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佐藤国務
大臣 前田委員からだんだんお教えをいただいたわけでありますが、今私どもの
計画といたしましても、なかなか困難な問題は、ひとり
建設部門ばかりではなく、各面にわたりましてあるわけであります。従いまして、私ども
建設省の
政策を推進して参りますにつきましては、かねてから聞かされておりますように、当
委員会においての超党派的な御支援はぜひ望ましいことと心からお願いしておるわけであります。おそらく今後ともそういうような観点に立ちまして、皆様方に御協力をお願いするだろうと思いますが、何とぞよろしくお願いいたします。
そこでただちに具体的な問題に入
つて参りますが、たとえば
災害復旧の問題にいたしましても、
災害を復旧するという場合から考えますれば、
災害が起りました初
年度におきましてまずその三割、次
年度五割、三年目に二割をして復旧を
完成する。これは復旧
計画としては当然考えらるべき筋のものだと思います。従いまして、私以前の各
大臣におかれましても、また皆様方の御支援を得まして、いわゆる
災害復旧について三、五、二の比準によ
つてこれが復旧をはか
つて行くという大
方針を立てておるのだと私は理解をいたしておるのであります。しかしながら国の財政状態から、必ずしも
災害発生の状況に対応して、これが増減できぬわけのものでもないのであります。従いまして、この
災害が非常に多かつた年におきましては、ただいま申しました三、五、二の大
方針のもとにおきましても、所要の
予算はなかなか確保できない。過
年度災害が今日非常に多額の
部分を占めておりますゆえんも、経局国の財政によりまして左右されておることだと思うのであります。この点は先ほども
お話にありましたように、
建設省要求の
予算について必ず査定を受けるものだろう。現在の財政状況から見て、各省から出ている一兆八千億近いものがそのままうのみにされないことは火を見るよりも明らかであるというように考えると、必ず査定を受けるだろう。査定を受けるならば、三、五、二の比準の確保ができないじやないかという御指摘でありましたが、これは査定を受けるということ、いわゆる国の財源が不足しておることから、私どもの念願の大
方針の実現が困難な状況に置かれている点は、御
承知がいただけると申しますか、実情についての御理解は賜われるのではないかと思うのであります。ただ私どもが念願をいたしておりますのは、
災害復旧の緊急であること、また地方の罹災町村の安定なり経済発展を期するためにはどうしても早期に
災害を復旧しなければならない、かように考えますので、できるだけの努力をいたしまして、この
災害復旧の大
方針の線を確保して参りたい。かような努力をいたす考え方で、おるのであります。この点につきましては今後とも一層のお支援をいただかなければならないと思うのであります。もう少し言葉をつけ加えて補足
説明いたしますれば、
災害の
予算は、財源につきましては大体の限度がありますが、
災害はそのときどきによりまして違うのでありまして、非常な大
災害をこうむつた際におきまして、財源酌措置が実はつかない。そこで
災害復旧の緊急なる観点から、現実には
予算に拘束をされないで
災害復旧ができるような処置がないものだろうかというので、いろいろ研究をいたしておるのでございます。皆様方からもいろいろ御高見を賜わ
つております、たとえば
災害復旧基金とかいうような問題が当然出て参るのであります。ただいまの情勢のもとにおきましては、その点まで
政策を取上げる状況にな
つておらないことを、私もまことに残念に思
つておるのでありますが、
災害復旧の緊急なる点につきましては、ただいまの状況では一応
予算をと
つて行く、そうしてできるだけこの大
方針の実現を期して行く、こういう方向に努力をいたして参りたいと思うのであります。
第二点のガソリン税の問題でありますが、ガソリン税の問題は御指摘のようにこれはなかなか困難な問題であります。私の持論ではありまするが、在来の考え方から行きますれば、これは画期的な構想をいたさない限り、実現は困難であります。御
承知のように日本ではいまだ
目的税というものはないのであります。ことにガソリン税は国の財政が非常に窮迫いたしております際に新たに設けた税であります。これは財源確保の観点から設けられた税だと私は理解しておりますが、さように考えますると、今回
目的税を創設するということ、在来にないものを新たにつく
つて参りますので、これは新しい構想であり、この実現はしかく容易なものではないと思います。ことに先ほども御指摘がありましたように、
目的税をつくるといたしましても、他の
目的税がいろいろ考えられやしないか、
目的税をつくる場合にこれだけを
目的税として取上げて、他の
目的税を一切つくらないというようなことができるかどうか、こういうような
政治上の問題もあることだと思います。従いまして税体系を整備する問題から考えますると、御指摘の
通りなまやさしい問題ではないのであります。しかし私どもは今まで二、三話合い、また閣議の席等で出ております議論等を総合いたしてみますると、今日の財政状態のもとにおきましては、
目的税をつくり得る時期にあるいはな
つておるのではないか、この点は
事務当局の考え方よりも、やはり
政治的な判断をする時期にな
つておるのではないかというふうにも考えておるのであります。いずれにいたしましても、新しい税体系をつくるという問題、さらにまた今日の財源が十分でない状況のもとにおきまして、ことしあたり約百五十億近いガソリン税を
目的税化するということは、税体系ばかりの問題ではなく、国の財政収入確保の観点から見ましても、いろいろの問題があると思うのであります。従いましてこれを実現いたすにつきましては、一層の強力な御協力なり御支援をいただかないとなかなか困難ではないか。しかし私はこの席ですでに研究するということを申し上げておりますが、研究するということは、これを実現する方法についてただいま取組んでおる次第であります。これが時期的に来
年度予算編成の際に計上できますれば、まことに仕合せのように考えますので、ぜひともこの問題は
目的税化する、これ以外には
道路を近代化する方法はないのじやないかと思います。アメリカの
道路が非常にいいということを申しておりますが、アメリカの
道路は御
承知のようにガソリン税が財源の主たるものであります。同時にまた有料
道路の制度による整備であります。あの金持ちの国にしても、さような特別財源を確保することによ
つて道路の整備が進んでおるのであります。かように考えますと、国の財政が許し、そうして
目的税化することが
支障ないという結論がこの際必ず出るのじやないか、またそういう方向で研究を進めるべきものじやないか、かように考えて皆様方に所信の一端をごひろう申し上げたような次第でございます。ことに
道路について、鋪装のない
道路はこれは
道路ではないということを申されましたが、私どももさように考えておるのであります。この
道路の上を走
つております車は非常な進歩をしておる。しかるにかかわらず、この交通機関を走らしておる
道路は旧態依然——旧態依然という言葉より以上のものがある。今日の
国道を見ましても、まだ峠等におきまして自動車の通れないような
国道がある。まことに情ない状況に置かれているのであります。最近の自動車の発達から見ますと、交通量は非常にふえて来ておる。これは戦前の三倍半です。民間自動車におきましてはもう六十万台を突破しておる。おそらく年々十万台の自動車がふえて参るでありましよう。鋪装のない砂利道の沿線の方々が、あのスピードの上つた自動車に走られ、そうしてたんすの底まで砂ぼこりをしまい込むような今日の状況、これらのことを考えますと、
道路がいたむというばかりじやなく、これはどうしても近代化された
道路をつくらなければ、その上を走
つておる交通機関とマッチしないという状況に置かれておる。かように考えますると、近代化された道は何かといえば、幅員の問題もありましよう、また
道路の型の問題もありましようが、とにかく鋪装は第一に考えなければならないものだと思います。現在日本の
国道で鋪装されておりますものは、二割ということが言われております。しかしこれらの鋪装も軽い鋪装を含めてであります。最近のごとく車両が重量化し、スピードが上り、大型にな
つております
現状から見ますと、
道路の改良の面では幾多の問題があるわけであります。かようなことを考えまして、
道路の近代化をぜひともはか
つて行く。かような国内の
道路状況である際に、高速度
道路を考えるがごときはも
つてのほかだ、これは一応ごもつともの御
意見のようにも私
伺つたのでありますが、今日東京—神戸間の自動車の輸送状況からいたしますならば、現在の
国道を改良した
程度では実はまかないきれない状況にあるのであります。そこでいわゆる弾丸
道路という必要性が痛感されて来る。一部におきましては、現在国内の
道路状況から見て、かような
道路をつくるということはいかにも行き過ぎたものではないかというような感じもあろうかと思います。思いますが、東京—神戸間の幹線
道路を考えました際に、現在の
国道ではもうまかなえなくなることはここ数年の問題だ、かように考えられますので、ここで高速度
道路の
建設も必要にな
つて来るのであります。しかしながらただ必要だとは考えても、先ほど来御指摘のありましたことくに、
予算の面から見て一千五百億の
建設費を要するであろうというふうに考えられる高速度
道路を、国の
予算でまかなうことはまず考えられないのでございます。今年は御
承知のように公共
事業費は相当ふえたと申しましても、わずかに八十六億であります。この八十六億を
予算的な措置で
増額いたしたといたしましても、なかなか一足飛びに二倍にも三倍にもできないのであります。そういうことを考えますと、千五百億の高速度
道路の実現は今までのような財源方法ではこれまただめだ、財源ばかりではない、今までのような
工事方法をや
つておつたのではこれは画いた餅に終るだろうということが言えるわけであります。そこで高速度
道路の必要、これはもうだれしも異存はない。これを取上げた場合に、近代的な技術を取入れる、あるいはまた外資の導入によりまして有料
道路として出て行くならば、これは
建設必ずしも不可能ではないのではないか。しかるにアメリカにおける
道路の発達等を考えますと、アメリカにおきましては幹線においていわゆる
道路会社なるものが
道路をつく
つておる
部分が非常に多いのであります。これもやはり
道路を発達さす
一つの方法ではある。ただ私どもの市来の考え方から見ますと、
道路だけはただで使用さすのだという考え方で今まで一貫しております。従いまして昨年皆様方の御協力を得ましていわゆる有料
道路なるものをつくりましたけれども、これについてもいろいろの御批判があつただろうと思うのであります。しかし私は公共の用に供するから無料でなければならないという議論は必ずしも成り立つものではない、ただその適正なものが支払われますならば、そうして
道路が整備されますならば、これは国としてまた国民経済として望ましいことではないか。ことに日本の国内の
道路から見ますと、貨物自動車の一時間の走行キロにいたしましても、平均二十キロぐらいにしか上らないのであります。しかし
道路が改良されて参りますればこれが倍になることはこれは容易なことです。速度が倍になることによ
つて国民経済の負担はどういうように軽減されるか、あるいは車両がいたまないあるいはタイヤがどうだとか、ガソリンの消費量がどうだとかいうようなことを考えて参りますと、
道路を直すことは国民経済の面から見て非常に利益のあるものであります。
従つてこれは採算もとれるといいますか、
事業会社としてもペイのできるものに相なるわけであります。こういう点に国の財政の面ばかりによらないで、やはり
道路を整備して行く
一つの方法があるのではないか、またそういうことを考える時期に実は参
つておるのではないか、かように考えておるのであります。いろいろ
お話がありまして、この辺までは超党派的な御
意見を伺うことができまして非常に幸いでありますが、最後の
住宅問題になりますと大分私どもと考え方が違
つておるのであります。しかしながら
住宅が不足しておる、
住宅をふやさなければならないということについては社会党の皆様方におかれましても私どもと同じ立場に立
つておるわけであります。ただ行き方といいますか、この
住宅をふやす方法につきましてはやはり統制方式が望ましいんじやないか、こういう御
意見のように
伺つたのでありますが、この点は私どもは統制方式でなくて
住宅がふやし得るんじやないかと思う。あるいは高級飲食店なりあるいは。パチンコ屋がりつぱなのができる、だからこれは統制する必要があるんじやないかという
お話が出たように聞きますが、統制が必要だという場合は主として資材が下足しておる場合におきましてそういうことが考えられやすいのであります。あるいは戦時中あるいは戦後等を通じまして物資下足の際にそういうような話があり、私どももやむを得ず統制をや
つて参つたように思います。しかし国内における
住宅が不足いたしておりますのは、現在の状況で見ますとこれは資材下足と申しますより資金が不十分だということが主のように考えられておるのであります。かように考えますと資金を投入してやる、資金を潤沢にすることによりましてただいま申し上げるような
住宅は整備ができるんじやないか、ふえて行くんじやないか、統制方式によるまでもないのじやないかというのが私どもの考え方であります。従いまして建築物につきまして、いろいろ統制を解いて参りました。しかし二、三年前にやや高層建築その他については理由にしてもどうかと思うものがありましたが、これを統制とまでは行かなく
つてももう少し国が干渉することによ
つて高級飲食店あるいは娯楽場のビル等の
建設を後にするようなことが望ましいのじやないかというので、
政府におきましては一時それらを届出の制をとりまして、いろいろ再考すべきようなもりについては再考を促して参つたのであります。しかし今日の状況におきましては資材の面においてはまず問題がなく
なつたように考えます。そこで私どもはかねて自由経済方式を是なりと考えておりますので、この方向で
住宅建設も進めて参りたい、この点は遺憾ながら立場上の相違があるのではないかと思うのであります。
最後に
国土省の構想についてのお考え、御
意見を
伺つたのでありますが、私
国土省の問題につきましてはこれは
一つのりつぱなお考えのように思いますが、現在の状況においてそういう方向へ進めるがよろしいかどうか、あるいはもう少し時期を必要とするか、こういう点がなお研究の余地がある問題ではないか、かように考えておりますので、私の考え方を簡単にごひろう申し上げます。