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1952-12-22 第15回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十二日(月曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 迫水 久常君 理事 永田 良吉君    理事 古井 喜實君 理事 吉田 賢一君    理事 山田 長司君       田口長治郎君    松野 頼三君       山田 彌一君    河野 金昇君       鈴木 正吾君    松本 七郎君       八木 一男君    石野 久男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         自治庁次長   鈴木 俊一君  委員外出席者         会計検査院事務         総長      池田  直君         会計検査院事務         官         (検査第一局         長)      池田 修藏君         参  考  人         (茨城県知事) 友末 洋治君         参  考  人         (静岡県知事) 齋藤 壽夫君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五  年度政府関係機関収入支出決算     ―――――――――――――
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開きます。  池田会計検査院事務総長に対して実地検査実情に関し、委員長から質疑をいたしたいと思います。すなわち現下国民はあらゆる面で重税に苦慮をいたしておる次第でありますが、それにもかかわらず納税者と結託して徴税脱漏等不正行為をする係官もあるやに聞きますし、また一方悪質な脱税事件の数も、全国では相当に及んでいることと灰関するのであります。これらに対しまして、国税庁は真剣に取締らなければならない官庁でありながら、二重帳簿をつくりまして、そうして国民が泣いて納めた血税遊興費に使つておるというようなわれわれは調査をしておるのであります。これらにつきまして会計検査院事務当局におかれまして、会計検査の対象である各省、庁及び国税庁あたりに対して常時検査をされておりましようが、かような面からいつて予告せずにいわゆる抜打ち的検査をした場合の事情について伺つておきたいのであります。  それでは委員長から池田事務総長にお伺いいたします。今まで会計検査をされる場合は、たいてい予告をされてそうして向うにあらかじめの用意を与えておいて会計検査をされておりますが、そういうことがはたして効果的なのか、またどういうわけでそういうことをしなくちやならないのか、少くとも会計検査をされる場合は、抜打ち的に行つてそうして会計検査をされてこそ初めて効果があるのだと私は信じておる。すなわち刑事がどろぼうをつかまえるのに、いつ幾日にお前を逮捕に行くから用意をしておけというようなやり方会計検査院はやつておられるが、これについてどういうわけで予告をして行かれるのか、その点について事務総長に御尋ねいたしたいのであります。
  3. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 会計検査院において会計実地検査をいたしまする場合に、原則といたしまして実地検査を受ける相手方に対しまして、相当の余裕ある期間を置きまして、会計実地検査を施行いたしますのが、大体私どもが永年やつて参りました実情でございます。この関係につきまして、ただいま委員長からの御意見がありました通り相当の余裕ある期間を置いて、会計実地検査を施行いたしますことは意味がないじやないかという御疑問でございます。現下状況におきまして、ごもつともな御意見と存ずる次第でございますが、会計検査院におきまして、何ゆえに相当の余裕ある期間を置きまして、実地検査をするぞという通知をいたしまして、会計実地検査に移るか、予告を与えるゆえんのものについてまず御質問がありましたので、説明申し上げたいと思います。この前の総括的な御説明を申し上げましたときにも、ちよつと触れたのでございますが、会計検査院の職責でございますが、これは憲法にも示してあります通り会計監督をいたしまして、そうして将来に向つて是正を期し、改善をはかるということでございます。私どもといたしましては、ある不正事件等の容疑があるような場合に、それを摘発するということはもちろんいたさなければいけない性質のものでございます。しかしながらそれとは別個に、会計検査の目的は、全般的に国の予算執行なりその他の会計経理あるいは政府関係機関予算執行その他の経理につきまして、これをできれば法令違反その他の不在事件がなくても、もつともつとこれを改善の面に向けて行くことが私どもの最も目標といたしておるところでございます。こうした意味から私どもといたしましては、やはり全体的に会計経理執行あとを見る必要がございます。その意味ともう一つどもといたしましては、国の予算執行あとにつきまして、これを全般的に確認することが必要でございます。そうした使命を持つております関係上、あるいは検察庁の調査とか、そうした関係とは本質的に違う部面もございます。私どものそうした大きな目標に対しまする実現のためには、相手官庁のいい意味における協力が最も望ましい次第でございます。いわゆるなれ合い検査、これは絶対廃すべきではありますが、私ども実際会計の実行に当る責任者といたしましても、同じくこれ国の公務員でございまして、国の予算執行その他がよくなることは、ともにともにこれは大いにこいねがうところでございます。お互いにそうした目標のために努力するという関係から、相手官庁協力ということが絶対要件でございます。それにそうした関係から、私どもといたしましては、相手官庁相当礼儀を尽すということは、必要であろうかと考えておる次第であります。そうした意味合いにおきまして、やはり会計検査を行うぞという通知も、礼儀の面からも必要だと思います。しかし礼儀の面よりも、会計検査院検査は、この前にも申し上げました通り書面検査並びに実地検査によつていたしておる次第でございますが、書面検査による検査が必ずしも検査の徹底を期し得られませんので、実地検査をあわせて行つておるような次第でございますが、書面検査の今日の状況は、検査を受ける相手官庁の今日をなるたけ少くしようという観点から、比較的書面による計算証明を簡素化するという方向に持つて参つております。政府関係機関の一部につきましては、これを全廃しておるような関係もあります。そうした関係から、会計検査院に提出する以外のかなりの調書等を、やはり前もつて検査を受ける相手方に準備をさしておくことが必要であります。そういたしませんと、向う経理実情等を客観的に把握することに非常に不便を感ずる次第でございます。もしも計算証明をうんと簡素化して、ただ予告なしにぽかりと相手官庁行つたならば、場合によりましては、ただ海のまん中でつりをするようなもので、その効果は非常に薄くなりはしないか。こうした関係から、やはり相手官庁調書をある程度のものを準備させるという必要がございます。そうした関係からも、やはり相手官庁に前もつて予告をいたして実地検査を行う。そうした関係が、従来からの予告検査を主といたしましたおもなる原因である、こういうふうに感ずる次第でございます。いきなり相手官庁に行きましても、十二分に説明の衝に当る人が出張その他の関係でいないというようなことも考慮いたされますし、予告なしの抜打ち検査なるものは効果が非常に薄いのじやないか。それに大体が相手官庁法令に従い、適正に経理しておることが普通であるという従来からの実情並びに考え方からして、ただいま申し上げましたような、相当に余裕をおいた、予告を与えての会計実地検査を施行して来たような状況でございます。しかし戦後の会計経理実情は、先ほど委員長からお話がありました通り状況でございまして、はなはだ寒心にたえない次第でございます。予算の編成あるいはその他社会事情あるいは諸種の悪条件がありまして、うその経理をして、それからいろいろな経費を捻出してこれを接待費等に使用する、あるいは予算に認められない工事をやる、あるいは物品の調達をするということ、このこと自体もただいまお話通りに多くなつて参つております。中にはこれが端緒となりまして、いまわしい事件犯罪事件も起つて、不幸な結果を来しておる事例も非常に数々あるのでございます。  そこでこうした関係経理是正をはかるためには、どうしてもこの不正関係等は摘発する、あくまで実態をさらけ出して、これに対する矯正の対策等を講ずるということが望ましい次第でございます。こうした不正関係経理の摘発、調査につきましては、ただいま委員長からお話がありました通り予告ある検査では大体望めない次第でございます。従いまして抜打ち検査ということが必要になつて参る次第でございます。委員長からも特に御注意がありました通り、その点につきましては会計検査院といたしましても、抜打ち検査をぜひやりたいという観点からいたしまして、最近そうした方法によつてある程度の効果は上げておるような次第でございます。
  4. 田中彰治

    田中委員長 簡単にやつてください。待つておる人がありますから……。私の聞いておるところと違うのだが、まあ簡単にやつてください。
  5. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 まあ予告検査の意義はただいま申し上げたような次第でございます。
  6. 田中彰治

    田中委員長 それでは委員長から重ねてお尋ねいたしますが、法的に予告して検査をしなければならぬというような法的なものがあるのですか。それとも内規的にもそういうものが設けられてあるのですか。
  7. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 法的にはそうした予告検査をしなければいけない、抜打ち検査をしてはならないという法律はございません。
  8. 田中彰治

    田中委員長 それでは重ねてもう一度お尋ねいたしますが、たとえば昭和二十五年度だけで百四億から、国民が泣いて納めた血税が不明朗になつておるのですね。こういうような結果をごらんになつて、あらかじめごまかすような、事件を起すようなむだ使いをするような人たちに、検査に行くからと、予告して行つて、はたしてそういうものがはつきりつかめる、こうあなたはお考えになりますか。いま一つ、ここにあがつておるこれは、昭和二十五年度で百四億ですが、これに現われて来ないものが、私は少くともこの三倍あると思う。あなた方は一体そういうような点について、ここに出たものが不正なものであつてあとは不正ではないのだ、そういうものは隠れておらないのだというようなお考えを持つておられるか、ひとつ御説明願います。
  9. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 不当経理関係は、二十五年度の検査報告相当の金額、件数に上つておりますが、これは私どもが現在の機構並びに権限人員によりまして努力いたしました結果でございますが、それで検査が十二分に徹底して、これ以外にそうした不当経理がないということは、私どもも断言できません。やはり常識的には、このほかにも私どもの見落しが相当あるだろうということは考えております。
  10. 田中彰治

    田中委員長 いま一つ御返答願いたいのだが、予告して行つて、そういうずるいことをしている、二重帳面をつくるようなところのほんとうの姿を一体つかめますか、つかめると思いますか、それに対して回答してみてください。
  11. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 今の御質問でございますが、かりに二十五年度の検査報告で申し上げますと、電通省不当経理が上つておりますが、こうした関係のものにつきましては、私どもといたしましては、二重の帳簿までは確かめ得ましたが、もう一つのところまでは入り切らなかつたような感じを受けた部面もありますので、委員長のただいまの御疑問はごもつともに存じます。
  12. 松野頼三

    松野(頼)委員 今いろいろ委員長の御質問もありますが、委員の方からもひとつ質問をさしていただきたい。私は会計検査院に関する限りは比較的よくやつておられる、私の感じではそう思いました。ただいま委員長お話になりました抜打ち検査につきましては、たびたび希望を申し上げたこともありまして、現実の私の希望しておる抜打ち検査を、全国では何箇所かは現在もやつていると私は思います。敬服しております。ただ問題は、現在の会計検査院は厖大な政府機関を持つておりますが、検査人員は二千名であります。その二千名の者が全国地方官庁から、役場から、中央官庁をやること自身が非常に無理ではなかろうか、できるだけ検査を厳重にするならば、検査院人員を充実して、抜打ち検査もできるような陣容をととのえて、今後の万全を期してもらいたい、こう考えております。  それからもう一つ自治問題に触れますけれども地方財政において、あるいはこれは地方自治庁からの答弁がいいかと思いますが、地方自治庁地方財政に関してどういう検査をされておられるか、会計検査院はおそらく政府機関政府補助金にのみ限定されてやつておられるけれども、これは平衡交付金が出たときから毎年自治庁の問題になつて地方自治庁内に検査官を置くというような話があつたくらいである。しかしその後何らやつておられない事実を見ましても、地方財政に関する疑問が多い。政府補助金に対しましては、会計検査院に、人員は足りなくても一応機関があるけれども地方自治庁地方財政に関する監督というか、行政の責任をどうお考えになつておるか、これは私は地方自治庁の方からお聞きしたい。
  13. 田中彰治

    田中委員長 松野委員まことに申訳ありませんが、これを聞きましてすぐ地方自治庁の問題に移りますから、大臣も来ますので、質問をしてください。ちよつと今この質問だけをやつてみたいと思います。
  14. 松本七郎

    松本(七)委員 この検査院機構だとか、人員検査仕方等につきましては非常に重要な問題なんです。そういう問題を少しまとめて質問したり、審議する必要があると思います。今までこの決算委員会事務局側は来られても、最高の意思決定機関である検査官会議の構成によります検査官は、一度も来られたことがない。こういう問題はやはり事務当局ばかりでなしに検査官に来ていただいて、根本方針というものをよく伺う必要があるので、その点ひとつ委員長の方で適当におとりはからいを願います。
  15. 田中彰治

    田中委員長 この次に呼びます。そこで池田説明員にもう一回お伺いしたいのですが、昭和二十五年度だけで百四億からのこういう不明朗なものを出しておつて、反対に、国民税金を納めないと、自分の妻の着物とか、かわいい子供着物まで競売にされ、子供の机が競売にされて自動車で持つて行かれておる。その反面に役所にはこういうようなことがあるということを、あなた方はそれを聞かれたり見られたりしておられるのでしようが、あまりにも官庁に対する会計検査やり方が、何といいましようか、ひいき目で見ればルーズである、悪い目で見ればまつたくやりつぱなしである、こういうようにお思いにならぬですか。私はあなた方の気持を聞いて、この方法をかえたいと思つているのです。どういうぐあいにお考えになつていますか。
  16. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 ただいまの委員長の御意見まことにごもつともでありますが、比較的大きな経費を一定の法規手続等に従いまして経理をいたしておりますところは、これはいわゆる抜打ち検査をいたさなくても、そう二重帳簿三重帳簿ということはなかなかやれない性質のものでございますので、こうした関係抜打ち検査を私はさ低ど必要としないだろう、こう考えます。しかしそうした面は委員長がいろいろ不掲載事項等につきましての御心配の点は、ごもつともでございますから、私どもといたしましても抜打ち検査には行きませんで、十二分に検査が徹底するようにもつともつと努力いたしたいと思つております。抜打ち検査が最も必要だと思いますのは、現金あるいは物品等相当の量扱つておる現業官庁の出先の比較的小さい役所関係、こうした関係がかなり委員長の御心配のような、二重帳簿とかあるいはその他のものを用いまして、不当の経理あるいは不正のこと、場合によつてはこれを着服しているという事例が非常に豊富であります。従いまして会計検査院といたしまして、抜打ち検査を――二十五年度の決算関係もそうでございますが、二十六年度の決算検査報告も、やがてまた国会の御審議を願うことになりましようが、抜打ち検査の結果によりまして、そういつたものを摘発した事例がかなりあるような状態でございます
  17. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと最後にもう一点お聞きしますが、会計検査院の方では、金を着服したとか、使つたとかいうような、下つぱの役人で、こんなものは手一ぱいやつたつて五十万か百万しか使つておらない、そういうものでなくて、法律にかからないものであつて、この間の横浜の味入りドラムカンの請負ですね。あれは四億から以上の金をとつておるが、下請には一億ちよつとでやらしておる、一億八、九千万円の金がどこかに行つちやつておる。こういうようなことが法律にひつかからないか、役所がルーズなことをやつておる。もう一つ、この間警察予備隊のことで、あなたもお立会いになつておるが、八百万円からの金を持つて行つて、倉庫を片づけるのに払つたのが五万一千九百円、あとの金はどこへ行つてしまつたか、こういうようなものが出て来ると、あなた方、ただ役人が生活に困つて五十万円か百万か使つたものを、会計検査院の方で、これは着服したからといつてあやまる、こういうような観点でやつておられるからこういう大きな事故が出て来るのだと思う。そんなものは小さいことだといつて、ここに来て皆さんが処分をしました、差押えをしました、遺憾にたえませんと、ここであやまつて済ましてはいけない、これを監督をするところの大臣にその責任を負わせなければ、国民に済まない。こういう点をあなた方がどう考えておられるか、まことに悪いと思つているか、これではいけないと思つているのか、そんなことは当然だと思つているか、そういう金がどこかに流れて行く。国税庁がそれに税金をかけなければならないのに、税金をかけてない、これが政治献金となつて流れておる。こういう点に対して会計検査院として、あなた方はどういう考えを持つておられるのか、ここで正直に述べてください。
  18. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 ただいまの問題は、会計検査院といたしまして、単なる小さい役所の比較的下の方の公務員着服等と異なりまして、委員長の御意見と同じように、会計検査院も非常に重く見ておる次第であります。従いまして会計検査院といたしましても、実地検査をいたします場合に、こうした経費をうんと使つておるような役所は特に重点的に実地検査を施行いたしまして、そうしてこの前も申し上げましたが、会計検査院民間帳簿までは入れない関係で、今のような事態を的確に把握いたすことはできないのでありますが、できるだけ努力いたしまして、いろいろの苦労をいたしまして、二十五年度の決算報告にあるような、そうした事態がどんどん出て来るように努力いたしております。決してそうした関係の分を軽視いたしておるということは全然ございません。
  19. 石野久男

    石野委員 先ほどから委員長抜打ち検査効果の問題についていろいろお尋ねして、それに対する事務総長からの御答弁がありました。特に、ただいまお話になつておりますドラムカンの問題とか、あるいは予備隊問題等については、これは非常に重大であります。従つて私は、こういう問題は当然やはり会計検査院所管内と、それからそれ以上にわたるものもたくさんあると思つておりますけれども、しかしもつとやはり委員としては重要視しまして、これの詳細にわたつての討議をして行かなければいけないと思つておるのであります。この場合、事務総長からお話があつたように、会計検査院としては民間帳簿にまでは入れないということを言つておる。けれども、それは他面からすれば、民間帳簿をいろいろめんどうを見る国税庁の業務に対しては、あなたの方としては相当きびしい検査を加えなければならぬ任務を持つておるのだと思うのであります。従いまして国税庁がそれとなれ合いになつて、そういう問題を看過するということについては、あなたの方としてはきわめてきびしい態度で処理しなければならぬのではないかというように私どもは見ておる。従いまして、そういう見方からすれば、当然会計検査院責任は、おのずから民間帳簿に、直接的ではなくしても、間接的にきびしい態度として出て来るのが当然ではないか、かように私どもは思いますが、あなたの方はどういう態度でいるか、ひとつ聞かせていただきたい。
  20. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 お答えいたします。会計検査の結果非常に民間のある会社等がもうけている。結局国に非常に不経済になつているという事例お話通りたくさんありまして、そうした関係会計検査院としては直接民間帳簿を見る権限がありませんので、今お話通り租税関係の面で多少でも国の損が償いのつくようにという観点から、租税検査課支出関係検査課から移牒します。これによりまして、さつそく国税庁の方に、あるいは所轄の税務署の方に照会をいたしまして、どこどこの会社はどれだけ国との取引においてうまいことをやつておる汽課税関係がどうなつておるのかということをさつそく調査しております。その関係検査報告に載つております案件も、かなり租税徴収不足関係でございます。
  21. 石野久男

    石野委員 この問題は非常に重大でありますので、今ここでこれ以上入つて行くことは差控えて、他日委員としても、この問題をもう少しそれ自体として取上げて検討していただくように、私は要望いたしまして、一応これで質問を打切ります。
  22. 田中彰治

    田中委員長 それでは池田説明員に申し上げますが、委員長質疑はこれでやめます。一応御説明を聞いてわかりましたから、理事及び決算委員の諸君と相談しまして、会計検査院の院長に来ていただきまして、この方法が悪ければ悪いように改革し、今後もう少し徹底した会計検査を各役所に行うような方法をとることにいたして、これで質疑を打切ります。     ―――――――――――――
  23. 田中彰治

    田中委員長 この際御報告申し上げます。  去る十五日の委員会参考人として招致の件をおはかりいたしましたが、茨城県知事友末洋治君及び静岡県知事斎藤寿夫君を参考人に選定いたしまして、本日御出席を願いましたから御了承願います。  それでは開会にあたり参考人各位に対し一言ごあいさつ申し上げます。本日は何かと御多忙中のところをお繰合せの上、貴重な時間をさかれ御出席願いましたことを厚く御礼を申し上げる次第でございます。  昭和二十五年度決算検査報告記載総理府所管地方財政平衡交付金交付基準等に関する件につきましては、前会までに種々検討を重ねたのでありますが、引続きこの際参考人各位から忌憚なき御意見を開陳くださるならば、今後委員会の審査に多大の参考となることを期待いたす次第でございます。  なお、本日の議事の順序を申し上げますと、まず参考人の御意見開陳をお願いいたしまして、これに対し各委員から質疑をいたして参ることにいたします。なお自治庁当局からも関係者出席されておりますことを申し添えておきます。  それでは、まず茨城県知事友末洋治君から御発言を願います。
  24. 友末洋治

    友末参考人 地方財政平衡交付金に対しまして、昭和二十五年度の決算の上から見まして、茨城県におきましては、本決定の際錯誤があつたのでございます。おそらく委員会におきましても御審議に相なつておるかと考えますので、まずその錯誤の出ました御説明を申し上げ、さらにお許しをいただき得ますれば、昭和一十五年度は御承知のように、シャウプ勧告に基きまして、制度の上においても、また財政の上においても、地方一大変革が行われた年でございますので、その決算の面におきましても、二十四年度と非常な開きが出ておる関係もありますので、これらの概要を御説明申し上げ、御参考に供したいと存ずるのでございます。  まず最初に錯誤の出た状況でございますが、昭和二十五年度地方財政平衡交付金茨城県に対しますところの交付額は、本決定におきまして普通交付金十九億九百十一万四百円と決定せられたのでありますが、その後会計検査官より算出の基礎に錯誤が発見せられ、四百四十一万四千円少く算出されていたということが指摘せられたのでございます。その結果、地方財政委員会におかれましては、右の錯誤によります分四百四十一万四千円を、翌年の昭和二十六年度普通平衡交付金中に加算して交付せらるることと相なつたのでございます。  この錯誤の生じました理由は、おおむね次のような事情によるものでございます。すなわち二十四年国庫災害復旧土木費の利子計算は、借入れ日の昭和二十五年二月二十八日より起算すべきものを、事務的に誤りまして、同月の二日より起算いたしましたため、基準財政百需要額が三十一万三千円多く計算されておりましたので、右の金額を基準財政需要額から減額されることに相なつたのでございます。きわめて簡単な事務上の手違いと認められるのでございます。さらに、遊興飲食税中、飲食店の分につきましては、法人は十四人のところを七十二人、また個人は、二千五百九十四人のところを二千五百三十六人と、それぞれ誤算しておつたのでございます。その結果、本決定の基準財政収入額は、四百七十二万七千円減額され、従つて、右の金額だけ交付金が増額されることに相なつたのでございますが、錯誤の生じました原因と認められますものは、次のような事情によるものと考えられます。すなわち、二十五年七月に行われました平衡交付金の仮決定においては基準財政収入額中、遊興飲食税の測定単位といたしまして、国税庁調査にかかる二十四年度の所得額が、法人個人の区別なく用いられておりましたところ、本決定にあたりましては、これを変更せられ、十二月九日に地方財政委員会より電報をもつて、突然右の数について照会があつたのでございます。これに対しまして、本県よりも折返し電報をもつて回答を行つたのでございますが、その際、前述のごとく、五十八人が個人分に入るべきものを法人分に間違いで入れ違い、不利な結果を来しておつたのでございます。右の結果、一方におきましては三十一万三千円の交付減、一方におきましては四百七十二万七千円の交付増を来し、両者を合算いたしまして、四百四十一万四千円の交付増の結果と相なつたのでございます。以上が、本決定の際事務上間違いを起しました状況でございます。  次に、二十五年度の決算状況につきまして、きわめて簡単に申し上げたいと存じます。すなわち、御承知の通り昭和二十五年度はシヤウプ勧告に基きまして、地方税、財政一大変革が行われた年でございます。すなわち従来の配付税にかわつて地方財政平衡交付金制度が初めて設けられますとともに、義務教育職員の給与費、これは従来三分の一国庫負担に相なつておつたのでございますが、これを含め、その他、いわゆるA系統の国庫補助金平衡交付金に吸収せられ、又府県税におきましては、都会地税たる性格の強い事業税、遊興飲食税、入場説等が採用されたのでございます。  それらの変革に基きますところの本県の一般財源増減の状況を、決算額より見ますと、二十四年度に比較いたしまして、総体で一億五千余万円の増になつております。そのうち税収は大幅に三一・九%減つております。国庫支出金におきましては三三・七%の増をを見ておるのでございます。これは本県ばかりでなく、農村県であります。大多数の府県の趨勢でございます。すなわち、税におきましては大幅な減収を見、国庫支出金と平衡交付金が大幅にふえたというかつこうに相なつているのでございまして、地方自治の確立から申しますと、中央依存の傾向が非常に濃厚になつたと申さざるを得ません。シヤウプ勧告によります制度の改革は、府県にとりましては改悪と今日まで申されておるところでございます。しかるに人件費におきましては、政府の施策にかかりますところの給与ベースの引上げ、年末手当の支給、恩給費並びに共済組合負担金の増額、教員給与のでこぼこ是正、級別格付是正等の事態が相次いで起りました結果、年度当初より現員現給によります予算計上、欠員不補充等を厳重に実施して参つたのでございますが、二十四年度に比し約二億五千万円、給与費におきましては一四・三考の大幅な増高を来したのでございます。二十五年度におきまずる一般財源のこの前申し上げました伸びは、単にこれを人件費の増額と比較いたしましてさえ、なおかつ一億円の不足を生ずる結果に相なつておるのでございます。人件費以外におきましても、法令の制定及び政府の新たなる施策の実施、物価の上昇、災害の発生等、幾多経費の増高をもたらす事情が加わりましたので、年度末におきましては五億六千三百余万円、一般財源所要額といたしましては二億六千三百万円、これは平衡交付金の対象となるべき性質のものでございます。地方債におきましては約三億、かようなる財源不足を来したのでございます。  右のごとき大幅な財源不足を背負いまして、これをいかに処置するかということに非常な苦慮をいたしたのでございますが、結局やむを得ず事業の打切り、繰延べ、支払い繰延べ等の手段を講じて一応の結末をつけたわけでございます。かくして一応形式的な収支は償う形をとつたのでございますが、実質的には、これが二十六年度以降の大きな財政負担となつて参りましたことは、御説明申し上げる必要がないと存じます。  かくのごとく地方財政に大きな赤字を生ぜしめる根本の理由は、今日の地方財政計画は、政府の一方的な判断によつて歳入歳出ともおきめになるわけでありますが、歳出の面におきましては、給与の関係、あるいはまたその他物件費等極端に切り詰められます反面、歳入の面におきましては、税収、雑収等大幅に見積られます関係から、そこに無理が生じまして、財源に不足を生ずる結果と相なるのであります。  次に、政府の財源措置が二十五年度においてきわめて不当であつたと思われますところの顕著な例を列挙申し上げますと、第一には、二十六年一月に実施いたしました給与改訂、これにつきましては、教員その他を通じまして一人当り一千円の財源措置であつたのでございますが、本県の実情は、教員におきまして二千三百九十二円、その他千三百八十八円であつたのでございます。これは本県ばかりではない。多数府県の実情証明いたしておるのでございます。さらに国庫補助率が法定されておるものが多いのでございますが、この基準単価が不当に切り下げられまする結果、地方は法定率以上の負担を余儀なくされるわけでございます。これは農林省関係の事務事業にきわめて多いのでございます。また法律あるいは政府の施策による義務的経費でありましても、財源のないものや不当なものが非常に多いのでございます。警察も府県からまつたく離れまして、国家警察、自治体警察となつておるのでありますが、これも予算措置不十分なために、各府県ともある程度の継ぎ足しをせざるを得ない。また大学問題も経営的経費は見られるのでありますが、いろいろな臨時的施設の経費は非常に貧弱でございます。各府県ともこれに相当の継ぎ足しをいたしておる状況でございます。  なお平衡交付金は御承知の通りに総額算定主義によりまして、歳入歳出ともにあげられる原則にはなつておるのでございますが、全体の幅が少いために相当漏れざるを得ない状況に相なつております。その一つは、公債の元利償還の一部災害復旧の元利償還以外は、基準算定に入つておりません。さらに国の直轄工事の分担金は、全国で申しますると百億ないし百五、六十億になるかと思います。さらに公共事業費の地方負担額は大体起債で見られる原則でございますが、起債のわくが狭い関係から、それに漏れましたところの額につきましては、算定の基準に入つておりません。かような関係で、標準税収の七割を基準財政収入に見られて、約三割の自己財源があるような形式にはなつておりますが、これがなくなりまして、各府県の単独事業はほとんどできないような方向に向いつつあるのが現実でございます。  かような関係平衡交付金の趣旨はまことにけつこうであり、まことにりつぱな理想であつたのでございますが、現実は決算の直において見ますれば、毎年々々各府県は赤字を翌年へ翌年へと繰越しておるという状況でございます。そこで府県の制度、特に税財政制度につきましては、このシヤウプ勧告をもう一度再検討をして、思い切つた改革をしなければ、府県の自治の確立の基礎はとうてい望み得ないというふうな考え方を、各府県知事ともいたしておる状況であります。  以上きわめて簡単に御説明を申し上げた次第であります。
  25. 田中彰治

    田中委員長 次は静岡県知事齋藤壽夫君から御発言を願います。
  26. 齋藤壽夫

    ○齋藤参考人 第一に、二十五年度の静岡県の地方財政平衡交付金決定に対します錯誤について御説明を申し上げたいと思います。  静岡県の昭和二十五年度の地方財政平衡交付金の額の算定の基礎となりました、基礎数の錯誤につきましては、基準財政需要額において五百四十五万四千円の過大の算定があり、基準財政収入額において一千百十万六千円の過小算定があつたのであります。平衡交付金法第十九条によりまして、昭和二十六年度の平衡交付金決定の際に、それぞれ需要額または収入額に増減を行いまして、合計千六百五十六万円の減額をいたしたのであります。  この錯誤はどうして生じたかという理由でありますが、昭和二十五年度の平衡交付金の算定につきましては、平衡交付金制度がこの年に初めて創設されたのでありまして、第一年度でもあり、事務担当に従事した職員の事務のふなれなため、きわめて複雑精緻な計算過程におきまして犯した計算上の錯誤であつたのであります。すなわち静岡県の財政基準需要額の五百四十五万円の錯誤は、補正計数の計算上の誤りであつたのでございます。なお基準財政収入額の千百十万六千円の錯誤につきましては、法人の事業税の算出方法でありまする昭和二十四年度分法人税の課税の基礎となつた所得額の統計数値の誤りと、遊興飲食税におきまして、法人飲食店の許可数において、台帳と異なつておる報告をいたした結果でありまして、その訂正が行われて事業税において七千六十六万九千円の過小算定、遊興飲食税におきまして六千五十万四千円の過大の算定がありました。あるいはまた入場税におきまする調定実績の確定に伴う九十四万一千円の過小算定がありました。合せて差引一千百十万六千円という過小算定をする結果となつたのであります。この錯誤は二十六年度の十一月地方財政委員会より、会計検査院実地検査の結果として千七百七十七万七千円の錯誤があつたのでありますが、具体的な計数をとりまとめて意見を申し出るようにという通牒があつたので、県におきまして慎重に再調査の結果、終局的にただいま申し上げました千六百五十六万円の減額が翌二十六年度において行われたのであります。これはまつたく計数技術的な誤りであつたことを申し上げておきます。  なおこれに関連いたしまして、平衡交付金のことにつきまして一言附加させていただきたいと存じます。大局的な見方におきまする平衡交付金あるいは地方財政につきまする実情は、茨城県知事から申し上げたのでありますが、私は少しく平衡交付金の内容にわたつてお聞き取りを願いたいと思うのであります。それは本制度の是非と税制全体の問題でありますが、これはしばらくあとにまわしまして、平衡交付金が現実の地方財政をまかなう上において、客観的なものではあるけれども、きわめて合理的ではないという点を申し上げたいと存じます。それは茨城県知事からも申し上げたのでありますが、平衡交付金の算定の総額というものが、国の財政予算措置に合せてきめられるようなきらいがある。基準財政需要額においても、そうした傾向があるというようにわれわれは感じているのであります。それは基準財政収入額においては過大に見積られる、一面また基準財政需要額は、最小限度の義務的な経費に充てる程度に算定せられているということであります。従いまして今後平衡交付金予算決定にあたりましては、平衡交付金法第三条にうたつてありまする通り、合理的に決定していただきたい、かように存ずるものであります。  これを内容について少しく申し上げますならば、特に本静岡県の財政状況等を申し上げながら、改善すべき点について申し上げまするならば、静岡県におきまする平衡交付金は、昭和二十五年度におきましては、ほぼ県税と同額である歳入全体の二六考を占めているのでありますが、二十六年度におきましては、府県税の伸びが比較的よかつたために、全体の一九%を占めているのであります。従いまして現在の経済事情をもつていたしますれば、おおむね県歳入の二割は平衡交付金によつてまかなつて行くという状況にあるのであります。府県全体をながめまして、県税の方が平衡交付金よりも多いという府県は十指を数える程度にとどまつているのであります。平衡交付金がほとんど府県税の数倍である、ないしは平衡交付金の方が県税総額よりもはるかに多いという府県が三十府県以上に上つておる。茨城県知事の申し上げました通り、まつたく地方財政は国に依存しているという形をとつている。静岡県のごとく府県税の方が交付金に対して優位の状況にある、こうした県におきましては基準財政需要額が内容的に充実して計算されておりませんと、税金財政需要額に充当されるという建前をとつている平衡交付金制度のもとにおきましては、県民、住民の希望する高度の質のよい行政というものはできないというように考えられるのであります。過去の平衡交付金制度の実績を見ましても、平衡交付金は、土木行政とかあるいは産業行政等につきましては、きわめて消極的な態度をとつている。言葉をかえて申し上げますれば、行政の質の面に対する考慮がほとんど払われておらぬ。従いまして税源のある県もやがて税源を失つて行くというような状況になるのではないか、かように考えるのであります。  基準財政需要額の算定の基礎となりまする二、三の例を申し上げますと、土木費の道路費等を取上げましても、基準財政需要額の交付の額を決算する基礎は、二十六年度におきましては、静岡県において六千二百二十万円あればいいという算定であります。二十七年度におきましても、六千五百万円程度、かように決定されているのでありますが、事実は静岡県におきましては道路に二億四千万円の経費を使つている。二十七年度におきましても二億九千万円を要しているのでありまして、交付金の需要額を一億八千万あるいは二億一千万円とはるかに多額に県は支出をいたしている。土木費全体にいたしましても県がこれに附加して事業をいたします部分が四億七千万円にも達している。かような状況にあるのでありまして、これを結論しますれば、平衡交付金に算定されました需要額は土木費におきましては、二十六年度においても四二%しか見積りされておらぬ。教育費にいたしましても、交付金の需要額の決定は七千二百万円、二十七年度においては七千七百万円に算定されいるのでありますが、県が一般財源から支出いたしております教育費につきましても、人件費を除いて二億三千万円これに附加して経費を計上している。かような状況であります。もつと極端な例を申し上げますれば、産業経済費等につきましては端的に私は交付金の盲点が現われているのじやないか。それは昭和二十六年度に静岡県に基準財政需要額として決定された額が二百万円、二十七年度に三百七十九万円、特に産業の商工行政に基準財政需要額が決定されているのでありますが、県におきましては二十六年度におきましても九千二百万円これに附加している。あるいは二十七年度におきましても九千九百万円これに附加している。かように交付金の財政需要は各県の実支出に対しまして、その税収の十分の七をはるかに上まわつているのであります。これは交付金法の精神から見ますれば、当然国が交付金として見るべきものであるにもかかわらず、交付金総額を一方的妊決定するために、やむを得ず過小算定をして行かなければならぬ、こういうふうな私は現象になつていると考えるのであります。交付金におきましては、投資的事業はその耐用年数等を考えて起債を予想しているのでありますが、その起債もまた一方的な国の財政需要によつて決定される。従つてきわめて制限されている府県におきましては、公共事業さえすれば他には県担当の仕事というものは一切しなくてもよいというような建前に、極端に申せばなつている現象であります。これは何と言いましても是正しなければならない大きな交付金制度の誤りであり、これに関連いたしまして、根本的には税制そのものの再検討をこの際必要とするのではないか、かように考えております。  地方財政の不足はただいま申し上げた通りでありまして、本年度はきわめて深刻である。静岡県におきましては、二十五年、二十六年は比較的経済界の好況に恵まれまして安定した財政をたどつて参つたのであります。私は全国の府県中においても静岡県は二十五年度、二十六年度は比較的安定した財政であつたと考えるのでありますが、二十七年度はまつたく危機に逢着してしまつた、かように考えております。交付金制度そのものは大きな利点を持つものでありますが、ぜひとも地方財源を付与するという税の建前をここに打ち立てていただきたい。しかしながら極端に地方の財源を付与するという行き方は、府県間の財源の不均衡を来すおそれもあるのでありまして、税政の改革と並行して地方財源付与の均衡化をはかるためにごの制度が補完的に必要ではないかというふうに考えております。  なお国庫補助金その他の制度もこれに関連する制度でありますが、私ども地方財政を管理いたしまする立場からいたしますれば、補助金制度というものは原則的には廃止していいのじやないか。しかし国家的な必要により、国家的な見地で奨励すべき事業に対しては、臨時的な国庫補助金という制度は残しても、全体としてはむしろ地方に財源を持たせるというやり方をやつて行かなければならぬ。道路につきましても、一時間通行量三千台を数える道路と、百台、二百台の道路を同様に論じられたり、また産業行政におきましても、私ども静岡県におきましては先ほど申し上げました通り、商工業関係者一人当り四十円という見当であります。これをもつて府県の商工行政に何の施策ができるか、かように考えておるのであります。  簡単でありまするが、錯誤平衡交付金制度に対しまする一応の私の見解を申し上げた次第でございます。
  27. 田中彰治

    田中委員長 自治庁長官として本多国務大臣が御出席でありますので、この際鈴木委員、吉田委員、古井委員質疑を許します。
  28. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 きよう私が本多大臣の御出席を願つた気持は、この間予算総会で私どもの仲間から、陳情政治をやめなければいかぬという問題が出ました。それから今日の実情からいうて、代議士は地方から出る陳情団の応接に悩まされて、ほんとうに国政審議をするいとまもないというほどの状況であります。このこと自体がすでに大きな問題だと思うのですけれども、こういうふうに地方からどんどん出て来る陳情団は、たいてい旅費宿賃、日当というようなものを地方の公の費用の中から持つて来る。これが今日の情勢からいうと、市町村、府県を通じてずいぶん巨額のものに上つておるだろうと思われるのであります。そういうことをやる根本原因は、今の静岡県、茨城県の知事さんのお話を聞きましても、地方に財源が乏しい。国家財政に依存する分量が非常に多いものですから、何とかしてそれにありつかなければならぬというのでそういう陳情運動もはげしくなつておると思われます。私がきようお伺いいたしたいと思いましたことは、現在における地方の市町村、府県の乏しい財源の中から陳情団の使う金が一体どのくらいあるか。ただ旅費、日当だけではない。聞くところによれば、政府から一千万円とれば、それをとるために、少くとも一割、はなはだしいのは三割、五割くらいは運動費で使つてもさしつかえないのじやないかというような考え方から、そのことに携わつておる。私は初めは、東京へ出て来た陳情団を代議士がごちそうしてめんどうだろうと思つておつたら、そうではなくして、陳情団の方から代議士をごちそうするというような陳情のやり方もあるのだそうです。そういうことに地方の乏しい金が濫費せられるということは、国家のために憂慮にたえぬことだと思うのであります。そこで地方自治庁においては、そういうことについてどのくらいの金が使われておるかということをお調べになつておるものがあればそれをお示し願いたい。これがまず第一の問題であります。
  29. 本多市郎

    ○本多国務大臣 ごもつともな御質問であると存じます。政府におきましてもその状況を憂慮いたしまして、できるだけ陳情をしなくてもいいような措置を講じたいというので、閣議決定をいたしたことがあるのを私も記憶しておるのでござまいす。この陳情が特に盛んであるという理由につきましては、実は自治庁関係で申しますと、この平衡交付金制度が二十五年から突施されましたが、その間この平衡交付金を算定いたしまする測定単位の算定方法も、非常な変遷を見たのでございますが、この面で陳情をいくらしても、測定単位の通り計算されるというように、測定単位の法制化も近いうちに実現することになつております。この測定単位あるいは基準財政収入額の算定方法等、これが法律として確立いたしますれば、その通り計算されるのでありますから、いかなる陳情も政治力も影響を及ぼさないというところへ行くのでございます。しかるにあいにく創設後規則によつてつておつたのでござまいすが、この翻はいろいろな実情を勘案して何回も変更が行われたというようなことから、特に陳情が多かつたのではないかと存じます。またそのほか、ほかの役所の面でも補助金の獲得――私の方としても起債の問題、あるいは人事院の地域給の問題等、いろいろ陳情によつて実情を訴えなければならぬという地方の悩みも多いわけでございます。こうしたことも、できるだけそうした手数をかけなくてもいいように、結局陳情しなくてもいいことにすることが対策であると存じますが、さらにまたその陳情のために旅費の点で御指摘のようなことがあることも憂えておりますので、自治庁といたしましても監察をいたしまして、そして適当な指導をいたしておるのでありますが、幾ばく使用いたしたかということにつきましては、ただいま調べたものがあると存じますので、それでお示しいたしたいと存じますけれども、実は実態は、予算の流用等も行われておるのではないかと思いますので、ほんとうの正味のものを調査しきわめるというもなかなか困難ではないかと存じております。結局は政府の行政が陳情に左右されない確固たる基盤に立つということ、また地方住民の自治精神の確立ということが根本ではないかと存じております。ただいま御質問の数字につきましては政府委員から説明申し上げたいと存じます。
  30. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 大臣の御答弁を補足して申し上げますが、御指摘のような陳情のために要する経費といたしましては、旅費とか交際費あるいは食糧費の中の一部分であろうと思います。ただ陳情のために特に要しまするさような経費を、特別に抜き出して計上していないわけでございますから、一般の府県なり市町村におきまして、予算の中に食糧費、交際費あるいは旅費として計上されておりますもののある部分が、そちらの方にまわつて行くということになると思います。従つてこれの計算は非常に困難でございまして、若干古い資料でございますが、二十三年、二十五年の決算等におきまして、特定の府県と市町村における例が一、二ございますので、それを御参考に申し上げます。これは但し陳情のために要しました経費だけではなく、旅費、食糧費、交際費を全部ひつくるめての経費でございます。従つてそのうちのどれくらいが陳情に使われたか、これはちよつと判定いたしがたいわけであります。A県におきます例でございますが、これは経費総額の四・三汚が旅費であります。それから食糧費が一%、交際費が〇・〇一一%、合せて五・三%、これは二十三年度決算のA県の例であります。同じくB県におきましての例が、旅費が四・六%、食糧費が〇・四%、交際が〇・一%、合せて五・一%。それから市でございますが、A市におきまして旅費が一・三%食糧費が〇・〇〇八%、交際費が〇・五%、計一・八%という数字が出ております。それからB市におきましての例といたしましては、旅費が一・八%、食糧費が。・八%、交際費が一・四月、合せて四%、町村につきましては、二十三年の決算の例はございませんので、二十五年度の予算につきましての数字を御参考に申し上げますと、これはA村で旅費が〇・六%、食糧費が一・七%、交際費が〇・三%、合せて二・六%、B村におきましては、旅費が一%、食糧費が〇・八%、交際費が一・二%、計三%、大体そういう数字があるのでございます。従つて全体の旅費、食糧費、交際費の経費といたしましては、府県の場合は四%ないし五%ぐらい、市の場合が二%ぐらい、町村の場合も大体二、三%というような概略の数字でございます。
  31. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 今の数字はABCということで、どの県、どの市ということが一向わかりませんけれども、大体それはまだ陳情がそんなにはやらなかつた時代の大体の数字である。私が聞きたいのは、この平衡交付金をめぐり、もしくは政府補助金をめぐつて、このごろのように陳情が盛んになつた現在の状態をちよつと伺いたいと思つたのですが、その資料はなかなか集められないですか。今大体において頭で私が聞いておつただけでは、どの府県、市町村においても、多きは五%を上つておらない、それから少きは三%、二%というような、それもほんとうのいわゆる陳情でない旅費、食糧費、そういうものが加わつておるとすれば、陳情に使つたものはほんの一小部分にすぎないと想定せられるわけですが、それはどうも現在の実情には沿つておらぬと私は思う。全国的な一斉調査ができないならば、たとえばある種の問題について、個々の県の、陳情団が猛烈な運動をしたというような県とか、それから政府補助金とにらみ合せて、どこの県が一番よけい陳情に来たかということはわかつているはずでありますから、そういう特別なところを抜き出してお調べくださるようなことはできぬものでしようか。
  32. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 特別の陳情を要する場合と申しまするのは、おそらく非常に政治問題になりますような問題が、中央の国会等でやかましい論議になつておりまして、そのような際に地方団体として死命をかけるというようなことで、いろいろ運動をされるということも例はあろうと思いますが、これらのことにつきましては、一体それがどういう名目でどれだけその経費に支出されておるかということにつきましては、関心は持つておりますけれども自治庁といたしまして、まだそれを明確に把握するまでの用意ができていないのであります。
  33. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 今大臣お話では、何か自治庁の中に監察官というか、何かそういうものがあつてお調べになつているというのですが、今お話なつた二十三年、二十五年という数字はそういう方面からの数字でございますか。
  34. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 自治庁には、大臣も申し上げましたように、調査課というものがございまして、これが地方財政の実態の調査をしたしまして、その得ました資料をできるだけ現実の政策の上に織り込んで効果的な行政をやる、こういう仕組みになつておるのでございますが、先ほど申し上げました数字はその調査課の資料によるものでございます。
  35. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 過去のことを調べることは、私ども地方民を啓蒙する場合に、こんなに使つて、これで政府に金をくれといつているが、もつと自分たちでこういうことをやつたらどうだと言いたい気持を私はするものだからなので、国民に対する自治の精神を啓蒙するといいましても、一切合財政府に頼る、そのために幾らでも自分たちの金をむだに使うという気持を改めて行く具体的政策がほしい、こう思つたのですけれども、今大臣のおつしやつたように、陳情してもその陳情というものが効果がないようにして行くのだ、そういう制度を確立せられることはけつこうなことですが、たとえば政府補助金というようなものを交付する場合に、法制的にそれを決定するということはなかなか困難じやないかと私は思うのです。そこでこれは、まあ民主主義の原則によつて地方分権というか、中央集権が改まつて地方分権という制度が立つたように、終戦直後において私ども感じておつた。ところが今日はむしろ戦前よりも中央集権の勢いが強い。よつて来るところは何かといえば、地方財政が中央の補助金、交付金に依存しなければならぬ分量が多いからだと思うのです。ただいまも県知事などのお話を聞いておりまして、どうしてもこれは地方に財源を与えて、実力を付与した上での地方自治でなければ、いかに地方自治権が拡大せられたようなことをうたつてつてもだめだと思うのですが、自治庁長官として地方に財源を与えて、中央に依存する度合いを少くするということについて、早急にこれを具体化するような、たとえば次の予算編成の上にそういうような態度を盛り込んで、それを具体化するというような、現在何か具体的な努力があるのですか、それを承りたい。
  36. 本多市郎

    ○本多国務大臣 御指摘の通り地方財政的に苦しいから陳情が行われるという事情は、その通りであろうと思います。しかしこれにはおのずから自己の力に応じた行政の規模ということを自主的に判断してやるという努力も必要でございますので、私は中央から地方に行政事務を委譲するということと、財源を委譲するという、この方法によつて、幾分陳情というものを必要なくすることができると考えております。さいぜん静岡県知事からも言われました通りに、補助金制度によるような事業を財源とともに地方に移してしまえば、その問題について中央まで陳情に来る必要がなくなるのでございまして、こうした行政事務を地方に移して行くことと、これに伴う財源を見合つて委譲して行くという、こうした方法で行くことによつて一つの解決の方法は得られると存ずるのでございます。それでは具体的にどういう仕事を地方に移し、どういう税を地方に委譲するかという問題になりますと、さらに研究を要する点があるのでございます。これも自治を担当しておられる静岡県知事の言われましたようには一律の税源を委譲しますと、富裕団体と畠な貧困な団体との懸隔がますく大きくなつて行くというような面もございますので、これらのことを解決する根本的な方針が必要でございます。この問題について政府といたしましても、どうしても改革をしなければならぬ、再検討の必要ありと認めまして、地方制度調査会というものを法律で設定していただきまして、その対策についてただいま審議を願つておるところでございます。そうしたところで妥当な方法を立案いたしまして解決する以外にはないのではないかと思つております。
  37. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 その地方制度調査会ですが、そういうものをつくつて調査研究しておられることも私は開いて知つておりますが、その調査研究を急速に進めて、来年度の予算を組むときに税制を改革して、地方に適当な財源を与えるというようなところまで進む熱意というか、努力をもつて地方制度の審議会を進めておられるのですか。困難な問題だから一応そこに委員会のようなものをつくつて、というような、今までとかくありがちのようなつもりで、まさか本多君がそれをやつておるとはぼくは思いませんけれども、その見通しですね。それが見通しができる川というなら、いましばらくのしんぼうだと思う点もあるわけなんですけれども、その見通しについてはどうお考えになつておりましようか。
  38. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方制度調査会は実は発足したばかりでございます。従つて二十八年度にこれらの問題を解決するような御答申は、二十八年度予算編成までに間に合うようには考えられないのでございますが、しかしこの次の通常国会前までには解決策の答申をいただくことを期待いたしておるのでございます。この地方制度調査会の構成はもちろん法律に基くのでありまして、国会、衆参両院からも多数委員が出ておられもするし、それぞれ学識経験者、言論界等からもこの地方制度改革の緊急重要性というものを認識した方が出ていてくださるのでございますから、必ず適当なる御答申がいただけると期待いたしております。
  39. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 先ほど伺つておつた中に、どうも陳情団がよけい出て来て、そういうことをしないようにということを閣議決定で通達したこともある、それが一向きき員がないということでありますが、これはちよつと私どもから聞くと、何か政府の威令が行われないというか、なつてないように思うのですけれども、そういうようなことをやつてもこれはちつとも改まらないという根本の理由はどこにあるのですか。たとえば知事を公選しておるから、公選知事というと――公選知事が二人もおるところでそう言つては悪いですけれども、知事の仕事のうちでは、私どもの見るところでは、大体年中選挙運動をやつておる。次の選挙に当選するために、山の中でも何でも、実際必要があろうとなかろうと、そういうところまで金をかけるような仕事をやらなければ、次の県知事の投票が危いというようなわけで、結局知事公選という制度があるがために、知事がその地方々々の有権者のごきげんを伺つておるために、十分な統制というか、しまりがつかぬというようなおそれもあるのではなかろうか。つまり閣議決定で通達しても、それは一向きき目がないというようなことは、根本問題としてそういうところに触れて行くのではないかと、私は想像するのですけれど、当局に当つておる大臣のお考えはいかがですか。
  40. 本多市郎

    ○本多国務大臣 実は閣議で決定いたしましても、それをこういうふうにやるようにという通達を府県知事、市町村長にやるというわけではないのでありまして、官庁の事務を陳情によらないで書面でもつて事情を聞いて処理できるようにして陳情をなくしろ、こういう趣旨であつたのでございます。御承知のように、政府といたしましては、平衡交付金制度に基く財政措置はいたしますけれども、これを一般歳入として受入れた府県市町村が、自主的に運営するものでありまして、それに対しまして監督というようなことはできないのでございます。従つてもし鈴木さんの言われますような、浪費になるような陳情があるといたしますと――これは陳情がことごとくその県、その市町村にとつては浪費と認めるわけには行かないことと存じますけれども、もしそういうものがあるといたしますと、これはさいぜんも申し上げました通り、自治精神の確立によつて防止して行くほかはないのでありまして、県知事、市町村長さんが十分これを自粛していただくほかに、政府として干渉はできない範囲になつておるのでございます。
  41. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 私は昔流に考えておつて、閣議でそう決定すればそれを地方に流して、県知事などに政府の方針に沿うように努力させることができると思つておつたのですが、それができないということです。そうすると知事公選という制度が、中央の政治の意向にかかわらず、不要不急と思われるようなところへ道をつくつたり橋をかけたりするような費用がどんどんいる。これは私は今の知事公選制度の根本に触れて考えなければ改まらぬ病気だというふうに判断いたしますが、長官としての忌憚ないお気持はどうなんでしよう。
  42. 本多市郎

    ○本多国務大臣 お話通り知事、市町村長が公選制度になりましてから、どうしても選挙の際の公約等もありまして、そこの行政規模は大きくなつて行くという傾向はあると存じます。しかしまたこの公選選挙につきましては政治の民主化という重大な目標があるわけでございますから、これらについてどういうふうに今後改善して行くかということにつきましては、非常に影響するところ大であり、また慎重を期さなければならないと存じますので、この問題も地方制度調査会に今回意見を求めているところでございます。
  43. 田中彰治

  44. 松野頼三

    松野(頼)委員 先ほど大臣おられませんでしたが、決算の問題で、地方財政決算監督会計検査院のようなものを地方自治制度にも置くのだという、たしかこれは本多国務大臣がこの前、平衡交付金制度を創立当時御発表になつたことと私は記憶しておりますが、その後何ら具体的な案が出て来ないので、私は会計検査院的なある程度の、自治ですから自治体を破壊しないということを前提においての財政に対する監督権というものを、自治庁がお持ちになる気持があるのか、今まで通りでいいのか、まずこれを先にお伺いしておきます。
  45. 本多市郎

    ○本多国務大臣 ちよつと私がそういうことを申し上げたといたしますと――その後の経過を次長の方から申し上げます。
  46. 松野頼三

    松野(頼)委員 それはいろ、ございましようが、実はこれは委員会でおつしやつたという意味ではございませんか、そういう懸をたびたび本多さんから伺つて平衡交付金というものは、だんだんこういう制度が起きて来る以上は、自治体が異常に強化されるとともに、これを監督すべき会計検査院では現在できないから、できるならば地方財政委員会内に、調査とともにある程度の監督をする制度が必要だ、こういう構想をたしかお持ちになつておつたように私はお聞きするわけです。従つてその制度は、今においてその御構想がおかわりになつたのかどうか、御本人だけの御意向でけつこうです。
  47. 本多市郎

    ○本多国務大臣 私は全然、別な地方財政状態を監査するというような機関を設けるというふうにお話したかどうか、今思い出せないのでございますけれども、ただこういうことは当時考えておりましたので、申し上げたかと存じます。それはもしこの平衡交付金法によつて財政措置を国家が講じたにかかわらず、地方である程度の規模の行政を行わなかつた場合には、平衡交付金の操作によりまして監督ができるというようなことを考えておりましたので、そういう意味においては申し上げたかと存じます。すなわち財政措置を政府において講じておるにかかわらず、標準規模から著しくかけ離れた少い施設しかしなかつたというような場合には、平衡交付金はこの次にはこれを減少するとか、あるいは差引してしまうとかいうようなことによつて監督ができるということを考えておりましたので、そう申し上げたかと存じます。
  48. 松野頼三

    松野(頼)委員 同じ話ですが、観点を別にしまして、ただいまの質疑の中に出ましたように、交際費は標準財政としてはどれくらいを各町村別におきめになつておるのか、この方からひとつお聞きしましよう。
  49. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 交際費をどれだけ組んでおるかということでございますが、これは基準財政需要額の算定の方式は、都道府県につきましては、人口百七十万の一つの標準団体といいますか、そういう団体を想定いたしまして、その団体で各種の経費についてどの程度の経費を必要とするかということを調べるわけであります。その際に、たとえば産業経済費でございますとか、あるいは社会福祉費、あるいは厚生労働費、さようなものにつきまして、それぞれ見るべきものを見ておるわけでございます。従いまして、今総体としてそれがどれくらいになつておるかということでございますが、これは後ほど資料として提出いたします。
  50. 本多市郎

    ○本多国務大臣 内容はただいま申し上げた通りでございますが、この平衡交付金を算定するための基準財政需要額は、これはいわゆる地方財政の均衡化のための計算する方法でありまして、これによつて算定された平衡交付金を、地方自治体におきましては一般歳入として受入れて、この算定の基準には何ら拘束されることなく、自主的に予算を編成するものでございますので、そこのところを御了承になつていただきたい。
  51. 松野頼三

    松野(頼)委員 今一つの一番いい例をとつたわけで、標準財政に、いわゆる陳情のための交際費が各村別にもちろんある程度含まれておつて、標準財政になるのだと思うのです。全然これはもうゼロなんだ、標準財政に入れないのだという標準財政需要をおきめになるならば、それでは陳情費はどこから出て来るかということになる。当然これだけのものは、幾らであるかは別として、あることは事実なんだ。ある以上は、私はおそらく標準という以上は、人口幾らの町村は幾らというものは当然出て来なければいかぬだろうと思う。従つてそれに対して今度は逆に言うならば、監督はどうされるのだ。ただいま聞きましても、A市とB市は違うし、県も違うし、町村も違うだろうが、その監督をどうされようというのか、標準財政は組んだ。それ以上使つたか使わぬかは知らぬ、それではどうも話にならないので、それでは組んだら組んだ、組んだ以上は使つた監督はどうされるか、ひとつこれをお聞きしたい。
  52. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の基準財政需要額のまず性格についてちよつと先に申し上げますが、これは先ほど大臣から申し上げましたように、あくまでも交付金の額の算定の一つの方式としてとつているたけでございまして、それがすなわち各地方団体における支出の基準、その通り支出しなければならないという性格のものでは全然ないわけでございます。その額がまた実際の経費と比較いたしますと、大体八割程度の額になつているわけでございます。いわば最低の基礎のものを基準財政需要額として測定単位に定めているわけでございます。それではなぜさようなことになるかと申しますれば、平衡交付金の千二百五十億円という今年度当初の交付金の中でも、八%は特別交付金でございます。従いまして結局普通交付金として残りますのは、千百五十億でありまして、この千百五十億というものを基準財政需要額の算定の基礎に使うわけであります。それからなお御承知のように、各法定の税目が地方税としてあるわけでございますが、その税率の七〇%の分を基準財政収入として見込むわけでございまして、従つて三〇%分はこの計画の中には乗つて来ないわけであります。そういう七〇%の基準財政収入と平衡交付金の総額の中でも、さように八%を除きましたものが基準になりまして、単位費用がはじき出されるものでございますから、先ほど静岡県の知事からもお話がございましたがこの基準財政需要額からはじき出しましたものが、実際の標準経費に比較いたしますと、約八割程度のものになるのであります。従つてそれ自体も圧縮されておる数字でございますので、それと直接の支出というものは関連がないわけでございます。そうしてなおこの平衡交付金制度といたしましては、この「交付金の交付に当つては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」ということを特に法律にうたつておるわけでございます。従いまして監督といいますが、監査をいたします場合には、さような意味合いでの監査はできないわけでございまして、ただ法律なり命令に基きまして、地方団体に対して一定の事務を処理することを強要いたしておりまする場合に、さような法令に基いて、処理をしていなかつた場合におきましては、これは監督権の発動ができるのであります。法令に違背して著しく多額の経費を支出しておる、あるいは確保すべき収入の徴収を怠つた場合におきましては、国は平衡交付金の還付を命ずる、あるいは減額をするというような措置ができるのであります。なおその監督方法といたしましては、地方自治庁の長官は、各地方団体につきまして、書類とかその他の報告を徴したり、あるいは実地について、財務について監査をいたしましたり、あるいは金銭の出納を検閲することができるということも、これは地方自治法にございます。たださような場合に、今平衡交付金の使途が、基準財政需要額の経費で定められておりますものに従つて支出されておるかどうかの監督はできない。それは交付金制度の建前から、いわゆるひもつきのものではないというところから、さように相なつて来るわけでございます。
  53. 松野頼三

    松野(頼)委員 もう一つだけ……。具体的にお話をしますと、全部の町村のいわゆる平衡交付金算定の一番基礎となる道路、面積、人口、家屋、村道、いろいろありましよう。そういうものを一万の全国の町村は全部把握された上で、町村の平衡交付金をおきめになつておると私は思いますが、一万の町村なら一万の町村の――一年くらい前まではまだできておらぬと思いますが、もうできておるころだと思うし、そうするといわゆる町村長が陳情に来られる御趣旨と、地方財政委員会がお持ちになつておる資料というものは、当然正確なものでなければいかぬ。しかるにただいま目の前に知事がおられますけれども、知事のおつしやるところの標準財政収入と、府県の税収入との差ができるということは、はなはだ私はいまだに解せないところだ、これが第一点。  第二点は、監督権の問題ですが、平衡交付金のひもつきでないということは、当然のことなんだ。一つの例で申しますならば、ここに一つの病院をつくる。病院をつくるが、まあ地元負担が半額、国の負担が半額、こう来た場合に、県はそこの町村に負担をかけるべきじやない性質のものにも、地元負担という以上は、府県で半分出すからお前の方で幾ら出せ、こういうふうに国の負担が県に行き、県の負担が町村に及ぶことがあるわけであります。こういうことは監督できるのかできないのか。あるいはそういうものが今どれほど摘発されておるか。こういう問題は本日ここにおられる委員諸君も御承知でしようが、しかし法律に触れないから、県の負担をお前やれ、県の財政上どうもまわらぬから、そこに県立学校をつくることは不可能だ、それはお前の町村で負担しろ、こういうことが目に余るほどあるが、あなた方は監督されておるのか、あるいは政府として来年度の予算にお組みになる御用意があるか、そういうことを具体的に二点だけお聞きしたい。
  54. 本多市郎

    ○本多国務大臣 さいぜん私が監督権について申し上げたことも、地方団体の義務としてやるべきものを、標準よりはなはだしくその義務を果していないというような場合でありまして、ただいまの問題にいたしましても、寄付等による方法で地元負担をするというような場合でありましたならば、これはまつたく自主的に監督地方がやらなければならぬものだと思います。しかし国庫負担法の建前に立つて、国庫補助金を半分出して、あと半分は地元負担でやるべきものである、こうなつておる場合に、地元の負担すべき半分を出さなかつたというような場合でありましたならば、それぞれの監督官庁においてこれは監督もできるし、それをまた出さしめるということもできるわけであります。そうした義務的な地元負担につきましては、地方財政平衡交代金においても財政的措置を政府として講じているわけであります。
  55. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 さきにお尋ねの数字の資料が手元にございましたので申し上げます。交際費が七億三千四百万円であります。それから食糧費が八億三千八千四十七万三千円、これが今度二十七年度の補正予算で追加されたい前の、基礎になつております基準財政需要額における交際費及び食糧費であります。  それから実際の調査あるいは監査というものを自治庁がどの程度行つておるか、町村のものはそれで配付できたのではないかというお尋ねでありますが、これにつきましては、調査課ができましてから鋭意地方団体の調査を実施いたしておりますが、大体府県につきましては二年に一度くらいの割合で実施の調査ができるようなやり方になつております。市につきましても極力やつておりまして、ここではつきり数字をとらえておりませんが、数十市の調査は終つております。さような際におきまして、たとえば法令違反をしていろいろの支出をいたしましたり、あるいは地方財政法の命ずるところに従つて国が負担すべきものを地方が負担をしているといつたようなものにつきましては、それぞれその際に指摘をいたしまして、そして各知事なり市長に対して技術的な勧告と申しますか、さような監査上の結果についての注意を喚起いたしております。町村につきましては、何分一万有余でございますので、二十五年度におきましては、地方財政委員会が直接町村の各種の資料をとつて平衡交付金の交付の実際の専務にも当つておつたのでありますが、町村全部と申しますと、この部屋の半分近くの資料が集まつて来るわけでございまして、とうていさばき切れないような状況にありますので、府県の知事にさようなことは事実上どうしてもやつてもらわなければなりません。件律にもさようなことで知事がその間の技術的覆助をいろいろいたし、資料をとつて精査をする、こういうことになつておりますので、府県知事並びにそのもとの地方課が主体になつておりますが、これにまかしておるような状況でございます。但し決算状況等につきましては、書面等によりまして、これもやはり府県を介してでありますが、町村の決算状況もだんだんととれるようになつておる次第であります。
  56. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 これ一つで終ります。今までのお話を聞いておると、三百年の民主主義の訓練のある国から、最近まで民主主義の訓練のなかつた国、制度だけ持つて来たというその食い違いがはつきり出ておると思う。何とか実情に沿うように改める必要がある。金は出すけれども、その金はひもがついていないから監督することができぬ、おかしな話だけれども、現にそうだということがはつきりわかりました。  そこで私が最後に締めくくりとして一つつておきたいことは、地方制度調査会というものができておる。それにいかなる財源をどういうふうに与えたら、富んでおる県と貧乏の県との均衡がとれるかということも、諮問事項として御諮問になつておるかということ。それからまた今日は大体電信電話が発達し、世界が小さくなつた。いわんや日本が小さくなつたときに、道制度と申しますか、もつと府県の範囲を広げて行けば、地方の税制を考える場合に、一律に行かないというような心配がなくなるのではないか。それから現実に地方制度改革の根本問題としても、今の小さい日本に四十何県というような小さい区分を置く必要がどこにあるか、府県を解消して道の制度を亡てるというようなことを考えて、そのことの可否について諮問されておるかどうか。それから国務大臣としての本多さんがそういう点についてどういうふうにお考えになつておるかということをお伺いして、私の質問はこれで終ります。
  57. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方制度調査会に対しまする諮問事項は、地方制度全般について再検討の必要があると思うので御研究答申を願いたいということになつております。従つてただいまお話のようなことは、すべて含んでおるのでありまして、先般来地方制度調査会におきましても、府県の性格、またその町村の規模等につきましても、活発な研究論議が進められておるところでございます。私自身がいかなる考えを持つておるかという御質問でございますが、これは地方制度調査会の答申をまつて政府の方針をきめようということになつておりますので、誤解を避けるために、申し上げることは御遠慮いたしたいと思います。
  58. 田中彰治

    田中委員長 吉田委員
  59. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あとにまだ質問者も控えておりますし、大臣もお急ぎだから一点だけ私は大臣にお尋ねしておきたいと思う。私ども年来地方の自治の振興につきましては、ずいぶん心をつかつて来た一人でありますが、議論の結論は、やはり最近占領下のいろいろな政策によつて、台頭して来ました中央集権的た傾向を、根本から再検討して是正するということ以外に道がないだろうと思います。やはり自治精神の涵養だとか高揚だとか言つてみましたところが、財政の裏づけのないものは、これは単にお題目に終ります。そこで今この委員会が審査の対象にいたしております平衡交付金の問題に関連いたしてでありますが、地方制度調査会によつて今申したような面もいろいろと検討になることは承知いたしておりますが、この平衡交付金制度そのものにつきまして、これは別の方法、手段等によつてでも急速に再検討する必要があるのではないであろうか。シヤウプ勧告によりまして、こういつた制度ができたのでありますけれども、これとても相当押しつけた形式が多いのでありまして、手続きにしましても、結果にしましても、監査の制度にしましても、金の行方にいたしましても、またこれを獲得する猛烈な競争の状態を見ましても、さつき鈴木君のお話にもありましたように、これは中央集権的な財政制度の典型的なものと極言し得るのではないだろうか。この面について根本的な是正、再検討の腹がきまつて来ませんと、ほかの制度をどんなにかえましても、うまく行くまい。財源を地方へ委譲するにしましても、また還付するにしましても、事務、行政その他の事業にいたしましても、財政と行政と裏裏一体の関係において地方自治をほんとうに確立させるという方向へ向けて行くために、どうしてもこの平衡交付金制度をこの際取上げなければなるまいと思います。本田さんは国務大臣として、また自治庁の長官であります八ら、いわば最も味方のお立場でございますので、日本の財政制度の根本をたしておるこの制度に対して、急速に亜検討する方向へ進める必要があるのではないかと思いますので、ひとつ忌欄のない御所見を伺つておきたいと思ます。
  60. 本多市郎

    ○本多国務大臣 まことにごもつともなお考えであると思うのでございます。今日のこの制度は、シヤウプ使節団によつて勧告をされて制定いたしたのでございますが、その当時も実は地方財政の確立、さらに自治の伸張を最大目標として制定された制度でございます。しかし、今日におきましては、これが一面中央集権的な制度と見ることができるようになつておるのでございます。それは御指摘の通り、結局は地方財政難の結果ではないかと思います。さいぜんも申し上げておりました平衡交付金算定の基準は、これは財政調整のためにやるのであつて、この基準にとらわれることなく、自主的に運営してもらいたいという制度でありまして、財政調整ができた上は、財政状態をよくするも悪くするも、まつたく自主的な運営による責任であるということで、初めて地方自治制が確立できると考えられたのでございますが、非常な財政難でありますために――これは国一体としての財政難から来ることでございますが、結局この基準財政需要額の標準額を標準にして画一的な行政が行われるということになつて行くことは、一つの大きな弊害であると思います。これはしかし建前はそうなつておらないのでございますから、この建前を十分認識して、自主的に運営してもらえばいいのでありますけれども、結局その基準にでもよらなければ予算の編成に困難を感ずるというところから、そういうふうになつているものと思います。その一面の理由はあると存じますけれども、しかし、いかなる制度を立てましても、地方において自治精神の高揚と申しましようか、自主的な責任で運営するという心組みも立て直つて来なければ、ほんとうの財政の自主も、また地方行政全般の自治も発達しないと考えております。どういうふうに考えておるかということにつきましては、平衡交付金制度にもまだ相当の長所もございますし、これをどういうふうに持つて行くか、実はこれが地方制度調査会の御調査願う最大眼目ではないかと考えております。従つて政府といたしましては影響するところ非常に大きい問題でありますので十分御意見をお伺いした上で方針をきめたい、今日私として方向をお話することは早まることになりますから、差控えたいと考えております。
  61. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 地方制度調査会方面におきまして、平衡交付金制度が取上げられることになつておるということでありますが、これはたいへんいい着眼であると思います。そこで、その場合に、私は一つの注文があるのであります。それは運用の問題に帰すると思いますけれども、ただいまも各方面の代表的な人、エキスパートの人が委員になつておりますので、相当目的を達するかと思いますが、これはやはり現地の責任を負つておる知事の人々、あるいは市町村長の人々の意見もできるだけ採用するという方向へ持つて行きませんと、今は日本全体の傾向が中央集権になつておりますので、やはり龍頭蛇尾で、掛声ばかり大きくて目的を達しないものに終りはしないかと安ぜられます。長官はこの面について相当将来の責任もあるのでありますから、何らかの形でやはりその方面の意見が積極的に織り込まれて行くことに重点を置くことが、最も必要であろうと考えます。今、地方の数十の府県にいたしましても、またその下の末端の自治体にいたしましても、その成行きにつきましては首を長くして待つていることだろうと思いますので、運営の完璧を期するという意味におきまして、その点について御意見を伺いまして私の質問を終ります
  62. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方制度調査会の構成につきましては、府県知事、市町村長さらにその議会側の代表者に十二名ほど参加いただいております。お話通り、この方面の意向は、実地にやつておられる方々の意向でありますから、できる限りそうした方面の意向も委員会に反映して参りますように運営いたしたいと存じます。
  63. 田中彰治

    田中委員長 古井委員
  64. 古井喜實

    ○古井委員 時間がないので、簡単に本多国務大臣にお伺いいたしたいと思います。先ごろの予算委員会でも申し上げましたし、またお伺いもしたことでありますが、昭和二十五年度における地方団体の赤字状況、これは実にひどい状況であると思つております。たしか十四府県が実質上の赤字団体であつたと思つております。二十六年度における決算見込みでも、おそらく同様な結果が出ておるはずだと思つております。一体なぜこういう結果が起つて来るのであろうか。今の状況は、おそらく今までの地方財政の歴史において、かつてない状況だと思うのであります。なぜこういうことになるか、これの原因は結局こまかくいえばいろいろあるけれども、必要な財源を与えないというところに根本の原因があると私は信じておるのであります。それではなぜ財源を与えないかといえば、一つは中央政府地方自治に対する無理解ということだと思うのです。意識しておられるかどうか知らないけれども、まことに理解がないということが根本だと思う。もう一つとりあえずの問題としては、平衡交付金制度に欠陥がある、ここがからみついておると思つておるのであります。欠陥というのは、財政調整の役割を十分してないという点もあるけれども、それよりも平衡交付金の総額がどうしてきまるかという、その総額の問題、この点において、いかようにでも総額がきめられてしまう、そこに危険なゆとりがついておる。国家財政の都合によつていかようにでもきめられてしまう、これが一番大きな欠陥だと思つておるのであります。その節本多国務大臣は、一本この交付金制度をいい制度だとお考えになるかと尋ねましたところが、理論的にいい制度だというようにおつしやつたように思つています。私は当時論じましたところがまだ残つておりますが、きようは時間がありませんから省いておきたいと思いますけれども、理論的に議論はりつぱかもしれぬが、実際ははなはだしく悪い、こういうことをよくお考えつておきたいと思います。  そこで今年度の問題でありますけれども、最近の補正予算地方団体に平衡交付金二百億の増額、起債のわく百二十億増額ということになつたのでありますが、あの財政措置で今年度地方団体の財政は乗り切れるとお考えになつておるかどうか、今年度赤字を出さないとお考えになつておるかどうか、それともあぶなつかしいからもう一ぺん第二次補正をやろうというお考えがあるかどうか、これはいずれ結果が出ることでもありますから、きようひとつ聞いておきたいと思います。
  65. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方財政が困難を来します理由には、確かにお指摘の通り政府平衡交付金の出し方が潤沢でないという理由も一つでございます。しかし地方財政はまつたく自主的に運営されるものでございますから、地方においてそれぞれ行政の規模を広げて行きますと、必ず足りなくなつて来るわけでありますので、やはりその面からの理由もあると存じます。本年はあの補正予算の措置で赤字を出さないかどうかというお話でございましたが、この補正予算政府責任に属する地方財政計画の補填でありまして、さいぜんも申しましたように、赤字の多寡は自主運営による面も相当ございますから、その赤字全部がすべて政府の措置が妥当を欠いたために生ずるものとは考えないのでございます。今回のこの補正予算に基きまして、国としての財政措置としてはこれで均衡をとつて行くことができると考えております。しかし御心配になつておりまする地方の事実上の赤字につきましては、これは自主的な運営の面から生じたという理由もございますけれども、何としても困難を感ずるのでございますから、短期融資その他公募公債等のはからいによつて、ぜひ地方にも努力して切り抜けていただきたいと考えております。
  66. 古井喜實

    ○古井委員 私はきようは触れないつもりであつたが、そちらでおつしやるから触れなければならぬことになつたのですけれども、いわば地方が事業を縮小したらいいじやないかという意味お話でありました。つまり政府としては必要な措置を講じた、あとは足らぬなら地方で節約しろ、あるいは事業をやめろというようなお考えのように伺つたのであります。それ以外に伺いようがなかつたのでありますが、一体地方の事業がこれ以上削減できる余地があるとお考えになつておるかどうか。あの小学校の校舎一つ見ても、廊下教室、玄関教室、代用校舎、二部教授、三部教授までしておる。また他の施設を見ても、最小限度の仕事でもやれないでおるところがたくさんある。これをまだ縮小する余地があるとお考えになつておるかどうか。要するに財源は必要なだけ与えておる、残つておる問題は地方団体の事業を縮小したらいいのだ、こういうお考えであるかどうか。これはお触れになつたから一点伺つておかなければなりません。  いま一点は、原因はいずれにせよ、足らなくなれば財源の措置を講ずる用意はある、ただしその方法は短期融資か公募公債だとのことであるが、一体一般の経費が足らぬという場合でも、短期融資とか公債でもつて地方団体はやつて行けるというお考えかどうか。国家財政は健全財政ということを旗じるしのようにおつしやつておるが、地方団体の一般の経費について足らぬ場合が起つたら、短期融資とか一時つなぎの方法でもつてつて行く、こういうふうな意味でおつしやつておるのかどうか、この二点をもう一度お伺いしておきたい。
  67. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これはお話にもありました通り、たとえば町村において役場をりつぱなものに建て直そうとか、あるいは学校をりつぱもなのにしようとすれば、そこに実際の赤字が出るわけであります。その実際上の経営の醸から出た赤字を、政府が一々責任を持つてやるということになると、非常に不公平なものにもなり、またとうてい中央財政の負担し得るところではないと思います。やりほうだいなことを全部中央で責任を負うということは、とてもやつて行けるものでないのでありまして、政府としてはやはりこの地方財政平衡交付金制度に基く責任ある措置を忠実にやつて行く。それでも実際に赤字が出てどうにもならぬという場合には、短期融資で切り抜けてもらう、これはどうしてもやむを得ないと思います。この短期融資はもちろん地方の負担でありまして、利息も元金も地方で出してもらうのでございますが、一時を切り抜けるための融資としてやりますことは、平衡交付金関係ないことでございますから、どうしてもそうしたことで切り抜けていただくほかはない。それではこの平衡交付金が少いではないかというお話につきましては、私も潤沢であるとは考えません。しかしこれは中央と地方財政の困難性をわかち合うという建前で財政計画を立てまして、そして国会の御承認も得てきめることになつてございまして、もう少しく潤沢にするということにつきましては、国全体がもう少しく裕福にならなければならぬのじやないかと考えております。しかし今日、御指摘の通りに、中央の財政の健全化が優先してしまうという傾向があるのでありますから、地方財政の確保のために、平衡交付金が不利益を受けないという点につきましては、十分努力したいと考えております。
  68. 古井喜實

    ○古井委員 あまりくどくど伺いませんが、昭和二十五年度の決算において地方団体の赤字が約直五十億出ておると思つております。その百五十億の赤字の前に、一般会計において三百二十億の起債をしておるはずであります。一般会計の起債をしたあげく、なお百五十億の赤字を出した。二十六年度においても似たような結果が出ると私は思います。これは結局において地方団体がよけいなことをしたからである。財源措置は十分国としては尽したのである。あと地方団体自身の責任である。こういう御言明のようであります。そうでなかつたら御返答を伺いますけれども、そういうお考えのようでありますから私はそう了承します。かつそういうお考えであるならば、これを全国の自治体に本多国務大臣はかかる考えであるということを明らかにしたいと思います。この点私はお考えがそうであるとするならば、いかにも間違つていると思う。あまりに出ておる結果が大きいと思うのであります。もしお考えが伺えれば伺つておきますけれども、さもなければ、それ以上この問題は伺いません。  なおまた、本年度足らなければ赤字公債を出せ、赤字公債で地方団体はつなげ、赤字公債を出すことを認めるという御方針のようでございます。本年度足らなければ赤字公債で行け、これは国庫財政の健全財政主義というものと矛盾しないようにお考えのようであります。この苦しい状況を公平にわかつんだ――何が公平にわかつておるか。国庫財政では少しも赤字公債を出しはしないが、地方団体だけ赤字公債を出せということを認めておつて、これでは何も平等に財政のつらさをわかつておる形じやないと思います。このことはただいまの御答弁ではそういうふうにしか了解できない。しかし私はそれ以上しいて伺う気持はありません。お考えが違うならば伺つておきます。
  69. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方団体の財政難について、かつてに自分で事業を拡張したのであるから、それはまつたく自業自得であるというような、そんな冷淡な気持は持つておらないのでございますけれども、国と地方との責任分野というものははつきりしておかなければならないと考えております。従つて地方におかれまして、行政規模あるいは事業を拡張される場合には、将来の財政的な見通しもよく立てられまして、堅実な財政運営をしていただきたいと存じます。  さらに地方の赤字について、赤字公債を発行するかという御質問でございましたが、ただいまのところ短期融資は考えておりますけれども、赤字補填のための赤字起債ということは、まだきまつておらないのでございます。
  70. 古井喜實

    ○古井委員 他の問題に移りたいのでありますが、赤字公債じやないとおつしやいますけれども、赤字公債よりももつとまずい方法なんで、短期融資で足らぬ金をつないで行こうというのでありますから、きちつとした措置をつけないで、一時の短期融資で借金して行け、こういう方法であるということであります。この辺はいかにも私は得心が行きませんけれども、この問題についてはその程度にいたしておきます。  いま一つは、地方制度調査会の問題でありますが、先ほど来の質問応答で、いわば政府は白紙で臨む、こういう考え方のようであります。そこで答申を待つて処置する。白紙で臨まれる以上は、答申が出たら、そのまま御採用になるだろうかと思いますけれども、そうでないならば、あらかじめわくをきめておくとか、方針を示しておく必要がある。しかしそれがないということであるならば、答申が出たらその通り御採用になるものと考えられますけれども、そういうお考えでありましようか。ことに先ほど来大臣の話で知事公選制度も含めて調査させる、道州制問題も含めて調査させる――こういう問題を乗り切り得る政治力があるという自信を持つて一体お臨みになつておるかどうか。圧倒的な絶対多数を用い、かつまた党のはらをきめてかかつた場合ならばいざ知らず、私が心配していることは、問題をたな上げをしてしまう常套手段のごとき心配がないかということを、この調査会について憂えておるのであります。それで非常に急ぐ問題がたくさんある。来年の通常国会までには結論を得たいというお話でありますけれども、そろそろあやしくなつて来た。これはやはりたな上げの逃げ策であつたかなという心配を実はますます持つのであります。それはとにかくとしまして、一体白紙で臨んだ以上は、どんな答申であろうが御採用になるだろうと思うのでありますけれども、答申があつても採用しない場合も起るかどうか、そのままのむ気かどうか、これも後日の問題ですから念のために伺つておきます。
  71. 本多市郎

    ○本多国務大臣 政府の方針は、答申を待つてきめることにいたしております。従つてそのままのむようなこともあるかもしれませんが、その答申を待つて政府の方針をきめる。さらに実現する政治力があるかどうか、実現性のない場合はどうかというようなお話もございましたが、すべて答申を待つて政府の方針をきめるつもりであります。
  72. 古井喜實

    ○古井委員 これでおしまいにしておきますが一つだけ。そうするとそれを採用するかどうか、答申が出てみた上で考えよう、要するにこういうことになるのでございますか。
  73. 本多市郎

    ○本多国務大臣 その通りであります。
  74. 田中彰治

  75. 石野久男

    石野委員 本田国務大臣にお尋ねいたします。地方財政の問題については、本日の公述人の方々も言つているように、実際どこでもみな赤字が出て来ている。その赤字の原因は、政府地方でいろいろと新しい政策を施行したり、あるいは法令を実行したことについての責任を持つてくれないで、ほうりつぱなしにされるので、地方はそれのしわよせを全部背負つているんだ、こういうように言われている。従来もそうだし、今日の公述もその通りだと思います。それに対してその処置をする政府の対策として一番大きな問題は、平衡交付金の問題になつて来るのであります。平衡交付金の基準財政需要の額をきめるにあたつての算定の仕方の中に、どうも政府は見落しが多いじやないか  多いということをはつきり地方の各長官が言つております。その点についてまず第一番に大臣意見を聞いてみたい。平衡交付金の問題については、すでに同僚議員からいろいろと意見が出されておりまして、私としましては、平衡交付金そのものについては、政府考え方とは非常に違つた考えを持つておりますので、特に本多国務相の先ほどの答弁のときにもございましたけれども地方財政の問題もめんどうを見てやらなければいかぬけれども、中央財政の健全化がどうしても先行するので、地方財政までまわらないのだ、こういうことを言つておりますが、その地方財政の不健全化の原因が那辺にあるかということを十分究明しなければ、この問題の本質を検討することはできないのであります。われわれはそれを究明して行きますと、問題がなかなか厖大になつて来る。私はその原因を結局吉田内閣の持つている講和条約に伴うところの再軍備計画への方向がそうして来るんだというふうに考えておりますけれども、これはしばらくおきます。当面ここで問題になつております平衡交付金基準算定に対しては、当局の方ではそれは算定の方式としてとつているだけであつて、決してそれを押しつけるものじやないと言つております。しかしながら地方の諸君から言わせると、そういう算定の基礎になつておるものの中に、地方が要望するものがほとんど含まれていない。特に顕著に計算の中に入れてもらわなければならぬものまでも含んでいないから、こういう結果が出て来ているんだ、こういう県も出て来ているのですが、これに対して自治庁考え方はどうであるかお聞かせ願いたい。
  76. 本多市郎

    ○本多国務大臣 基準財政需要額の算定につきましては、おおむね網羅していると存じますが、どういうものか――あるいは標準を出すのでございますから、漏れているようになつているのか、ちよつと政府委員から補足してもらうことにいたします。
  77. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 基準財政需要額の算定の方法は先ほど松野委員のお尋ねの際に申し上げました通りでございまして、平衡交付金のうちで普通平衡交付金にまわりますものは、すなわち平衡交付金の総額の中の九二%分と、それから税収の中の七〇%分、この三つの一般財源をもつてまかないまする最低の需要を見ておるわけであります。しかしながら最低の需要と申しましても、たとえば教員の俸給でありますとかいうような、教育費等につきましては、最も弾力性のないものでございますから、こういうものにつきましては、ほとんど実際支出額と同額、すなわち九十何パーセントというようなものをこれに見込んでおりますが、先ほど静岡県知事から御指摘のありましたような産業経済費というようなものにつきましては、結局その反面の影響を受けまして、標準の支出から申しますると、その五〇%、六〇考というようなものも出て来るわけであります。そういう見方をして計算をいたしておりますが、なおその個々の経費の基準の費用を出しまする場合には、それに伴つて生じまする補助金あるいは使用料、手数料といつたような収入の分を差引きますから、その直でもやはり基準財政需要の単価に出て参りますものは減つて来るわけであります。そういうようなことで計算をしておりますので、実際地方団体において支出いたします経費と、基準財政需要額算定の単位費用との間には、相当の開きが出ておるだろうと思います。しかしながら先ほど申し上げましたような教育費のようなものはほとんど実際の支出顧に近いものの爵位費用の計算に相なつておるという実情であります。
  78. 石野久男

    石野委員 基準財政需要額を算定するときの方式は、そのまま地方財政を制約するものでないという意図はよくわかつておるのです。ただしその間には非常に大きな開きが出て来ていることは政府当局が認めておるところだと存じます。そうしますると、当然そこで出て来る差額というものは、それだけ地方の大きな県で背負い込まなければならない額になつて来ることも、これは認めなければならないのではないか。その点が一番大きな問題だろうと思う。そこで二十五年度の決算で出て来ているだけでも、すでに百五十億の地方財政の赤字が出、それに起債を含めて大体において五、六百億の金が全体としてやはり不足しておるということは、はつきりわかつておるわけです。こういうようなものに対する方策は、当然政府考えられなければならないのですが、そこで当然出て来るものは平衡交付金そのものの組み方の問題と、それから一般会計の中におけるところの平衡交付金の占める率の問題が、当然出て来なくちやならないと思う。地方自治庁自体としては、たとえば本年度で見ますと、今の補正予算政府原案が通過するとすれば、九千三百二十五億の二十七年度予算になるわけです。その中で占める千四百億の平衡交付金そのものが、はたしてそれで地方におけるところの財政を背負つて行くのに十分であるかどうかという問題が出て来るわけであります。大臣はそれに対してどういう見解を持つておられるか。それをまず先に聞かしていただきたい。
  79. 本多市郎

    ○本多国務大臣 結局は現在政府が措置している平衡交付金で十分であるかどうかという御質問であろうと思うのでございます。これは今日地方財政地方行政とともに躍進を志しているときでございますので、どうしても膨脹する傾向になるのはやむを得ないのでございまして、この面から行きますと、潤沢であるとは言えないと思うのでございますが、しかしこれで必要不可欠な程度の予算的措置はできておると考えておるのでございます。この潤沢に参らない原因につきましては、結局国家財政と等しい困難性があるからだと考えております
  80. 石野久男

    石野委員 大体打つだけの手は打つておるというふうな答弁ですが、しかし実際上は、地方としては、たとえば茨城県の場合など、きようの公述を聞きますと、決算の段階になるとどうしても赤字が出て来る。赤字は赤字でほつておけないから、しかたがないからそのしわ寄せを事業の打ち切りにするとか繰延ばしにするとかいうようなことになつて来るという話であります。そういう問題が出て来たときに、政府はそれをどういうふうにめんどうを見てやるかということについて、大臣の忌憚のない意見を聞かしていただきたい。
  81. 本多市郎

    ○本多国務大臣 事情やむを得ないというような場合には、短期融資等で切抜け策を講じていただく。こういうふうにして行くほかはなかろうと思つております。これはやはり自主的な運営の面から生じたものであります限り、原則として自主的に打開策を講じていただくということで、初めて国の責任と自治体の責任が明瞭になることでございますから、その限界を明らかにして措置して行きたいと考えております。さいぜんからお話のありました、中央において地方にいろいろな責任を課するので、そのために地方の負担がふえるのであるというお話もありましたが、これはまつたく今後気をつけなければならないことでございまして、今回の補正予算にも計上しております通りに、一度平衡交付金をきめたあと、国が地方に負担をかけるというような問題は、一つくこれを厳密に算定いたしまして、財政措置を講じて、平衡交付金を補填して行かなければならないと思います。今後はさらにこうしたことには力を入れて参りたいと考えております。
  82. 石野久男

    石野委員 自治体が自己の自主的な運営においてなしたものについて、責任を持つて行かなければならないというような発言であると、結局これは赤字が出てもおれの責任じやない。本多大臣が言われる通り、私どもの方はやるだけやつたんだ、だから出て来るものはみな地方自治体の責任だというように、やはり聞えるわけです。われわれの見解はそうでない。また地方自治体の諸君の言うのもそうでなくして、むしろ自治体としても相当詰めているが、上からのしわ寄せが下に来ておるのだという見解があるわけです。これは一地方だけでなく、全国的に出ておる現象だとわれわれは考えるわけです。そういう問題に対する処置が当然なされませんと、この地方自治体におけるところの赤字を解消するということはできない。われわれとしてはそういう問題についての今の大臣の答えでは、ちよつと納得しない。前の質問者も言つておりますように、それではやはり大臣は、地方のことはおれは知らぬ、やるだけやつたのだ、お前らかつてにやつたことはお前らかつてにしろ、こういうふうに聞えるのだが、そういう見解であるのかどうか、一ぺんひとつはつきりと伺いたい。われわれの見解と全然見当が違うのです。
  83. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これはさいぜん古井委員にお答えした通りのことになるのでございますが、やはり地方財政平衡交付金制度の建前は堅持して行きたいと考えております。それでは地方団体がどんなに赤字を出して、どういうふうになつても、国はかまわぬのかということになると、これは今後この制度を超越いたしまして、いかなる自治体の困窮にいたしましても、大きな国家的な責任はあると考えております。平衡交付金制度の建前といたしましては、ただいま申し上げましたような限界は明白にして行きたいと考えております。
  84. 石野久男

    石野委員 同じようなことになりますが、それではそのことについてもう少し入つたところで、一つだけつつ込んで聞いておきたいのは、たとえば国の工事をいたします場合に、いろいろと予算をとります。それがその後いろいろな形で、国だけじやないですが、地方もそれに同時的にやるような問題で、物価が上つて来る、あるいは政府の施策が非常にかわつて来る。ところが一応予算はきまつておる、その予算とかあるいは物価高、あるいは行政措置のいろいろな相違から来るところの負担が、当然にそれに相反する形として、地方財政を厖大なものにして行く場合、その責任はどちらがとるのかということについての見解を、ひとつはつきりさせておいていただきたい。
  85. 本多市郎

    ○本多国務大臣 物価騰貴が非常に進みまして、既定の財政計画でまかない切れないというような状態になりました際には、それぞれやはり物価騰貴に即応いたしまして、地方財政の規模を広げて行かなければならないと考えております。
  86. 石野久男

    石野委員 そういう場合には、政府地方から来るいろいろな陳情なり要望なりというものに対しては、今大臣の答えるような形における処置の仕方をするという考え方であるかどうかということを、はつきり伺いたい。
  87. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これはその物価騰貴の程度等によつて判断が違うわけでございますが、地方財政の確保は平衡交付金のみによつて確保されているものではございませんので、物価騰貴に応じて、インフレ的になつて地方財政収入が非常にふえるということになりますと、平衡交付金によらずして基準財政需要額が満たされるということにもなります。従いまして、そうしたことを総合的に考えまして、どうしても財政のわくを広げなければならぬというような場合には、これは広げて行くという考えでございます。
  88. 石野久男

    石野委員 これは考えるだけではいけないので、そういうことを含んで予算的措置を、自治庁としてはとつておるかどうかという問題に入つて来るわけなんです。その点について、自治庁はどういうふうな予算の組み方をしておられるのか。
  89. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 本年度当初の計画におきまして、物価騰貴によりますものを、総体で百五十億余り見ておりますが、今後の問題といたしましては、まず本年度におきましてはさようなことはあり得ないと存じますが、やはり年度当初におきまして計画を立てます際には、御指摘のようなことは慎重に考慮をして、地方財政計画を立てたいと考えております。
  90. 石野久男

    石野委員 そのように見込んだところの、たとえば本年度のようなそういうような物価騰貴を見込んだ場合、それを支出する形等についてはどういうふうに現在までなさつておるか。
  91. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは平衡交付金計算方法といたしましては、先ほど来申し上げますように、基準財政需要額の算定の基礎になりますものに、単位費用がございますが、その単位費用の上に反映をいたして行くわけでございます。
  92. 石野久男

    石野委員 いろいろそういうような問題は、ここではただ討論の形だけでずれて行きますが、実質的にはそういうような着意があるにもかかわらず、地方財政は赤字を出しておるということ、こそは非常に重大だと思います。しかもこの赤字の問題は、今日ではもう自治体自体を壊滅させるような事態にまで来ておるということも、またわれわれは認めなければならない。そこで自治庁としては抜本的な対策を当然とらなければならないと思いますが、今日のこの補正予算の中には、その形はほとんどわれわれ見受けられない。われわれは二十八年度予算を組むにあたつて、はたしてそういうような考え方がどのように入つているかということを、私たちは重視する。そこで問題は、やはり本多国務相の先ほどの考え方の問題にもどつて来る。われわれはもうやるだけのことをやつておるという形と、まだしかし実際はこれだけ足りないのだという考え方とでは、非常に違いが出て来る。それで私どもとしては、結局地方財政における大きな赤字を発生させる原因というものは、中央におけるところのいろいろな処置の不十分さがしわ寄せされて来ていることが、ウェイトとしては非常に大きいという見方をする。その問題については、あとで数字の検討が必要になつて来ると思うのですが、しかし今大臣はしばしばわれわれの処置は大丈夫だということを言われる、数字的な根拠といいますか、あるいは概括的な見通しの根底になるものがどういう点にあるかということを、一言だけはつきり聞かしておいていただきたい。
  93. 本多市郎

    ○本多国務大臣 赤字の原因につきましては、さいぜんから申し上げております通り、国家財政も困難であるというので、平衡交付金等の交付が潤沢でないということも一つであります。さらにまた、御指摘になりました通り、国家が地方団体に行政事務の責任を負わしておきながら、その措置もまた潤沢でないというようなことも原因であると思います。しかし一面におきましては、地方団体の自主的な運営の仕方によつて地方団体の財政は健全化もすれば、不健全にもなるのでございますから、漫然と赤字があるからといつて、その赤字を補填してやるというようなことをやつて行きましたならば、各地方団体に対して非常に不公平になるばかりでなく、地方財政の健全化ということにも沿わないように考えられるのでございます。いずれにいたしましても、いま少しく地方財政の困難性を緩和するということは、今日の急務でございますので、来年度予算におきましてはそうした方向に努力いたしたいと思います。
  94. 石野久男

    石野委員 最後に一言だけ聞いておきますが、大臣のしばしばの答弁を見ますと、結局赤字は、漫然とした地方自治体における財政施策の結果から出て来ておるように見られるのであります。そこで二十五年度予算でも、あるいは二十六年度予算における決算に対して、自治庁が見ている地方自治体の漫然とした形は、どういうところにあるのか。あなた方が自治体をずつと見ているときに、自治体のどういうところにそういう漫然とした施策が顕著に現われておるかということの二、三の例を、ひとつはつきりここで委員会に対して示しておいていただきたいと思います。
  95. 本多市郎

    ○本多国務大臣 私は、地方団体の理事者が今日地方団体の経営に非常に苦心をしておる実情も知つておるのでございまして、地方団体が漫然と放漫な経営をやつておるとは存じないのでございます。ただその結果赤字が出たからというので、それに対応して漫然と政府が赤字を補填してやるということは、地方財政の健全化の方法ではあるまいということを申し上げた次第でございます。
  96. 石野久男

    石野委員 これは先ほども聞いたことですが、漫然とした処置を地方長官はとつておるとは思わないけれども、結果から出た赤字に対して、漫然とそれを補填することは、どうも責任の分担の仕方が違うのだという言葉のあや、これは大臣はそこで早くいえば、二筋道を行つておるようは聞える。一方では財政の出た赤字に対する補填は漫然とできないと言い、片方では地方財政が非常に漫然とした施策をしていないと思う、長官は非常に熱心にやつてくれておる、こういう行き方、これは非常に購着するものだと私は思うのです。もし自治体にそういう事態があるならば、やはり自治体の中央も一体となつて、その赤字財政を切り抜ける方策を講じなければならぬ。従つてわれわれとしては特に決算の立場で決算というものは、どつちみち将来出て来るのであろう新しい予算に対する対策の基礎を与える事態を調べておるものだと思う。そういう立場から見ますと、その地方財政における漫然と出て来る形というものについて、自治庁は何らかの把握した認識がなければならぬ。またそういう具体的な事例を持つていなければ、そういう言葉が出るはずはない。しかも新しく今日赤字が出たわけではございません。これは数年来、終戦後の形として顕著になつておる問題でありますだけに、監督官庁である自治庁としては、その明確な認識を持つておられると信ずるので、今しばしば出ておる漫然という言葉の裏づけを、具体的にわれわれが知ることが、この委員会としてまた非常に重大なことであると思います。従つて大臣は言をあちこちに左右しないようにして、はつきりとひとつそのことについてのあなた方の認識を、ここで委員会に示していただきたい。これをもう一度重ねてお尋ねします。
  97. 本多市郎

    ○本多国務大臣 御承知の通り地方団体におきましては、事業を一度に急いでやるということになれば、これは赤字が出て来るわけでございます。財政の見通しを立てて、赤字を出さないように事業計画をやれば、これは健全化されて行くことと思います。しかし赤字が出たと申しましても、赤字が出ても早く事業を進めたいという場合には、赤字を出すことをいとわず、地方団体としては借金をしても事業を進めたいという場合もあるでございましよう。地方団体におきまして、いろいろ地方実情に即応してくふう努力をしておられることと存じます。その結果まちまちに運営される地方財政につきまして、その赤字が出ただけは常に政府がこれを補填してやるものであるという点については、私はそういう態度はとれないということを申し上げたのでございまして、これにつきましては、どうしても地方におかれましても、赤字を出しますと不健全になることでございますから、ぜひ事業を進めるについては、自分の力に応じた規模ということに見通しを立ててやつていただくように、御努力を願いたいと考えております。
  98. 石野久男

    石野委員 今の漫然という言葉の問題についてはまだ私納得しませんので、これはまたあとに残しますが、先ほど地方財政の赤字が出た場合、それに対する対策として短期融資の問題云々ということをしばしば言つております。政府はこの短期融資について、それならばどれだけ中央からそれを援助し、側面的に援助するというような対策をとつているかどうか。また今後どういうふうな施策で短期融資を地方にできやすくさせるかという、その具体的な方途をひとつ聞かしていただきたい。
  99. 本多市郎

    ○本多国務大臣 数字にわたりますので、政府委員から説明させます。
  100. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今年末の給与等に要しまする臨時の経費でございますが、これは平衡交付金法の改正案が幸いに国会を通過いたしますれば、それによつて計算をいたして交付するわけでございますけれども、その時期が来年の一月の二十日ごろになると思うのであります。これは技術上いかに努力いたしましても、さような時期になるのであります。そこでさようなことでは、法律が通過いたしまして、新給与法に基きます地方公務員の給与が困難になりますので、今大蔵省の財務局、並びに府県の財務部でございますが、この手元の余裕資金として持つておりますのが約九十億くらい、それにさらに追加いたしまして百九十億くらいのものをプラスいたらまして、二百八十億前後のものを、この年末に平衡交付金を見返りとして短期融資をするというようなことに相なつておるのであります。
  101. 田中彰治

    田中委員長 大分時間が経過いたしまして、参考人の方にはたいへん恐縮に存じますが、これより参考人に対し委員質疑を願います。石野君。
  102. 石野久男

    石野委員 私は途中中座していましたので、各公述人のすべての意見を聞くことはできませんでしたが、概括的にお聞きしたいことは、何といつて地方財政については、平衡交付金の問題が非常に大きな問題だと思うのでございます。この平衡交付金の問題の取扱い方については、地方と中央との間には――、ただいまも本多国務大臣との間にいろいろ論議をかわされましたように、中央の見方としては、平衡交付金についての処置は、もう大体尽すだけのことは尽しておるというふうに言われております。われわれから見ますると、必ずしもそういうことをそのまま受けることもできませんし、また公述人の皆さんのお話もそのように承つております。そこで問題は、今大臣がしばしば言つておりまする支出のしかたについて、非常に放漫性があるかのような意見がしばしば出されておりますが、そういう問題について、お二方のうち――両方の方々からでよろしいのでございますが、本多国務大臣の言われたようなことに対する、地方の側からする所見をまず先に聞かせていただきたい。
  103. 友末洋治

    友末参考人 地方におきましてはきわめて財政困難に陥つておりますので、各費目の節約につきましては、最高限度の注意と努力を払わざるを得ないというのが現在の実情でございます。放漫のそしりを受けるようなことはほとんどないと私は思います。  そこで出ましたところの赤字は、政府法令を制定して、地方にその執行を義務づけられたものに対するところの措置が不足である。また政府の施策といたしまして、公共事業の実施をされておるのであります。これにそれぞれ各地方といたしましては一般財源を持ち、あるいは起債を充当いたさなければ予定の仕事ができないのであります。  さらに進んで給与の問題でございますが、御承知のように、地方公務員の給与は、現在の制度の上ではつきり国家公務員に準ずるという規定になつておる。そこで国家公務員に対しまするところの給与法が、毎年々々かわつて来るのでありますが、各府県は忠実に地方公務員にもその号俸を当てはめて切りかえ、あるいはまた年末手当等も支給せざるを得ない。すべて中央から参りますところのいろいろな事務事業の執行に伴いますところの必要な経費というものが、不足いたしておるのが現実の事実であります。これは明らかに現在の地方財政法によつて政府がなさねばならぬ、義務とされておる義務を政府が忠実に履行しないから、必要不可欠の費用に赤字が出る、ここに根本原因がありますことをまだ政府ははつきり言明されない。内心ではその通りだというふうに思つておられるのでありますが、一応無理な数字を政治的にきめられて、あとから計数を合せられるのですから実態に合うはずはない。さようなところに根本原因がありますから、毎年々々地方と中央とがいろいろ折衝しななければならない。われわれとして好んでやつておるわけではありません。地方の単独事業の執行に必要な費用が不足するのは明らかなことであります。それをどんどん義務的経費につぎ込んで、なお足らないから政府にしばしばお願いをしておる次第でございます。さような根本原因につきまして、とくとひとつ御賢察をお願い申し上げたいと存じます。
  104. 齋藤壽夫

    ○齋藤参考人 ただいま茨城県知事から申し上げた通り地方におきまする経費の支出どこに冗漫なものがあるか、放漫なものがあるか、事実府県について十分御調査を願いたい。反復いたしますが、私どもは、県単独の事業すらほとんどできない。起債をもつて充てる投資的な事業につきましても、ほんの五億か六億の予定をいたしにものも、三分の一ないし四分の一の起債しかこれに充当できない。従つてこの事業は計画倒れで結局予算を不執行にして行かなければならぬ、かような事態に陥つておるのであります。先ほど私が申し上げました通り、私も地方自治に、総務部長として長年従事して、知事として二年、比較的幸運に恵まれまして、静岡県等は順調に参つて来たのであります。四年か五年の経験にいたしましても、いかに赤字を出すまいと苦労して来たか、この一事に尽きるのであります。従いまして、地方の各市町村の要望いたします事業等は、ほとんど三分の一程度しか住民の要望がかなえられぬ、かような状況にあるのであります。特に最近におきまする交通事情等の整備につきましては、まつたく私どもとほうに暮れておるのであります。先ほど申し上げましたが、道路もまつたく二億、三億の経費を支出しなければ危険で、とうてい東海道その他の重要路線の交通も確保できない。かような状況であるのでありまして、各府県、特に静岡県におきましては、従来の健全な財政にかかわらず、詰めて詰めてしかも二十七年度は四、五億赤字を見るのという事態になつております。特に国でやります薗轄工事等の負担金も、四億程度あるのでありますが、これらは一切起債も認められません、一に県の一般財源からこれを充当しなければならない。従いまして私どもせつぱ詰まりましても、国に対する納付金は、しばらく延期しなければならないという状況に立ち至つておるのであります。自治庁等といたしましても、それらの事態は十分認識されておると私は考えておるのでありまして、それは先ほど申し上げました通り、交付金全体が国の財政の都合によつて総わくが頭からきめられて来る。これを結局基準財政によつて、各種の単位の測定をそれにあてはめてつくつて行く。収入は一面非常に過大に見積つて行く。こういうふうな傾向から来る必然的な結果だろう、私はかように考えております。先ほどの御質問の、冗漫とかあるいは放漫とかいうことは、今日の地方財政経理にはまつたく私はないと確信しておりますし、静岡においては、一銭の冗漫もない、かように存じております。
  105. 石野久男

    石野委員 結局この問題は、平衡交付金のあり方の問題にかかつて来ておることははつきりしていると思います。地方の行政の各般を担当しておられる皆さん方から、この平衡交付金の問題それ自体についてのいろいろなお考えを、この機会に聞かしていただければ非常にけつこうだと思います。友末参考人からひとつお願いいたします。
  106. 友末洋治

    友末参考人 平衡交付金制度を今後いかにすべきかということは、地方財政にとりまして、きわめて重大な問題五ございますが、ただそれだけをとつて考えるわけには参りません。府県の自治体としての性格に即応いたしますところのあらゆる財源というものを、どういうふうに今後きめて行くか、これについては国の税財源と、府県の税財源との適正な再配分というものが行われませんと、根本問題は解決しないというふうに考えております。そこで昭和二十五年度におきますところの各府県の歳入は、一体どうなつておるかという一つの問題があるわけでありますが、平衡交付金は大体二四汚になつております。国庫支出金、これは国庫委託金あるいはは国庫補助金でございますが、これが二七%になつております。合せて五一%、五割以上の財源というものが、国に依存しておるというこの姿を地方自治と考えますと、きわめて矛盾した姿に相なつておるわけでございます。府県の税収といたしましては、わずかに二七%、一番少いところは鳥取県等でございますが、自己財源が一割にも産しない。かような姿でほんとうの自治が確立されるわけはないのであります。さらに雑収入が一六%、この雑収入の決算は、府県の実態から見ますと、非常な矛盾を包含しておるのであります。すなわち各府県におきましては、たいてい現金を、あるいは農業協同組合、あるいは中小企業者等に、一月あるいは二月という、きわめて短期間県会の同意を得て、予算に計上いたして融通している。これが償還金として返つて参ります。一年に二回または三回、これをダブつて繰返すのでありますから、それらがすべてこの雑収入に包含されておるのであります。従いまして、決算面に現われますところの雑収入総額の中には、一般財源とならないものが四割程度ある、かように私は判断をいたしておるのであります。これを国におきましては、そつくりそのまま一般財源になるようなかつこうで、雑収入を常に押さえられ、これをさらにまた過大にふやされるのであります。そこにも大きな矛盾がある。地方債としては、わずかに六汚に相なつておるのであります。かような傾向は二十六年、二十七年大体大同小異かと思います。そこで府県の自主性というものをあくまでも民主主義の線に沿うて、あるいは地方自治の本旨を実現するという建前から考えます場合におきましては、わずか二七彦の独立税源というものをもつと大幅にふやす。これを拡大強化して充実する。少くとも全般的に申しますれば、五割以上の独立税源というものを、府県に持たせるという方向をとる必要がある。従つて平衡交付金等は、いかに税制を改正いたしましても、府県間の不均衡がございます。貧弱なる府県に対しましては、財政調整を必要といたしますので、これは平衡交付金で調整する必要がある。しかしながら一般歳出に対しますところの平衡交付金の率というものは、もつと切り下げて行く必要がある。大体今後の二十八年度の制度改革の方向から推定いたしますと、二割程度に切り詰める必要があるのではなかろうか、かように考えます。さらに進んで国庫支出金、国庫補助、これは先ほども説明申し上げましたが、公共事業あるいは農林、厚生省等におきまして、補助が相当なお残つております。しかしながら基本額というものがきわめて少い。どうしても超過負担を地方はしなければならぬ。しかも先ほど来、るる御意見のありましたように、このわずかの補助金にも市町村も府県もたよらざるを得ない。ごこに根本的な中央集権の事実がありますので、原則といたしましては、この国庫補助制度というものを思い切つて一ぺんやめてみる。ただ災害復旧、伝染病予防、かような臨時的に多額の費用を要します場合におきましては、地方としては何といつても財源に余裕がないのでございますから、そういうものについてのみこの国庫補助制度を存置すべきではなかろうか、実はかように考えておるのでございます。  以上きわめて簡単でありまするが、私の考えておりまする大体の方向を御説明申し上げた次第であります。
  107. 石野久男

    石野委員 平衡交付金につきましてのいろんな所見については、なお静岡県知事さんからも御意見があると思いますが、私は当面する今の現実の問題といたしまして、ここでは二十五年度の決算の問題が論議の主体になつておりますけれども、事実上は二十六年度あるいは二十七年度を通じて全部これは赤字が出ております。当面この赤字を何とかして埋めなければならないというのが私たちにとつても、また決算審議するにあたつても必要なことであろうと思うのであります。そこでこの地方に出ております赤字を、どのようにして現実の二十七年度予算、補正予算を含めて処理して行くかということについて、地方の長官の方々が持つておられまする構想の一端をひとつ聞かしていただきたい。これは両方の方からお伺いしたいのであります。
  108. 友末洋治

    友末参考人 地方といたしましては、先ほど申し上げましたように、余裕財源というものは考えられません。そこで何としても中央におきまして処置を願わざるを得ない。そこでとりあえずどうしても措置を願わなければなりません問題は、一つは、〇・二五箇月分の問題で、政府といたしましては超過勤務手当の年内繰上げ支給というものを考えられておるようであります。これは一昨年の夏、夏期手当の問題が起りました場合におきましても、さような方法で一律に一千円から一千五百円出されたわけでございます。地方といたしましては財源がない、また教職員には支給の道がないというので、何ともかんとも都合がつかない、この苦い経験を持つております。国家公務員地方公務員との差別待遇というものが過去において行われた。本年におきましてもおそらくその二の舞をやられるおそれが十分ある。そうなりますと、形式は超過勤務手当でございますが、実質におきましては〇・二五箇月分の年末手当ということに相なろうかと思うのであります。これをもし政府が実行されまするならば、地方公務員との差別待遇がきわめて明瞭になり、また地方といたしましては、何ともかんとも都合のつかない問題でございます。さような財源がございますれば、明瞭に〇・二五箇月分を国家公務員につきましても、年末手当で予算を組み直されたらいいと思います。節約するものははつきり節約する、出すものは出すというふうにはつきり予算を組み慮されるべきである。従つてこれに順じて地方におきましても〇・二五箇月分を年末手当として支給される財源措置を講ぜられたい。これは市町村を含めまして五十億かかります。さらに従来から毎年懸案になつておりますところの、地方公務員の給与の不当の引下げ問題がございます。さらに二割ベースアップという号俸になりましても、これを地方公務員に適用いたしますと、所要の財源は平均いたしまして二割四分内外になる、これは特に教職員は長い間勤務いたして高給者が多い関係でございます。そこで給与財源といたしましては、平均して二割を見られるのでありますが、実行いたしました場合においては費用は二割四分いるのであります。この超過負担というものが、何とも都合つかない、さらに政府が人事院勧告で新地域給の指定を実行せられんとしておりますが、これは補正予算決定後において人事院の勧告がなされたという時期的の関係から申し上げまして、補正予算にはわれわれは入つてない、政府が義務的に措置しなければならぬそれらの財源が未措置になつておる、これが町村を含めて百六十億を越えます。さらに起債におきましては、約二百億程度不足する見込みでございます。そこで起債におきましては二百億、また平衡交付金におきましては二百十三億程度 急速に第二次補正予算案を今国会に提案されるように、知事会といたしましては強く要望を申し上げておるのであります。これをつなぎ資金などで一時を糊塗される性質のものでないということを、とくと御了解を願いたいと存じます。
  109. 齋藤壽夫

    ○齋藤参考人 現実の赤字をどうするかという問題は、茨城県知事から申し上げた通り、われわれもこの一、二箇月の間、数度の全国知事会を開催しておるのであります。今も現に知事会を開催中で、郷里に帰らず中央にとどまつて、知事会の意向として茨城県知事から申し上げたような政府の財源措置を要望する、これ以外にはわれわれとして切抜ける策はない、これに尽きます。
  110. 石野久男

    石野委員 私はまだほかにいろいろとお尋ねしたいことがたくさんありますが、他の委員の方もありますので、これで一応打切ります。
  111. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 簡単にちよつとお尋ねいたしますが、これは御相談的に御意見が拝聴できればたいへんけつこうだと思うのです。両知事さんは、全国の知事としての非常に優秀なお二方であるので、私の質問せんとする問題についても、おそらくは相当な創意も御抱負もおありかと思うのでありますが、地方及び中央にかかわらず、一般日本の行政財政を通じましての一つの問題点は、機構に関連して人員の問題、と同時にこれは能率、効率というような問題に関連して来るのですが、従来は行政整理の概念によつて問題が扱われておりましたけれども、私はもう一つ高い観点から広い視野に立ちまして、日本の経済の自立といつたような、こういう大きな観点からいたしまして、現実のこの地方公務員機構をまず改正して、簡素にして、そして十人の人でできるものを五人で仕上げて行くというふうにする余地が相当あるのではないだろうか、極端な例ですけれども、定時が来れば、机の上に両足を上げて、タバコをすぱすぱ吹いて、きのうの映画の話でもするというような現状すらあるのであります。これはよつて来たるところは、別の原因かと思いますが、そういつた空気の中になされておる事務、仕事の能率の点につきましては、私ども幾多検討を要する問題を含んでおると思います。さりとて単純に行政整理、人員減少という扱い方でなしに、国家全体の経済編成の観点からいたしまして、人は何とかその部署から別の生産の部署の方へ移して行くというような構想のもとに、私は人間経済及び財政の関連におきまして考えて行く余地がよほどあるのじやないだろうか、こういうことを考えなかつたならば、地域的にあそこの山からここの川まで境界を引いて、州や道をつくつて、府県の廃合などやつても、私はほんとうの目的を達しないと思いますので、そういう辺について何か新たなる構想があつてしかるべき段階に来ておるのじやないだろうか。いかにもたくさんの人がおありだけれども、もう少し効率的に生産面にでも横すべりさせて行くというようなことを全体で考えるべきじやないだろうか。国全体の問題となると、またいろいろ別の問題もありますので、まず地方において知事としてなし得る権限の範囲内で、県会などとも御協議なすつて、そういう構想を練り、それを実現すべき段階じやないだろうかと思いますので、ひとつ聞いてみたい。これは地方財政を充実して行く上におきまして、まずみずから反省し、みずから受入れ態勢を準備し、刷新すべき重要な問題を含んでおると思いますので、ひとつ伺つてみたいと思います。
  112. 友末洋治

    友末参考人 吉田さんの御意見、私どももまつたく同感でございまして’その方向に日夜苦慮をいたし、日夜努力を続けておるのでございます。しかしながら遺憾なことではございますが、現在のような地方の制度であつては、私どもの努力いたします範囲がきわめて少いということをまず御了承願つておきたいと思います。すなわち現在各府県で取扱つております事務、仕事あるいは事業、これは法律、命令の関係から、あるいは財源の関係から、がんじがらめに結びついておるのが大部分でございます。そこで地方として人の問題だけについて考えまして、でき得ますることは、地方限りで採用いたしておりまする人々、すなわち国庫補助職員以外の職員、これについて極力欠員がありましても補充しないという根本方針をどこでも立てて実行いたしております。ところが毎年々々国の施策、国の法令によりまして、人をふやせと各省から言つて参ります。これは特に占領下において向うの勧告等によるものもあつたので、政府としてもやむを得なかつた点もあろ)かと思いますが、さような場合におきましても、地方限りの職員を国庫補助職員に切りかえて行くという苦しい操作をとつております。しかしながらこれには資格がいるというものも中にはございます。特に厚生省関係は多いのであります。そこで人員の問題については、実は現存の地方限りの職員を強制的に資格をとらして国庫補助職員に切りかえて行くということまでもやつており、定員は中央から覆われても絶対にふやさない。さような苦しい配置転換によつてこれを措置するという程度が最高限度であります。そこでこの問題につきましては、まさにこの機構人員で現在が水ぶくれでないということは申し上げません。何とかもつと簡素で能率的な運営をしたいというのがみんなの念願でございますが、しかしそれをほんとうに実行いたしますためには、国と府県との事務の再配分を明確にし、責任の限界を明確にする。なお先ほど来申し上げました国庫補助金制度等は思い切つてこの際線を引いてみる。そうして必要な税財源を地方に与えて、思う存分府県知事の手腕を発揮させて、最も簡素な、最もおちついた、地方実情に適応した地方自治を打立てしめるのだというふうに、これはむしろ地方の方で考えていただかなければ、とうていできないことであると私は思う。国庫補助の問題だけでも、中央各省の権限争いがあり、事務を縮小するというようなことにでもなりますれば、中央各省のほんとうの納得と理解がなければ、とうていできないというふうに実は思つているくらいであります。以上きわめて簡単でございますがお答えといたします。
  113. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今中央と地方の間の責任の限界、あるいは事務の配分の問題、国庫補助の問題等々、いろいろ伺うのでありまするが、がんじがらめに法規にしばられる等々のために、地方においてなし得る範囲が非常に狭いということもごもつともでありますけれども、昔の官選天くだり的な知事と違いまして、今は数百万の県民の代表としての知事なのでありますから、もしそれがほんとうにいけないのならば、その繩を断ち切るべく、全国知事会議でやはり一本の決議でもなさつて、いげなければ全部辞職しますというぐらいになさるべきである。私はそういう面が多分に残つておるのじやないだろうかと思う。しかしこれは例の陳情政治に見るごとく、そうはいうものの、半分中央におぶさつているという心境が強いために、思い切つて大胆にそういう独立の態勢をとつて御主張になるということが欠けているのじやないだろうかと思うのですが、根本におきましてそういうわれわれの意見に御同感であれば、その施策を実現する方法について具体的な案をお持ちになつて、そして全国的に一本の決議を突きつけるというふうには行かぬものかということについて御意見を伺つておきます。
  114. 友末洋治

    友末参考人 私どもとして、経験を通じてこうやらなければならぬということを総合的にまず結論を出す必要があるというので、本年当初から知事会に地方制度調査会を設けて、毎月二回その会合を開きまして、地方制度の中の組織の問題あるいは行政事務の再配分、さらに進んで税財政制度、これら各般にわたつて慎重な検討をいたしております。これらに対する結論が近く出る予定になつております。そこでこの結論を政府が設置せられました地方制度審議会に持ち込んで、これを通じて強力に、ほんとうに日本の国力、日本の実情に即心した地方制度が、この機会に打立てられますよう、最善の努力を払うという方向へ参つておりますことを御了解願いたいと思います。
  115. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういう方向へ進んでおられるのだが、大体の構想を要点だけでもよろしい、多く聞く必要はありませんが、眼目、要点というようなものをひとつここで御披露願つておきましたら、やはり地方制度の問題につきましていろいろと参考になると思うのですが……。
  116. 友末洋治

    友末参考人 時間の関係もございまするので、ごくかいつまんで申し上げますが、この地方制度の改革につきましては、すでに御承知のように、いわゆる神戸勧告が出ております。それから政令諮問委員会の答申が政府に出されておる、この二つとも相当権威のある重要な勧告であり、答申でございます。そこでこの答申の大体のねらいどころは、地方制度をできるだけ民主化の方向に持つて行こうというので、組織あるいは事務再配分及び税財政制度というものに対する結論が出されております。しかしわれわれ知事会の検討の結論といたしましては、この勧告が占領下においてなされました関係もあつて、やや民主主義の行き過ぎの点が相当ございます。答申の方はこれは日本の独立を迎えまして、向うさんから思い切つてかえてもいいのだからというこの線に沿うて考えられました答申でございますから、結論におきまして相当中央集権の濃厚な方向に傾き過ぎており、いずれも億んとうに実行して行く場合におきましては、それぞれの長所も持つわけでありますが、先ほど申し上げましたような欠点もございますので、両者の長所は長所とし、欠点は欠点として、地方実情に合うような組織、行政事務の再配分、または地方財政制慶の改革というものを、具体的に結論づけつつある次第でございます。
  117. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私の聞かんとすることは伺えなかつたのでありますが、大分おそくなりましたので、これでやめておきます。
  118. 永田良吉

    ○永田(良)委員 この決算委員会に知事さんの御意見を承るような機会を得ましたことはたいへんわれわれ国会の進歩だと思います。私はこの点から委員長に、今回は二人でしたけれども、もし明けましての正月、二月、三月のころにおいては、全国のたとえば九州地方とか、北海道、各地方々々に関係のある決算の問題が起つた場合には、ほかの知事さんからもいろいろ意見を承る機会を得たいものであるということを希望しておきますが、これはたいへん進歩だと思います。  なお私はこの機会に、こういう考えを持つておるので、これをお尋ねしたいと思うのです。これは幸い両県知事から、地方の自治体を監督しておられるのだから、そういう意味で私の感想に対して御意見を承らせていただきたいと思います。それはわれわれは会計検査院検査は国の関係をやつていただき、地方の県費並びに町村の支出については、これは県が主になつていろいろ取締つていただかなければならぬと思います。それは県としては県費支弁の場所等、各町村の出納なんかは県の会計課の方から行つて検査して行く。昔私県会にいたことがありますが、県参事会というものがあつて、そして県の出納などは検査しておつた。その時代にはずいぶん県参事会の出納検査というものは権威のあつたものでした。そのころは、今のように、こんなだらしのない犯罪事件もあまりなかつたものです。近ごろは、御承知のように、会計検査院があつて、人数もたくさんお増しになつた。また地方の府県制の上でもずいぶん新聞やいろいろな点で、官吏の方なんかたまにあるのかもしれませんけれども相当新聞紙上をにぎわしております。従つて町村の方でもそういうのが相当出ておるのはこれは明らかな事実であります。こういう点から考えましてどうしても出納検査に早く目をつけて、さきにも話がありましたように、秋は予告をして検査をするようなことではだめだと思います。そんなことをする必要はない。将来はだまつて、潜水艦のようにぽかつと行つてやるようにすれば、地方の悪いことをした者は心臓があがつてしまう。そういうふうにしなければ、人を何千人増しても何の効果があるか、私は断固として無警告で検査をしていただきたい。なお地方の県においては町村を監督しておる関係から、町村役場において収入役などが不正でもあつたら検事さん、あるいはもつと光つた目をもつて、事が大事にならぬうちにこれを行われる必要があると思います。この意味から制度の改廃というものはある場合においては、よかつたことも、今になつて見れば損をしておることもある。近ごろ国の政治も、地方の政治もみな委員会制度にかわつておる。こういうふうに国会には二十三もある。昔は四つの委員会よりなかつた。それを地方でもまねて委員会制度に持つて行く。三、四十人の地方議会でこんなに小さくわけて何の効果があるか、かえつてじやまになるくらいです。また町村議会会も委員会制度を持つて、十八人か二十四、五人の町村議会が、中央のまねをして委員会制度を持つ。かえつてこれは自治の破壊、地方行政の萎摩を来しておる。人ばかりたくさんにし、機構ばかり多くあつて、ほとんど国も地方の自治体も破壊に瀕しておる。私は地方においてこういうことを目撃しておる。こういう意味で昔からこう思つておる。どうして珀も村長の経験ある者が中央に行つて大臣になつて、日本の政治を扱うようにならなければいかぬ。このごろの大臣はかわりばんこに一年なり二年始終やつておる。こういう始終だらしのないことばかりをしては、日本の国は将来滅亡する。どうしても日本の再建の立場から、われわれ国会議員も、参議院も、衆議院も、全国知事さんも、市町村長も、一団となつて、日本の将来の再建には政治の浄化、いわゆる公正な政治を行うということに持つて行かなければいくら私どもが徹夜して議論してもだめだと思う。こういう見地から、かつて過去にあつてよかつたことは、これを復活する。今の制度であつても悪いことは私は断固としてこれを改廃せんければならぬと思う。終戦当時、アメリカの軍政のもとに、こんなたらしのないことをやつたということはたいへん間違いが多い。私はアメリカヘも一ぺん行つて見たが、アメリカの国情と日本とは、地形から、国力から、いろいろな点から見て違うのです。われわれの日本には、七百戸や千戸くらいの町村が相当ある。近ごろはそういうところに教育委員を設けたり、いろいろな組織ばかりたくさんつくつたから、町村の自治体が経済的に行き詰まる、アメリカの町村にはそういう貧弱な町村はなかろうと私は思う。こういう点から、たいへんここに矛盾が生じて来ておるのですが、お互いはこの独立国になつた際に、日本の中央、地方自治体の政治行政についても真剣な研究をして、まじめに立ち上つて行かなければならぬと思うのであります。こういう見解について、私は国会に知事さんの意見が織り込まれるようになつたことは、確かに日本の政治の上における一大進歩であると思う。これは委員長さんの御尽力を心から感謝します。この意味から他の知事も漸次ここに呼ばれて意見を承るような機会をつくつていただきたい。なお場合によつては、市町村長もここに参考人として来られて、いろいろな意見を持ち出された方が、真に日本の政治廓清の上に効果があると思うのです。この点について、きよう来られた二人の知事さんから、もし私ども考え方が誤つておれば、そんなことはいかぬというような、参考になるようなことがあつたら、それに対する批判、意見を承りたい。
  119. 友末洋治

    友末参考人 お説の通り、わずかな予算を不正に使うということはもつてのほかでございまして、さらに進んで最高度の、ほんとうに能率が上るように執行するように持つて行かなければならぬというふうに、常々注意をいたしております。そこで、どこの府県も大体同じだと思いますが、まず自己監査の意味におきまして、庁内に監査係あるいは監査課を設けておるところもございます。何か不正と認められるようなにおい、あるいは投書等がありましたら、これをまず自分自身で早く監査をするということが一つ。それから出納の集中管理をいたす、すなわち県の出納室の出張所を各地に設けまして、会計経理の仕事はそこで一手にやるということもやつて行く。さらに現在の制度であります監査委員の方々が地方に出かけられまして監査をされております。かような方法で、できるだけの努力はいたしておりますが、まだ決して十分とは申されません。総合的に、制度の上におきましても再検討の要がありますと同時に、一面におきましては、地方公務員の教養をもつと徹底せしめて、金をまかせても間違いがないというところまで、そのレベルを引上げて行きたい。かように実は考えて、せつかく努力をいたしておる次第であります。
  120. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは質疑ではなくて、審査の問題についておはかり願いたいと思うのですが、だんだん会計検査院側の御説明を聞き、それから平衡交付金の批難事項につきましても、その説明も聞いたりしでおりますと、結局これは一つの問題にぶつかつておると思うのですが、それはやはり会計検査院におきまして、検査方法について、もつと法規的に、立法措置において、権限を拡大する必要があるのではないだろうか。また、そこまで手をつけられないというような面があるので、そのために、さらに会計検査の確認をされた結果、もどつて参りまして、本委員会などに出ます資料がもう一つ不十分なおそれがある。こういう点もありますので、十分にこの検査院の機能の点についても、実際の状況によりまして、御説明も得たいと思いますので、検査院検査官等の御出席を願つて、われわれは検査制度につきまして、もつ検査方法権限、範囲等について拡大の方向へ持つて行く一つ意見も国会としては持たねばならぬのではないだろうか、こういうふうなことを考えるのであります。といいますのは、一つは、たとえば他の省庁の協力を得なければならぬという御説明もありましたが、私は協力を得られなければ十分に調べられないというようなところにも、やはり何かもつと立法措置として権限を拡大する要があるのではないだろうか、こういうことも考えますので、そういうことも含んで、次の適当なる機会に、会計検査院検査官にでも来ていただいて、十分にその辺の説明をしていただく方法が望ましいと思いますので、おとりはからいを願いたいと思います。
  121. 田中彰治

    田中委員長 それでは永田君の先ほどの発言に対してお答えいたします。委員の方で各県の知事を呼ぶような必要の生じた場合は、委員長まで申し出ていただきますれば、理事と相談の上で決定して呼ぶようにいたします。また市町村長会の会長とか、あるいはそういう大きな地位あるいは担当の方方を呼ぶような場合も、その通りしていただけば、ぜひともそうしたいと思つております。  それから吉田君の発言に対してお答えいたします。非常にけつこうなことと思いますから、時期を見て理事諸公とよく相談いたしまして、検査官のみでなく、院長まで呼んで、ここでよく皆さんから御質疑をしていただいて、その上で法律の改正が必要とあれば改正をして、国家の財政にむだのないように、不正のないように、とりはからつて行きたいと考えております。  それでは本日は長時間にわたり貴重なる御意見参考人各位から伺いましたことを、委員会を代表してここに感謝いたす次第でございます。まことに御苦労さまでございました。  これにて散会いたします。     午後五時十九分散会