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塩見政府委員 ただいまのお尋ねにお答えいたします。たいへん漁民のために大事な
予算でございますので、熱心なその御
意見はよくわかります。
それでまず第一に、三と四の
小型底びきと
中型底びきでございますが、これはその
乗組員の点につきましては、
小型底びきの方には特にここに取上げて書いてはございませんが、大体
中型底びきと同様に、
乗組員の方の退職手当の方は見てございます。これは前
年度の
予算で全然見られてなかつたわけでございまするが、この問題は私赴任しまして、やはり
整理する場合には、
乗組員の方が失業
保険等によ
つてカバーされるわけです。これは労働省の方ともその交渉をいたしまして
府県の方にもかなり詳しい通牒を出しておりますが、しかし労働
保険に
加入するまでの間、やはりその退職当時において相当困窮がございます。そういうふうな
関係からして、昨年の春に
大蔵省とも再々
折衝いたしまして、一人当り八千円というふうな点で、その失業
保険の方に
加入するまでの間を見る必要があると一時的に考えられますので、そういうふうな
数字を出したような状態でございます。なおこの
小型底びきの方は前年に比して落ちておりますが、これは前
年度も
補正予算において相当
とつたわけでございます。それで一応基準としましては、五箇年
計画で
小型底びきを約八千数百隻
整理することにな
つておりまするが、ここ一、二年を済ませまして、
あとの残りました三箇年分の三分の一を一応計上したというふうな形にな
つておりまするが、これは
府県等とも打合せました上で、より先にまとめて
整理をした方がいいというふうな海区等を十分
検討いたしました上で、前
年度と同様に、
補正予算においてさらにこれにプラスして参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ことしは
中型底びきを特に新しく認めてもら
つた関係から、そう考えておるのでございます。それから
中型底びきのは、これは強制的な
整理ではなくて、
希望によりまして、地種
漁業に
転換したいというふうなものを選びまして、
転換をさして参りたいというふう、な意味の助成金でございます。
次に九に移りまして、
漁業制度改革に伴う
沿岸漁業調整でございまするが、これは
漁業権免許等の
仕事はかなり一段落を告げまして、
漁業調整の問題が、大きく取上げられておりまするので、
府県の
意見も徴しまして、その
関係からしてより適当な海区に改めた方がいいというふうな意味で、海区数を減らしましたわけです。その減らした
部分についての減が出ております。この活躍につきましては、
経費をもつとふやしたいというふうなことはわれわれも考えておりまするし、
要望も非常に強いのでございまするが、そういうふうな点につきまして、
事務費的な
部分が多いわけでございまするが、それが一海区当りより多くなればそれだけ
漁業調整の方もやりよくなるわけでございまするが、それらの
事務費につきましては、どうもやはりその初めに掲げました額をふやすというのが、なかなか困難でございまして、それらの点については、われわれの努力も足りなか
つたのかとも存じまするが、どうも単価の増ということが今般は成功いたしませんで、そういうふうな意味で海区数の減だけが減にな
つておる、こういう状態にな
つておるような次第でございます。
それから三十七番の真珠の問題でございます。この真珠の問題は、真珠養殖
事業法が制定されましたわけですけれども、業者等の
意見を聞いて、一番問題になると思いますのは、私はやはり真珠の小粒の一分なら一分の玉が割合によけい生産されておりまして、三分なら三分という大玉が段較的足りないわけです。需給
関係から見ますと、どうしても短期間でできるところの一分玉の方が過剰にな
つてお
つて、長期にわた
つて賃金を寝かさなければならないような大きい主の方がバランスを失
つておる。そういう
関係からして、貿易上も非常に障害があるという点がございますわけで、そういう生産の
関係から見ますと、できるだけバランスを
とつた玉の生産をやらすということがよいわけでございます。それらにつきましては、やはり
金利が高い、また
金融が疏通しないという問題等があるわけでございます。
これらも
開発銀行、商工中金あるいは
農林中金純粋の民間機関だけではなくて、そういう
方面からも
金融の助力がないとやりにくいわけですけれども、まあある程度
開発銀行の方は、どうしても設備資金に限定されます。これらの玉はどうしても仕掛品というような解釈になりまして、兵器産業における生産過程にあるところの未完製品と同じようなものと考えられて、なかなか
金融はつけにくいわけです。そういうふうな
関係からしてこれらの
金融については、私の方では
漁業協同組合のようなものができまする
部分については
農林中金に、そうでなくてそれより
ちよつと大きいとかまた商工
協同組合でやつた方がいいというふうな
部分については商工中金でやるとか、そういうふうな点でその段階に応じまして、各種の
金融機関を通じて、できるだけ円滑な
金融をはかるのがよいのではないかこれらも
やり方によりますれば、先般考えられましたところの中小
漁業の信用
基金制度等を活用して参れば、そういう意味での資金の方も相当得られやすいのではないか、こう考えておるわけでございます。これらの面が一番大きく問題にはな
つておるわけでございますが、なおそのほかに、やはり対外輸出という点から申しますと、日本今中小の真珠養殖業者が非常にふえておりまするし、そういうふうな
関係から、どうしても製品の方を持ちにくい、今申し上げましたところの小粒の玉が多いというふうなことがございまして、とにかく持ち切れないということで買いたたかれる。ことに外国の大きな資本、バイヤー等に買いたたかれやすい。そういう点から、手持ちして、できるだけ値を下げないようにして売らないと、これは生糸と同じようにいろいろ不便があるという状態もあるわけでございまするが、これらは、特殊な
金融をつけるということになりますと、
大蔵省等においても、商工省の各種の輸出物資と同じように考えられて、一つだけを取上げて、特殊な融資がなかなかしにくいというふうな状態にあるわけであります。一方真珠の方は、現在概算して五百万ドル見当の輸出があるわけでございますが、これは
やり方次第によれば、それの三倍ぐらいまで持
つて行くことは、必ずしも無理ではないという見通しもあるわけでございます。ただそれらの輸出の振興、またバランスのとれた玉を生産させるという点、あるいはそれに対する融資を十分にや
つて、買いたたきを防ぐというふうな点について、いろいろ問題があるわけでございます。これは他の輸出物資と似たような
部分も相当ございまして、それだけを特に取上げて、特殊な
制度をつくるということになりますと、これは
大蔵省においてもいろいろ問題がございまするので、まだそれらに対する処置について決定的な手が打たれてないわけでございます。また真珠だけについての手というものは、そういう
部面についてはほとんど打たれてないという
関係から、真珠の輸出振興について十分な成果をあげていない状態にあるわけでございまするが、そういう点について、あるいはほかの各種の
機構等にも考えられますような、独占禁止法というふうなもののある程度例外的な措置をと
つて、特殊な組合なり、あるいは
金融する会社なりをつく
つて、それで買いたたきを防ぐという方法、またそれによる
金融等を通じて間接に玉の生産におきまして、大きな玉が多くできるような
指導をやるという
考え方、あるいは一挙に国営で買い取
つてしまつた方がいいではないかというふうな
考え方等がございます。これは国で買い上げるとなりますと、商品の性質からして、検査等において、商品の価値に応じた価格で買い取るということは、一定の規格にはまつた給料で採用しなければならない役人で、うまくできる
仕事かどうかという点について、相当の疑問もございまするし、それはむしろほかのそういうむずかしい商品と同様に、まぐろのカン詰等におきましては買取り会社ができておりますし、その他組合等いろいろな形も考えられるわけでございますが、これらについては何らかの措置を必要とするわけでございまするので、そういう点の一つの
考え方として、公社という
考え方もあるわけでございます。それには人の問題、その他の問題等、各種の問題がございますが、真珠の
金融、真珠の輸出の振興という面について何らかの適切な手を打たなければならないという
考え方の一つとして、考えられるわけでございます。これは独禁法をある程度ゆるめてもらうとか、そういうふうな形でも
つて外国の独占にたたかれているという形にあるものを、ある程度救うという
考え方から、そういう
方向で考える方法もございまするし、それらの点については
検討を進めておる状態でございまして、まだはつきりと公社というふうな結論は
事務的には出ておらぬのでございます。
それから三十四番、五番と関連のあります三十六番の
水産研究所の問題は、まつたくお話の
通りでございます。これは私も終戦直後においても、その面について当時の
予算をたしか七倍にいたし、
人員数も三倍ぐらいまで持
つて行
つて、水産の試験の方の充実に向つたわけでございます。その後中央の
研究機関も確かに必要だと思
つておるわけでございますが、それらにつきましては
人員の問題等もございますので、役人の数がどうしてもある程度ふえる。あるいは海区の方を減らして中央に集中できるか。それでも
技術者の専門及び質の問題から、そういう形でもなし得ないという点があ
つて、まだ思い切つたそうした水産
研究の画期的な刷新という点に手は触れられておらない。それらの点がございますので、これは十分考えてや
つて行かなければならぬと考えます。また一方
研究の行われたものが十分地方に侵透してはいないじやないかというお話でございますが、これも農地等に比較して考えますると、水産の方は非常に遅れております。農地等におきましては、戦前においても約四万人くらいの農会
技術員その他の
技術員を持
つておりまして、それらが農事
試験場等と農民との間を結びつけて
技術の侵透その他について十分の活躍をしていたわけでございますが、水産についてはそういうものがなかつたわけであります。今般初めてここにございますように、県単位で六十九人の者を出しまして、これを三箇年の
計画で
実施し、三箇年目には三百人というふうな進め方で、まず養殖、一番
要望の強いエンジン、電気等について、漁民の方に十分喜ぶような
技術の侵透をやりたい。これが一番漁民の方の望んでおるような状態と思われますので、そういうふうな点を考えてスタートを切
つておるわけでございまして、これを着実に一歩々々と固めながら、必ずほかの産業に遅れないように充実して参りたい。ただこれについては、一挙にふやそうといたしましても、そういう漁民の
要望にこたえ得るだけの、また役人としての俸給で甘んじてや
つてもらえる人がどれだけ得られるかということについては、非常に問題がございます。これらについてはできるだけ早く多くふやしたいわけでございますが、それらとにらみ合せ、また今
年度の
予算においては、
大蔵省において
府県の方のこういう
技術員の増加につきましては、農業の
改良普及、林業の
関係等については、全部新しいものが認められない、また増員も認められなか
つたのに対しましてこれだけは新しい
制度だが、水産にはなかつたからというので特に認めてもらつたわけですが、こういう増員は
府県財政の窮乏、また義務教育費
国庫負担というふうないろいろな地方財政との関連もありますので、原則としてふやすことはやらないという態度で臨んで来ておりまして、そう一挙には大きくできなかつたわけでございますが、できるだけそういう試験所と漁民との間の結びつきを強化する意味において、こういう
方向は逐次強化して参りたいと考えておるわけであります。あるいは漁民の御
要望にな
つておるところに比して、数も少いし時間も遅れるというような意味で、もつと強くという御
意見は当然起ると思いますが、それらに対する今までの試験、
研究その他の準備も、農地その他に比べますと非常に遅れておりますから、またそれらと一緒に歩調をそろえながら、これはできるだけ早く強化して参りたいと思
つております。
最後に
漁港の問題でございまするが、これは主として
災害の
部分よりも
漁港修築の方が
重点でございます。
災害の方は、各種の
公共事業において、何
年度災は何分の一までというふうな基準がございますので、これはみなバランスがとられて行くわけで、
災害の多かつた年は多くなるし、少い年は減るという形にな
つておりますから、問題の
中心は
修築費をできるだけふやしたいということだと存じます。それでこれにつきましては、過去において一番
漁港がだらしがないということを
大蔵省から言われておるわけであります。その原因は、
漁港の方があまり手広くや
つてしま
つて、今の
予算で行くならば、完成するまでに二十年ないしは三十年かかるものまで出て来るのではないか。年々の完成数は、さつきおつしやいましたように、わずかに十数港とか、あるいは少いときは八港とか、そういうふうな数で、新規着工は七十も八十もやる、そういうふうな形では、ただ広がるだけで、年限がかかるだけで、しようがないじやないか、そういうふうな点が
大蔵省方面の批判であつたわけであります。私の方では今般はこまかく
数字をつくりまして、基本的に
漁港の
修築費に対する
補助金がとにかく少いからそうなるのだ。だから、今の十八億を継続すれば、今着工しているものが完成するのに三十年かかる。年々の完成数も今の程度の完成数しかできない。しかしながらそれがこちらの要求しました三十億プラスして四十八億を出してもらえれば
漁港整備計画通りにやれるし、とにかくここ一、二年は今までの手遅れを取返すというような意味で、十分は期し得ませんが、これでも四十港、五十港の完成ができますし、三年後には最近年々着工しております七十数港を年々完成し、年々着工することができるようになる。これは片方が三十年かかるから、そういうふうないい姿で年々完成するだけの港を年々着手するという形にするには数百億もかかるという錯覚をしてもら
つては困る。これはわずかに四十八億くれさえすればすぐできるし、漁民の方もそうだらだら工事を長延かせないでやれるようになるということを——何十億ならどれくらいの港を年々完成できるという
数字等もつくりまして、
大蔵省の方には当
つておつたわけです。それでかなりそういう点の理解は進んだと思うのでございますが、これは
最後的には
事務的な
折衝から離れまして、新聞等で御存じの
通りの形で、
政府とその与党と関連した大きい政策の一つとして
折衝が進められたわけであります。その点について
委員長及び松田
委員においては、正月もずつとぶつ通しで休まずに、
予算の終りまで終始見ていただいてあらゆる機会に御努力をお願いしたような状態で、われわれも非常にありがたく思
つておるわけであります。それがいろいろな
関係からして、われわれの努力の足りなかつたこともありますが、われわれもこの機会に、少くも三分の二でも半分でも、その四十八億の目標までぜひ進めたいと思
つて、これには一番努力を払つたわけです。しかし額も大きいし、問題がやはり建設省と
農林省の
公共事業のとり方の問題に入るし、また
農林省内部でも、これは農事と森林
関係とこつちの
関係と、こういうふうな
関係もございまして、
農林省
関係では率は
漁港が一番よく
なつたわけでございまして、ふえたことはふえたのですが、総額においては実にわずかで、例年
通りぐらいのところで、思い切つた飛躍ができなかつたという点については、われわれも今度の
予算について一番残念に思
つている一つでございます。先ほど松田
委員が二十五億で行くというふうなお話があつたということでありますが、私が聞いておりましたのはそうじやなくて、十八億に対してプラス二十五億というのを、二十五億と聞違
つて聞いた方もあるようです。そういうふうにプラス二十五億というふうな点で主張なさつたように私も存じておりますので、その点の方は、われわれからというよりも、漁民の
要望がこれに強いというふうな点で、
委員長、松田
委員も非常に御努力いただいたことは、われわれも側面的に見てよく承知しているわけですけれども、いろいろな意味で、とにかく
公共事業関係は政治的な各種の力によ
つて、これだけは
最後は
事務的に行かないのです。実際はいつでも
最後は力づくのとり合いという形になり、
事務的な
折衝だけでは当然十分なことは期待できない。そういう
部分を今年は非常に御努力願
つたので、率だけはこれでも
漁港は一番よくはな
つたのですけれども、当初非常に意気込んでいたところまで至らなかつたことは、非常に遺憾ではございますが、そういう状態でございます。