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宮川参考人 貴重な時間をさいていだだきまして、われわれ
漁民の声を聞いていただくということに対しまして厚く御礼を申し上げます。
私は
神奈川県茅ケ崎市の漁
業協同組合長であります。全国相当数の
駐留軍の演習区域がございますが、私
どもの所の演習状況を申し上げまして、各
先生方の御判断によりまして何とか善処していただきたいことをお願い申し上げるものであります。
当地
茅ヶ崎は
終戦前までは海軍の演習地にな
つてお
つたのでありますが、
終戦後、進駐軍が毎日のようにその土地を利用し、海岸を利用し、海を利用して演習をやられたのであります。講和が発効された後はこの演習もなくなるだろうというふうに考えて
漁民みんなが喜んでお
つたのでありますが、今度ははからずも
行政協定による演習地の指定を受けまして、三キロかそこらの間に第一オーボー、第二オーボー陸上演習地区と指定されたのであります。それもやむを得ないことでありますが、
行政協定の付記でありますところの時間とか、通知とかいうものは、ほとんど空文にひとしいのであります。午前十時から午後四時までとな
つておりますが、第一オーボーで演習のある場合には、第二オーボー地区では
操業、
航行の自由を与える。反対に第二であ
つた場合には第一は支障がない。上陸演習のない場合には、第一、第二オーボー地区の
漁業並びに
航行は自由であるということにな
つておるのでありますが、それが
一つも守られておらないのであります。そのためにか
つて外務大臣の岡崎先生のところにも参りまして何とかしていただけないでしようかと、私、直接先生にお目にかか
つて申し上げたのですが、それは
行政協定できめられているんだからしかたがないじやないか。いや、私
たちはそれをやめてくれとは決して申すのではありません。身の安全を保
つて許された時間を、許された区域内でも
つて漁業をさしていただきたい。こうお願いしたのでありますが、一言のもとに、それは
行政協定できめられてあるんだから、しかし、
漁民のために善処はする。こういう
お話でございました。その後にキヤソプマギフ司令官並びにルブロー准将でありますか、その
方々に直接お会いしたのであります。時間の差と演習は十五日前に通達をすると、はつきり書いてあるのでありますが、それが決して十五日前や十日前ではなく、二、三日前に来るのであります。しかも演習がない日に大演習をされる。十一月の七日のごときは、沖に大きな舟が三十数はい来て、一そうの船から上陸舟艇が二、三十そう出まして、海岸には戦車二百数十台が来て射撃をどんどんやります。射撃演習、上陸演習の場合には、こういう
たまがぴよこぴよこと飛ぶのであります。われわれが張
つておりましたところの定置の網にこの
たまが
一つあ
つたのであります。こういうふうで、身の安全はとうてい得られないのであります。これを言いまして、またわれわれ知識のない者には、東経何度、北緯何度といわれても、さらにわかりませんから、
海上にその標識を立てていただきたい、こう申し出ると同時に、お願いする以上は、われわれの方でも標識を立てるからとお願いしたのでありますが、依然として標識は何ら立てられないのであります。ために東経あるいは北緯とか申しましても、
海上では、さらにわからないのであります。それで再三シヤンクロ大佐、ルブロー准将にお願いいたしましたところが、
予算がなくてとてもできないという
お話でございました。
予算によ
つて人命が左右されるというのでは、私
たちはなはだ困ります。ぜひお願いいたしますと申しましたら、パトロール船をそこにすえるからという
お話でございました。その後第一オーボーで——第一オーボーと申しますと、諸
先生方御存じだと思いますが、直接射撃の所でございます。その射撃される
たまは、戦車砲でございまして、先が飛んでしま
つてありませんがこれでございます。これがどんどんと撃ち込まれますので、先ほど申し上げた
通り、第一オーボーでやるときには、第二オーボーはさしつかえないという
お話でございますから、第ニオーボーで
漁業をや
つておりますと、警戒艇が参りまして、
いかりをぽんとほうり込んでえらいスピードでも
つて圏外にほうり出されてしまう。しかしながら
行政協定にある
通りの場所でや
つておりますから、さしつかえないのでありますが、そういうふうにしてしまわれるのであります。
そういうような事情でございまして
先生方御存じでもございましようが、私の方には江の島とつながる所に烏帽子岩というのがございます。それは
漁民が沖から上
つて来るときの唯一の目標なのであります。それがこの
たまによ
つて形なきようにこわされております。その烏帽子岩の岩礁地帯を基地として、さざえとか、あわびとかいうものの養殖をするために、二百万円ばかり投じたのでありますが、現在はそこにとりに行くことができず、月に二十日以上も演習を実施されておるのであります。私が
先生方にお願いしたいことは、演習をやめていただけば、これに越したことはありませんが、それはとうていできないことでありますから、何とかして安全なる
操業をさしていただきたい。と同時に、二十五、六年にいただきました演習
補償が二百二十万円ほどであります。これは
漁民の稼働日数にもよりますが、二十五年、六年において一家庭に渡る金が、年間約三百円でございます。県庁へ二、三回
陳情上しますと、弁当も食えないという
状態でありますので、何とかして演習
補償の増額をこいねがうと同時に、
補償金交付手続を簡単にしていただきたい。今度はそれを調達局でお取扱いになるという
お話でありますが、過年度において、手続をするのに、一人で約一寸ぐらいの厚さの書類を書かなければならない。
漁師でありますから、書くとか読むとはなかなかできないのであります。それも
組合でや
つておりますが、この複雑をなるべくはずしていただきたい。はなはだ手前みそで恐れ入りますが、射撃演習をされるならば、目標を置いてするように
駐留軍の方に現在お願いしておりますが、われわれの方ですと、俗に申しますごまめの歯ぎしりで、さらに受答えがないという
状態なのであります。権威ある
委員各位におかれまして、演習
補償の増額——これは茅ケ崎ばかりでございません。演習によ
つて被害を受けておられる方は、全国にたくさんおありになると思います。
防潜網もしかりでありますが、この演習について、ぜひとも身の安全を私
たちにはからしていただきたいということをお願いいたしまして、
先生方の御支持を仰ぎたいと思います。ありがとうございました。