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1953-02-06 第15回国会 衆議院 水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月六日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 田口長治郎君 理事 松田 鐵藏君    理事 大森 玉木君 理事 日野 吉夫君    理事 山中日露史君       宇都宮徳馬君   甲斐中文治郎君       川村善八郎君    白浜 仁吉君       中村庸一郎君    杉山元治郎君       辻  文雄君    赤路 友藏君       小松  幹君  出席政府委員         水産庁長官   塩見友之助君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         漁政課長)   家治 清一君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 二月三日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員勝間田清一辞任につき、その補欠として  小松幹君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二日  北洋母船式さけ、ます流網漁業出漁に関する陳  情書(第九五三  号)  漁港修築事業費国庫負担率及び補助率引上げ  に関する陳情書  (第九五四号)  漁港修築費予算増額に関する陳情書  (第九五五号)  同外二件  (第九五六号)  同(第九五  七号)  同(第  九五八号)  同(第九五  九号)  同  (第九六〇号)  同(第九六一号)  同(第  九六二号)  同  (第九六三号)  同  (第九六四号)  同(  第九六五号)  同  (第九六六号)  同  (第九六七号)  同  (第九六八号)  同外一件  (第九六九号)  同  (第九七〇号)  坪田第二種漁港修築費予算計上に関する陳情書  (  第九七一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  参考人招致に関する件  昭和二十八年度水産庁関係予算説明聴取に関  する件     ―――――――――――――
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。ただいま当委員会において審議中の日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失補償に関する法律案につきまして、農林委員会より連合審査会を開会してもらいたいとの申出があります。これにつきましては、先日の理事会におきまして御協議願つたのでありますが、この際当委員会といたしましても、この連合審査会を開くことにいたしたいと存じます。これに異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  なお連合審査会開会時日等につきましては、両委員長協議の上決定し、後日公報をもつてお知らせいたします。
  4. 福永一臣

    福永委員長 引続きお諮りいたします。本案につきましては、農林委員会にも特に関係があり、当委員会といたしましても、本案審査の愼重を期するため、後日の水産委員会農林委員会連合審査会におきまして、農林及び漁業利害関係者参考人に選定し、その意見を承ることにいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認めます。なおその参考人の選定につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。     —————————————
  7. 福永一臣

    福永委員長 次に、水産業協同組合共済問題に関し、杉山元治郎君より発言を求められておりますので、この際これを許します。杉山元治郎君。
  8. 杉山元治郎

    杉山委員 昨五日、衆議院第三議員会館におきまして、漁業制度に関する協議会を開催いたしましたので、この際協議会の経過を報告いたさせていただきたいと思います。  水産業にあつては、去る二十五年十二月、水産業協同組合法の、一部改正をいたしまして、第六条の二として新しく一章を設け、水産業協同組合共済会の規定を入れ、確固たる法的基礎に立つて、現在災害共済のうち、火災共済事業を行うており、これが着々として軌道に乗り、発展途上にありますので、その細部にわたつて水産庁浜田協同組合課長、及び全漁連の斎藤専務三木常務の両理事から聴取し、質疑をいたしたのであります。  しかるに灰関するところによりますれば、ただいま大蔵省では保険協同組合法案を立案しようとしているようでありますが、この法案は、表面上は協同組合共済事業法律化して育成強化し、組合員の利益を保護せんとする目的のようでありますが、水産業においては、すでに組合法により共済事業と認定され、組合員自主性基調とする相互扶助事業であり、その共済金額限度、その他の監督基準は、共済の基盤となる各協同組合系統組織の規模、構造、地域等により決定さるべきものであつて機械的に一律に決定すべきものではなく、また水産業においては、対象保険会社と競合する部面はほとんどないのであります。水産業共済会においては、会の基礎の充実に伴い、事業範囲を、火災から風水災害はもちろん、漁業災害全般共済に拡充することを当然の使命とするものでありまするから、これが大蔵省の専管となれば、かかる方面への発展はとうてい望むことができないのであります。大蔵省がさきに申しましたような法案を立案することによつて水産業における共済事業を抑圧したり、弾圧する結果となるが、ごときことは、まことに不可解と考える次第であります。本問題は水産業にとりましてまことに重大なる関心事であります。かかる法案に対しては、絶対反対すべきものであるとの結論に到達いたしました。なお同性質を有する共済事業を行うておるものに、農業協同組合法中小企業等協同組合法消費生活協同組合法がありまするので、農林委員会通産委員会厚生委員会との連絡をとり、善処することにいたしたいと思うのであります。  以上簡単に中間報告をいたしておきます。     —————————————
  9. 福永一臣

    福永委員長 次に水産業行政に関する明年度基本対策、及びその裏づけとなる水産庁関係予算につきまして当局説明を求めることにいたします。水産庁長官
  10. 塩見友之助

    塩見政府委員 基本政策の方につきましては、前からかねがね申し上げている通りに、いろいろ国際関係等に問題は多々残つておりますが、独立後マツカーサー・ラインの撤廃を契機といたしまして、沿岸の方に過剰になつております漁業者に、できるだけ外の方へ出られるような機会をつくり、できるだけそれを奨励して行くというふうな方向で、予算等におきましても、北洋漁業であるとか、あるいはアラフラ海の漁業であるとか、その他そういう方面調査研究あるいは指導というふうな面の予算を拡充するような方向をとつております。なお太平洋沿岸においてはかなりの調査ができているのでございますが、日本海、ことに対馬暖流系統漁場につきましては、過去において調査が非常に手薄になつており、資料としても十分なものもない。それで現実には非常に大きい漁場として着目されておりますので、その調査等を行いまして、できるだけ沿岸の方から転換をはかるという方向で考えております。その意味において、中型の底びき網とか、小型の底びき網というふうなものが転換してそちらへ向えるように、従来以上に予算を組みたいと思つているわけですけれども、今年度中型底びきの方だけを新しくとりまして、小型は従来通り、こう考えておりますが、これは補正等におきましてさらに追加をしたい、こういうふうに考えております。  全体としての基調はそういうところにございますが、先般の国会で、長年の議員からの要望の、ございましたところの漁業信用基金の方は、これはいろいろと御援助をいただいて通りましたので、これの実行をいたすとともに、なおこれだけでは漁業者の方も基金を十分に積みきらないというふうな関係等もございますので、それで漁船満期保険というふうな形をとりまして、満期保険にかかるというふうな条件で、その漁船建造資金を前借りでき、その金利について政府の方でもつて補給する、これは金利奨励金という形態で出すような形をとつておりますが、そういう形で漁船建造金融の方もあわせて円滑化をはかりたいというふうな形をとつて漁船保険の方をさらに拡充することといたして今度の国会にもその漁船保険法改正法案を提出することになつておりますが、こまかい点について現在大蔵省と打合せ中でございます。ただこの点について非常に遺憾に存じますのは、長年の御要望のありましたところの漁船保険保険料補助でございますが、これが義務加入のものについて二十トンまでが今までできるような形になつておりました。これを二十トンを五十トンに引上げたい、あるいはできれば百トンまでという御要望もありまして、われわれの方もその点について大蔵省最後まで折衝を続けたわけですけれども、大蔵省の方で最後までどうしても譲らないという形で、今般の予算にはその部分水産庁要望した通りにはなつておりません。あとは非常に事務的なこまかいものがございますが、その点のみが非常に遺憾に存ぜられる部分でございます。細部にわたりましては、漁政課長から御説明をいたさせたいと思います。
  11. 家治清一

    家治説明員 予算の概要を御説明申し上げます。最初に水産庁一般行政でありますが、これは人件費が主でございます。それから次の漁船乗組員養成事業でございまするが、これは前年に比して約倍になつてございますが、特に漁船無線通信士養成講習会が認められております。その他は前年と大体同じ事業を継続するのでございます。それから二番目は、小型機船底びき網漁業減船整理関係でございます。これは五箇年計画の第三年目に当つております。五箇年計画実施する小型機船減船整理補助金中心でございます。隻数は二千四百十二隻となつております。それから次に中型機船底びき網漁業整理転換、これは二十八年度初めて認められた予算でございます。このやり方指導勧奨によつて希望者転換のための補助を出す、漁船の装備及び漁具の転換補助を出そう、あわせて乗組員部分的には退職がありますので、その手当の補助を出そう、こういう考え方で組まれております。対象は五十五隻を予定しております。次に北洋における中型底びき網漁業試験操業、これは北洋に以東の底びき漁船を出しまして、まだらを引いて来る。これが企業的に経営的にペイするかどうかというのを試験したい。試験操業考え方でございまして、二隻一組で、二組四隻を国でチヤーターしまして、操業させようという予算でございます。次のまき網漁業調整指導あるいは小型機船底びき網漁業取締り強化、これは前年とほとんどかわりございません。沖合い漁業取締り指導調整、これも考え方及び方法は前年と同じでございます。次に漁業制度改革に伴う沿岸漁業調整、これは御承知のように、各府県を通じ、それから海区漁業調整委員会を通じて、漁業調整をやつております。それの国の交付金中心でございます。これとあわせまして、水産庁出先でありまする瀬戸内海調整事務局有明海調整事務局、こういつた出先運営費も入つてございます。それから次に免許料許可料の徴収の経費でございます。これは国が徴収する経費、並びに府県を通じて徴収するための補助金が入つております。  それから次に水産増殖関係予算でございますが、これは考え方は前年の水産増殖大差ございませんが、特に資源保護法関係からいたしまして浅海の保護水面管理補助とか、あるいは飼料確保対策整備とか、そういつた点に重点が置かれております。なお重要貝類増産補助というのが、新しくこの中に入つております。具体的に申しますと、帆立貝の増殖のための補助施設でございます。  それから内水面漁業調整、それから水産業協同組合指導監督、これは前年の考え方に基く、その継続でございます。それから漁業協同組合及び同連合会再建整備、これも法律に基きます二十八年度の予定、これがだんだん前年度において、出資が順調に予期以上に進んでおりますので、予算的には実は前年に比べて減つておりますが、内容的には法律に基くもの一ぱいを計上しております。それから漁業協同組合の再編成指導、これも前年と同様の考え方予算でございます。あとルース台風、それから十勝沖地震等は、法律に基きまする利子補給予算が計上せられてございます。  次に漁船損害補償実施でございます。ここでは、先ほど長官から御説明いたしました満期保険制度が新しく入つてございます。満期保険加入のための奨励金、これが約一千万円組まれてございますが、その内容は、建造資金利子補給ということ、そういう計算に基きまする奨励金でございます。具体的に言いますと、借入額範囲内で、しかも建造資金の五割を限度としましてそれの利子を四年間見よう、これはもちろん初年度の分だけでございますので、見かけ数字はわずか一千万円でございますが、今後これがずつと何億という数字になり得る予算でございます。それで満期保険制度はまだ検討中でございますが、ここに予算化されておりますのは、満期保険として二十トン未満の船が義務加入の区域内にありますれば、それは普通の保険の方へ入つてもよし、また満期保険の方へ入つてもいいという考え方をとつておりまして従いまして、満期保険加入している漁船のうち、そういつた義務加入資格船で御決議のありますものについては、保険料損害保険料に対する部分については、国庫負担をする、そういう予算千四百万円が計上されております。あと特殊保険でございます。特殊保険等のための一般会計から特別会計への繰入金、こういつたものが入つてございます。  それから海産物商品取引所指導監督あるいは日米加国漁業条約実施海洋漁業対策委員会、これはいずれも本省の事業費中心でございます。日米加国漁業条約実施、これは三国漁業条約実施のための事務局的な機能を果すための経費でございます。海洋対策委員会の方は、これは今後の漁業協定等に備えて、必要な資料整備調査のためのものも入つております。次にオツトセイ保護条約並びに指導監督、これは前年と同じ考え方で、政府用船をいたしまして、これは調査船二隻と取締船一隻とをもつて取締り並びに調査を行うという経費でございます。それから次に北洋漁業に関する指導監督並びに取締りといたしまして、四億五千万円予算に計上されておりますが、これは調査船千トン級一隻新造がその内容の一番大きい部分を占めております。あと取締り監視船一隻、用船三隻で、これらの用船料並び運航費が計上されております。次に遠洋漁業取締り並びに指導監督関係、これは前年と大差ございません。アラフラ白蝶貝等採取事業開発も、二十七年度補正で計上されました仕事の延長でございます。  それから、漁船管理及び改善でございますが、これは従来やつておりまする資材検査とか認定という仕事のほかに、漁業用の超短波陸上無線局新設及び漁業用無線陸上局施設新設補助、この二つが出ております。超短波の方は将来六十局を見通しまして、ことしはとりあえず四局、それから短波無線の方は二十八年度限りでございますが、二局予定されております。あと部分的には省略さしていただきまして、水産研究所指導並びに水産資源開発の方をひとつ申し上げます。  ちよつと前にもどりまして、水産業基礎調査というところでございますが、これは前年までは基礎調査員というものを重要な漁港のある所に配置いたしまして、そこであるいは経営体調査をやりますとか、あるいは水揚地の魚価の調査とか物価の調査とか、そういつた水産庁触角としての機能を果させて来たわけなのでございますが、この二十八年度予算にあたりましては、大蔵当局の方ではむしろこの機能をやめて、ほかの方へ重点を置いたらどうかということで、基礎調査に関する人員予算上切つて来たわけでございます。いろいろ折衝がございましたが、現在現地におりまする基礎調査員数字、それだけは結局譲歩せざるを得ぬようになりまして、方針を転換しまして、触角的機能を果しております現地基礎調査員制度をやめることになりました。結論的に申しますと、その他の部分水産庁内の重要事項人員の増の方へ振りかえまして、五十六名というのが水産庁の全体の人員のうちから減少になる。予算上そうなるということになつております。その点が水産業基礎調査の項目の非常に違うところであります。  それから次に水産研究管理指導並びに水産資源開発の件でございます。これの主要なものは対馬暖流開発事業、それから漁況海況予報仕事でございます。対馬暖流開発関係は、これは補助金中心でございますけれども、委託費あるいは国の試験場等運営費を入れますと、結局約三千万円が対馬暖流総合開発の方に予定されております。対馬暖流沿岸二十道府県水産試験場等技術陣営を動員して、定線観測その他を行つて暖流開発をしたい。これは一応年次計画をもちまして、今年からやつて行きたい、こういう考え方で、ございまして、今年はその第一年に当るわけであります。  それから海況漁況予報関係は、これは東北の水産研究所でやつておりますが、これをより正確な、より広汎な資料をとるため必要な補助予算を計上したわけであります。  それから水産業改良普及でございますが、これも本年度初めて認められた制度でございます。事業内容といたしましては、改良普及のための人を各府県補助して設置する。これも大体三年くらいを目標に置いてやつて参りたい。こういう考えで今年はその初年度としましてまず養殖関係、それから次にエンジンの関係巡回指導員、それから電気器具関係巡回指導員、そういつた三種の人で、合計六十九名を配置するという補助予算が第一点。次に、先達漁船と申しますか、要するに中核になる、しつかりとした人を中心にして研究グループをつくつて、その研究グループ府県水産試験場あるいは指導所が入りまして、従来の伝承的な技術をもつと究明するとか、あるいは科学的に解明して他に押し及ぼすとか、そういつた仕事をやりますための、府県試験場における設備あるいは備品類購入補助、それからのりの種苗生産技術改良のための補助、あるいは先ほど申し上げました人が、設置した水産機械等の取扱い、巡回指導をして参るたあの必要な事務費、そういつたものの補助がこの内容の主になつております。あと水産研究所は大体前年度予算をやや上まわる程度の予算になつております。  それからなお真珠養殖事業振興でございますが、これは現在法律上は真珠検査所のほかに真珠研究所を設けることになつておりますけれども、これも予算としましては業者側寄付前提として当時組まれておつた関係上、寄付手続あるいは寄付がむずかしかつたという関係で、いまだその予算実施になつておりませんので、二十八年度は特に寄付前提とする予算を再び計上いたした次第でございます。  それから北海道の未開発魚田開発の点について申し上げますと、これは前年までは公共事業の一部として入つてつたのでございますが、これを公共事業からはずしまして一般予算の方へ入れたのでございますが、中身は前年と大差はございません。大体村づくり中心として、村づくりのための施設費補助でございます。それから北洋鮭鱒漁場開発、これは北洋開発のために八隻の調査船をチヤーターして三組で調査をする、こういうことの経費でございます。  最後北海道水面鮭鱒流し綱漁業整理、これは石狩川の漁業整備転換のための補助予算でございます。  それで以上の、公共事業を除きます一般会計予算といたしましては、総計で約二十八億、前年は補正を入れますと中小漁業金融改善特別会計への繰入金が五億ありました関係上、三十億になつております。差引して見かけ上は二億の減でございますが、内容的には前年より相当の増を見ております。  続いて最後公共事業でございますが、漁港関係修築関係が二十三億七千万、災害が十三億五千万、合せまして三十七億となつています。前年度三十三億に比べまして、四億円の増をみております。修築の内訳は北海道関係が七億三千六百万、北海道を除く都府県は十六億三千万となつております。  以上簡単でございますが、御説明を終ります。
  12. 福永一臣

    福永委員長 この際ただいまの説明に対する質疑を許します。赤路友藏君。
  13. 赤路友藏

    赤路委員 ただいま長官及び漁政課長から、二十八年度予算についての御説明を承つたわけでありますが、予算質問に入ります前に、ちよつと一、二点水産長官にお尋ねしたいと思います。それは最近新聞紙上等水産庁機構改革というものが伝えられておるわけなんですが、この点について御意見を承りたいと思います。私は、日本漁業重要性発展性を考えました場合、水産庁水産省に昇格拡充すべきであるというような大きな希望を抱いておるのであります。しかし、それらのことは、すべて日本漁業飛躍的発展を企図した上に立たねばならないのであつて、単にその機構複雑多岐にわたつて事務が渋滞を来すようなことがあつてはならないということはもちろんであります。最近私の聞き及ぶ範囲内では、現在民間の関係者の諸君が、水産庁陳情許可、認可その他いろいろな用件で交渉あるいは願い事等をするのでありますが、すべてそれらのものは非常に煩雑な手続を要してこれらのものが、短時日に処理されることはほとんどない。また係の部課長等が出張されておる場合は、これが一箇月も二箇月も放置されておるというようなことを聞き及ぶのでありまして、かようなことでは、発展途上にある、また国際的にも国内的にも非常に問題の多い水産界の現状に即したやり方であるとは考えられないので、かような点はもつと能率的に処置さるべきであると思いますので、さような観点の上に立つて水産庁機構改革を考えておられるのかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思うのであります。  それにもう一点、これは常に言われておることなんですが、漁獲増収ということに対しましては、非常に積極的におやりのようである。もちろん漁獲増収は考えなければならないが、それとともに漁獲物完全利用ということが大きく打ち出されなければならないと思うのですが、在来の水産庁のいろんな施策の上から見ました場合に、この点が非常に欠けておるのではないかという感じが持たれる。その一つの実例をとつてみますと、今後発展性のある水産加工という重要な部門を扱うものが、水産課の一係としてある。こういうような面も実際にはございますので、水産庁改革という巷間伝えられているものについての長官の御意見を承りたいと思います。そしてその上で予算に対する質問に入りたいと思います。
  14. 塩見友之助

    塩見政府委員 水産庁機構改革という根本的な問題になりますると、これは設置法関係でございますので、問題も大きくなりまするし、われわれだけの研究でなく、もう少し広く国会とか、その他関係する方々の御意見を十分伺いながら案をつくらなければならないと思つておりまするが、今、新聞紙上等にあるというのは、私どういう内容のものかは存じませんが、今私の方でそういう部面についてまでの案をつくつているという事実は何もございません。ただ水産行政の方は間口が広くて、農業等においては数局にまたがつておるような仕事を担当しておりまするので、仕事やり方についていろいろと考えなければならない点もありましようし、われわれとしても、できるだけ敏速に処理するように考えなければならないと考えておるわけでございまするが、今のところ根本的に、大きいそういう改革について検討は始めておらないのであります。統制が解かれ、しかも公海の漁業がかなり広範囲にでき、そういうふうな関係での外国との折衝等、いろいろな点について変化がございますので、そういう面についての検討はずつとし続けてはおります。私が考えまして、おもに問題になると思いますのは、今まで水産行政はあまりにも監督行政に偏していた、漁民のためになる、漁業の助長になるという面が忘れられて、人も予算もいろいろな面で監督行政に偏していた。そういうふうな傾向がございますので、着実に準備をしながら進まないと、それだけの国費を使つての成果も期待できない、そう考えられますので、昨年からずつと研究を重ねまして、それでまずこれの三十四、三十五項等にありまするような、漁民に要望せられており、国が手を入れなければ漁民の経済ではできかねるような各種の仕事について力をいたすという方向で、予算の方も芽を出し始めたわけで、これらの仕事をやりますると、調査研究部の仕事は相当大きくなり、その関係からして先ほど申し上げましたような水産業基礎調査というふうなものがこれは終戦後集出荷統制をやつておりますときに、当時たしか百万貫以上の水揚地を押えましてそこで調査をやつて、大体どのくらいの数字が実際に生産されておるか。この数字につきましては、その数字が確かだと、当時アメリカの方から石油を入れてもらつておつたわけでありますから、その量とも相当関係するというふうないろいろな関係もありまして、それでそういうふうなものが置かれておつたわけでありますから、こういうふうな人たちを、統計調査部の方が順次機構整備しておりますから、それを削減しまして、それで各種のほかの方べ人を振りかえると同時に、水産業改良、普及というふうなもの、これは三年計画で、三年目には三百人まで持つて行くつもりでおりますが、そういうふうな方面に力を入れて行くという考え方をとつておるわけであります。そういう関係からして、この仕事と、それから調整二課でやつておる、十二にございます水産増殖のような仕事、これは相当な関連があるわけであります。農業の方におきましては、現在調査研究部がやつておりまするような仕事を、大体改良局がやり、それから水産増殖のような仕事は、過去においては農政局がやつておつたわけであります。順次仕事が進むに従つて、その関係が非常に深いために、今度はそれを一緒にいたしまして、農業改良局の方に農産課、特産課、防疫課等を持つて行つたわけでありますが、そういうふうな点について、これらの指導助長というふうな情勢が進みますれば、そういう点も考えなければならないのではないかと考えておるわけであります。しかしこれは仕事の方が進みまして、その方が農政事務がより能率的に行くというふうな点ともにらみ合せてきめて行かなければならないと考えておりまして、それが一つの問題だと考えております。  それといま一つは、生産部の方に漁船研究室というのがありまして、これは過去から行政管理庁その他においてはいろいろ問題がりまして、研究をやるならばこれは調査研究部の方へ持つて行くとか、あるいは研究所の方に持つて行くというふうな必要がありはしないかという問題があるわけでございますが、これにつきましては、あまり民間の方と遊離したような形で仕事をやつたのでは、やはり大学やその他の研究とかわりがなくなつても困る、そういうふうな面の実際的な点とつながりを持ちながら、できるだけ漁民の喜ぶような仕事の方に重点を置いてやつて行くというふうな関係からして生産部の方に研究室があるわけであります。これは御存じの通りに、占領中に水産の試験研究というものが、中央の研究機関がなくなりまして、それを調査研究部でやる、あとはみんな海区の研究所に分割してしまう、こういう形態をもつております。農業等におきましてはアメリカの方のそういう点の強制にもかかわらず、やはり中央研究所は必要だ、全国各地でやらなくても、中央で一本でやれるような基礎的な研究は一箇所でやつた方が経済的でもあり、能率も上るということで残したわけでありますが、水産はそれがなくなつているわけでありまして、そういう関係からして、漁船研究室というような部分が、どこの海区にも所属するのは適当でないので、これは研究部でなくて、生産部の方に残つておるという関係になつておりますが、これらをどういうふうな形に持つて行くのがいいか、これは一つの問題であります。その処理の問題になりますと、これは国会の権限の問題でありまして、おそらく設置法の問題になると思います。部間の移動になりますと、これらは将来の問題として検討さるべき問題であろう、こう考えるわけであります。  水産課の問題、これも非常に大きい問題です。過失においては集出荷統制をやつた関係からして、資材の配給というような点に重点が置かれておつたわけであります。これが現在では相当貿易面あるいは国内の市場取引流通の関係重点が置かれなければならないという関係がございます。そこでまた加工の方もやつているわけであります。それから加工の方につきましては、水産の研究というものが基礎にございませんと、政府の方で民間の方にいろいろなプラスになる指導助長というようなものをやる場合に、技術的な基礎が欠けるので、加工面についてはかなり資本主義的な企業もございまして、進んでいる部面もございます。それからまた沿岸漁業については、非常にそういう加工部面が遅れてはいるけれども、しかし沿岸漁業の零細な漁民の経済の実態から見ると、割合にうまくやつていると思われるような各種の加工方法がございます。これは経済関係等もよく見た上でないと、ただアメリカその他の進んだ加工技術をそのまま取入れるというわけにも行かない場面がございまして、加工面にはかなり問題がございます。それらも海区別の水産研究所でもぽつりぽつりやつてはおりますが、加工面についてはかなり中央でまとめて一箇所でやれる。その方が技術力も集中し、そう各地でやらなくても、それほど自然条件とか、海況とかに煩わされない部面も多いわけですから、そういう部面をほんとうにしつかりさせるためには、やはり中央に研究所があつて、それで漁船研究とか、そういうよろなものについては、あまり海区々々の特殊な状態をそう重視しないでも、中央にかなり集権的な研究所があつていいわけですけれども、それが今欠けているわけです。それらの点もあわせて考えませんと、水産課の机の上のことだけでは、なかなか漁民の要望されるような部面には手は出しにくいのではないかと思います。おもに重点が置かれると思います部門は、それらの部門だと考えられるわけであります。  それからまたかなり金融等の問題が大きく取上げられます。しかしこれは一部は漁船保険関係漁船保険課の方になりますし、一部は過去においては経済課というのがあつて協同組合課の方と、それから生産部の方と、それをまとめて金融の方をやるというような形態で、どうも中小の漁民の要望に即応した金融制度というようなものを立案し、それを推進するのには幾らかまずいという傾向もございましたので、それが二つにわかれてやつているというのは、どうも番欠けておりますところの中小の漁業者金融流通のためには適当ではないと考えまして、これを協同組合課一本にしまして、それで沿岸漁業の方を大体中心にして金融をする。大資本の方は開発銀行でやるとか、一般市銀でやるとかで、かなりまかなわれるわけであります。特殊な力を入れてやらなければならないのは、そういう部面が多いだろうということで、協同組合課の方でそれを所管し、ことに中小漁業の問題は金融の問題ばかりでなく、いろいろ問題がございますので、そういう関係協同組合課でそういう立案もしながら仕事もやつているということで、かなり過重負担になつております。これらの仕事は今のところは、やはり一本にまとめて沿岸漁業の方を見る協同組合というものと結びつけてある程度金融の線を考えて行くのがいいのではないかと考えておりますが、事務的な分量は相当な分量になつております。これは今度農林漁業公庫等ができますれば、相当な部分が公庫の方にも仕事が移つて参るわけで、そういう負担は軽くなると思います。そういうふうな問題は幾らか残りますが、大体それらの水産行政のかなり細部に入つての問題になるような点は、検討はしておりまするし、またそういう意見は出ておりまするが、非常に大きな意味での改革水産省であるとか、それにふさわしいような、前提となるような強化というような水産行政、そういう意味での根本的な大きいものを今検討しておるということはございません。
  15. 赤路友藏

    赤路委員 ただいま詳細に水産庁長官の方から御説明願いました。一般関係業者の手続その他の面についても、スムーズに、能率的に行くように、内部機構改革については十分お考え願いたいと思いますが、その点はそれといたしまして、予算の三、四点について、こまかい点は別途またお尋ねするといたしまして、大要についてお尋ねしたいと思います。  この予算の中で、三と四に小型機船底びきの減船整理中型機船底びきの減船整理があるわけなのですが、減船整理を行いまする整理方式と申しますか、どういうような基準によつて整理をされるのかということであります。それから中型の底びき機船の整理にあたりましては、乗組員に対して手当を出しておりますが、小型につきましては、全然そうした手当は見られていないようでありますけれども、そうした理由は一体どこにあるか、その点を一点お聞きしたいと思います。  それから中型五十五隻の整理でありますが、中型五十五隻整理の退職手当の補助というのが、一人当り八千円になつておりますが、八千円という基準をどこから持つて来て出されたか、その点をお聞きしたいと思う。  それから九の漁業制度改革に伴う予算でありますが、これは昨年度は二億二千八百三十八万三千円、それが本年度は一億八千七百九十一万一千円と、かなり大幅に削減されておるのであります。昨年度においても非常に問題が錯綜いたしておりまして、海区調整委員も十分な仕事ができなかつたかと思うのでありますが、かように削減されることになりますと、なおさら海区調整委員会というものの活動が不円滑になるのではないか。特に最近のように入漁問題等が複雑混乱しておるときは、なお活動を助成すべきであるにもかかわらず、逆にこれを削減されるということ、こういうことで仕事ができるかどうかという問題であります。こういう予算の削減状況から見て参りますと、海区調整委員というものはもういらないのであるというようなお考え方があるのかどうか。これではまるで仕事もできないし、へびのなま殺しのような状態に置かれておると思いますので、この点に対するお考えを承りたいと思う。  次に三七の真珠養殖事業振興であります。最近アラフラ海への真珠採取の出漁というようなことで、まことにけつこうなことと思いますが、これに関連いたしまして、二月四日の新聞紙上に廣川農林大臣は、この真珠の買上げをする公社を設けるというようなことをうたつております。そういう点について長官は御存じであるかどうか。またそういうような話合い等があつたのかどうか、この点を承つておきたいと思います。  それから三六の水産研究所予算でございます。先ほど長官がおつしやりましたように、三四、三五のいろいろと水産資源の開発であるとか研究管理、あるいはまた水産業改良普及というようなところに重点を置かれておやりになるということで、まことにけつこうなことであると思います。水産研究所は、もちろん水産業に対する根本的、科学的、合理的な研究をされておるようでありますが、私たちの考え方から参りますと、日本漁業発展というものは、そうした科学的な、しかも合理的な研究の上に立つてなされて行かなければならぬ、最も重要なのがここであると思います。ところが末端へ行つて見ますと、研究所で研究された結果というものが案外滲透されていない。そういうような欠陥は一体どこにあるかということであります。もちろん予算等に縛られまして、そうした面への活動が非常に規制されておるかのように思うわけでありますが、これは日本漁業発展という立場から考えました場合、相当重要な部門でなければならぬ。むしろ私は、こういう方面へ大幅に予算を出してそうして科学的な研究をせしめ、それを湯透さすことにより日本漁業発展を期して行くということでなければならないと思いまして、この点非常に遺憾であると思うのでありますが、これについての御見解を承りたい。  なお最後にお伺いいたしたいのは漁港整備についての予算でございます。これが当初水産庁の方から要求されましたのは八十四億九千六百七十八万九千円であつたようでありますが、約半分以下の面まで切下げられておるようでございます。第一次漁港整備計画は四百五十港で、整備着工数は三百港であつて、未着工のものが百五十港も残されているというのが現状でありますが、本年度の着工数は一体どの程度になるのか。それから漁港の現在まで着工しておるものの進捗状況は一体どうなつているのか。かつてわれわれ水産議員連盟の方で調査した場合は、竣功したのは十七港しかないということになつておりますが、かようなことでは災害が三年置きあるいは四年置きに来る暴風圏帯にある日本の漁港として、漁船の安全性確保というような意味から参りましても、これは当然相当大幅な予算をとつていただきませんと私ども見てみるのですが、一港に入る金というものはわずかのものであつて、一体どんな仕事をしたのか目に見えないというところが多々ある。二年間ある程度の金を入れて、一回暴風を食つてしまえば、入れた金が吹つ飛んでしまうというような形になるかと思うのです。こういうようなことでは、私は漁業の安全性というようなことは全然保たれないと思います。この点に対して水産庁は熱意が欠けておるのじやないか。これはもつと強く要望して獲得すべき問題であつたと、私はこう言う。これに関連して私は水産庁の方に言うのじやないが、この問題について私たちは昨年の十二月の二十九日に大蔵大臣官邸へ参りまして、特に今日のこの漁港整備の必要性をお願いして、十分この点に対する御考慮を願つておいたはずなんです。私は当時松田委員委員長等と一緒に行きましたが、私は松田委員にいささか不服がある。われわれがこの全国漁民大会でもつて打出したのは、第一次漁港整備計画四百五十港だけはどうしてもこの際かかりたい、何とか完成したい、これが全国漁民のおおきな要望なんです。従つてそれをするためには四十八億はどうしてもいるんだ、ぜひお願いしたい、こういうことであつた。しかしながら現在の財政の状態等も考えまして、私たちは最小限どうでも三十五億なければいけないということで強く要望したが、当時松田氏は二十五億でよろしいというようなことを言りたことは、実にけしからぬと私は思う。こういうことでこういう線に落着いたんだとするなれば、これは松田委員の大きな責任であると思う。これは水産庁には関係がないことかと存じますが、この漁港整備について、このような状態ではとうていわれわれは納得いたしがたいが、水産庁長官の方ではどう考えておられるか。以上について御説明をお願いいたします。
  16. 塩見友之助

    塩見政府委員 ただいまのお尋ねにお答えいたします。たいへん漁民のために大事な予算でございますので、熱心なその御意見はよくわかります。  それでまず第一に、三と四の小型底びきと中型底びきでございますが、これはその乗組員の点につきましては、小型底びきの方には特にここに取上げて書いてはございませんが、大体中型底びきと同様に、乗組員の方の退職手当の方は見てございます。これは前年度予算で全然見られてなかつたわけでございまするが、この問題は私赴任しまして、やはり整理する場合には、乗組員の方が失業保険等によつてカバーされるわけです。これは労働省の方ともその交渉をいたしまして府県の方にもかなり詳しい通牒を出しておりますが、しかし労働保険加入するまでの間、やはりその退職当時において相当困窮がございます。そういうふうな関係からして、昨年の春に大蔵省とも再々折衝いたしまして、一人当り八千円というふうな点で、その失業保険の方に加入するまでの間を見る必要があると一時的に考えられますので、そういうふうな数字を出したような状態でございます。なおこの小型底びきの方は前年に比して落ちておりますが、これは前年度補正予算において相当とつたわけでございます。それで一応基準としましては、五箇年計画小型底びきを約八千数百隻整理することになつておりまするが、ここ一、二年を済ませまして、あとの残りました三箇年分の三分の一を一応計上したというふうな形になつておりまするが、これは府県等とも打合せました上で、より先にまとめて整理をした方がいいというふうな海区等を十分検討いたしました上で、前年度と同様に、補正予算においてさらにこれにプラスして参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ことしは中型底びきを特に新しく認めてもらつた関係から、そう考えておるのでございます。それから中型底びきのは、これは強制的な整理ではなくて、希望によりまして、地種漁業転換したいというふうなものを選びまして、転換をさして参りたいというふう、な意味の助成金でございます。  次に九に移りまして、漁業制度改革に伴う沿岸漁業調整でございまするが、これは漁業権免許等の仕事はかなり一段落を告げまして、漁業調整の問題が、大きく取上げられておりまするので、府県意見も徴しまして、その関係からしてより適当な海区に改めた方がいいというふうな意味で、海区数を減らしましたわけです。その減らした部分についての減が出ております。この活躍につきましては、経費をもつとふやしたいというふうなことはわれわれも考えておりまするし、要望も非常に強いのでございまするが、そういうふうな点につきまして、事務費的な部分が多いわけでございまするが、それが一海区当りより多くなればそれだけ漁業調整の方もやりよくなるわけでございまするが、それらの事務費につきましては、どうもやはりその初めに掲げました額をふやすというのが、なかなか困難でございまして、それらの点については、われわれの努力も足りなかつたのかとも存じまするが、どうも単価の増ということが今般は成功いたしませんで、そういうふうな意味で海区数の減だけが減になつておる、こういう状態になつておるような次第でございます。  それから三十七番の真珠の問題でございます。この真珠の問題は、真珠養殖事業法が制定されましたわけですけれども、業者等の意見を聞いて、一番問題になると思いますのは、私はやはり真珠の小粒の一分なら一分の玉が割合によけい生産されておりまして、三分なら三分という大玉が段較的足りないわけです。需給関係から見ますと、どうしても短期間でできるところの一分玉の方が過剰になつてつて、長期にわたつて賃金を寝かさなければならないような大きい主の方がバランスを失つておる。そういう関係からして、貿易上も非常に障害があるという点がございますわけで、そういう生産の関係から見ますと、できるだけバランスをとつた玉の生産をやらすということがよいわけでございます。それらにつきましては、やはり金利が高い、また金融が疏通しないという問題等があるわけでございます。  これらも開発銀行、商工中金あるいは農林中金純粋の民間機関だけではなくて、そういう方面からも金融の助力がないとやりにくいわけですけれども、まあある程度開発銀行の方は、どうしても設備資金に限定されます。これらの玉はどうしても仕掛品というような解釈になりまして、兵器産業における生産過程にあるところの未完製品と同じようなものと考えられて、なかなか金融はつけにくいわけです。そういうふうな関係からしてこれらの金融については、私の方では漁業協同組合のようなものができまする部分については農林中金に、そうでなくてそれよりちよつと大きいとかまた商工協同組合でやつた方がいいというふうな部分については商工中金でやるとか、そういうふうな点でその段階に応じまして、各種の金融機関を通じて、できるだけ円滑な金融をはかるのがよいのではないかこれらもやり方によりますれば、先般考えられましたところの中小漁業の信用基金制度等を活用して参れば、そういう意味での資金の方も相当得られやすいのではないか、こう考えておるわけでございます。これらの面が一番大きく問題にはなつておるわけでございますが、なおそのほかに、やはり対外輸出という点から申しますと、日本今中小の真珠養殖業者が非常にふえておりまするし、そういうふうな関係から、どうしても製品の方を持ちにくい、今申し上げましたところの小粒の玉が多いというふうなことがございまして、とにかく持ち切れないということで買いたたかれる。ことに外国の大きな資本、バイヤー等に買いたたかれやすい。そういう点から、手持ちして、できるだけ値を下げないようにして売らないと、これは生糸と同じようにいろいろ不便があるという状態もあるわけでございまするが、これらは、特殊な金融をつけるということになりますと、大蔵省等においても、商工省の各種の輸出物資と同じように考えられて、一つだけを取上げて、特殊な融資がなかなかしにくいというふうな状態にあるわけであります。一方真珠の方は、現在概算して五百万ドル見当の輸出があるわけでございますが、これはやり方次第によれば、それの三倍ぐらいまで持つて行くことは、必ずしも無理ではないという見通しもあるわけでございます。ただそれらの輸出の振興、またバランスのとれた玉を生産させるという点、あるいはそれに対する融資を十分にやつて、買いたたきを防ぐというふうな点について、いろいろ問題があるわけでございます。これは他の輸出物資と似たような部分も相当ございまして、それだけを特に取上げて、特殊な制度をつくるということになりますと、これは大蔵省においてもいろいろ問題がございまするので、まだそれらに対する処置について決定的な手が打たれてないわけでございます。また真珠だけについての手というものは、そういう部面についてはほとんど打たれてないという関係から、真珠の輸出振興について十分な成果をあげていない状態にあるわけでございまするが、そういう点について、あるいはほかの各種の機構等にも考えられますような、独占禁止法というふうなもののある程度例外的な措置をとつて、特殊な組合なり、あるいは金融する会社なりをつくつて、それで買いたたきを防ぐという方法、またそれによる金融等を通じて間接に玉の生産におきまして、大きな玉が多くできるような指導をやるという考え方、あるいは一挙に国営で買い取つてしまつた方がいいではないかというふうな考え方等がございます。これは国で買い上げるとなりますと、商品の性質からして、検査等において、商品の価値に応じた価格で買い取るということは、一定の規格にはまつた給料で採用しなければならない役人で、うまくできる仕事かどうかという点について、相当の疑問もございまするし、それはむしろほかのそういうむずかしい商品と同様に、まぐろのカン詰等におきましては買取り会社ができておりますし、その他組合等いろいろな形も考えられるわけでございますが、これらについては何らかの措置を必要とするわけでございまするので、そういう点の一つの考え方として、公社という考え方もあるわけでございます。それには人の問題、その他の問題等、各種の問題がございますが、真珠の金融、真珠の輸出の振興という面について何らかの適切な手を打たなければならないという考え方の一つとして、考えられるわけでございます。これは独禁法をある程度ゆるめてもらうとか、そういうふうな形でもつて外国の独占にたたかれているという形にあるものを、ある程度救うという考え方から、そういう方向で考える方法もございまするし、それらの点については検討を進めておる状態でございまして、まだはつきりと公社というふうな結論は事務的には出ておらぬのでございます。  それから三十四番、五番と関連のあります三十六番の水産研究所の問題は、まつたくお話の通りでございます。これは私も終戦直後においても、その面について当時の予算をたしか七倍にいたし、人員数も三倍ぐらいまで持つてつて、水産の試験の方の充実に向つたわけでございます。その後中央の研究機関も確かに必要だと思つておるわけでございますが、それらにつきましては人員の問題等もございますので、役人の数がどうしてもある程度ふえる。あるいは海区の方を減らして中央に集中できるか。それでも技術者の専門及び質の問題から、そういう形でもなし得ないという点があつて、まだ思い切つたそうした水産研究の画期的な刷新という点に手は触れられておらない。それらの点がございますので、これは十分考えてやつて行かなければならぬと考えます。また一方研究の行われたものが十分地方に侵透してはいないじやないかというお話でございますが、これも農地等に比較して考えますると、水産の方は非常に遅れております。農地等におきましては、戦前においても約四万人くらいの農会技術員その他の技術員を持つておりまして、それらが農事試験場等と農民との間を結びつけて技術の侵透その他について十分の活躍をしていたわけでございますが、水産についてはそういうものがなかつたわけであります。今般初めてここにございますように、県単位で六十九人の者を出しまして、これを三箇年の計画実施し、三箇年目には三百人というふうな進め方で、まず養殖、一番要望の強いエンジン、電気等について、漁民の方に十分喜ぶような技術の侵透をやりたい。これが一番漁民の方の望んでおるような状態と思われますので、そういうふうな点を考えてスタートを切つておるわけでございまして、これを着実に一歩々々と固めながら、必ずほかの産業に遅れないように充実して参りたい。ただこれについては、一挙にふやそうといたしましても、そういう漁民の要望にこたえ得るだけの、また役人としての俸給で甘んじてやつてもらえる人がどれだけ得られるかということについては、非常に問題がございます。これらについてはできるだけ早く多くふやしたいわけでございますが、それらとにらみ合せ、また今年度予算においては、大蔵省において府県の方のこういう技術員の増加につきましては、農業の改良普及、林業の関係等については、全部新しいものが認められない、また増員も認められなかつたのに対しましてこれだけは新しい制度だが、水産にはなかつたからというので特に認めてもらつたわけですが、こういう増員は府県財政の窮乏、また義務教育費国庫負担というふうないろいろな地方財政との関連もありますので、原則としてふやすことはやらないという態度で臨んで来ておりまして、そう一挙には大きくできなかつたわけでございますが、できるだけそういう試験所と漁民との間の結びつきを強化する意味において、こういう方向は逐次強化して参りたいと考えておるわけであります。あるいは漁民の御要望になつておるところに比して、数も少いし時間も遅れるというような意味で、もつと強くという御意見は当然起ると思いますが、それらに対する今までの試験、研究その他の準備も、農地その他に比べますと非常に遅れておりますから、またそれらと一緒に歩調をそろえながら、これはできるだけ早く強化して参りたいと思つております。  最後漁港の問題でございまするが、これは主として災害部分よりも漁港修築の方が重点でございます。災害の方は、各種の公共事業において、何年度災は何分の一までというふうな基準がございますので、これはみなバランスがとられて行くわけで、災害の多かつた年は多くなるし、少い年は減るという形になつておりますから、問題の中心修築費をできるだけふやしたいということだと存じます。それでこれにつきましては、過去において一番漁港がだらしがないということを大蔵省から言われておるわけであります。その原因は、漁港の方があまり手広くやつてしまつて、今の予算で行くならば、完成するまでに二十年ないしは三十年かかるものまで出て来るのではないか。年々の完成数は、さつきおつしやいましたように、わずかに十数港とか、あるいは少いときは八港とか、そういうふうな数で、新規着工は七十も八十もやる、そういうふうな形では、ただ広がるだけで、年限がかかるだけで、しようがないじやないか、そういうふうな点が大蔵省方面の批判であつたわけであります。私の方では今般はこまかく数字をつくりまして、基本的に漁港修築費に対する補助金がとにかく少いからそうなるのだ。だから、今の十八億を継続すれば、今着工しているものが完成するのに三十年かかる。年々の完成数も今の程度の完成数しかできない。しかしながらそれがこちらの要求しました三十億プラスして四十八億を出してもらえれば漁港整備計画通りにやれるし、とにかくここ一、二年は今までの手遅れを取返すというような意味で、十分は期し得ませんが、これでも四十港、五十港の完成ができますし、三年後には最近年々着工しております七十数港を年々完成し、年々着工することができるようになる。これは片方が三十年かかるから、そういうふうないい姿で年々完成するだけの港を年々着手するという形にするには数百億もかかるという錯覚をしてもらつては困る。これはわずかに四十八億くれさえすればすぐできるし、漁民の方もそうだらだら工事を長延かせないでやれるようになるということを——何十億ならどれくらいの港を年々完成できるという数字等もつくりまして、大蔵省の方には当つておつたわけです。それでかなりそういう点の理解は進んだと思うのでございますが、これは最後的には事務的な折衝から離れまして、新聞等で御存じの通りの形で、政府とその与党と関連した大きい政策の一つとして折衝が進められたわけであります。その点について委員長及び松田委員においては、正月もずつとぶつ通しで休まずに、予算の終りまで終始見ていただいてあらゆる機会に御努力をお願いしたような状態で、われわれも非常にありがたく思つておるわけであります。それがいろいろな関係からして、われわれの努力の足りなかつたこともありますが、われわれもこの機会に、少くも三分の二でも半分でも、その四十八億の目標までぜひ進めたいと思つて、これには一番努力を払つたわけです。しかし額も大きいし、問題がやはり建設省と農林省の公共事業のとり方の問題に入るし、また農林省内部でも、これは農事と森林関係とこつちの関係と、こういうふうな関係もございまして、農林関係では率は漁港が一番よくなつたわけでございまして、ふえたことはふえたのですが、総額においては実にわずかで、例年通りぐらいのところで、思い切つた飛躍ができなかつたという点については、われわれも今度の予算について一番残念に思つている一つでございます。先ほど松田委員が二十五億で行くというふうなお話があつたということでありますが、私が聞いておりましたのはそうじやなくて、十八億に対してプラス二十五億というのを、二十五億と聞違つて聞いた方もあるようです。そういうふうにプラス二十五億というふうな点で主張なさつたように私も存じておりますので、その点の方は、われわれからというよりも、漁民の要望がこれに強いというふうな点で、委員長、松田委員も非常に御努力いただいたことは、われわれも側面的に見てよく承知しているわけですけれども、いろいろな意味で、とにかく公共事業関係は政治的な各種の力によつて、これだけは最後事務的に行かないのです。実際はいつでも最後は力づくのとり合いという形になり、事務的な折衝だけでは当然十分なことは期待できない。そういう部分を今年は非常に御努力願つたので、率だけはこれでも漁港は一番よくはなつたのですけれども、当初非常に意気込んでいたところまで至らなかつたことは、非常に遺憾ではございますが、そういう状態でございます。
  17. 赤路友藏

    赤路委員 よくわかりました。もう一点ですが、先ほどの底びき船の整理の問題です。あまりこまかくなりますので、水産庁長官御存じかどうかと思いますけれども、何でしたらまた後ほど係の方に聞きたいと思いますが、小型の方の乗組員にも退職手当を出すというお話であつた。もちろん小型乗組員に対しても、中型乗組員に対しても退職金をお出し願う。私お尋ねしたのは、八千円という線が出ているのですが、この八千円の基準を一体どこに置かれたのかということに対しては、御答弁がなかつた。それから失業保険によつてカバーするというお話であつた。まことにけつこうだと思いますが、失業保険にかかつている漁民は一体どれだけあるか。私の方の調査によりますと、二十七年の十一月二十六日の調査で、小型底びきの乗組員が大体十四万人程度と概算されますが、その中でこの保険加入しているのは驚くなかれ五百九十七名しかない。こういうようなことでは、失業保険でカバーするといつたつてカバーにならない。こういう点について御見解を承りたいと思います。
  18. 塩見友之助

    塩見政府委員 これは細部の点はただいま記憶をしておりませんが、昨年の春に、予算的には小型底びきの方は船主の方にだけ行つているという形で困るというふうな国会の御要望等がございまして、私折衝いたしましてそれで特に内部的な流用を認めてもらつて、それでは底びきの乗組員の方にも一時的な金として一箇月分くらいの見当で、たしか八千円ほどこれはどういう基準で出したかは今ちよつとはつきりと記憶していないのですけれども、一時的に金を出す、こういうふうなことと、それからもう一つは、底びきの乗組員が失業保険の方に加わる、またその家族であるような人たちには生産組合というものをつくつて、生産組合の従業員という形でその家族もやはり労務者と同じように失業保険加入できるというふうなことを、当時関係省と打合せをやりましてそれで私の方と関係省との共同通牒で、府県の方に流し、府県の主任官会議でもたびたび話しまして、保険課の方と打合せまして十分それをやりさえすれば、これはある程度小漁業の方に従事しましても、それは内職程度というふうな認定をやつてもらつて、失業保険の方の金がもらえるという解釈をはつきりつけまして、それは府県の方に流しているわけです。これに入りさえすれば非常に有利であることは明瞭なんですけれども、その点が徹底しないのです。私も県等をまわるたびに、それは話しているわけであります。それで水産部課の方でも、保険課なんかと交渉を進めているかというふうな点について、つつ込んで聞いてみているわけですけれども、どうも漁民の方も保険料を出すのがいやだとか何とか言う——これは実際は得になるわけです。小づりぐらいやつているものでも、内職程度であるから、失業状態と認めて保険料がもらえるわけです。継続的にいえばその形態が一番いいわけです。こういうふうな形態は、予算としてはやはり一時的な退職手当というものの補助以上には出られないわけです。継続的にはそういうふうな失業保険制度があるわけですから、それに加入するという形で、国のいろいろな援助を受けるのが制度としては一番正しいわけであります。それをもつとまともに漁民の方も理解し、県の方ももつと積極的に保険課の方と連絡して進めて参れば、生きて来るわけなんです。入つてないというのは、入れないのではなくて、入るだけそれを勧めていないということなんです。その点については、私も当時非常に心配もいたしましたし、府県の部課長会議でもずいぶん詳しく言つておるし、できるだけ勧めるようにしているのですけれども、その形を進めてもらうというようなことで、各種のほかの職業の方へ転換をすることはなおいいことではございますが、それがなし得ないような場合には、それに入つてもらうというのが、今の制度としては一番いい形でございます。それで一応相当生活の保障はできるわけなんです。今のところできるだけこれを勧めて参るという考え方をしております。近く水産部課長の会議をやりますので、そういう点もなお強く要望したいと思います。ただ水産部課の人たちは、どちらかというと、こういう失業保険とかどうとかいうような問題については、割合に今までの経験もないし、仕事の点で理解が薄い関係もあるのかもわかりません。またほかの課と連繋をよくしなければできないという点もあるのかもわかりませんが、割合に進んでないという点は遺憾でございますから、できるだけこれが県の方にも漁民の方にもわかるようにしてもつとたくさん加入できるようにしたいと思います。これはそのほかに適当な手はございませんので、そういうようにいたしたいと考えております。
  19. 赤路友藏

    赤路委員 これで質問を打切ります。この問題は今長官から御答弁いただきましたが、どうも根本的に納得の行かない線があるわけです。私の申し上げるのは、八千円という基準をどういうところから出して来たのかということが問題点なんです。八千円でよろしいという考え方が私は間違つておるのではないかということであります。これはなお保険加入の実態とか、いろいろな面がありますから、これは調整第一課の関係だと思いますので、追つて調整第一課の課長に出ていただいてなおそのとき長官にも出ていただいて、この面については、あらためて詳しく御質問申し上げたいと思います。本日はこれで私の質問は打切ることといたします。
  20. 中村庸一郎

    ○中村(庸)委員 ただいま赤路委員より漁港整備の問題について警告を発せられたのですが、まつたく私もその通りだと思います。長官より漁港修築整備に対して四十八億要求した、こういうお話がありました。実際昨年は十八億という話であります。しからば本年はどれだけの予算をここに組まれておりますか。それからまた修築整備の着工しておられます数が今何港あるか、またその進捗状況はどういう程度であるかということを、長官より御説明願いたい。私は本日は少し遅刻をいたしましたので、松田委員から何かお話があつたようなことも伺いましたし、あるいは私重複をしておる点があつたらお許しを願いたい。ただいまこの三点について長官の御説明を願いたい。
  21. 塩見友之助

    塩見政府委員 予算につきましては、お配りいたしました一番最後のページの公共事業費という中で、今年度は二十三億七千一百万、約五億数千万円、約三〇%程度の増加ということになつております。  それから着工数につきましては、今ちよつと詳細な数字を持つておらないのでございますが、第一次整備計画でもつて四百五十指定しまして、その四百五十のうちでは三百だけ着工しておるわけで、あと百五十港残つておるわけです。その三百のうち十七だけが竣功しておるわけです。そのほかにこの第一次整備計画をやります前から着工しておる部分が数十港ございましたので、三百港余りが今着工数としてあるわけです。残が百五十ございますので、大体本年度予算に組みましたのは、百五十のうち七十港くらいを着工するというふうなことで今検討中でございます。詳細な数字の方は今ちようど手元に持つて来ておりませんので、恐れ入りますが、次の機会にでも数字をこちらの事務局の方へ御提出いたします。
  22. 中村庸一郎

    ○中村(庸)委員 ただいま長官より御説明をいただきまして、昨年度は十八億で今年度は二十三億、約三割の増加であるということを承つたのでありますが、これはまつたく驚くのほかない。今年の諸物価の騰貴の状況からしましても、三割程度の増加ではいかんとも手の下しようがなかろうと私は想像するのであります。昨年度と同じあるいは昨年度以下の状態で進めますならば、先ほど二十年かかるとかあるいは三十年かかるとかいう話が出て参りましたが、二十年継続して参るということはいかなることを意味するのでありますか。また私はこの進捗状況を承りたいという質問をしたのですが、これに対してはあとからということであります。ごもつともなことだと思うが、しかしながら今日の漁港修築状況を見ますと、ほんのわずかずつ手をつけて行く。そのために前年度施工したものがあるいは暴風雨あるいは暴風雨でなくとも普通の波浪によつて破壊されてしまつている。そういう例が多分にある。かような面からしまして、私は漁業の安全を期することは、これくらいの予算をもつてしてはまつたく不可能であろうと考える。砂防用の突堤にいたしましても、二十年間の継続事業としますならば、その砂防用の突堤がまつたく役をなさない。何千万円の金をぶち込んでも、二十年たたなければ従来投じておつたところの経費がまつたく役をなさない。かような行き方でほんとうに日本の漁業発展を期し得るかどうかということは、大きな問題だろうと私は思うのであります。そうして今年度におきまして、いかにしてもこの予算がとれないというならば、補正予算を組まれることを長官は明言されるかどうか、また今年度要求されたという四十八億程度でがまんせられるかどうか、ほんとうのわが国の水産業の安全、進展という大きな観点から見られまして、この対策を立ててもらいたいと思うのであります。今年度におきまして、物価の騰貴からしまして、前年度程度の仕事しかできないとするならば、非常な問題であります。長官におかれましてはどう考えられますか。補正予算を組まれるというお言葉をちようだいできるならばけつこうでありますが、いかにしてもこの二十三億の予算は寡少に過ぎると私は思うのであります。今年度におきましても、とれるだけの予算は増額を願わなければならぬと考えておりますが、この点長官の御答弁を願いたいと思います。
  23. 塩見友之助

    塩見政府委員 まつたく私も同感でございますが、補正予算につきましては、これは従来から特殊なものでないと組みにくいわけでございまして、ことに公共事業関係になりますと、一般港湾、道路、それから土地改良、林業関係の造林、治山、林道、その他同じような費目がございますので、これだけを特に補正予算に組むことは、よほど政府の首脳部において腹をきめていただかないと、なかなか組みにくいわけであります。事務的な形ではなかなか解決しにくいのであります。公共事業費を全般的にふやすという形になりますれば、もちろんこれも入ることは確実でございますが、これらを補正予算に組むか組まないかという問題は、あまりに大きな問題でございまして、事務当局からここで事務的には解決できるとかどうとかいう御答弁は、ちよつといたしかねるわけであります。これらの公共事業関係は、全体として厖大な予算になる関係で、またそれの内部の配分についても非常に大きく、閣議等で最後にはきまるという形で、事務的にのみはなかなかきまりにくい関係もございます。もちろんわれわれもそれらの点について、事務的にはできるだけ努力はいたすわけですけれども、やはり輿論の力というものが相当大きくこれに関連をいたすわけでございまして、そういう点から見て、補正予算に組めるか組めないかという問題は、一にかかつてそれらとの関係を見た上でないと、はつきりと申し上げられません。われわれとしては補正予算を組むという可能性さえあれば、もちろんそのチヤンスはのがさずに、できるだけほかの公共事業これも手遅れが相当多いわけでございますけれども、漁港については特に大きいわけですから、それの回復に努めたいと考えておるわけであります。  それまら先ほど単価の問題がございましたが、これは大ざつぱな見当材料、労賃等を見通しまして総合して考えて大体一割ぐらい上ると考えられますので、他の二割ぐらいは幾らか今まで着工したものに対する増加として見込まれるわけでありますが、着工数がふえておりますので、一港々々については従来と大差ないという形になると思います。これを多額に引上げて七、八十港を平均数年間で完成するという形にいたしまするためには、どうしても四十八億はいるわけであります。
  24. 中村庸一郎

    ○中村(庸)委員 ただいまいろいろ御説明いただいたのでありますが、しからば今年二十三億の予算をもつて、第一次指定四百五十港のうち三百港を着工する。また前年度よりの継続が数十港あるという御説明であります。二十三億ぐらいの予算でこのように総花的に進められますならば、今日までに投ぜられた資金というものは、まつたく役をなさぬ。かような状態で置くことは重大問題であろうと思うのであります。これは種々なる面から見まして、むずかしい問題が起つて来ると思うのでありますが、今年もわずかの予算で総花的に着工するこの点は政治問題としてなかなかむずかしい問題に発展するかもしれませんが、わが水産業の進展を考えますならば、一つ一つ完成して行くという考え方もあり、また最も重要なる所を完成して行くというのも、行き方であろうと思います。かようなむずかしい政治問題を起すということもなかなか重大問題でありますので、ぜひともこの予算を増額されることに努力されたいと思います。この状態で放置されましたのではまつたく寒心にたえない、かように考えます。本日は総花的に行くか行かぬかという問題は、お答えもむずかしいことと思いますが、この点は十分なる注意を払われまして、真の水産業進展のために考えられんことを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  25. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 漁港修築予算が、漁業振興という観点からしまして遺憾ながら非常に少いわけであります。それでその配分は非常にむずかしいと思うのでございますが、特に漁民の中でも島嶼の漁民、孤島の漁民は非常に漁港を欲しております。実は普通本土の漁民と島嶼の漁民は非常に違います、本土の漁民ですとその背後地にいろいろな輸送機関を持ちますし、また市場に非常に近いわけでございますから、水産物の搬出に漁港のいらない場合も多いわけでありますが、ただ島嶼の漁民はそうは参りません。ことに孤島、北海道の利尻、礼文、あるいは東京付近の大島、八丈島、三宅島あるいは長崎の五島の漁民は、どうしてもその搬出に港を必要とするわけでありますが、ことに島嶼の漁民のために、この少い修築予算の中からどういうふうに特に重視して予算をわけられるかということについて、ひとつ水産長官の御意見を承つておきたいと思います。
  26. 塩見友之助

    塩見政府委員 これは従来の仕事やり方及び経緯等も考えなければならないので、ございましてわれわれとしましては、漁港整備計画国会の方の決議もあつて、実行しています部分については、これは予算が少いからというふうな形で、これをひつ込めて大蔵省の言うように新規着工を何分の一かに削り、年々の予算の中で完成するところまで圧縮するという考え方は持つておらないわけで、どうしても本年度予算で要求したように、新規着工するくらいの数は年々完成して行くというふうな形で、予算は確保して参りたいというふうに考えております。そういうふうな関係から仕事を進めて参つたという関係もございますので、大体の考え方としては、従来と同様な基準によつて配分をして参りたい、こう考えておりますが、現在検討中でございます。個々の、どういう港にというふうなことは、これはいろいろ府県等の意見もございますし、また順位をきめる場合の採点の標準等も今まできめておるようなものがございますので、それらによりまして順序をきわめて参りたい、こう考えておるわけであります。
  27. 日野吉夫

    ○日野委員 日本の水産業発展のために、将来水産省にまでしようという長官説明をきよう聞いたのですが、この予算を総括的に見て、まつたく事務費調査費だけで、積極的な水産業発展のためにする予算の少いのに失望したのです。これはこまかい費目をあとで詳しく伺いたいと思うのですが、なかんずく今問題になつております漁港修築予算、われわれも四十八億の要求には大いに賛意を表しておつたのですが、その半額でここにきめられておる。これは長官としても、四十八億出したのをこの程度に削られてそのまま引下るなんというのは、非常に不見識じやないか。権威を持つてこれを通そうというなら、さつきから腕づく、政治力、そうしたものを言つておられるのであるが、もつともつとこれを大蔵省と闘つて獲得すべきものじやなかつたか、こう思うのでありまして、これに対しては意見がみな一致するのであります。ひとつ超党派的に、何かのチヤンスをつかんで長官はチヤンスの問題を言つておるから、これの補正獲得に邁進すべきものじやないか。大蔵大臣はできるだけ補正予算を認めないと言つているけれども、やはり何かのチヤンスにこれは猛得しなければならない。そしてこれは事務的に折衝は困難だというけれども、政治的に折衝の方法もあるであろうし、四十八億をこの程度にのんで来た松田委員などの責任もあろうと思う。いずれこのことについては、折衝の経過、そして今後補正予算を組む可能性について、水産委員会は全員をあげて検討する必要があろうと思う。きようは時間が大分おそくなつているので、これを次の機会に松田委員から折衝経過の報告でもしてもらつて補正予算が組めるか組めないか、こういう点をひとつ検討して、できるならば政治的、事務的に全員の力を結集して、この問題の獲得に当りたい、こう思うのでありまして、この委員会は、まだまだみんな質問があるようですし、細部にわたつて聞きたい点もありますから、ひとつ継続されんことをお願いいたしておきます。
  28. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 大分おしかりを受けましたが、実は向井大蔵大臣というものをつくつたのが悪いので、松田大蔵大臣をつくつてくださつておつたならば、四十八億どころでない、百億もやるのがほんとうだと思つて努力したのであります。しかし社会党内閣のときは一億何ぼ、われわれが出て来たときは二億四千万円、それから出て来てからあらゆる努力をして七億に増し、その翌年は十三億に増し、昨年は十八億に増したのです。今年度はわずかに二十三億であつて、皆さん方から非常におしかりを受けるのだが、以上のような状態であるが、要は、政府ばかりでなく、われわれの自由党の役員、幹部そのものも、漁港に対しては非常に関心を持つているのだけれども、お互いが委員会同士でもつて予算のぶんどりをやるというような傾向が現われた、それが一番悪いことで、これが吉田内閣の一番のいけないことだとわれわれは考えている。ところが今年の予算内容をきめる当時、あらゆる努力をしたことを認めてもらいたいのだが、しかも最後には、われわれは党の幹部の出ている県には一つの漁港もやらないから、そのつもりでいろとまで脅迫をして、そうして三十五億とれる見通しがついて、川村委員北海道に行つたが、そのあとにでんぐり返つて今日のような結果になつたのでありまして、今後におけるあらゆる努力をしていただきたい。そこで、長官は責任がありますから、立場の上においてはつきり明言はできませんが、私どもには切札があつた。それは本年からこの予算の中で五千万円ほど盛られておる免許料許可料が七億ぐらい入るのであります。この法律を制定するとき、当委員会においては非常な議論になつたので、大蔵大臣から、これをとつたならば漁業施設に使わせるという言質をとつているのであつて、それを切札としてあらゆる努力をしたのであります。ところが、案に相違してこんなような状態になつた。これは速記を調べればわかつているのであるから、その点をわれわれは十分信用して、今年から一年に七億入るのであるから、これを活用して、あなた方の強い力をもつて大蔵大臣を当委員会に引きずり出してそうして補正を組ませるというやり方以外にないと私は思うのであります。この点はあなた方としても十分腹をきめて野党がすぐ引下る、そんなような弱腰ではなかなかうまくありませんから、この点を十分考えてやつていただきたい、これ以外に道はないと私は考えております。経過を報告しておきます。
  29. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 本日の委員会の議題である、以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお、まぐろ漁業許可等についての漁業法の臨時特例に関する法律案の審査にまだ入つておりません。なおまた本日予算の御説明がありましたけれども、これについてもわれわれは相当質問がございますが、時間も非常になくなつておりますので、この予算に対する質問は次の委員会で十分いたすことにして、先ほど私が読みました以西機船底びき網に関する特例法を取上げるかどうかということをまず委員長にお伺いをいたします。
  30. 福永一臣

    福永委員長 本日はこの程度にとどめ、ただいま川村君のお申出がございました通り、次会はそのように取運びたいと思います。  これにて散会いたします。     午後零時三十八分散会