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1953-03-06 第15回国会 衆議院 決算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月六日(金曜日)     午後一時三十五分開議  出席委員    委員長代理理事 迫水 久常君    理事 永田 良吉君 理事 古井 喜實君    理事 吉田 賢一君       田口長治郎君    三池  信君       山田 彌一君    渡邊 良夫君       河野 金昇君    松本 七郎君       八木 一男君  出席政府委員         通商産業政務次         官       小平 久雄君         通商産業事務官         (大臣官房長) 石原 武夫君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     及川 逸平君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         運輸事務官         (大臣官房長) 壺井 玄剛君         海上保安庁長官 山口  傳君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局通商政         策課長)    今井 善衞君         通商産業事務官         (企業局整理課         長)      堀江  法君         通商産業事務官         (電気試験所庶         務課長)    橋田 貫一君         一等海上保安監         (海上保安庁燈         台部長)    西田 豊彦君         二等海上保安監         (海上保安庁経         理補給部経理課         長)      坂本恭一郎君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保榮君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人の招致に関する件  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五  年度政府関係機関収入支出決算     —————————————
  2. 迫水久常

    迫水委員長代理 ただいまから決算委員会を開会いたします。  前会に引続いて私が委員長の職務を代行いたしますから、御了承願います。  審議に入るに先だちましてお諮りいたします。本日理事会におきまして、前回の委員会において吉田委員から提案がありました九十九里濱に関する連合国軍の演習により漁業者のこうむる損失補償金交付問題、及び東京湾に関する連合国軍及び駐留軍により敷設せられた施設による漁業経営上の損失に対する見舞金の支給問題につきまして、調査の必要上左記若干名を参考人として、次会三月九日、月曜日に招致することに決しましたが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 迫水久常

    迫水委員長代理 御異議なしと認めます。それでは千葉水産部長河野勝彦千葉県山武郡豊海町、小栗山熊太郎九十九里濱沿岸漁業対策委員会会長、ほかに漁民代表として若干名、これは目下人選中でありますから、委員長に御一任を願い、来る三月九日予定委員会に招致いたすことといたしますが、御了承を願います。     —————————————
  4. 迫水久常

    迫水委員長代理 本日の審議予定は、通商産業省及び運輸省の両省所管についてでありますが、努めて進行をはかりたいと思いますので、委員諸君の御協力を願つておきます。  それでは報告書百九十三ページ、通商産業省一般会計予算経理の項、報告番号六三七及び物件の項、報告番号六三八を一括議題といたします。このうち報告番号六三八について、詳細かつ要領よく説明を求めます。会計検査院検査第二局長上村照昌君。
  5. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 六三八号は不急物品購入したものという件でございます。積算電力計検定用封印線として、二十五年の二月に十四万メートルを六十三万円で買われたのであります。当時の在庫は三十万七千メートルばかりあつたわけであります。三十万七千メートルと申しますと、大体二十四年度検定いたしました個数が五十七万個でございまして、二十五年にさらにふえたといたしまして、かりに七十万個を検定するといたしましても、年間二十万メートルくらいで足りる計算なつているわけであります。さような関係で、三十万七千メートルは一年有余使えるだけの在庫品があつたわけです。しかも当時封印偽造を防止するという考えから、染色線を採用するというような案も相当進んでおつた状況でありまして、そういうふうな状況下におきまして、在庫があるのにさらに六十三万円の白色絹糸線購入されたことは、不必要なものを買われたというふうに考えております。  なお、その後の処置でありますが、二十七年の十月ごろになりまして、また白色のものを使うというようなことになりまして、当時の在庫白色線が三万八千くらいありましたが、これはまたその後においては順次使えることになろうかと思います。
  6. 迫水久常

    迫水委員長代理 この点については、通商産業省ではすでに国会に対する説明書を出しておられますが、その説明書に記載してあることのほか、特に説明を要することがあれば、この際発言を許します。
  7. 及川逸平

    及川政府委員 六三八号の件につきまして、若干の補足説明をさしていただきます。御指摘不急物品購入いたしました点につきましては、会計検査院指摘通りでございまして、通産省といたしましてはまことに遺憾にたえない次第であります。これは通産省といたしましては、昭和二十五年度におきまして、積算電力計検定個数は、昭和二十四年度に比して相当に増大するという見込みであつたわけでありまして、一応これに備えると申しますか、そういう考え方のもとに十四万メートルの購入をいたしたわけであります。しかるにその年の六月から着色封印線を使用することになりまして、そのまま在庫になつたわけであります。しかし購入当時は着色封印線を必ず使うんだというようにはつきりきまつたわけでもございません関係上、一応購入したわけであります。その後二十七年の八月以降に偽造の問題も片づきましたので、また白色封印線を使用いたしまして、大体本年の七月ないし八月にはこの在庫を全部使うという見込みなつております。  なおお手元に、昭和二十五年度決算検査報告に関し国会に対する追加説明資料という資料を差上げてありますが、その中に大体の様子は書いてあります。
  8. 迫水久常

    迫水委員長代理 質疑を許します。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 六三八号の事件につきまして、政府委員の方にお尋ねしますが、電気試験所でこの種の物件を買うために六十三万円—これは大した額じやありませんが、そういう種類のものを二十四年度予算にあらかじめ組んであつた、こういうことでございますね。
  10. 及川逸平

    及川政府委員 これは予算にちやんと組んであつたわけです。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 購入の必要があるかないかということは、大体どこで認定することになるのですか。
  12. 及川逸平

    及川政府委員 これは工業技術庁電気試験所におきまして、購入の必要があるというふうに考えたわけであります。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、電気試験所で独自にその必要があるかないかを認定して、その上で購入するに至つたという順序でありますか。
  14. 及川逸平

    及川政府委員 そうです。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういつた場合に、数年後に使用するようになつたことは、これは別問題といたしまして、当時は不急物件に違いないということで、在庫品がなお三十万余りメートルあつたようでありますが、そういう場合は電気試験所の所長ですか、あるいは当時の技術庁上層幹部というのですか、そういう方面で、在庫品があるので間に合う状態にあつたけれども、予算があるから買つておきたい、こういうようなことになつておるようにも想像するのですが、こういう場合は不用な物件であるから、一応やはり技術庁幹部の方へ相談をなさるという順序をふむことが必要でないのでございましようか。
  16. 及川逸平

    及川政府委員 本件につきましては、大体購入の必要を認めたということでございまして、その購入につきましては、電気試験所の各上司の決裁を経て購入したわけであります。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、上司もこの相談を受けて、予算は組んであるけれども、買いたい物件はその倍数も倉庫にある。それから使用予定量というものも大体見当がついておる。そうしたときに、なおやはり買えということに同意するというのはどういうわけでしよう。
  18. 及川逸平

    及川政府委員 先ほど申し上げました通り在庫が大体三十万メートルくらいあつたわけでありますが、検定個数相当にふえるだろうという見込みがありましたので、在庫があつたにもかかわらず、十四万メートルのものは必要だというふうに考えた次第でございます。二十五年度末の在庫は、大体三十七万メートルございますが、二十六年度使用計画としましては、九十三万個の検定個数を目標といたしまして、三十七万メートルの使用量予定しておつたわけであります。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺いたいのは、二十七年度使用予定量は何ぼであるにかかわらず、二十五年の二月に購入する際には不帰であるということがわかつてつたとすれば、そういう場合になぜそれを買わねばならぬのかということを聞きたい。
  20. 及川逸平

    及川政府委員 これは不急のものであるというふうには実は考えなかつたわけであります。検定個数もふえる、それからまだ着色封印線を使用するということがきまつておりませんでしたので、格別そう不急だというふうに考えたわけではなかつた次第でございます。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもはつきりしないのですが、購入直前の一月末には在庫品が三十四万メートルあつたことは事実です。それで検定個数はふえるという大体の想定のもとに買うに至つたという御説明のように理解するのですが、それにいたしましても、これは相当期間使用されずに放置されておつたことは事実なんでしよう。
  22. 及川逸平

    及川政府委員 そうであります。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、これは概念的になるかもしれませんけれども、やはり少くとも不急物件ということになるんじやないのですか。これは金額が少いから、六十万円そこそこだから問題が小さいようですけれども、これを通して見ましたら各省とも数千万円、おととい問題になりましたごときは、麻袋なんですが、八億七千万円かかつておる、そういうふうなことでありますので、当分いらないことがわかつてつても、各省とも不要の物件を買うという傾向が、この批難事項全体を通じて随所に出て来る。問題は小さいようですけれども、厳密に見れば、購入当時在庫しておるもので、また消化する能力などによつて、それでまかない得るということであるならば、買わなくてもいいんじやないかと思うのです。それとも技術庁幹部とも御相談の上ということになると、これは少し極端な想像かもしれませんけれども、予算があるから買つておいたらどうだというようなぐあいになつたんではないだろうか、こうも思うのであります。それでそれぞれの幹部との御相談の結果でありますので、買う必要でないものを買つたということになるのじやないでしようか。念のために尋ねておきます。
  24. 迫水久常

    迫水委員長代理 通産省に申し上げますけれども、吉田委員の御質問はこれはよく役所であることですが、年度末に予算が余つておるから買つておけというあの手でやつたものじやないかということを言つておられるのです。
  25. 橋田貫一

    橋田説明員 二十五年度の一月にはこれだけございましたが、大体一月から二月、三月と使いますものを見込みまして、なお二十六年度計画を九十三万個と認めますと、大体三十七万メーター必要であることはわかつておりましたので、結局年度当初に大体毎年一年分くらいのストックを持つておきまして、検定をやつております途中でもし封印線が足りないというような問題が起りますと、施設上非常に重要な問題になりますがために、計画と二月、三月とに使います推定とを加えまして、実は三十七万メーターにしたわけであります。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今伺いますと、二十六年度計画も大体織り込まれておるようでありますが、本件予算は二十四年度予算として産業経済費商工業費、項として電気試験所とこうなつておりますので、二十四年の予算としてこれは組まれたものに違いないと思いますが、それならば二十六年にどういうような情勢が来ようとも、それは予算としては別ではないでしようか。それですから二十六年、二十七年にいろいろなものを想定して使うということは、これは予算経理支出の面から言うと間違つたことで、やはり二十四年なら二十四年、二十五年なら二十五年というふうに組まれた予算の収支は時間的にも項目にもすべて限定されて来るので、かつてに二十六年の計画に順応すべく—当時はいらなくても買つておいたらよいということは、予算処理上できないことになるのじやないでしようか、ちよつと念のために聞いておきます。
  27. 及川逸平

    及川政府委員 今申し上げましたのは二十六年度の先を見越したものであります。
  28. 迫水久常

    迫水委員長代理 通産省から今二十六年度と言われたが、二十五年度間違いでしよう。
  29. 及川逸平

    及川政府委員 間違いであります。先ほど御指摘のありました二十四年度予算におきまして、大体先のものを見越してやるのはぐあいが悪いというおしかりでありますが、それは私どももその通りだと考えておりまして、御指摘の点は重々われわれの方に落度があつたというふうに考えております。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この予算を編成されるときに、やはり翌年度計画ということも織り込まれて大蔵省へ折衝になつておるのですか。大蔵省で査定するときには、大体年度計画というものも相当明確に指示して協議なさる筋だろうと思うのですが、その際は二十五年度ということが説明せられたのか、そうでなしにあなたの方で随意にその見込みを立ててお買いになつたのか、それはどうなんでございますか。
  31. 及川逸平

    及川政府委員 この点につきましては大蔵省と協議いたしておりません。通産省だけで判断して購入したものであります。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺うのは、予算を編成なさつて大蔵省といろいろ折衝なさる時間がありましよう。その際に大蔵省の方としては相当こまかく目を通してそれを認めるとか認めぬとかいうことがあると思います。だから私の聞きたい点は、そのときにも大蔵省の方へ翌年度需要を見越して二十四年の予算を組んでもらうのだというようなことでも了解があつたのか、説明なさつたのか、そういうことなしに、予算をとつてから二十五年のものを見越して使用するということになつたのかどうなんですかということなんです。
  33. 橋田貫一

    橋田説明員 これは二十五年度の分を見越した予算大蔵省へ請求したわけではございません。ただこういうふうなものは年初に見込みました数量が絶えず変化いたしますので、両方にまたがる場合が往々にございます。たとえば三十万メーターいると思いましたのが、三十五万メーターいりますときには、足りない五万メーターをまた買い足すわけであります。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はどうも御説明が納得しにくいのですが、二十五会計年度にまたがるというようなことはあるといたしましても、大蔵省と折衝するときには二十五年の需要も見越してというようなことの御説明があつたのかどうか、それを聞くのですが、どうもそこへ触れて来られない。いずれにいたしましても、二十四年の予算を二十五年を見越すということは、特別に大蔵省とも折衝し、もしくは庁内において相当重要な協議として上すことが必要であるということになつておるのじやないでしようか。これは伺つておりますと、予算経理相当厳密に行くべきものを少しかつてになさつたような感じがせぬでもないのです。将来の需要を見越してという場合はそれはそうとして、了解のもとに予算を組む場合もありましようけれども、この場合はあくまでも二十四年度中の需要のために必要な予算を入れますがために、必要な予算として組んだということであれば、やはりそこは相当けじめをつけておくべきが筋じやないかと思いますが、あまり多くの時間をこれにとるわけにも行きませんから、明確にその結びだけをはつきりしていただきたいのです
  35. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいま御指摘がありましたように、大蔵省に折衝いたします際はもちろんのこと、予算といたしましては当該年度に必要な使用すべき事業を対象にいたしまして予算を請求いたしますし、予算もまたそれに従つて大蔵省も当然査定されるというように承知いたしております。二十四年度予算に計上されておりますのは二十四年度中に使用するという見込みでございますので、当然さような使途に充てられるべきものと考えます。ただかような検定事務等につきましては、毎日やつておりますので、多少のランニングストックということは必要でございますので、三月三十一日にゼロになるという運用は困難で、多少常識的なランニングストックと申しますか、これは持越しにならざるを得ないと思います。ただいま御指摘の点は通産者といたしまして、少くともここにございます全量は、さような趣旨から申しまして、必要なかつたものを多少余計買いすぎたという事実はあると存じます。その点ははなはだ遺憾でございまして、今後十分注意をいたしたいと思います。
  36. 迫水久常

    迫水委員長代理 ほかに御質疑がなければ次に進行いたします。     —————————————
  37. 迫水久常

    迫水委員長代理 次は報告書百九十五ページ、不正行為報告番号六三九ないし六四一及び報告書百九十六ページ、貿易特別会計物件の項、報告番号六四二を便宜一括議題といたします。このうち特に報告番号六四二につき詳細な説明をお願いいたします。
  38. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 六四二号は故衣料輸入売渡しに関するものであります。この故衣料輸入するようになりましたのは、ニューヨーク市のダドリアン輸出会社丸菱通商株式会社との間に故衣料輸入するという商談がまとまりまして、当時二十四年十二月ごろはまだ民間貿易は許されておりませんで、政府貿易しかなかつたわけであります。そういうふうな関係上、実質的にはダドリアン丸菱との商談でありますが、政府貿易の形をとりまして、また当時鉱工品貿易公団滞貨がありましたので、これを政府としても実施したいというような関係上、ダドリアンからは故衣料輸入し、それからこちらからは鉱工品貿易公団の物資を輸出するというバーター契約政府貿易の形で締結せられて、そうしてそういう契約経緯にかんがみまして、責任丸菱がとるという筋合いで締結せられたものであります。  そうしてこの貿易に関しましては、当時外貨については司令部が管理しておりました関係上、政府にかわりまして司令部の方から信用状を開設したわけであります。バーター契約でありますから、バーター契約に即応した信用状が開かるべきでありますが、司令部の方でバーター契約に即応しない信用状を開設して、一方的に輸入が行われるという結果になつたわけであります。そういたしまして、輸入せられたものがこちらに着きますと、すぐ丸菱の方に渡して、あとは丸菱計算でやる、こういうことで処置されておつたのであります。  そうして第一船分につきましてはそういう関係処置がつきまして、その代金として八千万余円を徴収しましたが、結局故衣料の処分がむずかしいというような関係と、それからバーター契約であるのに片方が輸出ができないというようなことから、すでに丸菱が処分した一船分のものと、それから二船分のものとを処分したものについてだけ代金をとるというふうにいたしまして、すでにとつておりました八千万円の中から丸菱が処分できないものとして四千七百万円を返した、こういうような事態なつておるのであります。  それで考えますのに、御承知のように、二十四年の十二月末ごろには、二十五年からは民間貿易に移行されるのだということが、これはだれでも常識としてはつきりしておつたわけであります。そういう関係であるのに、ことさら急いで政府貿易の形で民間商社のために行うということがどうであつただろうかということと、それから司令部が一方的に信用状を開設したのでありますが、信用状を開設しますと、一応どういう信用状を開設せられたかという通知が来るわけでありまして、信用状契約に即応した信用状でなければならぬわけでありますから、この点については故障を申し立てることができると思いますが、その点については通産省として司令部の方に異議の申し立てをしたということでございます。しかし書類的には明らかになつているものはございません。あるいは異議申立てをされても、司令部の方で取上げられなかつたかと思いますが、いずれにしても当時そういうふうな状況であるのに、政府貿易の形でやるような必要があつただろうかということが第一点。それから、バーター契約と申しましても、損をするということは輸入された品物が思う通り売れないということだと思います。そうすると、結局損得の問題は輸入した品物それ自身について起る問題であると思います。そういうものについて政府責任を感じなければならぬという点が二点であります。こういうふうに、輸入されたものにつきまして丸菱が引受けないということで、結局輸入せられました総原価は五億六千六百万円余りでありまして、それに対しまして丸菱に売られたものと、その後処分せられた価額を合せまして、四億三千八百余万円になりまして、結局のところ一億二千七百万円を政府損失を負うというような事態になつたものでありまして、はなはだ遺憾に考えているわけであります。
  39. 迫水久常

    迫水委員長代理 本件について通商産業省当局において特に説明を要する分があればこれを許します。
  40. 今井善衞

    今井説明員 本件経緯につきましては、ただいま御説明がありました通りでございますが、この民間貿易は二十五年の一月から開始するということになつておりましたにもかかわらず、特にそれの実施の直前を迎えまして、十二月に本件を施行したという当時のいきさつは、この故衣料輸入は当時羊毛製品の需給が非常に詰つておりましたので、何とかして輸入することによつて国内羊毛製品の供給をふやして参りたいということで、本件丸菱と相手のダドリアンの話合いは二十四年の五、六月ころから始まつておりまして、その問いろいろ取引条件その他の関係がありまして、延び延びになつておつたのであります。当時たまたま貿易公団におきまして、相当繊維品滞貨もございましたので、毛織物をかたがた輸入し、かたがた日本滞貨なつております自転車あるいは繊維製品、そのほかいろいろのものがございますが、そういうものを売ることができますれば、結局日本輸出によりまして故衣料を買うことができる、こういうことで、大体年末近くになりまして、話が具体的にまとまつて来たのであります。従いまして、とにかくバーター前提といたします以上、本件を促進した方がよろしいという判断に基きまして、民貿を許してそういうことをやつたのでございます。  それからもう一つの点になつております、この話自体が、バーター前提としておつたにもかかわらず、司令部間違いによりまして、取消し不能の、分割払いを認めないところの信用状を開いてしまつたという点でございます。本件ダドリアン通産省との契約におきましても、取消し不能のいわゆるバツク・ツー・バツクというLCを開きまして—バツク・ツー・バツクLCというのは、日本政府の方で、そのうち、たとえば一千の故衣料輸入するという場合には、それを国内に売りまして、その売りました代金でもつて逆に輸出品を買いまして、そうして向うに売る。それによりましてまた代金がとれますから、その代金をもつて、また次に故衣料を買うというふうに、ぐるぐるまわすような前提で初めてできるのでございます。それでバツク・ツー・バツクLCというのは、その入りましたものだけについて有効であるという條件を付することが前提なつておつたのであります。ところが司令部におきまして、その條件を付さないで、この全額につきまして輸入しても有効だという、当初の契約と違つたLCを出した。しかもその信用状は取消し不能でございます。その取消し不能というのは、原因が何でございましても、とにかく発行した銀行はそれに対して責任を負うということになりまして、商慣習上、相手方の同意がなければ絶対に取消せないということになるのでございます。従いまして、通産省といたしましても、司令部に対しまして、これは契約と違うLCであるということを再三交渉したように聞いておりますが、交渉したにもかかわらず、取消し不能の信用状でありましたために、取消しが不可能になつた。そこで先ほどのお話のように、一時に故衣料が内地へ到着いたしまして、これを売りさばくことに非常な困難を来した、それによりまして損害を生じたということになつております。
  41. 迫水久常

    迫水委員長代理 本件に関して質疑を許します。吉田君。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 六四二号の丸菱通商株式会社というのは、どういう程度の信用ないしは規模で、どういう会社なんでございますか。これは日産ビルの五階に事務所のあつた会社とは違いますか。
  43. 及川逸平

    及川政府委員 その点に関しましては、さつそく調査いたしまして、後ほど資料を提出いたしたいと思います。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その丸菱の実態というものを知ることは、この案件の審査の上で非常に重要なことだと私は考えております。二十四年の十二月にはまだ民間貿易の開始がないときであつたということにいたしましても、これによりますと、取引上の責任は一切丸菱負担ということになつておるようでありますが、それを政府貿易の形にして取引をせねばならぬという重要な理由、根拠があつたのでありますか、それをまず聞いておきたいと思います。
  45. 今井善衞

    今井説明員 民間貿易は二十五年一月から始めたのでございますが、この民間貿易のやり方といたしましては、当時輸入方式として三つばかりございますが、予算のある限り自由に申請を認めて、予算がなくなるとそこでもつて切るという仕組みとか、あるいは物を必要といたします人に対して、資金割当をいたしましてそうしてやる、こういうことになつております。従いまして民間貿易におきましては、個別的に話を取上げるということは、もちろん不可能でございます。それからまた当時民間貿易によりまして、いわゆるバーター制度が行われましたのは、民間貿易開始後よほどあとのことでございます。従いまして、民間貿易ではなかなか本件を実現することが不可能である。たまたま先ほど申し上げましたように、バーターの履行によりまして、当時滞貨なつておりましたものがはける。これは全体的に考えてみましても大きい利益になるということで取上げまして、民間貿易の実施前に本件を実施したということになつております。
  46. 迫水久常

    迫水委員長代理 会計検査院の方でこのことについてお調べになつて、もう少し打明けて、裏ということもないですが、今の説明では書いてあることを通り一ぺんに言つただけですが、実はこういうわけだつたというような、お調べになつた点はないですか。
  47. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 別にございません。
  48. 迫水久常

    迫水委員長代理 本件については、丸菱というものがどこにあつて、どういう会社であるかもわかつていない、ちつとも勉強して来ていないから、この次に延ばして、もう少しよく調べて来てもらうことにしたらどうでしようか。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 けつこうです。それでは丸菱の当時の資産状況、営業規模、どういう人が首脳部であつたか、それからその後丸菱というものがなお存在しておるのかどうか、営業種目は何であつたか、所在地はもちろんのこと、それから当時民間貿易政府責任でやつておりますから、取引上の責任は一切丸菱負担ということになつておるらしいが、何らか政府丸菱との間に契約があつたと思いますので、その契約の内容、ことに信用に応じてしかるべき保証というものをとることが至当じやないかと思いますので、そういう点、資力、担保の有無、もしとつておらぬとすれば、何ゆえにとらなかつたのか、結局において一億二千七百万円も損になつております。これはいろいろな経費がかさんでおると思います。それやこれやありますので、ただいま申し上げました点については、至急に資料をお取寄せになるようおはからい方を願つておきます。
  50. 迫水久常

    迫水委員長代理 私から調べていただく要点を申し上げておきます。総司令部間違いで起つたと言うけれども、どうして総司令部がそういう間違いを起したか、総司令部が悪かつたなら総司令部が悪いのだということをはつきりさせたらいい。  それでは本件は月曜日にもう一ぺん審査いたします。     —————————————
  51. 迫水久常

    迫水委員長代理 次に報告書百九十七ページ、その他の項、報告番号六四三、報告書百九十八ページ、米国対日援助物資等処理特別会計、未収金、報告番号六四四及び是正させた事項、物件報告番号六四五の三件を一括議題とし、そのうち報告番号六四三については特に詳細な説明を求めます。
  52. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 六四三号は整理に関する問題であります。原材料貿易公団と食糧貿易公団は、二十四年の三月末に解散しまして、鉱工品貿易公団がその業務を引継ぎまして、二十四年六月末に清算を済ませまして、その債権、債務を貿易特別会計の清算勘定に引継いでおるわけであります。この両特別会計の当初からの整理が必ずしも的確に行われていなかつたというような関係上、貸借対照表も不正確なものでありまして、原材料貿易公団につきましては、売掛金二千二百余万円が過剰に計上されておる、あるいは食糧貿易公団においては、油糧公団に対する売払い代金一億一千二百余万円が脱漏しておつたというような点がありまして、整理していただいたわけでありますが、二十四年六月にさように引継ぎましたのにかかわらず、二箇年を経ましても、原材料貿易公団については、二千二百余万円が確認し得ないというふうな状況のものがございます。そのうち八百六十九万一千余円はクレームの発生によつて債権を確認し得ないものでありまして、千三百九十一万七千余円は、債権の内容が明らかでない、こういうふうな状況であります。なおそのほかに回収の困難になつておるものが七百六十八万八千余円あるわけでありますが、これらはいずれも当初の整理がよくなかつたということと、引継ぎを受けられてから必ずしも整理がスムーズに行かなかつたということによるものと考えております。なおその後千三百万円につきましては、商品の欠減だということで、雑損に処理されております。なお八百大十九万円ばかりのクレームの点については、約半分が片がつきまして、残りがあるいは取立てその他になつておるものもございます。それからまた回収困難となつておるものについては、一部取立てができ、あるいはそのほかのものについては訴訟を起されておる状況であります。かように整理が遅れておりましたので、この決算につきましては、通産大臣の承認を得ることになつておりますが、その承認が遅れまして、二十七年の六月に出ております。なおそれに対しては検査院でも承認することになつておりますが、この分も二十七年の七月に承認をして、現在では大体片づいたというふうな形になつております。
  53. 迫水久常

    迫水委員長代理 ただいまの説明に対し、通産省当局において説明を必要とする点があれば発言を許します。
  54. 中野哲夫

    ○中野政府委員 概要はただいま会計検査院当局から御説明申し上げた通りでございまして、結果において承認が遅れましたこと、これは決算書の内容が不明確である、あるいは関係帳御、証拠書類が不備であるというようなことで、非常に遺憾に存じますが、その後努力いたしまして、ただいま会計検査院からお話のございました通り、昨年の六月両公団の清算を結了いたしまして、通産大臣の承認を得た次第であります。
  55. 迫水久常

    迫水委員長代理 質疑を許します。なお本日は通産大臣は参議院の関係で御出席ができないということで、小平政務次官がかわつて出席しておられます。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 食糧貿易公団は清算を終了しておるのでございますか。昨年の六月というのは、清算終了によつて大臣の承認を得たという意味ですか。
  57. 中野哲夫

    ○中野政府委員 お話の通りでございます。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 食糧貿易公団については、世上いろいろな問題があつて話題を生んだと思うのでありますが、権の内容が確認せられなかつたということは、一体どこに原因があるのでしようか。清算事務の段階に入れば、そういうことは一目瞭然としてわかるのが当然の建前と思うのでございますが、何かそういうことを明確にし得ないような事情が当時あつたのかどうか。そういうことをお気づきならば御説明を願いたい。
  59. 中野哲夫

    ○中野政府委員 御疑問ごもつともでございます。原材料貿易公団は、御承知の通り昭和二十四年三月にたしか急にこれを解散する—だんだん民間貿易の方に持つて行くのだし。当時各種貿易公団がたくさんあるので、これを整理統合しようというような政府の方針で、原材料貿易公団が二十四年の三月末に急に解散されまして、しかも翌月の四月一日からは、その仕事を鉱工品貿易公団で引続き実行するということになりましたので、その際帳簿上の引継ぎで、現品を一々たなおろしをやるひまもなかつた。努力の足りなかつた結果とも申すべきかと思いますが、そういうことでつき合せが完全に行つておらぬわけでございます。引受けました鉱工品貿易公団では、いろいろな伝票とか証拠書類の整理、照合などになかなかひまがかかつた。しかも清算においては、従来の担当職員が退職いたしまして方々へ離散してしまつた。こういうようなことで遅れた次第でございます。そこで二十六年の十月に通商振興局に、特に旧原材料貿易公団、食糧貿易公団、この二つの公団の清算室を臨時に設置いたしまして、そこで担当官が専門にその最終的な精査及び確認を行いまして、ようやく整理を完了し得た、こういう状況でございます。しかしこの整理の結果内容不明債権あるいはクレーム付債権等が相当額出ましたことは、通産省として遺憾に存じております。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 政務次官が見えておられるならばこれは政務次官に聞きましよう。元来あらゆる公団がずいぶん大きな乱脈をなして、世上、新聞等に喧伝せられたのでありますが、政府が原材料貿易公団から昭和二十四年六月に資産を継承して、そして二十六年十月というと二箇年と四箇月。そこでこういつた政府の資金がある程度投ぜられた公団の資産、負債一切を承継するときに、内容が明確になつておらねば承継にならぬと思うのですが、そういうのが幾らあるかわからぬままに、ただ形式上承継する、そういうものではないと思います。やはり引継ぎですから、内容の点検あるいは照合等々全部しなければ、承継というものは事務としてもできない建前であると思うのでございます。なぜ二箇年四箇月たつてなお数千万円確認できないのか、どうも私には理解しにくいのですが、何かそこに非常な乱脈があつたまま引継いだというようなことでもあるのじやないでしようか。その点おわかりでしたらひとつ次官からお答え願いたい。最近もいろいろなものの承継があつたはずでありますが、承継の際は相当正確に数字を確認して初めて承継事務が完了する、私はこういうふうに常に考えておるのですが、その辺はどうなんですか。
  61. 小平久雄

    ○小平政府委員 承継の事務につきましては、御説の通り、一切の帳簿等につきまして、また特に債権、債務等の関係につきましても実際の証拠書類等も照合いたしますし、また現品の照合につきましては照合をいたすべきが当然だと存じております。ただいま事案になつております場合につきまして、具体的にどういう事情であつたかは実は私もよく存じませんので、その点はお許し願いたいと思うのでありますが、具体的なことにつきましては担当官から御説明申し上げたいと思います。
  62. 堀江法

    ○堀江説明員 お話がありました通り、二十四年の三月末に解散をせられまして、その清算結了期限を同年の六月末と限定されました。これは公団の解散令に基きましてそういうふうになつたのでございます。その間、清算期間がわずか三箇月であつたわけであります。それで清算結了と同時に、その債権債務は国に一切を引継いだわけでございます。但し持つておりました商品につきましては、先ほども局長から話がありましたように、これを鉱工品貿易公団に引継いだのであります。そしてその三箇月間の清算期間中に作成しました清算決算書なるものが、先ほど申し上げましたような事情によりまして、内容が非常に不明確であつたために、それの審査に二箇年有余を費したわけでございます。はなはだ遺憾には存ずる次第でございますが、その間通産省としまして鋭意審査して参つたような状況でございます。
  63. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 堀江さんは当該案件について当時何らか担当せられた関係があるのですか、ないのですか。
  64. 堀江法

    ○堀江説明員 私は企業局整理課長でございますが、整理課と申しますのは、原材料貿易公団ほか三つの貿易公団から引継ぎました債権の処理を主としてやつておるのでございます。
  65. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなた御自身関係があるのですか。
  66. 堀江法

    ○堀江説明員 その当時は関係ございません。昨年の八月からでございます。
  67. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、やはり書面に現われた報告書、そういうこと以上には知識がないわけですね。私がさつきから尋ねておるのは、やはり公団が損失をしたということは、同時に政府の国の資産が損失したことにもなると思います。従つてとにかく当時不正事件等が世上に喧伝せられた折から、その資産を引継ぐときに貸借対照表の二千数百万円書き違つおつたというようなことも発見せられないのは、私としては合点が行きにくいのでありますが、だからそこに何か漫然とそういうふうに引継ぎなさるような事情でもあつたのか、引継がれるべき公団の方が非常に乱脈のためにそういうことになつたのか、あるいは引継ぐあなたの方の官庁で厳密に貸借対照表を検討し一切の照合もするという手配を怠つたのか、どちらかその辺を聞いておきたい。
  68. 中野哲夫

    ○中野政府委員 御承知の通り、原材料貿易公団は一年に数百億円の商売をやつておるわけであります。これが三月末に解散し、清算結了が爾後三月ということは普通の商社その他の清算事務としてはとうてい考えられないような次第でございます。当然半年なり、一年なり、あるいはそれ以上の期間清算を十分にやりまして、政府が引継ぐということでございますれば、かような遅延はなかつたかと今になると想像されるのでありますが、当時の政府の方針といたしまして公団をなるべく簡素化し、縮小する、清算結了もある程度きれいに清算を終つて引継ぐということは望めないかもわからぬというような情勢下においてさようにきめられましたので、公団等の解散令に基いて七月一日からは政府が債権債務の勘定を引受けたというようなことに相なつた次第でございまして、御指摘のような特に引継いだ側の原材料貿易公団に不明朗なこと等はないものと確信いたしております。先ほど申し上げました理由で、証拠書類の伝票等が、かなり扱い品目も広汎であり、同時にごたごたした状況でございますので、そういうものをきちんと整理いたしますためには、二年以上かかつたことは、御指摘通り、長きに失すると思いますが、以後それぞれの担当者が勉強いたしましてようやく完結を見たような次第でございます。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは私ども常識から考えましても、あなたの御説明の数百億円の商いをするような大規模な業務状態であるから、それで引継ぎをするときに二千万円くらいのものが、売掛金の過剰計算ということになつております。あるいは食糧公団の方は売掛金が二億一千二百万円の売払代金が脱漏しておつたということになつておりますが、いずれにいたしましても三月間もあれば大体賃借対照というものはほんとうなら一日でわかるはずなのであります。どんな大きな会社でもいろいろとたな卸しをやつて、こまかく清算を遂げて行くというのなら相当日時を要しましようが、それでも三月というような大きな期間に政府が公団から一切の積極、消極の財産を引継ぐというときに三月あつたがとても時間がなかつたということは、これはどうも私は言われぬと思います。そこでやはりその後二年も要してようやく完結したとおつしやるのだが、そういうようなことは二年もかかればもつともつとこれに数十倍する大きな資産内容の整理もできます。三月間あれば相当大きなものもやれます。専門家がなかつたというならば、専門家なしにやるということはだらしないことだと思います。ですからそういう経理の面に通じた人がやる場合に、三月もしてなお発見もせられず、最後に検査院に発見せられたというようなことは、これはどこか大きな怠慢か何かなければならぬと思うのです。今の御説明によれば、公団側に暗い蔭もなく、何もそういう似た事情もないような弁護的な御説明がありましたけれども、いやしくもやはり国に損害をかける危険があるような場合に、公団側にしましても、二、二日の間にきちつと見通しが確認される、数字が確認されるというような準備がなければならぬと思います。やはりこれもできていなかつたということ、引継ぐときにも漫然と引継ぎ二年もかかつているということは、私はやはりどこかによつて来るところがなければ話のつじつまが合わぬと思うのでございます。重ねて聞いておきますからひとつ御答弁してください。
  70. 中野哲夫

    ○中野政府委員 お答え申し上げます。御指摘通り、もつと勉強いたしますれば、二年以上ということにはならなかつたと思いますが、関係帳簿等のいろいろつき合せ等に意外の日時を要しましたり、それから当時の担当しておつた職員がそのままそういう整理の仕事に継続してやれますれば、もつと能率も上つたと思いますが、これはまことにやむを得ないことですが、役所で職員の更迭等もございますので、決して弁護一方という意味ではございません。その他遅延の責任は感じておるのでございますが、当時そのようなやむを得ない事情もありました点を御了承願いたい、こういう趣旨であります。
  71. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やむを得ざる事情があつたというが、その事情はどうも私ども了承しにくい。そこでこの六四三号によつて事実上国側が損害をこうむつたという事実があつたのですか。あつたとすればどのくらい損害をこうむつたことになるでしよう。
  72. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 損害の点でありますが、結局雑損になりましたのがここに書いてあります千三百九十一万七千円、これは物品その他の欠減ということでありまして、これが損害といえば損害かもしれませんが、ほんとうにそういうものがあつたかどうかというところの正確なつき合せができませんから、全部が損害であるかどうかということはちよつと認定いたしかねます。それからあとの方は結局回収が困難だということで訴訟を起されておるものもございますから、そういう意味で相当遅れておる、あるいは回収が困難だという意味では国損があるというふうに考えますが、はつきりした意味では千三百万円がそういう種類のものに属するかと思います。
  73. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 回収を要する項目、金額は大体どのくらいになりますか。
  74. 中野哲夫

    ○中野政府委員 回収を要する、つまり債権として回収努力をいたしております債権が二十四件で、七百六十八万八千円余りに相なつております。それが会計検査院から御指摘、批難をこうむつた数字でございますが、二十八年の二月末現在で、その取立てにいろいろ努力いたしましたが、まだ十九件残つております。ですから五件は解決したわけであります。金額が七百四十六万七千余円になつて、わずか残つております。取調べまするに、そのうち四件は相手方の債務者が住所不明でございますし、また無資力と思われるものも数件ありますので、この七百四十六万円のうち、ただいまの見通しではヒ百万円くらいは回収ができないというふうに見込まれる次第でございまして、残りの五百万円余りについては今後も極力回収に努力をいたすつもりでございます。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 百九十八ページの第四行目、食糧貿易公団において売払い代金一億一千二百四十五万何がしを脱漏しておつた指摘されておりますが、これはこの通りでございますか。
  76. 堀江法

    ○堀江説明員 これはこの通りでございまして、一にその当時の帳簿の扱いが正当を失していたと思うのでございます。これは検査院の御指摘によりまして、昭和二十六年の十月十七日に貿易特別会計政府収入に入金済みになりました。
  77. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一億一千二百四十何万円の売払い代金の脱漏というのは、貸借対照表に計上されておらなかつたということですか。
  78. 堀江法

    ○堀江説明員 帳簿に脱けておつたのです。
  79. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一億円以上も帳簿に載つていなかつたのですか。
  80. 堀江法

    ○堀江説明員 はあ。
  81. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは回収されたのですか。
  82. 堀江法

    ○堀江説明員 さようでございます。
  83. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どこから回収されましたか。
  84. 堀江法

    ○堀江説明員 油糧配給公団に対してのやし油その他の売払い代金でございまして、それで油糧配給公団から回収いたしました。
  85. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 食糧貿易公団が一億円以上も記載漏れになるというのはどういう原因でございますか。一億円といつたら少なからざる大金と思うのですが、それが帳簿に載らぬというのはどんな理由があつたのでありましよう。
  86. 堀江法

    ○堀江説明員 ちよつとその当時のいきさつはよく承知いたしませんので……。
  87. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 当時のいきさつは承知なさらぬにしても、しかし油糧配給公団へ一億何がしの請求をなさつたのですね。そうしますと相当いきさつを究明しておかなければ請求に困難でなかつたかと思います。だからそれは、政府側においてはつきりしておつたのではないでしようか。まず公団の方は相当責められるべき立場にあつた。いらざる手数をあなたの方は使つた。あとから回収したにしても人間もいつただろうし、費用もいつただろうと思います。そこでなぜそんな大きな脱漏をしでかしたのかという原因について何も御承知ないわけですか。
  88. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまの一億一千二百万円でありますが、どういうわけで脱漏になつたかというその直接の原因はわかりませんが、私の方で発見したのは、どういうふうに発見したかということを申し上げたいと思います。私の方では、買つた方の油糧配給公団の方も実は検査をしたわけであります。そういうふうな関係上対照した結果、そういうものが抜けておるということが判明したわけであります。
  89. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは政府側におきましてはお調べにならぬのでございますか。会計検査院指摘されてから後ということでは、やはりそこに相当作為的にお調べにならなかつた事情が伏在するのではないかと見るのでございますが。
  90. 中野哲夫

    ○中野政府委員 当時の担当官といたしましては、確かに御指摘の点一応の疑問を持つて取調べたことと確信いたしますが、ただいまどういう取調べ方をしたかという当時の事情は、あまりつまびらかにいたしていない次第であります。
  91. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながらやはり通産省は公団の資産、負債などを引継いで、それを管理する重責があるのでありますから、公団の貸借対照表に重要な資産が脱漏したというようなことが、検査院で指摘されて初めて気がついたということは、私はもし民間の会社だつたらそういう人は首になるほどの問題じやないかと思います。厳密に調査したけれども見つからなかつた、こういうことでございますが、何かそこに説明をもう少しなさる方が事態を明瞭にし得る面が残つておるような気がします。今日はその後油糧公団から回収したので、その点についての実損害がなくなつておるようなものの、一億円以上のものが公団でいいかげんに脱漏しておつたものをそのまま引継いだというのでありますから、私は相当これは神経過敏になるほど、あれこれと想像をたくましゆうして御調査になつてしかるべきであつたと思うのであります。当時はこれは担当官でなかつたので実情を知らないということになれば、無理ないようでありますけれども、やはり残務処理等につきまして、政府は重要な責任があるわけでありますから、従つてこういう大きな脱漏があつたならば、そのよつて来るところを究明して、今後この種の資産を管理する重責にこたえるべき建前でなければいかぬと思いますので、くどく聞いたわけであります。なおそこで御説明願えることがあつたら伺つて、なければ次に進みます。
  92. 迫水久常

    迫水委員長代理 通産省は現在こういう公団の整理をまだやつていますか。
  93. 中野哲夫

    ○中野政府委員 債権の未収金がありますから、それの取立てはやつております。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 未収金の取立てが済まずに清算が結了するというような、そんなことはないはずです。未収金というのは資産ですから、それをとつてからでないと清算は結了をしない。未収金があるのに清算が結了したということは常識上考えられません。
  95. 中野哲夫

    ○中野政府委員 公団の清算は、残余財産は国庫に引継ぐと公団解散令でなつておりますので、国の財源になつておるわけであります。そういうことで清算が結了をして、ただいま国が直接債務者から金を取立てる、こういう仕事をやつております。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 国というのはどこをさすのですか。管掌しておる官庁はどこですか。
  97. 中野哲夫

    ○中野政府委員 債権の取立ては、通産省の企業局でやつておるわけであります。取立てたものは国庫に帰属いたします。
  98. 古井喜實

    ○古井委員 今の食糧貿易公団と油糧配給公団との間に取引された時期は、いつになつていますか。
  99. 中野哲夫

    ○中野政府委員 今古井さんからのお話の一億一千二百万円を売掛金として売つた時期が、非常に接着しておる事情であれば、多少恕し得るところもあつたかと考えておつたのですが、その事情は当時の書類あるいは関係者等に問い合せませんと、ただいまこの席上で御即答申し上げられないのであります。
  100. 古井喜實

    ○古井委員 会計検査院の方ではわかりませんか。
  101. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまの一億一千万円は、二十三年十一月から二四年三月までに、神戸、門司、横濱に入港した油関係のものを売つたものであります。
  102. 古井喜實

    ○古井委員 それで会計検査院の方にちよつと伺つておきたいと思いますが、これはお調べになつた当時、ほんの他意なく計上漏れになつておつたようにごらんになつたか、あるいは何かそこに事情のありそうな特殊な状況にごらんになつたか、これについて伺えれば伺いたいと思います。
  103. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまの点は、特に悪意があつたというふうには考えません。と申しますのは、価格が未決定だという多少の事情もあつたかと思いますので、そういうように思います。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと最後に申し上げておきますが、次に運輸省もあり、いろいろありますが、やはり番号によつて指摘されておりまするものは、一応は説明書が出ておりますけれども、やはり担当の責任省としての立場において十分に研究調査して準備してもらいませんと、説明が不十分のために延びるばかりになりますので、かさねてこれはひとつ御警告を願つておきたいと思いますから、おとりはからい願いたいと思います。
  105. 迫水久常

    迫水委員長代理 通産省に言いますけれども、今まで決算委員会に答弁に出て来られた各省はあるけれども、通産省が一番勉強していないということはきわめて明らかだと思います。この次もう一ぺんありますから、この次はもう少し勉強していただきたい。私、委員長代理としておるのですが、もしここに田中委員長がおられたならば、今私が言いましたような警告では、とうてい済まなかつただろうと思います。  以上で通産省所管の事項についての審議は、六四二を除きまして一応終了いたしました。六四二につきましては、来る月曜日に審議をするつもりで、ありますから、十分勉強していかなる質問にも答え得るように御用意を願います。     —————————————
  106. 迫水久常

    迫水委員長代理 続いて運輸省所管に移ります。  それでは検査報告書百九十九ページ、運輸省一般会計予算経理報告番号六四六及び工事の項燈台関係工事の分、報告番号六四七ないし六五七を便宜上一括議題といたします。そのうち六四七ないし六五七の十一件については特に詳細な説明を求めます。会計検査院検査第三局長小峰説明員。
  107. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 六四七以下の燈台関係の案件につきまして御説明いたします。燈台の工事に関連いたしましては、二十五年に相当広範囲にわたる汚職事件が起きまして新聞をにぎわしましたことは御承知のことと思いますが、会計検査の上におきましては、今まで前例のないたくさんの非難がここに出たわけであります。二十五年度の燈台関係工事は、工事箇所が二百七十四、事業費八億四百万円であります。会計検査を実施して来ましたものが八十一箇所、事業費が二億七千七百万円、三分の一弱であります。検査の結果によりますと、架空工事あるいは便乗工事が相当にあります。それから工事の手抜きがありましたり、またでき形が設計と違うというのに、そのまま設計通りできたこととして金を払つた。あるいは未完成の工事を完成したとして代金を払う、こういうような質の悪いものが相当つたわけであります。それから競争契約によりましたもので、予定工事費額の見積りが、材料とか人工、そういうようなもので非常に甘いというようなものも見受けられたのであります。これから申し上げますように、たくさんの不当事項が出たわけでありますが、どうしてこういうような事項がたくさん出たかと申しますと、二十五年度の事業費、先ほど申し上げました八億四百万円のうち、約半分の四億二千万円というものは第三、四半期になりましてマツカーサー書簡によつて予算補が補正されまして、結局燈台関係工事をやつて、燈台を増強しろ、こういう趣旨だつたのでありますが、結局半分くらいの予算が第三、四半期以降でついたということが一番大きな原因だつたように見受けられるのであります。それ以外に急に工事量が膨脹いたしまして、現場係官の能力と申しますか、がそれに伴わなかつた。それで現場係官の工事監督が不十分で、請負人に乗ぜられたというような面もあつたように見受けられたのであります。それだけ申し上げまして個々の案件に入ります。  まず一番質の悪い架空工事、架空の名義によりまして工事費を支払つたもの、これが二件ございます。一つは第三海堡燈台、これは横須賀でありますが、これは実際にやつたのは、一部の十四万六千円だけで、全額の四十二万二千円払つております。三分の一ほど工事はしてあります。それから野島崎の方は十四万七千円でありますが、全然工事をやつていない。これは関係者が先ほど申し上げました汚職事件の一つの事項として二名起訴されております。  それから次にいわゆる便乗工事、災害を受けもしないのに受けたということで、災害復旧の予算で改修工事をやつたもので、これは数がいつも多いのであります。予算の使用としてはまことにおもしろくない案件であります。五件で約六百万円というものが六四九以下に書いてございます。  それから工事の検収が当を得ないもの、設計通りできもしないのに、設計通りできたことにして代金の過払いをしたというのが六五四に—これはこまかいのが非常に多いものでございますから、一括して六五四にございます。箇所数は約十五箇所になつております。  それから工事代金の支払いが当を得ないもの。これは工事がまだ完成していないのに、完成したものとして年度内に請負代金を払つてしまつた、しかもその小切手は請負人に交付しているという案件であります。六五五以下三件、三百三十万円であります。  以上燈台関係工事の不当事項について御報告申し上げました。
  108. 迫水久常

    迫水委員長代理 ただいまの説明に関し運輸当局において格別説明があれば発言を許します。—格別説明があればという意味は、すでに国会に対する説明書というものを出しておられるが、これに書いてないことをさらにつけ加えて言われることがあればという意味です。
  109. 山口傳

    ○山口(傳)政府委員 別にありません。
  110. 迫水久常

    迫水委員長代理 それでは質疑を許します。吉田君。
  111. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 架空名義の工事代金払い、六四七、六四八についてお尋ねしますが、野島崎の燈台の補修については全然工事施行の事実がないのに金を支出しております。その前の第三海堡燈台の補修ですが、これも一部の工事ができて、他はできていないのに請負代金の総額を出している。どういうわけでこうなつたのですか。あなたの方の説明書によれば、いずれも会計検査院検査報告の通りであつてまことに遺憾である、今後かかることのないように厳重に注意するというだけのことで、何ゆえこういうことになつたのか、検査院からは刑事事件が起つたという御説明がありまして、そういうことからこのようになつたとも想像されますが、なぜ被害者側の政府のお立場として、こういう事実がないのに金を払うというようなことになつたのでしようか、いきさつを御説明願いたい。
  112. 山口傳

    ○山口(傳)政府委員 ただいまの件につきまして、経理課長から詳細説明いたさせます。
  113. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 御説明申し上げます。六四七の第三海堡燈台改良改修工事について申し上げますと、この改修工事は、請負金額四十二万二千円のうち、電池格納室約十四万六千円を施設いたしまして、差額約二十七万六千円は架空工事であると会計検査院から御指摘を受けているのでありますが、本件の工事を調査してみますと、昭和二十五年の四月ごろから八月ころまでに実施されたものでございまして、当時の工事施行の関与者は、同年の八月後任者に経緯等をこまかく引継がずに転任いたしました。従いまして後任の者が深く事情を知らずに、四十二万二千円の工事がそのまま処理されておるものと考えて会計手続をいたしましたために、昭和二十六年八月の会計検査院の実地検査によつて初めて発見されたというようなことで、監督上まことに不行届きの次第で、申訳ないことと存じております。本件は刑事事件となりましたので、その後詳細にわたつて当方で調査の結果判明いたしたところによりますと、昭和二十五年五月、品川燈台の緊急災害復旧工事を施行しておりながら、その未払いになつておる代金十三万七千円がございましたので、本件工事代金からこれに充当したものがあり、さらに残りの差額約十三万円が、目下刑事事件として横濱地方裁判所において公判続行中のものでございます。なお当時の工事関与者であります茂木燈台部長、内田建設係長、金子営繕係長は、いずれも横濱地方裁判所で公判に付せられております。本件の監督者であります第三管区海上保安本部長桑原忠夫は退職をいたしております。なお支出負担行為担当官に対しましては、減給処分に付しました。以上が第三海堡燈台改良改修工事の概要でございます。  次に六四八の野島崎燈台補修工事、請負金額十四万七千五百円は、まつた会計検査院の御指摘通りでまことに遺憾と存じております。当時の契約書等を刑事事件となりましてから調査いたしてみますと、書面上は一応正規の検収をし正規の支払いをしたということになつておりますが、まつたくの架空工事でありまして、本件の監督者であります当時の本部長は、やはり先ほど申し上げました通り、退職をいたました。さらに支出負担行為担当宮である藤原義男も退職をいたしております。工事関与者であります茂木燈台部長、内田建設係長、金井営繕係長は、前の事件と同様にいずれも横濱地方裁判所において公判続行中と相なつております。
  114. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の退職というのは、何か処罰的の意味においてということになるのですか。
  115. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 本部長並びに総務部長藤原義男は、六月並びに八月に、海上保安庁の汚職事件の全貌がはつきりいたしまして、その責任を負つて退職をしたということになつております。
  116. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは国が直営した工事と承つてもよいのですか。
  117. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 いずれも請負に付した工事でございます。
  118. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こういうような工事は、いろいろな意味において大事な工事と思いますが、これは所管庁において何回も現場の工事状況を監督、視察するというようなことはしないものですか、その点はどうでございますか。
  119. 西田豊彦

    ○西田説明員 従来燈台局の時代、すなわち昭和二十三年以前におきましては、工事の量が比較的少うございましたので、国が直営するのを原則としておりました。大体一年に二箇所ないし三箇所程度の工事で、一箇所の工事を二年ないし三年調査、計画、実施というふうな段取りで行つてつたのでございます。日本の沿岸の燈台で戦災にあいましたものは約三割に及んだのでありますが、戦後におきまして、進駐軍が進駐いたしましてから、これに対して至急復旧を命ぜられたのであります。また公設の航路標識でありまして、その設備の不十分なものはすべてこれを官に移管して、それに対して至急完全な整備をするようにというようなことも命ぜられたのであります。そういたしまして、工事量が飛躍的に増大いたして参りましたので、数字的に申しますと従来は数千万円の範囲を出なかつたのでありますが、昭和二十五年には、先ほど検査院の小峰局長のお話にもありましたように、一躍八億というような数字になりまして、工事箇所七非常に増大いたしました関係上、これを全部国が直営するということができないような状況になりました。大体二十四年、二十五年という工事はすべて直営を廃しまして、請負いにするということを原則といたした次第であります。ところがこれに対しまする監督でございますが、従来さきに御説明いたしましたような程度の工事を直営するだけの人間でございまして、その後若干の増加はございましたけれども、全国各地に散在いたしまして、比較的僻陬の地における工事を十分監督するだけの、人数におきましても、あるいは監督旅費におきましても、非常に不十分であつたのであります。それでもちろん全然監督をしないというものではございませんが、監督について比較的手の抜ける状況であつたのでございます。
  120. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは実は引続いて便乗工事もあり、あるいは検修不当もあり、工事代金の支払い不当もあり等等いたしますので、今の監督の事実については非常に重要な性質を持つておるものと考えられます。そこで今伺つておりますと、監督の事実については人間が足りない、旅費、予算が不十分だというような御説明なのだが、そういう御説明では弁解にならぬと私は思うのです。たとい数十件の工事箇所がありといたしましても、やはり省当局といたしましては、工事進行の状態、あるいは竣工の有無の事実、ことごとく点検するということが私は当然だろうと思います。八億円であろうと、十億円であろうとにかかわらず、まつたく施行していない、工事のないところへ支払つたようなもの、大部分の工事ができておらぬのに支払つたようなもの、こういうことは当該担当の役人だけでなしに、本省からときどき視察、監督をしに現地に臨むということが私は当然のことであると思うのです。そこで実際に、たとえば野島崎の燈台補修なんか全然これはごらんになつておらぬのであります。
  121. 西田豊彦

    ○西田説明員 お答え申し上げます。工事の監督につきましては、原則といたしまして、営繕関係においては、まず現場の説明、それから基礎工事の検査、中間検査、竣工検査ということを少くともやるのを原割といたしております。また機械につきましては、最初の使用説明、それから中間検査、完成検査ということを行うのを原則といたしておるのであります。しかしながら先ほど申し上げましたように、人数あるいは予算関係でこれが十分行かず、営繕関係で申し上げますと、最初の現場説明、それから最後の竣工検査というくらいの程度を行うのがやつとの状況であつたのであります。その後この関係につきましては、大蔵省当局とも十分折衝いたしまして、漸次改善の跡を見つつあるような次第であります。ただただいま御質問の野島崎及び第三海堡の復旧工事につきましては、これはもうまつたく申訳のない、また御説明のできない状況でございまして、これは予算が足りないとか何とかということをもつて説明をすることはできないということは十分承知いたしております。
  122. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうするとこれは現地に臨んで監督された事実はあるのですか、ないのですか。
  123. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 犯罪行為による架空工事でございますので、現地に行つて検修をしたという事実はまつたくございません。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 金を払うまでに、これは前払いでなしに、あと払いなんでございましよう。そうなんですね。
  125. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 さようであります。
  126. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 金を払うまでに現地に臨むということは全然ないというのは、またどういうわけなんでしよう。これは累ないとか、いろいろおつしやつておりますが、どういうわけでこう行かないのでございましよう。
  127. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 工事の責任者が茂木燈台部長でありまして、さらにその下の工事を直接担当いたします内田建設係長並びに工事の検修、監督をいたします金井営繕係長、五名の共謀による詐欺事件でございますので、まつたく公文書を偽造して、会計上は正規のような書類をつくつて提出をしておるわけでございます。
  128. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、本部の部長とか、そういう程度の階級の人が現地の者と共謀して詐欺的行為をした、こういうことになるのですか。
  129. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 横濱にあります第三管区海上保安本部の燈台部長並びに燈台部の建設係長並びに総務部の営繕係長等々が共謀をしたわけでございます。
  130. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで本省側においてときどき調査したり、現地に監督に行つたりするということは必要でないのか、これをひとつお答え願つておきたいのであります。
  131. 壺井玄剛

    ○壺井政府委員 御指摘のように、人事、会計、ことにこういう金高の大きいものにつきましては、本省からもよく注意をし、監督をし、事後監察の必要があるということは痛感しておるのでありますが、何しろ人手が非常に少いのと、こういう知能犯的なものにつきましては、よほどの機構をもつて臨まないとなかなか効果が上らないというようなことから十分にできておりません。なおこの事件の起りました当時は、海上保安庁と申しますのは、運輸省の外局ではありましたが、異常に独立いたしました外局でございまして、運輸本省が会計、人事に関与いたしたというものはきわめて稀薄であつたと御了承おき願いたいと思うのであります。
  132. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、本省は予算を流すだけで、こういう工事には直接現地に臨むということは建前になつておらなかつたわけなんでございますか。
  133. 迫水久常

    迫水委員長代理 ちよつと私が申しますと、こういう質問なんです。つまり工事代金を払うのと本省とは全然無関係に、現地の横濱の海上管区本部だけでできるのか。そういう工事を注文したり、それからその代金を払うことは本部つまり運輸本省あるいは海上保安庁の本部と全然関係なしに、管区本部だけでそういうものができるのか、ただ本部は予算を流すだけなのか、こういう質問なんです。
  134. 西田豊彦

    ○西田説明員 お答え申し上げます。燈台の建設工事につきましては、大体その地点を選定し、いかなる工事をするかという設計をいたしまして、これを指示することは海上保安庁の本庁がいたすわけでございます。しかしながら、それから先その工事を実際に請負い者に請負わし、契約をし、その実施を監督し、それを検収するということは各地方管区本部長の責任なつております。本庁といたしましても、常に監督を怠るわけには参りませんけれども、建前といたしましては、管区本部長に全責任をまかしておるという状況でございます。
  135. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、長官にお尋ねしますが、その後ずいぶんとたくさんに同種類の案件が出て参つておるのであります。やはり地方にまかしておくということももつともなことでありますけれども、予算執行の責任は省にあるわけでありますから、従つて手がなければ手をふやす、金がなければまた予算を要求すればいいので、地方にまかしておいたということがこの種の問題を生むすきを与え、間違いを生じた最も大きな原因でないかとも考えるのですが、いかがでございますか。
  136. 山口傳

    ○山口(傳)政府委員 お答え申し上げます。二十五年度検査報告によりまして、数々の不祥事件が私の方から出まして、まことにその点申訳ないのでありますが、この原因につきましては、今御質問がございましたが、いろいろ言訳のようになりますが、当時の事情としては先ほども話が出ましたように、急に業務量がふえたとか、あるいは機構が、従前燈台局一本でやつてつたのが海上保安庁に統合されまして、各地に仕事がふえた、あるいはまた工事が一挙にふえまして、しかもそれを請負い制度に出さざるを得なかつた事情のために、あれやこれやといろいろ事情はあるわけでございますが、何と申しましても、基本になるものは官紀の弛緩があつたのではないかと、その点は率直に認めます。こういう事件を起しました後の善後措置といたしましては、監察制度を強化するとか、あるいはまた会計経理について、従前総務部に属しておりました経理補給事務を独立いたしまして経理補給部を設け、またその間の課の仕事の割り振りその他万般のことをして、こういう事件が起りますことを未然に防ごうといたしたわけであります。いずれにいたしましても、職員が自分の大事な職責を十分に自覚いたしまして、厳粛な規律のもとに、責任感を持つてつてくれれば、かようなこともございませんでありましたが、かような事態が一応出たことは何ともいたし方がないのでありまして、海上保安庁といたしましては、その後あらゆる機会に基本であるところの官紀の振粛につきまして取上げ、庁報あるいは広報もしくは機関雑誌等につきましても、あらゆる機会に不名誉を取返すことを書きますし、また会議等におきましても、常にこの綱紀粛正ということを特段に強調いたしまして、今日まで参つておるのでございます。あの当時のいろいろの事情でかような不始末が出ましたが、その後ある程度官紀におきましても、また業務の刷新におきましても、改善されつつあることはひとつ御承知おき願いたいと思うのでさります。お尋ねの中の工事を地方にまかせきりでは困るじやないかというお話もございましたが、一応設計、企画等につきましては本庁でやりますが、各地にある程度の工事を分担させてやらせるのが能率的でありますから、一応そういう建前になつておりますが、今後は随時本庁といたしましても、かようなことの絶滅を期する意味におきまして、監察制度その他の査察等を十分はからいまして、かようなことの再び起らないように努めて参りたいと思つております。
  137. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なお重ねて長官に伺いますが、その後こういう事件の起らないように予防的に対策を講じて、改善の跡が見られるというお説でありますが、工事の途中、当初、進行の際といつたような適当なときに、中央からそれぞれ視察するということは、その後実行されておるのですか、おりませんか。
  138. 山口傳

    ○山口(傳)政府委員 その点は十分考えて実行いたしております。
  139. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところが二十六年の検査院の報告二百三十七ページから、三百三十八ページにわたりまして、「燈台の災害復旧工事の施行に当り処置当を得ないもの」として、また出て来ております。たとえば八四〇の第六、廣島、新開鼻燈柱災害復旧、これも六十四万四千円が二十七年の三月から四月にわたつて指摘されております。つまりこれは予算の使途を振りかえておるのでありまして、流用できないものを流用したということになるのだろうと思います。災害復旧の名義によつて改修工事をやつたと、こういうことになつております。でありますから、これは二十七年の四月までに金が支出されておるので、これから見ると、やはりその後跡を断つことなくして、とかくこの種の問題が保安庁関係において生じておるように思いますが、御所見いかがですか。
  140. 山口傳

    ○山口(傳)政府委員 二十六年度に三件ばかりまた問題が起つておりまして、この点はまことに申訳ないのでありますが、私の申し上げたのは、ごく最近の情勢に主点を置きましたので、逐年よくなりまして、最近の会計検査院の講評におきまして、従前から見るとかなりよくなつたというおほめを実はいただいておるのであります。二十六年、次の年までは三件出たのはまことに申しわけありません。
  141. 迫水久常

    迫水委員長代理 小峰説明員どうですか。
  142. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 吉田さんの御質問に関連いたしまして、二十五年度は、先ほど申し上げましたように、非常に経理も乱れまして、大きな汚職事件が起きまして、そのことと歩調を合わせて、会計検査院検査報告の批難事項も、そのように海上保安庁としては創設以来初めての多数が出たわけであります。二十六年度のことでありますが、海上保安庁の経理につきましては、燈台以外におきまして、われわれとして十分に検討しなければいかぬような事項も間々ございますが、燈台に関する限り、二十五年度に比べまして相当改善の跡が見えるということは申し上げられると思うのであります。この検査報告に三件載りましたことは、はなはだ遺憾であります。検査報告はお手元にあると思いますが、運輸省の冒頭のところに書いてございます。海上保安庁における燈台その他云々に対し、本院において実地に会計検査を施行したものは、百十二箇所……。
  143. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十六年度ですか。
  144. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 二十六年度でございます。二十六年度の二百二十三ページでございます。百十二箇所、一億六千二百万円ほどの工事を検査したのであります。ところが三つしか検査報告に上る事項がない。私どもとしては、まあ見方が悪かつたのかもしれませんが、昨年こんなにたくさん見つけた同じ人間が、ことしも検査しておるのでありまして、昨年は八十一箇所しか見なかつたのでありますが、こんなにたくさん発見したのであります。ことしは百十幾つも見まして、三つしがなかつたのであります。こういうわけでありまして、燈台工事に関する限り相当経理が改善されたと申し上げられるのじやないかと思つております。
  145. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その後改善の実が上つておるとしますれば、これはまことに御同慶にたえません。  ここで二十五年度へもどりまして、六五七までお尋ねしたいと思います。これは災害復旧に関係のない別の工事をやつて、いわゆる便乗工事をしたということ、あるいは工事の検収が行われていなかつたようなこと、また完成をしておらぬのに完成したものとして取扱つたようなことでありまして、これは察するに、大体共通の原因がここを流れておるように私は思うのであります。そこで予防及び善後の措置をいろいろ講じられましたが、請負を民間の者にさして事件が起つたりして、信用が置けないような請負人が生じた場合には、請負人を選定するという問題も非常に大事なことじやないかと私は思うのであります。省庁の内部における人心の作興だとか規律だとかいうことも大事だろうと思いますし、こういうことにはやはり現場の職員が責めを負う場合がずいぶんありますが、それはそれといたしまして、請負う請負人側の方に対しましては、相当厳密な選択、あるいは資産調査、あるいは工事の請負人の責任者の人物調査とかいうことが、ほんとうにされなければいかぬのじやないかと私は思います。といいますのは、検査院が十のうち三つ検査され、あるいは八つ検査されても、検査院の検査というものは一つの限界がありますので、こういうようにたくさん事件が起りましたら、あらゆる角度から検討して将来に備えるということが当然必要であり、この請負人側に対しまして、制度か、あるいは分針か、何らか相当適切な措置が新たに講ぜられなければならぬと思うのですが、そういう点についてはいかがですか。
  146. 西田豊彦

    ○西田説明員 お答え申し上げます。ただいまの御質問はまことにその通りと私たちも考えておる次第でございます。ただ燈台には特殊な問題がございます。といいますのは、燈台の工事は非常に僻陬の地で、しかも非常に波の荒い、あるいは輸送その他に非常にむずかしい技術がいるというような関係がございまして、何々組という大きな土木工事会社でございましても、特殊の経験を持たない工事請負者でありますと、つい計算上その他にいろいろミスをいたしますので、やはり燈台工事にはある程度経験というものが必要であろうと考えております。もちろん資産、信用の程度、あるいは社長その他責任者の人格等、あらゆる角度から検討いたしまして厳密に選定をいたしておるのでありますが、必ずしも一般常識的な大工事会社であれば最も的確であるというところには行かないことを御了承願いたいと思うのであります。そういたしまして、この事件がありました以後におきましても、特にこの工事業者の選定について注意をいたしまして、最も悪質な業者はこれを排除する、すなわち請負の入札に参加させない処置をとつたものもございます。ただ先ほど申しましたような特殊な経験という点から、その情状の軽いものにつきましては、十分注意を促してその後も入札に参加させておるものもございます。こういうふうにいたしまして、本庁といたしましては、各管区本部の業者の選定について指導的な方針を流し、その後の実際を十分監督しておるつもりでございます。
  147. 古井喜實

    ○古井委員 六五〇ないし六五三の便乗工事の案件に関係して懲戒の処置をとつたものがありますかどうか。これは資料をいただいたかもしれませんが、調べて来なかつたので……。
  148. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 いずれも懲戒の処置をとつております。
  149. 古井喜實

    ○古井委員 それでは資料をお願いして、それを拝見すればわかると思いますけれども、海上保安庁あるいは管区本部の職員の人も懲戒を受けておりますか。
  150. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 受けております。
  151. 古井喜實

    ○古井委員 それから六五五ないし六五七ですが、この三つの案件の工事をその後いつ完了しておりますか。
  152. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 六五五の神威岬無線方位信号所無線工事は二十六年七月十五日に完成いたしました。それから六五六の霧多布無線方位信号所機器取付工事は同年八月七日に完成しております。次に六五〇の松前小島燈台改修工事は同年八月十日に完成しております。
  153. 古井喜實

    ○古井委員 そうしますと、ここに年度末出来高ということが書いてあるのですが、二十六年度末の出来高は、六五五は五五%、六五七は四〇%、六五六はなしとあるのですけれども、これは今の御説明とちよつと食い違うように思うのです。
  154. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 今の説明と食い違わないように思います。と申しますのは、年度末にはこれだけしかできていない、あるいは全然着手していなかつたということでありまして、括弧内は年度末出来高であります。ここに書いてあります年月日は、会計実地検査のときの年月日であります。会計実地検査のときには、これは最初で申しますと、六月八日であります。そのうちここにある照明設備の空中線工事だけがやつてなかつた年度末にはもつとできていなかつた。二番目のは全然着手していなかつたのですが、検査後にやりまして、八月七日には完成した。三十三万円の工事でありまして、そう大きな非常にむずかしいというものではございません。電燈の配線とか、あるいは退息所がございますが、それの簡単な工事であります。
  155. 古井喜實

    ○古井委員 そうすると、先ほどの運輸省の方の説明通りでよろしいのですね。
  156. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 ちよつと御参考に申し上げます。六五七は先ほど八月十日完成とおつしやつて資料にはそうなつておりますが、検査報告は、八月十日に検査に参りましたら、これは退息所の電燈工事でありますが、これが完成していなかつた検査に参つたとき全然やつていないのが、十日に完成したという報告を受けて、実は私ども戸惑つたのですが、報告はそうなつております。一日で相当の工事をやつてしまつたということに今のところなつているわけであります。
  157. 古井喜實

    ○古井委員 今のことはまことにどうも不可解で、どつちかの御報告がずさんであるということにならざるを得ぬと思うのです。これはこの事件のみならず、他の事件についても同じようにずさんだという問題になると影響は大きいですから、どつちがずさんなことを言つたのか、ひとつはつきりしていただきたい。八月十日にはできていないというのと、八月十日にできておつたという話は、これはいかにも明白にぶつかると思う。そうなれば、六月十八日に着工していないものが、八月七日に完成しておるというのも疑わしくなるのです。六五五の方は、あるいはこの通りかもしらぬけれども、少くとも二件はどうも妙だということになりそうです。これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。  それからこれもあるいは資料があるかもしれませんが、この三件の関係で刑事事件が起つておりましたか、どうですか。
  158. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 本件について刑事事件関係は起つておりません。  ただいま問題になつております八月十日の件でございますが、これはなお調査いたしますが、おそらく手直し工事程度のものが未完成となつて、その手直し工事を行つたのではないかというふうに考えます。書類上は八月十日当時まだ電燈配線工事が未完成となつていたというふうになつているのですが、また調査いたしまして御説明いたしたいと思います。
  159. 古井喜實

    ○古井委員 それでは今の点はひとつ事実を明らかにしていただくことを希望します。  それから刑事事件は起らなかつたということですが、ちよつと考えると、そういうことが起りそうな案件のように思うのですが、事実がその通りとあれば、その通りと伺いましよう。  それから懲戒上の処分は、この三件に関係してどういうふうになつておりましようか。
  160. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 これはいずれも北海道にあります第一管区海上保安本部の工事でございますが、本部長は支出負担行為認証官並びに支出官になつておりまして、これに対しましては訓告処分、実際契約を担当する支出負担行為担当官は総務部長になつておりまして、これに対しましては戒告処分を行つております。
  161. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの六四九ないし大五七の全部にわたつてですが、便乗工事で、最初予定されておらなんだ工事をやつたというようなこと、それからまた仕事がないのに代金を支払つてつたというようなことは、保安庁としては、検査院に指摘せられたのでおわかりになつたのか、それより前にもうわかつてつたのか。その点いかがでございますか。
  162. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 保安庁といいますのは、東京の海上保安庁でわかつてつたかという御質問でございましようか。
  163. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 当時海上保安庁になるのですか。本省の外局の役所はどこになるのですか。本省でもどつちでもいいですが、名称がかわつているだろうから、そう言つただけです。
  164. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 当時は東京にあります海上保安庁ではこういう工事が完成しないのに小切手を払つたということはわかつておりません。
  165. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 海上保安庁が、管掌する役所の上部の責任官庁になつておりますか。
  166. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 そういうことでございます。
  167. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 検査院から指摘せられたのでわかつたということでありますと、それぞれの工事について代金と工事との関係についても、先刻六四七、六四八で質問申し上げたのと同じように、いずれも地方の出先の管区本部ですか、それにまつたくまかせておいたので知らずにいた、検査院が指摘してから知るに至つた、こういうふうに了解していいですか。
  168. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 さようでございます。
  169. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、検査院の実地、検査がまだ八十一箇所にすぎませず、百二十箇所ですかあるうちの三分の二くらいにすぎないようでありますが、大部分は海上保安庁として中央からは現場の調査報告を求めるとかいうようなことはしておらなんだということになるわけですか。
  170. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 中央の海上保安庁といたしましては、地方にあります九つの管区海上保安本部に対して、絶えず会計上の報告を求め、あるいは機会あるごとに実地に出向いて、検査あるいは指導を行つているわけでございますが、全部の工事件数について一々こまかい検査を行うことは、人員、旅費等の関係上なかなかできがたい実状にあることを御了承願いたいのでございます。いずれにいたしましても、会計担当者といたしまして、かかる事故を起しましたことは非常に申訳ないことでございますが、御承知の通り、海上保安庁は昭和二十三年に初めてできまして、各方面の人間が寄り集まりましてできた役所でございますので、二十四年、二十五年、二十六年当時は、とかく部内の融和という点についてもまだ遺憾の点がありおのおの古い役所の伝統をそのまま持つた人間が集まつておりましたので、海上保安庁そのものの融合した気風というものがまだ生じなかつたのであります。その後こういう不祥事件が起きまして以来、先ほど来長官以下が申し上げております通り、いろいろな考え得る手をでき得る予算の範囲内において打ちまして、改善をはかつておるというふうにわれわれは考えておるのでございまして、何百という工事について、一々常時監査的な目をもつて各方面の人間を検査するというまでには至らないのでありますが、機会あるごとに指導をしておるということを御了承願いたいのでございます。
  171. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではその後の処分関係について一言お尋ねしてみます。管区の海上保安本部の工事担当責任者以上の入については、何らかの措置があつたのですかないのですか、それを承つておきます。
  172. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 管区本部の責任者は本部長ということになつておりますので、会計検査院から指摘を受けた者、あるいは検察庁の問題になつた者については、いずれも予算執行職員等の責任に関する法律、あるいは公務員法上の懲戒処分を行つております。管区本部長はすべて懲戒処分を受けております。次に実際の契約を担当しております総務部長につきましても、すべて懲戒処分を行つております。結局予算執行職員等の責任に関する法律の対象となります予算執行職員は本部長並びに総務部長ということになつておりますので、いずれも懲戒処分に付しております。
  173. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いただいた資料の第三段目に「処分関係」とありますが、六五四ないし六五七のそれには、関係責任者に対してそれぞれ訓告、戒告、減給処分を行つたとありますが、関係責任者というのは、今の本部長も入るわけでありますか。
  174. 坂本恭一郎

    ○坂本説明員 そういうことでございます。
  175. 迫水久常

    迫水委員長代理 いかがでございましようか、本日はこの程度にいたしまして、残余の運輸省の部分は、三月十一日の水曜日に審議いたしたいと思います。従つて次会予定日の三月九日月曜日には、午後一時から予備費使用総調書(承諾を求めるの件)に関する件及び吉田委員の提案による連合国軍の演習により漁業者のこうむる損失補償金問題、九十九里濱関係並びに連合国軍及び駐留軍により敷設された施設による漁業経営上の損失に対する見舞金支給問題、東京湾関係について審議いたすことにいたしたいと思います。なおそのあとで本日審議未了になりました通商産業省関係報告番号六四二について審議をいたします。
  176. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと御要求を申し上げておとりはからい願いたいのですが、通産省関係分がまだ残つておりますので、通産省分との関連事項で、昨年予算総会において問題になつておりました例の炭住問題は、これはやはり通産省における予算の執行上相当重要な案件であろうと思いますので、会計検査院の当該局、それから開発銀行、通産省などのわかり得る適当の人に、資料を持つて委員会に出て来られるようにおとりはからいを願いたいのであります。
  177. 迫水久常

    迫水委員長代理 吉田さんに申し上げますが、月曜日にそれだけの時間があるかどうか、若干疑問がありますから、いずれ理事会を開いてあらためて御相談申し上げます。  それでは本日はこれで散会いたします。     午後四時七分散会