○長谷川(保)
委員 そういたしますと、昨日の御答弁によると、施行者といたしまして公益法人がこれを施行するわけでありますが、それに四十人ぐらいの外人を使
つて非常にたくさんの金がいる、だから十億円、二箇所で合計二十億円入
つて来ても、建物の償却その他で、それに相当
費用を要するのだ、こういう
お話でございまして、施行者としてはそう大きな利益を期待しておるものでもないような
お話でございましたが、しかし一方、この施行を委任されます方のいわゆる営利会社は、ただいま申しましたような非常に大きな数字の入場料一人五十円ぐらいずつの入場料をとる予定だという
お話でございます。そうすると、それがまた非常に大きな額になると思う。そう
考えて参りますと、おそらくどちらへまわ
つても、税金を出す方は、なるべく公益法人の陰に隠れて出さないようにするとか、あるいは利益はどつちかの陰に隠れて
理事もしくはおそらく同じような人であろうと思われます株式会社の重役あるいは営利会社をいたしますものが利益を収めると
考えなければならないというように思うのであります。すでに
提出されてあります
資料によりまして、この勝者投票券を発売いたしました
金額の十分の一だけを共同募金もしくは民生的な事業に
寄付するということでありますが、莫大な利益を予想できるのであります。昨日
提案者の御
説明によりますと、社会福祉事業に対しまして
国家は
予算をあまり出せない。共同募金の金はたかの知れたものである。ほかに
方法がないから、これで金をつくるのだ、こういう
お話でございましたが、憲法第二十五条によりまして、国民の最低生活というものは
国家が保障しておる。ことに憲法第二十五条の第二項によりますれば「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」ということにな
つておるのであります。そこで私は厚生当局の十分なる御見解を伺いたいのでありますが、憲法第八十九条におきまして、御
承知のように公の金を公の支配に属しないところの博愛事業、慈善事業、教育等に
支出してはならないという項目があるわけです。これは
昭和二十一年であ
つたと思いますが、生活保護法がつくられますときに、この生活保護法の
委員会におきまして、この憲法第八十九条を私は問題にいたしたのであります。つまり、もしもこういうような条文がそのままの言葉で実施されますると、国の
施設の社会事業、教育事業というものは非常な痛手を受ける、それが国から与えられておりましたところの
補助金というものを失うことになり、非常な問題であるが、これを
厚生大臣はどう
考えておるか当時河合良成君が
厚生大臣であり、葛西君が
社会局長でありましたが、この問題を生活保護法の
委員会で十分に伺
つたのであります。そのときに、たしか両方の御答弁であ
つたと思いますが、公の支配に属せざるという言葉の意味でありますが、この公の支配に属しないという意味は、それはいわゆるもぐりの社会事業を言うのである、当時の社会事業法及びつくられておりました生活保護法によ
つて設立されまするところの社会福祉事業、教育事業等は、公の支配に属するものである、こういう御答弁であ
つたことは、今日その当時の速記録を調べれば明らかであります。今日、先ほどの
提案者の
お話のように、社会福祉事業に国の金が出せない、共同募金が集まらない、ほかに
方法がないから、このハイアライのばくち法をひ
とつつく
つて、そして金をつくろうというのでありますが、国民の最低生活を保障することは、明らかに
国家の
責任である。しかも生活保護法をつくりますときにそういうことをうたわれておる。今日厚生当局は、この生活保護法の
委員会におきまして御答弁になりました意味において憲法八十九条をお
考えにな
つていられるか。それともまた別なお
考えを持
つておられるか。この点、厚生当局の御意見を伺いたい。