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永田(良)
委員 私はほかのことは知
つておりませんけれども、一七九号につきましては、私当時あの地方の市長をしておりました
関係で、よくこの
事件の内容は知
つておるのであります。さつきも申し上げました
通り、
財務局の
役人がかかる不正なことをしてお
つて国民にとんでもない迷惑を及ぼしておる。むろん本人は刑に処せられたことも私は知
つております。またその不正の金額もまだ取立て未収に
なつておるのもあるとおつしやるが、われわれ直接目撃しておるのに民間の人が悪いことをしたのと、
官吏が悪いことをしたのとでは
あとの処置にたいへんな差別があるようであります。私は、こういう国の大事な
財産を預
つておる、官金公金を預
つておる人は最も
責任が重いと思う。またそういう人が悪いことをした場合は、むしろ民間の個人よりも、いわゆる
責任感において強きものを感ぜなければならぬのであります。またその本人の心構えも、またそれを
監督される人も厳粛な態度をとらなければならぬ。しかるに今御
報告を聞きますと、上の
出張所長なんかは
戒告で済んだ。これはたいへんゆるいと思います。
戒告どころではない。その
監督不行届きの罪を国民に謝するためにみずから辞職をさるべきものである。しからざれば上から相当厳重な処罰をされなければならぬ。それがないからやはり終戦後年々こういうふうに
官吏の不正
事件がふえておるのです。さつきも私が申し上げました
通りに、
国有財産を預
つておる
大蔵省が一番この不正
事件が多いということは、とれほど国家にと
つてやつかいなことはない。これは大蔵大臣初め一国の総理大臣も閣僚もみずから
決算については軽んぜずにや
つていただきたい。予算には閣僚が行
つて予算とりに大騒ぎをしておる。そして
あとのしりぬぐいには閣僚は顔も出さない。私どもはこれらの大臣や
役人をはなはだ不親切なる、また
責任のない人々であると思
つておりますが、思うのが間違いか知らぬが、こういう点からお互い政府の
役人もわれわれ代議士も自粛せんければならぬと思う。
私は南九州の鶴添某を知
つている。私が市長時代に、この者が某料理屋へ毎晩のように入り浸
つていることは、私目撃しております。この点から考えて今後大蔵
当局の、この不正なことを――これは大蔵
当局ばかりではありません。どうも終戦後お
役人の飲み方が多過ぎる傾向があります。このことは私一人申し上げるのではない、私の地方の人々もみなそう考えている。おそらく
日本八千四百万の人もそう思
つているのではないか。私は追放が解けて久しぶりに東京へ来て見ると、またぞろ昔のような待合政治に返
つている。こういう
状態ではいかに綱紀の
粛正を唱えても私は不可能だと思う。あまり
役人が頻繁にいなかも都も料理屋で飲み食いされることは、確かにこれは綱紀紊乱の徴候だと思う。われわれ議員は今待合に行かなくても、議員の食堂もあり、会館や議員宿舎にも食堂があり、たいがいのことはそこで済ませる。願わくは、こういう不正なことが
大蔵省に起きた以上は、大蔵大臣はみずから自粛して宴会などへは御遠慮する態度をと
つていただきたい。たいへん乱暴なことを申し上げるかもしらぬけれども、それでないとわれわれ政治家も
役人も国民から信を失うことになります。こういう点はほんとうに心から罪を感じたという意味で――わずか五十八件の百人内外の悪い者がお
つたために、皆様方のまことにりつぱな方々に対してこういうことをお願いするのはたいへん御迷惑だけれども、
一つの伝染病がはや
つたと思
つて、何十年もということは申し上げません、せめて一年のうち何箇月間でもよろしいから、厳粛な態度をと
つていただくことをお願いする次第であります。
なおまた、私さきにも申し上げましたし、
吉田さんもおつしや
つた通り、
国有財産をむちやくちやに早く
処分してしまわなければいけないという傾向が私の方では見えている。そうお急ぎにならなくても、価値のあるものは待
つておればりつぱに使える。そういう国の
財産のりつぱなレールを鉄くずという名目のもとに処理してしまう。これはお互いに自殺的な行動なのだ。そういうむちやなことをなさらぬで、価値のある物は価値のあるように処置をなさらないといかぬ。ことに私の方の南九州などでは、中央から目が届きませんから、
会計検査院の方でもまた上の大蔵
当局の方も
ちよいくああいうところも御視察なさ
つて、事が現われぬ前に警告を発して取締りをしていただきたいものであります。私はたいへん失礼なことを申し上げましたが、何とぞこのことについては、これは二十五
年度であるけれども、事実今相かわらずの不正が行われているということを私は目撃しているのです。不正不当が行われている。それで現在の大蔵大臣、大蔵
当局が断固たる処置をおとりにならぬと、やはり毎年こういうふうにして不正あるいは不当な
大蔵省の
役人の
行為は決して尽きはせぬと思
つております。どうかこういう意味から――今回も三千五百万円のたくさんの金を国に迷惑をかけておられる。それが約七分の一、五百万円しか
回収ができておらぬ。七分の一しか
回収ができておらぬというのは、民間の
事件であればこんなことはない。国の
役人のせられたことは未
回収で
納入が悪い。そうして上の
役人は
戒告ぐらいで置く。これはいけないと思う。私の郷里のことを申し上げると失礼ですけれども、
皆さんは御承知でしようが、島津さんが徳川時代に木曽川の工事でたいへんなおきゆうをすえられて大阪の高い金を借りて困た。われわれ鹿児島の百姓どもはそのたたりで夜も昼もたたかれて難儀苦労をした。その際の家老の平田靱負さんは、その罪を感じて自刃をして死んだということは世間周知の事実なんです。今の世の中にそんなやぼなことを申し上げるのは失礼かもしれぬけれども、私は腹を切れとは申し上げませんが、いずれにしても自分の
責任を感じて、みずからそういう際には上の人が進んで辞職をする。辞職をしない場合には、もつと上の人が厳重な
処分をされなければ、あるいは減俸をやるとかあるいは他にどうかするとか相当な処置をとられなければ、下の悪いことをした者だけ
処分されても、上の人がそういう生ぬるい態度をしておられたんでは私はだめだと思う。これはやはり
責任者である上の人がもつともつとりつぱな態度をとらぬければ、か
つて石川五右衛門が言
つた通り、なかなか盗人の種は尽きはせぬと思う。こういう意味から、今でもやはりありつつありますから、今後厳重な
監督をして、再びかかる
事件がわれわれ国会の
決算委員会に出ないように、防止されんことをお願いする次第であります。
では以上申し上げて私の質問を打切ります。