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1953-02-21 第15回国会 衆議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十一日(土曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 篠田 弘作君    理事 高木 松吉君 理事 田中 角榮君    理事 前田榮之助君       淺利 三朗君    荒舩清十郎君       佐藤虎次郎君    仲川房次郎君       西村 英一君    小泉 純也君       武部 英治君    甲斐 政治君       山下 榮二君    佐々木更三君  出席政府委員         建設政務次官  三池  信君         建設事務官         (住宅局長)  師岡建四郎君  委員外出席者         労働基準監督官         (労働基準局監         督課長)    和田 勝美君         建設事務官         (住宅局住宅経         済課長)    鮎川 幸雄君         住宅金融公庫総         裁       鈴木 敬一君         住宅金融公庫副         総裁      八嶋 三郎君         専  門  員 西畑 正倫君     ————————————— 二月二十日  勤労者住宅建設促進法案前田榮之助君外五十  九名提出衆法第三五号) 同日  岩国、徳山間沿岸道路国道編入請願(西  村茂生紹介)(第二三〇六号)  平野川分水路工事促進に関する請願大倉三郎  君外三名紹介)(第二三〇七号)  城南運河開さく等に関する請願大倉三郎君紹  介)(第二三〇八号)  田中下地内天龍川左岸に堤防築設の請願(今村  忠助君紹介)(第二三〇九号)  道道美幌斜里線の一部改修工事施行等請願(  永井勝次郎紹介)(第二三一〇号)  牡鹿半島県道改修工事促進に関する請願内海  安吉紹介)(第二三四七号)  新庄、女川間道路国道編入等請願内海  安吉紹介)(第二三四八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  産業労働者住宅資金融通法案内閣提出第五七  号)  勤労者住宅建設促進法案前田榮之助君外五十  九名提出衆法第三五号)     —————————————
  2. 篠田弘作

    篠田委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入ります前に、日程を追加し、勤労者住宅建設促進法案前田榮之助君外五十九名提出衆法第三五号)を議題といたし、審議を進めることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なしと認めます。  それでは本案議題といたします。まず提出者より提案理由説明を聴取いたします。前田榮之助君。
  4. 前田榮之助

    前田(榮)委員 勤労者住宅建設促進法案について、提案理由をごく簡単に申し上げたいと思うのであります。われわれは、勤労者住宅が不足いたしまして、日本産業発展のために、生産意欲を向上さす点において、支障を来しておる点を考えまして、いかにして勤労者住宅拡充をはかるべきかということを、いろいろ、検討を続けて参つたのでありまして、この案の策定については、相当長い年月をかけて参つたわけであります。ところが、たまたま政府の方から、労働者住宅建設についての本委員会に付託されておる案が出まして、重複するようなかつこうになつたので、これをいかにすべきかということを一応われわれは考えたのでありますが、本委員会において委員各位審議を進められる過程において御相談をされることと思うので、一応われわれといたしましては、この案を支持いたしたいという考え提案をいたしたわけであります。従いまして、政府提案の案といかに関連を持つかということにつきましては、ここで説明するまでもないと思うのでありますが、ただただいまのところ、公営住宅法によるところの住宅建設と、住宅金融公庫によるところの住宅建設の二方途だけに頼つてつては十分ではないという観点から、この勤労者住宅建設促進法によるところの住宅建設をやりたいと考えておるわけであります。従いまして、この法律にありましては、計画的に勤労者住宅建設いたしたいという観点から、勤労者住宅建設の三箇年計画というものを進んで計画的に立てるという点に、相当重点を置いたわけであります。ことに今日の中小企業資金に非常に困難を来しているという観点から、住宅建設については十割の融資政府がなすべきものである、しかも償還年限あるいは金利等につきましても、今、政府提案されておるものよりも償還年限を延長し、それから金利政府案よりも低廉な金利をもつてこれを建設いたしたいと考えておるわけであります。ただかようになりますと、限られたる予算の中で、むしろ建設戸数は減ずるのではないかということが非常に心配な点でありますが、これはわれわれといたしましても、今政府が企図されておる二十億円の融資ということでは、とうてい解決つかない問題であつて、大幅な融資をすべきものだという観点に最初から立つておるわけであります。従いましてわれわれは、もし本年度の政府提案予算範囲内でやるということになりますならば——政府出資を二十億円でどうしても限られなければならぬということになりますならば、預金部資金あるいは簡易保険、こういう方面から少くとも三十億程度のものはこの方へ融資をして、大体において五十億程度の金をもつて勤労者住宅建設に当りたい、かような考えから本案提案いたしたわけであります。  詳細につきましては、質疑等によつてできるだけお答えをいたしたいと思うのであります。  ごく簡単に提案理由説明いたしたわけであります。どうか慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  5. 篠田弘作

    篠田委員長 ただいま前田榮之助君から御提出になりました勤労者住宅建設促進法案に対する質疑は、実はこの法案そのものがみんなボツクスへまわつておるので手元へ来ておらない、まだ研究の余地があると思うので、これに対する質疑は、今ここでやるのは無理だと思いますが、これは次回に延期することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 篠田弘作

    篠田委員長 それではさようにいたします。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  7. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは速記を始めてください。     —————————————
  8. 篠田弘作

    篠田委員長 産業労働者住宅資金融通法案内閣提出第五七号)を議題といたし、前会に引続ぎ質疑を続行いたします。  なお本日、建設省より三池政務次官師岡住宅局長住宅金融公庫より鈴木総裁労働省より和田基準局監督課長が出席しております。  佐藤虎次郎君。
  9. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)委員 私は住宅問題にはすこぶる関心を持つておりまして、住宅金融に関しましての予算の少いことは、もちろん議論の余地がないのです。特に住宅局長に私は深く考えておいていただきたいことは、住宅資金それ自体に何らわれわれは批判を加えるものではないのでありますが、住宅に伴いますところの衛生設備ということについて、すこぶる関心が薄いのではないかと考えておるのです。住宅が建ちましても、下水道完備ができておらなかつたならば、どういう結果を紹来するかということが大きな課題ではないか、かように考えますがゆえに、住宅資金運用衛生設備が基盤をなす、これが一番おもではないか。これに対して、いわゆる下水道上水道設備をどの程度までやるということのお考えを持つておられるか、その辺を一応伺つておきたいと考えます。
  10. 師岡建四郎

    師岡政府委員 ただいまの御質問の点は、私どもといたしましても、まことに御同感の点でございます。住宅は、ただ家を建てさえすればいいのではありませんで、住宅伴つて衛生設備をよくし、またこの住宅環境をよくするということは当然のことでございます。お話にありました下水道上水道完備というようなことも、もちろん必要なことであります。ただ住宅局としましては、建設省全般におきましてこの上水道下水道の問題は処理いたしておるつもりでございまして、その建設省において行つております環境整備、いわば都市計画という面に即応しまして、住宅建設を行つておる次第でございます。
  11. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)委員 住宅局住宅の方に重点を置き、都市計画その他の方で相当のことをやつておられるというお答えのようですが、私どもが今日住宅建設しておりますところを見ますと、まことに衛生設備が不完全きわまるものだと信ずるのであります。そこで私はいま一つ、特にこれは——公庫総裁がおられるようですが、大体今日住宅の建つておるのを見ますと、非常に不便きわまる、都市でいいましても、まるで自分の勤めておる所より何里か遠くに離れておる、あるいはバスに乗るにも何十町か来なければならぬというような不便きわまる所に住宅地を設けて、そこに建設するというようなわけで、それでは作業の能率を減少せしめる結果になるのであります。これらは土地とのかみ合せの問題もあるではありましようが、少くとも資金運用にあたりましては、一応その地域実地調査くらいはして当然だと思います。同時に、これに対しましては、都市計画局とも十分打合せて、少くとも建設する地域に対しては関心を持ち、そうして衛生設備上水道下水道設備はどのくらいにしてやつておるかということをまず考える必要がある。しかして資金が運行したならば、私は今後に残される衛生問題に支障なからしむるような結果になる、かように思いますから、今後は住宅局も、住宅金融公庫総裁資金運行の場合、十分それらに重点を置いてやつていただきたい、かように私は希望を申し上げておきます。
  12. 篠田弘作

  13. 仲川房次郎

    仲川委員 この機会に、住宅設計内容について、一言お話を承つてみたいと思います。金融公庫の今出ております法案に関係したこの表についてお伺いしたいと思います。この表によりますと、大体一軒建が十五坪ずつということになつております。坪の単価が二万七千円となつております。これは建設省住宅課の方から設計をしてその通り仕事をさせるつもりでありまするか、またおのおのその事業者がこの単価において適宜の設計をして建てるのか、どちらであるかということを、お尋ねしたいのであります。
  14. 師岡建四郎

    師岡政府委員 ただいまのお尋ねの点でありますが、一応住宅金融公庫といたしましては、各人のおのおのの設計によつてやる、公庫の方で設計してやらせるという意味ではございません。
  15. 仲川房次郎

    仲川委員 おのおのその希望者希望によつてやるといたしますと、この建設費の五〇%を貸そうという点からいたしますと、建築費の価格の選定に相当疑問が生ずるのではないかと思います。従いまして、これは文化的に、あるいは衛生的に考えると、どうしても建設省の方からこういう設計をする——先ほど委員の方が御質問になりましたが、衛生方面下水方面等すべての面に完備を期することが必要であると思いますので、こういう方面りつぱな設計をつくつてそれを建築なさるのがいいのではないかと考えます。  さらにお尋ねいたしたいのは、一昨日の委員会三池政務次官から、この選択の点についてお話を承りましたが、これは広い範囲からいろいろと希望が出て参ると思うので、道府県に割当をなさつて、その割当によつてその地方地方建築家におまかせなさつたらいいのではないか、その方が公平ではないかと考えますが、この点について御意見を拝聴いたしたいと思います。
  16. 師岡建四郎

    師岡政府委員 お尋ねの点でございますが、一応貸付を受けたいという希望を、全国にわたりましてとりますが、ただ事業場によりましては、それぞれ産業労働者関係住宅不足事情が異なりますので、それらの事情を勘案して貸付を行うので、従つて初めから各県にわくをつくつてやるということは考えておりません。
  17. 田中角榮

    田中(角)委員 私から簡単に一、二点伺つておきたいのでありますが、その第一点は、第二条に貸付対象事業として、「生産、販売、運送その他の事業を営み、常時五人以上の従業員を使用する」とありますが、これですと、ほとんど全部の業種が網羅せられると思うのでありまして、住宅金融公庫法による貸付と実質的には大して差はないではないかというふうに考えられるわけであります。その意味において、この五人というのを十人なり十五人——私の考えでは、少くとも三十人くらいまでしぼり上げる必要があるのではないかということが第一点。  もう一つ、どうも規定しにくいものであるので、政府としてはやむを得ずこのように考えていると思いますが、特に勤労者住宅建設という大きな表題を打出しておりますし、特に現在非常に財政上逼迫しているときに、この種のものに政府資金を投じようというのでありますから、実際上から考えました場合には、やはり業種重点的なわくをはめる必要があるのではないかということが当然考えられるわけであります。事実上は非常にむずかしい問題だとは思いますが、これに対して、実施の段階にあたつて当然起つて来る問題でありますので、別な省令その他でもつて規定するような気持があるかどうかという問題を伺つておきたいと考えるわけであります。  もう一つつておきたいのは、この種のものを行つた場合、非常に施策としてはいいのでありますが、現実の問題になりましたときには、安かろう、悪かろうというものができるのではないか。それは五割の建築主負担がありますので、先ほど申し上げましたように、十年か十五年すると、腐朽はなはだしい建物になつて来ることが考えられますので、政府回収がうまく行けばいいという考えばかりでなしに、国の財産をふやすという考えもなければなりません。それで率直に申し上げると、五大都市、六大都市、人口五十万以上くらいの都市に貸し付けるのは、原則的に不燃建築でなければならぬというくらいなことを規定するのが、現在の日本の国情に合つているのではないかと考えるのですが、実施責任官庁である建設省及び住宅金融公庫のこの問題に対する意見があつたら、簡明率直にお答えを願いたいと思います。
  18. 三池信

    三池政府委員 ただいま田中委員から、まことに適切な端的な御質疑をいただきましたが、それにお答えいたします。  この人数を幾人からに限定するかという問題は、建設省といたしましても非常に苦慮いたした問題であります。十人にするか三十人にするかという問題も、一定の確とした目安をどこに置くかということについては、いろいろの意見もあるのであります。しかしせつかくこの法案自体が、国家資金が非常に少い折から、しかも住宅問題は非常に重要な問題であるから、ぜひ幾らかでもこれをやらなければならぬ時代でありますので、国家資金のみではなくて、民間のいわゆる資金も、この住宅問題解決の一助に資するというような趣旨がこれにあるのであります。そういう意味におきまして、貸付対象をできるだけ広い階層にやらせるという趣旨から、対象が五人になつておりますので、そこにいたしたのであります。別にこれに対して確固たる信念をもつて五人にしなければならぬというのでもないのであります。  それから重要産業に限定したらどうかということでありますが、この重要産業規制というものは非常に困難をいたしたのであります。この前の委員会でも、この法案、あるいはこの施策が初めてのものであり、資金もわずかに二十億という少いものであるから、そういうような意味合いにおいても、狭い範囲内でこれを施行してみたらどうかという御意見もありますし、一応ごもつともだと思います。しかしながら、また考えようによりましては、非常に少い資金であり、初めての資金であるから、これを広い階層に適用し得るようにしておいて、その結果を見るということも一つの行き方ではないか。承りますと、こういうような施策に対して、英国では西村委員の御意見のように、狭い範囲内でこれを適用しておる。ところが年を経ますとともに、非常に広い階層からの御要望が強くなつて、だんだんと広げざるを得なくなつたというような事情も承つておりますので、今回は広い範囲に適用したいというのが、事業者に線を引かなかつた意図であります。それから省令で云々というのも、そういうような意味合いからいたしまして、将来省令によつてこれを規制いたしたいという意図は現在のところ持つておりません。  また四番目の、五十万以上とか、そういう都市区切つて不燃建物をやつたらどうかということもごもつともでありますが、この法案趣旨自体が、事業者にも半額資金を背負わせたいというような意図からしまして、そういう厳重な規制をこれに設けない方が、かえつてその趣旨が徹底するのではないかというので、非常にごもつともな、また実にいいお考えと思いますけれども、一応この法案ではそういう規制をしないことになつております。
  19. 田中角榮

    田中(角)委員 もう一つお尋ね申し上げます。ただいまの御答弁につきましては、多少建設委員としては別な考えもあり、五人以上というのはもう少ししぼつた方がいいのではないか。ということは、ばらばらに建てられるということになると、どうしても金融公庫が方々に貸しつけるのと同じことになるおそれがありますのと、もう一つ、新しい企画に対しては、りつぱな実情をあげて行きたい。また将来に対して一つのモデル・ケースとして一つのものを残したいというのは、やはり集団的なものを建てなければならぬということを申し上げたのでありますが、これは別な機会に譲つて議論いたすことにいたします。  もう一つは、第二条の一号の後段にあります「国がその資本金の二分の一以上」ということは、当然の規定だと思うのでありますが、もちろん国と同じような地方公共団体その他の出資二分の一も、当然これと同じように拘束する必要があるのではないですか。
  20. 師岡建四郎

    師岡政府委員 お話通りでございまして、順序はちよつとおかしゆうございますが、国と地方公共団体、それから国から資本金の二分の一以上を出資している法人、たとえば住宅金融公庫のごとき国に準ずる政府機関、こういうものを除いて行きたいという考えであります。
  21. 田中角榮

    田中(角)委員 今のことでいいと思うのですが、二条の表現でそういうことになりますか。二条の第一号に「国がその資本金の二分の一以上を出資している法人及び地方公共団体以外のものをいう。」——もう少しこまかく規定しないで、そういうふうに解釈できますか。
  22. 師岡建四郎

    師岡政府委員 お尋ねの点は、地方公共団体出資に関するものかと思うのでありますが、一応国と政府機関、それから地方公共団体だけを限定しておるわけであります。
  23. 三池信

    三池政府委員 ただいまの点でございますが、これはむしろ地方公共団体出資をしておる住宅組合住宅協会というような法人には、貸付対象として取上げておるのでありますから、政府意図はこの二条の規定ではつきりしております。
  24. 西村英一

    西村(英)委員 私は前回数箇条にわたつて質問をしたのでありますが、そのうち第十三条につきまして労働省の方にお伺いいたしたいのであります。この第十三条は「この法律による貸付金に係る住宅家賃その他賃貸の条件は、主として入居者住居費負担能力を考慮して適正に定めなければならない。」こういうことになつておる。それで私の言うのは、入居者住居費負担能力によつて適正に定めなければならぬといつても、これは事業者半額を出すのだから、必ずしもそうは行かないだろう。ことに住宅金融公庫におきまして、その家賃についてのある程度制限がある。会社住宅金融公庫から金を借りてやる場合は制限がある。個人の場合はおのずからきまつて来る。それでそういうお尋ねをいたしましたところが、建設省の方は、そういうふうな心配はないのだ、負担能力を考慮してやるのだと申しますが、この法律給与住宅の問題でありまして、勤労者を主として考慮しておる問題でありますから、この法律審議過程において労働省はこれでいいのかどうか。こういうことをいたしましても、勤労者家賃について心配はないのかどうか。私は非常な心配を持つておる。この点についてお答えを願いたいと思います。
  25. 和田勝美

    和田説明員 お答えを申し上げます。西村委員の御質問趣旨、私どもまことに同感でございまして、労働者負担をよく考えましてそれに適応するようにいたさなければならぬと思いますが、ただ現在社宅で行われておりますものを、私どもの方で調査いたしましたところによりますと、非常に安いのであります。大体今までのこういう慣例が、日本に非常に多うございまして、非常に安うございます。法律最高基準をきめますと、むしろかえつて作用を起すこともあるのではないかと思います。また事業場におきましても、いろいろと従来の慣習があるわけであります。そういうもの等とにらみ合せますと、法律でこういう表現をしてきめておきまして、あとは話合いをさせるということで適正なものができるのではないか、こういうように考えております。
  26. 西村英一

    西村(英)委員 逆作用があるかもしれぬから、むしろきめない方がいいだろう。これも一つ考え方であろうと思いますが、従来の給与住宅事業者がやつておるものは、比較的そういうことを考える善良な事業者であります。このたびはある程度他から金を借りてやるわけでありますから、私は必ずしもそうはいかぬと思います。しかし逆効果があるということを考えてみて、これによつてしばらく経過を見るということも一つ方法でしようが、もし、かりに事業者がこれが適当であるとして比較的高い家賃をきめました場合も、これを防ぐ方法がないのです。そういう場合に、それを低家賃にするような適切な方法があるのであるかどうであるか、その辺をお聞きしたいと思います。
  27. 師岡建四郎

    師岡政府委員 ごもつともな御質問でございまして、その点につきましては、私どもとしまして、さしあたりただいま御説明がありましたように、この程度にとどめております。ただ実際問題といたしましては、この産業労働者住宅建設計画貸付によりまして行うわけでありますが、その貸付計画におきまして、この住宅家賃計画もおのずから出て来ると思います。従いまして、それを考慮に入れて貸付を行いますので、その貸付にあたつて契約におきまして、実際それ以上の家賃はとれない、家賃をそれ以上にとれば、契約違反償還を命ずることができるということによつて、非常に高い家賃になることを防ぎ得ると考えます。
  28. 山下榮二

    山下(榮)委員 私は一昨日いなかつたので、一昨日の質問とあるいはダブるかもわからぬと思うのですが、二、三お伺いいたしたいと思うのであります。  今の住宅政策は、住宅金融公庫公営住宅建設と、ここに提案されました産業労働者住宅資金融通法、大体この三つの建設方針があるように思われるのであります。公営住宅建設につきましては、御承知通り国が半分、地方公共団体半額を出して、それぞれ各地方公営住宅建設が行われております。この方は案外計画的な構想がありまして、三箇年計画を持つて、大体何万戸の住宅建設するという方針を持つておられるようでありますが、わが国の産業実情を見ますときに、実に労働者住宅難というものは言語に絶するものがあるといわなければならぬと思うのであります。さしあたり今年の三月卒業いたします学徒の就職等につきましては、雇いたいが住宅がないということ等で、非常に会社工場では苦境に陥つていることは、皆さん方の御承知通りであります。こういうときにあたつて、今こういり法律的な処置をとられることは、きわめて適切なことだとわれわれは歓迎するものの一人でありますが、あまりにもこれはおそきに失する、こういう感じすら持つのであります。こういうことに対しましては、この法律案というものの内容を見てみますると、もう少し長年月にわたる具体的な建設計画というものが織り込まれてしかるべきではなかろうかということが考えられるのであります。こういう考え方からいたしまして、私は二、三お伺いをいたしたいと思うことは、先ほどの田中氏の質問とあるいはダブる点もあるかとも思うのでありますけれども、五人以上の従業者を使用する商工業者にも、これが適用されることに相なつておるのであります。しかもそれが半額負担して自分で社宅その他の住宅建設する能力ある者でなければならぬことに相なるのでありますが、最近の中小商工業者というものは、自分の商売、企業の運営がまことに困難に逢着している実情でありますから、こういうときに、せつかくこういういい法律をつくりましても、この法律を適用するということがきわめて困難ではなかろうかということが予想されるのであります。こういう場合には、やはり政府が思い切つて全額国庫負担をして建設する、全額貸し付けるということによつて、初めて所期の目的が達成されると思う。またこうあらねばならぬと思うのでありますが、限られた財政であるからそれはできぬとおつしやれば、その通りだと思うのでありますけれども、厚生年金その他の労働者の積み立てた金も相当巨額にあることもやはり御承知と思うのでありますが、なぜ政府はそこまで思い切つたことができないのかということを伺いたいのが一つ。  それからもつと具体的な計画性を持つて、今日の日本産業労働者住宅不足は大体何箇年をもつて完全に解消し得るという方策を樹立すべきだと思うのであるが、こういうことに対していかようにお考えになつているのか。ただ単に、今日産業労働者住宅に困つているから、とりあえず間に合せ的にこれを提出したとしか考えられぬような法案のようにも見受けられるのでありますが、そういう点はもつと具体的な方針があるのかどうか。こういうことをきめるためには、こういう法律を出されるならば、ここに産業労働者住宅に対する審議会でもつつて労働者、企業者その他の衆知を集めて、こういう方針でこうして行くということを打出すことが、きわめて適切ではないかと私は思うのでありますが、そういうことに対していかようにお考えになつているのか、その辺のことを伺いたいと思うのであります。各条項については、その答弁があつた後に伺いたいと思います。
  29. 三池信

    三池政府委員 お答えいたします。中小企業の方々が非常に苦しいので、こういう法案をつくつても、はたしてそういう方々がこの法案によるところの住宅建設資金を出し得るかどうかわからないというのが実情ではないかというお話であります。あるいは現実の社会は、そういう非常にきびしい状態にあることも、私はわきまえておりますが、この五人以上に限定したこと自体は、中小企業者が非常に苦しいからといつて、それを除外するということは適当ではないと考えたからであります。中小企業者が非常に苦しいということは、別途の見地から考えなければならぬ政策ではないかと考えております。むしろ中小企業者のうちでも、住宅に特に困難をし、なおその資金的な余裕がある人は、この法案によつて住宅建設に寄与してもらうことがいいのじやないかという考えであります。ですから、むしろ広く門戸を開放した気持で五人というものを限定しているのは、さつき田中委員に御答弁した通りであります。また産業労働者に対しての住宅の不定というものは、実に言言に絶するものがあるということも、私お説の通りだと思います。しかしながら、政府の現在やつております公営住宅、あるいは住宅金融公庫法による住宅政策というものは、国民全般にわたる住宅不足に対する緩和策でありまして、これがまだ御承知のように、われわれ自身としても非常に満足行かない金額しか国家財政の都合から獲得できないような状態であります。しかしながら産業労働者に対する住宅問題はどうしても考えなければならない問題であるというのが今度の法案提出趣旨であります。それにはむしろ国家財政を補う意味においても、五割という金融公庫によるものよりも高い金を需要者に負担してもらつて解決したいというような状態でありまして、御説まことにごもつともと思いますが、国家財政の観点から行きまして、財政問題を伴う長期的な計画がなかなか至難な問題であるというのが実情であります。この法案のごときは、産業労働者住宅政策としましては非常に及ばざるもはなはだしいものであるということもよく承知いたすのでありますけれども国家財政の現状から、この程度のものでやむを得ない状態であるということを御了承願いたいと思います。
  30. 山下榮二

    山下(榮)委員 一つ答弁が落ちたと思うのですけれども日本の経済自立がわが国の産業の興隆発展にまつことは、きわめて当然なことであるのでありますが、その産業の興隆発展のためには、まず労働者住宅が完成されなければならぬと思うのであります。住宅金融公庫の、国民にそれぞれいこいの場所である自分の家をつくらせようというねらいは、きわめて適切だと思うのでありますけれども、それと同時に、今ここへ出されました産業労働者に対する社宅というのですか、住宅というのですか、これの建設は、産業隆興の一環として、きわめて重要な問題であると思うのであります。これはひとり住宅政策ということだけでなく、わが国の産業政策の面から考えましても、きわめて重要な問題でありまして、こういう法案が出されるならば、この中に、先ほど申し上げましたように産業労働者住宅政策審議会のごときものをつくつて、そうしてそれらに対する万全の措置が講ぜられるということが、きわめて適切ではなかろうかと考えられるのでありますが、そういうことに対する政府のお考えを伺いたいと思うのであります。
  31. 三池信

    三池政府委員 先ほど答弁したことと重複するかと思いますが、山下委員の今の御質問は、住宅政策産業陸奥のための国家の政策として、重要なその一環として出されなければならないのではないか。それに対して住宅政策審議会というようなものをつくつて、いわゆる産業政策の一環として住宅政策を取上げて、それを解決する意図があるかどうかということでありますが、現在産業住宅問題につきましては、住宅対策審議会というものがありまして、これを活用することによりまして、その方途にできるだけ沿うようにやつて行きたいと思つております。
  32. 山下榮二

    山下(榮)委員 先ほど西村さんが質問されておつたと思うのでありますが、場十三条に賃貸の条件が出ておるようであります。もしこの法律によつて住宅建設されました場合に、会社は社宅として労務者に供用せしめ、家賃を取立てることになると思うが、この家賃に対して法律上何らの制限も行われていないのであります。     〔委員長退席、高木(松)委員長代理着席〕 私は悪く解釈するわけではないのですけれども、もし不都合な会社があつたといたしまして、こういう国家の貴重な資金を投じてつくつた社宅に対して高額な家賃をとる、こういうものがあるいは出て来るのではなかろうかということの心配もいたすのであります。こういう場合には、この法律でもつて、この法律でつくつた社宅は坪最高何ぼ以上とつてはならぬという一定額を規定することが、きわめて必要である。それ以下であれば、いかように安くてもいい、こういうような方途を講じておくことが必要ではなかろうかと私は考えるのでありますが、これに対して政府のお考えを伺いたいと思うのであります。
  33. 師岡建四郎

    師岡政府委員 先ほどお答えしたことと同様になつて、はなはだ恐縮でありますが、十三条に明確にいたしません趣旨は、先ほどもお答えいたしましたように、そうするとかえつてそこまでとつてもいいという感じを持たせることになるので、非常にぐあいが悪い。また一面実際こういう社宅等の使用料につきましては、会社によりまして非常にでこぼこが多いのであります。その実情につきましては、この前の委員会でも御説明いたしましたが、そういうような事情でございますので、はつきり具体的に坪何円というような一つの基準は出しにくいわけでございます。従つて、この十三条程度規定にとどめておきまして、実際に非常に高い家賃をとるというような向きに対する防止は、契約によつて十分監督ができるというふうに考えておるわけであります。
  34. 山下榮二

    山下(榮)委員 もう一つ伺いたいと思いますのは、第六条に、地方公共団体はこれに対して資金上、技術上の援助を与えることができると書いてありますが、これらの援助にはどういう援助があるのですか。
  35. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 たとえば建設に際しまして資金をあつせんいたすような場合とか、あるいは資金の一部を貸し付けるというようなことを考えておるわけでございます。
  36. 山下榮二

    山下(榮)委員 土地というものは考えていないのですか。
  37. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 土地につきましては、一応考えておりません。
  38. 山下榮二

    山下(榮)委員 よろしいです。
  39. 前田榮之助

    前田(榮)委員 関連して——  今、山下委員質問の中で、住宅に関することに産業労働者住宅に関する問題は、きわめて計画的にやるべきである。こういう点において、審議会を設けて関係者の意見をも十分に織り込んでというような御意見があつたわけですが、この法案をつくる前に企業家の代表者に一応御相談をなさつたかどうか、これらの意見を多少調査したことがあるのかどうか、住宅審議会へも諮つたかどうか、この点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  40. 師岡建四郎

    師岡政府委員 実はいろいろ事務上の都合がありまして、数回にわたつてやるところでございましたが、一回だけになりましたけれども住宅対策審議会に、この直接の形ではございませんが、最初持つておりました政府原案を示しましてお諮りしたことがございます。その後におきまして、いろいろ予算折衝の間にこういう形に相なつたのでありまして、そのままの形ではございませんが、一回審議会に諮つたことはございます。
  41. 前田榮之助

    前田(榮)委員 われわれの心配いたしておるのは、民間資金をこの中にできるだけ利用して、国家資金と民間資金とを合せて住宅建設を増加して行く、こういうねらいについては、われわれも賛成なんです。ただ問題は、この案で考えますと、今、山下委員からの意見の中にもありましたように、現在の企業状態では、企業家は会社経営の資金さえも非常に困窮いたしておる実情であつて、なかなか住宅の方へまわしにくいという状態であるために、はたしてこれが立法の精神に沿うたものになつて来るかどうか、こういうことを先般も私は質問申し上げたわけでございます。ただやつてみればできるだろう、こういうことも考えられますけれども資金を出されるような商業もないとは申し上げないのでありまして、そういう人こそは、半額融資によつていろいろ規格やら、条件やらに規制を受けて非常なきゆうくつな思いをしてやるよりも、むしろ単独民間資本でやつた方が、そういう資金の余裕のある人はいいということになろうと思う。それでこういう案を立てられる前には、産業界の実際に携わつておる人々の意見を徴することが必要じやないかと私は思うので、ただ住宅審議会の答申はどうなつておるか、そのことも重ねてお聞かせ願うと同時に、それだけではなしに、ほんとうにこの法案に関連したところの産業家の意見というものを聞かないで、ただお役人のあなた方の感覚だけで、これがうまく行くものだ、こうお考えになるところに、私は今日の産業状態の中で非常に不安な点があると思う。私は旧そういうことについて、あといろいろ委員長とも相談したいと思いますが、この法案を立てる前に、住宅審議会の方へ、この案としてかけたかは別として、この点について一応諮問された、こういう御答弁でありましたが、その住宅審議会の意見ともいうべきものがどうであつたか、この法案に対するどういう答申をしたか、こういうことがおわかりになれば、お聞かせ願いたいと思います。
  42. 師岡建四郎

    師岡政府委員 ただいま審議会の意見書と申しますか、答申書について、ここに持ち合せておりませんので、正確に申し上げることはできませんが、私の記憶では、審議会の意見としましては、趣旨において非常に賛成であるから、大いに強力にやつてほしいという答申があつたように記憶いたしておりますが、必要ならば取寄せましてまたあらためて申し上げます。
  43. 前田榮之助

    前田(榮)委員 それではこの法案に関係されておるところの産業家の代表といいますか、その中の有識者というものとは相談をしなかつたと解釈してよろしいのですか。
  44. 師岡建四郎

    師岡政府委員 審議会の委員となつておりますのは、御承知通り各界の学識経験者、また産業界を代表する方、各方面の方が入つておるわけであります。その方々の意見を十分にお聞きしておるわけであります。
  45. 前田榮之助

    前田(榮)委員 これは漠然としているところの住宅一般のことでありまして、この中にいかなる人が入つているか、その点は私はつまびらかにいたしませんが、この問題に関連して、これを利用する側の代表者、こういうものには、あらたまつて意見を聞くとか、相談をしたとかいうことはなかつた、こう解釈してよろしいですか。
  46. 師岡建四郎

    師岡政府委員 審議会につきましては、ただいま御説明申し上げた通りでございますが、そのほかに、こういう計画政府が持つておるということを外部において承知いたしまして、この案を立案する過程におきまして、各方面からいろいろの御注文がありました。私どもにおきましては、その御意見を十分に参考といたしまして、当初原案を作成いたしたのであります。しかしながら、その案が必ずしも全部ただいま提出されております法案に盛り込まれてはおらないわけでありますが、これは予算折衝等の過程におきまして、自然そういう形にならざるを得なかつたわけでありまして、そういう各方面の御意向は、一応私ども承知いたしております。
  47. 山下榮二

    山下(榮)委員 もう一つ質問を申し上げようと思つて落しておつたのですが、公営住宅建設は、先ほど申し上げましたように、半額地方公共団体負担してつくることになつておる。ところが、地方公共団体の金融難のために、せつかく政府から割当てられたものも、一部返上して建設をようしない、こういう都市等もあるということを伺つておるのでありますが、そういう事情もあるということを政府はちやんと知つておられて、今回の産業労働者住宅資金融通法半額ということにきめておられるのか、そういう公営住宅等のことは御存じなしに、半額あれば建つとお考えになつておるのか、その辺のことを伺いたいと思うのであります。
  48. 師岡建四郎

    師岡政府委員 公営住宅につきまして割当てました最初の計画が、その地方公共団体の財政事情等によりまして、一部返すというような事態が起つておることは承知いたしております。しかしながら、これはそうたくさんのものではございません。それは土地の取得なり着工が遅れたとか、いろいろな事情がからみまして、若干そういう事態が起つておることは承知いたしております。しかしながら、この立案にあたりましては、先ほども政務次官から御説明がありましたように、この新しい政策を生み出しました根本の構想というものが、政府住宅対策としましては、公営住宅公庫政策を一応基幹といたしまして、これをさらに推進いたしたい。しかしながら、また一面国家資金にも限界がある、だんだん苦しくなる。そこで、資力のある事業主に一応金を出してもらつて事業主と国の協力によつてこの足りない面を補充して行きたいというのが根本でありますので、この二十億の事業計画が消化できないというようなことは起らぬものと私ども考えておるわけであります。
  49. 山下榮二

    山下(榮)委員 最後にもう一つ伺いたいと思うのは、この法律国家公務員、地方公務員等の諸君を除外しておる理由は何かを伺いたいと思うのであります。
  50. 三池信

    三池政府委員 この法案自体は、何べんも御説明申し上げましたように、民間の資金産業振作の面に導入したいというものでありますから、国家公務員につきまして、国家がその資金を自分のために注入するということではないのであります。それで国家公務員も地方公務員も抜いておるのでありまして、これは別途に考えなければならない。これは産業労務者のための住宅政策の一環であるというわけでありますから、国家公務員は抜いておるわけであります。
  51. 西村英一

    西村(英)委員 野党の方の質問も大体済みましたので、せつかく公庫総裁及び副総裁が参つておりますから、この法律に関する考え方と、現在あなた方の方でおやりになつておる公庫の業務のことと、この二つの点についてお尋ねいたしたい。この法律に関することは、この法律がまだ通過しておりませんから、公庫の方には御関係はありませんが、私たちが今まで質問をいたして参りましたことについて、五人以上の従事員を使用する事業者というものは非常に多いし、予算は少いのだから、非常に扱いにくいであろうということ。もう一つは第四条で資金融通の原則をきめてある。その資金融通の原則が、これからこの法律通りますと、総裁並びに副総裁の頭を悩ますことであろうと思います。今度貸し付ける方々は事業者でありますので、その運動、その他どういう事業に、どういう産業の規模のものに貸し付けるかということが、非常に問題になつて来るのであります。一般公庫の場合は、非常な需要供給のアンバランスがある場合には、抽籤の方法で、がらがらとまわしてきめることができますけれども事業者を相手にして勤労者に住居を与えようとする場合には、ただ単にこの抽籤によつてがらがらつとまわして事業者をきめるというようなことは、産業の助長にもならないと思うのです。従いまして、第二条のこの多くの事業者が入つて来て、しかもその事業者はどういう種別の業別の業務もこれに全部入るのかということであります。第四条の資金融通の原則が非常にあいまいと申しますか、なかなかむずかしいことになつておると思いますが、法律通過の後には責任を持ちます総裁並びに副総裁から、この点について御意見がありましたならば、個人の意見でもよろしゆうございますから、お聞かせ願いたいと思います。
  52. 鈴木敬一

    鈴木説明員 ただいまのお尋ねお答えいたします。仰せのように個人の申込みにかかわる個人所有住宅におけるごとき抽籤等は、この場合行い得ないものと想像しておりますが、実施機関といたしまして、そういう意味においては今までの個人住宅に対する貸付の扱いよりも、一層めんどうな責任がかかつて来るものと考えております。そこに法案に示されておりますような趣旨において、あるいは住宅不足の状況であるとか、またその産業会社事業者の経理内容、つまり償環能力、事業の性質等を考え合せまして、諸般の点をしさいに検討して厳正に貸付を決定するほかはないものと思います。非常に広汎な事柄を調べるだけに、われわれに課せられた責任は非常に重いと考えますが、われわれの方ではそういう趣旨に沿いまして、できるだけの努力をいたして、公正な結果を得たいと考えておる次第であります。  なお、目頭に仰せになりましたように、かくのごとき産業労務者に対して特別の住宅建設融資ができることになりましたことは、これは非常に喜ばしいことでありまして、私ども在来からも、こういう点について重点が加え得るような方策を欲しておつたわけでありますので、非常に感激にたえない次第であります。簡単ながらお答えいたします。
  53. 西村英一

    西村(英)委員 抽籤の方法によつてはやりたくないと申されますので、それはお聞きいたしておくことにいたしますが、実際問題としてこの法律がこのまま通りますと、公庫としては業務方法書によつて、ある程度制限をしなければならないのではないかと考えておるのであります。そういうことが、いいか、法律で縛つた方がいいかということが問題であろうと思います。しかし、これは私一個の考えでありますから、これ以上は述べないことにいたします。  第二は、現在公庫が扱つております業務についてでありますが、住宅公庫のことにつきましては、たびたび新聞紙上でも、住宅貸付方法その他について、いろいろおもしろからざる事件が出ております。しかし私たちはそれを一々取上げるものではございません。多くの大衆を相手にしておる業務であり、しかも住宅難の折から、いろいろ手の込んだ不正が多々あるであろうとは、私たちも想像しておるのであります。しかし、これは私たちの想像でありますからよくわかりませんが、新聞には公庫の業務について相当なことも書かれております。しかしそういうことは別といたしましても、現在住宅金融公庫が満足な状況に行つておるかどうか。もちろん総裁は満足な状況に行つておると思つておるでありましようが、そういうような不正な貸出し公庫の方はそうは思わなくても、世の中の方でいろいろな手を使つてつております。現にみずから居住する者に金を貸すと申しましても、そうでない事例を寡聞である私たちも、一応これは知らないわけでもないわけであります。現に新聞等でもうたわれておるのでありますが、そういうようなことについて、満足に調査が行われておるかどうか。また家賃等の滞納のようなものもどうなつておるかということにつきまして、ひとつこの際特に御感想を漏らしていただきたいと思うのであります。なお、お話だけではなく、公庫の業務について、今まで建築しかけて途中でやめたもの、その他この滞納の件数というようなものも、これはひとつ紙に書いたものがあればお出しになつてもらいたいと思うのであります。最近新聞に出ておりました記事を読みましても、これは公庫の金融係の方が述べておられるのでありますから、ある程度公庫のお方もお感じになつておると思うのですが、建築屋の八割以上が不正なんだということも、公庫の方が述べられておつたようなわけであります。おそらくいろいろな手によつて、この法律が所期いたします目的に沿わないような金が出ていないとも限らないと思うのであります。この辺につきまして、総裁の忌憚のないお話を承りたい。なお、こまかい話は数字によつて承りたい、かように私は存ずるのであります。
  54. 鈴木敬一

    鈴木説明員 ただいま公庫の運営実施状況についてお尋ね、かつ非常な御心配を抱いておられるようでありまして、その意味においては深く感謝をささげる次第であります。仰せのように、公庫方面におきましては、不正な貸出しをするつもりのないことはもとよりでありますし、意図してそういうことであつたことはない、これははつきり断言して可なりと思うのでありますが、おつしやいました通りでありまして、世間には何分住宅困窮の度の強い人がきわめて多数存在するのでありまして、これらの人たちが住宅資金の獲得に向つて非常な熱意を持ち、努力をしておられることも目のあたりわれわれ見ており、聞いておる次第でありますが、その貸付希望の方々が、計画的に公庫方針と違うような方途を講ぜられるということも、まれにはあるようであります。私の方は住宅部分についてのみ貸すということにいたしておりますにかかわらず、住宅にあらざる——住宅部分なりとして、貸付決定を受けましたその部分を、住宅以外の用途にあとで供しておることが判明いたしましたり、あるいはまたそういう聞込みを得たということがしばしばございます。新聞等にもいろいろ報道が伝わつておるのでありまして、そういうものにつきましては、係は申すに及ばず、私ども全体として非常な注意力をもちまして、そういう不正の発見に努めておる次第でありまして、新聞記事、投書、申告等があつた場合には、一々現場につきましてその実態を取調べまして、中には一部の新聞報道等につきましては、誤解したりなどの実例もあるようでありますが、はたしてその通りでありますならば、それぞれ適当な措置を即刻講じておる次第であります。たとえば契約を解約する。そして今までに貸し付けた金の一時償還を命ずるというような措置に及んでおるのであります。  それから何か公庫の係員が、建築業者の八割は不正である、こういうような意味のことを発表しておるというお話でありますが、私まだそういう発表をした事実があるかないか存じません。けれども公庫貸付に関係する者としては、たとえば建設業者もありましようし、また建設業者に付随する建築願届の代願人というような業態も大都市には相当ございます。これらの人々の中には、たまに計画的に公庫を欺いて貸付を得ようというような人もなきにしもあらずでありまして、これらに対しましては、そういう計画の術中に陥らないように、あらかじめ周到なる注意を払い、事前の措置も講じておりますが、万一発見いたしました際は、それぞれ適当なる是正方法を講じておるのであります。これらの点につきまして公庫の役職員それぞれの立場において非常な苦労をいたしまして、政府の方策として意図されるところに極力沿うべく、日夜不断の努力をしておりますことを申し上げておきたいと存じます。  なお償還に関しましてのお尋ねでありますが、償還成績は、こまかくとりようでいろいろございますけれども、今までのところでは大体九十八、九パーセントまで期日内の納入があるということを申し上げて間違いないと存じます。ただ、これも地方的によほど差がございまして、たとえば私の方の九つの支所の管内で申しますと、あるときは広島支所管内が一番。パーセンテージがよろしい、あるいはあるときは名古屋支所管内が一番成績がよろしいが、札幌支所管内がどうも大体において比較的によろしくない。それで各支所に対する奨励のため、また金融機関に対する奨励のために、これらのパーセンテージは時々集計できるごとにこれを示しまして、もつぱら勉励に努めさせておる次第であります。しかし大多数は進んで期日前までに納めていただく方々が、ほとんど全部と申してよろしいかと思います。ただときにより、みんな大体が中産階級と申すよりも、むしろ庶民階層ということがねらいでありますだけに、一時の金の都合で翌月にまわるとかというようなことはときどきあります。そういうのが一々私の方では期間内完納でないという方のパーセンテージに上るわけでありますので、まあ今までのところでは、償還成績は、われわれ当務者としてはゆだんはできないけれども、まずく予期あるいはそれ以上の成績をあげておるのではないかというように考えております。何分近ごろあるいは漁業方面の不漁でありますとか、あるいは業態によつていろいろ違いますが、世間しばしば地方的に業態別に不振の箇所が出て参りますので、そういうことがわれわれの償還成績にほぼはつきり現われるような気持がいたします。常に各債務者に対しまして、適時適当なる償還励行の方途を怠らないように、各金融機関、各支所等に勉強していただくように督励中であります。  大体お答えしたかと思いますが、足らないところがありましたら、なお申し上げます。
  55. 高木松吉

    ○高木(松)委員長代理 それでは本日はこの程度で散会し、次会は公報でお知らせいたします。     午後零時三十一分散会