○大槻
説明員 開拓者の離農して行く数はどうか、
状況はどうかという御質問に対しましては、二十六年度末までに約二十万八千の入植者があつたわけでございますが、これが現在十四万五千戸まで減
つておりまして、約六万二千戸ばかり離農しておるのでありますが、この離農は、開拓の初期時代の二十一年、二十二年の入植者に非常に多くあつたわけでございます。この離農した原因を見ますると、大体病弱者、それから転業者が非常に多くなりまして、
経済情勢がいろいろかわ
つて来まして、以前に工場なり商業なりをや
つていた人たちが元の職業に
帰つたというのが非常に多いように
なつております。
それから
駐留軍の
関係の問題でありますが、二十七年度には、北海道四地区と内地三地区が
駐留軍の方に接収されるということが
決定いたしまして、その
関係として二百四戸が離農して、新たに別の開拓地へ入ることに
なつております。これにつきましては、一定の基準によりまして、その今までおりました開拓地にいろいろ投資した額、あるいはそれによ
つて損害をこうむる額、こういうようなものを計算いたしまして、その額を
補償することに
なつております。それでこの開拓者資金をその人たちに貸しておるわけでございますが、この二百四戸に対しましては、総額四百八十万円くらい貸しておる勘定に
なつております。これにつきましては、その一方離農して出て行く
補償金のうちから一応返していただく。そうして新たに新しい土地へ入りましたならば、再出発といたしまして、新しい入植者として新たな
貸付金を始めて行く。そうして、そこで経営の成り立つようにや
つて行きたい、こういう
方針で進んでおるのであります。それからのこの資金のうちに、物で貸しておるものがあるわけでございますが、これは昭和二十三年から実施いたしておりまして、その当時物の、特に農具あたりの入手が困難であつたこと、あるいは粗悪品がありましたので、こういうようなものを握らせないように、また確実についものを、握らすとこういうで、貸付額の約半分につきまして、物を引当てにこれを貸すことにいたしたのであります。それでこの物は、開拓者各
個人が選定いたしまして、自分の地方で買うもの、あるいは中央に全開連というものがありますが、この方まで持
つて行きまして買いつけるもの、これはもつぱら自主的にわけまして、その
希望によ
つて、そういう
方法をとらしておるのでございます。現在におきましては、これは非常に円滑に行われておるような
状況でございます。それから生活の問題につきましては、開拓者の入りましたときに、そこの主たる経営者が病気をいたしましたとか、あるいはまた外地から主人公が帰
つていないのにその家族が入植しておるというようなものがありますので、そういう生活の困窮しておる方々には、生活援護の
方法で相当出していただいておるのが現状でございます。それからもう一つ開拓者には、この資金のほかに、開拓者が自主的に行
つております信用基金
制度というのがございます。この開拓者資金は、大体入植三年間に一定の全額を貸し付けますので、それ以後に今後貸付を受けなれなく
なつた人たちが、みずから一定の金額を拠出いたしまして、それを積み立てまして、その信用で農林中金から金を借りる。それで開拓者自体が積み立てました約十倍
程度のものを現在借りているような
状況でございます。これは農林中金の窓口で貸すことになります。それから開拓者資金の国で行
つておりますものは、全国に六つの農地事務局と北海道庁、こういうのがありまして、この方から直接に貸しております。大体そういうことであります。