○堤(ツ)
委員 わが日本社会党は本法案に賛成をいたすものでございますが、この際一言討論の中に党の意向をはつきりと申し述べまして、
政府に強く国保に対するところの二、三の要望をしておきたいと思うのでございます。
国民健康保険が気息えんえんの経営
状態を続けて参りまして、やつと二十八年度の
予算におきまして三十数億の
援護の金を
政府から得まして、やや立ち直るかの目先が見えたことはまことにけつこうでございますけれ
ども、しかしこれをも
つてして国保が完全に立ち上り得るかどうかははなはだ疑問で、ございましてこの点非常に案ずるのでございます。しかも昨年度まで実施されて参りましたところの奨励資金の
貸付交付であるとか、再建
整備資金の
貸付などを見ておりましても、そのやり方は
政府当局におきまして非常に不満足でございます。私をして言わしむれば、非常な危機どころか、すでに転落しつつあるところの国保に対しまして、今日なお
政府におきましては、金を持ちながらも、まだその金を残して手を尽しておらないというような点が間々見られますことは、はなはだ残念でございます。どうか今回の一部
改正によりまして、再建
整備が真に軌道に乗りまして、この
医療給付の
国庫一割五分
負担と相ま
つて、二十八年度以降の国保が、
社会保障の基幹ラインとして立ち上ることを私は切に要望したいのでございますが、この一割五分
負担につきましても、ただいま改進党並びに小
委員長などから御発議がございましたように、決して満足な額でなく、約束するものでは、ございません。私たちはさらに当
委員会におきましても、皆様方の御
協力と相ま
つて、来年度はもつと強化した国保べの態勢を固めたいと思うのでございます。ことに全国民のうち、まだ三千四、五百万の国保の恩典に浴さない
町村民があるということは大きな問題でございまして、少くとも国保というところの二の
制度は、日本国民である限り、その居住地域内において国保によ
つてその保健を保障されてるの態勢がなければならないのでございます。
従つていまだ実施されておらないところの
市町村には、義務的にこれの
強制をいたすべく、しかもそれは
国庫によ
つてこれを運営するべく、ただいまの附帯決議の通り即刻やられなければならない問題でございまして、やや怠慢の気味のありました
政府当局におかれましては、この
委員会の主張を了とされまして、今日ただいまから、どうか十分御留意の上、この金を生かしながら着々前進されることを切に願うものでございます。
それからこの
委員会の本
法律案の
審議途上においてはつきりいたしましたことく、せつかく当初
予算の中に再建
整備や
貸付金などを盛
つておきながら、年度末の、一月を過ぎてから、その金が三分の二以上も余
つておるというような
貸付の冷淡なあり方であ
つてはならないのでございまして私はこの点を
政府に追究いたしましたところ、局長からも、以後留意されて、ある金は十分
使つて国保の強化に万全を期したいというような御答弁が、ございましたから、一応その計画を了といたしまして信用いたしますが、なお不安なところがございます。どうかせつかくとりました
予算を十分生かされまして、この国民の保険にこたえられるよう切望するものでございます。
なおわが党といたしまして特に強調いたしておきたいのは、現在の国民の保険
制度についてでございますが、健康保険
制度あり、
国民健康保険制度あり、また国家公務員、地方公務員は共済組合あり、
船員は
船員保険あり、またここに上程されておりますところの日雇労働者健康保険あり、まつたく林のごとく保険
制度が濫立いたしておりまして、しかも、一つの
制度に対しては国が厚く、一つの
制度に対しては国が薄くというような、今日の乱脈きわまるところの保険行政では、とうてい国民の健康保障に耐え得ないのでありまして、こいねがわくは、近き将来
社会保障制度が確立いたしますときには、現在の
国民健康保険制度一本にまとめて、職場を持つ国民でなくとも、またあ
つても、農民であろうとも、中小企業であろうとも、老若男女を問わず、すべて国民たる者はその居住地域内において国保をも
つて保健を保障されるという建前、国保一本の線に持
つて行かれるのが当然であると思いますので、どうか
政府におきましては、一つ一つに手入れをいたしておりましても、まるで膏薬を張つたような形で、とうてい満足な
制度が望み得ない今日のこの乱脈きわまる行政ぶりをよく御
検討になりまして国保一本にまとめるべく責任を果していただきたいということをお願いし、わが党におきましても、少くともその線に向
つて前進いたしたいと
思つておりますので、どうか
国会の
委員会におかれましても、今後そうした研究がますます行われますことを要望いたしまして、わが党を代表いたしまして賛成するにあたりまして、一言付しておきたいと思います。