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1953-02-09 第15回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月九日(月曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 迫水 久常君 理事 永田 良吉君    理事 吉田 賢一君 理事 山田 長司君       田口長治郎君    田中 萬逸君       松野 頼三君    三池  信君       鈴木 正吾君    大矢 省三君  出席政府委員         法務政務次官  押谷 富三君         検     事         (大臣官房経理         部長)     天野 武一君  委員外出席者         検     事         (民事局第三課         長)      川島 一郎君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五  年度政府関係機関収入支出決算     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  前会に引続き、本日は法務府所管審議に移ります。審議に入るに先だちまして、会計検査院法務省当局報告説明の要領について、一言注意を喚起しておきます。すなわち、おのおのその説明の際には、検査報告または政府説明書指摘事項は省かれていても、それに関係ある事実はなるべく詳細に、また問題の諸点は特に明瞭に説明を願いたく、なお検査報告及び政府説明書作成後新たに知られた事項等がありましたならば、あわせて述べるように願います。  それでは報告書七十四ページ、法務府、不当事項一般会計、租税、報告番号六七を議題として、特に本件に対する詳細説明をお願いいたします。
  3. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 六七号は登録税の賦課に関する案件であります。本件昭和二十五年の四月に三和銀行と日産汽船株式会社から申請されました汽船日産丸に対する抵当権設定登記に関するものでありまして、東京法務局では課税価格を七千二百余万円とされまして、それに対して登録税四十七万一千余円を賦課して徴収されたものであります。  登録税法によりますと、抵当権設定の場合には、債権金額の千分の六・五をとることになつております。それからなお債権金額と、抵当権目的になりまするものとの価額を比較しまして、物の価額債権金額より安い場合には、安いものの価額債権金額とみなすということになつておるのでありますが、本件につきましては、債権金額は一億二千六百余万円に対しまして、法務局ではその目的でありまする船舶が七千二百余万円だということで、船舶価格の方が安いということで、これを基準にして登録税を徴収しておられるのであります。  ところが一方、この船舶は二十四年十月に進水したものでありまして、船舶公団本件会社共有になつており、日産汽船株式会社持分価格は三億百六十万円になつておるわけであります。でありまして、進水後そう時期もたつておるわけではありませんので、債権金額より目的物が安いということは一応考えられない、こういうふうに考えまして、本局でお扱いになつ船舶価格を七千二百万円として課税されるべきものではなくて、やはり登録税法によつて債権金額基準にして、一億二千六百万円に対して登録税を賦課すべきものだ。そういたしますと、登録税は八十二万余円になりまして、本件の約倍くらいを徴収しなければならぬ、こういうことでございます。
  4. 田中彰治

    田中委員長 ただいまの説明に関して法務当局から説明を伺います。
  5. 天野武一

    天野政府委員 本件東京法務局におきまして、ただいま会計検査院より御指摘通り、国及び日産汽船株式会社共有にかかる日産丸という船、これは四千八百総トンでありますが、それに対する日産汽船株式会社持分六三%の価格債権金額一億二千六百二十六万円よりも低いところの七千二百五十七万六千円と認定いたしましたために、登録税法第十六条の二の規定におきまして、認定価格課税標準価格として登録税を賦課したということになるのでありますが、登記所におきまして船舶価格認定する場合には、従来各法務局、それから各地方法務局ごと一定認定基準というものを定めておりまして、本件の場合も東京法務局で持つております認定基準に従いまして、この価格認定しております。従いましてこの船に限つて、特に安く認定したというのではないのであります。問題があるとすれば、東京法務局が持つております認定基準そのものが低過ぎたのではないかということになります。  そこでこの認定基準をどうしてきめるかということを一言いたしますと、登記所で知り得ました船舶登記の実例でありますとか、あるいは関係官庁から送られました資料等基礎として定めておるのでありますが、そのための予算的措置というものは、従来まつたく欠けておりました。また船舶評価に必要な刷りもの的な資料を十分に集めることもできない事情でありました。それからまた最近ことに船舶価格変動が著しいために、その認定基準を十分に実際に即して刻々これを改めて備えるということは遺憾ながらできがたい実情であつたのではないかと考えるのであります。  そこで東京法務局におきましては、その後この年の二十五年十二月に至りまして認定基準改訂いたしました。法務府といたしましても、従来しばしば法務局それから地方法務局に対して、認定基準適正化を期すべきであるということを指示いたしておりますとともに、これに必要な措置を講じつつあるのでありまして、現在におきましては相当に改善されておるというふうに考えております。今後もこの方面の努力を継続いたしまして、一層この課税の適正を期する所存でありますが、本日お手元にお配りしてあります資料昭和二十五年度歳入歳出決算検査報告に関し国会に対する説明書附属資料という厚いものがございますが、これはただいまの船舶登記課税標準価格適正化することについて、われわれがどういうふうに努めておるかということの資料でございまして、御参考になると思います。現在は二十六年十月に民事局長から固定資産税評価基準をそのまま各法務局地方法務局に送りまして、各局においてはこれを参考にいたしまして従来の認定基準を変更して、そして全国的な均衡をある程度保ち、適正化をはかつております。今後も物価変動等に応じまして改訂の必要があると思いますから、各局にまかせることをやめて、あるいは本省で適当な資料を送つて認定基準適正化に努めるということにしたらどうだろうかということも考えておるわけであります。本年登録税関係の旅費として若干のものが入つておりますが、これはこういう不動産の価格評価基準を定めるのみに使うべきではなく、例の変造印紙等の行使の問題、いろいろ問題がございますので、まだ予算的措置としては僅少でございますが、今後とも間違いのないようにいたしたい。かように存じます。
  6. 田中彰治

    田中委員長 本件に関して質疑がありますか。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず資料としてですが、政府昭和二十六年十二月に法務府民事局長から各法務局長及び地方法務局長に対して、地方財政委員会において定めた船舶に対する固定資産税評価基準参考として送付した。これは固定資産税評価基準参考とすべしというのみにとどまるのですか、何かもう少し統一的な従来の弊害を根本からなくするといつたような趣旨が含まれておるのでありましようか。手元通牒があればお示しを願いたい。
  8. 天野武一

    天野政府委員 お手元にお配りしてあるのですが、先ほどの説明書附属資料の二十八ページをごらんになりますと、それで民事局長法務局長並びに地方法務局長に、別紙の通り船舶評価基準を送付これは地方財政委員会事務局長から各都道府県知事に出したのでございますが、これを配りました。そこに書いてございます通りに、「船舶登記登録税課税標準として船舶価格認定するについては、船舶に対する固定資産税課税標準価格との均衡をも考慮して、その適正を期する必要があると思われるので、先般地方財政委員会事務局長から各都道府県知事あてになされた左記通達参考までに送付する。」ということで送つたのでございます。それである程度全国的な統一がはかられておると考えております。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 国民としましては税は安い方がよいのであります。でありまするので、本員もできるだけたくさんに取立てるというような、そういう趣旨質問をするのではないのであります。ところでこの債権金額よりも抵当物件価格の方が低い場合に、登録税法十六条の二によりまして、その物件価格によるということが明記されております。そこで物件価格はいかがかと認定することが問題を起しておるものと思うのです。政府においては各法務局地方法務局がそれぞれの物価変動とか地方事情等を参酌して、今の固定資産税評価基準もなお参考にして、それぞれの基準をきめるという御説明でありますが、何を一番の基準にして行こうということに方針はなつておるのでしようか、そこに問題があると思うのでございます。
  10. 天野武一

    天野政府委員 この認定基準は、御存じの通りに船の場合でございますと、トン当り幾らという単価基準を用意しておきまして、それを一般的な価格にあてはめて行つて登録税幾らということになるのであります。抵当権の場合には、しつかりした担保でありますれば債権金額は非常に高いということがあり、また弱い担保であれば債権金額も低いということになるのでありまして、具体的には個々の債権担保力との関係、こういう抵当権の場合特にそうでありますが、一般的な、総じての場合におきましては、現在では各港々において必ずしも東京通り価格神戸でする、あるいは神戸通り価格が横浜の港でするとは限らないのでありまして、従来いろいろ船舶登記所でありますとか、その他の官庁において、その土地における価格というものをとつて参りました関係上、従来どういうふうな評価でやつて来たかということがどうしても基礎になつております。それでそれがいいか悪いかということは、今後非常に問題でありますので、今考えておりますのは、今度は本省一定のものを出しまして示したらどうかと考えております。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の尋ねようとしておる質問の要点は、二十六年十二月に民事局長から参考にすべき基準資料として、通牒並びに固定資産税評価基準なるものを地方に送つておられるのだが、従来の取扱つて来たそれを改めるということもいいだろうが、一体大体において何をおもな基準にして従来来たのであつて、また地方法務局等においてそれぞれ適当な基準を設けるというふうに言つておられるのだが、何が一番おもな根拠にされておるかということをまず明らかにしたい、こういう趣旨なんです。といいますのは、あなたはこの債権額よりも弱い担保が……という御説明もありましたが、およそ銀行が金を貸すときに、百万円の融資を下るときに、八十万円の物件で貸すということは常識考えられません。やはり二百万円とか三百万円の物件価格の場合に百万円貸すとか、そういうふうに常に物件の方は価格が高いものと常識考えられます。しかしながら法律には物件価格が低い場合には、物件価格によつて登録税が算定されると十六条の二になつておりますので、そこに実際上の矛盾があつて、その矛盾のまま押して行つて社会生活が円滑にできないので、価格を低く見るという一つ手段として、いろいろな基準がとられて来たのだろうとわれわれは考えておるのです。そこで登録税適正化をはかろうという見地に立つておられるのですが、どういうことを大体基準の大きな資料根拠にして行かれようとしておるのか、これを明らかにしたいというのが趣旨なのであります。
  12. 天野武一

    天野政府委員 ただいまのお尋ねの趣旨は、今後認定基準をきめる場合にはどういうものを重要なフアクターとしてきめるか、こういうような意味にもなろうかと考えておりますが、これはやはり固定資産税がそのままこの登録税の場合にすぐあてはまるということは考えられませんので、それをそのままということは考えておりませんが、大体固定資産税のとつている単価の出し方というようなもの、それから従来各地でとつておりました評価の差が何に基いて出ておるかという条件、そういうものを大きなフアクターしとしてきめて参りたい、かように存じております。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今後のこともさることですが、従来この種の問題の起りましたよつて来るところを追究する一つの種になるのですが、大体において地方地方でばらばらに、でこぼこに、相当不公平があつたのだろうと思います。また少しでも安くなつてほしいというのが、こういう取引をする人の普通の共通した希望であります。そこで従来はそうすると大体何を最も大きな根拠にして認定するということになつてつたのでしようか。
  14. 天野武一

    天野政府委員 従来の点を、これはきわめてざつくばらんに申しますと、たとえば前年度どういう認定基準を持つてつたかということが次の年度におけるその法務局における改訂の一番大きな基盤になります。ところが従来たびたび会計検査院から御批難のあります通り、その改訂が実際の船価動き方に追つついて参りませんためか、そこに常にあとに遅れます結果、結局不当に価格を低く認定しておるのではないかというような御批難を受けて参つたのであります。実情を申しますと、従来の価格は前年度における前年度とは申しませんが、改訂前の価格認定基準というものがどうしても基礎になつて、姑息な改訂しかできないで来ておるというのが実情であります。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、検査院認定しました趣旨は、法律的にはやはりそういう検査院認定趣旨通りなのですね。そう承つていいのですか。
  16. 天野武一

    天野政府委員 法務省として考えますのはそういう趣旨であります。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは何ですか、法務省として登録税適正化のために予算措置を講じたいという努力をしておるらしいが、予算措置のほかに何か統一して増税にならぬような趣旨を含んで登録税法を改正するという方向に持つて行かなければ、依然としてこういう弊害が跡を絶たぬということになるのではないでしようか、いかがですか。
  18. 天野武一

    天野政府委員 実際、たとえば登録税法を改正いたしまして、御指摘のように、基準を低く認定したものをさらに更正で高い価格認定したその差額を、あとから取るという方法でも税法の上にあれば、またその是正の余地もあるかと思いますが、さような点は実は大蔵省所管法律でございまして、私どもの方としましては、そういう点について、ほんとうに客観的に間違いがある場合の是正方法がとられていないために、そのまま済んでしまうという実情にあるのではないか、かように考えております。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 登録税法の十六条の二によりますと、目的たるものの価額ということになつておりますので、抵当物件価額でありますから、抵当物件価額というものは前段私が述べましたごとくに、普通は抵当債権よりも上まわるということが常識であります。ところが実際はそれよりも低く取扱つて印紙をはつて行くというのもこれまた普通であります。そういうように、実情に即したように法律上の根拠を与えておかないからこの種の問題が起るのではないかと思いますので、単に予算登録税適正化のためにとるというふうになさるだけでは目的を達しないと思います。大蔵省所管かどうか存じませんけれども、やはりこの法律適用の府としての法務省において、これは相当積極的に考究されて、予算のほかにやはり法律根拠を明らかにすることは、最も抜本的な措置であるようにも考えるのであります。それはあなたに伺うのも無理かもわからぬので、それはあなたに聞かないことにいたします。  そこでついでにお尋ねしておきますが、登録税適正化をはかるために予算を請求せられておるんだが、どういうふうに適正化をはかるという目的になつておるのですか。
  20. 天野武一

    天野政府委員 私ども一番希望しておりますのは、認定基準をつくりますとき、あるいは具体的な船舶評価をいたしますために、何といたしましても法務局の役人はしろうとでございますので、ほんとう専門家に委嘱して意見を徴するだけの措置を講じたい、あるいは各地をよく見てまわりまして、登録税の徴収が適正に行われておるかどうかをよく監査し、またこれを周知徹底させることを考えたい、かようなことを常々考えておるわけでございます。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは質問というよりも希望になるかもわかりませんが、法務局が金を扱い、法務局印紙を扱うために、目下印紙偽造の問題が全国的に波及しておることは御承知の通りであります。法務局というところは、とかくいろいろと民間から批判が加えられておることも顕著な事実であります。やはり登録税の多寡ということをめぐりまして、そういう不幸な事件が起ることもあり得ると思いますので、これは単に緩和するというのではなしに、この点は抜本的に進んで行きませんと、法務局というところが社会的な悪の一つの温床になるような危険すら私どもは感じております。これはしいてお答えをいただかなくてもよろしようございますけれども、御所見があれば伺つておいて、そういう点については根本的に、法律的に、またその他の主たる点でいろいろと方法を講じられる必要があると思いますので、一応申し上げておきます。
  22. 天野武一

    天野政府委員 ただいま御指摘のようなおそれもあろうかと存じますので、法務省におきましてもできる限り抜本的方策考えたいと存じております。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 立法措置等につきましては、法務省としての一つの方針があると思いますから、大臣なり政務次官の来られるまで留保いたします。
  24. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと天野政府委員にお願いしておきますが、国民の泣いて納めた血税が、役所において非常にむだに使われておるもこれを是正するのがこの決算委員会の任務でありますから、この委員会で呼び出したならば出て来るように、押谷君にも伝えてください。わが党の政務次官でありながら、こういう重要なる事項審議しておるとき、どこへ行つたかわからぬなどということはもつてのほかである。この次には大臣を呼び出して、その責任をただしたいと思う。私たちに言わせますならば、あとから出て来る印紙の問題なんかでもそうで、これがもし民間会社で起きた事項であれば、おそらく法務省は上から下まで調べて、会社の社長に腹を切らせるなど相当厳粛なるやり方をやるだろうと思う。しかるに人を検挙して調べたり起訴したり、とにかく人権を自由にする権能を持つておる法務省の中に、こういう大きな不正がある。下の者を処分して刑務所に入れたからといつて、こういう印刷物を出しているけれども決算委員会が呼び出している者が来ておらない。民間ではこんなことを知つておりませんから、私は飛行機ビラをまいて、農民とか労働者をここに押しかけさせて徹底的に調べてもいいとさえ考えております。しかし、あなたの方でまことに申訳ない、今後は注意すると国民に対して誠意を披瀝されるのであるならば、私もあえてこれを追究して内閣をつぶしたり、皆さんを責めたりしようとは思わない。国会にたくさんの委員会はあるけれども決算委員会ほど重要な委員会はない。予算委員会などあんなことをやつているが、予算がとれなければとれないで節約すればよろしい。決算委員会国民からとつ税金がむだに使われたことについて審議をする委員会なのです。国民税金を納めなければ、ただちに差押えをする。脱税したら監獄に入れる。そういうことをして国民をいじめておりながら、政府は一年に何百億という金をどう使つてもいいのだ、それがわかればここに来てどうも遺憾にたえませんと言えば済むのだ、というお考えであるのならば、私は代議士を棒に振つても、自由党が倒れてもしかたがないから、徹頭徹尾これを国民に訴えてやろうと思います。あなた方の方でなるほど悪いということをおつしやるなら、そして今後こういうことのないようにすればいいのですから、私たちもそれをあくまでほじくつていじめようという考えは持つておりません。決算委員会が上の人を呼び出しても来ない。総理大臣吉田さんだつてわれわれが任命したんで、とにかく行政府の長官だつて国会の任命した者なんです。国会の言うことを聞かぬことはいけません。国会議員に対してさかろうというならば、国会議員が団結してそれに対処してもいい。国会国民の代表ですから、この決算委員会はまじめに開いておるのです。押谷君に帰つたらよく言つてください。この次に大臣を呼び出して聞きますから、大臣にもよく言つてください。私の方からも督促します。あなたの方がそういうふうにやられるならば、私どもの方はあくまでやります。そうしてこれは必ず責任を負わせます。これが民間ならたいへんだ。われわれ衆議院議員選挙違反つてそうだ、事務長がやろうが、たれがやろうが、知らない国会議員まで呼び出して取調べをする。そうすると法務省の中にもこんな不正がある。法務大臣責任を負うことになる。検事総長責任を負うことになる。次官もやめることになる、そうして国民に謝罪することになる。あなたの出方によつては私は決算委員長としてそこまで責任を追究します。いけなければ私を支持した国民に訴えます。私は自費を出しても、飛行機でもつて一千万枚くらいのビラをまかせて、国会へ押しかけさせて、もつと大きな委員室で調べますから、法務省へ帰つたらよく言つておいてください。決算委員会がなめられるというなら委員長もひとつ立ち上つて考えなくちやならぬ。国家の財産を使つたというなら言いませんが、これは国民の納めた血税です。帰られたら押谷さんでも、犬養さんでも、この次に呼び出して徹底的に調べますからとよく言つておいてください。まだ法務省に不正がたくさんあります。——何か質問はありませんか。この次に大臣政務次官を呼びます。
  25. 大矢省三

    大矢委員 今この資料による通達を見ますと、これは客船であるか、貨物船であるかよく知りませんが、トン当り五万円から六万三、四千円するという通達です。そうすると非常な差額が出て来ますが、もちろんその当時と固定資産評価地方財政委員会決定当時とは多少事情も違うかもしれませんが、この相違の出て来ることが明らかであるにもかかわらず、これをどうすることもできない。委員長の言われたように、遺憾であつたということではどうかと思いますが、何か検査院の方で、こういう明らかなものは大蔵省から何か行つてもう一ぺん再調査して、再評価するというような手段ができぬものか。これは警告したらそれでいいのだ、検査官はそれで終つたんだということになるのか、何かもつとほかに方法があるのではないか、報告だけでやむを得ぬというだけでは私どもはどうも納得できないのです。この検査官評価というものは多少今いろいろ説明がありましたように、それぞれ各地方で自主的にきめたが、そのきめ方にいろいろ相違があるようですが、今度の統一した指令を出した地方財政委員会決定に基いて、これを評価すべしということから、この価格から見ますと、またそれにしても相当あるようですが、そのままでいいのですかどうか、何かそういう特別な方法はないのですか。
  26. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 方法の問題はなかなかむずかしいと思いますが、現在とられておる措置を申し上げますと、こういうふうに安いということで、法務省の方へも照会をしばしばやり、それからまた検査報告にも本年だけではなく、従来もしておるわけであります。それで今の二十六年の十月に船舶について通達が出されておるのであります。それの分について実は計算をとつてみたわけでありますが、それによりますと、計画造船された分に対しましては指令を出された今五万、六万とおつしやいましたが、ちよつとその点はもつと高いのではないかと実は考えておりますけれども、それで計算をとつてみますと、大体計画造船の価格とほぼ一致しておるというような形になつております。それで、法務局で現実にとられた措置といたしましては、東京ではたしか二十七年度からその通達によつておられると思います。それから神戸の方は、通達が出て間もなく、やはり通達によつておられる、こういうふうな状況になつております。現在のところは、大体計画造船の分についてみますと、多少単価の点で相違がありますが、ほぼ現在の状況に合しておるような状況になつておるわけであります。
  27. 大矢省三

    大矢委員 一体日産丸というのは、貨物船ですか、客船ですか、あるいは両方兼ねているのですか。
  28. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 本件に載つているものは、貨物船と客船と両方兼ねた貨客船です。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 議事の進行につきまして、というよりも、政府委員を呼んでいただく点についてちよつと希望があるのですが、今大矢委員から御質問になりました本件六七号のような場合に、不当課税・過少課税といいますか、結局そういうことになつておりますので、そういう場合に大蔵当局、すなわち国税庁関係ですが、納税等について適当な措置がとられねばならぬのではないかというような御質疑だつたと思うのですが、そういうことは随所にありますので、こういうようなある民間会社が当然国家が受取るべきものをまま少く渡したり、あるいは取過ぎたりしまして、事実上国家に損害をかけているのだけれども税法的な措置が何も講じられておらぬということは、適当な機会にやつてもいいのですが、国税庁の首脳部をお呼び願つて、こういうものに対してどういう処置をとつたのか、また今後とるのか、そういうことを明らかにして行くということは、決算の締めくくり上重要な一つのかなめであると思いますので、適当におとりはからい願いたいと思います。
  30. 田中彰治

    田中委員長 吉田委員に申し上げますが、国税庁の不正事件も近々に調べることになつておりますから、そのときに一括してやつてみたいと思います。それから明日昭和飛行機の実地検証に行きますし、また横浜、名古屋あたりに行きましたときに、それに対する税金の適否についても調べてみたいと思いますから、国税庁長官を呼んでよく調べたいと思つております。
  31. 田中彰治

    田中委員長 それでは次に報告書七十五ページ未収金、報告番号六八ないし七五、報告書七十六ページ予算経理、報告番号七六及び七七、以上十件を一括議題とし、そのうち番号七七の事項については、特に詳細に説明を願います。会計検査院上村説明員。
  32. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 七七号の神戸刑務所の会計経理を乱つたものという要件でありますが、この案件の第一点は二十五年の四月に丸紅という会社から買いました鉄線の代金としまして百八十万円ほど小切手で振出しまして、普通でありますれば、すぐその代金を支払うわけでありますが、これを現金化しまして、そのうちの百九万六千余円を当時刑務所収入で未収になつている事項が相当あつたわけで、その未収金額をなくすために、それに充当して払い込んで、残りの七十万三千余円は現金で一応持つてつた。その後それを正当に刑務所収入の未収になつているもので、事後収入になつて来ましたのを現金で受取りまして、前の七十万三千余円と合せて百八十万円になつたわけでありますが、これを債権者の丸紅に払うわけでありますが、当時丸紅に対しましてその鉄線代金を払つておりましたその中に、実は三十二万五千円ほど過払いになつてつたわけで、この分に充当しまして、これを国の定額戻入にしまして、残額を会社に支払つた。要しまするに、代金を小切手で振り出しながら、正当な債権者に払わないで、これを操作をしたということがまず第一点であります。  その次は、最後のところに書いてありますが、やはり同じように、刑務所におきましては、年度末未収金をなくするということで督促をやつてつたわけでありますが、日本工具株式会社に対する未収金を催促しておりましたところが、刑務所の作業課の技官で田中某という人が、正規ではありませんが、日本工具のために仕事をやつてつて、その代金の一部をとつておる、こういう事態が発覚しまして、その代金は三十五万九千三百十四円になるのでありますが、これの穴埋めをしなければならぬというわけで、全然架空に兵神燃料販売会社からコークスを買つたということで、二十四万二千八百三十円を小切手で出しまして、その金と、日本工具から一部受取つておりました十一万六千円と合せて国の方に払い込んだ。結局不正事件がありましたので、一応穴埋めをして、事後処置をとる、こういう処置がとられたわけであります。この関係で起訴されまして、判決があつたというような状況でございます。
  33. 田中彰治

    田中委員長 ただいまの説明に対して法務当局から説明を願います。
  34. 天野武一

    天野政府委員 ただいま議題となつておりまする六八以下、これは主として刑務所収入の徴収の処置当を得ないものというものから始まるのでございますが、これらはいずれも会計検査院の御指摘通りでありまして、まことに遺憾にたえない次第でございます。何分当時は一般に失業者が多うございまして、業者は刑務所に仕事を委託しないでも、十分に他に労務を求め得る現状でございまして、従いまして刑務所としましては、多少無理しても委託によつて自分自身の作業をしなければ受刑者を遊ばせるという結果、受刑者処遇というようなことから見ましても影響がよくございませんので、代金の取立てが遅延しても、必ず納入になるだろうというような、不確かな期待のものもここに入つて参りまして、そうして作業を提供したという状況もございます。ところが、中には委託者自身が金融難に陥つたというようなことから、とうとう代金を納め得ないで未収になつたものがここに御指摘なつたようにあるわけでございます。これらのうち横浜とか大阪とか、長崎等においては、二十六年度中に未済額全額の収納を受けております。その他については逐次収納を見つつあるわけであります。そうして特に先ほど神戸の刑務所の会計経理を乱つた点についてお話がありました。検査報告に書かれました前段の点については、国の健全財政を立てるという意味から、歳入の確保ということにやはり刑務所としても重点を置いておるのでありまして、この見地からしまして、各刑務所では、本部、それから管区本部、それから会計検査院からの実地検査を受け、しばしばこの点について収入の確保をしようという指示を受けております。従いまして、年間一定の目標額というものを掲げまして、これを達成するためにいろいろと努力して来ております。問題の神戸刑務所は、その場所が神戸の中心から二十六キロメートル離れておつて、交通通信等が不便で、作業の運営というようなことも他の刑務所に比べて不振をきわめました。そこで仕方なく民間業者の下請に依存して作業をするというような悪条件の下にありますので、成績が思わしくなく、窮余の一策としまして、年度末にいわゆる見越し調定を行つたのであります。その結果としまして、多額の収納未済額を生じました。それを今度は糊塗するということから、養殖真珠籠を製作するために亜鉛びき鉄線を購入した代金を丸紅に払わないで、検査院の御指摘のように、不当経理を行つたのであります。この亜鉛びき鉄線の代金は、当時刑務所が持つておりました現金、それから二十五年十二月までに他の業者から回収した金をもつて丸紅に完済したわけであります。  それから会計報告の後段につきましては、担当技官の田中某、これが作業収入金を騙取いたしまして、ために穴が明いてしまいましたので、作業の担当官として作業成績の低下を防止しようということから、コークス二十三トンを架空に購入いたしまして、御指摘なつたような不当経理を行いました。収納未済の方は糊塗するに至つたのでありますが、これはまことに不当でありまして、ただいまお話のありましたように、数名の検挙処罪を受けた者を出してしまつたのであります。なお当時の監督者、所長以下全部、あるいは退職しあるいは他に転ずる等でそれぞれの行政処分を受けております。
  35. 田中彰治

    田中委員長 この問題について御質疑はございませんか。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 神戸刑務所というと、どこにある刑務所ですか。
  37. 天野武一

    天野政府委員 神戸市外の大久保というところにあります。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは会計検査院の方から伺つてもよいのだが、会計検査院の事実の認定通りであるというただいまの本省側の御説明でありますが、なおちよつと事実を確めておきたいのです。百八十万円というのは、小切手を振出して支払うというそういう処置が事実としてとられてあるのでありますか。
  39. 天野武一

    天野政府委員 小切手を振出しまして、それを本人に渡さずに現金化されて、また戻つて来たわけであります。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういう場合、普通代金請求者の丸紅株式会社は記載しないのですか。
  41. 天野武一

    天野政府委員 丸紅が受取人となつて記載されております。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 小切手の受取人である丸紅株式会社と明記せられておるような小切手が、その丸紅の手に渡らずに、また別の帳簿とか別の会計に繰入れられるということは、会計経理上事実上できるのですか。
  43. 天野武一

    天野政府委員 実際具体的にどういうふうに行つたかということは存じませんけれども、丸紅との間に、つまり職員同士で事情を打明け合つてそういうことができる場合があるわけであります。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 丸紅の職員、それから刑務所の職員間で打合せて、別の会計帳簿へ転記繰入れとかいうことができるということはあり得ますけれども、丸紅株式会社というようなあて名人で記載してある小切手ですから、その記載を消すとかどうかしなければ帳面上合わぬのじやないですか。そんなことができますか。
  45. 天野武一

    天野政府委員 結局丸紅が受取人となつて小切手を振り出しまして、丸紅の方で一応正式に受入れた方法をとればそれはできませんけれども、そういう方法をとらずに話合つたのだろうと想像いたします。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはやはり会計法の違反にもなるものと思いますが、どうですか。
  47. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまの点でありますが、会計法に小切手は債権者のためでなければ振り出すことができないとありますから、おそらくこの案件は、小切手を向うに渡して、向うが金をとつて来たのではなくて、刑務所の職員の方が小切手を持つて行つて金をとつて来られたものだと思いますので、そういう意味から申しまして、債権者に渡しておられませんので、そういう点ではやはり会計法上まずい、こういうふうに考えます。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは経理の仕方の誤りということよりも、差迫つた収納未済額の打開策としてやつたという事情は一応了とするのですが、これは会計の扱い上の相当大きな意識的な不正のようにも判断せられるのです。丸紅株式会社という受取るべき債権者の名儀が明記されておる小切手を、丸紅株式会社でない刑務所の職員が銀行に行つて払出しを受けて、そうして刑務所の会計経理に振り込んでおくというようなことは、これは相当大胆でないとできない筋合いのものと思うのですが、そういう点についてはどうお思いになりますか。
  49. 天野武一

    天野政府委員 御指摘通り非常に大胆な不当な行為でございます。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こういうことをあと絶滅するというような措置は何かとつておられるものでございますか。こういう手で、事実上最後の結末のつじつまは合いますけれども、経理の途中におきましてかなり不当と目せられるような事情が伏在いたしております。不当には違いない、大胆には違いないけれども、こういうことを根絶する方法は何かないものでございますか。御感想があれば一応聞いておきましよう。
  51. 天野武一

    天野政府委員 この神戸の刑務所の場合は、これは非常に特殊な、大胆をきわめた例でございまして、やはり何と申しましてもその衝に当つてつた者、それから作業経営に当つてつた者が非常に乱脈な行為をしたということになろうと思います。実はその当時さらに新しく後任になつた者も整理能力に欠けておつたのでありまして、ますます困難を加えてかような結果になつたとあとから考えております。やはり問題は経理事務をあまりこういう人たちにまかせ切つてつたという当時の監督者の責任の問題、それから不当の経理あるいは作業の事務に当る担当官がよくなかつた。従つてそういうようなことのないように改めるというほかはないと存じます。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 政務次官が見えたので、ちよつと押谷君の方にそういう点を伺いたいのですが、予算の執行の末端の現場におきまして、法律的な不正と目せられるような非常に大胆な行為であつたという経理部長の御説明のような事案がただいまの七十七号の事件の内容になつておりますので、特に法務省といたしましてはみずからの内側の犯罪的な事件というものは絶滅を期せねばならぬと思いますので、こういつた事件に対しましては今後絶対に起ることのないようなしかるべき措置をおとりにならねばなるまい、こう考えるのですが、何かそれについて対策とか、あるいは御意見とか、あるいは何かの処置をすでにおとりになつたとか、一般的に警戒をなさつたとか、将来なさるべき意向があるか、その辺について法務省の最高の意向を聞きたいと思います。
  53. 押谷富三

    押谷政府委員 吉田委員のお尋ねにお答えをいたします。  法務をつかさどつております官庁であるにもかかわりませず、経理上の不正が少くないということはまことに遺憾にたえないところであります。この点についていろいろ検討の余地があると思うのでありますが、絶えず会同等の機会に不正防止の処置を講じ、また通達等を出しまして厳重に注意を促して来たのでありますが、その結果昭和二十六年度以後はこの種の不正は激減を見ておるようであります。目下私どもといたしましては会計事務取扱いの規定を新たにつくりつつありますが、こうして不正行為が末端の区検察庁のような小さな官署に多く発生をいたしておるということは、これらの職員が事務がまだ未熟でありますのと、かつ人手が不足をいたしておりますために、一切の経理事務を一括してつかさどつておる等々の特殊な事情によることは、確かにその原因の一つであると考えておるのであります。しかも公務員といたしまして採用後数年しか達していない職員がとかく間違いを起しておりまする現状は、われわれは現地の会計監査を実地に励行いたしたいのでありますが、しかし費用等の関係で末端にまではまだ及びがたい現状にあるのであります。この上とも全国の所管機関の周知を集めまして、不正の防止とその早期発見に努めたいと考えておる次第であります。なおわれわれの官庁法務をつかさどつておりますところでありますが、不正事項の発生は、たとい小さなことでありましても、法務全般の事務に暗い影を投げかけるのでありまして、人情といたしましてはまつたく暴露したくないのでありますが、しかしむしろこれを発見した場合は、懲罰は他の官庁よりも厳格に呵責なく行つておるつもりでありまして、隠し立てをするということなく処断する。明るみに出して処断する方針をとつておることを御了承をお願いいたしたいと思うのであります。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 予算の執行というものが適正かつ適法に行われませんと国政は乱れてしまいますことは申し上げるまでもなく、予算がどんなにりつぱな題目を掲げましても、執行において乱れて行きましたならば、国の政治というものはめちやくちやになつてしまいますことも申し上げるまでもありません。でありますので、明らかに会計法規に違反しておる。適正なる小切手の債権者がこれを受領することなく、みずから他人を偽名して銀行から金を受取つて、そして刑務所の会計に繰入れるというようなことは、金額の大小というよりも厳正なるべき予算執行の面から言つて、非常に重大な性質を持つものと考えられますので、この点につきましては、やはりあらゆる機会にとかいうことではなく、今の国政の根本は予算執行が乱れておるというところに、大きな問題を包蔵しておるとわれわれは考えておりますので、法務省といたしましては、指摘されました、特に個々の職員がふなれで不正したとか、あるいは下級職員が横領したというようなことよりも、もつと高度な、小切手の一つの悪用であります。そして会計の紊乱でありますので、これはやはり性質上非常に大きな問題と思います。よつてそれは一般的な扱いから除外いたしまして、予算は厳重に執行するという建前から、厳に戒めて行かれんことを希望したいのであります。これは希望だけにとどめておきます。  それから時間の関係もありますので、あなたが来られる前に問題になつてつたのでありますが、これは都合によりまして、どうせ大臣も出てもらいたいと思いますので御協議願つてその上で答弁してもらう方がわれわれにはいいんじやないかと思いますが、登録税の賦課の適否の問題であります。これは抵当権設定について、債権額によつて算定する、ところが物件価格目的物価格債権よりも低いときは、その目的物価格による。ところで、物件価格債権より低いということは常識考えられる。ことに本件の問題になりました六七号は抵当権者が銀行でありまして、債務者は汽船会社であります。汽船会社物件価格を不当に安く見積つておるということが、これが指摘された一つの事実であるのでございますが、そこで実際は一般に安い価額物件を見積つて登録税をなるべく安く払つておるということがわれわれの常識上事実であります。そこでこういうような、実際に反するような事実が行われておるのだが、同時にその反面に、他面において、各地方法務局がかつてに独自に基準をきめておる、でこぼこができておるというので、二十六年の十二月に、なるべくこれを統一する、適正化するというので、民事局長から指令を出したらしい。出したらしいんだけれども、こういうものを実際に即して弊害を根絶するというためには、二つの目標及び方法考えられなければならぬと思われます。一つは税を安くしなければいかぬと思うのです。物件が千万円ある場合に債権を二千万円貸しつける、そんな抵当権者はありません。やはり千万円のものであれば三百万円貸すとか、五百万円貸すというのが普通であります。そこで税は上らないように、増税の結果を来さないように、なるべく減税を来さしむるということが一つの趣意です。そしていま一つは、こういう弊害を根絶するために、統一的な方法を何か立案をしたいというお説が事務当局からありましたけれども、これはやはり大蔵省と適当に御相談の上立法化しまして、そして地方々々でかつてにきめておるような基準を上らないような線において立法化しまして、登録税法の三条の規定は、債権額によるという規定です。千分の六・五。十六条の二というやつは、債権よりも物件価額が低いときにはその物件価額によるというやつです。でありまするので、これらを統一しまして、この弊害をなくするということを立法化する必要がないかと思うのです。そこでこれは場合によりましては、議員提出案にしてもいいと思いますが、ひとつこの弊害をなくするという趣旨において、適当に考慮せられてはいかがかと思います。これはひとつ政府当局として御相談の上、対策措置を講ぜられて、私は立法化してはいかがかと思います。適当に御相談の上、御答弁願つたらけつこうだと思いますので、一応申し上げておきまして、御意見があればこの際伺つておきたいと思います。
  55. 押谷富三

    押谷政府委員 先ほど経理部長からお答えいたしたようでありますが、吉田君の御趣旨に沿いましてよく研究をすることにいたします。
  56. 田中彰治

    田中委員長 あと質疑はございませんか。大矢君。
  57. 大矢省三

    大矢委員 この七五号の、ビール箱が約七万個、六万九千五百八十八個、これはビール会社だから相当金があるところであるのに、まだ相当の未収入がある。これは一体資材を支給したのか、ただ加工の費用だけですか。資材も見たのですか。材料はどうなんです。  それからちよとついでにもう一つ。七四号の、延べ一万六千四百七人のいわゆる囚人の賃金です。これはいわゆるジエーン台風その他によつて被害を受けた復旧工事です。これは国から相当国庫補助金が出ているはずです。その国庫補助金が何ぼ出ているか。その二つだけわかつていたら伺いたい。
  58. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまの一点でありますが、七五号の方は資料を持つておりませんので、正確には申し上げられませんが、資材は含んでおる、こういう考えであります。  それから前の方の関係で、国庫補助金が出ているか出ていないかという点は、ちよつとわかりませんので、お答えできません。
  59. 大矢省三

    大矢委員 それでは次でけつこうですから、ひとつ……。この国庫補助金が相当出ておるはずですから、国庫補助金をもらつてつて、しかもこの安い賃金で計算してみると一日の給料が百四十円あまりになつておる。こういう安い賃金で使つておきながら、国庫補助金をもらつて、そしてそれがまだ払つてないというのでは変だと思うから、これはひとつ至急調べてもらいたい。  それから今申しましたビール箱ですが、これは札幌の、ビール会社の支店でこしらえたもので、こういうふうな大会社に向つての納入について、個人に請負わして、それがまるつきりとれないというようなことはないと思う。ビール会社に納入するのであるから、事前に会社との間に話合いがあつたのかどうか。全然それなしに、請負人の秋山某という個人に請負わしたか。このことの折衝があつたかどうか。いわゆるビール会社の裏づけがあれば、こういうことはないと思います。これの経過をひとつもう少し詳しくお尋ねします。
  60. 天野武一

    天野政府委員 ただいまの七五の札幌のことについて事情を御説明いたします。秋山某——これは秋山輝男という男でございますが、この秋山輝男個人と、後援者に日本麦酒株式会社札幌支店がございまして、昭和二十四年度も実はかような契約を結びました。昭和二十四年度は何の支障もなく代金の納入がなされました関係上、二十五年度もそのつもりで札幌刑務所はもつと厳重に契約をすればよかつたのでありますが、しかし紳士協約のような形で作業を開始いたしまして製品はちやんと正確に納めました。そしてあとの事務処理について職員は一生懸命努力いたしました。実際督促することになりましたのは二十五年の九月からでありまして厳重に督促を繰返しましたが、本人は留守がちの日が多うございまして、あるいはうまくつかまえることができたときには、言葉たくみにのがれまして、結局二十六年の三月中旬ごろから、北海道内あるいは本州方面に箱の板の仕入れのために出張しておるということで、年度内の納入見込があやぶまれるということになつたのであります。もちろん支店長にもこの間の事情も告げましたところ、会社は実は本人の請求によつて秋山にすでに代金を渡しておることがわかりました。会社側にも何回となく賠償を要求いたしましたが、支社といたしましては今まで秋山を公認しておつたからという関係で、自分の方で弁償するという協定書を入れてくれました。そして今弁済補償をしていただいて、それを実行しているわけであります。ここにありますように、二十五年の末の未済が二百二十一万九千円あまりでございましたが、昨年の十一月末でこれが九十八万九千円ほどにだんだんなしくずしに返つておるという状況であります。
  61. 大矢省三

    大矢委員 こういう場合は、これは相当の額に上つておるのでありますが、材料はどちらで買つて箱にして渡すのでありますか。手付金あるいは補助金といいますか、これは民間でも官庁でもそうでありますが、一応何割かの前納金というものがあるはずと思いますが、それはどのくらいとつておりますか。
  62. 天野武一

    天野政府委員 実際はおつしやいます通りに、保証金をとるべきものでありますが、具体的のこの場合にはとつていないのであります。
  63. 大矢省三

    大矢委員 今の六八から七五までの報告によりますと、相当の賃金それから資材まで出して、その金が納入されていない。これはいうまでもなく刑務所にはわずかのお金で働いている人が相当ある。罰金が納まらなくて、あるいは生活困難のために窃盗をした人がいる。そういう人を使つて、金はほとんどわずかしか払つていない。ことに秋山某のごときは、納入して一旦会社からとりながらそれを納めていない。こういうことを一体刑務所の罪人が聞いたらどういう考えを持つか。刑務所自身がこういうやり方では、私は推して知るべきものだと思うのでありますが、そういうことについては、本庁からこれこれの仕事には前納金を幾ら幾らとれということを指示して、それで働かせなければならぬ。普通の一般の賃金の半分以下くらいに使つて、またそれも払わない。しかも国からは国庫補助金をもらつている。悪質ではないかと思います。これは私はある意味においては刑法上の問題にもなるのではないかと思う。こんなことでなくてもつと徹底的にやつていただきたい。法務省のごときは特にほかの官庁と違つてお手のものですから、すぐに調べることができると思う。こういう点もつと厳重にやる意思があるのか。これは慣例でやむを得ないのだ、いろいろ事情を聞いてみれば、それぞれもつともなことであるからやむを得ぬと言われるが、囚人に与える思想的の影響のごときも非常に大きいのではないかと思う。幸い押谷君が来ておられますから、こういうことについて何か考えがあつたら、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  64. 押谷富三

    押谷政府委員 大矢委員の御意見の御趣旨きわめてもつともでありまして、法務省といたしましても十分注意をし善処をいたしたいと思つております。
  65. 田中彰治

    田中委員長 次に報告書七十八ページ、不正行為、報告番号七八ないし、一〇三号、報告書八十一ページ、報告番号一〇四号を便宜上一括議題とし、そのうち特に一〇四号につき詳細説明を求めます。
  66. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいま議題になつておる案件で、七八号から一〇三号までは検察庁、法務局の犯罪でありますが、相当の件数に上つておりまして特に検察庁でも区あるいは支部というところが多いわけであります。これは先ほど御説明がありましたように、人の少いというような面、あるいは個人々々の自覚が十分でなかつたという点であります。この点については私の方も法務省の方にいろいろ申し上げ、順次その監督方面も強化されて、二十五年度よりは二十六年度が減つて来ております。なお検査院といたしましても、こういう小さいことについても検査をいたしまして防止に努めたいと考えております。  一〇四号は、長崎刑務所でランドセル、運動靴、雑嚢をつくられまして、これが見込生産をされたわけでありますが、材料費としては全部に対して百二万五千三百十三円を使われたわけであります。ところができたものが非常に粗悪なものであるということと、当時大分こういうものが出まわつて来ておつた時期でありますから、つくられるについても、こういうような程度のものをつくつてもなかなか予定通りに売れないという点も考えられたと思いますので、こういう見込生産をされるのはいかがであつたかと考えます。なおこれを一応見てみますと、材料費の百二万五千三百十三円に対しまして——そのほかに労務費がかかつておるわけでありますが、この材料費に対しまして、現在では全部売られておりますが、売られておる総価格が八十四万三千百八十一円でありますから、材料費だけについて申し上げますと差引十八万二千百三十二円が赤字という状況になつております。
  67. 田中彰治

    田中委員長 ただいまの説明に対して法務当局より説明を求めます。
  68. 天野武一

    天野政府委員 七八ないし一〇三につきましては、職員の不正行為によつて国損を与えたものでございまして、まことに遺憾のきわみでございます。先ほど政務次官よりもお話がありましたように、かような事件については所属長官の会同、実務官の会同等で、こういう行為のないように、防止手段並びにこれを早期に発見する方法を常に研究するとともに、各庁の注意をしばしば喚起しておるのでありますが、依然として批難事項に掲げられる事態が起きておるのであります。各主管庁に対しましては、所管の各庁を常時監督するように指示いたしておりますし、また本省といたしましても、事情の許す限り、逐次職員を派遣して、あらゆる面から厳重な監督をいたしております。会計の事務規定の上で穴があればこれを埋めるという意味で、新しく会計の事務規定の制定をも急いでおるようなわけでございます。そして不正がある場合におきましては、すみやかにこれを弁償せしめるよう民事訴訟提起の措置を講じて、この種事件の減少に努めております。これは先ほど政務次官からお話がありましたように、問題を起しました者につきましては、これは原則として刑事処分に付しております。実は検察庁等におきましては、自分の部下を起訴して、自分の職員を起訴して裁判にまわすという非常につらい思いをしなければならぬのでありますが、こういうような点をうやむやにするということはよろしくないという趣旨からいたしまして、刑事上の処分、民事上の処分、監督上の処分というものにつきまして、表にございますような状況で処理いたしております。  それから百四について特に説明せよということでございますが、百四は、長崎刑務所の刑務作業について処置当を得ないものでございます。これは当時九州地方におきましては、繊維品が著しく不足しておりましたので、堅牢で実用的なものは、近所の各学校の新年度の入学学童用として相当需要がある見込みでございました。しかもこの作業は、収容者に対する職業訓練といたしまして、好適の作業であるということが考えられましたので、雑嚢あるいはランドセル各五千個、運動靴一千足というものの生産目標を立てまして、製作に着手したわけでございます。ところが製品は逐次売却しつつ、販路を獲得しつつあつたのでありますけれどもちようど産業の不振、金融の極度の逼迫ということから、購買力が急速に減退いたしました。また繊維品の出まわりもだんだん活発になりまして、こういうものをつくるために買いましたときは良質であると考えられていた素材も、価格、品質ともに一般市場のものに比べますと、劣等品ということに転落するという事情になりました。またこの作業に従事いたしました受刑者の大部分は、職業訓練の目的で、むしろ見習工的のものが多かつたために、製品の縫製技術あるいは体裁というものも、一般の市場品に比べて遺憾ながら見劣りするものでありましたために、当初の予期に反しまして、売れ行きも悪く、とかく製品の在庫を見るようになつたのであります。ことに会計検査院からも在庫が多過ぎると御注意を受けたわけでございますけれども、経済事情の不安定がだんだん深刻になりましたので、結局生産計画もまた変更して、雑嚢一千個・ランドセル一千八百個、運動靴九百足で製作をやめまして、在庫品の売却ということに全力を注いだわけであります。ところが各商品の価格が暴落して参りますし、ことに繊維品につきましては、一般の業者も投売りをする状況にございましたので、これと競争するためには、予定の価格を維持することができません結果、低価格で売つ払つたという状況なのであります。こういうような結果を招きましたことは、もちろん当時の業界の変動ということに起因したやむを得ない面もあつたかと思いますが、何と申しましても、先ほど会計検査院の御指摘もありましたように、当時の作業計画が愼重を欠いておつた。生産それから製作過程の運営というものについて当を得ないものがあつたのでありまして、まことに不本意の結果を生んだわけでございます。刑務作業というものは特殊の性質を持つておりまして、ことに法務省におきましては作業課というものを矯正局に置きましてやつておるのでございますが、今後も作業計画は健実な方針を立てて、愼重に運営して損失のないようにいたしたいと思います。なお念のために申し上げますと、売れ残りの在庫品は、昨年の一月二十三日で全部売却済みという状況でございます。以上であります。
  69. 田中彰治

    田中委員長 質疑がございましたならば、質疑を許します。
  70. 大矢省三

    大矢委員 この報告を見てみますと、長いものになると二年間くらい、少いので一年間くらい、こういつた長期間にわたつて発見ができなかつたことになる。それがわずかの金ならばいいのですけれども、多いのになると百四十四万円、こういう相当額に上つた不正があつたのに、そういうことが気づかぬはずはないと思う。これだけの金高を一年間も二年間も知らずに過したということは、何らか行政あるいは制度の上に欠陥があるのではないか。これはできたものだけ処分したら済むのだということでは、済まぬのじやないかと思います。実際にこういう検査官、あるいは直接当つている係官として、どうすればこれを事前に、あるいは未然に防ぐことができるか、あるいは長期間にわたらずに、きわめて短い期間に発見することができるかということについて、お考えがあるならば伺いたい。どうもわれわれの力ではいたし方がないというならばそれまでですが、私はこんなに長い期間、しかもこれだけの多くの金額に上つたものが、しかも本人が消費しておるのはたいてい遊興費ということになつておりますが、これがわからぬはずはないと思う。どこか検査の制度上なり、あるいは人事の問題の取扱いについて欠陥があるのではないか。民間会社ならすぐわかる。どうもこのごろ金の使い方がおかしいということは、調べればすぐわかる。官庁の方でそれがどうしてわからぬのか。長い期間こういうことが未然に防止し得なかつたとは、われわれどうしても想像することができないのです。何か制度上の欠陥があるのではないか。どうすればこれがなくなるかということについて、もし係官の御意見があつたらお聞きしたいと思います。先ほど私が申しましたように、非常に安い給料であるために、どうしてもやつて行かれないということならば重大な問題であります。従つて私はこの次の機会に、法務総裁にぜひ出ていただきたいと思います。ほかのことも重大でありますが、少くともこういう不正を取締る法務府においてこんなことがある。もし他に及ぶとすれば、今後何らかの処置を講じなければならぬし、単なる罰則だけでは済まぬので、法務総裁をこの次に呼んでいただくように、委員長において適当にとりはからつていただきたいと思います。
  71. 天野武一

    天野政府委員 ただいまの、かような不正事件を長期にわたつて気づかぬはずはないという御指摘、まことにごもつともと存じます。これがひざ元の庁でありますと、人の数も多うございます。いわゆる地方検察庁とか高等検察庁あるいは最高検察庁ということになりますと、これは監督が行き届いて、かような事件が起きておりませんが、とかく支部でありますとか、県の検察庁というところに、つい気づかれずに、ほつたらかされて不正があるわけであります。それで、前々からこの点についてもつと監督をよくしなければならぬというようなことで、おいおいと効果を上げつつありました。昭和二十六年度は二十五年度より不正を防ぐことができ、だんだんそういう方向に向いつつある、かように考えます。やはり小さい役所は一人の人でほとんどの事務を見てしまうから、他から制肘するものがない。事務的に制肘できない。上官はもつぱら検察活動、犯罪捜査ばかりに熱中して、現金支払いについての監督が、ないがしろになりつつあるという状況でございます。
  72. 大矢省三

    大矢委員 これは原因を調べたことがあると思いますが、給料が安いとか、他から誘惑されてやつたということなのか。それはいろいろ個人々々について事情はありましようけれども、何かそういう誘惑が多いというならば、本人の意思が弱いことになる。これはもつと人事の問題で、個人の特別な教養なりなんなりを高める必要がありましようが、給料が安くてつい悪いことをしたというならば、そのままだんだん深みに入つて行く。最初は非常に生活が苦しかつたり、同僚にもつき合いができなかつたことが原因だつた。収入が少くて事務官としての体面が保てないから、そういうことになつたというのも相当あると思いますが、その点でどつちが多いのか、どつちもあるでしようが、パーセンテージにしてどうなんですか。
  73. 天野武一

    天野政府委員 ただいま御指摘の、原因についてのパーセンテージというものはよく存じませんけれども、こういう不正の発生する一番多い点は、ほんとうに純粋の経理職員ではなくて、たとえば証拠品係というのがございますが、こういうふうに証拠品係として換価代金を受取つて、これはほんとうは現金出納事務に引継がなければならぬ、そこからほんとうの経理事務に入るのを、ここで処理してしまうということ、そういうようなことがかさみまして、遊興費なり生活費の方にそれが使いやすくなるということが多いようでございます。
  74. 永田良吉

    ○永田(良)委員 今の質問の御答弁のうちに、事実に照して符合しない点があるからして、ひとつ重ねてお尋ねしたい。今あなたは自分の手元とか、大きな官庁のところにはそういう目が届いておるから失態がないというようなことをおつしやいましたけれども、ここに明らかに事実があります。名古屋の百四十四万、大阪も百八十万ですか、たまには私の鹿児島のごときも百十六万というのがありますが、この点はあなたの説に同意するけれども、さつきの説明と符合しない点はいかがなのですか。
  75. 天野武一

    天野政府委員 おつしやいます通りに、確かに大きいところもございます。しかし大体において小さいところに目が行き届かない不正がある、そういう点を申し上げたのであります。
  76. 永田良吉

    ○永田(良)委員 一体検察庁として、まことに予想外にこういう犯罪事件がたくさんあるということは、これは国政の上にまことに遺憾な点であると思います。しからば悪く言えば、これは上から下に、すなわち上の行うこと下これならう、皆さん今部下に目が届かぬとおつしやるけれども、目が届かぬどころですか、上に立つておる人が会計検査院でも、院長さんがしつかりしていなければこういうことになる。われわれの昔代議士時代にはこういうことはありませんでしたが、戦後私は追放解除から初めて出て来て、実際官吏がこういう悪いことをするのを見て、たまげて物が言えぬ。どうですか、もう少し自粛反省しなさい。弁解なんかしても何もならぬですよ。
  77. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 今政府委員説明の中に、二十五年より二十六年の方がそういう指摘せられる事項が少くなつたというお話でございます。これは大事な問題だと思います。そこで、できれば資料として出してもらいたいのだが、昭和二十三年ごろから各省別に、昭和二十三年には不正として指摘せられた事項がどれだけあつたか、昭和二十四年にはそれがどう減つたとか、どうふえたとか、二十三、四、五、六年くらいにわたつて、各省が検査院から不正もしくは不当と指摘せられた事項の数の増減表というものを、これは会計検査院、またわれわれの議論が政府にどのくらいの反省を与えておるかという一つのバロメーターにもなると思いますから、そういう数字をお出し願いたい。資料として要求いたします。
  78. 大矢省三

    大矢委員 資料のことですが、ちようど資料の提出の要求がありましたから、私からもお願いいたしておきます。最近、終戦直後今日に至るまで接収せられておつたビルとか個人の家の設備、たとえば家具、段通、そういうものを大量に地方に売り歩いておる。それは払下げを受けた、その処分をやつておるわけです。せんだつても大阪で一万何千点というものを高島屋でやつておりましたが、これは高島屋に払い下げたものか、個人に払い下げて、そうして民間に行つたものかどうかよく知りませんが、これは済んでから二年もたつてからやかましく言つてもしかたがないのですが、最近の接収解除によつて不要なものを売却した点数、調達庁所管のもの、価格もちろんこれは償却をしておるし、それだけ消耗されておるのでありますから、値段の安いことは当然でしようが、これが当時幾らだつたか、聞くところによると、りつぱなボイラーなどをスクラツプで売つておるらしい、こういうことも耳にいたしますから、全国には進駐軍の引揚げたあとの処分の問題について、相当な設備資金をかけながら、それがまたあとで必要なのに安い値段で売つておるのが相当ある。これはひとつぜひ個人か会社か、あるいは当時どのくらいかかつたものが今日、三年、五年の後において、どのくらいの価格で払い下げておるか、これはなかなかすぐにはわかりにくいと思いますが、大体はわかるのじやないかと思いますから、至急次のときまでにお願いしたいと思います。払い下げてしまつてからではしかたがありませんが、その点をしばしば耳にいたしますから、特に出していただきたいと思います。
  79. 田中彰治

    田中委員長 調達庁の方の関係になりますが、出させることにいたします。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 法務関係として特にこれは検察庁に不正行為が多い。裁判所の方においてもずいぶん事務員もおりますが、なぜ検察庁だけにこういう犯罪的な会計上の不正行為がそんなにたくさん、ほとんど集中して起るのでしようか、この点について所見をお伺いしたい。
  81. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまお話の通り、二十五年度で言いますと、裁判所の方は一件、検察庁の方の関係は二十何件と、相当の開きがあります。検察庁の方で起りましたものは、裁判所から検察庁に証拠品なりで金を持つて来る場合があるのですが、それを使い込んだり、あるいは罰金として科料として納めたものを使い込んだり、こういう事例でありまして裁判所の方よりちよつと扱う範囲が検察庁の方が広いということも一つの原因になつております。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 先ほどの御答弁によりますと、検察官は犯罪捜査、検察事務等が多忙であるので十分に目が届かぬ、あるいは職員の数が少いので、ほとんど単独に近い数でやつておるのだからというような御説明もあつたのですが、しかし検察庁といい、また裁判所といい、半面におきまして人事あるいは経理、予算の執行というようなものは非常に重大な構成の要素にならねばならぬと思うのでありますが、検察事務に多忙で経理監督がなおざりにされるということは、ゆゆしい制度上の欠陥にもなるのじやないかと思います。会計を扱う者が扱うと、こういう不正が出る、金を扱うから不正が出るというなら、金を扱うということにおいてまつたく適格を欠いた人間ばかり、ここにおるということになるのではないかとも考えられる。そういう点において、根本的に考えると、政務次官の所見でも伺つて、大きな政策の参考にしなければならぬと思うのであります。
  83. 押谷富三

    押谷政府委員 今吉田委員からのお尋ねと御意見は、きわめてもつともなことでありますが、裁判所に比較いたしまして、検察庁でこういう不正が多く現われておることは、先ほど説明員から御説明申し上げましたように、その事務の内容、範囲が、裁判所よりも検察庁の方が、こういう仕事に多く携わつておりますので、間違いも勢い多くなつて来ておるのであります。いずれにいたしましても、かような不正を摘発しなければならぬ官庁である検察庁が、かようなことを非常に多く出しておるということは、何としても申訳ないことでありまして、検察官は、部下のかような事務取扱いにつきまして、格段の注意をもつて監督すべきものでありまして、今後十分その監督権の発動を促したいと考えている次第であります。
  84. 永田良吉

    ○永田(良)委員 今政務次官がおつしやる通り、実際、戦後の人心の頽廃から、こういう不正事件が起るのであつて、これは全国至るところにあるのであります。但し、こういう事件をこのままにしておけば、ますます頽廃の一方で、日本の再建は一つも望まれない。こういう点から見て、ただいま大いに自覚、反省しなければならぬ時期であるから、もののよしあしをさばく検察庁が、第一に模範となつて部下にこういう悪い者がおるならば、大いに厳罰に処しなければならぬと思う。われわれの見るところでは、こういうように検察庁が手ぬるいから、従つて一般人民がなお一層悪いことをするのですから、自分の子から戒めて、綱紀の粛正をしなければならぬと思う。私はこの際、済んだことはしかたがないが、今後引続いて、こういう犯罪事件が年々続行するような傾向にあるならば、断固として、厳罰に処せられんことを希望いたします。
  85. 押谷富三

    押谷政府委員 ただいまの永田さんの御意見は、きわめてもつともでありまして、発見をいたしました不正事件に対する事後の処置といたしましては、先ほどから御説明申し上げておりますように、厳罰の主義をもつて臨んでいるのであります。今後は、厳罰主義と、また事前に十分の監督をし、かような事務を取扱う者の自粛自戒を十分させたいと考えておる次第であります。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 法務省関係は、結論的には大臣のしかるべき御答弁を求めて、根本に、こういつたことのないような方向へ施策を持つて行く必要があろうと思います。私も、その機会まで質問を保留することにいたします。印紙変造団については……。
  87. 田中彰治

    田中委員長 それはこの次にいたします。  委員諸公にお諮りいたします。この法務省の不正事件は、御承知のように、場合によれば、国会議員でも取調べる権能を持つて取調べておつた検察事務官の不正が大分多いようでありますから、私は、これはやはり重大な問題だと思います。そこで次の委員会に、法務大臣に出席を願つて、十分に法務大臣に、委員諸公から御質問し、委員長からも聞きたいことが二、三ございますので、法務大臣の出席を求めたいと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 田中彰治

    田中委員長 それではさように決定いたします。
  89. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 関連という意味でもないでしようけれども、私は、この決算委員会に、特にその関係の必要のあるときだけでなしに、原則として、法務省の問題が審議される場合には、その長官、通産省の不正が審議される場合には、その長官を、常時列席せしむるという委員会にしたいと思う。というのは、法務省の中に、こういう不正事件があるということを、御存じない人が多かろうと思う。ここに来て答弁せられる人も、おそらく長官にまでこういう事件報告などは行つていまいし、自分の管轄内にどういう不正が行われておるということぐらい、一通りつておく必要があると思う。  それから政府委員の人にも、私は注文したいのですが、私ども昔の経験ですけれども政府委員というものの勉強の仕方は、あらかじめ想定せられるあらゆる質問に対して、答弁を用意してかかる。非常に勉強しておつたようですけれども、ほかの委員会ですと、どういう問題がどう出て来るかわからぬ。その場合に、あらゆる問題を想定して、答弁を用意するというのですが、決算委員会では、問題はもう明瞭でちやんと会計検査院指摘しておる問題である。少し勉強すれば、もう少し気のきいた答弁ができそうなものだと思うが、ちよつと突つ込んだ質問をすると、ほとんど今まで満足な答弁を聞いたことがない。私は、決算委員会に出席する各省の政府委員に対して、もつと勉強して来いということを、委員長からひとつ警告を与えてもらいたい。決算委員会には、原則として関係省の長官が出て来る。予算委員会には、すべての大臣が出て来ておりますけれども、見ておりますと、一日すわつてはおるけれども、ものを言わずに済む人もたくさんある。予算委員会に出ておるから、こつちに出られぬという理由はないと思う。予算委員会において、答弁する必要があるときには、こちらから行けばいいのです。原則として大臣に出て来い、自分の省内における不行届きくらい、一応知つておく必要がある。ぜひそういう権威ある決算委員会として進めたいと、私は念願をするわけであります。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の鈴木委員希望なり意見は、私ども全面的に支持したい。同時に、やはり出席する政府委員は、単に経理責任者である経理部長だけでは答弁にならぬ。たとえば行刑問題ならば、元の行刑局長、それから検察庁の問題であれば、検察庁におけるしかるべき責任者、その他各局長なり、当該主管事項の事務当局責任者、これはやはりみな出てもらわねばならぬ。経理だから、経理部長がみんな説明するというような、こういうあり方は絶対やめてもらいたい。それでは審議にならぬ。ただ形式的な弁解書の説明に終つてしまいます。われわれは、弁解書の説明を聞くだけならば、これを読むだけでいい。これ以上一歩も出ておらぬ。私どもの聞きたいことは、何が原因しておるだろうか、それはどういう影響を施政の上に与えておるだろうか、それをつかみたい。そうして次の国政の上に、それを重要な資料として出して行きたい。こういつたところにねらいを持つておりますので、単に経理の数字的な説明に終り、弁解書の説明程度に、実際なつておりますので、今の、大臣の常時出席ということはもちろん、当該主管事務の責任者はぜひ全部出席するように、さようなお取扱いを願いたいと思います。
  91. 田中彰治

    田中委員長 委員長から申し上げます。私が皆様の御推薦によつて決算委員長になりましてから、今までの決算委員会よりは、皆様の御熱意こもるところの質疑により、また御出席によつて、大分決算委員会らしいものにはなつて来たのでありますが、まだ私の考えから申しましても、十分とは申されません。十分どころでなく不十分であります。私は日本の国会議員諸公の考えが、非常に違つておると思います。予算委員会には非常に出席が多くて、予算をとることには夢中でありますが、とつ予算、すなわち国民が泣いて納めた税金の濫費、不正については、等閑に付してあります。しかもいつでも、この決算委員会に出て来られる方々が、遺憾にたえない、下の者を処分した、刑務所に入れました、弁償するように裁判しておりますというようなことで、答弁が済んで来たのでありますが、私はこれに対しては、まつたく遺憾に思つております。下の人たちが不正をするには、生活に困るとか、あるいはまたいろいろな事情があつてつたという、同情できるようなものもありますが、上の監督する人が、監督不十分にしておつて、自分の部下を処分し、自分の部下を裁判して、その言訳をすれば済むというようなことは、私は断じて決算委員長として承服できません。これは国家の財産ではありません。これは国民が泣いて納めた血税でありますから、皆さんの御趣旨に沿いまして、不熱心な役所、あるいはまたいろいろな問題がありますれば、政党政派を超越して、この委員長は断固としてやる決意を持つております。また裁判所とか国税庁とか、あるいはそういう税金関係のあるようなところ、あるいはこういう法務庁のような不正に対し、裁判所のような不正に対してもしその当局が反省しなければ、私は自費を出しても、この内容を記載したビラを、飛行機から一千万枚くらいまいて、決算委員会でこういうことを調べるから、民衆に国会に押しかけて来てそれを聞かせるようにしたいという考えまでも持つております。皆さまの御支持を得ますれば、そういうぐあいにしたいと思います。この次の委員会には、法務大臣を呼んで、十分皆様から御質疑をしていただくようにとりはからいます。また大臣の出席に対しても、十分に警告いたしまして、もしそういうような警告に応じないことがあれば、そのときにどういう事態がその役所に起きましても、委員長責任を負わぬということを、私から申し込みます。
  92. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 今の私の発議は、ひとつ決算委員諸君の御賛同を得て、委員会の総意として、原則として各省の決算が議に上るときには出て来いということを、政府に要求してもらいたい。
  93. 田中彰治

    田中委員長 委員諸公にお諮りしますが、いかがでしよう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 田中彰治

    田中委員長 異議なしと認めて、その通り決算委員長責任をもつていたします。
  95. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、この次の委員会大蔵省関係が審査されるのでありますれば、大蔵大臣はもちろん、管財局長その他当該審査案件に相当する局長の出席も、漏れなくぜひおとりはからい願いたいと思います。これは希望を申し上げておきます。
  96. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと委員諸公にお諮りいたしますが、十一日の決算委員会大蔵省の、呼び出しを一日延期しまして、法務大臣会計検査院長を呼び出しておりますから、その方をお願いしたいのです。どうかわが党の迫水さんも、ひとつ徹底的に、機構の改革に伴うように、ぜひとも御質疑をお願いいたします。     —————————————
  97. 田中彰治

    田中委員長 最後に、お手元に配付いたしました資料中、東京法務局各出張所における収入印紙等不正使用事件の概要について、この際説明を願いたいと思います。  本件はいまだ指摘事項にこそ掲げてございませんが、二十五年度後期以降最近まで継続して、世上非常に疑惑を起させた、きわめて悪質な事例と考えられますので、その原因、経過、現在までの処置、顛末について、なるべく詳細に説明を求めます。天野政府委員
  98. 天野武一

    天野政府委員 東京法務局各出張所における収入印紙等不正使用訴件の概要を申し上げます。  本件東京法務局渋谷出張所構内印紙売捌人権正永吉等を中心とする、いわゆる印紙偽造団が、不正の方法によりまして、使用済みの印紙を大量に入手し、その消印を除去して、これを多数の司法書士等に売却交付し、これらの司法書士等が、主として東京都内各所の登記所において、その印紙登録税の納付に使用していた事件でありますが、捜査が完了していないために、その全容はまだ明らかにされておりません。つまり証拠書類は今検察庁の方に参つております。しかし現在までの経過において判明したところによりますれば、概要次の通りであります。  一、登記所におきまして不正印紙が使用されていた期間は、主として昭和二十五年後半から二十七年四月ころまでの間であります。  二、使用された不正印紙の数量及び金額は、事件発覚の直後、法務省民事局及び東京法務局におきまして、数箇所の登記所に保管中の登記申請書類の一部につき、貼用印紙検査を行い、その結果不正印紙の疑いがある相当数の収入印紙及び取引高税印紙のあることが認められましたが、その後間もなく、東京都内の二十五箇所の登記所に保管中の登記申請書類が押収され、右の検査も中止するのやむなきに至りましたので、現在のところ、不正印紙の数量、金額等は不明であります。なお現在までに起訴された事件によれば、登記の申請に使用された不正印紙金額は、東京都内の登記所の分が合計約二千百万円、全国では総計約二千九百万円となつております。  三、消印除去の方法でありますが、不正印紙の大部分は、使用済みの印紙の消印を、薬品によりまして巧妙に除去したものであります。従つて不正印紙かいなかの識別は、一般に非常に困難でありまして、中には識別不能のものもある状況であります。  四、印紙の出所でありますが、不正印紙のもととなつた使用済み印紙の出所は、通産省その他印紙を大量に収納保管している官庁その他の機関でありますが、登記所はこれに含まれておりません。  五、起訴の状況、登記の申請に不正印紙を使用したために、印紙犯罪処罰法違反として起訴された者は、次の通りであります。司法書士、東京四十九名、全国合計六十九名、登記所職員、東京二名、全国合計六名、その他東京一名、全国合計三名、計といたしまして、東京五十二名、全国合計七十八名であります。  六としまして、登記所の職員との関係について申し上げます。登記の申請に使用された不正印紙は、真正な印紙と識別が困難であつたため、ほとんどすべての登記所が、不正印紙であることに気づかずに収納していたものであります。ただ二、三の登記所においては、不正印紙の使用を黙認し、これに関し収賄をしたとして起訴された者がありますが、その内訳は次の通りであります。収賄、東京四名、全国合計七名、加重収賄、東京二名、全国合計三名、計としまして東京六名、全国合計十名というわけであります。
  99. 田中彰治

    田中委員長 質疑がありましたら、これを許します。
  100. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 加重収賄というのは何ですか。
  101. 天野武一

    天野政府委員 加重収賄と申しますと、単純収賄に対するものでありまして、請託を受けて不正な行為をした。不正な行為に及ばない単なる収賄に対するものであります。
  102. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 たとえば……。
  103. 天野武一

    天野政府委員 たとえばその印紙を使用して、請託者に利便をはかつた結果を生んであるものであります。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつとお伺いいたします。本件印紙偽造団による事件も、やはり昭和二十五年から二十七年までわたつております。そこで今度は法務局関係のようでありますが、通産省という名前も第四に印紙出所として出ておりますが、このよつて来るところは何でありますか。これもやはりその数量がいまだ全貌明らかならず、二十五箇所の東京都内の登記所の保管中のものも押収せられているというような実情でありますので、二千数百万円、あるいはその数倍、数十倍になるかもしらぬとさえわれわれは想像しますが、よつて来る原因は何であつたのでしようか。またどうしてこう長いこと、数年間見つからずにおつたのでしようか。だんだん問題になつておる従来の事件と同じように、法務省関係が長い間省内の不正がわからなかつたという共通の原因があるような感じがするのですが、その原因と、どうして長い間わからなかつたのか、この二点についてひとつ明確にしていただきたいと思います。
  105. 川島一郎

    ○川島説明員 ただいま御質疑のございました点につきまして、お答えを申し上げます。  まず長い間どうしてこういう事件が気づかれずにおつたかという点でございますが、これはこの東京法務局におきます今回の不正事件が、検察庁の手によつて検挙されましたのが昨年の四月でございます。その結果非常に多数の印紙がこれまで使われておるということで、さかのぼつて登記所にすでに提出されておる登記申請書類の中から、怪しい印紙を探し出したのでありますが、この不正印紙の識別が非常にむずかしい実情にありまして、これは特殊な鑑別の機械を用いまして、不正印紙かどうかを識別いたしました。その結果怪しい印紙の出て参りましたのが、やはり昭和二十五年の十月あたりから相当多くなつて来ておる。その前にもぼつぼつ出ておるということがわかつたのであります。そうしてこれは検察庁における取調べとも大体一致したのでありますが、それではどうしてこのようにたくさんの印紙が、しかも不正な印紙ということがわからないような巧妙な方法でつくられたかという点につきましては、捜査当局から聞きましたところによりますと、この東京の場合には、ここに書いてございます権正永吉という印紙売さばき人でございますがこの人は朝鮮人なんですが、その一味の者が相当多数相はかりまして、ここに書いてございます通産省その他の官庁から、すでに使用済みになつております収入印紙を、その内部の者と結託して盗み出して参りまして、これに特殊の薬品を使つて、その印紙に押してあります消印を洗い落したわけであります。そうしてそれをきれいにかわかして使いましたために、これが肉眼で見ても不正な印紙であるということがわからないように巧妙に消えておるのであります。そうしてこの印紙がブローカーの手を通じて東京都内の各所に流れまして、それを司法書士が買いましてこれは普通の額面の一割引、三割引というように多少安く買つております。それが登記所に使われておりまして、司法書士もはたしてそれがそういうふうにして不正の印紙であるということを知りながら使つていたかどうかという点も私どもとしてははつきり想像がつかないのであります。取調べを受けました非常に多数の者のうち、相当数の者が起訴されておりますので、この点もやがて裁判される結果によつてわかろうかと思います。
  106. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 それでは答えになつていない。それで私はそういうことに答えられるように勉強して来いということを注文する。
  107. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こういう事件が起つた原因は何かということをお尋ねいたします。それから通産省の内部の者と結託して云々という、そういう具体的なことまでおつしやるなら、そこで相当御調査になつたろうと思うが、なぜ一体数年間見つからなかつたのか。会社でもこういうことが数年間見つからなかつたら、取締社長は株主総会で罷免されるでしよう。なぜ長らく見つからなかつたのか。この三点を尋ねておる。だからあなたの方から検察庁が捜査を開始した経緯を私は聞こうとしておるのではない。今御出席になつておる説明員の方ではむずかしいのであれば、これはやはり一括して大臣に根本的に聞かなければ仕方がないのではないかと思います。
  108. 押谷富三

    押谷政府委員 お尋ねの御趣旨は、この犯罪がなぜ起つたかということ、あるいはなぜ発見されなかつたか。この点にあるのでありますが、問題はやはり事件の内容に深く調査を進めなければ御希望のようなお答えができないと思います。もちろんそれで調査をせずにお答えはできません。だからそのお答えを申し上げるために、次の機会に刑事局長でもお呼出しをいただきまして、そうして事件関係についてお答えをいたします。政治的なお答えは何ぼでもできますけれども、それでは御満足が行かないと思いますから……(鈴木(正)委員「ぼくらは政治的答弁を要求しておる」と呼ぶ)それでは政治的に申し上げます。先ほど御説明申し上げておりますように、使われておる不正の印紙が肉眼でわからないくらいでありますから、肉眼でわからないようなものは登記所の役人がわからないのはけだしあたりまえであります。たまたま犯罪が発覚して、そしてすべての書類を出して、科学的の検査をして初めて出て来たというのでありますから、捜査段階においてはいろいろのものが出て来ますけれども、事務取扱いの上におきましては、これはわからないのがけだしあたりまえです。肉眼でわからないということは、今御説明を申し上げておつたのでありますから、そういうことの内容につきましては、あるいははたしてどの程度に肉眼でわからないか、この点については刑事局長からでも十分御説明を申し上げます。こういうような考えを持つております。
  109. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私はただいまの答弁に合点が行きません。あなたは係の者が真疑がわからぬとおつしやる。しかし一体それならばそのあがつた印紙民間の人が使つて紙くずになつたのでも、悪いことをした者が買つてそれをはぎとつてつたのか、あるいは通産省のごとき官庁登記所なんかの書類は、登記をしたならば、その印紙は何箇年保存という規定があるのでしようが、それについて納付をしたならばただちにその書類は紙くずとしてお払下げになりますか。私はこれは何年間という保存規定があると思う。しからば保存をしておつたならば、官庁印紙の一旦納まつたのが、そういう悪い者の手に渡るはずはないでありましよう。しかし民間の者はどうかわからないが、たとい民間にしても契約が済んだ翌る日に、ただちにそれがほごになるわけはないと思います。こういう点について何年くらい保存されますか、質問しておきたい。
  110. 押谷富三

    押谷政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、不正に使われました印紙、最初に使われました文書、最初に使われました印紙がどこにあつたかということになりますと、先ほど御説明申し上げた点で明らかな通り法務省登記所において使われておつた印紙は一枚も出ておらぬようであります。通産省関係の書類に使われておりました印紙が流れて来たようでありますから、そこで通産省関係でありますから、私からお答え申し上げるのはあるいは当を得ないと思いますので、お答え申し上げないことにいたします。
  111. 大矢省三

    大矢委員 この不正印紙の出所が、この報告によりますと、通産省その他大量に収納保管している官庁であります。登記所には関係ない、含まれていない、こうあるのですが、この二千九百万円からに上る不正印紙が通産省その他の官庁から出ているというところに大きな問題がある。これは民間つたらわからなかつた。しかし裁判所でなしに、登記所でなしに、通産省その他の大量保管しておるところの官庁から出ているというのでありますから、この金が相当に上つてつて、そのわからぬというところに監督の不行届きがあると考える。そこに割切れぬものがある。そこで通産省その他に保管しておつた印紙が不正に使用されたというが、これは何人ほど関係しているか——今度の十名のうちに東京六名、全国合せて十名ですが、ほかの人はみな司法書士あるいは登録所職員となつておるが、いわゆる通産省その他でも何人これに関係しておるのか。それがわかつて来れば、むしろこれは通産省その他の監督の不行届きの結果それが原因になつてこれが出て来たものと思いますから、今の刑事問題として関係している人はどのくらいありますか。
  112. 押谷富三

    押谷政府委員 先ほど御説明申し上げました役人の関係の数字でありますが、これは不正に使用をいたした関係について、あるいは収賄をしたとか、その他関係をいたしました役人の数字を明らかにいたしたのでありまして、この二重使いの印紙の元を出した方面はこの数字に現われておりません。これはまた調査の上申し上げることにいたします。
  113. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 印紙関係はそれでは刑事局長にぜひ明らかにしてもらいたいと思います。  そこで政務次官としては政治的な答弁ということなんだが、原因は何だということに法務省では考えているのですか。
  114. 押谷富三

    押谷政府委員 まことにむずかしいお尋ねでありますが、かような問題につきましてどこに原因があるかと言えば、この犯罪は性格から行けば一つの科学犯罪でありまして、科学によつて消印を抹消して二重に使うという、まことに新しい行き方の犯罪でありますが、この犯罪が結局こういうような事態を引起しましたので、これに関係いたしました役人につきましてはまことに申訳ございません。二重に使うことを承知をしながら請託を入れたというような役人が、数名でも現われていることについては申訳ないところでありますが、この国家的に大きな被害を与えた全部の原因となりますと、これは正確にこの刑事事件一つ一つをお聞取りをいただきまして、判断をしてもらうのが一番正しいと思います。
  115. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはまだ十分に御研究になつておらぬらしいが、これはやはりもつと御研究願わぬと私は政治的にはいかぬと思う。と言いますのは印紙の出所は官庁なんです。被害者も国なんです。印紙というものは国家が独占して製造し販売しておるのであります。かつ税源から申しましても重要なものなんです。従つてその波及するところ、社会的に与える影響というものも非常に重大であります。しかもその方法たるや、肉眼では識別し得ない、なかなかに鑑別困難だということであれば、国家よりも犯罪の方がはるかに数等上なんですな。科学知識を持つてつておるということでありますから、これはたいへんなことなんです。こんなことで数年間国家がごまかされて行くというようなことでは、少くともこれの主管官庁である大蔵省ですかあるいは扱つてつた通産省その他の官庁というものが、朝鮮人の何というのですか、何とかおつしやつておりますか、こういう起訴されている連中に翻弄されておつたことになります。これは半面政治的に見まして非常に重大な性質を持つておると思うのであります。でありますから、よつて来るところはどこだ、これがなぜ今日までこういうように検察庁が手をつけるまで見つからずに来たんだろうかということについては、相当もう対策がなければならぬことじやないだろうか。もつとも起訴されてまだ有罪か無罪かわからぬといえばそれはりくつですけれども、政治はそういうものでありません。生きておる。現に被害を受けたということは大体公知の事実ですから、ただちにとつて原因を究明し対策を立て、そうしたことの絶滅を期するということに、国家が被害者ですから、国家が立ち上つてしなければならぬと思うのであります。でありますから、ただいまの御答弁ではどうもまだ私ども何とも納得が行きかねるのであります。
  116. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいまの御答弁でぼくはますます疑問が深くなる。そういう犯罪が起つたならばあなたは、知能犯である、頭の発達した人間であるとおつしやつたが、しかし主官庁の人はそれに対して今までにそういう犯罪があつたならば、すぐそのあとの予防の措置をとらなければならぬ。これは一般の民間人の知つたことではないが、われわれ平凡な頭の人間が考えても、登記所における消印の肉を研究するとか、あるいは消印の使い方によつて以後犯罪ができないということができはしないか、これは私はしろうとだからわからぬけれども、一例を申し上げますれば、簡単な郵便局の消印でも登記所の消印でも、それの内容を破毀しないような、ちよつと印紙の一部をそれだけしか使えぬような何かの方法は、官吏にはえらい人がおられるのですから、そのくらいの知恵は出そうなものだと思いますが、政務次官はどうお考えになりますか。犯罪があつたならば、即刻今後使う印紙については消印の取扱い方について犯罪の予防をするとか、官吏にりつぱな人がおつたならば、私はどの点から見てもできるはずだと思います。そういうことをしないで、予算がないとかいうことをおつしやいますが、これは断行された方がいいと思います。
  117. 押谷富三

    押谷政府委員 御質問の御趣旨が事後の処置ということでありますならば、その後いろいろと事後の処置につきましては研究をいたしております。あるいは消印のインキでありますとか、あるいは消すときにその印紙の一部を切つてやるとか、大体登記所なんかで使つております消印は相当印紙そのものに傷がつきますから、消えないというような今後の事後処置につきましては、消し印のインキあるいは印そのものについての研究、またこれを扱います役人につきましても、格段の注意をそこに用いるというような方法を今考究をいたしています。問題はこの事件の原因でありますが、根本的には印紙制度におきまして、犯罪防止の面が従来十分に考慮されていなかつたことはもとよりであります。こういうことが想像されておりましたならば、事前に消印の方法等につきましても、今御注意いただきましたようなことを早くやつておれば、おそらくこういうことはなかつたのでありまして、根本的に印紙制度について、犯罪防止という面が十分に考慮されておらなかつたことが今回の事件の原因であつたと思います。しかし、官庁から収入印紙を大量に収納する機関におきまして、印紙の消印及び保管の処置を今後十分に研究をし、十分にその対策を講じまして、保管並びに消印ということについて再び間違いのないようにやる、今申し上げました消印をすることによつてただちに印紙に穴があくというような処置も一つ方法で、これは登記所から一つもこの種の印紙が流れ出なかつたことによつても明らかでありまして、今後通産省その他の官庁においてもこういうような処置をとられるべきである。これを今日までしていなかつたことが、官庁方面における一つの落ち度になると考えております。考えられないようなむずかしい犯罪の方法がここに生れたのでありますが、これは保管あるいは消印の処置の誤りはありますが、こういうことも御了承をお願いしたいと思います。また収入印紙の形式でありますとか、あるいはまた今後印紙の印刷につきましても、一応考慮をせなければならぬのじやないかということも今取上げて研究をいたしておるのであります。また印紙の売りさばき人の面におきしまても、相当考慮されており、売りさばき人の免許を持つている者が売るならば格別、さようなものでない者が大量の印紙を所持し、それを売るということについて、別に何の疑いもなく、またそれに対する制度的にも何の処罰もないというような過去の行き方が、相当ここに考慮されるのではないかと考えておりますので、印紙の売りさばき人でない人から大量の印紙を買い取るというような事実が、今回の犯罪の一つの原因であることを考えますときに、印紙売りさばき人制度につきましていま少し厳重に罰則等を設けた適当な処置をとるべきではないかと考えております。また印紙の売りさばき人に対する利益の関係でありますが、歩合制度につきましてもある程度引上げ等をやることが必要ではないかと考えておるのでありますが、取引高税の印紙の廃止の関係もこれと同様一つの研究課題となつて、これから研究をせなければならないと考えております。また先ほど申しましたように、不正印紙に対する肉眼識別が非常に困難でありますから、地方法務局におきましても不正印紙の識別機を備えつけるというところまで今研究を進めておりますが、これも予算措置関係もありますので、皆さんの御配慮をいただき、予算措置をいたしまして備えつけたいと考えております。さしあたり私の考えております善後対策あるいはこの問題のよつて来たる政府としての過去における処置のあやまちと思われること、それに対する今後の改善の関係につきましての私の意見を申し上げた次第であります。
  118. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 このたびの印紙の偽造は、非常に珍しい事件ではないと思います。千円紙幣の偽造、食券の偽造、あるいは取引高説の印紙の偽造等証券類の偽造は、犯罪史上近年における顕著な傾向でありまして、一つの文明犯罪としてますますふえはしないかと思いますので、これに対しましては政治的に抜本的な対策が法務省として起案されるというところまで持つて行かなければならぬと思うのであります。そういうことについて、お尋ねしたいのと、もう一つは二千九百万円という財的な被害省はどこになるのですか。しかしてその損失はどういうふうにして補填されるのですか、この二点についてお尋ねいたします。
  119. 押谷富三

    押谷政府委員 この種の大量な印紙の偽造等につきまして特に制度として考慮されることは、多額な登録税を取扱う場合におきましては、印紙でなくて現金で収納するという方法も一応いいのではないかというので、来年度予算の要求までいたしておるのであります。これにつきましては、また、いろいろと危険もあり弊害も伴いますが、十分な監督と適切な方法を講じて行きたいと思うのであります。  なお損害でありますが、これは御質問に対するお答えとして適切であるかどうかわかりませんが、国家の損害である、かように考えております。
  120. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の現金収納方法とか、具体的にそんなことをお考えになつておるならばこれはたいへんなことだと思います。といいまするのは、われわれが指摘しました、検査院によつて指摘されておる検察庁の全国の不法、不正の指摘事項というものは現金の扱いから来ている面が相当あると思います。従つて印紙にかえるに現金ということになれば、それはもう金にかえる必要はないのだから、すぐ右から左に不正とつながるおそれもありますので、こういつた面に対しましては、真に抜本的な大きな対策をお立てになるのでしたら、ひとつ愼重に検討されんことを希望しておきます。  それと、次に大臣が出られるような機会には、やはり通産省と通謀したようなことを御説明になつておりますので、そういつた面につきましても、何らかの対策があつてしかるべきだと思いますので、それもあわせてひとつ準備をしていただきたい。これだけ申し上げておきます。
  121. 押谷富三

    押谷政府委員 現金収納の関係につきましては、御注意に基きまして十分考慮をすることにいたします。また次会に十分準備をいたしまして御答弁申し上げることにつきましても承知をいたしました。
  122. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 先ほど吉田君の質問に関連して私政治的答弁を要求するように申し上げた、それに対して肉眼ではわからぬようなものはわからぬというような御答弁で一応政治的答弁なるものが打切られたと思います。この答弁には私満足しません。但し後にるるお述べになりました御答弁が私は真実の政治的答弁だと了承いたします。すでにそういうりつぱな答弁を用意しておられるにかかわらず、その出し所がどこから出て来たかわからぬが、ちよつと時期をミスしたのではないかと思う。政府委員が気をきかしてもらいたい。私は切にそれを希望するのです。ああいうりつぱな答弁が用意せられておるのに、もう少し政府委員が気がきかなければだめだと思うのです。
  123. 迫水久常

    ○迫水委員 今の変造印紙事件がこれだけ大きくなつた最大の原因は、司法書士が共謀したからではないでしようか、つまり先ほどのお話でも、司法書士は定価の一割引とか、二割引とか、そういうもので買つていた。司法書士は当然それが何か不正な印紙であると考えていたかどうかわかりませんが、出所がどこかいいかげんなところから流れて来ていると考えていたかもしれませんが、決して正規なものではあり得ないということは、少くとも法律常識を持つておる司法書士としてはわかつているはずです。しかもそれを司法書士が平気で使つたから、こんなに被害が大きくなつたのだと思います。しかも司法書士というものは、法務省が御所管になつており、御監督になつておる一つの国家の機関、といつては語弊があるかもしれぬが、弁護士その他に準ずるようなものなんですが、法務省押谷政務次官の御答弁の中には、この司法書士に対するものの考え方について一言もお触れになつていらつしやらない。私はこの事件は司法書士さえ遵法精神がしつかりしておつたならば、決してこういう大きな事件にはならなかつたし、悪い朝鮮人が幾ら変造印紙をこさえても、それはちよちよこした犯罪にしかならなかつたと思う。大体司法書士というものはわれわれもずいぶん利用しますけれども、私の経験でも悪い人もいるように思うのですが、この際司法書士というものについての法務省のお考え、ことにこういうような事件については司法書士というものに対する処罰というものは、特に厳重でなければならぬと思いますが、そういう点について御答弁を願いたいと思います。
  124. 押谷富三

    押谷政府委員 仰せのごとくこの事件がかように大きく拡大をし、多額な被害を越えるに至りましたのは、司法書士がこの犯罪に関係したことにあると存じますが、問題は司法書士に対する政府の監督権ということにつながつていると思います。従来は司法書士に対しましては法務局が監督をいたしておつたのでありますが、昭和二十四年の司法書士法の改正によりまして、司法書士は官庁の監督には服しないことに制度が改められまして、今法務省、あるいは法務局は司法書士に対して監督権を持つておりません。このことを御了承願いたいと思うのであります。司法書士法によりまして懲戒処分をなし得るのは、規定はあるのでありますが、これは講和の恩赦関係によりまして、この徴戒権もまた恩赦によつて一応助かつているのではないかと考えております。
  125. 迫水久常

    ○迫水委員 私の希望しますのは、先ほどのお話のように、印紙の鑑別器を多くの金を出してお備えになるというようなところまで考えていらつしやるなら、やはり司法書士というものの身分その他についてこの際法務省としてもお考えになつて、現在は監督権がないが、こういうものは監督権を持たなければいけないというようにも考えられますので、そういう点について先ほど一連の御答弁の中の善後措置の中に、司法書士という問題を取上げて十分に御研究を願いたいと思います。
  126. 押谷富三

    押谷政府委員 御趣旨きわめてごもつともでありますから、御趣旨に従つて十分その点も考究することにします。
  127. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 司法書士の問題についてこれも事件に関連して何か考究なさるような御答弁がありましたので、さらに司法書士の問題につきましてなお考慮に入れていただきたい面は、司法書士が弁護士類似の行為をなすという声が高いのであります。そうしてさような事情を知らない一般の人が裁判等について依頼をしたときに、実質上弁護士と同じような仕事をいたしまして、ずいぶんと法外な報酬をとつている事例が非常にありますので、そういうようなこともやはり犯罪を誘引することになる。その司法書士の生活の心構えといつたようなことと結ばれているとも考えられますので、司法書士を粛正するといいますか、そういうこともやはり一つの根本命題として取上げて行くべきだろうと思いますので、司法書士について何かと考究なさるならば、掘下げてその辺についても十分考究せられんことをお願い申し上げておきます。
  128. 押谷富三

    押谷政府委員 司法書士法の制定、司法書士法の改正当時におきまして衆議院の法務委員会におきましては、いろいろと今御希望のような諸点につきまして論議をされたのであります。特に弁護士会等からも職務権限についてのいろいろな御要求、御要望等もあつたので、十分考慮をし、特にまたこの司法書士の監督の問題について、法務当局が適当に監督をすべきものであるという趣旨から立案をし、いろいろ条文もできておりましたが、当時その実勢から強力に司法書士団体からもいろいろな御意見の開陳がありまして、かれこれ研究をし、勘案をせられた結果ただいまのような司法書士法の改正ができ上つて、すでに実施をされておるのであります。しかしかような具体的な重大問題がここに現われて来て、しかもそれが政府の監督の点から相当密接な関係があるがごとく考慮されるのでありますから、司法書士法につきましても、十分御希望の点を考慮いたしまして研究を重ねたいと思つております。
  129. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと川島君に申し上げておきますが、この次法務省の方からだれかがおいでになるときに、検挙された人の調べによつて印紙事件の数が出たのか、それとも検挙された人の自白以外に何かの方法をもつて調べられて、この事件の数及び金額が出て来たのか、この点を調べて来ていただきたい。  それからもう一つ、先ほど鈴木さんからも言われたのですが、決算委員会の答弁がなつておらぬということですから、ちよつと御注意申し上げておきますが、先ほど川島君の答弁の中に、司法書士が一割ないし一割五分くらいの割引で印紙を買つた。しかし司法書士が、この印紙が巧妙にできているために、不正な印紙と知つてつたのか知らないでやつたのかわからぬというような御答弁がありましたが、印紙は御承知のごとく一割も一割五分も安いものでありませんから、そういう安い印紙を買つたときに、すでに不正印紙であるということに気づいておらなければならぬ。検事局ではそのくらいのお取調べはなさつていると思いますが、あなたの御答弁にその点遺憾な点があり、委員諸君からつつ込まれると困りますから、ひとつ勉強して調べて来ていただきたい。
  130. 迫水久常

    ○迫水委員 もう一つ調べて来てもらいたいのは、この古い印紙がどこから出て来たのかということです。もし役所だとすればこれは政府自身の問題だと思うのです。
  131. 田中彰治

    田中委員長 それもひとつお調べしていただきたいのです。     —————————————
  132. 田中彰治

    田中委員長 それでは次に移りまして、この際委員各位に参考人の招致に関する件についてお諮りいたします。次回の審査は大蔵省所管に入る予定でありましたが、先ほど申し上げました通りこれを変更いたしました。しかし変更はいたしましたが、この次には大蔵当局のほかに建設省及び東京都当事者に関係する事情も考慮せられますので、この変更した期日には、東京都から参考人として建設局長滝尾達也君、同じく公園緑地部長花房利市君の出席を求めて審議の完璧を期したいと存じますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認めましてさよう決定さしていただきます。  本日はこの程度にいたしまして散会することにいたします。     午後四時二十六分散会