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東畑政府委員 今回のビルマ米の黄変米につきまして、まず事実を先に詳細申し上げたいと思います。昨
年産米が非常に不作でありましらので、
食糧庁といたしまして玄米で約百五万トンの輸入
計画を立てまして、
食糧の輸入をはか
つてお
つたのであります。ビルマ
政府との輸入交渉がなかなか難航いたしまして、向うの割当が来なか
つたのであります。
政府といたしましては、外務省を通じまして、たびたび向うと輸出の割当についての折衝をいたしてお
つたのでありますが、最後に今回黄変米の
事件を起しました米の一部であります四万トンの割当がきまりましたのが、昨年の夏を過ぎた九月であります。ビルマにおきましては、雨季前に米を買いまして、そのときまでに買
つた米は、大体かびの生えたような米は来ないのでありますが、雨季を過ぎますと危険であるということは、よくいわれてお
つたのであります。何分にも端境期を控えまして、昨年度はどうしても操作上外米がほしか
つたために・四万トンの割当が来たときに、これを買うことをきめたわけであります。その買い方につきまして、ビルマでは
二つの買い方がありまして、一つは
政府対
政府の貿易、これはビルマだけでございます、いわゆるGG貿易とい
つております。
政府対
政府の割当のものでございます。もう一つは国際入札に付するものであります。国際入札のものにつきましては、ビルマの
政府はビルマ人でないと国際入札に参加を許さないので、
日本側はビルマ商社が入札したものについて、商社を通じて
買つておるのであります。
政府貿易でございますと、
食糧庁長官の代理であるビルマにおきます総領事と、ビルマの国家農業商品局
——むずかしい名前でございますが、SAMBと訳しております
——という役所がございまして、そこのSAMBの局長と、
食糧庁長官代理ビルマ総領事というものが、
売買契約をいたします。その
売買契約をいたしました
政府のものを、商社が代行人にな
つて日本に持
つて参るわけであります。所有権は現地の船側渡しになります。そこで
食糧庁の所有になるわけであります。現地には事務所はございませんで、総領事館があるわけであります。そこに
食糧庁から事務が一人、外務省の官吏とな
つて駐在をいたしております。それからこれを担当いたします商社は、従来から三社ございます。日綿実業株式会社、東西交易株式会社、第一物産株式会社、この三社を従来から指定してございます。この指定商社が
政府の代行人とな
つて米を運んで来る、こういう
関係に実はな
つておるのでございます。今回の米は四万トンの
政府対
政府の割当を受けました米であります。
売買契約は長官代理の総領事と、向うのSAMBとがや
つておるのであります。
そこでビルマの米でございますが、これはタイ等にはございませんが、ビルマ国には国営の検定局がございまして、輸出のものはその役所がや
つておるのであります。タイであるとか他の国で買います場合には、
食糧庁といたしまして国際的な
検査会社というものがあ
つて、その
検査会社が
検査をいたしまして、その
検査を通
つたものでないと買わないことにな
つております。ビルマ等におきましては、向うで輸出
検査という国営
検査をや
つておりますので、
食糧庁といたしましては、その会社にもう一ぺん
検査をやらすということはしなか
つたのであります。いつも問題になるのでありますが、ビルマの
検査規格におきましては、米のいろいろな規格があるのでありまして、もみ米の混入率、赤米の混入率、砕け米の混入率の三つが大きな規格にな
つております。それで米の規格がきま
つて来る。虫害等がありました場合には、値引きをするとかいろいろなとりきめをいたしております。私行
つたことがないので現地の
事情はよくわからないのでございますが、遺憾ながら黄変米というものについての認識が実はなかなかない。ビルマの米に有毒なかびが付着している米があるということは、一昨年の十二月に初めて
日本でわか
つたのであります。その後
食糧研究所なり大学等に頼みまして、いろいろ黄変米についての研究を現在や
つております。いろいろな種類がありまして一大体今までわかりましたのは四種類
程度があるようであります。そのうちで一種類は有毒ではない、あとの三種類は有毒であるというように、今のところ研究が進んでおります。もつと深く研究いたしますれば、まだまだ出て来ると思いますが、その黄変米は一種のかびでありますから、ある
程度の湿気と温度によ
つて急にふえるというものであります。われわれとしても、実は現在
検査官というものはいないのでありまして、ビルマの
検査局が
検査しますときに、一応商社が
政府の代理で立会いをいたしまして
買つておるわけであります。現実は米を螢光ランプで見ないとなかなかわからぬそうであります。黄変といいましても、船の途中でふえて黄色くなるのでありまして、あちらでは黄色
いものではないのでありまして、黄変米を起す病菌が付着しておるというものであります。そういう米は現地にもあるわけであります。そこで螢光ランプで見ましてピック・アップして別にするというので、昨年来そういうものをこしらえまして、現地へ持
つて行
つてやらしておるのが実情であります。ただビルマ
政府としては、遺憾ながら
検査規格に黄変というものをなかなか認めてくれないのであります。実はたびたび折衝いたしてお
つたのでありますけれども、要するにビルマの
検査規格にな
いものでありますから、遺憾ながら損害賠償とかクレームか要求するだけにな
つていない。そういう米を買わないように
食糧庁としては
注意をしてお
つたのであります。そういう状況のもとに四万トンの米を入れたのであります。その後国際入札でも若干来ておりますけれども、ただいまのところ一万二千七十一トンという米が黄変米という的確なことはまだわかりませんが、黄変しておるのであります。それが、清水、名古屋、門司、芝浦等守に七、八隻の船で参
つております。これを扱いました商社は三社が交互にや
つておりますので、三社とも
関係しておるわけであります。この一万二千七十一トンという米変をいたしておりますので、厚生省の食品
検査官と連絡をいたしまして、これは配給用にまわすことは危険であるという判定をいたしまして、現実
倉庫に入れてしま
つて隔離いたしております。これをどうすれば毒のないようにできるかということについての検討もしておりますが、まだそこまで進行いたしませんので、あとは仮定の議論でございます。これをどういう用途に使うかということについては、再搗精をして処分するという以外にないわけであります。みそ用、蒸溜酒用、アルコール用であれば大体厚生省等の意見もよろしいというわけでありますが、みそ用にこれを転用いたします場合には、現在でも若干米を渡しておりますが、損失はそう大きくは出ないのであります。工業用アルーコルにいたしますと、
総合配給に比べまして非常に安くなりますので、損が出る。一万二千七十一トンに対する国内の
総合配給価格を申し上げますと、一トン当り五万二千九百九十円につく。一万二千七十一トンにかけますと六億三千九百六十四万円。この米をどう処分するかにつきまして、まだ現実の米を今当
つておるのでありまして、国損を少しでも少くするように
努力いたしております。あとは推定でありますけれども、二億七千五百万円と申し上げましたのは、かりにこれをアルコール用に売りました場合に、昨年度のアルコール売却
価格は三万百四十五円二十八銭になりますので、一万二千七十一トンで三億六千三百八十八万円になります。その差額が一億七千五百七十五万円ということになるわけであります。ただいままでの
報告によりますと、黄変とい
つてもそれほど悪
いものばかりでもないというので、みそ用にも
相当まわりますれば、これは五万円以上の
価格で売
つておりますので、おそらく損失はないのですが、ただそれを
総合食糧に配給できないということはまことに遺憾のきわみであります。事実
関係は今申し上げた通りでございます。
これの起
つた原因でありますが、現地の立会いの
検査の模様でありますとか、あるいはビルマとの折衝の模様等その当時の事実につきましこは、外務省を通じまして、現地の調査を厳重にいたしておるのであります。まだその事実
関係だけでありまして、責任
関係その他につきましては、もう少し詳細に調べた上で御
報告申し上げたいと思います。ただいままでの事実はそういうふうにな
つております。