○
中峠委員 これは私
個人の
見解でございまして、別にどうということはございませんが、
フリー・
トーキングでございますから、私の
意見を申し上げさせていただきます。
この
選挙法の
改正でございますが、これは初めからもずいぶん御
意見がありましたようでしたし、毎回々々
選挙の
たびごとに
選挙法が
改正されまして、実際
選挙をやる人もはなはだ迷うのではないかと思
つております。私は、
選挙法というものをいくら
改正いたしましても、
完全無欠のものはできないのじやないかと思
つております。
選挙法をいくら
改正してもだめでありまして、結局現在の
選挙法でも、極端に申しますならば、
改正しなくても、このままでも
りつぱな公明選挙ができるのではないかということを信じておりますし、
候補者の心がけ次第でこれはできると思
つております。しかし、この前のときにも、どなたか、この
選挙法は絶対に実行不可能であるということを申されましたが、なるほど金額の面におきまして、
法定選挙費用の面から申しますと、いかにもこれは実行不可能のようでございます。私
自身は別でございますけれども、あのときの御
発言にありましたように、この
法律は初めから実行不可能であることを知りつつも、この
法律を通したのであるという御
意見があ
つたようでございますが、もしそうだとしますならば、これは非常に不愉快なことだと思います。何となれば、
法律をつくる者は
国会議員であり、そうしてまた立候補する人も大体
国会議員になろうとする人でありますから、
国会議員はみずから進んで
法律を守るべき人でなければならないと思
つております。そうすれば、
法律をみずからおつくりになる
国会議員の
皆様が、案行不可能の
法律をつく
つて、どうせこれは初めから実行不可能であるから、実行しなくてもさしつかえない、せんじ詰めれば、
選挙違反をしてもさしつかえないというような御
意見で、この
法律をつくられたとすれば、も
つてのほかであると思
つております。もし実行不可能であるということが、そのとき十分わか
つておりますならば、その実行不可能の点を案行不可能な線にまで持
つて行くべきが、私は
国会議員の
務めではないかと
考えております。
従つて、もし実行不可能にいたしましても、そういう
法律ができました以上は、
国会議員の
候補者たるべき者は、厳正にこれを実行して行くのが、私は
国民の代表たるべき者の
務めではないか、このように
考えております。これは
日本にも、あるいは西洋にもあ
つたことでございますけれども、牢屋につながれておりまして、逃げれば逃げられるべき状態にありながら、人がそれを勧めてくれましても、
自分は法を犯してまで命は惜しくない、
法律を犯すよりも、
むしろ死を選ぶと
言つて、死んで行かれた方も大分あると私は聞いております。そのように、法というものは厳正なものでございますから、それを十分守ることによ
つて、社会の秩序が保たれて行くのではないかと私は
考えております。そういう点におきまして、現在の
選挙法そのものが実行不可能であるということは、私はちよつと言い過ぎではないかというように感じております。
それはそれといたしまして、今後金のかからない
選挙ということが非常に大切だということは、この前の
フリー・
トーキングのときにもお話がありましたが、これはたいへんけつこうなことでございます。私は、金のかからない
選挙でなければならないということを
考え始めまして、
昭和二十二年から六年間これを叫び続けて参りました。金のかからない
選挙でなければ、きれいな政治は絶対にできないというのが私の信念でございましたし、また、この金のかからない
選挙を実現さすことが、私の一生の
仕事であるように
考えてとりかか
つて参りましたが、幸いに
有権者の
皆様方の絶大な御
理解によりまして、実を結ばせていただいたのであります。
選挙費用が
法定選挙費用でできないとおつしやる方もございますけれども、私は千円足らず、四百五十五円で大体やらしていただいたのでございます。これは
皆さんに、こういう
選挙をおやりなさいということを宣伝するのではなく、またいろいろな情勢から
考えまして、現在の
法定選挙費用は安きに失するので、私はこれを五倍から十倍くらいにまで上げてもいいのではないかと
考えております。しかしそれはそれだけ使うという
意味ではなしに、
皆様方のためにそれぐらいが必要ではないかと
考えておるのであります。
選挙費用の面におきまして実行不可能ということのないように、十分な
費用を
皆様方がきめられることが必要であると思
つております。
それから金のある人と金のない人と、同じような
選挙がや
つてほしいというような
発言もこの間ございましたけれども、これもごもつともでございますし、そういう
方向に持
つて行かなければならないでございましようが、これもいろいろな面でなかなかむずかしいところもあろうと存じます。それにつきまして私の
一つの
試案といたしまして、これも実行不可能ではございましようけれども、たとえば金のかからない
選挙、そして金持とそうでない人と同等の
選挙をやるということになりますれば、これは
公営でやる、そうして立会い
演説が非常にいいということを申された方もございましたが、その
通りでありまして、立会い
演説の回数を非常に多くし、一日に少くとも十回以上やりまして、小さい村村までにこれを波及いたしまして、
候補者はもう
街頭演説とか
個人演説会とかいうものを一切なしにいたしまして、すべて立会い
演説一本やりにしまして、また国家の
費用で
自動車も三台か五台くらい
一つのグループに当てはめまして、次から次と
候補者を送り届けるようにいたしまして、それ以外の
選挙運動は一切なしにいたしますれば、これが一番きれいな
選挙ではないかと
考えております。これは理想でありまして、実行は不可能でありましよう。
それから
無料郵便はがきですが、三万枚とか一万枚とか、これは少いという御
意見でございますけれども、これに対しましても、私は
無料郵便はがきは、人が出せば
自分も出さねばならぬということになります。また三十五万から四十万くらいあります
選挙区の
有権者の
皆様方に、一万枚や三万枚の
はがきを出したところで、ほとんど何の役にも立たないのではないかと思います。
従つてこういうものを一切やめにいたしましても、
選挙公報というものがございますので、これは今千五百字にな
つておりますけれども、これを少くとも三千字か五千字くらいにいたしまして、
候補者の
意見をこれに十分盛り込んで、これを各家庭に必ず一枚ずつ配達する。それによ
つて候補者の政見なり抱負なりが十分読みとれるのでありますから、私は一番公平ではないかと思います。わずか三万枚や五万枚の
はがきを配りましても、三十五万から四十万の
有権者の
皆様方の何分の一にも当りませんので、これは
皆さんに行き渡ることはないのでございますし、
従つて公報を唯一の手がかりとすれば、そこに何ら不公平のない
選挙ができるのではないかと
考えております。
また
ポスターでございますが、これも人が張れば
自分も張らねばならないということになりまして、
従つてこれはまた大きな競争になりますし、いろんな色刷りも出て来ましようし、これはまた非常に大きな経費のかかる問題でございますから、この
ポスターというものをやはりなしにいたしまして、そうして、各町村の
選挙管理委員会から張
つてくださいます
候補者の
名前の書いてある紙がございますが、あの場所をできるだけ多くやりますと、みんなの
候補者の
名前がずらつと一ぺんに並んで来るのでございますから、だれが立候補したということもわか
つて参りますし、この方をむしろ私は多く張りまして、
ポスターを全廃にした方が、やつぱりみんなに同じような
選挙ができるのではないか、この方がむしろよいのではないかということを
考えております。
またこの前、たとえば
自動車の話も出ておりましたけれども、
トラツクでやれば代議士の
候補者の面子にかかわる、
体面にかかわるとかおつしや
つた方もございます。私は、だれがこの
トラツクというものを
考え出したのか知りませんけれども、これもなかなか便利な道具ではないかと
考えております。しかし私は
トラックは使いません。私は
自動車でた
つた一人飛びまわるのでございますから、そういう芸当もできませんし、人が
トラツクでやりましようとも、私はうらやましいとも思いませんが、もしこの
トラックでや
つて、
体面を汚すというようにお
考えの方がございますならば、これは
トラツクでやらなくても、
乗用車で走
つて行きまして、
自分の
目的地へ行きまして、そこでとめて、車から出て来て
街頭演説をなさ
つてもよいのでございます。
選挙法におきましては、
トラツクと制限はしてございませんで、
自動車という言葉が入
つておるのでございますから、
トラツクでやろうと、
乗用車でやろうと、何でやろうとさしつかえございませんし、また
荷物車でもさしつかえないのでございまして、この点も私は非常に
フリーであると
考えております。
トラツクのことでございますけれども、
トラツクへ応援の人を棄せて走りまわられますが、その
費用でも、たとえば一日に三百円という
公定費用では絶対に雇うことができない、この点は非常に無理じやないかというようにおつしやる方もありましたけれども、これもまた
考えようでございまして、朝から夜のおそくまで三百円で雇うのは無理だということになりますれば、
労働基準法も一日に八時間
労働ということにな
つておりますので、
従つて大体十時ごろから晩の四時なら四時まで三百円で雇うて、そうしてそれ以上お金を出すことが、もし
選挙違反になるというならば、そのときはそのお方にやめていただきまして、そうして休んでいただきまして、
自分一人でや
つてもよいし、また新たに交代の方を三百円で
雇つて、一日に二回雇うわけになりますが、そうしてや
つてもよいと思
つております。それでもしまた
費用が超過するといたしますならば、大体十五人乗るものなら、朝五人、昼から五人というようにわけて
考えたら、これもやはりその
費用の限界で済むことと私は
考えております。無理に十五人乗せなければ
選挙ができないというのでもございませんし、た
つた一人でも
選挙かできるのでございますから、そういうようにいろいろに
考えて行きますと、現在の
選挙法でも、私は、何ら実行不可能ではないし、そうして金のかからぬ
選挙の実態は、そのようなものであると
考えております。
初めに申しましたように、私は四百五十五円で当選さしていただきました。私は
自転車に乗りまして、た
つた一人飛びまわ
つて参りまして、時には陰ながら応援してくださる方もございますし、また私は、
自転車にた
つた一本ののぼりを立てまして、
自分で御飯をたいては
弁当箱へ詰めまして、それを
自転車のハンドルにつけまして、そうして昼の飯が晩の五時になるときもありますが、われを忘れてた
つた一人飛びまわ
つておりました。こういう金のかからない
選挙をやりましたが、
皆様方にこういうことを全部おやりにな
つてくださいとい
つても、これこそ
ほんとうに実行は不可能でございましようから、私はそういうやぼなことを申し上げるのではなくて、徹底した金のかからぬ
選挙をやろうと思えば、これだけ金のかからぬ
選挙もできるものであるということを
皆様方に御説明申し上げまして、そうして今度は、こういう
法律をつくりますならば、これでこそ
ほんとうに実行可能の
法律ができ上るのである、こういう確信のもとに、この
改正案を私はつく
つていただきますよう、くれぐもお願い申し上げまして、簡単でございますけれども、私の
意見を申し上げます。