○
渡辺(喜)
政府委員 中小法人に対する法人税の
税率を下げたらよいではないかという御意見は、私は
一つの御
議論としては、確かに成り立ち得ると思
つております。よその国の事例はあげてもしようがないかもしれませんが、アメリカでは中小法人に対して
税率を少し下げております。ただ法人税の性格に
一つ問題があるのでございます。現在の日本の法人税は、シヤウプの勧告によ
つてできた法人税でありまして、法人として課税はしておるが、実際は個人に課税しておると同じつもりである。それの表わし方としましては、配当に対して二割五分控除しておるわけでございます。この関連からいたしますと、中小企業、大きな企業
といつても、結局その裏におる株主に対する課税の
関係でございますから、そこに区別する
理由があるかないか。大きな会社であ
つても小さな株主がたくさんいるではないかというので、別な
議論が出て来るのではないかというふうに思います。ただ、現在の法人税の
制度がこれでよいのだろうか。それは何
といつても現在の四二%の
税率は、私も決して安い
税率とは思
つておりません。できれば全体として引下げたい
税率だと思
つております。
大蔵大臣もそういう御意見のようですが、ただ財政全体の
関係からして、なかなか下げにくいというのが現状でございます。従いまして、いろいろな
関係から考えて参りますと、あるいは法人税というものの姿は、昔の法人税のように、個人と法人とは別だ、法人は法人に対する課税があ
つて、個人は個人で別に課税があるのだという姿の方が、かえ
つて日本の実情に合うのではないかという考え方も、私はあり得るのではないかと思
つております。そういうふうに、法人税が個人と独立したものだということになると、また大きな法人、小さい法人という別な考え方がそこに出て来てよいじやないかと考えております。この問題は、今すぐの結論としましては、私は今回提出した
程度の
改正案だと思
つておりますが、将来の問題としましては、さらに検討を重ねて行くべき問題だと思
つております。
それから超過
所得税の問題でありますが、確かに
一つの考え方をして、御説の点は私も考えられると思います。ただこういう点をひとつお考え願いたいと思いますのは、最近の景気の動きを見て参りますと、たとえば綿紡が非常によかつた時代がございます。それから鉄のよかつた時代がございます。その前に貿易商社が非常によかつた時代がございますし、紙パルプが非常によかつた時代もある。現在はそれがみなかなり赤字になるようなものもあれば、大体ノーマルな姿に帰
つて最近は景気が別の業種にかわ
つて来ている。ずつと見て参りますと、特別なばかもうけをしておりますのは、せいぜい一年か、長くて一年半、そういうふうで、結局あとはならされてしまう。長い目で見ますと、
業者の方が特に大もうけしたかどうかは疑問であるという感じもあるのじやないかと思
つております。従いまして、こういう時代において超過
所得税をつくりますと、よかつた時代にはうんと
税金で持
つて行かれてしまつた、悪い時代にはどうなるか、現在は、法人税ですと繰越し欠損の
制度などがありますが、超過
所得税の場合はなかなかそういう
制度もつくりにくいだろう。そうしますと、全体としての企業がよくな
つて行くとか、あるいはよく
なつたのが相当長続きするのですと、超過
所得税も、われわれの目から見てですが、相当魅力があると思
つております。しかし、その業種がよい時代は、大体一年くらいで去
つてしま
つて、あとになると、今度は損失繰りもどしで、逆に
政府から金を返してもらわなければならぬ時代が来る。そういう時代において、はたして超過
所得税がよかろうか、実は私はこの点については現在のところでは消極的に考えております。