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1952-12-13 第15回国会 衆議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十三日(土曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 奥村 又十郎君    理事 川野 芳滿君 理事 松尾トシ子君    理事 佐藤觀次郎君       上塚  司君    大泉 寛三君       小山 長規君    宮幡  靖君       三和 精一君    小川 半次君       加藤 高藏君    中崎  敏君       坊  秀男君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         国税庁長官   高橋  衞君         水産庁長官   塩見友之助君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    泉 美之松君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    塩崎  潤君         農林事務官         (水産庁生産部         長)      永野  護君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁船保険課長) 伊藤  茂君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十二月十二日  日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限の  延期に関する法律案内閣提出第二二号)  中小漁業融資保証保険特別会計法案内閣提出  第二三号) 同月十一日  勤労所得税軽減等に関する請願熊本虎三君紹  介)(第六六〇号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第七一三号)  揮発油税軽減に関する請願大上司紹介)  (第六六一号)  同(平澤長吉紹介)(第七一六号)  同(楠山義太郎紹介)(第七一七号)  同(水谷昇紹介)(第七一八号)  同(大石武一紹介)(第七一九号)  技術使用料等免税期間延長に関する請願(宮  幡靖紹介)(第六六二号)  生出村地内に国立たばこ試験場設置請願(内  海安吉紹介)(第七一四号)  清涼飲料及びし好飲料に対する物品税撤廃の請  願(塚田十一郎紹介)(第七二〇号)  煙火類に対する物品税撤廃請願山花秀雄君  紹介)(第七二一号)  飾物等に対する物品税撤廃等請願西村直己  君紹介)(第七二二号)  酒税引下げに関する請願外百四十件(松山義雄  君紹介)(第七二三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限の  延期に関する法律案内閣提出第二二号)  中小漁業融資保証保険特別会計法案内閣提出  第二三号)  昭和二十八年分所得税臨時特例等に関する法  律案内閣提出第四号)  漁船保険特別会計における漁船保険事業に  ついて生じた損失を補てんするための一般会計  からする繰入金に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第九号)  漁船保険特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一一号)     —————————————
  2. 奧村又十郎

    奥村委員長 これより会議を開きます。  昨十二日本委員会に付託に相なりました日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律案及び中小漁業融資保証保険特別会計法案の両案を一括議題といたしまして、まず政府当局より提案趣旨の説明を聴取いたします。大蔵政務次官愛知揆一君。     —————————————
  3. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま議題となりました日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律案及び中小漁業融資保証保険特別会計法案の二法案について、提案理由を御説明申し上げます。  政府は、昭和二十五年三月三十日におきまして、日本国有鉄道に対して収入財源の不足を補うため、三十五億五千二百三十六万三千円を貸付金として貸し付けたのでありますが、その償還期限につきましては、当初昭和二十八年三月一日と定められたのでありますが、その後日本国有鉄道財政状況より見ますと、これを当初の償還期限までに回収し得る見込みが立たないこととなりましたので、その償還期限昭和三十一年三月一日まで延期しようとするものであります。  次に、中小漁業融資保証保険特別会計法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  今回政府は、中小漁業者漁業経営に必要な資金の融通を円滑にするため、中小漁業者金融機関から貸付を受ける場合において、漁業信用基金協会がその債務を保証し、かつその保証債務について政府保険を行う制度を確立することを目的といたしまして、別途今国会に中小漁業融資保証法案提出いたしまして、御審議を願うことになつているのでありますが、この中小漁業融資保証法を実施することとなる場合には、保険経理状況を明確にするため、一般会計と区分して、新たに中小漁業融資保証保険特別会計を設けることが適当と考え、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の内容の概略について申し上げますと、この会計におきましては、一般会計からの繰入金に相当する金額をもつてその基金とし、保険料政府保険金の支払いにより漁業信用基金協会に代位した求償権に基く回収金一般会計からの繰入金及び附属雑収入等をもつて歳入とし、保険金委託業務についての委託手数料過誤納保険料返還金事務取扱費その他の諸費をもつて歳出とすることとし、その他、この会計の予算及び決算の作成並びにその提出に関する手続等特別会計に必要な事項を規定しようとするものであります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。     —————————————
  4. 奧村又十郎

    奥村委員長 次に、昭和二十八年分所得税臨時特例等に関する法律案漁船保険特別会計における漁船保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案及び漁船保険特別会計法の一部を改正する法律案の三法律案一括議題といたしまして、前会に引続き質疑を継続いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。大泉寛三君。
  5. 大泉寛三

    大泉委員 所得税法特例に関し、愛知政務次官がおいでになつたので、お伺いいたします。  農家超過供出所得に関して免税されることは、私は、税制上から考えてもこの特例はやむを得ないと思うのでありますが、現在の税制度から申して不合理な点がありはしないか。こういうことは農業政策の一環として、あるいは食糧政策の上から農家供出奨励のためにやるならば、むしろこれは奨励金、あるいは交付金というような名称においてなすべきであつて税制上にこれを結びつけてやることはどうもあんまりぴんと来ない。これに対して、臨時特例であるからやむを得ないが、政府としてはどんな考えを持つてこれに対処せられるか。党籍のない大蔵大臣を補佐されている愛知政務次官の御意見を一つ伺いたい。
  6. 愛知揆一

    愛知政府委員 超過供出に対する課税減免の問題でございまするが、これは御承知通り二十六年度におきまして、当時の食糧供出等事情から申しまして——税体系としては、率直に申しまして、財政当局としては反対せざるを得ないと考えたのでございます。それと供出関係米穀政策と申しますか、食糧政策と申しまするか、その方との振合いから申しまして、考え得る最大限度財政当局としての譲歩ということで、臨時暫定措置として、税制体系からいつて好ましくないことでありますが、超過供出についての免税ということについては、政府としてもやむを得ない措置として承知をいたしたわけであります。この措置を今後においても続けるかどうかということにつきましては、御案内の通り現在の食糧事情、あるいは供出制度関係等から申しまして、二十六年度と事情があまりかわつておらないという点から申しまして、もしどうしても食糧政策上の関係から引続いてこの制度をさらに一年間延長するということになりますれば、私は昨年度について申し上げました通り、やはり消極的に賛成せざるを得ないかと考えておる次第でございまして、私どもとしては、あくまでも臨時暫定的のやむを得ざる措置であるというふうに考えております。将来の問題といたしましては、これも申すまでもございませんが、ただ一つ残つておるところの統制物資でもございますので、それらとの関係において、事情が許せばこういう供出制度それ自体が改善されるように希望しておりまするし、従つてまたそういつたような場合においては、こういう臨時応急措置というものもなくなることを私どもとしては期待しておるわけであります。
  7. 大泉寛三

    大泉委員 現在の所得税法には幾多の改正すべきところがあると思うのでありますが、農家供出米の税の減免のごときは、生産意欲を発揚せしめるために非常によいことと思うのであります。そうするならば、やはりこれは農民に限定せずに、一般産業に必要なる場合にはこれを適用したならば、一般産業生産が増加し、あるいは勤労者生産意欲がきわめて発揚されるのではないか。必要に応じてこうした超過供出と同じような勤労超過に対する特例を設けるならば、現在非常に困つているような物資生産が立ちどころに改善されるのではないかと思うのでありますが、あくまでもこれは米だけに限定されるか。あるいはまた必要に応じてこうした考えを他に及ぼすということは考えていないかどうかということを、お尋ねいたします。
  8. 愛知揆一

    愛知政府委員 先ほど申しました通り、この米の超過供出の問題は、根本的には米に関してだけ供出制度という統制措置が残つており、その供出をさらに円滑にするために、税制上やむを得ざる措置として消極的に御賛成申し上げるというような立場でございますので、他に供出制度というものがございませんのみならず、ただいまお話のような点につきましては、研究問題かとは思いますけれども、ただいまのそういうような線で他の物資についても考えるということは、私どもとしては現在のところは持つていない次第でございます。
  9. 大泉寛三

    大泉委員 主税局長農業所得決定についてお尋ねいたします。供出米価格各地とも等級によつてきめられるのでありますが、その価格が一定しておる。価格が一定しておるから、課税もその数量に応じて査定されるでありましよう。しかし農業もやはり一つの企業である以上は、生産原価というものは場所によつていろいろ違うわけでありますが、これはやはり画一的に坂扱つているのですか。あるいはまたその地方、あるいはその生活程度の高いとか低いとかいうことによつて区別しておられるのか。
  10. 平田敬一郎

    平田政府委員 先般も申し上げましたように、所得計算最大の理想は、各所得者ごと収入を調べて、経費を引いて計算する、これが本来の所得税のあるべき姿でございます。しかしながら農家方々の場合にはなかなかそういうことはできませんので、青色申告をお出しになつている方につきましては、そのような方法ができるわけでございますが、その他の方々につきましては困難でございますので、それぞれ各地の税務署におきまして、でき得る限りその地域等を細分いたしまして、町村ごとくらいに詳しく標準となるべきもの選んで、そして収入と支出との経費状況を調べて、それを元にいたしまして、米でございますと、一石当り実収幾らであるか、それに対して所得幾らであるか。あるいは標準率というようなものをつくりまして、これをあてはめて各農家所得計算する、こういう方法にいたしているわけでございます。従いまして、御指摘通り各地事情を十分考慮いたしまして、それぞれ実情に応じました申告査定をするように努力をいたしておる次第であります。
  11. 大泉寛三

    大泉委員 それからまた愛知さんにお伺いいたします。所得の低額な者に対しては税率を引下げようというのでありますが、もともと税金を出していない人、あるいはこの改正によつてかえつて税率の高い部分に入れられたというような人々は、結局社会政策的な所得税税率引下げによつては、助かる人も助からない人も出て来るわけでありまして、こういう点は一般物価あるいは通貨の動きによつて見ると、あまりにも偏狭に過ぎているのではないか。むしろ私は税制においては、社会政策的な税率の累進的な措置というものは考えるとしても、大蔵省徴税をあくまでも一本にする。財産から生ずる所得は別としてもいいが、勤労所得は大小みんな税制を単一化するということが、税が複雑であることを防ぐ点からも、また税制の整備の点から見ても、必要ではないかと思う。また社会政策的な措置が必要であつたならば、国民全体が同じ生活のできるようにするならば、これは厚生省あたり生活困窮者に対して扶助金とか補助金を交付して、大蔵省は税は同じにとる方がいいというように考えるが、これに対しては各省がそれぞれ社会政策的な立場においてかげんするということが、税の実質上の成績からいつて政府の期待するような、あるいはまた国家が期待するようには及ばないんじやないか、かように思うのであります。政府はどんな考えを持つていらつしやいますか。
  12. 愛知揆一

    愛知政府委員 税制を単純化するということは、納税者の側から申しましても、徴税当局からいいましても、非常にけつこうなことだと思うのでありますが、ただ御承知のように、特に終戦後におきまして日本国民所得全体が非常に分散し、かつ零細化した関係上、現在の財政需要を満たしますためには、たとえば一率もしくはもつと簡単な税率をつくるということになりますと、税収入に非常な響きを来しまして、これが減収をするということになります。あるいは単一もしくはそれに準ずる税率が非常に高くなつて納税者、特に小額所得者負担に耐えられないということになろうかと思うのでありまして、大泉さんの御意見は御意見として研究に値するものとは思いますが、少くとも現状においてただちにこれを実現するということは、私はほとんど不可能ではなかろうかと考える次第でございます。
  13. 大泉寛三

    大泉委員 税はとれない人からとろうとしても無理な話で、どうしても出せる人からとるのが当然でありますが、この間主税局長が、政費国民最低生活の一部であるということを何かの例をとつて言われましたけれども、私もそう思います。やはり税の負担もできない、また生活援護を受けておるというような人々政治の恩沢に浴して、そうして最低生活を営めるようにするのも、やはり政治最低の線であると私は思います。そういうような立場から、勤労者をしてやはりますます勤労意欲を増強せしめ、そうして税の負担を喜んでさせるというようなことは、やはり富める場合ばかりではなく、貧の場合にも、一般考えて私はしかるべきであると思う。米の供出意欲を増強するということは、これは好結果が得られているからやはり今年度もそういう措置をとられるのであつて一般産業においてもこれを施して何ら悪くはない、いわゆる国民の好感のみを買わんがための税制というものはやめるべきじやないか、こういうふうに私は思うのであります。そこで今政務次官の御意見で、そういう意見意見として聞く。今政府として考えられないというのでありますから、やむを得ませんが、そこでもう一つお尋ねしないのは、今度富裕税を廃止するというときにあたつては、あまり意見にもならないかもしれませんけれども、現在の富裕税の制定せられたのは二十五年であろうと思いますけれども、その後不動産を中心として、あるいは有価証券その他の財産は非常に値上りをしておる、これに対して値上り時価査定をもつて課税しておられるのか、あるいはいわゆる値上りによつて課税されれば、税率引上げと同じ結果になつて来るのでありますが、これはどういう処置をとりつておられるか。
  14. 平田敬一郎

    平田政府委員 財産を評価して課税します税といたしましては、国税では今御指摘富裕税相続税、それから地方税では固定資産税、この三つがございます。そういたしまして富裕税は毎年十二月三十一日現在の時価課税する、相続税相続が開始いたしましたときの時価課税する、固定資産税は毎年一月一日の時価課税する、こういうことにいたしまして、いずれも不動産でございますれば、不動産のそのときの時価を評価いたしまして、それぞれ適正な課税をするということを建前といたしております。従いまして値上りになりますれば、当然上つた分査定いたしまして、評価して課税をすることも考えなければならないと思つております。ただしよつちゆう動いておりますので、実際問題といたしましては、あるときに標準となるべきものを調べまして、一種の標準価格というものを設けておりまして、ある程度動きましたときにはそれを改訂してそれに適用して実情に応ずるようにするということに実際はいたしておりますが、建前は今申し上げました通りでございまして、御指摘のように、値上りをいたしますと当然評価をそれだけかえなければならないということに相なるかと思います。
  15. 奧村又十郎

    奥村委員長 先般宮幡委員より漁船拿捕状況の御質疑があり、それに対しての計数のまとまりができたもようでありますから、まずその御答弁を政府委員からいたさせます。
  16. 川野芳滿

    川野委員 関連して税の問題について二点だけ……。
  17. 奧村又十郎

    奥村委員長 それでは関連質問を先に。
  18. 川野芳滿

    川野委員 一昨日でしたか、同僚委員からいろいろ農家課税問題について真剣な質疑がなされたわけであります。そのとき東畑長官は、米価決定基礎として農家自家労力を四百幾ら、早場米あるいは超過供出を合せます場合は、五百何ぼの自家労力経費として認めた、こういうお話が実はなされたわけでありますが、そういたしますと、その四百幾らあるいは五百幾ら自家労力というものは、当然税金対象から消える、こう考えますが、そういうふうな計算のもとに農家に対しても課税をされておりますか、この点をお尋ねしてみたいと存じます。
  19. 平田敬一郎

    平田政府委員 先般東畑長官が話されましたのは、米なら米について生産費調査をしておる、現在の米価は御承知通りパリテイ計算適正価格を求めることになつておるわけでありますが、同時に生産費調査もやる。その際におきまして農家自家労働——これはほかに金を払うわけでございませんので、一体幾らそれを生産費計算において見るか、そこに非常にむずかしい問題があつて、それを最近今御指摘のような数字で一応計算しておる。しかしこれはどう評価するか、問題が大きいので、いまだ生産費調査につきましては自信のあるものが出てないというようなお話のように私承つたのであります。課税におきましては、本人の自家労賃は当然農業所得の中に含まれておるわけでございます。これは自分所得の一部でございますから、従つて所得計算におきましては、自家労賃を云々するという問題はございません。生産のために必要な経費であつて他に払つたものを、収入から差引きまして、所得計算するということに相なる次第でございます。
  20. 川野芳滿

    川野委員 実はそこが問題でございますが、今日農家経済が非常に困つておる。こういう理由税金が高いということにもあるわけであります。その自家労力経費の方に認めていただくということになるならば、税金が非常に少くなるのであります。法人等におきましては、当然経費としてお認めになつているという点から考えますと、農家自家労力というものも当然ある程度経費としてお認めになつて課税対象にならないようにする、こういうことが私は必要でなかろうかと考えまするが、これについての局長のお考え伺つてみたいと思います。
  21. 平田敬一郎

    平田政府委員 農家自家労賃というのは、私は農家所得それ自体であると思うのでございますが、勤労所得者の場合も、よそから月給をもらいます場合は、その月給に対して所得税がかかつている。農家の場合は、自分自分月給を払うと見るかどうかわかりませんが、とにかく農業所得というものはそういうものであります。従いまして一部の議論では、そういう農家所得などは、これは中小商工業者の場合も同様でございますが、こういう事業者所得の中には勤労所得的要素があるから、そういう問題を考えたらどうかという議論があることは、先般からたびたび議論している次第でございまして、課税計算経費として落すということは、どうも私ども所得税課税の上から行きましていかがかと思う次第でございます。
  22. 川野芳滿

    川野委員 私の質問意味も、結局はそこにあるわけであります。勤労所得税におきましては当然勤労控除、こういうものがあるという点等から考えますると、やはり農家経済自家労力が大部分を占めているわけでありますので、こういう状態については、当然ある部分勤労控除にふさわしいところの税率をそこに加える、こういう点が私は必要じやなかろうかと考えて実は質問をいたしたわけであります。さらに中小企業者にいたしましてもしかりでございます。中小業者の今日困つているゆえんのものは、金融面税金の面ということになつておりまするが、特に税金の面がひどいのであります。この税金の面については、これまた自家労力というものをある程度認めなつたところの税制措置をおとりになるということになりますと、相当に課税の面においてゆるやかな面が出て来ることになつて、今日の中小業者はこの苛酷な実情から離脱ができる、こういうふうに私はなると考えますので、今後こういう面について御研究をされて、少くともこういう面に対する課税をある程度ゆるやかにするというお考えはないものでありまするか。重ねてお尋ねしてみたいと存じます。
  23. 平田敬一郎

    平田政府委員 この問題はあらためて研究しているわけではなくて、私ども多年実は研究いたしております。ただ最近の実情からいたしまして、むしろ一般の私どもに対する不平は、どつちかと申しますと、勤労所得者の方がむしろ実際において重くなつている、一割五分の控除では低い、もつと換算を多くしろ、こういう声が実際の声としては相当強い。どうも私どもそういう声があるということは無視できない重大な事実だと思つているのでございます。そういうときでございますので、この問題をこの際理論的に追究して解決するのは実情に反するおそれがある。そういう点を考えまして、この問題は将来の理論的な問題として実は残している次第でございます。決してその問題を研究いたしていぬわけではございません。と申しますのは、結局そういう方々勤労控除認めますと、それでは一般勤労者の場合一割五分でいいか、全部今の換算を上げて控除認めますと、中以下の所得者の大部分は今日では勤労所得者農民の方であるか、あるいは中小営業者であるかで、そのほかの資産所得というものはわずかしかございません。従いましてそれで税が減るということは、結局基礎控除なり扶養控除を上げるのと実は大差がない、そういう問題がございまするので、この問題はもう少し所得申告なり調査状況等と関連しまして、将来の問題として残しておくのがいいのじやないか、こういう意味で残しているわけでございます。御議論のような点が問題としてありますことは十分了承いたしておるわけでございまして、なお今後におきましても、もちろん検討してみたいと思つておりますが、今の段階ではそのように考えている次第でございます。  なおちよつとつけ加えて、前合田委員から——今お見えになりませんが、御要求がありまして、ことしの税法改正を来年そのまま適用した場合に、農家所得税幾ら減るかということでございましたので、それをちよつと印刷が間に合いません関係上、ここで申し上げさしていただきたいのでございます。ことしの農業所得課税見込みでは、先般申し上げましたように百七十八億六千百万円、それに対しまして今提案しておりますような基礎控除引上げ扶養控除引上げ等を行いますと、改正後は百六億五百万円、差引七十二億五千六百万円程度課税額で減少するということになります。それからもう一つ、先般簡単にうつな数字を申し上げておきましたが、よく計算しましたところ、普通の供米代金を免税したらどうなるかという数字でございますが、これは今申し上げましたように、ことしに適用いたしますと百七十八億六千百万円の税額が四十五億四千六百万円だけ残りまして、免税措置によります減は百三十三億千五百万円。前会は概算で百三十億と申し上げましたが、そういう数字になるようでございます。なお農家納税者が百二十三万四千人でございますが、供米代金を全部除きますと納税者が三十六万七千人残りまして、差引八十六万七千人くらいは農家免税になつてしまう。こういうことになるのでございます。ただ、この歳入の方は厳密な計算でございますが、納税戸数の方は一応概算で出したものであることを御了承願いたいと思います。これは前会から正確な数字を申し上げることを留保いたしましたので、この機会にはつきり申し上げておきたいと思います。
  24. 川野芳滿

    川野委員 勤労所得者基礎控除引上げという問題については、私は決して異議はないのであります。できるだけ早目に御実行になるように希望するわけであります。さらにこの中小業者以下の問題でありますが、こういう方々は御承知のようにほとんど申告所得税者である。この申告所得税分については、納税ができないために現在予定収入が赤字になつている。こういう実情から考えましても、こういう評価についていかに苛斂誅求な課税が行われているか想像ができるのであります。そこでただいま申しました自家労力でありますが、本人はこれはやむを得ないといたしましても、家族がこれに従事する場合等につきましては、これはある程度経費というようなお考えのもとに課税対象からはずしていただく、こういうことにするならばある程度実際に沿うところの課税ができるのでなかろうかと私は考えるのでございますが、ここに私は平田さんと議論をしようとは考えませんが、どうかひとつもう少しそういう面については、実際を御研究を願いたい。実際面において今日税金が払えていない。課税以下に実は相当な赤字を生み出している。この現下の実情から考えますと、実情に沿わないところの課税を今日行つている。税務当局に言わせますと、課税は公平であるというふうにおつしやいますが、実際面において、中小業者あるいは農家においてもしかりであります。帳簿が不完全でございますので、従つて調査に非常な困難がある関係でもございますが、実際面において、非常に調査困難のために実際的な調査が行われずして、見込み課税をされているというのが現下の実情であります。こういう点から考えましても、自家労力という面については相当に御研究が願いたい。御本人の自家労力という面については、勤労所得税等の関係があつてなかなか至難であるというお考えであるならば、家族の自家労力に対しましては、相当の御研究を私は願いたい、こういうふうに考えるわけであります。  さらにもう一点お尋ね申し上げてみたいと存じまするが、先般無記名定期預金の制度が実施されたわけであります。これはたんす預金等を正常なルートに引直すために行われたものでありまするが、しかし現在国税局あたりの行動を見ておりますと、銀行に参りまして、銀行をおどしまして、無記名定期預金の発表を迫つておるという事実がございまするが、これについて国税局長官のお考えを承つてみたいと存じます。
  25. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 所得税並びに法人税の調査にあたりまして、金融機関調査をするという問題につきましては、非常に慎重な態度をとつておるのでございまして、特に国税局長、または場合によつては長官の承認を得てやるという建前を堅持いたしておるのでございます。御指摘の銀行をおとしてどうするということはいたしておりません。ただ税の脱税事件、いわゆる査察事件につきましては、これは脱税の嫌疑があり、いわゆる刑事事件といたしまして調査をいたします関係上、令状を持ちまして銀行について調べることが普通の事例でございます。一般調査につきましては特に慎重を期しておりまして、査察の場合におきましても、特に氏名を指示いたしましてこれが慎重を期するので、一般的に全部の帳簿を調べることは絶対にいたしておりません。
  26. 川野芳滿

    川野委員 私ただいま発言申しました問題は査察の事件であります。この事件をやるにあたりまして、もしこれを発表しなければ銀行を告発する、こういうふうにいたけだかにおとしてやつた、こういう現実が世間に伝わりますと、無記名定期預金の制度は実際的に何も役立たない、こういうようなことがしきりに行われている、こういう現実の実情でございます。こういう場合におきましても、どうぞ慎重な態度で臨んでいただかなければならぬと思うわけであります。
  27. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 査察の場合におきましても、仮装名儀を使う場合もございますので、仮装名儀と思われるものを呈示いたしまして、それについての調査をするというふうに限定いたしております。決して全般的に帳簿を見せていただきまして、全部を調べるということは絶対にいたしておりません。
  28. 奧村又十郎

    奥村委員長 宮幡靖君。
  29. 宮幡靖

    宮幡委員 大分日数も経過しましたが、大蔵大臣に対する税の総括質問を途中で休んだ形になつております。そこで野党の方からまだまだという声もありますが、一応会期と見合いましてわれわれの委員会税法審議を終るという段階に入りまするにつきましては、あるいは各委員からすでに質疑の中に出た問題があるかもしれませんが、残りの部分を系統的にお伺いいたしたい、こう思うのであります。  所得税と法人税関係のことは、これはもう済んだことと考えたいのでありますが、そこでひとつ相続税の問題、要点を申せば、もう少々基礎控除引上げるという考慮を払つてはどうか、税率は一〇%程度、最高五〇%程度でとどめるべきではなかろうか、こう考えるのであります。御承知のように、相続税は日露戦争後の財政需要を満たすために創設されました古い税でありまして、当時の法律施行にあたりましては人世最大の不幸、いわゆる戸主、家長の死亡によりまして起る課税の機会であるので、極力苛斂誅求にわたらざるように心がける、かようなまことに恵み深き税法の施行をいたしたわけであります。しかるのに今度の大戦のあとにおきましては、いわゆる相続税の偶然性ということが強くなつて参りまして、金持ちのせがれが金持ちになるということは間違いである、むしろかようなものは国家で多額に収納いたしまして、これを通じまして国民全般に分配せらるべきものであるという思想が強くなつ関係で、相続税を最初創設いたしました当時と比べますと、はなはだ高率であります。今いわゆる自己資本の蓄積、日本経済力の回復、産業の合理化等をあわせて考えますならば、今こそかつての日露戦争後におきまして、いわゆる苛斂誅求にわたらざる、しかして必要なるものを、国家に奉仕する意味から進んで出し得るところの相続税に帰るべきだと考えます。従いまして基礎控除は当然引上ぐべきであり、税率も高々五〇%程度にとどむべきであると考えておりますが、この点について大蔵当局はどうお考えになつておりますか。
  30. 平田敬一郎

    平田政府委員 相続税につきましても、二十七年度は大分軽くしましたが御指摘のようにやはりまだどうも重過ぎるのじやないか。従いまして基礎控除が今三十万円でございますが、これをできるだけ引上げたい。少くとも自作農の普通の農家方々で、財産をわけなくても税がかからぬくらいの程度控除額に引上げたいという考えで、目下検討いたしております。それから税率の方につきましていろいろ御意見がありましたが、私どもの今の考え方から行きますと、まん中ごろの税率が少しきついのじやないかと、いろいろ検討いたしておるわけであります。その辺のところはできるだけ緩和をはかりたい。最高税率は一億円を越える場合に七〇%ですが、これをさらに引下げるか引下げないか。これはシヤウプ勧告が実は九〇%といつておりましたのを、今年から七〇%に下げたわけであります。七〇%でございますから、今日のいろいろな国の税率を見ましても、いずれもそれより高い。もちろん日本は貧乏になつてしまつたのでございますから、低いのは当然だと思いますが、しかしやはり農民方々も、勤労者方々も、中小商工業者も、所得税その他で相当の負担をしておられる際でありますから、やはり資産のある人が相続をされる機会には相当の税を負担してもらうことは、全体の税の公平を期する上においていたじ方ないのではあるまいか。もちろん御意見等もございますから、よく検討いたしてみたいと思いますが、一億円を越える部分財産に対しまして七〇%ということで、はたして高いかどうか、まだ私ども結論を得ていないのでございまして、よく研究いたしたいと思います。それだけではなく、ほかの税全体のバランスというものを、所得税の最高税率の場合と同じように、この場合におきましても考えなければならない非常に重要な問題であると考えている次第であります。
  31. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの御答弁はおおむね満足すべきものでありますが、特にその中間の税率の高いことは確かであります。最高一億以上の七〇%というのは、むしろ私は局長の意見に同調いたしたい気持が多分にあるわけであります。今一億以上を七〇%より下げて参りますことは、これはどうも社会環境がはなはだよくない。それよりもいわゆる中産階級とでも申すべき部面の相続によります税に、相当の社会政策的な観念を盛り込んだ税率を御検討いただくことがまずもつて適切である。国の財政事情が充実いたしまして、しかして相続税どもとる必要がないという場合は格別でありますが、現段階においては、必ずしも一億以上の七〇%を軽減しろ、低率にしろという希望ではございません。どうか中間段階を十分御検討くださいまして、適切なる構想が完成するようにお願いいたしておきます。  続いてごく簡単に申しますが、物品税の問題であります。この物品税の個個の件目につきましてはあるいは他の委員から御発言もあつたことと思います。しかし物品税そのものの税の性質を検討してみますと、もともとこれは消費者に転嫁すべき税でありますが、実情におきましては、全部とは申しませんが、大部分もはや陣消費者に転嫁することができなくなつたのであります。そうしますと、もはや物品税は、財政需要関係を除外いたしますれば、撤廃するのが正しいと私ども考える。これにかわるべき税源をどこに求むるかということには、しばらく研究が必要でありましよう。けれども物品税というものが消費者に転嫁できない、こういうことになつて生産負担となりますと、これはまさにコスト高を招来いたしまして、良質低物価の日本の産業方針の根本にも矛盾を来すと思う。そこで来年の構想におきましては、物品税を廃止に近いほど大幅に軽減する、生活必需品のごときは当然無税といたす、かような措置を考慮すべきであろうと思いますが、この点について大蔵省の現在持つている御構想を率直にお話しいただきたいのであります。
  32. 平田敬一郎

    平田政府委員 物品税という税はやつかいて、よく私ども痛感しているのですが、りくつを申しますと、物品税は御承知通り、だれが考えても奢侈品だというものには五〇%ぐらいの高い税率をもつて課税している。ゴルフ道具だとか、ダイヤモンドの指輪というものは五〇%の税率課税いたしております。物の消費の必需性があるか奢侈性があるかをできるだけ公平に考えまして、写真機なら三〇%、蓄音機は同じく三〇%、そういつた調子で順順に、いろいろな物の性質に応じまして、ラジオは一〇%、化粧品は物によりまして、紅だとかおしろいは三〇%ですが、クリームは一〇%、こういうふうに物の種類に応じまして、それぞれ税率に差をつけて課税をいたしておるわけでありまして、一番すそは紙ですが、紙は五%、但し紙の中でも、小学校で使う紙と新聞紙は、これは必需性が強いというので免税している。そういうように、できるだけ物の性質に応じまして税率に段差をつけまして課税いたしておるわけでありまして、趣旨としましてはできる限り必需品的なものに課税しない。課税するとしましても非常に低くする。奢侈性が高くなるに従つて高く課税する。これは実はりくつを申しますと、消費税の理論体系では、理想的な構成を描いている。ただ実際問題としましては、御指摘通りこういうものをつくられる方は、どちらかと申しますと、概して小規模のものが多い。もちろん、たとえば電気冷蔵庫とかいつたものは、相当大きなメーカーがございまして、はつきりしているのがございますが、そうでない、中小の商工業者がつくつておられるものが、どちらかというと基礎物資等に比べまして多い。そこで実際の課税実情から申しますと、今宮幡さんお話のように、状況がよいと税の負担ぐらいは簡単に転嫁できる。ところが景気が悪くなつて少し競争がはげしくなると、自分が税を食つてまでも安売りをする、これが事実としてあることは、私ども了承いたしておるわけでありますが、その辺の実情からいたしまして、物品税というものは、なかなかそう理論通り簡単なものではないということは、十分承知いたしております。ただしからば、二百億くらいございますが、これをやめつばなしでよいかとなりますと、今の財政事情ではなかなかそうは行かない、所得税のなお高いときに、さつき申しました奢侈品の課税をやめてもいいかということになりますると、これはどうも反対される人が、率直に申し上げまして関係の業界以外に多い。それでこの問題をいろいろ検討いたしておりますが、簡単にこれをこうしたらいいというようないい解決案を見出すに、今のところ実は苦心いたしておるのでございます。そこでいつそのこともつと広く浅く課税する間接税にかえてしまつたらどうかという議論もございます。今の日本のり物品税はイギリス式になつておりまして、非常に理論にかなつた行き方を持つております。イギリスの仕入税は大体最高は一〇〇%、最低一六・五%、中間に四つぐらい税率の段階を盛りまして、それぞれものの性質によつてこれを卸売業者の段階で課税しております。そういう行き方をとつておる。日本のはそれに近い。これに対しましてヨーロツパ大陸では、フランスあたりでは生産者の段階で、一二・五%の税率で、食料品を除きまして、ことごとくの物品に課税しておる。その方がもちろん収入がよほど多い。どちらの方のやり方をとるか、これはなかなかむずかしいところでございます。私ども根本的はいろいろ検討する余地が多々残つていると思いますが、さしあたり現在におきまして、そのような根本的なところまで行つてしまうか、あるいは現状に対しましてある程度の修正を加える程度でとどめるか、あるいは財政事情がどうしても許さぬという場合でございますと、改正をあきらめざるを得ない、その辺目下慎重に実は考究中でございまして、よく次の国会までには考えまして、妥当の結論を得るように努めたいと考えておる次第でございます。
  33. 宮幡靖

    宮幡委員 今の御説明は相かわらず巧妙なる言いまわしでありまして、おそらくわれわれの方から抗議を申し込む余地のないほどこれはうまいものであります。しかしながら物品税というものは消費税の形において理想の形態であるという言葉は、これは聞きのがすわけにいかぬのであります。もともと創設いたしました当時は、これは理想的な形であつたと私は認めるにやぶさかでありません。けれども時とともにかわります。経済とともにかわります。従いまして現在ぐらい物品税が不適当な税の体系をなしておるものはないということを私は申し上げる。お話の中にたまたま紙という御指摘がありましたが、百九十八億ぐらいの予算に対しまして三十七、八億ないし四十億ぐらい、それで小学校の生徒用その他のものは免税しておる。なかなか美辞麗句でつづつてありますが、しかしながらとりやすいところからとる税であるということを私は指摘したい。ほんとうに物品税をもつて奢侈的な気持を、あるいは射倖心を押えて行くというような社会的な気持を取入れて税を見ますならば、まだまだもつととるところがあります。そうしてこういう生活必需品、だれでも使う紙などを大きな財源として長くこれを廃止するのを延ばすに至りましては、私は最も不適当な税だと思います。これは議論になりますが、決して私は物品税が現在の税の形におきまして理想的なものだということを認めるわけには参りません。と同時に、またそれじやあこのかわり財源といたしまして、かつて考えました取引高税とは申しませんが、欧州でやつております売上税というようなもの、あるいはアメリカにあります一種の消費税、これは州法によつていろいろ競合もありますので、一概には申されませんが、そういうものも一考すべきだなどという考えを持つていない。ただひたすら現在の物品税は高度の奢侈品に重点を置きまして、その他の生活必需品は全面的に撤廃すべきものだ、これほど悪い税になつておる、こういうことを私は申し上げたい。しかしながらこれは議論をしてもしかたがないでありますから、例の通り巧妙なる言いまわしの物品税の問題は一応拝聴しておきます。  これに関連いたしまして酒税でありますが、これは物品税と同じようなことがいえる。酒税が高いために最高マル公制度を今とつております。これは大きな矛盾であります。酒税は少くとも下級酒——大衆用の酒としてはまず三割くらいの酒税の減税を行いまして、そして最高マル公制度最低マル公制度に引直すことが適切だと思いますが、この点につきましては、税の方面は主税局長さん、マル公の問題は高橋長官からひとつ御所見を伺いたい。これは公式なお答えであるといつて、取上げて振りまわすようなことはありませんので、率直なお考えをお出し願いたいのであります。
  34. 平田敬一郎

    平田政府委員 紙のお話を今申し上げましたが、五%ですか、これは所得税の中で一番低くしている。もちろんこれは必需的性格が強い、こう見ている関係でございます。一部の人は娯楽雑誌等には税をとつてもいいという議論も実はある。しかし今事務用の紙等にもかかつておりますので——これはしかし税としては一番低い税でやつておる。今お話の酒のごときは、同じような率で引直しますと、一五〇%ないし二〇〇%くらいの税になつておる。酒の生産者の価格にしますと、物品税の五%は生産者から庫を出るときの価格に対しまして五%ですから、小売価格にいたしますと三%くらいになる。酒税のごときは実はその五十倍に近い税率になつている。その結果だけでもございませんが、米が需給の関係上非常に削減されまして、酒を減らしました関係もあるのですが、密造が実に横行している。しかしこれも一昨年の引下げで大体一部はよくなりました。しかし依然としまして相当密造が猖獗していることは御承知通りでございますので、これにつきましては、ある程度引下げますと、密造酒のやみ業者がとつていた利潤を国が税の形で取上げる、つまり密造酒を飲まないで普通の酒を飲むようになりますと、そういうことになり得る、そうなりますと、酒のやみ、密造といつた忌まわしい現象が減ると同時に、収入の上におきましてもかえつていいという面もございますので、これは高いのをそのままに放置していかにも相済まぬと思つておりますので、若干の引下げを目下検討しているわけであります。もちろん物品税につきましても、私一つの考え方を申し上げたわけでございまして、今の物品税がそつくりそのままあらゆる意味から申しまして完璧なものだとは考えておりませんが、物品税はそういう考え方でおるということだけ申し上げた次第でございますので、その点御了承願いたいと思う次第でございます。
  35. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 酒の価格につきましては、宮幡さんも御承知通り公定価格は、元来需要に対して供給が不足するという場合において、やみ価格をできるだけ防止して、消費者に負担をかけないという点にあるのでございます。現在酒の原料につきましても相当の制限がございます。これは主として米でございますが、日本食糧事情関係上、いまだとうてい要求に応じ切れない程度のわずかな数量しか酒の原料米として配給できない事情にございますので、やはり最高価格制度をとつておるのでございます。公定価格制度自体の目的から申しまして、最低価格制度というものはちよつといかがかと考えるのでございます。もちろん酒に関しましては、消費者の支払います価格の相当大きな部分が実質上は租税であります。従つてこれが非常に値引きをされて行くということになりますと、業者としては自然税に食い込む、またはその経営自体が破壊されるという問題が起つて来るのでございます。従つてこれは法律的にどうするという問題ではございませんが、私どもといたしましては、やはり公定価格できめられた程度価格でぜひお互いに自粛をして、そう値引きをしないで、またそう高くしないでやつてつていただくようにお願いいたしたいと考えておる次第でございます。
  36. 宮幡靖

    宮幡委員 酒税の問題については私は長官と少し考え方が違う。もちろん需給の均衡がとれない場合に設けた価格制度であるということは、議論のないところであります。しかし御指摘のありました最低マル公制度税金の中に食い込んで売るということ自体を防遇するということで、最良の方法だと私は信じておる。従つて下級酒に対しますものは、主税局長も御考案があるように、相当の酒税の減税を行いまして、そしてその酒の中に食い込みます税の負担を軽くしつつ、それを売りくずさないように、小醸造家あるいは下級醸造家等を保護して行くという時代だろうと思う。これによつて密造の防止もできます。一方高級酒の方は問題ないのであります。別にわくを置く必要はない。どちらかと申しますと、かりに白鷹なりあるいは加茂鶴なり、そういうものを三越や白木屋、その他のデパートへ持つてつて売りますと、一升二千円、三千円で売れるのですから、こういうものを押えておく必要はさらにない。こういうものは売れるなら売れてよろいし。それよりもほんとうに大衆のほしい二級酒と申しますか、そのような方面におきましては減税をいたす、そして経営を無視し、採算を無視した投げ売り等をいたさないように心して行つてこそ、われわれの方で常に心配しております密造酒の防止ということができるのではなかろうかと思うのであります。従いまして、今日ここでこの結論を出すということは無理な話でありまして、われわれの考え方がそういう方向に向つているということも長官お含みの上に、最高マル公というものはとつてしまつた方がいい、そして最低マル公で、税金に食い込んでまでダンピングをやるというような経営、これはおおむね小規模経営でありますが、そういう酒屋の経営を救つてやるということをも考慮に加えられて、どうか御検討いただきたいというのが私の要旨でもります。きようだだちにこの結論を出そうというのではありません。しかし大蔵当局としましては、酒税も若干引下げたいという御希望の御構想であることを承りまして、当面はこれは満足すべきであろう、かように考えている次第であります。  次は、これはごく簡単なことでありますが、世間で非常にやかましていわれておりますので、一応御意見だけ承つておきます。日本が戦争中外国の技術から遅れまして、産業の合理化をし、いよいよもつて日本の良質廉価の商品をつくり、国際社会へ乗り出しまして、経済外交において平和的勝利をかち得なければならない時代となりました。新聞、ラジオ等で報道されております通り、英連邦の首相会議におきましても、まさに日英間の競争ははげしくなつて来るはずであります。ともすれば日本が東南アジア地域におきましても、あるいはその他の日本市場はもちろんのこと、あらゆる地域におきまして英米連繋の資本力、あるいは経済抗争のもとに屈服しなければならないという心配を持つような事態となつて参りました。このときにおきまして、われわれの方はいわゆる良質廉価、低コストの商品をつくり出しましてこの競争に勝ち抜く以外ありません。もちろんプレトン・ウツズ協定を基本といたします以外、それぞれのお互いの不正競争を防止する手段はありませんが、プレトン・ウツズ協定なるものもすでに陳腐いたしましてことによりますと、これも考え直さなければならないような状態になる。ガツトの協定からもイギリスは抜けたいと叫んでいる。つくつた本尊がかつてにやめるというまでの意思がうかがわれます以上、われわれは容易にこれを見のがすことはできません。われわれは進んだ技術を導入いたしまして、これによりまして日本の技術の改善向上、同時に良質廉価の製品をつくり上げることに苦心しなければなりません。その場合におきまして、外国の特許の使用料に対します課税は、本年の四月一日でありましたか、一応その使用料に対しまして一〇%程度課税をすることにいたしましたが、当時の実情は、ただいま私が概要申し述べましたような日本実情から、遅れた日本の設備を動かし出すためにというので、保護的な意味で、当分の間と申しますか、本年の十二月三十一日まで税をかけないことにいたしました。もちろん租税協定等が成立いたしますれば、発生地において課税されましたものは、その所有権者が外地でありますならば、その方において差引き計算されることは理論上当然であります。しかしまだこの租税協定さえもできておりません。イタリアあるいは西ドイツ、イギリス等といつ通商航海条約が完成し、そしてこれに伴います日本との租税協定ができ上るかということは、希望としては申し上げられましても、的確なる意見は出ていない実情でございます。こういうときにおきまして、この十二月三十一日をそのままに過しまして一〇%の課税が行われるようになりますれば、これはむしろ日本の必要なる技術の導入を阻止する制度となると思います。特に今契約をいたしております特許権の使用契約等を見ますと、おおむね日本業者の負担となります。理論的に相手国で引いてくれましても、租税の方式が違います。イギリスのごときは、私も十分調べておるいとまがありませんが、必ずしも発生地課税主義をとつておりません。こういうようなものは、租税協定ができましても、必ずしも差引かれるというようなことは考えられない。アメリカにいたしましても、もしその会社が利益がなかつたなら差引かないという実情であろうと考えます。これらを勘案いたしまして、ぜひともこの際日本の産業の合理化を保護育成する意味におきまして、さらに一箇年程度一〇%課税を免除すべきであると考えておりますが、どういうふうにお考えになつておるか、御意見を承りたいと思います。
  37. 平田敬一郎

    平田政府委員 技術を導入した場合の特許権のロイヤリテイ等に対しましては今年から発生地で課税するという建前にかえました。ただ一般は二〇%課税する。映画のロイヤリテイのごときは、現に課税いたしております。ただしかし日本経済再建に非常に望ましい技術の導入に対するロイヤリテイ等の場合には、税率を一〇%に軽くするというふうにいたしておることは、今お話通りでございます。そういたしましてさらに今までの既契約の分を見ますと、どうも大半が日本で税がかかれば日本の業者の負担だというとりきめをしておる。これをやはりかえてもらわないとどうもぐあいが悪い。かえてもらうまで待とうというので、実は今年十二月三十一日まで待つことにいたしておつたわけであります。大分交渉してもらつたのでありますが、遺憾ながら二重課税の防止協定の条約が少し遅れましたために、どうも交渉がなかなか円滑に行つていないところが事実上多いようであります。従いましてこういうことは、税法がかわつたためにそのようなことになつて日本業者の負担が高くなるというのでは、これまたやや目的に反することになりますので、すでにあるものにつきましては、この際さらに若干の特例措置を設けた方がいいのではないか。つまり二重課税の防止の条約を締結して、発効されて六箇月くらいまでは従来通りしておきまして、その後は原則に従つて税がかかるようにする、こういうふうにした方が適当でないかと考えまして、目下そういうことに関する法律案を準備いたしております。簡単なことでございますので、なるべく早く提案いたしまして、御賛成を得たいと思つておる次第であります。
  38. 宮幡靖

    宮幡委員 政府が御提案の意思のあることを承りまして、これはまことにけつこうだと存じます。仄聞するところによりますと、今年十二月三十一日現在で契約を結んであるものという前提要件がついておるように伺つております。これはもちろん私が聞いたことでありましてそうきまつておるということを申し上げるわけではありません。けれどもそういうふうに聞いておりますと、しからば明年一月一日以後に契約の成立する分はこの恩典に浴しないということになりまして、そこにでこぼこが出て参ります。少くともただいま御説明を受けました租税協定ができた後六箇月間認めるというと、一月一日からその期間経過の間に何かブランクが生ずるということになる。これらは何らか行政措置で補充するとか、いろいろとそれぞれの運用をせられることとは思いますが、どうもこの一月一日以後の契約の分は、この恩典に浴せられないというような矛盾があろうと思います。明年一月一日以後のものは、外国技術の導入をしなくてもよいのだ、極端に言えばこういう意味にもなろうと思います。まだまだ日本は必要な技術を導入する必要があろう。少くとも現在交渉中のもの等もこれによつて打切られることになりましたならば、これははなはだ誤つた措置であろうと思います。もちろん移りかわりのときには一定の期限を定めまして、そこでいろいろ調整するということは当然でありますが、しかし現在まだ必要のもの、交渉中のものが数件あります。これが十二月三十一日までに締結されなかつた場合は、この恩典には浴せないようになろうと思いますが、それは十二月三十一日以前に契約のでき上つたということを前提とせられる御提案の趣旨であるか、そのことをはつきりしていただきたい。もしそういう御意図でちりますれば、その後のものの処置についてお考えおき願いたい。
  39. 平田敬一郎

    平田政府委員 細目については目下検討中でございますが、特例を設けます趣旨は、今申しましたように、既契約の分で税額を日本の業者が負担する。こういう契約があるから、実は私ども非常にその事実を尊重して特例を設ける、今後の分につきましては、そういう契約を結んでもらわないように指導いたしておりまして、大体その方向に行きつつあるようでございます。従つてその方向でできるだけ調整をはかつてもらうことができるのではないかと思つておるのでございます。しかし個別的に何か非常に特別な事情があるものがございますれば、よく事情を調べました上で、結論を下してもよいと思います。
  40. 宮幡靖

    宮幡委員 税法のことは次の機会に譲りまして、水産庁長官がお見えになりましたので、前会の継続の御報告及びそれに関連しました質疑を若干の時間させていただきたいと思います。税法は野党の方もありましようから、私もその際継続させていただきまして本日はこの程度で打切ります。     —————————————
  41. 奧村又十郎

    奥村委員長 水産庁長官から先日の漁船拿捕に関する御報告をいたさせます。
  42. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 最近における漁船の拿捕につきましては、はつきりと拿捕という形になりますものが三件、そのほかいろいろ数字等が新聞などに載ります場合に混淆して出ておりますけれども、それで短かい時間の間に釈放されたものが二件、臨検を受けましたものが十二件というような状態になつております。一件々々についての詳細を御要求のようでございましたが、それにつきましては主管部長の永野生産部長から御説明申し上げることにいたしたいと思います。
  43. 宮幡靖

    宮幡委員 それは資料で出してもらえませんか。
  44. 奧村又十郎

    奥村委員長 月曜ならば資料にして各委員のお手元に配付できると申しております。
  45. 永野護

    ○永野説明員 講和発効後におきまする韓国関係の拿捕その他の事件について御説明申し上げます。まず時日を追いまして説明する方が大よその大勢は御了解願えると思いますので、そういうやり方で申し上げたいと思います。  講和発効直後におきましては、わが国の漁船も韓国の漁船も、韓国近海におきまして非常に平和に操業いたしておつた実情でございます。従いまして一月に宣言されました李承晩宣言に基く実際の行動というようなものは、全然なかつたのでございます。七月に入りまして、これは日韓間の種々の交渉がほとんど杜絶をいたしたような状態になつたのが原因かと推察せられますが、七月に三件の漁船の臨検事件がございました。これは件数で三件でございますが、船の数にいたしますと、六隻の船が韓国の船によつて臨検を受けた。そのうち一件につきましては、漁獲物の掠奪を伴つております。それから八月になりましてこの臨検事件が一件と、それから拿捕が一件起つたのでございます。この拿捕の件につきまして特に御説明を申し上げますと、事故の発生いたしました日にちは八月の十四日でございます。船の名前は第五七福丸、トン数は四〇・五一トンの船でございます。この漁業の種類は以西底びき網漁業でございます。この船は韓国側の言い分によりますと、領海を侵犯しておつたので拿捕したという言い分でございますが、われわれが乗組員等から詳細事情を聴取いたしましたところでは、この事件が起りました場所は東経百二十七度二十五分、北緯三十三度九分の地点でございまして、これは明らかに公海であると考えております。これにつきましては韓国側がこの船を拿捕いたしまして、船長に対しまして領海侵犯をしておつたという自認書を強要の上作成いたしまして、これを元にいたしまして、韓国語による一方的の裁判をいたしまして、有罪の判決をいたしておるのでございます。これに対しましてはさつそく外務省を通じまして韓国に対して抗議を申し入れておる次第であります。八月になりまして、以上の臨検が一件、拿捕が一件あつたのでありますが、九月になりましてさらにこの数がふえて参りました。正確に申しますと、九月二十七日に国連軍司令官によります防衛水域設定の発表が行われたのでございまするが、それまでに、九月の間に臨検の事件が四件、船の数にいたしまして四隻でございます。それから拿捕が二件、船の数が同じく二隻でございます。こういう事件が起つております。そのうち拿捕の事件について申し上げますと、事故の発生いたしました日にちは二件とも九月十二日でございます。船名は第二十八海鵬丸という船と、第二松寿丸という船であります。トン数は九九・九八トン及び三八・七三トンでございまして、漁業の種類はきんちやく網漁業の船でございます。これが事故の発生いたしました場所につきましては、なお全部の乗組員が帰還いたしておりませんので、正確に緯度、経度をもつて表示することは差控えたいと存じまるが、われわれがこの方面の海域を区分しております農林漁区という区分がございますが、その農林漁区の区分の二百五十四区、すなわち済州島の東南の地域でございます。これに対しまして韓国は、先ほどの船と同様に、やはり船長に対しまして領海侵犯をしておつたという自認書を脅迫の上とりまして、これに基いて裁判をするという態勢にございます。これに対しましては、いち早く九月十五日に韓国に対して返還要求をいたしておるのでございますが、それに対しまして、ちようど一月を経過いたしました十月十五日に、韓国から、あれは領海侵犯であつたから拿捕をしたという回答があつたのでございます。そこでつまり十月十五日回答のありました即日、外務省から、この船が拿捕される際に日本に無電があつた、その連絡等によると、絶対にこれは領海の中でつかまつたものではない、従つてこれは不当な拿捕であるからということで、この船の返還要求を申し入れて、再び抗議を申し入れてあるのでございます。なおその際に乗組員等の至急の返還ということもあわせて要求いたしましたのに対しまして、十月二十九日に、乗組員五十二名のうち三十六名についてはすぐ帰還させるという韓国側の返事がございました。そして全員が帰つて参りましたのが十一月六日でございます。従いましてなお残りの十六名が帰つて参らないのでございます。この件に関する外務省からの折衝はこういう経過に相なつております。  以上が国連軍の防衛水域設定前の事件でございます。その後におきましては拿捕の事件は起つておりません。それから臨検せられました事件といたしまして、十一月十日に第三進漁丸が韓国の船によりまして臨検せられまして、李ラインの外に出るようにということをいわれております。それから連行事件が二件ございます。これは同一の日でございますが、十月十三日に二隻のさばつりの船が韓国の船に連行されまして、釜山に連れて行かれる途中でアメリカの軍艦が参りまして、これを釈放するようにということで、その連行の途中で釈放されて無事こちらへ帰つております。そのほかに一件だけ、これは韓国の船ではなくて、米英の艦船によりまして取調べを受けた事件がございます。以上でございます。
  46. 宮幡靖

    宮幡委員 それは資料を拝見いたしまして了承いたしたいと思います。実情はやむを得ないものであるということは、基本的には私も外務大臣に認めておつたわけです。そのうちにおきましても、水産庁あたりは当面漁業行政を専管しておる役所でありますので、どうか十分留意せられまして、あきらめをもつて事に当るのでなくて、どうしても解決する、日本人漁民を保護するという熱意を持つて行政をやつていただくことを私は希望申し上げるわけであります。  それでこれに関連し、この機会に、当面法律案審議は尽されていると思いますので、法律案ちよつとはずれますが、幸い水産庁長官もお見えになりましたので、ひとつ聞いておきますが、この間、名前は忘れましたが、ある雑誌及び新聞等で瞥見しましたところによると、いわゆる中共業者と合作漁業を行おうという構想が伝えられておる。これはお互い民間会社の契約で、操業保証金というようなものを納めまして、一方は交易合作公社、一方は天津開源水産公司、こういう名前で伝えられておりまして、その代表者はみな日本人の名前であります。交易合作公社は渡辺清茂、天津開源水産公司は野村光徳、こういう人でありまして、東京で漁業の操業に関するとりきめが行われたということが伝えられておる。その内容のごく一部を申しますと、天津、青島、長崎、博多、下関を陸揚根拠地として、日本漁船が渤海湾、黄海を中心に操業する。交易合作公社は日本漁船のあつせんを行い、また天津開源水産公司は中共政府を通じて操業の安全をはかるとともに、不慮の災難に備えて一千万円の保証金を積み立てる。漁獲のうち八七%を漁業者に与え、残り一三%のうち五%を交易合作公社、残りの八%を天津開源水産公司がとる。将来の漁船配置は、大体漁船の実績、底びき網といつておりますが、さしあたり今月下旬に試験操業として二隻を出漁させる、こういう要盲であります。これを水産庁長官はお聞き及びになつているかどうか、実際はどういうふうに進んでいるのか、こういうことははたして日本の正常なる漁業操業ということになるのか、あるいは日本の漁民の安全が根本的に守られるのかどうか、事故等を防ぎ得るところの手段が尽されているのかどうか、これらの点につきまして水産庁長官としてお答えを願いたい。
  47. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 ただいまの件は私も全然聞いておりません。それから確かめましたけれども生産部長のところにも何らそういうたような話はないそうでございます。内容につきましてはよく存じないわけであります。そういうふうなものがこの海域における漁業に日本人の操業上プラスになるかどうかということは、もうちよつと内容をよく確かめませんと、ここで早急には判断をいたしにくいわけであります。どうぞそういうふうに御了解を願いたいと存じます。
  48. 宮幡靖

    宮幡委員  ただいまの問題は、実は再保険関係とも実際に関連があるのです。これはほんとうを言いますと危険きわまりない、どろぼう式な漁業操業であります。ちよつと水産庁の意見というものが伝わつておりまして、水産庁は大体認めない方針だといいます。しかし日本の漁民は、その地域までも出て活動しなければならないほど、現在の生活といいますか、仕事が行き詰まつておるということは、これは見のがしてはいけないのであります。そこでこれらと合せまして、ただいま別に確たることは御存じない、これはごもつともであろうと思います。決してこれを非難するものではありません。そこでせひあなたの方で及ぶ限りお取調べをいただきまして、何らか的確なる事実をつかみ得たといたしますれば、日は限りません、いつでもけつこうでありますから、本委員会の開会の時期を選んで、委員長と御相談の上、特に発言をされまして、そういう事情の御報告をいただきたいと思います。これを委員長にお願いしまして質問を終ります。
  49. 奧村又十郎

    奥村委員長 了承いたしました。  本日はこれをもつて散会いたします。明後十五日には所得税臨時特例法及び漁船保険関係の二法律案について採決をする予定であります。     午後零時二十一分散会