 もう一つ、ちよつと今と違うことでありますが、お尋ねしたいのは、組合員の営業用の資産、これは先ほどお聞きしますと、理髪屋もあれば、あるいは菓子屋もあればいろいろ種々雑多らしいようでありますが、それらの人たちの営業用の資産、つまりこれは組合ですから出資の範囲といいますか、そういうことはどういうふうなことになつておるのでございますか。
  80. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 資産は全部組合のものとなつております。それですから、みな組合の札を張つてございまして組合に売り渡したという契約をやつております。
  81. 内藤友明

    内藤(友)委員 なるほどわかりました。その売り渡されて札を張つておられるということは、おそらく税務署の署員が来たとぎに、こうだぞとおつしやるために札を張つてあるのだと思いますが、現実は、それは組合員がみな持つているのですか。
  82. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 そうです。
  83. 内藤友明

    内藤(友)委員 それからもう一つお尋ねいたしたいのですが、組合員がこれからだんだん仕事をやつて行く。そうすると、その事業を継続するにはやはり資金も借り入れなければならぬ場合がある。そのときはあなたの組合が、よし、わかつた、それでは世話をしてやるというので、本部の方で調達して持つて来るのでありますか。これは理髪屋だとか、いろいろな業種があるのですから、ここのところは資金潤沢、ここは資金枯渇というようないろいろな場合があると思うのですが、それは組合がずつとめんどうを見るのですか。それはかつてにやれというのですか。そこをひとつお教え願いたい。
  84. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 現在東京の状態はそうでありますが、給料が払えないような状態もあるわけです。そこにはほかの利益をあげている営業所から来ておりますから、そういう点で相殺して行くという状態になつております。今はまだ資金の問題でそれほど努力したことはございません。中小企業金融等から借りたとか、そういうことはございませんが、組合でやらなければならないような問題は一切組合で取上げて行く、こういう方針でございます。実際にもそういう方針でやつております。
  85. 内藤友明

    内藤(友)委員 それでよろしゆうございます。
  86. 奧村又十郎

    奧村委員長 全日本企業組合連盟常任理事長荒谷宗二君から重ねて参考意見の陳述がありますから、聴取いたしたいと思います。
  87. 荒谷宗二

    荒谷参考人 ただいま共栄企業組合の赤岩さんからいろいろ御説明があり、また内藤委員から懇切なお尋ねがあつたようでありますが、率直に申し上げますと、私どもは赤岩さんが属しておいでになる九州の共栄企業組合という組合は、現在の日本企業組合のうちでは、ただ一つだけ飛び離れました特殊の存在であると考えておるのであります。それがいいのか悪いのかということは、今私がここで申し上げることは困りますけれども、しかしわれわれが経営しております一般の組合とは、何か性格的にも、組織、運営の面におきましても、非常に違つたものがあるというふうに考えておるのでございまして、ただいまたいへん御熱心に内藤委員との間に質疑応答が行われたのでございますが、そういう例をもつて一般の企業組合の性格や内容がそういうものであるというふうにお考えになつていただいてはたいへん困ると思うのでございまして、やはりもう少しそうでない、一般の非常に数の多い企業組合の状態について御検討をお願いしたい、さようにお願いする次第であります。  それから補足発言として委員長からお許しをいただきましたので、ちよつと私先ほど申し残しました一、二の点を思い出しましたから、この機会にそれも申し述べさせていただきたいと思います。  私先ほど申し上げましたのは、現在の産業構造の上において企業組合がどういう重要な役割を持つているかという点をきわめて建設的な見方において申し上げたのでありますが、それにもかかわらず、今度大蔵省の方から――大蔵省か政府か、いずれにせよ政府原案として今度のような法案が御提出になつておるということを私ども考えて参りますと、それには、やはりおぼろげながらこういうことが原因ではないかと想像されるところがあるのであります。ということはほかでもありませんが、企業組合の運動が始まりましてから、ここにようやく三年でありますが、その間の企業組合と一般税務署との関係は、お互いにまことに不幸な状態にあつたと思います。そうでない部面も幾らかありますけれども、大体においては税務署企業組合との間の関係はかなりますかつたということが言えると思うのであります。それは税務署の方からごらんになりますと、全然別な見方もありましようが、私ども企業組合の側から見ますと、そこにははつきりした理由があります。というのは、大体始まりから税務署の方々は企業組合に対して二つの間違つたお考え、不幸な誤解をお持ちになつてつたと思います。その一つは、企業組合一つ脱税目的の組織であるという考え方と、それから他の一つは、企業組合は社会党の内閣が残した一つの方法であつて、社会党の一つの外郭的な運動であるという党派的な見方であります。この二つがずつと税務署の方々の頭にこびりついておつたようでございまして、そのために二十五年から二十六年にかけまして、特に強く行われましたのは二十六年の春でございますが、いわゆる税務署側からの企業組合に対する第一次の判定調査が行われたのであります。その当時の判定調査なるものは、率直に申し上げますと、これはいい組合か悪い組合かの判定ではなくて、最初から悪いものだときめてかかつて、これをとりつぶす、とりつぶさなくとも、否認するためのしつぽがどこにあるか、そのしつぽをさがすための調査であつたと言い切つてもさしつかえないと思います。これは私どもほんとうに身をもつて体験いたして参りました。中にはまことにこつけいだと思われるような調査報告が、税務署の報告にはたくさん集まつておるはずであります。もし私の方から実例をあげよということでありますならば、幾らでも資料は提出いたしますけれども、そういう煩わしいことは避けまして、ここにほんの一、二の実例だけを申し上げておきます。愛知県の半田市に魚屋さん十八軒で組織されました企業組合があります。二十五年三月にできた組合でありますが、非常にいい組合であります。私連合会長として数回参りまして、つぶさにその経理の内容事業経営内容調査しておりますが、実にいい組合であります。毎日の売上金は全部毎日組合の本店に集めてしまう。そうして魚市場での仕入れも全部その組合から支払いをしております。営業所は、ほんとうに単に組合が仕入れました魚の販売所にすぎない状態であります。それがなかなか御承認が得られない。御承認は得られないけれども事業は継続して参りまして、昨年の夏などは市の働きの上にも大きな貢献をしております。何か市では、従来から氷が独占になつておりまして非常に高い、そのために冷凍設備が不完全であつた、そこでその組合は申合せをいたしまして、青果物の組合と共同いたしまして、市の方にいろいろ協力を求めまして、新しい製氷設備を完成した、そのために冷凍設備が非常によくなつた。これが伝わりまして、四国の今治あたりからまでもわざわざその状況を視察に参つておるほどであります。こういうように完全にやつておる組合でございますが、しかしその業態は、まあ魚屋さんでございますから、先ほども私が申し上げましたように、簿記、経理というような面については、まつたく技術的に程度が低いわけであります、ところが昨年の五月に半田税務署がこれの調査を行いました。それは時間にいたしましてわずか三時間か四時間の調査でありますが、三人か四人の署員が来られまして十八箇所をぐるつとまわつて調べられたわけであります。そしてすぐ即決で否認の判定があつた。私もそれを聞きまして驚いた。行つて調べてみますと、否認される原因が何もない、一体どうして否認なつたのかふしぎでしようがない。ところが税務署行つて係長からその理由を伺つてみますと、その一番重要な理由としてあげられたのが、十五番目の営業所におきまして、ある近くにあります織物工場に対して魚を売つておる。その売掛金が十二、三万円たまり、工場の方では昨年の春で景気が悪く、金まわりが悪くて支払いが遅れて困つておる。そうすると組合の方では、毎日市場に対してその代金を支払わなければならぬのでありますから非常に金まわりに困つておる。そこで営業所の主任に対して、早くその売掛金をとつて納めろとやかましく催促する。組合に対する責任を考えましたその主任は、遂に困つて自分の兄のところに――兄は農家でありますが、農家の兄のところに行つて、十万円の金を借りて来て、そのことは組合の方には言わないで、売掛先から回収した金であると言うてその十万円を納めた。この事実がたまたま税務署調査で発見された。そうしますと、これは国税庁の通達にありますところの九箇条の原則の一つに牴触する。一つの営業所の営業のためにほかから自由に金を借りて来て使うのはよくない、九原則の違反である。これが否認の一番重要な原因になつておる。さらにほかにもう一つの理由がつけられておる。これは十八箇所の営業所をお調ベになつて誘導尋問的態度でもつていろいろ聞かれたことであります。その中に、組合費を徴収しておるかどうかという質問があつた。これに対して三箇所だけ――ほかではなかつたが、三箇所だけが、はい、組合費を納めております。幾ら納めておる。あるところでは月三百円、あるところでは八百円、あるところでは千二百円、まつたくそろつていませんが、そろわないはずだ。実際はその組合は徴収しておらない。全部金を集めてやつておるからそういう必要がない。けれどもたまたまそういう答えが三箇所あつた。これは組合費を徴収してやつておるのだから、一体化した企業組合ではない。これが否認の第二の重要なる原因になつております。それで驚いて私調べましたが、申し上げました通り、そういう事実はありません。そこでその組合理事長の間瀬という人を同行して半田税務署に参りまして、所得税係長に会つてその話をして、間瀬君がこういう事案でございますからと言つて弁解にかかりますと、その係長の態度たるや実に驚くべきものでありまして、何ら弁解を頭から聞かない。そうして、君がつべこべと抗弁するなら、君の組合は永久に否認するぞ、いたけ高になつて、顔をまつ赤にして叱りつけておる。これでは魚屋さんには返事ができません。黙つてしまつた。そういう状態であります。この二つの原因でもつて、このりつぱな組合否認になつておるのであります。私はこの事実を見て帰りまして、署長に面会を求めましたが、あいにく署長不在で面会できません。そこで、詳細にその事実と、私の調べた結果を書類にいたしまして、署長のところに送りまして、反省を求めました。そうすると、その関係であつたかどうか、わずか二箇月ばかりの後係長――涌井という人でありますが、これは間もなく一週間か十日あと他に転任されました。それでは組合に対する否認の処置は何とかしていただきたい、こういうお願いをしたのでありますが、そのようにはできない。なぜできないか、もう本省の方に否認の報告済みであるから、いまさらどうするこどもできないということで、今日に至るまでそのままになつておる。全国に現在千五百の否認された組合があると承つておりますが、私はその中には、この程度のものが非常に多いという事実を申し上げたいのであります。なおそのほかのこうした実に非常識きわまる、これが法人格を持つておるかいないか、ほんとうの仕事をしておるかいないか、そういう判定の基礎になるべきものではない、実にくだらないことが取上げられて、そしておれはどこでこの企業組合をつぶして来たのだということが、税務署の係長級の方の自慢話の一つにされておる状態であります。こういう調査やり方によつての報告が国税庁にどれだけ山ほど積まれておりましても、私は組合否認する材料として何らの価値のないものと確信しておる次第であります。これに対する反証、実例がもしも皆さんの御審議の上に何らかの御参考になるということでございますれば、全日本企業組合連盟は、いつでもこれをとりまとめまして、提出する用意があるということを申し上げておきます。
  88. 西村直己

    西村(直)委員 一言、あなたの御発言で、私の方でお伺いというか、あるいはお取消しいただくかもしれませんが、私はこれは税務官吏のために嘆くものでありますが、今の企業組合に対して、社会党がつくつたものであるからどうだというお言葉が大きな原因としてあつたようでありますが、それに対しましては、御責任をおとりになりますか。
  89. 荒谷宗二

    荒谷参考人 とれます。
  90. 西村直己

    西村(直)委員 それでは、事実をひとつお述べいただきたいと思います。
  91. 荒谷宗二

    荒谷参考人 それではお答えいたします。そうした言葉は、今まで各所の税務署から、調査の際、または企業組合員が申告その他の関係で参りました際に、税務署員から聞いておることでございますが、直接責任をもつてその名前並びに税務署を申し上げますならば、これは名古屋の東税務署で、その発言をいたしました人は青木という所得税の当時の係長、後に資料係長になりました、今は瀬戸へ転任いたしました、その人でありまして、その発言されました時期は、昭和二十五年の十月であります。このころにこういう発言が、しかも二、三回にわたつて企業組合に対して発せられておる。だがこれはほんの一例でありまして、その他の税務署におきましても、その当時においては――このごろはあまりそういうことはありませんが、その二十五年から二十六年の当時におきましては、各所においてあつたということを責任を持つて申し上げておきます。
  92. 奧村又十郎

    奧村委員長 共栄企業組合東京支部長赤岩勝美君から簡単に再陳述があります。
  93. 赤岩勝美

    ○赤岩参考人 特殊の組合だというお話でございますが、その点だけを申し上げておきます。二十四年に協同組合法をつくられましたときに、企業組合に対しては、新しい経営体ということの規定の中に、そういうふうになつておるのでありますが、それをやつている、こうお考えなさつていいのであります。包括的であり、このことによつて従来官庁の所管によつて分割されがちであつた業種的な隔たりを取除いて、異業種間の組織交流をもできるようにした、こういうことがいわれております。これは昭和二十四年五月七日の中小企業協同組合委員会での公務員の説明でございます。そういうところに私たちの考えを盛つているということを答えておきたいと思います。
  94. 奧村又十郎

    奧村委員長 以上をもつて本日予定しておりました参考人の方々の御意見は全部拝聴いたしました。  この際委員長よりちよつとごあいさつ申し上げます。参考人の方々におかれましては、御多用中にもかかわらず、わざわざ御出席くだされ、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の両案につきまして、有益なる御意見を開陳していただきましたことを、委員一同にかわり厚くお礼を申し上げます。  次にただいま議題となつておりまする所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の両案に関しまして、政府当局に質疑を行いたいと思いますが、この際主税局長及び国税庁長官がお見えになつておりますから、懇談の形をもつて議事を進めたいと思います。御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 奧村又十郎

    奧村委員長 御異議なしと認めまして、これよりただちに懇談会に入ります。      ――――◇―――――     〔午後三時二十五分懇談会に入る〕     〔午後四時二十九分懇談会を終る〕      ――――◇―――――
  96. 奧村又十郎

    奧村委員長 以上をもちまして、懇談会を終ります。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十分散会