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1952-12-02 第15回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 篠田 弘作君    理事 田中 角榮君 理事 中島 茂喜君    理事 前田榮之助君 理事 安平 鹿一君       淺利 三朗君    荒舩清十郎君       内海 安吉君    佐藤虎次郎君       内藤  隆君    仲川房次郎君       西村 英一君    松本 一郎君       明禮輝三郎君    武部 英治君       舘林三喜男君    甲斐 政治君       山下 榮二君    荻野 豊平君  出席国務大臣         建 設 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         建設政務次官  三池  信君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  渋江 操一君         建設事務官         (住宅局長)  師岡健四郎君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         建設事務次官  稲浦 鹿藏君         建設事務官         (住宅局住宅企         画課長)    前田 光嘉君         建設事務官         (住宅局住宅経         済課長)    鮎川 幸雄君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 十一月二十八日  岡山より新郷を経て米子に至る間の道路国道  に編入請願足鹿覺紹介)(第一七七号)  糠平上川間道路開設請願高倉定助君紹  介)(第一七八号)  糠平然別湖畔間に観光道路開設請願高倉  定助君紹介)(第一七九号)  国道一号線改修工事施行請願江崎真澄君外  八名紹介)(第一八六号)  国道十二号線中愛知地内改修工事促進請願  (江崎真澄君外八名紹介)(第一八七号)  県道館山、東金間を国道編入請願森清君  紹介)(第二一三号)  東頸城郡下地すべり対策確立等に関する請願  (田中彰治紹介)(第二四〇号) 十二月一日  国道愛知県及び静岡県地内改修工事促進請願  (江崎真澄紹介)(第三〇四号)  松本より糸魚川を経て富山に至る間の道路を国  道に編入請願田中彰治君外三名紹介)(第  三〇五号)  鞍谷川改修工事施行請願奧村又十郎君紹  介)(第三〇六号)  駐留軍労務者退職金現金化に関する請願(門  司亮紹介)(第三二六号)  土樽村地内魚野川砂防工事施行等請願(田  中角榮君外一名紹介)(第三二九号)  八日市、四日市間道路開設に関する請願堤ツ  ルヨ君紹介)(第三四五号)  府県道大津、今津、敦賀線国道編入請願  (森幸太郎紹介)(第三七二号) の審査を本委員会に付託された。 十一月二十七日  駐留軍に伴う府県の諸経費全額国庫負担陳情  書(第四二一号)  工業用水建設促進に関する陳情書  (第四六三号)  都市計画促進に関する陳情書  (第四八三号)  国土建設施策優先実施に関する陳情書  (第四八四号)  治水対策費増額とその促進に関する陳情書  (第四八五号)  災害復旧費全額国庫負担事業促進に関す  る陳情書(第四八  六号)  地盤変動対策事業費に対する国庫補助金増額  並びにその継続実施に関する陳情書  (第四八七号)  土木工事設計単価の更正に関する陳情書  (第四八八号)  継続土木事業等につき継続費の設定並びに地方  債の承認に関する陳情書  (第四八九号)  国の道路費予算増額道路関係補修費国庫補  助増額陳情書(  第四九〇号)  国道一号線改修促進に関する陳情書  (第四九一号)  金沢、岐阜間を一級国道に指定の陳情書外一件  (第四九二号)  福知山市内国道十八号線の改修に関する陳情  書(第四九二  号)  舞鶴、鳥取間路線国道編入に関する陳情書  (第四九四号)  住宅金融公庫の融資わく拡大貸付利率の引  下げ等に関する陳情書  (第四九五号)  公営住宅建設促進に関する陳情書  (第四九六号)  日米行政協定に基く施設区域接収に関する要  綱改正に関する陳情書  (第四九七号)  接収解除建物補償に関する陳情書  (第四九八号)  駐留軍演習地補償費増額並びに接収地拡大反  対の陳情書(第四  九九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任及び追加選任  昭和二十八年度建設省関係予算に関する件     ―――――――――――――
  2. 篠田弘作

    篠田委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度建設省関係予算につきまして、政府政策と関連いたしまして説明を聴取したいと思います。三池政務次官
  3. 三池信

    三池政府委員 新内閣の新政策としていろいろ掲げおりますうちで、わが建設行政に関する部面につきまして、総括的な政策説明をいたします。数字その他は事務次官並びに関係局長から説明いたします。  内閣の新政策として取上げておられますうちの、建設省関係に直接関係があるものは、住宅関係といたしまして、勤労者住宅建設をしようということであります。住宅問題解決につきましては、先国会におきましても立法をいたしまして、建設省としてもいろいろの苦心をしておるのでありますが、財政力関係その他でなかなか所期の目的を達し得ない現状で、まことに遺憾に存じている次第であります。しかしながらわが産業の充実という面からしても、勤労者住宅を与えて、安んじて自分たちの仕事に専念できるための一つ方策として、勤労者住宅に力を入れたいというのであります。  また道路の問題は、国道を整備して産業開発その他に資したいというので、これはこの前の委員会でもお話申しましたように、その財源の獲得をはかるとともに、道路の整備をいたしたい。  治山治水の面にまた一つ、総合的な多目的ダムなどを建設することによつて治水目的を達するとともに、その他関係産業その他の面に資するような方策を立てたいというのが、大体今度の新内閣の新政策として打出しているところの要綱であります。これに沿うような予算をいただきたいとして計上しておるのであります。その数字その他は事務当局説明させることにいたします。私はこれで終ります。
  4. 篠田弘作

    篠田委員長 今の三池政務次官のいわゆる政策説明について、何か御質問ありますか。
  5. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)委員 これは希望ですが、大臣がおいでになりませんが、三池政務次官から大臣に御協議願いたいと思うことは、河川が昨年、一昨年のごとき、また本年のごとき、水害がきわめて少い年はまだいいのですが、第一に起つて来る大きな原因は、砂防ではないかと思うのです。この砂防工事自体というものが完備するならば、いささかでも河川改修に費す予算というものも割愛されるのではないか。しかるに今日の砂防工事の運行をながめますと、大体において建設省農林省と両省にまたがつてつておるのでありますが、こういう砂防工事というものに対しては、少くとも建設省管轄でなければならない。それを農林行政を行う農林省で行うということは、私はほんとうに健全な砂防工事施設というものは行われないのではなかろうか、かように考えますから、これは農林省から建設省に移管するように、主管大臣とともに話し合つて砂防工事建設省直轄のもとにやるというようにいたしまして、予算編成を組み得られるようにしていただきたい、かように私は念願しておるものであります。
  6. 三池信

    三池政府委員 お説まことにわれわれも同感でありまして、建設省自体としましては、もう大部前からいわゆる国土保全という面からいいまして、治山治水が緊密にして分離し得ないものであるという意見を持つておるのであります。しかし今日までの状態では、山林砂防山林行政の一環であるという建前から、農林省がこれを行つておるのであります。そうして、ただ建設省河川のいわゆる治水という面からのみの砂防をいたしているような次第でございますが、御意見のほどは十分大臣にもお伝えいたしまして、善処いたしたいと思います。
  7. 山下榮二

    山下(榮)委員 この機会にお伺いしておきたいと思いますが、建設委員会もこれで二、三回開かれたのですが、本日は特に明年度予算に対する建設省関係説明を伺うということであつて、きわめて深い関心を持つて伺つたのであります。それはさきに佐藤建設大臣が就任されると同時に新聞で拝承いたしたのは、わが国の道路補修する、あるいは道路の改善をはかり、あるいは新設を行う、こういう声明がある。過日の吉田総理大臣施政方針演説の中にも、建設関係に関する道路その他についても言及されておるのであります。戦災後の政治といい、あるいはひとり道路だけではなく、今佐藤議員からのお話のように、河川あるいは砂防という問題にいたしましても、きわめて重大な時期に到達いたしておりますので、本日などは大臣が出て来られて、大臣の新しい抱負と、明年度予算に対する大臣の心構えを委員会に述べられるのは、当然過ぎるほど当然なことでなければならぬ、かように私は考えておるのであります。二、三回開かれた中に、ただ一回だけ大臣あいさつかたがたのような調子でお見えになつただけで、皆目顔を現わしておられないのであります。補正予算等関係で多忙であつたことは私も了承いたしますけれども、今日はそういう多忙ももう済んでおるのでありまするから、ぜひ出席されて、それらに対する抱負経綸を述べてもらいたい、こう私は要求いたしたいのであります。私は阪神間におるものでありまするが、阪神間といたしましても、ここに陳情書等も参つておるのでありまするが、昔の旧国道が焼け跡そのままでありまして、これを第二国道にしてもらつて、なるべく早く完成したい、こういう地元の要望もあるようであります。これをこのまま放任しておきますると、無秋序住宅が建つたりして、道路建設の上に少からぬ支障を来すのではなかろうかということも予想できるのであります。従つて大臣の新しい抱負等伺つて、それに対処する方策をわれわれは考えなければならぬ、こう考えておりますので、ぜひ委員長はこの機会大臣出席を求められて、それらの方針を伺うことのできるように手配が願いたいと思うのであります。
  8. 篠田弘作

    篠田委員長 ただいま山下君のお説まことにごもつともであります。私もそういうふうに考えまして、きのう委員部に命じまして、佐藤建設大臣出席要求しておきました。けさ私からも特に電話で申してあります。従つてここに出席する予定であります。ところがちようど同じ十時から参議院建設委員会が開かれまして、こつちの開会ちよつと遅れたわけです。向うの方が先に開会しました。そこで今参議院建設委員会に行つております。説明が終り次第すぐこちらに呼び寄せますから、御了承願います。  それでは説明佐藤建設大臣出席するまで待ちますか。     〔「やつていてもいいじやないか」と呼ぶ者あり〕
  9. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは各局長からそれぞれの分担につきまして、一応数字説明をしてください。米田河川局長
  10. 米田正文

    米田政府委員 まず河川局関係だけを御説明して、最後に全局が済んでから、次官からまたお話を願うことにいたします。  第一ページで、一般と書いたところがございます。その中に河川等事業費というのと、次に鬼怒川外河川総合開発事業費幾春別川総合開発事業費砂防事業費、これだけが一般河川局関係予算であります。  それからずつと下りまして、一般の次に災害という項目がございます。その中に、一番最初に河川等災害復旧事業費というのがございます。これが河川局関係でございます。そこにごらんの通り一般河川等事業費と申しますのは、河川改修費を初めといたしまして、災害助成等を全部含むものであります。その内容は次にございますが、あとで御説明しますが、ここではそういう総括的なものが本年度予算では百六十七億二千三百四十万円でございます。二十八年度要求といたしましては七百二十四億千三十六万円を要求をいたしております。鬼怒川外河川と申しますのは、鬼怒川と北上川の猿ヶ石川と、それから高知の物部川の三河川でございますが、この三河川に現在多目的ダム実施しておるのでございます。これは継続事業費になつておりますので、単年度事業費と区分いたしまして、別途に掲げたのが、今年度十四億七千八百五十万円でございます。来年度要求を六十四億六千九十万円、その次は砂防事業費、ただいまもお話があつたのでありますが、今年度予算額四十億千六百万円でございますのに対して、来年度要求を百九十七億、約五倍の要求をいたしてございます。これだけ通りますと、たいていのものは御要求のものが一挙に解決いたすつもりでございます。  次の災害は、今年度二百四十一億三千六百九十九万六千円でございます。来年度要求六百六十二億七千七百七十万円でございます。その内容を申し上げます。  河川局関係要求といたしましては、洪水対策を根幹とする治山治水及び利水の総合計画を立てて、その線で実施をする。そうして目的は、国土保全開発の基盤を確立するという点に尽きるのであります。農地であろうと工場用地であろうと、すべてこれ国土であつて、その国土保全をするのが建設省の任務だという点に基礎を置いてございます。と同時に災害については、災害復旧事業早期完成目的にいたしております。  次の九ページに参ります。九ページでは、一般でございますが、一般を内地と北海道にわけてございます。一般直轄河川改修費でございますが、これは今日二十七年度実施をいたしております直轄河川七十六河川でございます。これを二十八年度継続実施して参りますと同時に、さらに新規河川を加えまして、七十九河川工事実施する計画を立てております。これは今年度八十億五千二十八万七千円でございますが、これを三百九十六億八千万円の要求をいたしております。なぜ三百九十六億というものを要求したかと申しますと、実は昭和二十四年度来、治水十箇年計画というものを策定いたしてございまして、それを実施いたして参りましたが、二十四年度から二十七年度の今日まで四年間経過して参りましたけれども、計画通り実施できないために、二十八年度からあとの六年間で一挙にこれを取返して、当初の十箇年計画を遂行しようとするのがこの計数を出した基礎でございます。この程度二十八年度にやり、さらに二十九、三十、三十一年度というところに予算の山、一番高いところを持つて来て、そして三十三年度に十箇年計画で現在手をつけておる直轄河川工事を一部完成させたいというねらいでございます。これはあとで申し述べますが、中小河川局部改修等の全治水関係事業完成いたしますと、現在水害地と称するものが日本に約百万町歩ございますが、この百万町歩水害箇所を全部救うことができるのでございます。その水害地が年々水害を受けるわけではございませんが、そのうちの約半分、五十万町歩くらいが昨年までの統計では年々災害を受けておる。すなわち五十万町歩くらいが年々水害になつておる。これを解決できるのであります。従いましてそれによりますところの減産防止、米だけの収量に換算いたしましても、約二百五十万石程度の減収を防止することができるのでありまして、一面増産をいたすことができるのであります。しかもこの浸水地は御承知のように河川沿岸の非常にいい土地でございます。これが水害から防止されますならば、非常な増産になるのでございまして、減産防止と申し上げますより、むしろ二百五十万石の増産になると確信をいたしております。また年々の最近の例に見ましても、水害浸水を受けます家屋が約八十万戸に達しておる現状でございます。これもまた解決できると思います。なおこれらの年々の水害額を換算いたしましてごく内輪に見ましても、大体年間の水害額は千五百億でございます。そこでこの千五百億という水害額をこの治水事業完成によつて解決しようというねらいでございます。このためには十箇年計画全部で国費として四千二百九十二億を要するのであります。これだけかけますと、年々千五百億の水害というものを防止できるのでございます。その四千二百九十二億のうちの二十八年度分としては、直轄河川三百九十六億を要求しておるのであります。そういう根拠のもとに、直轄河川要求しましたし、なお直轄河川で現在改修完成しましてすでにでき上つておるものについては、それを放置しておきますとまたすぐに災害を受けたり、あるいは早期破損を来したりするおそれが非常にありますので、それを維持したいというのが次の直轄河川維持費でございます。今年度は三億四千万円、来年度十億七千万円を要求しております。  次の直轄河川総合開発事業費、これは今年度一億七千四十四万円でございますが、来年度十億円と要求いたしております。これは新規総合開発事業を含んでございます。  次に直轄河川総合開発事業施設管理費というものがございます。これは内務省以来ずつと引続き実施して参りました総合開発事業としてはただ一つのもので、総合開発事業というものを二十八年度完成をいたすことになります。これは第一番に完成する総合改良直轄事業であります。これができ上りますと、ポンプを操作したり、門扉を操作していろいろ管理する必要がございますので、その管理の費用として五百万円を要求いたしました。  その次には河川調査費、これは一般治水事業の今後実施すべきものの計画を立てるのが主でありまして、その他現在立てておる計画の不適当なものを是正し、改訂しようというものも入つております。今年度二千四百五十万円、来年度二億円であります。  その次は河川総合開発調査費、これはいわゆる従来の治水計画からさらに飛躍をいたしまして、堰堤による洪水調節を主眼としたもので、そのほかに堰堤をつくりますについては、せつかくの落差を利用し発電をする。さらにその貯溜した水で灌漑あるいは工業用水等の確保をはかろうという、いわゆる多目的ダム計画を立てて行きます調査費でございます。  その次の中小河川改修費負担金、今年度二十五億二千五百万円、来年度八十九億を要求いたしておるのであります。これは継続河川が二十七年度は二百二十六本、新しく八十五本、計三百十一本の河川についての要求額でございます。言い落しましたが、中小河川というのは御承知のように、直轄河川に対する中小河川でありまして、府県実施をいたす河川でございます。その府県実施いたしますについての負担金でございます。  次の局部改良事業費補助と申しますのは、中小河川というのは、ある河川の一定の区域にわたりまして計画は全川にわたつてつて、その計画沿つて事業を進めて行くのでありますが、局部改良事業費というのは、ごく局部的な、長い河川の中の千メートルとか五百メートルとかいう非常に短かい区間で、しかもその場は局部的に非常に河川の流れに支障を来しておるような場所を改修するものであります。ですから全体のものでなく、ごく一部分事業であります。そういうものを今年度四億八千八百万円、来年度十四億であります。各府県ではこの点非常に関心が強いのでありまして、要望箇所も非常に多いのであります。  その次は災害復旧土木助成費補助、本年度五億六千六百三十七万六千円に対しまして、二十八年度に十七億四千三百万円を要求しております。これはある河川のある区域災害を受けますと、その災害を復旧するだけでは改修目的を達しない。途中に未改修部分ができたり、あるいはもう少し程度を上げれば全体の改修効果が非常に上るというようなものにつきまして、この助成費というものを加えまして、災害費と同時に施行することによつて河川改修治水効果を発揮しようという趣旨のものであります。  その次の河川補修費補助、これは現在各府県ですでに改修工事を完了しておる河川についての補修費補助しようという趣旨のものであります。これは今までなかつた予算でありまして、新しく二十八年度から項目を起して実施したいというものでありまして、三億円を要求しております。  次は河川調査費補助、これは府県で主として中小河川調査をして改修計画を立てるための調査費補助であります。今年度は八百五十万円に対しまして来年度四千二百五十万円であります。  それから河川総合開発事業費補助は、各府県で現在実施いたしております河川総合開発をやつて、主として多目的ダム建設するのでありますが、その多目的ダム事業費補助で、これは今年度九億六千六百九十二万七千円に対して十九億千五百五十万円要求してございます。  次の河川総合開発調査費補助は、多目的ダム計画するために必要な経費でございます。  その次の河川航路事業費補助は、東京都内航路補修でございまして、千三百六十万円を新しく要求いたしております。  そのほか次にこまかく書いてありますが、海岸堤防修築費補助二十八年度十二億九千万円、海岸侵しよく対策事業費補助八億二千万円、それから海岸局部改良事業費補助三億八千万円、海岸災害土木助成費補助四億円、高潮防禦対策事業費補助二十五億七千六百万円、海岸堤防補修費補助六億九千七百五十万円、これらはみな海岸に関するものでありまして、海岸改修経費でございます。  次の十一ページに参りまして、特別鉱害復旧費補助は、本年度一億七千九百六十万円に対しまして、二億七千百万円を要求しております。これは特別鉱害臨時措置法によつ工査定をいたしたものであります。一般鉱害復旧費補助は、本年度年度当初なかつたのでありますが、補正予算で今要求しておりますのが二千万円ございますが、来年度は一億二千四百万円を要求しております。  その次の地盤沈下対策事業費補助は、本年度一億円に対して来年度に二十六億四千八百万円を要求しております。  次の地盤沈下調査費補助は、地盤沈下対策事業に対する今後の計画樹立のための調査費補助であります。  次は海岸調査費補助でこれも海岸課査をしたいという趣旨課査費であります。
  11. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつと河川局長に申し上げますが、河川について一々説明するのではなく、大体重点をどこに置いているかということだけ説明してもらつてあとは書いたものを読んでもらつたらどうかと思います。
  12. 米田正文

    米田政府委員 大体それで一般を終りまして、あとは先ほど申し上げました鬼怒川ほか二箇川の継続事業費と、二十八年度から継続いたしたい多目的ダム直轄事業費、十津川ほか五河川要求いたしおります。これは来年度四十三億を要求しておりますが、これは今後の直轄事業のあり方を示す一つの顕著な例でありまして、従来下流の堤防偏重主義があつたのに対しまして、上流の山地で洪水を調節しようという転換をしておるのでございます。しかし一時に非常に経費を要しますために、今後の予算要求については最も強く要求をいたしておる点でございます。  その次は砂防でございます。砂防はこれも今までの予算項目従つて要求をいたしておりますが、新しい点といたしましては、特殊土壌地帯砂防に対する経費要求いたします。これは二十七年度補正予算において現在二億七千八百万円を要求中でございますが、来年度はさらにそれを大きく要求いたすという趣旨でございます。それと最近各地でダムが非常にたくさんできつつありますが、ダムの埋没という問題がいろいろ議論されております。ダム自身計画にも、ほとんど最近の大きいダムは、中に流れ込む土砂量を計算しまして、大体百年くらいの土砂量は流れ込んでもいいように設計をしてございますが、しかもそれもなお入らないに越したことはないので、ダムに流れ込む土砂を防ぐという意味で、ダム、貯水池上流の渓流の砂防をするという点を特に力説してございます。十二ページに砂防の小計というところがございますが、合計百九十五億が砂防要求予算の全額でございます。  それから次の災害でありますが、ここにあげてありますように、来年度は五百四十二億を要求いたしております。これはこの前もちよつと御説明申し上げましたように、二十三年災害と二十四年災害の残額を全部、それから二十五年、二十六年はその残額の二分の一を計上してございます。二十七年度災害については、いわゆる三、五、二の比例で、第二年度分ですからやはり五〇%を計上してございます。それでちようど五百四十二億に達するのであります。あとは同様な趣旨で小さい項目についての要求をいたしております。あとは二十八年に発生することを予想されるものについての予備費を計上してございまするが、これは大蔵省へいずれあとで一括して保留さるべき予算であります。  あと北海道について——北海道は御承知のように現在他の日本内地に比べまして未開発地域でありますので、これが開発という点に重点を置くと同時に道に対する、あるいは国が実施する事業についても高率補助をして行く従来の方針を継承いたしまして、補助率も高く、しかも重点的に開発して行こうという趣旨要求書を書いております。  直轄河川改修費は内地と同じように、やはり十箇年計画を策定して、その線に沿つて要求をしてございます。四十九億三千六百万円でございます。  それから特殊河川改修費、これは土地改良事業等の総合開発でありまして、従来の拓殖費のものであります。川の規模としては中小河川に相当する程度のものでありますけれども、全額国費で改修することにいたしております。  あと直轄河川維持費、直轄河川調査費等がありまして、さらに河川改修費補助、これは道で実施します内地のてございます。  継続費としては幾春別の多目的ダム建設事業を継続で来年度から実施いたしたいという計画でございます。九億円を予定いたしております。あと砂防も内地同様の方針のもとで要求予算を計上いたしました。以上でございます。
  13. 篠田弘作

    篠田委員長 何か御質問はありませんか。——なければただいま建設大臣がお見えになりましたので、建設大臣より御説明を承りたいと思います。
  14. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 第四次吉田内閣ができ上るに際しまして、私建設大臣を拝命いたしました。今後皆様から格段の御支援、御協力、御鞭撻を賜わりたいと思います。何とぞよろしくお願いいたします。  次に最近の建設省関係の諸政策につきまして簡単に大綱を御報告いたしてみたいと思います。  まず第一に、治山治水の総合的、多目的計画実施についてでございますが、御承知のごとく累年の災害による国土の荒廃はまことにはなはだしいものがありますが、産業、経済の復興と民生の安定を著しく阻害しておりますことはまことに遺憾であります。  かかる状態に対処いたしまして、政府洪水対策を根幹とする治水及び利水の総合的計画を急速に確立して国土保全をはかるとともに、河水の涵養配分を行い、諸利水事業の進展に資したいと思つております。  これがためには、河川管理の一元化を確立いたしますとともに、以下述べます河川改修多目的ダム建設砂防等の諸事業を積極的にかつ継続費制度の確立等によりまして計画的に推進する考えであります。  その第一点は、河川管理の一元化という問題でございますが、これについてはまず治水及び利水を総合的に調整し、かつ国土総合開発計画並びに治山計画との緊密な連繋を考慮いたしました河川計画を各水系について樹立し、河川を水源から河口に至るまで一元的に管理し、河水の配分及び河川に関する諸工事を一元的に行おうとするものであります。これがためには、現行河川法を全面的に改正し、河川に関する制度を整備いたしますとともに、河川審議会を設置いたしまして、複雑多岐をきわめる河川管理運営の万全を期して参りたいのであります。  その第二点は、根本的河川改修事業の推進でございますが、これにつきましては、既往の治水計画にこの際根本的検討を加えまして、重要水系についてはすみやかに根本的治水計画を確立し、昭和二十八年度以降におきまして強力にこれを推進いたしたいと存じます。  その第三点は、多目的ダム建設でございますが、冒頭に述べましたことく、治山治水の多目的計画の根幹をなす多目的ダムを積極的に建設することによりまして、洪水を調節しますとともに、電気事業資金等の事業資金をこれに積極的に投入いたしまして、刻下急務の電力を増強し、あわせて灌漑用水、工業用水、水道用水等を確保したいと存じます。  その第四点は、砂防事業の推進でございますが、治山治水の根本的対策としての砂防につきましては、さきに決定を見ました第一次砂防計画の達成を強力に進めて参り、これによつて土砂打止をはかり、もつて災害の軽減と利水ダムの埋没防止に寄与して参りたいと存じます。  次に重要幹線道路、資源開発道路の整備と、目的税設定による整備資金の確保についてでございますが、最近における自動車の急速なる発達と産業の進展、経済の復興に伴います自動車による貨物輸送量の急激な増大によりまして、道路に対する負担は深刻な状況であります。ここにおきまして国土開発基礎を開き、産業、経済、文化等の発展の動脈を確立するため、次の通り重要幹線道路及び資源開発道路の整備の促進をはかつて参る考えでございます。  その第一点は、道路改良の推進でございますが、東海道、山陽道等の主要幹線道路及び京浜、中京、京阪神、北九州地区等の周辺における産業経済上の重要な幹線道路等に重点を置きましたいわゆる幹線道路整備計画を推進いたしますとともに、電源、鉱産、林産、農水産業の資源開発道路の新設、改良、あわせて国際的観光地域における道路の整備もはかつて行きたいと考えます。  その第二点は、道路鋪装の促進と木橋の永久橋化でございますが、主要幹線道路及び都市内外の道路の鋪装を急速に整備しますとともに、幹線道路中にあります木橋のうち緊急を要するものにつきまして極力これが永久橋化をはかつて参りたいと存じます。  その第三点は、有料償還方式をもつて実施することが適当とされます道路の新設改良につきましては、さきに立法措置が講ぜられました有料道路制度を強力に活用することとし、来年度以降においては、これを積極的に発展推進させたいと考えます。  その第四点は、東海道における交通輸送の飛躍的増加に備えるため、東京神戸間高速度自動車道路建設を推進して参りたい。これがためには、建設費財源として極力外資の導入に努める考えであります。  その第五点は、目的税の創設による整備資金の確保でございますが、最近とみに顕著となつて参りました路面の悪化にかんがみまして、道路の鋪装を拡充し、路面補修の完璧を期するため、ガソリン税を確保いたしまして、これを特別財源として道路の鋪装及び補修経費に充当したいと考えまして、目下その具体的措置を検討中であります。  次に勤労庶民住宅建設促進についてでございますが、住宅の絶対不足と年々の人口増加等に伴います住宅の需要を充足しますとともに、早急に住居水準の向上をはかるため、勤労庶民住宅に重点を置きました次のような諸対策を実施して参りたいと考えます。  その第一点は、低家賃公営住宅建設でございますが、すでに決定されました公営住宅第一期三箇年計画十八万戸建設を実現し、さらにこれの拡充をはかることによりまして、低額所得者に対する住宅の供給を確保して行きたいと考えます。  その第二点は、住宅金融公庫融資住宅の拡充でございますが、これにつきましては毎年度六万戸建設を目標とし、中産階層の自己住宅建設と賃貸アパートの建設促進して参りたいのであります。  その第三点は、産業労務者住宅建設でございますが、産業労務者に対しまして、特に重点的に住宅を供給するために、国より事業主または労務者の結成する住宅組合等に対し住宅建設資金の約六割を融通いたしまして労務者住宅建設する制度を創設し、生産能率の向上と労務者の福祉の増進をはかつて行きたいと考え、目下具体策を研究中であります。以上申し述べましたほか一般民間住宅の自力による建設促進いたすため、住宅投資を容易ならしめるための諸方策について、目下いろいろと研究中でございます。  以上まことに簡単でございますが、最近の主要な点についての諸政策について御報告をいたした次第でございます。
  15. 篠田弘作

    篠田委員長 ただいまの建設大臣説明につきましても質疑の通告があります。順次これを許します。田中角榮君。
  16. 田中角榮

    田中(角)委員 大臣就任早々建設行政全般に対してたいへん勇敢に御発言になられたことに対して敬意を表するわけであります。しかしただいま大臣が言われた新しい建設大臣としての抱負の中には非常に大きな問題が含まれているのであります。当委員会は第一国会当時から各党とも超党派的な運営を続けて来たのでありまして、特にただいま大臣が発言せられた各部門に対しては、これが実現に対してあらゆる努力を払いつつ参つたわけであります。なかんづくその最も大きな要点としてお取上げになつた水系別調査を行つて、水源より河口までの河川行政の一元化を期し、しかもその問題に対する具体方策としては河川法の改正を早急に行いたいという問題でありますが、この問題は、明治二十九年河川法制定以来、日本の水の憲法とも言うべき河川法は、当然改正されなければならない状態にありながら、各省にこの行政が分属しておりますために、建設行政の一元化及び行政機構の根本的整理を含む問題でありますので、遂に河川法の改正はできずして参つたのでありますが、本委員会河川法の改正小委員会をつくり、すでに数度の小委員会設置によつて河川法改正に対しては理想的に近い案ができているわけでありますが、これが制定に対しては、各省との連絡、特に農林省及び運輸省、通産省等との水資源に対する行政権の問題で相当大きな問題が残されているわけであります。この河川法の改正をお取上げになつたことに対しては、私たち委員会としても非常に敬意を表しているわけでありますが、これが実現に対して、政府提案にされるのか、議員立法をもつて行うのか、その二つの道のいずれかを選ぶのでありますが、非常に通過の途上に大きな問題を投げるのでありますので、特にこの問題に対する大臣意見を徴しておきたいと考えるわけであります。もちろん議員立法によるといたしましても、各省との連絡その他に対しては閣議で当然議論をせらるべきでありますので、建設大臣として建設行政に対する施政方針の根本をお話なつた現在、河川法に対するお気持を率直にただしておきたいと考えるわけであります。  第二には、道路整備が緊急であることは申すまでもない。前の国会においてはいろいろ議論がありましたが、衆参両院において、最後の法律的な疑義は別としても、整備が実際的に必要であるということを主にせられて、道路整備特別措置法の通過もせられ、なおかつ大正八年制定以来、河川法とともに改正に悩んでおつた道路法も新しく整備されまして、道路整備に拍車をかけることになつたのであります。それが具体的処置として、衆参両院において長いこと懸案のものとして論ぜられて来た、ガソリン税を目的税として道路整備に力を注がれるという強い御趣旨の発言がありましたが、これも現行税法の問題でガソリン税を目的税にすることには、ほとんど与野党とも道路整備という大目的を達成するために異論はなかつたのでありますが、大蔵当局その他税法上のいろいろな難点があつたためにこれが実現できなかつたのであります。大臣は勇敢にこれを目的税といたしたいという御発言があつたのでありますが、閣内においてもせつかくこれが実現せられるように努力をこいねがつておく次第であります。ただしこのガソリン税に対しまして、大臣は今鋪装及び補修に対しておもこれを使いたいということでありました。ただいま予算説明伺つているわけでありますが、昭和二十八年度予算において、少くとも最低一般道路の公共事業費として二百億ないし二百四、五十億、できれば三百億程度の実現を期したいのでありますが、いろいろな問題上、われわれが思う通り数字が実現できないのではないか、それをカバーするためにガソリン税を目的税にするという新しい方策がとられるわけでありますが、鋪装及び補修という考えに対してはもう少し御研究になつていただきたい。しかもガソリン税を目的税にして、俗に言われているところの弾丸道路に重点を置くとか、鋪装、補修にのみ莫大な経費を使うというようなことに対しては、私たちの立場から考えると多少異論がある。というよりも、建設大臣がこのような方針で進まれることに対しては、もう少し慎重を期していただきたい。なぜならば、道路のこのような大きな問題を取上げるために、特別なるものに対しては道路整備特別措置法をもつて行うという原則があるわけであります。もう一つは新道路法によつて一万キロ以上にわたるところの一級国道の設定中でありますし、二級国道、重要都道府県道の設定を行うのでありますから、少くとも三十四、五年間のほこりをかぶつた道路法を整備をし、新しき内閣道路問題を取上げるということであつたならば、公共事業費プラス、ガソリン税の目的税に対しては、これは当然道路整備という、いわゆる鋪装及び補修というものに限定せられて道路費に使われなければならない、私はこのように考えるのであります。私はその意味において、政府としては、新しく設定せらるべき一級国道は、五箇年以内。二級国道は十箇年以内、重要都道府県道は十五箇年以内という程度で、完全に未改良地区の整備を行うためにこの目的税は使わるべきものだ、こういうふうに考えておりまして、大臣の考えとは違うと思うのでありますが、この問題に対する所見をただしておきたい、こう考えるわけであります。  もう一つ、これは希望的のものでありますが、住宅の必要は言うまでもなく、公営住宅法の制定も当委員会の議員立法として通過をしておるのでありまして、十八万戸三箇年計画も院議として通過しておりながら、今年度はわずか二万五千戸であります。これが拡充に対して住宅金融公庫等の融資わく拡大も考えておりますが、私たちが当委員会意見として申し上げておりましたのは、でき得れば火災保険会社の余剰金の投資は住宅部門に限定するとか、もう一つ具体的な処置としては、過年度につくられた公営住宅はできるだけ早期に分譲し、その資金も、新しく十八万戸建設の資金に条件付で繰入れる。これがためには新しく立法処置が必要なわけでありますが、こういう問題は私たちの委員会としても長いこと小委員会をつくつて研究して来た結論でありますので、この公営住宅の十八万戸建設に対しては具体的な処置をお考えになつて、でき得れば、法制上多少の疑義はあるとしても、過年度建設分の分譲に対しては適当なる処置をとられたいということを考えておるわけであります。右の大きな三点に対して大臣の所見をただしておきたいと存じます。
  17. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのお尋ねにつきまして、私の所見のあらましを申し上げてみたいと思います。  河川法は、ただいま御指摘になりましたように、水の憲法とも称すべき基本法でありますし、当委員会におかれましても、小委員会を設けられまして鋭意これが改正につき御検討を賜わつておるのであります。この点につきましては建設省といたしまして、また政府といたしまして、皆様方の御努力に対しまして心から敬意を表しておる次第でございます。この法律案の改正を取上げて参る、かような決意をいたしておりまするが、ただいま提案方式等についてきまつたものはございません。ことに在来からの経過等から見まして、皆様方、特に小委員会の御審議、決定の線につきましては、私ども心から賛成しておるような点も多々ありますので、これの扱い方につきましては、とくと御相談もいたして御支援を賜わりたいと思うのであります。特に御指摘になりましたように、最近河川の利用という面が大きく出て参つておりまして、治水の観点のみから河川法の改正を実は取上げ得ない現状にあるのであります。さように考えますと各省関係、ことに農林省関係におきましては幾多困難な、未解決の問題があるように思うのであります。御承知のように洪水に対しまして、洪水から国土を守る、さような意味においての治水事業の重要性ももちろんでありますが、食糧増産の観点に立つての河水の利用、いわゆる灌漑用水の確保ということにつきましては、これまた刻下のただいま最も緊急を要する重大な問題であるのであります。しかし私ども考えますのに、国土の根幹をなすと申しますか、国土保全あるいは国土の総合開発の動脈的な働きをなすものは、河川道路であるということが言えるのだと思うのであります。私どもはこの河川を、ただ洪水から国を守る、かように申しますが、その中には耕地の確保あるいは工業地帯の確保であるとか、さらにまた住宅の安全を期するとか、あらゆる面から考えて参らなければならないのであります。ことに食糧増産ということを考えてみますと、開墾干拓ばかりが食糧増産というわけでもないのであります。ことに現在の河川の荒廃に帰しておる状況から見ますならば、耕地が年々浸水される、あるいは流失される、その結果食糧の減産、これは見のがし得ない莫大な額に達しておると思うのであります。かように考えますと、いわゆる農業土木という観点に立つての主張もさることでございまするが、これらのものをも含めてのいわゆる国土保全国土の総合的開発、かような観点に立つて河川治水、利水ということは、これは国の経済の根幹をなす問題だと思うのであります。さように考えて、この河川法を最も重要な施策として、建設省としてはこの改正と取組んで参る考え方でございます。従いまして各関係省との調節はもちろんはかつて参らなければならないので、大所高所に立ちましてのりつぱな河川法をぜひともつくつて参りたい、かような意味合いにおきましては、当委員会が長い間小委員会を設けられ研究を続けておられるので、これらの原案等につきまして一層の御教示なり御指導を賜わつて、そしてりつぱな河川法をぜひともつくつて行きたい、かように念願をいたしておる次第であります。かような考え方をただいま基本方針といたしましてお話をいたしたような次第であります。  次に道路の問題でありますが、ただいま申したように河川道路と、これを根幹としての国土保全あるいは経済開発をはかつて参るべき筋だと思うのであります。ところがこの大事な道路——河川も同様でありますが、道路費といたしましての予算等は、なかなか国の財源が十分でありませんために、各地の要望にこたえるだけの予算を確保できておらない。御承知のように二十七年度におきましても、公共事業費で八十六億円、有料道路資金が二十二億、災害復旧のために約八十億、これらが道路につぎ込まれた予算の全体だと思うのであります。最近の道路の整備状況等を考えますと、本日閣議決定をいたしました一級国道の選定等にあたりましても、なお幅員その他が相当狭くて、近代的な交通機関を通すのには不向きだ、こういうような状況に置かれておるのであります。まして鋪装等の問題から見ますれば、てんで問題にならないのが現在の状況でございます。かように考えますと、道路の財源につきましては、恒久的な財源の確保、これは絶対に必要だ、かように考えて参りますると、諸外国の例等を考えまして、やはりガソリン税を目的税化するということが最も望ましい方法ではないか、かように考えまして、ガソリン税の目的税化を実は計画をいたしておるわけであります。もちろん総体の財源とのにらみ合せをいたさなければ、これ実現はなかなか期しがたいのであります。いかに理論に賛成をされましても、最後のところは国の財源、これとのにらみ合せの問題となると思いまするが、ただいまの状況のもとにおきましては、私どもはこのガソリン税を目的税化するという方向で、ただいま研究を進めておるのであります。そういう場合に、このガソリン税はどういう面に使われるか、これは今後の残された具体的問題になつて参るわけであります。ただいま田中委員からいろいろ御教示もありましたが、在来の公共事業費として支弁されております予算のうちには、保守改良の費用として考えられるものもあるわけでありまするが、そういう部分は、ガソリン税が目的税化されました場合には、この方向にわけられるものではないか。しかしいわゆる道路の新設というような予算につきましては、ガソリン税をもつてこれをまかなつて行くということはいかがかと思うのであります。財政的な問題は別といたしまして、理論的に考えますれば、いわゆる道路の新設自体は、この目的税化されたガソリン税でなく、他の財源によるべきではないかというのが、私どもただいま考えておる考え方であります。しかしこれらは国の財源自身の問題とも多分に関連を持つものでありますので、さらに具体的に、来年度予算編成の際に検討を続けなければ、まだ結論が出ないという状況にあるのであります。いずれにいたしましても、先進国と申しますか、外国等の例でも、この道路を利用しておる自動車が払つておるところのガソリン税、これを道路の改善に投入することによりまして、道路はますます発達整備し、自動車輸送は一層盛んになつて参るように考えておるのであります。今日の国内の財政状況において許しますならば、この際ガソリン税を目的税化して、そうして道路を整備し、国民負担を軽減して行く、かような方向にぜひともいたしたい、かように考えておる次第であります。  次に住宅の問題につきましてるるお話がありました。住宅問題は根本的に考えますれば、口ぐせのように言われます衣食住、この三つの問題の一つであり、衣食の問題がある程度解決しておる今日、住の問題だけが残された。これは国民生活にとつて最も重要な問題であると思うのであります。かような観点に立ちましての住宅対策を推進して参る考え方でありますが、ただいまのところ、まだその布石を終つた程度であります。従いまして、いろいろくふうをいたして参る部面が多いわけであります。ただいま御指摘になりました、火災保険会社の余剰金の投資のごとき、これはしごくごもつともな問題だと思うのであります。私どもにおきましても、これが実現につきまして、保険会社等と種々交渉を重ねておるわけであります。また公営住宅の問題も、予算の面から見まして、せつかく皆様方から力を入れてつくつていただきました三箇年計画を推進いたすにつきましては、現状は不十分な状況であります。三箇年に十八万戸つくるという計画を立てていただいたにかかわらず、初年度におきましては、わずか二万五千戸であつたかと思うのであります。これらにつきましては、今後残された問題といたしまして、ぜひとも力をいたして参らなければならないのであります。公共事業費による公営住宅建設、さらにこれが分譲等についてのいろいろの御意見があつたのでありまするが、この点につきましては、ただいま御返事を申し上げる状態になつておりませんが、御高見等は今後の行政の資料といたしまして、さらに研究を続けて参りたいと思つております。住宅の問題につきましては、あと公庫の資金の拡充の問題がありまするし、また来年度におきましては、労務者住宅の整備も考えておりまするし、あるいは民間の貸家の増加をはかるために、税あるいは資金の確保等についても、これまた考えて参らなければならないと思うのであります。いずれにいたしましても、住宅の問題については、先ほど申しましたように、ただいまようやくその緒につこうとしておる程度でありまして、今後さらに研究し、充実して参らなければならない面が多々あるのではないかと思うのであります。  以上簡単でございますが、お答えを申し上げます。
  18. 田中角榮

    田中(角)委員 簡単に私の希望だけ申し上げておきます。河川法の改正をなし、水行政の一元化をはかることは、ただいま大臣御言明の通り論をまたないのであります。河川法の改正につきまして各省間の意見をまとめることは、言いやすくして行うことははなはだ難事であります。水行政の一元化、行政機構の単一化という大目的達成のために、建設大臣せつかく勇敢にひとつ御努力を願いたい、かように思うのであります。河川法の改正がもしできるとしたならば、各省間に分属しており、多年懸案となつておる水道法、堤防法、海岸砂防法、ことに厚生省、建設省の共管事項としていろいろな問題を残し、当委員会の努力によつてできた公営住宅法等の問題に対しても、根本的に解決するのでありますので、河川法の改正に対してはひとつ一大努力をこい願つておきます。道路整備のためにガソリン税を目的税とすることは、同じくらいの難事であろうと思います。これは各政党ともこれが目的税化することに努力しておりますが、現行税制上このような措置がとられた場合、ほかにもいろいろ目的税化しろというような比較論で、いつも消滅しておるのでありますので、これを目的税化すことに対して大きな努力を願いたい。なお目的税となつた場合の使用方法に対しましては、根本的な観念の相違があるようでありまするが、当委員会とも十分の連絡をとられ、二十八年度予算の編成に対しては、意見が食い違うようなことのないように希望いたしておきます。特にこの三つの問題を解決するためには、あらかじめ閣議了解事項として、河川法の改正とガソリン税の目的税化に対しては、その程度の処置をとつていただきたい。閣内において非常な大政治力を持たれる佐藤建設大臣ができないとしたならば、永久にできないと思つております。特段の御配慮をこい願つて私の質問を終ります。
  19. 篠田弘作

  20. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)委員 私はしばしば質問しておりますが、今日は大臣がお見えになりましたから、河川改修に伴う砂防施行法、いま一つは都市計画施行法に関し、いま一つ道路行政運行の予算あるいは審議会の問題について、この三点でお尋ねしたい、かように思います。  私どもは第四次吉田内閣の閣僚の中で政治力の一番あるのは佐藤建設大臣だ、かように強く信じております。その強く信じておる私ども建設委員を裏切らざるように、ひとつ政治力を発揮していただきたいというのが、まず第一のお願いです。  私は先ほど三池政務次官にお願いしておつたのでありますが、河川改修費というものが三百九十六億予算に組まれておる。ただいま河川局長お話を承りますと、大体年々百万町歩流失する、浸水家屋が八十万戸あるのであります。これはどういうところからよつて問題が起るかということは、土砂の崩壊による流出によつて、川が高まつししまう。これは三百九十六億なんという予算をかけなくても、いま少し砂防工事に力を注いだならば、こういうともいささかでものがれるのではないか。そこで砂防費というものが百九丁五億か六億が予算に今繰入れられているようでありますが、私どもは常に農村地帯を歩き、各所をまわつておりますが、砂防事業というものは河川行政と一体のものでなければならないと思うのです。しかるに建設省における砂防費が百九十五億、しかしながらこれは百九十億ばかりのはした金ででき得るものじやない。ところが農林省においても砂防事業というものをやつておる。まだその予算を調べには行つておりませんが、おそらく農林省においもそれくらいの予算は計上されておるだろうと思うのです。農林省自体というものは、農村の改良、振興に寄与するものであつて、あえて土木行政に必要のものではないと私は思う。そこに河川とのにらみ合いを考えるならは砂防工事というものは、その予算は全部建設省河川課において、砂防質をとることが妥当ではないか。これはどうもわが田に水を引くようで、農林省においては、どうもそれをやらなければいかぬだろう、かように申して、今まで各省内の争いになつておるように聞き及んでおりますが、一応砂防工事に関しましては建設省に移管されるように、大臣の力ででき得るかどうか、これをまずひとつ承りたいと思います。  都市計画が今日遅々として進まざる原因はどういうわけか。昨年度予算を見ますと、たつた四十億ばかりしかない。これを本年度は百十一億要求しておるようでありますが、都市計画というものは、今日の道路行政にも関連するものでありますが、これだけ自動車交通が頻繁に相なりまして、都市計画ができ得ざるために、今日非常に事故災害が起きる。今日都市計画が遅れるならば、遅れるたびごとに家は建ち、あるいは公共物は建つ。そういう都市計画の範囲内においてこれをあけておいてくれればいいが、あけてない。これに伴う予算は相当負担しなければならないものが起きて来る。これは昨年度は四十億でありますが、百十一億要求しても、それでもおそらく足りないじやないか。早くやらなければますます来年度は二百億も要求されるような結果に相なる。どうしても百十一億の予算を満たすようにしていただきたい。私は簡単に話しますが、そういたしますならば、家を建て倉庫あるいはへいを建てる、そういう構造物を取除くための負担金が少くなりますから、この予算は大いに支出する必要ありと感じております。これに対して大臣はどういうお気持でおられますか。  道路問題につきましては、ただいま同僚の田中君からの質問に対して、ガソリン税を目的税にするかどうか、あるいは道路法の改正ももう一ぺんやつてみようか、あるいは河川法の改正もやつてみようかというお話大臣からありましたから、簡単に予算面において大臣のはつきりした抱負をお聞きしたい。昨年度道路費というものが四百八十億要求されて、それをたつた八十六億、しかのみならずその査定は幾らかといえば、七十七億、それが安本の査定であり、大蔵省は六十六億に査定して、道路利用者会議の人が文句を言つたり、あるいは議員が文句を言つて、辛うじて八十六億になつた。四百八十億の要求に対して八十六億ばかりでどうするか。本年度は少くとも内地だけでも五百七十億、北海道が百十一億ですか、予算を計上しておるようでありますが、これに対して本年度ガソリン税をいかにするか、昨年度は百十一億のガソリン税があつた。本年は百七十億から二百億になんなんとする予算である。このガソリン税だけでも百十一億ありますのにかかわらず、道路改修建設鋪装費がたつた八十六億ばかりの予算をよくも大蔵省が出し、しかもこれでよく当局が応じた。ときの大臣がよくこれで承認した。大臣の手腕のあまりに力のなかつたことを私どもは嘆くのであつて、これに対して政治力の一番ある佐藤大臣は、本年度は百七十億から二百億になんなんとするガソリン税、これに幾らプラスができて道路費を奪い取れるか、その大体の見通しをお聞きしたい。  そこでいま一つは、道路審議会でありますが、道路審議会は大臣の諮問機関であろうと私どもは考えておる。私も追放に相なりまして、政治の空白が大分長かつたのでありますが、道路審議会というものがありまして、先般次官、局長さんから一級国道がこういうようにきまつた、こういうお話でしたが、建設委員会の中には道路委員あるいは河川委員とか、各小委員もありまして、その専門部面を研究しておる人もあります。一応審議会でおきめになります前に——今度は二級国道編入に関する審議会がやがて生れて来るであろうと思います。お役所の方できめてしまい、あるいは学識経験者、専門部員の審議会できめたものを、これできめただけでわれわれにのめといつても、われわれはのめません。何のための建設委員であり、何のための道路委員であるかということもお知りを願いたい。そこでこの審議会にかける前に、少くとも道路委員会ぐらいにかけて、われわれの意見を十分聞き入れて、この審議会を運行せしむるお考えがあるかどうか、これらの点についてお尋ねいたします。
  21. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 砂防の問題を第一にお尋ねでございましたが、砂防行政はなかなか複雑な状況にただいまあるように、しろうとである私には感ぜられるのでございます。佐藤議員砂防については特に御研究があり、また在来からの御因縁も深いようにただいまのお説で拝聴いたしたわけでございます。大体各省で類似の仕事をいたしますについては、国会等におきましても、また国民から見ましても、いろいろの批判があるだろうと思うのであります。しかし私の理解しておるところで考えますと、建設省のやります砂防、同時にまた農林省のやります砂防等につきましては、形の上からはいかにも似通つたようでありまするが、おのずからその分野があるのではないかと理解いたしておるのであります。御承知のように、最近行政の分野におきましても、分業化され、また専門化される状況にあるのであります。これが専門化され、分業化されるといたしますと、とかく総合的な機能発揮において欠くる心配もあるのであります。私は大いに専門化すべし、また場合によりましては分業化してもさしつかえない。大まかに申せば、農業土木と、私どもの方でやつております河川土木は、扱い方も違いますし、方法等も違つておるのであります。従いまして、それぞれ専門化することは別に悪いという筋のものではない。問題は、専門化した結果、全体としての総合的機能を発揮することができないようになりますれば、それは分業の弊であり、専門化した弊だといわなければならない。それをためて参りますのが私ども行政の府にあります者の仕事のように考えておるのであります。かような観点に立ちまして、今日なかなか複雑な様相を示しております砂防行政につきましても、総合的な機能を発揮するようにぜひとも努めて参りたいと思つておるのであります。ことに中央においての事務の処理方よりも、問題は末端にあるのではないかと思うのであります。引受けます地方におきましては、これは一箇所において双方からの注文なり要求なりを受けて、そこで地方の方、町村あるいは県等におきましては非常にお困りの問題もあるのではないか。これは中央において今後特に留意し、さような弊に陥らないように注意しなければならないものだと思うのであります。この点はただいま御指摘になりましたような考え方を持つておるわけでございます。  第二の都市計画の問題でございますが、都市計画は、これまた御指摘のように非常に遅れております。ことに最近の地価の高騰等を考えますと、都市計画を進めて行く上において、これが遅れて参れば非常な出費になり、しかも恒久的計画を樹立することが困難であり、地方として非常に御迷惑をこおむつておられること、これは御指摘の通りの状況にあるのではないかと心配をいたしております。従いまして、都市計画、ことに戦災都市の復興等につきましては、在来もたいへん力をいたして参つたものでありますが、今後におきましてもさらに力をいたさなければならないのではないか、かように考えておる次第であります。ただいまのところ都市交通の重要性等の点から、市内の道路の整備等につきましていろいろ力はいたしておるのでございますが、まだなかなか都市の要望に沿い得ない状況でありまして、この点は御指摘の通り私どもも、まことに遺憾に存じておる次第でございます。  第三点、道路の問題につきましては、これが整備について力をいたすべしだという御鞭撻を賜わりまして、私どもも非常に喜んでおる次第でございます。しかしただいま皆様方の御審議をいただきまして法律ができ上りましたその法律に基いて、一級国道を選定して参つたわけであります。私別に立法府と行政府というような考え方で議論を申し上げるわけではございません。あの一級国道の選定等につきまして、一応道路審議会へ諮問し、そして具体的なものを決定して参るということになつております。かような意味合いにおきまして一級国道の選考が進んで参つたものだと思います。しかしながら先ほど来田中委員も御指摘になり、また佐藤委員からもただいまお話がありましたが、立法府と行政府との連携は十分緊密にいたさなければりつぱな仕事にはならないものだ、これは私どもの絶えず考えておる点でありまして、かような点から考えまして、立法府の皆さん方と行政府の実際の行政のあり方等について欠くる点がありますれば、これは将来十分注意をいたさなければならない問題だと考えておるのであります。これらの点につきまして、御叱正なりをいただきました点につきましては、今後十分考えて参りたいと思います。この点は別に他意あるわけではないのでありまして、ことに当委員会におかれまして超党派的にその機能、その権限を運用しておられます皆様方に対しまして、私ども心から敬意を表しておる次第でございますので、今後一層注意をいたしまして、十分連携を緊密にいたすように注意をいたしたいと思います。
  22. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)委員 懇切なる決意等御披瀝を願つてありがとうございましたが、私は道路審議会が立法府である国会を無視しているように考えて、いまだその頭が去らない。一級国道道路審議会の方においてそれをきめてしまつてわれわれに提示された。やがて目前に参りますものは二級国道である。この審議もおそらく審議会で進めて、大体はきめられているのではなかろうかと考えているが、もし私どものこの委員会なり、国会を無視するようなことがありますならば、この問題について委員会は相当強硬な申合せをいたしております。二級国道編入問題に閲しまして、一応小委員会なり、いずれの委員会にでもお諮りを願いたい。永し幸いにしてわれわれの委員会を尊重していただきますならば、委員長なりあるいは小委員長なりを審議会の委員として任命を願いまして、われわれの意見をそれに取入れていただくというようにできるかどうか。その点をひとつ重ねてお願いしておきます。
  23. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お答えいたします。ただいまの審議会の委員には国会の議員の皆様方は特別な手続等を要するのでありますので、これを委員にいたします際には法律に根拠を持つことに相なつておると思います。これは私不勉強で、実はどういう法律になつておるか存じないのでありますが、おそらく国会議員は審議会から除かれておるのではないか、かように私考えております。
  24. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)委員 それでは審議会にかかる前に、一応小委員会に諮つていただきたい、こういう希望を述べておいて、私の質問を打切ります。
  25. 淺利三朗

    ○淺利委員 今突然参りましたから、すでにほかの方から発言があつたかもしれません。ただいま道路審議会の問題について当委員会との間に十分連絡あるべしとの意見佐藤委員からあつたようであります。私もこの委員会委員の選定については、ただいまの委員はいずれも学識、経験あるという範疇には属するであろうと思うのであります。しかしながら個々の方々を見ますると、あるいは大会社の社長とか、あるいは大都市方面の方が多い。この道路法の改正においては、従来のように、目前の経済効果を主眼とするにあらずして、将来の国の開発、未開発資源の開発、あるいは全国の道路幹線網の普遍的効果を上げるという観点からこの法律ができておるのであります。この法律の趣旨を体してやる上において、その方面の特別の、あるいは利害の関係について詳しく知つている、あるいはまたそういう方面の大きな見地から判断を下すという方面の人は何人かあるであろう。私どもはそういう見地からも少しこの委員の人選については考慮を払つていただきたい。そうでなければせつかくのわれわれの企図したところの立法が、これを実施する上においてはわれわれの意見とぴつたり合わぬというような結論が出るおそれがあるのじやないか。そういう点をわれわれ憂慮しておるのであります。もとより大臣が選定されたる練達堪能のいわゆる道路に関する学識経験者、こういう範疇には属しておるでありましようけれども、われわれから見ればほかにもまだ委員にいい人があると思うのであります。道路に関する学識経験者という範囲の人はあの現在の委員以外に存在しはせぬか、この方面の考慮も十分払われて、この道路法の改正の趣旨というものを十分に尊重して、実施の上にこれを実現するというような効果を上げることを私は期待しております。ただ本日はその点について関連して一言希望を申し上げておきます。
  26. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)委員 これは大臣も十分御承知のことと思いますが、国土総合開発審議会、北海道開発審議会あるいは運輸審議会、国会議員がこれらの審議会に入つておるが、一番重要である道路審議会だけ特に除かれるということはあまり不見識のように考えますが、これは国会の承認を得るならば入り得られることになりますから、それは今会期中に国会の承認を得るようにいたしたいと私どもは念願しておるが、大臣もこれには特に幹部として御承認を願いたい。
  27. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今御指摘になりました国会議員が各審議会の委員になります場合には法律にはつきり明記いたしてあるわけであります。この道路法はいかような審議の経過ででき上りましたか、私当時の模様を十分知らないのでございますが、たしか議員立法をなされて一応ただいまのような条文が整備されておるので、この点あしからず御了承を願いたいと思います。政府において特に反対をいたしておるものでないことを申し上げておきます。
  28. 前田榮之助

    前田(榮)委員 佐藤大臣にお尋ねを申し上げたいのでありますが、今佐藤大臣から建設行政に関する重要な点の御説明を伺いまして、いろいろ広汎にわたる建設行政を積極的に行おうという御意思を承つて、その点は非常に敬意を払う次第であります。私はこの際お尋ね申し上げたいのは、なるほど一応そういう御構想のもとに建設行政をおやりになることはよろしうございますが、現下、従来自由党がとつて来られました政治のやり方で、はたして大臣のおつしやるようなことが理想的に実現するかということについては、多少の疑問を持つておるわけであります。そういう点について御質問を申し上げたいのでありますが、まず第一にお尋ね申し上げたいのは、災害復旧の問題であります。従来の大臣は、釜谷、増田、野田各大臣ともいわゆる災害は三・五・二の比率で三箇年で復旧を完了するということをたびたび当委員会においても力強く主張されたのでありますけれども、ただ主張に終りまして、きわめて遺憾の状態に今日至つておることは御承知通りであります。  いかに口でうまいことを言われても、それが成果が上らなければこれは何もならぬわけでありまして、私はその点については佐藤大臣はいわゆる閣内におけるところの有力な方でもございますから、必ず実行されると思うのでありますが、今後、来年度予算について、今河川局長からもいろいろ要求内容説明伺つたのであります。すなわち河川につきましても災害復旧については、その要求は、今過年度災害として残つておりますところの二十三年、二十四年の全額と、二十五年、二十六年の半額と、それから二十七年の、これは三・五・二の比率において行う点からこれも半額、これの要求をいたしておるということであります。こういうことが実現いたしますならば、大体三・五・二の復旧は軌道に乗るといつてもさしつかえないのでありますが、しかしながらこれはぜひともやつてもらいたいと念願をいたします。念願はいたしますが、今聞くところによりますと、各省から要求案として出ておるものが何でも一兆七千億とか厖大な要求がなされておる。これは当然独立国家となつて発足するのに各省とも切り詰めて必要なものを力強く要求されておるものであろうと思うのでありますが、そういう点になりますと、この金額をのむことができないことは、これは政治の常識からいいましてもだれしもうなずかれる。従つて相当厳重な査定を大蔵省で受けることになるのでありましようが、そういうことになりますと、三・五・二の率によるところの復旧がまたくずれるのではないかと非常に心配する。そういう点をいかに考えておられるか。こういう点をまず第一点としてお尋ね申し上げる次第であります。  それからその次にお尋ね申し上げたいのは道路の問題でありますが、今補修費としてガソリン税の目的税とする点を明確に大臣から力強く主張された点については、当委員会はずつと前からこのことを超党派的に各委員から主張されておりまして、これの実現方について強い希望を持つて参つたのであります。ところが先般道路委員会におきまして、愛知大蔵政務次官も呼びまして、この点も懇談を遂げたのでありますが、大蔵省の考えといたしましては、大蔵大臣は何といいましても、これは実業界から出られた方でありまして、税の体系などということについて、どちらかというと、そうその道の人ではないと思われる。そうすると、大蔵省はえぬきの愛知君あたりの意見がこういう点については相当量要視されるのではないかと心配するのであります。愛知君の考えでは、ガソリン税のみならず、すべての目的税を承認した税の体系を立てるかどうかというようなことについては、大いに研究しなければならぬというような言葉もありまして、どちらかというと、反対の意思のようにわれわれは聞き取つて参つたわけであります。これはもちろん全然腹からの反対では——そういうようなことができるならば、やりたいというような気持であろうと思うのでありますけれども、どうもその点割切れないところがあつたのであります。それでこれはすでに閣内等で今まで多少論議されたことがありますかどうか。ありますならば、それに対する将来の見通しが大体つくだろうと思うのでありますが、そういう点で税体系の根本的な改正等が、こういう場合に問題になろうと思うのであります。佐藤建設大臣は、こういう目的税が実現するためには多大の御努力を願うことでありますが、その見通しについて、大体閣内のことはおれの政治力にまかしてくれ、おれがやつてみせるからというようなことをお聞かせ願えればたいへん仕合せだと思うのであります。  それから道路の問題でありますが、今日の交通機関の発達した時代におきましては、鋪装してない道路道路の中に入らぬと私は思う。少くとも今日の世界各国の事情から申し上げましても、通路ということなら別でありますが、道路と名がつけば鋪装してあるべきものだというような考えで道路行政をやつて、鋪装ができなければ道路という名前は当分つけない、鋪装して後に道路という名前をつけるのだというくらいのところまで行かなければならぬと思う。しかしながら、それはわれわれの一つの理想、希望でありますが、現実の日本ではそういうことには相当困難が現実にあるのでありまして、御承知通りに今度の道路法による一級国道にいたしましても、いまだに鋪装どころではない。自動車さえ交叉できないくらいのところがある現状であります。そういう際に、今建設大臣はいわゆる高速度道路の問題を出されております。これは本年の調査費によつてすでに調査にかかつておられる。しかしながら、私はこの高速度道路のできることを希望し、どうしてもその点まで日本の交通機関の発達、文化の向上をはからなければならぬと思いますけれども、さしあたり今の一級国道程度の、やはり八メートルなり十メートル程度道路が九州のはてから北海道のはてまで一本くらい通らなければ本物ではないと思う。こういうわれわれの足元に緊急欠くべからざるものがある時代において、これの片をつけないで、ただ高速度道路というようなことはこれはもちろん外資の導入によるとおつしやいますが、外資の導入によるのにいたしましても、この道路、つまり現在の一級国道というものの完成を、何をおいても、他のものは犠牲を払つてでもこれを完成せしめる。こういうことでなければ、私は一級国道完成というものが非常に困難ではないかと思うのであります。この一級国道完成を全力をあげてやるということの観点に立つて、いわゆる重点的な道路政策、こういうものによつてやるというようになされてはいかがかと思うのでありますが、この点ひとつ御意見をお伺いしたいと思うのであります。  それからその次に住宅の問題でありますが、なるほどこの住宅にはいろいろな方法を従来とつて参つたわけでありますが、ただ日本の住宅は今日まで非常に遅れて参りまして、なお三百万以上の住宅の不足を来しておる。この問題の解決を見なければならぬ状態になつておるのは、終戦以来日本において住宅について私は政治的な貧困が非常にあると思うのであります。すなわちこの建築物等につきましては、住宅よりもむしろたとえばビルディングとかいうようなものが、御承知通り東京、大阪等においては非常にたくさんでき上つてつておるのでありますが、こういうことは西ドイツにおいても、その他欧州各国においてもおそらくやつておらないと思う。むしろそういう建築資材あるいは建築資金、こういうものはアパートその他の住宅に振り向けられておるのであります。ただ日本は力のあるところへ力が片寄つて——こういうことをこの委員会で言うことはどうかと思いまするが、自由党の自由経済というものが放任主義であるために、力の強いところへ力が寄つたという結果になつておる。ほんとうに住宅に熱意のある行政を行おうといたしますならば、早くこういうものを統制して、そうして私はどうしても住宅重点主義でなければならぬと思う。今日東京都をわれわれがこうやつて見ましても、あまり国民生活に直結いたさないところの、いわゆる料理屋だとかその他いろいろな建物は盛んに建ちますが、住宅は依然として思うように建たない。これが今の政治住宅に熱意があるようなことをおつしやいましても、ほんとうに熱意がそこまで届いておらない原因ではないか。それで高級料理店等はもうかるんだから建てるのは当然なのでありまして、放任すれば当然そうなるのであります。私は終戦後そういう点についていろいろなことを見ておるのでありますが、制限をしておつたときにも、いろいろな法の裏をくぐつて、あるいは会社の寮だと称して料理屋の建設をやつて、用途変更をやつて、でき上つてみるとりつぱな料理屋の看板がそろつと上つて来る。こういうようなことが随所に見られておるのでありますが、そういう制限を加えて法律をつくつても、法律の裏をくぐるところの実情であつた。ましてや建築制限というものを解きますると、そういうところへ力が片寄るのは当然なのでありまして、ほんとうに住宅をやろうといたしまするならば、欧州各国に行われておるように国営でアパートをつくる。しかしそのアパート等をつくる場合において、これを鉄筋またはセメントでつくるというように、今後はどうしても不燃化建築でなければならぬという観点から考えましても、これの生産は国費をもつてつて、そうしてコストを下げますならば、おそらくセメントでも半額以下で供給ができると、私らの研究によりましてそう見ておるわけであります。そういうところまで行かなければ、ほんとうに住宅建設は解決がつかないと思うのであります。そういう点について、高級料理店、あるいはそう急がなくてもよいと思われるようなビルディング、または映画館、その他いろいろな娯楽場、ことにこのごろはやつておるパチンコなどに至つては言語道断のものがあると思うのでありますが、これらについての制限等をお考えになることはできぬでありましようか、ひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。  それから、あまり小さいことにわたることはやめますが、従来建設委員会において、いわゆる行政改革のときに問題になるところの建設行政、ことに国土行政の一元化、いわゆる国土省をつくるべしということがいろいろ問題になつておるのでありますが、御承知通りに、河川法をつくる場合におきましても、あるいは水道法をつくる場合においても、いろいろな各省共菅関係で問題を起しておるのでありますが、行政の一元化のもとに、国土の総合開発等の問題から国土の最も効率的な利用の問題、こういうことをこの際日本は考えなければならぬのではないかと思うのであります。日本は戦争によつて約半分に近い国土を失い、そうして山岳が多く、ことに荒れ果てた河川の多い国においては、特にこの国土というものを最も効率的に利用しなければならぬと思うのであります。そういう点から河川改修等は、お説の通りに非常に重点を置いてやらなければならぬと思うのであります。ただ日本のこういう国柄を最も効率的に最も有効に使うのは、水の多い日本が水をいかにして使うか、少い土地をどういうように使うか。多目的ダムもその一環でありますが、こういうものをいかにして産業あるいは国民生活と結びつけて行うかというところに重点がなければならぬと思う。そういう点の御構想をもう少し佐藤さんからお聞かせ願わなければならぬと思うし、今の佐藤さんの政治力で力強く日本を計画的に発展せしめるようにやつてもらわなければならぬと思うのでありますが、そういう点のお考えをお聞かせ願いたいと思うのであります。
  29. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 前田委員からだんだんお教えをいただいたわけでありますが、今私どもの計画といたしましても、なかなか困難な問題は、ひとり建設部門ばかりではなく、各面にわたりましてあるわけであります。従いまして、私ども建設省政策を推進して参りますにつきましては、かねてから聞かされておりますように、当委員会においての超党派的な御支援はぜひ望ましいことと心からお願いしておるわけであります。おそらく今後ともそういうような観点に立ちまして、皆様方に御協力をお願いするだろうと思いますが、何とぞよろしくお願いいたします。  そこでただちに具体的な問題に入つて参りますが、たとえば災害復旧の問題にいたしましても、災害を復旧するという場合から考えますれば、災害が起りました初年度におきましてまずその三割、次年度五割、三年目に二割をして復旧を完成する。これは復旧計画としては当然考えらるべき筋のものだと思います。従いまして、私以前の各大臣におかれましても、また皆様方の御支援を得まして、いわゆる災害復旧について三、五、二の比準によつてこれが復旧をはかつて行くという大方針を立てておるのだと私は理解をいたしておるのであります。しかしながら国の財政状態から、必ずしも災害発生の状況に対応して、これが増減できぬわけのものでもないのであります。従いまして、この災害が非常に多かつた年におきましては、ただいま申しました三、五、二の大方針のもとにおきましても、所要の予算はなかなか確保できない。過年度災害が今日非常に多額の部分を占めておりますゆえんも、経局国の財政によりまして左右されておることだと思うのであります。この点は先ほどもお話にありましたように、建設省要求予算について必ず査定を受けるものだろう。現在の財政状況から見て、各省から出ている一兆八千億近いものがそのままうのみにされないことは火を見るよりも明らかであるというように考えると、必ず査定を受けるだろう。査定を受けるならば、三、五、二の比準の確保ができないじやないかという御指摘でありましたが、これは査定を受けるということ、いわゆる国の財源が不足しておることから、私どもの念願の大方針の実現が困難な状況に置かれている点は、御承知がいただけると申しますか、実情についての御理解は賜われるのではないかと思うのであります。ただ私どもが念願をいたしておりますのは、災害復旧の緊急であること、また地方の罹災町村の安定なり経済発展を期するためにはどうしても早期に災害を復旧しなければならない、かように考えますので、できるだけの努力をいたしまして、この災害復旧の大方針の線を確保して参りたい。かような努力をいたす考え方で、おるのであります。この点につきましては今後とも一層のお支援をいただかなければならないと思うのであります。もう少し言葉をつけ加えて補足説明いたしますれば、災害予算は、財源につきましては大体の限度がありますが、災害はそのときどきによりまして違うのでありまして、非常な大災害をこうむつた際におきまして、財源酌措置が実はつかない。そこで災害復旧の緊急なる観点から、現実には予算に拘束をされないで災害復旧ができるような処置がないものだろうかというので、いろいろ研究をいたしておるのでございます。皆様方からもいろいろ御高見を賜わつております、たとえば災害復旧基金とかいうような問題が当然出て参るのであります。ただいまの情勢のもとにおきましては、その点まで政策を取上げる状況になつておらないことを、私もまことに残念に思つておるのでありますが、災害復旧の緊急なる点につきましては、ただいまの状況では一応予算をとつて行く、そうしてできるだけこの大方針の実現を期して行く、こういう方向に努力をいたして参りたいと思うのであります。  第二点のガソリン税の問題でありますが、ガソリン税の問題は御指摘のようにこれはなかなか困難な問題であります。私の持論ではありまするが、在来の考え方から行きますれば、これは画期的な構想をいたさない限り、実現は困難であります。御承知のように日本ではいまだ目的税というものはないのであります。ことにガソリン税は国の財政が非常に窮迫いたしております際に新たに設けた税であります。これは財源確保の観点から設けられた税だと私は理解しておりますが、さように考えますると、今回目的税を創設するということ、在来にないものを新たにつくつて参りますので、これは新しい構想であり、この実現はしかく容易なものではないと思います。ことに先ほども御指摘がありましたように、目的税をつくるといたしましても、他の目的税がいろいろ考えられやしないか、目的税をつくる場合にこれだけを目的税として取上げて、他の目的税を一切つくらないというようなことができるかどうか、こういうような政治上の問題もあることだと思います。従いまして税体系を整備する問題から考えますると、御指摘の通りなまやさしい問題ではないのであります。しかし私どもは今まで二、三話合い、また閣議の席等で出ております議論等を総合いたしてみますると、今日の財政状態のもとにおきましては、目的税をつくり得る時期にあるいはなつておるのではないか、この点は事務当局の考え方よりも、やはり政治的な判断をする時期になつておるのではないかというふうにも考えておるのであります。いずれにいたしましても、新しい税体系をつくるという問題、さらにまた今日の財源が十分でない状況のもとにおきまして、ことしあたり約百五十億近いガソリン税を目的税化するということは、税体系ばかりの問題ではなく、国の財政収入確保の観点から見ましても、いろいろの問題があると思うのであります。従いましてこれを実現いたすにつきましては、一層の強力な御協力なり御支援をいただかないとなかなか困難ではないか。しかし私はこの席ですでに研究するということを申し上げておりますが、研究するということは、これを実現する方法についてただいま取組んでおる次第であります。これが時期的に来年度予算編成の際に計上できますれば、まことに仕合せのように考えますので、ぜひともこの問題は目的税化する、これ以外には道路を近代化する方法はないのじやないかと思います。アメリカの道路が非常にいいということを申しておりますが、アメリカの道路は御承知のようにガソリン税が財源の主たるものであります。同時にまた有料道路の制度による整備であります。あの金持ちの国にしても、さような特別財源を確保することによつて道路の整備が進んでおるのであります。かように考えますと、国の財政が許し、そうして目的税化することが支障ないという結論がこの際必ず出るのじやないか、またそういう方向で研究を進めるべきものじやないか、かように考えて皆様方に所信の一端をごひろう申し上げたような次第でございます。ことに道路について、鋪装のない道路はこれは道路ではないということを申されましたが、私どももさように考えておるのであります。この道路の上を走つております車は非常な進歩をしておる。しかるにかかわらず、この交通機関を走らしておる道路は旧態依然——旧態依然という言葉より以上のものがある。今日の国道を見ましても、まだ峠等におきまして自動車の通れないような国道がある。まことに情ない状況に置かれているのであります。最近の自動車の発達から見ますと、交通量は非常にふえて来ておる。これは戦前の三倍半です。民間自動車におきましてはもう六十万台を突破しておる。おそらく年々十万台の自動車がふえて参るでありましよう。鋪装のない砂利道の沿線の方々が、あのスピードの上つた自動車に走られ、そうしてたんすの底まで砂ぼこりをしまい込むような今日の状況、これらのことを考えますと、道路がいたむというばかりじやなく、これはどうしても近代化された道路をつくらなければ、その上を走つておる交通機関とマッチしないという状況に置かれておる。かように考えますると、近代化された道は何かといえば、幅員の問題もありましよう、また道路の型の問題もありましようが、とにかく鋪装は第一に考えなければならないものだと思います。現在日本の国道で鋪装されておりますものは、二割ということが言われております。しかしこれらの鋪装も軽い鋪装を含めてであります。最近のごとく車両が重量化し、スピードが上り、大型になつております現状から見ますと、道路の改良の面では幾多の問題があるわけであります。かようなことを考えまして、道路の近代化をぜひともはかつて行く。かような国内の道路状況である際に、高速度道路を考えるがごときはもつてのほかだ、これは一応ごもつともの御意見のようにも私伺つたのでありますが、今日東京—神戸間の自動車の輸送状況からいたしますならば、現在の国道を改良した程度では実はまかないきれない状況にあるのであります。そこでいわゆる弾丸道路という必要性が痛感されて来る。一部におきましては、現在国内の道路状況から見て、かような道路をつくるということはいかにも行き過ぎたものではないかというような感じもあろうかと思います。思いますが、東京—神戸間の幹線道路を考えました際に、現在の国道ではもうまかなえなくなることはここ数年の問題だ、かように考えられますので、ここで高速度道路建設も必要になつて来るのであります。しかしながらただ必要だとは考えても、先ほど来御指摘のありましたことくに、予算の面から見て一千五百億の建設費を要するであろうというふうに考えられる高速度道路を、国の予算でまかなうことはまず考えられないのでございます。今年は御承知のように公共事業費は相当ふえたと申しましても、わずかに八十六億であります。この八十六億を予算的な措置で増額いたしたといたしましても、なかなか一足飛びに二倍にも三倍にもできないのであります。そういうことを考えますと、千五百億の高速度道路の実現は今までのような財源方法ではこれまただめだ、財源ばかりではない、今までのような工事方法をやつておつたのではこれは画いた餅に終るだろうということが言えるわけであります。そこで高速度道路の必要、これはもうだれしも異存はない。これを取上げた場合に、近代的な技術を取入れる、あるいはまた外資の導入によりまして有料道路として出て行くならば、これは建設必ずしも不可能ではないのではないか。しかるにアメリカにおける道路の発達等を考えますと、アメリカにおきましては幹線においていわゆる道路会社なるものが道路をつくつておる部分が非常に多いのであります。これもやはり道路を発達さす一つの方法ではある。ただ私どもの市来の考え方から見ますと、道路だけはただで使用さすのだという考え方で今まで一貫しております。従いまして昨年皆様方の御協力を得ましていわゆる有料道路なるものをつくりましたけれども、これについてもいろいろの御批判があつただろうと思うのであります。しかし私は公共の用に供するから無料でなければならないという議論は必ずしも成り立つものではない、ただその適正なものが支払われますならば、そうして道路が整備されますならば、これは国としてまた国民経済として望ましいことではないか。ことに日本の国内の道路から見ますと、貨物自動車の一時間の走行キロにいたしましても、平均二十キロぐらいにしか上らないのであります。しかし道路が改良されて参りますればこれが倍になることはこれは容易なことです。速度が倍になることによつて国民経済の負担はどういうように軽減されるか、あるいは車両がいたまないあるいはタイヤがどうだとか、ガソリンの消費量がどうだとかいうようなことを考えて参りますと、道路を直すことは国民経済の面から見て非常に利益のあるものであります。従つてこれは採算もとれるといいますか、事業会社としてもペイのできるものに相なるわけであります。こういう点に国の財政の面ばかりによらないで、やはり道路を整備して行く一つの方法があるのではないか、またそういうことを考える時期に実は参つておるのではないか、かように考えておるのであります。いろいろお話がありまして、この辺までは超党派的な御意見を伺うことができまして非常に幸いでありますが、最後の住宅問題になりますと大分私どもと考え方が違つておるのであります。しかしながら住宅が不足しておる、住宅をふやさなければならないということについては社会党の皆様方におかれましても私どもと同じ立場に立つておるわけであります。ただ行き方といいますか、この住宅をふやす方法につきましてはやはり統制方式が望ましいんじやないか、こういう御意見のように伺つたのでありますが、この点は私どもは統制方式でなくて住宅がふやし得るんじやないかと思う。あるいは高級飲食店なりあるいは。パチンコ屋がりつぱなのができる、だからこれは統制する必要があるんじやないかというお話が出たように聞きますが、統制が必要だという場合は主として資材が下足しておる場合におきましてそういうことが考えられやすいのであります。あるいは戦時中あるいは戦後等を通じまして物資下足の際にそういうような話があり、私どももやむを得ず統制をやつて参つたように思います。しかし国内における住宅が不足いたしておりますのは、現在の状況で見ますとこれは資材下足と申しますより資金が不十分だということが主のように考えられておるのであります。かように考えますと資金を投入してやる、資金を潤沢にすることによりましてただいま申し上げるような住宅は整備ができるんじやないか、ふえて行くんじやないか、統制方式によるまでもないのじやないかというのが私どもの考え方であります。従いまして建築物につきまして、いろいろ統制を解いて参りました。しかし二、三年前にやや高層建築その他については理由にしてもどうかと思うものがありましたが、これを統制とまでは行かなくつてももう少し国が干渉することによつて高級飲食店あるいは娯楽場のビル等の建設を後にするようなことが望ましいのじやないかというので、政府におきましては一時それらを届出の制をとりまして、いろいろ再考すべきようなもりについては再考を促して参つたのであります。しかし今日の状況におきましては資材の面においてはまず問題がなくなつたように考えます。そこで私どもはかねて自由経済方式を是なりと考えておりますので、この方向で住宅建設も進めて参りたい、この点は遺憾ながら立場上の相違があるのではないかと思うのであります。  最後に国土省の構想についてのお考え、御意見伺つたのでありますが、私国土省の問題につきましてはこれは一つのりつぱなお考えのように思いますが、現在の状況においてそういう方向へ進めるがよろしいかどうか、あるいはもう少し時期を必要とするか、こういう点がなお研究の余地がある問題ではないか、かように考えておりますので、私の考え方を簡単にごひろう申し上げます。
  30. 前田榮之助

    前田(榮)委員 時間も相当経過したようでありますから、しつこいことは別の機会にさせていただきますが、河川につきましてはすでに河川開通十箇年計画昭和二十四年度に立てられて、その着手についておるわけでありますが、すでに御承知通りに二十七年まで四箇年の間に進行状況は一二%にすぎないのであります。もしこの状態で継続いたしますならば、八分の一程度これに四箇年かかつたといたしますならば、これは三十二箇年かかる計算であります。河川につきましても、道路につきましても、やはり大臣の御説明の中にありましたように、継続的に計画的な構想のもとにどうしてもやらなければならない実情に今押し迫つておると思うのであります。従つて河川道路住宅等は年次計画を立ててやるべきものだ、そういうことをすでに実行されつつあるわけでありますが、これが実際の結果としては今の河川の十箇年計画が八分の一で四箇年かかつたというようなことではこの計画は何にもならぬことになります。従つて今後の建設行政に関する限り、こういう必要な年次計画に立つものは必ず国の財政等も十分にらみ合せてこれは実行できる計画でなければならぬと思うのであります。ただこうやればああなるのだということだけでなしに、これなら今の日本の国家財政上から実行できる、しかしこれくらい程度実行できたのでは河川道路もまかない切れないではないかということがかりにあつても、実行できるものでなければならぬと思う。ところが今までの計画は一応その構想としてこの程度は将来よかろうということでそれは努力するつもりではあつただろうとは思いますけれども、結果はこういう結果になつた、従つて私は大臣にこの際希望を申し上げる点はこれらの十箇年計画が実行できないと考えるならば、これを構想をかえて住宅もその通り実行できる計画に立て直す、道路もその通り、こういうことをひとつ御希望を申し上げて、そういうようにいたしてもらいたいと思うのであります。今ビル等の——自由主義と社会主義との観点での議論はしません。これはいずれの機会かに譲ることにいたしまして、この程度で終ることといたします。
  31. 田中角榮

    田中(角)委員 関連質問で簡単に申し上げておきます。施政方針演説としては佐藤建設大臣非常に勇敢にしかも頼もしい御発言でありまして、満腔の敬意を表するわけであります。ただ一つ国道及び重要府県道に対して多少意見が違う。これは重要な問題でありますので、速記録に残しておきたいと思つて発言をするわけであります。佐藤さんが運輸省の御出身でありますので、道路整備に対しては非常に熱意を持たれ、特に豊富なる経験から出られる道路整備の御意見は傾聴に値し、特に私たちも敬意を払つているわけでありますが、あまりに鋪装——特に前田君が発言せられたように、鋪装されていない道路道路の仲間じやないという世界的な観念もまた理論も承服するのであります。けれども現在重要都道府県道として大体指定をするものが約十三万五千キロの総延長になつて、改良済みのものがわずか二二%、一万八千キロしかないわけでございます。特に表日本重点主義がとられたために、表日本出身の議員の方々も特にそういう発言をせられるのでありますが、明治初年からの長い官僚政治で特に都市集中、表日本集中の政治が行われましたので、裏日本、北海道等は国費の恩典に浴さないことは私が言うまでもない事実であります。十三万五千キロのうち改良済み一万八千、未改良地点が十一万七千キロも残つている。しかも自動車の交通不能のものが一万六千キロもあるのでありますから、やはり未改良地区に対して、少くともこれが道路としての使命を達することを主目的に置かなければならない。私はその意味において、どうも非常に頼もしい御発言ではありますが、われわれも一生懸命になつて道路予算の獲得に努力し、しかも表日本中心の鋪装に重点を置かれるのであつては、多少異論がありますので、特に二言発言を求めて注意を促しておきます。
  32. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまの御発言しごくごもつともでございます。別に表日本偏重の道路政策をとる考え方は毛頭ございません。ことに道路整備に対しまして遅れております地方は、ただいま御指摘のごとく、裏日本あるいは東北、さらに北海道等が今までの整備から見ますると相当遅れているのであります。今回の一級道路をごらんになりましても、北海道におきましては相当キロ数が延びているような状況でございまするし、万遍のない方策一般道路といたしましてはぜひともとりたいものだと思います。もし誤解を受けたといたしますれば、高速度道路の問題だろうと思いまするが、これは先ほど申し上げましたように、いわゆる国の一般財源とは別な方向において財源を求むべきだということを申し上げましたので、御了承がいただけるのではないかと思います。
  33. 田中角榮

    田中(角)委員 けつこうです。
  34. 篠田弘作

    篠田委員長 建設大臣及び政府当局に対する質疑は後に譲ることにいたします。  この際お諮りいたします。すなわち去る十一月二十五日、河川道路及び住宅に関する各小委員会を設置いたし、それぞれ調査を進めて来たのでありますが、この際河川道路及び住宅に関する各小委員の数を二名追加して十七名とし、小委員委員長においてそれぞれ指名いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なしと認めます。それでは河川に関する小委員荒舩清十郎君、山下榮二君、道路に関する小委員には内海安吉君、荻野豊平君を、住宅に関する小委員に宇田恒君、武部英治君を、それぞれ指名いたします。  なお道路に関する小委員については田中角榮君が小委員を辞任されましたので、その補欠として明禮輝三郎君を、住宅に関する小委員については中島茂喜君、荻野豊平君及び安平鹿一君が小委員を辞任されましたので、その補欠として五十嵐吉藏君、舘林三喜男君及び佐々木更三君をそれぞれ指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。  次会は明三日午後一時より開会いたします。     午後一時十六分散会