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1952-12-17 第15回国会 衆議院 水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十七日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 田口長治郎君 理事 松田 鐵藏君    理事 大森 玉木君 理事 日野 吉夫君    理事 山中日露史君       宇都宮徳馬君   甲斐中文治郎君       川村善八郎君    薄田 美朝君       椎熊 三郎君    志賀健次郎君       白浜 仁吉君    杉山元治郎君       辻  文雄君    赤路 友藏君       井手 以誠君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         食糧庁長官   東畑 四郎君         水産庁長官   塩見友之助君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 浜田  正君         農林事務官         (水産庁生産部         長)      永野 正二君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 十二月十六日  以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ  漁業許可等についての漁業法臨時特例に関  する法律案内閣提出第三〇号) 同日  寿都漁港拡張工事促進請願薄田美朝君紹  介)(第一〇九二号)  中小漁業融資促進法案に関する請願田口長治  郎君紹介)(第一一五五号) の審査を本委員会に付託された。 同日  漁港修築事業費国庫負担率及び補助率の引上げ  に関する陳情書  (第八七二号)  漁港修築費予算増額に関する陳情書  (第八七三  号)  同(第八七  四号)  同  (第八七五号)  同(第八  七六号)  同(第  八七七号)  同(  第八七八号)  同外一件  (第八七九号)  同外一件  (第八八〇号)  同(第八八一  号)  同外二件  (第八八二号)  同(第八八三  号)  同(第八八  四号)  同(  第八八五号)  同  (第八八六号)  同  (第八八七号)  同  (第九一五号)  沼島港改築に関する陳情書  (第八八八号)  佐世保湾内における漁業禁止による損害補償に  関する陳情書  (第九一四号)  漁業許可料制度廃止に関する陳情書  (第九一  六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  中小漁業融資保証法案内閣提出第二七号)  以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ漁  業の許可等についての漁業法臨時特例に関す  る法律案内閣提出第三〇号)  鯨油の価格安定に関する件     ―――――――――――――
  2. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これより会議を開きます。  ただいま福永委員長委員長会議出席されておりますので、御指名により、私が委員長の職務を行います。  内閣提出以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ漁業許可等についての漁業法臨時特例に関する法律案議題として審議に入ります。まず政府より提案理由説明を求めます。塩見水産庁長官
  3. 塩見友之助

    塩見政府委員 きようは政務次官が折あしく出られませんので、提案理由を私かわつて説明いたします。  ただいま提案されました以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ漁業許可等についての漁業法臨時特例に関する法律案につきまして、提案理由の御説明をいたしたいと存じます。  以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ漁業につきましては、講和後の漁場の拡大に応じまして、資源の開発に努めなければならないのはもちろんでありますが、他方、資源保護並びに国際的な関連をも十分に考慮いたしますことが必要であり、また、沿岸漁業漁場関係を調整し、遠洋漁船としての装備改善近代化適正船型への大型化をばかり、もつて漁業合理化経営の安定を促進いたしますことが、これらの漁業の健全な発展を期するために肝要であると存ずるのであります。  このため、まず、かつて以西底びき網漁船でありまして、マツカーサー・ラインの設定に伴う減船整理の際、東経百三十度以西東経百二十七度三十分以東海域操業制限されました総トン数五十トン未満中型底びき網漁船、並びに、マツカーサー・ラインによる漁場制限があつたため、多数集中しております総トン数七十トン以上百トン未満中型かつおまぐろ漁船のうち、希望するものに対しまして、拡大された漁場に適合した船型への移行を認め、その装備改善近代化をはかることが妥当な措置であると存ずるのであります。その際、底びき網漁船が五十トン以上となり、また、かつおまぐろ漁船が百トン以上になりますためには、指定遠洋漁業としての以西機船底びき網漁業または遠洋かつおまぐろ漁業の新規の許可を必要といたしますので、漁業法第五十八条に規定する抽籤方法によらなければならないわけでありますが、これらの漁船につきましてはいずれも優先的に許可を行うことが妥当と考えられますので、臨時に二年間を限りまして抽籤制度を行わずに許可ができるように法的措置を講じたいと存ずるのであります。  以上、本法律案提案理由の大要を申し述べましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 松田鐵藏

    松田委員長代理 ただいまより質疑に入ります。質疑通告がありますので、順次これを許します。田口長治郎君。
  5. 田口長治郎

    田口委員 ただいま政府から御提案になりました以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ漁業許可等についての漁業法臨時特例に関する法律案でございますが、この以西底びきを整理するにあたりまして中間漁区日本政府において設定されたことについて、以西底びきの整理に関連いたしまして、当時のGHQと日本政府との関係で、整理隻数をどの程度に考えられて、そうして実際に整理せられましたところの隻数は何隻、中間漁区に入れられた隻数は何隻であるか、数字的にその点をはつきりお願いしたいと思います。
  6. 永野正二

    永野説明員 減船整理をいたします前の東経百三十度以西における操業船数字は、機船トロールの船が五十八隻、いわゆる以西機船底びき網漁業船舶が九百八十六隻あつたのでございます。これに対しまして、当時マツカーサー・ラインによる漁場制限その他で非常に漁場的に問題があり、経営上もいろいろ困難な点がございました。また自然マツカーサー・ラインの違反というような事実もしばしば見られたので、これに対して減船整理することといたしました。これをいたしました結果、機船トロールにつきましてはそのままでございますが、以西底びき網の漁船につきましては、六百七十八隻というところまで減船ができたのでございます。ただこの九百八十六隻から六百七十八隻に減りました中に、ただいま問題になつております中間漁区船舶が百八隻あるのでございます。この百八隻につきましては、漁場東経百二十七度三十分から東経百二十度の間というようなことに限定いたしまして、中型機船底びき網漁業許可に切りかえたのであります。これが現在に至つている事情でございます。講和マツカーサー・ラインの撤廃とともに、この中間漁区船舶につきましても、できるだけこれを遠洋漁場操業させることが資源的に見ましても、かつまた内地の沿岸漁業との調整という見地からしても適当であると考えますので、この百八隻につきましては、希望があればこれを以西海域に出る許可を与えるという方針を先般立てました。これに基きましてこの中間漁区の大部分船舶は、西の線を東経百二十度三十分というところに置いておるわけでありますが、その線より以西に出漁する希望を持つて今その許可整理中でございます。
  7. 田口長治郎

    田口委員 以西底びきの減船整備問題に関しまして、その当時の事情は、総隻数九百八十六隻の中で三割の減船をすることは、あらゆる事情からして非常に困難であつた。かような関係からいたしまして、表面上の整理方法としてこの中間漁区を設定して、この中に百八隻を入れた。しかしこの中間漁区に入れられた業者は、全部が中間漁区でのみ操業をすることは考えないで、従来通りにそとに出て操業をする。そうして水産庁におきましてもそれらの操業に対しては取締らない、こういうようなことで、中間漁区がきまり、中間漁区に入れる百八隻がきまつた、こういうことに承知をしておるのでありますが、その点につきましては、官庁としてはいかようにお考えになつておるのでありますか。
  8. 永野正二

    永野説明員 九百八十六隻の中から日八隻を選び出しました根拠は、まず里にトン数の点において五十トン未満のものを選び出したのでございます。それからこのほかに各船の従来の操業の実績を調査いたしまして、東径百二十七度三十分から東の方の漁場にその操業主力を求めておるものを選び出したのでございます。そうして百八隻が中間漁区船としての資格を与えられたのであります。これらの船が百二十七度三十分以西に出漁するということは、建前としては認められておらないわけでございます。
  9. 田口長治郎

    田口委員 建前としては認められておりませんけれども、そとに行つて操業しても取締らない、こういうような建前でありますれば、結局建前としてはどうあろうとも、これらの百八隻というものは中間漁区だけで操業していなかつた。実際においてそとに出ておつた実情から考えましても、建前はそうであつたけれども、百八隻という船がこの中間漁区で実際に経営を維持しておつた、こういうふうには実際上はなつていないのでありますが、その点は水産庁では、百八隻のものが、全部中間漁区で実際に仕事をしておつた、こういうふうにお考えでございますか、この点がきわめて重大でございますから、重ねてお伺いをいたします。
  10. 永野正二

    永野説明員 この百八隻の中間漁区漁船につきましては、中間漁区許可に切りかえますまでの実情といたしましては、百二十七度三十分以東海域がその操業のほとんど主力を占めておるという理由で選定をいたしたのであります。
  11. 田口長治郎

    田口委員 官庁でさように解釈されますのは、結局その当時漁獲政府報告しなければならぬ、その報告がたとえばマツカーサー・ラインのごとく、実際はマツカーサー・ラインのそとで操業をしておつた船も確かにあつたのでございますけれども、官庁漁獲報告する場合におきましては、マツカーサー・ライン内でとつたことにすべてを報告しておる。それと同様に中間漁区許可を得た漁船官庁漁獲報告をいたします場合におきましては、中間漁区内ですべての漁獲をしておる、こういうふうに報告をせざるを得ないので、おそらく官庁といたしましてはこの漁獲報告もとにして、これらの百八隻が中間漁区ですべて仕事をしておつたというふうにお考えになつておるのでないかと思うのでございますけれども、私の承知しておるところによりますと、この整理で、中間漁区許可を得た船で、そして中間漁区で一日も仕事をしていない船もある次第でございます。その点どうも漁獲報告中間漁区内の報告になつておるから、これらの漁船が全部中間漁区操業しておつたというふうに解釈しておるのではないかと考える次第でございますが、その点は何をもとにしてこれらの船が経営の大部分をこの海区で操業しておつたと認定される次第でございますか、お伺いいたします。
  12. 永野正二

    永野説明員 水産庁福岡事務所への漁業者からの報告によつてつたのでございます。
  13. 田口長治郎

    田口委員 その報告が、私が言いますように、この沖のマツカーサー・ラインと同じように、中間漁区許可表得ておるからそとでとつた漁獲物中間漁区でとつたということで報告せざるを得ない実情にあるのでございますから、その点水産庁のお考えは、前提が実体とはなはだしく違つておると考える次第でございます。私は、もともとこの百八隻は以西底びきでございますから、この以西底びきを本来の外海に出す、しかしてこれの許可決定方法といたしまして、百八隻の希望する漁船には優先的に許可を与える、このことに対しましては別に異議がない次第でございますけれども、この百八隻を外海に出されたあと漁場を、われわれが仄聞するところによりますと、沿岸漁業者が最も困る以東底びきをこの中に入れるということをお考えになつておると聞いておる次第でございます。さようなことをいたしますと、ひとり長崎県の沿岸漁業者ばかりでなしに、私らの手元にも来ておりますが、佐賀県、山口県あるいは島根県、鳥取県、兵庫県というようなところの、いわゆる長崎県の外海に出漁して来るところの零細漁業者が非常に困る問題が出て来る。これはたくさんの陳情書も来ておる次第でございますが、さような沿岸漁業者が、非常に困るということで、ある県では漁業者大会を開きまして、あるいは禁止区域に侵入した漁船をみずから拿捕いたしまして、自分の村に連れて来てリンチを加えておる。鼻を落すとかあるいは耳を突き刺すとかいうような問題が起つている、沿岸漁業者に対する死活の問題であるその以東底びきをこの中間漁区に入れる、かような御計画があるように仄聞しておる次第でございますが、その点がこの問題に対しましては非常に重大だと考えるのでございます。従つてこの法律審議するにあたりましては、この中間漁区以東底びきを入れるのか入れないのか、あるいは入れるとすれば区域をどんなふうにするのか、隻数をどうするのか、漁期をどうするのか、あるいは夜間操業、昼間操業というようなものを水産庁としてはいかように考えておるのか。長崎県の漁業者としては、この漁区は絶対にさようなものを入れてもらつては困る、こういうことに長崎県の沿岸漁業者ばかりでなしに、各県の沿岸漁業者がこれに同調して、現在重大な問題になつている。その点をよくはつきりとお示しになつて、そして調査資料を提供されることでなければ、この問題はきわめて重大であると思いますから、この海区を以東底びきで利用する、こういうことについて水産庁はいかなるお考えを持つておられるか。その点をはつきりさせていただきたいのであります。
  14. 塩見友之助

    塩見政府委員 ただいまの問題は、現在水産庁としましては、案を提示して長崎県の方の意見を聞いておりまして、長崎県の方の意見としては、ただいま田口委員の述べられたような意見を出されておりますので、今検討中で、まだ最後的な案というふうなものはできておりません。     〔松田委員長代理退席委員長着席
  15. 田口長治郎

    田口委員 この中間漁区に西日本の各県からたくさんの零細漁業者入漁をしておる次第でございますが、この入漁をしておる漁業の種類、そして各県別入漁隻数、この点をはつきりさしてもらいたいのであります。
  16. 塩見友之助

    塩見政府委員 その数字はただいま持つて来ておりません。持つて来ておらないわけでありますけれども、全体の詳細な数字というのは、ある程度の推定しかつかないと思います。ただいま持つて来ておりません。
  17. 田口長治郎

    田口委員 これは各県の零細漁業者に対するきわめて重大問題でありますから、正確なる資料を整えて本委員会に提出されますように、委員長からとりはからいを願います。それでなければ審議できないことになると思いますから。
  18. 福永一臣

    福永委員長 承知いたしました。それでは小委員会にしますか。——それでは本件は水産資源保護増殖及び漁業取締に関する小委員会に付託いたします。そういうふうに決定いたします。
  19. 川村善八郎

    川村(善)委員 漁業法改正並びに漁業協同組合法改正によりまして、漁業協同組合漁業自営することも許される、もちろん漁業権の獲得も許されておるのであります。そこで、漁業自営についていささか解釈に苦しむ点がありますので、その点をはつきりいたしておきたい、かように私は考えますので、長官から御答弁を願います。  水産業協同組合法の第二章の漁業協同組合、第十七条漁業経営というところに、こういう字句が使われております。第十七条「第十九条第一項の規定により組合員に出資させ、且つその営む漁業又はこれに附帯する事業に常時従事する者の三分の二以上が組合員又は組合員と世帯を同じくする者である組合は、第十一条に規定する事業の外、漁業及びこれに附帯する事業を営むことができる。」こうなつております。そこで例を引いてお話申し上げますが、もし漁業協同組合定置漁業経営するということになつた場合、その定置漁業には三十人より常時従事する者が必要でない。ところがその自営するという組合員は三百人ある。こういう場合には、立法の解釈として、組合員が三百人おるからその定置漁業に二百人参画しなければならないという解釈もあり、それからその定置漁業に三十人よりいわゆる常時従事する者でないから、二十人だけが帰属する漁業協同組合組合員であればいいという解釈を持つておるのと二つございますが、どちらの解釈がほんとうか、この際長官の御意見を承りたいと思います。
  20. 浜田正

    浜田説明員 ただいま御質問のありましたように二つ解釈がありますが、あとの方の解釈、つまり三十人従事しておるその三分の二の者が所属している組合組合員であればよろしい、こういうふうに解釈いたします。
  21. 福永一臣

    福永委員長 川村君に御了解を願いたいのですが、ただいま銀行局長が見えまして、他の委員会出席のために非常に時間を節約したいと言うので、これを先に片づけておいて、後にあらためて質問を願いたいと思います。     —————————————
  22. 福永一臣

    福永委員長 それでは中小漁業融資保証法案議題として質疑を継続いたします。松田君。
  23. 松田鐵藏

    松田委員 昨日、この議題となりました中小漁業融資保証法案審議しておりまして、そのとき河野銀行局長は、この法案の一番のポイントである地方公共団体に対する起債の問題は、銀行局としていろいろな意味からいつて非常に難関であるような態度を示され、しこうしてわれわれはわれわれの意向を十分披瀝いたしまして、納得の行くように御協力をお願いしたのでありまするが、銀行局長は非常に多忙ではあるけれども、今や政府の高官であり、銀行局長としての最もすぐれた方でありますから、一晩中に必ずやわれわれの満足する結果をもたらしてくれるものと私は非常に期待しておつたのでありまするが、昨夜お考えくださいましたその経過をお話願えれば非常にけつこうだと思います。
  24. 河野通一

    河野(通)政府委員 昨日当委員会で強い御要望を承りまして、私帰りましているく内部で相談いたしました。実はちよつとお断り申しておきたいのでありますが、地方起債問題は、この八月一日から大蔵省の中の機構がかわりまして、理財局の方でこれを取扱うことに相なつたのであります。私ももちろん関係がございますので、いろいろ相談には乗つております。きのうも理財局長の方にこの旨を十分にお話しておきましたが、けさまだごたごたしておりまして、その結果も十分聞いておらぬようなことであります。どうも子供の使いのような御答弁を申し上げてはなはだ恐縮であります。なお今理財局長がこつちに参つているはずでありまして、大蔵委員会の方でほかの問題でごたくやつているようでありますが、場合によつては呼んでお話を願う方がいいかと思いますけれども、いかがでございましようか。
  25. 松田鐵藏

    松田委員 そうしてください。
  26. 福永一臣

    福永委員長 それではこの際川村君の質疑を継続します。川村君。
  27. 川村善八郎

    川村委員 今の協同組合課長説明によつても、私の考えていたことと、また立法した当時の考えとは同一であります。すなわち漁業協同組合漁業自営する場合は、その自営する漁業に常時従事する者のうち、三分の二以上が当該組合組合員であればいいということが明らかになりましたので、これは今後漁業協同組合自営が旺盛になる場合において、私は最もいいことだと思う。しかしながらこの条文にもまだわれわれの疑義を持たれるところがありますので、これらについてはわれわれは大いに研究をして、漁民によくわかるようにしたいと考えております。私はきよう農林大臣にもそのことを尋ね、さらに説明もしたのでありますが、そのような疑義を持たれる漁業法並び協同組合法は、ことごとく議員の手によつて漁民がわかりやすいように改正をすることが必要ではないかということを申し上げておきます。もちろん第十三回国会におきましても、漁業法並び漁業協同組合法はアメリカに押しつけられた法律であつて漁民意思によつてわれわれが立法したのではなかつたのであります。従つて漁業法といい、漁業協同組合法といい、相当長い時間もめたはずでありまして、そうしてでき上つたのでありますから、遺憾ながら漁民意思国会意思が尊重されなかつたということが明らかであります。われわれ水産委員会としては大いに検討して、この両法律改正しなければならぬことは当然でありますし、この問題は早急に解決しなければならぬのであります。現にただいま提案になつておりますかつおまぐろ等の許認可についても、法律の不備ということから臨時措置法を設定しなければならぬことになつたのでありまして、われわれといたしましては、先ほども申し上げましたように、われわれの手によつてこの両法律改正するということに進みたいと思いますが、委員諸君におかれましても十分研究することと思いますと同時に、本委員会においても、第十三回国会にとられたように、小委員会を設置して再検討し、改正するようにした方がいいのじやないかと考えておりますが、この点委員長から各委員にお諮りを願いたいと思います。
  28. 福永一臣

    福永委員長 ただいま川村君の発言の趣旨に対しましては、漁業制度小委員会において研究いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 福永一臣

    福永委員長 それではそのように決定いたします。ちよつと速記をやめて。     〔速記中止
  30. 福永一臣

    福永委員長 速記を始めてください。     —————————————
  31. 福永一臣

    福永委員長 それではただいまより再び中小漁業融資保証法案に対する質疑を継続いたします。ただいま組合課長より発言を求められております。浜出協同組合課長
  32. 浜田正

    浜田説明員 昨日山中委員の御質問に対しまして十勝沖ルース台風の場合の損失補償対策のところで間違つた答弁をいたしましたので、まことに申訳ないのでありますが、ここで訂正さしていただきたいと思います。ルース十勝沖災害につきましては、政府法律に基いて融資額に対し、損失補償をしたあとで、政府はそのかわりに求償権を取得するというふうに説明いたしたのでありますが、この点が間違いでありました。ルース十勝沖災害は、法律によりますれば、損失が出た場合、それの融資額の三割について損失補償をする、こういうことになつておるので、この場合は損失補償したのだから、補償のしつぱなしということになります。従つて求償権を持つということにはならない。しかしながら金融機関としては、損失補償をされたのだからというて、その債権を打切ることなく、どんどん回収をやるというふうに法律に書いてありまして、回収があつた結果、金がとれたということになれば、それだけ損失は起きなかつたということになるのだから、これは政府に返せ、こういうふうな規定になつておりまして、その点間違つておりましたから、つつしんで訂正いたさせいただきます。
  33. 山中日露史

    山中委員 大体それで了解できたのでありますが、結局問題になつておりまする中小漁業保険関係においてほ、つまり政府保険金支払つた場合においては、協会政府の共同で求償権を持つ、そうして求償権を実際に行う場合においては、政府が直接行わないで、それを協会に代行させる。しかしながら損失補償の場合においては、たとい政府損失補償をしても、政府が直接求償権を持つて債務者に請求するというような関係は全然出て来ないので、それは融資機関があくまでも債権者として取立てる。余つた場合においては政府に返すという関係にすぎないのだ、こういう御説明でありますね。
  34. 浜田正

    浜田説明員 そうであります。
  35. 山中日露史

    山中委員 わかりました。
  36. 福永一臣

    福永委員長 他に御質疑もないようでありますので、本案に対する質疑は、これにて終了いたします。  次に討論の通告がありますので、これを許します。赤路友藏君。
  37. 赤路友藏

    赤路委員 本法案は日本漁業の沈滞を救い、これが発展をもたらす画期的なものであると考えるのであります。特に中小漁業が金融逼迫のために企業自体すらも継続困難に立ち至つているような現段階において、本法が提案されましたことに対しましては、水産庁並びに大蔵当局に対して満腔の敬意を表するものであります。ただ本法の本来の使命を百パーセント達成せしめるためには、地方公共団体出資についての起債の承認と長期融資その他について今一段の善処方を希望するものでございまして、さような意味におきまして附帯決議をつけまして本法に対して賛成をしたいと思うのであります。附帯決議といたしまして、    附帯決議   政府は、本法実施に当つては、次  の措置を講ずべきである。  一、地方公共団体協会の会員として出資するに当つては、その資金に充当するための起債を認めること。  二、本法による融資に対しては、その利子補給の方途を講ずること。  以上附帯決議に対しまして、各委員の御協力をお願い申し上げる次第であります。     〔委員長退席、松田委員長代理着席〕
  38. 松田鐵藏

    松田委員長代理 椎熊三郎君。
  39. 椎熊三郎

    椎熊委員 改進党は本法案に対して賛成の意を表するものでありますが、この法案審議の過程において大蔵当局の明確なる意思表示がないことは、はなはだ不安でございます。従つてただいまのような附帯決議のようなものが出て来るのであります。私はこの附帯決議に盛られたる趣旨を十分、しかも強力に主張しつつ、わが党は本案に賛成いたします。
  40. 松田鐵藏

    松田委員長代理 辻文雄君。
  41. 辻文雄

    ○辻(文)委員 社会党といたしましても、本案にただいまの附帯決議を含めて全面的に賛成でございます。ただ要望いたしたいのは、椎熊君のお話のように銀行局長は——あなたの自由にはならぬのでありましようけれども、政府がどんなところにどうするかということについて心やりをもつてやるように、十分役所の方でも要求されて、本質的にこういうものが生きて来るようになし遂げるという決意で鞭撻し、実行していただきたい。こういうことをお願いいたしておきます。
  42. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案は原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 松田鐵藏

    松田委員長代理 御異議なしと認めます。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  次に赤路友藏提案の附帯決議を採決いたします。本附帯決議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 松田鐵藏

    松田委員長代理 御異議なしと認めます。よつて本附帯決議は決定いたしました。  なお本案に対する委員会報出書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 松田鐵藏

    松田委員長代理 異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————
  46. 松田鐵藏

    松田委員長代理 次に鯨油の価格安定問題につきまして田口委員より発言を求められておりますので、これを許します。田口長治郎君。
  47. 田口長治郎

    田口委員 世界のあらゆる資源で最も不足している資源の一つとして油脂資源の問題があるのでございます。ことにわが国におきましては、油脂資源がきわめて貧弱でありまして、日本人の体位向上から申しましても、日本の食糧問題解決から申しましても、油脂資源をどこに求めるかということが、国としてきわめて重大であつたのでございますが、幸いにこの南氷洋捕鯨が出漁できるようになりまして、年間四万トン程度の油脂資源が、これから得られるということになつておる次第でございますが、     〔松田委員長代理退席委員長着席〕 南氷洋捕鯨は、国際競争裡の漁業でございまして、オランダ、あるいはノールウエーとか、あるいは英国だとか、いわゆる日本と競争的の南氷洋出漁船団というものがあるのでございますが、油脂資源につきましては価格が安定しない事情がありまして、さような関係からいたしまして、各国といたしましてはいわゆる保護政策をどこもとつておるようでございます。たとえば英国などにいたしますと、とつて参りましたところの鯨油を、諸経費がかからないように、港についた直後において国で全部を買い上げる。あるいはオランダもまた同じようなことをやつております。ノールウエーに行きますと、国内需要の分だけを政府が買い上げる。あるいは保険料率を非常に安くする、あるいは利子を安くする。たとえば日本などで今使つておりますところの金利は、大体九分五厘程度の金を使つておるのでございますが、英国、オランダにおきましては、四分五厘程度の金を使つておる。かような状態で、非常に各国ともに漁業について保護政策をとつておるのでございますが、ひとり日本だけが放任主義である。何にも保護的の施設をやつていない。私らが考えますと、日本の油脂資源の不足は今いかようにして補つておるかと申しますと、主として米国から輸入をいたしますところの牛脂、あるいはまた米国から輸入いたしますところの大豆、あるいはフイリピンから輸入いたしますところのコプラ、こういうもので補つております。二十七年度の需要量だけを計算いたしましても、大体六万五千トンの牛脂、三万五千トンのコプラ、これだけのものを、しかもドル地域から輸入しておる、かような状態になつております。その反面におきまして、いわゆる第六次の南氷洋鯨油、本年の鯨油がどうなつておるかということを調べてみますと、大体第六次におきまして三万四千七百トン程度の生産があつたと思うのでございますが、今日まで内地で販売をされましたものは五千六百トンばかり、外国に販売されましたものが一万二千二百五十トン程度でありまして、いまだに約一万六千七百トン程度のものが滞貨しておるという実情になつておるのでございます。この滞貨をしておる一万六千七百トンのためにどういう結果が生じておるかということを調べてみますと、結局この次に持つて参りますところのいわゆる第七次の鯨油、これがおそらく来年の三月ごろからどんどん入つて来る次第でございますから、これの商談についてヨーロツパと打合せなければならない時期が今来ておる次第でありますが、この一万六千トンの滞貨のために、先方との商談におきまして、足もとを見透かされまして値段をたたかれる、こういうような実情にあります。また国内的に考えてみましても、国内で買つてもよいという大手筋もあるようでありますけれども、やはりこの滞貨で足もとを見られまして非常に値段をたたいておる。この値段をたたかれることは、鯨油業者自体としては何ですけれども、日本全国の零細なる魚油を生産しておる大衆に、鯨油が安く国内に出されると、価格の点において大打撃を与える。かような実情にあるのであります。この牛脂及び大豆、あるいはコプラ、こういうものの輸入防遏をはかる意味から申しましても、また日本の資源をできるだけ高く外国に販売するという点から考えましても、今滞貨しておりますこの一万六千トンの鯨油を、すみやかに政府において買い上げて、そうして第七次の鯨油の商談を成立させ、あるいは国内の小鯨油精製業者の圧迫をまぬがれしめる、かようなことが非常に必要ではないか、こういうことを考える次第でございますが、この問題に関しまして水産庁、及び食糧庁、この両方面におきましてはいかなるお考えを持つておられますか。すみやかに買い上げて、そうしていろいろな問題を解決する、かようにお考えになつてしかるべしと考える次第でございますが、この点につきまして両者の御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。
  48. 塩見友之助

    塩見政府委員 鯨油の問題につきましては、ただいま田口委員からお話のありました通りでございます。大体戦時中に日本の油脂が非常に不足したときに、当時ございましたところの約七万数千トン、これは日本の油脂年間総需要量の約半分にあたつております。それを当時の公定価格で全部政府が買い上げまして、それを戦時中の油脂の国内需要、民需の方に充てて来たわけでございます。また終戦後やはり同様に、その日本の油脂の不足というふうな現状からして、南氷洋あるいは内地の沿岸で生産されますところの鯨油を公定価格でずつと買い上げて来て、二年ほど前までは内地の需要をつないで来たわけでございます。その間外国との競争等の関係を見ますと、非常に捕鯨業者に対しては負担をかけた。すなわち外国では戦後において相当漁船等の償却も進んでおりますし、その他い、ろいろ有利な点を持つたわけでございますけれども、統制を続けておつたために、日本の捕鯨業者の方は償却が進んでおらぬ、こういう状態なのであります。また戦時中に持つておりましたところの船は、大半海軍の方に徴用を受けまして撃沈され、その当時補償政府でもつてやることになつておりましたのが、終戦直後の司令部からの命令で補償ができなくなつたというふうな関係で、損はそのままになつておりまして、それを全部金を借りてやつて行く、こういうふうな形態になつておりましたがために、外国に対する競争力においては非常に不利な状態になつてつたわけでございます。それが大体二年数箇月前に油糧公団がなくなり、油脂の統制がなくなると同時に、その当時の情勢からして外国の油脂資源が相当安く入つて来ますし、ことに本年あたりは相当な差があるというふうな関係で、資本の償却もできておりませんし、前の撃沈された船も借金してやつておるというふうなこともございまして、捕鯨の方は国際競争力において不十分な点がたくさんございます。また金利においても、日本の産業界全体が苦しんでおるところでございますが、金利が非常に高い。おそらく今田口委員のおつしやつた金利は、向うの金利は普通金利であつて、これは特別な政策金利ではないのでありますけれども、日本の普通金利に比べますと非常に安いというふうな関係、それから保険料の方においても、外国との対比をしてみますと、日本の保険料は非常に高い、そういうふうな関係から採算関係を見ますと、償却、金利、保険料等は相当な部分を占めておりまして、あとの労賃であるとか、経営能力であるとか各種の点下日本の捕鯨は、十分有利な力強いものを持つておるのでございますが、非常に大きな部分の償却、金利、保険料というふうな点について外国と競争ができないような状態になつてつて、その三つのものが生産費のうちのほとんど半分くらいを占めておるという状態でございます。その半分のものが外国と比べますと非常に高いという関係から、非常に不利な状態にあるというのが現状でございます。  もう一つ捕鯨について申しますと、ことに南氷洋捕鯨は、その年の夏ごろから準備しまして資金を借り入れて、十一月ないし十二月に南氷洋に出かけまして、とつたものが日本に四月に入る、四月に入つたものは、翌年の三月までの年間需要に充てるものを日本に残してあと輸出しなければならないという状態にあるわけでございまして、一ぺんにどつと持つて来る関係から、非常に値がたたかれやすいという点と、また借金して出漁しておるわけですから、四月に持つて来たものが売れない間は借金が返せない。しかも出漁の方はそれが売り切れる前に出漁しなければならないためにまた資金がいるというので、どうしても企業の性質上二重の借金という形になつて参るわけです。この額が非常に厖大で、昨年は当初三十億、あとつなぎ資金等で数億を借りましたけれども、ことしは倹約をしまして二十五億、こういうような厖大な資金になりますので、前年の借金も返さないままでまた次の出漁の資金を借りて行かなければならない。それがまた二重の借金になつて、滞貨融資という性質に見られがちでありますのと、銀行もそういう点を非常に懸念して引締めて参りますし、また額も大きいものですから、四十数行の協調融資になつており、その間の意見が合致しませんと融資ができないということになつております。これは前年もそうでございますが、今年もさようでございます。大体金融関係者の方は、そういう性質のものは、普通の金融ではとうていまかなえない、金融ベースに乗らないというような意見でございます。これは日銀はもちろんでございますが、その他の銀行関係あるいは銀行局、あるいはその前に安本のあつた当時の財政金融局等の意見でも、これは普通の金融ではとうていまかない得ないという状態になつております。そこで水産庁といたしましては、この夏にそういうような関係者の方と協議しました結果、金融はむずかしいというような結論が出ましたので、これは政府でもつて臨時的に買い上げて、金融の方を安定させてつけるというほかに方法がないのではないかというようなことから、臨時的に食糧管理特別会計において買上げて、金融の方をつけて、この企業の安定を期そうという方針をきめて、大蔵省と折衝したわけでございまする大蔵省の方といたしましては、油糧公団の廃止をやり、その他竹馬の足を全部切つてつた関係からして、急速にそういうようなものをまた元にもどすというふうな形には持つて行きにくいという、主としてこれは主計局、大蔵大臣等の意見でございますが、そういう点で、その問題がうまく進んでおらないわけであります。  また買いたたきの点については、御存じの通り、世界的な油脂の大資本であるユニ・レバーが市場を大体統制しておりまして、そういう金融がつかないというような意味の足元を見るような態度で買いたたいて参る、ことに四月にとつて来た直後においては、国際相場は必ずたたかれるというような状態でありまして、国際収支を考える上からいつても、非常に日本としては不利な状態にあるわけであります。それに対する政府の買上げについては、今までそういうような意味で、臨時的に食管で買い上げるという線でいろいろ検討しておつたわけでございますが、これはある程度恒久的な線としても検討して参らなければならぬのではないかと考えて、今買上げの方法その他について検討中でございます。これの一番の難点としては、大蔵省の方において反対が強いということでありまして、なかなか進捗しおらないわけでございます。大体そういう状態にあるわけであります。
  49. 福永一臣

    福永委員長 速記をやめて。     〔速記中止
  50. 福永一臣

    福永委員長 速記を始めてください。
  51. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの水産庁長官の御説明によつて政府としても非常にこの問題について御努力になつておるということも了承する次第でございますが、この問題について根本的の問題はまさにただいまの御説明の通りでございますが、ただ私らはこの国際収支の関係から申しまして、今ドル地域から牛脂、コプラ合計して少くとも十万トン程度の輸入をしておる、しかも国内で生産されるところの鯨油が、われわれの食糧、ことに食糧の硬化油として、ほとんどマーガリンなんかは五〇%以上がこの鯨油にたよつている点と、日本の産業としてきわめて重大である南氷洋の捕鯨が、国際的に非常に苦しい立場にある点とを総合して考える場合におきまして、これは大蔵当局の技術的の操作が困難であるから実行ができない、かような問題でなしに、国策として必ず実行しなければならないと考える次第でございますが、ちようど食糧庁長官が本委員会にお見えになりましたから、国としてこの鯨油が、マーガリンその他の食糧として欠くべからざるものである、かような観点に立ちまして、さしあたりこの一万六千トンの滞貨のために、来るべき鯨油の商談もできないで困つておる、あるいは無理に国内に放出いたしますと、全国の零細漁業者の魚油を圧迫する、かような立場にありますから、食糧庁としては今後大蔵省とも折衝し、すみやかに滞貨一万六千トンを購入してしかるべきだ、かように考える次第でございますが、食糧庁長官は、この点に関しましていかようなお考えをお持ちでございますか、御意見を承りたいと思うのであります。
  52. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 鯨油のことにつきましては、ただいま水産庁長官からいろいろ詳細なお話がございましたが、食糧庁といたしましては、特別会計で鯨油を買つた例はまだございません。食糧管理特別会計法では、食糧の管理をやる会計でございまして、従来根本法がない場合において、臨時的に澱粉を買い上げました。若干食糧を買つておる例はございます。鯨油そのものを根本的に国で買い上げるということでございますと、やはり根本的な方針、制度を確立いたしませんとなかなか困難ではないかと考えますけれども、臨時的の措置であれば、食糧管理特別会計法の運営で不可能ではございません。そこで鯨油を買います場合におきましてのいろいろな難点等については、全部水産庁長官から申し上げた通りでございます。本庁といたしましても、国民食糧の安定ということに重大な責任を持つておるのでございます。ことに人造バター等は戦後非常に増加いたしまして、消費も大体十倍以上出ております。従いまして、これの原料である鯨油の価格安定が最も重要であることは言うまでもないことであります。国際的にも非常に影響があり、国内的にも他産業に非常に重要な関係のある鯨油の価格を、どういう価格で安定するかにつきまして、絶えず水産庁と連絡をいたしております。民間金融でやるか、政府買上げでやるかということについて、食管特別会計で臨時的にこれを買うということが全体から見てできれば、私の方としても強い熱意を持つてこれの実現をはかりたいという希望を持つております。補正予算等におきましては、鯨油を買い上げる予算というものは計上してないのでありますが、食管特別会計は企業的会計でありまして、借入れができる限り目等の設定が許されれば、買うことについての可能性はあるわけであります。事態の推移に即応いたしまして、水産庁とも連絡の上、解決に努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  53. 日野吉夫

    ○日野委員 ただいまの問題は非常に大きい問題であります。従つて関連する部面が非常に多いことと、それによつて影響するところが非常に甚大であるという関係から、一応拝聴して、これを水産資源の小委員会にまかせて、さらに検討をして決定したい、こういう動議を出すのでありますが、これは価格政策と重大な関連を持つて来ることが考えられる。国の食糧政策に対しても重要な関連があります。今田口委員から述べられたように、中小企業者に対しても価格面において重大な関係を持つことは大体予想がつきますし、さらに今の説明で国際関係に及ぼす影響が非常に甚大である。これらの扱いをするためには、各国が今日までとり来つておるところの実例等ももつとよく調べて対処する必要があるのではなかろうかという意味におきまして、非常に重大視する関係から、水産資源の小委員会にこれを一応付託して、ここで十分検討の上、さらに関連関係が非常に広いから、全体の委員会においてこれを決定する、こういう運びに持つて行きたいと思いますので、どうかそういうふうにお願いいたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  54. 椎熊三郎

    椎熊委員 ただいまの動議のような形で小委員会へ持ち込むということも一つの考え方かもしれませんけれども、水産庁長官食糧庁長官のお話を聞くと、当委員会などで決定してみたところで、政府の方針が確定しなければ買上げの実施ができない、ただ単に農林当局が買う方針だということだと、先般の澱粉買上げのごとき、いわゆる廣川方言に類するようなことがあつては、利益もあるが、かえつて弊害を伴う結果になると私は思う。そこで、今時期としてぱ非常に急ぐという長官の話だけれども、大蔵当局ががんとして聞かない。そうすると間に合わないことになる。ただいま食糧庁長官のお話を聞くと、食管特別会計では、ある程度買い上げることができるということであるが、それは国内の滞貨一万六千トン全部を買い上げるだけの資金的措置ができるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  55. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 食管特別会計は、歳出項目といたしまして米麦その他澱粉等を計上いたしておるのでありますが、率直に申しますと、米麦その他が計画通り参りませんとそれだけの資金は出て来ないのであります。何しろ厖大な数量を扱つておりますので、見込みと実際とは若干違つて参ります。いつも資金的には計画通り参りません。そこで借入れ限度が年度末に問題になつて来るのであります。年度末の千四百七十億というものが食管の借入れ限度であります。この借入れ限度で参りますれば、あとは項に従つて買い上げるものは買い上げる。そこで鯨油になりますと、これが人造バターの原料というような一つの食糧であれば、食糧管理特別会計法の食糧と解釈ができる。そういうものを買うのには、予算上の措置はないのでありますが、目の設定をいたすわけであります。これは国会の御承認を得なくても、法的にはできるのであります。問題は、資金がどれくらいの量であり、どれくらいのわくになるか、こういうことになると思います。われわれは技術的には人造バターの原料になるものということで、一つの限定を置いていただくことが食管としては必要だ。もう一つの資金全体のわくがどれくらいになるかという問題は、米麦のうち、特に米の集荷の模様によつて若干の影響がございますので、今後の推移によつて検討いたさなければならぬ、こういうふうに考えております。
  56. 椎熊三郎

    椎熊委員 そこで水産庁の方で方針を放送しただけで、すでに外国の相場が違つてくるというような状態だそうだが、それが現実なんです。そこで食糧庁長官の方で国内需要のバターの方にまわす分だけは資金的措置が何とかやりくりがつきそうだと私は解釈しておるのです。それだけの意思表示をしただけでも世界的価格の上に相当の影響があるものだと思うのだが、どういうものでしよう。
  57. 塩見友之助

    塩見政府委員 その点は相当影響はあると思います。
  58. 福永一臣

    福永委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  59. 福永一臣

    福永委員長 速記を始めてください。
  60. 椎熊三郎

    椎熊委員 その通り非常に微妙だと思うのです。事いやしくも公開のこういうところでやつていて、秘密が保てるわけがない、必ずこれは漏れると思います。漏れてなお悪影響のないような話合いの仕方は幾らも私はあり得ると思う。そのためには鯨油の世界的価格を維持し、日本の貿易関係に好影響をもたらし、業者も助け、あるいは零細なる漁民等を救うことができる措置考えられ得るならば、それが一番適切なんです。それを今食糧庁長官の話によると、国会の承認を待たずして、買い上げる方法があるということであるならば、それを英断をもつて断行したらどうか。もし失敗したら、その責任は諸君が負えばよい。国家奉公の重大責任を持つておる方々なんだから、これが国のためによいと思うならば、しかもそれは国会の協賛を経ずしてあなたの権限内でできることだとするならば、今聞いた通りの話が実情であるならば、断行すべきである。しかも予算要求において、閣議の一時間前まで十五億積み上げておつた。いかに農林当局というものが大蔵省の前に脆弱なものか、これは実に情ない話なんです。そういうことでこの重大な問題が解決できますか。閣議の席上で大いに論争すればいい。今度廣川君などはやれるでしようが、小笠原君はなつたばかりでやれなかつたのでしよう。こういう際に外部に向つて放言せずに、閣議に向つて放言したらどうか。農林大臣を呼んでとくとひざ詰め談判をしてみたい。そこで私はお伺いしてみたいのは、覚悟はどうか。あなたはやる気かどうか。やる気がないと言つても、すぐ市場に響きますよ。やるともやらぬとも言うならば、私は陰でお聞きしたい。
  61. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 食糧庁は買い上げる場合には必ず買い上げることになりますが、事重要でありますので、決定いたしますまでは、何とも申し上げることはできません。
  62. 福永一臣

    福永委員長 そこで先ほどの日野委員からの動議の件でございまするが、要するに、国際関係が非常に微妙でございますから、私はその点が重点だと思います。取上げる小委員会は、先ほど水産資源に関する小委員会ということでありましたが、私は取上げるとすれば、貿易に関する小委員会ということで限定して、各国の情報なり、いろいろなやり方をつぶさに検討して行きたいと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 福永一臣

    福永委員長 入つてない方も関心を持つていただきまして、さよう決定いたします。  本日はこの程度にとどめ、次会の開会日時は公報をもつてお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後零時三十八分散会