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1953-02-23 第15回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十三日(月曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 荒舩清十郎君 理事 高木 松吉君    理事 中野 四郎君       菅家 喜六君    篠田 弘作君       中田 政美君    丹羽喬四郎君       明禮輝三郎君    栗田 英男君       前田榮之助君    横路 節雄君       木下 重範君  委員外出席者         証     人         (大蔵省管財局         長)      阪田 泰二君         証     人         (閉鎖機関交易         営団清算人)  黒瀬 勘一君         証     人         (元軍需省機械         局長)     橋井  真君     ————————————— 本日の会議に付した事件  接収解除貴金属及びダイヤモンド関係事件     —————————————     午前十時四十五分開議
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き接収解除貴金属及びダイヤモンド関係事件について調査を進めます。  ただちに証人より証言を求むることにいたします。  ただいまお見えになつておられる方は阪田泰二君ですね。
  3. 阪田泰二

    阪田証人 はい。
  4. 内藤隆

    内藤委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り、正式に証人として証言を求むることに決定いたしましたから、さよう御了承を願います。  この際証人に申し上げますが、戦時中多数国民諸君より供出されましたダイヤモンド、金、白金等は、平和条約発効と同時に接収解除となりまして、現在日本銀行地下の倉庫に収納され、大蔵省によつて保管されておるのであります。このダイヤモンドの収納、保管経過、処理の方法等につきましては、世上大いに疑惑を持ち、関心を抱いておりますので、これが真相を明らかにすることは、きわめて意義のあることと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第で、証人におかれましては、率直なる証言をお願いしておきます。  それでは、ただいまより接収解除貴金属及びダイヤモンド関係事件について証言を求むることにいたしますが、証言を求める前に、証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以不の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつおいていただきたいと思います。なお、証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものでありましたときは、その旨をお申出を願いたいと存じます。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人阪田泰二朗読〕      宣 誓 書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  5. 内藤隆

    内藤委員長 それでは、宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また、御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  阪田証人は現在大蔵省管財局長であるようでありまするが、大蔵省にお入りになつてからの経歴を簡単にお述べ願います。
  7. 阪田泰二

    阪田証人 正確なことは、履歴書を持つておりませんので、申し上げられませんが、大体大蔵省昭和六年の四月に入りまし先。その入りました大蔵省での職務は、税務署長、それから銀行局の課長預金部資金局課長秘書課長主計局の次長、それから給与局課長もしました。それから、最近におきましては、東京の国税局長日本銀行政策委員、それから経済安定本部財政金融局長を経まして、昨年八月一日から管財局長の職についております。
  8. 内藤隆

    内藤委員長 大学を御卒業になつてから、ずつと大蔵省おいでになるわけですな。
  9. 阪田泰二

    阪田証人 さようでございます。
  10. 内藤隆

    内藤委員長 管財局特殊財産課というのは、どういう事務を分担しておるのでありますか。
  11. 阪田泰二

    阪田証人 管財局におきまして、大体におきまして国の債権徴収、たとえば公団等におきましての未徴収債権等を、国が引継いで徴収に当つております。その他いろいろ債権徴収仕事、それから今回問題になつておりますダイヤモンドあるいは金銀等接収物件の引渡されたものの管理に関する仕事、あるいは共有船舶の持分の管理、そういつたような仕事をやつておるわけでございます。
  12. 内藤隆

    内藤委員長 接収貴金属等数量等報告に関する法律管財局所管としたのは、どういう理由でありまするか。
  13. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまの法律所管管財局にいたしました当時の理由は、私はよく存じておりません。私が八月一日に管財局長になりましたときには、大蔵省の組織が全般的に改正されまして、管財局所管事項になつておりましたので……。
  14. 内藤隆

    内藤委員長 御就任になる前にそういう法律が出ておつたものだから、詳細は知らぬ、こういうわけですな。
  15. 阪田泰二

    阪田証人 はあ。
  16. 内藤隆

    内藤委員長 現に日本銀行地下室の金庫に保管されておるダイヤは、国の所有と認められますか。もし国の所有と認めているならば、その根拠をお述べを願います。
  17. 阪田泰二

    阪田証人 この点につきましては、接収並びに解除に関連する法律関係につきまして、ただいま慎重に検討中でありまして、国の所有である、あるいは所有でないというふうに、結論は下していないわけであります。現実問題といたしまして、国が管理をいたしております。こういう形になつております。
  18. 内藤隆

    内藤委員長 まだどこの所有とも決定していないが、国が管理をしているわけなんですね。戦時軍需省所管のもとに営団によつて買い上げられたダイヤが、占領軍によつて接収され、これが解除されましたが、現在管財局所管となるまでのいきさつをお述べ願いたい。
  19. 阪田泰二

    阪田証人 この点につきましては、私が管財局に参ります前に接収解除が行われておつたわけでありますが、大体の経過を申し上げますと、ダイヤモンド等接収されました関係につきましては、占領中に、占領軍の手によりまして、その実力行為として行われたものでありまして、大蔵省におきましては、当時接収に関しましては関知していなかつたというふうに、私ども聞いております。それで、実際問題といたしまして、占領軍接収いたしましたダイヤ——その他貴金属一緒でありますが、日本銀行あるいは造幣局等保管されておつたわけでありますが、それにつきまして、連合軍側から、これを日本政府保管を移すという話が最初にありましたのは、一昨年の六月のことであるというふうに聞いております。その後、この保管の引継ぎに関する手続をいたしておつたわけでありますが、実際問題といたしましては、完全に日本側管理に移されましたのは、——その際には、一応受領後に再調をするというような条件をつけまして、二十六年の六月二十八日に一応受領して、そのまま日本銀行保管を依頼したという形になつております。さらにその後、第二次手段といたしまして、二十六年七月三十一日に中国銀貨等の移管を受けております。それで、実際問題といたしまして、完全に日本側に移されたという形になりましたのは、平和条約発効後のことであります。大体経過としてはそういうような点であります。
  20. 内藤隆

    内藤委員長 その当時保管を委託されたのは、管財局ではなかつたようですな。
  21. 阪田泰二

    阪田証人 さようであります。
  22. 内藤隆

    内藤委員長 委員長尋問はこの程度で終りましたので、委員諸君の御質問を許します。中野四郎君。
  23. 中野四郎

    中野(四)委員 阪田さんは、一昨日理財局長石田さんにいろいろと証言を伺つております間、うしろにおられて、お聞き及びのようでありましたから、きようお尋ね申し上げることも、大体の要点はおわかりだと思うのです。しかし、前もつてお断りしておかなければならぬことは、その節も石田さんに申し上げましたように、かねて接収解除の実際上の行為昭和二十六年の六月の二十九日に行われまして以来、その後の処置等に関して立案計画を立てられました石田さんが、本問題に対しては一番よく知つておられるのです。私はかねて、接収貴金属等数量等報告に関する法律案大蔵委員会に出されたときから、ずつとこれに関連をして参りまして、当該所管課長であつた横山理財局管理課長とともに、この問題についていろいろと話し合つて参つたのでありまするが、阪田さんが八月の一日から管財局長に御就任になりますと同時に、所管がえになつたので、事実上における内容はなかなかあなたではわからぬだろうと思うのです。従つて、御無理がないと思つたから、まず理財局長——管財局長理財局長との間において、責任の転嫁のし合いと申しまするか、中心がぼけてはならぬと思いましたから、石田さんに、前提として、この問題に対する中心的人物として権威ある発言を願いたい、責任ある証言を願いたいと申し上げたのですが、ややもすると、管理がかわつたので、管財局長に聞いた方がわかるという態度が、他の委員質問に対して見えました。そこで私は、前提として、そのような食い違いのないようにするために、阪田さんにおいで願つてお聞きをした結果において、中心がぼけた場合には、この委員会ではちよつと前例がないかもしれませんが、——私は隠退蔵物資等に関する委員会の設立当時からずつと関係をしておりましたが、考査委員会のときだけ委員なつたことがありませんものですから、その前例のほどは、当時のことを確かめねばわかりませんが、場合によれば、石田さんと阪田さんと御一緒の席において伺わなければならぬような事態が生ずるかもしれぬことを前もつて申し上げておきたい。従つて、あなたの所管に対する責任上の問題について、きようは重点的に伺つて行きたいと思います。伺う過程においては、どうも私は元来声が悪くて、ときどき大きな声を出さないと自分の声が出て来ないものだから、非礼に当る点があるかもしれませんが、御了承の上、適宜お答えを願いたいと思うのです。  第一番に伺いたいことは、接収貴金属等数量等報告に関する法律が成案されまして、昨年、すなわちあなたが管財局長として御就任になりました八月一日から、越えて一箇月、すなわち九月三十日までの間に、全国からこの法律に基いておのおの報告があつたと私は思つております。その報告内容です。すなわち、その申告の結果、数量、品目、こういうものについて詳細に御説明を願いたいと思います。
  24. 阪田泰二

    阪田証人 接収貴金属等数量等報告に関する法律に基く報告の結果でございますが、これにつきましては、全国の各財務局出先等に集まりました報告をとりまとめて、こちらで調査いたし、整理いたしてみたわけでありますが、実際問題といたしまして、出て参りました報告内容がいろいろでございまして、中身において、たとえば接収された数量も明確でないもの、あるいは数量ははつきりしておるが、たとえば金の純度、ダイヤモンド品質等、はつきり明示してないもの、あるいはそういうものが接収されたという証拠になるような書類がついておるもの、ついていないもの、いろいろでありましたわけであります。それで、一応そういうものを集計いたすことも、いろいろ雑多な形で出ておりますので、なかなか困難でありましたわけでありますが、これは数字を一々申し上げますか。
  25. 中野四郎

    中野(四)委員 どうぞ。
  26. 阪田泰二

    阪田証人 一応申し上げますると、金の地金に関する接収報告が九十一件、数量で二百十三トン四百九十六キロ百九十四グラム二十七、本邦金貨に関する接収報告が二十八件、百七十七万九千八百三十枚、本邦の古い金貨に関するもの、これが十四件、七十九万九千六百四十六枚、外国金貨に関するもの六件、三百九十八枚、銀の地金に関するもの二百二十二件、三千四百三十三トン四百十一キロ二百四グラム四十七、本邦銀貨五十四件、六千七十四万八千九百三十二枚、外国銀貨十二件、六万二千五百八十六枚、白金地金八十二件、十二トン三百七十三キロ二百四十四グラム七十二、ほかに、内容の不明なもの、届出のあるだけのものが二箇あります。それから白金属、これはイリジユームとか、その地白金属地金、これが十三件、五十五キロ百八十二グラム〇八、貴金属のいろいろな合金の地金、これが四十一件、百三十二トン五万五千二百七十八グラム六十一、ほかに内容の不明なものを多少含んでおります。それからダイヤモンド、これの装飾用のものが十四件、十六万七千九百七十八カラツト二十五、ほかに五十八個、カラツト数不明のものが五十八個、貴金属及びダイヤモンド加工品九十二件、これは個数で言いますと十五万九千九百五十八個、グラムで言いますと二十八トン百十三キロ四十八グラム二十六というものがございますが、そのほかに、内容個数重量等で表わすことの不便なものをなお含んでおります。大体集計いたしました結果、これはなお詳細内容を検討しますと、多少こまかいところは狂うかもしれませんが、集計しましたものは大体こういう数字であります。
  27. 中野四郎

    中野(四)委員 そこで、さらに伺いたいのですが、大蔵省蔵管第一〇八号ですが、昭和二十八年一月十九日付、行政監察委員長内藤隆君にあてて、管財局長阪田泰二として御報告になりましたこの公文書は、内容において聞違いありませんか。ごらんにいれましようか。     〔中野(四)委員書類証人に示す〕
  28. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまの文書は、その当時の管財局における資料に基きまして提出いたしたものでありまして、内容数量等につきましては、その後の整理で多少動いておるものがあるかと思いますが、一応当時として正確な内容のものを提出したわけであります。
  29. 中野四郎

    中野(四)委員 数量等の少しぐらいの違いは、ここで問うことを後にまわしまして、その基本的な、つまり接収貴金属等数量等報告に関する法律には、根拠裏づけとなる物的証拠等のことが明らかに書いてあります。そこで、これを拝見しますと、特にきようはダイヤモンド質問に重点を置きたいと思つておりますが、金、銀、白金は後ほどお伺いすることとして、接収受領書のあるもの、すなわち十六万七千六百八十一カラツト、それから裁判所判決警察官の立会い証明があるものLうなし、その他証拠書類のあるものLうなし、として、証拠書類はないが事実の推定でき得るもの二百九十カラツト、としてあります。証拠書類がなく事実の推定できないもの、不明一、二カラツトとしてありますが、これについては間違いないでしようか。
  30. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと証人に申し上げますが、連れて来た事務官をお呼びになるときは、委員長許可を得てやつてください。
  31. 阪田泰二

    阪田証人 この接収受領書のあるもの、その他、届出分類につきましては、一応届出書を見まして分類をしてみたわけでありますが、内容につきましては、ここにありますように、接収受領書のあるものが十六万七千六百八十一カラツト、こういうように一応記載してあるわけであります。ただこの中には、たとえば接収受領書が、届出中の一部のものについてはあるが、一部についてはない、こういうものも含んでおりますので、十六万七千カラツト全部について受領書が整つておるということにはならないわけでありまして、その辺、この表のつくり方としては少し適当でなかつたかと思いますが、内容としては、そういうふうな一応ざつとした整理をしたということを、御了承願いたいと思います。
  32. 中野四郎

    中野(四)委員 行政の任に当つておられる大蔵省に対して、立法府である国会が必要と認めてそれぞれの要求をいたします。その要求書類というものは、国家の最高権威としての国会要求に基いたものでありますから、その回答の内容はきわめて的確なものでなくてはならぬことは論をまたぬところであります。しかし早急の場合であれば、幾らかの違いがあることは私も了承いたします。第一番に伺いたいのは、この十六万七千六百八十一カラツト接収受領書のあるものという。これは、この数量等報告に関する法律に基く報告内容としては、いささか納得のできぬものでありますが、あなたの方からお出しになりました約十六万七千カラツトのうち、十万カラツト領収書のないものを領収書のあるがごとくに掲載されたのは、一体どういう理由に基くものでありましようか。領収書がないものであれば、領収書はないけれども、その他の証拠書類等によつて推定ができるとか、あるいは裏づけができるというならばわかりますが、領収書が全然ないにもかかわらず、十六万七千カラツトの中の十万カラツト領収書ありと国会報告したのは、いかなる見地に基いて、いかなる法的根拠に基いたものか、御証言を願いたいと思います。
  33. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまお尋ねのごとく、この十六万七千カラツトの中には、その数量に対して受領書のないもの十万カラツト余あるというふうに私ども見ておるわけであります。ただ、この表を整理いたしますときに、早々の間にやりましたので、受領書のついておる届出は一件としてここに入れるというふうな整理をいたしましたので、その点やや整理が疎漏であつたと考えておりますが、内容といたしましてはそういうふうになつておるわけであります。
  34. 中野四郎

    中野(四)委員 私のお尋ね申し上げておるのは、十六万七千カラツトのうち、約十一万カラツトですよ。数の上においては圧倒的な数字を、領収書がないにもかかわらず、領収書ありと報告しておる根拠がわからぬのです。わずか五カラツトとか、あるいはこの十七万カラツトのうちの幾分かというなら、私は話がわかりますが、大部分を占める十一カラツトに相当する多数のものが領収書ありとして報告しておる。しかも接収貴金属等数量等報告に関する法律というものがあつて、それにはちやんと根拠が載せてある。接収受領書のあるものとか、裁判所判決とか、警察官の立会い証明のあるものとか、その他の証拠書類のあるものとか、証拠書類はないが事実の推定のできるものとかありますが、なぞこういうところに載せないで、接収受領書のあるものとして国会にこのような多数の数字を載せて報告して来たか、その法的根拠を伺つておる。一体どの法律根拠従つてこのような掲載の仕方をし、国会に提示して来たかと聞いておる。疎漏の点のあるのはもとより疎漏なんです。疎漏ではないのです。これは何か意味するものがなくては、かような数字国会に提示するはずがないのであります。前提として申し上げたように、あなたは御就任後日が浅いのです。私は、あなたの下僚の方でもこれはなかなかわからぬだろうと思うのです、ダイヤモンドの問題は、掘り下げれば掘り下げるほど非常に奇怪しごくの保管処置がとられておるのであります。従つて新任管財局長に問うのはあまりに酷だと思いますけれども、当面の責任者である管財局長が一月十九日付で報告して参りました内容を見て、われわれは愕然として驚いた。この十一万カラツト接収受領書のあるものとして記載して来た法的根拠は何であるか、さらに伺いたいと思います。
  35. 阪田泰二

    阪田証人 先ほども申し上げましたように、この表といたしましては、接収受領書のついておる届出を一括してこの欄に上げましたわけでありまして、届出数量受領書内容が符合してていない、受領書が不足しておる、こういうものもこの中に含めて整理してしまつたわけでありまして、その辺、表が多少ごらんになる方に誤解を起すようなおそれもあると考えますので、先ほど来表のつくり方に手落ちがあつた、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  36. 中野四郎

    中野(四)委員 それでは、別な観点から伺いますが、この中の大部分占むるところの交易営団数字ですね。あなたの方では、受領書ありとして、証拠物件として国会の方にお出しになりましたが、その英文のコピーをことごとく翻訳いたしております。その中に、先ほども申し上げた大部分を占める約十一万カラツトのもの、その他白金、金、銀その他貴石というものが相当接収されたということは書いてあるのですけれども、これは一つも領収書がありません。従つて、あなたの先ほどの御説明を聞きますと、この領収書のないものは、接収領収書のあるものとして認定はしないけれども、ただあなたの方の手落ちからこの中に入れたというふうに説明をしておられるように了承してよろしゆうございますか。
  37. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまの英文のコツピーというのは、ちよつとどういうものか存じませんが……。
  38. 中野四郎

    中野(四)委員 ごらんに入れましよう。これがあなたの方からお出しなつたものです。     〔中野(四)委員書類証人に示す〕  それが全部領収書がついておるはずです。あなたの方から領収書ありとしてお出しなつたものだが、一体それは領収書でしようか。
  39. 阪田泰二

    阪田証人 この問題の英文の書面につきましては、私ちよつと内容を当時よく存じておりませんので、何ともお答えを申し上げかねるわけでありますが、交易営団届出に対して、全部に対しては受領書がない、——十万カラツトのものに対しましては接収受領書がないということは事実でございます。
  40. 中野四郎

    中野(四)委員 接収受領書のないものをば、接収受領書ありと国会報告することは、国会を軽視するもはなはだしいものだと思います。しかしながら、この問題はいずれ項を追つてお尋ねすることにいたします。  そこで、さらにお伺いいたします。ダイヤ貴金属等報告でありますが、上この報告内容を見ますと、接収をされました当時においては、ダイヤ、金、白金、あるいはその他貴石というものが相当数ここに接収をされておるわけであります。その他の貴石とは、一昨日あなたはうしろでお聞き及びでありましたでしようが、ダイヤモンドの供出を受けました当時の状況を聞きますと、ダイヤは大体裸で持つて来ないというのです。指輪なり、首飾りなり、帯どめなり、そういう装飾用具の中にダイヤが入つておりまして、これを一個のものとして松阪屋、松屋等においては買い上げました。そして、それを分解をし、ダイヤは何カラツト品質はどれだけ、金の目方白金目方というふうに分類をいたします。その際、貴石その他の宝石も買い上げて交易営団に送り込む。交易営団中央物資活用協会あるいは各デパートにおきまして、この通り全国から出て来たものを見ますと、接収当時には相当多量の貴石がなくてはならないと思いますが、この宝石は、接収貴金属等数量等報告に関する法律案件国会に出すときに、なぜ含めて提案をしなかつたか。この法律案件の中を見ますと、なかなか巧妙な書き方がしてあります。すなわち、「この法律で「貴金属等」とは、金、銀、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウウ、イリジウム及びイリドスミンの地金及び加工品並びにダイヤモンド及びその加工品をいう。しとあつて貴石が載つていない。ところが、その後の貴石の取扱いの状況によつて察するに、これは確かに接収解除になつてなければならないと思いますが、この貴石はどうして報告をしなかつたのか。そしてその後の処置はどうしておるかということを伺いたいと思います。
  41. 阪田泰二

    阪田証人 この接収貴金属等数量等報告に関する法律、この中にダイヤモンド以外の貴石報告事項に含ませなかつたというその当時の事情につきましては、私はどうもよく承知しておりません。ただお尋ねの点につきましては、実際問題といたしまして、連合自軍によりまして接収されたものの中に、ダイヤモンドのみならず、その他の貴石も含まれておつた、ごく少量でありますが、入つておりましたということは事実でございます。
  42. 中野四郎

    中野(四)委員 だから伺つておるのですが、この貴石はどういう取扱いをしたか。すなわち、接収解除の物件は、一昨日石田理財局長に伺つたところによりますれば、明確に答弁をしておりません。何を一体接収解除を受けたのか、ただ単に貴金属ダイヤを受けたというだけの報告でありまして、その他の大事な宝石が一向報告をされておらない。あなたは、含んでおつたことは事実だつたとおつしやるが、ここに出ておりまするこのコピーの内容宝石を集めましても、相当多量な品であります。四百五十数件の件数の中で、出て参りました宝石は相当多量でなくてはならぬはずであります。交易営団中央物資活用協会、その地名古屋、大阪、熊本、各方面で接収をされました状況をぱつぶさに調査をいたしますると、その多量な宝石報告されず、しかもあなたは、少量ではあるがあつたと言われますが、なぜこれを国会報告しないか。同時に、どういう処置をとつたか。これをまず伺つておきたい。
  43. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまのダイヤモンド以外の貴石に関することでありますが、これにつき」ましては、実は少量こういうものが接収されたものの中に含んでおつたということを申し上げたわけでありますが、さようなことを申し上げます根拠は、実はそういうふうな貴石につきまして、ダイヤモンドその他の貴金属解除の話があります前に、連合国軍側から返還を受けたものがありますので、それについて申し上げたわけであります。その関係状況を大体申し上げますと、一昨年、二十六年の六月、接収解除して保管を移すからというような司令部からのメモがありまする前の、二十六年の五月二日でありますが、そのときに、大体数量で行きますと、三千六百五十八個ということになつておりますが、それだけの貴石類の返還があつたわけでございます。それで、これの返還につきましては、その後に管理を移すという話がありましたものと違いまして、先方の連合軍側からの話は、これは戦時中に民間から海軍に献納された恤兵品である、旧所有者も判明しておるから、また旧所有者別に整理してあるから、これを旧所有者に返還してもらいたい、こういうことで返つて来たものであります。
  44. 中野四郎

    中野(四)委員 これはまた重大な証言の食い違いが生じて参りました。一昨日の石田君の話では、二十六年の六月二十九日、突如司令部からの命令で解除を受けて、初めて接収解除保管がえについて聞いたと言うておる。あなたの御説明を聞くと、二十六年の五月二日に、すでに一部解除を受けておるという事実が立証されるわけです。しかも、あなたは今、これは恤兵品であると言つていらつしやいますが、一部恤兵品であるものもありますが、私のお尋ね申し上げているのは、大蔵省がすべての書類としてここべお出しになりましたこのコピーの中に、血兵品にあらざるところの貴石が相当多量あるのです。これをあなたの方でないとは言わせないのです。なぜかならば、あなたの方では去る一月でしたかに、関東財務局をして交易営団に一部無償で払い下げておる事実があるのです。従つて交易営団に二百四十数個の宝石を返しておる限りにおいては、他にもどこかに返していなければならない。今おつしやつた三千六百五十八個をぱ処分なさる——この処分権については後ほど伺いますが、とにもかくにも、相当な宝石があつたわけなんです。この宝石を一体どうしたかと言つておるのです。これだけの宝石を、あなたの方ではどういうふうに処分なさいましたか。処分権がはたしてあなたの方にあるかないかという問題なんです。従つて貴石は全部で何ほどあつたか。恤兵品としては三千六百五十八個五月二日に受けたかは知らないが、そうでない、恤兵品にあらざるところの、交易営団あるいは各デパートないしは大阪、横浜、熊本、こういうところで接収されましたところの貴石の数は、これほどの数じやないのです。もつと莫大な数です。あなたの方で御報告になつていらつしやるのですから、ちやんと数字があるはずです。ですから、それはどうなさつたか、こう聞いておるのです。  続いてもう一つ、何かはかに解除を受けられたものがありますか。この二点を伺いたいと思います。
  45. 阪田泰二

    阪田証人 ただいま申し上げました三千六百五十八個、このうち、お話のように、最近一部、二百七十一個という数量でありますが、これを交易営団に返還いたしておりますが、その他の分につきましては、これは政府の税関とか、通商省その他から接収されたものである、こういうことでありましたので、これはそのまま大蔵省において保管いたしております。  解除につきましては、一昨年の六月に話がありまして、平和条約発効と同時に、完全にこちらの管理に移りました。貴金属等のほかに、時々、日本の産業上の必要に応じまして、解除を受けて、代替貴金属を供出して参りました。こういうものは、もちろんあるわけでございます。その他に、ただいま申し上げました貴石解除を受けたというような、こういう特殊なものを大蔵省の方で解除を受けて受取つたという事実は、私としては承知いたしておりません。
  46. 中野四郎

    中野(四)委員 とにかく、貴石を受取つたという新事実の出て来たことだけは明らかになりました。  そこで、もう一点伺つておきたいのは、二百七十一個のこの宝石営団にお返しになりましたが、当時黒瀬清算人に命じて、鑑定人を同道して来いと言いまして、鑑定人を同道してこの宝石を鑑定して、営団のものであるということをあなたの方で認められて、そうして二百七十一個を返還されたというが、先ほどあなたのおつしやるところによれば、恤兵品と言つておりますが、鑑定の根拠はどこにあつて営団のものだということを認定せしめて、これをお渡しになつたか、伺いたい。
  47. 阪田泰二

    阪田証人 この貴石につきましては、連合軍側から返還を受けましたときに、交易営団から接収したものとして、一般のダイヤ等とは異なりまして、別整理にしてあつたものであります。従つて、これは大体交易営団から接収されたものであるという推定がつきましたので、交易営団関係者も呼びまして見せた結果、交易営団の元持つてつたものであるということにきめまして、一応返還いたしたものであります。
  48. 中野四郎

    中野(四)委員 おかしいじやないですか。恤兵品を処置する道が違うじやありませんか。恤兵品を処理するにはまた別な道があるはずです。にもかかわらず、交易営団のものということを認定せしめた。かりにあなたの言葉をそのまま伺うことにしまして、三千六百五十八個のうち、あえて交易営団のものだと認定せしめる根拠はどこにあつたか。鑑定人が、これとこれはおれのものだ、——ああそうだ、それはお前のものだとお認めになる根拠がなければならぬ。ただ鑑定人が行つて、これとこれとこれは私の方のものですと言つただけでは、国家の財宝を扱うところの国家公務員として適切な処置をしたとは言えません。やはりあなたたちの行動は、何か裏づけがなくてこれを処置するわけには参らないわけですから、どういう鑑定の根拠によつて、しかも恤兵品であるものを、いかなる根拠によつて営団にお渡しになつたか。営団のものだといつても、三千六百個からある中で、どうして一体営団のものだということが選別できるのでしようか。しかも鑑定人が、従前交易営団においてすべてを取扱つてつた鑑定人ならよろしいが、単なる再鑑定人等が、全国から買い上げ、あるいは恤兵品として送られたものを、どうして交易営団のものだと断定できるでしようか。常識をもつて判断しても、阪田さん、これはわからぬじやありませんか。どういう意味でしようか、いま少し具体的に伺いたいと思うのです。あなたをあまりいじめるのは済まぬと思うけれども、大事な問題ですからね。
  49. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまの御指摘の点でありますが、非常にごもつともだと思うのです。それで、この問題の貴石等につきましては、今回の大量の接収貴金属が返還されます前に、恤兵品ということで、ことに所有者別にはつきり整理して先方から返還を受けましたので、その後の処分が漫然とその所有者別の整理にたよつてつたようなきらいが、私どもあとから見まして、あつたように考えますので、われわれの現在の考えといたしましては、この処理はやや十分な手続、調査もしないで、ことに全体の接収貴金属処理の方針がきまらない先にこういう処置をやつたのは、少し処置が早まつたのではないか、こういうふうに考えておりますので、近い将来に是正の措置をとつて、元へもどさせる、こういう措置をとるつもりであります。
  50. 中野四郎

    中野(四)委員 悪い例かもしりませんが、人のものをとつたのは悪いから、どろぼうになるといけないから、もう一ぺん返すと言う。         ————— りくつは悪いかもしれませんが、私は、単なるそんな処置だけでは済まないと思うのです。なぜかと申しますと、恤兵品であるならば恤兵品の処置をすべき道がある。大蔵省交易営団に直接に返すという理由は全然あり得ない。あなたたちは、あやまちだとかおつしやるが、そうではなく、越権のさたなのです。私らをして言わしめれば、むしろ越権どころではない。何か大蔵省は、このような交易営団中央物資活用協会、あるいは伝えられるような一般貴金属商との間に、緊密なる連絡の上に立つて、国民の目をかすめて行動をする感が深くわれわれに映じるのです。  そこで、続いて伺います。これは大事な問題ですが、今国会にあなたの方から、金、銀、白金ダイヤモンド等、すなわち日本銀行にありますところの接収解除の物品に対して、適当なる処置をしたいというので、この法案をば提案する用意をしておられるようでありますが、その内容はどういうもので、いつごろ出すつもりでおられるか、一応伺いたいと思います。
  51. 阪田泰二

    阪田証人 この接収金貴属等の処理につきましては、国会の御議決を経て、法律によつて処理する、こういうことになつておりまして、私ども、ただいま鋭意法案の準備中でございます。ただ、その内容につきましては、法律的にも実際的にも、いろいろとむずかしい複雑な問題がありますので、まだ十分確定するまでには至つておりません。できるだけ近い将来に内容をまとめて、法案の御提案をいたしたいということで、ただいま努力いたしておる最中でございます。
  52. 中野四郎

    中野(四)委員 私の錯覚であるかはしりませんが、私が伝え聞くところによりますと、あなたの方では一応成案を得て、本月中に大体提案の準備をしておつたのでありまするが、いかなる理由か、これをば今提案することを控えておられるということを私は承知しておりまするが、そのような事実がありますか、ありませんか。
  53. 阪田泰二

    阪田証人 ただいま成案と申されましたが、案は今までに何回もつくつておるわけであります。しかし、まだ固まつた案というところまでは参つていないわけであります。どういう情勢か知らぬが、その進行の手続をとめておるというような話がありましたが、決してそういうことはありません。できるだけ早く国会に提案したいということで仕事を進めておるのであります。
  54. 中野四郎

    中野(四)委員 その点は了承いたしました。そこで、その案をつくるにあたつても、第一番に伺わなければならぬことは、一昨日も石田君に申し上げたのですが、この接収貴金属等数量等報告に関する法律案を企画立案したのは、「返還その他の措置」という点を内容にうたつておられまして、そのためにこういう法律が必要だと言うておるのです。従つて接収をしたとか、されたとか、あるいは接収解除を受けたという点の法的根拠がまず明確にならないと、そういうものの処理の立案計画というものは立てられぬと思いますが、あなたは、レクイジシヨン、すなわち接収というものが、へーグにおける陸戦法規によるものか、ないしはポツダム宣言の受諾に基く条章によるものか、どちらによつて接収されたか、接収というものをどういうふうに解釈しておりますか、まず第一に伺いたいと思います。
  55. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまの接収ということにつきましては、接収貴金属等数量等報告に関する法律というものがすでに出ておりまして、接収という字も出ておるわけであります。ただ、この法律におきましては、いろいろそういうむずかしい法律問題は、最後の処理のときに至つて解釈をはつきりきめるということで、一応この法律の立案当時の——私はその当時は関係しておりませんが、当時の考え方といたしましては、接収という、——こういう貴金属等を日本の手から連合国軍の占領軍管理に移した、こういう事実行為をとらえて規定してあるように思うのであります。それで、この接収という行為をどういうふうに解ずるか、具体的に言えば、没収というような形になりまして、一応占領軍所有に移つたのか、またそれが解除されることによつて、こちらのいずれかの側の所有に移つたのか、どうなつたのか、こういうような点につきましては、これは今回の処理に関する法律案につきましても一番中心になる点だと思います。それで、私どもも、この点につきまして、特に今一番苦心いたしておりますと申しますか、慎重に研究いたしておるわけでありますが、まだ、こういう方法であるというふうに、はつきり、政府として、法律の提案者として断定を下すというまでには行つておりませんので、御了承を願いたいと思います。
  56. 中野四郎

    中野(四)委員 接収というものが没収であるか、管理であるかということがよくわからぬ、——これは二つの道しかないです。たとえて言えば、へーグにおける一九一一年に調印をした陸戦法規によるか、いわゆる没収と言いますか、コンフイスケーシヨンとでも言いますか、これか、あるいは日本としてはポツダム宣言を無条件で受諾しておるのですから、このいずれかによらざるを得ないのです。従つて接収解除というものについては、平和条約の条章に従つて請求権を一切放棄しておる日本といたしましては、当然これが考えられなければならぬわけなんです。接収解除というものが、いまだその接収されたものの所有権というものが明確になつていないことは、あなたもお認めにならざるを得ないと思うのです。しかしながら、あなたの方の感覚から言うと、何か所有権というものはもう明確になつたというような態度をとつておられる。たとえば、交易営団に一部の物品を渡された、——たといあやまちにしても渡されたり、あるいはそれぞれのことを考えておられることを総合いたしますと、接収解除によつてすべてのものの所有権がきまつたかの感を抱かされますが、その所有権というものが、どういう根拠によつてどこに行くか、どういうふうになるかという点について伺いたいと思うのです。すなわち、接収解除を受けたものは国の所有であるのか、あるいは個人の所有であるのか、こういう点についてお調べになつた過程を詳細に御説明を願いたい。
  57. 阪田泰二

    阪田証人 先ほど貴石等の解除につきましてどうもいささか早まつた措置がありましたことは、たいへん遺憾でありますが、そのときも申し上げましたように、やはり今回の法律によりまして、接収貴金属に関する全体の法律関係につきまして、政府の解釈、それに処する態度、こういうものをはつきりきめて処置すべきものであろうというふうに考えましたので、貴石等の処置は、これを元にもどすということにいたしたわけでありますが、今回の法律によりましてどういう措置をとつたか、そもそも没収あるいは解除という行為によつて所有権がどうなつたと見るかという点につきましては、これは、今回提案いたしたいと考えております法律案の核心となつておるのでありまして、非常にむずかしい問題であると思いますが、とにかくこれが今回の法律案中心になる点と考えますが、これにつきまして、政府の意見、案というものが正式にはつきり決定いたします前に、私からあまり内部的な研究過程にある意見を申し上げますることは、誤解を招くおそれもありますので、御遠慮いたしたいというふうに考えます。
  58. 中野四郎

    中野(四)委員 すると、阪田さんの御証言は、現在では法的根拠がまだ明確でないから、従つて研究中であり、物は国において保管をしておるが、その所有権はまだ明確でない、すべては立法処置によつて適当なる処置を講じたい、こういう御意見ですか。
  59. 阪田泰二

    阪田証人 現在事実関係として接収貴金属管理いたしておりますが、その法律関係、どこに所有権があるかという問題につきましては、現在のところ、政府といたしまして、はつきりした解釈を決定していないというわけであります。そういうはつきりした態度を決定いたしまして、それを基礎としてその処分に関する法律案を立案いたしまして、御提案いたす、こういう運びになるわけであります。
  60. 中野四郎

    中野(四)委員 当然のことだと思います。そこで、伺いたいのですが、去る六月二十五日、あなたのところの管財局の堀口閉鎖機関課長というのが、こういう談話を発表しておりまするが、どういうわけですか。「交易営団などが戦時中デパートなどで時価で買つたのだから、一種の商取引で、法律的には所有権は営団などに移つていると解釈するほかはない。進駐直後強制接収された個人所有者への返還が今度の法案のねらいだ。」と言つておりますが、一体こういうような法案を出す成案を得ておられるのか、あるいは、どういう根拠に基いてあなたの所管である閉鎖機関課長がこういう声明を天下の公器である新聞に発表されたか。その所有権を明確にしておられるのはどういう根拠なのか。所管局長としてその責任は当然持たねばならぬと思いまするが、この書いたことは、一体新聞がうそだとおつしやるのか、御本人がこういうことをしたのはどういう意図によるものであるか、この点について阪田さんの御証言を得たいと思います。
  61. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまの新聞記事は、私は見ておりませんので……。     〔中野(四)委員書類阪田証人に   示す。〕
  62. 中野四郎

    中野(四)委員 どうぞこらんなさい。新聞社から、あなたのところに行かれて、意見を徴されたについて、閉鎖機関課長はそのように答えて、新聞に発表しておられるのです。証言とはまつたく食い違つておる。課長の方では、もうその法案を出す用意をしておるとまで言うておる。
  63. 阪田泰二

    阪田証人 この新聞記事につきましては、私初めて拝見するわけでありますが、この前段の、デパート等で交易営団が購入して、所有権が営団等に移つた、この点につきましては、この記事通りでよろしいと考えますが、後段の点につきましては、これは私どもとしてもまつたく知つていないことであります。記事が、課長の言つた通り正確であるかどうか、あるいは本人がはたしてこういうことを言つたのかどうか、いろいろ問題はあると思いますけれども、とにかく私としては、全然こういう意見も持つておりませんし、こういうことを申したこともないわけであります。
  64. 中野四郎

    中野(四)委員 新聞の誤りとすれば、新聞社としても相当責任を持たなければならぬ大事な問題です。従つて、もし堀口課長がそのようなことをば発表したという事実があつた場合においては、局長はいかなる処分をしますか、伺つておきたい。大蔵省においていまだ全然考えてもいない、法的根拠も明確にならざることをば、そのような意見を閉鎖機関課長として発表した責任に対しては、当然適当な処置がなくちやならぬ。ないならば、新聞社がこれを明確に取消すべし。あるならば、所管局長としてその責任をとるべし。いずれかをきめなければなりませんから、局長の考え方を伺つておきます。
  65. 阪田泰二

    阪田証人 堀口課長にどういう言動がありましたか、私にははつきりいたしませんが、事態がはつきりいたしまして、それに応じて適当な措置をとるよりいたし方ないと思います。
  66. 中野四郎

    中野(四)委員 さらに伺います。まだほかの委員の方も御質問がありましようから、私は重点的に伺つて参ります。日銀の再調査をなすつて、完了をしたようであります。その再調査の結果において、十六万一千カラツトダイヤモンドは、工業用がどのくらいで、装飾用がどのくらいか、それから、評価をされたようですが、その総評価額は幾らであつたか、御報告を願いたい。
  67. 阪田泰二

    阪田証人 このダイヤモンドの再鑑定につきましては、お話のように、先般大蔵省の手で鑑定人を委嘱いたしまして、完了いたしたわけでありますが、鑑定後の結果を申し上げますと、個数で百四十九万九千九十二個、——この個数につきましては、ちよつと誤解があるといけませんので、申し上げておきますが、大きなダイヤモンドにつきましては一個々々計算いたします。しかし、装飾品からとりはずしましたダイヤ等、非常に小さなものが多数ありまして、これにつきましては、重量等によりまして、平均で出したもので推定した数字出しておるわけであります。重量は十六万一千二百八十三カラツト三十七でございます。それから、価格は六十一億六千百二十万六百七十五円、これは、日本の内地の大体の卸売価格というものに基準をとりまして、ごく一応の算定を鑑定のついでにしてみたのであります。
  68. 中野四郎

    中野(四)委員 工業用のダイヤがどれだけで、装飾用ダイヤがどれだけということも御報告願います。
  69. 阪田泰二

    阪田証人 ただいま申し上げました数字の中に、かなり品質の劣悪な、工業用に使用するほかないものも含んでおるわけでありますが、どの分が装飾用、どの分が工業用というふうには、はつきりわけて整理はいたしておりません。
  70. 中野四郎

    中野(四)委員 そうしますと、大体の価格六十一億というものが出ておりますが、一体評価をせしめた鑑定人というものは、いかなる根拠に基いて推挙をなさいましたか。それから、大蔵省日本銀行地下室において再調査をするにあたつて鑑定人にいかなる資格を与えたか、この点を伺いたいと思います。
  71. 阪田泰二

    阪田証人 鑑定事務につきましては、これは専門的な仕事でありますので、私ども大蔵省の職員みずからやるということはできませんので、専門のこういう方面の精通者である人を、各方面の調査によつて選定いたしました。これにダイヤモンドの鑑定事務を委嘱いたしたわけであります。
  72. 中野四郎

    中野(四)委員 私の伺つておるのは、鑑定人をどういうような根拠に基いて御推挙になつたか。あなたは、おとといここで聞いておられて、御存じでしよう。今日本中のダイヤモンド商は、たといいかなるルートをたどるかは知りませんが、日本銀行地下室にあるところの十六万一千カラツトというダイヤモンドが多量にいずれ国内に流れるおそれがある、その場合においては、お互いの持つておるところの資産にかわるダイヤの値が半減する、あるいは三分の一に下る、財産擁護のためにも、あるいはこの際相当の利益を得るためにも、いまだかつてさようなことのないにもかかわらず、日本中のダイヤモンド商が、縦横の連絡を緊密にするという名目で、去る一月十三日に東京美術倶楽部において東美会という連合会を結成しました。このことは、どのルートを経て来ますか知りませんが、いずれ大蔵省から多量に日本国内に流れるところのダイヤの受入れ態勢としてやつたのであります。その受入れ態勢として、将来買う方の口にまわる者を、なぜあなたの方でその評価の過程に入れたのですか。ことごとく現在東美会をつくつたところの指導者じやありませんか。久米君こそ表面に顔を出しておりませんが、あなたのところで再調査に当つた古川伊三郎君にしましても、その他の人々は、ことごとく将来買う方の人なんです。しかも、その人たちがつけた値段というものは、私らはどうしても納得が行きません。一体どういう相場で、どういうところを標準にしてこの値をつけたのでしようか。将来買う人間がつけるのですから、高くつけるわけはない。はかりをはかるのでも、ちよつとやそつとのものは甘く見るのはあたりまえなんです。大蔵省の人が知らぬのをいいことにして、当然これらのいわゆる専門家がやり得るおそれが多分にあるということを知らねばならぬ。それも知らないで、これを委嘱したとすれば、よほどのうかつか、あるいはよほどの緊密な連絡があるか、この二つに一つなんです。だから、どういう根拠によつてこういう人を推挙し、そしてその人たちはどういう標準によつて値段をつけたのでしようか。これを伺いたい。
  73. 阪田泰二

    阪田証人 この鑑定人の選定にあたりましては、大体久米武夫という人が非常にダイヤ関係の権威者であるということでありますので、この人の意見を聞いた点があります。それからなお、大きな貴金属商等に対しまして、鑑定人としてどういう人が適格であるかというようなことをいろいろと調査いたしまして、結局この五人の者にきめたのであります。大体ダイヤ鑑定の専門家ということでありますから、どうしても、さような貴金属関係の人間が入つて来ることはやむを得ないと考えるわけでありますが、ただいま御指摘のありましたような東美会といいますか、そういう会を結成した、あるいはそれによつて政府のダイヤの払下げを受けようというようなことを将来考えておるという点につきましては、これらの者を鑑定人に選任いたしましたときには、もちろん承知いたしておりませんでした。それから、その後そういう事態が起りましたということも、実は最近まで私ども存じてなかつたような次第であります。  この評価でございますが、これにつきましては、全面的な鑑定をいたしますので、この機会に評価もあわせて行つた、こういうことでありまして、評価につきましては、大体日本の内地の卸売相場というものを基礎に均衡をとつてつたのであります。この評価によりまして、将来ダイヤをどう処分するか、今内地に売りさばかれることを薙としていろいろ工作しているというようなお話がありましたが、そういうようなことも、全然現在決定していることでありませんし、また将来そういうことがありましても、今回やつた評価でやるのだ、こういうことも、もちろん何もきまつておるわけじやありません。ただ、いろいろそういう不純なる策動と申しますか、万一そういうようなことがありますれば、こういう者は断然排除をして、これから出ます法律に基きまして、厳正に今後の処置をやつて行きたい、こういうふうに私どもとしては考えておるわけであります。
  74. 中野四郎

    中野(四)委員 内地のダイヤの価格は、幾らくらいか、御存じでしようか。小売という点になりますと、買手と売手によりますが、日本の国内においてダイヤの卸売相場は大体幾らくらいか、御存じですか。そうして、その相場と、この鑑定人が出した相場がつり合いますかどうか、一点伺つておきましよう。
  75. 阪田泰二

    阪田証人 大体ダイヤは、品質によりまして、個別に値段が非常に違うものだそうでありまして、私どももしろうとでありまして、あまりはつきりしたことはわからないわけでありますが、大体今回の評価にあたりましては、A、Bといいますか、品質と、個々のダイヤのきずがあるとか曇りがあるとか、こういつた状態に基く階級と、色沢に基く階級、こういうことによつて、大体A、Bというような段階に属するものは、一カラツト四百万円という程度のところが基準になつておるように聞いております。
  76. 中野四郎

    中野(四)委員 驚くべき不認識なんです。そんなばかなことを言つたら笑われますよ、阪田さん。あなたの奥さんが四万円で売りますか。お持ちなら買いますよ。そんなばかげたことを言うたら笑われます。大蔵省が委嘱しました久米君らは、日銀の地下室においてはAからFまでの六階級にわけて、それぞれの格付をしたのです。今あなたになぜ日本の相場を聞いたかと言えば、日本内地の相場を標準にしてとおつしやるから、小売でなく、卸売でけつこうですと申し上げたが、そこなんです。ここに業界の新聞がある。一月十日発行のものです。これは業界の相場を右左に知らせる新聞でありますから、うその新聞ではない。新聞が書いたものは信用にならぬという性質のものではない。これによりますれば、特級のダイヤは一カラツト三十五万円、それからいろいろにわかれておりますが、Aで三十万円、Bで二十八万円くらいです。Cの一番悪いのでも現在は二十二万円です。そうして二十万円という相場が大体一番粗悪品なりとしてあるのであります。そこで今、あなたがおつしやつた六十一億六千万円という値段が妥当かどうかという点について申し上げたのであるが、こんなばかな値が出て来るわけがない。あなたは四万円とおつしやるけれども、いわゆる平均値段で行くからそういうばかな値が出て来る。私らが伝え聞いておつた通りです。大体四万円から五万円くらいでこのダイヤは払い下げるのだということが業界一般に伝わつているのです。事実久米君がここに来まして専門家として、私らが追究した結果においては、ロンドン相場とニユヨーク相場がある、すなわち一番低いロンドン相場を中心として、標準価格一カラツト四百五十ドルの割でつけたと言うている。とすれば今日日本円に三百六十円で換算すれば、一カラツト十六万二千円ばかりになる。あなたの言う四万円、五万円というべらぼうなものは、あるわけはない。ところが、業界の仲間では、四、五万円で大蔵省はこのダイヤを払い下げるということが一般に伝えられておる。これはどこかに根拠がなくちやならぬと思つて、あなたに聞いてみたのです。  しかしながら、私はこの点をあなたに追究するよりも、むしろさらに進んで聞いて行かなければならぬ点がありますが、一体あなたの方で全部再調査なさつた結果においては、十六万一千カラツトダイヤというものは、装飾用ばかりでありましたか。工業用はありませんでしたか。再調査の結果、先ほど、品格の悪いものがあるとおつしやいましたが、粉ダイヤもありますし、きずのものもあります。あなたの方から出ております書類を全部私の方で整えておりますから、そのダイヤの昨年当時における状況は知つておりますが、工業用のダイヤがあつたかどうか、装飾用ダイヤがおよそどのぐらいあるか、この報告があなたのところになくちやならぬはずです。国費を使つて調査をこの人々に委嘱したのですから、調査の結果が報告されていると思いますが、一体どれだけの結果になつておりますか、お伺いいたしたい。
  77. 阪田泰二

    阪田証人 先ほども申し上げましたように、ダイヤモンド全体といたしまして、こういうふうな鑑定の結果をまとめたわけでありまして、工業用にしか使えない、色が非常に悪い、きずものであるというものがあるわけでありますが、それにつきまして、この分までを工業用とする、この分が装飾用であるというふうな分類整理は、現在いたしておりませんわけです。
  78. 中野四郎

    中野(四)委員 ちよつとこの間に伺つておきたいのですが、先ほど貴石ですね。あれは、大蔵省管財局が直接おやりになりましたか、あるいは関東財務局で直接おやりになりましたか。それから、現在まだ残つておりまする貴石は、どこで保管をしておりまするか、これをちよつと伺つておきます。
  79. 阪田泰二

    阪田証人 この貴石関係仕事につきましては、関東財務局におきまして一切の仕事を取扱つております。それから、保管の場所は、現在政府関係分はそのまま保管しておるわけでありますが、やはり日本銀行の金庫に保管しております。
  80. 中野四郎

    中野(四)委員 そこで、大事な問題を伺いたいと思いますが、一昨日石田理財局長に私が申し上げましたが、この中央物資活用協会書類ですね。つまり当時、昭和二十年十月十八日でございますか、進駐軍の命令によつて中央物資活用協会大蔵省に提出した台帳があるはずです。その台帳の中に——二十七年六月二十四日に大蔵委員会であなたの方に要求しまして、その台帳の写しを国会出してもらいたい、どうも数量が食い違つておる、こういうので、出して来ましたが、私の方へ出て参つた台帳の写しと、それから直接進駐軍の方にお出しになりました英文の台帳の写しとに、えらい食い違いがあるのです。その中に、大体戦災によつて溶け合わされた合金——というのは、この際金のことですから、どうぞお間違いのないように。あなたの方の説明では、純分九九・何パーセントというのを純分の金と称しておるようですが、合金というのは、大体八十でも、あるいは七十でも、これを合金と言つておるそうですが、ここに書いてありますのによると、「戦災により鎔合せる金、白金の現合地金約五十庭五箱分(一箱推定一〇瓩)及未処理の物(ダイヤモンド白金の混入せる箱)約百四十砥(十四箱分一箱推定一〇瓩)あり、」という、こういうのが進駐軍の方に出ておりまするが、国会要求による方には出て参りません。従つて私は、進駐軍に出し英文国会に来た方とを対照いたしました結果、当時理財局の管理課長であつた横山さんに正式に書類の提出を求めたら、国会に持ち出すことは困るから、大蔵省においてはこれを見せるというお話で、大蔵省へ私らの調査員を帯同の上伺つて、原簿を見ました。ところが、この公文書であるべきところの原簿の中に、いかなる根拠に基くか知りませんが、大蔵大臣、所管局長の印なくして、今申し上げた数字が赤バツテンで抹殺してあります。この数字は、明らかに進駐軍に報告しながら、国会報告しないということは、公文書の変造であり、あるいは何らか意図するものがあると私は思いまするが、現在でもこのような公文書が残つておりまするか。残つておるとすれば、管財局は当然これを引継いだのでありまするから、どういうわけで国会へこれを報告しなかつたか、この点を伺いたいと思うのです。
  81. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまお尋ねの文書につきましては、私まつたく存じておりませんので、後刻調べまして、事態が判明いたしますれば御報告いたしたいと思います。
  82. 中野四郎

    中野(四)委員 阪田さんが一昨日ここにおいでなつたときに、私は石田君に質問しておつたのですが、これは私が一番困つた点です。理財局がどうして管財局へこのようなうるさい事件を移したか、管財局がどうしてこんなうるさい事件をわざわざもらつたのか、私はよくわからなかつた。その所管理由がよくわからなかつたから、両君の間に責任のなすり合いがあるといかぬから、明確にしておかなければならぬ。特にこれは大きな数ですよ。今申し上げた通り、この中には金の延棒も入つておりますれば、白金の延棒も入つておるように伺つております。しかも、これが一番大きな、問題のダイヤなんです。今日ここで証人に申し上げるわけには参りませんが、いずれ某証人をここへ喚問して、この点との符合をせしめる段階まで行かなければならぬのでありますが、ここは汚職を追究するところではありませんから、そういう場合には適当なる処置をとつて、検審当局にまかせますけれども、とにかく、これだけの金、白金ダイヤモンドというようなものが、大蔵大臣あるいは所管局長の判なしに、なぜ抹殺されるかということが、私はふしぎでしかたがない、私の方は写真をとつて来ておりますから、その写真をごらんに入れることもできるのです。これは、あなたが引継いでいなければならない原簿ではありませんか。ここにお出しになりましたこれだけの書類をお出しになるには、その書類からやはりお出しなつたはずでありまするから、こういうような品物をあなたが知らぬというのでは、管財局長というのは一体何をしておるのですか。属僚まかせで、一々属僚に聞かなければわからぬというのでは、管財局長の資格はないではありませんか。従つて、もしこういう事実があつたら、これは一体だれが責任をとるのですか。当時の大蔵大臣が責任をとるのですか。所管局長責任をとるのか、所管課長に対してどういう責任をとらしめるのか、管財局長の明確な証言を求めておきたい。場合によれば、これは告発しなければならぬ大事な問題なんです。だから、所管局長としての明確な証言を求めます。
  83. 阪田泰二

    阪田証人 どうもおしかりを受けて恐縮でありますが、まつたくその帳簿ないし書類のことは私存じておりませんので、十分調査いたしまして、その上で御報告申し上げたいと思います。
  84. 中野四郎

    中野(四)委員 私の申し上げておることは、事実に基いて申し上げておる。だから、あなたが役所へお帰りになつつて、この帳簿は、焼けてない限りにおいては、破つてない限りにおいては、残つておるのです。いやしくも国会議員たる者が、この国会の席上において、お忙しい大蔵省管財局長をここへ呼んで、うその事実に基いてお尋ねするわけはない。そういう事実が発見されております。私の言うのは、仮定論じやない。現実論としてあなたはそういう場合においては一体どういう責任をとる気なのか、——文書を変造して、国民が必勝の信念に燃えた愛国の結晶であるところの金、銀、白金ダイヤモンドというものをば、一大蔵省の役人の手においてかつてに抹殺されるということは、許さるべきはずはないのであります。字句の違いとは違うのです。現に物品がいずれへ行つたかという物的証拠になるところの公文書が、抹殺され、変造されておるということは、ゆゆしい大事です。その責任はだれがとるかと言つておるのです。事実については、あなたが役所へお帰りになればわかります。けれども、私は事実に即してお話しておるのでありますから、そういう場合には、大蔵大臣であつた池田勇人君が責任をとるのか、あるいは理財局長である石田君が責任をとるのか、あるいは管理課長か、その下で直接当つた課長補佐とか属僚というものがとるのかそういうものに対してはどういう罰則が適用されるものかということは、国家公務員としてそれぞれの法律に基いて職務を奉じておられるのでありますから、当然御承知だろうと思う。この点について私は阪田さんに伺つておるのであります。
  85. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまの再度お尋ねの点でありますが、私ども責任を回避するとか、問題を隠蔽しよう、こういう意味で、承知しない、知らないと申し上げているわけではありません。現在どういう帳簿、どういう書類に、どういう事態があつたか、調査してもらつておりますが、現在のところ、どういう問題でありますか、私どものところではまだ十分判明いたさないわけであります。事態が判明いたしまして、内容につきまして問題の点がありますれば、それはもちろん事態の内容、程度の軽重に応じまして、当然責任を負うべき地位にある者が責任を負うことは当然であろうと思います。先ほど来申し上げているように、現状では、その問題については、私のところはよくわからないのであります。
  86. 中野四郎

    中野(四)委員 あなたのところの、今この一切の書類を扱つておる担当官はだれですか。
  87. 阪田泰二

    阪田証人 どういう書類でありますか判明しませんので、的確に担当官がだれと場……。
  88. 中野四郎

    中野(四)委員 この書類をお出しになりました担当官ですから、すぐわかります。書類に基いてお出しなつたのですから……。これはだれがおやりになつたのですか。あなたも決裁していらつしやるはずなのだから、だれがおやりになつたかと言つておるのです。その担当官はだれですか。
  89. 阪田泰二

    阪田証人 先ほど申し上げましたように、おそらくその書類は私が管財局長になる前に出ておるのではないかと思いますが、決裁をした記憶もちよつとないのですが、あるいは失念かもしれません。それで、担当官の問題でありますが、今の接収財産に関する仕事でありますれば、当然これは特殊財産課長ということになるわけであります。
  90. 中野四郎

    中野(四)委員 あなたは八月一日になられたのでしよう。これをお出しになれば、他人が出すわけはないじやないですか。昭和二十八年の一月十九日にこの書類出していらつしやるのですから……。
  91. 阪田泰二

    阪田証人 そちらの方は……。
  92. 中野四郎

    中野(四)委員 この書類全部が内容です。これがあなたのお出しなつた原簿の写しです。従つて立証すべき内容なのです。あなたが管財局長なつたのは昨年の八月一日。従つて、一月十九日には阪田泰二の名前において国会報告しておるのだから、このことを知らないわけはない。知らないならば、あなたに原文をごらんに入れましよう。これがお出しなつ英文です。     〔中野(四)委員書類証人に示す〕  お読みになりなさい。そうすればよくわかる。人がやつたのではない。あなたがやつたのです。そういう書類ですよ。それは石田理財局長のときに起つた問題でありますから、あなたは御存じないかもしれないが、その書類はあなたが引継いでいなければならぬはずです。特殊財産課長がちやんと引継いで持つているはずであります。だから、今ここにおいでになる属僚の方に、今行つて取寄せていただいてけつこうです。そして、ここへ原簿を持つて来ればすぐわかります。
  93. 阪田泰二

    阪田証人 委員長、よろしいですか、ちよつと係員に聞いてみようと思いますが。
  94. 内藤隆

    内藤委員長 よろしうございます。
  95. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまの件、はなはだ恐縮ですが、係の方でも、どういう書類のどういう点についての問題であるのか、どういう台帳であるか、はつきりしないそうでありますから、よく詳細承りまして十分調査いたしまして御報告いたしたいと思います。
  96. 中野四郎

    中野(四)委員 係が知らないだけで、問題は簡単じやありませんか。中央物資活用協会交易営団等に、進駐軍が、大蔵省を通じて、おのおの戦時中買い上げて持つておるところの保有物件を押えるために、提示せよという、命令による報告書なのであります。従つて中央物資活用協会交易営団から大蔵省出しました書類なのであります。特にその中の中央物資活用協会に関する分の中に、今申し上げましたような莫大なる数量が抹殺されておる部分があるのであります。どの書類というのじやない。明確な書類なのであります。これがわからぬというようなばかなことは、三才の童子でも、ないのであります。あなたがただいまわからなければ、お帰りになつて、すみやかにごらんなさい。この書類の写しはこつちにとつてあるのでありますから、今あらためていりませんが、しかしながら、これに対するところの責任は明らかにしなければならぬと申し上げておるのであります。  続いてそれではもう一つ伺つてみます。こうしてあなたと話をしたり、おとつい石田君にいろいろ聞いて会すと、大蔵省というのは、今度のダイヤモンド、金、銀、白金の取扱いは、実に、何と申しますか、めちやくちやなのですね。終戦以来もう五年、六年もたつておるのでありますから、相当すべてのものが整理されていなければならぬときにあたつて、ひとり接収解除を受けたダイヤ、金、銀、白金に至つては、大蔵省は、その鑑定、再調査、取扱い、あるいはその後の国会に対する報告、すべてのものに至つて、まつたく一点のとりどころもないほど、めちやめちやに扱つております。いわんや、先ほども申し上げました宝石類においては、現に接収解除を受けておりながら、報告をせず、しかも、かつて大蔵省とそれぞれの関係の者とが取引をして、いわゆる国民の目をかすめてやみ取引しておるという現状なのであります。どの点から見ても、とりえはありません。しかしながら、私、深く掘り下げる必要上伺うのでありますが、あなたは、昭和二十四年以来、中央物資活用協会の清算人である中田玉市という者に対して十二万円ずつの国民の税金をとにかく補助金として交付しておられますが、これはいかなる理由に基くものでありましようか。そうして、交付を受けた中田玉市君は、その調査の指令に基いて調査報告書というものを管財局出しておりますかどうか。この点をお伺いいたします。
  97. 内藤隆

    内藤委員長 証人の答弁を聞く前に、中野委員に申し上げますが、もう昼の時間ですが、まだ大分あと続きますか。
  98. 中野四郎

    中野(四)委員 もう少しあります。
  99. 内藤隆

    内藤委員長 それでは、なお次の質問者もおりますから、今の答弁の程度で一応打切りまして午後引継いではいかがですか。
  100. 中野四郎

    中野(四)委員 それならば、委員長にお願いしておきたい。昼飯の間に、阪田さんに今申し上げた書類中央物資活用協会に関する書類をすぐ調べて、午後のときに御答弁願いたいと思います。よろしうございますか。
  101. 内藤隆

    内藤委員長 よろしゆうございます。
  102. 中野四郎

    中野(四)委員 それでは、十二万円の補助金の問題を伺つて、私の質問を一応中止することにいたします。
  103. 阪田泰二

    阪田証人 私、ちよつち記憶しておりませんので、あるいは間違いかもしれませんが、管財局になりましてから補助金を交付しておる、あるいは報告書を受けておるという事実はないように思います。
  104. 中野四郎

    中野(四)委員 昭和二十七年四月一日、石田理財局長は、中央物資活用協会の松原久人君に対して調査要求出したということをば、国会報告しておる。その要綱はこれですが、からだのぐあいが悪いので、長くしやべるのはいやでありますから、あなたがごらんになれば書類番号もわかりますから、それもあわせて午後証人として御出頭のときに御報告願うようにお願いしておきます。  まず私はこれで一時中止いたします。
  105. 内藤隆

    内藤委員長 それでは、その答弁は午後にまわします。     —————————————
  106. 内藤隆

    内藤委員長 この際、接収解除ダイヤ白金等処置について、委員長から提案をしたいと思います。その前に、ちよつと簡単に理事会をひとつ開きたいと思いますが、いかがですか。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 内藤隆

    内藤委員長 それでは理事会を開きます。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  108. 内藤隆

    内藤委員長 速記を始めてください。  それでは、理事会の結果に基きまして、委員長の提案を申し上げます。  買上げダイヤ白金等占領軍によつて接収せられ、平和条約発効とともに解除せられまして、目下これらのダイヤ白金等日本銀行において大蔵省の手によつて調査が行われておるのでありますが、これが数量は多大であり、従つてその価格も莫大に上り、加うるに貴重なる品々でありますので、各方面からこれに目をつけ、あるいは低廉なる価格をもつて払下げを受けんとし、あるいは関係団体や銀行業者等の譲り受け運動等が漸次熾烈になりつつあるとのうわさであります。申すまでもなく、これらの品は、戦時中国民の愛国心に訴え、あるいは半ば強制的に買い上げたものでありますから、万一にも一部の団体や業者の利益のために払い下げられるようなことがあつたならば、供出した国民に対してはまことに相済まぬ次第であり、一般国民感情としても、とうてい許し得ぬところであります。第十三国会において本委員会が取上げましたのも、買上げや接収保管等の過程において不正があれば、これを国民の前に明らかにするとともに、最終目的においては、接収解除され現に日本銀行保管中のこれらの品々の処置については、国民が真に満足するような結果にいたさねば相ならぬと考えたのであります。ところが、解散のため一時中絶いたしましたが、幸いにして今期国会においても最初にこれが取上げられ、委員各位の御審議を煩わしている次第でありますが、今回も依然としてこの方針を続け、ことに先般中野理事からも同様御意見の次第もありますので、十分検討をいたしまして、最後の目的を完遂いたしたいと存じます。  ついては、この問題には、占領軍による接収の性質や、所有権の帰属等、種々法律上研究を要する問題もあり、またこれが使途についても、予算化の立法、並びに行政上の技術も複雑であり、一方においては国の予算との関係も考慮し、特にこの買上げが戦争完遂の目的にありましたので、敗戦後の今日においては、一部特定方面の利益を排して、広く平和日本再建のために充て、しかも、すべての国民の利益を勘案するとともに、関係者の所有権の有無並びにその保障についても、新憲法の精神を尊重して計画を樹立せねばならぬと存ずるのであります。つきましては、これらの問題を研究いたしますとともに、これが実施方についていかなる手続をとるかについて御協議をいただきますために、事務局においてもあらかじめ研究をさせておりますが、委員各位のうちから特別の委員を煩わしまして小委員会を設けまずか、それとも理事会において御協議を願いますか、いずれにいたしましても、不純なものが入つたり、また種々の運動によつて政府が立法化、予算化をはかりましてもどうかと思いますので、これに先だち、右の趣意に対しまして十分各位の御賛同をお願いする次第であります。
  109. 中野四郎

    中野(四)委員 ただいま委員長の御提案になりましたことは、まことに時宜を得た適切なる処置であると思うのであります。接収解除に基くところの日本銀行地下室にありまする金、銀、白金ダイヤモンド等処置に関しましては、妥当でない行為大蔵省において行われておりました。従つて、先日来それぞれの証人を喚問いたしまして、その証言を求めましたる結果においては、特に大蔵省は、理財局長管財局長証言によつても明らかなことく、実質上においてこの取扱いについて遺憾の点が多々あるのであります。特に今後の二の処置をめぐりまして、すなわち接収あるいは接収解除という法的根拠を明らかにすることなく立案計画をしつつあるということは、はなはだ行政が妥当に行われておると考えませんので、従つて、これはあくまでも、戦時中における必勝の信念に燃えた全国民の愛国の至情に基くところの供出品でありまするがゆえに、かかる品物は当然国家の帰属とし、そして国家の戦争のために大なる犠牲を受けた戦争未亡人、あるいは戦争の犠牲になつた遺族の人々の生溝保障費、または戦争によつて国家のために傷ついた傷痍軍人の厚生施設等にまわすというのが適当であります。従つて、本件を審理するのは非常に重大でありまするがゆえに、この処理に関しましてのそれぞれの相談については、理事会をもつてこれに充てられて、そうして慎重を期し行政府をして誤りなからしめるように処置されんことをば心から希望いたしまして、御提案に賛成いたします。
  110. 内藤隆

    内藤委員長 ただいま中野委員のおつしやつたように、その点は理事会に移して検討をしてはいかがかと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 内藤隆

    内藤委員長 それでは、さように決定いたします。  阪田証人に対する尋問は、午後一時半再開してこれを続行いたします。  暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  112. 内藤隆

    内藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中野委員
  113. 中野四郎

    中野(四)委員 休憩前にお話を申し上げておきました書類の件と補助金の問題をまず御報告を願います。
  114. 阪田泰二

    阪田証人 書類の件につきまして、先ほど役所べ帰りまして取調べてみたわけでありますが、問題の書類は、多分二十年の十月二十日ごろと思いますが、そのころに司令部の命によりまして、政府の外郭団体等の持つておる貴金属等数量を司令部に報告した書類、その関係であろうと思います。その書類を探してみましたところが、今回の貴金属報告関係事務管財局に移管になりましたわけでありますが、書類としては管財局に引継ぎになつておらなかつたわけでございまして、理財局の方にございました。それで、理財局の方からその書類を取寄せて、一応見てみたわけでありますが、内容におきましては、報告書の原案がタイプで打つてございます。そのタイプに対しまして、鉛筆あるいは墨等でいろいろ補正を施してあるわけであります。問題の中央物資活用協会の備考の点を削除したという点も抹消してあるわけであります。そこまでは判明いたしたわけでありますが、どういう関係でいろいろと抹消その他補正がしてあるのか、今日におきましては、私どもの方では事情がわからないのであります。しかも、不明確な数字を訂正した点もあるようにも見受けられますし、あるいは司令部に報告するものとして、こういう不明確な点は除外した方がいいという意味で削つたという点もあるように見受けられるのでありますが、どうも、私どもが今から判断いたしまして、どういうふうに、いつ、こういう補正をしたものか、はつきりいたさない、こういう状態であります。それで、昨年の四月でしたか、六月でしたか、ちよつと記憶がございませんが、たしかこの委員会にその関係の資料を提出したことがあるのですが、その提出いたしました資料は、そのような補正された原議に基きまして、補正された通りに写して出してある。そういうような関係になつております。
  115. 中野四郎

    中野(四)委員 実物がわかればいいのですが、とにかく進駐軍の命によつて大蔵省要求した公文書です。従つて、こういうような文書がどういうわけで——補正という言葉でありましたが、抹消してあるのですか。しかも、事実ない品物ならば、あなたの方へ中央物資活用協会が出すわけがないのです、現存したと確認したからこそ大蔵省に提出したのです。従つて中央物資活用協会が初めから抹殺して出したものでなく、大蔵省においてどうして大蔵省の公文書が抹殺されておるか。しかも大蔵大臣の決裁印もありませんし、理財局長の決裁印もないと私は認めておりまするが、だれが、どこで、どういう理由でそういうものを抹殺したと思いますか。今理財局にその書類があつて、あなたの手元にないと言われましたが、事務所管がえになりまして、理財局で所管しておつたものがあなたの方へ所管がえになれば、当然このような一件書類というものはついて移管されなければならぬにもかかわらず、その大事な品物だけが理財局にあるということが第一番にふしぎなのです。してみると、名目の上においては管財局所管と言うておるけれども、実質においてはいまだ理財局の手を離れておらぬというふうにもうかが、えるのです。これは理財局を調べてみれば当然わかることですが、抹殺されておるということはあなたは認めるのですか。そうして、いかなる理由で抹殺されたかをあなたは調査をしなければならぬが、それをしますか。また、した結果においては、どういう処置をとるつもりか。この三点について伺いたいと思います。
  116. 阪田泰二

    阪田証人 ただいま問題になつております書類は、貴金属等数量等報告令、これによりまして一般から報告をとりましたが、それ以前に、司令部の注文がありまして、関係団体から資料をまとめて提出したもののようであります。私どもの方の管財局の方に引継ぎを受けました書類は、もつぱら接収貴金属等数量等報告に関する法律関係する書類、この関係書類を引継ぎましたので、その以前の、今申しましたような書類は引継ぎを受けないで、理財局にそのまま残つてつたのであります。  それから、書類内容につきまして調査をするか、あるいは調査をした結果どう処置するかというお話でありますが、その関係書類におきましては、今言つたような、どういう時期に、どういう理由で補正いたしましたか、はつきりいたさないような状態になつておりますが、その後におきまして、貴金属等数量等報告令その他によつてとりました書類には、今申し上げましたようなものまでも中央物資活用協会から報告になつております。それから今回の接収貴金属等数量等報告に関する法律によりまして報告されたものにも、それぞれ報告がなされておるわけでありますから、その関係におきまして、それ以前の報告につきまして別段これを今後の貴金属等の処理の参考にいたすわけでもありませんので、特別の措置をとる必要はないというふうに考えておるわけであります。
  117. 中野四郎

    中野(四)委員 もう一度……。特別の措置をとる必要がない。         ————— どういう意味ですか。もう一度明確に、私のお尋ねの点について答えてもらいたい。
  118. 阪田泰二

    阪田証人 すでにその後法律に基きまして接収貴金属等数量等に関する報告をとつておるわけでありまして、以前に出しました書類につきまして、これを特に補正するというような措置をとる必要はないものというふうに考えておるわけであります。
  119. 中野四郎

    中野(四)委員 どうもちよつと観点がはずれております。あなたは先ほどから補正々々とおつしやるけれども、補正したのではない。抹殺したのですよ。いいですか。根本を間違えてはならない。あなたの方で抹殺したのです。大蔵省で抹殺したことには間違いないでしよう。どうなんです。
  120. 阪田泰二

    阪田証人 先ほど来申し上げましたように、司令部に報告出しますその原議を見ますと、タイプで打つた原文がありまして、それを鉛筆や墨等で抹殺した、あるいは直したという部分があるわけです。そういう事実はあるわけでありますが、その抹消したという事実、これを基礎として何らかの措置をとろうというような気は、私どもにはないわけでありまして、今回の法律に基いた報告によりまして措置するつもりでありますから、別段の措置をそれに対して私はとる必要はない、こういうように申し上げたのです。
  121. 中野四郎

    中野(四)委員 驚き入つたるあなたのお言葉なんだが、一体民間から報告されまして、そして国会要求に基いて資料を提出する、また、当時占領時代ですから、進駐軍の命によつて資料一を提出する、そして進駐軍には真実を報告し、国会にはうそを報告してもいいわけですか。いわゆる何らの処置は考えないでいいですか。一体大蔵省というものは従来そういうふうにずつとやつているのですか、いかがです。
  122. 阪田泰二

    阪田証人 先ほど来たびたび申し上げましたように、提出原議がタイプライターで打つたものを、あとから直してあるわけでありますが、それがいつ直したか明瞭ではない。従いまして、司令部に対する報告も直したもので報告してあるのか、タイプで打つたままで報告してあるのか、私どもその原議の書類ばかりを見ましたので、実情をはつきりいたさないわけであります。それで、国会に御報告いたすときには、その書類が直された現状におきまして、そのまま御報告いたしておるようであります。そういうふうな状態であります。
  123. 中野四郎

    中野(四)委員 どうもあなたは観点がそれておりますね。知らないからでしうよが、司令部には英文で正確に出しておるのです。これは、司令部で兵隊が見に行つたから、原簿を隠すわけには行かないのです。だから、こういうものがこうなつておるということは明らかに出しておるのです。その後あなたの方で消してあるのです。もう少し詳しくわけを申しましようか。そうするとあなたがのみ込めて来るのです。政党に関係があるから、私はこれを項を追つて行かなければ悪いと思つてう今日までこらえておつたのですが、大蔵委員会において私らが質問をいたしましたとき、自由党に所属する青木正という代議士が、私らの要求に基かずに、みずから自発的に、委員長を通じて、当時の旬間読売の報ずる過程について、私の納得できぬ点があるから、御説明をしたいと思うから説明をさしてくれというので、出て来られたのです。その説明をば要約いたしまると、終戦の直後、進駐軍が上陸をする二、三日前、大蔵省の久保外資局長、桜井事務官の両名より出頭を命ぜられて、中央物資活用協会の松原理事長、それから中田玉市君と、三人で出頭した。その節、進駐軍が上陸をすると、相当金、銀、白金ダイヤモンドというものをばとられるおそれがある、しかも重要なものであるから、これは何とかして隠さねばならぬということを協議し、一般の所に隠しておくと見つかるおそれがあるから、青木君は愛国心が非常に旺盛だから、君の命にかえてこれを預かつてくれぬかというので、当時、金の延棒が、一つ一貫目見当のものが二十五本、ダイヤモンド白金等の入つておる箱が大体二十四、五箱、こういうものをば委嘱をされて、そうして日本銀行地下室まで馬力を連れて行つて——洗足池の自分の家から、疎開の品物のごとく見せるようにするため、破れふとんを積んで行つて、そうして日本銀行で二台の馬力に積んで、これを埼玉県北埼玉郡共和村の自宅へ持つてつたところが、当時母親と奥さんが、集団強盗の盛んなときでもあり、こういうような莫大な金額に相当するものを預かつてつて、もし生命に関するようなことがあつてはいかぬから、やめてくれと言われたが、愛国の至情、国を思う至情やむにやまれず、私はその由を母親と女房に説いて、そうして自分の家の書庫の縁の下を掘つて、そこへ一旦埋めたと言うのです。そうして、その品物をば二週間預かつておると、再び大蔵省から呼出しがあつて、そうして、この品物をばハーゲマンという中尉に渡せという命令があつて、ジープで一緒に行つて、この品物を引渡して、保善工業——これは中央物資か何かの事務所だろうと思いますが、そこまで持つてつたというのです。その後日本銀行地下室に入つたのであろうという証言をいたしましたから、私は、御本人は国会議員であり、国会における発言というものは権威あるものでありますから、これを信用いたしまして、翌日、当時の大蔵省の外資局長であつた久保君と桜井君を証人として喚問をいたしました。そうして両君から証書を求めようといたしましたら、再び青木君は、委員長を通じて、前述の話には重大なる誤りがあつた、私が錯覚を起しておつたから、もう一ぺん訂正さしてもらいたいという話で、本人の話を聞きますと、あれは日本銀行地下室から持つてつたことは間違いない、しかしながら、その品物は大蔵省のものでなく、すなわち私の方の中央物資活用協会のものであつたということを訂正さしてくれ、それから、ダイヤモンドは入つていなかつたと思うということを訂正さしてくれということで、このことは昨年の速記録をごらんになればわかるのです。ところが、桜井君と久保君と、両名に来てもらつて聞きますと、久保君は、外資局長をしておりますけれども、さようなものを右左するところの権限のない立場にあるから、一切関与した覚えはないと言うのです。もう一ぺん桜井事務官を喚問しまして聞きますと、桜井君も、さようなことを頼んだ覚えはないと言うのです。また、もとよりその物品に対して預かり証をもらつた覚えもないし、報告された覚えはないと言うのです。そうしますと、青木君の証言というものは、自発的にこれを言われたものであつて、しかも、当時の中央物資活用協会にあつた数量というものと、今回ここで抹殺されております数量というものがややマツチをするのです。全部それとは申しませんが、やや見合うのです。従つて中央物資活用協会が当時自分のものを申告するにあたつて大蔵省の言う通り申告したものとすれば、これは中央物資活用協会が初めから入れないわけがない。その書類があなたの方に行つておるのです。中央物資活用協会で抹殺すれば、あなたのところに出す必要はないのです。あなたのところにあるものが、あなたの保管中にかつてに抹殺されているのです。そういうものを抹殺する権限があなたの方にあるのですか。あるいはこういうものが違つてつたというなれば、それぞれの書類によつて訂正願が来て初めてこの書類は訂正したと、大蔵大臣なり所管局長がこれを決裁しなければならぬにもかかわらず、だれが一体これを抹殺したか、どういう処置を行つたかということについて、私は伺つているのです。ところが、あなたがそういうものの責任に当る必要がないと言うのは、どこか感違いしておる。大事な問題を問うにあたつて大蔵省でこういうものを抹殺したのだから、だれがやつたかといつて聞いておるのです。それをあなたが管財局長として知らぬのはあたりまえなんです。あなたのところに書類がなかつたくらいだから……。だから、私が一番初めに前提に申し上げたでしよう。あなただけではだめなんです。あなたと石田君をつき合わして、そうしてその下の所管課長をつき合わして、もう一人やると出て来ます。名前もこちらにあがつておりまするから、あげたつてかまわぬですが、こちらは尋問する都合がありますから、名前はあげませんが、大体当時なぶつてつた人はだれだくらいの想像はついているのです。だから、こういうものが抹殺された場合の責任は一体だれに行くべきか。あなたの方でかつてに抹殺したのだ。あなたの今お答えになつていらつしやるのは、接収貴金属等数量等報告に関する法律従つて出して来たものを抹殺したのじやないから、一向支障ないというふうに私は聞きとれますが、そうではないのです。どうしてこういうふうなものをかつて大蔵省が抹殺したかと言つているのです。これは中央物資活用協会で抹殺したのじやないのです。あなたの方で何の都合でこういうものを消したのですか。その理由を聞いているのです。おわかりですか。
  124. 阪田泰二

    阪田証人 どうも先ほどは答弁が食い違いまして、私どもの方の今後の接収貴金属等の処理をいたす上については、一応関係がないといいますか、新しい法律に基いて処理して行くのだというようなことを申し上げてしまつたのでございますが、ただいまのお尋ねのような点でありますると、やはりどういう関係でそういうふうに書類が直されているか、いつどういう理由で、どういうふうに行われたかということは、ただいま私としてはまつたくどうも存じていないと言うほかはございません。
  125. 中野四郎

    中野(四)委員 抹殺された事実をあなたがお認めになれば、今後のことは私の方でやります。それから、今あなたのおつしやつたこの報告は、うそを言つて来る場合には罰則がつけてあるのです。御承知のように、この前の法律の第四条に、「前条第一項又は第四項の規定による報告に際して虚偽の報告をした者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」とあつて、これは明らかになつているのです。ところが、これについても一点伺つておかなければならぬですが、たとえば、あなたの方でここに御提出になりましたこのコピーですが、この内容の中に、先ほども申し上げましたが、ダイヤの点について、十六万七千六百八十一カラツトとしてあります。これは接収受領書があるものですが、他にないところのものがある。証拠書類はないが事実の推定でき葛ものとして二百九十カラツトというものがあるのです。まあそれは、順序ですから、ひとつこれから伺つて行きますが、この二百九十カラツトというものは、証拠書類はないけれども事実の推定できるという根拠はどこにありましようか。
  126. 阪田泰二

    阪田証人 委員長ちよつと係の者に聞いてみたいと思います。——この二百九十カラツトの、証拠書類はないが事実の推定ができるものに分類整理しました分については、具体的にどの分につきましてどういう理由でここに整理したか、ちよつと今判明しかねますから、あとで取調べてお答えいたします。
  127. 中野四郎

    中野(四)委員 これは忘れずに書類にして委員長のもとまで出していただきます。  それに関連して伺いますが、名古屋で接収されました金、白金ダイヤモンド等は、あなたの方は接収受領書のあるものとしてカラツトを入れておりますが、名古屋で接収されましたときには、接収担当官は、そのカラツトあるいはその貫数については明記しておりません。単に箱だけですが、どういうところを根拠にしてこのカラツトの中に入れられましたか。金、白金の分は後日あらためて物的証拠を示して伺うことにして、とりあえずダイヤモンド専門に伺いますが、この、タイヤの数量をどうして一体算定しましたか。大蔵省はごの報告を信用してここへ載せろようにしたか、伺いたい。
  128. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまのお尋ねの点でありますが、午前中に申し上げましたように、ここに今接収受領書のあるものというふうに整理してございますが、報告そのものが、数量内容、晶質等、あまりはつきりしないものもございますし、さらにその受領書報告の内客と符合しておるか、報告にぴつたり相応するような接収受領書があるかどうか、そういう点はまだ十分に吟味して合せたものではございませんので、その辺は御了承願いたいと思います。
  129. 中野四郎

    中野(四)委員 それでは、なぜ、の報告書を出すときに、その旨を表記しなかつたのですか。当然その旨を書かなければいけないでしよう。受領書があるとはしてあるけれども、事実はないとか、あるいは、こういうものはこういう算定に基いて二の中に入れたとか、何かしなければならぬのにかかわらず、こちらから質問されて初めてボロが出て来る。そのたびに、まだ完全でなかつたと言う。これを悪く解釈しますと、国会で問題にならなければ、将来あなたの方で随意契約か何かで払い下げるときに、この数字のままで行つでしまうおそれが多分にあるのです。あなたは知らなくつたつて、そういう結果になる。なぜこういう表記をして来なかつたのですか。こういう不確実なものを、確実なことく国会報告して来たのですか。どういう意味なんです。国会を軽視しておるのですか。国会はうるさいから、とにかく届けておけ、あるいは横文字のやつを出せばわからぬだろうというので、大ざつぱな英文のタイプしたものだけを出して来たのか。これは、翻訳してみれば、この中にあるものはずいぶんあやしげなものじやないですか。こんなあやしげなものを——一体大蔵省で読む人間がいなかつたのですか。翻訳しなかつたのですか。管財局で翻訳すれば、内容はすぐわかつて来ることじやないですか。わかつてつたとすれば、うそをついて国会をごまかそうとして来たことだ。わからないでやつてつたとすれば、あなたの方がずさんなんだ。どういうことなんです、これは。
  130. 阪田泰二

    阪田証人 この接収数量報告の表記につきましては、最初に申し上げましたように、報告書の内容自体、精粗、不備なもの、ばらばらでありまして、これをとにかくまとめて一表にしたというような段階で御提出いたしましたので、内容につきましていろいろ粗漏がありましたことは申訳がないと思つております。ただいま御指摘のように、そういうふうな一応の大ざつぱなものをとりあえず出したのであるということを、当然備考なり何なりで申し上げるべきところであつたと思います。
  131. 中野四郎

    中野(四)委員 これについて、どうですか、今厳密な調査をしておるのですか。あるいは、これからして、正確なものを出すつもりでおりますかどうか。
  132. 阪田泰二

    阪田証人 この報告につきましては、将来法律が出まして、貴金属等の処分をするというときにも、当然こういう報告内容の正否を確かめまして、内容をはつきりさせなければならぬと思います。従つて、当然この報告内容の審査ということはいたすつもりでありますが、ただいまのところ、そこの段階まで至つておりません。
  133. 中野四郎

    中野(四)委員 あなたの方は、この所有権をきめる上に大事な問題なんです。だから、私の方はこれをくどくど言つておるのですよ。当然厳密な再調査をして、それから日銀にある評価したものの再評価も、妥当な人間にやらさなければならぬのです。鑑定人だつてそうですよ。おとといの石田君だつて、久米君が推薦して来たからこれをやつたと言つておるのです。ところが久米君は、私は推挙したのではないと言つておるのです。で、私は言うのです。相当信用があつて、権威があつて、過去の経歴等から調べてみても、この人なら間違いないという貴金属商が日本中に相当たくさんいるのです。にもかかわらず、新興財閥のような、えたいが知れぬと言つてはその人を侮蔑するようでありますが、私にとつては納得のできないような人たちが日銀に委嘱によつて鑑定人として入つて調査をする。しかもこれを、あなたが先ほどつたようなばかげた値段で評価しておるのです。こういうばかげたことをやる過程においては、当然こういうものを将来払い下げるときの問題が起つて来るのです。たとえば、交易営団にしても、中物にしましても、国家がこれを処理するにあたりましても、一番大事な問題なんです。所有権の帰属をきめなければならぬ。そのときにあたつて、こういうでたらめな、そうして全然接収受領書もなく——マッカーサー元帥は、接収するにあたつては、担当官の氏名、場所、それぞれ適宜な処置をとるべしという命令を出して、接収にあたつては、必ずその内餐を調べて、ちやんと領収書を置いて来いという命令を出しております。にもかかわらず、各方面から出て参りましたこのコピーを見ますると、領収書はないにもかかわらず、大蔵省国会領収書ありと言い、また名古屋や大阪、特に名古屋がそうなんです。名古屋で接収されたときには、その内容を示していないのです。箱の中に入つたもの、——鉄のたががはめてある箱をそのまま一個と言つている。これを営団なり中物なりが、自分の方でかつてに、ダイヤが何カラット入つてつた、金がどれだけ入つてつた、銀がどれだけ入つてつたということを書いておるのです。だから、そういうような不的確なものを、あなたの方で国会報告するにあたつて、しかもこの欄が数欄あるにもかかわらず、一番最初の接収受領書あるものとしてお出しになるところに、私は了解に苦しむものがあるのです。むろんこれは、あなたの方で再調査をし、そうして的確な書類国会に出すのがあたりまえであります。同時に、日本銀行における再調査の結果は、われわれの納得できないところでありまするから、これが処置をするにあたつて——法律が立法府に提案されて、それが決定後において処分するにあたつては、再評価をしなければならぬと思いまするが、あなたは、二つの点、すなわち、再調査をして再評価をするか、その場合にはどういう方法をとるかということが一点、いま一点は、先ほど申し上げたような、こういう不的確な、しかも、ごまかしのような書類国会に出すことを一切やめて、すみやかに正しい明細な書類を出す意思があるかどうか、この二点を伺つておきます。
  134. 阪田泰二

    阪田証人 最初の、報告の点でございますが、先ほど来たびたび申し上げますように、報告書の内容そのものが精粗さまぐであり、書類に不備なものがあるという実情でございまして、お示しのように、一箱というようなことで接収されておるものもあるという状態でありますから、この表をまとめますにあたりまして、はたしてその一箱が一体何カラットあつた、何グラムのものが入つてつた、それに相応する受領書があると言うべきか、ないと言うべきか、それはどれだけあると言うべきか、いろいろそういうことを検討いたしますと、お示しのような本格的な調査を徹底的にやつてみなければ、結論は出ないわけであります。それで、とりあえず報告としてはこれだけのものが出ておるんだということで、急いでまとめてつくりましたのがこの表であります。そういう性質のものであるということを明らかにしないで提出いたしましたことは、やや手落ちの感がありまして、この点は申訳ないと思つております。しかし、お話のように、今後措置をいたしますについては、当然この報告はこのまままるのみにしてこれを認めるということをいたしません。また受領書につきましても、一体どの分についてどれだけはつきりした受領書がついておるかということも、はつきり確認して、措置するつもりでございます。その辺はお約束申し上げておきます。  また、鑑定人の選定の件でありますが、これは、私どもといたしましては、できるだけ最善を尽して、信用去る技能のある者を選定したつもりでおりますが、将来また、法律なり何なりに基きまして、こういうことを再びやるという機会には、御意見の点もいるいろ伺いましたし、役所の方でもさらにそのときには十分な調査をいたしまして、そのときの情勢におきまして最善と考えられるような者を任命いたしたいと考えております。  評価の点につきましても同様であります。これは、今回全面的に再調査をいたしましたので、その機会に一応の評価をいたしたわけであります。将立どういうふうな処分方法を行うか、まだはつきりいたしませんが、たとえば市場で売りさばくというような措置をとられますような場合には、当然そのときの適正な市価を十分権威ある方法によりまして調べまして、それによりまして処分いたすようにとりはからつて行きたいと思います。  なお、午前中御答弁申し上げましたうちで、ちよつと見当違いといいますか、混乱しておつたことがありましたので、申し上げたいと思いますが、今回のダイヤモンドを評価した値段につきまして、A、B格のものが四万幾らということを申し上げたように思いますが、これはちよつと混乱して申し上げまして申訳ありません。大体簡単に言いますと、全体平均いたしまして、標準として一カラツト当り四万円くらい、四万円ちよつと出るのですが、そのくらいの値段で評価しておるわけであります。A、B格のものでありましても、大きさとか形状とかによりまして、一カラツト当りの値段がいろいろあります。大体におきまして四万円、五万円くらいのものでありますが、A、B格のものは、今回の評価は、十万円から二十万円の評価をしております。ちよつと間違つておりましたので、訂正いたします。
  135. 中野四郎

    中野(四)委員 あなたは専門的に調査をしてないから、今のような御訂正もできるのです。あなたはきわめて正直なんです。正直に言つておられることですが、事実はそれがずさん千万で、あなたが役人でなく、国民の一人としてお考えになるときには、いかにこれが妥当を欠いておるものかということがおわかりになるでしよう。それは、ここでは議論すべきではありません。先ほど申し上げましたように、この書類を、一番初めに間違つておらぬかと言つたら、カラツトにおいて幾らか違つておるかもしれぬが、その処置については誤つていないと速記に残しておる。今伺つておると、最後に、やり方がずさんであつたということは認めておる。まだ全部整備されてない、さらに再調査をして具体的なものを示す、——つまりでためらなものを出しておるのです。でたらめと言つては過言かもしれませんが、国会は間に合せ的にやつておけばいいということで、あなたは国会軽視のそしりを免れないと思う。どうも大蔵省は、他の役所から言えば、こういう経理問題なんかに対しては模範的な行為を示さなければならぬのに、やるごとなすこと、ことごとくルーズなんです。これだから国がよくなるわけはない。戦争に負けた原因も大体そういう官僚閥、いわゆる官僚の怠慢から出たものが大部分であると言つて過言でないと思つておるのですが、時間の関係もありますから、深くはこれを追究いたさず、後日適切な処置をとります。  続いて伺つておきますのは、先ほど御答弁を求めました中央物資活用協会の中田玉市という人に、調査を求めるために、あなたの方では年々十二万円の補助金を出しております。管財局に移つてからは出しておらぬと言つておられますが、二十四年、五年、六年、七年は、予算を十二万円組んで、半分は納めております。してみれば、これは管財局に移ろうと、理財局であろうと、あなたが引継いだわけでありますから、どういうわけでこういう人に補助金を出しておるか、わかるはずです。補助金を出しておる限りにおいてあなたの方はこういう目的を言つておるのです。目的から読みます。「中央物資活用協会松原久人殿、石田理財局長」として、「貴金属の集中事務調査委託について、政府は将来の貴金属集中方策の資料とするため戦前、戦時中貴協会が実施した貴金属の民間回収につきその事務の実施状況及び実績を調査する必要がある、ついては貴協会において貴職員中田玉市氏に上記調査を委嘱するから宜しく取計われたい、なお本件については別途請書を提出されたい」というので、請書まで出しておりますが、どういう理由でこういう人に補助金を出しておられるのか。こういう理由のものとに調査をさせまして、その詳細な報告書が大蔵省にありますかどうか、あれば、その内容を伺いたいのであります。
  136. 阪田泰二

    阪田証人 この中田玉市という者に対する補助金につきましては、管財局におきましては支出いたしておらないようであります。従つて調査の結果に基く報告というものにも、ただいままで接しておりません。
  137. 中野四郎

    中野(四)委員 だから聞いておる。事務をあなたは引継いだのです。理財局のときは十二万円ずつ国費を出しておつたのでしよう。今度管財局なつたら、どうしてやらないのですか。ふしぎじやありませんか。いかなる理由でやめたのですか。
  138. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまの問題でありますが、理財局当時補助金を出してこういうことをやらしておつたという事実があつたといたしましても、はたしてどういう仕事としてこういうことをやつてつたのか、従つて、理財局から管財局ダイヤモンドその他接収貴金属関係仕事が移るという際に、仕事として管財局に移すべきものかどうか、その辺のところにつきましても、ちよつと今のところ私どもの方では判定する材料がありませんので、十分調査いたしました上で御返事申し上げた方がよろしいと思います。
  139. 中野四郎

    中野(四)委員 それでは、重ねて伺います。先ほど午前中の証言に、中央物資活用協会並びに金銀運営委員会等にというお話がありましたが、どうして御承知ですか。金銀運営委員会なり中央物資活用協会にこういう補助金が行つておるとすれば、どういうわけで行つておるか、わかるはずじやありませんか。午前中にあなたがお話をなすつた中に、金銀運営委員会ということが出ました。金銀運営委員会というものは、戦時中における——ダイヤは別ですが、金、銀、白金をば政府に吸収するにあたつて全国の時計屋さんを利用したものなんです。商売人です。そして、この時計屋が、戦時中に買い上げた金銀を、たとえばバンドのバツクルにしたり、ウイスキーのびんにしたり、それから金盃をつくつたりして、そして軍人にそういうものを賄賂に使い、役人に賄賂を使つた。そうして静岡が焼ける前に、白金、金をば、大きな横流しをしたというので、静岡の刑務所に収容されておつた。私はこれに関連してよく知つておりますが、たまたま静岡の刑務所が焼ける前日の夕方に、これらの者の一部を出したのです。中には死んだ者もありますが、現存しておる人間もあります。そういうような商売人にまで補助金をどうして出したのですか。あなたのお話の中にちよつとあつたので、私はこれをきつかけに伺うのですが、管財局になつてからはやらないのですか。理財局のときにはやつたのですか。あるいはそのほかのものにやつておりますかどうか。
  140. 阪田泰二

    阪田証人 ただいま金銀運営委員会のことについてお尋ねがありましたが、私、記憶違いかもしれませんが、どうも午前中金銀運営委員会のことにつきましてお答え申し上げたことがないように思うのですが……。なお、金銀運営委員会に補助金を出しておる等の事実も全然承知しておりません。
  141. 中野四郎

    中野(四)委員 これは、あなたの方で調べればわかるのです。おとといも石田君にこの報告を出せと言つた国会から要求したのです。要求したが、一向出て来ない。出て来ないということは、ないということでしよう。あれば、当然あなたの方は出さなければならなぬ。あとからつくつてもすぐわかる。だから、二十四年から二十七年の上半期まで出した予算的処置について、あなたの方はどういう処置をとつておるか、これは後刻本委員会に、同じように委員長のもとまで書類をもうて報告をしていただきたいと思います。  さらに一点伺つておきたいと思いまするが、理財局と管財局との間に事務の移管がえをしたということが、私、どうも、おとといから納得行かぬのです。先ほどからあなたの話を聞いておりますと、あなたの人柄から言えば、うそをつく人じやないと思うし、総合品的にものを考えると、これは理財局で終末の処理をつけるまで担当しておつた方が妥当ではないか。しかもお話の中では、一件書類というものがまだ来ておらない。大事な書類は理財局の方にあり、ただ上つらの引継ぎだけが管財局にあるという点が、どうも納得行きません。いろいろ職掌の変更があつてそうなつたんだというだけでは、私らは国会においては納得行かぬのです。しかも、運の悪いことには、石田君は八月にアメリカに行つておる。その留守中にあなたの方で引継いでおる。しかも、あなたが八月一日に就任したということになりますと、この間の詳細を知る大事なところが空間になつておるわけです。だから、移管がえがだれとだれとの間において行われ、どういう理由によつてあなたの方でこれをやらなければならなかつたか。本来から言うならば、特殊財産課においてもつと前からやつてつたらどうです。行政監察委員会で問題にならぬ前からやつてつてさしつかえないと思いますが、この点が不明確でありますから、伺いたいと思うのであります。
  142. 阪田泰二

    阪田証人 この接収貴金属関係仕事を理財局から管財局に持つて参りました関係につきましては、当時行政機構の改革が各省ともございまして、大蔵省におきましても、理財局から為替局がわかれて出る、その他各局とも、大なり小なり所管事項の変更があつたわけであります。それに際しまして、従来理財局にありましたこの仕事管財局の方に持つて来たわけであります。いろいろ全体としての理由はあつたと思いますが、具体的にどういう理由で持つて来たかということまでは、私どもちよつと承知しておらないわけであります。大蔵省全体といたしまして機構の改正をいたしまして、この仕事管財局の方にまわつて来たと申し上げるよりほかないわけであります。なお、特殊財産課といいます課も、管財局が八月一日に機構を改正いたしまして、そのときからできた課でありましてそれまではなかつたわけでございます。  それから、具体的の引継ぎの関係でありますが、お話のように、当時理財局長は外債関係仕事で外国へ行つておりましたので、具体的の書類の引継ぎその他の仕事は、関係課長相互間でやつております。
  143. 中野四郎

    中野(四)委員 最後に一点聞いておきたいのですが、平均四、五万円ですか、AからFまで六階級、七階級にわけたのですが、AAとかABというのがある。それは資料に詳しく出ておりますから、よろしゆうございますが、総括的に四、五万円で評価されたものが、あなたは妥当と思つていますかどうか。この点を陶いておいて、他の委員に一応お譲りして、あと補充的に伺いたいと思います。
  144. 阪田泰二

    阪田証人 今回行いましたダイヤモンドの評価につきましては、全体としまして再鑑定をやりましたので、その機会に一応評価もしてもらおうということでやらせたものであります。従つて、この評価に対する意味も、私どもとしてはその程度に受取つておるわけでありまして、それを権威あるものとして、何か具体的に処理する場合にそのまま使用するというような考えは全然持つていないわけであります。
  145. 中野四郎

    中野(四)委員 参考程度に評価をしたという点は了承いたします。そこで、もう一点だけ伺つておきたいが、はずした宝石は三千六百五十八個、これだけですか。後日これが出て来たらどうしますか。接収されたものは相当数量です。この数量のものが、国会にも報告されずに、かつてに関東財務局をして処分してあつたのです。言いかえれば、これは横領の疑いが多分にある。その数量は、あなたのおつしやつた三千六百五十八個という少数でない証拠を持つておりますが、あなたは、大蔵省保管しておるものは三千六百五十八個以外にないということをここで断言されますか。宣誓されたのでありますから、そのことだけは、はつきり証言していただきたい。もし後日相当個数が出て来た場合には、阪田管財局長はいかなる責任をおとりになるか知らないが、とにかくこれだけしかないということを再確認できますかどうか、伺いたい。
  146. 阪田泰二

    阪田証人 接収されまして返還を受けました貴石等につきましては、午前中に三千六百五十八個ということを申し上げたわけでありますが、これは、そのとき申し上げましたように、一昨年の五月二日付で連合国軍側から返還を受けた分であります。その他に接収貴金属の返還を受けましたものの中に貴石等があるかどうかということでありますが、これはいろいろダイヤモンドあるいはその付属品等に混在いたしまして、ごくわずかのものがあるというように承知をいたしておりますが、非常に大きな数量のものはございません。
  147. 中野四郎

    中野(四)委員 そこで、それに関連して伺つておきますが、あなたは、最初五月二日に接収解除を受けたのは恤兵品だというお話でありましたが、恤兵品というものは一体どういう性質のものですか。そうして、性兵品というものはどこに帰属するものでありましようか。管財局長として当然御存じなければならぬと思いますが、どういうものでありましようか。
  148. 阪田泰二

    阪田証人 恤兵品とは、申すまでもなく、戦争中に恤兵のために民間から陸海軍に献納されたものであります。所有権としては国庫に帰属するというふうに考えております。そういう関係上、恤兵品ということで返還されたということと、交易営団に返還したということの関係に矛盾が多少あります。午前中に申し上げましたように、漫然と交易営団のものであるということで整理されておりましたので、その通り返還の整理をしたことが、多少早まつてつたのじやないかということで、是正する措置をとるつもりであります。
  149. 中野四郎

    中野(四)委員 多少ではない。根本的に違う。そうでしよう。あなたのおつしやるのは、多少と言つておる。そんな感覚では困ります。恤兵品なんです。一般国民から国家に献納されたものです。あなたがおつしやる通り、国家に所有権が帰属するのはあたりまえです。その国家に帰属するところの品物を、国会報告を求めてもこれをお答えにならず、一面から言えば、ないことにしておいて、国家に帰属するものをば交易営団という一つの営団に対してあなたの方からかつてに処分した。悪かつたから取消す、そんなりくつのものじやないのです。一体、国家に所有権のある品物を、いかなる理由によつてそういうものにやる権限があるのですか。権限がないから、あなたはとりもどす、——それで済むかもしれませんが、国会で問題にならなかつたらどうするのです。あなたの方でやつたのは、これは営団だけじやない。まだ相当あるはずです。だから私が言うておるのです。こればかりの数字ではない。相当数なくちやならない。阪田さんは知らないでしよう。私の方では掘り下げて、一つ一つの証拠書類つてあなたに問うておるのです。いいかげんな質問をしているのじやない。多少の食い違いどころじやない。根本的に違う。恤兵品、すなわち国家に帰属すべき品物を、あなたがかつて営団のものだというので営団の方にやつたのほ、これはもう明らかに横領罪とか背任罪というものが成立するのです。間違いであつたからとりもどします、それじや済まない問題なんです。そういう考えだから、今度も接収貴金属をかつてに処分しようという先入感のもとにこういうずさんな書類出して来たのです。ごらんなさい。この書類管財局から出したものだと言うけれども、一連の関係を持つているじやないか。その裏には、将来随意契約によつてこれを業者に払い下げ、一部の業者をして私腹を肥やさしめるというような過程に、全部一連の関係を持つている。一体どこに大蔵省がこれに対して一言でも反駁することがあるのですか。明らかに横領罪であり、背任罪です。あなたは最初から恤兵品と言つておる。その血兵品をかつて交易営団にやらしめたその責任はあなたにある。管財局長は、本来から言えば腹かきさばいておわびしなければならぬ。近ごろの役人にそんなことを言つてもだめでしよう。一ぺんぐらい監獄へ行つても、かえつて箔がついて来るのが近ごろの役人だから、だめだろうと思いますが、こんなばかげたことをやつているから、国会で、この忙しいのに、あなた方とともに相当な調査をしなければならぬ。いずれこの点については他の委員からもいろいろと角度をかえて質問がありましようから、私は後に補充的に尋問をすることにしまして、一応自分の尋問を終ります。
  150. 内藤隆

    内藤委員長 次いで横路節雄君に許します。
  151. 横路節雄

    ○横路委員 証人にお尋ねいたしますが、一昨日理財局長おいでをいただいて、証人としていろいろお聞きをしたのです。そのときに、昭和二十六年の六月ですか、大蔵省に司令部の方からダイヤモンドその他について保管の委託を受けた、その場合に自分は署名した、なおそれについては、たしか十一冊ぐらいの帳簿に相当詳細に数量その他を書いてあつたけれども、自分としては何にも調べないで、ただ署名をした、どうせ調べれば少しぐらい足りないだろう、こういうような気持でやつた、こういうことを言われておるのですが、先ほど来いろいろ委員の方から御質問がありました点で私はお尋ねしたいのですが、あなたの方に所管がえになりました際に、当然帳簿その他の引継ぎがあつたと思うのです。なお理財局長は、二十六年の九月中旬に、ダイヤモンドの入つている金庫をあけて、進駐軍から借りた箱を返した、そのとき帳簿と——封筒に入つてつたのでしようが、それと引合せしたことが一度ある、その点は一昨日理財局長証言をしているわけですが、当然あなたは事務の引継ぎとして帳簿を引継いでいると思う。その帳簿を引継いだ場合に、理財局長からどういうふうに話をされて帳簿を引継いだか、その点についてまず第一番目にお尋ねします。
  152. 阪田泰二

    阪田証人 二十六年六月当時に、先方から接収貴金属保管を移すという話がありまして、理財局では、これを後日調査をするというような留保をつけて一応受取つたということは、大体理財局長からも申し上げておりますが、私どももそう聞いておるわけです。それで、その後管財局仕事が移りましたときには、実際問題といたしまして、理財局長は外債交渉のために外国におりましたので、関係の理財局の元の管理課長、それから管財局の特殊財産課長、この両者の間に書面で、従来の経過、役所にありまする関係書類の引継ぎをいたしたわけであります。それで書面上の引継ぎは終りまして、その後九月の初めに、日本銀行の金庫の現場におきまして、現物の引継ぎという形式の手続をやつております。その間におきまして、管財局の特殊財産課長が更迭しておりましたので、元の理財局の横山管理課長、それから管財局では特殊財産課長が前任者と後任者の二人、三人立ち会つて引継ぎの手続をいたしております。
  153. 横路節雄

    ○横路委員 今の引継ぎのときに——先ほど私がお尋ねいたしました、二十六年九月に、司令部の方にダイヤモンドの入つている箱を返さなければならないので、向うから来た箱を返したわけですが、その箱をこちらの箱にとりかえて返す場合に、ダイヤモンドについては、一度帳簿と現物について調べたことがある、こういうふうに言つているわけです。そうすれば、ダイヤモンドについては、理財局長から帳簿引継ぎの場合に、その担当の課長同士の間で当然そのことについて引継ぎがあつたろうと思う。これは非常に重要なことです。ダイヤモンドの入つてつた元の箱を司令部に返し、こちらの箱に詰めかえる。当然その場合には帳簿と現物と合せてやつておる。その点について証言している。その点について、あなたの方に文書で当然報告があつたはずで、今そこに文書をお持ちであれば、お読みいただきたい。
  154. 阪田泰二

    阪田証人 私どもの方にこの仕事が移管になります前に、二十六年の九月十八日ですか、それから三日間、司令部の関係官、大蔵省関係官、それから久米鑑定人立会いの上で、一応数量につきまして引継ぎの手続をいたしたということがございます。
  155. 横路節雄

    ○横路委員 ただいまのお話で、二十六年九月十八日から三日間、司令部の係官二人が立ち会つて、その箱を返すために張簿と数量を合せたわけですね。間違いございませんか。今あなたのお話を、私は念を押して聞いているだけです。
  156. 阪田泰二

    阪田証人 司令部、大蔵省、それから久米鑑定人立会いの上で、一応数量を当つて、引継ぎをいたした、こういう事実はございます。
  157. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると、そのときの帳簿と、そのときの数量と、あなたが先ほどお話のございました個数は違うのでございましようか。最終的に百四十九万九千九十二個、それから十六万千二百八十三カラツト三七という数字と、二十六年九月十八日に司令部の係官二名と大蔵省その他久米鑑定人が立ち会つてつた数字とは同じになつていますか。その点ひとつお尋ねいたします。
  158. 阪田泰二

    阪田証人 昨年の九月十八日から三日間やりましたものは、日数も三日間でありまして、詳細の再鑑定をいたしたわけでありません。それで、今年になりまして、私どもの方でこの仕事を引継ぎましてから再鑑定いたしたわけでありますが、その結果、けさほど申し上げましたように、総カラツト数で一六一、二八三・三七カラツト、こういう数字が出ているわけであります。従いまして、さきに申し上げました引継ぎのときの数量よりは四八・八二カラツトだけ減少しております。減少いたしました理由でございますが、内容をわけて申し存ますと、いろいろ袋にわけて箱の中に整理してあつたわけでありますが、砂とかごみとか、小粒のダイヤモンド一緒に包んであつたものがありました、そういうものは砂とダイヤモンドとを分離しました結果、砂の部分が三九・五〇カラツト、それからジリコン——これはダイヤモンドではない貴石、あまり価値のないものでありますが、これが一・八三カラツト混入しておりました。それから、はかります際に、一袋ごとにはかつておりますが、そのこまかい一袋ごとの端数の違いが——今回は化学天秤等を購入しまして正確にはかつた結果、各袋ごとの誤差の累積しましたものが七・四九ヵラツトございます。合計しまして四八・八二カラツトの差異を生じたわけでございます。
  159. 横路節雄

    ○横路委員 ただいまあなたがお話なされましたのは、二十六年九月十八日から三日間調査をした場合に、司令部の方から来た原簿と合せてやつた牧童から四八カラツトだけ減少した、こういわけですか。あなたの方で、理財局から初め引継いだ帳簿に詳細に数量が載つてつたでしようから、それを二十六年九月十八日から三日間調べて、再確認をして、その後日本側保管をしたわけです。私の聞いているのは、引継いだ帳簿と照し合せたものからそれだけ減つているというのか、その四八カラツトも減つておるというのは、何に比べて減つておるのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  160. 阪田泰二

    阪田証人 向うでつくておりましたIDMに記載してありました数量は一六一、三二二・二二カラツトでございます。それに対しまして、先ほど申し上げました九月十八日から三日間再秤量をいたしました、数量は一六一、三三二・一九カラツトでありますから、大体一〇カラツトくらいふえております。それから、ただいま私どもの方で町鑑定しました結果四八・八二カラツト減りましたと申し上げましたのは、ただいまの九月十八日から三日間秤量を直しましたその数量に対する減であります。
  161. 横路節雄

    ○横路委員 その四八カラツトの減少でございますが、一つずつはかつたわけでございますか。それとも相当個数をまとめてやつたわけですか。これは、はかり方はあなたもおわかりのように、一つずつやつて行けば、何ぼ精密な機械でも、やはり目で見るのですから、四八カラツトくらいの誤差であれば当然出て来るわけです。あえて砂と言わなくても……。あなたのお話を聞いていますと、一つずつ精密機械で調べたというように聞えますが、しかし実際には、二十七年の十月からの調査では、ほとんどはかりを用いなかつたとも言われているのですが、一体それはどちらがほんとうなんですか。
  162. 阪田泰二

    阪田証人 御承知のように、このダイヤモンドの中には非常に小粒のダイヤモンド等も多数ございますので、秤量は一個々々やつたわけではございません。ただ、この実際の保管状態は、大きな箱の中にさらに小さい封筒のような袋に入れて、わけて整理してあります。この袋の数が現在二千九百六十八袋あるわけでございます。その袋ごとに秤量をいたしたわけであります。
  163. 横路節雄

    ○横路委員 先ほど中野委員から、鑑定人についてお話がございましたが、これはやはり責任者はあなたですね。昨年の十月にはあなたは局長におなりになつておるのですが、そうすると、どういうような状態でこの鑑定人をお選びになつたのか。特に私どもふに落ちない点は、この鑑定人の中に、時計商をやつてつた、戦争中には大砲用の信管をつくつてつた、そういう人まで入れてみたりしておることです。それから、あとでもう少しお尋ねをしたいと思うのですが、この間、一番最初に鑑定人に証人に来ていただいたのですが、まあ目で見ればわかりますと言うのです。ほとんど目で見てやつたらしい。事実目で見てやるのでしようが……。ところで、目で見るのに、あなたの方でお年が七十くらいになる人を鑑定人として特に起用しているようです。そうすると、それは特殊な人ならば七十になつても間違わないのかもしれませんが、やはり年をとれば大分目も薄んで来ましようし、そういう意味で、鑑定人を選定するにあたつて、一体あなたは、これは重要な仕事なんだから鑑定人の選定については十分調べてやつてくれとでも言うたものか、部下の方からこれとこれがいいだろうというので、ああそうかと、ただ判を押されたのか、この点非常に重要な点でございますから、お答えいただきたいと思います。鑑定人をどうやつてあなたの方で選定なさつたか。
  164. 阪田泰二

    阪田証人 申すまでもなく、この鑑定人の選任は、たいへん貴重なものを扱わせるわけであり、鑑定の結果非常に重要な影響を持つことがあり得るわけでありますから、その選定につきましては、十分慎重に、いろいろの方面の調査もいたした上でやるように申しつけてあります。それで、具体的な選定といたしまして、いろいろ今お話がございましたが、大体におきまして、各方面の意見を聞きました結果、これらの者がダイヤモンドの鑑定につきまして十分な鑑識眼を持つており、さらに人格等の点におきましても間違いがないものだ、こういうふうに伴定いたしまして、委嘱の手続をとつたわけであります。
  165. 横路節雄

    ○横路委員 各方面というと、そういう黄金属取扱いの関係で組合をつくつているとか、あるいは親睦会式のものをつくつているとか、そういうような、団体と行かなくても、各方面の意向というのは、あなたの方でもやはり相当責任を持つておやりになつたのでしようから、どういう各方面の意向を問いただされたか、そのときの状況についてお話願いたい。
  166. 阪田泰二

    阪田証人 大体、主として参考といたしましたのは、大きな貴金属——デパートとか、その他大きな貴金属商の意見であります。それから鑑定人久米武夫氏の意見も相当参考といたしました。
  167. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると、大きな貴金属商の意見をあなたの方で参考とされたようでありますが、もしもおわかりであれば、どういうところに諮問されたか、一応お聞かせいただきたい。何百軒もあつてあれしたのではないでしよう。あなたの方で何軒かに聞いてみたのではないかと思いますが、おわかりでありましたら、お知らせいただきたい。
  168. 阪田泰二

    阪田証人 どうも、はつきり記憶いたしておりませんが、三越とか何とかいうような大きなデパートの貴金属部、これはかなり大きくやつておりますので、そういうところに聞いております。その他天賞堂というような大きな貴金属商に、それぞれ大体様子を聞いております。
  169. 横路節雄

    ○横路委員 今取扱つていますダイヤモンドが、今後どういうかつごうになるかということは、国民全体はもちろん、業者は非常に注意しているわけです。その注意の中で、こういうことをあなたは御存じございませんでしようか。鑑定人の古川伊三郎という人なんですが、この人は東京貴石倶楽部の会長なんです。そうして、本年の一月十五日、芝の美術倶楽部で、貴金属商の組合の貴石倶楽部であるとか、若葉会であるとか、いろいろな会が、大体払下げを目的として大同団結して、東美連合会というのを組織しておる。ちようどこの会が組織されているころ、そのうちの重要メンバーである、東京貴石倶楽部の会長である古川という人が鑑定人に参与をしておるわけです。もちろんこれは町の一般の商人についてあなたの方で鑑定人を委嘱したのだから、その者は別にまさか国家公務員の規律も何もないと言えばないのだから、何をしようと、かつてだとお考えになるかもしれないが、しかし、そういうことになつているということが非常に疑惑の種になつておるのですが、どうもそういう点を見ると、あなたの方で選定された鑑定人が、もう少し、こうこうこういう理由で、こういうところにも話をして、鑑定人としては一番りつぱであるというのでやつたのであるという点が出ないと、どうも——あなたはそういうことはしないと思いますが、これをあなたに上申して来た者の中で、そういう点の事情を明らかに承知の上で鑑定人を選定して来たのではないかと疑われる点だつて出て来ると思う。そういう点。もう一点、なお、古川という人が東京賢君倶楽部の会長である。それから、払下げの目的をもつて今日大同団結して、一月十五日、芝の美術倶楽部で東美連合会というものを組織している、こういうことについて、あなたは承知をしているかどうか。その点ひとつお尋ねします。古川という鑑定人に対して、あなたはそういう事実について承知しているかどうか。
  170. 阪田泰二

    阪田証人 古川鑑定人が東京貴石倶楽部の会長をしておる、こういう事実は、鑑定人を委嘱するときに当然判明しておるはずであります。ただ、その後一月十五日ですか、この関係ダイヤモンドの払下げを受けるというような目的で東美連合会を組織するその首謀者になつたといいますか、そういうような事柄については、私ども全然承知いたしておりませんでした。なお払下げの問題につきましては、今後こういう法律が出まして、その法律に基いて処置されることになります。民間に払い下げるとも、どういう方法でどういうような処置をいたすとも、全然現状においてはきまつておるわけではございませんので、かようなものができましても、私どもとしては別段関心を持たない、拘泥しない、こういう気持でおるわけであります。
  171. 横路節雄

    ○横路委員 十月から再鑑定をあなたの方でしたわけですな。何日間くらいおやりになつたのですか。それをひとつお聞かせ願いたい。
  172. 阪田泰二

    阪田証人 この再鑑定は、二十七年の十月十日から始めまして、二十八年の二月二日に終了いたしております。鑑定に従事いたしました実日数は、ちよつとわかりませんので、あとで……。
  173. 横路節雄

    ○横路委員 主としてあなたの方から出られて、毎日鑑定する場合、相当厳重に監視をしたものだろうと思うのです。この点、あなただつて、そういうようにあなたのところの職員についてやかましく言つて毎日出したろうと思うのです。その点につきまして、昭和二十七年十月三十一日までは金庫の扉については大蔵省職員により封緘を施してあつたが云々とあつて、十月三十一日までは、あなたの方に移つてから、阪田局長、小林総務課長、こういうように名前だけが出ているのですが、十一月以降について、一体だれが主たる責任者として、だれが何べんそこに入つたものやら、資料が出ていないのですが、その点について、おわかりであれば、お知らせいただきたいと思います。
  174. 阪田泰二

    阪田証人 日本銀行の金庫の関係でありますが、これは司令部当局から大蔵省が引渡しを受けましたけれども、先に申し上げましたように、数量等を確認するというような条件をつけて引受けたというようなかつこうになつておりまして、大蔵省といたしましては、受取りました貴金属等をただちに日本銀行に預けまして、日本銀行保管させたわけでありますが、内容がどういうものであるか、ぴつたりと司令部から引継いだ数字と合うかどうかということの確認が了していなかつたわけでありますから、そういう関係上、大蔵省数量を確認していないものを、そのまま日本銀行責任において保管させることはどうかと思われましたので、銀の関係数量が確かめられますまで、大蔵省が封緘を施して、金庫の中に出入りしておつたわけであります。銀の方の再鑑定が終了いたしまして、その方の数量が明らかになりましたので、その数量日本銀行責任を持つて保管させ、日本銀行に金庫の封印をさせることにいたしましたので、その以後は、大蔵省としては、日本銀行の金庫にこちらで単独で立ち入るということはいたしていないのであります。
  175. 横路節雄

    ○横路委員 私のお尋ねしておりますのは、その日にちについても、もう一ぺん言つてもらいたいと思うのですが、去年の十月から今年の二月ですか、一月の何日までですかの再鑑定の場合、あなたの方の係官が二名立ち会つているでしよう。私たちの調査では、そのときに鑑定人が、大体久米主任鑑定人のほかに鑑定人が二人ずつ交代して、そうして、そのほかにあなたの方で大蔵省の係官が二名、そのときに毎日出張して立ち会つているわけです。そういう点についての資料が私たちの手元にないものですから、当然わかつておられるだろうと思うので、お知らせしていただきたい。
  176. 阪田泰二

    阪田証人 今のダイヤの再鑑定の関係は、まあ鑑定をやりますために適当な条件のある部屋ということで、日本銀行地下二階の一室を借り切りまして、そこでやつておりましたわけで、従いまして、そこに久米鑑定人あるいは管財局課長、補佐、係官等が立ち会いまして、そこで鑑定をいたしたわけでありますが、金庫からその鑑定室までダイヤモンド出し入れいたします仕事は、日本銀行でやつてもらつてつたわけであります。従いまして、それらの仕事関係上、日本銀行の金庫に銀の移しかえ等いろいろ仕事がありまして、立ち入つたことはございますが、ダイヤモンドはそういうふうに別の部屋で鑑定をやつた、こういうことになつております。  なお、金庫の入庫者、何月何日にだれが入庫したかというような調査は、記録がとつてございますので、御必要とあれば差上げることにいたします。
  177. 横路節雄

    ○横路委員 今証人からお話のございました入庫者の氏名等については、何月何日だれくとなつているそうですから、これはひとつ書面で出していただきたい。  それから次に、先ほどお話のございました十六万一千二百八十三・三七カラツト、価格六十一億というお話なのですが、先ほど中野委員からのいろいろなお話で、あなたの方は一応の価格として、時価について評価さしたということになるわけなんですが、きようのあなたの御証言で、平均大体一カラツト四万円足らずだということは、先ほどからいろいろ資料が出てお話がございましたが、これはだれが聞いても了解できないわけです。ですから、先ほど私が言いましたように、一月の十五日というと、まだ再鑑定しているときですね。         ————— 証人、そうですね。一月の十五日に再鑑定しておるときに、その鑑定人の一人である古川というのが東京貴石倶楽部の会長で、それらの者が集まつて、芝の美術倶楽部で、どういう目的かわからぬが、一つの大きな会を組織して、それらの諸君が一カラツト四万円足らずという評価をしている。そうすると、これは当然あわせて考えられるわけですが、あなたの方では、先ほどのお話で、平均でないと言うのですから、百四十九万九千九十二個、十六万千二百八十三カラツト三七について、合計六十一億と算定したためには、何々は何ぼ、何々は何ぼとやつたのでしよう。その資料はおありでしようね。六十一億というのは、まさか一カラツト平均三万八千円とそろばんをはじいたわけではないでしようから、その資料は持つていますか。持つておれば、あなたの方でいずれ委員長の方に資料を出してもらいたいと思う。しかし、あなたの方で十六万からのものについて六十一億という数字を言われることは、新聞に出ても相当大きな話題の棟になりますから、今ここで、念のために、相当大きな二カラツト、三カラトという代表的なものがありましようから、そういうものについて、どういう評価をつけたのか、五つ六つ読んでもらいたいと思います。
  178. 阪田泰二

    阪田証人 帳簿を持つて来たかどうかわかりませんから……。
  179. 横路節雄

    ○横路委員 私は先ほどから、中野委員があなたの証言を求めるのを聞いておりますが、どうも阪田証人は準備不足でないかと思う。どうも理財局長にしろ、だれにしろ、おれは局長だから知らぬのだ、あそこらに並んでいるのがみんな責任者なので、おれは知らぬという印象を受ける。私は、あそこの委員席でおもしろい証言をするものだと思つて聞いていましたが、もう少し資料を持つてつてもらわぬと困る。
  180. 内藤隆

    内藤委員長 おつしやる通りで、さようなことは異例に属する。数字だから特に私は大目に見ておるのであります。かようなことはいい前例ではありません。
  181. 阪田泰二

    阪田証人 お尋ねのように、ダイヤモンドにつきましては、ある程度以上の大きさのものは、一個ごとにその品質、品位によりまして評価しておるわけであります。どれが一番大きいかとおつしやるのですが、大体申し上げましたように、AAとかABとか分類しておりますので、最初のAAのところで申し上げますが、第一ページで一番大きいのが一五・四五カラツトの石があります。これが百六十九万九千五百円に評価してございます。それからAAで三四・八七カラツトという石がございます。これは二百四十四万九百円に評価してございます。それからABのところで申し上げますと、四三・二二カラツトという石がありますが、これは五百十八万六千四百円に評価してございます。たくさんあるわけでございますが、一例を申し上げますと、そのようなものであります。
  182. 横路節雄

    ○横路委員 この点については、ひとつ御苦労でもやはり書類出していただきたいと思う。これは、どうしてかといいますと、一番最初に証人を呼んだ場合の、松屋におつた再鑑定人ですが、マルカ合資会社に陳列してあつたものについては、たしか一カラツト三十万円ないし三十一万円というお話があつた。これを見ますと、一カラツト十万円以下なんです。三四・八七カラツトというと、一カラツト七万円くらいです。片方、銀座七丁目のマルカ合資会社の代表者である者を呼んで証言させたときには一カラツト三十万円ないし三十一万円と言つておる。ところが、今のお話だと、てんで、どれを聞いても出て来ない。どう考えても、この六十一億というものについては了解できない。そういう点で、今の点については資料をどうしても出していただきたい。その点が一つ。なお、この点について局長としては別に疑問を持つていなかつたですか。どうもあなたは、どうせおれの財産でないから、だれがどうつけようとしかたがないわというような気持だつたのか、これはどうもおかしいじやないかとお思いになつていたのか、その点どうなんですか。
  183. 阪田泰二

    阪田証人 ただいま、ちよつとカラツト数の多いものを例に申し上げたわけでありますが、カラツト数の少い、あるいは手ごろなものについて申し上げますと、たとえば二・九〇カラツトの石が九十五万七千円という評価になつてございます。一カラツト当り三十三万円、カラツト当りで言いますとそういうような評価をしてあるものもあるわけであります。個々の石の状態によりまして値段は非常に洗うようであります。もちろんこれは卸売価格でありますから、小売のマージン、あるいは物品税等をつけますれば、さらに相当高い値段になるわけであります。
  184. 横路節雄

    ○横路委員 こういう点については、あなたは、鑑定人に依頼をしたのだから、それでしようがないということで、——あなたも大蔵省にお勤めなんだから、まわりまわつて税金なんかをとつているくやる場合が多いんだろうから、そういう場合に、あなたは今出されたこれで、大体こんなものが正しいのかとお思いになつてつたのかどうか。この調査表が出て来たときに、どうもふに落ちないとお思いになつたのか、それとも、おれはただ取扱者だから、何も考えてなかつたというのか、どういう考えでございますか。その点、あなたは十六万一千二百八十三カラツト、六十一億という表を出されたときに、感じたか、感じないか、何も思わなかつたか。これは、あなたが管財局長として——あとでまたほかのことを聞きたい点もあるのですが、どうも少し管財局ではそういう点について私たちの了解できない点もあるのです。だから聞いておる。その点聞かしていただきたい。
  185. 阪田泰二

    阪田証人 この評価につきましては、私どもあまり専門家でないので、はつきりしたことは申し上げられませんが、私の考えといたしましては、この評価につきましては、これは高過ぎる、あるいは安過ぎるというような断定はしていないわけであります。将来実際ダイヤモンドの評価をして処分するとか、この他の処置をする必要が生じました場合には、いろいろな資料を参考にいたしまして、できるだけ適正な評価をいたしたいと考えております。この評価につきましては、そういうわけでありまして、一応参考として受取つておるだけで、高過ぎるとも安過ぎるとも断定はしていないのであります。
  186. 内藤隆

    内藤委員長 証人に申しますが、委員よりの申出もありますので、その原簿をそのまま委員長の方まで渡してくれませんか。
  187. 阪田泰二

    阪田証人 ちよつとこれは整理の都合があると思いますので、あとで……。
  188. 内藤隆

    内藤委員長 それでは、あとで事務局員が参りますから、お渡しを願います。
  189. 横路節雄

    ○横路委員 今の証人のお話で、これは一応参考程度にとつたので、いずれはつきりした場合においては価格を決定しなければならぬ、こういう話なんですが、その場合に、あなたの方の必構えとして——また証人とか鑑定人とかいうことになるでしようが、その場合に、あなたはどういうようにしておやりになるつもりなのですか。これは一応の価格なんで、いずれどういうかつこうかにこれがきまれば、あなたの方としては価格についてまた鑑定しなければならぬでしようね。そこで、どういうようにしてなさるのか。また貴金属商のどこかに御相談になるのか。それとも、今できていると何とか倶楽部というものの代表者を呼んでやるのか、そこらはどうなるのですか。
  190. 阪田泰二

    阪田証人 実際に大蔵省として評価いたします場合に、どういう方法に出るか、ただいまからはつきりしたことは申し上げるわけに行かないと思いますが、やはり市場の価格は、品質なり状態によりまして非常に違うものでありますから、どういう標準によつて、どういうものにどういう市場価格があるかというようなことは、直接に私どもの方で資料をとつて調べるべきであろうと思います。なお、専門家、精通者の意見も、やはり参考のためにとるべきものであろうと思いますが、そういつた資料をできるだけ広範囲に、手落ちのないように収集いたしまして、評価の適正を期して行きたいというふうに、方向としては考えております。
  191. 横路節雄

    ○横路委員 私は、証人にお尋ねしたいのですが、このダイヤについて、あなたは国の所有であると考えておやりになつているのか、それとも、いろいろ問題になつているように、これは交易営団のものなんだというように考えているのか。この点は、先ほどから中野委員からもいろいろ名古屋、大阪等の例でお話がございましたが、あなた自身はどういう考え方でやつているのか。今までいろいろ進めて来たのでしようから、その点をひとつ。         ————— 先ほど、どこかの新聞を中野委員が読んで、あなたは関知してないとは言うけれども、しかし、あなた自身としては、先ほど委員長からああいうようにお話があつたのも、あなたの方で相当事務的に話を進められている点等もあつて委員会においてはああいう決定になつたわけなんですから、一体あなたは、所有権はどこにあると考えて今まで仕事を進めておられたのか、その点についてお尋ねいたします。
  192. 阪田泰二

    阪田証人 その点につきましては、午前中にも、接収行為あるいはそれに対する解除という行為、こういうものの法律的な性質がどうかということに関連いたしましてお尋ねがあつたわけでありますが、大蔵省といたしましては、ただいま、公約いたしましたところに従いまして、接収貴金属処置に関する法律をこの国会に提案すべく準備をいたしておるわけであります。その法律出しますについては、この所有権の関係をどういうふうに見るか、従つてそれに伴つてどういう法律出してこれを処置するかということになるわけでありますが、この所有権がどこにあるか、どういう状態になつて声るかという、その辺のところが、今回の法律におきましても、法律関係の問題としましては一番むずかしい微妙なところでありまして、その辺、目下慎重に検討しておるわけでありますが、まだ私どもとしては、こうであるという正式の結論が出ていないわけであります。従いまして、現状におきましては、政府はこの解除されたダイヤモンドを事実問題として保管仕事をやつておる、こういうことになつておるわけであります。
  193. 横路節雄

    ○横路委員 私は、証人にお尋ねしたいのですが、どうも今まで大蔵省のやり方を見ていると、第十三国会において本委員会調査しました旧軍艦陸奥のごときに対しましても、大蔵省に対して委員会から十分な警告を発していたのですが、とうとうあなたの方で何も措置をしないために、相手方から逆に仮処分の請求を持込まれてしまつた。それから、いろいろ問題になつておりました四日市の海軍の燃料廠の問題について、話によると、あなたの方では事務局の方から再三その資料を出せと言われても出していない。しかも、契約もしていないで、わずか一日二千円くらいであなたの方で貸しているという話もある。そういう一連の関係を見ると、どうもあなたの方では国の財産というものについて非常に軽視しているのではないか、こういうように思うのですが、一体四日市海軍燃料廠の問題はどうなつておるのか。それから旧軍艦陸奥についても、本委員会であなたの方に警告を発しておつたのに、さつぱり手続をしない間に仮処分を受けたりしている。明らかに軽視の風ではございませんか。あなたの方では、今の四日市の海軍燃料廠に対してはどうやつているのか。無契約のまま貸しているという話もあるし、契約をしてあるのか、してないのか。何をしているのか、それをひとつ明らかにしていただきたい。そのあとで、資料の要求が必要であれば、なお要求いたします。
  194. 阪田泰二

    阪田証人 四日市の海軍燃料廠の問題でありますが、これにつきましては、世上でもいろいろ問題になつておりますように、非常に大きい施設でありまして、これをどういうふうに活用するかということは、日本の経済、石油精製業その他に非常に大きい影響がありますので、ただいま大蔵省、通産省協議をいたしまして、全般としてはどういうふうにこれを処理したら適当かということを協議中であるわけでありますが、まだ具体的に決定に到達するに至つていないわけであります。ただ、四日市燃料廠は、ああいうふうに非常に厖大な施設でありますので、全体としての活用に支障ないと考えられる限度におきまして、一部はすでに東海硫安会社に貸しまして、硫安の製造をやらせておる、あるいは一部の施設は大協石油でしたか、石油会社に使用させておるあるいは不要と認められるような部分につきましては、解体して売り払つたとか、あるいは移築をしたとか、いろいろそういうものがございます。しかし、大部分の地域は、そういうことで現在未使用になつておるわけであります。現在東海硫安その他に貸し付けて使用させておる分につきましては、これは正規の国有財産の貸付の手続を踏みまして、使用料等をとつておるわけであります。  なお、陸奥の処分についての問題でありますが、これは、御承知のように、引揚げ作業としてもかなりむずかしいところに沈んでおりますし、その船の中にありまする遺骨の関係もありまして、解体引揚げの方法につきましても相当慎重に考えなければならないような事情もありまして、今日まで具体的な措置、方法が決定しないで参つたわけでありますが、これにつきましても、至急に何とか措置をとるようにいたしたいと考えております。
  195. 横路節雄

    ○横路委員 先ほどからの中野委員のお話の中で、名古屋の帝銀の受領書は、営団出したものでは三千四百十七カラツトとなつておるが、受領書では、「一覧表に列記した品目が入つているといわれる上述列記の六個の鉄製たがをはめた箱を受領した、財産目録こ照合のため箱をあけるようなことはしなかつた」と明記してあり、あるいは大阪帝銀船場支店から接収の三万六千六十四カラツトに対しても、その受領書には、「私は上記財産目録に列記された品目が入つていると書いてある三個の箱第一号、第二号、及び第三号の記号のついたものを交易営団(大阪支所)から本日受領した、すべての三個の箱は受領のときに封がされ、かつあけられなかつた」、こういうようなかつこうで来ているわけです、そうすると、ダイヤが何個という受領書がない。そこで私は、あなたに管財局長としての心構えを聞いておきたいのですが、法案にして提出される用意をされて、あなたは微妙な点があると言うけれども、一体あなた自身としては、所有権の問題についてどちらにきめて提出されようとしたのか。全然まだ考えてなかつたのか、どういうように考えられておつたのですか。
  196. 阪田泰二

    阪田証人 この問題につきましては、先ほども申し上げましたように、ただいま法律案の準備中でありまして、しかもお尋ねの点が、ちようどその法律案でどうきめるべきかという一番問題の焦点になるような点でありますので、どうも個人的に私がどう思うかというようなことをこの際申し上げることは、かえつて誤解を招くもとになると思いますので、法律案が確定しまして、国会に提出できるようなときになりまして、政府としての意見がはつきり確定いたしますまで、御遠慮いたしたいと考えます。
  197. 横路節雄

    ○横路委員 最後に一つだけお尋ねしておきたいのですが、理財局からあなたのところに移つた場合に、石田理財局長とあなたの方とでは、実際には事務の引継ぎをしないで、担当の課長の間で、ただ文書による報告をした、その文書については、今あなたの方で持つている、こういうお話です。なお、昭和二十六年九月十八日から三日間した調査では、そのとき帳簿には十六万千三百二十二・二二カラツトとあつたが、そのときの調べで十六万千三百三十二・一九カラツトなつた、その場合には理財局の所管であつた、今度あなたの方に移つて、去年の十月からやつたところが、その十六万千三百三十二・一九カラツトが、先ほどお話のように十六万千二百八十三・三七カラツトなつた、しかもあなたの方で一つ一つはかりにかけて数量をきちつと出したと、あなたは言われましたが、私どもは、あまりはかりにはかけなかつたと聞いている。その点をもう一ぺん確認をしておいていただきたい。そうして、この点については、いずれまた他の証人からお聞きいたします。なお、その場合に、砂その他で明らかに減量したということになつておるわけですが、一つずつはかつたとあなたは先ほど証言なつた。それを確認だけして、私は終ります。
  198. 阪田泰二

    阪田証人 理財局から管財局にこの関係仕事を引継ぎましたのは、先ほども申し上げました一昨年の九月ですふ、司令部、大蔵省理財局でありますが、それに久米鑑定人立会いで調べました数量をもとにして引継いだわけでありますが、その後私どもで再鑑定をいたしました。このときには全体を秤量し直したわけであります。ただ、一個ずつということではございませんので、先ほど申し上げましたように、袋にわけて、二千九百六十八硬ありますが、袋、ことに秤量いたしたのであります。
  199. 横路節雄

    ○横路委員 袋ごとに目方をはかつたものを、どうしてあなたの方では資料に一個ずつ目方出して、それに金額を付してあるのですか。それはどういうことになるのですか。
  200. 阪田泰二

    阪田証人 少々私のお答えに不正確な点がありましたので、申し上げ直しますが、袋ごとにはかりました数量ということでよろしいわけでありまして、ごく小粒のもの等は一つ一つはかつたわけではございません。ただ、先ほど例に申し上げましたようなある程度以上の大きさのものは、これは一つ一つ秤量いたしておるわけであります。
  201. 横路節雄

    ○横路委員 その点もう一ぺんはつきりしていただかないと……。ある程度以上のものについては一つずつはかつた、小粒のものについては袋ことはかつた——そうすると、小粒のものは全部袋に一括して、ある程度以上のものは一個ずつにしてあつたのですか。それにしては、百四十九万幾らという個数と袋が二千何ぼというのでは、ずいぶん違うので、その点、もう一ぺん明確にしていただきたい。あとで資料を出していただいたときに、その資料の信憑性がなくなるわけですから……。なお、私たちの調査では、さつぱりはからなかつたと言つておる。私は、聞いていてどうも了解ができないので、他の委員の方も聞くでしようけれども、その点、もう一度はつきりしていただかないと、その資料が全然でたらめ……というとおかしいけれども、どうもはつきりしないということになる。
  202. 阪田泰二

    阪田証人 非常に小粒のものは当然一袋にまとめて収容してあるわけでありますが、大きなものも大体一袋に数個まとめて収容してあります。一袋の中にあるもののカラツト数を集計いたしまして、ここにあるような数字が出て来ておるわけであります。
  203. 横路節雄

    ○横路委員 どうも私よくわからないのです。一袋の中にある個数を一つずつ数えたのですか。一袋の中にあるものをまとめてかけたのですか。その点がはつきりしないのです。あなたの方ではそれをどういうようになつたのですか。  それからもう一つ。あなたも去年の十月かにきつと現場に行つてらつしやるだろうと思う。その二千何ぼの袋というものが大体どういうようになつておるのか、一度くらいは、こらんにたつたものと思う。その点は、理財局長よりもよいと思う。理財局長は、二十六年六月に引継いで、去年の五月まで一ぺんも行つたことがない。その点、あなたはごらんなつたのでしようから、聞いておきたい。あつちに行つたり、こつちに行つたり、何べんも答弁がかわるようですから、もう一ぺん、はつきり御答弁を願いたい。わからたければわからないでもよいのです。
  204. 阪田泰二

    阪田証人 どうも答弁が混乱いしまして恐縮でありますが、ダイヤモンドは、大きいものも小さいものも、みたそれぞれある程度の数をまとめて袋に収容してあるわけであります。秤量につきましては、大きなものは個別的の数量も調べてあります。しかし、ある程度以上小さいものは、まとめた袋の内容で秤量してあるわけであります。
  205. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると、そこへ出ておるその価格をつけたものについては、ある程度以上のものしかついてたいので、あとは一括して何ぼと出ておるわけですか。見せていただけばわかるわけでありますけれども、あなたの帳簿はどうなつておりますか。
  206. 阪田泰二

    阪田証人 お話の通りでありまして、非常に小粒のものは、一括して評価なり重量なりを調べてあるわけであります。
  207. 横路節雄

    ○横路委員 私はこれでやめますが、委員長にお願いしておきたいのです。ひとつ局長に陸奥の仮処分に関するてんまつの件を急いで資料として提出するように、委員長から阪田証人にお話していただきたい。
  208. 内藤隆

    内藤委員長 承知しました。ただいまお聞きの通り、軍艦陸奥に関しては、私が委員長として調べておつたのですが、その後この取扱いについて、あなたの方へ厳重に申し込んであることが、守られていないようであります。はなはだ遺憾であります。どういうことになつているか、これを文書をもつて報告願います。  それから、先般、交易営団の清算人であります黒瀬君の証言によりますと、大蔵大臣あてに、交易営団ダイヤ所有権を主張して、すみやかにこれを交易営団に引渡せという書類出しておる。それに対して、大蔵省の方から返答が行つておるようでありますから、この書類と、その返事の写し等もすみやかに委員長あてに御提出を願います。  次は明禮輝三郎君。
  209. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 時間がたちましたから、ごく簡単に二、三お尋ねいたします。  今委員長から尋ねられました、交易営団大蔵省の方へ、ダイヤを返してもらいたいと言つてつておるのは、交易営団の清算人黒瀬という人でありますが、この黒瀬という方は、やはり大蔵省管財局の監督に属しておるのでありましようか。どういう機構になつておりますか。
  210. 阪田泰二

    阪田証人 交易営団の特殊清算人であります黒瀬という人は、これは閉鎖機関令に基く特殊清算人でありまして、大蔵大臣の監督を受けておるわけであります。大蔵省内における事務所管は、管財局の閉鎖機関課の方でやつております。
  211. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 管財局ですと、やはり結論においてあなたの監督に服するのでありますな。
  212. 阪田泰二

    阪田証人 その通りでございます。
  213. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そこで、先日黒瀬清算人がここへ参りまして、ただいま各委員からお尋ねになつてつた日本銀行地下室の金庫の中にあるダイヤ——十六万一千二百八十三カラットですかに、あなたの方に言わせるとなるのでありますが、そのダイヤ所有は自分の方の営団に属するものであるから、返してくれという請求をしたと言つております。これに対して、あなたの方はどういう態度をとられておりますか。また、今お伺いをしておりますと、これに対する立法措置をとる考えでおるから、その点についてこれを拒んだというように聞いておるのでありますが、要するに、どういう理由で拒まれたか。拒まれたといたしましても、この立法措置というのは、今も横路委員から聞かれておつたようでありますが、少くとも法案の検討中というところまで行つておりますと、おそらく証人といたしましては、腹の中はきまつておるのだと思うのであります。もしこれがまだきまらないのに立法措置をとるということでは、はたしてどうかと思うのでありますが、その点は、忌憚なく、あなたのお考えでもよろしいのでありますから、述べていただきたいと思います。
  214. 阪田泰二

    阪田証人 交易営団の特殊清算人から申出のありました事項につきましては、先ほど資料として往復文書の提出方のお話がありましたので、提出いたしますが、要するに、清算人からの申出に対しましては、今回接収貴金属全般について法律出して、それによつて処置をきめるつもりであるからという返事をいたしてあります。特殊清算人の立場といたしましては、閉鎖機関である交易営団を代表いたしまして、いろいろ財産の管理、処分、債権の取立て等いたしますので、一応その職責上、こういう文書出して来たものであると思いますが、大蔵省といたしましては、先ほど来るる御説明申し上げておるような処分の全般の方針を、これから法律によつてきめていただく、こういう立場になつておりますので、その旨を申してあるわけであります。
  215. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 どうも、いろいろ各方面の、たとえば黒瀬証人が言われたのを引合つてみますると、ダイヤ占領軍から引渡されたものであるけれども、もともと交易営団が買い集めたものであるから、交易営団のものであるというような見解をとつておる。しかのみならず、あなたの方の、大蔵省管財局の堀品閉鎖機関課長という人の談で、これは去年の六月二十五日、毎日新聞でありますが、交易営団などが戦時中デパートなどで時価で買つたのだから、一種の商取引で、法律的には所有権は営団などに移つていると解釈するほかはない、こう述べておる。進駐直後強制接収された個人所有者への返還が今度の法律のねらいであるということが書いてありますが、はたして、こういうふうにもうなつてしまつたものを個人に返すということができるのでありましようか。それから、こういうようなことを閉鎖機関課長である堀口さんというのがおつしやつたということが新聞には載つておるのでありまするが、新聞の記事のことであるから、これを私ども、とやかく言うんじやないですけれども、少くとも、あなたの所管内においては、こういう見解をとつておる人が大分あるのじやないかということを考えて、そういう説をとなえる者があるのかないのか、その点をお伺いしたい。
  216. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまの新聞記事につきましては、先ほどもお尋ねがあつたわけでありますが、その前段の、交易営団が民間からデパート等を通じて買つた、その限りにおきまして交易営団にその当時所有権が移つた——これは大体私ども認めてよろしいと考えております。ただ、その後交易営団が、接収という行為によりまして、そのダイヤ等の管理を連合軍に移されて、それがさらに解除によりまして大蔵省管理に移つた。この間におきまして、所有権がどういうふうになつたか。これが問題の点でありまして、その点につきましては、その新聞記事も前段においては触れていないように思われるわけであります。後段の方の、交易営団以外の個人から接収されたものをどうするか、この問題につきましては、当然、所有権が、今言つたような接収という行為によつてどうなつたか、解除によつてさらにどうなつたかというようなところを、はつきりさせなければならないわけであります。その以前におきまして、今の堀口課長がどういう話をいたしましたか、それがどういう形で新聞に載つたのか、その間の経緯は、ちよつと明確にいたしませんが、事実問題はそういうふうなことになつております。
  217. 中野四郎

    中野(四)委員 ちよつと関連して。堀口閉鎖機関課長の新聞に発表した問題を、あなたに昼食の時間に聞いてくださるように頼んでおきました。従つて、新聞がうそを書いたのか、あるいは堀口閉鎖機関課長がごのような意思によつて述べたのか、これを聞いておるのですが、この答弁はどうなんですか。新聞がもしうそを書いたというのであれば、新聞に訂正せしめなければならぬ。すみやかに御答弁を願いたい。
  218. 阪田泰二

    阪田証人 堀口閉鎖機関課長は、現在経済審議庁の方に転任いたしておりまして、きようの昼の時間に問い合わせてみるひまがなかつたものでありますから、御了承を願いたいと思います。
  219. 中野四郎

    中野(四)委員 そうしますと、堀口さんはいつ転任になりましたのですか。この新聞は六月の二十五日の毎日新聞なんですが、いつ転任なさつたでしようか。転任前とすれば、当然あなたの方で本人を呼んで確かめて、委員会報告していただかなければなりませんから……。
  220. 阪田泰二

    阪田証人 堀口課長の転任の時日は、はつきり記憶いたしておりませんが、二十七年の後半の方であると思います。その新聞記事の出ましたときには在勤しておつたことは事実であります。
  221. 中野四郎

    中野(四)委員 これはやはり、大蔵省に一貫せるところの、一つの流れておる共通した、気持だろうと思うのです。先ほども申し上げたように、あらゆる証拠を通じて、あなた方のなす行動、行為、言葉というものは穏やかならぬものがある。場合によれば堀口君をここに喚問して、そうしてその証言を求めなければならぬのでありますから、それに先だつて、この新聞の真否について、あなたの方で取調べて、委員長まで正確に御報告を願いたいと思います。
  222. 内藤隆

    内藤委員長 それから、もう一つ、証人にお願いしておくことは、昨年の接収貴金属等数量等報告に関する法律によつて報告せしめた、四百五十件余の報告書の写しというと、相当なものだそうですから、時間的に不可能かもしれませんので、この報告書の現物を一度見たいというのですが、これをひとつ御提出を願います。
  223. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 ただいま私お尋ねしましたところ、非常に私どもは了解に苦しむのでありますが、今のダイヤモンド営団が買い集めたといいますか、供出によつて買い集めたのは、ダイヤモンド買上実施要綱十九年七月二十一日付の軍需省の要綱に基いてやつたものではないのでありましようか。そうすると、今証人のお話は、営団が買つたときは、営団みずから買い取つたものであるから、営団所有と見てしかるべきではないかと思うが、その後接収されて、それから接収解除後に、はたして営団のものになるかどうかが疑問だという意味の御解釈のように承りましたが、もう一ぺんその点を確かめておきたいのであります。
  224. 阪田泰二

    阪田証人 ダイヤモンド買上実施要綱に基く買上げにつきましては、これは代価を払つて買い上げておるわけでありまして、その手続によりまして、所有権は営団の方に移つたというふうに考えておるわけであります。この営団所有しておりますダイヤモンド等を司令部によりまして接収されました。接収の結果、これが没収というふうに解されまして、所有権がなくなつたのか、それとも依然としてあるのか、これが第一に問題になる点でございます。さらに、その接収されましたものが、接収解除ということによりまして、日本政府保管を引渡されたわけであります。この関係法律的にどう解するか、これが問題の第二点になるわけであります。その辺につきましては、まだ十分な、はつきりした結論を下していないというふうに申し上げているわけであります。
  225. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 これは、おそらく他の委員も、証人の今までの陳述といいますか、お述べになつたことに非常な誤解があつたと思います。この供出させたダイヤモンド営団が買つたこと自体が、はたして営団のものであるかどうかということと、さらに、接収されてその所有権が新たにどうなつているかという二段になつておる。このダイヤモンド買上実施要綱によりますと、買上げ物件、買上げの対象、買上げ期間というようなものが全部列挙してあります。そしてこれは、『航空機、電波兵器等ノ生産上不可欠ノ資材タルニ鑑ミ死蔵「ダイヤモンド」ノ動員ヲ行ヒ之が急速ナル戦力化ヲ図ラントス』ということが書いてあるのでありますから、これを買い取つたのは、軍需省が戦争の目的のために買い取つて、軍需省のものだとの解釈をわれわれはしておるのであります。そして、もう一つ申し上げるならば、買上げ機関として交易営団というものは買上げの一つの機関である、国家が買うのだが、その手足として、買上げ機関には交易営団、代行機関として中央物資活用協会と代行店があるというのでありますが、私は、この点に非常に疑問を持つのであります。ことに交易営団に対しては、政府がほとんど資金を——二億五千万円でありますか、その当時出した。そして買い上げたダイヤのその当時の価格は、おそらくその二億五千万円以下であつたはずでなかつたか。こういう、取引といいますか、この実施要綱に基いて買い上げたものであります。また国民も、これは一つの供出である。何も営団がある事業をなすために営団にこれを出しておるのではない。みんな自分の宝のように始終身につけておるものばかりを、戦争に勝たなければならぬという犠牲的精神によつてこれを供出してしまつたのであります。それでありますから、その当時の国民の気持と、買上げ機関の資金をほとんど出したのは政府であるということ、——ことに買上げ機関というような文字を使つておる。そして、これを工具にまわす場合に、損害がありましたら、そういう損害は手数料によつて負担して、営団は少しも損をすることなくこの事業がやれるようになつておるのであります。こういう点から言つて、今日までどの証人が出られましても、皆その見解については、実ははつきりなさらない。黒瀬証人が、営団のものだと言うておつたくらいで、ほかの者はあまりはつきりしておらなかつたのであります。私どもも、今の点については疑問がある、こう実は考えておつた。ところが、今伺いますと、そうではない。私ども、実施要綱を全部見通しましたが、所有権の本質から行きましても、使用、収益、処分というものがなければ、所有権の本質はないわけであります、使用、収益、処分という大事な処分の体素、心素の関係において、これは軍が思うままに使うものであつて、いかに営団が自分で買い取りましても、いかに有利な買主がありましても、その人に譲ることはどうしてもできないものであります。そういう制限を受けているものである。そういう制限を受けているものが、完全な所有権を取得していると思われるのは間違いだ。むしろ営団所有者だとお考えになること自体に誤りがあるのであります。今日ダイヤ商の人が、ダイヤ中心といたしまして、大蔵省方面に隠れたる呼びかけというか、いろいろ活動を行われていると世間から言われているのは、こういうところにある。私は、この点について、この要綱に基いて証人のお考えをもう一ぺん、はつきり承つておきたいと思います。
  226. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと、その前に申しますが、ただいまの明禮委員の御質問と関連しております。さいぜんから聞いておりますると、阪田証人は、管財局長としての立場において、このダイヤ所有権が、要綱等から見ても、実際から見ても、買い上げておるから営団にあると断定しておいでになることは、すこぶる重大な発言だと思う。これは、もう一度きつぱりと、あなたはさようおつしやいますか。
  227. 阪田泰二

    阪田証人 ダイヤモンド所有権が現在交易営団にあると見るか、どう見るか。これにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、結論を下していないわけであります。
  228. 内藤隆

    内藤委員長 結論を下していないが、管財局長ともあろう者が、国今で、大体において営団所有権があろが、ただ接収されて、これが解除された関係において云々と言う。法律の解釈がまだきまつていないというのがが、根本においては営団のものだと発言しているでしよう。
  229. 阪田泰二

    阪田証人 この買上実施要綱に基く買上げの性質についてでありますが、これは申し上げるまでもなく、戦争目的のためにダイヤモンドを買い上げて、これを軍需産業等の方面にまわそうということが目的であつたわけで鬼ります。この辺は私どもも十分承知しておるわけであります。この買い上げられた方法等法律的に見ました場合、これはやはり代価を払つて所有権を移転ずる売買の方法によつてつておりますので、その限りにおきましては、法律的な所有権は一応営団に移つた、こういうふうに解釈しておるわけであります。ただ、この交易営団が、先ほど来由しましたように、単純な、何と言いますか、制限のない、自分の私有財産というようなことで、かつてに処分してよいような財産である、こういうふうには私どもも考えていないのでありまして、買上げの趣旨から言つて交易営団がかつてに自分の財産として無制限に処分するということは、たとい所有権があるということに認められたにいたしましても、問題があるというふうに考えております。
  230. 中野四郎

    中野(四)委員 最初私が質問したときに、あなたは、接収の意義が明確でないと言つておる。陸戦法規によるか、ポツダム宣言の受諾に基く条章によるか、明確でないと言う。あなたは一体陸戦法規をお読みになつたことがあるのですか。そうして、ポツダム宣言を受諾するにあたつては、無条件で受諾しておる。いわんや、接収解除後の問題は国内法として今後取扱う。従つて国会でいかにするかという立法措置を講じようとしている。接収というものが一切の所有権を剥奪されたものであるかどうかという根拠もわからないで、ただ古い国内法に基いて、順序から行けばそういうものであるという答弁は、主客転倒しておるではありませんか。先ほど来私が前提として申し上げたように、接収ということの意義を明確にし、接収解除ということがいかなる意味を含むものであるかということを明確にして後に、国内法で律するならばわかるけれども、ただ買上要綱という一点をのみ見て、一応交易営団のものであるという感覚を持つことが根本的な誤まりではないですか。あなたは、私の先ほど尋問に対する証言で、接収ということの意義はまだわからない、接収解除という法的根拠がわからないと言うておる。にもかかわらず、古い国内法による当時の買上要綱によれば営団のものであると断定するのは、堀口閉鎖機関課長の言うた言葉と軌を一にする。どういう根拠によつて営団のものと断定するか。さらば重ねて接収接収解除ということに対する解釈を伺いたい。
  231. 阪田泰二

    阪田証人 私の説明があるいは少し要領を得ないで、誤解を招くようなことがあつたかもしれませんが……。
  232. 中野四郎

    中野(四)委員 誤解ではない。根本的な解釈の違いです。
  233. 阪田泰二

    阪田証人 現在交易営団がこのダイヤモンドに対して所有権を持つておるかどうか、この問題につきましては、接収という行為をどう解するか、さらに解除という行為をどう解するか、これにつきまして、はつきりした観念を持たなければ、結論を下せないわけであります。従いまして、このダイヤモンド営団所有に属するかどうかということにつきましては、ただいま結論を下しておりません。先ほど来申し上げましたことは、それ以前の段階に属することでありまして、現在の所有権がどうであるかということは、直接関連をしていないものと考えます。
  234. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 私どもはそれが聞きたいのであります。私は、こういうことをひとつ申し上げてみたらよくわかると思うのであります。今の約十六万二千カラツトダイヤは、日本銀行地下室に置いてあるが、これはみなとりまとめてあつて、たとえば中央物資活用協会のものだとか、あるいは営団のものだとか、あるいは陸軍のものだとか海軍のものだとか、あるいはこれは庶民が供出したものだとかいうようなことの区別がつくのでありましようか。みなおそらく一括されて、わからぬと思うのでありますが、そのわからないものをどこに帰属させるか。営団のものだと言つても、すでに営団にわける方法がない。そういうものである。ことに買上げの時分には、買上げ機関という言葉を使つているように、政府が委任して、やつてくれということでこれは委任契約であります。手数料が入つておるから、委任契約と解釈することが一番いいと思う。委任行為であるとするならば、営団は自分が所有権を取得するつもりでやつたんじやない。政府のために買集めの仕事をしただけのことでありまして、手数料をもらつておる。それを、わざわざあなた方が、これは営団所有権を持つんだというようなふうに御解釈になるのは、どうも私どもには理解ができない。山が見えていかない。別にあなたをどうと言うわけではないが、ともかくそういうものであります。私は、隠退蔵物資委員会時分からこの委員会をやつておりますが、鉄のスクラツプにいたしましても、艦艇解撤にいたしましても、おしまいには、いいかげんなことになつて、みんな営団の人を肥やしてしまつておる。私は、その当時大蔵省管財局に何べんも言うたが、何とかする何とかすると言つて、おしまいにはとうとう営団の人に処分させてしまう。これもそうでありましよう。私は弁護士をやつておりますから、破産事件というものを取扱うと清算をやるのであります。そうすると、財団がうんと大きければ、われわれはその配当がたくさんもらえる。管財人や債権者はもちろんのこと、関係者は全部もらえる。ところが、財団がなかつたら何ももらえぬ。ほとんどお手伝いの程度です。営団というものは、清算してから財団がどのくらいに上つていますか。証人は非常に安く言われるけれども、今三百億もその上もあるのじやないですか。一カラツト四万円足らずと言う人と三十万円に言う人とは、たいへんな差がありますが、いずれにしても、財団があつたならば、営団の周囲の人にはたいへん大きな肥しであります。しかし、国民はそれで泣くのであります。一体裁判でも、あるいは行政でも同じでありますが、目標というものを考えないような裁判や行政があつたら、これは死んでしまつておる。あなた方がお考えになつていることは、だれを肥やさんとするか。一番困るのはだれか。もしこういうものがほんとうに困つている遺家族や未亡人や飢えておる子供に行つたら、どのくらい助かるかわからないのに、何ゆえに営団を肥やさなければならぬか。その周囲の人を肥やさなければならぬか。この点のりくつは、行政官の方でもおわかりになるのじやないかと思うのであります。どうぞ、うまいことを言うのはやめまして、このたびは、ひとつ阪田個人となつて、この問題をどう取扱うのが正当であるかというあなたの御見解を承ります。
  235. 阪田泰二

    阪田証人 最初にお話のありましたように、このダイヤモンドはどこから接収した分というふうにはつきりわけて整理してありませんので、個別的に交易営団接収した分がこれだということが、——つたくわからないとは言い切れませんが、しかし、大体におきまして混在しておりまして、どの分ということを識別することがまず困難と言うよりも、不可能と言つていいような事態になつておることは事実であります。それで、先ほどのお話の点でありますが、お尋ねに対しまして、戦時中の買上げ実施行為法律的に見てどうかというような点を申し上げたわけでありますが、実際問題といたしまして、ただいまるるとお話がありましたような、どういう趣旨でこの買上げが行われたか、あるいはその買上げの産物たるダイヤモンド等をどう処置することが一番国家全体から見て適当であり、適切であるか、あるいは、こういうダイヤモンドの処分によりまして得た利益を、営団関係者にいたずらに和益させるというようなことでよいのかどうか、そういう問題につきましては、私といたしましても、今回の法律を立案いたします過程におきまして、十分考えに取入れてこの法案を考えて行きたいというふうに考えております。ただ、具体的にどういうような法案になるのかということになりますと、先ほど来申し上げましたように、まだ申し上げることができまするような段階にはなつていないわけであります。その辺は御了承願いたいと思います。
  236. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それを言うてもらいたいと思うのですが、どうです。
  237. 中野四郎

    中野(四)委員 関連して、阪田証人ちよつと伺いますが、平和条約の条章に従つて一切の請求権を放棄した日本として、接収されたものをば請求する行為はできないはずであります。法的な根拠国会においてはきわめておるのです。同時に外務省方面の、マツカーサー元帥のメツセージ、あるいはそれぞれの書簡等も集めて持つておるのです。そういう点からさかのぼつて考えても、先ほどあなたがおつしやつたような、法的根拠が明らかでないから今考慮中だということは、言われぬわけなのです。そこで、今明禮委員質問をしておりまする買上要綱というものなんです。あなたは、その文面だけ見るからいけない。当時の国家情勢というものを考えてみる必要がある。陸軍、海軍においてはダイヤモンドを相当持つてつたんです。当時敗戦の最大原因といわれる陸海軍のあつれきがはなはだしくて、軍需省において必要欠くべからざる工業用のダイヤがなく、従つて、これを求めるために陸軍と海軍に懇請をしましたが、陸海軍両方とも、どうしてもこれに応じなかつた。一カラツトダイヤもくれなかつた従つて、値段は十倍もして、国民の愛着を感じているダイヤモンドをば買い上げるのに忍びない。——予算的関係から考えても、国民感情から言つても、これを買い上げるには忍びなかつたけれども、戦争必勝の体制を確立する上において必要欠くべからざるところのダイヤモンドであるから、これを買い上げさせた。従つて、一応の買上げの要領をきめたことはわかる。国家がこれを回収しようとした目的に国民も直結して、国家のためになればと言つて売り払つたものなんです。当時国家の委嘱を受けて——交易営団中央物資活用協会というものの構成は後日の問題でけつこうなんです。国家の委嘱を受けて、これを買い上げた。買い上げたがゆえに、その利益も明らかにし、損壊あるいは破損等の場合の賠償もそれにつけ加えてある。してみれば国家の委嘱によつて国民からこれを回収し、国家にすみやかに納めるべきにもかかわらず、交易営団はその事務の怠慢の結果、国家に完全にこれを納めなかつた。一部国家はこれを受取つたが、官僚あるいは軍人の怠慢から、これを戦争に消費する段階まで行かなかつた。こういう筋合いから考えて行けば、必要とした国家と、これを国家目的のために売り払つた国民とが直結しておるのです。従つて、いたずらにその中間におけるところの中央物資活用協会あるいは交易営団というものが自分の利益を主張すべき筋合いはいずこにも見当らない。いわんや、その後において接収という状態が生れておる。所有権が、はたして一般の国民にあるかないかという点も、論拠になるのであります。にもかかわらず、証人先ほど、この要綱を見れば営団のものだという断定を下すがごとき言辞を百弄されるということは、私は、あなたがこの問題について相当知つてつて言うのか、知らずに、ただ要綱だけを見て言うのか、この点をまず伺いたい。
  238. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまお示しのありましたような、買上げは戦時の戦力強化ということを主としまして、全国民の協力を得てやつた、こういうような事情は、非常に重要なことでありまして今回の私どもが申しております接収貴金属の処分に関する法律案、これにつきましては、もちろん法律でありますから、与えられたこういうものをどう処置するかということにつきまして法律的な解決の処置をつけなければならないわけです。ただ、それに対しまして、このような事情のもとに供出され、営団保管に残つてつた、しかも接収され、また解除されて、こういつたいきさつでこうなつたものであるという具体的な背景、あるいは基礎となる事情、これは、法律的措置をとりまするにあたりまして、十分にそういうことを考慮に取入れて法律案が決定されなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。
  239. 中野四郎

    中野(四)委員 私の言うておるところと勘どころが違うのです。接収という事態が起つた。その後のことは当然あなたの方で明確でない。しかしながら、要綱を発して、そして全国民から買い上げる過程において、あなたは先ほど、その要綱の一部を見て、これを営団のものなりと認定するゆえんはどこにあるのですか。今私が、重ねては申しませんが、説明を加えたことにおいて、軍需省の関係の者でも、あらゆるこれに関係した者が、ことごとく、国家に帰属すべきものだという観点をもつて当時から律し、今日においてもそのような証言をしておるときにあたつて大蔵省の、処置すべきところの終末的責任官であるところのあなたが、交易営団のものであるというような感覚を持つておる点に、私は大なる疑義を持つ。従つて、あなたは、要綱の生れて来まする過程においても、その後の過程においても、これは断じてさような軽々の言葉を付すべきでない。にもかかわらず、あなたは、証言の過程において、営団のものだという重大なる言葉をはかれたから、私はこの点を伺つておるのです。あなたがあくまでも、この要綱に従えば営団のものなりと、先ほどの考え方とかわらない意思表示をされるならば、そのようにされてけつこうです。それについては私の方では次々と反駁をして、あなたの考方に対する行き方を私の方で適当に処置して行きまするから、もう一ぺん伺つておきたいと思います。
  240. 阪田泰二

    阪田証人 営団ダイヤモンドを買い上げました方法につきましては、普通の売買の方法によつてつたものである、こういうふうに、この要綱に対しましては解釈いたしておるわけであります。ただ具体的の、こういうこを行いました背景となる事情につきましては、御趣旨の点は十分私どもとしても了解いたしております。それから、現在それがゆえに交易営団所有権があるということは、断定いたしておるわけではありません。
  241. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 もう一つ伺つておきます。先ほど、十六万一千二百八十三カラツトというものは、営団あるいは中央物資活用協会、あるいは陸軍、海軍というようなものもみんな含んでおつて、これをととりわけることはなかなか容易ではないということを証言されたのでありますが、これはまた本質論から考えてみますと、そういうようにとりわけることのできないようになつておる現状から見ますると、結論的に、所有権が営団にだけあるというような、あるい中央物資活用協会にあるというようなことは、取扱い上としてもできないものというお考えでありましようか、それとも、共有にでもするというような考えでもありますか。どういうようなお考えを持つておられるのですか。
  242. 阪田泰二

    阪田証人 この点につきましては、先ほ来たびたび申し上げおりまするように、現在営団所有権がある、協会に所有権がある、というふうにきめておるわけではありません。そういう前提によつて申し上げると誤解を招くと思いますが、所有権があるという事実が明瞭である、しかし、現物が混合してしまつて、わけられない、こういう場合には、共有という関係が起るということも当然起つて来ます。(発言する者あり)
  243. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 清算人である黒瀬さんという人が、ダイヤに対しての所有権を主張しておりまするが、このダイヤ営団の手に入つたか、あるいは買い上げられましたかにつき」まして、十分に研究をしておらぬのではないかと私は思うのであります。ダイヤは、軍需省が定めた買上要綱に根本の根拠がありまして黒瀬清算人はこの要綱を、本委員会報告しておりながら、知つていない。のみならず、営団の買上げ数量、被接収数量占領軍受領書写し等、種々の事項を本委員会報告しておりまするにもかかわりませず、証人として、これらの報告書の内容については何も答えられなかつた。すなわち、書類の決裁はしながら、中身は読んでいない。まつたくめくら判を押しているようなものであります。これは、官僚上りの人の当然なやり方かもしれませんけれども、すべて仕事は下僚にまかせて、めくら判を押しているというそしりを免れない。こういうような形に現われておりまする黒瀬清算人は、監督官庁であるあなたといたしまして、どういうふうになさるつもりでありますか。これを任命されたのはあなたでありますか。この責任はあなたは現在どうお考えになつておりますかを、一応お伺いをいたします。
  244. 阪田泰二

    阪田証人 閉鎖機関特殊清算人の任命は大蔵大臣の権限になつております。当然黒瀬清算人は大蔵大臣が任命されたものと思います。ただいまの具体的の事実につきまして、黒瀬清算人に対してどう考えておるかというお尋ねでありますが、ただいまのところ、私どもといたしましては、特別な何らかの措置をとる必要があるとは考えておりません。
  245. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 もう一つ、買上要綱の点についてお尋ねしておきますが、このダイヤを買い上げまするときには、戦争中、隣組を使つたようでありますが、政府がやつたのであります。政府が売手に売れと命じ、それから売手に支払う金を営団に渡した。こういう関係で、実際は営団が政府の代行機関であり、買い上げたものは政府が検査した、——あるいは検査、鑑定したものは軍需省の嘱託であつたと思うのであります。そういうことから行きまして、全部商取引と言われますけれども、戦争のために犠牲的に供出をさせたというのがこのダイヤの取引の本質であると思いますが、いかがでありますか。
  246. 阪田泰二

    阪田証人 戦争遂行のために、政府の方針によりまして、こういうことをやつたということにつきましては、御意見の通りでございます。鑑定等に対しまして、軍需省の嘱託いうような名義でやりましたとか、その他の詳細の点につきましては、ちよつとただいま存じておりません。
  247. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 鑑定人は軍需省の嘱託でありました。買い上げたものを政府が調べたのです。  それからもう一点。清算貸借対照表というものがここにございます。清算「損益計算書というものがあります。これの中で、ダイヤがどれだけ、——どの部がダイヤでどれだけあるでしようか。ちよつとごらん願いたいです。     〔明禮委員書類証人に示す〕
  248. 阪田泰二

    阪田証人 ただいまお示しの清算貸借対照表は、昨年の十二月三十一日現在のものでありまして、私どもの持つております資料は日が違うのでありますが、この中で、接収商品及び略奪物資、連合国財産二億四百四万五千九百四十四円という項目がございます。この中にダイヤ関係の勘定も含まれておるわけであります。接収勘定といたしましては、私どもの数字では一億九千六百五十四万百一円という数字がございます。この中にダイヤ以外の貴金属等も含んでおりますが、大部分ダイヤで、これは帳簿価格でございます。
  249. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると、接収商品及び略奪物資、連合国財産と書いてあるこれですな。
  250. 阪田泰二

    阪田証人 はい。
  251. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それではこれで終ります。
  252. 中野四郎

    中野(四)委員 今の明禮委員の示されたものと、阪田証人の持つておられる表は、同じものであるかどうか。
  253. 阪田泰二

    阪田証人 大体において違つておらぬと思います。
  254. 内藤隆

    内藤委員長 他に御発言がなければ、阪田証人に対する尋問はこれにて終了いたします。証人には長時間御苦労でありました。  本日は、他に黒瀬勘一君及び橋井真君の両君に出頭を求めてあるのでありますが、これは後日日を改めて出頭を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 内藤隆

    内藤委員長 御異議がなければ、さようにとりはからいます。その日時等は委員長に御一任を願つておきます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十四分散会