○
瀧本政府委員 人事院の
給与局長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
ただいま
総裁から申し上げました点につきまして、詳細に御
説明申し上げたいと思います。去る八月一日に
人事院は、
公務員の
給与水準の
引上げを
勧告いたしました。総
平均で申しますると一万三千五百十五円、こういうことに相な
つております。
人事院の
勧告と申しまするものは、俗に
給与ベース引上げの
勧告であるというふうに理解されておるのでありますが、実は
給与ベースということよりも、むしろ現在の
国家公務員に適用されておりまする
俸給表の
金額を
改訂するということが
主眼でございます。あわせまして
俸給以外の
各種の
給与にわたりまして、もし必要がありまする場合には、これも
改訂するということで
勧告いたしておる次第であります。すなわち今回の一万三千五百十五円というものの中には、具体的詳細な
地域区分は出ておりませんが、これは追
つて後に具体的なものを
勧告いたすということで、
わくだけは
勧告いたしてあるのであります。また、たとえば
特殊勤務手当という
ようなものにつきましても、これを改正いたすということを
勧告いたしておるのであります。今回の
改正案の
主要点を申し上げますると、まず
俸給表の
金額を一七%ないし四九%、
平均いたしまして約三割
増額していただきたい、これが
主眼でございます。一七%ないし四九%といいまするのは、これはこの
俸給表におきまして、
金額の低いところ、高いところいろいろとございまするが、これをそれぞれ
職務と
責任におきまして、
民間における
職務と比較いたしました場合、それぞれ均衡のとれまする
ように
改訂いたしたいということで、比較的高い
ポジシヨンの
給与を、
民間の方で上
つておりまするので上げるということで、これが一七%ないし四九%という
数字にな
つておるのであります。この
給与水準は、本年の五月一日におきましてこの
俸給表を適用いたしまするならば、一万三千五百十五円ということになるであろう、こういうことでございます。繰返して申し上げる
ようでございまするが、一万三千五百十五円ということは、それほど問題ではないのでございます。むしろ
俸給表自体、また
地域給を改正するならばそれ
自体、これが問題でございます。一万三千五百十五円というものは、これは新しい
俸給表を適用したならば、一人
当り平均がこうなるであろうという
数字でございまして、もし
職員の構成がかわりますれば、この
数字はとたんにかわるという
ようなものでございます。これ自身にそれほど意味のあるものではないというふうに御理解いただきたいと思うのであります。
次に大きな問題は
勤務地手当、これは先般
参議院の
修正議決いたされましたところを十分尊重いたしまして、近く
勧告いたします。このことは先ほど
総裁が申し上げた
通りでございますが、この問題はまとめまして
あとで御報告申し上げます。
それから
特殊勤務手当、これはいわゆる二千九百円
ベースというときから、ずつとすえ置き願
つております。また同じ
作業をや
つておりましても、ある特定の
官庁の
作業には支給されておるのでありますが、別の
官庁には支給されていないという
ような不合理が現在ございます。それで同じ
作業をや
つておりまするならば、いずれの
官庁を問わずこういう
勤務手当を支給するということにいたすと同時に、その額をある
程度引上げるという措置をいたしていただきたいということでございます。
また現在
給与法以外の別の
法律で年末
手当というものが支給されております。
御存じの
ように、これは
公務員一人当り年間を通じまして約一箇月分ということに相な
つておるのであります。本年にすでに六月におきまして半箇月分支給されております。残
つておりまするのは
あと半箇月分でございまするが、この六月あるいは十二月という
ようなときにおきまして
生計費が膨張するということは、
一般に
日本におきまして
生活慣習でございます。この
生活慣習に即応いたしまするために、
民間の
実情を
調査いたしました結果、年間を通じまして約一箇月
半程度のものが、
俸給以外に臨時的支給されておるという
実情がございますので、
人事院はこの年末に
平均半箇月分、これはただ
俸給に比例して支給するというのではなくして、ある
程度の
成績を考慮いたしまして、ここにこの
成績を反映する
ような
支給方法をいたしたい、その
平均額は半箇月分、こういう
勤勉手当を支給していただきたいということを
勧告いたしたのであります。
勧告の
主要点は、以上申し上げました
ような点がおもなことでございまするが、その
俸給表改訂につきまして、どういう
方法をと
つているかということを御
説明申し上げたいと思います。この
俸給表の
作成にあたりましても、
従前と
違つた方法をと
つておるわけではございません。すなわち
俸給表を
勧告いたしまする際に、
民間給与、それから
標準生計費この
二つの問題を
主要点といたしまして、この
二つの点を
研究いたしました結果、この
俸給表を
作成いたしておるのであります。すなわちまず
成年単身者が
生活して行くのに一体幾らかかるであろう、この点が第一点であります。この点いつきましては、まず
食料費につきまして
マーケット・
バスケットというものを用いております。現在
民間の主要な労組におきまして、いろいろ
マーケット・バスケツト方式によ
つて給与の
要求をされておるのでありまするが、
人事院がや
つておりまする
マーケット・
バスケット方式というものは、その
方法は同じでございますが、いささか
民間でいろいろ問題にされておりまする
マーケツト・バスケットと違
つております。そのおもな違いは、まずわれわれは、理想を言うのではなくして、
民間において一体いかなる
消費の
実情であるかということを
研究いたすのであります。
公務員の
給与をきめまする際に考えますることは、
民間の
一般の
勤労者が得ておる
給与よりも高からず低からず、またその
消費水準も、
民間の
一般的な
事情と歩調を合わすということが原則であります。従いまして、この
マーケツト・バスケットを
作成いたしまするのにあたりましては、まず
一般に、現在
栄養をどの
程度とつているかということを
研究いたすのであります。昨年度までは、
経済安定本部におきまして、いわゆる
国民食糧需給計画というものがございまして、その
わくというものがはめられておるわけでございまするから、これを逸脱することはできないので、その
わくに
従つて標準生計費をマーケツト・バスケツトを策定いたしてお
つたのでございまするが、本年度はその
ようなものがございません。従いまして
人事院におきましては、
厚生省が年四回
国民栄養調査というものをや
つておるのでございまするが、その結果より、
国民一般がと
つておりまする
カロリーというものが、どういう
カロリーであるかということを
研究いたしたのであります。
国民一般と申しましても、これはいろいろにわけて考え得るのでありまして、たとえば
全国平均でありますとか、あるいは六大都市でありまするとか、あるいは
東京都という
ようににいろいろわけて考えます。われわれはその際、
公務員に最も近似しているものといたしまして、
東京の
数字をと
つたのでありますが、その結果、
成年単身男子につきましては、一日二千四百七
カロリーの
栄養をとるということに決定いたしました。この
数字を昨年度の
成年単身男子の
数字に比較いたしまするならば、昨年度は二千三百三十六
カロリーということに相な
つてお
つたのでございまして、七十一
カロリーだけ本年は増加いたしておる、こういうことにな
つております。
厚生省におきましていろいろ
栄養の問題が
研究されております。で、
成年単身男子が軽
労働に従事いたしまする場合において必要な
カロリーというものが、いろいろ計算されておるのでございます。
従前は二千四百
カロリーということが言われておりましたが、ごく最近におきましては二千五百
カロリーという
数字があげられておるのでございます。しかしわれわれは、あくまで
国民一般がと
つておりまする
実情というものに基きまして、二千四百七
カロリーということを決定いたしたのでございまして、この
数字は
従前厚生省が言
つておりました軽
労働は従事いたす場合の
カロリーと同じことにな
つておるのでございます。終戦後におきまして、
各種労働組合が
給与を
要求いたしまする際に
心要な
カロリーとして掲げましたものは、二千四百
カロリーということでございましたが、数年後におきまして、
日本の
消費事情が非常に回復いたしまして二千四百七
カロリーという
数字を、われわれがあげ得るということに至りましたことは、これはまことに感慨深いことであるというふうに考えておる次第であります。この二千四百七
カロリーということを
基礎にいたしまして、いかなる費目を、いかなる
食品を組合せて、この
ような二千四百七
カロリーをとるかということが次の問題でございますが、その際におきましても、やはり
総理府統計局でや
つておりまする
消費者実態調査というもので現われておりまする実際
消費者が
消費しておりまする
食品、それを
食品別にいろいろ
ウエートをつくりまして、二千四百七
カロリーがとれる
ようにわれわれはいたしたのでございます。そこにおきましてもまた
消費者一般がと
つておりまする品物をそれぞれの
ウエートによりまして採用いたしたのでざいまして、ことさら好んで価の安い
品質の悪いものをとるとか、あるいは
国民一般が
消費しておりまするよりも、よりぜいたくなものを多くとるという
ような行為はいたしておらないのでございます。その
ような結果、
食料費は一箇月
東京におきましてどれくらいかかるかと申しまするならば、二千六百三十円という
数字に相なるのでございます。
生計費の中におきましては、
食料費以外に、
被服費、
光熱費、
住居費、
雑費と、いろいろなものがございます。われわれは
マーケット・バスケツトということでは
食料費だけ計算いたすのでございます。
被服費、
光熱費、
住居費というものにつきましても、
マーケット・
バスケットを組むという考え方もございます。しかしながら
マーケット・
バスケットを組みまする際には、
消費が非常に短かい期間に片づくという
ようなものでございませんと、なかなか幅のできる問題であります。たとえば洋服にいたしましても、これはていねいに着るのと、粗末に着るのとでは、同じ
品質のものでもずいぶんもちが違うという
ようなことがあるのであります。いろいろ
被服費等につきまして
マーケット・バスケツトをつく
つてみましても、いたずらに議論が多くて紛糾いたすということになりまするし、的確なものがつかみがたいという
事情がございまするので、この
ような
被服費、
光熱費、
住居費、
雑費という
ようなものにつきましては、
消費者実態調査というものから、その
実情から
単身者のそういう
数字がいかになるかということを調べまして、そういう
数字を
使つたのでございます。この
ようにいたしまして、
食料費以下の費用の
金額を定めまして、
東京における
金額が五千三百七十円かかるということにな
つたのであります。それでこれを
勤務地手当のつかない
地域に直しまして、さらにそれだけの
金額が手取りになるためには税金のこと、そのほか
各種の諸がかりという
ようなものがございますから、それらを含めて一体いかなる
金額があ
つたらいいかという計算をいたしてみますると、それが四千七百円ということに相なるのでございまして、この
数字をわれわれは十八才の
単身成年者に保障し
よう、こういうことに相な
つておるのであります。この十八才の
単身者というのは、
俸給表でいうと一体どの辺になるかということを検討いたしてみますると、これはいわゆる二級三号という辺にあたるのであります。現在
新制高等学校を卒業して就職いたします者は十八才でございます。これは二級三号ではございません。しかしながら
現実に
公務員では、まだまだ
年令の低い層も多くございまして、
現実の
公務員の
年令分布から見てみますると、これが二級三号くらいに当
つておる、こういうことになるのであります。すなわち
標準生計費を二級三号に定めました。このことが第一点でございます。
それからもう
一つは、
民間におきまする
各種の
職務を
調査いたしまして、それは
公務員におきましていろいろ
職務の軽い人、また
責任のいろいろな
程度の人がおるわけでございます。
職務の困難あるいは複雑の
程度、また
責任の
程度というものによりまして、それぞれそれと比較し得る
ような
民間の
一つの
職務をと
つて参るという
調査をや
つておるのであります。この
調査も従来
人事院が毎年や
つておりまする
調査と
大同小異でございます。ただ言えますることは、昨年の
調査をより合理的なものにしておるということがございます。たとえばその
調査の制度をあげまするために、いろいろと近年の推計学という
ようなものを用いまして、そうして選抜の
方法をきめますとか、あるいは特に
公務員と比較いたしまする場合に的確でないと思われる
ような
職務は除外して、より的確な
職務を入れるという
ようなくふうはいたしております。従いまして若干の進歩はあるのでございますが、その
方法は
従前や
つておるものと
大同小異でございます。そういうことを
人事院であらためてやる必要もないのではないか、世上にいろいろ信頼し得る
民間給与の
統計があるのではないかとお話になろうかと思うのでありますが、この
職務別に
調査をいたす
方式は、現在の
人事院がや
つておりまするものがただ
一つでございます。
労働省等におきまして、たとえば毎月
勤労統計という
ようなものをや
つておりますが、これは一
事業場の
平均賃金あるいは
産業別の
平均賃金という
ようなことに相な
つておりまして、的確な
職務別の個々の
ポジシヨンの比較ということは、それではなかなか期しがたいのであります。従いまして
人事院は、この問題をやむを得ず
人事院が独力によりまして毎年行
つているという次第でございます。そういう
調査をやりました結果はいかがな
つてお
つたかと申しますと、
職務の比較的困難でないもの、あるいは
責任の軽いものという
ようなものにつきましては、昨年度の
調査とあまりかわ
つていないという
実情が
明かにな
つたのであります。また
職務の困難であり、複雑である、あるいは
責任が重いというものにつきましては、昨年度の
調査よりも相当高い
数字が高い
数字が出て参
つたのであります。これは現在戦前に比べまして
実質賃金が約七十数パーセントにな
つているということが言われております。その
数字だけ見ますならば、必ずしも戦前同様にな
つているとは申しがたいのであります。しかしやはり
経済の回復に伴いまして、
給与の
支払い方法がだんだん
民間におきましても
職務と
責任によりまして、そこにある
程度の
ウエートを付しつつあるという
実情があるのであります。こういう
民間の
実情がありますならば、
公務員につきましてもやはりそういう
実情を入れて行くということがよろしいのであるということで、
民間のそういう
実情を導入することにいたしたのであります。この
標準生計費と
民間給与調査との
二つを
根幹といたしまして、
俸給表というものを
作成いたしております。
なお具体的に申しまするならば、われわれの
公務員に適応いたしております
俸給表は、
基礎に
通し号俸表というものがあるのであります。
御存じかと思いますが、一号から八十二号まで伸びておりまして、その
通し号俸表というものがございますが、これを
根幹としてまず今の
ような
方法で
作成するこの
通し号俸表を何べんか折り曲げまして、いわゆる
一般俸給表というものがつくられております、そのほかに
特別俸給表というものもございますが、すべてはこの
通し号俸表というものを
基礎にしてつく
つておるのであります。従いましてわれわれは以上の
手続によりまして
通し号俸表をつくり、
一般俸給表をつくり、また
特別俸給表をつくるという
方式をと
つたのであります。その結果が先ほど申しました
ように、おおむね三〇%
程度の
増額になる。詳しく申せば
通し号俸表の下の方におきましては一七%
程度、また上の方におきましては四九%
程度の
増額になるということに相な
つておるのであります。
職務と
責任の軽いところにおきましては、先ほども申しました
ようにほとんど昨年の
実情とかわ
つていないということにな
つておるのであります。しかしながら
人事院がこの
公務員の
給与の案を決定いたします際には、
標準生計費ということに
ウエートを置いておりますので、これを二級三号とするということでありますならば、昨年に比べて
標準生計費が上
つておるだけ、そこの部分は上
つておる。これは
民間よりはその辺の
給与というものは上げることにな
つておるのであります。
以上の
ようにいたしまして、われわれの
俸給表というものをつく
つておるということになるのでありまして、
人事院がや
つております
方式は、ただ最初に
公務員の
給与というものは、
民間における
消費者の
一般的消費水準がまず確保されなければならないということと、それから
職務別に比較いたしました場合に、
民間の
職務の複雑困難な
程度、あるいは
責任程度、そういう観点から
公務員の
給与というものは
バランスがとれなければならない。この二点でございます。その
ようなことを
根幹にいたしまして、
標準生計費並びに
民間給与調査ということをやりました。その以後におきましては、機械的に最もいい
方法によりまして
作成いたしておる、こういうことにな
つておるのであります。
以上の
ようにいたしまして、われわれの
俸給表というものをつくりました。この
俸給表を本年の五月一日で適用いたしてみますならば、そのほかの
特殊勤務手当あるいは
地域給というものを加えまして、
平均一万三千五百十五円ということに相なるのでございます。この
数字は本年五月におきまして、
民間と
バランスする
数字でございまして、すでに数箇月経過いたしておる今日におきましては、いかがにな
つておるかということでございますが、われわれはその
研究もいたしております。その後におきまして若干の
経済指標の
上昇はございまするが、現在におきましてもなおかつこの
数字を改めて、もう一度別の
数字を
勧告しなければならないという
程度には相な
つていないのであります。
以上が
公務員給与の
改訂に伴います
勧告の概要でございます。
ただ
一つ残しておりまする
勤務地手当について申し上げまするならば、先ほどもちつと申し上げました
ように、この
勤務地手当は
参議院修正の
議決をしんしやくいたしまして
作成しております。もとよりそれだけが趣旨ではございません。われわれの方はやはり
勤務地手当を
作成いたしますにつきまして、いろいろと方針を持
つております。
まず第一は、いわゆるCPIというものを
根幹といたしまして、それの
地域別指数というものをつくる。その
バランスにおいて
全国平均を見るということであります。もう
一つは
府県からわれわれの方への
意見の申出ありまする
府県内における
生活の
水準の順位というものによ
つて、都市の順位をお出し願
つておるのでございまするが、この両者をかみ合せてやるということがその
主眼でございます。しかしながらそのほかにも
各種の観点から、より
地域給というものを合理的にいたしまするために、種々の
研究をいたしまして、そういう
研究に基きまして、現在具体的な
地域の支給率を決定すべく
作業を進めておりまして、大体
作業が終了に近づいておるのでございまするが、今日の
作業の大まかな点を申し上げまするならば、まずこういうことが言えるであろうと思います。それは、一万三千五百十五円——一万三千五百十五円でなくても、現在の
給与平均額でもいいのでありまするが、その中におきまして、現在指定されておりまする
地域別のそれぞれの
地域給—そのそれぞれの
地域に
公務員がおるわけであります。そういう人々にこの
地域給の率をそれぞれの
俸給にかけまして、
地域給の額の総計を求めます。なお一人当りの
平均にいたしてみまするならば、一人当り支給される
給与額の中の一三%が
地域給に当
つておるのであります。一万三千五百十五円の
勧告をいたしまする際に、われわれが想定いたしました
地域給の率というものは、約一五%ということにな
つておるのであります。なお御参考までに申し上げまするならば、
参議院で
修正されました案というものは、これが〇・七%に当
つております。従いましてわれわれは
平均的には約二%増の案をつくろうということで、この
作業を進めておるわけでございます。言いかえまするならば、
参議院案が〇・七%でございまするから、この約二倍以上に当りまする
地域給の
増額を行おうと、こういうことをや
つておるのであります。
地域給におきまして、現在一番運営上困難な点は何であるかと申しまするならば、これは申し上げるまでもなく、
職員の異動に非常に困難であるという点がございます。従いまして県内における人事交流という
ようなことを考えます際には、やはり一級地、いわゆる五%ついております
地域というものを、相当
程度数をふやすということが
心要であろうというふうに考えられるのであります。また
一つの県内におきましてあまり
地域給の違
つた地域がぽつぽつございますると、これまた異動に困難でございます。そういう点の考えもなくてはならないということに相なろうかと思います。また
地域給というものは、現在の制度それ自身でよろしいかと申しますると、これはやはりそうは参りません。運営の上からいたしましても、現在の五段階という
ようなことは、なかなか運営上大きな支障がございます。従いましてこれは段階を縮める必要があろうかと考えるのであります。これはまた別の面から漸次
経済の状況が回復いたして参りまして、都会と地方の町村におきまする
生計費の実態というものが漸次幅を狭めて来る。これは
一般的にはそういうことが言えるであろうと思うのであります。そういう
事情がありますならば、やはり
地域給の幅というものは漸次縮小されなければならないというふうに考えるのであります。
地域給の幅を縮小いたしまする際に、いかなる
方法でこれをやるのがよろしいかと申しますると、これはやはり一級地を漸次増加して行きまして、そして次には現在の零級地を廃止するという
ような
方法によるのが、一番穏当ではなかろうかと思います。か
つて人事院が三割上げました
地域給の差を二割五分にいたしたい、しかしその五%だけは本俸に繰入れていただきたいという
ような
勧告をいたしたのであります。しかしながらこれはいろいろな都合で
国会におきましてわれわれが
要求いたしますだけの
給与の
引上げがなされなか
つた。ただ
地域給が三割から二割五分にされたことがございます。そのときにおきましてはみな
地域給は切下げられたという、非常な不満を持
つたのでございます。この
ようなことは、運営上非常に支障がございますので、
地域給を廃止するのには漸次一級地をふやして行くという
方法によらなければならない。その上に零級地を廃止するという
ような
方法に行かざるを得ないのではないかというふうに考えます。まあ理論的にはそういうことになろうかと思いますが、実際
作業といたしましては、これはなかなか困難もございますが、なるべく一級地を増加するという
方法をとりたいというふうに考えております。また
参議院修正で行われておりまするこの
地域給の改定は、いろいろ
研究はされておりますが、
府県によりましては必ずしも全国的な
バランスがとれていない向きもあるのであります。その
ようなものにつきましては、
人事院で十分
調査いたしまして、全国的な
地域の
バランスをとるという必要があろうかと思います。また正式に
議決はされておりませんが、衆議院におかれましても、
人事委員会を中心に御要望等が相当整理されてお
つたのであります。今後もおそらく整理されるでありまし
ようが、そういう御
意見も、
参議院の御
意見と同様に、われわれは尊重いたしまして、この案の
作成に当る必要があろうというふうに考えておる次第であります。いずれにいたしましてもわれわれは衆議院の案が〇・七%の
修正を
平均的には試みることになるのでありまするが、それを約二倍以上にいたしまして、全国的な
バランスをとりたいというふうに考えておる次第であります。
以上
給与引上げの
勧告並びに
地域給について御
説明申し上げた次第でございます。
説明の不十分な点につきましては、御質問にいくらでもお答え申し上げます。何とぞよろしくお願いいたします。