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1953-03-04 第15回国会 衆議院 厚生委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月四日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 平野 三郎君    理事 大石 武一君 理事 野澤 清人君    理事 山下 春江君       新井 京太君    新井 堯爾君       池田  清君    勝俣  稔君       加藤鐐五郎君    永山 忠則君       日高 忠男君    平澤 長吉君       佐藤 芳男君    高橋 禎一君       町村 金五君    八木 一男君       堤 ツルヨ君    鈴木 義男君       島上善五郎君    長谷川 保君       柳田 秀一君    只野直三郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 山縣 勝見君  出席政府委員         厚生事務官         (薬務局長)  慶松 一郎君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         厚生事務官         (引揚援護庁次         長)      田辺 繁雄君  委員外出席者         議     員 河原田稼吉君         厚生事務官         (保険局健康保         険課長)    牛丸 義留君         厚生事務官         (保険局国民健         康保険課長)  山本 正淑君         厚生事務官         (保険局厚生年         金保険課長)  松田 盛進君         厚生事務官         (保険局船員保         険課長)    中村 隆則君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君     ――――――――――――― 三月三日  未帰還者留守家族等援護法案内閣提出第一四  三号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する  法律案内閣提出第一四四号)  麻薬取締法案内閣提出第一四八号)(予)  大麻取締法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四九号)(予) の審査を本委員会付託された。 同日  戦争受刑者並び獄死者等遺家族援護に関す  る陳情書  (第一六四三号)  傷い軍人医療費全額国庫負担に関する陳情書  (第一六四四号)  町村清掃事業施設費財源確保に関する陳情書  (第  一六四五号)  岡山県に国立アフター・ケアー施設設置に関す  る陳情書  (第一六四六号)  公衆浴場入浴料金改正に関する陳情書  (第一六四  七号)  矢上村に簡易水道敷設に関する陳情書  (第  一六四八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正  する法律案内閣提出第五四号)  船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇六号)  健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇七号)  厚生年金保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇八号)  日雇労働者健康保険法案内閣提出第一三四  号)  未帰還者留守家族等援護法案内閣提出第一四  三号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する  法律案内閣提出第一四四号)  消費生活協同組合資金貸付に関する法律案(  内閣提出第一三五号)(予)  食品衛生法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三六号)(予)  麻薬取締法案内閣提出第一四八号)(予)  大麻取締法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四九号)(予)     ―――――――――――――
  2. 平野三郎

    平野委員長 これより会議を開きます。  この際委員諸君にお願い申し上げておきたいと存じます。当委員会に現在付託になつております議案は十件を越えております。いやしくも付託になりました以上はこれが審査に疎漏なきを期したいと存じますが、委員諸君よりその都度まちまちに御発言を希望されますと、非常に混乱いたしますので、あらかじめ可及的早期に、委員部を通じてでもけつこうでございますから、委員長のもとに御通告くださいますようお願い申し上げます。  まず国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。佐藤芳男君。
  3. 佐藤芳男

    佐藤(芳)委員 ただいま議題となつておりますものとは直接連関はないのでございますけれども、二十八年度における国民健康保険助成交付金交付要綱、これが完璧を期するといなとは、きわめてその影響するところが大きいのでございます。これを中心としてこの際当局の御所見を承つておきたいと思うのでございます。すなわち給付費に対する一割五分の国庫助成の問題でございます。私どもはつとに医療給付に対する国庫交付金を要望し続けて来ておつたのであります。しかも昨年十二月の衆議院本会議におきましても、院議をもつてこれを決定いたしておるのであります。この間平野委員長におかれましては、格別なる御奮闘を賜わりまして、新年度予算に一割五分の計上を見ましたことは、委員長の御苦心と御努力に対しまして、大いに敬意を表するところでございます。しかしながら私ども目標額である二割を五分下まわつて発案されたことにつきましては、きわめて遺憾に存ずるのでありまして、結局現政府社会保障の問題について多く心を用いざる結果であると、この点遺憾に思うのでございます。なおこの一割五分の交付要綱は、冒頭に申し上げましたように、きわめて重大であります。厚生当局からただいま私どもに配付されましたものを拝見いたしますと、多くの基準を設けておいででありますが、この案を私どもがまるのみにいたしますれば、医療給付費に対する国庫金交付ということがある程度薄くなるのであります。そういたしますと、私どもの願望とある程度食い違いを生ずるのでありまして、私はまず第一にこの要綱を改めていただきたい。どう改めていただくかと申しますと、第一方式の表を、ごらん願いたいと思うのでありますが、その表の第三項の「百分の九十以上百分の九十五未満」と相なつておりますものを、「百分の九十五未満」の文字を削除していただきたい。それからその次の項の「百分の九十五以上」という文字を全部削除していただきたい。それからさらに第三方式の表の中の第一項の六百円未満算定金額におきまして、「療養給付費の百分の五に相当する金額」と載つておりますものを、「百分の六」に改めていただきたい。その次の項の「六〇〇円以上七〇〇円未満」のものでありますが、「療養給付費の百分の六に相当する金額」と書いてありますものを「六・五」に改めていただきたい。そうするごとによつて提案趣旨にうたつてあります医療給付費に対する国庫助成がその修正分だけ濃度を増す、かように考えるのでありますが、まずこの私の考え方につきまして、当局の御所見を承りたいと思うのであります。
  4. 久下勝次

    久下政府委員 国民健康保険に対する給付費交付方式につきまして、ただいま佐藤委員から修正の御意見が出たのでございますが、ごもつともでございまして、私どもとしては、昨日も国民健康保険小委員会におきましても、同様の御意見が出ましたので、財政当局とも打合せをいたしました結果、政府といたしましては、御提案のように修正をいたすごとに異議が、ございません。
  5. 佐藤芳男

    佐藤(芳)委員 私の考え方に御同意を賜わりまして感謝にたえません。  なお一つ伺つて置きたいのでありますが、この一割五分の国庫助成によりまして、相当保険者はその苦境が緩和されると確信をするのでございますが、私の見解をもつていたしますれば、一番大きく救済さるるものは、現在保険事業を行つておりまする市町村だと思います。次は、いまだこの事業を行つていない市町村が、この助成に刺激をされまして、行うようなことに推進される、これが第二だと思います。従つて一旦この事業は行いましたけれども、現在休止をいたしております市町村は、もちろんある程度この一割五分の助成によつて復活するでありましようけれども、それは私の考え方といたしますれば、ただいま申し述べました第一、第二よりは少い、これは第三位である、私はかように想像いたしておるのでありますが、そういたしますると、私のこの想像が誤りないといたしますると、何といたしましても、第二にあげました点、第三にあげました点、これが事業を急速に回復せしむることに対して、相当御当局から熱意をもつていただきたい。また熱意に即応する施策がなければならぬと思うのでございます。この医療給付費に対する一割五分の助成をもつて満足す、べきではない。将来この一割五分を二割程度に増額するという御意思がありやなしや、これが第一の質問であります。  第二点は、国民健康保険法の第二条を改正いたしまして、将来強制設立に持つて行く御意思がございまするかどうか、この二点を伺つておきたいと思うのであります。
  6. 久下勝次

    久下政府委員 第一の国庫補助額を今後増額する意思があるかどうかということでございますが、私どもといたしましては、いろいろ財政事情から、当初要求をいたしておりました二割負担補助獲得ができなかつたのでございまするけれども、一方におきまして、御審議をいただいておりまする貸付制度拡充等によりまして、大体昭和二十八年度におきましては、国民健康保険事業に対しまして赤字を生じないような経営をしてもらえるように考えておりまするし、また同時にそうしなければならないと思つて、その線で指導しているのであります。しかしながら、これはあくまでも見込みにすぎないのでございまして、私ども見込みなりあるいは努力なりが、先ほど申し上げたような結果になるとは限らないのでございまするので、私どもといたしましては、各方面の御要望でありまする二割補助というものも、そうした場合におきましては、全面的な努力をして獲得をいたさなければならないと考えておるものでございます。  国民健康保険法の二条を改正して、強制設立まで持つて行くということにつきましても、各方面から御意見のあるところでございましてむしろ給付に対する国庫負担を実現するためにも、これに先行して強制設立等をなすべきであるという御意見が相当強く述べられておつたのでございます。これに対しまして、私どもといたしましては、何分にも数多い、また状態条件も違います個々の市町村でございますので、これらの実情をしさいに検討いたしませんと、一方的に強制設立ではたしてよいかどうかということについて疑念を持ち、まず財政的な裏づけをしてやるということが先決問題であると考えたのでございます。幸いに各方面の御協力によりまして、一割五分の給付費補助が実現をいたしたのでありまして、私ども前段申し上げたような趣旨におきまして、この予算を有効に使つて、その結果を見定めまして、ただいまお話のような措置につきましては検討をいたしてみたいと思うのでございます。あくまでも法律強制をするということは、実効をあげませんと意味がないわけでございますので、そういう点につきまして、実態をさらに見定めまして決定をいたしたいと考えているのでございます。  なおつけ加えて申し上げておきたいと思いますが、本年は国民健康保険実施十五周年に相当いたしますので、若干の予算獲得し、いろいろ記念的な事業をいたしたいと思いますので、私どもはこの際国民健康保険拡充整備五箇年計画というものを確立して各方面の御協力を得たいと考えている次第でございます。余分なことでありますが、申し加えておきます。
  7. 平野三郎

    平野委員長 この際ちよつと前後いたしますが、未帰還者留守家族等援護法案、及び戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案の二案が本委員会付託となりましたので、両案を一括してこの際議題とし、厚生大臣より趣旨説明を求めたいと存じます。山縣厚生大臣
  8. 山縣勝見

    山縣国務大臣 ただいま議題となりました未帰還者留守家族等援護法提案理由について御説明申し上げます。  従来未帰還者のうち、元の陸海軍に属していた者で、まだ復員していない者、すなわち未復員者に対しては、未復員者給与法が適用され、またソ連及び中共地域内の邦人であつてソ連地域内の未復員者と同様の実情にある者、すなわち特別未帰還者に対しては、特別未帰還者給与法が適用され、本人に対する俸給月額千円と、扶養手当一定親族に支払うことによつて留守家族援護が行われているのであります。  また未帰還政府職員に対しても、留守家族援護見地から、一般職職員給与に関する法律規定に基く人事院規則が適用され、その扶養親族には月額二千四百三十八円から一万八百八円までの俸給に加えて扶養手当が支払われているのであります。しかしながら終戦後すでに相当の年月を経過した今日においては、このような俸給支給の建前はきわめて不自然な姿となつているのみならず、種々不都合も生じておりますので、むしろ今日の段階においては端的に留守家族援護するという見地から措置することが妥当であると思料いたすのであります。よつてこの際、これらの法令を廃止し、留守家族そのもの対象とし、より実情に即した援護を行いますとともに、従来未復員者給与法等にようて行われていた各種の給与と同様の援護を行うことを目的とする未帰還者留守家族等援護法を制定しようとするものであります。  次にこの法律大要について御説明申し上げます。先ずこの法律規定ずる帰還者範囲でありますが、第一は、元の陸海軍に属しまだ復員していない者、第二は、昭和二十年八月九日以降ソ連中共地域内において生存していたと認められる資料がある一般邦人であつて、自己の意思によつて帰還しないと認められる者以外の者、第三には、平和条約第十一条に掲げる裁判により拘禁されている者を含むのであります。  次にこの法律による援護を受けることができる留守家族範囲は、未帰還者本邦に残している妻、不具廃疾の夫、十八歳未満または不具廃疾の子、六十歳以上または不具廃疾父母配偶者がなく、かつ、扶養する直系血族のない父または母、十八歳未満または不具廃疾の孫、及び六十歳以上または不具廃疾祖父母であつて、未帰還者が帰還しているとすれば主としてその者の収入によつて生計を維持していると認められるものであります。しかしてこれらの留守家族のうち先順位の者に対しまして、留守家族手当として月額二千百円を支給し、なお、他に前述の留守家族があります場合には、一人当り月額四百円を加給することといたしているのであります。  なお、この法律にいう未帰還者のうちには状況不明となつている者をも含んでいるのでありますが、長年月にわたつてその状況が判明しない未帰還者について無期限に留守家族手当を支給するということは、必ずしも当を得た措置とは申されませんので、この法律においては、留守家族留守家族手当を受けることができる期間一定期間に限定いたしているのであります。しかしながら、もとより政府といたしましては、未帰還者状況調査究明につき今後とも努力いたさなければならないところでありますので、特にこの法律におきましては、国は未帰還者状況について調査究明に努めなければならない旨の規定を設けている次第であります。  以上のほか、この法律による援護として未帰還者が帰還したとき、帰郷旅費として一人につき千円から三千円までを支給し、但し十八歳未満の者にはその半額であります。未帰還者のうち未復員者及びソ連における未復員者と同様の実情にあつた者が、帰還した後必要がある場合には、一定条件を具える者につき、療養給付を行い、身体に障害を残している場合には、最高三万八千円から千六百円までの障害一時金を支給し、なおまた外地において右に述べた状態にあつた未帰還者が死亡した場合には、その遺族に対し遺骨埋葬経費として三千円、遺骨引取経費として二千七百円を支給することに相なつております。  これらの措置施行に要する経費は、全額国庫負担でありまして、留守家族手当所要経費九億六千万円、帰郷旅費所要経費三千万円、遺骨埋葬経費及び遺骨引取経費所要経費六千万円、療養費障害一時金等に要する経費四億九千万円、廃止した旧法令に基く未支給分給与及び旧法令からこの法律への切替に当つて実績保障に要する経費四億九千万円、事務費その他七千万円、計約二十一億円を計上いたしている次第であります。  なお、恩給法の一部を改正する法律案におきましては、未帰還公務員のうち、普通恩給最短在職年に達したものにつきましては普通恩給を給することとし、その者の親族本邦にあるものが本人に代つてこれを請求することができる制度を樹立し、留守家族援護趣旨の一端を実現しようとしているのであります。恩給法における右の措置は、この法律援護と相まつて留守家族援護齟齬なきを期しているのであります。  以上がこの法律案大要であります。  なお次に、ただいま議題となつております戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げたいと存じます。  戦傷病者戦没者遺族等援護につきましては、第十三国会において、戰傷病者戦没者遺族等援護法が成立いたしまして昨年四月一日から施行され、万全とは申せないにいたしましても、国家補償の精神に基きます処遇が行われて参つたのでありまるすが、今回、援護措置をさらに強化いたしまするために、この法律の一部を改正することにいたしたのであります。ここにその理由及び内容の大要について御説明いたしたいと存じます。  第一に太平洋戦争中、旧国家総動員法に基いて設立せられました船舶運営会の運航する船舶乗組船員は、戦時中軍人軍属と同様の戦争危険にさらされて参つたのであります。兵員、軍需物資等の輸送にあたり、あるいはまた前線作戦に参加する等、まつたく軍人軍属と同様の危険な任務に服していたものであり、ことにその危険の程度は、軍人のそれに比肩し、あるいはそれ以上に及んでいたのであります。これらの事情にかんがみまして右の船員を、この法律援護対象とすることがきわめて緊要と存じますので、新たにこれを軍属範囲に加えた次第であります。  第二に年金額につきましては、本国会提案されています恩給法の一部を改正する法律案による旧軍人増加恩給公務扶助料の額ともにらみ合せまして、現在の国家財政の許す限りにおいて引き上げまして、援護の強化をはかることにいたしておるのであります。すなわち障害年金につきましては、不具廃疾程度に応じ、九万円から二万四千円でありましたものを、十八万一千円から二万四千円に、遺族年金につきましては、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順序により、先順位者とその他の遺族に区分をいたしまして、おのおの一人につき二万五千二百円及び五千円といたさうとするものであります。  その他、この法律の円滑な施行を期しまするために、必要な二、三の点につきまして、あわせて所要改正をいたすことにしたのであります。  なお旧軍人恩給の復活に伴いまして、従前この法律により援護いたしておりました旧軍人またはその遺族につきましては、原則として恩給法に転移いたすことに相なりますが、これに伴いまする本法との関係につきましては、別途所要の調整を行いまして、その間齟齬間隙の生じないようにいたしております。  次に、これらの措置を講じますのに必要な経費につきましては、障害年金及び遺族年金支給に要する経費約二十八億円、遺族国庫債券元利金支払いに要しまする経費約百三十億円、更生医療等に要しまする経費約五億円、その他必要な事務費昭和二十八年度予算に計上されているのであります。  以上、提案理由につきまして御説明申し上げた次第でありまするが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御議決あらんことを切望いたす次第であります。
  9. 平野三郎

    平野委員長 本案に関しまして御質疑はございませんか。—御質問もないようでありまするが、なおこの両案は細部にわたりさらに綿密なる検討が必要と思われますので、この両案を戦争犠牲者補償に関する小委員会審査に付したいと存じますが、そのように決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 平野三郎

    平野委員長 御異議なしと認め、右両案は戦争犠牲者補償に関する小委員会付託することに決しました。     —————————————
  11. 平野三郎

    平野委員長 次に日程に追加して、麻薬取締法案及び大麻取締法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として審査に入ります。  まず山縣厚生大臣より趣旨説明を聴取したいと存じます。山縣厚生大臣
  12. 山縣勝見

    山縣国務大臣 ただいま議題となりました麻薬取締法案につきまして提案理由を御説明申し上げたいと存じます。  麻薬による保健衛生上の危害を防止することが、社会的人道的にきわめて重要でありますることは申すまでもないことであります。これが取締りにつきましては、終戦以来特に厳格に行つているところであります。しかしながら現行麻薬取締法昭和二十三年に制定されたものであり、当時の社会情勢と現在とは、麻薬取締りの面におきましても、かなりの相違があるのであります。すなわち取締り趣旨が周知徹底するに伴いまして、麻薬取扱者である者の違反行為は逐年減少しつつあるのでありますが、この反面国際交通頻繁化に伴いまして、組織的な密輸入、不正取引等悪質な事犯が特に顕著に現われて来ているのであります。従つてこの際、実態に即した効果的な取締りを強化することが必要であると考えまして、現行法律を廃止して新たに麻薬取締法を制定いたさんとするものであります。  現行法におきましては、麻薬輸出は一切禁止されているのでありますが、新たに麻薬輸出業者を設け、これが厚生大臣の許可を受けまして麻薬輸出する道を開くとともに、現行家庭麻薬麻薬範囲から除外し広く国民医療に供し得るようにする等のため、麻薬取扱者の種類を調整することが、まず第一に必要であると考えられるのであります。  次に現在麻薬取締りに関する事務は、すべて国が直接行つているのでありますが、麻薬取扱者免許その他取締りに関する事務の一部は、これを都道府県知事に委任いたし、国の麻薬取締官に対応する職員として都道府県麻薬取締員を置き、それぞれ必要な取締りを行わしめますることが実情に即し、かつ効果的であると考えられるのであります。  さらにまた現行制度におきましては、麻薬取扱者に対して帳簿の記載、報告の提出等煩雑な手続を要求いたしている点も少くありませんので、この際これらの義務を必要最少限度に軽減いたし、医療及び学術研究のために使用する麻薬の入手を容易にいたしまするとともに、これらの用途につきましてはなるべく広範囲の使用を認め、国民医療及び学術研究の万全を期したいと考えるのであります。  その他取締りに関する規定整備をはかる等のことが必要と考えられまして所要改正を行わんとするものであります。  以上この法律案提出いたしまする理由につきまして申し述べました。  次に、大麻取締法の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げたいと存じます。  大麻取締り大麻取締法の定めるところによりこれを行つているのでありますが、最近の事情法律制定の当時とかなり相違しておりますので、この際実情に即してこの取締りを緩和したいと考えるのであります。すなわち、大麻草の種子は、従来大麻として取締り対象となつているのでありますが、これを取締り範囲から除外いたし、これに伴い、大麻の譲渡、譲り受け、手続に関する制度を廃止することが改正の第一点であります。  また、従来大麻取扱者免許その他大麻取締りに関する事務はすべて国が行つているのでありますが、これを都道府県知事に委任することが改正の第二点であります。その他、取締り緩和のため各規定の整理を行う必要があると考えまして所要改正を行わんとするものであります。  以上がこの法律案提出する理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらん、とをお願いする次第であります。
  13. 平野三郎

    平野委員長 これにて提案理由説明は終りました。     —————————————
  14. 平野三郎

    平野委員長 この際前にもどりまして、国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案議題とし、審議を進めます。佐藤芳男君。
  15. 佐藤芳男

    佐藤(芳)委員 私は前回、本問題に連関いたしまして三、四の質疑を行つたのであります。幸いにして政府当局よりおおむね満足すべき御答弁をいただいて喜ぶものでございますが、なおその際私は、医療給付に対する一割五分の国庫助成につきまして、もちろん私どもの意図いたしました二割と比較いたしまして少いのではございまするけれども、多年大蔵省が、私どもの要請にかかわらずがえんじなかつたこの助成を認むるに至りましてしかも発案を見るに至りましたことは、まことに喜ばしいのでありましてこの点に関しましての委員長の御奮闘に対して私は先刻も感謝の意を表したのでありますが、大臣が出席をされましたから、この際同じ意味におきまして大臣にも感謝の意を表するものでございます。  なおこの際、大臣に要望をいたしておきたいと思うのであります。大臣のこのたびの御奮闘には感謝の意を表するのでありますが、私は社会保障の確立の立場から、さらに今後の御奮闘を期待するのでございます。先般国民健康保険を実施いたしております市、約九十簡市でございますが、その会合の際に大臣はごあいさつをなさいまして、その際、諸君の要望はよくわかるけれども、自分は厚生大臣であるとともに国務大臣であるから云々というお言葉をちようだいをいたしたのでございます。もちろん厚生大臣であるとともに国務大臣であられますことは、官制によつてきわめて明瞭なことであります。新年度の予算を通覧いたして、私どもがまつ先に気づきますことは、総花予算であつて、重点的施策に乏しいという点でございますが、何に重点を置かなければならないかと申しますれば、今日の場合、社会保障に重点を置かなければならぬことは当然なことである。従いまして、厚生大臣であり、同時に国務大臣であられるという立場からお考えくださいましても、社会保障の問題には大いに熱意を傾けていただく理由があると考えますので、決してこれは厚生省の予算ぶんどりのために大臣が陣頭に立つのではない、社会保障確立のために奮闘するのであるという厚生大臣と国務大臣を兼ねた立場においても、徹底的な御奮闘が望ましい。私はかように考えるのであります。少いながら一割五分の医療給付費に対する国庫助成を見ましたことにつきまして、重ねて大臣の御奮闘に感謝するとともに、私ども山縣厚生大臣に大いに期待をいたしておるのでございますから、今後の御奮闘を希望いたしまして、私の質疑を打切りたいと思います。
  16. 山縣勝見

    山縣国務大臣 ただいま佐藤委員のお言葉をちようだいいたしまして、私感謝をいたしたいと思います。同時に、厚生大臣であり国務大臣であります私に対しての御要望も拝聴いたしまして私も今後努力いたしたいと考えております。社会保障の今後の推進、拡充に対してのお言葉でございましたが、この点につきましては、先般長谷川先生からも予算委員会等においていろいろお教えを賜つて、その際私が答えた通りであります。少くとも社会保障制度に対しての熱意は、私は十分持つているつもりであり、またその信念のもとに今後も進んで参りたいと考えております。ただ国家財政全般の点から予算の編成を見まする際に、いろいろ問題がございまして、本会議あるいは予算委員会において皆さんの御意見を承つておりますれば、予算規模の問題についていろいろお話もあり、あるいはまたこの際は生産的な面に予算を使わなくてはいかぬということを、野党の皆さんからのお話の中にも拝聴いたしました。この際あえて私は論議をいたしませんが、いろいろ問題はございましても、私は今回の予算編成にあたりましては相当の熱意を持つてやつたつもりであります。御批判は別でございまするが、ただいまのお言葉に対しまして感謝をいたしますとともに、今後とも努力をいたしたい。但し、国家予算に占める厚生省予算の問題に。きましては、現段階においては、少くとも相当の努力熱意を持つてやつたということだけは申し上げることができると思います。
  17. 平野三郎

    平野委員長 ただいま佐藤委員の御発言中、今回政府が二十八年度予算案におきまして、国民健康保険に対する医療給付費金額を計上したことは、不肖委員長努力の結果であるようなお言葉が、ございましたけれども、これははなはだ間違いでございまして、先般本委員会におきましては、国民健康保険に関する永山小委員長初め委員各位の各派共同提案によつて、本会議において国民健康保険危機突破に関する決議案を可決せられ、その結果によるものと考えるわけでありまして、一に厚生委員各位の御努力の結果であるのであります。この際その御発言を訂正しておきたいと思います。勝俣君。
  18. 勝俣稔

    ○勝俣委員 国民健康保険に対する一割五分の国庫補助の出たことは、皆様とともにまことに御同慶と存じている次第であります。  なお政府におきましては、ただいまの国民健康保険が、市町村単位と申しますか、あるいは組合でもやつておりましようけれども、これを拡大いたしまして、都道府県単位のような組織にかえて、そして国民健康保険経済の安定をはかるようなお考えが近くあるかどうか。これがためには、あるいは強制加入という問題も出て来るじやなかろうかと思いますが、どういうようなお考えをお持ちになつていらつしやるか。先ほど局長のお話では、五箇年計画というようなことも承つたのでございますが、その中にそういうようなお考えも含まれているかどうか、一応お伺いいたしたいと思います。
  19. 久下勝次

    久下政府委員 国民健康保険の経営主体を府県単位ぐらいに持つて行つたらどうかということにつきましては、かねてからそういう御意見を私どもつており、検討いたしているのでございますが、ただいまのところまだその点につきましては、積極的な結論を得るに至らないのであります。もちろん現在のような単位の小さい、市町村、ごとに保険事業をやつて参りますことは、財政的な面から申しまして不適当と考えられる面がないわけではございませんが、しかしながらまたこの事業は、お互いに相助けるという精神が基調になつております関係上、経営主体が大きくなりますると、こういう精神的な基礎において欠くるうらみもなわけではございませんので、それらの点につきましてなお十分検討を要するのではないかと思つておる次第でございます。ただ伝えられるところによりますると、自治庁方面におきまして、積極的に市町村の合併を奨励する方針があるようにも伺つておるのでございまして、こういうことが実現をいたしまするならば、ちようど今申し上げましたような点につきましては中間を行く制度であり、私どもといたしましても、国民健康保険の強化の上に相当効果のある結果になるのではないかと思つておる次第でございます。現在はそれらの結果がどうなるかということを見守つておるところでございます。五箇年計画を立てたいというのは、まだ腹案にすぎないのでございますが、御指摘のような点まで入れますかどうかにつきましては、今後御趣旨の点も尊重いたしまして十分検討いたしたいと思つております。
  20. 平野三郎

    平野委員長 他に御質疑はございませんか—御質疑もないようでございますが、本案はさきに国民健康保険に関する小委員会付託をいたしましたので、この際国民健康保険に関する小委員長より、小委員会の報告に関する発言を求められておりますから、この報告をお聞きすることといたします。永山忠則君。
  21. 永山忠則

    ○永山委員 ただいま議題となつております国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案に関しまして、国民健康保険に関する小委員会は、大蔵及び厚生当局を呼びまして、慎重に審議を続けました。そうして次のような附帯条項並びに昭和二十八年度における国民健康保険助成交付金交付要綱の一部修正その他の要望等を付しまして、原案に賛成することになりました。  この際附帯条項について申し上げます。    附帯条項  一 国民健康保険再建整備資金貸付金をできるだけ多くの保険者に対して貸付ができるようにして貸付予算総額を有効に使用するため、法第三条及び第四条の二の「特別の事由」を広く解釈運用すること。  二 貸付手続をできるだけ簡素化し、貸付事務の迅速をはかること。右附帯条項を付して原案に賛成することにいたしました。  同時にその際当局の了解を得ました点は、昭和二十八年度における国民健康保険助成交付金交付要綱の三、算定方式のうちの(一)第一方式—振興奨励交付方式の「左表に定めるところによる。」という、この表の最後の「百分の九十五以上」を削除し、その前にある「百分の九十以上」の下の「百分の九十五未満」を削除しまして、級は一級、二級、三級の三段階にすること、次に第三方式のうちの表の、「昭和二十七年度における被保険者一人当り療養給付費」の六百円未満、六級の下にある「療養給付費の百分の五に相当する金額」とある「五」を「六」に訂正し、次の六百円以上七百円未満、五級の下にある「療養給付費の百分の六」とある「六」を「六・五に相当する金額」に修正をして、政府がこれを実行するということの了解を得ました。  次に小委員会委員より強く要望されましたものは、療養給付費に対する国庫補助はすみやかに二割以上、結核は五割以上にすること、直営診療所施設に関する国庫補助の増額と整備拡充、全市町村に実施を促進すること、国民健康保険法第二条を将来改正して強制設立になし、これが経営単位を県単位に引上げること、といつたような強き要望が委員からありましたことをつけ加えておきます。  右の通り御報告申し上げます。
  22. 平野三郎

    平野委員長 これにて小委員長の報告は終りました。次にただいまの報告につきまして御発言がありましたら許可いたしたいと存じますがございますか—別段御発言もないようでありますから、これにて質疑は終了いたしました。  次に本案についての討論の通告があります、これを許可いたします。堤ツルヨ君。
  23. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 わが日本社会党は本法案に賛成をいたすものでございますが、この際一言討論の中に党の意向をはつきりと申し述べまして、政府に強く国保に対するところの二、三の要望をしておきたいと思うのでございます。国民健康保険が気息えんえんの経営状態を続けて参りまして、やつと二十八年度の予算におきまして三十数億の援護の金を政府から得まして、やや立ち直るかの目先が見えたことはまことにけつこうでございますけれども、しかしこれをもつてして国保が完全に立ち上り得るかどうかははなはだ疑問で、ございましてこの点非常に案ずるのでございます。しかも昨年度まで実施されて参りましたところの奨励資金の貸付交付であるとか、再建整備資金の貸付などを見ておりましても、そのやり方は政府当局におきまして非常に不満足でございます。私をして言わしむれば、非常な危機どころか、すでに転落しつつあるところの国保に対しまして、今日なお政府におきましては、金を持ちながらも、まだその金を残して手を尽しておらないというような点が間々見られますことは、はなはだ残念でございます。どうか今回の一部改正によりまして、再建整備が真に軌道に乗りまして、この医療給付国庫一割五分負担と相まつて、二十八年度以降の国保が、社会保障の基幹ラインとして立ち上ることを私は切に要望したいのでございますが、この一割五分負担につきましても、ただいま改進党並びに小委員長などから御発議がございましたように、決して満足な額でなく、約束するものでは、ございません。私たちはさらに当委員会におきましても、皆様方の御協力と相まつて、来年度はもつと強化した国保べの態勢を固めたいと思うのでございます。ことに全国民のうち、まだ三千四、五百万の国保の恩典に浴さない町村民があるということは大きな問題でございまして、少くとも国保というところの二の制度は、日本国民である限り、その居住地域内において国保によつてその保健を保障されてるの態勢がなければならないのでございます。従つていまだ実施されておらないところの市町村には、義務的にこれの強制をいたすべく、しかもそれは国庫によつてこれを運営するべく、ただいまの附帯決議の通り即刻やられなければならない問題でございまして、やや怠慢の気味のありました政府当局におかれましては、この委員会の主張を了とされまして、今日ただいまから、どうか十分御留意の上、この金を生かしながら着々前進されることを切に願うものでございます。  それからこの委員会の本法律案審議途上においてはつきりいたしましたことく、せつかく当初予算の中に再建整備貸付金などを盛つておきながら、年度末の、一月を過ぎてから、その金が三分の二以上も余つておるというような貸付の冷淡なあり方であつてはならないのでございまして私はこの点を政府に追究いたしましたところ、局長からも、以後留意されて、ある金は十分使つて国保の強化に万全を期したいというような御答弁が、ございましたから、一応その計画を了といたしまして信用いたしますが、なお不安なところがございます。どうかせつかくとりました予算を十分生かされまして、この国民の保険にこたえられるよう切望するものでございます。  なおわが党といたしまして特に強調いたしておきたいのは、現在の国民の保険制度についてでございますが、健康保険制度あり、国民健康保険制度あり、また国家公務員、地方公務員は共済組合あり、船員船員保険あり、またここに上程されておりますところの日雇労働者健康保険あり、まつたく林のごとく保険制度が濫立いたしておりまして、しかも、一つの制度に対しては国が厚く、一つの制度に対しては国が薄くというような、今日の乱脈きわまるところの保険行政では、とうてい国民の健康保障に耐え得ないのでありまして、こいねがわくは、近き将来社会保障制度が確立いたしますときには、現在の国民健康保険制度一本にまとめて、職場を持つ国民でなくとも、またあつても、農民であろうとも、中小企業であろうとも、老若男女を問わず、すべて国民たる者はその居住地域内において国保をもつて保健を保障されるという建前、国保一本の線に持つて行かれるのが当然であると思いますので、どうか政府におきましては、一つ一つに手入れをいたしておりましても、まるで膏薬を張つたような形で、とうてい満足な制度が望み得ない今日のこの乱脈きわまる行政ぶりをよく御検討になりまして国保一本にまとめるべく責任を果していただきたいということをお願いし、わが党におきましても、少くともその線に向つて前進いたしたいと思つておりますので、どうか国会委員会におかれましても、今後そうした研究がますます行われますことを要望いたしまして、わが党を代表いたしまして賛成するにあたりまして、一言付しておきたいと思います。
  24. 平野三郎

    平野委員長 柳田秀一君。
  25. 柳田秀一

    ○柳田委員 私は日本社会党を代表いたしまして、上程されました国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案に対して賛意を表せんとするものでありますが、二、三の意見を申し上げたいと存じます。  第一の点は、現在の国民保険が先般来御論議されておりますように、一割五分の国庫負担獲得できましてやや愁眉を開いたとも申し上げたいのでありますが、なおこれをもつてしてはわれわれはとうてい満足することはできないのでありましてこれをもつてしてもなおかつ大体全国平均いたしますと約半額の五割は患者の自己負担になつておるようなことであります。さらにそれを設置しておりまする保険者でありまする市町村におきましては、なおかつこれによつて赤字で苦しんでおるのであります。そこで私はこの日本の農民層、あるいは漁民層「あるいは中小企業層、そういう広汎な層を対象とする国民健康保険が全国に完全に普及しておらぬ点を遺憾とするものでありますが、これに対しては厚生省といたしましても、積極的に全国民が漏れなく、社会保険に入らない者はひとしく国民健康保険に網羅するという方向に持つてつていただきたい。しかもそう申しても、強制的に立法措置によつて強制する以外には、なかなか市町村においてこの設置を今の情勢ではがえんじないと思うのであります。現在におきましてこれを設置しておる市町村は非常に良心的な市町村でありまして、設置はしたいが、その国民健康保険の精神よりも、赤字になる、あるいは財政的に苦しむという方のそろばんをはじいて、設置せぬのが実情であります。従いまして設置をしておる市町村は、非常に国民医療あるいは社会保障ということに対して関心を持ち、理解を持つた、進んだ知識を持つた市町村であり、設置をせざる市町村はこれを少し言葉を強めて言うならば、いささかずるいと言つてもこれはやや過言ではないと思うのであります。こういう表現はあるいは不適当かもしれませんが、そういうふうな観点からも考えられるのであります。そこで問題になりますのは、現在どの市町村におきましても、国民健康保険を実施しております市町村は、いずれもみな自己財源をそれに充当して、この国民健康保険を運営しておるのでありまして、これが平衡交付金のいわゆる基準財政額に認められないということは、私ははなはだしく遺憾であります。従いましてこれを全国的に網羅し、さらに未設置町村をなくするというような線に持つて行くためにも、やはり平衡交付金財政基準額というものに、国民健康保険の特別会計に市町村が繰入れた額というものを認めさす方向に持つて行くということも、これを普及する一つの方法かと思うのでありまして、そういう点に関しましても、政府当局におかれまして十分意を用いられんことを希望するのであります。  なお次に申し上げたいのは、昨年健康保険の医療単価が、十円から十円五十銭ないし十一円五十銭に上りましたときに、国保の単価もこれにスライドすべきが当然でありますにもかかわりませず、国民健康保険の会計が苦しいために、社会保険の方は十二円五十銭なり十一円五十銭に上つておりますのに、国民健康保険は十円、あるいは十円五十銭、あるいは十一円、あるいは十一円五十銭というふうに、各地においてそれぞれいろいろと単価をきめております。それゆえもしも一市町村において、社会保険と国民健康保険と両方に入つておる患者があるとするならば、同じ内容の医療給付を受けながら、しかもその単価が違つておるというような、およそ常識によつて判断しても首肯することのできぬような矛盾を各地に生じておるのであります。かくのごとき原因を生じましたのも、一に国民健康保険財政が苦しいがために、そういう便法的処置をとつておるのであります。中には額だけは社会保険と同じ額にしながら、しかもそのうちの一部を医師のいわゆる篤志寄付と申しますか、そういう形で補うような形式をとつて、表面上はどちらも社会保険と国民健康保険とを同一の単価内容にしながら、実質的に支払う賃金においては差をつけているような、こういう苦肉の策を弄しておるところもあるのであります。こういう点から考えましても、このたび一割五分の国庫補助ができ、さらに再建整備資金もできました機会に、少くとも厚生当局としては、国民健康保険の単価も社会保険と同様にすべきであつて、さらに今後社会保険の単価が値上りした場合には、当然国民健康保険もその単価にスライドして、いつも社会保険と国民健康保険の単価は同様であるべきが当然であります。こういう点に対しまして、厚生省としては昨年の単価の値上げのときには、むしろ各府県を通じて、それぞれ市町村に国保に関する限りは、単価の値上りを押えるような指導さえとられたのであります。こういう点に関しましても、すみやかにこれを是正されんことをつけ加えまして本法案に賛成するものであります。
  26. 平野三郎

    平野委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案に関する小委員会の決定は、各派共同の附帯条項を付して原案の通り可決であります。本案を小委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 平野三郎

    平野委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は附帯決議を付して原案の通り可決いたされました。  なお本案に関する委員会の報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますから、さように御了承願います。     —————————————
  28. 平野三郎

    平野委員長 次に船員保険法健康保険法並びに厚生年金保険法のそれぞれ一部を改正する法律案三案を一括して議題とし、審査を進めます。御質疑があれば御発言を願います。
  29. 柳田秀一

    ○柳田委員 健康保険法の一部を改正する法律案でありますが、医療給付が三箇年に延長されておりますが、傷病手当に関しましては従来のまますえ置きになつております。これは過去の歴史を見ましても、医療給付の年限を延長すれば傷病手当も延長されるようになつておりますが、今回はそういう措置がとられておりませんが、これに対するお考えを伺いたい。
  30. 久下勝次

    久下政府委員 お答え申し上げます。療養給付と傷病手当金の給付とが一致いたしますことは、私どもも方針として当然そうあるべきものと考えておるのでございます。しかしながらすでに現行法におきましても、療養給付期間が二年に相なつておりまするが、結核の場合には一年半、その他の一般の場合には六箇月だけ傷病手当金を給付しておる実情でございまして、必ずしもそういう方針通りに行つておらないのでございます。今般給付期間を三年に延長いたします改正を企図いたしました際にも、この点につきましては私どもは慎重に検討いたしたつもりでございます。結局財政的な事由が唯一の事由でございまして、今日の国保保険財政の上から申しますると、建前として傷病手当金を療養給付期間に一致させることは当然であるとは考えながらも、財政上の理由からやむを得ず現状維持ということにならざるを得なかつたのでございます。もちろんこのために私どもが現在考えております国保療養給付に対する国庫補助が実現をいたしますれば、そういう点もおのずから解決を見るはずであつたのでございますが、これまた遺憾ながら二十八年度予算においては実現を見ることができませんでしたので、やむを得ず傷病手当金の給付期間現行の通りすえ置かざるを得なかつた次第でございます。
  31. 日高忠男

    ○日高委員 今の傷病手当の問題でございますが、現在被保険者の傷病手当というものは、一週間公務以外の、業務上の病気でなしに休んだ場合には、三日間給付を差引かれることになつておりますが、あれをやはり五日間休み、あるいは七日間休んだら、その期間だけ全額支給してもらうような方向に向つてお考え願えないものでしようか。また三日間削除するためにおよそどのくらいの金額が浮いて来ますか、その点を伺いたい。
  32. 久下勝次

    久下政府委員 三日間期間を置いておりますことは、結局病気になりましてはたして労働が不能であるかどうかということを医師に認定をしていただきますために必要な期間でございまして、そういう意味合いにおきまして三日間の経過を見まして、労働が不能であるということになりましたときに傷病手当金を支給することにいたしておるのであります。一日休んだからすぐ傷病手当金というのは、医学的判断の上からも困るという理由でございます。三日間期間を置いておりますためにどのくらいの金が出て来るかということにつきましては、ただいま計算した数字がございませんので、もしお許しいただければ後刻大体の数字でも持たせてお目にかけたいと思います。
  33. 日高忠男

    ○日高委員 そうしますと、休業を要したか、要しないかの判定に要するだけの三日間の日にちを設けるということをおつしやいましたが、たとえば、急に手術を要しましたような病気のときは、振り返つてみて、あの三日間は当然休業手当を出されるのが至当ではないかということがありますので、手術を要した、入院したというような場合については、あの三日間も加えてやる。ただかぜを引いたとか、二、三日しか休まなかつたというものについては除外せられることも確に必要であるが、すぐ入院して手術しておるというようなものについては、休んだ目まで全部を対象とせられるのが至当であると思いますが、いかがでありますか。
  34. 久下勝次

    久下政府委員 御引例のような場合にはそういうことが考えられることもあろうと思いますが、数多い病気なり、あるいは負傷なりでもありますので、いろいろそうしたこまかい差異をつけて取扱いをいたしますことは、実際問題として事務的に非常に困難であります。大体のところからこの種の問題は取扱わざるを得ない実情でございますので、ただいまのところ私どもとしては、傷病手当金の給付期間三日間というものを全面的に廃止するということについては、まだそこまで結論に達しておりませんし、将来の問題として検討さしていただきたいと思います。
  35. 日高忠男

    ○日高委員 もう一つお尋ねいたします。この健康保険法の一部を改正する法律案要綱改正の要点の第四でございます。保健施設の運営を厚生大臣の指定する法人に委託できることとするとございますが、あれはどういうことを意味しておるのでございますか。
  36. 久下勝次

    久下政府委員 ただいま御指摘の点はあるいは前にお配り申しました要綱に書いてあつたのではないかと思いますが、最終的な提案改正法律案からは除外されております。ただ御質問でありましたからお答え申し上げておきますが、健康保険特別会計によりまして病院、保養所等の保健あるいは福祉施設を設けておるのでございます。これは政府管掌の場合には、一応政府が管掌しておりまする関係上、財産的には国有財産になつておるのでございます。実際問題といたしましてはそれらの施設の経営を主として、財団法人社会保険協会というのがございますが、これに委託をいたしておるのでございます。もちろん例外的には市町村などにお願いしておるところもございます。そういうふうに国有財産の経営を委託いたしまするために、従来は明確な法律上の根拠なしにやつておりましたので、国有財産管理の建前から、明文をもつて明確にする必要があるという意見政府部内にございましたので、原案に入れて法制局に審議をしてもらつたのでございます。いろいろこの点につきましては、お目にかけましたような単純な要綱てはたして財産法規の上からいいかどうかということにつきましても、もうしばらく検討をする必要があるという法制局の意向も、ございまして、実際は従来やり来つておることでございますので、もうしばらく検討の余裕を与えてもらいたい。この次の改正の機会にもし結論を得れば出すようにするからというような、主として法制局の意見がございましたので、関係の部局とも相談をいたしまして、今回の改正からは除外をいたしたものでございます。御了承願います。
  37. 平野三郎

    平野委員長 この際お諮りいたします。健康保険法の一部を改正する法律案に関しまして、議員河原田稼吉君より委員外の発言をしたいとの申出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 平野三郎

    平野委員長 御異議ないようでありますから、許可するに決しました。河原田稼吉君
  39. 河原田稼吉

    河原田稼吉君 委員長の御好意によりまして、私はこの際政府当局にお尋ねをし、かつ皆様方の御理解を願いたいと思うのであります。  その問題は、今回御審議中の健康保険法五十七条三に関する問題であります。国民健康保険につきまして先般医療費の国庫負担が解決せられましたことは、私どもまことに御同慶にたえぬ次第と存じます。しかるに同じ立場にありますような健康保険に対しましては、いまだこれに対する解決を見ないのであります。今回第五十七条三によりまして、従来の医療期間が二年であつたのを三年に延長をするということに提案せられておるのであります。御承知のように健康保険はいわゆる労働保険でありまして、半分ばかりのものが政府管掌、すなわち政府が直営しておる保険であります。また半分ばかりのものがいわゆる組合員の自治として運営せられておるのであります。その数はおよそ八百くらいでありましよう。組合員の数は三百万を越しておると思うのであります。今回五十七条三の改正によりまして、従来の医療期間が二年であつたのを三年にするということに相なつておるのであります。これはまことに趣旨においてはけつこうなことでありますが、御承知のように健康保険組合のうちには相当資力もゆたかであり、かつ大きな組合もありますが、中には小さな組合もあるのであります。たとえば市町村吏員をもつて組織しておる組合のようなものは、いわゆる標準報酬といいますか、これに対する負担も少く、かつまた数も少いがために、なかなかその運営に困難をしておるものもあるのであります。政府管掌におきましては、これは三百万くらいのものが一つのプールになつておりますから、いかようにも運用ができましようが、組合がおのおの別々になつておりますがために、中にはその運営に困難を感じ、場合によつては、その組合を解散せざるを得ないような情勢にあるものも若干あるように認められるのであります。これに対しましてあるいは政府においてはそういう組合は解散をして政府管掌の中へ入つたらいいじやないかというようなお考えのようでありますが、しかし元来この健康保険法の仕組みというものは、できるだけ自治的の運営でやらして行くということがその趣旨の一つであります。従いましてできるだけ組合の存続をさせるのが趣旨と思うのであります。しかるに今のように、場合によつては解散せざるを得ないというようなものができかねないのであります。つきましては従来皆様も御承知のように、健康保険に対しまして、いわゆる労働保険に対しまして、国民健康保険と同じように医療費を国庫が適当に負担していいじやないかということは、社会保障制度審議会その他におきましても、長い間決議せられておるのでありますが、これがなかなか実現せられないのであります。もとより国家財政の上におきましてもこれは考えなければならぬのでありますが、私が申すまでもなく、社会保障制度というものは、これはますく進めなければならぬとともに、かつまたこれがいわゆる国内の治安並びに民心の安定の上に重要な関係を持つのでありますから、若干の国費負担というものは、これは思い切つて今後負担をしてこの問題を解決に進められることが今日必要だと思います。これは余談でありますが、要するに今回二年というものを三年に延長せられました機会に、どうぞひとつさらに従来懸案でありました健康保険に対する、いわゆる労働保険に対する医療費の一部国庫負担という問題をすみやかに解決せられまして、いわゆる医療期間を延ばしたということと相並んで、その費用に対しても国家が相当の負担をするという、はつきりした態度を示されることが私は最も必要じやないかと思うのであります。この点につきまして実は厚生大臣にお伺いしたいのでありますが、おいでがありませんから、政府当局から御説明なり御意向を伺い、かつこの点をとくと大臣にもお伝えを願いたいとともに、あわせて皆様方の御理解をお願いいたしました次第であります。まことにありがとうございました。
  40. 久下勝次

    久下政府委員 河原田先生の仰せになりましたことは逐一ごもつともでございまして私どもとしても、今回の法律改正をするにつきましては、かねて今御指摘のような社会保障制度審議会その他各方面からの御要望の線に沿つて、全面的な療養給付に対する国庫補助の交渉をして参つたのであります。これは単に二十八年度予算のみでございませんで、過去数年間にわたりまして毎年繰返し最後まで主張し続けて参つておるのでございます。依然として健康保険につきましてこの実現を見ることができません。ただようやく国民健康保険についてのみ一部実現を見たという程度にとどまりましたことは、私どもの微力のいたすところでございまして、まことに申訳なく存じておる次第でございます。ただいま御指摘の三年延長の問題にいたしましても、また先ほど柳田先生の御指摘の傷病手当金の問題にいたしましても、いずれも今日の事業経営体、あるいは労働者の負担能力から見ましては、その方に転嫁することが非常に困難な実情にありますので、私どもとしては、それら健康保険の将来の改善のみならず、現在の事業の運営のためにも、御指摘のように国庫負担を早急に実現をする心要があると考えておるものでございます。御趣旨の点につきましては、私は全然同感でございますので、大臣にも逐一申し伝え、できるだけ早い機会に、少くとも次の予算の機会には強くこの問題を主張をし、実現に万全の努力をいたす所存でございます。
  41. 柳田秀一

    ○柳田委員 ちよつと一点だけ……。最近健康保険の会計が、収支黒字になつておるように承つておるのでありますが、大体数字をお示し願いたい。
  42. 久下勝次

    久下政府委員 政府管掌健康保険について申しますと、昭和二十六年度決算によりますと、十億円の黒字になつておりまして、これは昭和二十七年度の予算の中に組み入れてございます。それから昭和二十七年度の財政収支の見込みは、最近の実績まで見まして推定をいたしますると、同様三億円くらいの黒字をもつて決算をし得るのではないかと見込んでおります。昭和二十八年度の見込みにつきましては、これはまだ、今日のところ単なる見込みにすぎないのでありますけれども、御提案を申し上げております程度の仕事をやつて行きます上におきましては、ごく少々の黒字あるいは一ぱいぱいの程度で経過して行くことができるという見込みでございます。
  43. 柳田秀一

    ○柳田委員 なおくどいようでありますが、傷病手当金の医療給付延長に伴う延長の問題は、今久下局長のお話のように、理論的には当然延長すべきであるが、問題は財政の点からできない、こういうお話であります。その間の事情もわかるのでありますが、何と申しても特に結核の、ごとき患者は、単に医療をもつて治癒するということだけではとうてい治癒できないのでありまして、これには御承知のように大気、安静、栄養という三原則、これは同時に物心両面から結核を療養しなければ、生活の不安におびえながらでは、いかに科学が進歩いたしましても、結核の療養には十分でないと思うのであります。そういう意味におきましても、もしも許すならば、結核に関してのみでも、傷病手当の問題は、この療養給付の延長に伴つて延長すべきである。またどうしても財政が苦しいならば、三年とは申さない、少しでも延ばしてもらいたい。単に財政が乏しいから今まで通りでストップするというような安易な考え方ではなく、可能な範囲で少しでも延ばして行く、こういう熱意厚生当局は示してほしいと思うのであります。幸いに健康保険の会計も多少の黒字になつておるようでありますので、ここのところはもう一度御再考を促したいと思うのであります。
  44. 久下勝次

    久下政府委員 先ほども申しましたが、傷病手当金の問題は、現在結核は一年半、その他一般の疾病は六箇月となつておるのであります。それで三年延長をいたします場合には、結核だけでもいいじやないか、国家公務員の共済組合は、結核だけに三年延長いたしておるというような議論もあつたのでありまして、それに関連してただいま御指摘の傷病手当金についても、結核のみについて考えたのですが、実は三年延長をいたしますと、その適用を受けますものは九〇%以上のものが結核でございます。従いまして結核だけにやるということは、問題は結局同じことになつてしまうのでありまして、こまかい数字を一々申し上げてもよろしゆうございますけれども、二年に延ばすことによりまして、約三十億くらいの財源が必要でございます。三年間まるまる傷病手当金を出すことにいたしますと、それが大部分、九十何パーセントが結核患者に給付されるものでありますので、四十億程度の財源を必要とする見込みでございます。そうなりますと、現在の三百億前後の健康保険財政から申しますと、とうていその負担にたえられないところでございますので、実はそういう意味からやむを得ず、一応現行通りにとどめたわけでございます。
  45. 平野三郎

    平野委員長 他に三法案についての御質疑はありませんか。—他に三案についての質疑はないようでありますから、三案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 平野三郎

    平野委員長 御異議ないようでありますから、これで三案の質疑は終了したものと認めます。  それではただいま河原田稼吉君より、健康保険法の一部を改正する法律案に関し附帯決議を付したいとの御要望であろうと存じますので、この際委員長の手で作製いたしました次の附帯決議を付したいと存じます。その決議案文を朗読いたします。     附帯決議  健康保険法第五十七条の医療期間延長に伴い、健康保険に対する医療国庫負担につき、政府は此の際篤に研究を進め、可及的速かにその実現を期せられんことを望む。 以上であります。  次に、三法案を一括して討論に付します。長谷川保君。
  47. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 本改正案は時代の要求に応じましてともかくも適用範囲を拡大いたしましたこと、また医療給付につきまして三年に延ばしましたことと、また標準方式の引上げ等、一応みな了承できるのであります。しかしながら健康保険の現状を見ますと、なおその中に幾多の不満がございます。たとえば給付支給につきましての三日間の待機期間の問題、これはたとえば盲腸等炎の急性症に伴う入院患者に対しましては一つの矛盾であります。あるいは傷病手当金の、先ほど柳田委員質疑にありましたように、一年半でおくという、これもまた非常なる矛盾であると思います。先ほどの久下局長からの答弁によりますと、二年に延ばすことによつて三十億円を要する、三年に延ばすことによつて四十億円を要するということでございますけれども国民健康保険に対しまする今回の国庫負担、あるいは再建整備に要しまする支出等に対しまして、健康保険側におきましても、これは同様の社会保険でございますから、もしその程度国庫負担でもつてできますことならば、これは当然国保との平衡という点から申しましても、私は支出していいのではないかと思うのであります。これは健康保険関係の被保険者の大きな要望であると思うのであります。あるいはまた補償額の点におきましても、これは共済組合との平衡を講ずべきでありまして、そういたしますればこれは百分の八十を実施するのが平衡を得たものと考えるのであります。さらにまた施行令三十六条によりますと、御承知のように、被保険者代表でありまする互選議員は、保険組合の連合体の理事並びに単位組織の理事長の被選挙権が認められていない現状であります。従つて単位組合の理事長や常務理事及び連合会の役員になれないのが現状であります。こういう点を改正いたしませんと、被保険者、つまり組合員側の主張が連合体等に徹しません、従つてこの健康保険制度の民主化を妨げておる現状であります。こういうような点を大いに改正しなければなりません。従いましてわが日本社会党といたしましては、今回の改正にあたりまして、条件をつけまして賛成いたしたいと思うのであります。  すなわち、政府は、すみやかに左の改正を行うこと。  一、給付支給の三日間の待機期間の撤廃をすること。  一、傷病手当金を三年に延長するように努力すること。  一、給付金の国庫負担については国保同様の給付国庫負担を行うこと。  一、補償額を至急上げること。  一、施行令三十六条についてはすみやかに被保険者代表である互選議員が単一組合の理事長並に常務理事にまた連合体の理事に選出できるよう改正をすること。  以上五点を条件といたしまして本案に賛成せんとするものであります。
  48. 平野三郎

    平野委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより三法案の採決に入ります。まず船員保険法の一部を改正する法律案を、原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 平野三郎

    平野委員長 御異議ないようでありますから、本案は原案の通り可決されました。     —————————————
  50. 平野三郎

    平野委員長 次に、健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、先ほど委員長から発議いたしました附帯決議を付して、原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 平野三郎

    平野委員長 御異議ないようでありますから、本案は原案の通り可決されました。     —————————————
  52. 平野三郎

    平野委員長 次に、厚生年金保険法の一部を改正する法律案を、原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 平野三郎

    平野委員長 御異議ないようでありますから、本案は原案の通り可決されました。  なおただいま可決されました三法案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いまするから御了承ください。  それでは本日はごの程度にとどめまして次会に審議を続行することといたします。明日は午後一時より開会いたします。  これにて散会いたします。     午後零時十五分散会