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1953-03-06 第15回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月六日(金曜日)     午後二時二十八分開議  出席委員    委員長 大村 清一君    理事 松岡 松平君 理事 山崎 岩男君    理事 河野 金昇君 理事 竹谷源太郎君    理事 森 三樹二君    麻生太賀吉君       大橋 武夫君    綱島 正興君       丹羽喬四郎君    濱田 幸雄君       原 健三郎君    福井 盛太君       松山 義雄君    明禮輝三郎君       三和 精一君    古井 喜實君       山本 粂吉君    三輪 壽壯君       猪俣 浩三君    島上善五郎君       只野直三郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      金丸 三郎君  委員外出席者         衆議院法制局参         事         (第一部長)  三浦 義男君     ————————————— 三月六日  委員木村武雄君、中峠國夫君、中野武雄君、森  下國雄君及び亘四郎君辞任につき、その補欠と  して三和精一君、大橋武夫君、麻生太賀吉君、  明禮耀三郎君及び丹羽喬四郎君が議長の指名で  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公職選挙法改正に関する件     —————————————
  2. 大村清一

    大村委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について議事を進めます。前回の委員会におきまして改正案要綱が決定されましたので、これに基き、お手元にお配りしてありまする通りに、公職選挙法の一部を改正する法律案案文を作成いたしたのであります。ただいまより、本案文について議院法制局三浦部長より、かわつて説明を願うことにいたします。三浦部長
  3. 三浦義男

    三浦法制局参事 お手元に配付してございます公職選挙法の一部を改正する法律案ごらん願いたいと思います。  (1)は目次でございますから、これは省略いたします。  (2)は、十八条に関係いたします改正でありますが、これは要綱の方の一の開票区の問題でありまして、あの要綱を法案に織り込んだにすぎないわけであります。  (3)は、二十七条の改正に関する部分でありますが、これは要綱の二の補充選挙人名簿調整等に関する期日及び期間の問題でございます。  (4)の三十三条、(5)の三十四条等の改正は、市町村が新しく設置されました場合等におきまして、それに伴つて起る選挙及び増員になりました場合の選挙規定でございます。これも要綱趣旨に応じまして整理いたしました。  それから(6)は、六十八条に関します分でございまして、これは要綱の四の無効投票に関する問題でございまして、現職者の氏名を記載した投票等を無効といたしておりまするが、それらにつきましては他の規定で読めますので、その意味において整理をするのであります。  (8)は、八十四条に関しまする問題でありまするが、これは要綱の六の繰延選挙会の問題でありまして、これに応じまして整理をいたしたわけであります。  それから(9)は、要綱の七の立候補の届出に関しまする問題でありまして、選挙期日の前日まででなければ辞退ができないという規定でございます。  以下大体要綱趣旨に応じまして法文化をいたしたものでございますから、これでごらんを願います。
  4. 河野金昇

    河野(金)委員 議事進行について発言を求めます。この間この委員会を開きまして、要綱は一応決定したのであります。これはそれに基いて条文整理をしただけでありますから、一つ一つこれを審議することをやめて、この間一応決定したけれども、また何か異議が出たり何かしておる問題がもしあるとしたならば、その分だけやつたらどうですか。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  5. 大村清一

    大村委員長 それでは、大体その方針によりまして、せつかく案文ができましたにつきましては、この条文ごらんになりまして、何か御質疑等がございましたら、この際念のために承りたいと思います。御質疑はございませんか。
  6. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 選挙法によりますと、形式犯等によつて処罰されて罰金を受けた際にあつても、公民権停止されるということになるのでありますか。公民権停止のところまで持つて行くのは、実質犯によつて情状酌量すべからざるもの、こういうものだけにとどめて、その他の形式犯や何かは過料か科料程度にしておいて、科料に処せられた場合には、公民権停止しないというようなことまでも設けなければならないと思うのですが、その点どういうことになつておりますか。
  7. 三浦義男

    三浦法制局参事 条文は二百五十二条に規定がございまするが、選挙法に関しまする違反の罪に関しまして、特に形式犯等に類しまするものは、その中で取除いてございまして、たとえば選挙期日後のあいさつ行為制限違反した場合におきまして、処罰を受けましても、そのかどでは公民権停止はしない。その他二百四十条、たとえば選挙事務所とか休憩所制限違反の罪を犯しました場合とか、あるいは二百四十二条の選挙事務所設置届出違反した場合等におきましては、公民権停止しない、こういうようになつておりますから、御趣旨の大部分のことは、現行法はさようになつておると思います。
  8. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 了解しました。
  9. 大村清一

    大村委員長 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がないようでありまするので、この際委員長案原案といたしまして、松岡松平君、竹谷源太郎君及び島上善五郎君より、それぞれ修正意見が提出されておりますので、順次その説明を願うことといたします。松岡松平君。
  10. 松岡松平

    松岡(松)委員 要綱三十八、それから本文の七十一であります。「第二百五十二条第三項中『五年間又は刑の執行猶予中の期間選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適出せず若しくはその期間』を『五年間の期間又は刑の執行猶予中の間選挙権及び被選挙権を有しない期間』に改める。」この意味は結局要綱三十八にあります通り、「刑に処せられた者の選挙権及び被選挙権停止については、裁判所は、情状により、その期間の短縮のみを宣告し得るようにすること。」今までの規定は、適用するかしないかということは裁判所の任意にまかされておつたのでありますが、この改正要旨で参りますると、非常に苛酷になるのであります。前会のときに、私ちよつとかぜで三十八度五分も熱があつたために、これを見のがしてしまいまして、まことに委員諸公に御迷惑をかけましたが、その後からだも回復いたしまして、あらためてこれを正視いたしまして、事の意外に実はびつくりいたしました。形式的な罰金刑に科せられたる者も、なおかつこの選挙権被選挙権停止を千編一律に受けるということになりますると、あまりにもこれは苛酷な規定でありまして、この際三十八の要綱を抹殺して、七十一項を抹殺して、現行通りに改めたいと主張いたしたいのであります。そういうふうに修正せられんことを求めます。
  11. 大村清一

  12. 竹谷源太郎

    竹谷委員 この原案に対する私の修正案を申し上げまして、趣旨を弁明したいと思います。  公職選挙法第百三十四条の次に、百三十四条の二として一つ条文を加えられたいのであります。それは、「第二百五十二条の規定により被選挙権を有しない者は、その期間中、選挙運動をすることができない。」これは小委員会で問題になりまして、私どもこれを主張した点で、前の要綱決定にあたつて破れた案でございますが、かくのごとく百三十四条の二として、被選挙権停止を受けた者は、その期間選挙運動を禁止するという規定を置こうとするものであります。  次に、第二百四十一条の第二号中「第百三十五条」とあるのを、「第百三十四条の二、第百三十五条」に改める。要するに、被選挙権を有しない者はその期間選挙運動を禁止するという結果、罰則の中にこれが加わるわけでございます。  次に第三といたしまして、第二百五十一条第一項、これは連座に関する規定でありますが、そのうち今まで「選挙運動を総括主宰した者が第二百二十一条」云々とありまするが、これを「出納責任者又は選挙運動を総括主宰した者が第二百二十一条」云々に改めます。と申しますのは、従来連座規定の適用せられる者は、選挙運動を総括主宰した者だけであつたのでありますが、われわれは新たに、出納責任者もまたその犯罪によつて候補者連座を引起すというふうに、出納責任者及び選挙運動総括主宰者、この双方が買収等による悪質犯によつて処罰せられました場合には、当選者当選を失うというふうにしようとするものでございます。  なおそのほかにもう一つ、この二百五十一条第一項には免責に関する但書がありましたが、この但書を全部削除する、かような案でございます。これは御説明申し上げるまでもなく、従来しばしば論議せられたことでありまするが、ただちよつとここで申し上げておきたいことは、さような免責規定を削除するということは、罪のない人を処罰し、もしくはスパイによつて、逆にスパイがその候補者のために買収したのだと称して自分が罪となり、そうして当選人当選を無効に帰せしめようというようなスパイ行為によつても、当選人当選が無効になるではないかという反対があるのでございますが、この場合はその当選人選挙運動をしたのではなくて、当選人当選を失わしめるための一つ選挙運動、逆戦法でございまして、これはその当選人当選を失わしめることによつて、他の候補者当選させようとする、そういう悪質な選挙運動でございまして、逆にその当選人反対者であるところの候補者のためにする選挙躍動であるから、その選挙運動を総括主宰する者が処罰せられまするならば、逆にスパイしようとした当選人のための運動ではなくて、その反対候補者のための選挙運動であるから、その反対候補者当選を逆に無効にせしめる、こういうことに相なりますので、免責規定がないからといつて、さようなスパイ行為によつて当選を失わしめられるというようなことはあり得ない。このことは、選挙運動総括主宰者は相当広範囲の選挙運動をやるものであるし、また相当重要なものでありまして、さような人がある人の当選を妨害するために、その人のために買収をするのだというようなことは大体あり得ませんし、かりにありましても、これは裁判において明瞭になるところでございまして、かえつて当選を失わしめようとした反対者選挙運動として、その人の逆の当選を失わしめようとする、つまり反対候補者当選を失効せしめる、こういうことになるのでありまして、これは絶対に心配ないと思います。また公職選挙法におきましては、単なる運動員買収利害誘導等処罰によりまして、当選人当選は無効になりません。選挙運動総括主宰者、それに出納責任者だけである。これらの人々は、相当広範囲な相当重要な選挙運動をするものでありまして、それらの人が買収その他の悪質犯によつて有罪となりました場合には、それを当選者責任に帰せしめることは当然でございます。個々の小さな選挙運動員買収犯による犯罪を受けた場合につきましては、連座規定は適用にならないのでございまして、従つて反対論者の主張する、そうした責任のないことについて処罰を受けるというような結果にはならないと、私は確信をいたすものでございます。  次に第二百五十二条第一項及び第三項の中に、選挙権及び被選挙権停止する事項がありますが、この中から「選挙権及び」を削りまして、被選挙権だけを失わしめる。選挙権基本的人権に属するものでございますので、投票所に行つて投票させることはあえてこの場合さしつかえない。ただ被選挙権だけは喪失せしめるべきものだと考えますので、選挙権はこれを生かす。選挙犯罪によつて、従来選挙権及び被選挙権を喪失するという規定であつたの選挙権の方は生かして投票はやらせる。しかしながら、被選挙権の方は従来通りこれを停止する、かように改めたい。これが二百五十二条第一項及び第三項の修正でございまして、この二つの項目の中の、「選挙権及び」という字句を削除する、かような案でございます。  最後に第二百五十三条第三項但書の中に「一年」とありますが、この一年を「二年」に改める。これまた当委員会においてしばしば論議せられ「一時は二年に改正をしようという結論にまで到達しようとしたのでありまして、この内容は御説明申し上げるまでもなくおわかりでありますが、逃亡しておる場合は、現在一年によつて公訴時効になるのを、もう一年延長して二箇年にこれを延長するという案でございます。  以上数項目につきまして原案に対する修正意見を提出した次第であります。
  13. 大村清一

    大村委員長 この際このままで暫時休憩いたします。     午後二時五十分休憩     —————————————     午後二時五十六分開議
  14. 大村清一

    大村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  島上善五郎君。
  15. 島上善五郎

    島上委員 私は、ただいま提案されました公職選挙法の一部を改正する法律案に対するわが党の修正案趣旨弁明をいたします。  すでに今日まで幾多の議論をかわされたところでございますが、まずその理由を簡単に申しますならば、昨年の十月行われた衆議院の総選挙において、あれほど声高らかに公明選挙が叫ばれたにもかかわらず、戦後最高の違反検挙者を出し、その中で、買収饗応利害誘導等悪質違反が八割も占めておるという事実、また悪質違反容疑者が逃亡し、あるいは違反容疑濃厚な者が今日大臣に就任し、てんとして恥じるところを知らないというような悲しむべき事実は、選挙には金がかかるものという習わしが、わが国の長い間の忌まわしい伝統のようになつていること、選挙ともなれば、金にものを言わせて投票獲得に狂奔することを半ば業とするような、町や村の選挙ブローカーが依然として幅をきかせていること、そうしてこのような者にまどわされて、自己の良心に問うことなく権利の一票を投げ捨ててそれが結局自分自分の首を絞めるものであるということを自覚しない有権者がいまだ多いこと、そうして当選するためには手段を選ばず、政策に種々共鳴する一票も買収の一票も、かわりはない、勝てば官軍、買収が一番手取り早い、こういうような不心得な候補者がいまなお多いという、この事実に起因すると言わなければならないと思います。従つて、このような宿弊を根本的に矯正するには、公明選挙啓蒙宣伝やお説教などという、尋常一様のなまやさしい手段では不可能であると言わなければならないと思います。そうだとするならば、歓迎すべきことではないにしても、かつての英国のそれのように、買収饗応など、いわゆる腐敗行為悪質違反に対しては思い切つた取締り厳罰を科する法律改正が、当面の重要な対策の一つとして考えられなければならぬと思います。昨年の総選挙後、すべての選挙関係者言論機関婦人団体等公職選挙法改正を強く要望し、その改正点が期せずして連座制徹底強化悪質違反に対する厳罰主義であるということは、けだし当然と言うべきであろうと思います。思うに、正しい選挙公明選挙とは、各政党政治団体及びこれに属する候補者が、自党の政策政見候補者人物抱負等有権者にあまねく滲透せしめ、これに対する理解と共鳴による投票を得ることが根本でなければなりません。従つて、一面においては買収饗応等のいわゆる腐敗行為に対して峻厳であるとともに、他面においては言論文書等政策政見の滲透に必要なる活動は、最大限に自由闊達に行わしむべきものであると考えます。  今次選挙法改正に対して世論の要求するところは、まさに以上の二点に要約されると言つてもよろしいかと思います。しかるに今まで十二回にわたつてなされた本委員会の討議とその結論は、遺憾ながらこの世論に対して背を向け、枝葉末節的改正のみ取上げ、重要な点である選挙期間中の政党及び政治団体活動は大きく改悪され、及び連座規定強化免責規定の廃止などはほんの言いのがれ的改正にとどまり、たな上げにされている状態である。この本委員会の論議に対して、商業新聞はことごとく強い非難を浴びせており、また全国選挙管理委員大会において、あるいは婦人団体労働団体等において強い要求、要望が決議されて当委員会に陳情されていることは、委員各位の熟知せられるところであります。わが党は、このようにして、世論に反し、国民の意思にそむいた改正、むしろ改悪言つた方がよいかと思いますが、この案に対してはなはだ遺憾であるとし、次のような修正案を提案するものであります。  わが党の修正しようとする第一点は、法律第二百一条の五、政党その他の政治団体選挙期間中における政治活動規制の項であります。この項は最も議論のあつたところでございますが、結局は自由党、改進党、右派社会党、無所属の各委員賛成によつて現行法規規制をさらに強化し、小会派及び労働組合農民組合、その他中小企業団体や、婦人団体等がことごとく選挙期間中の政治活動から締め出されてしまう、恐るべき改悪が行われるのであります。政党政治団体民主主義を尊重するものである限りは、選挙による勝利を重視することは当然であつて従つて選挙時における政党及び政治団体活動、なかんずく政策政見を滲透させるための表に現われた活動最大限に自由に行わしむべきものであつて、これに制限を加えること自体がすでに問題なのであります。もしかりに百歩を譲つてまつたくの野放しで弊害があるから、若干の規制を加える必要があるといたしましても、当然これは大政党も、小政党も、政治団体も、同様に扱わるべきものであつて、これに差別を加えるということは断じて許さるべきことではないと思います。しかるに、この改正案によれば、たとえば有資格政党政治団体候補者数参議院議員選挙の場合十名以上と限定している。もし衆議院選挙の場合の四百六十六名対二百五十名と比例するならば、七人弱となるのでありますから、わが党はこの項は当然七人と改むべきものと考えるのであります。  第二点は、候補者所属政党及び政治団体を一団体に限定した点である。これは現行法、つまり重複を認めている現行法通り改正していただきたい。これは昨年の選挙において何ら弊害を認めていないので、私どもはこの点は現行法通りとして、改正案のこの一団体に限定する方を削除することを要求したいと思います。  次に、わが党の修正点は、悪質選挙違反に対する罰則並びに連座制強化、すなわち法第二百五十二条に、選挙権及び被選挙権停止された者は、その期間選挙運動をも禁止することを、つけ加えるのであります。  その次は、罪の時効に関してでございますが、罪の時効は、犯人が逃亡したときに限り現行一年を二年に改めること。この二年については、小委員会において一応の妥結を見たものであつて、その後一部の自由党人々によつてひつくり返されたものであります。  その次は、連座制に関する事項中の法第二百五十一条後段の但書の、いわゆる免責規定を廃止することであります。現在の免責規定は、当選人選挙事務長出納責任者、もしくは事実上選挙運動を総括主宰した者の選任及び監督につき相当の注意をしたとき、もしくは選挙運動を総括主宰した者であることを知らなかつたとき、これはこの限りでないというようになつておりまして、この免責規定があることのために、連座規定は事実上死文化しているのでありますから、この連座規定を全的に削除することを私どもは要求します。  第四の点は、運動員買収饗応違反に問われて刑に処せられた場合、その場合でもその買収饗応に支出された金が、出納責任者もしくは当選人から出されていることが明らかである場合には、これは総括主宰者及び出納責任者は、事実上の総括主宰者の場合と同様に、連座規定強化していただきたいと存じます。  文書についてはただいま配付いたしましたので、どこの条のどこに入れるかということについては、その文書についてごらんを願いたいと存じますが、要するに私ども修正点は、政党及び政治団体言論文書活動は大いに自由闊達に認むべきものである。そうして政策政見に対する支持による清い投票によつて当選するようにすべきものである。買収饗応等悪質違反はこれを厳罰に処するということは、決して歓迎すべきことではございませんけれども、今日の日本の選挙界実情からいたしますならば、そのようにしなければ腐敗行為悪質違反を絶滅することは困難であると考えますゆえに、以上の修正を提案した次第であります。  何とぞ良識ある皆さんの全的な賛成をお願い申し上げる次第であります。
  16. 大村清一

    大村委員長 綱島正興君及び濱田幸雄君から、さらに修正意見の提出がありますが、順次その説明を願うことにいたします。綱島正興君。
  17. 綱島正興

    綱島委員 私の修正意見は、現行選挙法第百六十四条の八、この条項のうちに「選挙運動に従事する者」という下に、「(運転手、助手その他労務を提供する者を含む。)」となつておりますが、「労務を提供する者」の中にさらにまた括弧をいたしまして、「(船員を除く。)を含む。)」と、こういうふうにそこへ挿入していただきたいのであります。そういう修正意見であります。それはもうわかつていましよう。(「わかつている。説明はいらぬ」「運転手はどうだ」と呼ぶ者あり)運転手はそのまま、船員だけをはずす……。     〔「わかつた、わかつた」と呼ぶ者あり〕
  18. 大村清一

  19. 濱田幸雄

    濱田委員 これは私一個の意見でございますが、前会にもちよつと意見を申し上げましたことがありすが、重ねてきよう発言いたします。戸別訪問でございますが、現在百三十八条によつて禁止しておる。そうして二百三十九条の三号、四号によつて、これに対する罰則を設けておるのですが、本来この選挙につきましては、候補者人物とか識見、これに対して有権者十分批判を加えて、そして公正な判断を下すというのが選挙の姿であることは申すまでもないと思うのです。ところが、これまでいわゆる戸別訪問として禁止をし、これを取締つております実情は、私の経験をいたしました結果によつて考える点でございますが、非常に純真な気持で、部落内で選挙運動に直接関係してないような第三者的な立場におる者が、隣近所お互いが寄り合つて話合うことすら、今事実戸別訪問としてこれを禁止し、これに対して罰則を適用しておるのです。これは私ども今までのお互いの観念から言えば当然のことのように思いながら、実際の姿から申しますと行き過ぎではないだろうか。かえつてほんとうの公明な選挙をやるには、こういうものはもう少しお互いが考えてみる余地がある点でないだろうか、というような気持を持つておるのです。そういう趣旨で、これについていろいろ具体的な例をここで申すのは避けますが、現実に何の買収もしない、またそういう気持も持つていない、純真な気持で、ある候補者お互いが援助し、これに協力しようというような行動をとつておる者を、この百三十八条の違反といたしまして罰金をかけ、また選挙期間中に、そういう者に対してかなりの行動上の拘束を加えておるのです。もちろん戸別訪問ということと裏表になるような気持で従来言われております買収饗応というようなものは、これは徹底的に摘発し、検挙し、またこれを押えなければなりませんが、しかし、今申しますような意味での行動までこれを抑制するということはどうか、というような気持を私は持つております。そういう意味で、いろいろ委員各位の御意見もあるとは思いますが、自分の信念として百三十八条の削除、そうして二百三十九条の三号、四号の罰則規定選挙法のうちから削除するということを考慮してみてはどうかと思うのです。一応説明申し上げます。
  20. 大村清一

    大村委員長 この際、中間でありますが申し上げます。この説明は省略したのでありますが、附則につきましては、本法を修正しました関係上、その施行についてこまかい点に配慮をして規定が設けられておりますが、これは法の施行について大分重要な関係がございますので、あるいはこの際簡単に説明をしておいた方がいいのではないか。それは審議に今まで上らなかつた点でありますから、そのように委員長は考えますが、五分間くらいで説明ができると思いますから、この際御聴取を願います。三浦君。
  21. 三浦義男

    三浦法制局参事 三十一ページの附則をごらん願います。附則の一項は、「この法律は、昭和二十八年六月一日から施行する。但し、参議院議員の選挙に関しては、次の通常選挙から、衆議院議員の選挙に関しては、同日前に総選挙の公示がなされたときは、当該総選挙から施行する。」いろいろな準備の都合がありますから、法の建前といたしまして、原則として六月一日から施行いたしますが、参議院議員につきましてはその後の通常選挙から、衆議院議員の選挙に関しましては、六月一日前に総選挙公示がかりにあるとすれば、そのときから施行できるという建前にしてあるわけです。  二項は、「衆議院議員の再選挙及び補欠選挙並びに地方公共団体の議会の議員、長及び教育委員会委員選挙で、昭和二十八年六月一日現在既に従前の公職選挙法規定によりその選挙期日を告示してある選挙に関しては、なお従前の例による。」これは経過規定として、一般的にこういう規定を置いているわけでございます。  三項、「従前の公職選挙法規定により行われた選挙に関してした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。」罰則につきましては、旧法によつて行われた選挙については、もちろん旧法が適用されるということを明らかにいたしました。  四項、「従前の公職選挙法規定により行われた選挙に関する異議の申立、訴願及び訴訟については、なお従前の例による。」これは現在係属中のもの、それから、そうでなくて新たに起つて来るものにつきましても、従前の選挙法規定に基いて行われたものは、すべて従前の例によるという経過措置でございます。  五項は、「国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を次のように改正する。」これは公職選挙法選挙運動のところを改正いたしました関係で、一、二、直さなければならぬところがありますので、かような措置をするわけでございますが、第九条の三に、「候補者が使用する個人演説会の告知のためのポスターの経費の額は、候補者一人について衆議院議員の選挙においては一万一千円とし、参議院地方選出議員の選挙においては四千四百円とする。」これは個人演説会の告知用のポスターを、衆議院議員の選挙に関しましては三千枚もふやしました関係で、一万一千円に引き上げたわけであります。参議院地方選出議員は従来通りでありますので、四千四百円ということにしてあるわけでございます。  次の十九条中の条文改正は、開票区改正に伴う措置でございます。
  22. 大村清一

    大村委員長 それではただいまより各修正意見及び委員長案を一括して討論に付します。松岡松平君。
  23. 松岡松平

    松岡(松)委員 ただいま竹谷氏から提出されております修正案に対して、まず私は意見を表明いたします。  結局第一は、被選挙権を持つていない者の選挙運動の禁止に関するもの、そういうことになると思うのです。これは前回の委員会でも私主張した通りでありまして、選挙違反によつて刑に処せられ、なおその上に選挙権被選挙権を奪われたる者に対して、その期間中さらに選挙運動を禁止するということは、あまりにもその人の社会的、経済的諸活動までをも制圧するものでありまして、苛酷に過ぎるものであります。選挙違反を全滅するために厳重なる刑罰を加えなければならないということを御主張になつておりますが、これは私少しく古い考えであると思うのであります。重い刑罰を加えたからといつて、必ずしも選挙違反を絶滅し得るものではございません。要は、かかる選挙違反を犯す者をして自覚反省せしめればよろしいのであります。しからば選挙権被選挙権という重大なる公民権を剥奪せられたることによつて十分自覚反省を促し得るものに、さらに加うるにその選挙運動を剥奪するということは、ひつきようするところ、その人の社会的活動をも制圧することになりまして、生存の自由をはばむこと著しいものがあるのであります。刑罰といたしましては苛酷に過ぐるものであつて、これは賛成いたしかねるのであります。  次に第二点でありますが、第二点は小委員会でも問題になりました点でありまして、事務長制度をとらないで、その上にさらに免責規定を削除せいという御主張でございます。元来現在の総括主宰者という規定は非常に危険な規定でありまして、いやしくも総括主宰者というもののなしたる行為について候補者法律上の責任を負わせられるについては、この総括主宰者出納責任者同様に届出制度にするのが当然であります。それを、現行法におきましては、届出制をとらずして、事案認定に基いたということは、まことに危険な規定であります。またこれは迷惑な規定でありまして、候補者にとりましてはまことに妥当性を欠くものであるから、これは届出制をとつて、さらに免責規定の削除につきましては、これは連座制全体の問題として引続いて大いに審議しようということになつて、現在の原案ができたのでありまして、必ずしもこの連座制度に対する全面的な意見を反映したものではありません。  要は、原案は、現在の法規に照し、なおかつ現在の審議の過程におけるものを整理したものであつて連座制に対する根本的な存否並びにこの強化についての審議は、引続きこの委員会において行うという小委員会の打合せでありまして、修正案はその趣旨を無視せられたものであつて、私どもはこれに引続いて、連座制の問題は根本的に審議すべきであるという考えを持つているのであります。これは小委員会ですでに話合いによつて異論がなかつたところでありまして、今またこれをむし返されるということは、はなはだ小委員会のときに何回か繰返された話合いの趣旨に沿わないのでありまして、従つて、ただいま連座制に対する根本的な意見は差控えたいと思います。しかしながら、この修正案には賛同しがたいのであります。  続いて島上委員から提案されております修正案のうち、竹谷氏と同様の点は、先ほど述べました通りでありまして、そのうち員数の減少、十人を七人にするという御主張でありますが、これは小委員会においてもしばしば論議を尽されたところでありまして、十人が正当と考えまして、七人は賛成いたしかねると思います。  以上、要するに原案は慎重審議せられまして、現在の段階においてまことに正しいものであり、修正案には賛同しがたいと思います。
  24. 大村清一

  25. 河野金昇

    河野(金)委員 この特別委員会ができましてから、小委員会並びに本委員会を通じて慎重審議をして参つたのであります。各党とも一昨々日きまりましたところのこの改正要綱に対しては、立場が違い、あるいは同じ党の中においてもいろいろ議論もありましたけれども、現段階においては、不満ではあるけれども、この程度よりしようがないのではなかろうかというような結論のもとに、要綱案が生れたのであります。私たち改進党は、すでに一昨日両院議員総会を開きまして、先回決定をいたしましたこの要綱案なるものを委員会の決定として報告をして、不満の面もありましたけれども、了承を得たのであります。本日、もはや私は、この選挙法改正に関する委員会というものは行われないであろうと思つておりましたところ、本日突如としてこの委員会が開かれて、先ほど来自由党松岡君、あるいは綱島君、あるいは濱田君、あるいは社会党の右派の竹中君、左派の島上君等から、それぞれ修正意見が出ておるのであります。それは各党の立場をこの際表明する意味においては意義はあろうけれども、今までの申合せ事項とそれぞれ、違つておることと思うのであります。従つて私は、本日述べられましたところの各党の修正案に全部反対をいたしまして、小委員会でまとめ上げましたところの原案賛成するものであります。
  26. 松岡松平

    松岡(松)委員 先ほどの意見に引続きましてちよつと補充いたしますが、前会に私ども修正案を出しております。つまり(71)を削除し、(42)の一条を加えていただく綱島委員からの修正案、これを総括いたしますと、こういうことになるのであります。  (42)を(43)とし、以下(70)まで順次一項ずつ繰り下げ、(41)の次に(42)として次のように加える。  (42)第百六十四条の八第一項中「労務を提供する者」の下に「(船員を除く。」)を加える。  (71)を削る。
  27. 大村清一

    大村委員長 三輪壽壯君。
  28. 三輪壽壯

    ○三輪委員 私は竹谷委員修正案賛成いたしまして、これに反する原案には反対いたしますが、その他の点については原案賛成意見を述べる次第であります。  本委員会で小委員会の討議を重ねて作成されました改正要綱につきましては、いろいろ不満の点がありますが、しかし、各委員が各党それぞれの立場から意見を持ち寄つて作成されたものでございますから、この際こまかいことにいろいろ異議を申し上げることは差控えるべきものであると考えるのでございます。ただ、選挙費用の点で、法定選挙費用の基準になりまする額が増額されましたことと、あるいは実費弁償の額がふえ、また労務者に対する報酬の額が増額された、こういう点につきましては、私といたしましては、現在の選挙費用の基準額で十分まかなえるものではないかと思うのであります。これは、やり方により、数額が非常に少きに失して、事実上はこれでやつて行くとみな違反をすることになるのではないかというような見解がありますけれども、しかし私は、選挙運動に関しては、ともかくもできるだけその選挙費用を使わないようにしなければならない、少く済むようにしなければならないという立場から申しますると、この範囲でまかなつて行くように努めなければならぬし、またそれができるのじやなかろうかと思うのであります。しかしこれにいたしましても、ただいま申しますように、一応各党で話がまとまつたのでありますから、私はこれに対して賛成の意を表するにやぶさかではないのであります。  ただ問題になりますのは、先ほど竹谷委員から、また島上委員からも特に主張されましたところの連座制の問題でございます。この連座の問題につきましては、委員のうちから、連座というものは罪なき者を罪にするのである、こういう封建的な規定を設くべきものではないという、強い反対意見があつたのでございますけれども、しかし、これは罪のない人を罪に陥れる、こういうものではなくして、選挙運動という、候補者を中心として集団行為をいたしておりまする中に、その中心になつておりまする総括主宰者であるとか、あるいは出納責任者であるとかが違反行為を犯しましたような場合においては、その集団行為そのものが間違つておるのである。そういう腐敗不正の行為をなす選挙運動の集団の行為というものに対しては、これをこのままに認めることはできない。これは、かような選挙運動をいたしました者に対して、その中心となりましたところの候補者当選を無効にしなければならない。こういう意味におきまして、当選者にその当選の効力を認めないということになるだけでありまするからして、いわゆる刑事責任を不当に拡大するというものでは断じてないのでございます。この選挙運動をいたします者は、あくまでこの選挙法規定を守りまして、そして公明なる選挙を達成するということに努力をして行かなければならない。なかんづくその中心になるものは、そういう責任を負うべきものである、こう私は考えるのでありまして、さような意味で、この中心となつたものの行為に対して、当選者責任を及ぼして行くということは、何ら不当なことではないと思うのであります。ことに選挙を粛正して行こう、公明な選挙を行つて行こうという場合におきましては、どうしてもこういう点についてきびしい規定を設けなければ、今までのようなやり方をもつていたしましては、とうていりつぱな選挙が全般的に行われて行くことには持つて行けないと思うのでありまして先ほどの御意見もありましたように、今度の総選挙の後において、あらゆる方面から、この連座規定強化することによつて公明選挙の実をあげて行けというような要望が起つております際に、この改正案原案にありますような程度の連座規定改正をいたすということは、かえつて世の中を欺いて、何か連座規定についてこれを幾らかいじつてお茶を濁しておるというようなことになりまして、本委員会といたしましては、この連座規定に手を染めて、このくらいの改正しか行い得ないということは、これは大きな対外的な責任になるのではないか。先ほど松岡委員も言われましたように、そして本委員会においてしばしば問題になつておりますように、この連座規定は他の根本的な問題とともに、一応この改正案が成立いたしました後においても、十分討議しようということにはなつておるのでございますけれども、しかし、少くともこれに手をつけました以上は、徹底的に問題を究明してかからなければならないと思うのでありまして、そういう点からいたしますと、もしこの免責規定にこういう規定を設けたならば、スパイ的な行為によつてその選挙陣営がかき乱されるようなことはない、当選者が迷惑をするようなことはないという御主張がありますならば、それを出していただきたかつたのでありますが、それが出ない以上におきましては、この免責規定規定いたしました但書は全部削除するのが至当であると思うのであります。この削除をいたすことによりまして当選者が特別の迷惑をすることは何もないと私は思うのであります。先ほど竹谷君の申しましたような、スパイ的な行為をいたしましてだき落しをするようなものは、この条項には該当しないと思うのでございます。また、かような点につきましては、裁判によりまして十分審理を尽すことによつて、その弊害を除去することができると思うのでありましてともかくもこの点については厳格に、総括主宰者あるいは出納責任者買収行為と不正行為をいたしましたものについてはその当選を認めない、こういうことで徹底して行くことにより、その選挙に携わります者がみずから反省し、こういうことは絶対にやらない、またやつてはいけないというて、その選挙運動をいたします集団に対して十二分の注意を払つて行くということで、選挙運動のがんとなつておりますところの買収というものは防止できるのではないか、かように考えるのであります。たとえば出納責任者の選任の問題にいたしましても、最も重要な関係に立ちます出納責任者につきましては、自分の信頼できる人を選任すればいいのでございまして腐敗行為を起すようなおそれのあるような人はそれに置かない。総括主宰者をきめます場合におきましてもまた同様でございまして、自分の当落の運命をかけるような重要なるかぎを握つておりまする人に対しては、万全の注意を払いまして選任をすることによつて、私はこの起り得るところの弊害を避けることができると思うのでございます。かような点で、この連座規定というものはぜひ強化してもらわなければならないという意味におきまして、やがてこの問題については討議の機会があるとは言いながら、かような案が提出されました以上におきましては、私どもはそれに対する正しい意見を述べまして、この改正案に対する反対をせざるを得ない次第でございます。  それから被選挙権停止されました者の選挙運動の禁止の問題につきましては、これに対してただいま綱島委員から反対意見がありましたけれども選挙犯罪によつて処罰されまして、そして被選挙権停止されることになりました人に対しまして、選挙運動をやらせないようにすることは何ら不当でない。この違反者の中には、すべてがそうであるとは言えませんけれども、大体においていわゆる選挙違反の常習者などがあるのでございまするから、そういう人に対しては、私は、それを選挙運動に参加させないことによつて選挙界を粛正することが、最も適切ではなかろうかと思うのであります。かような意味で、選挙権被選挙権を双方停止するということではなくして、選挙権は基本的な人権としましてこれをあくまで持たしめることにいたしまして、被選挙権停止し、そうして選挙運動を行わせないようにすべきものであろうと思うのであります。  なお逃亡いたしました者の時効期間の一年を二年に延長するということも、これも小委員会においていろいろ議論があつたところであると思いますが、かような人に対しましては、その制裁を重からしめるという意味におきまして、一年を二年にして徹底的にこれを追究して行く必要がある、かように考えるのでございます。  以上の意見を申し述べまして、竹谷君の修正案賛成をいたす次第でございます。なお綱島委員からの修正点につきましては賛成いたし、濱田委員修正意見に対しましては反対いたします。
  29. 大村清一

    大村委員長 森三樹二君。
  30. 森三樹二

    ○森(三)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、先ほど島上委員から提案理由を説明いたしましたわが党の修正意見賛成し、それと抵触しない改正案そのものには賛成したいと思います。  私どもは長い間、各委員諸君とともに今日まで改正案を審議して参つたのでありますが、お互いのいろいろな意見がありました。しこうしていずれも、いかにすれば公明選挙が行われるか、りつぱな選挙が行われるかということについて、いろいろ意見が出たのでありますが、皆さんの意見お互いに尊重しながら、できるだけ皆さんと歩調を合せて参つたつもりであります。しかしながら、先ほど島上委員から修正案を述べましたこの点については、遺憾ながら改正案反対せざるを得ない次第でありまして、私は先ほど島上委員から説明されましたように、わが党の提出いたしました修正案を、ぜひひとつ皆さんに御了解を得たいと思うのであります。  第一に連座規定であります。この点は、先ほど島上委員からもるる説明せられ、また竹谷委員、三輪委員からもただいま主張されたのでありますが、今回の修正案の点につきましてわれわれが非常に力を尽しましたのは、昨年秋行われました総選挙において、出納責任者であるとかあるいは総括主宰者であるとか、そうした選挙運動の非常に重要なポストにあつた者が、選挙が済んでその違反を追究されますと、いずれかへ逃亡してしまつた。警察官が非常に苦心さんたんをしてそのありかを探しましても、いまだに逮捕することのできない者が事実相当数に上つているという状態であります。そこで、わが党といたしましては、単に総括主宰した者であるばかりでなく、出納責任者、なおかつ当該選挙運動に従事した者の買収あるいは饗応というような、そうした犯罪に対しましては、だれが総括主宰者であるか、だれがあるいは出納責任者であるか、だれが選挙運動者であるかというそうした関係につきましては、実際上これを判定するに非常に困難な場合があります。甲の者がたとえば総括主宰者であるのか、あるいは出納責任者であるのか、あるいはまたそうでないのかということの判定が非常に困難であります。表面上は甲という者を出納責任者として届け出ておる。しかるに、実際内面においては、その金銭を扱つている者は乙であるとか丙であるとかいつて伏せられておる場合がしばしばあるのであります。従つて、表面上の出納責任者あるいは総括主宰者として届け出られてある者と、実際上やつておる者とが非常に食い違つておる。そこに一つ選挙運動につきましての盲点があると私は思うのであります。法に規定されたところの責任をのがれるために、ロボットを使いまして、出納責任者あるいは総括主宰者にするという場合もしばしばあるのでありますから、私どもといたしましては、やはり候補者責任感をどうしても追究するために、また選挙の公明を期するために、総括主宰者のほかに、出納責任者はもちろんのこと、それ以外の隠された、秘められたところの選挙運動に従事した者も、それらの違反があつた場合には、やはりこの連座規定を適用することが正しいという信念をもつて、わが党からの修正案を提出した次第であります。  それから、政治団体運動でありますが、政治団体運動につきましては、これは島上委員からもるる説明がございました。われわれといたしましては、やはり政党政治団体というものは表裏不可分の関係もありまして、政党はもちろん選挙運動をすることは当然であり、また政治団体も、選挙の公明というその理想を達するために選挙運動をすることは、これはもう制限できないものである。そこで、先ほどの十人の候補者を推薦した団体にするか、あるいは七名の団体にするかということでありますが、私はやはり、数の多少にかかわらず、理想といたしましては、少数でありましても、その少数の候補者を推薦した政治団体に対しては、政治運動選挙運動を認めてやるのが当然であると思うのであります。しかしながら、一定の限界も考慮しなければならぬので、わが党といたしましては、七人以上の推薦を有するところの政治団体というところに、一つの限界を認めまして、そうして政治団体選挙運動を認めたい、かように考えておる次第であります。  それから次に、選挙権被選挙権停止の問題でありますが。この停止された者の選挙運動を禁止しなければならぬというのは、この点は皆さんも非常に強調されておりましたが、これは、いやしくも自分選挙違反にかかつてつて、そして謹慎することもなく、人の前に出て堂々と選挙演説をする、運動を活発にやるというようなことは、自己の責任というものを認めないことである。自分が誤つてそうした罪を犯しておつて、しかもなおかつ選挙運動を公然とやるというようなことは、これは選挙の粛正に大きな障害を来すものであると思いますから、これをぜひとも禁止しなければならない、かように考えるのであります。また、犯人が逃亡いたしましたときに、現行制度といたしましては一年でありますけれども、これも今逃亡者の例を見ますと、相当長い間逃亡いたしまして、時効を援用しようというようなことも相当見受けられるのでありまして、やはり私は、一年では非常に短か過ぎると思う。従いまして、これも二箇年にぜひしていただきたい、かように考えておる次第であります。  以上要点を申し上げまして、わが党の修正案賛成し、それと抵触しない改正案に対して賛成意見を表明するものであります。
  31. 大村清一

  32. 只野直三郎

    ○只野委員 私は、同友会を代表いたしまして、公職選挙法の一部を改正する法律案原案賛成をいたし、修正案反対をいたします。  修正案連座規定に関する免責規定を削除せよという考え方に対して、私は反対です。それは、私は大体連座制そのものに反対です。連座制になぜ反対するかというと、やはり刑法の適用される部面を、何ら罪のない者にまで及ぼすというこの連座制の精神は、これは基本的人権を侵害する思想である。但し、選挙は結局は公益性のあるものであるから、候補者と重要な人物とはもはや一体をなすので、一応の連座を認めてもよろしい。但し、候補者が全然選挙違反をする意思もなく、また重要な責任者に対してそういうことをしてはならぬということを言つておるにかかわらず、それがなされた場合に、それが連座して当選無効になるということであるとするならば、これは被選挙権に対する驚くべき侵害であります。世論の一部あるいはその他報道陣等においては、連座制強化をしなかつたならばいかぬということを言つておりますけれども、これは選挙法の根本の精神に対する認識が欠けておるのではないか。やはり連座制というものが根本的にはこれはいけない制度であるということの理解が足りないのである。徳川時代の封建制度においては、刑罰としての連座制強化しておつた。ただ選挙なるがゆえに一応の連座を認めるけれども免責規定をある程度認めておいて、まつたく善良なる候補者を保護するということも、これはりつぱな法の精神である。角をためて牛を殺すようなことをしてはならぬと思います。そういう意味において、連座規定そのものにほんとうは反対なんだけれども選挙の公益性から考えてある程度の連座を私は認め、そして善良なる候補者を守るために、相当の免責規定を用意することが大事だと思います。それで、選挙の粛正ということが、連座によつてなされるということを言いますけれども、そういう苛酷な方式によらずして、たとえば検察当局がもう少し活発な検挙を行うとか、あるいは候補者選挙民がまじめに政治を考えたならば、必ずしも法規を強化しなくも選挙が粛正されて行くと思います。現に今日当選して来ておる代議士諸君の大部分は、悪質違反をした人ではないと私は思います。私どもの知つている範囲においても、買収行為をやつた候補者の大半はみじめな落選をしております。選挙民はそこまで自覚をしております。そういう意味において、私は、社会党の両君の連座に関する修正意見に対しては、反対せざるを得ないのであります。その他に関しましては前の方々と同意見でございますから、省略をいたします。
  33. 大村清一

    大村委員長 これにて討論は終局いたしました。  お諮りいたします。濱田幸雄君から発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 大村清一

    大村委員長 御異議がなければ発言を許可いたします。濱田幸雄君。
  35. 濱田幸雄

    濱田委員 先ほど戸別訪問に関連して現行法修正案を提案いたしたのでありますが、その際にも申し上げました通り、この提案は必ずしも自由党を代表しての提案でありませんでした。個人の所信であります。この点につきましても考えはちつともかわつていませんが、討論後各提案に対する採決をいたしますにあたりまして、私の提案に対して、あらためてこの際に採決をしていただくのは必ずしも適当でないと思いますので、私の今の提案は撤回をいたしますから、御了承願いたいと思います。
  36. 大村清一

    大村委員長 お諮りいたします。ただいま濱田幸雄君から修正案を撤回いたしたいという申出がありましたが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 大村清一

    大村委員長 それでは撤回を許可することにいたします。  これより採決に入ります。採決の順序はまず修正意見を順次採決いたし、次に原案すなわち委員長案を採決いたします。なお竹谷君の修正案と島上君の修正案中には共通部分がありますので、まずこれについて採決いたします。共通部分は「新(73)の次に(74)として次のように加える。(74第二百五十三条第三項但書中『一年』を『二年』に改める。」こういう点であります。  まず竹谷君の修正案及び島上君の修正案について右の共通部分について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕     —————————————
  38. 大村清一

    大村委員長 起立少数。よつて共通部分は否決されました。  次に、ただいま否決されました竹谷君の修正案との共通部分を除いた島上善五郎君提出の修正案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕     —————————————
  39. 大村清一

    大村委員長 起立少数。よつて島上善五郎君提出の修正案は否決されました。  次に、竹谷君の修正案について、さきに否決されました箇所を除く他の部分について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕     —————————————
  40. 大村清一

    大村委員長 起立少数。よつて竹谷源太郎君提出の修正案は否決されました。  次に、綱島正興君の修正意見について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕     —————————————
  41. 大村清一

    大村委員長 起立多数。よつて綱島君の修正意見は決定いたしました。  次に、松岡松平君の修正意見について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕     —————————————
  42. 大村清一

    大村委員長 起立多数。よつて修正意見は決定いたしました。  次に、ただいま決定いたしました修正部分を除く委員長案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕     —————————————
  43. 大村清一

    大村委員長 起立多数。よつて委員長案は、松岡松平君及び綱島正興君の修正意見通り修正議決の上、当委員会の成案と決しました。なお、本成案の字句の整理委員長に御一任を願つておきます。  次に、本案の提出方法について採決いたします。  本案を当委員会提出の法律案として議院に提出するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕     —————————————
  44. 大村清一

    大村委員長 起立総員。よつて本案は、当委員会提出の法律案として議院に提出することに決しました。  なおお諮りいたします。当委員会の本案の起草提出に関する報告につきましては、従前の例によりましてこれを議長に提出するこことし、その作成につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  45. 大村清一

    大村委員長 御異議ないようでありますから、そのように決します。  次会の開会日時は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五分散会