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1952-12-10 第15回国会 衆議院 人事委員会公聴会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 有田 二郎君    理事 植木庚子郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 竹山祐太郎君 理事 受田 新吉君    理事 森 三樹二君       木暮武太夫君    竹尾  弌君       灘尾 弘吉君    濱田 幸雄君       松野 孝一君    池田 禎治君       小松  幹君    館  俊三君  出席公述人         慶応大学教授  藤林 敬三君         日本官公庁労働         組合協議会   矢田 勝士君         公共企業体等仲         裁委員会委員長 今井 一男君         官公庁労働組合         協議会議長   天野 徳重君         日本官公庁労働         組合協議会賃金         対策委員長   万屋 良作君         全逓信従業員組         合副委員長   横川 正市君         帝国製麻株式会         社顧問     進藤 誠一君         日本輿論調査研         究所理事    石田 百寿君         中央気象台職員         組合執行委員         長       杉浦 次郎君         全基準労働組合         東京支部執行委         員長      田中  上君  出席政府委員         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     滝本 忠男君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 本日の公聴会意見を聞いた事件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案について     —————————————
  2. 有田二郎

    有田委員長 これより人事委員会公聴会を開会いたします。  開会にあたりまして、委員長より、一言ごあいさつ申し上げます。  本日、当委員会が、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、特に公聴会開き学識経験者並びに真に利害関係を有する方々より広く意見を聞くことといたしましたのは、本法律案が、一般職国家公務員給与改善に関する重要な法律案でありまして、国家公務員にとりまして、深い利害関係を有しますとともに、一般的関心及び目的を有するものであり、院の内外、国民の各層におきましては、これに対して重大なる関心を寄せられており、特に給与の引上率、支給方法、また勤務地手当支給地域区分等につきましては、賛否の批判が活発に行われておるのであります。  この重要な法律案審査あたりまして、広く国民輿論を反映させますと同時に、多年の御経験と御研究を重ねておられる各位の豊富かつ貴重なる御意見を拝聴し、もつて委員会法律案審査を遺憾なからしめんと念願いたしている次第であります。  公述人諸君におかれましては、御多忙中のところ貴重なる時間をさかれて御出席賜わりましたことに、委員長より厚く御礼申し上げますとともに、本法律案につきまして、あらゆる角度から忌憚のない御意見を御開陳願いたいと存ずる次第であります。  次に、公聴会議事運営について、あらかじめ御承知願つておきたいのでありますが、公述人の御発言はおおむね一人当り十五分以内といたしまするから、それぞれ重複を避けて重点的に御意見の核心をお述べ願いたいと思います。  公述人発言順序は、原則として公述人名簿順序によつて進めて参りたいと思いますが、特に必要のあります場合には、委員長におきまして、適宜順序を変更することがありますので、あらかじめ御了承願つておきます。  発言は、発言台のところでお願いいたします。発言にお立ちの際は、最初に職業と御名前をお述べ願いたいと思います。  なお各委員公述人に対する質疑は、各公述人発言が終りましたことに、大体十分以内の時間でお許しすることといたします。この場合、衆議院規則によりまして、公述人よりは、委員に対して質疑を行うことができないものとなつておりますので、この点あらかじめ公述人各位に御了承願つておきます。それではこれより公述人の御意見を聴取いたします。  まず、慶応大学教授藤林敬三君より御発言を願います。藤林敬三君。
  3. 藤林敬三

    藤林公述人 私は慶応義塾大学経済学部長藤林敬三でございます。今委員長から御注意の通り、できるだけ十五分以内で意見を述べさしていただくことにいたします。  問題は、現在民間労働運動の問題とからみ合つて、たいへん大きな問題たといわなければならないのであります。私は、この国家公務員給与問題に関しましては、かねがね、人事院勧告制度が設けられた本来の趣旨にかんがみまして、当然、人事院勧告政府がすなおにいれて、給与改訂を行うというようになつて行くべきものではなかろうかと思つてつたのであります。もとより国会における審議がございますから、国会審議でいろいろになることはやむを得ないといたしましても、政府国会に出される案の中では、われわれ一般人が考えますと、人事院勧告そのものがその通りに受け入れられて行くというのでないと、問題はいろいろなところにさしさわりが出て来て、本来の勧告制度趣旨を抹殺することになるのではなかろうかと思うのであります。これらの事柄につきまして、一々本日ここで申し上げる必要もないと思うのでありますが、私はこの点を従来の経験にかんがみましても、絶えずはなはだ遺憾だと思つておることを、この際強く申し上げておきたいところでございます。なお人事院勧告の一万三千五百十五円という五月以後の改訂勧告というのは、一般水準としてこれを考えますと、もとより人事院でこまかくどういう御計算をなさつたかは私も今日それほど詳細に承つておるわけじやございません。しかし出されましたこの数字の結論につきましては、これはきわめて高額であつて、どうのこうのという数字ではもとよりないのであります。と申しますのは、すでにこれの前後、たとえば公労法に基く国鉄職員あるいはまた後には専売の職員仲裁裁定が出されておりますし、さらに新たに公社に加えられました電々公社職員諸君の場合には、公労法による調停委員会調停案が出されておりますが、そのいずれも人事院勧告の一万二千五百十五円に比べると若干上まわつております。もちろん実施期日その他に相違はございましようが、若干上まわつておるくらいでございまして、決して人事院勧告がこの点において私は高額な勧告をしたものとは思われないと思うのでございます。そういうことから申しましても、政府のこの御意見を拝見いたしますと、国家財政の必要上、どうも人事院勧告を尊重したが、その通りいれるわけに行かなかつたのだという御意見のようでございます。政府は一万二千八百円というのでございまして、わずかにこの間一人当り平均七百円ばかりの差のように計算されます。これくらいなわずかな事柄で、人事院勧告制そのもの趣旨を十分に生かさないということは、ことに争議権を持つておられないし、団体交渉権等も十分でないような状況に置かれる国家公務員諸君の立場がきわめて考慮されないということになるおそれがあります。また現にそういう問題がいろいろとすでに現われているようにもうかがえるのでございます。国家公務員諸君職員組合方々が、今回もこういう問題についていろいろな動きがあるようでございます。詳しくは私も存じておりませんが、ときどき新聞で伺つておきますと、団結権は認められておりましても、争議権その他に十分な制限があるにかかわらず、何か争議行為めいたような事実が、時には行われるのではなかろうかというような情勢があるようであります。私はこの点に関しましては、法律がよかれあしかれ一応争議権を制限したものについては、争議行為めいた事実が起るということは、はなはだ遺憾千万だといわなければならない。しかし事態かくのごとくなるについては、十分政府当路者においても考えるべき必要があると思う。そのゆえんのものは、結局人事院勧告をすなおにおいれにならぬというところに私は問題があると思う。だからこの点はわれわれといたしましては、すなおにいれていただいて、こういうごたごたをその都度々々毎年繰返すなんというような、きわめて不始末な事柄は、民主主義原則から申しましても、私ははなはだ遺憾千万だと思う。  それから第二の点でございます。私はここで拝見をいたしましたが、勤勉手当というのを今度大体〇・五ぐらいお出しになるという御趣旨でございますが、必ずしも国家公務員給与が高くはないのに、こういう勤勉手当というようなもので何か個人差をつけて行かれるということは、この際やはり多少お考えになる方がいいのじやないかと思うのでございます。人事院勧告に対しましての政府の御提案給与改訂の段階にいたしましても、しり上りうしろの方をだんだん大きくしておられる。いわば高級職員給与の方の引上げ方倍率がより大きくなつておる。これは私はある程度までは当然認められなければならないのではないかと思つておるのでございます。と申しますのは、戦争直後のインフレの過程におきましては、給与開きというものはきわめて狭くなつておりました。これが物価の安定とともに民間におきましても、給与の低いものと高いものとの間の倍率関係がだんだん開いて来るというのが、一般の傾向でございますし、またそうすることが普通の状態に立ち返ることでございますので、私はこの点に関しましては、必ずしも反対だというほどの意見を持つておりませんが、勤勉手当でさらにこの間にいろいろ開きを付されることは、一般職員給与が高くないという今日の状況からいうと、必ずしも賛成しかねる。もしもおつけになろうというならば、〇・五というのでなく、片一方に〇・五を一律に年末手当として御支給になるのでございましようから、はなはだ恐縮でございますけれども、私にもし案を出せとおつしやるなら、私は一律に出される年末手当は〇・七か、〇・八くらいにして、あとの〇・二か〇・三くらいのパーセンテージのものを勤勉手当としてお出しになる方が、今日の実情からいえば、きわめて実情に即しているのではなかろうかというふうに考えます。  さらにもう一つ具体的な問題で、実はこれを今初めて知つてはなはだうかつでございますが、この勤勉手当支給に関しまして、政府の御提案趣旨を読んで見ますと、公共企業体職員諸君についても、これと同じ趣旨従つて大体奨励手当というものを支給するつもりだということが、御提案の中に見えております。私は実はこれを見てはなはだ驚きにたえないのでございます。何となれば、ここで申すまでもなく、公共企業体等労働関係法の適用される公社職員についての給与問題は、これは団体交渉の対象になつておるところであります。この団体交渉でいれられなければ、調停委員会調停に付される、調停で問題が納まらなければ仲裁委員会仲裁に付されるという筋を通してあるわけです。この筋をまるきり無視して政府がここで、国家公務員に対して勤勉手当を出すから、同趣旨のものを公共企業体職員にも奨励手当の形で出すのだとおつしやることは、その事実を何と考えておられるか、私にははなはだ解せない。今初めてこの事実を知りましたが、かくのごときは、悪く解釈をいたしますと、公労法そのもの政府は十分生かそうとしておられるのか、あるいは殺そうとしておられるのか、はなはだ疑問だといわなければならないと思う。かくのごとき態度で公労法運営をされたのでは、公社職員のいろいろの御不満もとうてい私は押えることができないと思う。公労法そのもの運営に関しまして、私は当初以来、ことしの四月に至るまで約三年近く関係して参りました。その間でつくづくいろいろな点で不満を持つておりましたが、今日かくのごとき政府提案のあることをもつて、ますますもつてわれわれは大いなる不満を感ぜざるを得ないと思う。まるつきり法律運営かくのごとくしては十分に期せられないという以外に私はないと思う。さらにこれは特別のことではございませんが、ごく一般論といたしまして、私はもとより官庁方々給与支給、その他の具体的な問題につきましては、あまり詳細なことを存じておりません。しかしいろいろそれとなく聞いたり、見たりしております事実から受ける印象を率直に申し上げますと、政府人事院勧告を七百円ばかり削つて政府案を御提案になるくらいならば、それくらいのものは現在の公務員給与の具体的な実施の場面におけるいろいろな問題を合理的に処置されることによつて、私は財源的にもいろいろ出て来る余地があるのじやなかろうか。もつと率直に言えば、現在の公務員給与というものについては、われわれ民間人から見ますると、何か非常に不合理千万なところが多々あるように思われる。もつと率直に言うと、何かよけいな出張旅費か何かを恩恵的に与えたり何かしておられるような節も見える。こういうばかばかしいことをやつておられるなら、こういう点はもつと合理的に措置をされ、そのかわりに給与人事院勧告をそのままいれて行くのだというように、一切が合理的に、だれがどこでどう考えても不合理千万な、やかましい変なところはないというように処置をして行くような方向へ事態を持つてお行きになるということが、私は非常にいいと思う。臭いものにはふたをしろ、いろいろ従来の因縁もあり、いろいろな事柄でこういうことになつておるのだということを、そのままに放置しておられて、そうして出て来る新しいものはいいかげんなものであるというようなことでは、これは公務員諸君能率が悪かつたり、いろいろなことにもおのずからなつて行くのであります。われわれ一般人から見れば、やはり官庁事務というものは、もつと能率的であつて、そしてきちんとして、合理的であるようになつて行くべきであります。これは民間企業の場合でも同様であると私は思う。そういうような建前からいいますと、やはり公務員の規律を確立し、能率を高めるというような点においては、給与の面におきましても、きわめて合理的にこれを処置する、そうしてそういう合理的な処置をするということでやつて行かれるならば、私は改善余地も多々あつて人事院勧告をいれられないというような理由はないのじやないかと思います。もとより私は、そういう意見を申し上げましたが、詳しく計数的な基礎をもつてこれを申し上げる余裕も持つておりませんので、ただ一般論として申し上げたので、やや杜撰な点もございますが、率直に意見を申し上げますと、以上のような諸点に尽きると思うのであります。この辺で私の意見の開陳を終りたいと思います。
  4. 有田二郎

    有田委員長 藤林君の発言は終りました。質疑がありますれば許可いたします。質疑はありませんか——質疑なしと認めます。  次は日本官公庁労働組合協議会矢田勝士君。
  5. 矢田勝士

    矢田公述人 私は日教組の調査部長でございます。日本官公庁協議会の一員といたしまして、今回御諮問になつている点について意見を申し述べたいと思います。  まず最初給与法改正骨子なつております給与ベースの問題でございますが、われわれ官公庁職員百七十万人は、本年一月から十八歳最低八千円、一万六千八百四十七円ベース要求をいたして参つております。これの根拠につきまして、骨子を申し上げますと、公務員労働中等程度労働といたしまして、厚生省栄養調査による標準摂取カロリーの二千五百カロリー、蛋白八十五グラムをとつて、私どもの方で行つた五人世帯実態調査もとにして、エンゲル係数五〇%として、全生計費を算出したもので、方式人事院食糧バスケツトと同じであります。これによりまして勤務地手当のつかない地方における成年男子一人当り生計費月平均八千九十九円と算定いたしました。これが私どもの十八歳八千円を要求する根拠であります。これをベースに引直しますと、一万六千八百四十七円となるのでありまして、その内訳は本俸一万二千七百四十四円、扶養手当千百六十五円、勤務地手当千九百十九円、特殊勤務手当千十九円、合計一万六千八百四十七円ということになつております。これを俸給表にいたしてみますと、十六歳の人で一号俸が七千二百円、十八歳の人で五号俸が八千円というわけで、お手元に差上げてある一枚の紙のように、俸給表一般職最高七十号俸で三万五千円ということになつております。  この場合、私ども官公労で特に意を用いましたことは、健康で文化的な最低限度生活保障をはかる。第二の点として、公務員民間給与に比較して相対的に低位にありますので、第一線の職場で働いている中堅層の優遇に意を用い、いたずらに上に厚く下に薄い給与体系としないという点であります。私どもの一万六千八百円ベース給与体系においては、一号と七十号の倍率は四八倍に設定いたしました。現行俸給に比して、十一号までは二倍に額を引上げて、次第に倍率を落して、最高七十号俸のところでは、一・〇四倍ということにいたしました。  以上一万六千八百円ベースの大要でありますが、私どもは今度の給与改訂にあたつては、ぜひこの一万六千八百円ベースを要望申し上げて、各党の先生方実現の御尽力を願いたいと思います。  なお八月一日に出されました人事院勧告につきましては、私ども人事院が現在唯一の保護機関であるという点、あるいはその勧告国家公務員法給与法規定に基いて行われたものであるという権威については、尊重いたしますけれども、次の諸点においては納得するわけには参らないのであります。すなわち第一に給与水準算定基準なつ成年男子一人当り標準生計費月額四千七百円は不当に低過ぎます。その内容といたしまして、摂取カロリー二四〇七カロリー、蛋白八一・五グラムというものは、厚生省国民栄養調査の結果出したものだといわれておりますが、全国平均は二五三〇カロリーになつておりますにかかわらず、これを不当に低く修正いたしております。東京都における二十七年五月のCPSから求めた男子一人当り食糧費一日当り八十六円三十二銭、月額二千六百三十円は、これも同じく故意低額に組んだマーケツト・バスケツトであるといえます。同じ時点のCPSを用いましても、一日当り百十三円九銭、月額当り三千四百六十四円七十銭というのが妥当であるかと思います。これも人事院故意低額にゆがめたものといわなければなりません。次に一人当り食糧費から、五人世帯食糧費を算出する場合のマルテイプルの方にも問題があります。またエンゲル係数が不当に高く設定されておる点。第四に民間給与に比較しても低額である。五、あまりにも上厚下薄で、二九ベースと三七ベースのときには一号俸最高号俸の差が十倍、六三ベースで七倍、七九ベースで八・三倍であつたのが、現行の一万六十二円ベースでは九・三倍になり、それが四千三百円と五万円では十二・六倍というような大きな開きなつております。これでは現在あまりにも低賃金で、生活苦に悩んでいる公務員が、公平妥当な給与であるとか、また職務の遂行に最大の能率を発揮せよという、国家公務員法規定趣旨にももとつておると思います。  以上でわかりますように、同じ方式、同じ資料を用いましても、人事院故意政治的修正を加えておると私どもは思います。まして私どもは、政府が何らの科学的根拠もなく、しかも人事院勧告さえ無視して、わずかに平均二〇%で、一番構成員の多い四級、五級のところは一五%ないし一七%しか値上げしてなく、十三級、十四級は三七、八%も上つておるということは、了承できません。公務員の正当な要求をあまりにふみにじられたものでありまして、私どもはぜひこの点からも一万六千八百円ベース正当性とともに、実現をお願いしたいのであります。  次に、今回改正案として提出されております一般職給与法について申し上げますならば、まず第一に八条四項の昇給期間の問題でありますが、改正法律案の一万二千八百二十円ベースにおける俸給額のきざみの上からは、大体妥当であると思いますが、私ども要求する一万六千八百円ベースにおきましては、お手元に配付の表の、ごとく、四十六号俸まで六箇月、六十二号俸まで九箇月、以下一年と設定願いたいのであります。  次に第九条の俸給支払い方法でありますが、建前としては月一回全額払いとして、繰上げ支給の幅を一箇月の範囲にしていただきたい。そして現行の二回払いを付随的に人事院規則でできるというように、修正を願いたいと存じます。  第三に第五条一項中に追加され、第十条の二に新たに設けられました、管理、監督の地位にある職員に対する特別調整額には反対であります。後ほど詳しく万屋さんの方からもお話があると思いますので、これははぶきます。  第四の改正案の第十九条の二に当る宿日直手当については、私どもはこれは労基法上の手続によつて超過勤務手当とみなすというような建前もとに、割増し賃金をつけるべきで、勤務一回あたりに少くとも六百七十円以上を、人事院規則の定めるところに従つて支給するように修正願いたい。その根拠は、一万六千八百円ベースにおける本俸一万土千七百四十四円を十二倍し、五十二週と週授業時間あるいは勤務日数勤務時間数の平均四十四で割つて、その時間あたり給与額出して、それに百分の百二十五をかけて出した六百六十八円三十二銭から出たものであります。  改正案第十九条の四、期末手当については、いわゆる夏季手当として六月十五日、年末手当として十二月十五日の二回支給を法制化された点では、賛成でございますが、現在の赤字生活実態から、日本人の盆、年末の慣習ともあわせて、次のように改めていただきたい。六月十五日に支給する額は、在職六箇月までの場合は百分の百、三箇月以上六箇月未満の場合は百分の八十、三箇月未満の者は百分の六十、十二月十五日に支給する場合は、在職六箇月の場合は百分の二百、三箇月から六箇月の場合百分の百六十、三箇月未満の場合は百分の百二十といつたような、一つの案を持つております。  この際特に公務上負傷あるいは結核休職等の、病気休職になりております、いわゆる長期休職者に対しましての期末手当は、二十五年十二月十六日の政令三百五十四号の第一条、第三項但書の規定を、本法案に明記されて支給されるように、特に御尽力を願いたいのであります。そのかわり第十九条の五の方に新設されました勤勉手当につきましては、設定を認める必要なく、反対いたします。理由としては、先ほど藤林先生も申されましたが、客観的公正な勤務成績評価が確立していない現在、卑屈な隷属と労働過重をしいられるような形、あるいは上級職の主観がまじりやすく、かえつて職場民主化が阻害されるといつたような点から、私ども勤勉手当設定反対し、その以前に、健康にして文化的な生活を保障する最低賃金制の確立こそ、まず必要ではなかろうかと思います。また改正案でいわれております配分を受ける場合には、個人の場合では扶養手当を含まず、全体の予算としては、俸給扶養手当勤務地手当合計額の百分の五十となつておりますが、この場合扶養手当が、配分の際操作されて、たとえば思惑つきで、下には三割、上には十割といつたような配分がされるということも反対いたします。  さらに第七といたしましては、附則に加えられた七、八、九の現業官庁における奨励手当も、先ほど藤林先生が言われたような点を主とした理由反対いたしますが、現業官庁職務実情に応じて、この際合理的な給与体系あるいは特別俸給表設定こそまず急ぐべきで、ここに再び複雑なこぶつきの方式は不可であると思います。  この際特に公務員の総意といたしまして、現行政府職員特殊勤務手当に関する政令昭和二十三年十月十五日、政令三百二十三号でありますが、この十三章に定められてあります隔遠地手当僻地手当と改めまして、給与法上に勤務地手当と同じような解釈もとに明文化して、その支給基準なり地域指定は、人事院規則の方にゆだねていただきたい。僻地は票は少いかもしれませんけれども、その労苦と生活苦は、都市の勤務地手当以上の必要性を要求されております。特に僻地教育振興のためには、全国僻遠の地に点在する教員の場合は、非常な要請があるわけでございまして、僻地給対策委員会まで日教組には組織されて、全国的に動いている次第でございます。その支給額の基準は、俸給扶養手当月額合計の一級一割、二級二割、三級三割、四級四割、五級五割というように、できれば御設定を願いたい。  休職者の給与についてでございますが、第二十三条二項の結核休職の場合は、期間を三年に延長願いたい。これは教職員の三年と均衡をとることにもなりますが、俸給扶養手当勤勉手当僻地手当の百分の百として、支給額の最高をお改め願いたい。同条の第三項の病気等心身の故障によつて休職する者は、現行百分の八十でございますが、一年を二年に延長できるように願いたい。第四項の国家公務員法七十九条の第二号の規定にあります、刑事事件で起訴されたことのみで休職とすることは、不当弾圧の傾向をかもし、従つて刑法上有罪が決定するまでは、給与の百分の百支給するように改められたいと存じます。  次に教職員について、特にこれは切実な要求でございますが、教育公務員特例法第十九条、第二十条の規定によりますと、一般国家公務員と違いまして、研修が義務規定なつておりますので、その趣旨にのつとりまして、教職員の研修手当支給規定を新たに、できればこの給与法の中に設定を願い、月額五百円以上で、人事院規則で明細にされたいと思います。  公務員特に勤務が複雑で、課外研修指導等の多い教職員の場合は、これも余分の欲で恐縮でございますが、住宅手当あるいは通勤手当等の設定を、何とか御尽力願いたいと御要望申し上げます。  現行第十九条の二の中にあります夜勤手当の問題でありますが、これが現在定時制高校の夜間勤務をしております先生方にないという点も、非常に教職員の場合では困つておりますので、これを人事院規則設定願うように、何とか給与法上措置を願いたいと思います。  以上が私の意見並びに要望でございますが、従つて別表については一万六千円ベースで第一から第六までの御修正を願います。附則における実施時点は、二十七年一月一日にお願いしたい。それから附則別表の新旧俸給表の対照は、配付の表のように御改正願いたい。  以上でございます。
  6. 有田二郎

    有田委員長 矢田君の公述は終りましたが、質疑がありますれば許可いたします。質疑はございませんか。——別に質疑もないようでございますから、次は、公共企業体裁委員会委員長今井一男君にお願いいたします。
  7. 今井一男

    ○今井公述人 昨日急にお話がございまして、私実は今回の人事院勧告並びに政府提出法律案につきましては、ほとんど勉強しておりませんのでお断り申し上げたのでありますが、日ごろ感じておることでもよろしいから、一般論でもさしつかえないから、ひとつしやべれ、こういうお話でございましたので、昨晩一通り目を通しまして、けさやつてつたのであります。その意味で、申し上げることは公務員給与に関する一般論におおむねなろうかと思います。  私が国民の一人という立場から考えまして、国家公務員法に、その目的といたしまして、第一条に公務の民主的で能率的な運営をはかるという、国家公務員に関する基本的な原則が打出されております。これはむろんいろいろの施策によつて行われることでありましようが、少くとも給与というものも、その面から判断されなければ、いろいろの問題が基本的に片づかないのじやないかというような感じを持つものであります。  人事院ができましてすでに約満五年を経過しておるように記憶しておりますが、その間職階制その他試験制度、またいろいろな方面に、いろいろのくふうが行われたようでありますけれども、しかしはたして国民が具体的に認識するほど、現在の公務員制度が従来に比べまして、それだけ民主化され、それだけ能率的になつたかという点につきましては、かなりの疑問を抱かざるを得ないように思うのであります。特に給与は、人事院が科学的な研究をいたしまして、これを国会あるいは政府勧告するという建前が確立いたしておりますが、私の若干賃金問題を取扱つて参りました経験からいたしますと、賃金というものは、決して科学的に答えが一つというように出るものであるかどうかという点につきまして、常に多大の疑問を抱いておるものであります。もし数学のように、きちんと一つの答えが出ますならば、これは労働問題的に考えましても、きわめて簡単なのでありますが、なかなかそうは参りかねる。そこにこういう問題に対しまして、労使対等の原則による自主的解決という原則が確立されたのだろうと、いつも思うのであります。もちろん国家公務員に対しまして、特殊な労働法上の制約を加えます関係から、人事院というような、性格の独立した機関が特別な研究をやることは、これはきわめて必要なことであろうと考えますが、しかしながらそこにかりに人事管理者側のある程度の意見が織り込まれましても、その立案の過程におきまして、私は団体交渉の形式が、かりに否認されましても、組合員の代表その他の意見が、あるいは話合いが織り込まれたならば、もう少しこの問題は納得性が増すのでないか、賃金につきましては、何よりも納得性を増すということが、私の経験としては一番必要なことではないか、かように存ずるものであります。私も人事院の現在のやり方を、あまり詳しく知つておりませんので、見当違いになるかもしれませんが、どうも承つておるところによりますと、その点は研究室の奥深く、ひそかに作業が行われておるというような感じがするのでございまして、これが特に組合諸君不満になる大きな原因ではなかろうかと考えるのであります。しかしながら人事院勧告をいたしましても、この勧告公務員に対して公正な給与という立場におきまして、かくかくあるべし、こういう角度におきましての勧告でありますがゆえに、政府はこれを別の財政的の立場から、これに対し独自の意見を吐くということは、これも私はやむを得ないことだと思います。しかしながらもしも政府人事院勧告を、理由があつて修正しなければならぬというような場合におきましては、その修正理由を詳細に、職員に納得できるような形へおいて発表される道義的な責任がありはしないか。それがどうも今まで私どもが第三者的にながめておりますと、その説明がはなはだ不十分なように受取れる。それがまた職員側の非常に大きな不満ではなかろうかと思うものであります。  それとからまりまして、これもよけいなことになるかもしれませんが、現在の形では、今回もそのようでありますが、人事院政府と両方から違つた法律案国会に上程される。従来の例によりますと、おおむね政府側の意見が通過成立いたしておるようでありますが、いやしくも独立機関であります人事院が、一つの勧告を、しかもこれが最も正しいものという確信のもと国会に対して提出する。それがそれと違つた形において成立する。もちろん国会の決定でありますから、これが最終的なものであることは申すまでもございませんけれども、少くとも独立機関として絶対の自信と誇りを持つて出し法律案が、違つた形、具体的に申せば、大蔵事務当局のようなところの意見のままに通る。その通つたもののまた下請、通つたものの実施ということをまた人事院が扱う。これは私独立機関の性質としておかしいと思うのであります。これでは人事院の権威は、むしろ保てないのでありまして、私ども経験から申しましても、勧告するような独立機関はやはり実施を扱つては、どうしてもつじつまが合わない。自分として最善と思つて出したものでありますからして、それを実施する場合には、こうやろう、ああやろうというあらかじめの計画は必ずあるに違いない。ところがかわつた法律になりますと、かわつた法律のまま、その通り自分の心にもないやり方を人事院が管理しなければならぬというところに、これを妙な例で申せば、私は事業会社における取締役と監査役を一人でかねておるような一つの矛盾を感ずるものであります。むしろ人事院のような独立機関の立場のものは、勧告でありますとか、あるいは試験でありますとか、苦情の処理でありますとかいうような問題を取上げまして、これの実施につきましては、むしろ政府当局に直接やらした方が、その間の理論的なことも、また筋合いも、また実施面におけるいろいろの障害も起らないのではないか、かようなことを感じておるものであります。人事院勧告をされますいつもの考え方は、今度の勧告には具体的に現われておりませんが、公務員給与というものは、国民の消費水準基準に置くべきである、それより高くあつてもよろしくないし、低くあつてもよろしくない、国民の消費水準とぴたつと来るということ、これが国民の要望である。こういつた立場で出されておるようであります。少くとも、従来の勧告はその点がはつきりうたわれておりました。これも一応ごもつともには感ぜられますが、私としては実はそういう考え方に若干の疑問を持つものであります。すなわち公務員の真の使用主が国民であるといたしますならば、国民はもし公務員から割りのよい優秀なサービスを受けようと思うならば、これは理論的に申しましても、高い賃金を払うべきだと思います。しかし今はわれわれは税金も払えないくらいの状態であるからして、従つてそう賃金は出せないということでありますならば、サービスは行届かなくても、その点はしんぼうしてもらわなくてはならぬ筋合いかと思うのであります。その意味におきまして公務員のサービスがいかにあるべきかということは、むしろ国民の要望が基礎になつて定めらるべきではなかろうか、そういう意味におきましては、国民の消費水準を上まわることも、少しもさしつかえないことであるし、またある場合にはこれより下つてもやむを得ないのではないか。むろんあつせん者的な立場に立ちますと、人事院が消費水準ということを基礎に言われることも了解できるのでありますが、私は特に国家公務員にしかない特殊な仕事——公務員の中にも実はいろいろ民間と同じような業種がたくさんございます。しかし国家権力に基く行政作用を営む、民間には類のない仕事もまたたくさんあるのであります。そういつた場合に、私は国民の消費水準あるいは民間給与というものをすぐ持つて来るという考え方に対しましては、相当の疑問を抱くものであります。もし民間業種と同じような、まつたく同一視してよろしいような仕事につきましては、特殊な、公務員に加えられましたいろいろの制約を調整さえすれば、おおむね民間給与の例を持つて来て、これでさしつかえなかろうと思うのでありますけれども、しかしながらたとえば一国のいろいろの政策の実施面を担当しておるようなものと、ある意味におきまして、全然性質を異にする民間の事業会社等のいろいろの職員等がどういつた意味でも、私は民間給与調査におきまして、何級と何級という式に比べられるということにつきましては、これは非常な疑問を感ずるのでありまして、国家公務員給与は、いかにあるべきかということにつきましては、ことに純粋の権力作用を営む国家公務員につきましては、私どもはことに国民の一人の立場といたしましては、あるべき特殊な姿をむしろ人事院から打出してほしい。それを単に、悪く申せば漫然と民間給与から引き離してくれという考えにつきましては、非常な疑問を持つものであります。そういうことこそ人事院勧告の中心をなさなければならぬのではなかろうかという感じを持つのであります。なお毎度のことでありますが、人事院勧告は、下に最低線を引きまして、民間給与と、片一方はマーケツト・バスケツトによりまして、理論生計費から打出し、上の方は民間給与から貫きまして、それを対数曲線でつなぐのが、従来のいつものやり方でありますが、マーケツト・バスケツトをこういうときに使われるということは非常に意味あることと思いまして、私ども全面的な方向としてはこういう考え方に賛意を表しまするし、またその調査等におきましても、年々進歩のあとがうかがわれるような、これは非常な走り見でありますけれども、感じは持つて、ひそかには敬意を表したい点もあるのでありますけれども、しかしながらこの最低線で引かれたものが、はたして標準生計費であるか、最低生計費であるかという重要な点が、いつも私どもには疑問のまま残されておるのであります。たとえば今回の調査を拝見いたしましても、一応文字は標準生計費なつておるのでありますが、たとえば東京都における五人世帯を見ますと、エンゲル係数が六九・一というような数字なつております。これではいかに見ましても、最低生計費をあるいは下まわるというような数字になるのではなかろうか。独身世帯におきましても四九%というような数字に相なります。私はこの生計費問題を扱いますときには、非常に横着な考え方から、いつもカロリー単価というきわめて便法を用いるのでありますが、カロリー単価を中心にいたしますと、最も大ざつぱに国民の食品構成並びにその実効価格というものが反映いたしますから、きわめて便利と考えるのでありますが、東京都の四、五月ごろの都の勤労者家計調査におきまして、このカロリー単価はおおむね三銭五、六厘であります。CPSによりますと、これが八月ごろで約四銭近い数字を示しておる。人事院の標準生計費によりますと、一人世帯が約三銭五、六厘であります。私は最低生計費ならばまだ話がわかりますが、一体これが五人世帯になりますと、三銭をどうもおおむね割つているらしい。従つていかに見ましても、カロリー当り三銭程度の単価、さらに六九というようなエンゲル係数等によりまして、標準生計費というものは、私はそこに非常な無理があると、かように考えるものであります。また民間賃金と結びまして、今申し上げた格づけの関係にむろん議論がございますが、それにいたしましても、これを最小自乗法でつなぐというような方式につきましても、私はやはり一番考えるべきは、初任給で入つた人が、何年普通に勤めて一応まじめに働けばどこまで行けるか、こういつた意味における昇給の限度と申しますか、そういつた配慮がどうも欠けているように、ただ単に数学的に最小自乗法でつないだというような感じを持つものであります。これは職員の勤労意欲には非常に大きな影響があろうと思うのであります。人事院のやりましたマルテイプルの関係は、私どもは内容はよく御説明がないのでわかりませんが、かりにそれが正しいものといたしましても、なおかつ税引きにおいて三倍という数字がございます。従いまして少くとも初任給の税引きの三倍のところまでは、普通の人間は上らなければ、上つて生活水準は一つも上らない、こういつた形に相なるわけであります。これがはたして勤労意欲とどういう関係があるかという点は、私は非常に大きな問題だと思うのです。ことにわが国のように、まだ賃金そのものが満足の行く程度まで復活できない場合におきましては、こういつた点にこそ非常に大きな配慮が払われて、単に俸給表の表面がきれいな形になるという以上に、どういつた職種は一体どこから始まつてどこまで行ける、こういつたその間における具体的な生活水準はいかように変化して行くかというような解明こそ、一番むしろ勤労意欲に大きな影響を及ぼす点ではなかろうかという感じを持つものであります。もう時間が参つたようでありますから、一、二今回の法律案とからまりまして、私の特に気のついた点だけを若干申し上げておきます。  一つは勤務地手当の問題であります。勤務地手当がすでに全職員の八十何パーセントまでつけられておるという形は、どう見てもあまり常識的でないように感じるのであります。私もかつて勤務地手当では非常に苦労した体験を持つておるものでありますが、勤務地手当の考え方が、かりに特に生計費の高いところにこれを与えるという考え方であるといたしますれば、——まあ少くとも法律にはそう書いてあるのでありますが、それならばこれを全俸給俸給の全額にかけるという考え方は、どう見てもおかしいのじやないか、すなわち俸給の全額にかけるということは、言葉をかえれば、賃金の地域的な差異に準ずるということであります。生計費基準において差等を調整しようというものでありますれば、私はむしろ定額的なもの、すなわち人事院で一定の俸給額、標準生計費というような線までの額を最高として、それ以下のものには与えないという形の方が、より理論的に合うのじやないか、しかし現実の姿といたしましては、各地域における賃金差は相当大きなものがあります。それならば今のようなIRDのようなものをとられないで、むしろ毎勤の府県別調査のようなものを基礎とされまして、別の角度から検討されるならば、私はまた意義があると思います。しかし従来のような生計費基礎の地域手当でありますならば、もはやここに考え直すべき時期が来ておるのではなかろうか。私の過去の経験から申しましても、労務需給の角度から申しますれば、たとえば教育職員等における地域差と、それから他の現業職員等における地域差との考え方は基本的に違つておるのであります。それを一本の法律に当てはめようというところに、もう無理があるような気がするのでありますが、さかのぼりましては、さらに国から日給をもらうという、ただそれだけの事実によりまして、これを全部国家公務員という一つのわくにはめまして、一つの基準で、一つのものさしで、一つの法律で、一つの俸給表にぶち込もうというところに、やはり大きな矛盾があることを感ずる次第であります。私はこの数字的な問題は検討いたしませんでしたので、あまり大したことを申し上げる資格はないのでありますが、ただ感じだけを申し上げれば最近一年間におきましての、いわゆるCPIなり、毎勤なりという数字は、これはそう大した大きな上昇を示していないことは事実でありますけれども、しかしながらともかく朝鮮動乱前後を通じまして国家公務員というものが給与において非常に乗り遅れたことは、これまた顕著な事実であります。かつて人事院が一番最初に出されました六三ベース、これは二十三年の七月を基礎にされたものであります。少くとも当時からいたしますと、毎勤の数字はその後の統計の変化を調整いたしましても、三倍以上になつておることは、これは疑いを入れません。その意味で私は今度の人事院勧告数字をそういつた角度で考えますと、いずれかと申せば、むしろ低過ぎるというような意見も、十分立ち得るものであるというような感じだけを申し上げまして、時間が参りましたから、しり切れとんぼでありますが、私の公述を終ります。
  8. 有田二郎

    有田委員長 今井君の発言は終りましたが、質疑がありますればこれを許可いたします。——別に質疑もないようでありますから、次は官公労働組合協議会議長天野徳重君。
  9. 天野徳重

    ○天野公述人 官庁労働組合協議会の議長をしておりまする天野でございます。きようは国会の人事委員会におきまして、特にわれわれの給料の点につきましての発言の機会を与えられましたことを、心からお礼を申し上げます。  私どもが持つておりまするところの協議会、これはぜひ人事委員会の諸公にも知つていただきたいのですけれども、いわゆる非現業官庁、つまり公共企業体でないところの中央官庁と申しまするか、この組合が二十四集まりまして、その収容人員が約四十万、組合員としまして約二十万の組合員でございます。その組合員が、もつぱら給与の点につきましては、人事院の算定し勧告するところの給与にすがつておるわけであります。本年の七月の末に人事院が一万三千五百十五円というわれわれの基本的な給与改訂勧告をされております。このときに私どもとしては、いろいろ賃金専門委員会というようなものを構成いたしまして、いわゆる人事院のマーケツト・バスケツトの算定方式によつて基礎づけられました給与の基本的な、最低賃金が九千九百七十円ということに、われわれの組合賃金専門委員会によつて算定されたのでございます。そのことにつきましては、いろいろ当時人事院の滝本給与局長、ただいまお見えになつておりますが、あるいは人事官その他につきまして、われわれの意見をしばらく具申をし、そうしてそれの実現方を要請して参つたのでございます。ところが結局人事院勧告されたものにつきましては、ただいま申しましたような額であるということにつきましては、われわれ組合員としては全部これに反対、不服、そういう状態でございます。先ほど官公労の委員の方からもお話がございましたけれども、われわれの方としては、あくまでも最低賃金制をぜひこの際組んでいただきたい。ということは、結局今われわれは憲法で、文化的な健康にして最低生活を営むという一つの基本人権的な問題が保障されておるにもかかわらず、現在の公務員給与というものは、結局まだそういつたような生活給が確立しておらないというふうに、私どもは考えるわけでございます。すなわちほんとうに低い給与をもらつておる者は食つて行けないのじやないか、これが公務員実態である。従つてまずそういうふうな制度の確立をしてほしいということを、ほんとうに心から素朴な要求といたしまして、政府あるいは人事院に向いまして要求をしておつた。人事院といたしましては、民間給与とタイアツプして公務員給与をきめるべきであるというふうにおつしやつておりますが、その点につきましては私どもも十分肯定をします。しかししからば公務員給与は、今の民間給与と匹敵しておるかどうか、人事院の見解では当然それに匹敵しておるものを出しておるというふうにおつしやつておると思いますが、労働省の労働統計によりますと、結局二十二年ごろまでは匹敵しておつたけれども、いわゆる人事院勧告が行われるようになつた今日の公務員給与というものは、それからさらに水準が低くなつておる。私どもが一万六十二円ベースの本年十月現在におきましても、民間給与におきましては一万三千五十二円というふうな形で持ち出されておる。私ども詳しい数字のことはよくわかりませんが、結局そういりようなことになつておる。これはベースの関係から申しましても、さらに個人的な比率の関係から申しましても、非常な差があるわけでございます。なおかつ人事院勧告されました今度の給与の中で、特に私ども不満を持つという一点は、非常に上下の差がはげしい、これは少しはげし過ぎる。この点は私どももしばしば人事院に特にお願いをして参つたのであります。つまり七級職ぐらいから以下の公務員というものは、全公務員の約七〇%ないし八〇%を占めておる。そのような一番前線で体を粉にして孜々として働くところの者が一番多い、そういうふうな人たちの給与が非常に低いということは、それによつて全体の公務員の勤労意欲というものに、非常に大きな影響を与えるということと、それからほんとうに国民に奉仕し、すなわち国家に奉仕するところの完全な状態にはつくり出せないというような危険がずいぶんあるわけでございます。人事院が今回算定の基準にしましたところの二級三号、つまり新制中学を卒業されましたもので勤務一箇年のものが結局四千七百円、これは税込みでございますが、税を引けば四千五百円、それから新制大学を出ました者で六級一号が八千二百五十円、こういうふうな状態でございまして、結局最高最低との差が従来よりもさらに倍化された。今度給与が上つたことに対しまして、政府は二割アツプあるいは二千円アツプというようなことを申されておりますが、結局今度人事院勧告をそのままのんでいただいたとしましても、最高は二万四千五百円、最低におきましてはせいぜい七百円か六百円になつておる。こういう差では一般国民は今度は官吏は二千円上つたじやないか、あるいは二割上つたんじやないかといわれましても、下級の職員に至りましては全然そこまで上つていない。従つてこれが人事院勧告のように、五月一日から実施されたということになりますれば、おそらく高給者は十四、五万円の差額金がちようだいできるにもかかわらず、下級職員におきましてはせいぜい四千円か五千円である。下級職員が実際に生活に困つておる、そういうふうな状態では私どもがほんとうに生活権を守るためにやつておる組合の活動というものが、一体だれのためにそういう活動をしているのだということになるわけであります。これは全然話にならぬ。もちろん職階制的な給与関係というものは、私どもは決して否定はいたしておりません。当然そうあらねばならぬということを考えますが、現在のように非常に差額が大きいということと、ただいま申しましたように、給与最低生活を営むに足りていないという現状におきましては、まず最低生活をなし得るところの基本的な給与をきめていただきたい。これが私どもの下級職員のほんとうの心からなる素朴なお願いでございます。かりに政府の御見解が人事院勧告すら認めないで、二割アツプ、二千円アツプということになりますれば、先ほど申しましたように、最低賃金をもらつておる連中は、来年から必ず上るであろうところの電気料金あるいは運賃、そういうものを比較検討してみますと、決して実質的にはこれが上つておらない、むしろ生活水準はだんだん低下をして行くのじやないか、このような危険があるわけでございます。従来の勧告でも私どもはしばしばそういうように痛感しております。現在におきましては人事院勧告が、きわめて妥当でないというふうな見解を賃金専門委員会においてとり、また私どももそれを肯定いたしておりますが、われわれ公務員から罷業権であるとか、あるいは団体交渉権を奪つて、もつぱらわれわれの給与の点を人事院というような中間機関をつくつて、われわれの利益代表機関としてまかせてありますが、先ほどから諸先生方も申されましたように、人事院勧告すらものめないという状態では、われわれとしても人事院の機構を何ら権威のあるものと認められない。やはり人事院勧告したものは政府国会はこれをのんでいただきたい。人事院勧告そのものが誤つておるかどうかについては、われわれの方と人事院の方と、今後十分折衝を続けなければならない。しかし基本的な機構の本質から申しますれば、そうでなければ、われわれ公務員生活を守つてくれるところの人事院の権威なり価値が、全然ないのじやないか、かように考えておるわけでございます。私どもがしばしば人事院に申し上げ、私どものほんとうの心からなる要求人事院にたたきつけても、人事院としてはこれをほんとうに聞こうとはしないという態度が見える。給与局長もおられますけれども、おそらく私ども賃金専門委員会給与局長とは、しばしば人事院におきましてその問題で検討されておると思う。そうしておそらくその問題を肯定されておるのじやないかというふうに考えますけれども、それが認められておらない、これはわれわれ組合員全部の非常に遺憾にたえないところであります。現在の給与に関する問題とは若干はずれますけれども公務員は今政治活動あるいは団体交渉権あるいはスト権、そういう基本的な労働権が失われておる、こういう点についてもぜひ人事委員諸公におかれても十分な御留意をいただきたい。われわれは人事院勧告が正当であればあくまでもこれを支持し、その勧告に権威を持たせていただくことを要望するものでございますが、少くとも今回の給与の関係におきましては、はなはだ遺憾ながらその点ができないのでございます。その九千九百七十円という最低賃金制を打出しました詳しい資料は現在持つておりますので、ぜひあとから御高覧に供したいと存じますけれども、このような状態の中で、今暮れに迫り、そうして口をあけて待つておるところの組合員あるいは一般公務員が、この国会のなり行きがどうなるかと思つて、非常に大きな注意を持つて見ておるわけです。従いましてわれわれが食えるところの生活、そういうものの算定がされない限り、私は組合最高責任者としまして、今後公務員のこの問題によるところの大きな動揺、あるいはそれから起るところのいろいろな不祥事件、そういうものについての責任が実際負いかねるような感じがしておるわけでございます。非常に深刻な問題として公務員はこの問題を考えております。かつての徳川時代におきましては、農民や町民のきわめて素朴である正しい訴えにつきまして、これが何ら時の為政者によつて取上げられなくて、むしろその結果は非常に残酷な状態に終つておることがしばしばございますけれども、後世史家は当時の農民一揆なり、その他の問題に対しましては、おそらくその連中が非常に無謀であつたというよりも、当時の悪代官であり悪領主の悪政に対する批判を必ず行つておる。この民主的なる国会の機構の中におきましては、どうかわれわれのような下級職員のきわめて素朴なる要求を取上げまして、かつての徳川封建時代のような政治でないことを、はつきり示していただきたい、これが人事委員の皆さんに対する私の心からなるお願いでありまして、なお数字的な詳しい点につきましては十分な資料がございまするので、そういう点をあとから御高覧いただくことにいたしまして、私のお願いを聞いていただきたいと思います。
  10. 有田二郎

    有田委員長 天野君の発言は終りました。質疑がございますれば許可いたします。
  11. 小松幹

    ○小松委員 今の点について質問いたします。最低四千幾らと言われましたが、事情がよくわからないので質問いたしたいのでありますが、通勤手当というものは出ておりますか。かりに国会の事務職員でもけつこうですが、そういう方が三田なりあるいは世田谷から通うときに、これの通勤費というようなものは出ておるのでしようか。
  12. 天野徳重

    ○天野公述人 通勤費は出ておりません。通勤費としては全然出ておらない。私は裁判所の者でございますけれども、現在大崎から歩いて通つておる人間がいる。それから定期を一箇月も買えないので、非常に不経済ではあるけれども、その日その日電車賃を払つて来ているという連中がいるわけです。これが下級職員実態だということを御認識いただきたいと思います。
  13. 小松幹

    ○小松委員 実は私の秘書にパスを買わせたら、上野からこちらまで来るのに七百何ぼかかつた。そうすると四千幾らの中から通勤費を出すと、あとの生活費は何ほどもなさそうな気がしたので、今の公務員は通勤費をもらつているのだろうかという疑問を持つたのです。もらつていないとすれば、四千幾らから月七百円なり八百円の通勤費をとられれば、三千円そこそこにしかならないということになりますかどうか。
  14. 天野徳重

    ○天野公述人 通勤費というか交通費は、われわれの方でも要求しておりますけれども、そういう特別の費目がないので出してはおらぬわけです。
  15. 小松幹

    ○小松委員 それを下まわるわけですな。
  16. 天野徳重

    ○天野公述人 そういうわけです。
  17. 有田二郎

    有田委員長 他に御質疑のある方はございませんか——別に御質疑もないようでありますから、午前中の会議はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時四十分開議
  18. 有田二郎

    有田委員長 休憩前に引続き公聴会を再開いたします。  まず日本官公庁労働組合協議会賃金対策委員長万屋良作君に御発言をお願いいたします。万屋良作君。
  19. 万屋良作

    万屋公述人 日本官公庁労働組合協議会賃金対策専門委員長万屋でございます。本日一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案審議の過程にあたりまして、われわれがもつとも利害関係を有するものでありますが、これに対しまして意見を開陳する機会を与えられましたことを深く感謝する次第でございます。午前中理論的な面から種々御意見が述べられておりましたので、私は主として今回提出されておりますところの法律案の内容並びに俸給表の内容等につきまして、若干意見を申し述べたいというふうに考えております。  逐条別に参りまして、まず第一の第五条第一項中に「俸給特別調整額」云々ということが入つておりまするが、これは管理職にある者に対しまして、超過勤務を廃しまして、そのかわり俸給でもつて特別調整をするということでありまするが、高給者にこのような俸給でもつて特別調整をするということは、それでなくても俸給表倍率が非常に高くなつて来ておる今回、特に高給者のみを優遇するというようなきらいが生じて参りますので、ちよつとわれわれとしてはこの俸給特別調整額をつけることに対して了承できないものがあるというふうに考えております。  さらに第八条の第四項中の「「四百円」を「六百円」に、「千円」を「千五百円」」というふうに改めるという項につきましては、午前中矢田君から発言がございましたように、われわれは一万六千八百四十七円ベース要求しておりますので、これに準じまして当然この金額も修正がなされなければならないというふうに考えております。  次は俸給支払い方法でございまするが、第九条が改正されるということになつております。改正の要点といたしましては、従来月二回にわけて支給がされておつたわけでございまするが、今回の改正によりまして月一回の支給ができるということになつて参つたわけでありまするが、この月一回に全額を支給するということは、われわれとしても了承できるわけでありまするが、その月一回に支給する際には十六日以降の日でなければ支給ができないというふうなことを規定するということは、まつたく不当であるというふうに考えております。従いまして第九条の二項につきましては、これを削除していただきたいというふうに考えております。  第十条の二につきましては、俸給特別調整額の件でございまするが、これは先ほど申し上げましたような理由からいたしまして、この十条の二は全文削除していただきたい、かように考えておる次第であります。  第十九条の二の中におけるところの「俸給特別調整額」についても同様であります。  次は宿日直手当の金額の問題でございまするが、第十九条の二におきまして、勤務一回について三百六十円ということになつておりまするが、この三百六十円という金額は今回政府出しておりますところの一万二千八百二十円に対するところの金額でありまするが、もしこれを人事院勧告に直しますならば約五百円、われわれの要求でありますところの一万六千八百円によりましてこれを修正いたしますならば六百六十七円、約六百七十円ということに相なるわけであります。従いましてわれわれといたしましては、一万六千八百円を要求いたしております建前からいたしまして、当然六百七十円と修正を願いたい、かように考えておる次第であります。  第十九条の三でございまするが、これは超過勤務手当に関する規定の適用除外ということでございますが、これは先ほども申し上げましたように、やはり管理職に関係のある部分でありますので、これも全文削除していただきたいというふうに考えております。  それから第十九条の四、第十九条の五、それからさらに附則につけ加えられることになつておりますところの期末手当勤勉手当並びに奨励手当という問題でございますが、これがわれわれ官公庁職員にとりましては、最も今回の改正のうちで重要なるものというふうに考えております。と申しますのは、奨励手当並びに勤勉手当を今回給与法改正の中にあげたということの趣旨につきましては、当初人事院が考えたような趣旨であるならば、われわれは一応の了解はできるわけであります。と申しますのは、奨励手当につきましては印刷、造幣、林野、アルコール専売、全逓、この五つの特別会計につきまして、従来から報奨金というものが出ておつたわけであります。これを給与法の上にあげまして、新たに法令化するということでありますので、これについてはまつたく異論がないわけであります。しかしながら勤勉手当奨励手当等の政府出したところの内容を見ますならば、成績主義に偏しようということであります。ということは、とりもなおさず職階制をより強化するという方向に持つて来られるという危険性と、さらに一つは期末手当に対するところのプラス・アルフアーにこれを充当しようという考え方が、きわめて濃厚であるという立場から、われわれとしましては現段階におきましては、勤勉手当並びに奨励手当につきましてもこれを了承することができない、全文削除していただきたいというふうに考えておるわけであります。  さらに期末手当でありますが、そのような考え方からいたしますならば、期末手当は六月並びに十二月にそれぞれ支給することにいたしまして、六月は一箇月、十二月は二箇月分ということにしていただきたいというふうに考えております。さらに在職期間によるところの配分率でありますが、期末手当というものの性質を考えてみた場合に、賞与というふうな考え方で参りますならば、当然在職期間によりまして配分率が異なるということに相なるわけでありますが、期末手当の本来の性格から考えて参りますならば、当然包括賃金としてわれわれは考えなければならない。そういたしますならば、これを在職期間によつて配分率をかえるということは、不当であるというふうに考えております。  それから次に第二十三条の第五項でございますが、これは「その休職の期間中」云々とありますが、これは「百分の七十以内」を「百分の百以内」ということになつております。従来この百分の百あるいは百分の七十という件につきましては、本俸と家族手当、それから勤務地手当の百分の幾らということでありますが、当然給与全体としての給与総額の百分の幾らということでなければならないというふうに考えております。と申しますのは、休職を命ぜられたものは期末手当等を従来支給されていないというふうな実態にかんがみまして、われわれとしてはあくまでも給与の幾らということに修正をしていただきたいというふうに考えております。  なおこれと相関連いたしまして、第二十三条の第二項、これは結核性疾患によつて休職を命ぜられた場合でありますが、現行は二年ということに相なつております。この二年を三年にしていただきたいという理由といたしましては、結核療養をいたします場合に、二年間でこれを打切るということは、明かに死ねというにほかならないというふうな医師の方の見解が出されておりますので、当然三年にすべきであるというふうに考えております。三年にいたしまして、これもやはり給与総額の百分の幾ら、百分の百というふうにしていただきたい。第三項につきましては、これは結核性疾患以外の場合で、現行これは一年というふうになつておりますが、これを二年としてやはり百分の百ということにしていただきたい。第四項につきましては、刑事事件に関連した場合でございますが、これも刑が確定するまでは当然給与を支払うべきであるというような観点からいたしまして、百分の百というふうな支給率にしていただきたいというふうに考えております。  次は俸給表の問題に入るわけでありますが、その前につけ加えまして附則の方までついでに入りたいと思います。附則の方では別段これというわれわれとしての修正要求はないのでありますが、実施時期につきましては、一万六千八百四十七円ベース要求いたしております建前から、当然昭和二十七年の一月一日から実施していただきたいというふうに考えております。なお先ほど申し上げました各条文の修正に伴いまして、附則の中のそれぞれの条項も修正をしなければならないというふうに考えております。  以上が簡単でございますが、条文の修正についてのわれわれの持つておりますところの見解でございます。  次が俸給表の問題でありますが、俸給表の問題を論ずるにあたりましては、まず人事院からなされたところの勧告に対する批判をすることが、この政府の出された原案を批判することにもなろうというふうに考えておりますので、まず人事院勧告に対して若干の批判をしてみたいというふうに考えております。一般的な批判はさておきまして、事実的な面からまず入つて参りますならば、給与水準の算定をするにあたりまして、その基礎となつているものが標準生計費民間給与ということに相なつております。この標準生計費の算出にあたりまして、成年男子が中等度の労働を行うに必要な熱量を二四〇七カロリー、蛋白八一・五グラムということにいたしております。これは昨年の勧告から比較してみますならば、カロリーにおきまして七一カロリー、蛋白におきまして一・六グラムの増加となつております。しかしながらこれは厚生省の国民栄養調査に基いて算出したということに相なつておりますが、同様の調査によつてわれわれが調査いたしたところによりますと、全国平均昭和二十六年の二月でありますが、それによりますならば、二四三〇カロリーと相なつております。東京におきましては二四六〇カロリーということに相なつております。さらにまた同じ調査にるところの標準摂取量は熱量が二五〇〇カロリー、蛋白が八五グラムということになつております。この二五〇〇カロリー並びに蛋白の八五グラムということに基きまして、われわれが一万六千八百円を算出いたしておるのでありますが、この基準となつておるところの十八歳の青年独身男子は最も発育盛りである。従いましてその必要量は二五二〇カロリーでなければならないというふうに考えておるわけでありまするが、この点におきましてまず人事院のカロリーのとり方につきまして、非常に問題があるというふうに考えております。このようなカロリーのいわゆる摂取熱量並びに蛋白というものに基きましてマーケツト・バスケツトが組まれているわけでありまするが、その摂取熱量が先ほど申し上げましたように低く押えられておるというところから、当然マーケツト・バスケツトも低く押えられておる。しかも二四〇七カロリーを摂取するということに相なつておりまするが、その食品の摂取量は一人一日当りすなわち老人、子供等を含めましたところの平均の摂取量として掲げられておりますところの厚生省の国民栄養調査昭和二十六年平均の一九五五・六カロリーと同様の内容を持つておるということが言えるわけであります。  次には摂取される食品の内容でありまするが、貧乏人は麦を食えだとか、あるいはパンにみそをつけて食えというふうなことをそのまま表現しておるというふうにわれわれは考えております。と申しますのは、昨年の勧告におきましては一日当りパンが一五〇グラム、それにバター、ジヤムというものをつけることができない。ただみそのみがとられておつた。ところが今回はジヤムが三グラム、バターではありませんが、マーガリンが一グラムということになつております。これは七箇月に約半ポンド使用できるというふうな計算であります。このようにごく少量がとられておる。めん類への依存度が非常に高い。先ほど申し上げました二四〇七カロリーのうちで主食で一八二四カロリー、副食で五八三カロリー摂取されることになつております。さらに主食のうちでパンによるところのカロリーが四二〇カロリー押麦で一九〇カロリー、こういうふうになつておりまして、米以外の食品でほとんど栄養をとるということになつております。副食につきましても魚介類あるいは肉乳、卵あるいはくだものというものの摂取量は相対的に少くなつております。また毎日パン一個を食べながらジヤム、マーガリンを一箇月にわずかに二十四円しか使用できないというふうな算出根拠なつております。  次にそのような食品内容でマーケツト・バスケツトが組まれておるわけでありまするが、これの金額を算出するにあたりまして、CPSの実効価格によつてこれがなされておる。ところがCPSというものは、国民の生活実態を的確に把握していない。その平均の生活費の約二〇ないし三〇%が落してあるというふうなことから考えましても、当然この出て来た金額は低いものであるというふうに考えております。さらにこのCPSによつて実効価格を求めておるわけでありまするが、精米、外米それから押麦、小麦粉というものにつきましては、CPSによりましてグラム当りの単価が出ておるわけでありまするが、それ以外のものにつきましては、すべての匁当りの単価となつております。これをグラム当りの単価に換算するわけであります。普通常識といたしましては、換算率が〇・二六六七ということに相なるわけでありまするが、人事院の場合はそれが〇・二六一ということになつております。一見きわめて僅少な数字の誤差のようでありますが、非常にこまかい数字をいじる過程におきまして、このような僅少の誤差でも結果として現われる場合には、非常に大きなものになつて来るということが言えるわけであります。この点からも人事院のいわゆる標準生計費の押え方が非常に低くなつておるというふうにわれわれ考えております。以上のような矛盾きわまるところの算出根拠によりまして出ました結果が、成年男子一人一日当りの食料費を八十六円三十二銭、一箇月が二千六百三十円、こういうことになつております。ところが計数とか何とかいう問題でなくして、常識で八十六円三十二銭でもつて、われわれの食生活ができるかいなかということは、これは私がここでるる御説明申し上げるまでもないというふうに考えております。  次は食料費以外の生計費の算出でありまするが、これはマーケツト・バスケツト方式によることを避けております。そういたしまして昭和二十六年六月、九月、十一月並びに昭和二十七年の三月、四月の勤務者世帯家計分析というものから項目別に世帯人員別の平均支出金額を出し、さらに並数階層の支出金額の平均値を求めております。これを最小自乗法によつて五人世帯の平均支出金額の調整値から並数層階の各世帯別の支出金額への換算乗数、いわゆる人事院で言つておりますところのマルテイプルというものを算出しております。しかしながら人事院がこのような算出にあたりましての表現を用いておりますものの、端的に申しますならば数学的に推計をしたということにすぎないというふうにわれわれは考えております。平均値が二〇%ないし三〇%低く押えられておるというふうなことから、並数の換算値を用いて一人世帯の並数生計費を算出する。その結果を国民消費の平均であるというふうな説明をし、あるいは並数は平均の一種であるというふうな詭弁を弄している。この辺に低賃金に押えようとする意図が明らかになつておるというふうにわれわれは考えております。ただいま申し上げましたような方法によりまして算出されました食料費、それから食料費以外の生計費、これを合計いたしまして標準生計費というふうに言つておるわけでありますが、それは東京都の場合には五千三百七十円、地域給のつかない場合に換算率が百二十五分の百というものを用いまして四千三百円とし、税込みが四千七百円ということになつております。これを五入世帯について見ますならば、同年五月のCPSにおいて四・七六人の世帯の生計費が一万八千八百二十五円ということになつておるにもかかわらず、勧告では一万六千円すなわち二千八百二十五円低く押えられておる、こういうことであります。  次はエンゲル係数の問題でありまするが、五人世帯で五五・三というエンゲル係数を用いております。ところが同月のSPSによつて見まするならば五二・七、これは人員は四・七六人でありまするが五二・七というふうになつております。昨今の新聞等を見ましても、エンゲル係数はどんどん下つておる。さらに諸外国のデンマークだとか、あるいはアメリカというふうなところを見ましても、三〇%内外というようなエンゲル係数なつておるときに、人事院のみが五〇%を上まわるようなエンゲル係数を使つておるということについては、これまた低賃金に押えんとする意図が明らかであるというふうに考えておるわけであります。  さらに民間給与の調査をいたしまして、これとの均衡化をとるということになつておりますが、民間給与の調査の対象がきわめて不明確であるということであります。と申しますことは、官公庁は企業官庁ではないということは明らかでありますが、比較する場合にはやはり官公庁は五百人以下というふうなところはないわけでありまするから、従いまして一応五百人以上の民間の工場を対象として調査すべきであるというふうにわれわれは考えておるわけです。ところが人事院が調査いたしましたものは、五百人以上の事業所についてはわずかに一四%、百人から四百九十九人までにつきましては四四%、五十人から九十九人までが四二%というふうになつておりまして、中小企業に重点が置かれておるということであります。さらにその調査されました対象となつ職員でありまするが、これが上級職員と下級の印刷工であるとかあるいは溶接工といつたような下級職員に重点が置かれて、中間層が全然調査をされていないということであります。このような結果から出て参りました民間給与の実態というものは、日本における民間給与の実態ではないというふうに、われわれは考えております。具体的な数字をここに持つておりまするが、時間の関係で説明することを省略いたしたいというふうに考えております。  その他の点でありまするが、手取額の増加でありまするが、一応三千五百円引上げるというふうなことが言われておりますが、これはあくまでも平均で三千五百円である。これを級号別に検討いたしてみますならば、二級の三号で扶養家族がないし、年齢は十八・六歳の場合には手取りの増加率というものはわずかに一四%しかない。五級の五号で扶養家族二名、年齢二十九・四歳の場合で一七・七%、十二級三号扶養家族四人、年齢が四六・七歳という場合に増加率が二七・一、こういうことになつております。ただいま申し上げましたのは東京都の場合でありまするが、勤務地手当別つかない場合にもやはり同様な状態になつておる。手取額の増加は三千五百円というふうに一応言われておりますが、これも常に上の方に厚く、下の方には薄くなつておるということであります。さらに扶養手当でございまするが、この扶養手当民間給与調査の結果すえ置くのが妥当であるというふうなことを言つておりまするが、民間の調査をいたした結果、明らかにわれわれが要求しておりますところの妻並びに第一子は八百円、それ以外の者は六百円であるということは、当然であるというふうにわれわれは確信を持つておるのであります。人事院勧告ですらこのような非常に矛盾があるにもかかわらず、政府は何に根拠を置いて算出いたしたのかわかりませんが、一応一万二千八百二十円というような俸給表をつくつております。倍率につきましては、人事院勧告を若干下まわりまして一〇・五倍ということになつておりますが、これはいわゆる数字の魔術であるというふうに私どもは考えております。と申しますのは、九号俸以上を人事院勧告より上げまして、九号俸以下は全部人事院勧告より下まわるかつこうになつております。従いまして倍率の面だけを取上げますならば、人事院勧告を下まわるということに相なつておりますが、最もわれわれの方で重点を置いておりますところの五級から九級職の間の者は、中だるみというふうになつております。倍率の面から考えましても、下の方は十何パーセント、二〇%というふうな上昇を示しております。ところが五級から六級の付近に参りましては、わずかに十何パーセントというふうな上昇率しか示していない。さらに上級に行きますと、三十何パーセントというふうな上昇率を示しておるというふうな結果に相なつております。さらには平均が本俸におきまして、成年においては九千九百円というふうなことも言われておりまするが、これもどのような算出をいたしたかわかりませんが、われわれの算出した結果によりますならば、これを三百円下まわる九千六百円にしかならないという結論になつております。以上申し上げましたように、俸給表についてもわれわれは納得できないものが多々あるというふうに考えております。従いまして人事院勧告はもちろんのこと、政府案もどうしてもわれわれは了承できない。われわれはあくまでも一万六千八百円ベースというものを要求して行きたいというふうに考えております。  さらにこの上下差の問題であります。が付言いたしますならば、人事院並びに政府の考えておりまするのは、民間におきましても非常に能率給的な色彩が強くなつて来たというふうに言われておりますが、まつたくこれは低賃金に押えようとするもの以外の何ものでもないというふうに考えております。と申しますのは、最低賃金というものが確立された後におきまして、この上下差がつくというのであれば別といたしまして、最低賃金の確立されない現段階におきまして、土下差の倍率を大きくして行くということは、まつたく了解に苦しむものであるというふうに考えております。  以上俸給表の内容について申し上げたわけでありますが、最後に政府は常に予算がないということで、人事院勧告は実施できないということを言つておりまするが、はたして予算がないのか、あるのかということでありますが、われわれの見解といたしますならば、当然人事院勧告あるいは一万六千八百円を実施する予算はあるというふうに考えております。具体的な例をあげますならば、公共事業費等が、今回の補正予算等にも計上されておりまするが、その内容をつぶさに検討いたしてみますれば、既開拓地を駐留軍の演習地として接収するために、入つておる開拓者を新たなところに移す、その費用を計上しておる。明らかに不用な費用を計上しておる、こういうものが当然削除さるべきであるというふうに考えます。さらには二十六年度の剰余金あるいはまたインヴエントリー・フアイナンス、政府の手持外貨が相当あります。これらを日本銀行に売りつけることによりまして、これから上る金額をまわすということもできるというふうに考えております。  以上簡単でありますが、私の意見といたします。
  20. 有田二郎

    有田委員長 万屋君の御発言は終りましたが、質疑のある方は許可いたします。——別に質疑もないようでありますから、次は全逓信従業員組合副委員長、横川正市君より御発言をお願いいたします。横川正市君。
  21. 横川正一

    ○横川公述人 ただいま委員長から御紹介いただきました全逓の副委員長の横川でございます。  ただいままでのいろいろな方の発言の内容と重複を避けて、私の方から皆さんへの御要請を申し上げたいと思います。ただこういうような賃金問題等が審議される場合に、私どもが根本的な問題として要求申し上げたいことは、これは非常に社会の生活をやつて行く場合の大きなむだを排除するためにもぜひ必要でありますし、それからそういうような方式がとられておることによつて、私どもは安んじてみずからの職業に精励することができるということに私はなると思います。一つの例はたしか一昨年だつたと記憶いたしますが、スイスの国会賃金のスライド制の問題が提議されて、それが国会で不承認になつたということがあつたようでございます。その不承認になつたときに、この提案をした方の議員の方々から、国民の総投票を要求いたしまして、その総投票をやつた結果として、いわゆる物価の水準の引上るにつれてスライドするという法案を決定して、それが次の施行されるときから実施されたという例を、私どもは聞いておるわけでありまして、日本の現状の賃金の問題の激しい争闘というものが、大きなむだを生んでいるという状態から、ぜひこの賃金によるところのスライド制というものは、国会で真剣に取上げていただいて、正規な機関あるいは高度な調査事務をもつて、このスライド制に対するところの法案の決定が急がれなければならないのではないかというのが第一点であります。もちろんそういうような段階で私どもが今の状態を考えてみたときに、大体本年の四月におけるところの生産の上昇率というものは、これは勤労統計による労働者の統計によつても一二七%から、多いのでは一四〇%程度の上昇率を示しているという統計に対して、大体労働賃金あるいは労働者の生活水準というものが、それに比例して上つているかどうかという問題になりますと、これは七〇%あるいは六七・幾らというような低位に押えられているということは、まさに現在の賃金問題を論ずる場合の根本の問題になるのではないかと思いますので、この点がまずぜひ皆さんで考えていただいて、すみやかに是正をしていただきたい点である、こういうふうに思います。  それから賃金の立て方でありますけれども、私は人事院の調査機構、これは科学的な調査機構として一応了承されておりますし、それから人事院自体が、この賃金の立て方については、自信をある程度持つておるようであります。しかしこれは人事院におけるところの事務当局の考え方であつて、その事務当局の考え方が、それならば三人の人事官の頭の中では、どういうふうに切りかわつて行くかと申しますと、これは時の政権との間で、政治的な取引が行われているのではないかと私はこういうふうに思います。そういうことから当然同じ資料を使い、同じような形式で調査されたものが、それが出て来た数字によつて違うというのは、これは明らかにそういうような裏面工作が大きな原因を生んでおるのだろう、かように思います。またこの賃金の立て方の中で、政府の考え方を私どもは率直に申し上げますならば、明らかにこれは現在の労働者の再生産を補償するところの賃金という立て方ではなしに、明らかにいわゆる予算の重点の置き方ということだけが基点になつて、そうして労働者の再生産という問題は二の次になつて来ているというのが、この俸給の立て方の内情じやないか、かように考えられるわけであります。このために私どもは出て来た案について、これがいいとか悪いとかいうことになりますと、まつたく全般的に不満なものでありまして、これを審議する過程において、私どもはやはりこういうような点の最大限の是正を良識をもつてつていただきたいというのが、ここで皆さんに第一点として要請する問題であります。  第二点としては、私は郵政省に籍を置いておりますので、郵政の立場から申し上げますと、今度のペース・アツプに対する予算財源の使い方については、私どもは非常に納得のしがたい内情が現われておると思います。それは郵政自体で約四十九億程度の予算財源を必要とするわけでありますが、このうち独立会計でやつております内情の、いわゆる郵政部門については、これを完全に郵政省内の差繰りでもつて、これを行うということが言われておるわけであります。しかもその財源はどこから求められたかといいますと、郵便料金の値上げ以降におけるところの問題、それから郵便労働者が汗を流して働いたいわゆる増収をはかつたその財源というものが、今度のベース・アツプに充てられておる、こういう内情であります。この点について私の方は郵政省自体の予算の立て方をとつて見ますと、第一点は非常に無理なことは国会先生方御承知のことだろうと思います。たとえば郵便料金の設定につきましても、原価計算がどのように行われて、その原価計算の上に立つて、私どもの省のいわゆる人件費、物件費その他の雑件がまかなわれているということではありませんで、いわゆる政策賃金で押えられて、そうしてその政策賃金で押えられたものの範囲の中で、郵政省のすべての財源がまかなわれているということは御案内の通りであります。そういう関係から今度の場合のベース・アツプの財源というものが、そういうことに偏して求められたということについては、私どもとして非常に憤満を持つものであります。こういうような点から今度の予算の立て方については、単にこういうような財源に頼ることなしに、ぜひ企業の成立ちの問題、あるいはこれを補うところの一般会計からの繰入れの問題、こういつたことを詮議していただかなければならないと思います。これが第二点であります。  それから第三点としては、私どもは近々団体交渉権の復活をすることになりました。マツカーサー書簡によつてどもは当然労働三法下の労働運動を行つておりました。その状態というものは非常に不自然なしかも不合理な状態に追いやられた、そういうようなことを経験して、ここに初めて団体交渉というびつこの一つの労働慣行が生れようとしているわけでありますが、しかしこの労働慣行を、たとえばこの中で大きな問題にしてとり上げなければならないことは、今までいろいろ賃金の問題でやられた中で、国鉄の賃金体系であるとか、あるいは専売の賃金体系であるとか、あるいは今度は電電公社賃金体系であるとか、こういつたものはほとんど一律の形で打出されておらないということであります。その大きな原因は何かといいますと、その省におけるところの余裕財源あるいは増収によるところの内容によつて規制されているという事実であつて、私はこういうふうな内容から各省間の従業員の賃金が大きなアン・バランスが生じて来るということについては、これは納得のしがたいところであります。ことに団体交渉権が復活して参りましても、政府当局では今度の財政法の三十五条あるいは特別会計設置法の二十六条、その内容について大幅な修正を加えて、団体交渉権が復活して来ても、賃金の総わくでこれを押えてしまつて、何ら交渉によつて実を結ぶこともできないような状態に追いやろうとしていることは、これは非常に納得しがたいことでありまして、そういうようなことはすみやかに排除してもらわなければならない。これが第三点であります。大体賃金の総体の問題を考えた場合に、以上私どもの立場から三つの点を早急に諸先生方に要請いたしまして、すみやかな是正がはかられなければならないというふうに考えております。  そこでこういうような考え方の上に立つて、今度の賃金ベースの内情に簡単に触れてみますと、政府出しました一万二千八百二十円の賃金によつて、裁定のいわゆる成年独身者の生計費というのが四千八百円に押えられております。人事院が一万三千五百十五円を勧告した中で、独身成年の賃金というものを四千七百円に押えて、この間百円の差が政府の方では上まわつて出されておるわけでありますが、この立て方の問題で独立生計者の基準というものをどのように考えるかが、大体賃金ベースをきめる場合の最も基本的な基準なつて行くと考えるのであります。組合側では大体一万六千八百円の要求に対して、独立生計者の成年男子俸給というものを八千円というふうに考えております。午前中のいろいろの話の中にもありましたように、四千四百円あるいは四千八百円というような賃金を最も具体的に表現いたしますと、この賃金によつて一人の成年が生活ができて行くというふうに考えられたかどうかという問題が、大きな問題だろうと思います。この中で当然生計費の中に入らない交通費であるとか、その他のものがこの中から引き去られて来ますので、生計費に振り当てられるこの賃金の中からは、約七〇%程度のものしか実際には生計費には振り当てられないわけであります。そういうような賃金を与えて、いわゆる労働の再生産あるいは生活というものを実際に見て行こうとすることは、これはまさに無理であつて、予想できない低賃金の状態だというふうに私どもは考えるだけであります。しかもこの内容を政府では大体一級から七、八級までの間に百円程度の上まわつたものをプラスされておりますが、このプラスされた内情というものが、それならば人事院勧告との間でどのように違うかという、総体の予算の中で八百円何がしのものが違つておりますので、この体系の立て方というものは、まさにこれは非常に数字の上でごまかした内情であつて、いわゆるトリツクをそのまま私は指摘しなければならないというふうに考えるわけです。  それから倍率の問題でありますが、これは先ほどの方も申しましたように、九・八倍というふうな倍率にとどめておりますけれども、この九・八倍も私どもの資料で皆さんのお手元に配つてありますのをごらんになつていただくとわかりますように、大体九号俸までの賃金については人事院と並行線を保ちながら、一応は上まわつておるわけであります。それから六十五号俸以上七十号俸までのものは、これは同じように横ばいの状態をとつておるわけでありまして、その横ばいの状態を縦に一線を引いたために、これは九・八倍という倍率が出て来たのであります。しかし実際には九号ないし十号から六十四号ぐらいまでの倍率というものは、人事院倍率とほとんどかわらないというのが、今度の政府の案の内容であります。もちろん人事院出しました案の一一・六倍というこの倍率については、私どもとしてはもちろん反対をするわけでありますが、それと同時にもう一点考えてみなければならないのは、政府の案で出されました中で、一号俸については二二・二倍の上昇率を保つておりますけれども、十五号俸のところでは一五・三倍と非常に下まわつた上昇率であります。三十三号に行つて今度の政府で意図しました二〇%にようやく到達し、六十六号俸に行くと実に三十八倍という倍率を保つているわけであります。これをかけ合せて見ますと、六十六号俸のところでは約二万何がしかの昇給をするというのに対しまして、十五号俸以下のところでは八百円ないし千円というような低位上昇しか認められておらないということは、これはわれわれとして二千円アツプをそのままに受取つている下部の大衆を失望させることでありますし、倍率から行きましても、これは非常に高い倍率を示していると考えますので、この点については、ぜひ修正をしていただきたい、かように考える次第であります。またこれを人員比で見ますと、全体の公務員数が九十一万何がしになつておりますけれども、その九十一万何がしかのうち、六号から三十二号までに占めるところの人員というものが五十万に見て、実に六割以上の人間がこの間におるという事実は、ぜひ考えてもらわなければならない問題だと思います。ことにこの間におる人たちが職場における中堅幹部として最も事情に精通し、しかもエネルギーを最大に発顕して事業に貢献しているという事実から考えてみるならば、こういうような低位にくぎづけするということは、こういう人たちの意思にもまつたく反することであろう、かように考える次第であります。  次にこういうような考え方の中からベースの総体の考え方について、私どもとしては一応資料としてお手元に示した通り、当初の賃金引上げ方を五十五・五倍、それから同じように現行政府案で示されました四万六千三百円に格付されております七十号俸についても組合としては同じように四万六千三百円というふうに格付し、それから三十三号という中堅のところでは政府案組合とでは同じようなクロースを保ち、四十五号の、これは企画関係あるいは仕事では最も精通したところである七級、八級、九級のところでは同じように政府組合案との間では、同じクロースを保つというような状態で、一応の修正意見を持つておりますので、この点についてはぜひ参考にして御研究願いたい、かように考える次第であります。全般的な問題としては予算の総わくという問題がありますので、いろいろ勘案される点もあろうかと思いますけれども、私ども政府案として出された二千円アツプというような、単に予算の総わくから計算された賃金ということでなしに、一応の計数上の妥当性を見ているところの予算の総わくによつて修正がなされるならば、私の方としては大体これはいいのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。  次に年末手当の問題でありますが、この政府案の立て方について非常に大きな矛盾をはらんでおります。これは年末手当を出さなければならないというふうなお考え方については、私たちはもちろん私たちの意思が非常に尊重され、しかもその妥当性を認めていただいたものだというふうには考えておりますけれども、現在の公務員生活状況というものは、差迫つた十二月というものを控えて、ことに五月一日から実施してほしいという人事院勧告そのものについても、これは現在勧告実施されておりませんし、それからその間において物価その他についても一つの横ばいではなしに、漸次上昇しておるというような状態から、非常に大きな赤字を背負つて、この十二月にしわ寄せされておるというこの現状というものはぜひ認めていただいて、この対策を率直に立てていただきたい、かように考える次第であります。二箇月分の私ども要求につきましては、決して不妥当な、しかも根拠のないものではないというふうに考えております。私ども賃金をきめる場合、たとえば一坪農業をしている場合、その一坪農業から得られるいわゆる生計費への補助の問題、こういうものまでも賃金の計数の中に入れて出したという先例を持つておるわけでありますが、こういう考え方から私どもはこの二箇月分について計数を出したわけであります。ことにこの十二月も差迫つてこの状態というものは、これは単に前からの赤字を背負つたということではなしに考えてみても、日本の旧来からの風習というものを認められて、その風習というものが多分に大きな出費というものを認めておられるのでありますから、この点については率直な御対策をお願いしたい、かように考える次第であります。またこの中で具体的にあげられました、給与法の中の五条に新たに追加されました問題でありますけれども期末手当として〇・五箇月分、それから勤勉手当として〇・五箇月分、それに企業官庁においてはこれと見合つた奨励手当を〇・五箇月分出して、計一箇月分を出そうとしておるようでありますけれども、この考え方は私どもは非常に問題の本質を間違つて、錯綜した形でこれを解決しようとしておるのではないかというふうに考えております。と申しますのは、勤勉手当は、これは明らかにその人間の勤労の差によつて出される金額でありまして、期末におけるところの当然の出費として考えられるこの十二月の現状を打開するための費用にしては、あまりにも当てはめ方が間違つておるように考えられますし、もう一つは奨励手当の問題でありますけれども、この奨励手当というのは、大体が企業官庁の中におけるところの特別な仕事に対する熱意、あるいはその熱意によつて出て来るところの増収、こういつたものに対して士気を高揚するとか、あるいはこれに対してさらに将来の仕事に対する協力を求めるとかいうことから考えられた一つの方法でありまして、これが期末におけるところのいわゆる年末手当として支給される内容ではないわけでありまして、これを混同されて勤勉手当あるいは奨励手当として期末べの一箇月分に足したということは、これは非常に実質を間違つておるのではないかというふうに考えられますので、こういうような立て方については、もう少しずつきりしたものを出してもらいたい、かように考えます。ことにこの中で五条の一項中勤勉手当というのが追加されておりますけれども、附則の九項の中で「奨励手当は、第五条第一項の規定の適用については、勤勉手当とみなす。」ということは、これは私は非常に間違つたしかも非常に理論的におかしい考え方で、法案というものが出されておるように思われますので、九項のこの内容は削除いたしまして、勤勉手当のあとに奨励手当として入つて来るのが法文上としても正しいし、実質の問題としても正しいのではないか、私はかように考えるわけであります。この内容についてはまたあとで触れたいと思います。  次に法案が通過して政令が公布される場合に、往々にして私はその政令が法案審議の過程で抜けたものがあつて、その抜けたものをどうかすると、非常にかつて解釈不満を流すというのが過去に見受けられておりますので、この点についてはぜひ修正をしていただきたいと考える点が二、三ありますので、申し上げたいと思います。それは政令の三百五十四号の中にあります常勤的非常勤に対するところの年末手当あるいはその他の手当支給の問題、これでありますが、これは今までの中でたとえば去年の問題になりましたのは、林野関係の職員であるとか、あるいは逓信部内におきましても定員法というわくによつて縛られておる関係から、どうしても仕事を正常に遂行するためには、非常勤を雇わなければならないという形で、賃金労務者を雇つておるわけでありますが、これに対するところの手当というものを支給するのに、非常に困難をしておるというの現状であります。たまたま二箇月以上常勤したということで、この常勤労務者に対して手当支給したということも例にはありますけれども、私どもとしては大体二箇月以上にわたつて当然勤務するであろうというふうに予測される者については、これはぜひ今度の場合には支給するというふうに明らかにしていただきたい。  それからもう一つは未復員者に対する問題でありますけれども、これについても全然考慮を払われておらないわけでありますが、今度の場合には未復員者に対しても、全面的にこの手当支給をはかるようにぜひ御考慮を願いたいと思います。  またもう一つ、その次でありますが、第二項については、簡単に例を申し上げますと、今まで電通と郵政という両省間の中で、電通から郵政省に一応移籍した場合に、公社社員から公務員としてかわつて来るわけでありますが、その場合には起算算定というものが、やはり三箇月あるいは六箇月というようなものにくぎづけられる関係かち、起算月日についてわれわれとしては非常にその人間に不利な支給方法しかとれないような状態にありますので、この矛盾についてはぜひ是正をしていただきまして、こういうふうな方にも全面的に支給されるようにしていただきたい。  それから休職者の問題でありますが、公傷等によるところの休職者に対しては全額を支給するというようになつております。しかし私どもの場合には当然職業病として何らかの方法が講ぜられる限りにおいては、最も妥当な形で方法を講じております。結核療養患者の場合でありますが、この結核療養患者の場合には、ほとんど支給を受けておらないというのが現状であります。ことにベース・アツプ等についてもこれがやられておりません。こういうことは私はぜひ是正していただきまして、ベース・アツプあるいは年末手当については全額支給するように御考慮を願いたいと思います。郵政の場合には結核で休んでいる者が約三千人程度いるわけでありまして、これらの人たちが収入より以上に出るところの支出によつて、その生計が非常に苦しい状態にあるということは、これはもう常識でもおわかりになる点でありますので、ぜひこの点については御努力をお願いいたしたいと思うわけであります。それからそのほか病気でもつて欠勤している者が、相当多数あるわけでありますが、それが単に十二月十五日に在勤する者とか、あるいは六月十五日に在勤する者等によつて、簡単な日付をもつて解釈されますと、すべてこれらの者がはずれて参りますので、この点については特段の御考慮をお願いいたしまして、これらのことに健康な者よりもさらに肉体的にも経済的にも苦悩をなめている人間の救済については、特段の御考慮をお願いしたいと思います。また次に給与法の中で示されている結核療養者の療養期間の問題と、給与の問題でありますが、私はこれを先ほどの方が申し上げましたように、ぜひ二年を三年としていただきたいということを切にお願いいたしたいと思います。  それから停職の場合でありますが、停職の場合には当然これは無罪になつた場合には支給を受けるわけでありますけれども、起訴されて実際の体刑というものがきめられていないときには、これは支給されるのが当然ではないかというふうに考えられる点と、もう一つは官庁の場合に、そこの職場の長あるいは責任者であつたということから責任をただされて、一応一身に罪を背負つた人たちが停職になつている場合があるわけでありまして、こういうような場合にも、ぜひその内情というものをしんしやくくださつて、全額支給をしていただくようにしていただきたい。ことに犯罪その他によつて停職された場合には、百分の百以内におけるところの、それぞれの状態に勘案して支給をされるようにおとりはからい願えれば幸いだと考える次第であります。  それから管理者の起動の問題でありますが、五条一項の中で「俸給特別調整額」という形で載せられておりますけれども、これは私どもとしては先ほど公述されたのと同じように、ぜひ削除していただきたいと思います。  それから宿直手当につきましては、これは一回という回数によつて金額がきめられたことについては、もちろん私どもとして賛意を表するわけでありますが、その算定内容について、いささか私どもとして了解のできない問題があるわけであります。たとえば政府案で行きますと平均俸給が九千九百十七円、平均地域給が千六百二十六円というふうになつておりますので、これを算定基準の百分の百二十五の八倍といたしますと、政府案で行きますと四百八十円、それから人事院案で行きましても五百十一円、全逓あるいは公務員組合側で出している案で行きますと六百何がしかになるのが、大体妥当な計数上の問題でありまして、三百六十円のこの二回単価につきましては、ぜひこの平均本俸とそれから平均地域給によつて、それぞれ算定をお願いしたい。かように考える次第であります。  それから最後に、これは企業官庁の特殊性としてお願い申し上げたいことでありますが、一応五条の第一項中に勤勉手当あるいは奨励手当というものが入ることについて、前の公述の方々からはこれについては反対の意思表示がなされておりましたけれども奨励手当というものは決してその勤惰の差によつて支給されるものではないのでありまして、先ほども申し上げましたように、この人間が能力以上に努力をして増収をはかられた、あるいは最も繁忙の度合というものを定員の満てない中でこれを処理して何とか片づけた場合に当然上つて来るところの実績であるとか、こういうような既定の額からオーバーして上つて来るところの増収に対する勤労感謝あるいは士気高揚という形で、今まで企業官庁としては出されておつたわけでありますが、その出され方がいわゆる物件費の流用であるとか、あるいは何らかの便法的な処置でもつてこれをはかつておつたというのが、今までの通例でありまして、こういうような非常に便法によつて給与に見合うところのものを支払うということは、これは非常に不妥当であるということから、この奨励手当については当然四半期一期ごとにそれぞれの繁忙度合、増収の度合、それから勤惰の度合というものが勘案されて支給されるというのが、この奨励手当の内情でありまして、勤惰の差によつて勤勉手当支給されるところの年末一回払いというのと全然これは性質を異にしておりますので、この点については私どもとしては期末手当のほかに奨励手当というものを書き加えてぜひ修正をお願いしたい、かように考える次第であります。  いろいろ申し上げたいことはありますが、相当長時間になりましたので、最後に一点だけ申し上げますが、十九条の中で政府の考え方の中では勤勉手当を二十七年一月から十二月まで勤務したものに対して百分の百五十、それから奨励手当は二十七年四月一日より十二月まで換算して九箇月勤務した者に対して百分の五十とありまして、その註釈といたしましては大体一月から三月までの間のものは奨励手当としてすでに支給済みであるということが述べられておりますけれども、私どもはこれはどういう形で支給されたのか、あるいはどんなところに入れられたのかについて知りませんし、この点については全然支給を受けておりませんので、この場合には当然勤勉手当が二十七年一月から十二月までと起算するならば、奨励手当の起算も二十七年四月ではなしに二十七年の一月から起算して、大体この三箇月間のパーセンテージというものが一・九幾らになるので、百分の七十というものが支給されるのが、妥当な線ではないかと考えますので、この点をぜひ勘案していただきたい。ことに先ほども申し上げましたように、この修正意見としては奨励手当という別個な性質のものについては、特別にお考えをお願いしたい。かように考える次第であります。非常に短時間の間で意を尽せなかつたと思いますが、私からの公述を終りたいと思います。
  22. 有田二郎

    有田委員長 横川君の御発言は終りましたが、質疑のある方は許可いたします。
  23. 受田新吉

    ○受田委員 今の御説明の中に、未復員者の公務員給与のお話が出ましたね。これはあなたの省の関係でどのくらいおり、またこの未復員の公務員は、現在そのまま在任しておるとしたならば、現在の職員と同じ給与なつているかどうか、それよりもうんと下つているかどうか、その未復員者の給与があなたの省ではどの程度まで行つているか。これは他の省との関係もありますが、今お話が出ましたから一応お伺いしておきたいと思います。  それからもう一つ、非常に小さな問題にも心をも配つて、漏れなく手当支給するための思いやりのあるお話が出たのでありますが、たとえば非常勤の常勤者の場合のごとき、あるいは宿直や療養者の給与の問題にまであたたかい心が配られたお話で、この点われわれとしてよほど考えさせられた問題でありますが、重大な問題として、今御説明なさつたことの中に、現在のベース最低三千六百円が政府案では四千四百円になつており、人事院案では四千三百円、それに対して全逓では五千六百円を考えておるということでしたが、この二千円アツプに対して、全逓としてはその基準をどこへ置かれたのであるか、ちよつと御説明をいただきたいと思うのであります。
  24. 横川正一

    ○横川公述人 未復員者については、郵政内部だけで大体三百名、家族がどのくらいかについてはまだ明確ではありませんが、二・五ないし大体それに見合う人員が家族としていると思います。  それから賃金でありますが、大体三千六百円ベースでしたか、その当時からほとんどベース・アツプされておらないというふうに記憶しておりますが、もし間違いであればあとで是正申し上げたいと思います。  それから全逓の俸給の立て方でありますが、これは私どもとしては、一応人事院勧告した内容によるところの予算財源というものを、倍率を一一・六倍というような大幅なものでなしに、これをある程度妥当性を持たせて修正したというのが、大体根本的な修正の考え方であります。でありますから、予算の総わくといたしましては、人事院勧告で、大体定員は九十一万二千百十三名、この定員の中でそれぞれ各号俸の定員を算出いたしまして、それに金額をかけて行つて、最終的には一人でもつて六円程度、総額にして五百万円程度のものが一応上まわつたわけでありますけれども、その予算のわくの中で修正をいたしました。もつともここで二千円を上げたという根拠については、これはあまり科学的な根拠を持ち合せておりませんけれども最低二千円アツプということを考えて三千六百円に最低二千円をプラスして行く、それから十四号ないし十五号あたりから五十円刻みごとにそれぞれ差をつけて行つて、最終的に計数を合せたというのが内情であります。
  25. 受田新吉

    ○受田委員 この未復員者の給与の問題で、公務員に対する三・七ベース以後是正されていないという問題は重大な問題だと私は思います。これは後ほどわれわれの問題として検討をしたいと思います。  それから今の二千円アツプの算定基礎については、このくらいのところという大まかな線で行かれるということも、政治的な幅があつていいと思うのですが、倍率がこれによりますとうんと低められて、八・二ですかになつておるのですね、この点で特に四十五号からは政府案と一致しておるわけですね。
  26. 横川正一

    ○横川公述人 そうです。
  27. 受田新吉

    ○受田委員 この点さらに進んで、今特別職の職員がおるのですが、これらのベース・アツプも、現在政府出したのと同じに見られますか、総理大臣の最高級十一万円もそれでいいと見られるか、特別職と一般職とあわせ考えなければなりませんので、全逓で考えておられる特別職のベース・アツプに対する感覚を申していただきたい。  それから、これは、中だるみも助けており、上も押えてあるというような、非常に参考になる修正案だと思うのです。ただ上は政府案と一致しているという点で、いささか高きに過ぎるというような批判もあると思うのですがね。これについて他の官公庁組合との話合い、これが他の官公庁でいかに採用されておるか、一万六千円ベースを強力に要望しておる官公庁職員組合において、人事院勧告の予算のわく内における全逓の修正案というものがいかなる役割を果しておるか、お伺いしたいと思います。
  28. 横川正一

    ○横川公述人 この特別職の修正が、かりに今の出されているような案で出された場合については、われわれとしてはさらに修正するという意思を持ちたいと思いますが、今のところその内容についてはまだ明確でありませんので、もしも必要であれば後ほどお答え申し上げたいと思います。  それから、この案をきめた根本的な考え方と申しますのは、各単産の内部事情というものは、例年ベース・アツプ問題についてはいろいろ出てくるのでありますが、私どもとしては当初から政府案の二千円アツプというものから下まわらないようにしたい、これが基本的な考え方になつておつたわけでありまして、その考え方によつてこれを修正したわけであります。それから官公労の組織内の組合で、この案についてはどうかという点でありますが、まだこれについての意識の統一は完全にははかつておりません。部分的にまだ異論のはさまれておる点はありますが、大体この点で一致点が出るのではないかというふうに考える点もあるということを申し上げたいと思います。
  29. 受田新吉

    ○受田委員 常勤的非常勤の数がどのくらい——これは現業庁として非常に重大な問題だと思いますので、特に伺つておきたいと思います。それから郵政省の独自の性格から、この人たちに対する手当ども、他の省と関連している問題になりますが、今まで期末手当に類するような方法で、何かの手当が出されておるのかどうか。それから末端における委託業務を担当している電通との関係などにおきまして、こういう人たちの給与に対して、全逓としてお考になつておるものはないか、これもあわせてお尋ねして、質問を終りたいと思います。
  30. 横川正一

    ○横川公述人 大体郵政部内における非常勤の総数は八千百名程度であります。これに対する年末の手当その他お盆等の手当については、これは非常に苦慮しながらある程度のものは出しておりますけれども、これが完全に常勤者と同じように支給されているかどうかという点については、あるいは部分的に差がついているのではないかというふうに考えられます。それから委託業務関係の問題でありますが、これは給与については、それぞれ支払われておる内容については差はありません。
  31. 有田二郎

    有田委員長 この際横川さんにお願いしたいのは、非常勤の職員はある程度というのでなく、過去に出た、あるいは今回についても非常勤職員、常勤職員に対して、郵政省としてはどの程度出そうとしておるか、その数字を本委員会に御調査の上、御報告を願いたいと思います。  他に御質疑はございませんか。——別に質疑はないようでありますから、次は帝国製麻株式会社顧問、進藤誠一君より御発言を願います。進藤誠一君。
  32. 進藤誠一

    ○進藤公述人 ただいま私を民間の関係といたしまして、この席へお呼び出しになつたのでありますが、実は私はもともと官吏でありまして、逓信省、それから厚生省の官吏を二十数年いたしました。それから特殊会社の、といいますのは、満州電電会社の取締役を六年いたしました。終戦後はいわゆる中小企業に関係いたしまして、非常な苦しい経験もいたしておるのであります。最近では、この八月から設けられました公共企業体の中央調停委員という委員をいたしておるのであります。そういう関係で、公社つまり公共企業体賃金問題等につきましては、携わつて多少研究いたしましたが、実は国家公務員給与につきましては、こまかい研究をいたしておらぬのであります。実は昨晩お話がございまして、調書をいただきまして、一応目を通したばかりであります。従いましてこまかい問題につきましては、私研究が未熟でありますから、皆さんのご期待に沿うようなお話を申し上げることはできないのであります。これにつきましてはけさほどから他のエキスパートの方々が詳しくお話になりましたから、かたがた私はそういう関係で、ごく常識的な、大ざつぱな私の意見を申し上げまして、御参考に供したいと思います。  私は役人時代から、その後ただいまのような経歴を経まして、今日までかわらない一つの認識を持つております。それは今日の国家公務員、昔の官吏は、第一番には人間が多過ぎる、定員が過剰である、このことであります。そうして一方においては給与は非常に低い、薄給である。第三に官庁能率はきわめて低い、上つていない。この三つでありまして、これは官吏時代からそういうふうに思つており、今もなおそう思い、ことにこれが終戦後の官庁におきましては、一層大きくなつておることを感ずるのであります。従いまして今日この給与問題が問題になりますときに、この定員と、それから能率と、この三つの線を考えずして、給与だけを言うことはよくないのであります。どうしてもこの三つを関連して考えなければならぬと常に思つております。というのは、定員が多い、過剰な人間があるから、給与が低いのでありまして、給与が低いから、従つて能率が上らぬ、こういうことになつております。もしこれを反対にいたしまして、多くの民間会社がやつておりまするように、少数の人間に十分な給与をやつて能率よく働かしたならば——現在の官庁職員の数は、人によりますれば、二分の一でいい、あるいは三割は減せるとかいうことを言うのであります。そうしてその滅した人間の給与を、一般の財政にとつてしまわないで、それを残つておる者の給与増に充てて、しかもその充て方を、終戦後今日までやつておるような生活給でなく、一それを一歩進めた能率給にしたならば、少数の人間で非常に能率が上つて給与も上げ得る、かように考えるのであります。実は今度の改正におきまして、第一点は、もちろん賃金ベース引上げでありますが、この点につきましては私はかように思います。人事院勧告は、約三割上げまして、一万三千百一円ということになつておるのに、今回の政府の補正予算におきましては、二割二分ほど上げて一万二千二百七十円、はしたは違うかもしれませんが、そういう数字なつておるのであります。実はこの前の国会で行政整理がありまして、公務員の定員は減したのであります。私の記憶が違わなければ、二割五分ほど減しておる。最後はどうなつたか知りませんが、もし二割五分定員が減つておりますれば、その二割五分減つた分に対する給与を、残りの七割五分の人に充てるならば、三割三分の増給ができるのであります。これは私の計算でありますが、もしそうなれば、今回の人事院勧告は三割の引上げでありますから、この前二割五分減した余裕の金によつて人事院勧告による給与ベース引上げはできるはずだと思います。それが二割二分しかできないというのは、どういうことであろうかと私は疑つておるのであります。これはおそらく行政整理の財源は一般に財政の方に使い、そして今度のペース上げは、これはまた別の財源を見つけて持つて来る、そこで財源が困難々々と言うのでありましようが、私はこの人員ということと、賃金ということと、能率ということの三つは、これは不可分のからまつたものであるということを考えますがゆえに、今の点を考えてやるということが、ぜひ必要ではないかと思うので、今回の改正につきましても、私は人事院の線を妥当と考えるわけであります。これは財源の方で申しましたが、また他の方面から申しまして組合等の要求におきましては、マーケツト・バスケツト方式とか、その他戦前の基準年度の給与に復帰するというようなことから見ますと、あるいは二万円、二万五千円、あるいは今回出されておる一万六千円といとようなことが出ると思います。それはむろん一理ありますが、もう一つの見方の民間賃金との比較から申しまして、今日民間賃金は一万四千五、六百円というようになつております……。     〔委員長退席、丹羽委員長代理着席〕 あるいはその後もう少し上つておるかもしれません。それから見ましても、人事院勧告の一万三千幾らは、これは民間賃金と対照して公務員という立場を考えて公務員給与をきめるとしても、人事院の線は妥当なところではないか。そういう意味におきまして、このベースは、財源をお考えの上、人事院べースの方を採用されることが適当でないかと考えます。私ども公社について考えます場合においても、国家公務員民間賃金もとにして考えるのでありますが、同様の見方をいたしております。  次に今回の改正の第二点は、基準賃金ベース引上げのほかに、あるいは期末手当を一箇月として、盆暮れに半月分ずつ確保したこと。それから新たに勤勉手当というものを半箇月分出す。これは多分一律の給与じやなく、能率とか勤勉の程度によつて支給するのだと思いまして、そういう意味に七きましてこれも大賛成であります。それから次に事業官庁である現業の従業員に対しては、奨励手当というものが出る。これも大賛成であります。ただこの勤勉手当も半月分というようなことでは、勤労意欲を増すことにあまり効果がないと思うのでありまして、どうしても一箇月以上に増す必要がありはせぬかと思います。同様にまた事業官庁の奨励金につきましては、これは従業員の努力によつて予定以上の増産かして増収をするのでありまするからして、一箇月分の七割ということになつておりますが、そんなことでなく、一箇月もしくは二箇月くらいに増額をするということにしたならば、おのずから公務員能率は上り、能率を上げることによつて、少い定員によつて仕事ができる、かようにまわつて来るのだろうと思います。組合側の方々は、そういうことを言えば、労働強化であるとか、あるいは失業者をつくると言われますが、私は失業者をつくるとか労働強化をすることは、絶対反対で、そういう方々とまつたく同感であります。しかしながらここに申しまするのは、労働強化にあらず、各個人能率が上るのでありますからして、勤務時間はふやさずして、短い時間において同じ仕事ができるのであります。そうすれば少しも時間延長もせず、労働強化もせずして、仕事はふえる、これは私が申し上げるまでもなく、外国にもいくらも例がありますが、それに対して今日の公務員実情はそれに沿うていない。それにするためには、前に言つたように、勤勉手当奨励手当をもつと増額して、能率給にするということが必要だと考えます。それから定員の減少の方は、これは現在おる人を首切るとか、行政整理というようなことをしなくても、欠員をそのままにして、その欠員による給料を一般に財政当局が取上げるということをしないで、それだけは人の分も働いたのだからして、それは勤勉手当の増額に充てていい。ういうことにするならば、喜んで各官庁、各部局は人の減つたのをがまんし、みんなで働くということになる。そういたしますれば、百人の仕事は十十五人ででき、七十人でできる。そうして百人分の予算によつて、七十人が三割以上、四割のベース上げができるという勘定になります。そうするならば、これは少しもさしさわりがなく、きわめて自然にできることではないか、かように考えます。これは私官庁時代からそういうふうにできる限りみずからやつて来たが、しかしなかなか思うように行かぬ。のみならず最近は私のおつた官庁に行つてみると、もと私たちがやつていたことがすつかりひつくり返されて、今日はその反対能率が上らず、給料は低く、人はふえて来てしまつているというのが、実情であります。これは私の経験としては、はなはだ遺憾に存じまするので、今のように、国会等におきましても、他の機構改正、定員の問題等とあわせてお考えになり、組合等におきましても、能率の問題と給与の問題とあわせてひとつ御研究になつたらどうか。これは私はなはだしろうと的な大ざつぱな議論でありますが、私の多年考えていることで、現在も同様にそういう事実を認めますから、ここで発表いたします。  あとはこまかいことになりますから、大体私のこの法律案改正に対する意見と、なお将来に対する希望とを申し述べて、これで終ることといたします。
  33. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長代理 進藤君の御発言は終りましたが、質疑のある方は許可いたします。
  34. 受田新吉

    ○受田委員 進藤さんの御意見を拝聴しまして、人事院勧告の線を原則として了承なさることを伺つたのでありますが、民間の会社の関係者でいらつしやいますので、民間給与との関係について御意見を拝聴したいと思うのであります。公務員の初任給というものは、いつもわれわれ人事院月報をもらつておりますが、これは大体新制大学を出て六千五百円くらいのところになつておるのです。民間会社ではこれよりさらに相当額上まわつておると思いますが、公共企業体の方の調停委員をしていらつしやる進藤さんとしまして、初めて出発する初任給が、公務員ははなはだ低い、また人事院勧告の線を見ましても、最初の一号俸が三千六百円が四千三百円となつて、二〇%にも足らない昇給であるということを考えるときに、あまりにも人事院勧告が下の方に低くて上の方に厚いということを、お感じにはならなかつたでしようか。民間賃金との比較から、ちよつと御意見を拝聴したいと思います。
  35. 進藤誠一

    ○進藤公述人 お尋ねでございますが、先ほど申しましたように、私こまかいことを十分に検討しておりませんので、正確なお答えはいたしかねますが、実は民間の会社はピンからキリまであるようであります。いろいろありまして、公務員よりいいところもあり、実際悪いところもある。そこで私どもが申し上げる数字も、どこの会社がどうということはわからぬのでありまして、労働省でつくる数字もとにして、統計によつて申し上げるのでありますが、私どもの関係したところによりますと、公務員の初任給と大体似寄つたものだと思つております。業種によつてみな違うのでございます。比較が困難でありますが、大体同じような学校を出た者を同じようにとる場合には、私はそんなにかわらないように考えております。
  36. 受田新吉

    ○受田委員 進藤さんの御意見を拝聴したのですが、私はこの際ベース・アツプに対して最も重大な基礎的な研究として、民間企業賃金は非常に重要視しなければならないことだと思います。それでその方面の関係者にしておいでいただいた進藤さんによつて、われわれが民間賃金をある程度つかんで、それによつて公務員ベース・アツプを考える重要な資としたいと思つてつたのであります。今の御意見では、あまり大差がないようであるというお説であります。今お話の中に、民間賃金平均が大体一万四千円ということがありましたね。それでももう二千円近い差が今度ベース・アツプをしてもあるわけですが、この比較は、課長級以上とこちらの方の該当者とは大体において同じ線に行つていると思うのです。ところが下の方は公務員の方が下まわつているという見解を私たちは持つておるのでしたが、これは会社によつていろいろまちまちです。しかし全体として大体おもな会社の平均的な——特に業績不振の忌まわしい会社、遅払いする会社もあるのですからそれらは別として、おもな会社の初任級は、大学を出た者が八千円くらいのところから上に行つておるのではありますまいか。そういうところから考えると、公務員が、出発が少し低い線にあるということ、特に最も能率の上る中堅になるところの七、八、九級辺の職員というものが、これが官庁でも中堅どころですが、それらがちよつと低い線にあるということが、民間賃金とのバランスの上において、きわめて重大な問題だと思うのでありまして、この点もしその中堅どころまでの給与において、公務員給与改訂はこれは低い線だというような御印象でもあつたら、ちよつとお伺いしたいのですが、これで私は質問を終ります。失礼いたしました。
  37. 進藤誠一

    ○進藤公述人 はなはだ残念ですが、材料も持つておりませんし、記憶もありませんが、そういう材料はあるはずだと思います。労働省にもあるでしようし、また人事院にもあるだろうと思います。またほかの省にもあるだろうと思います。調べればそういう点はわかるだろうと思いますが、そのくらいでひとつ……。
  38. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長代理 他に御質疑はございませんか。——別に質疑もないようでありますから、次は日本輿論調査研究所理事石田百寿君より御発言を願います。
  39. 石田百寿

    ○石田公述人 私は純然たる民間の第三者の立場から、この問題について意見を申し述べたいと思うのでございます。  私は冒頭において、国会は少くともこの人事院の一万三千八百円の勧告通り修正をなさつて、年内中に公務員手元に入るように、政府において特別な御配慮を願いたいという意見をこれから申し上げたいと思うのです。  その政府原案の一万二千八百円と三割増の差額はわずかに百億という数字であります。二十七年度の自然増収においてもすでに一千億以上の予算の剰余があるということになつておるのでありますから、百億円を増すということについて財源上においては少くとも何らさしつかえないと私は信じております。ただ国家公務員給与を上げますと、地方公務員にも及ぼす、会社、銀行に及ぼす、一般会社の民間労働賃金にも及ぼす、それがために物価の高騰を来すというような考慮が多少払われなければならないのでありましようが、現在の国家公務員給与というものは、実際においてこれは足りないのです。戦前の物価平均上昇率というものは、商工会議所の調査したところによると、二百六十倍に上つておる。現在の公務員給与はどうかというと、七十倍しか上つていないのです。百九十倍不足なんです。百円の月給をとつた者は二万六千円にしなければつり合いがとれない。戦前から見れば百円の月給取りは毎月一万円以上不足をずる。さらに戦前においては年末と盆、暮れには五箇月、六箇月ぐらいの年末賞与等のものがありまして、平生の不足額を補つておつたけれども、それも今日においてはわずかに半月分のボーナスをとるために、赤い旗を立ててえらい騒ぎをやり、座り込み戦術をやらなければとれないという状況にあるのです。彼らの実際生活はどういうふうに困つておるかということを、われわれは民間の第三者として、何ら係累のない立場から見ますと、——私は渋谷の小学校のPTAの会の役員をやつて世話をしておりますが、最近六十人の一つのクラスのうちで、学校の給食費を持つて来られない児童がたくさん出て来た。最低の困る者は民政委員の方で世話しておりますが、中堅階級——私方の小学校といいますと、桜ケ丘にありまして、中流以上の家庭が多いのでありますが、その家庭の学童の中に毎月持つて来る三百五十円の給食費と、それからPTAの会費六百円を持つて来られない生徒が続々増加しておる。その家庭はいかなる家庭であるかということを調査しましたところが、多くは国家公務員もしくは地方公務員の家庭の人なんです。その家庭の人たちの話を聞くと、現在月に二回月給はもらつているけれども、月給日の二、三日前になつたならば、タバコ買う銭もなければ、子供に十円の小づかいをやることもできないほどからつぽになつてしまう、そういう状況である。そこでやむを得ずPTAでは、集まつた金の中から持つて来られない人に立てかえて、その給食費を払つております。こういう状況であります。それからある役所の十三級三号俸、十四級をとつている局長以上の、官吏として大臣に次ぐ最高俸給をとつている私の友人があるのですが、この間ちよつと月給袋を見てくれと出されたのを私は見たのですが、中に十二円何ぼしか入つていない、こういう人がおります。それからもう一人の人は、二十八円しか入つていない、これはどういうわけかというと、今まで年末調整で税金を引かないようにして会計からもらつていた。ところが今度は国税庁がやかましいために、年末調整で引かれた。十月、十一月、十二月は十円か二十円の月給でもつて、家族何人か養つて行かなければならぬ、正月のもちもつけないという、これが局長級の人です。世間ではりつぱな役所におつて、りつぱな自動車で送り迎えされて、ちよつと内容はいいようでありますが、こういう状態であります。ある者はオーバーを売つて金をつくる、ある人は妻君の里に電報を打つて金を借りる、妻君の羽織をまげた、帯を売つたという人がある、こういう、状態である。それで能率をあげろ、悪いことをするな、官紀の粛正をせよといつても、これは無理なんです。完全な栄養を国家がとらしておいて、そして後に能率をあげよ、官紀の粛正をしろ、悪いことをしてはならぬぞというのならばいいのである。腹を減らして、栄養不良にしておいて、与えるものを与えずしておいて、悪いことをするな、能率をあげろということは、手を縛り、足を縛つてかけろということと同じことなんです。国家の役人として国家がお願いしておる以上は、生活にたえるだけのものを与えることが当然だ。ゆえに私は人事院勧告通り修正して、これを本年度内に大蔵省から公務員手元にまわすようにしていただきたい、こういう意見を述べます。  もう一つはこれをかりに三千円増しても、ガスが上り、水道が上り、電気が上り、交通費が上つたならば、プラスマイナスで何にもならぬ。公務員手元に一つも残らぬ、それはどうするかというと、増税をしたのでは同じことを繰返すにすぎない、そこで公務員というものに対して、国家が完全なる給与を与えて、その上に税金で公務員控除というものを設けて、税金を半額に減らしてやる、出す方を減らす、こういうことが諸物価に影響を及ぼさないで、官吏の収入のバランスをとる上において、きわめていいことだと信じます。国家公務員だけ税金を半分にするのはけしからんじやないかというかもしれない。しかしこれは国家が完全なる税金を払うだけの給与を与えておかない、とつてまた与えると同じことなんだから、とらない方がいいのです。その財政の欠陥は五百億になるか三百億になりますが、まだそれは計算をしておりませんけれども、二千億の自然増収があり、一千億の減税をすると大蔵省が言つておる時代において、官吏の所得の源泉課税を半額に減らしてやる、一万円の人ならば五千円ぐらいに減らしてやる、こういうことも一面においてやる必要があとる存じますので、参考意見に申し述べます。そのほか、官吏は税金のほかに共済会とか、健康保険その他いろいろなものを引かれまして、月給袋から引かれるものが七種類もある。こういうことを考えますれば、国家公務員の体面、国家公務員として最低生活を保持する上において、これはどうしても上げてやらなければならぬ。これは議論の余地がないということであります。財政上人事院勧告をのむだけの余裕がないということは断じてないと私は信じておる。この点において、私はさらに一歩進めて公務員という資格において現職にある国家公務員、但し認承官を除いた国家公務員に対して、五割の天引き控除をしてやる。その歳入の欠陥は自然増収によつてまかなつて行つて十分やれると私は確信しております。  なお、官紀粛正、綱紀粛正、悪いことをするなといいますが、腹が減つて今夜子供が食う配給米をどうしてとろうかということを考えているときに、札たばを持つて来て、どうかこういうことを認可してくれとか、許してくれとかいつて少数の人に利益を与えるために心を誘惑されることは、栄養素が完全でないために起る、犯罪の原因はここにあると思う。でありますから、肺結核の黴菌でも、栄養素が十分であつて、抵抗力が十分であれば、肺結核菌はうつらない。うつても抵抗力によつてその勢力を弱める力を持つております。でありますから、公務員の官紀粛正、公務員能率を増進する。この点においては、その最も基本となるものは、国家公務員の栄養素を完全にしてやるということに帰する。この意味におきまして、私は官紀粛正の方面、綱紀粛正の方面からも、能率増進の上からも、この点を強調する次第であります。現在一等理想的な俸給制度はあのスライド・システム制で、アメリカのゼネラル・モーターというような会社ではこれをやつておりますが、物価指数によつて俸給を一定の限度に原則をきめておいて、物価が上れば上げる、下れば下げると、いうこのスライド制は非常に理想的でいいと思いますが、これを今にわかに日本の官庁公務員にやるということは、これはなかなか困難だと思うが、理想論としてはこれが一番理想的だと思う物価が上れば上げる、下れば下げる。物価指数によつて俸給を上げたり下げたりする。こういう原則を定めておくということが、非常に理想的なことである。しかし今にわかに二十七年度の予算補正、二十八年度の経営予算においてそうせよと申しましても、なかなかそれはできますまい。しかしながら人事院勧告の三割増加ということは、やる意思があれば必ずできるのでありますから、国会の皆さんにおいては、どうかこの案をできるだけ修正して、大蔵省にこの三割増加の、少くとも人事院勧告案に対してやつていただきたいと思います。これを国民の一人としてわれわれは希望する次第であります。但しこの改正規則中において、先ほどからも幾多の人によつて立論されましたが、私もちよつとけさ記事を見たのですが、九級俸以下の者には非常に上昇率が薄い。九級俸以上の者は非常に厚くなつておる。このでこぼこを直してもらいたい。なるほど課長、局長というものは予算会議で徹夜で仕事をしても、徹夜手当というものは出せないということにこの規則でもなつておりますが、これは適当に時間外手当を出すのが相当である。給料は給料として、五級俸でも、六級俸でも、十三級俸でも、十五級俸でも、一定の率をもつて進むことが公平である。勤務手当として局長以上、課長以上に出すことは徹夜した場合にさしつかえないと私は信ずる。これは是正してもらいたい。  それからいま一つ、私が公務員のことで申し上げたいのは、法務省などという遵法の本家本元であるところが、はなはだいまいましいことをやつておる。法務省の局長とか課長とかいうものは一般職である。ところがたまたま検事の人を連れて来て、検事兼何々局長、何々課長、何々主任としておる。そうして高い方の検事の方の月給で払つておる。そうすると一般職の課長と、特別職の検事の課長では、同じ仕事をしておりながら、片方に二割増しの特別職の検事の月給をもらう、片方は行政官で普通の月給をもらつておる。こういうことでは役所の中が円満に行かないし、またこれは不公平きわまる。検事の職にあるから特別職の俸給を払う。しかるに検事の職分にあらざる資格を持つておるけれども、法務省の一般行政官、局長とか課長とかいうものは、みな検事兼何々局長、何々課長となつておる。そうして高い方の検事の月給を払つておる。全部がそれなら黙つておるかもしれぬが、法務省の検事の資格のないものは二割減の一般職の月給をもらつておる、こういうでごぼこがあるのです。こういう点は大いに人事院並びに国会が監視を厳重にして是正する必要があると思います。これは法務省だけに見たのでありますが、公務員が三日間どこどこに出張して調査して来いといつて、調査に行かないで自宅におつて四日間の出張旅費をとつたら詐欺にひとしい。検事の職を行わざるものが検事の俸給をとるということは、社会文教上はなはだけしからぬ問題である。こういうでこぼこを是正し、九級俸以上に厚く、九級俸以下に薄いこの法令の改正のごときものの内容に向つて、十分なる検討を是正をしていただくことを希望しまして私の意見を終ります。
  40. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長代理 石田君の御発言は終りました。質問のある方は許可をいたします。
  41. 受田新吉

    ○受田委員 今、公務員給与改訂に対して非常に御支援のあるお言葉があつたのですが、輿論調査研究所の責任者でいらつしやる石田さんとして、このベース・アツプは輿論としてもこれを支持するものであるという結論をお持ちになつたのでございますか。
  42. 石田百寿

    ○石田公述人 お答え申します。私のところの輿論研究は、先月あたりでございますが、特殊な東京都の二千人ばかりを対象として調査したのによりますと、それは公務員を除いた調査ですが、四八%は増額やむを得ざるものであるという回答でございます。さよう御承知を願います。
  43. 受田新吉

    ○受田委員 輿論の動向ということは、われわれ政治家の最も考慮に入れなければならぬ問題で、きようのあなたの御発言は、輿論調査をする研究所の責任者として、まことに貴重な御意見だと思うのであります。特に中間以下の給与の人たちの昇給率を高める問題とか、あるいはペース・アツプ率を高める問題とかいう点に特に重点を置け、それからもう一つ、高給職員におきましても、その品位を保持するための生活を擁護する給与が必要であるという今の問題で、十、十一、十二級辺で、年末調整で十二円ぐらいしかもらわないで、三箇月も食べなければならぬというのがあつたというお話でございましたが、それではとうてい局長の体面は保てないのですが、そういうのはどちらの省にその実例があつたのか、これは重大問題だと思います。十二円で一箇月食うということは事実不可能であります。この点は、どこの何があつたのか、実例を聞かしていただきたい。
  44. 石田百寿

    ○石田公述人 これは名前を申し上げてはまことにお気の毒ですが、実際あつたことです。これは実は人事院なんです。それは会計課で俸給から毎月引かなかつたものですから、国税庁からやかましく言われて、年末調整で十一、十二、一月と引かれたので、十二円だとか、二十円だとかいうことに、高給者の次官級の人がなつた例があるのです。それは直接私が聞いたり、月給袋を見たので、事実間違いありません。
  45. 受田新吉

    ○受田委員 それは最近ですか。
  46. 石田百寿

    ○石田公述人 去年です。
  47. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長代理 他に御質疑はありませんか——別に質疑もないようでありますから、次は中央気象台職員組合執行委員長杉浦次郎君に御発言を願います。
  48. 杉浦次郎

    ○杉浦公述人 私はこの席でいろいろ申し上げたいと思つてつたのでありますが、大体私が申し上げたいことは、今まで各公述人方々によつてほとんど全部言い尽されておりますので、私はこまかい数字につきまして、若干意見を述べさしていただきたいと思います。非常にこまかい事柄でありますので、恐縮なんでありますが、お聞き苦しい点をあらかじめ御了承を願つておきます。  問題はわれわれ国家公務員が現在与えられている給与ないしは将来与えらるであろうところの給与と、いわゆる標準生計費との関係が、どういうふうになつているかということであります。お手元に配付いたしましたこの「給与と標準生計費との関係中央気象台職員組合」と書きましたグラフについて御説明いたしたいと思います。  この横軸にとつてありますのは職務の級でございます。職務の級は御承知のように一級から十五級までございますが、ここでは紙面の関係上二級から十一級までについて表わしてございます。一級及び十二級以上のものは数が少いので省略いたしました。一番下の方に級別平均扶養家族数というカーブがございます。これは昭和二十四年九月の国家公務員給与実態調査の結果からとつたものでございます。若干日にちがたつておりますので、現在ではこれより多少違つているかとも思いますけれども、新しい資料を入手することができませんでしたので、この資料を用いてあります。つまり四級の職員平均の扶養家族数は大体〇・六七である。それから五級の職員平均の扶養家族数は一・五四人である。つまり平均いたしまして、四級から五級の間で扶養家族が一人となる。大体において結婚をする。     〔丹羽委員長代理退席、植木委員長代理着席〕 それから五級と六級の間で扶養家族が二人になる。大体において子供が一人できるというわけでありまして、大体八級以上はほとんど平均の扶養家族数というものがかわつておりませんで、平均して大体三人であります。これはずつと上の方へ行きましても、大体かわりないわけであります。私はこの扶養家族数をもとにいたしまして、級別平均標準生計費というものを考えてみたのであります。これはことしの八月に人事院から出されました給与ベースに関する勧告の中に、人事院がつくりました資料がございます。それは本年五月における各世帯別の標準生計費、一人世帯、二人世帯、三人世帯、四人世帯、五人世帯のそれぞれにつきまして東京における標準生計費、それから勤務地手当がないときの標準生計費というものが、人事院の資料に載つております。ここに書きましたのは、その一番上に級別平均標準生計費というものが書いてございますが、これは本年五月における勤務地手当のない場合の税込みの生計費であります。これはたとえば五級の平均が、扶養家族数の平均が一・五四人だといたしますと、世帯人員は本人を入れまして二・五四人ということになります。でありますから二人世帯の場合の標準生計費と、それから三人の場合の標準生計費がわかつておりますから、それからカーブを引きまして、その場合の標準生計費というものを出すことができるわけであります。一番上に書いてあるカーブがそうでありまして、大体二級のところでは標準生計費が五千円をちよつとしまつている。それから五級のところで一万円をちよつと出ている。それで八級以上は標準生計費というものが大体一定でありまして、一万三千一五百円というような数字なつております。これは八級以上は扶養家族数が平均して一定でありますから、従いまして人事院のいう標準生計費というものは一定になつているというわけであります。その下に書きましたのはこれから扶養手当を差引いたものであります。扶養手当も一人の場合は幾ら、二人の場合は幾らときまつておりますから、その扶養家族数が一・五四人の場合は幾ら、二・二五人の場合は幾らということは計算できまずから、それを差引きましたものが、その下に書いてあるカーブでありまして、左の方では標準生計費とほとんど一致しておりますが、右の方へ行きますと当然さがりまして八級以上の職員につきましては、標準生計費から扶養手当を引きましたものを平均いたしまして一万一千六百円というような数字なつております。それでこの標準生計費から扶養手当を引いたものが、本人の本俸額と一致した場合にはその本人にとりまして、収入と支出がバランスしているわけであります。もしも標準生計費から扶養手当を引いたものが本俸より高ければ、それだけ新たに生計費に赤字が生ずるということになるわけであります。その下に書きましたのが各級の、中央の号俸本俸額であります。すなわちたとえば二級につきましては二級の四号、五級につきましては五級の五号、六級につきましては六級の六号というような、まん中の号俸本俸額をそこに並べて書いてございます。一番下にありますのが現行本俸の額であります。  それからその上にありますのが、今回の法律案によります本俸額であります。  それから一番上に点線で引きましたものが、人事院勧告によりますところの本俸額であります。これで見てよくおわかりになりますように、そこに斜めの線をひつぱつてございますが、その範囲は政府案が施行された場合の赤字であります。これでごらんになりますように現行本俸額におきましては、九級以上の職員は一応標準生計費を上まわる給与をもらつている。しかしながら八級以下の職員は、すべて人事院が計算した標準生計費を下まわる給与しか与えられておらないのであります。これが人事院勧告が完全に実施された場合には、七級のところまでどうやら赤字が解消するのでありますが、六級、五級、それから四級のところでは人事院勧告が完全に実施されたといたしましても、そのように赤字があるのであります。このことは人事院勧告に対するわれわれの非常に大きな不満であります。ほかのことはともかくといたしまして、このことは人事院勧告の大きな盲点である、私はこのように考えるのであります。政府案の場合にはそこに書いてありますように七級以下が赤字になつております。四級では千四十円、五級では二千四百八十円、六級では千六百五十円、七級では八百七十円というような赤字が明らかにあるのであります。ただいま申し上げた数字は、勤務地手当のつかない場合の話でありますから、これがたとえば東京でありまするならば、五級の五号の場合は月三千百円の赤字ということになるのであります。それではこの赤字になつている四級ないし七級の職員は、どういう職員であるかと申しますと、平均年齢を申し上げますと、四級が二十五才、五級が二十九才、六級が三十三才、七級が四十才、二十五才から四十才にわたる範囲の平均年齢の職員であります。それでこれらの級の者が、全体の職員の中に占める割合はどのくらいかと申しますと、五級が一番多いのでありまして、全体の約二〇%、それから四級と六級が約一八%、七級が約一二%でありまして、四級から七級合せたものが大体七〇%になつております。今度の政府案実施されたといたしまして、国家公務員の七〇%は明らかに標準生計費に満たない給与しか与えられないのであります。このことは非常に大きな問題であると思いますので、議員各位の適切なる御配慮をお願いしたいと思うのであります。極端な言い方を申しますならば、もし予算の関係があるというのでありますならば、現行給与におきましても九級以上は一応標準生計費以上の給与をもらつているのでありますから、九級以上の職員ベース・アツプする予算があるのならば、それをこの四級から七級のところにまわしていただきたい。特にこの一番赤字の多い五級と六級のところにまわしていただきたい。これを私は声を大にして繰返し繰返し皆様に訴えたいと思うのであります。公務員の七〇%がこのような赤字生活のままでしいられるということは、そのような状態で公務の民主的かつ能率的な運営を保証することは、はなはだ困難であるといわざるを得ないのであります。どうかこの点につきまして皆様の深甚なる御考慮をお願いしたいと思います。陳述を終ります。
  49. 植木庚子郎

    ○植木委員長代理 杉浦君の発言は終りました。御質疑のある方はありませんか。——それでは、次に全基準労働組合東京支部執行委員長田中上君の御発言を願います。
  50. 田中上

    ○田中公述人 全基準東京執行委員長を勤めております田中でございます。  私は東京労働基準局に勤務しております職員でございますが、御承知のように、労働基準局と申します役所は、労働者の健康とその福祉を基本的には目的としている役所であります。にもかかわりませず、この役所の中に使われている職員は、はたしてどのような労働状況であるか。まず率直に実情出して皆さんに訴えたいと思うのです。先日私のところで健康診断を行いました。その結果約八%の健康要注意者が出ております。これは毎年出ますが、毎年増加している傾向であります。このような状態でもつて労働基準行政そのものが、その他の予算の不足、定員の不足、またあとでできたいわゆるアプレの官庁であるといような理由もとに、現在まつたく骨抜きにされた形になつております。特にその条文にありますところの最低賃金保障の条文が骨抜きにされている今日、労働基準行政は監督行政から、宣伝、啓蒙の行政あるいは指導の行政といつたふうな本質的な変化を見せております。これらの中でこの行政を運営しているわれわれ職員はどのように考えているか。まずいろいろな原因はともかくおいて、われわれ職員最低生活が保障されないからこそ、このような情勢になつているのだ。まずわれわれの最低生活を保障し、そうして労働基準行政を円滑に運営して新しい楽しい日本をつくり上げよう、これがわれわれ職員の要望であります。  われわれ全基準労働組合も一昨年以来最低賃金要求に邁進して闘つて参りました。にもかかわりませず、今回人事院勧告しました給与法案なるものは、およそわれわれの要求をまつたく無理したわれわれを侮辱した法案であるばかりか、さらにそれと本質的には全然相違がないところの政府案にしましても、われわれの最低生活を保障するどころか、かえつて下級職員をいためつける給与体系をもたらした、このようにわれわれ全基準労働組合職員は考えているわけです。従いましてわれわれは今回政府出しました政府案である給与法案に対しましては全面的に反対であります。  その理由につきましては、今まで理論的にいろいろな角度から官庁労働組合の諸公から申されましたが、私は私の勤めております東京労働基準局の実態の中から二、三皆さんにお訴えしたいと考えるわけです。  まず第一に、最低一級一号は四千四百円の給料であります。一体この給料で食えるか食えないか。この点もすでに言われましたが、ひとつ委員会の皆さんにおかれましては、これをよくさらにもう一度考えていただきたい。この中で食費を約二千五百円と見て、一人一日大体八十円。コツペパンを二つづつたべて、もう一日足りないわけです。主食だけで足りないわけです。副食どころかパンをかじるだけでも足らないような賃金、これで一体われわれが働いて行けるか。これは言葉ではなくて、もう一度皆さんが実感でこれをかみしめていただきたいと思う。しかし現状は、東京労働基準局にもそのような職員がたくさんおります。私は一応女房を持つておりますから熱いものをたべることができる。しかしながら見ていると、若い職員は水を飲みながらコツペパンをかじつている。私はこれを見て何とかしたいが、個人の力では何ともできない、これが現在の官庁に働く若い労働諸君の実際の姿なんです。この点をひとつもう一度皆さんに強く訴えたいと私は考えるわけです。     〔植木委員長代理退席、委員長着席〕  次にわれわれが不満といたします点は、今度の政府案における上の者と下の者の差があまりにあり過ぎるという点。大体計算してみますと十五倍になつております。これは一体何のためか。私たちは解釈に非常に迷うものであります。世界のドルの約半分を持つていると言われておりますアメリカにおいて——アメリカの労働者はわれわれから見れば、いわゆるブルジヨア労働者と言われております。世界の労働者の中で最も裕福な労働者である。労働貴族と言われております。これらが私たちの資料によりますと、一番下のすつてんてんのニコヨンの人と、ずつと上の局長級と、差があつても九倍しかないわけです。このような実情がアメリカにもあるにもかかわらず、いろいろな経済的困難に打ちかつて、われわれは何とかして日本をつくり上げて真実の独立をもたらしたい、このような困難な日本において、一体一と十五倍の給与はどこから持つて来たのか。これはわれわれりくつでなしに、はなはだもつてけしからぬと考えるものであります。官庁における行政事務は非常に複雑です。それでいろいろな業務があります。しかしながら官庁にはいわゆる企画職とか何とか言いましても、それはこの国会でやられるような、非常に厖大なものを計画立案するような仕事はなくて、やはり世の中がだんだん進歩して来るにつれて分業化されると同じように、官庁の仕事も細分化されております。そこではあまり労働の差というものはありません。むしろおえら方は判を押しているだけだというふうに考えられるわけです。このような情勢の中で、一体そのようなひどい較差を持たせたのは何のためか、これは私たちがいろいろ考えた結果、やがてしかれるであろう職階性の賃金の裏づけでもあると考えられる、またそのような賃金の体系によつて、下級の職員を圧迫する材料にもなるのではないか、いわば官庁フアツシヨ化の第一歩ではないか、われわれはこのような懸念を抱くものであります。  第三点は、今まで再三にわたつて言われました中だるみの問題であります。この点については、さつき特に気象台の組合の方から説明がありましたから、詳しいことは申し上げませんが三、四、五、六、七級の人、これは実際官庁の仕事の中核体であります。そうして一生懸命やつておる。この人たちが動かなければ、官庁の仕事は全然円滑に運営されないわけであります。このような人に対しての考慮が、全然政府案には払われておらない。私のところの実情を申し上げますれば、大体このような人は、すでに妻帯者です。あるいは妻をもらいたくても、金がなくて結婚できないという人がたくさんあります。このような人に対して、こう言うと失礼ではありますが、青春を終られて、一応そのような問題から解放された委員会委員諸公におかれまして、特に結婚しようにも金がないというような人、とにかく一応人間として、結婚だけでもさしてやるだけの給料を与えてやるということを、特に御考慮願いたいと思います。私のところでは、給料が安いから、共済組合から金を借りるわけであります。平均しますと、大体一人当り毎月五百円くらい借りております。この借金をする人の一番多いのは三、四、五、六、七級です。もちろん下も苦しい、上も苦しいだろうが、いかに中堅層が低賃金で困つておるかということを、如実に現わしておるものと私は考えます。  さらに勤勉手当の問題に入りますが、われわれ全基準労働組合は、この勤勉手当の制度にまつ正面から反対しております。何となれば、生活給が確立されていない場合の勤勉手当というものは、いたずらに職員間の競争をあおり、かつ、職制の権力を強化し、労務管理上ゆゆしき問題を来すのではないかと考えるのです。私たちは一応労働者を扱う仕事をしておりますが、民間の中にもこのような形の賃金体系があります。絶対量はかわらない。これを労働者同士が奪い合うわけです。その奪い合う点数はだれがつけるかというと、指揮するおえらい方がつけるわけです。これがいわゆる昔の紡績女工を方向を言わせずに働かせようとしたところの明治、大正の紡績賃金のやり方であつたということを私は思い出すわけです。この点はひとつ、官庁における年末手当というものは、いわゆる普通のボーナスではなくて、生活補給金、赤字補填であるという点を、もう一度御考慮願つて平均一律に、われわれの要求するところの二箇月分を支給されるように立法化していただきたいと切に訴えるわけです。  以上のような理由から、私たちは今度の政府案、本質的に人事院勧告と寸分かわらないところの政府案に対しまして絶対反対いたします。そして私たちはとにかく食えるだけの賃金最低九千九百七十円の賃金支給されるよう、また年末手当二箇月、赤字補填二箇月分をただちに支給されるよう強く要望するものであります。これで私の話を終ります。
  51. 有田二郎

    有田委員長 田中君の御発言は終りましたが、質疑があれば許可いたします。
  52. 館俊三

    ○館委員 何も私申し上げるようなことはございませんが、国会議員としての任務でありますから、これから十分に皆さんたちのお話を考慮して善処しなければならない立場にあるのでありますから、いまさら私が苦しい、ひどい目にあつておるということを言うのはおかしいのでございますが、せつかく政府機関として人事院があるのであります。その人事院の提出した案そのものに対する、人事院勧告案の施行を受ける立場にある人たちの公述が、きよう大部分を占めたのでありますが、その人たちは、きわめて人事院案そのものについて納得が行つておらない。それについて全面的な批判なり、不平なりを並べていらつしやるのであります。また慶応大学の教授藤林敬三さんにいたしましても、今井一男さんにいたしましても、しばしばこういう側面的機関の権威をどうするかという問題について訴えていらつしやる。これを総合してけさから聞いておりますと、まつたくそういう機関がありながら、このペースの問題が、ほとんど生のままここに再提出されておるという形なのであります。これは実に驚いた話であります。国会はそういうことを決定する機関でありますから、どういう形で出されようと、やり遂げなければなりませんが、そういうことに対して多少の不服を持つておるのであります。今述べられた官公労組あるいはその他の人がここへ来て、初めて人事院勧告についていろいろの欠点なり、そのことが施行されたら、こういう窮状に陥るということを述べられたのが最初であるのかそれともあなた方が常にやつておられるいろいろの方式によつて人事院あるいは大蔵省その他との折衝があつたのかどうか。八月の初めでしたか、勧告が出されたのでありますが、出されてしまつたら、一面からいえば、それでおしまいのような形になつてしまう。その出されない前に、どれほどの努力をおやりになつて、人事院との折衝が終つたのか。人事院がそれを納得しなかつたのでありましようが、その納得しなかつた状況、あるいは皆さんたちがいろいろの運動方式によつて、これを訴えられた手段方法があつたと思う。それをここでは一度も私は承つておらぬのであります。そういうことについてあなた方は、公式の席上で私は承つておらなかつたのですから、やらなかつたとして、ここに持出されたとしたならば、先ほど言つた通り官公労の方面の人に申し上げても、まつたく生のままここに持込まれたという気分がするのであります。また人事院の方たちといたしましても、そういう折衝が直接影響のある組合の首脳部とどういうふうに折衝があつたのかどうか。この点について、少くとも人事委員会の記録の中に残すべき必要がある。仄聞するところによりますと、何か人事院勧告出しそうなころ合い、あるいは出してもらわねばならぬというころ合いに、相当の準備なり何かあつたように聞いております。はなはだ済みませんが、一つの正式な記録として残しておく必要があると私は思う。また私たちはそういうことについて、今私が申し述べた、生のままここに持つて来たんじやないかという気持を、そうではないという形で納得いたしたいと思うのであります。先ほど今井先生のお話の中で、人事院のやり方が納得したベースの建て方をしておらないというように私受取つたんですが、きわめて秘密的におやりになつておるのじやないか。従つて、発表される勧告というものは、そういう形であるからいろいろのぎこちない状態が出て来るんじやないか。もう少しお互いに納得の上での勧告なり、あるいは物の建て方、計算なりをやるべきではないかと思うという概括的なお話があつたように思います。私はそういうふうに理解した。そういう点について労働組合諸君たちの幹部が、どれほどの手段を講じられたか、その場合に人事院はどうであつたか、人事院についてはまた別の機会に聞きたいと思うのですが、労組の運動方針、そうしてまたそのときに現われた様相について、詳しく遠慮なくここで実況についてお話をしておいていただきたい。私はそういうことを最後の田中さんに、適当であるかどうかわかりませんが、聞いておきたいと思うのであります。
  53. 有田二郎

    有田委員長 ちよつとお諮りいたしますが、館委員のおつしやることについては、むしろ官公労組協議会の議長をしておられる天野徳重君にお話していただく方が、全官公でありますから適当だと思いますが、よろしゆうございますか。
  54. 館俊三

    ○館委員 委員長がよくお選びくださいましたが、天野さんがそういうことをお話くださつても、だれでもいいのです。だれでもいいのだが、とにかく勧告前後にわたつて、いかに熱心に人事院に当られたかということを聞いておるのでありますが、その明細にわたつて、ここに遠慮なくお話願いたい。それがまたわれわれ人事委員といたしましても、また労働委員諸君にいたしましても、このベース決定の重要なる要素になるものと私考えます。その記録にとどめておく必要があろうかと思います。また政府としても、給料を低く決定するということ、労働者の生活を脅やかすような給料を決定するということが、どういう事態を引起すのかということのためにも、政府としてこの速記を十分に味わつていただくという意味においても、語つていただきたい。私はさつきからこう言つておるわけであります。これは一面われわれといたしましては、そういう熾烈なる要求を持つている人たちが、そういう目的を完全に人事院との間に果し得ないで、ここに生のまま持ち込んで来て、私たちを苦しめておるのではないかという気分がいたしますので、その点明確にお話をいただきたいと思います。
  55. 有田二郎

    有田委員長 それでは官公労組協議会議長天野徳重君、お答えを願います。
  56. 天野徳重

    ○天野公述人 今、館委員から御質問を受けましたが、これは私の方からさらに詳しく申し上げることを、やはりこの会議における発言を通しまして痛感いたしておりました。そこで先ほど私が申し上げましたように、人事院の三人事官並びに滝本給与局長とは、官労の賃金専門委員会もしくは幹事会あるいは官労の組合代表者の大多数が集まつて、しばしば人事院とは折衝を重ねておりました。それは本年の四月以来何回もにわたりまして、これを繰返しておつたのであります。しかも七月中ころからは、もう組合員が人事院の態度なまぬるしというので、あそこに代表が押しかけまして、浅井総裁あるいは山下人事官、入江人事官との間に、非常に激烈な、この問題についての論争がかわされたのであります。そして人事院が実際に勧告をするならば、先国会において審議をなし得る期間中にすべきだ、また勧告の内容についても発表すべきであるということをしばしば申し上げた。にもかかわらず、いろいろと、たとえば地域給の問題についての作業をしているとか、言を左右にされまして、結局出されたのが七月三十一日の午後十一時、国会の幕切れであります。これでは審議をする余裕がない。しかも人事院案は五月一日から実施するような内容を持つておる。そういう五月一日から実施しなければならないものを、その国会審議の期間中になぜ出さなかつたかということを、われわれは追究しておる。しかもそのころに、その態度が非常にあいまいなもので、何を聞いてもはつきりわからないということから、官労の組合員約三百人が総裁の部屋の前ですわり込みをやつておる。決してこれはいわゆる圧力をかけるとかいう意味ではなくて、最も素朴な気持でもつて人事院のそういつたような意向を聞きたいのだ、そういうようなことから、あそこに行つて、総裁の帰りを待つ、面会を求める、こういう形であそこにすわり込んでおつた。結局これは最後は管理局長の依頼によりましてか、麹町の警察が来て、多くのけが人を出してこれらの人がついにほうり出されている。その間にしばしば滝本給与局長とわれわれの賃金専門委員の方とは、われわれが要求しておりますところの九千九百七十円につきましては、ほんとうに話し合つておるのです。これは人事院がどういう勧告をするか、内容は全然わからなかつたのでありますけれども、われわれが人事院のいわゆるマーケツト・バスケツト方式によるところの算定によつて出されたものが、九千九百七十円になるのだ。これは決して誤つた数字ではない。それは科学的な資料と合理的な算定方式によつて出されておる。その理由に滝本給与局長にはしばしば言つておる。おそらく給与局長は、これを肯定されておるのだと思います。肯定されておりながら、なおかつあのような、ふたをあけてみれば、われわれが全然予期しなかつたような、まるきり納得のできないところの数字を出されておる。これでは人事院というものは一体どういうものか、その性格を疑わざるを得ない。しかもその人事院勧告すらも、政府においてはのんでいない。従来しばしばそうなんです。のんでものまなくても、人事院勧告そのものがわれわれに納得ができない。ただいま御質問がございましたように、私どもとしましては、人事院勧告をする意思がないといわれておる四月、五月ごろから、再勧告の要請をしておる。そうしていよいよ勧告の意思を明らかにした六月、七月に入りましては、しばしばわれわれのつくりましたところの最低賃金制というものの案を示しておる。その間の折衝はしばしば繰返されておる。最後にはすわり込みまでやつておる。そうしてけが人まで出してほうり出されておる、こういう状態であります。これが人事院に対する、今度の人事院勧告をするまでの官公労のとつた態度でございます。それで詳しい数字につきましても、今申しましたように、これは浅井総裁あるいは入江人事官、あるいは給与局長、それらの方々も非常によくわかつているはずなんです。ところがわれわれの意向というものは、一向に取入れられていない。またわれわれからそういう意向を聞こうともしていない。先ほど委員の方からの発言でありましたか、公述人からの言でありましたか、人事院はやはり一般組合、あるいは官庁公務員、こういうものからの意見、そういうふうな多数の意見、下部の意見を十分取入れるべきであるということを言われた。私たちもまさにその通りだと思います。公務員実態というものの基礎に立たないで、何の給与が決定できるか。結局実態のよくわかつているのは、われわれ下級職員だけであります。その人たちがほんとうに自分たちの生活の苦しさをよく知つている。その人の素朴な、真剣な声を人事院が受取ろうとしなかつたということは、これははつきり言えると思う。そういう事態の中から、今まで申しましたように、しばしば折衝をし、あるいは追い込みもし、あるいは説明もして、十分納得が行つて、おるものというような状態の中から、これが出されておる。そこに私たちは人事院に対するところの、非常に全面的な不満がある。こういう状態でございます。大体以上申し上げまして、なおおわかりにならなければ、さらに詳しく申し上げる用意がございます。
  57. 館俊三

    ○館委員 ちよつと私もそういうことを聞いたのですが、その結果十二、三人も警視庁に監禁された。そのために国会議員二、三人がもらい下げに行つて、これを出して来たというようなていたらくであります。そういうことで国会議員に迷惑をかけてはいけないと私は考えるのであります。不始末な話だ。そこで、公務員団体交渉権というものが与えられておらない、与えられておらないから、人事院がそういう態度をとつたのかもしれませんが、しかし民主主義政治というものは、少くとも私は説得の政治でなければだめだと思う。よく説明して納得するのが政治のあり方でないかと思う。そういうことを平生から考えておつたのですが、きようはいみじくも今井さんが納得をさせたようなやり方で人事院勧告を出されておるのではないというような感じを概念的に持つという説明をされておる。この点について私たちは人事院は、団体交渉権は公務員法にはないのだけれどもという考え方で、そういうやり方をやられたとは思いませんけれども、少くとも人事院もまた労働行政の一端に携さわる重要なる役目を持つておるのである、それがそういう形において一つも納得せしめ得られないために、なまのままここへ提出されたということは、国家機構の存在がありながら、実に残念なことだと思わざるを得ないのであります。またこういうことについては、人事院としての言い分もあろうかと思いますが、この辺についてはまた次の別の機会で詳しくお聞きしたいと思う。団体交渉権がないのだから、私たちは私たちでやるのだという態度であつたのではないだろうかと思いますけれども、今の公述人の陳述を聞いておりますと、そういうことである。今度のベース・アツプの闘争が熾烈に盛り上つておりますが、一を惜しんで百を知らない政策を政府はとつておる……。
  58. 有田二郎

    有田委員長 館委員に申し上げます。公聴会でありますから、どうぞ公述人に対する御質問を願います。
  59. 館俊三

    ○館委員 そういうことで、今の陳述を納得しておきたいと思います。
  60. 有田二郎

    有田委員長 他に御質疑はございませんか。——受田新吉君。
  61. 受田新吉

    ○受田委員 天野さんでも杉浦さんでもどなたからでもけつこうですが、きよういろいろ御説明になつ事柄の中で、特殊の任務を持つた方々手当でありますが、たとえば給与改訂要綱の中にあります超過勤務手当、日宿直の手当というような手当は、皆さん方の官庁職員の中の特殊な任務を持つた者には、これをどういうふうに取扱つたらいいかという特別措置を必要とするものではないか。たとえば杉浦さんの場合であつたならば、中央気象台の職員で、気象観測上特に勤務が常時なされるような場合があつて、日宿直で都合が悪くて、勤務の継続と見るべきような場合とか、そのほかいろいろな場合があるだろうと思います。きのうもお話があつた病院の職員、お医者さんの勤務のごときは日宿直勤務としてよりは、勤務の継続と見る方がいいというような場合があるのですが、こういうような一般的な勤務の場合でなくて、特別な勤務の問題について、官庁にそれぞれのお立場からの要望はないか。これらも小さな問題であつて、実はそのところを得せしめる給与を与えるという点で、われわれは重要な参考にしたいのですが、この点で特殊な手当についての御要望を聞いておきたいのであります。
  62. 杉浦次郎

    ○杉浦公述人 実は準備が不足でございまして、ただいま御質問の点につきまして、御返事をいたすことができないのでありますが、ただこういう点はわかつておりますので、お考えおきを願いたいと思います。気象台におきましては、現在職務の級におきます給与の頭打ちというのがございます。昇格ができないために、昇給が定期になつても上れない、そういうものは、たとえば六級なら六級の特というような名前で呼ばれているのでありますが、人事院の方ではわく外者という言葉を使つておるようであります。これは官庁どこにでもあることでありまして、先日人事院で聞いたところでは、官庁平均が大体一〇%くらいではないかということを申しておつたのでありますが、気象台におきましては、約五千人の定員の中で千人以上、二〇%のわく外者があるのであります。こういうことは気象台の職員が、その構成上一般俸給表を適用されている点について不合理な点があるのであつて、特別な俸給表を適用してもらう必要があるじやないかというふうに考えております。以前気象台の職員に対して若干の調整号俸というものが適用されていたのでありますが、それは一昨年でございましたか廃止になつたのであります。この点につきまして実は詳しい調査をしておりませんので、それ以上のことは申し上げられませんけれども、そういう点につきましてなお研究いたしまして、あらためて種々お願いに上りたいと思つております。
  63. 有田二郎

    有田委員長 別に御質疑もないようでありますから、これにて本日御出席の公述人全部の方の御発言は終りました。  公述人各位におかれましては、御多忙中にもかかわらず御出席くだされ、長時間にわたり種々貴重な御意見をお述べいただき、本委員会といたしましては法案審査にたいへん参考となりましたことを、委員長より厚く御礼を申し上げます。これにて公聴会を終ります。  次回の委員会は公報をもつて御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十七分散会