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1952-12-06 第15回国会 衆議院 人事委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月六日(土曜日)     午後一時四十七分開議  出席委員    委員長 有田 二郎君   理事 植木庚子郎君 理事 丹羽 喬四郎君    理事 竹山祐太郎君 理事 受田 新吉君    理事 森 三樹二君       木暮武太夫君    竹尾  弌君       灘尾 弘吉君    濱田 幸雄君      生悦住貞太郎君    小島 徹三君       松野 孝一君    池田 禎治君       加賀田 進君    小松  幹君  出席政府委員         内閣官房長官 菅野 義丸君         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠男君         総理府事務官         (大臣官房審議室         長事務代理)  久田 富治君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 十二月四日  竹尾弌君辞任につき、その補欠として白石正明  君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員白石正明君辞任につき、その補欠として竹  尾弌君議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月六日  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一二号) 同月四日  国分寺町の地域給引上げ請願並木芳雄君紹  介)(第三八二号)  同(三宅正一君外一名紹介)(第三八三号)  同(山花秀雄紹介)(第三九〇号)  浜松市の地域給引上げ請願中村幸八君紹  介)(第三八四号)  福知山市の地域給引上げ請願大石ヨシエ君  紹介)(第三八五号)  山田村の地域給引上げ請願淺香忠雄君紹  介)(第三八六号)  寝屋川市の地域給引上げ請願淺香忠雄君紹  介)(第三八七号)  興津町の地域給引上げ請願西村直己君紹  介)(第三八八号)  宇美町の地域給引上げ請願多賀谷真稔君紹  介)(第三八九号)  須恵村の地域給引上げ請願多賀谷真稔君紹  介)(第三九一号)  志免村の地域給引上げ請願多賀谷真稔君紹  介)(第三九二号)  石川町の地域給指定に関する請願山下春江君  紹介)(第三九三号)  安登村の地域給指定に関する請願谷川昇君紹  介)(第三九四号)  杵築町の地域給指定に関する請願重光葵君紹  介)(第三九五号)  温知村の地域給指定に関する請願柳原三郎君  紹介)(第四六三号)  真岡町の地域給指定に関する請願森山欽司君  紹介)(第四六四号)  上郡町の地域給引上げ請願大上司紹介)  (第四六五号)  下保倉村の寒冷地手当引上げ請願田中彰治  君紹介)(第四六六号)  安塚村の地域給指定に関する請願田中彰治君  紹介)(第四六七号)  上宝村の地域給指定に関する請願小松幹君紹  介)(第四六八号)  島根県下の地域給引上げ等請願大橋武夫君  外一名紹介)(第四六九号)  窪川町の地域給指定に関する請願長野長廣君  紹介)(第四七〇号)  仙台市外二市の地域給引上げ請願内海安吉  君紹介)(第四七一号)  琴似町の地域給引上げ請願正木清紹介)  (第四七二号)  公務員給与引上げ等に関する請願佐々木更  三君紹介)(第四七三号)  同(坂本泰良紹介)(第四七四号) の審査を本委員会に付託された。 同日  鬼脇村の地域給引上げに関する陳情書  (第六〇二号)  香深村の地域給引上げに関する陳情書  (第六〇三号) 浜松市の地域給引上げに関する陳情書  (第六〇四号)  山陰道六市の地域給引上げに関する陳情書  (第六〇五号)  日田市の地域給引上げに関する陳情書  (第六〇六号)  芳川村の地域給指定に関する陳情書  (第六〇七  号)  能登同時地域給指定に関する陳情書  (第六  〇八号)  山口村の地域給指定に関する陳情書  (第六〇九  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一二号)     ―――――――――――――
  2. 有田二郎

    有田委員長 これより人事委員会を開会いたします。  ただいまより一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一二号を議題として質疑に入ります。質疑は通告の順序によりこれを許します。小松幹君。
  3. 小松幹

    小松委員 それでは質問をいたします。  まず人事院質問をいたします。人事院は先般政府並びに国会に一般職国家公務員給与改訂勧告したのでありますが、その改訂する根拠至つては、現在の経済状態あるいは国家公 務員地方公務員を含めてのそれらの生活実態、現在の社会経済実態等を勘案して提案勧告した、こうおつしやいましたが、その点についてさらに具体的にもう一度はつきり言つていただきたい。  それといわゆる健康で文化的な生活を保障するという憲法条項に対して、人事院勧告をしたそのことが適当なりやいなやということを端的に表現していただきたい。  その次に大蔵省に御質問申しますが、大蔵省としては大蔵省財政を先議するのか。憲法の健康で文化的な生活という国民に保障したその憲法条項が優先するのか。その点を明快に御説明願いたい。  それからさらに先般の官房長官がこの法律案提案をした場合に、現在の財政経済事情を総合的に勘案して云云ということをおつしやられた。その点についてさらに詳細に承りたい。以上の四点をまず御質問申し上げて、あとはまた別途質問を用意しておりますから、継続質問をいたしますが、まず先にこの四点だけお答え願いたい。
  4. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 小松委員にもう一度お伺いしたいのでありますが、人事院が先般一万三千五百十五円の給与水準引上げ勧告をした。それをもう一度、詳細に説明しろということですか。
  5. 小松幹

    小松委員 質問の要点がわからなかつたようですが、人事院としては、先般、現在の経済物価、あるいはあらゆる条件におきまして、この人事院勧告案が、日本の現在の経済状態から考え、また国家公務員生活実態から考えて適当であるとおつしやつたが、その適当であるということを、もう一回ここではつきり論拠をあげて説明してもらいたい。こういうわけであります。
  6. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院は本年の八月、一万三千五百十五円の給与水準というふうに、現在の俸給表改正することが適当であるということを勧告いたしたのであります。その人事院勧告いたしまする根拠と申しまするものは、これはまず民間のそれと権衡をはかということと、それから標準生計費を確保するということでございます。国家公務員給与水準というものが、民間におきまする、一般的に公務と比較し得るような職務給与というものと同水準を保つということは、これは公務に従事をいたす者といたしましても、それだけのことが保障されるということは当然であろうというふうに考えるところでありまするし、また一般納税者立場から申しましても、それだけの給与公務員に対しまして支払われるということは、これは納得の行くところであろう、こういうふうに考える次第であります。なお一方におきまして、民間一般消費事情というものと合つた消費水準というものが、公務員に確保されるということは、これまた公務員の側から申しましても、また納税者たる一般国民の側から申しましても、当然納得の行くことであろうというふうに考える次第でございます。以上の二点が根拠になりましてわれわれの勧告というものができ上つております。すなわち通し号俸表というもので二級三号を四千七百円に押える。このことは本年五月現在におきまして一般消費水準に合致した消費水準青年単身者十八歳者に保証しようということでございますので、そういう点で確保されておるということと、それから通し号俸表で、たとえば七十号、あるいはそれ以下のところでもよろしいのでありますが、それぞれその俸給が該当いたしますような民間における職務の標準的な給与、そういう水準なつておるという点を根拠にいたしまして、この通し号俸表というものをつくつております。これを用いましてつくりました俸給表というものは、ただいま申し上げましたように、民間給与とも権衡をはかり、なおかつ標準生計費を確保しておるという意味におきまして、人事院勧告というものは本年五月現在において適当であるというふうに、御説明申し上げた次第であります。
  7. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 小松委員大蔵省に対する御質問につきましてお答えを申し上げます。憲法に保障されました健康で文化的な生活ということを確保することが先か、財政の原則を確保することが先であるかというふうなことが、御質問の御趣旨であります。私どもの心得まする限りにおきまして、憲法は、もとより国民全体の問題についての規定でございまするから、これを最も尊重することは申すまでもないと考えます。ただ国家公務員につきましては、憲法のもとにさらに特別の法律がございまして、給与に関しましては、ただいま人事院からもお述べのように、民間給与生計費その他の事情を勘案いたしましてきめる、こういうことに相なつておるのでありまして、その趣旨はいわゆる民間給与生活費のほかに、これを支払う国家財政ということを考えずにきめるというふうなことはとうていできませんし、法律もまたその点を特にうたつておることと心得るのであります。従いまして、今回の給与決定いたします際におきましても、人事院からもお述べのように、民間給与生計費並びに国家財政事情という総合的な観点において決定をいたすべきものと考えておる次第であります。
  8. 菅野義丸

    菅野政府委員 先般官房長官が、ただいま議題なつておりまするところの法律案提案理由の御説明を申し上げましたときに、給与改訂公務員給与については、財政全般を総合的に勘案して定むべきであるということを申し上げたことにつきまして質問があつたのでありますが、ただいま大蔵省からも御答弁申し上げましたように、公務員のことだけを考えますると、人事院勧告がありましても、なおこれをもつても十分ではないという議論も立つかもしれません。また公務員自体状況が、今日決して楽な生活をしておるということは言えないのでございますが、しかしその財源になるものは、何といつてもこの八千万国民の税でございます。従いまして、こういう場合にはどれだけの税を国民からとるべきであるか、その税をいかに使うべきであるかというふうな総合的な見地に立つてきめなければならないということを申し上げるつもりで、先般あのようなことを申し上げたのではないかと私は考えます。従いまして人事院勧告に対して、今回は約一割程度の低い給与なつておりまするが、それは決して公務員生活が楽であるから、これを下げたということではなく、財政全般から考えて今回二割程度値上げが妥当であろう、こういう判断できめたような次第であります。
  9. 小松幹

    小松委員 大蔵省質問しますが、憲法を尊重するということは、同時に憲法に保障されたる国民生活を保障するということだと思うのです。それを尊重することは、現在の国家公務員生活を保障するということと軌を一にする問題であると思うが、その点について、あなたたちの方は尊重するということを、一体どの程度に尊重しようと考えておるのか。それと同時にその尊重する度合いにおいて、先ほども一割か二割とかいうことを言われた。その一割、二割という勘案する数の出し方は、一体どういうところから―八割だけを尊重するということが、それとも全部を尊重するという意味なのか、その辺をはつきりしてもらいたい。
  10. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えいたします。先ほど申し上げましたように民間給与生計費国家財政状況、その他総合的に勘案いたすべきでございまして、われわれといたしましては、それらの条件の総合的な判断で、最も妥当なところに持つて行く、こういうことであろうと思うのでありますが、もとより憲法条章につきましては、これは、われわれとしては、全幅的にこれを尊重すべきであると考えるのであります。ただ、ただいまも内閣の方からもお答えがございましたが、憲法にいう ところの国民と申しますのは、その範囲は国家公務員を含めた全国民なのでありまして、この全国民の健康で文化的な生活ということになりますと、最も広く影響しますのは税金の問題であります。従いまして税を安くするということも、これは国民全般のために一番大切なことでございます。そういう見地をもわれわれとしては十分に全幅的に考えまして、しかも国家公務員給与につきましても、できる限りの引上げを行う、こういう判断から今回のような決定を見たような次第でございます。
  11. 小松幹

    小松委員 人事院勧告案は、公務員、いわゆる給与をもらつている側からいえばなお不満だ、こういうちまたの輿論なり、あるいは要求なりがあるわけであります。その人事院勧告案すら下まわつて政府提案しておる。そこで人事院憲法の、健康で文化的な生活を保障し、あるいはそれを尊重するという建前でおる。大蔵省もそういう条項については尊重する。ところが数字においては開きがある。この辺のところがはつきりつかめない。一体尊重するということは水準があるのかないのか。その水準大蔵省においては人事院勧告を下まわつたものか、現在の憲法を尊重するという建前においての水準なのかどうか。その辺をはつきりお答え願いたい。
  12. 菅野義丸

    菅野政府委員 それでは私の方から御答弁申し上げます。人事院勧告は、国家公務員法によりまして、公務員給与は五%以上の変更を要すべきときには勧告をするということになつておるのでございますが、人事院といえども、もちろん憲法条章につきましては、全幅的の尊重をしなければならぬということはお説の通りでございますけれども、ただ大蔵省と違いますことは、人事院は決して国家財政全般についての考慮を払つて勧告するものではございません。この点は国家公務員法をごらんになればはつきりいたしておるのでありまして、国家財政のことを考えてやるのはむしろいけないのでありまして、純粋に客観的に公務員給与はかくあるべきものであるという、ゾルレンの数字を示すのであります。ただ大蔵省の方はそれに対して、実際において総合的に考えて、幾ら幾らにすべきであるかというふうに考慮する点が多少違うように、私ども考えておる次第であります。
  13. 小松幹

    小松委員 それでは人事院のその観点政府の、いわゆる大蔵省観点とは違う、こうおつしやられるのですが、ところが憲法を尊重してこれを真に国政の上に生かすという趣旨においては同じだと思う。そういう観点について、それを尊重するところの水準を持つておるのか持つていないのか。提案のこれが水準だとお考えか。それが同時に憲法を尊重した建前であるかどうか。
  14. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 この点につきましては前回本委員会におきましても申し上げたのでありますが、大蔵省考えをもう一度申し上げたい。先ほど人事院給与局長さんから人事院のお考えについてはるる伺つたのであります。これに対しまして大蔵省におきましても、やはりあとう限りの判定の資料を集めまして調査をいたしたのであります。従来の公務員給与ベースにつきまして、先ほど来申し上げましたように民間給与生計費というふうなものが、その重要な基準になつておりますことは、これは申し上げるまでもございません。そこで昨年十月に現在の水準ができまして以後の民間給与、これを毎月勤労統計、毎勤と申しておりますが、その数字によつて一応把握しておるわけでありますが、この数字はすでに御承知通り大体一割八分見当ということになつておるのであります。それから従来やはり公務員給与ベース決定に非常に重要視されましたところのCPI消費者物価指数といつておりますが、これはきわめて微騰しておるだけでありまして、一・何パーセント程度でございます。すなわち大体におきまして消費者物価指数は横ばいということになつておることは御承知通りでございます。そこでさらに今回はCPI、すなわちいわば家計支出とでも申しましようか、家計実態を示すところの指数もあわせて考慮いたし、さらにまた戦前との水準等もあわせて考慮いたしたのでありますが、それらの判断がやはり大体一割八分見当というところに来るのであります。たまたま御承知のように米の値段を改訂するということもございます。またこれもベース・アップがその重要な理由でございますが、鉄道運賃引上げということもございます。さらにまたガスの値上げ地代家賃値上げというようなこともございますので、それらのこともあわせて織り込み、一方におきましては、先ほど来たびたび申し上げました税金の引下げということを考慮に入れまして、それらをも計数的にはじきました結果、一割八分にそれらのものを織り込んで、差引きまして二割という線が妥当と考えまして、今回のような結論を出す一つ資料にいたしたいわけであります。しかしその基本に財政全般の問題を考慮いたし、国民全体の負担の適正化ということを考慮いたしたことはもとよりでございます。なお先ほど瀧本給与局長から標準生計費につきましての御説明がございましたが、この点につきましては、人事院においてお考えの二級三号という号俸につきまして、大蔵省におきましても、内閣と御相談の上、先ほど申し上げたような米、地代家賃運賃その他の値上げ等考慮いたしまして、人事院の御勧告になりました四千七百円を百円上げて四千八百円ということにいたしておることも申し添えたいと思うのであります。
  15. 小松幹

    小松委員 それでは大蔵省人事院扱つた、いわゆる基本的な統計資料というものは同じであつたかどうか。CPSということを今言われましたが、CPSも同時に含めて統計資料が同じであつたかどうか。  それからもう一つは、一体大蔵省資料で、人事院資料なりあるいは結論なりのどこが不満なのか。その点を大蔵省として言つてもらいたい。  同時に人事院にお願いする御質問は、人事院勧告は正しい、こうおつしやつたが、大蔵省の提示するところの一割八分あるいは二割の根拠について、誤つておると考える点を、人事院は率直に言つていただきたい。
  16. 淺井清

    ○淺井政府委員 人事院といたしましても、また内閣大蔵省といたしましても、これひとしく政府側のものでご ざいますから、この席上で一つがお互いに批判し非難するということは、私ども立場からはできかねるように思つております。ただ人事院といたしましては、人事院勧告が正しいものである、かように考えておるからこそ勧告をいたしたような次第でございます。この点はどうぞ御了承願いたいと思います。
  17. 小松幹

    小松委員 淺井総裁はさようなことをおつしやるが、われわれ議員として国民を代表しておれば、同じ政府機関に二様の考えがあることに不可解とふしぎさを持つわけであります。だからこそ人事院が正しいのか、大蔵省が正しいのか、この席ではつきり言つていただきたい。統計数字が同じであるなら同じで、どこが間違つたからそういう結論が出たのか。こういう数字とつたからこうなるということを言つていただかなければ、われわれとしては公正なる判断ができない。淺井総裁のそうした気持はよくわかります。しかし政府機関から数字が二様に出て来たのですから、われわれとしては両方の言い分を聞かしていただきたいので、特に質問しているわけです。
  18. 菅野義丸

    菅野政府委員 後ほど人事院なり、大蔵省からその方面のお答えをいたすかもしれませんが、その前に内閣としてただいまの御質疑に対して一言お答え申し上げます。  ただいまの御質疑は、あるいはお考え違いがあるのではないかと思いますが、人事院は別個の統計資料でもつて勧告をし、大蔵省はそれが不服であるから、また別の資料をもつてつくつたというふうにお考えかとも思われるような節があつたのでありますが、そういうことは絶対にございません。両方とも一般に公表されました有権的な統計によつておることは当然であります。ただしかしながら人事院は、先ほども申しました通り国家財政を総合的に勘案して公務員給与をきめる機関ではないのでありまして、かくあるべき公務員給与はどれだけになるかということをきめるのでございます。しかもそれは国家公務員法はつきりうたつてありますように、公務員生計費と、それから民間給与とを勘案いたしてきめるのでございます。従いまして、人事院の方から御説明がありましたように、まず理論生計費というものをきめまして、あと民間の同じような種額の仕事をやつている者が、どういう給与を今受けておるかということを統計でとりまして、その民間給与に合せておるのが人事院勧告であります。つまり民間給与と同じものをやるということは、税金を払う国民も文句も言わないであろう、少くともそのくらいまでは出してもいいだろうという考えであります。これに対しまして大蔵省の方は、実際に公務員給与は安いかもしれないけれども、とにかく物価が値上りをしますれば、それをカバーしなければならない。それから民間の方も同じまでは行かなくても、少くとも民間給与に近づけて行きたい。こういう考え方から、財政全般を見て、財源の方も勘案してきめるのでありまして、要するにこれは、人事院のかくあるべき給与数字に対して、いろいろな点を考えて具体的の実施案をきめる考え方であります。従いまして、その根拠になる数字の点については、少しも別の種類のものを使つているわけではないのでありまして、また先ほど淺井総裁から、政府部内であるからよそのことは云々ということを申し上げましたけれども、これは実施案としてここへ出したものについて云々するということはいかがかという意味でございまして、人事院勧告と違うところは、はつきりしているのでございまして、その点については人事院はおそらく大なる不満をお持ちであるということは想像できる次第でございます。以上、内閣第三者的立場に立ちましたから一言申し上げます。
  19. 小松幹

    小松委員 それでは内閣当局者にお聞きしますが、国家公務員水準はそういう点において勘案する、国民全般にわたつて一つの振合いとか税金の問題もある、こうおつしやれたのですが、それでは憲法の保障する、あの健康で文化的な生活という、公務員であろうが、農村の者であろうが、村の漁夫であろうが、国民一人々々が当然保障されておるところの生活水準は、一体どの程度をお考えなつておるのか。その水準と現在数字に出して曲るところの国家公務員給料袋でいう水準とはマッチしているのか、していないのか、かけ離れておるのか、その辺をはつきり聞かせていただきたい。
  20. 菅野義丸

    菅野政府委員 御質問のようようなことが出て参りますと、もうあとは見解の相違になりますが、政府は、国民全般の現在の生活程度から比べまして、今回の給与引上げ公務員にやることによつて、その間に不公平とか、あるいは特に公務員国民全般生活程度に比べて低いというようなことはないという確信を持つております。民間給与と同じにするということは、人事院の従来からとつて来た立場でございまするが、これは一つ考え方でありまして、理論的にはまことに正しいものと私は思います。民間平均給与と同じだけの給与公務員にやるということは、これはだれしも考えることでございまして、これを負拠する国民の方からいつても当然でありまするが、ただしかしながら、これはもちろん産業労働者全般のことでございまするし、農村の点も考えなければならない。中小企業の従業員も考えなければならない。ことに最近のごとき経済情勢におきましては、国家という背景を持つた非常に確実なる使用者に使われておりまする者の身分上の安定ということは、これは同じ給与を受ける者にいたしましては非常な羨望の的にもなつておりますし、また民間給与にはないところの恩給というようなものもございます。従いまして、必ずしも民間給与と同じ額をやらなければ、国家公務員給与は非常に圧迫されておると考えるのはいかがかと存ぜられるのでございまして、広く農民あるいは中小企業者というような人たちの生活程度から見まして、今回の公務員給与は決して国民全体の生活程度から下まわつておるようなものではないということを信念といたしておる次第であります。
  21. 小松幹

    小松委員 たびたびの質問で恐縮でございますが、しからば内閣にひとつお尋ねしたい。健康で文化的な生活というものを、内閣として、あるいはあなた個人でもかまいませんが、一体どういう程度考えているのか。さらに人事院大蔵省扱つたデーターは同じであるという観点は披瀝されましたが、それならば一割八分あるいは二割という数字の下まわりが出るということは、とり方によつてはおかしくも感ずるし、その辺のところは、下まわつたものをして出そうとしたのか、偶然に出たのか。それともう一つは、大蔵省としては財政が先か、国民生活が先か。同時に憲法を尊重することが優先するのか、財政の切り盛りが先か、そのどちらを選ぶのが正しいのかということを御説明願いたい。
  22. 菅野義丸

    菅野政府委員 憲法にきめられておりまするところの、国民は健康にして文化的なる生活を保障せられるというのは、やや私見にわたるかもしれませんが、これは政府に対する訓令というような意味ばかりではないと私は思います。国民全般がそういう考えをもつて、この平和な文化的な国家を立てて行こうという趣旨であると私は考えております。従つて政府国民全般の生計を全部保障するというような具体的な意味にはならないと思います。もちろん政府といたしましては、消極的にも、積極的にも国民の健康な文化的な生活を営むことについて、その目標に対してますます有効適切な施策しなければなりませんが、政府だけがあの条項によつて全責任を負つて国民の一人々々の生活を完全に保障しなければならないという結論には相ならないと考える次第であります。  また健康にして文化的な生活というのは、必ずしも一定の基準があるわけではないのでございまして、ただいまの生活がかりにそうであつても、これから数年の後にはそうならない場合もありましようし、時代々々あるいは国力等に総合的に考えてきめられるべきものである、かように考える次第であります。
  23. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの重ねての御質問につきましては、先はど申し上げた通りでございまして、憲法条章をわれわれは最も大切な規定と考えておることは申し上げるまでもございません。今回いろいろと人事院勧告につきましても真剣にこれを検討いたし、さらに先ほど来申し上げたような資料につきまして検討いたしまして、現下の財政事情ということを総合勘案いたしました結果、今回のような結論が出たのであります。これは何も故意に大蔵省がでつち上げたものでないことは、もとより申し上げるまでもないのであります。
  24. 小松幹

    小松委員 ただいま私見であるとおつしやられたのでありますが、これは私見にしては相当大きなことを言われた内閣関係者であると解したのですが、健康で文化的な生活国民個人個人が責任があつて政府には責任はない、その一部しか負担し得ない、かようなことをおつしやつたのですが、国民としてはやはり政府に全責任があるとしか考えられない。一体われわれの生活なり、あるいは健康にして文化的な生活を支持し、保障してくれるのは、やはりわれわれが選ん政府であると、私はかように考える。この点についての御見解を承りたい。  一応その問題については終りまして、あとは小さい問題で、これは提案者でありますから内閣質問したいと思いますが、あるいは人事院でしよか、ここに勤勉手当というものが載つつておりますが、勤勉手当は一体何を基準として定めるのか、どういう基準で定めるのかをお伺いしたい。能率給と違うのか、同じか、この点を御質問いたします。
  25. 菅野義丸

    菅野政府委員 先ほどお答えがあるいは私の言葉が足りないために、誤解を招いたかもしれませんが、私は政府は責任がないということは申し上げようとは思わないのでございまして、政府だけが全責任を負つて、たとえば一人の人でも健康で文化的でない生活と営んでおれば、これは政府の責任であるというふうにも考えられない。これは憲法国民全般が守るべきことをきめたのであるというふうに申し上げたのでありまして、政府が責任がないということは、毛頭考えておりません。でありまするから積極的にも消極的にもあらゆる施策を講じて、国民が健康にして文化的な生活を営めるように、またその手助けになるように努力をしなければならないのでありまして、その点は小松先生おつしやる通りでございます。その点もし誤解がございましたならば訂正をいたしておきます。
  26. 淺井清

    ○淺井政府委員 勤勉手当は人事院勧告に基くものでございますから、一応人事院側から意見を述べさしていただきたいと思います。
  27. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 勤勉手当は、この人事院の意見の申出というものの第十九条の五に書いてございまして、「十二月十五日に在職する職員に、その者の支給日以前十二月以内の在職期間における勤務成績に応じてその日に支給する。」ということになつております。この勤勉手当の支給につきましては、われわれの方の意見の申出におきましては「人事院の定める基準に従つて定める割合を乗じて得た額とする。」こういうことになつている。従いまして人事院といたしましては、この勤勉手当の支給の基準というものにつきまして何らかの、たとえば人事院指令という形になりますか、あるいは人事院の事務総長通牒というくらいになりますか、各省に対しましてこの支給の基準というものを指示するということに相なろうかというふうに考える。第一項の方におきまして「勤務成績に応じてその日に支給する。」ということになつております。しかしながらこの期末年末手当が平均半月分、またこの勤勉手当の原資となりまする額も、おおむね半箇月分という程度の額でございます。現在のような状況におきましては、この成績の差等をあまりにつけるということはいかがなものであろうかというふうに考えまして、この点につきまして具体的な基準をいかにするか、またその基準というものを相当拘束力のあるものにするかどうかというような点につきまして、われわれ懸命に細部的の検討を現在いたしております。しかしながら大方針といたしましてはおおむねあまり差等をつけない、ただ勤務期間の十二箇月未満というようなものにつきましては勤務期間が短いのでございますから、そういう点は反映してもよろしいのではなかろうかというふうに考えております。また休職者というようなものがありまするならば、これは年末手当の方におきましても別個の基準ができておりまして、そうしてそういうことによりまして差等を付すということになつておりますので、この程度のことはいいのであろうというふうに考えております。また勤務成績を全然つけ得ないというのも、いかがなものであろうかと思いまするので、若干の勤務成績を加味するということもなし得るような方途を開いてもいいのではなかろうか、いろいろ検討いたしておりまするが、おおむね今回は勤務期間ということを主要な一つの要素にいたしまして、そうして勤勉手当の支給がされるように、各省庁側に連絡をいたすという所存でいる次第であります。
  28. 小松幹

    小松委員 先ほど質問したがお答えがなかつたが、能率給と考えているのかそうでないのか。私はなぜそういう質問をするかというと、この勤勉手当の基礎になるものについて、科学性はないのじやないか、いわゆる超過勤務なら超過勤務という時間的計数の上に立つた一つのものがある、あるいは勤務の月数だつたら、その月数の指数が出て来る。ところが単なる努力とかいう抽象語で表わせる勤勉ということになれば、ややもすると隷属給になりがちなのだ。今まで過去においてもボーナスや賞与ということが、わずかに十円か三十円の賞与が二円、三円の区切り区切りのために、どれほど公務員の心証を害し、勤勉意欲をそいで来たかということを考えた場合には、いわゆる生存競争をさせようとするのか、それが同時に課長やその主管者であるところの者に隷属させるところの隷属給与になるおそれがある。欠勤十日したから十日分だけ差をつけるというはつきりした指数の上に立つた、科学的論証の上に立つた差であるならば、それは納得するけれども、漠然とした科学的の性格がなくて差別をつけられることは、やがては部長、課長あるいは上級の者に隷属するということが、日本の官僚あるいは公務員の中にはありがちなんである。それでなくても栄転、栄職を求めて上級者に隷属し、屈従しておる。現在においても、ある官庁の次官が大臣に正規の労組の団体交渉を会わせようとしない。それはうつかり大臣のごきげんを損じたら私は首が飛んじやう、こういうことをぬけぬけ次官が言つておるということ、正しいことを正しいと言い得ないということは、その者に対して隷属しておる。ところがこの勤勉手当がややもすれば変貌してさようなものになつて、いわゆる隷属給与になるおそれがある。だから過去においてはこういうものが廃止されておつた。ところが人事院としては再びこういう能率給ともわからぬし、何ともわからぬような勤勉手当という、まことに抽象的な手当を出して来たところに、私はむしろ逆コースの疑いを持つ。また隷属給与を再び復活しようという意欲の現われであると考えておる。これについて人事院としては一体どのような考え方で勤勉手当というものを考えて出したのか、今おつしやられるところでは科学的な論証のある―三箇月勤めた者、六箇月勤めた者というように、その月数の勤勉によつてこうこうだ、あるいは欠勤日数とか、こういう点を言われておるが、それならば科学的な数字がとれると思う。ところがあとでそれより別個に云云ということがあつたが、これは私はまことに危険なことだと思う。その点について、これは総裁にお尋ねしたいのですが、勤勉手当は一体どういう考え方で出したか。
  29. 淺井清

    ○淺井政府委員 お言葉一応ごもつともに存じますけれども、勤務成績に応じてやることが隷属主義であると仰せられるのでありますけれども、この勤務成績に応じて物事をやることは、一方においては正しい意味の勤労意欲をも助長させることにも相なるように思つておるのでありますから、この点は考えの相違かと思つております。ただ問題は勤務成績に応ずるという基礎を合理的に判断し得るかどうかということによつて、その隷属的というような御懸念はないように思つております。そこで決してこれは逆コースではないのであつて人事院といたしましては、将来勤務評定制度という、われわれの考えとしてははなはだ合理的なものをもつて、この勤務成績をはかる制度をすでに実施をいたしており、但しこの実施という意味は、この十二月に間に合うように、全官庁が実施しているという意味ではございません。それを用意しておる道程にあるものもあり、またすでに実施しておるところもあるように思つておりますが、全般的に今回この十二月の勤勉手当支給には、これによつてやり得るようにはなつていないように思つております。そこでこの差迫つた十二月につきましては、それよりもむしろたただいま仰せのような欠勤が幾らあつたか、そういうふうなことを主にしてやりたいと思つております。これらばいわゆる隷属云々のことはないように考えております。それからもう一つは、将来といえども勤務評定制度を行わないところもございます。それは大学でありますとか、その他学校教育公務員、これには普通の官庁のような勤務評定制度は、その仕事の性質上行えないのでありますから、こちらについては別個にまた考えなければならなぬが、この十二月におきましては、大体のところ小松さんの仰せられたようなことにやりたい。しかし勤務評定を現に実施しておるところもございますから、そういう点ではこれを加味してもいいんじやないか、こういうふうに考えております。
  30. 小松幹

    小松委員 淺井総裁の意見でほぼ考えておることはわかりましたが、ここでひとつ法案をくつてみますと、給与は、月額俸給とそれに勤務地手当をプラスしたものに対して、ある課長なり、あるいに主管者がエツグスをかけてそれで出す。しかし財源においては俸給と扶養家族と地域給をとつて、百分の五十をとつておる。この点について御質問したいのですが、財源をそういう扶養家族までとつて、それでやるときは扶養家族だけかけ算のときはとるということは、どういう観点をもつておるか。
  31. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今の御質問でございまするが、勤勉手当の原資と申しまするか、それを考えまする際には、仰せのように俸給、扶養手当、勤務地手当、これを基礎にいたしておるのであります。ただ支給配分という点になつて参りますならば、あるいは俸給扶養手当、勤務地手当を入れましたところの平均〇・五というような数字になりましようとも、それが支給の場合には、あるいは平均〇・五五というくらいな数字になろうかというふうに考えております。
  32. 小松幹

    小松委員 そのところが〇・五五になつたり、〇・五六になつたりするところに、私は先ほど言つた差がいろいろ出て来るんじやないかということをおそれておるわけであります。そういうところが科学的に、いわゆる能率を合法的に出したような結果であればいいが、それが主管課長といいますか、主管者が手盛りでやられる幅が、そこに見てあるんじやないかと考えられますが、その点はそうではないか、この点をちよつとつけ加えて質問をいたします。
  33. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 そういうふうな見方もあろうかと思うのでありまするが、しかしこれは各省各庁に大幅に、人事院といたしましては委任することになるでありましようから、各省各庁でおやりになるでありましよう。しかし見通しといたしましては、おおむね勤務期間というような点を差別いたしまするならば、そこに大体において平均的に支給されるということになろうというふうに思うのであります。ただその際に扶養手当まで入れたものを基礎にしてやるかどうかということが、問題にされるわけでありまするけれども、扶養家族は人によつて違う場合もございますので、まず俸給と勤務地手当ということになりますれば、これの方がむしろ勤勉手当の支給の場合に基準としてとるのには、ぐあいがいいことになろうかというふうに思うのであります。ただそのようになつて参りますると、扶養家族の多い者が若干損をするというようなことにならうかと思いまするけれども、こういう手当はやはり扶養家族の多寡ということを問題にするよりも、やはり俸給と勤務地手当ということを基準として考えました方が、より一般納得を得るのではなかろうかというふうに考えておる次第であります。
  34. 小松幹

    小松委員 継続問題がいろいろありますし、また別な質問を持つておりますけれども、ただいま委員長からの本会議が始まるという申出によりまして、一応私の質問を中断いたしたいと思います。
  35. 有田二郎

    有田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十九分散会