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1952-12-13 第15回国会 衆議院 人事委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十三日(土曜日)     午後一時三十四分開議  出席委員    委員長 有田 二郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 受田 新吉君    理事 森 三樹二君    灘尾 弘吉君       木暮武太夫君   生悦住貞太郎君       濱田 幸雄君    松野 孝一君       小島 徹三君    加賀田 進君       池田 禎治君    館  俊三君       小松  幹君  出席政府委員         内閣官房副長官 菅野 義丸君         人事院総裁   浅井  清君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     滝本 忠男君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長事         務代理)    久田 富治君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第十二号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第十六号)     ―――――――――――――
  2. 有田二郎

    有田委員長 これより人事委員会を開会いたします。  ただいまより一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第十二号及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第十六号の両案を一括して議題として質疑を継続いたします。加賀田進君。
  3. 加賀田進

    加賀田委員 総括的な質問はあとに譲りまして、まず現在国家公務員地方公務員との同じ条件と内容を持つている公務員が、実質的に給与の差が相当あるという声を聞いております。しかもその等差を縮小するために、平衡交付金を圧縮するような方法をもつて、これらの地方公務員並びに国家公務員との給与の差を縮めようという政府の計画だと巷間伝えられておりますが、実質的に国家公務員並びに地方公務員給与に対する差があるかどうかということは、すでに陳情書等を通じて人事院の方では調査されておる問題だと思います。たとえば国立大学付属教官地方教官との給与差が相当あるということが、いろいろの面で教育行政支障を来しているということもわれわれは聞いておりますが、こういう意味で、地方公務員国家公務員とに同じ条件と同じような給与を支給しなければならない状態にかかわらず、実質的に差があるかどうか。またあるとすれば、その原因はどこにあるかということを一応お伺いしたいと思います。
  4. 浅井清

    浅井政府委員 人事院といたしましては、一般職国家公務員が所管でございますから、地方公務員の方は比較して調べておりませんので、これは大蔵省側からひとつ御答弁を申し上げたらよかろうかと思います。
  5. 岸本晋

    岸本政府委員 ただいまのお尋ねの件は、主として教員についてのことと了解してよろしゆうございますか。
  6. 加賀田進

    加賀田委員 そうです。
  7. 岸本晋

    岸本政府委員 教員国立大学付属小学校教員地方公務員教員との給与差の問題でございますが、これは昨年度の補正予算におきまして平衡交付金を算定する際に、やはり国立学校先生地方公務員である先生との間に、相当の給与差があるのではないかということが問題になりましたので、大蔵省文部省調査いたしました。これは主として文部省調査いたしたものでございますが、その結果同一在職年同一の資格を持つている者を比較いたしまして、それを総平均いたしますと、総体において教員におきましては、当時の八千円ベースにおきまして大体三百七十五円ほど高い、こういう結論に達したわけであります。その後本年になりましてもう一度、これもやはり文部省調査をいたしたわけでありますが、その結果によりますと、やはり総平均三百四十九円ほど高いという資料が出て参つております。これに基きまして、昨年度の補正、また今度の補正予算も一応この程度の金額を控除したもので予算が計上してございます。
  8. 加賀田進

    加賀田委員 三百七十五円の差があるということは、やはり教育上ゆゆしき問題ではなかろうかと存じます。と申しますのは、地方教官から付属教官の方へ優秀な人を転任するとか、いろいろな操作をせなければならぬような場合に、賃金差額があるということにおいて、非常に大きな支障を来すのではないか。人事院としてそういう問題に対してどういう対処策考えておるかをお伺いいたします。
  9. 浅井清

    浅井政府委員 地方公務員国家公務員との問題になつて来ると思うのでございますが、それはひとりこの方面のみならず、ほかの方面においても差があるわけでございまするから、そこで必ずしもこれを統一することができるかどうかは問題だろうと思つております。
  10. 加賀田進

    加賀田委員 そうしますと、これは一例を申し上げた次第でありますが、今総裁の発言の中で、単に教官だけではなくして、各地方地方公務員国国公務員との賃金差が相当あるというお説でありましたが、これらの問題は法的に人事院として何らの処置はできばくとも、現実に地方において国家公務員地方公務員との賃金差というものは、いろいろな面で支障を来しているのであります。やはり人事院としてはこれらの支障を削除するようにいろいろな面で研究され、しかもそのために起る業務能率意欲というような問題に対しても、十分考える必要があるのではないか。従つて人事院としては、これらの問題の対処に対してどう今後考えられる余地があるかということをお尋ねいたしたい。
  11. 浅井清

    浅井政府委員 ただいまの問題は、結局地方公務員国家公務員との間に、常に大規模な人事交流があるということになれば、支障を来すように思います。しかし必ずしもそういう現象はないように思つております。
  12. 加賀田進

    加賀田委員 今一例を申し上げたよりに、実際に教官の場合には私は個々にあると聞いておりますが、そういう場合の賃金差のために、非常に付属教官転入することが困難であつて付属教官がいろいろの地方教官以上に研究あるいはその他の実質的な調査をしなければならないような場合に、そりした適任者地方教官にあるにもかかわらず、こういう賃金差があるためし転入が困難であるということを、よわれわれとして耳にするわけでありよすが、こういうような状態のないように人事院としては考えていただきたい。全般にわたつてそういう大量の転入あるいは交流というものがないにしても、やはり個々にそういう矛盾がありというならば、人事院としてはこれに対しての対処考えるべき必要がありのではないか、そういう点で十分考慮していただきたい。  なお一般的な質問に移りまするが、今院内外を通じて、やはり公務員はみずからの労働条件を、あるいは生活条件を向上させるための手段を持たないために、国会における人事委員会並びに予算その他の審議を非常に重視しております。こういう中で特にわれわれとして考えなくてはならないのは、御存じのように公務員罷業権あるいは団体交渉権を持つていない、しかしながら憲法二十八条においては、勤労者の基本的な問題が保障されておるという状態の中で、人事院の持つ勧告あるいは人事院の持つ使命というものは、これらの公務員罷業権に匹敵する問題ではなかろうかと私は思います。いわゆる法的には人事院勧告その他の人事院行政というものは、公務員罷業権というものが法的に抵触することはないにしても、精神の上においては人事院勧告というものは、いわゆる公務員罷業権精神的に包蔵した問題ではなかろうかと思います。そういうために人事院の制定がなされ、しかも国家公務員生活を擁護し、労働条件を擁護するために絶えず研究調査、あらゆる勧告がなされるのではなかろうか。従つて私は今次のベース・アツプ勧告というものは、公務員罷業権にかわる問題として、その勧告案には罷業権が包含されていると私は考えるわけであります。従つてそういう重大な労働者生活を擁護する意味と、さらに罷業権精神的に包含されておる勧告案という精神の上に立つて人事院がこの勧告案を出されたものであるか。あるいはまた政府として、今申し上げたような精神的な包蔵を持つた勧告案としてこの勧告案を受理されたものであるかいなか。この点に対して一応伺いたいと思います。
  13. 浅井清

    浅井政府委員 お示しの点はまことに御同感でございまして、そのような考え方勧告をいたしたに相違ございません。  それからちよつとつけ加えますが、教育公務員国家公務員地方公務員との交流の点でございますけれども、御承知のごとく国家公務員たる教育公務員は、主として国立大学がほとんど全部でございまして、それ以下のただいまお話付属の問題は、国家公務員としては非常に小さな範囲になつております。その小さな範囲に属するものが地方公務員としては非常に大きな範囲になつておる。従いまして交流の点も国家公務員として考えますれば、非常に小さな部分である。そのためにただいま仰せられたことを怠るわけではございませんが、ただ事実はさように相なつております。
  14. 菅野義丸

    菅野政府委員 お答えを申し上げます。  国家公務員団体交渉権あるいは罷業権を認めない現在の国家公務員法の建前上、それにかわるものとして人事院に独立的の立場をもつて常に国家公務員利益を擁護し、正当なる権利を主張するところであるというお説にはまつたく同感でございます。従いましてひとり給与勧告のみならず、いろいろな点に勧告を受けますが、政府といたしましてもそういう重大な意味を持つておる勧告といたしまして、十分これを尊重するということにやぶさかであるものではないのでございます。今回のベース・アツプ勧告財政その他の都合上、これを百パーセント実施策として提案するに至らなかつたことは、まことに残念なことでございまして、本来からいえばしばしばお答え申し上げておりまするように、人事院勧告はこの理想的な形として全部そのまま実施案として国会に提案するということをわれわれの目標とし、念願しておるところであることを申し上げておきます。
  15. 加賀田進

    加賀田委員 今人事院総裁から国家公務員団体交渉権並びに罷業権を有しないので、それらの公務員生活並びに労働条件を擁護するために、団体交渉権罷業権精神的に包含されておるという考え方のもとに勧告がなされたというお話でありますが、そういうことになりますと、そうした実質的な罷業権を有しておる勧告案政府において否決された場合において、国家公務員がこれらの中に包含されておる罷業権を実質的に行使する権利を有するのではないかと私は考えますが、その点に対しての政府並びに人事院の御見解をお伺いしたいと思います。
  16. 浅井清

    浅井政府委員 さいぜんの御説の中に、勧告の中に罷業権及び団体交渉権が包含されておる――この包含されておると申すことは、いわば一つの形容詞でございまして、勧告の中にさようなる権利がどういうふうに包含されるかということはあり得ないのでございます。ただ私の御了解申し上げましたところは、国家公務員罷業権及び団体交渉権を一方においてとられておる。従つてそれにかわる勧告であるから、そのつもりでわれわれ熱心にこの実現を期すべきものである、そういう意味に了解したのであつて、御論説もさよう考えておつたのであります。従いまして、この勧告がいれられなかつた場合には、ただちに罷業権団体交渉権が回復するものであるということはあり得ないように存じます。
  17. 菅野義丸

    菅野政府委員 政府の方も、ただいま人事院総裁からお答え申し上げましたのと、まつたく同じ見解でございます。
  18. 加賀田進

    加賀田委員 法的にはこういう制度は制定されておりませんが、しかしやはり団体交渉権並びに罷業権が剥奪された。しかもそれにかわるべく人事院が制定され、勧告その他の給与人事行政に対して、国家公務員の日常の業務を円滑、能率化するためのいろいろの政策が立てられておる。そういう観点からやはり団体交渉権並びに罷業権にかわるべきものとして人事院が設置され、しかもその勧告が出されたということになれば、やはり私はその勧告案の中に罷業権という問題が含まれて提示さるべきではなかろうかと思います。従つてそのことが完全実施される場合には、もちろんそのことの問題というものは消滅するであろうが、政府がその勧告案を拒否した場合に、やはり人事院のほんとうに設置された趣旨に反して、罷業権並びに団体交渉権というものは再び復活する性格を持つのではなかろうか、われわれとしてはそう考えるわけであります。従つて政府として法的に罷業権並びに団体交渉権を剥奪してしまつているのだから、国家財政上あるいは資金上困難だという一片の理由のもとに、これらの罷業権団体交渉権を持たない国家公務員に対して、労働条件あるいは賃金問題において、一般国民等より非常に劣悪な状態に陥れるという二とは、人事院宣誓の第一に載つている、いわゆる公務員能率を促進し、しかも国民に対する奉仕の度合を高めるという基本的な問題に、大きな支障を来すのではなかろうかとわれわれは考えておるわけであります。これに対して政府としてはどういう見解をとつておられるか。
  19. 菅野義丸

    菅野政府委員 ただいま加賀田さんの御意見を伺つておりますると、結局勧告政府がそのままのんで、そして法律案に出さない場合には、国家公務員法違反である、法に触れるものであるから、それと同じように公務員の方の側でも、国家公務員法では罷業権はないのであるけれども法律違反をしてもいいじやないか、こういうふうな御立論のように伺えるのでありますが、政府は、勧告という制度法律でもつてきめられた制度でございまして、これは十分尊重しなければならぬことは当然でございまするが、勧告という制度になつている以上、必ずしもすぐそれを無条件に、全然手も触れないで実施しなければならない法律上の義務があるかという点については、遺憾ながらそういう義務はないと考えるのであります。法律上の義務はない、こういうふうに考えるのでございまして、勧告である以上はやはり別の観点から見てこれを検討し、そしてすべての支障がない場合に初めてこれを実施案として国会に提出すべきでありまして、財政上なりその他の見解の点について支障がある場合には、それと違つた法律案を出してもさしつかえないというふうに考えております。従つてさしつかえないばかりでなく、決して国家公務員法違反ではない、こういうふうに考えておりますので、この点は加賀田さんの御意見とは違うようであります。従いまして結論といたしましては、かりに給与ベース改正勧告を下まわつた案が政府によつて国会に出されましても、それだからといつて公務員法でもつて罷業権が回復するということは、どうしても考えられない次第であります。
  20. 加賀田進

    加賀田委員 人事院総裁にお伺いしたいのですが、今申し上げるような非常に重大な使命を持つ人事院が、その使命を遂行されるために出された勧告案という意味において、われわれとしては人事院勧告案というものは非常に重大な使命を持つていると思うのであります。しかも今申し上げたような国家公務員罷業権が内蔵されておるような重大な勧告案が、現在政府によつて無視されておるという状態、さらにこのことは今日の問題だけでなくして、以前にもそうした状態があつたと思いますが、こういう状態の中でわれわれに考えられるのは、当初設けられた人事院趣旨というものがまつたく無視されて、いわゆる人事院というのは単なる調査資料政府へ提出するという機関にとどまるように考えるわけであります。従つてこういう重大な特殊の任務を持つ人事院として勧告を出されたことが、政府の単なる財政上あるいは資金上という名目のもとにいつも一蹴されているということに対して、人事院としてはどうお考えになるか一応お伺いいたしたい。
  21. 浅井清

    浅井政府委員 お答えを申し上げますが、人事院罷業権団体協約締結権のない公務員のことを考えまして、勧告をいたしました以上、その実現に力を尽すということは当然の話でございます。ただ過去における事実といたしましては、人事院勧告の線まで常にベース・アツプがなされたという事実がないことは、まことに遺憾に思つておりまするが、ただ問題は、人事院勧告をいたしまする場合は、財政上のことは考えていないのであります。従いましてその人事院勧告をいたしまする数字が、財政上支出が可能であるかという判断は、国会内閣とにおまかせをしておるようになつております。またそれが人事院勧告の本質であろうかと思つておりますので、そういう財政上の考慮まではいたしません。従いまして人事院勧告財政上支出不可能であるというように国会が御判断になりますれば、それはやむを得ないことであろうと思つております。
  22. 加賀田進

    加賀田委員 現在の仮定の説明だと思うのです。しかしながらこうした重大な使命を持つ人事院勧告というものが、政府によつていつも無視されているという状態において、人事院自体として今申し上げたような単なる調査あるいは資料国会並びに政府へ提出するという機関に実質的な性格がとどまつておるということに対して、人事院としてはどうお考えになるか。
  23. 浅井清

    浅井政府委員 単に調査資料国会及び内閣に提出するということが、人事院勧告ではございません。一度人事院勧告が発表されますと、それは非常に大きな権威を持つて世間から見られ、賃金水準一つの輿論というものをつくる力は持つておるように考えております。現にこの国会におきましても、人事院給与ベースというものは、単に一片の紙上に記されてある数字ではなくして、生きた政治の問題として取上げられておるように思つており事から、われわれとしてはその意味実現を期しておる次第でございまして、単にこれは調査の書類とはわれわれは考えておりません。
  24. 加賀田進

    加賀田委員 もちろんそうあるべきだと私も思うのであります。今大きな権威のあるものという御説がありましたが、われわれとしても大きな権威があると信じているわけであります。しかしこうした大きな権威のある人事院勧告を、実質的に政府が、今申し上げたような調査あるいは資料提出機関にとどめている、この事態を人事院はどう考えておるかという問題であつて、今総裁から説明のあつたように、人事院としては一個の機関として大きな権威を持つた機関であるということを信じております。またそうでなくてはならないとわれわれは考えおりますが、そのこと自体、実質的に権威があり、あるいは国会に対しても政府に対しても重大なる任務を持つという考え方を持つているにもかかわらず、政府が絶えずそのことを無視しているということに対して、人事院としてはどう考えるかという意味であります。機構そのものに対しては、われわれもよく了解し、そうでなくてはならないと考えているものであります。
  25. 浅井清

    浅井政府委員 私ども立場から、政府のいたしましたことに対して、この席上で批判をいたすことはちよつとできかねると思つております。
  26. 加賀田進

    加賀田委員 今申し上げたように、人事院自体が大きな権威を持ち、しかも罷業権を持たない公務員労働条件あるいはその生活を絶えず擁護して、国家行政に寄与するという基本的な考え方を持つているにかかわらず、政府としてそれらの重大な権威を持つ人事院勧告を絶えず一蹴しているということに対する政府の御見解を一応お伺いしたい。
  27. 菅野義丸

    菅野政府委員 政府見解と申しまするか、それに対しての私ども意見を申し上げさせていただきます。私は人事院使命は単に勧告ばかりではなく、その他いろいろの点において公務員利益を擁護し、国家公務員法第一条に掲げたような目的に向つて非常な努力されておるということを承知いたしております。従いまして勧告だけの点ではないと思うのでございますが、かりに給与の改善の勧告限つてそれについて考えてみましても、政府勧告と違う意見を持つて、そして別の案を出したからといつて人事院使命に少しも私は影響するものではないと信ずるのであります。ということは、人事院といたしましては自分の方が最善と考え勧告を出すのでありますから、これはもちろんその実現を期して努力せられておりまするし、また当然なことでありまするが、しばしばお答え申し上げますように、人事院勧告国家公務員という立場だけを考えて、そして国家公務員給与はかくあるべきものであるという数字勧告として出して来るのであります。しかしながら政府はこれに対しまして財政その他国民全般の問題、たとえば農民であるとか、あるいは中小企業者の問題とか、その他外交、文化すべての問題を考慮に入れまして、国家公務員給与はこれが今日の情勢下においては妥当であろうという案を出して来るのでありまして、そのために人事院勧告が十分には実現せられなくても、決してその勧告の価値を上下させるものではない、こういうふうに感じておる次第でございます。  それからただいまのお話を伺つておりますると、政府というものが非常に大きく取扱われておるように感ずるのでございますが、旧憲法下の天皇の統治権補佐機関としての政府ならいざ知らず、今日の主権在民日本国憲法のもとにおける政府というものは、国権最高機関であるところの国会の信任に基いてその下に立つ機関でございます。従いまして政府がどういう案を出して来ましようとも、最後はこれは国権最高機関であるところの国会がきめるのでございまして、政府人事院勧告を受けまして、各般の要素を考慮に入れて、不幸にして今日の状態においては人事院勧告案を百パーセント実施に移すのは妥当でないという信念のもとに出すのでございますから、そのいずれを是としいずれを非とするかということについては、これは国権最高機関であり、主権の具体化した国会にきめていただく、かように考えておる次第であります。
  28. 加賀田進

    加賀田委員 もちろん国会最高決議機関であつて、たとい政府人事院勧告違つた案を出されても国会において決定される。われわれもまたそうしなくてはならないと思つて質問しているわけなんです。ただもし国会においてすべて問題が決定されるという安易な考え方、いわゆる技術的ないろいろな情勢の中で安易な考え方を持つておるとすれば、結局政府としてはこの重大な権威を持つ人事院勧告案そのものを採用すれば私はいいのじやないかと思います。しかしながら今申し上げたように、国家公務員が実際問題としてみずからの行動と力と実践によつて労働条件を獲得できないという、こういう現状をカバーする上に立つて設けられた人事院勧告というものを、単なる財政上質金上という問題の上に立つて政府がいつも修正されて行くというならば、憲法の二十八条に保障された勤労者労働権というものは、まつたく無視されているというこういう現状従つて政府としては財政上質金上いろいろな点を勘案れているだろうとは思いまするが、まずそういう問題を勘案する上に立つて国家行政を担当して、国民生活安定というものの上に立つて、いろいろ努力しなければならない。国家公務員の、しかも罷業権を持たないこの労働者生活を擁護するというためには、どうしても人事院勧告というものが最高のものでなくてはならないと私は考えておる次第でございます。そういう意味で、私は人事院自体においても今申し上げたような大きな権威を持つという自信を持つて政府自体もその人事院の持つ意思に従つて今後十分考慮していただきたい。かように希望を申し上げまして、私の質問を終る次第であります。
  29. 小松幹

    小松委員 本日ここにおられる政府委員は、内閣そのものを代表するかどうか。それについてまず御答弁を願いたい。
  30. 菅野義丸

    菅野政府委員 私もちろん政府委員の一人といたしまして政府を代表して参つております。
  31. 小松幹

    小松委員 本日も先ほどの質問者あるいは過般の人事委員会質問に多く出た点において、政府当局財政人事院勧告をのめないのだ、こうおつしやつたが、一体財政上とは何をさすのか、詳細に説明していただきたい。
  32. 菅野義丸

    菅野政府委員 具体的に申し上げますと、予算委員会の問題になりまするが、一定の歳入に対しまして歳出をもとにこの経費を分配して参るのでございます。従いまして具体的に申しますると、歳入を歳出に充てる部分といたしまして、公務員給与にはこれ以上の予算を出すということは困難である、こういうふうにおとりになつてさしつかえないと思う次第でございます。
  33. 小松幹

    小松委員 公務員給与はこれ以上出せないということはどういうことかはつきりわからないのです。それは人事院勧告以下が適当だからこれ以上出せないというのか。それとも財源の捻出の場所がないからさように言うのか。
  34. 菅野義丸

    菅野政府委員 しばしば申し上げているように、人事院勧告は、これは財政さえ許せばそのまま実施するのが理想の形であります。また政府もその時期の一日も早からんことを祈つておる次第でございまするが、今日の国家財政の見地からいいますると、今日の財政は必ずしもゆたかではございません。この程度の財政で行く上におきましても、まだ税金が高いという声は国民の輿論になつているのであります。従いまして政府は平年度において一千億の減税を標傍いたしまして、本年度におきましてもその一部を実施いたすのでございますが、そういうふうに歳入の点についてはますくこれを縮小して行かなければならない。そういう場合におきまして人事院勧告を十分に実施いたしますためには、一般公務員ばかりでなく、あるいはそれとの振り合いを保つておるところの公社の職員給与あるいは地方公務員給与、あるいは特別職給与、非常な莫大の予算を必要とするばかりでなく、ひいては鉄道運賃、郵便料金電話料金の値上げだとか、そういういろいろなものに関係をいたして参りまして、財政規模を拡大するおそれがございまするので、今日の状態におきましては、遺憾ながら勧告を下まわる数字でもつてがまんしていただかなければならぬ、こういうふうに結論を出した次第でございます。
  35. 小松幹

    小松委員 財政規模を拡大しないで、収入の捻出場所はないとおつしやるのか、それとも出せないとおつしやるのか、そこをはつきりしていただきたい。
  36. 菅野義丸

    菅野政府委員 財政規模をいかに縮小いたしましても、現在平年度において数千億の歳出をいたすのでございまするから、これはまつ先にすべての歳出に優先して、人事院勧告をそのまま採用した所要の経費をとれば、経費において不可能ということはあり得ないと思います。しかしながら、そういうことをすることが、その他の部門の全体のバランスの上においていいかどうかということは、これは予算の問題でありまして、政府は今回提出いたしました補正予算並びに本年度の本予算の上に示しておるところの給与の額が今日のところにおきましては、精一ぱいの数字である。こういうふうに考えておる次第でございます。
  37. 小松幹

    小松委員 歳入の財源がないとおつしやるのかどうかという点を聞きたい。
  38. 菅野義丸

    菅野政府委員 歳入の財源というのは、税金を増せば幾らでもあるのでございまするし、また税金を増さなくても、先ほど申しました通り、公務員給与だけを優先的にとれば財源は十分ございます。
  39. 小松幹

    小松委員 余剰財源はないのか、政府にそれをひとまず聞きたい。
  40. 菅野義丸

    菅野政府委員 これは申し上げるまでもないと思うのでありまするが、公務員給与というような、こういう性質の歳出は、かりに一年度余剰財源がありましても、これは次の年度には相当響く歳出でございます。従いまして、かりに本年度内の財源があるといたしましても、これは来年度の本予算との関係を考えないと、なかなか支出を決意するまでには至らない場合がしばしばあるのでございます。
  41. 小松幹

    小松委員 私はあるのかないのか質問したのであります。あるとするならばとか、仮定の問題を聞いておるのではない。あるのかないのかということをお聞きしておる
  42. 岸本晋

    岸本政府委員 何が剰余財源であるか、これは非常にむずかしいことになろうかと存じますが、現在政府考えておりますのは、つまり恒久的なこうした給与ベース改訂に充てるような財源は今のところ考えられない。来年度のいろいろな、たとえ軍人恩給でございますとか、その他の需要も考えてみますると、現在の段階においては余剰財源と目すべきものは考えられな
  43. 小松幹

    小松委員 考えられないとかいうことを聞いているのじやない。あるのかないのか。使わない金があるのかないのかということを聞いておる。考えられないとか、未来的な問題を聞いておるのではない。そこのところをひとつ……。
  44. 岸本晋

    岸本政府委員 これはやはり考え方 の相違であろうと存じます。現在の段階では剰余金はない、かように考えております。
  45. 小松幹

    小松委員 ないということは見つけないということに帰一するのであるが、安全保障費五百五十一億は財源として宙に浮いた金が残つておるということを予算委員会でもはつきり聞いておる。この点は、はつきりあるのかな、いのか。
  46. 岸本晋

    岸本政府委員 安全保障諸費五百数十億でありますが、そのうち一部は現実に使用いたしまして、現実に使用しない金がまだあることは事実でございます。しかしながら、この金もほとんど将来において支出する見通しがついておる。これだけは出さなければならぬという、何と申しますか、ひもつきの何がございます。その意味における余剰というものはないと思います。
  47. 小松幹

    小松委員 余つておる金が五百数十億あつて、ひもつきがあるというのは、どういうひもつきがあるのか。私の聞く範囲では、ひものつかない余剰財源として使い残しがあるということを聞いておる。その点明確にしてもらいたい。
  48. 岸本晋

    岸本政府委員 安全保障諸費の内訳につきましては、予算委員会の方で詳細な数字が出ております。ただいま私ここに持合せがございませんが、今まじの使い残しが、たしか二、三百億またあつたと存じますが、その金はすべて一応使途が明らかになつておるという金でございます。
  49. 小松幹

    小松委員 使途が明らかになつておれば、どういう使途か、はつきりさせしいただきたい。これは予算委員、会に周く問題だと思うが、この内閣を代表して――私が質問することは、結局予昇委員会であろうが、人事委員会であつうが、つまるところは、人事院勧告ベースがのめるかのめないかということについて、政府は一貫して当初から財政上々々々といつておる点において、私は遂にこの質問をせざるを得ない段階になつた。
  50. 岸本晋

    岸本政府委員 ただいまここに資料の持合せがございませんので、取寄せましてまた御説明申し上げます。
  51. 小松幹

    小松委員 余剰財源の数はわからないとしても、あるという観点によつて、そういう宙に浮いた金が――今は一つの例をとつてみたが、平和関係処理費もまだ五十億は確実に――本年の三月までの使用分を引いても、なおかつ五十億は余るわけであります。そういう余剰財源があつて、しかも大蔵省としては何百億という厖大な金を貯蓄しておいて、財源がないとおつしやるところが私はわからない。この点について、もう少し詳細に内閣を代表したところの御意見を伺いたい。
  52. 菅野義丸

    菅野政府委員 私は予算の専門家でございませんので、お答えになるかならぬかわかりませんが、先ほども申しました通り、ただいま資料を持つて参りましてお答えいたしますが、剰余金というものは、たいてい毎年生じまして、翌年度の歳入に繰入れるのが通常でございますが、こういう剰余金がありまして本年度の実施についてさしつかえないという見通しがつきましても、これはやはりその次の二十八年度の本予算のことも考えて、採否を決定しなければならないのでございまして、その見通しがつかない以上は、勧告数字をそのままのむということは、非常に困難になつて来る次第であります。
  53. 小松幹

    小松委員 それでは政府財政人事院勧告はのめないという御意見は、まことに架空なものになつて来そうである。片一方は金をためておいて、しかもベース改訂をして人事院勧告を全部のんでも五百億足らずである。ところがここに別個に、合計一千億に近い金が余剰財源として考えられる。まず安全保障費の五百五十一億というものは、来年の三月までの運転費を差引いても、なおかつそれだけは残る、あるいは平和関係処理費でも五十億は完全に残る。かような残り財源を残しながら、人事院勧告をのめないという点について内閣を代表してのさらに詳細な御意見を伺いたい。
  54. 菅野義丸

    菅野政府委員 もし小松委員に、政府が財源の都合だけでこの勧告を百パーセント実施できなかつたというふうにおとりになるような説明を私がしたのならば、私の方で言葉が足りなかつたのでございまして、私は常に財の点も考慮し、その他百般の点を考慮して、この案にきめたというふうに申し上げておつたつもりでございます。もちろん、財源ということは、決して軽視できないものでございまして、これは財政全般でございますから、財源もその一つでございましようし、そういう支出を給与にやることによつて財政上の及ぼす影響ということを考えなければならないのでございます。のみならず、財政ばかりでなく、国民全般生活の安定であるとか、あるいは中小企業、農民の声であるとか、そういうようなものと比較考量しまして、この点が妥当ではないかというふうに考えた次第でございまして、もしもつばら財源の点であるというふうに、おとりになれるような説明でございましたならば、私の本意とするところでないことを御承知願います。
  55. 小松幹

    小松委員 聞き方が悪いかしらないが、過去において幾回用いても、政府当局は財源という一点張りにおいて、今日まで答弁を続けて来た。今初めて私は財源そのほか万般ということを聞いたわけなんです。そのほか万般のことをもう少し具体的に数字をあげて説明して、人事院勧告はのめないということを、国民は公表する数字があつたら示していただきたい。
  56. 菅野義丸

    菅野政府委員 それではその理由を申し上げます。御承知のように、人事院が八月になされました勧告は、二級三号の理論生計費においては四千七百円という数字をとつております。それを基準にいたしまして、七十号までは、人事院が実績を調査いたしました大きい企業の同じような種類の、同じような仕事を持つて、同じような責任を持つておる人が受ける給与をもとにいたしまして、それと国家公務員給与とまつたく同じにしたのが勧告でございます。しかるに政府の方の考え方は、昨年の十月に国会の御審議を得まして通りました現在の給与法、これは当時の民間給与よりか隔たりがございました。隔たりがありましたけれども、昨年の十月から一万六十二円ベース実施しろというのは、これは主権者である国民のきめたことであります。国会のきめたことでございます。そこでそれを基準として考えてみますると、昨年の十月から今日までの推移を見ますると、民間の給与は定期給与にして一八%、総計にして二〇%あまりの値上りをいたしております。そこで政府はそれと同じ値上りは公務員に認めなければならないというのでもつて、今回二〇%の値上げをしたのでございますけれども、実際の物価の値上りというものはCPIにおいて一・五%、CPSにおいて八・三%という値上りでございまして、すなわち物価騰貴をカバーするだけの給与ではないのでございます。民間給与が昨年の十月に現在のベースなつたときから今日に至るまでの間に上つた、その上つた率だけは国家公務員も上げてやろう、こういうのが今度の案でございます。そのいずれがいいかということになるのでございまして、昨年の十月にも民間給与とは多少の隔たりがございました。今回もその隔たりを残すか、あるいは一挙に民間給与と同じにするかという点に帰すると思うのであります。政府は一挙にここでもつて民間給与とまつたく同じにする、すなわち勧告をそのままのむということは、今日の財政状況、または農民、中小企業の現実の状態、その他公務員以外の政府職員給与に及ぼす影響、ひいては郵便、電信電話あるいは鉄道の料金、運賃というようなものに及ぼす影響等を考えまして、今回の案を出したような次第であります。
  57. 小松幹

    小松委員 そうすると民間給与の平均は人事院勧告案だ、しかして政府はそれより下まわつた案を出しておるのだ、その理由は財政上と、こう来るわけなんです。それだから私は財政上なぜ出せないのか、予算上財源はあるじやないかと言つておるわけなんです。ところが財政上その他というから、その他というのをもう少しはつきり聞きたい。
  58. 菅野義丸

    菅野政府委員 その他と申し上げましたのは、今言いましたように、中小企業の現状並びに農民の状態等から考えましても、公務員が今ただちに大企業であるところの民間給与と同じにするということは、これは言いかえれば民間の給与の値上り以上に上ることであります。元が少いと言えばそれまででございまするが、民間給与の値上り以上に上るということは、国民立場から、つまりその財源を支出して税金を出しておる国民立場から考えていかがなものか、こういう点を考慮したという意味でございます。
  59. 小松幹

    小松委員 どうも政府答弁はつきりしないのですが、民間給与と同じにできないという理由は、財政上その他の理由、こう言つたのです。財政上については一応答弁があつたから、その他の理由で人事院勧告の民間給与並に出せないというのを、抽象的に私は聞いているのではないのです。数をもつてあなたが出した以上は、民間給与がこうだからこういう数字をとつたのだということを、中小企業、農民というけれども、中小企業、農民そのものにどういう数字を当てはめて出したデータに基いて、そういうことをおつしやつておるかを聞きたい。
  60. 菅野義丸

    菅野政府委員 数字と申しますと、これはちよつと私の方でもお答えできかねるのでございますが、換言すれば、人事院が実績調査をやりました大企業の職員が受けておる給与にまつたく同じにするということが、はたして国民全般生活程度からしていいかどうか。つまり中小企業の従事員であるとか、あるいは農民というものは、決して現在この人事院が、それと同じにしろというその民間給与ほどとつておらない、こういうふうに考える次第でございます。もちろん財政の余裕さえあれば、これは民間給与と同じ給与にするということは理想の形でございまするが、今日の状態においては、先ほどから申し上げました通り、国家財政もさほどゆたかではございませんし、また国民全般生活程度、すなわち大企業の従事員ばかりでなく、中小企業や農民の生活程度がそれほどまでに上つておるかどうか、すなわち国家公務員が民間給与と同じ額の給与を受けるということを国民が承知してくれるかどうか、こういう点でございます。
  61. 小松幹

    小松委員 派生的に質問を転じますけれども人事院勧告案は民間給与ベースを一給与の平均値をとつて云々という問題は、はたして人事院は大企業のみをとつて当然これを出しておるの、だろうか。
  62. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 大企業とかあるいは中小企業とか抽象的に言いましても、なかなかこれはらちがあかないというふうに思うのです。ある場合には人事院は大企業をとつておるというふうにも言われまするし、またある場合には規模のとり方が少し低いのではなかろうかということも言われております。いろいろ御批判もあるようでございまするが、われわれといたしましては、大体企業形態の形のそろつた、いわゆる人事管理が正常に行われておるであろうというような企業を対象にいたしまして、おおむね事業場の規模百人というようなところを、一応の目安にいたしておる次第でございます。
  63. 小松幹

    小松委員 では内閣説明する、人事院は大企業のみをとつて云々ということは誤りだと思うのであります。それでは一体中小企業の平均ベースを云云ということは、どういうように考えておるのか、もう少し具体的に……。
  64. 菅野義丸

    菅野政府委員 数字的に申し上げることができないのは残念でございますが、かりに百人くらいの職場を持つておる企業以上のものをとつたという今の説明を根拠にいたしましても、国家公務員は、これは最も大きな企業でございますから、大企業と比べるのは当然でございまして、その点に対して私どもの方で不足を言うのではないのでございます。しかしながら実際に三人、五人、あるいは十人というようなわずかな人を使つておる企業はたくさんございます。しかもそれは現在中小企業問題として非常にやかましい問題になつているように、日本の国の産業の基礎でありながら、なかなか各種の関係でもつて、恵まれない生活をいたしておるのでございます。また米価の改訂をいたします場合、いつも問題になつている次第でございまするが、農民その他の農村の生活というものも、決してゆたかではないわけであります。またもう一つ、何がゆえにこの民間の給与と同じにしないかという一つの理由にはなるとは思いまするが、国家公務員には御承知の通り恩給という制度がございます。また現在のような経営不安というか、労働不安というか、こういうような状態におきましては、国家に使われておるということは非常な安心感を持ち、またほかの労務者からは非常に羨望の的になる安定感がございます。また共済組合その他の厚生施設も、国家は相当な出費をいたしまして整つておるつもりでございます。そういうような点を考えてみますると、かりに百人以上のところをとつたといたしましても、そういう民間給与とまつたく同じにするということが、今日の状態においてはたしていいかどうか、こういう点を考慮したような次第であります。
  65. 小松幹

    小松委員 民間給与のとり方のいかんによつては、私はさようなことも一部面としては言い得ると思う。ところが民間給与のとり方では、より以上の給与を出す、しかも保険もあり、失業保険までもついておる中小企業はたくさんある。だから、共済組合だの云々ということは、一つの言いのがれにすぎない論理であつて、われわれには失業保険がついていないじやないか、こういうことを公務員は言うだろうと思う。だからそういう派生的な問題ではなくて、さらに御質問するならば、どうして国家は国家公務員なり、あるいは自分の使用している公務員を、中小企業にも及ばないところの民間給与の水準に、財源がありながら、そこにすえねば悪いのかということを聞きたい。財源がないとおつしやるけれども、私はあるという観点質問しておるわけです。
  66. 菅野義丸

    菅野政府委員 ただいまの御質問に、中小企業にも及ばない給与というふうに仰せられたのでございまするが、そこはちよつと私違うように思うのでございます。国家公務員給与をきめる場合の実績調査の報告、人事院資料を拝見いたしましても、国家公務員と同じような種類の仕事と、それから責任を持つた人を比べるのでございまして、いわゆる中小企業にそういうような人たちがたくさんおるはずはないのでございます。従いましてこれは必然的に、大企業という名前にはふさわしくないかもしれませんけれども、ある程度の組織化した企業でなければ例にとれないということは、だれしもわかることであると思うのでございます。従いまして、その給与とにらみ合せるということが、中小企業にも及ばないということにはならぬと私は思います。しかも昨年の十月において現在のベースなつたときも、やはり民間の給与よりある程度下まわつておつた。今回もまた非常に接近はして来ております。わずか七百円か八百円のことでございまするが、接近はして来ておりますけれども、まつたく同じ額ではないということにいたした次第でございます。
  67. 小松幹

    小松委員 財源でもない、その他万般の中に中小企業が出て来たのですが、先ほど農民云々という問題が出て来たので、抽象的に、第三者的に聞けば、まことに納得するような言葉だと思うが、一体農民の労働賃金を何ぼに見積つたから、国家公務員の労働賃金をこれだけにしなければならぬと対比的におつしやつているのか、それを承りたい。ただ農民の問題、中小企業の問題と、抽象的にこの国家公務員ベースを言われたのでは、はなはだ納得ができない。一体農民の労働賃金を幾らに見積つたか。
  68. 菅野義丸

    菅野政府委員 私今数字を持ち合しておりませんから、はつきり数字で申し上げられませんが、現在のパリテイ計算によりますと、農民の一時間なり一日当りの賃金というものは非常に低いように記憶しております。数字お答えできないのは残念に思います。
  69. 小松幹

    小松委員 私の知る範囲では、農民の労働賃金はゼロになつていると思う。原価計算だけが七千五百円である。労働賃金を加えれば一万十四円という計算が出ている。これはだれもが、使う数字で、原価計算に――パリテイ計算でもけつこうでしようが、農業の労働賃金を加えれば一万十四円になる。ところがこの労働賃金は見ていない。政府が農民の賃金と国家公務員の賃金を天びんにかけて云々して、政府答弁だと言つていることが抽象的だ、私はこう言つているわけです。そういう抽象的なことではごまかせないことである。そうであつたならば、農民はゼロなんです。ゼロと一万幾らの賃金の開きは、どういうふうに政府は一考えているか。
  70. 菅野義丸

    菅野政府委員 これは私は農民の給与と比べてという意味ではないのでありまして、農民の生活程度あるいは国家公務員生活程度というものは、国民に奉仕する公僕としてはあわせ考えなければならぬと思うのでありますが、農民の給与国家公務員給与とをただちに比較するということは、雇用関係その他まつたく性質の違うものでございますから、不可能であると存ずる次第でございます。
  71. 小松幹

    小松委員 それはあなたが御答弁になるそもそもの根底が、不可能だということはわかつている。その不可能ということをあなたが可能ならしめる答弁に立つているから、そういう最終的には不可能に追い込まれるのだ。農民の生活国家公務員生活とは、農民の生活の方が、悪いというような御答弁である。はたしてどういう資料によつて、農民の生活国家公務員生活より悪いとおつしやるか。国家公務員にしても数ある。あなたのような国家公務員ならば、農民よりも高いと思う。ところが農民にもピンからキリまである。同時に国家公務員にもピンからキリまである。そうしたときに、一体どことどこを比べて、農民の生活よりも国家公務員が優位だとおつしやるか、その点についてはつきりお答え願いたい。     〔委員長退席、森(三)委員長代理    着席〕
  72. 菅野義丸

    菅野政府委員 これを数字的にこれだけの額であろということは言えませんが、しかし現在の国家公務員生活程度と、一般的に考えた農民の生活程度と比べまして、決して現在の国家公務員生活が非常に低いというふうには私は考えておりません。これを数字的に説明しろといいますれば、ただちに今お答えできないのは残念でございますが、そういうふうに考えております。
  73. 小松幹

    小松委員 そういう考え方は論拠のない考え方であると私は思う。国家公務員は農民よりも低い生活だという人もあるわけです。同時に現実態を見たならば、国家公務員あるいは地方公務員で農家以下の生活に追われている人もある。片一方の農家は米飯を食う。あるいはそれぞれの労働力においては違うかもしれな、しかし生活程度においては、高い人もあるだろうが、低い人もある。それを考えたならば、東京のここで四千幾らしかとつていない国家公務員が、あながち農民の生活より高いとは言い得ないわけです。それを抽象的にあなたができ得るというのは、どんな論拠をもつて言い得るか。ただあなたの内閣代表としての一つの勘でおつしやつているのか、勘でない、数字を持つているのか、勘で国政を担当しているのか、その辺をはつきりお答え願いたい。
  74. 菅野義丸

    菅野政府委員 東京で四千幾らというのはどういう数字かよくわかりませんが、こういう特殊な例を出しますと、これはいろいろ義強わかれると思いますが、平均いたしまして国家公務員給与は、このたびの法律が通れば一万二千八百二十円であります。農民の労賃、あるいは収入支出を計算いたしましてこれを現金換算いたした場合に、はたして平均が一万二千八百二十円になるかどうか、その点は私は疑問があると思う次第であります。
  75. 小松幹

    小松委員 だから私は特殊な例をとつて申しているわけじやない。国家公務員給与の算定のときに、財政その他万般という中に農民というのが出たから、これを追究しただけで、そうならば、結局そういう問題についてはまことに勘に等しいものの考え方でやつている。終局的には国家財政という点におちつくと私は聞いたのだが、その通りだとおつしやるか、おつしやらぬか。
  76. 菅野義丸

    菅野政府委員 国家財政が非常に重大な考慮すべき要素であることは、私がしばしば申し上げておる通りであります。しかしながら、これもまたしばしば申し上げますが、国家財政と申しましても、たとえば先ほども例に申し上げましたが、物価騰貴をカバーする賃金というものは、いかなるものにも優先して行かなければならぬと思います。従いまして、要するに財政という問題も、ある限度に行きますれば、これはあらゆるものに優先して考慮しなければならぬというところになると思います。私がしばしばお答え申し上げました通り、今回の給与ベースの改訂は、決して物価騰貴をカバーするという意味ではないのでございまして、民間給与の値上りと同じ率を上げるというのでございますから、実質賃金は二四%くらいに上るのでございます。そういう意味給与改訂であるということを申し上げ、そういう意味において財政考慮した、こういう意味であります。
  77. 小松幹

    小松委員 どうもいつまでたつても尽きないと思いますので、副長官に最終的に御質問するが、余つた金をここに貯蔵しておくよりも、現実に国家公務員生活苦を訴えておるのに処して、民生安定なり、あるいは労働問題でもかまいませんが、あらゆる大きい観点の政治情勢として、その余つた金を使う意思はないか、あるか。
  78. 菅野義丸

    菅野政府委員 財源の点につきましては、ただいま大蔵省の方で資料を取寄せましたから、その点について数字をもつてお答え申し上げますが、ただいまの御質問に対してお答え申しますと、国家公務員給与が今日の状態におきまして十分であるとは政府考えておりません。いわんや人事院勧告が出ておりまして、これは先ほどからしばしば申し上げております通り、本来ならばそのまま実施いたしたいのであります。従つて余つた金があれば一銭でも多く出して、公務員給与の肇覆いたい心はやまくであります。しかしながら私どもの方ではいわゆる余つた金というものはないと信じておりますが、かりにありましても、これは本年度のことでございまして、先ほどからしばしば申し上げました通り、やはり来年度の本予算、その後の財政状況というようなものを考えてやりませんと、国家財政によつて日本の産業等に悪影響を及ぼしては困るのでございまして、そういういろいろな点を考えておる次第でございます。
  79. 小松幹

    小松委員 そうおつしやれば変なことになつて来そうなのですが、あなたたちは予算を組むときに、款なり項なりは二年越しの予算を組む。そうしてある一部では補正予算を組み、ある一部では残つたものを来年のためにまわすという予算編成方針をとつておるのか、この点を再度お伺いいたします。
  80. 菅野義丸

    菅野政府委員 今まではたいてい十五箇月予算というようなことを申します。補正予算を出しますときには、必ずその次の本予算のことは頭に置いて考えるのが普通の状態でございまして、今日のような状況におきましては、長期の予算考えるということはなかなかむずかしいのでございますが、年末近くになりますと、来年度の本予算のことを頭において補正予算をつくるのが普通の状態でございます。
  81. 小松幹

    小松委員 それでは昭和二十七年の予算は、ある面においては二箇年、二十四箇月予算を組んで、ある面においては一箇年予算補正をするというように、そういうちぐはぐな予算を編成したというようにとつてよろしいか。
  82. 岸本晋

    岸本政府委員 そういつた意味のちぐはぐということではないのでございまして、予算性格によりまして、後年度に大きく響くような経費につきまして、やはり先のことを考え、一年度限りで終る経費は翌年に及ぼす必要はない。そういう意味で長官からお答えいたしたものと思います。
  83. 小松幹

    小松委員 そうすれば、安全保障諸費は何年間継続の予算編成方針をとつておるか。
  84. 岸本晋

    岸本政府委員 安全保障諸費は、申し上げるまでもなく、今回の講和発効によりまして、米軍が都市周辺からしりぞくための移転に必要な経費が主なんでございます。従いましてこれは移転が完了すればなくなる筋の経費でございます。
  85. 小松幹

    小松委員 それでは一般会計にしないで、これを特別会計にする意思はないのか。私はそういう観点ならば特別会計にしたらいいと思う。
  86. 岸本晋

    岸本政府委員 一般会計にするか、特別会計にするか、これはむしろ事務的な問題でいろいろ問題もあろうかと存じますが、大体本年度内に安全保障諸費の支出も終る、つまり移転も日本政府としてはできるだけ早く完了してもらうという意味で、本年度は一般会計で計上いたしておる次第であります。
  87. 小松幹

    小松委員 そこで占領軍が撤退して帰るのは、二十年先かどうかわからぬという意味予算編成をしておるとおつしやるならば、それは明らかに特別会計で持つて来ればいいと思う。ところがそう言うと、それは年度内に使つてしまう予算だから、一般会計で入れたんだという。私はおそらく後者が意見が正しいのだと思う。それならば出すべきだと思うのだが、一般会計にすべき性質のものか、特別会計にすべきものか、はつきりおつしやつていただきたい。
  88. 岸本晋

    岸本政府委員 特別会計は、その収入支出を特別に区分して明確に計上する必要がある、たとえば今までの電通でありますとか、郵政のような企業会計的なものが主でございます。あるいはその料金収入によつて大体自給自足して行く国立病院とか造幣廠、印刷局、こうしたものが主眼でございまして、財源を一般国民の負担である租税に求めるというようなものは、やはり一般会計で行くのが筋ではなかろうかと考えております。
  89. 小松幹

    小松委員 一般会計の性質ならば、本年においてそれが通常のいわゆる繰越金程度の余剰財源ならば、それは最終的に予算、決算をしまいあげてから残つて行く余剰財源というものなら、一般予算という性質でありましようが、もう年も三分の二を越え、なおかつ五百億、さらに五十億、百億と残つているこの金を、さらに来年度まで続くのだという観点で、一般会計に置いておくそのことがおかしいと思う。一般会計に置いたならば、国民が塗炭の苦しみにあるときに、この一般会計五百億の中の四百億をまわすということは、財政法上何ら違法ではないと思うが、その点についてむりやりに来年度にまわすという方針がさらに承りたい。
  90. 岸本晋

    岸本政府委員 安全保障諸費が、今まで使い切つた経過済みのもの以外は、未来永劫にいらないというものでございましたら、確かにお説のような説になろうかと存じますが、当初予算に計上いたしました五百六十億は半分は経過済みでございます。あとは目下米軍との交渉中で、いずれ使途がはつきりいたすものでございます。ただ移転先の問題なんかで、まだ話が具体的にきまつていないという程度のものでございます。従いましてこの五百六十億は将来支出済みになる、つまりそれだけ一般国民にどうしても五百六十億は負担していただかなければならないという金でございます。これをかりに本年度内に使い切りましても、来年度の負担として新たに出て来るわけであります。この点は一つ御了承願いたいと思います。
  91. 小松幹

    小松委員 だから安全保障諸費はやまかん勘定で予算に組んだのか、それともはつきりした計画支出というものがあつて組んでおるのか。これは補正のときに聞く筋のものではないでしようが、一応承つておく。
  92. 岸本晋

    岸本政府委員 これは先般の予算委員会で主計局長から詳細な御報告を申し上げたのでありますが、当初といたしましては、やはり一応の計画は立てて本予算には計上いたしたものであります。
  93. 小松幹

    小松委員 一応計画は立てて、それが今日まで計画通りに行つて大体余つた。それで余剰財源がはつきりしておる。アメリカのために使う金が余剰にあるならば、これを日本の国民を救うために出す意思はないのか、これをお伺いします。
  94. 岸本晋

    岸本政府委員 完全に余剰財源が出ておるとは考えておらないのでございます。ただ目下向うとの話合いをしておる最中でありますので、具体的にまだ計画が立つていないというだけのことでございます。
  95. 小松幹

    小松委員 それはおかしいと思う。向井大蔵大臣は予算委員会において安全保障諸費五百五十一億余つておるとはつきり言明しておるから、余つておるに間違いないと思つておる。
  96. 岸本晋

    岸本政府委員 それは実際に支出いたしましたのは四十五億円、従つて五百十億円見当でございます。これは余つておるといえば余つておるのでございますが、そのうち約二百六十億につきましては向うとの話合いがついて、大体こういう計画で支出しようというような見当のついておるものであります。残りの三百億程度の金については、さらに詳細な一話合いを続けておるという状態であります。
  97. 小松幹

    小松委員 今大体二百何十億出す、まだ三百億程度余るわけです。この余る費用をしいて政府は消費しようとしておるのかどうか、それを伺いたい。
  98. 岸本晋

    岸本政府委員 これはやはり米軍の移転に伴いまして必要でございまして、たとい本年度において余剰財源とみなして使いましても、翌年度においてはどうせいる金でございます。五百六十億の金はどうしても米軍の駐留地を移転するためにいる金である、かように考えておるわけです。
  99. 小松幹

    小松委員 来年度にいる金ならば、昭和二十八年度一般会計にとればいいのであつて、しいて補正予算に財源を求めて組んでおるところに私はおかしい点があると思う。それよりも今年度補正をするならば、やはり足らないところに持つて行くべきである。来年度あらためて安全保障諸費をとつて行けばいい。それでは来年はその費用はとらないとおつしやるのか。
  100. 岸本晋

    岸本政府委員 本年度の残つております三百億円程度繰越して参りますれば、来年度は当然いらないわけであります。
  101. 小松幹

    小松委員 一応その質問を終りますが、政府は余つた金を残しながら、しかもさらに隠し財源を持ちながら、財政的理由のもとに、国家公務員の要望を踏みにじつて、そうして人事院勧告案すらのまないで、他国のために来年度あるいは再来年と金を貯蔵しておるということを確認してよいかどうか。
  102. 菅野義丸

    菅野政府委員 政府の方ではそう考えておりません。見解の相違のようでございます。
  103. 小松幹

    小松委員 それでは一応内閣に対する質問を終りまして、小さい問題でありますが、地域給の問題について二、三人事院の方にお伺いします。  地域給は勧告人事院はなされたが、これは公正妥当なる地域給の判定であつたかどうか、これを率直にお答え願いたい。
  104. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 人事院といたしましては、できるだけの作業をいたしたつもりでございます。しかしながらこれはやはり見る方によりまして、御希望等もあることでございますから、御批判はあろうかというふうに考えております。     〔森(三)委員長代理退席、委員長   着席〕
  105. 小松幹

    小松委員 それでは人事院としては御批判の程度であつて、これで万全だというお考えですか。
  106. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 人事院といたしましてはできるだけの努力をいたしまして、人事院として最上の案をつくつたつもりでございます。
  107. 小松幹

    小松委員 これについては非常に均衡を失しておるという声もたくさんあると思うのです。本日この会にお見えになつておる方々の中にも、この地域給の問題について多くの希望を持つておられる方もあると思うのです。これらの全国にわたるアン・バランスを何とかしてもらいたいという希望に対して、人事院はどのようなお考えを持つておりますか。
  108. 浅井清

    浅井政府委員 お答えを申し上げます。地域給の問題はいろいろむずかしい問題があることはよく御了解願えると思うのでありますが、人事院といたしましては、昨日も給与局長から申し述べましたように、できるだけアン・バランスのないようにと思つて、相当大規模に地元の事情等もよく調査いたしまして、できるだけのことはいたしたつもりでございます。しかしながらこれは考え方の相違でありまして、アン・バランスがあるというように仰せになりますれば、それ以上議論はできないわけでございますが、給与法の規定によりますれば、人事院といたしましては常に地域給の問題を考えて、適当な勧告をしてその実現を期すようにという規定がありますから、それは将来といえどもそのつもりでやることにいたしておりまするが、私の見まするところでは、今回やりましたような大規模なものは将来あろうとは考えておりません。
  109. 小松幹

    小松委員 私は国民の輿望にこたえて再度勧告する、あるいはこれを是正したいという親心と申しますか、そうしたものがおありかどうかということをお尋ねしたのであります。
  110. 浅井清

    浅井政府委員 再度勧告すると仰せられまするのは、この国会中という意味でございまするか、それともまた将来の問題という意味でございましようか、将来という意味でございますれば、給与法の規定のある限り、それは将来是正するつもりでございます。それではこの国会中に再度勧告するかと申しますならば、それは建前といたしましては、すでに法律案の形式でこの国会に提案されておりまするから、この委員会において御自分で御修正になることができるであろうと思いますけれども、その間お話合いの上で適当に善処いたしたいと思つております。
  111. 小松幹

    小松委員 最後に内閣の方に伺います。人事院はそうした希望に対してやや親心を示しておられると私は感じたわけであります。まして国民を代表するわれわれといたしましては、それらの地域給改訂の要望にこたえて、国会において何とかしたいという熱烈なる希望を持つておるわけであります。これに対して政府当局は一体どのような御判断とお考え、あるいはこれは抽象的になるかもしれませんけれども、これら各地の多くの方々を代表して来られる人に対して、政府の親心はどの程度かということをお示し願いたい。
  112. 菅野義丸

    菅野政府委員 地域給の点につきましては、提案理由の説明のときに申し上げました通り、政府は実は人事院のごとき大規模な調査をする機関を持つておりません。従いまして地域給の地域区分につきましては、従来も、また今回も全部人事院勧告をそのまま法律案として出しておるような次第でございます。もちろん国会におきましては非常に古くから御熱心にこの地域給の点について御研究になつておられまするから、これを国会において御修正になつて場合におきましては、政府はそれを忠実に実行するということは申すまでもないことでございます。ただしかしこの地域給の問題はもちろん申すまでもないと思いまするが、一方において引下げるものと引上げるもののバランスをとらない場合におきましては、当然予算の変更が伴いますので、その方面とも御連絡の上御修正になりませんと、実施が困難になるのじやないかと思う次第であります。
  113. 小松幹

    小松委員 以上で質問を終ります。
  114. 有田二郎

    有田委員長 受田新吉君。
  115. 受田新吉

    ○受田委員 私から特別職職員給与に関して一、二お尋ねを申し上げてみたいと思います。一般職の質疑には相当時間をかけましたので、この特別職はごく限られた範囲でありますが、これまた重大な審査を必要とすると思いまするので、第一に人事院はこの特別職職員給与に関して、もし勧告の線に沿おうとしたならば、その総理の給与はどこまで行くように計算されるか、国務大臣の給与はどこへ行くようにされるか、これは一つ人事院勧告案の線に沿う給与体系として伺つておきたいと思います。
  116. 浅井清

    浅井政府委員 実は特別職の方は人事院の所管事項ではございませんので、従来ともその点については全然関係いたしておりません。従いましてただいまの御質疑のようなことは考えたこともないので、ちよつとこれは御答弁をいたしかねると存じます。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 人事院勧告の線に沿うとして、いかが考えられるかということであつて最高が今の八十二号俸をもつて六万九千円の政府案に対し、七万四千五百円の案を出しておられるのでありますが、この比率で行つて幾らになるかということをお尋ねしておるので、こういう給与体系の線から行つて、どこの線に総理の額を置くかということは給与体系から行つたならば、今の勧告に出された案で行くならば、体系としてはそういうものをお持ちになるべきじやないですか。そういうものが要望されないからやらないのでなしに、もしこの線で行くならば、総理はどういう線で行くべきであるか、もしそれがはつきりしないならば、政府の方は特別職人事院勧告の線など考えないで、特別職立場特別職の俸給がきまつたと言えるか、この点政府の方の考え方と合せてお伺いしたいのであります。
  118. 浅井清

    浅井政府委員 さようではございましようけれども、どうもわれわれ政府委員といたしまして所管外のことについて申し上げることはできないのでございます。これはひとつ内閣側からお聞きを願いたいと思います。
  119. 菅野義丸

    菅野政府委員 特別職給与は、これは一般職最高の通し番号の七十五のところの引上げ率、大体三五%くらいに当ると思いますが、これを基準にいたしたのでございます。これはもちろん政府案の数字でございますが、それによりまして、国務大臣、総理大臣等をきめたのでございまするが、ただしかし特別職と申しましても、祕書官であるとか、あるいは侍従であるとかいうような仕事をしている人もありますので、これはそういう率ではないのでございまして、二〇%くらいの引上げのものもございます。ただいま御質問のところは総理大臣であるとか、国務大臣の点であると思いまするので、これをもし人事院勧告一般職職員に適用した場合を考えまして、政府が計算したようなやり方でもつて参りますると、大体におきまして総理大臣が十二万円くらい、それから国務大臣が九万五千円くらいになります。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 大使、公使の給与についてここに等級があるのでありまするが、この大使や公使は外交官として日本政府を代表して外国で苦労しているわけでありますが、この間アメリカの大使の宅をワシントンで訪問した結果実情を確めたのでありますが、ちよつとお客が参つてもまことに粗末な菓子だけしか出していない。私も大使館へお伺いしたらもう少し優遇していただけるだろうと思つて行つたのですけれども、その説によると大使の俸給は非常に低いし、また別にこういうお客を招くための経費もない。外交的にも詰外国の大使、公使と比べてわれわれはかかる貧弱な待遇しかできないと言つた。タイとかあるいはそのほかの小さな国の接待の方が、はるかに独立国日本の在外公館と比べてりつぱな待遇をしてくれたのですが、これは国の威信に関する問題であつて、大使や公使の待遇をよくするということよりも、国の立場をはつきりさせるという意味から、在外公館に勤務する職員給与、そのほかの諸手当並びにこれらに対する諸経費というようなものは、一体日本政府としてはどういうふうに考えておられるのか。私は高額所得者の給与を引下げることに大いに賛意を表しておるのでありますが、こういう点についてはやはり国の体面という意味から大使、公使の給与額の俸給表が出ておりますが、これに関連してお尋ねを申し上げたいと思うのであります。     〔委員長退席、丹羽委員長代理着席〕
  121. 岸本晋

    岸本政府委員 特別職給与法案に出ております大使、公使の俸給は、これは大公使が向うにいて内地で受ける金であります。外国で受けます金は、在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律がありますから、その中の在勤俸できまつております。御質問の御趣意はその在勤俸の方が少し低過ぎるじやないかというお尋ねであろうと思います。在勤俸は昨年の暮れの国会でおきめいただいたのでありますが、当時といたしましてはまだ外交が再開されておらず、いわば盲の状態でございまして、昔の外交官の給与の比率とか、あるいは昔から今日に至りまする戦前、戦後を通じましての外国における為替相場、物価の変動、そうしたものを勘案いたしまして、一応の目安をつくつた在勤俸の金額でありますが、それがはたして実情に沿つているか沿わないか、これはやはり一、二年成行きを見まして、外務省の方の御相談にも応じて適当な金額に改める、これは考えているところでございます。ただ先ほどのもう一つの御質問でございますどれくらいの所要経費を見込んでいるかと申しますと、本年度の予算におきましては在勤俸に充てる金額といたしまして在外公館職員約二百三十名見当だと存じますが、ちよつと正確の記憶はございませんが、その見当の人員に対する予算といたしまして、約十億円計上いたしてございます。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 次に祕書官の号俸の階級が一号から八号あるわけでありますが、この祕書官の差等をどういう標準でつけておられるか、その最高と最低とを他の職のどれに振り当てる意味でこういう比率をつけられたのか、祕書官の職務内容と比較して同種の他の職種をあげて御説明いただきたいのであります。
  123. 岸本晋

    岸本政府委員 秘書官に八号俸ございますが、最低は大体一般の俸給表におきますと十級見当でございます。それから最高の八号俸は十四級のところをめどにおいたわけでございます。その間に六つの号俸を刻んでおります。これは祕書官についてもこの年限が来たならば昇給をさせようという意味で号俸を刻んであります。現実に一般職職員から祕書官になつて参ります場合に、どういう切りかえをやつているかと申しますと、現に一般職の現在の級、たとえば十級なら十級の立場において受けております俸給、扶養手当、勤務地手当あるいは超過勤務手当の平均的な点、そういうものを見込みましてそれを割らない程度の号俸に格付するということにいたしております。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 これは一般職の方に関係するのでありますが、法務府の局長などで、検事、判事というような任にあつて局長を兼ねている人があると思います。こういう場合の局長の級は検事、判事の方の俸給で計算するのか、局長の方で計算するのか、それに対してどういう意味でそのいずれかで計算するかの御答弁もあわせて承りたいのであります。
  125. 岸本晋

    岸本政府委員 検事につきましては一般職でございますので、これは人事院の方から御答弁があるかと存じますが、判事につきましては裁判官としての俸給を受けております。検察官につきましては権限外でございますが、現実を見ますと一般職の、たとえば法務府の局長、課長になりましても、検事としての高い俸給を受けておるのが現実のようでございます。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 その場合に局長であつて検事の俸給を受ける者があり、局長の俸給を受ける者があるという点について、局長としての同種間における職務の執行の場合に、双方の均衡を乱すおそれはないか、こういう点について検事が局長になつた場合には局長の給与を支給するのが原則としては正しいのではないか、実際において検事の職をとつていない、局長の職務をとつておる者が検事の俸給をとるというのは、筋が通らないのではないかということをちよつとお伺いしたいのであります。
  127. 岸本晋

    岸本政府委員 職務給の理論から申しますならば、まさに御指摘の通りでございまして、現在やつておる方法は明らかに正しくないものと存じます。ただこれは従来からの慣行でそういたしておりますので、今急に取消すというわけには参らないかと思います。ただ現実の問題といたしまして、判事、検事の俸給を受けておる局長と、一般の局長との給与の差が非常に大きいかと申しますと、それほどの開きはないんじやないかというように考えます。と申しますのは、これは個人によつて差はございますが、一般の局長には超過勤務手当が支給されますが、判検事には超過勤務手当が支給されない、これは俸給の中に入つております。従いましてそういう点を総合して考えますと、必ずしもそれほどひどい差は出てないんじやないだろうかと考えております。もう一つ、最近は判検事につきましても一般職職員の昇給の速度と申しますか、こういうものに応じまして適当な昇給表というものを制定いたしたのでございます。将来だんだんならされて行く方向に向うだろうと考えております。
  128. 受田新吉

    ○受田委員 給与の体系からいつて、職務内容からいつて、職階制をとろうとしておられる政府の方針からいつて、この職務に応じた給与というのが筋だと思うのです。少数といえどもそういう例外をつくることは、この職務内容と給与との体系を乱すことになるのであつて、実際において給与がそう違わないというような、そういう便宜的なものではこの問題は解決しない、いやしくも国家公務員立場に立つておる者にそういう例外をつくつて、慣行として認めておるというのは、どうもだらしがなくてしようがないと思うのでありますが、政府としてはもつとはつきりして局長には局長給、実際には検事ではない、そのときには局長としての職務を行つておるのであつて、検事の職務の執行をしておるわけではないのですから、この点について便宜的な措置ではなくて、筋を通すという意味で、政府側の態度をお伺いしたいのであります。この点今度管理職員に対する調整給与の問題なども改正案に出ておるのでありますが、そういう課長以上の融通のつく給与のやり方とこちや、こちやにして、いいかげんに取扱つておるということは、たといわずかであつてもそういう本旨と違うものを政府自身が認めているということは、これはわれわれとしては国民代表の立場から見のがすことのできない問題だと思うのですが、その点を伺いたいのであります。
  129. 浅井清

    浅井政府委員 私からお答えを申し上げますが、従来検察官のままで法務府の局長等に任ぜられて、検察官としての俸給を受けておつた者がございます。俗にこれを当検と呼んでおりますが、それはただいま御指摘のような点において欠陥がございますから、人事院といたしましては漸次これはやめて行く方針でございます。これは従来検察官から人を求めるのが一番いいようなポストにあつたわけであります。さればといつて従来これが検事でなく、局長といたしますと給与が下つて来る、そのために人事の交流ができないというようなことがあつたためだと思いますが、最近はだんだんこれをやめて行きたいと思います。私の記憶が間違つていたならば訂正いたしますが、公安調査庁のような場合におきましては、これは純然たる局長として、つまり普通の一般職の俸給に直して人を連れて来ておると思います。
  130. 受田新吉

    ○受田委員 さらに総裁にお伺いをしてこの質問を終りたいと思いますが、浅井総裁は先般私の地域給問題並びに僻地手当の問題についての質問に対しましていずれはこの地域給は新しい給与体系の中に織り込む必要を自分自身としては感じておる。こういうものが今後どんどん推し進められて陳情陳情で莫大な費用をかけるということに対して、政府としてはこの点に対して陳情があるから一地域給を通すというような欠陥か生ずるという私の質問に対してそうお答えになつておられたのですが、あわせて僻地手当の問題ですが、この問題はあのときも私申し上げたのですが、非常に重大な最後段階に達したから結論的に御質問しますが、島とか山奥とかいうところへは事実職員がなかなか任を受けて行きません。都市は地域給が低くても都市へどんどん流れて行く傾向があるのです。こういう点において人里何十里離れた島とか、あるいは鉄道から何里離れた僻遠の地に勤務する公務員に対して、むしろ地域給の比率よりも高い比率の僻地手当を出すべき性格のものではないか、そういうところでは一週間に一ぺんずつ家庭へ帰るにしても莫大な交通費の負担がある。そうして給与体系の上から出された俸給表には、そうした交通費を計算してないという立場から見ましても、こういう交通不便な地域に勤務する職員に対する僻地手当の大幅増額――今の百五十円を起点とした五階級のようななまぬるいことではなくて、地域給と相並存するような基本的な体系を打ち立てる御用意はないですか、これをちよつとお伺いいたします。
  131. 浅井清

    浅井政府委員 まことに御同感でございまして、人事院といたしましては、少くともこれを約八割程度の増額は必要である、こういうふうに考えております。またその距離のはかり方その他についても改善を加えたいと思つておりますげただその具体案はまだでき上つてはおりません。
  132. 受田新吉

    ○受田委員 非常に誠意のある御答弁をいただいたのですが、八割程度の増額、これは倍に足らないわけであります。その想定で今進めておられるようでありますが、これは八割よりももつと高めて実現をしていただきたいとお願いをしておきます。またこの人事院勧告案が、しばしば申し上げたように、上に厚く下に薄いというこの問題に関して、きのうも、そうした諸外国との比較をするために、外国の大学を出た者の初任給、それから最高俸を受ける者との比率の差というようなものについて資料をお出しいただきたいと申し上げておいたのですが、それを私基準にしてさらに質問を申し上げたいと思つておりますが、実際問題として、高い俸給の人に税が高くかけられておるから手取りは少いんだ、しかも一般大衆には、高額所得者は、高率の給与をとつて国民の膏血をしぼりながら、局長以上はその昇給率二割三割とふえておるという印象を事実与えておるのです。     〔丹羽委員長代理退席、委員長着席〕 それは高額所得者に対しては、私の立場からもいささかお気の毒だと思うのです。半分以上税金をとられている実情に対して、下の方の者には税金を免除し、そして六、七千円くらいまでの者は非常に税制の上で優遇してやる、その上下のバランスは税と関連した場合には相当圧縮されて近寄つておるという御答弁があつたのです。これは私ある程政府がその点に税制改革で努力したことは認めます。しかし実際に最低の生活の保障ということは容易でないことであつて、三千六百円の一号俸を、政府案にしても四千四百円に引上げたのですが、ちよつと遠いところから通うておる人は、七百円、八百円という交通費をとられる。そうすると実際的に三千円ばかりで生活ができないのは、はつきりしておるのですが、こういう事実問題に対する救済方法として、低額所得者に対して、政府はこの案を強行するとしても、その職場々々で交通費ごときを出すような措置をとるお気持はないか、これは会社によつては交通費を出しているところもたくさんあるのですし、交通費を別に計算されたという立場から、政府としては非常に低い線のものの交通費関係がいかに重大であるかということを考えて、これに対する給与対策をお考えになつておらないかをお伺いしたいのであります。
  133. 浅井清

    浅井政府委員 内閣の方はどのようにお考えになつておるか存じませんが、人事院といたしましては、交通費という問題は考えておりません。これはあまりに給与体系を複雑ならしめるばかりでございますから考えておらないのでございまするが、下に薄く上に厚過ぎるというふうになつているという仰せでございまするけれども、実際におきまして民間の給与がそういうふうなカーブを描いておるのでございます。ことに過去一年においては、初任給と上の方とがずつと上つております。もつとも四千七百円、四千八百円で食えるかということになりますると、これはいわゆる最低賃金制の問題に転換いたしまするので、これは別問題でございまするが、人事院といたしましては、大体あの線でいいだろうと思つております。
  134. 菅野義丸

    菅野政府委員 交通費の問題が御質問に出たのでありますが、民間で交通費を出しておるようなところもあるということは承知しております。そうして人事院の実態調査におきましても、そういうことが明らかでございますけれども政府の方でそれを出すといたしますれば、先ほども総裁からお答え申しました通り、これは非常にまちまちなものになりまして、おそらく予算も立たないような状態じやないかというふうに考えられます。かつまた交通費といいますると、必ずしも鉄道ばかりではございませんし、バスその他の手段もございますし、また自分で自転車に乗つて来る者はどうするかというような問題もございまして、非常に複雑になつて参ります。要するにこういうような問題が起りますのは、国家公務員給与がまだまだ手分であるというところに起因するのでございまして、この上とも公務員給与の改善につきましては努力いたしたいと思うのであります。
  135. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ政府職員の中で、これはきわめてわずかでありまするが、従来現役の軍人であつた人で、そのまま復員事務に従事するために残つておられる人があります。こういう人たちは、元軍人であつた人が法律によつて特別に救済されておるのでありますが、こういう人たちの待遇、特に国立病院の院長、副院長というような人は、軍人で言つたら医務の中佐大佐というようなところの人が相当おるわけですが、こういう人たちの中には、もう処分をされた人もおります。こうした元軍人であつて、占領下においては普通であれば官職につけない人で、そのまま残つておつた人たちに対する優遇策が頭打ちになつているんじやないか、これは軍人恩給の復活というような問題とも関連して来るのでありますが、このごくわずか政府職員の中に残つておる人たちの待遇は、その階級を上に上げていないで、課長級で頭打ちになつて、いつまでも昇給の道が閉ざされておるんじやないか、こう思うのでありまするが、この点ごくわずかの例でありますが、少しの例外でも、これはわれわれとしては考えてやらなきやならぬ問題と思いますのでお尋ねいたしたいのであります。復員事務官という職務を持つておつた人です。
  136. 岸本晋

    岸本政府委員 元の現役の陸軍軍人の方が、一般官庁に来て働いていただきます場合、どのくらいの級に採用するか、これはいろいろむずかしい問題がございまして、これは人事院でおきめになつております俸給の推定表、こういうもので大体妥当なところになつておるだろうと思います。それが頭打ちになつて上の方に進まないという問題になりますと、これもまた役所のポストとか数の問題であろうかと思います。
  137. 受田新吉

    ○受田委員 これで一応質問を終りたいと思うのですが、最後に、この間から重大問題になつたが、放任されてまだ解決を見ていない問題は、常勤的性格を持つ非常勤の職員の期末手当であります。これは結局政府では早急に考慮するということでありましたが、本日すでにわれわれはベース・アップの問題で最後的な審理に入ろうとしておる段階に、この非常に不遇な立場にある常勤的な性格を持つ非常勤勤務者は、各官庁を通じて十万余りおりますが、この人たちの期末手当の問題はいかがお取扱いになりますか。
  138. 有田二郎

    有田委員長 この問題は先般政府からその結果を報告することになつておりますが、今日までまだその報告を受けていないので、本日御報告願います。
  139. 菅野義丸

    菅野政府委員 一般職職員給与に関する法律の二十二条の第二項に掲げておりまする非常勤職員のうちで、過去相当長い間連続して勤務し、またその勤務が常勤職員とほとんどかわらないような勤務をいたしておる者が相当多数ございます。この人たちに対する期末手当の点を当委員会において非常に御心配になられまして、先般来たびたびお票あつたのでございますが、政府はただちに関係の次官を呼びましていろいろ協議いたしました結果、こういう人たちに対しましては、期末手当と申しますか、現在この法律が通つておりませんので、国家公務員の年末手当の支給に関する法律、この法律給与に準じまして出すようにという通牒を特に人事院の方から出すことにいたした次第でございます。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 人事院総裁はそういう通牒を出されますか。
  141. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 ただいま菅野副長官からお話がございましたように、先般人事委員会の懇談会でいろいろお話がございまして、その後政府においても人事院においても、いろいろ実情の調査等もいたしております。取扱い等につきましてもいろいろ研究をいたしまして、ただいま菅野副長官からお話のございましたような通牒の案を政府部内において協議いたしたのでございます。これは先般非常動の問題につきまして人事委員会の懇談会がございましたが、またその次に政府案を持ち出し、われわれが一応案を得ましたならば、当然そういう機会を持たれるであろう患いまして、まだわれわれといたしましても、ごく事務的に研究をいたしておりまして、人事院といたしましても、正式に意思決定したというものでない現在の段階でございます。
  142. 受田新吉

    ○受田委員 これに対して大蔵省としては、予算措置にいかなる方途を講ぜられますか。
  143. 岸本晋

    岸本政府委員 これは通牒を拝見いたしますと、やはり現在の既定予算範囲内におきまして、各省庁責任を持つておやりになる、かように了解いたしております。でき得る限りの努力はされることと思います。
  144. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと結局各省の予算のわく内における操作ということになるので、省によつてやるところもあれはやらないところもあるというような、またやつても差等が生ずるという結果が起ることに対して、政府としては、各省にまたがるこうした不遇な立場にある人たちの期末手当の問題を公平に処理するという努力はされますか。
  145. 菅野義丸

    菅野政府委員 お尋ねのような危険がございますので、通牒も出して参り、また次官会議等においても、その打合せをいたしたのでございまして、できるだけつり合いのとれた、まちまちにならないような取扱いをいたしたいと考えております。
  146. 有田二郎

    有田委員長 今の菅野官房副長官の御趣旨は了承いたすのでありますが、この際大蔵省の方にお尋ねしたいのは、今、菅野官房副長官からお話なつた点について、いわゆる各省の予算の操作あるいは予算が足りない場合には、準備金からでもこれを出して、なろべく公平な処置をとるように大蔵省として協力される意思ありやいなやという点を御説明願いたいと思います。
  147. 岸本晋

    岸本政府委員 まだ年度の半ばでございますので、各省庁にも予算がございます。具体的には流用とかそういう問題になろうかと存じますが、次官会議のこの了解と申しますか、それに基いてできました通牒の趣旨はできるだけ尊重して参りたいと思います。
  148. 小松幹

    小松委員 追加して、もう二つばかり積雪寒冷地手当について人事院の方にお尋ねしたいのですが、八月一日追加勧告がされたのですが、積雪寒冷地手当は地域給と同じようにバランスがこわれている点もあるのであります。これについてどんなお考えを持つておるかを御説明願いたいと思います。
  149. 浅井清

    浅井政府委員 寒冷地手当につきましては、私は大体よく行つていると思つております。ただもししいて申せば、きわめて少数の点において是正したい点もございます。それは目下研究中でございます。
  150. 小松幹

    小松委員 その研究の結果によつて、追加勧告する意思がおありですか。
  151. 浅井清

    浅井政府委員 これは特に予算を要求してございませんので、ひとつ予算折衝をやらなければならぬかと思つております。その上で決定いたしたいと存じております。
  152. 小松幹

    小松委員 それでは大蔵省にお尋ねしますが、寒冷地積雪給の八月一日の勧告に漏れて、さらに追加勧告によつた場合の予算措置をする用意があるかどうか。
  153. 岸本晋

    岸本政府委員 寒冷地手当は、地域給と同様従来から人事院でおやりになつたものを大体政府は尊重して行くという建前をとつているわけでございます。今回またそうしたものが出て参りますと、これは補正予算にも関連する問題でございますので、その点は私どもとしては考えなければならぬかと考えております。
  154. 小松幹

    小松委員 積雪寒冷地手当についてはこれで質問を終りまして、最後に大蔵省に、安全保障費、防衛分担金、平和関係処理費、そうしたものの現在の使い残りの額を御明示願いたい。さらに特別会計のインヴェントリー・フアイナンスの方の余剰財源について、巷間二千億以上あるといわれておりますが、これについて詳細に数字をあげて御説明願いたい。
  155. 岸本晋

    岸本政府委員 防衛支出金につきましては、現在までの支出実績は四百二十九億でございます。これは米軍へ渡したのと特調に渡したものでございます。残額は二百二十一億円でございますが、これも大体使途は見込まれております。それから安全保障諸費につきましては、支出実績は四十五億円でございまして、残額は五百十五億円でございます。しかしながらその五百十五億円のうち二百六十億円につきましてはすでに使用計画が定まつております。残りの三百億円につきましても、目下米軍と打合せ中でございます。これは使う必要はあるのですが、ただ、移転先がごたごたしておりますので、まだきまつていない状況であります。  それから平和回復善後処理費につきましては、現在まで使用実績は十一億円、残額といたしましては二百十億円ございますが、これも外債処理分とかあるいはその他事実上確定したものが百五十九億円ございます。残額といたしまして四十億円、これは今のところちよつと使途未確定でございますが、今後の渉外債務等の処理等に大体必要であろうという見込みであります。  それからインヴエントリー・フアイナンスの数字は、まことに恐縮でございますが、ただいまここに持ち合せておりませんので、月曜日にでも資料として提出したいと思います。
  156. 小松幹

    小松委員 巷間伝えられるところによりますと、インヴェントリー・フアイナンス、特別会計の剰余金が二千八百億円もあるといわれておりますが、これだけあれば、まことに国家財政上けつこうな話でこれを財源として流用いたしたいと思いますが、ひとつ明確に御返答願いたいと思います。
  157. 森三樹二

    ○森(三)委員 先般も私はこの委員会でお尋ねしたのですが、北海道の石炭手当の問題で、政府の支給する額を六千七百円トン当り要求しておるのに対して、まだ具体的にそこまで行つておらないようにお聞きしております。今年は寒さも非常にきびしい状態でありますから、至急この処置についても金額の決定と支払いのすみやかならんことを切望しておるのですが、この点についてお伺いしたい。
  158. 菅野義丸

    菅野政府委員 石炭手当の点につきましては、御承知の通り本年はトン当り六千百円といたしまして支給済みであります。これは本年の五月ごろ政府が自分でやりました実績の調査の結果に出て来た数字でございます。その後ずつと推移を見ておりまして、九月ごろの実績を見ましても、炭の値段は決して上つておらないのでございます。むしろ下り気味であつたのでございます。こういうような状態から言いますると、これを値上げするという理由は立たないのでございまするが、たまたま最も必要になつて参りました十月の半ばごろから炭労ストが発生いたしまして、品不足が見込まれて急激に値段が上つて来たような様子でございます。そこで実は今回の補正予算にはこの点の値上げの予算は組んでおらないのでございまするが、北海道在住の職員はむしろ主食に次いでの重要な石炭の入手のことでございまするので、政府も何どかその点をやり繰りいたしまして、トン当り三百円程度の追加支給をいたしたいと考えている次第でございまして、補正予算が通りましたならば、さつそくその追加の給与をいたしたいと考えております。すなわち一世帯当り九百円、非世帯主は三百円となる予定でございます。
  159. 森三樹二

    ○森(三)委員 そうしますと、トン当り六千百円の分についてはすでにもう支拡い済みである。そうして炭価の値上り等を勘案して、補正予算が通過すれば、トン当り三百円の追加金と言いますかこれの支払いをする意向である、こういう御説明ですか。
  160. 菅野義丸

    菅野政府委員 仰せの通りでございます。
  161. 森三樹二

    ○森(三)委員 われわれは六千七百円を政府に対して要求しているのですが、今後の情勢等の判断におきまして、その線までぜひ持つてつていただきたいということを切望いたしまして了解いたします。
  162. 館俊三

    ○館委員 石炭の値段ですが、六千百円あるいは今度補正予算が通ると六千四百円、こういうことなんですが、この石炭のことについての調査のときに、いつも私はこういうことを考えるのです。科学的な調査を北海道の調停委員会で厳密にやつたのです。そのときの炭の選び方あるいはまた実際消費者の使つている石炭についての選び方、それを考えまして、どうしても石炭のカロリーは六千八百カロリー、低くて六千五百カロリー、六千五百ないし六千八百カロリー前後が使われているし、また科学的な調査によりましてもそれが最も熱量の上からも経済的であつて従つて家庭にとつても非常に都合がいい、現実にこれをたたいている、そういうことで、調停委員の結論を出して要求したのでございます。これは私現実にやつておつたのです。ところがこの石炭の手当の支給にあたつて人事院調査資料結論と、大蔵省の実際に支給する金から割り出したのに裏づけする石炭の炭種の選び方そ一の他の調査資料等がいつも食い違いますし、また私たちの調査資料とも非常にかけ離れている。私たちが自分で調べたものを正しいと考えている立場から申しますと、この人事院案の調査資料にいたしましても、大蔵省調査誓料にいたしましても、実に科学的に合点が行かない。そういう点が非常に多い。そこで裏からものを考えまして、これは人事院としても大蔵省としても、そういう石炭の一トンの値段を警める場合に、実を言うと当局が金の出しぐあいが悪いということを表明されないで、そういうことを表向き言わないで、やはり調査されているのでしようが、ただ熱量の低い石炭の使用料を取上げて、そうしてその裏づけをするというやり方ではないか。そういうふうに私は考える。調査を一生懸命にやつたわれわれの手前か暑えますと、この調査は正しいのだと言つてもらいたいけれども、金がないからこれだけだ、こういうぐあいに言うのが正直な言い方ではないか。苦しんで調査した者から考えますと、そう思われる。中央調停委員会に北海道の石炭調査を持込んだ場合でも、これをあながち否定しておらない。そういうところに調査するために非常な苦心を払つてやつたその当事者から見ると、政府が六千百円をこういう理由によつて出すというものの言い方については――非常にそういうような臆測をしておもしろくないと思つているのですが、資料が今考えただけでも三つも出て違う、そういう点について、ちよつと唐突ですけれどもお聞きしておきたい。
  163. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 人事院は本年トン当り六千七百円というふうに勧告いたしたのでございますが、これはCPSによりまして、一世帯におきまして石炭を使用いたしますが、その平均価格がどうなつているかということを重点的に見て参つたのであります。この点は本年の勧告案に対します勧告におきましても、昨年と同様な方法をとつているのであります。具体的に申しますならば、札幌市における本年の二月、三月、四月、五月この間のCPSに現われましたトン当り平均金額というものが六千五百六十円という数字になつている。これは札幌だけではむしろ片寄つておりますので、帯広を一つとります。この帯広のやはり本年の二月、三月、四月、五月のCPSに現われておりますトン当り平均価格は七千百五十円になつております。これを道の東、道の西の人口をウエートにいたしまして、この両者から平均炭価を求めて参りますと六千六百九十七円という数字が出る。この六千六百九十七円の数字をまるめまして六千七百円というように決定いたしまして勧告をいたしたとうことになつております。この六千七百円というものが、それではどのくらいのカロリーに相当いたすかという点も一応考えてみているのであります。それは塊炭を三九%、中塊炭を四四%、粉炭を一七%、この程度の割合に混合いたしまして、そうして六千七百円くらいに相当するものが平均的にカロリーがどのくらいあるかと申しますと六千二百カロリーになる、こういうふうに考えております。そういう資料によりまして六千七百円というものを勧告いたした次第であります。
  164. 菅野義丸

    菅野政府委員 政府側からお答え申し上げます。ただいまの御質問の、権威ある方々が集つてやつた調査というものは確かに御説の通り尊重すべきものであると考えられます。ただこの石炭手当はいろいろ沿革がございまして、ただいま人事院の方からもいろいろ事情のお答えがあつたのでございますが、大体におきまして人事院の方で勧告する価格はカロリーにしまして六千二百カロリーくらいのところを勧告して来ております。しかしながら、昭和二十四年からずつと見ましても、実際に支給する実行単価というのは六千二百カロリーくらいから五千六百カロリーくらいまでの間の炭の値段を出しております。本年も大体そのくらいの値段のものを政府の出先機関が詳細に調査した価格によつて支給いたしておるのでございまして、実はこの根拠になつておる法律にこの点がはつきりしておりませんので、いつもいろいろ問題になるのでございますが、結局沿革的に五千二百から五千六百くらいのところを出しておる、それを本年も踏襲いたしまして、それに運搬賃を入れまして六千百円という数字を出したような次第でございます。
  165. 受田新吉

    ○受田委員 私ちよつと関連して聞きたい点があるのです。これは人事院と官房副長官に関係する関題ですが、国家公務員であり、また国家の公務に従事する立場から、職員給与は一本の体系として見たいと思いまして、保安庁の職員の俸給も裁判官の俸給もあわせてわれわれは研究してみなければ――ああいう俸給を内閣委員会の方へまわしたり、法務委員会の方へまわしたりして審議するということは、国家公務員給与体系を一本に考えているわれわれとして連絡調整に非常に事を欠くと思うのです。保安庁は今国民の注視の的になつておるのですが、ここの職員の俸給表をわれわれが見るところによると、一等保安正、昔の大佐級に当る者の給料が日額で大体千二、三百円のところにあがつておるように思うのです。こういうところの俸給は、こちらの一般職職員でこれを計算し直すと十二、三級の辺に当るのですが、そういうところをど早いう基準でやつたのか、この点雲の上に隠れた保安庁ということにならぬようにしなければならないので、この保安庁の職員の俸給もちやんとわれわれに納得させるように、こちらと比較してそしてこういうふうに俸給をきめたのだということを、一応人事委員会においても御説明していただくとたいへんわれわれとしても参考になるし、また裁判官の俸給も法務委員会でやつた分を、ここでもあわせて検討してみたいと思いますので、あらましでいいですから、保安庁の職員の俸給は階級によつてこちらのどれに当るようになつておるか、それから期末手当はやはり同率になつておるのかどうか、なおこうした特殊な公務に従事する者に対して、特別手当のようなものを考えておるのかどうか、これもあわせて御答弁いただきたい中のであります。
  166. 岸本晋

    岸本政府委員 保安庁の職員給与から申し上げますと、保安庁の職員のうちで主として保安官と警備官、これが問題となろうと存じます。この俸給額をどうしてきめたかと申しますと、警査とか保査、これは一般の巡査でございますが、これに相当いたしますところは最低が三等警査、その上が二等警査、一等警査、警査長とございます。これは大体国警の巡査でございます。二等警査は国警巡査の初任級であります警察の俸給表の一級三号を基準にしております。次に三等警備士補、昔の下士官階級でありますが、この階級は大体警部補に合せております。それから昔の将校に当ります三等警備士及び保安士、この階級は警部補以上でございます。これは具体的に申しますと、まず三等警備士ないし三等保安士が七級、二等警備主ないし二等保安士が八級、一等警備士ないし一等保安士が九級、佐官に当ります警備正ないし保安正、これが一、二、三とございますが、これは十級、十一級、十二級と当てはめ、保安監補と警備監補、これが十三級、保安監、警備監、これが十四級、十五級、かようにいたしたわけであります。それぞれ該当いたします一般職の場合における俸給をまず持つて参りまして、あと特殊な給与体系の相違による調整を加えているわけであります。たとえば保安監、警備監には超過勤務手当あるいは勤務地手当は支給されておりません。従いまして、それに相当する金額を一般職の基準で考えた俸給にプラスして考えております。さらに特殊な給与体系問題といたしまして保安監、警備監には、たとえば恩給納付金は給与体系の性質上簡素化するという意味でとらないということにしております。また共済組合法は全然適用いたしませんで、公私とも病気は全部国で見るということにいたしております。従いまして、共済組合の掛金に相当するものは差引くという給与体系の相違に基きます調整を加えて参りました金額、これを三十で割つて二規格にいたしてきめているわけであります。実際的には一般職職員給与とバランスのとれたものとわれわれは考えております。
  167. 受田新吉

    ○受田委員 最高の十四級、十五級は警備監と保安監と俸給が違つておるではありませんか。これは同じ基準にしてありますか。
  168. 岸本晋

    岸本政府委員 保安監の中には甲乙ありまして、第一幕僚長、第一幕僚監部、そういうところのえらい者は甲でございます。それ以外の地方監部の長あたりは乙、こういうことになつております。これは十四級の俸給を基準にきめております。
  169. 受田新吉

    ○受田委員 警備監と保安監と同率ですね。
  170. 岸本晋

    岸本政府委員 同じでございます。
  171. 受田新吉

    ○受田委員 これが文官、武官というような形になることを、われわれは非常に憂えておるわけなんで、この保安監、警備監を最高級とする保安庁の職員人事交流というようなことは、これはもう絶対できないのか。たとえば国家警察との間における人事交流、これは保安隊が軍隊でないということであるならば、同じ性質を持つた治安の確保という意味から言うならば、警察も保安隊も同じだと、総理はしばしば言うておられるのですが、同じであるならばその間の人事の交流ができるようになつているのか。保安隊へ入つたならば保安隊で一代それで進んで行かなければならないのか、この点適材適所に、適当な人材があるならば、それぞれ適当に交流するような道が考えられていないか、これをひとつ。
  172. 菅野義丸

    菅野政府委員 給与の問題は人事の交流の場合に影響するのでございます。そういう意味から行きましても、一般職との間の均衡を保つて、その間に上下の差をつくらぬように、非常に慎重に考慮しておりまして、事実上におきまして一般職との間の交流は相当ございます。ことに制服を着ておらない職員等は、ほとんど一般職から行つて、また一定のときに帰つて来るというようなことをやつております。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 制服の保安庁職員でなくて、一正、二正あたりには文官でなつておるのが相当あるのです。いわゆる武官出身でない文官がおるのですが、こういう人たちはまた適当なときにほかの一般職の高級職員に転換できるのか。一ぺんもう保安隊の一正、二正になつてしまつたり、それそぞれの管区の幕僚長とか副監とかいう地位についておると、もうそれでしか行けないで、こちらへ帰れぬようになつているのじやないか、こういうような問題について、何かそこに、文官と武官の区別をつけるわくがあるような印象が大衆には与えられておるのですが、保安隊の方へ入ることはできるが、保安隊の方へ足をつつ込んだら、こつちへもどれないというようなことになつているのじやないか、ここを心配するので、一応お聞きしておるのです。
  174. 菅野義丸

    菅野政府委員 先ほど大蔵省から御説明ありました一番下の巡査級の者は、これは期限も切つておりますので、一般職との間に原則として交流はございませんが、幹部級の今お尋ねのような者の中には、こちらから行つた者も非常に多数ございますし、また保安隊の方から一般職に帰つた実例もございます。今後もますますその交流をやつて行きたい、かように考えております。その間に何ら障壁をつくる意思はございません。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 わかりました。
  176. 有田二郎

    有田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は十五日午後一時より開会し、質疑を続行することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二分散会、