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中野(四)
委員 どうもあなたは観点がそれておりますね。知らないからでしうよが、司令部には
英文で正確に
出しておるのです。これは、司令部で兵隊が見に行
つたから、原簿を隠すわけには行かないのです。だから、こういうものがこうな
つておるということは明らかに
出しておるのです。その後あなたの方で消してあるのです。もう少し詳しくわけを申しましようか。そうするとあなたがのみ込めて来るのです。政党に
関係があるから、私はこれを項を追
つて行かなければ悪いと思
つてう今日までこらえてお
つたのですが、
大蔵委員会において私らが
質問をいたしましたとき、自由党に所属する青木正という代議士が、私らの
要求に基かずに、みずから自発的に、
委員長を通じて、当時の旬間読売の報ずる過程について、私の納得できぬ点があるから、御
説明をしたいと思うから
説明をさしてくれというので、出て来られたのです。その
説明をば要約いたしまると、終戦の直後、進駐軍が上陸をする二、三日前、
大蔵省の久保外資
局長、桜井
事務官の両名より出頭を命ぜられて、
中央物資活用協会の松原
理事長、それから中田玉市君と、三人で出頭した。その節、進駐軍が上陸をすると、相当金、銀、
白金、
ダイヤモンドというものをばとられるおそれがある、しかも重要なものであるから、これは何とかして隠さねばならぬということを協議し、一般の所に隠しておくと見つかるおそれがあるから、青木君は愛国心が非常に旺盛だから、君の命にかえてこれを預か
つてくれぬかというので、当時、金の延棒が、一つ一貫目見当のものが二十五本、
ダイヤモンド、
白金等の入
つておる箱が大体二十四、五箱、こういうものをば委嘱をされて、そうして
日本銀行の
地下室まで馬力を連れて行
つて、
——洗足池の自分の家から、疎開の品物のごとく見せるようにするため、破れふとんを積んで行
つて、そうして
日本銀行で二台の馬力に積んで、これを埼玉県北埼玉郡共和村の自宅へ持
つて帰
つたところが、当時母親と奥さんが、集団強盗の盛んなときでもあり、こういうような莫大な金額に相当するものを預か
つてお
つて、もし生命に関するようなことがあ
つてはいかぬから、やめてくれと言われたが、愛国の至情、国を思う至情やむにやまれず、私はその由を母親と女房に説いて、そうして自分の家の書庫の縁の下を掘
つて、そこへ一旦埋めたと言うのです。そうして、その品物をば二週間預か
つておると、再び
大蔵省から呼
出しがあ
つて、そうして、この品物をばハーゲマンという中尉に渡せという命令があ
つて、ジープで
一緒に行
つて、この品物を引渡して、保善工業
——これは中央物資か何かの
事務所だろうと思いますが、そこまで持
つて行
つたというのです。その後
日本銀行の
地下室に入
つたのであろうという
証言をいたしましたから、私は、御本人は
国会議員であり、
国会における
発言というものは権威あるものでありますから、これを信用いたしまして、翌日、当時の
大蔵省の外資
局長であ
つた久保君と桜井君を
証人として喚問をいたしました。そうして両君から証書を求めようといたしましたら、再び青木君は、
委員長を通じて、前述の話には重大なる誤りがあ
つた、私が錯覚を起してお
つたから、もう一ぺん訂正さしてもらいたいという話で、本人の話を聞きますと、あれは
日本銀行の
地下室から持
つて行
つたことは間違いない、しかしながら、その品物は
大蔵省のものでなく、すなわち私の方の
中央物資活用協会のものであ
つたということを訂正さしてくれ、それから、
ダイヤモンドは入
つていなか
つたと思うということを訂正さしてくれということで、このことは昨年の速記録を
ごらんになればわかるのです。ところが、桜井君と久保君と、両名に来てもら
つて聞きますと、久保君は、外資
局長をしておりますけれども、さようなものを右左するところの権限のない立場にあるから、一切関与した覚えはないと言うのです。もう一ぺん桜井
事務官を喚問しまして聞きますと、桜井君も、さようなことを頼んだ覚えはないと言うのです。また、もとよりその物品に対して預かり証をもら
つた覚えもないし、
報告された覚えはないと言うのです。そうしますと、青木君の
証言というものは、自発的にこれを言われたものであ
つて、しかも、当時の
中央物資活用協会にあ
つた数量というものと、今回ここで抹殺されております
数量というものがややマツチをするのです。全部それとは申しませんが、やや見合うのです。
従つて、
中央物資活用協会が当時自分のものを申告するにあた
つて、
大蔵省の言う
通り申告したものとすれば、これは
中央物資活用協会が初めから入れないわけがない。その
書類があなたの方に行
つておるのです。
中央物資活用協会で抹殺すれば、あなたのところに出す必要はないのです。あなたのところにあるものが、あなたの
保管中にか
つてに抹殺されているのです。そういうものを抹殺する権限があなたの方にあるのですか。あるいはこういうものが違
つてお
つたというなれば、それぞれの
書類によ
つて訂正願が来て初めてこの
書類は訂正したと、大蔵大臣なり
所管局長がこれを決裁しなければならぬにもかかわらず、だれが一体これを抹殺したか、どういう
処置を行
つたかということについて、私は伺
つているのです。ところが、あなたがそういうものの
責任に当る必要がないと言うのは、どこか感違いしておる。大事な問題を問うにあた
つて、
大蔵省でこういうものを抹殺したのだから、だれがや
つたかとい
つて聞いておるのです。それをあなたが
管財局長として知らぬのはあたりまえなんです。あなたのところに
書類がなか
つたくらいだから……。だから、私が一番初めに
前提に申し上げたでしよう。あなただけではだめなんです。あなたと
石田君をつき合わして、そうしてその下の
所管課長をつき合わして、もう一人やると出て来ます。名前もこちらにあが
つておりまするから、あげた
つてかまわぬですが、こちらは
尋問する都合がありますから、名前はあげませんが、大体当時なぶ
つてお
つた人はだれだくらいの想像はついているのです。だから、こういうものが抹殺された場合の
責任は一体だれに行くべきか。あなたの方でか
つてに抹殺したのだ。あなたの今
お答えにな
つていらつしやるのは、
接収貴金属等の
数量等の
報告に関する
法律に
従つて出して来たものを抹殺したのじやないから、一向支障ないというふうに私は聞きとれますが、そうではないのです。どうしてこういうふうなものをか
つてに
大蔵省が抹殺したかと言
つているのです。これは
中央物資活用協会で抹殺したのじやないのです。あなたの方で何の都合でこういうものを消したのですか。その
理由を聞いているのです。おわかりですか。