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1952-11-14 第15回国会 衆議院 水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月十四日(金曜日)     午後一時二十二分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 田口長治郎君 理事 松田 鐵藏君    理事 大森 玉木君 理事 日野 吉夫君       宇都宮徳馬君   甲斐文治郎君       川村善八郎君    薄田 美朝君       椎熊 三郎君    志賀健次郎君       白浜 仁吉君    井手 以誠君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局長) 倭島 英二君         外務事務官         (アジア局第二         課長)     広田  積君         水産庁長官   塩見友之助君         農林事務官         (水産庁生産部         長)      永野 正二君         農林事務官         (水産庁生産部         海洋第二課長) 増田 正一君         農 林 技 官         (水産庁生産部         海洋第一課長) 尾崎順三郎君         海上保安庁次長 山口  伝君         海上保安官         (警備救難部         長)      松野 清秀君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 十一月十二日  防潜網の撤去等に関する陳情書  (第七  三号)  瀬戸内海水産開発に関する経費の予算計上の陳  情書(第七四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  公海漁業に関する件     ―――――――――――――
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  小委員及び小委員長選任につきましては、前回の委員会におきまして委員長において指名することに相なつておりますので、この際各小委員及び小    委員長を御指名申し上げます。なお各小委員会の小委員の員数につきましても、委員長に御一任を願つておりますので、各小委員の数はいずれも十一名として、その割当につきましては、各派の所属委員数の比率によりまして、自由党が六名、改進党が二名、社会党の左右両派及び無所属はおのおの一名といたしました。  それではこれより御指名をいたします。  公海漁業に関する小委員長大橋忠一君、同小委員に、      甲斐文治郎君    加藤常太郎君       川村善八郎君    田口長治郎君       福永 一臣君    松田 鐡蔵君       椎熊 三郎君    志賀健次郎君       日野 吉夫君    山中日露史君  水産貿易に関する小委員長には白浜仁吉君、同小委員には、       宇都宮徳馬君    加藤常太郎君       薄田 美朝君    塚原 俊郎君       福永 一臣君    松田 鐡蔵君       大森 玉木君    辻  文雄君       井手 以誠君    大橋 忠一君  水産金融に関する小委員長には赤路友藏君、同小委員には、       宇都宮徳馬君    甲斐文治郎君       薄田 美朝君    濱地 文平君       福永 一臣君    松田 鐵藏君       志賀健次郎君    中村庸一郎君       杉山元治郎君    大橋 忠一君  水産資源保護増殖及び漁業取締にる小委員長には宇都宮徳馬君、同小委員には、       加藤常太郎君    鈴木 善幸君       田口長治郎君    塚原 俊郎君       福永 一臣君    白浜 仁吉君       中村庸一郎君    辻  文雄君       井手 以誠君    大橋 忠一君  漁業制度に関する小委員長には杉山元治郎君、同小委員には、      甲斐文治郎君    川村善八郎君       鈴木 善幸君    塚原 俊郎君       濱地 文平君    福永 一臣君       大森 玉木君    白浜 仁吉君       赤路 友藏君    大橋 忠一君  漁港、漁船及び漁業災害補償に関する小委員長には薄田美朝君、同小委員には、       川村善八郎君    鈴木 善幸君       田口長治郎君    濱地 文平君       福永 一臣君    椎熊 三郎君       志賀健次郎君    日野 吉夫君       山中日露史君    大橋 忠一君をそれぞれ御指名いたします。     —————————————
  3. 福永一臣

    福永委員長 次に公海漁業に関する件について調査を進めます。従来より韓国水域、いわゆる李ラインにおいて、日本漁船がしばしば被害をこうむつておりますが、この間の経緯について、各委員より質疑の通告がありますので順次これを許します。  なお本日出席されておる政府説明員としては、水産庁塩見君が、ただいま出席されておりませんが、いずれちよつと遅れて出席されることになつております。ただいま見えておりますのは生産部長永野君、海洋第一課長尾崎君、海洋第二課長増田君の三名であります。それから海上保安庁関係では、次長山口君、警備救難部長松野君でございます。なお外務省アジア局長は後刻出席することになつております。ただいま見えておるのは、アジア局第二課長広田君であります。  これより質疑を許します。田口長治郎君。
  4. 田口長治郎

    田口委員 私は朝鮮水域漁業問題につきまして質問いたしたいと思うのでございますが、その質問範囲は主として外務省でございますから、アジア局長が御出席になることを切に希望する次第でございます。  まず朝鮮水域の問題につきましては、最近潮流関係その他の関係からいたしまして、日本沿岸あじさばの回遊が非常に少くなりました。漁場が主として北の方に偏しておる関係からいたしまして、今日本から朝鮮水域に出漁しておる漁船が大体千五、六百そう、従業員が三万人程度あるのではないかと思うのでございます。漁獲高にいたしましても、おそらく二十一、二万トンの生産を上げておりますし、これを金額にいたしますと、七十億程度漁獲金額になるかと存じておるのでございます。国家の食糧問題から考えましても、あるいは漁業者の経済という点から考えましても、朝鮮水域における日本漁業というものは、きわめて重大なる位置に置かれておる次第でございますが、最近この水域におきまして、われわれが非常に困つておる問題は、韓国李承晩大統領は、いわゆる李ラインを設定しておる、また国連軍はあの水域にク・ラインを設定しておる、かようなことで、国際法上から申しましても筋の通らないいろいろな問題によりまして、日本漁船ほんとう仕事をする場所であります朝鮮水域拿捕問題、あるいはいろいろな不祥事件が起つて日本漁民の意気を非常に喪失させておるばかりでなしに、ほんとうになけなしの財産である漁具、あるいは船を没収される、あるいは抑留された漁業者は、先方において食糧その他において非常に困つておりまして、病人が続出するような状態に置かれておるというような、きわめて漁業上重大なる問題が起つておる次第でございます。しかし今日まで議会が総選挙あるいは休会によりまして、その実情をよく政府当局から説明を受けるような機会がなかつたために、その後の経過について私らはいろいろ質問したい問題があるのでございますけれども経過そのものについて詳細に政府から御説明を願いまして、その御説明によりまして、この問題について私は一問一答をしたいと存ずるものでございますから、まず水産庁からこの問題の経過につきまして、この際承りたいと思うのであります。
  5. 永野正二

    永野説明員 ただいま御質問のございました朝鮮水域におきまして、韓国側考えております李ライン、あるいは今般国連軍司令官によつて行われました防衛水域等のために、日本漁業に重大な問題が起つておるということはただいま御指摘の通りでございます。この問題につきましての対外的な交渉の経過は、外務省当局から御説明を申し上げる筋合いになると思いまするので、後刻アジア局長からその点は御説明を申し上げることにいたしたいのでございます。水産庁当局といたしまして関係しております範囲におきまして、この問題の経過につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  まず第一に韓国の側がとつております措置でございますが、御承知通り講和条約が発効いたします前におきまして、韓国わが国漁船をあるいはマツカーサー・ラインに違反しておるというような理由をもちまして、船の拿捕をいたしましたり、あるいはこちらの漁獲物を強奪いたしましたり、あるいは乗組員に対して銃撃その他の不法行為を加えたというような問題は非常に多数くありまして、これに対しましてはその都度、占領当時でございましたけれども、適当な方法をもちまして厳重抗議、あるいはその拿捕船返還等を交渉して参つたのでございますが、講和発効とともに日本漁船行動制限しておりましたマツカーサー・ラインは解消いたしまして、当然わが国漁船韓国領海のそとの公海におきまして漁業ができることになつたわけでございます。この講和発効後におきましては、幸いに韓国側の、漁船拿捕漁獲物の掠奪というような不法行為は一時まつたく影をひそめておつたのでございます。ところが、この問題とは別に、本年一月に李承晩大統領によりまして、韓国周辺の大陸だなにおきまして、そこの資源の利用を韓国のために保留するという趣旨におきまして、韓国側の一方的な管轄権主張せられたのでございます。これがただいま御質問によつて質されました李承晩ラインでございます。これは現在の国際法及び国際慣習から見まして、まつたくこれに違反したものであると考えております。公海の上に一方的に広い線を画しまして、その水域内における漁業を一方的に沿岸国管轄のもとに取締るというような主張は、わが国としてとうてい承認することができないのみならず、現在の国際法段階におきましてもこういう主張は全然根拠がないとわれわれは考えております。ただ現実には、この宣言が出た後におきましても、この宣言を裏づけて、具体的にわが国漁船に対して一方的にこれを取締るというような事実上の行動がなかつたのでございます。この点は、現在におきましても、韓国側の態度は必ずしも明らかでございません。この一方的な李承晩ライン主張を具体的に日本漁船に適用するという点につきましては、いろいろの動きは察知せられますけれども現実にこれをわが国の船に適用するという例はいまだ見ておらないようでございます。必ずしもあらゆる日本漁船に対して現実に力をもつてこれを実行する段階にはないようでございます。しかし八月及び九月におきまして、わが国の底びき漁船及びさばまき網漁船が、公海において操業中であるにもかかわらず、これを領海侵犯と称して拿捕した事件が起つたのでございます。これにつきましては、われわれはすぐ外務省当局を通じまして、問題の操業公海の上において行われておつたものであるというわれわれの側の根拠を示しまして、韓国側に厳重な抗議の申入れをいたしておるのであります。  それから、その次の国連軍司令官によつて行われました措置の問題でございます。これはわれわれとしては全然事前連絡がなかつたのでございますが、突然九月二十八日のわが国新聞紙上に、国連軍司令官軍事上の必要に基いて朝鮮半島周辺水域に一定のラインを画し、このラインの中における船舶行動取締るというような報道が行われたのでございます。私どもは、この水域におきまするわが国漁業利害関係が、先ほどお触れになりましたが、非常に重大なものがございます。この点は、単に先ほどお触れになりましたあじさば漁業のみではございません。以西の底びき、あるいはさばの一本づり、あるいは以東の底びきというような、各種の重要な漁業、その他いろいろな雑漁作業行発ておる漁場でございまするので、ここにおきまして日本漁船行動制限せられるということは非常に重大な問題でございまするので、この点につきましてわが方の漁業利害関係の重大なことをつけ加えまして、アメリカの大使館に対し、この措置内容を問い合せたのでございます。これに対する回答及びこれについての折衝ぶりにつきましては、外務省当局から申し上げることが適当であろうと存じまするが、現在までれわれの聞いております範囲では、この水域についての制限は、必ずしもあらゆる船舶の航行及び漁撈を全面的に制限するものではない。ただ作戦行動のため必要やむを得ない場合には、ある程度船舶の航路を変更させ、あるいはその船舶の存在が国連軍軍事行動脅威を及ぼすというような場合には、その船舶をこの区域から立ちのかせるというような内容のものである。この水域にある船は、原則としてこれを拿捕するというようなことはない。ただ環境から見て、非常に疑わしい場合には、あるいはまた極端に反抗の行為があるときには、これを拿捕することもあるが、それ以外には拿捕というようなことはない。こういう意味制限を持つておるものであるということが現在まで判明いたしておるのでございます。もちろんこの措置建前といたしまして、こういうことが国際法上承認できるものであるかどうかという建前の問題もございまするが、とりあえずの問題といたしましては、われわれは日本漁業者が、その必要に応じてできるだけ自由に漁業操業をやるということを確保することが、当面の最も重要な問題でございますので、この点につきましては、たとえば軍事行動の必要によつて船舶行動制限が必要な場合には、なるべく具体的にその制限の必要のある旨を事前に通報してもらう、あるいはわが国漁船が、国連軍軍事行動に対して、たとえばスパイを運ぶとか、あるいは武器を供給するとか、そういうような妨害行為をやるようなことは、もちろんわが国漁業者としてはないと信じておりますので、わが国適法に出漁する漁船に対しましては、適法に出漁する漁船であるというわが政府の方の証明書を与えまして、これによりまして不当に漁場において臨検をされ、あるいは立ちのき命令を受けるというようなことのないように、証明制度を行いたい、こういう方針で現在までこの国連軍防衛水域につきましては適当な方法を講じて、わが国漁船がここへ出漁するというふうに問題を解決して参りたい、こう存じているのでございます。  大体現在われわれが関知しておりますこの問題の経過といたしましては、ただいま御説明を申し上げたような次第でございます。
  6. 田口長治郎

    田口委員 ただいま水産庁から説明がございましたが、次に外務省でこの問題についてとられました経過につきまして御説明願いたいと思います。
  7. 福永一臣

    福永委員長 倭島局長はやがて出席いたしますが、ただいまはアジア局第二課長広田君が来ております。
  8. 田口長治郎

    田口委員 局長は何時ごろおいでになりますか。
  9. 福永一臣

    福永委員長 もう間もなく見えるような様子ですが、あと十分ばかり待つていただけますか。
  10. 田口長治郎

    田口委員 それでは漁業取締りにつきまして、保安庁お話を承りたいと思うのであります。われわれが山県あるいは長崎県方面に旅行しますと、朝鮮海域については保安庁船舶が一つも活動していない、水産庁取締船だけが活動している。かような意味におきまして漁業取締船といたしましては、水産庁取締船の強化をはかつてくれ、こういうような話があるのでございますが、何か沿岸外漁業取締りについて、保安庁水産庁とで分担その他のことがあつて、さような結果になつておるのかどうか、その点について御説明を願いたいと思います。
  11. 松野清秀

    松野説明員 それでは公海におきまする日本漁船保護につきまして、海上保安庁のとつております方針の概略についてお話申し上げます。  講和発効前におきましては、御承知のように、海上保安庁巡視船はそれぞれその基地を中心としまして百マイル圏以遠哨戒原則として制限されておりました関係で、占領当時におきましては、海上保安庁としましては、単に漁業者に対しましてマつカーサー・ラインを侵犯しないように自粛を喚起しますとともに、不幸にして事件が発生しました際には、すみやかに関係各庁に連絡をしますとともに、占領軍当局にお願いしまして、事後の措置につきまして善処方を要望して来ていたにすぎなかつたのであります。しかしながら講和発効後におきまする拿捕事件対策につきましては、講和発効に伴いましてマツカーサー・ラインが撤廃される、また海上保安庁巡視船につきましても行動制限が解除される、なお日本政府は承認しておりませんが、先ほどお話がありましたように、韓国は本年一月に海洋主権宣言をしておりますとか、その他のいろいろの事情を予想しあるいは勘案いたしまして、海上保安庁といたしましては、本年三月ころから水産庁並び外務省と慎重に協議、検討を重ねて参つていた次第でありまするが、五月二十三日の閣議におきまして、海上保安庁水産庁と協力いたしまして、日本漁船が他国の領海を侵犯しないように監視取締りを徹底し、ひいては国際紛争を起さないように努めると同時に、適法操業する日本漁船に対しましては極力これが保護に当る、こういうことに閣議決定を見るに至りましたので、爾来海上保安庁といたしましても、水産庁と緊密な連絡のもとに、これら出漁船監視及び保護に当つて参つている次第であります。しかしながらこの閣議決定拿捕事件対策を推進するにあたりましては、また不必要に関係国を刺激しないようにということになつておりますので、海上保安庁といたしましては、韓国関係においてはまず一応相手側の出方を注視することにいたしまして、去る八月十四日に講和発効後最初の拿捕事件が起りました際にも、実はただちに巡視船を派遣することを見合せまして、支那東海方面哨戒に出ております巡視船の行き帰りに朝鮮水域哨戒させる、この程度にとどめておつたのでありますが、さらに九月十二日に日本漁船三隻が拿捕されるに至りましたので、爾後海上保安庁といたしましても、朝鮮水域巡視船一隻ないし二隻を常時出動させることにいたしまして、今日に及んでいる次第であります。なお今申し上げましたように、九月中旬から巡視船朝鮮水域へ派遣するようになりまして以後は、幸いにしてまだ拿捕事件は起つていないのであります。しかしながら十月十三日には済州島の南東及び東方海域におきまして、これは済州島から十海里ないし三十海里の海域でありますが、日本漁船十数隻が韓国の艦船から襲撃発砲された事件があり、また十月二十五日には済州島の南々東約四十海里の海域におきまして、海上保安庁巡視船韓国軍艦から信号発砲によつて停船命令を受けたような事件もありまして、海上保安庁としましては、この情報を総合してみますと、十月十三日以降の事件におきましては、相手方は必ずしも拿捕するという意思はないようでありまして、威嚇発砲によつてこの海域から立ちのきを強要しようとする処置のようではありますが、いずれにしましてもきわめて不当な行為であり、かつ日本漁船に対して多大の脅威を与えていることは事実であると見ておる次第であります。しかしながら海上保安庁といたしましては、北方水域及び支那東海水域を含めまして、この拿捕事件対策のために現在巡視船の優秀な新造船十二隻を専従せしめまして、その五隻ないし六隻が常時前線の哨戒に当るように措置しておりまして、今後も閣議決定の線に沿いまして極力哨戒を実施視る考えではありますが、何分にも巡船の現有勢力は総勢九十三隻でありますばかりでなく、その約半数は老朽かつ低性能船でありまして、従来から平素業務だけにでもなお相当手不足を感じておる実情でありますので、巡視船勢力がさらに拡充強化されない限り、これ以上この拿捕事件対策のために巡視船をさくということは非常に困難な現状にある、こういう状態であります。
  12. 田口長治郎

    田口委員 ただいま保安庁からの説明によりまして、大体今日まで朝鮮水域拿捕事件が起つた期間中は、保安庁の船は主として支那東海の方を巡視しておつて、その行きと帰り程度朝鮮水域を見まわつたというようなことがはつきりいたしておりますし、また保安庁取締船行つた後においては問題が起つていないということは、保安庁取締船がその海域に遊弋しておればそういう問題は起らないというふうにも考える次第でございます。取締船の数が非常に少いという点はやむを得ませんが、しからばこの数の少い取締船におきまして、重点的にこの次にはどの海域監視するかという問題について十分御研究を願いたいと思うのでございます。拿捕事件が起りましたその期間におきましては、海上保安庁取締船は—あの広い支那東海の海面においてはわずかしか操業していなかつた。これに対して朝鮮海域における当時の状態を見ますと、非常にたくさんの船が、しかも小区域仕事をしているというような実情でありまして、私らから考えてみますと、この小区域にたくさんの漁船が集中している時期には、その海域を主として取締つていただく、かようなことができれば、拿捕事件その他の問題は起らないで済んだのではないかと思います。こういう意味におきまして、海上保安庁漁業の実態をよく把握してくださいまして、少い船舶でございますから、重点々々にこれを配置するというような取締り方法を私は切に希望せざるを得ない次第でございます。なおこの朝鮮海域漁業は、大体四月ぐらいから十月ぐらいまでがあじさば魚場でございまして、十一月から十二月程度が底びき網の漁期になる、かような実情でございまして、少くともあじさば漁船がまだ相当向うにいるような実情でございますから、ほかの方面漁業取締りもさることながら、この非常に狭い所に集中して漁業をやつている、しかも国際法上から見ても、朝鮮でおかしなことをやつている海域におきまして、特に取締りということについて御留意を願いたいと考えるのでございます。ただいまの御説明にあつたように、取締船が少いというような観点からいたしまして、取締り方法についてぜひひとつ重点的に水産庁と時々刻々御相談を願い、少い漁船を最有効に使用していただくということについて、一段の御努力を願いたいと考えるのでございます。  さらに私は水産庁にお伺いしたいと思うのでございますが、かくのごとく朝鮮国際法も、あるいは国と国との信義の問題も無視をいたしましてむちやくちやなことをやつている。しかもわれわれが知るところによりますと、なお魚生保護法というものをつくつて—これは去月の十四日に朝鮮閣議で決定いたしまして、十七日に国会に提案をしておると思うのでございますが、この朝鮮の管理するところの水面におきましては、韓国政府の許可を得なければいかなる漁業といえども漁業をしてはならない。もし許可なしに漁業した場合におきましては三年以下の懲役あるいは五千万円以下の罰金に処する、こういうような法律を今つくりつつあるような情報があるのでございますが、この問題につきまして水産庁といたしましてはどの程度に把握をし、御研究なつておりますか。またこれに対してどういう対策を講ぜられようとしておられるか。この問題について外務省からお伺いする前に、ひとつ水産庁から御説明願いたいと思います。
  13. 永野正二

    永野説明員 韓国側において漁業資源保護法と申しまするか、韓国周辺水域における漁業についての取締り法律を立案中であるという情報は、私どもも手にいたしております。ただこの法律が、私どもの見ました範囲では、韓国のあらゆる漁業についてこの法律に従わせるという意図にわれわれとしては解釈するほかの解釈を持つておりません。と申しまするのは、先ほど申し上げましたように、公海の上における漁業につきまして単にほかの国が一方的にこの管轄権主張し、これに対する取締りをしようということにつきましては、これは全然根拠のない、そういうことはできない不当な主張であるとわれわれは考えてておりますので、たといこの法律韓国側がつくりましても、それはわが国漁船に対して適用さるべき性質のものではない、こういうふうに私ども考えております。
  14. 福永一臣

    福永委員長 ちよつと速記をやめて。     〔速記中止〕
  15. 福永一臣

    福永委員長 速記を始めてくださ  田口君の質疑に対する外務省当局の答弁につきましては、外務省当局の申出がありますので、ただいまより祕密会として議事を進めたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認めます。それではただいまより秘密会に入ります。      ————◇—————     〔午後二時十三分祕密会に入る〕     〔午後三時三分祕密会を終る〕      ————◇—————
  17. 福永一臣

    福永委員長 この際、ただいまの祕密会議の記録の取扱いについてお諮りいたします。衆議院規則第六十三条に定めるところの、特に祕密を要するものとして印刷配付しない部分につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、これに異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  18. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決します。
  19. 福永一臣

    福永委員長 塩見長官。
  20. 塩見友之助

    塩見説明員 北洋漁業につきましては、前年の経験にかんがみまして、できるだけ早くから準備をして参るということがいろいろな意味で必要であるので、業界からもそういう要望が強く発せられておりましたが、最近に至りまして、大体われわれの方で方針をきめましたので、それをきよう御説明申し上げるのが適当じやないかと思つて参つたわけです。大綱は昨年と大差はございませんが、前年の経験にかんがみまして、いろいろ部分的な修正を考えております。前年度の調査によりまして、やはり一番われわれが危惧しておりまするところは、漁期前半期の漁場でございまして、ソ連の申しておりまするところの領海線というふうなものの内側が、漁場として使えるようにならない限りは、非常に魚の密度が薄いわけでございまして、これが流し網を機械的に巻き上げるとか、その他いろいろ技術的な新しい方法が採用されるまでは、今操業できるだろうと考えられるところの漁場においては、魚の密度の関係から採算関係等を考えますると、特にその前半期において非常な危惧があるわけでございます。そういうわけで、来る来年四月以降の北洋漁業、ことに鮭鱒でありますが、鮭鱒についてはそいう点も考えまして準備をいたしておるわけでありますが、詳細は生産部長から御説明をいたしたいと思います。
  21. 永野正二

    永野説明員 来年度の北洋漁業を大体どういう考え方でやつて参るかという問題でございますが、その前に、新しい委員会でもございますので、本年春から夏にかけてやりました母船式さけ、ます漁業経過を、一応あらまし御説明しておいた方がよろしいかと存じます。お手元に線を入れました地図をお配りいたしたいと思います。  戦前わが国の北洋漁業、ことにこのさけ、ますの漁業は、露領のカムチヤツカ半島及び沿海州、オリユートル方面の陸上の漁場、それからわが国の領土でありました北千島の上におきます定置漁業、そのほかにいわゆる沖取りと申します母船と、これに付属する独航船の組合せによつて行います漁業というふうないろいろな漁業がございまして、それはわが国漁業にとりましても、またわが国の当時の国際収支にとりましても、非常に大きな漁業であつたことはよく御承知通りでございます。敗戦によりまして、露頭の漁業権益はもちろんのこと、北千島その他の領土も喪失いたしました。またマツカーサー・ラインというようなものによりまして、わが国漁船制限がございましたので、この方面漁業は全然望み得べきもなかつたのでございますが、講和条約発効を大体予定いたしまして、日米加三国の漁業の話合いが行われ、その条約案ができますとともに、講和条約発効後は、当然さけ、ます漁業並びにかに漁業その他わが国が戦前やつておりました漁業ができるという明るい見通しができたのでございます。     〔委員長退席、田口委員長代理着席〕 日米加三国漁業条約の点でこの北洋漁業に触れております点は、要するにわが国が戦前実績をもつてつてつた漁業というものは認める、そのかわり今後新しき資源に対して一ぱい一ぱいの漁獲をやつております漁業については、その一ぱい一ぱいの漁獲をそれ以上ふやさない、今までやつておるアメリカ、カナダ側でもそれをふやさないという義務を負いますと同時に、わが国もこれに新しく手をつけるということは抑止をするという形で、日米加漁業条約の骨子ができておるのでございます。そのうちさけ、ますにつきましては、お手元に配つておりまする地図の中に西経百七十五度という線がございます。これは一番東の端の縦の線でございます。西経百七十五度及びその南のアトカ島の西の線から真南に走る線、この線を暫定的にきめまして、これから西の方のさけ、ますについては、これはアジア系のさけであるという前提のもとに、ここにおけるさけ、ますの漁業わが国で当然できることに相なつたわけでございます。そういう前提において、講和条約の発効後北洋のさけ、ます漁業を計画いたしまして、当時ソ連との関係等いろいろ不定な、見通しの立ちにくい状況もありましたので、まず漁区をただいまお手元に配つておりまするが、矩形の線がございます。東の方が西経の百七十七度、それから西の方が東経の百七十度、北の方が北緯五十五度、南が北緯五十度、この四つの線で囲まれました矩形の海面を操業区域として、三つの母船と五十ぱいの独航船、それに七はいの調査船を所属いたしまして、これだけの規模をもつて本年のさけ、ます母船式漁業が行われたわけでございます。この海面におきましては従来母船式漁業を本格的に操業した経験はないのでございますけれども、すでに若干戦前におきまして調査船が動いておりました。その経験に基きまして、こういう船団が出漁をいたしたのでありますが、この経過漁業上といたしましては、非常に天候が悪かつた。また漁場もこの矩形の全面にあるのではなくて、このうちの限られた、ちようどアツツ、アガツツの南及びキスカという島がございますがこの島の南、こういう島のちようど陰になる南の方にいい漁場があつたのでございまするが、漁場が割合狭かつたのでございます。加うるに先ほど申し述べましたように、非常に天候が悪くて網がなかなか順調に入れられないというようなことがありまして、当初は漁業者は非常に苦労いたしたのでございます。しかしその後私ども北方のソ連の態度というものにつきましていろいろ判断をいたしまして、そうして当然わが国といたしましても公海漁業でございまして、これについてそう不当な行為が行われないであろうという見通しを立てまして、後半その左の方に書いてございます梯形の漁場を拡張いたしたのでございます。この拡張をいたしました後は漁場も若干広く相なつておる。またますが非常によくかかりまして、この結果後半のがんばりによつて前半の不振を回復いたしまして、大体二百十万尾という予定以上の尾数をあげることができたのでございます。  もう一つ価格の点におきましても、当初予想いたしましたよりも相当上値にこれが販売されたのでございます。当業者の手取り販売金額といたしましては、当初われわれが予想いたしましたよりもややよかつたということに相なつたのでございます。しかしながらもちろんそれは初年度のことでございます、網のしたく、その他漁船の整備、その他いろいろ経費もよけいにかかつておりますので、その経費の収支につきましては、いいものもあり、悪いものもあるというような状況であつたのであります。以上が本年操業いたしました経過の大要でございます。  そこでこの操業の結果を、私どもといたしましては、—本年は監視船その他で私どもの同僚が相当多数この方面の出漁に一緒に参りました。また当業者としてこの方面に出漁された船団長、その他の経験者等の意見も十分聞きまして、本年度の計画を立案して参つたのでございます。その後われわれの得ました結論は、先ほど長官もちよつとお触れになりましたが、本年一年だけの操業によつて、来年度の漁場の全般的な見通しを立てることが非常にむずかしいという点でございます。本年度の漁場は、お手元に配つております資料の黒い線で囲みました矩形と梯形を加えた一番広い海域でございます。すなわち東の端は、条約によつて暫定線とされております線をもつて限ります。北はコマンドルスキーの方面を除きまして北緯五十五度といたしました。コマンドルスキーの近所は、北緯五十二度三十分をもつて限定したいと考えております。それから南の方は、昨年の許可水域の最も南の限度である北緯四十八度をもつてずつと東まで一本で限る。これだけの漁場は来年度操業いたしてもたいして支障なく操業できるという見当を立てておるわけでございます。もちろんこの漁場は、もう少し西の方、カムチヤツカ寄りにずつと寄せますと、漁場価値としては非常にふえるのでございますが、この西に寄せます効果は、これはソ連の主張しておりまする領海十二海里線あるいはその中というところまでわれわれが拡張いたしますならば飛躍的な生産が予想されますけれども、そうでなければ、あとは三十海里、五十海里、七十海里という沖合いであれば、漁場価値はそう大して差はないとわれわれは考えております。本年度漁業者がいろいろここで操業いたしました経験から申しまして、来年度もこの辺の沖合いのところに限界を置いてソ連との紛争事故の起きないことを期待するのが将来長きにわたつての賢明な措置であるというふうに、私ども考えております。この想定いたしました許可水域の中で、今年の試験操業がやや十分に行われましたのは、先ほど申し上げました最初に許可をした矩形の水域でございます。これ以外の東の方にアダツク島の島陰に狭い漁場があり得ると私ども考えます。これ以外にまた西の方の矩形の地域におきましても、昨年は七月以降の操業しかいたしておりませんので、五月、六月の漁況は全然判断がついておりませんが、これにも若干の漁場はこの早期においても期待できないことはない。しかしながらそれはもう一年、ここにおきまして相当優秀な調査船を動員いたしまして、ここの漁場価値をある程度的確につかんだ後に、今後の本格的な操業規模をきめるのが、長きにわたひこの漁業を堅実に発展せしむるためにぜひ必要なことではないかと考えております。またわれわれがもう一年漸進的に試験的に操業いたしたいと考えますのは、北洋のカムチヤツカの付近のますについて、戦前著しく現われておりました、一年ごとに非常に豊凶の差のあるという現象でございます。これはますは、大体満二年でもつて再び成熟して河にもどつて参りますので、過去におけるある一定の年にその資源が減りますと、その資源の減つた影響は正確にその次々の年に反映して参るのでございます。従いまして隔年に資源の多い年と少い年があるという結果に相なつておるのでございます。この現象はカムチヤツカ半島のます漁場において、はつきりと過去の統計に現われておるのでございまするが、西暦で申しまして偶数の年は相当とれる、奇数の年は非常にとれないという豊凶の繰返しがあるのでございます。もちろん戦時中及び戦後、ソ連の漁獲統計も入手いたしておりませんが、また本年操業をいたしますこの沖合いにおいて、その豊凶の程度漁業にどれくらい影響があるか、漁業をしてどのくらい豊凶があるかということにつきましては、もう一ぺん試験操業をしてみないと確信が得られないのでございます。もし万一ますの豊凶という現象が現在において相当あるといたしますならば、本年にわかにこの独航船の数、及びここにおける漁業の規模を増加いたすことは、漁業者にとつて、かえつて出漁の後において非常なる損害を与える結果になることを心配いたすのであります。これらの事情からいたしまして、われわれといたしましては、偶数年次の経験はことしの操業で得たのでございまするが、奇数年次における経験をもう一年の試験操業によつて的確につかみたい、こう考えるのでございます。もつともわれわれといたしましても、この北洋漁業わが国の、ことに北海道、東北方面の沿岸漁業者にとりまして、非常に期待されておる漁場である、また内地における資源を少しでも負担を軽からしめるために、この方面になるべく数多くの漁船を出したいという希望は強く持つておるのでございますけれども、この仕事が年々現実に発展して行く基礎をつくるために、来年もう一年試験操業を実施したい、こういうふうに考えておるのでございます。その試験操業の規模といたしましては、今申し上げましたような種々の考慮を総合いたしまして、なるべく数多くの漁船を出したいという希望と、その漁場価値がいまだつかまれていない非常に不安定な意味を持つておるという事情をあわせ考慮いたしまして、昨年度の五十隻に対しまして若干期待できる程度の独航船の増加をいたしまして、大体独航船、調査船合せまして百隻、その内訳は独航船が八十五隻、調査船が十五隻という規模で、本年の繰業を計画したいと考えております。  それからこの独航船の数に応じまして、母船は決定されることになるのでございまするが、この母船及び独航船につきまして、前年度、つまり本年の実際にやりました経験を本にいたしまして、その性能について相当本年よりも改善して参りたい、こう考えておるのでございます。独航船につきましては、昨年も五十トン以上で、ジーゼル・エンジンで、無線方向探知機を持つておるという資格を要求してやつたのでございますが、独航船の方針をきめましてから具体的に出漁をいたしますまでに十分な時間の余裕がなかなか許されなかつたために、漁船で、漁場に行つてから故障を起したというような例が相当あつたのでございます。本年はまだ時間もございますので、内地の沿岸漁船の中の最も優秀な性能を持つているものをなるべく選ぶという趣旨におきまして、なお前年の条件につけ加えまして、たとえば船齢について原則として戦前に建造したものは認めないというような条件、それからエンジンの内容につきましても、これが現場で故障の起らないようないろいろな要件、あるいは故障が起きましたときにすぐ修繕できます予備品を持つて行くというような条件をつけ加えたいと思つております。また無線にいたしましても前年度はただ無線がついているということでございましたが、本年度は発信、送信が随時切りかえのできるような性能のものを要求したいと考えております。それから前年において要求しなかつた要件でございますが、独航船のスピードの問題でございます。漁場においては当然船団行動をいたす必要がございますので、スピードは七ノツト以上というような制限をりけたいと考えております。それから独航船をどこからどういうふうに選ぶかということでございますが、この点につきましては大体前年のやり方を踏襲いたしたいと考えております。つまりこれの対象とする漁船は以東底びき漁船、これが現在沿岸において最も資源の重圧に悩んでいる漁業でございますので、これを対象といたしまして過去の北洋漁業の実績と以東底びき網の現有勢力というものを基礎にいたしまして、各県に割当て参りたいと考えております。この割当の対象とする県は今申し上げましたような観点から、北海道及び内地の太平洋方面は千葉以北、裏日本は石川以北というように、前年度と同じような諸県になると考えております。  次に母船の方でございますが、母船につきましても本年は操業いたしました母船の中には相当船型も小さく、その性能といたしまして若干問題にすべき点があつたように存じております。それで来年度の条件といたしましては、トン数については千トン以上、それから漁獲物の処理の設備といたしまして特に一日十トン以上の冷凍冷蔵の能力を要求したいと考えております。そのほかたとえば方向探知機、ローラー・レーダーというように漁船との通信連絡なり、位置の確認のために必要な装置、あるいはエバポレーターの設備、あるいは付属独船航にいろいろな故障の起ることも予想されますので、そういう故障船に対する修理設備及び材料あるいは技術者を乗せること、また付属独航船に病人ができることも考えまして医師、医務室等の条件についても要求いたしたいと考えており手。われわれは今年度の段取りといたしましては、たただいま申し上げました八十五の独航船を今後関係の道府県と協議をいたしましてなるべく早くかつなるべく優秀な船舶を選んで参りたい。そうしてその選ばれた適格独航船の経営者と適格な母船の経営者とのお互いの協議によりまして今後の独航船と母船の間にいろいろ必要な事項、たとえばどの独航船をどの母船に配属する、あるいは資材資金をどういう分担で準備をするか、あるいは漁獲物の仕切り関係をどういうふうにするかということにつきまして、選ばれた両者の協議によつてこれをきめさせる。これがきまつたことを確認した上で私の方としては、この漁業の許可をいたしたい、こういうふうに考えております。先ほど申しましたように、来年一年試験操業という建前になりますので、もちろん許可の期間は来年一年になるわけであります。以上のような方針に基きまして、今後関係県と順次協議を進め、関係操業者よりの申請を検討いたしました上で、今後の具体的な出漁計画というものを決定して参りたい、こういうふうに考えております。  以上が母船式さけ、ます漁業につきましての考えておるところでございます。  もう一つ、北洋漁業といたしましては、かにの母船式漁業があるのでございます。これは戦前におきましてはカムチヤツカ半島の西海岸、東海岸及びべーリング海のずつと東の方におきまして操業いたしたのでありまするが、かには相当沿岸に近いところが漁場でございますので、なおカムチヤツカ半島の東西の両海岸の漁場は現在においても期待はむずかしいのでございます。戦前出漁いたしておりました東べーリング海において二隻ないし一隻の母船を経営した実績があるのでございますが、来年度はこの母船式かに漁業につきましても一船団を出漁させたい、こう考えておる。この一船団と申しますのは、この地方におきまする、かにの資源のわれわれの得ております資源の大きさからして、これ以上の母船を出すことは資源に対する影響が悪いと思つておりますので、一船団にとどめたいと考えております。この方面のかににつきましては、現在では相当アメリカ側においても操業が行われておるということがわかつておりまするので、それらの点も考慮いたさなければならぬと思つております。なおこの漁業のやり方につきましては、これはせつかくの関係漁業者の協力によりまして、これは船団が数がたくさんあれば別でございますけれども資源関係から一船団しか出せない漁業でございますので、関係操業者においてよく相談を遂げられまして、共同の仕事としてこれをやつて参りたい、こういうふうに考えておるのであります。  なお北洋漁業として問題にあげられまするのは、捕鯨等もございまするが、これにつきましてはいまだ方針をきめる段階に相なつておりません。  以上のようなことでわれわれといたしましてはなるべく段取りよく相談をきめて参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  22. 田口長治郎

    田口委員長代理 ただいまの政府説明に対して御質問ありませんか。
  23. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 先般の本委員会におきまして、私から北洋漁業に対する明年度の出漁の構想いかんという質問水産庁長官にいたしたのでありますが、水産庁長官は、大体本年度の構想によつて若干技術及び装備等を改善して行きたいというごく簡単な御答弁があつたのであります。きようさらに永野生産部長からそれらに付言する詳細な北洋漁業に対する発表があつたのでありますから、これに対する若干の質問を許していただきたいと考えております。  永野部長の説明中に、本年度北洋漁業の母船式鮭鱒漁業でございますが、漁場関係その他操業等いろいろな関係からいたしまして、来年度の出漁についての十分の自信がないような意味の話から、明年度さらにもう一年試験操業をしてみたいという意見があつたのであります。しかし業者の側から見ますと、すでにあれは試験済みであつて、大々的にやつて効果を奏することができるというような意見が各方面に起きておりまして、聞くところによりますと、それぞれ出願もしているということも聞いておりまするし、中には母船をもつて、単独の操業をしたいという、個人か団体かわかりませんけれども、そういう空気のあるということも聞いております。そこに水産庁考えておることと業者の考えておることと第一の食い違いが出ている。それから水産庁は偶数の本年度と奇数の来年度をもう一年試験してみたいということから、隻数も今年度よりは増加しておりますが、大体独航船が八十五隻、それから調査船が十五隻で、百隻くらいでやろうという構想を発表しております。それについてもまた若干の食い違いがある。業者の方では二百隻くらいは当然だろう。これも四倍にもなるので、われわれといたしましても若干多過ぎるのではなかろうかというような感じもいたしまするけれども、はたして独航船が八十五隻で納まるかどうかといつたようなことは、業者のあの熱意から推して、私は八十五隻の水産庁案を通せというようなことも言えないような感じもするのであります。  それからさらに今年の調査船あるいは試験船が実際に使命を達しておらないというようなことも船団長並びに独航船側の首脳部から聞いております。これらは、もちろん出漁いたしましても損をしたくない、ぜひ計算が合うような操業をしたいという点から、一応やむを得ないものとは思いまするけれども、調査船と合せて百隻ということと、それからさらに業者の考え方もわれわれの考え方も、調査船はけつこうであるが、やはり国の方針に従つて、調査研究ということは母船—母船と言つた方がいいかあるいは船団と言つた方がいいか、これは解釈でありますけれども、とにかくそれと離れた国の方針に基いてこの漁場の調査、魚の回遊状態等をいろいろ調査するということでなければ、母船と経済を同じゆうするような調査では、決して調査の完璧を期せられないという感じを私どもしておるのであります。これに対して水産庁はどういう考えを持つているかということをお答え願いたいと思います。  それからさらに母船は千トン以上であつて、冷凍が十トン以上その他装備、主材料あるいは衛生施設が完備したものというようなことを言つておりますが、そこに何かくすぐつたいような気持を私は感ずるのであります。と申し上げるのは、現に水産部長は、函館に行つた時分に、千トンや千五百トンでは小さいということを聞いているはずであります。少くとも二千トン以上なければ、母船としての性能を発揮することが容易でないということを聞いているのであります。千トン級以上といえば、五千トンも以上、三千トンも以上でありますから、それはどういう解釈になりますかわかりませんが、少くとも千トン以上だというと、まあ千二百トンくらいの船も入れてもいいのじやないかというような感じから、千トン以上といつたようなことでここに説明をしているのだと思いますが、はたして一体千トンくらいのもので、冷凍も十トン以上やるのだ、主材料も十分積んで行くのだ、あるいは油も十分積んで行くのだ、衛生施設も十分できるのだといつたようなことが考えられるかどうか。私らはいろいろな角度から考えますと、二千トン級以下では、あの大海において百二十日以上の操業に耐えられるだけの母船の資格はない、かように考えられるのでありますが、この点はどうか。  さらに適格船でありますが、以東底びき網あるいはその他の先ほど説明の中にありました装備等を十分にすれば、それらを優先的にとる、それから数量については関係府県と協議する、これはもちろんそうでなければならぬと思います。そこでこれは水産庁案ですから確定案でないと思いますが、もし確定案だとするならば、われわれとしても相当意見があるのでありますが、これは確定案かどうか、これも御答弁願いたいと思います。     〔田口委員長代理退席、委員長着席〕  さらにこの水産庁案というものを確定するまでには、いろいろ業者とか学識経験者とかの御意見を聞くでありましようし、もちろん本水産委員会における意見もいろいろな角度から聞かれると思いますが、そういう方法をもつて確定をするかどうかということを承りたいと思うのであります。この点について私常に長官とも連絡しており、発表する前に何らかの方法で水産委員会に諮つたらどうかというような意味のことを勧告しておつたのでありますが、もちろん最近国会が召集されまして、そのいとまがなかつたといえばそれまででありますけれども、昨日の東京新聞に、今発表された以上のことが発表されておるのであります。全部を読みますと相当長くなりますが、「明年から本格操業、北洋漁業、米、加に調査団派遣」という題で、農林省は来年の北洋漁業対策について検討しているが、かに工船が戦後出なかつたけれども、今年度は一船団出して、しかも操業する会社は、日本水産、日魯、大洋の三社の出漁争いがあつて、アメリカの世論を刺激し、出漁不能になつたこともあるので、三社が協調して共同出漁するように指導するという字句が見られます。それからさけ、ますは今年も試験操業するというようなことは先ほども御説明があつたようでありますが、独航船を八十隻程度に増加し、船団数も業界の話合いによつて四船団を認めるというはつきりした字句を使つて書いている。さらに捕鯨の問題についても触れておりますが、これもさつきちよつと捕鯨云々といつたようなことがありました。これは内容をあまり詳しく申し上げません。それから「北洋漁業許可に当つて韓国および中共沿岸を含む以西底びき、トロール漁業の情勢が悪化しているので漁船の配置転換をはかるよう考慮する」といつたようなことや、最後には「これに対して業界では以西関係漁業の悪化により北洋漁場が国家的資源となつたので北洋漁業全体を一つとして日水、大洋、日魯、極洋の大手筋四社と組合関係者間で漁業の種類別に分担させようとする空気が強く、今年のような出漁争いはなく近く出漁計画が決するとみられる」というようなことが新聞に書いてあります。これらも、水産庁から大まかなことが発表にならない前に新聞に書くということはおそらくないと私は考えている。常に私らが申し上げておるように、立法機関が行政に入つて来ることはあまりおもしろくないことはわれわれも承知しておりますが、やはりこうした大きな問題は、国の最高機関である本委員会に大体の構想を発表してから新聞に発表した方が、私は順当な道ではなかろうかと思う。もしきよう発表したことと本委員会とまつこうから闘わなければならないということになりますと、水産庁も相当に苦境に陥るのではないかということも考えられますし、さらに業者と本委員会あるいは業者と水産庁の間にも相当な問題が起るのではなかろうかということも想像できるのであります。われわれといたしましては、立法と行政とは表裏一体になつて、まずこうした大きな問題の大本をつくつて、さらに業界に相談をするというようにしましたならば、うまく行くのではなかろうかと考えます。そのことは答弁は要しません。ただ私が先ほどから質問している点について一々答弁を願い、その答弁によつてさらに質問をいたしたいと思います。
  24. 永野正二

    永野説明員 順次お答えいたします。最後の点については答弁はいらないというお話でありますけれども誤解があるといけませんので、ちよつとこの機会に申し上げておきたいと思います。東京新聞に昨日出ました記事は私も拝見いたしました。たいへん意外でありまして、われわれの考えていることでないことがそのまま出ておるのであります。これは私どもの方の考え方をそのまま書いたものと御了解にならないようにお願いしたいと思います。ことにハリバツトの調査団というお話が出ることは現在いいことかどうか非常に問題だと考えております。今後のこの問題の取扱い方でございますが、きよう私どもはざつくばらんに、現在まで私どもの到達しておりまする原案をお話申し上げたのでございます。これで今後当業者あるいは道府県その他関係の方々と十分に協議しながら本問題を進めて参りたいと考えております。  最初に第一の点でございますが、本年の試験操業によつてすでにはつきりした結果が出ているのであるから、来年度はもつと大きなスケールにおいて、たとえば母船をふやし、独航船も相当ふやして大々的にやつたらどうかという意見がございますことは、私ども承知しております。この点につきましては、先ほど触れましたように、一年でも早く、少しでも多くの日本漁船をこの方面に出しまして、日本生産を上げて参りたいということは私どもの衷心からの希望でございます。ただ本年の操業をやつたあとを、現地に参りました者を中心にしてしさいに検討いたしたのでございますが、一ぱいの独航船の網の長さが約五マイルにもなるという漁業につきましては、漁場の広さと船の数は相当慎重に考えませんと、ただ水面が非常に茫漠として広いということで、どこへ行つても魚がとれるじやないかというような程度のことで、相当数多くの独航船をここに出しますと、現地において相当な摩擦が起るということが私どもは心配されるのであります。もちろん漁場価値といたしましてはいい所、悪い所があるのであります。漁船といたしましては、いい漁場に集中するという傾向をどうしてもとめることはできないのであります。しかも漁期の初めの五月、六月におきましては、全然今までやつたことのない西の方の漁場より、昨年やつて経験を持つております漁場をつかんでいる東の漁場漁船が集中するということは当然予想されることでございます。またこの点につきましては、本年出漁いたしました船団長諸君もそういう意見を申し述べているのでございます。こういう関係からいたしまして、この初めの方の漁区におきましては、私どもは実は昨年きめました五十ぱいという独航船の数がちようど適当しておつたように判断いたしているのでありますが、来年の漁区につきましてはなお若干これをふやせるという希望的な考え方をも加えまして、来年度の独航船の数を八十五はい、それから調査に重きを置くという意味からいたしまして、本年度よりも能力におきましても数におきましても相当調査船の方を強化したいということで、十五隻の調査船ということを考えているわけでございます。  本年の試験操業をいたしました調査船が、必ずしも調査船としての使命を全うしていないという御意見は、実は私どもも同様な感じを持つております。これにつきましては、現場から引揚げて来た後におきまして私ども当業者といろいろ意見を交換いたしているのでありますが、来年はぜひこの広い区域において漁期の初めから漁期のしまいまで、どういう漁場がどこにあるかということを的確につかんで参りたい。このためには調査船がいたずらに営業的な独航船と同じような考え方で、同じような頭で動いて行くということはいかがか。もう少し新漁場を発見するということに力を集中しなければならない、こういうふうに考えて、この点はぜひこの仕事がスタートをいたしますときまでに、そういうはつきりした方策を私どもは発見したいというふうに考えております。ただ先ほどお触れになりましたが、この調査の仕事は国の調査でやつてというお話がございますが、これは国の調査と当業者の調査と両方がやはり必要だと私は考えるのでございます。政府の役人が指導いたしまして海況の調査、あるいはとれたさけがどういう資源のものであるというような生物学的な調査、こういう純然たる調査は、政府の方で来年はいろいろ強化をしてやらなければならぬというふうに考えております。この点はなお具体的な計画はまだ立つておりませんけれども、ただいま御指摘のような方向に政府の調査船を動かしたいというふうにわれわれ考えておりますが、これと並行してやはり当業者の調査、すなわち日本漁船と同じような能力を持つて日本漁業者と同じような漁業者のレベルで、どこでどういう魚がとれるかという問題が大事な問題でございます。母船が今後どこへどういうように動いて行つたらいいかという母船を嚮導すると申しますか、そういう意味におきまして、当業者の能力において漁場の探索がなされるということは、ほかの漁業についてもあることでございます。そういう当業者の調査船はやはり来年も必要であるというふうに考えております。  それから最後に母船のトン数の点でございますが、これは実は私どもも母船のトン数といたしましては、千トンよりも二千トンの方がよりいいということは確かに言えると思うのであります。私どもといたしましては、漁獲物の処理が十分になされるような程度の母船ということで最低の線を一応引いたのでございますが、この最低の線に適合した母船の計画がどこからどういうふうにして出て参るかということを十分に検討の上、最もいい母船に許可いたしたいということを検討して参りたいと考えております。
  25. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 永野水産部長はどうも慎重過ぎるという感がするのでありますが、八十五隻という問題について、すなわち独航船の問題、十五隻の試験船の問題、必ずしも私は国で試験を一方的にやれというのではなくて、やはり国がやるようにして、指導監督のよろしきを得なければならぬという意味を申し上げているので、必ずしも国の力ですつかりやらなくたつてけつこうであります。ただ明年度も試験という構想で行くということについては、われわれちよつと納得が行かないのであります。部長もあの当時、長官の代理として入港の祝賀会に行つたはずでありますが、その当時森船団長から答辞の中に織込まれておりますが、今年は初めてあの漁場に行つたので、いろいろ船の装備や操業上にも、その他漁具等の問題についても不合理な点があつたのだが、これを是正して大々的に本格的に操業するならば、優に本年の五割以上の増獲をすることができるということを断言して皆さんを喜ばせたはずであります。そうしますとすでに責任ある船団長が、あの何万という人の集つた中で発表しておることは、机の上で計画を立てる人よりもはるかに自信をもつてつておるはずだと思つております。私はかかる意味で、今水産庁が八十五隻という独航船を出すということは、かけひきだと思つているから、その点は追究しません。なぜかというと、昨年も一船団かせいぜい二船団で三十隻くらいが適当だろうといつて打ち出したのが、やはり五十隻になり、しかもその当時は調査船はあまり出したくないといつたような意味つたのが十二隻ということから押しても、最小限度に押えておかないと、百五十という線を出すと二百になる、二百という線を出すと三百隻になるので、そこは永野部長の手腕であつて敬服するところであります。水産庁は隻数は八十五隻打ち出しておるが、どうしても八十五隻でなければならないという結論にするという意思がないと私は考えております。先ほど申し述べたように、会社はすでに大々的にやるという意気込みで、日魯さんも母船の買入れをするということで、私は社長から直接話を聞いております。日水さんもすでに今年の母船は小さいから、やはり三千トン級の船で行かなければならないということを、私は直接重役に聞いている。大洋はすでに三千トン級の船で成功したと称しておる。それからさらに東北方面からも出したいとか、北海道からも出したいとか、あるいは極洋捕鯨も参加したいというようなことも巷間に全般的に広がつておる問題であつて、これはおそらく水産庁は知らないはずはありますまい。でありますから今の部長の慎重を期した声明はけつこうでありますが、問題となるのは、最後には業者と水産庁の意見の食い違いから、隻数の問題で、何らかそこにあなた方と交渉が強く始まるのではないか、かように考えておるのであります。そこでこれは端的に一品に聞いた方がいいが、今水産庁で発表された八十五隻と調査船の十五隻は、絶対動かすべからざるものであるかどうかという問題と、母船は昨年の三隻は絶対動かすべからざるものであるかどうかという、これだけを私ははつきり聞きたいのであります。そういたしますと、これによつて隻数は、はつきりここで百とか百二十とか言わぬでも、大体漁師稼業は目から鼻へ抜けたような会社もおるし、また北洋漁業のさけ、ます漁業については、相当関心を持つて心準備もしておるし、それぞれ資本その他の造船の準備もしておるというところまで至つておるので、その点をもう少しあからさまに、八十五隻のわれわれの方の案だが、業者とも相談をして増減があるのだというようなお考えであるかどうかということが一つと、それからもう一つは、かにの問題については、昨年なるほど新聞に書かれました通り、三社が何かそこにわだかまりがあつて、遂にまとまらぬうちに、アメリカの方から苦情が出たということで中止したのでありますが、今年ぜひとも出漁させるというつもりでいるかどうかという問題と、さらにかに漁業については、昨年の三社、すなわち日水、日魯、大洋等に共同でやらせるという御意思かどうかということを、部長にお伺いいたします。
  26. 永野正二

    永野説明員 独航船の数につきましては、これは各方面にいろいろな御意見がございまして、私どもも十分慎重にそういうお考えは聞いたつもりでございます。先ほど一例としておあげになりました、函館で大洋の船団長が申したことは、私も川村委員と同席でわきで聞いておつたのでありますが、あの話は確かに本年度は、一応四万尾くらいの計画で行つたのだけれぎも、五割増しの六万尾くらいはとれる自信がついたという非常に強い発言であつたと思うのであります。独航船の問題は、別の問題になるわけでございますが、この点は今あらためてお尋ねがございましたが、八十五隻、調査船の十五隻というものをわれわれの原案といたしまして、これで今後業者、関係方面と協議をいたして参りたい、こういうふうに考えております。それから母船の方は、これは今母船の数を何も限定して考えておるわけではありません。これは母船の計画をよく検討いたしました上で、独航船の数と見合つて、最も優秀な、的確な母船を選定したい、こういうふうに考えております。  それから最後にお触れになりましたかに漁業につきましては、先ほども触れたのでありますが、本年はぜひ—わが国の戦前やつておりました漁業でございますから、一船団の母船式かに漁業をぜひともやりたい、こういう決意であります。その形につきましては、先ほども触れました関係の会社の相談が円滑に進むことを希望しておりまするが、関係者の共同の仕事ということでやつて参るのが一番適当であろう、こういうふうに考えております。
  27. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 大体それで水産庁の腹がわかりましたが、試験操業しなければならぬという点だけは、どうも私は—もちろんそれも含みますけれども、本格的の漁業経営に持つて行くことが妥当であるということだけは、私はここではつきり申し述べておきます。これはもちろんあとでまたいろいろ押し進めて本格的操業に持つて行くかどうか、また試験操業であるといつて打出すか、それを是正するかどうかという問題は、あとでいろいろ話合いたいと思いますが、そこでなぜ私が試験操業でなく、本格的操業に持つて行け、新聞の通りに持つて行けと言うかというと、私もこの問題に関心を持つておるので、いろいろ調査し、ここに答申がはつきり出ております。いわゆる共同経営の運営についての問題や、それから配分比率の問題や、資材の問題や、漁期の問題、いろいろ私どもの方で調査を進めて、出ております。それはここで発表するまでもありません。すでに賢明な部長はその衝に当つて来ましたのでおわかりだと思います。こうしたようないろいろの書類の答申になつたようなことが災いをなして、そうして独航船にも損害をかけたといつたようなことはあつたのでありますけれども、実際に漁網の腐蝕を一体どうして防止するか、あるいは合成繊維の網を使つて、その腐蝕を相当に防いで行くという方法もあるでありましようし、それから操業上には、あの荒海の手で操業しておる。いわゆる労働力が極端にいるということから能率が上らないという点もあるわけであります。それからさらに先ほど部長も言われたように、装備の改善をするということになりますれば、北洋漁業ではさけが平均四尾くらいとれる操業であれば、完全に間に合うであろうということは、何人も言つておるのでありまして、要は魚が薄ければ網数をふやして、いわゆる能率を上げる施設を十分にするということであれば解決がつくのであります。もちろんこれはそれに付随した装備が必要でありますけれども、要は昨年一年の体験からして、母船も十分自信がついておることと存じますし、それからさらに独航船も自信がついているから、本年はぜひやらなければならぬという意気込みを持つておる。あの点からいたしまして、もう試験操業の時期ではなくて、これを本格的に北洋漁業、すなわち国際漁業に持つて行くということでなければならない、私はかように考えておるのであります。答弁はよろしゆうございますが、考え方をややかえて、今年からはもう大々的に操業させるのだ。その指導監督に水産庁が十分その意を尽し、また国家に対してもある程度の予算を要求し、われわれの力によつて予算獲得をして、試験操業なり、さらに損失をした場合には国家が補償するというところまで持つてつてもらいたいということを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  28. 福永一臣

  29. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 本日の委員会水産庁が、北洋の出漁に対しての水産庁のあり方を発表なさつていたことは、明年度の出漁に対して、昨年と異なり操業するのに相当の準備が必要であり、その準備を早くせんとする業者に対して、正しい操業をやらせるべく発表されたことであつて、この点に対して、業者はまことに感謝していることだろうと思うのであります。従いましてわれわれもその意を表わすのであります。しかして私が常に考えていることは、水産庁の、将来の漁業のあり方がどうあるべきかということに対する一つの自分の考え方であるのでありまするが、たとえば北の海の漁業またはまぐろ、かつおのように南の漁業に対する考え方、またただいまいろいろと論議された支那海における漁業のあり方、あるいはまた南の方のいろいろな漁業がある、かような漁業のあり方というものに対する、それに従業する漁業者自体の考え方、その漁業者自体がどこに希望を持つておるかということに対する一つの方針を将来きめておく必要があるのじやないかということを私は考えるのであります。北のものから行きましたならば、かりに北海道の漁民であつたならば、北洋に対しては非常な魅力を持つております。ところがかつお、まぐろの漁業に対しては、全然感覚はそこへ行つていない。また東支那海にたとえどのような漁業があろうとも、そこへ三陸や北海道のものが出漁したいなどという考え方は持つていないのであります。こうした点から行く地方的な感覚と漁民の考え方を十分に活かしていただかなかつたならば、その漁業の正しい発展というものはでき得ないものであろうと、常に私は考えておるものであります。この点に対して水産庁に何かお考えがあるならば御発表願いたいと存ずるのであります。これが一点、それからただいままでの御答弁あるいは御発表のありました調査船という問題に対しては、私は川村委員と同じ考え方を持つておるものであります。従つてその点については省きます。それから八十五隻の独航船という水産庁考え方、しかもその基本となるものは、漁場が非常に狭い。それから年次によつてますは不漁と豊漁があるといつたような二つの点をあげられておるようでありますが、私は全然それに対する考え方が違うのであります。これはまず定置漁業であつたならば、大漁年のますというものは非常にこまかい。それは川へ上つたとき非常な群をなして上つて、それで産卵され、しかして孵化されて、沖合いへ出る。一つの群衆をなして歩くためにその身体も自然と小さくなる。ところが不漁年のますというものは、その逆で、川に上つて放流されて、それから孵化され、少数のもので遊泳して歩くときに十分にプランクトンをとることができて、魚体が大きくなる。そういう関係から行きまして、不漁年であると考えられる明年は、定置漁業であつたならば非常に不漁であるかも存じませんが、流し網の網の目がきまつておる、それにかかる魚というものは、魚体が大きいますがかかるのでありまして、むしろ大漁でなければならないという結論が出るのであります。これは流し網漁業の特異性であります。不漁年がかえつて大漁であるということを私は自己の体験からはつきりこれが立証できるのであります。また北洋の漁場の狭いということは、昨年は未知数の問題であつて、それに従事をした漁船によつての報告に基くものでありましよう。しかしもはや先ほど川村委員が言われるように、漁民は意気込んでおります。しかも昨年出漁した漁民はかつて、いろいろな仕事によつて北洋に出漁した漁民がおもになつておるのであります。大体ますやさけの魚群がどのくらい出て、どのくらいの魚獲があるかというくらいのことは、漁民はよく知つておるのであります。しかも昨年まさかキスカやアツツの近海にあれだけの漁場があるとは知らなかつた。それが予定以上の量が確保されたということは、あの漁場の広大なところがよくわかるのであります。またそれからカムチヤツカの東の漁区というものは、図面で見るような小さなものでなく、非常に広範囲漁場であると信じております。この点は漁民はよく知つていることであつて、昔からずつと今まで体験をもつてつている。それによつてかかる沖合いに魚はいるもんじやないという感覚を持つてつたのが、昨年の操業によつてあの沖合いでも四匹や五匹の罹網率というものがあるというところに北洋漁業の価値というものが認められたのであります。一番困つてつた網の腐蝕という問題が、もはや合成繊維の網によつて完全にその杞憂はなくなつてしまつた。しかも百反のラミーの網と二十反の合成繊維の網と同率なまでに魚の魚獲がふえているということがはつきりと昨年によつて立証されたのであります。私は八十五そうという水産庁の案に対しては、いろいろな資料によつておやりになつたことだろうと存じまするが、いま少しく漁民の要望も聞いて、漁船の数をいま少し増すことが適当ではないかと考えるものであります。ゆえに委員長においても、せつかく公海漁業の小委員会も開かれたことであるので、昨年行つた船団長などの意見も聞く機会を得させて、この問題に対する当委員会としてのいろいろな意見をもまとめさせていただきたいと考えるのであります。私は水産庁のこの発表に対しては、心からお礼を申し上げると同時に、今後の問題に対する深いお考えをもつて、漁民に対する満足の行くような方法を講じていただきたいと存ずるのであります。
  30. 福永一臣

    福永委員長 本日はこの程度にとどめまして、次回の開会日は公報をもつてお知らせいたします。これにて散会をいたします。     午後四時二十分散会