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1953-02-06 第15回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月六日(金曜日)     午後一時四十七分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 迫水 久常君 理事 永田 良吉君    理事 古井 喜實君       田口長治郎君    松野 頼三君       三池  信君    山田 彌一君       鈴木 正吾君    松本 七郎君       八木 一男君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      山内 隆一君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁総務部         調達協力課長) 鈴木 直美君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五  年度政府関係機関収入支出決算     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  審議に入るに先だちまして一昨四日理事会を開きまして、協議決定いたしました事項を御報告いたします。  まず審議予定についてでありますが、すでにお手元に配付いたしておきました日割予定表によりまして進め、前会通り重点検討方針審議し、予定通り進捗せしめたいと思いますから、御協力をお願いいたしたいのであります。また昭和二十六年度決算及び予備費使用調書等の提出も予定されております関係上、なお一層の御勉励を願う次第でございます。  次に、かねて委員諸君より御要求がありました会計検査院長出席を求め、説明を聴取する日時につきましては、来る十一日、水曜日を予定いたしましたので、その際機構その他検査制度根本方針に関する質疑を一括して行われるようお願いいたしておきます。  最後に、批難事項実地について調査しなければならない問題に関しまして、協議決定いたしましたから御報告申し上げます。すなわち昭和二十五年度決算審議検討いたして参りますと、批難事項中には政府当局説明のみでは十分に納得ができず、契約その他実際面の事務の実情について、実地について判断する必要が痛感されますので、さしあたり批難事項報告番号四七につきまして、東京特別調達局管内昭和飛行機工業株式会社東京製作所及び同じく報告番号五二の横浜特別調達局管内日新運輸倉庫株式会社、並びに同じく報告番号一二、警察予備隊第一管区総監部管内株式会社蔵前倉庫の以上三件につきまして実地調査することを協議いたしました。そしてまず最初に報告番号四七につきまして、来る十日火曜日に現地に出向くことにいたしました。つきましては当日参加御希望の委員におかれましては、至急委員長手元までお申出をお願いいたします。報告の件は以上の通りであります。     —————————————
  3. 田中彰治

    田中委員長 ただいまから前会に引続き終戦処理関係特別調達庁の分を審議いたします。まず報告書六十一ページ、役務報告番号五三ないし五八を一括議題に供し、そのうち番号五三の事項について特に詳細に説明を願います。会計検査院検査第二局長上村説明員
  4. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまの五三号について御説明いたします。  本件は、福岡特別調達局で、佐世保及び横瀬油槽所運営役務三菱石油株式会社に請け負わせて支払いました一億六千四百余万円のうち、石油類受払い役務の対価として支払いました一億二千五百七十六万二千五百六十円についての問題であります。この役務は、当初年間取扱い数量を三百万バーレル——月平均が三万九千余キロになるわけでありますが、三百万バーレルと予定いたしまして、入札に付しまして、三十九円で契約したわけであります。ところが二十五年八月からは、施設の充実あるいは朝鮮事変勃発等関係取扱い数量が非常にふえて来たわけであります。それで八月以降の取扱い数量は、当初の月平均三万九千余キロに対しまして、九倍余に当ります三十七万二千百八十一キロになつたわけであります。ところが特別調達局では、当初の単価三十九円のままで、年間を通じて契約をそのまま変更されなかつた、こういうことでありますが、この種の役務は、取扱い数量がふえて行きますと単価は相当安くできる性質のものでありますから、単価改訂して相当国費節約をはかるべきだ、こういうふうな案件であります。それで会社につきまして実際を見ましたところが、二十五年の七月までは労務者が二交代で九十九名でありましたのが、八月以降は、数量が九倍になりましたのに、三交代で百八十一名程度で足りておる、こういう状況になつております。それからまた、経費実費面を見ましても、八月以降は大体利益その他を合せまして月三百九十八万九千余円程度でありますのに、実際の支払い額を見ますと、月平均が一千四百五十一万三千円余で、相当の開きがあるわけであります。こういうふうな事情でありますから、役務性質を考えて単価改訂をせらるべきだと考えております。なおそのほかの案件につきましては、御質問その他によつて説明いたしたいと思います。
  5. 田中彰治

    田中委員長 ただいまの説明に対して、当局補足的説明があれば発言を許します。
  6. 山内隆一

    山内政府委員 この五三号につきまして、調達庁立場から少しく申し上げたいと思います。  本件につきましては、検査院指摘通り朝鮮事変の影響で業務量が増大したのに、契約単価をそのままにしておいては不当であるという見解のもとに、福岡局はしばしば軍に対してこれが訂正方要求をいたしましたが、軍のいれるところとなりません。そこで、軍の発出する調達受領証に基いて支払わざるを得なかつたのでありますが、清算を保留して契約改訂努力いたしたのであります。しかし軍はあくまでも当初契約を支持し、JLC本部調達部長からも、契約書通りに完成したと判決するという意味の回答があり、本庁に対しましても、JLC東京支部長から福岡局見解処置の法的不当を非難して参つたような次第であります。福岡局はあくまでも契約更改すべきを主張いたしましたが、業者はこれに対して全面的に反駁して来たので、契約条項に基いて、業者から、調達再検委員会を経由して調達庁長官に異議を申し立てるべく通告して参り、調達委員会に提示されまして、委員会としては次のように裁定をいたしたのであります。四百五十万バーレルを超過する取扱い数量に対しては、単価を四円七十七銭とすること、当初単価としては六円二十銭、従つて過払いとなる金額は総額で二千二百五十七万一千五百二十六円となるわけであります。そのうち第一回分として三百二十万円を昭和二十七年七月十日に納付し、その残は六箇月ごとに二百八十万円を納付するという約束をいたしまして、公正証書といたしたのであります。そこで、第二回分としての二百八十万円は一月十日に収納済みでございます。従つて他の残額につきましても、約束通り収納できるものと考えております。
  7. 田中彰治

    田中委員長 それではこれより本項に対して質疑をお願いいたします。
  8. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 これは方々で出て来るようだけれども国家負担としてはもつと安く行く道を講じようとするのに——軍というのはアメリカの軍のことだろうが、それが承知しないということは、軍当局とそういう支払いを受ける業者との間に何か変な関係でもあつて、それだけとつてもうけさしておるとか、わけ前をとつておるとかというようにしか解釈できぬのですけれどもアメリカ軍としても、日本政府負担を安くせしめることに協力するのがあたりまえと思うのです。今話を聞いておると、ここばかりでなくて方方にそういうことが出て来るようだけれども、一体そういう場合に、政府当局はそれをどういうふうに処理しておるのか。軍が承知しないから——もつと安くできると日本当局者が認めておるのに、アメリカの軍でもつと高く払えというのは、どうしたつてそこに何か業者との間の関係を疑われる。それを政府としてそのままほうつてずつと今までやつて来たというのはおかしいと思うのです。
  9. 山内隆一

    山内政府委員 ごもつともなお尋ねでございまして、日本政府はもちろんのこと、アメリカとしても、なるべく経費を少くするということはお互いに望んでおるところであるわけであります。しかしながら、占領下におきましてPD処理をやつておる時分には、PDを出すのも先方で出しますし、その内容なり執行なり、それらはすべて軍がきめたところによつて調達庁執行いたしております。自然、その仕事の完了あるいは品物の納入というようなことは、軍が認めて、よろしいということになつて初めてレシートの発行があつて、それに基いて支払いをするわけであります。調達庁としては、そのレシートにあるものが非常に不当であると思つて、軍と交渉して直してもらえれば格別でありますが、そうじやない、特に不当な点がないということになりますれば、そのレシートによつて払うということが私どもに義務づけられたような形になつておるわけであります。そこで軍と業者の間にどういうことがあるかということは、私どもにはわかりません。とにかく表面上一旦契約したものを、私どもが無断で更改するということは認められておりませんので、契約更改なら向う承認を受けなければならぬということになるわけであります。ただこれは占領下において同意を得ることができませんので、その後になつて調達庁再検委員会で判定したところによりまして執行した、こういう形になつておるわけであります。
  10. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 今の問題は、調達庁のお役所としてはそれ以外道がなかつたと思えないこともないのですが、こういうことがたくさん方々にたび重なつておるように見えますから、それをもつと上に、というか、調達庁だけの問題とせずに、日本政府の問題として、アメリカ軍と交渉して日本国家負担を軽くあらしめようというような努力は、今までに払われておつたことがあるのですか、あるいはもうしかたがないといつて全部あきらめてしまつたのですか。
  11. 山内隆一

    山内政府委員 占領下において調達業務というものは非常な大量にわたつてつておりましたので、その中には決してすらすらと行つたものばかりではございませんで、かなり執行中に——第一、PDには簡単に書いてあるが、仕様書とかなんとか、いろいろそのほかの細目がきめられますについての疑義も始終起りますので、もうどれだけの件数にわたるか、むろん今ここに数字は申し上げかねますが、非常なたくさんな件数のごたごた、が絶えずありまして、その取扱いに困つたわけであります。そのたびに調達庁としては、この終戦処理費節減のために、また一面においては業者が不当な圧迫のもとに苦しむことのないように、軍と折衝をして解決をして来たわけでありますが、たまたま会計検査院検査の結果批難事項としてあげられておるような問題に、そういうものがたくさんありますから、非常に多いようにお感じになるのは無理もないのですが、全体の件数からいうと、非常にたくさんの問題について、調達庁としては御趣旨のような努力払つて解決をしたつもりでございます。
  12. 鈴木直美

    鈴木説明員 ただいまの部長説明に若干補足させていただきたいと思います。この前もちよつと触れたのでございますが、この二十五年度の軍指導下におけるわれわれのとらされた契約方式がどういうものであつたかを御説明申し上げます。前年度までは、役務につきましては実費精算契約が非常に多かつたのであります。ところが従来の実費精算的の行き方というものが、ともすれば予算使用上に無制限に伸びやすいというような欠点があつたわけであります。それで二十五年度からは軍側部隊別予算配付制度、こういうものを設けまして、そして軍みずからも予算使用を規制しようとしたわけであります。従つてこの際とられた方針は、従来の実費精算方式を極度に改めまして、これはやむを得ないものに限り、ヘツド・コーターに一件ごと承認を受けて契約をするということにいたしまして、それ以外のものはなるべく単価契約あるいは確定契約によつてやるべし、そして確定契約にできないあらゆるものを最終単位にわけて単価契約にしてやれ、そうすることを方針とするということになりました。そうしますと、単価かける数量で軍の方は予算をしよつちゆうアジヤストできます。その辺がねらいとなつて契約方式変更は軍の予算節約という目的のために発した一つの手段であつたわけであります。この二十五年度におきましては、当初からこういう役務契約におきましては、扱い数量によつて非常に単価というものはかわるものである、それがある特定のものについて行われる場合、数量が少なければ単価は高くなる、数量が多くなれば単価は安くなる、こういうような状態でございますので、その当時におきましては、むしろ調達庁といたしましては、最低取扱い数量保障のない年間単価契約業者にしいることは、非常に業者に危険をしいることである。同時にまた数量が膨脹した場合、これは政府が非常に損をこうむる、そういう意味条件を付するべく努力したわけであります。しかしそういう条件は一切いかぬ、予算経理上、数量かける単価で軍の予算使用額は明白になる、そういう式で行くんだというのが、この二十五年度の軍の調達業務の特色であつたわけであります。従いましてこの例等におきまして、あるいはこの前から問題になりました五二、五三、五四、こういうものは全部やはりこの一連の方針の矛盾によりまして、予想しなかつた役務量の増大というものが生じた結果できたわけであります。しからば全体について調達庁はこういうことを許容することをしたかといいますと、実ははなはだ遺憾でありますが、福岡調達局だけがこの種の過払い制限といいますか、政府支出制限することに失敗した、少くとも検査院検査を受けるまでに処理することに失敗した、こういう事例なのでございます。これ以外におきましてはいろいろ制約を受けまして、たとえば前回の例あるいはその次の五四、こういうものにつきましてもみな契約履行中に少くとも契約更改をして、不十分ながら単価更改をしておるのであります。これらは契約単価更改については、業者に対しては法的には何らしいる力はないわけであります。最低保障もないし、どれまでを限度としての契約であるということも契約書うたつてございません。従いまして、これはまつた政府側といたしましては、業者に対する押しつけであると思いますけれども、その事態におきまして、できるだけ節約をしたいということで、他の例L東京局においても検査院からは全然御指摘になつておりませんが、二件ほどあらかじめそういうことの発生の予防をしたのがあります。横浜においても現にこの二例があるわけでございます。そういうふうにしてやつたのでありますが、福岡だけはたまたま当該年度におきましては、DH工事等がありまして、工事関係の方に全局が動員されたというようなことで、担当官軍側に折衝したのでありますけれども、何しろ軍の方針単価をかえないということでありましたので、軍の方も中央から距離が遠くなればなるほど、軍の監督官は強い権限を持ちまして、その見解を強く逆に押しつけるというようなことになりまして、局側努力が実を結ぶことができなかつた、それでとうとう役務履行最終日を迎えてしまつた、こういうわけであります。その後におきまして、この件につきましては実にしばしば軍側に折衝したわけであります。実は調達庁契約条項に基く再検委員会に対する提訴を受けまして、決定した金額につきまして、占領中でございましたので、この契約更改をするについては、従来のPDCのフオームで契約更改をしなければならない。それをしなければ歳入調定をして納入告知書を発行することができない。そういう事態でありましたので、その最終決定の分も軍に報告いたしまして、その際調達庁の意見といたしましては、契約条項による調達再検委員会決定によつてこういうことになつた。ですから執行承認をしてくれ。この点については日本政府終戦処理費節減であるから、日本政府及び軍の立場は同一であると思う。もしあなたの方でこれをお認めにならなくても、日本政府としては必ずこれは取上げますということまでつけ加えて、向うへ出したわけであります。ところが軍は依然として契約契約通り履行された、そして最終支払にもなされた、それで契約は完結している、こういう理由によつて、これを取上げる法的理由を見つけることはできない。この見解はかわらぬということでありましたので、とうとう終戦処理費としての占領下における処理としては成功することができなかつたのですが、その後ただいま部長からも御報告されましたように、講和発効後におきまして、業者との公正証書約束に従いまして、納入告知を発行いたしました。その際はまず契約公正証書におきまして納入の時期をきめる条件を指定したのがございます。その際変更契約成立後第一回の支払いをするということはうたつてつたのでありますが、その変更契約というものは、もう占領が終結したのであるから、われわれの方は永久にすることはない、その項目だけは自然に効力失つたのだということで、その前の責任だけを主張するということで、契約効力の手続を略しまして、ただちに納入告知を発行いたしまして、それで歳入をはかつた、そういうことであります。
  13. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 今の御答弁で、庁としても相当御努力になつたことを認めて、敗戦国の悲しさとあきらめるよりほかないと私は了承いたします。
  14. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと委員長としてお聞きしますが、ちようどここに約二千万バーレルの差額があるのですが、こういうような問題がこうあつて、言い訳は一通りつくだろうが、あなた方の方としてはこれが当然なんだとお思いですか。会計検査院が今の問題を指摘していますね。つまり批難事項として指摘されたのでしよう。こういうような問題は一応ここで答弁して、答弁が済めばそれでいいのだ、こういうぐあいに了承されるのですが、いろいろな関係があつたらしいけれども国民税金納めた国家の財産を、とにかくこういうふうに指摘されるようなことをしてまことにどうも悪かつた思つていらつしやるのですか、どうなのですか。
  15. 山内隆一

    山内政府委員 委員長お尋ねでありますが、検査院指摘するような、終戦処理費を非常に多額に支払つていいというようなことは毛頭考えておりません。できることならばもつとこの問題についても減額交渉をしたいと思つてつたわけでありますけれども、法律的になかなかむずかしいことと、軍の関係がこれを正しい契約履行と言つておりますので、なかなか業者も強い関係で、この程度がようやくの解決点でありまして、やむを得ずここで決定いたしたわけであります。将来とても国費支出については、できるだけ節約を旨として業務処理して行きたい、かように考えております。
  16. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 ちよつと会計検査院の方から聞きたいのですけれども、そういうふうに非常に不当な利益を、この請負をやつてつた会社なら会社が収める。それがほんとうにそのまま会社の手に入つておるのか。それから会社の方からいえば、その中から幾分を軍の方へ献金しているのかどうかというようなことは調べられないのですか。つまり逆の方面から、支払いをよけいし過ぎておる、これは国家の金を使い過ぎておるというのですけれども、その金を受取つたの日本人が受取つたのであつて、それがそれだけほんとう受取つておれば、税金の面からも調べられるだろうし、何かやり方があるだろうと思いますけれども、実際はその請負つた方会社政府支払つただけの金が入つておるのかおらぬのかというようなことは調べられぬのですか。
  17. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 この案件は、実は会社の方へ行つてどういうふうな状況かということを調べてこういうことになつたわけでありまして、その金はまさしく会社の方へ入つておるというふうに見ておりますが、その先どういうふうに出て行つたかというところまで実はよくわからないわけであります。それで税金の方の関係は、これほど金が入つておるのでありますから、私どもの方の税担当の課に連絡して、とつたかとらないかは検討をいたしておりますが、これに介在してどこかに金が出て行つたのではないかという点はちよつとわかりかねます。
  18. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 それでは入つたものとしてその税金は完全にとつておるのですか。
  19. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 これはちよつと政府からお答えはいたしかねます。と申しますのは、私の方で今こういう事態がありますと、どうせ税金の方に関係があるだろうというので税関係担当する課の方へ連絡するわけで、税の方で最後結末がどういうふうになつたかということは承知いたしません。税の方の担当の課では、こういうのを見まして、それが課税の対象になつておるかどうかということは検討しておりますが、これが最後結末がどうなつておるかということは、現在のところちよつと私も申し上げかねます。
  20. 松本七郎

    松本(七)委員 その税金を納めたかどうかということと、それから不当な支払いがなされたということは、税金を納めておるからいいというわけのものではなくて、不当な支払いがなされたならば、当然その使い道も検査院としては追究して調べるべきものと思うのでありますが、今の制度上どの程度それができますか。
  21. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 会社その他を検査いたします場合には、これに一応の法規的な権限がいるわけであります。役務の点につきましては、実は法規的の検査をする権限検査院は持つておりません。それで実際の検査の作業といたしまして、相手方の会社に行きまして全然見ずにわれわれ納得するということも——国民税金の使途を考えなければなりませんので、会社に行きまして納得の上で実は見ておるわけであります。検査院といたしましては、別に正式の権限を持つておりません。
  22. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、その程度では詳細なところまでは突きとめられない現状ということになりますね。
  23. 上村照昌

  24. 永田良吉

    永田(良)委員 私は九州方面においてこの問題と関連したことについて質問をしたいと思いますが、委員長お許しくださいますか。
  25. 田中彰治

    田中委員長 簡単にならけつこうです。
  26. 永田良吉

    永田(良)委員 それでは簡単でありますからお尋ねしたいと思います。これは調達庁会計検査院の方にお尋ねしたいと思うのでありますが、それは大隅の鹿屋海軍航空隊のあの終戦処理物件の問題であります。ごらんの通り、あの飛行場は進駐と同時に米軍占領しました。そして米軍引揚げてから、あの建物やいろいろのものを日本政府にまたもとして参つたわけであります。それでただいまのところは、私、官庁関係はよく存じませんが、この物件処理調達庁で主としてやられておられたか知りませんが、私は大蔵省財務局の方でこれは取扱われたものと思つております。だからそのことについてやはり終戦処理をされた調達庁会計検査院の方も共同して、その処置において誤りがあつた点は是正していただいて、そして国家にも地方にも損失を与えぬという目的のために、ひとつ私にそのことを教えていただきたいと思います。物件処理といえば、ちようど昭和二十五年に会計検査があつたころには、私は追放で何も手を出すことはできなかつた。当時、皆さん御承知かもしれませんが、あの財務局出張所は収賄か何かの問題で、物件処理で五、六十万円の不正事件が新聞に載つてつたと思います。私は詳しいことは知りませんが、そういう終戦処理の問題において大蔵省財務局出張所長が、そういう不正をしたという事実が鹿屋市であつた。それはそれとして、最近私はこの冬の休みに鹿屋市に帰つた場合、どうも私は合点の行かぬ一つの問題がある。それは海軍工廠があつた時代に、あそこの航空隊に鉄道の引込線が引込まれておつた。それは約二キロないし三キロの引込線だと思つております。それが、私が上京する際に、鹿屋の停車場にレールが十本くらい運ばれているのを見て、私はびつくりした。私は急いで上京したので、ただちに市当局や自治警察の方に、あのレールをどうして払い下げたのだ、あれは将来地方の交通状態から見ても、また今後保安隊に航空隊でも建つようなことになつた場合、また大隅半島には、運輸省は古江・国分問の鉄道の延長も計画しておられる。しかるにあの引込線のレールを何がゆえにお払下げになつたか。それはむろん大蔵省管財局の権限だから仕方なかろうと思う。それで私は鹿児島に来る間にだんだん電話をかけたりして聞いた。私の見聞した点においては、鉄くずとしてレールを払い下げたのだという話。それはあのレールの中の五本か十本くらいは鉄くずであるということは私も知つておる。なぜならば空襲を受けたのですから、レールは二、三本は爆弾のために折れたり曲つたりした跡を見受けております。しかし、その他のレールは、終戦後五、六年たつたからといつて、決してそのくらいのことで鉄くずになるとは思いませんが、いかがなものでしよう。しかも、それをレールとして払い下げるのと鉄くずとして払い下げるのと、幾らくらい価格の点において差異があるか私は存じませんが、調達庁会計検査院の方で、さような過去の前例があつたならば、このいなかから出た貧弱な代議士に教えていただきたい。それからきよう市長が上京して参りまして、承るところによれば、日本で有数な、たしか三井か三菱かに、炭鉱会社か物産か知りませんが、これを払い下げたということを聞いております。私は驚きました。日本で昔から有名な財閥としてうたわれたそういう方が、きずのないレールを鉄くずとして払い下げて、自分の鉱山の中に使う。何たるさもしい根性でしようか。もしそういう鉄くずを払い下げてくださるならば、私の鹿屋市は戦災のために非常な迷惑をこうむつたが、地元の全共団体にでも払い下げていただけば——もしその払下げが法的に認められる場合は、ああいう戦災都市の救済にも便宜を受けると思う。ああいう一物産会社が、政府の財産を十分の一以下の安い値で払下げを受けて、そうしてそれを自分の炭鉱会社——どこか福岡辺の炭鉱に使うのでしようが、これは明らかに日本有数な財閥が、政府の国有財産をかかる安価をもつて横取りしたものと言われてもしかたがないでしよう。これは私の聞いたのが間違いかもしれませんが、もし事実でありとすれば、これははなはだただで聞きのがしてはならぬ問題だと思つております。この件につきまして私はいなか者でわかりませんが、調選庁や会計検査院の方で、レールが鉄くずとして販売せられる場合はどのくらいの価格をもつて販売せられるものなりや。私はあのレールはわれわれしろうとが見ても二キロ、三キロのレールが、ただ四、五本折れておつたのをえさにして、他の健全なレールを鉄くずで売るということは、確かにこれはほめたことではないと思います。しかし私はそういう法規に暗いから大蔵省財務局の方やいろいろな方がおつしやればしかたがないが、そんなかつてなことをするのをやはり会計検査院の方やなんかの検査においては、これは合法的だから何も罰することはできないとお考えでしようか。そういうことは法律も何も知らぬから教えていただきたいと思います。
  27. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと永田委員にお伺いしますが、財団法人とか何かでないと、競売以外には国有財産はちよつと払下げができないわけですが、競売したのですか、払下げしたのですか。
  28. 永田良吉

    永田委員 そこは競売したか、払下げたか、真相はわかつておりませんが、私は事のいかんにかかわらず、常識として、国民としてさまうなことはいかがなものでしようか。これはお調べになれば、会計検査院ですぐに私の申し上げることがただの空言であるかどうかわかると思う。こういうことは大隈のはてだからといつて日本政府の管轄下にあるのだから、終戦処理としても、そんなかつてなことがありますか。少くとも一億円や八千万円の価値のあるものだ。それを私の聞いたところでは一割の八百万円で払い下げている。あんなむちやなことはない。これは私はわからぬからお尋ねしている。
  29. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと委員長として会計検査院に伺いますが、国有財産は個人には競売以外には払い下げられないでしよう。
  30. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ごく価格の低いものは別ですが……。
  31. 田中彰治

    田中委員長 そんな一億円近いものは……。
  32. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 そういうものは個人にはありません。ただ戦災都市とかそういう場合は別です。
  33. 田中彰治

    田中委員長 公共団体でなく一会社に払下げしたというのは、事実とすればちよつとおかしいのですが、あなたの方でお調べになりますか。それとも、あなたの方でお調べにならなければ、私の方で財務局長か、その代理を出して調べようと思いますがどうです。
  34. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私の方で調べるということは、今では向うへ行かなければなりません。財務局か何かを通じて調べなければならぬわけです。
  35. 田中彰治

    田中委員長 永田委員要求によつては、向う財務局を出して取調べていいです。
  36. 永田良吉

    永田委員 どうか、そういうふうにお願いしたいと思います。
  37. 田中彰治

    田中委員長 それではそういうふうにとりはからいます。  それから、私は委員の方にちよつとお願いするのですが、このごろ非常に税務署の幹部が、東京の大商店に二重帳面をつけてやるということで、何十万という金をとつて歩いている証拠が大分あがつて来ているのですが、こういう証拠をひとつ委員長として収集したいと思いますが、いかがでしようか。     〔「よいとも、ぜひともやつてくだ   さい」と呼ぶ者あり〕
  38. 田中彰治

    田中委員長 それではそういうふうにいたします。決算委員の中にも大分そういうことの証拠を握つておられる方がある。私も二、三握つております。たいがい一年に四百万円程度くらいの金をとつて、二重帳面をつけて、そこだけが税金が安い。それをひとつ私の方で調べて、決算委員の皆様にまわして取調べますから、一応委員会で御承認を得ておきます。  それではこの問題はその程度にしまして、何かこれについてほかに御発言はありませんか。
  39. 古井喜實

    ○古井委員 さつき代金の支払いについて、会社の会計を調べることができないということをおつしやいましたが、それは役務請負だからできないという意味ですか。それは法律の上からいうと、会計検査院法の二十三条一項七号の規定から、役務だからできないのだ、こういう意味ですか。そうしますと、この会計検査院法の規定の改正の必要ということはお考えになつておらぬのでしようか。つまりこれで見ますと、工事の請負、それから物品納入契約、この関係では会計の検査ができるということになつておりますね。その場合に、工事の請負、あるいは物品納入関係の会計の検査といううちには、会社に入つた収入の関係のみならず、それに関連して会社の会計全体が、認められている事項については、反面からいつて検査することができるのですか、どうでしようか。そこをお伺いしたいと思います。
  40. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまの二十三条に規定してある事項につきましては、会社検査できるわけでございますが、ただ私権の保護という面との調節をある程度まで考えなければならぬと思います。そこでそういう関係上、それに必要な限度に限るというふうに考える方が、やはりいいんじやないか、こういうふうに考えております。それからもう一つ役務の点、そういうものを別個にいろいろのものを入れて、検査したらいいんじやないかという点もこれはあると思いますが、そういう点いろいろ考究いたしおります。ただ実際問題といたしまして、ある程度まで必要な場合は見るということもやつておりますし、もつとも手ぬるいという考え方もあるかもわかりませんが、実際の現有勢力からいいまして、あまり伸ばして行つてもやはり私権の侵害という面との調節もありますものですから、多少その点も考慮をしたわけであります。
  41. 古井喜實

    ○古井委員 そうすると今の点は、法の欠陥とまではまだお考えになつておらぬ、研究問題はあるけれども、改正しなければならぬというほどの空気じやないのですね。
  42. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 そこまではつきり確定いたしてはおりません。
  43. 古井喜實

    ○古井委員 けつこうです。     —————————————
  44. 田中彰治

    田中委員長 では次に報告書六十八ページ、不正行為、報告番号五九ないし六二、報告書六十九ページ、「その他」の報告番号六三ないし六五及び報告書七十二ページ、是正させた事項物件番号六六を一括議題とし、そのうち審議の促進上特に番号六五の案件について、両当局より詳細御説明をお願いいたします。その他の案件につきましては、委員の御要求によりまして、質疑に応じて説明いたさせたいと思いますから、さよう御了承願います。
  45. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 六五号の焼失補償金の支払いについて御説明いたします。これは接収しておりました博多ホテルが二十一年の一月焼失いたしましたので、それに対する補償金として百六十六万一千百六十五円を払われたのであります。それでこの払われた計算は、一応この建物の被災当時の複成価格が五百八十九万四千八百三十一円、それから焼け残りました価格が六十万一千五百三十六円、これを引きまして、なおさらにこの建物は保険に入つておりまして、保険金を受領しておりますので、その金額三百六十三万二千百二十九円を引きまして、ただいま申し上げました百六十六万一千百六十五円を支払われたものであります。ところが一方この建物は、先ほど申し上げましたように、保険に入つておりまして、保険の価格が五百七万七千六百六十円となつてつたわけでありますが、これは超過保険であるということから、保険会社が査定いたしまして、超過保険として、そのうちから百十一万六千七十一円を引きまして、それが適正なる保険価格だということで、三百九十六万一千五百八十七円、これが適正な価格だ、それから残存価格が三十二万九千四百六十円あつた。これを引きまして三百六十三万二千百二十九円が支払われた。普通の保険の支払いでありますればこれは別でありますが、この保険は超過保険といたしまして、保険会社が適正価格は、時価はどのくらいであるということを判断いたしまして、超過保険に相当するものを引いて保険料を支払つてつた。そしてしかもこれが特に安いというふうな関係もないように思いますので、この点を勘案すれば一応保険でもらつておるのでありますから、補償金としては支払つておらない、こういうふうに見ております。
  46. 田中彰治

    田中委員長 政府当局補足的説明があれば発言を許します。山内政府委員
  47. 山内隆一

    山内政府委員 六五番につきまして少しく調達庁立場を御説明いたしたいと思います。本件昭和二十四年十二月二十七日閣議決定使用解除財産処理要綱に基く使用解除財産処理要領、財産の評価というところ、この五番目に使用財産が国の責任に帰すべき事由で、火災により損害を生じた場合においては、次の価格、一として、その焼失が昭和二十二年九月一日賃貸料改訂契約成立以前の場合は、当該財産の焼失時の賃貸料に通常含まれる火災保険料に対する保険金額に、焼失割合を乗じた額または所有者が実際に受領した保険金額のうち、いずれか多い方の額、こういう条項に該当いたしますので、これを適用しまして、賃貸料算定の根拠である時価に基いて計算された保険金額は、所有者が実際に受領した保険金額より多かつたから、その多い方を支払つたものであります。その後の改訂契約におきましては、保険料を国が支払いますことによつて、焼失した場合は責任を負わない旨定めてあります。この改訂までは、保険料については不徹底であり、契約にもこの点は触れていないので、国が補償せざるを得なかつたわけであります。時価を算定して補償額を定めることは右に述べた通りでありますが、その時価算出の根拠となつた昭和十年の推定再建築費もこれについては単価百八十円としたのでありますが、これを火災保険協会及び国税庁の木造建築物評価基準表、住宅四級、昭和十二年坪当り二百四十円を昭和十年に換算しますれば、百八十七円二十銭となり、軍が接収するぐらいの建物を住宅四級程度に評価しておりますので、高過ぎたものとは思えないのであります。超過保険の問題も出ておりますが、超過保険を差引いたものを調達庁が考慮しなかつた点につきましては、先に申し上げました通り、当該建物の契約当時の賃貸料の中には保険料が入つておりません。従つて保険をかけるかけないかは所有者の自由でありまして、その場合に、保険をかけていない場合は、全額支払うということになりますので、かれこれ考え合せまして、超過保険を、しかも所有者としては多少問題にいたしておりますこの額を差引くことは、契約の上からいつても適当でない、かように考えて、受けた保険料だけを差引いて支払つたような次第であります。
  48. 田中彰治

    田中委員長 これより質疑をお願いいたします。質疑はございませんか。——それでは質疑ないものといたしまして、本日はいろいろあとの打合せもございますから、この程度にいたしまして、次会は来る九日、月曜日午後一時から開会いたします。  これにて散会いたします。     午後二時四十一分散会