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1953-03-14 第15回国会 衆議院 経済安定委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十四日(土曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 遠藤 三郎君    理事 加藤 宗平君 理事 栗田 英男君    理事 下川儀太郎君       内田 常雄君    小川 平二君       越智  茂君    川村善八郎君       小林 絹治君    前田 正男君       横川 重次君    秋田 大助君       吉川 兼光君  出席国務大臣         通商産業大臣 小笠原三九郎君         国 務 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     横田 正俊君         総理府事務官         (経済審議庁調         整部長)    岩武 照彦君         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君  委員外出席者         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 三月十四日  委員平井義一君辞任につき、その補欠として川  村善八郎君が議長の指名で委員に選任された。 三月十四日  離島振興法案綱島正興君外七十名提出衆法  第五六号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第一一三  号)  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律施行法案内閣提出第  一六一六号)     ―――――――――――――
  2. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案及び同法施行法案一括議題とし、質疑を継続いたします。加藤宗平君。
  3. 加藤宗平

    加藤(宗)委員 施行法の第六条に蚕糸業法改正という項があるのでありますが、ちよつと考えると唐突な感じがするのであります。この法の体系全般からいえば、異質的な条文のようにも考えられるのでありますが、しかしなおかつこの条文が挿入されたことにはそれ相当の理由があると思うのであります。昨日の公述人黒田新一郎君などの主張を聞いてみますと、農民の名においてこういうことはおもしろくないという話があつたのであります。しかしながら一方におきましては、農民団体である全養連がこれに賛成しておるということもあるのであります。抽象的な農民という名におきましても、その具体的な利害関係においては相当複雑したものがあるように考えられます。はたして昨日の公述人の言うがごとく、この条項が養蚕農民圧迫するという結果を招来するものであるかどうか。この際当局に対しましてこの点をひとつ確かめてみたいと思うのであります。御所見を伺えれば幸いと存じます。
  4. 寺内祥一

    寺内政府委員 独禁法改正法施行法に入つております蚕糸業法改正、すなわち繭価協定を合法化しようという規定につきまして、農民立場に不利ではないかというただいまの御質問でありますが、これにつきましてわれわれの考えを少しお話してみたいと思います。  繭の取引、ことに繭の値段をきめるということは、これは特殊の事情があるのでありまして、他の物資のように、たとえばほかに取引所があるとか、一般に年中取引があつて大体、市価がきまつておるというようなものでありますならば、繭が出ましたときに取引いたします価格市場糸価によつて支配することができるのでありますが、御承知通りわが国では、繭は年に三回しかとれない。しかもその出まわる時期がせいぜい長くて一週間というような特殊の物資でありますので、いよいよ繭が出まわりましたときにいかなる価格取引をするかということは、その繭が出まわりましたときに生産者消費者との間で話合いをつけて交渉によつて値段をきめるという物資なのであります。しかも御承知のように、蚕糸根本使命生糸にいたしましてこれを外国輸出して外貨を獲得する。従いまして生糸外国にも売り得る価格がきまらなければならない。それに従いまして繭価もそれ相当養蚕農家経営が十分成り立つように、また製糸家経営も成り立つような価格できめて行く。言いかえますならば糸価の見通し、あるいは生糸需要状況でありますとか、あるい当該地方養蚕及び製糸経営の実態とか、あるいは生糸及び繭の生産費とか、あるいは競合農産物との関係というようなものとか各般の資料に基きまして適正なる繭価を決定して行くということが必要なのであります。大体今までの、昔からの繭の取引の経過を考えてみますと、一番初め、大体昭和の初頭ごろまでは各市場に小さな生繭市場というものがありましたり、あるいは繭の仲買い商人というものがおりまして農家から繭を買いましてこれを製糸家に売つておる、しかもその商人は繭を安く買つて製糸家の方に不当に高く売るというようなことがありましたので、製糸の方の基礎がだんだん確立して参りますと、大体昭和の初頭ごろから中ごろまでの間には、今度は製糸家の方でそういう中間商人を排除しまして、直接農民個々団体へ行く、いわゆる特約組合という取引があつたのでございます。この特約組合でありますと、せいぜい大きくても町村単位、たいていは部落単位養蚕組合へ参りまして、製糸の強力なる力によつて繭を買いたたくというような、農民にとりまして非常に不利な取引があつたのであります。従いまして、政府におきましてはこれを矯正いたしますために、昭和十一年に蚕繭処理統制法というものをつくりまして、繭の値段のきめ方につきましては、各県に繭価協定委員会を設置しまして、そこで養蚕代表製糸代表第三者も入りまして公正な繭の値段をきめるというやり方にだんだんなつて参つたのであります。その後、御承知通り昭和十六年から蚕糸業統制法ができまして、繭は公定価格によつて統制会社が一手に買い上げるというようなことになつたわけであります。その後、御承知通り戦後この統制法が廃止されました。ところが片一方においては独禁法が制定されまして、蚕繭処理統制法時代のように、農民の方は団体を通しまして、町村団体から県団体に参りまして、県の連台会製糸家話合いをして繭価協定するということをやろうといたしましても、独禁法関係がありまして、製糸業者の方はそこへ出て話をつけることもできなかつたわけであります。従いまして、農民の方は協同組合法の精神によりまして、単位組合が県の連合会をつくりまして、そこで団体的にまとまつた主張ができるのでありますが、製糸の方の共同ができませんので、ここに協定をするということになつたのであります。そういたしますと、製糸の方でお互いに他の製糸との振合いなどを考えまして、いつまでたつても話がきまらない。それで繭価が非常に延びるというう不利があつたのであります。そこでわれわれといたしましては、繭の販売につきまして、農家の方はただいま申しましたような協同組合法による協同団体取引をしてもらい、また買手の方もそれを一堂に集めて、一挙にそこで話をつけるという方向に持つて行くことが必要なのであります。それによりまして、もちろん農家主張を聞くと同時に、外国へ売れる程度生糸値段従つて繭値段をきめて行くことが、繭の特殊性といたしましてそういうふうにせざるを得ないのであります。現在の情勢は、独禁法関係で、製糸家の方ができないということをいい口実にいたしまして、製糸家は県の連合会をも無視して単位組合に直接入つて交渉する。いわば昔の特約組合になるおそれが現実にもう出て来ておるのであります。これをあくまでも食いとめまして、農家主張団体を通して生かしますためには、どうしても県単位ごと繭価協定を結ばせることが必要なのでございます。そのために、製糸家の方でも、その県を単位といたしまして、養蚕代表と、それから場合によりましたら第三者も入れた方がいいと思いますが、いろいろ三者が共同して繭価の公正なる決をして行くというふうにいたすことが、蚕糸業の発展のために必要であるとわれわれは考えております。しからばなせそれをこういうふうな独禁法改正施行法の中へ入れたかと申しますと、今回独禁法改正本法の方で、合理化カルテル解釈上いけないことはないのでありますが、しかし他の物資についてはそういう関係がありませんので、あまり共同してもらつては困るということがありますが、繭の特殊性から考えまして、繭の協定につきましてだけはこういうことをやらなければならないのではないかというので、いわば独禁法改正本法一つ解釈規定という意味におきまして、今回の施行法の中へこういう規定を入れたのでございまして、これによりまして、むしろ農家の方では団結して製糸全体と交渉できるということでありまして、養蚕農民に対して決して不利になるとはわれわれは考えておりません。
  5. 加藤宗平

    加藤(宗)委員 ただいまの説明についてさらにお聞きしたいと思うのでありますが、終戦後の独禁法の成立によりまして繭の商品としての特殊性が無視されたために、養蚕農民の繭の販売につきましては非常にスムースに行かなかつたし、よりよい取引もできなかつたのであります。最近になりましては、ただいまもお話がありましたが、製糸家需要者の方におきましては、すでに特約組合類似のものをつくりまして狂奔しておるようなありさまであります。単位団体のきわめて弱小な養蚕組合におきましては、巨大資本圧迫に対抗することはできないのでありますが、ただいまの御説明のごとく、十分養蚕農民利益圧迫されることのないように、公正なる取引になり得るのであるか、この点、はつきり確信のほどの御答弁をお願いできれば、この条文審議の上におきましてたいへんけつこうだと思います。
  6. 寺内祥一

    寺内政府委員 政府といたしましても繭価が適正に決定せられることを望むのでありまして、たとえば、もしも製糸家の方に共同させたらば、一番加工費のかかるような製糸家の発言が強くなつて、繭の値段が安くなりはせぬかという御心配があるのでありますが、従来とも農林省といたしましては各県で繭価協定をやりますための参考資料を配つておりまして、それによりまして農林省で調べました製糸加工販売費というようなものの標準は、大体この程度だというものを知らせておりますし、またただいまは別の繭糸価格安定法という法律によりまして、糸価最高価格最低価格を毎年きめることになつておりますので、その資料といたしまして製糸方面加工費も適正なる調査をいたしておりますから、これらの資料を各県に配付いたすこと等によりまして、製糸家が談合して安く買いたたくというようなことは防ぎ得るのでありますし、またもしもかりにはなはだしく不当に繭価を引下げるようなことがありましたならば、この法文にも書いてあります通り、そういう場合には、この条文適用はなく、本法独禁法の違反といたしましてこれを取締ることもできるのでございますから、この法によりまして農民利益は十分保護されるという確信を持つております。
  7. 遠藤三郎

  8. 下川儀太郎

    下川委員 大分質問者が多岐にわたつて質問されたと思いますが、簡単にお伺いします。この改正案の作成については、現実実害が生じてつくられたと思うのでございますが、貿易カルテルに関連して、貿易方面において、こういうカルテル結成までに持つて行かなければならぬという、その実害状況について具体的にお伺いしたいと思います。現在の独禁法がどの程度改正しなければならなかつたか、そういう実害の点について貿易の例をとつて説明願いたいのであります。
  9. 中野哲夫

    中野政府委員 貿易上の不利を是正いたしますために、直接的には、別途輸出取引法輸出入取引法というふうに改正いたしまして、それぞれ輸出輸入にわたつてカルテルあるいは組合を認めるということで、ただいま提案の準備をいたしておるのでありますが、これと基本を同じくいたしまして、今回の独禁法そのもの改正につきましては、主として国内における商品の需給のアンバランス、生産過剰あるいは在庫の激増等によりまして、国内価格生産原価を下まわるとかいうようなことになります場合に、必要最小限度協定を認めまして、その価格の安定をはかる。そのために生産数量制限をする、あるいは販売数量制限をするということを生産業者に認めよう、こういう趣旨でございます。ただいま具体的な例というようなお話もございましたが、これは適切な例に当てはまるかどうかはいろいろ御批判の余地もあると思いますが、昨年の春、綿紡操短通産省で勧告いたしました当時におきましては、相当綿糸生産過剰の現象が起り、御記憶にもございます通り滞貨融資問題等でかなり業界が混乱いたしました。さようなことになりますと、先行きますます綿糸価格が下るんじやないか、こういうようことで外国輸入業者も先安をさらに見込んで買控えをするというような傾向になります。逆に申しますと、価格がある線を中心に多少の上下はありますが、安定をしておるということが、かえつて国際貿易振興する、輸出を伸ばす、こういうことに相なりまするので、独禁法改正におきましても、そういう生産費中心として非常な不況に陥る、業界が困る――困るというか、倒産等のおそれが出て来るというような場合に、カルテルを認めまして、その価格の安定をはかり、ひいて輸出振興をはかろう、こういう趣旨でございます。最近の国際経済情勢から申しますと、やはり今後も情勢のいかんによりましては、さような事態に立ち至ることも考えられますわけで、今回の改正でもつて輸出方面の万全を期したい、こういう考えでございます。
  10. 下川儀太郎

    下川委員 どうも具体的な説明がはなはだおぼろげで納得が行きませんけれども、これを機械類などに例をとつてみると、どんな具体的な問題がございますか。
  11. 中野哲夫

    中野政府委員 機械類についての適切な事例は、私ただいま存じておりません。
  12. 下川儀太郎

    下川委員 私昨年東南アジア行つて参りましたのですが、綿業関係は別として、技術的な面が非常に遅れておりますので、日本機械類輸入などを非常に要望しておるわけでございます。ところが国際入札の場合においていつも負けてしまう。それをだんだん検討してみると、まあ賃金は世界的に水準は低い。技術的にはある程度優秀性を認めておる。その限本を尋ねてみると、原材料が高いということになつて来るのであります。それをだんだん掘り下げてみると、鉄鉱石あるいは石炭が非常に高いということです。そこで国際入札に打ち勝つ場合において問題になつて来るのは、どうしたら鉄鉱石あるいは石炭を安く買えるかという問題が横たわつて来るわけですが、今度の改正によつて国内鉄鋼連も非常にカルテル結成を待つておられる。そして価格つり上げなどを言つておられる。そうなつて来ると、やはり貿易商品は、一番問題になつて来る鉄鉱石石炭価格つり上げによつて、より以上に商品価格というものが現実的に上げられる結果になる。そうなると、そこに大きな矛盾が出て来はしないか。国内的に原材料が上げられて、勢い国際入札に打ち勝つだけの価格標準ができ得ないということになつて来ると、これは非常に大きな矛盾が出て来るのではないか、こういうように考えておるのですが、そこ点はどんな御意見ですか。
  13. 中野哲夫

    中野政府委員 東南アジアの例に限らず、南米方面におきましても、日本プラント輸出が見込みが多いということで、数年来通産省におきまして、いろいろその方面の開拓もいたしておるのでございますが、ただいま御指摘通り原材料、特に鉄鋼値段が高い。その鉄鋼の高い原因は、石炭が高いということでございます。この方面価格国際水準並に引下げますことは、独禁法改正とは直接関係なしに、通産省としても高炭価対策あるいは設備の合理化等によつて鉄鋼価格の引下げの方にいろいろ努力をいたすのでございまして、石炭鉄鋼等が今度の改正独禁法適用によりまして、価格カルテルを結ぶ必要があるかどうか、生産協定をやる必要があるかどうかというような点は別問題といたしまして、本法改正平均生産費市価が下まわる、そのために事業の継続がまつたく困難になる、こういう必要最小限度の線を押えるので、ございまして他方全般的に国際水準価格が近づくという面は、通産省あるいは他の省の御協力も得まして、極力その方を進めるわけでございます。言いかえますと、この改正独禁法適用によりまして、その方面努力がにぶる、あるいは必要以上のコスト高になるようなことを認めるということは、極力注意をいたしまして、これはその間の兼ね合いというものは非常にむずかしい問題だと思いますが、公取委経済審議庁とも相談いたしまして、いたずらにコスト高になる、そのために輸出の障害が起るという弊害のないような運営をやつて参りたい、かように考えております。
  14. 下川儀太郎

    下川委員 そういう点に御努力なさるお考えはよくわかるのですが、往々にしてやはりそういう考え方がねじ曲げられることが非常に多いので、過去の歴史においても、いろいろと大資本を持ち、大資本を背景とする業者圧迫されたり、あるいはまた今のような公取委が権限を持たずに、通産省が持つているような場合においては、やはり政党的あるいはまた大資本家等の圧力を受けて、そういう一本の線が曲げられるおそれが非常に多いと思うのです。それとたとえば、私が見て来たパキスタンなどの状態ですが、そこに四十社ばかり貿易業者がおるのです。その貿易業者――貿易業者の中にも大貿易業者あるいは中小貿易業者、いろいろとありますが、どうも大きな資本力を持つているものに勢い圧倒されてしまう。これがカルテル結成とともに一応そうした形がとられて行くとしても、最後的にはやはり大資本家の力によつて、国際的な市場独占に持つて行かれるのじやないかということも考えられますし、あるいはまた中小貿易業者の傘下の国内生産者にも大きな響きが寄つて来る。そういうことを考えてその対策としてどういうお考えを持つておられるのか。その点をひとつお聞きしたい。
  15. 中野哲夫

    中野政府委員 海外市場日本貿易商社が殺到いたしまして、向うにむやみな、必要以上の売込み競争をやつて、その結果日本人同士競争してだんだん値を下げて、非常に不利に陥る。かつまたそういうことになりますと、先方のバイヤーにも心理的な影響を与えまして、向うがかえつてバイヤーズ・マーケツトというような形で値段をせり下げる、買控えをやるということで、これは戦前、戦後を通じまして、どうも日本貿易業者やり方としてすこぶるまずいということはよく論議もせられ、われわれもその弊害を認めざるを得ないのでございまして、今回輸出取引法改正強化いたしまするのも、そういう場合に輸出組合をつくり、あるいは輸出組合程度まで至らなければ輸出協定をつくる。こういうことで販売価格輸出価格あるいは輸出数量あるいは輸出仕向地協定等を認めようという趣旨でございます。その組合の構成が一部の貿易業界におけるボスにあやつられて、中小企業の形態の貿易業者が不当な圧迫を受けるのではないかという点につきましては、十分組合認可あるいは協定認可に際しまして、いろいろな規模の業界の方にも十分実情を聞き、意見を聞きまして通産省として御指摘のような弊害のないようにいたして参るつもりでございます。
  16. 下川儀太郎

    下川委員 そうすると、貿易カルテル結成とともに、いわゆる海外市場に進出している業者などに対して、やはり相当の監督あるいは指導的な立場を、通産省としては十分とつて行かれるということになるのですか。
  17. 中野哲夫

    中野政府委員 各本店において輸出組合をつくるなりあるいは輸出協定等をつくるなりいたしまして、その協定の内容を必要最小限度あるいは非民主的にならないように監督して参るつもりでございますから、出先商社機関もそういう弊害を起さないように対外的な折衝――これは売込みの場合のみならずあるいは原材料鉄くず等買付の場合等におきましても適正を得られることと考えております。
  18. 下川儀太郎

    下川委員 これは現地の実際の姿なのですけれども、やはり野放しにしておくと、たとえば民主的という言葉によつて自主的にすべての行動を自由にさせておくということはわかりますけれども、その民主的な立場に立つてそうした自主的な行動を容認しているという反面、非常に放縦に流れるということは、食わんがために価格を引下げたりあるいはまた違つた立場の個人的な政治折衝をしたり、非常な闘いがあるわけです。その闘いの結果というものは、勢いやはり国内生産者響きを与えて来る。そこでぼくらも現地行つてよく見たりあるいは懇談したのですが、そういう営業的な面でなくして業者業者との間に対する統制――統制という言葉は強くなりますが、指導的なものを政府が持つて行かないと、世界の国際的な一つ資本力に圧倒されてしまう。ばらばらになつて放縦的な業者の行為によつて、勢い貿易あるいは国内生産が沈滞して行く。従つてわれわれは計画的な立場に立つて、国と海外市場との立場に立つてこれを推進して行かなければだめだということをよく現地において感じたのでありますけれども、その点一歩を進めて、国の生産あるいは出先貿易業者という面にまで政府みずから大きな配慮を願わないと、ますます不振になるのではないかという感を深くするのでございますが、その点いかがでしようか。
  19. 中野哲夫

    中野政府委員 輸出の場合、またそれに関連する国内の場合も、事商売のことになりますと、つぶれるかつぶれぬかというようなことでありますので、政府法律なりあるいは行政方針なりにおいてかくあれかしと願いますようなことも、現実の場合になるとなかなか守られない場合もございます。さような意味におきまして、今度の輸出入組合法改正におきましても、当該協定が有効に守られぬというような場合には、価格等につきまして、幾ら幾らあるいは数量はこれくらいというようなことの命令を通産大臣から直接出し得るというような規定も設けておるのでございます。その営業の自由に必要以上に立ち入つて拘束を与えるというわけにも参りませんが、制度としては、そこに大きな欠陥を残して、不必要な競争が行われることのないようにいたしたい。もちろんただいま御指摘の点は、法律制度だけではだめなのでありまして、やはり日本貿易業者個々の一種の自覚と申しますか、自制と申しますか、そういう面も促さねばならぬと思います。そういう点両々相まつて、なかなか一挙には改善できぬと思いますが、今後国際経済に伍して行く上においては、さようなダンピング、不当競争等によりまして、日本産業界も不利になり、相手方にも好印象を与えないというような弊害をだんだん直して行こうということに努めたいと考えている次第であります。
  20. 下川儀太郎

    下川委員 計画経済の関連でいろいろ見解の相違もございますが、次は公取委委員長にお伺いしたいのであります。今問題になつております再販売価格維持契約の問題ですが、これについて労働組合厚生部門とか、社会事業関係福祉機関なんかの非常な強い反対があるのでありますが、そういう特殊の社会事業団体とか、労働組合団体というのは、現在低賃金で縛りつけられておるので、何らかの形においてこれを補助機関として、少しでも生活の補いにしたいどいう考え方福祉機関をつくつておりますが、そういう階層に対して、何らかの一つの特例を設けるとか、あるいはまた一つの特殊な考え方で取扱うとかいうような意向はございませんか、その点をちよつとお伺いいたします。
  21. 横田正俊

    横田政府委員 再販売価格のことにつきましては、数回の当委員会または通産との連合審査会におきましていろいろ御意見がございまして、生活協同組合あるいは労働組合共済事業、そういうようなものについて定価が守られるということは不都合ではないかというお話がございました。実は私どもはメーカー側の善処を期待いたしまして特例を設けることはしなかつたのでありますが、あの制度全体をやめるということにつきましては、たびたび申し上げますように究極において気の毒な小売商の最低の利潤を守るために、あの制度はできるだけお認めいただきたいと思うのでございます。しかしただいま申されましたようなことで、多少考慮を要する面もございますので、これに適当な修正が加えられますことに対しましては、私といたしましても決して異存はありません。
  22. 下川儀太郎

    下川委員 するとそういう場合には一応考慮することになるものと了解いたします。  次に現在の調整組合の実情をひとつこの際お伺いしておきたいのであります。
  23. 横田正俊

    横田政府委員 特定中小企業の安定に関する臨時措置法の施行状況につきましては、実はあれは通産省の方の所管になつておりまして、公取委といたしましてはあの組合の決定いたしますいろいろな事項についての認可に対して同意をいたすという形で関与いたしておるのであります。現在相当数の組合ができておりますし、またその組合においていろいろ遵守すべき事項を定めまして、かなりの効果を上げておるように認めるのでありますが、またその後の事情の変更によりまして一旦きめました事項をまた変更したりいたしまして、相当の効果を上げておるようには思われますが、しかしこれは指定されましたすべての業種について非常にいい結果が出ているというふうには必ずしも考えておりません。あるいはまた中には指定されつ放しで、組合結成のないものもあるようであります。御承知のように、あれは議員提案の法律でございますので、またあらためて適当な改正を加えるというようなことで、たしかすでに改正案の提案もされておるようでございます。これにつきましては、われわれといたしましても若干の見解を持つておりまするが、全体といたしまして、あの制度はまだ多少改正すべき点があるといたしましても、相当の効果を上げておるように私は見ております。詳しいことは通産省の方からお聞取りを願いたいと思います。
  24. 下川儀太郎

    下川委員 通産省の方から御答弁を願います。
  25. 中野哲夫

    中野政府委員 中小企業安定法に基きます施行の事務は中小企業庁で所管いたしておりまして、あいにく本日出席いたしておりませんが、あの法律に基く審議会に私も委員の一人として入つておりますので、随時会議に出ておりますが、絹織物、綿織物、染色加工、マツチその他の品目につきましては、それぞれ地域的あるいは全国的な、あるいは連合会形態の調整組合ができております。あれは御承知通り調整組合をつくるということの認可と、その調整組合において操短その他の調整規定をつくるという認可と二段にわかれておりまして、組合結成は特に当該業界といたしまして、たとえば綿織物業界などにおいては特にその必要がございますので、おおむねその設立を終りまして、最近においては第二段の調整規定の内容をきめるという段階に進んでおります。組合をつくることは比較的楽なのでありますが、調整規定の内容でどれくらいの操短にしたらいいかというようなことは、それぞれ原料の手持ちの関係、各中小企業者間でも機械の操業割合も違います。あるいは売り先が安定しておるところとそうでないところ、資力の多いところと乏しいところと、いろいろな利害関係もあるようでありますので、組合をつくるときに比べますと、その実体的な調整規定をつくることについては、十分組合員の間で論議も重ね、研究もいたし、数字にわたる問題でございますから、必ずしも容易ではありませんが、全般的に見ますると、われわれから見ても、調整規定を早くつくつて業界の安定をはかつた方がいいのではないかと思われる業界につきましては、目下順設に進んでおります。ただ調整組合をつくる、あるいは調整規定をつくる、その認可等の手続、これは組合内部の手続もございますし、対官庁との手続関係も奉りますが、かなり現行法においては手続面においてこまかにむずかしく規定してあるので、もつとやりやすいような形にしてくれというような要望が相当強いのでありまして、そういう点を勘案してただいま議員修正の形で調整組合を一層強固なものにいたし、また機動的に活動ができるという仕組みに法律改正が進められておる、こういう状態であります。
  26. 下川儀太郎

    下川委員 そうすると今度の改正で調整組合意味がなくなるような気がいたしますが、それによつて大企業に圧迫を受けるというようなきらいはございませんか。
  27. 中野哲夫

    中野政府委員 調整組合をつくりましたのは、大企業に比べまして数も多いのであります。数が多いということはいわゆる約束だけの協定だけではむずかしいので、やはり一種の法人格を持つておる組合をつくつて、定款、規約あるいは調整規定で守るという方がより強い団結の協定ができる、こういう趣旨でございます。なお調整組合につきましては、たしか調整組合員について金融上の特別の措置をつくろう、これは独禁法に基くカルテルにほそういう特権はないのでありますが、そういう道も中小企業庁で開きましたし、何かと調整組合によつた方が便利であるということを今後とも通産省として考えて参りたい、かように考えております。なお中小企業者といえども、会社の合併とか、あるいは営業の譲り受けとか、あるいは持株の点あるいは実害を伴わない販売会社をつくるとかいうような点については、大企業並に今度の独禁法改正を、広く利用できるわけでございまして、それ以上に中小企業安定法においては、調整組合を援助いたす形で行政をやつてつて中小企業者の強化及び独禁法による不必要な競争の排除というようなことを考えて、適切なバランスをとりたい、こういう考えでございます。
  28. 下川儀太郎

    下川委員 そのように考えるとか、あるいは考慮するということで答弁されておりますけれども、それが具体的にその実際に当つたとき、どういうふうな解決をするとか、どういうふうな決定をするかということが大きなポイントになるのではないかと思うのです。この点に関しては、具体的な実情に即してみなければわかりませんが、往々にしてそれが逸脱される場合が多いと思うので、今後の動きを見てわれわれは批初しなければならないのでありますが、大体この辺で終りたいと思います。
  29. 栗田英男

    ○栗田委員 経審長官にお尋ねしたいのです。今の下川君の質問と関連するのですが、再販売価格の維持契約というものが非常に問題になつておりまして、今下川君の指摘したように、消費組合あるいは共済組合、各大工場の消費組合等は、この数十万の小売業者主張に一致して反対をしておるというような状態でもあるし、この問題は先般朝日新聞の社説にも取上げられたようでありますが、この点に関して経審長官はどのような考え方を持つておりますか、お伺いしたい。
  30. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 考え方はさつき公取委員長がお答えしたことと同じでございますが、経済審議庁のこれに対する考え方政府委員に答弁してもらいます。
  31. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 ただいま長官から申し上げましたように、結局これは両方の利害の調整の問題でございますが、定価売りの問題は、小売業者あるいは卸売業者――販売業者のマージンを厚くするか、消費者団体の方に利益を与えるか、どちらをとるかということでございます。その他、商品間におきまして自由な競争が行われることが前提になつておりますので、一般的に消費者あるいは消費者団体利益を阻害するということには相ならないのではないか。競争がありますれば、ほかのよりよい、しかも安い商品の方に消費者が向くこともできますし、またそういう商品でなければ独禁法の除外の問題にもなりませんので、結局全体の数あるいは業態等から申しまして、小売業者あるいは零細な卸売業者等の利益を守つて消費者利益との調和をはかつて参るということが、この原案の考え方でありまして、こういうかつこうで進むことしか考え方はないのではないだろうかと考えております。
  32. 栗田英男

    ○栗田委員 権田さんにお尋ねいたしますが、今下川君の御質問で、この再販売価格の維持契約に対しましては考慮するという御意見のようでしたが、この点どういうことなのか、もう一回お聞かせ願いたい。
  33. 横田正俊

    横田政府委員 先ほど申し上げました趣旨は、この制度は維持しながら、消費組合、生活協同組合、あるいはその他の関係については、何か適当な適用除外というようなことで、大分複雑になりますが、適当な線でそういう特殊の関係についつは別な値段で売れるということを法律上はつきりさせることも、一つの方法ではないかというふうに考えたわけでございます。この点は、つい最近すでに議会方面にも出ておるかと思いますが、全国小間物化粧品小売組合連合会、財団法人日本商業会、日本化粧品工業連合会、東京化粧品卸売商同業会ですか、これらからいろいろ陳情と申しますか、意見の開陳が、ございまして消費組合の目的との調和についても非常に考慮しておるようであります。この中でも、問題は根本的な問題を含むゆえに、その解決は困難であろう、しかしこの業者の連中も、一切の努力を払つて現実的な解決点を見出さんとしており、さらに消費組合の本来の目的に沿う発達に資するため協力したいと思つているというように書いてありまして、こういう点についつは、こういう人々も相当理解は持つておるようでございますが、ただ先般私が申しましたように、それを一切メーカー側の良識にまつということで足りることか、あるいはもつと注文の中で、そういう特殊な関係については、再販売価格の維持を押えても別な値段で売れる、拘束されないという趣旨規定が、もしうまく入れば修正案の形で入れられるのではないか。こういうことでございまして、実はまだ私の方で具体的にこういう案というところまでは考えておりません。先ほど申し上げましたのはそういう趣旨であります。
  34. 栗田英男

    ○栗田委員 待望の通産大臣が現われたので、一点質問をいたします。  例の認可と認定の問題ですが、これは閣議の模様を漏れ承りますると、通産大臣の大演説の結果、通産大臣認可をするというようなことを私は聞いておつたのですが、その間の経過と御信念をきわめて簡単に御説明願いたい。
  35. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 別に大演説をやつたわけでもなかつたのでありまして、そうならなければならぬということを私は述べただけであつたのであります。御承知のように不況カルテル合理化カルテルというものは、業界全般に対する不況対策あるいは合理化対策の一部として考えられますので、従つて当該産業を主管しておる主務大臣がこれをやるということが一番実情に適するということは、これは栗田さんもよくおわかりだろうと思う。従つて行政措置に関する責任者である主務大臣が権限を持つのもそういう点からでございますが、しかしこの独禁法というものがあの占領行政の一つの体系下に行われたというような関係上、反カルテル政策の一つとし処理されて来て、そして今の公取の方でやつておられる。しかし公取の方としましては、ああいう立場から、これが違法性であるかどうかということについては、非常におなれになつておることであるし、一般もごらんになつて、その違法性の有無ということについてお調べになるのにしごく適当であるというのでありまして、一口に申しますと、行政運営の円滑をはかる意味で公取の方の認定を経て主務大臣がこれを認可するのが一番実情に沿う、かように考えておる次第であります。なおその間に、初めは双方かれこれの意見はあつたかもしれませんが、最後におきましては渾然と一体となつて一致したことは、もうここで申し上げるまでもないことでございます。さらにどれを重しとするかというお話でございますれば、どちらにも軽重をつけておりません。一体となつて処理をする次第でありますから、その辺もよく御了承願いたいと存じます。
  36. 栗田英男

    ○栗田委員 これは私の考え方ですが、この独禁政策の一番重大な問題は、カルテル認可の問題だと思います。おそらくこれが独禁法のバツク・ボーンじやないかというふうに私は考えます。しかもこれを施行する上に、独立官庁としてこの公取委員会というものが、できておるのでありまするから、私はこの認可権なり認定権というものは、当然主務官庁がこれに入り込まずに、公取一本で行くということがすつきりもしておるし、法体系から行きましてもこれが私は正しいのではないか、かように考えておるのですが、この点通産大臣からひとつお答えを願いたいと思います。
  37. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これは言葉は少し率直過ぎていかぬかもしれませんが、やはり産業の実態を把握しておるものでないといけない。これが不況対策になるか、あるいは合理化対策になるかという認定といいますか、許可等について、実情の把握は、何といつても主務大臣であると思うのであります。しかし法律その他については、大体裁判官御出身の人が多い公取がその違法性の有無等についてよく判断をされて、それに基いてやれば、両々相まつて最もよいと思うのでありまして、どちらか一方にするということについては、私どもは多少欠点が出るのではないかと思う。イギリスあたりの例で言うならば、ほとんど委員を任命するのは商務省であります。従つて商務大臣の方ですべてをやつておりますが、しかしそういう式よりも、やはり独禁法の制定された当時の趣旨を生かして、両々相まつて行くということが日本の実情に最もふさわしいのではないかと考えておる次第でございます。
  38. 栗田英男

    ○栗田委員 私はこの認定と認可に非常に疑問がある、ということはどういうことかというと、今両々相まつてやるということを言われておりますが、主務大臣は、公取が認定をしなければもちろん認可を与えないのでしよう。そうしますと、通産大臣認可基準というものはこの法案には全然盛られていないのです。何が盛られてあるかといえば、この法案に規定されているのは、公取の認定基準しかない。従つていくら通産大臣認可をしようと思つても、公取が認定を与えないければ認可はできないのです。従つて両々相まつてということを言うけれども、実際この法案の趣旨からいうと、通産大臣はなるほど認可ということは言えるけれども、実際問題としては、ただ判こを押すだけで、通産大臣はこれに対して何ら権能がないというふうな考えを私は持つておるが、この点に対してはどうですか。
  39. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私どもはさように思いません。つまり不況対策として適法かどうかということについての通産省意見を申しますから、その意見等に基いて、公取の方で適法かどうかということを考えられる次第でありまして、つまりその所管省の主務大臣の意見というものが相当重きをなすことは当然であります。しかしその認定がない場合には認定なきものを許可することはいたしません。けれども、今の両々相まつてという言葉は少し不適当かもしれません。むしろ渾然一体となつて、こう言う方が一番適切な言葉ではないかと思います。
  40. 栗田英男

    ○栗田委員 渾然一体ということですが、私は他の法案の関連性というものを見ましても、この十一条を見ますと、これは今の株式の取得の制限の場合等におきましても公取が認可をする。しかもこの場合に、大蔵大臣と協議をするということなんですが、これは今のように、特に行政事務に通暁しておる通産関係の仕事をやるというときには、公取が協議をし、あるいはそれを尊重して、この関係官庁の意見を十分に取入れたならば、ちようど今大臣のおつしやつたような渾然一体となると思うのであつて、これは一向さしつかえない、むしろその方がいいと私は思うが、その点はどうですか。
  41. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 遺憾ながら私は御同意いたしかねます。私どもの原案が最善のものだと信じております。
  42. 栗田英男

    ○栗田委員 今通産大臣はイギリスの問題を説かれたようであります。特に閣議においてもイギリスの問題を大分御主張のようなことを私ども聞いたのですが、イギリスやアメリカのことを引合いに出されることもけつこうなことですが、これは日本独禁法なんだから、あくまでも日本的な考え方のもとにこれは改正してもらわなければならぬと思う。そこでイギリスの場合には、石炭なりあるいは銀行なり鉄鋼とかいうものは、非常に社会化が進んでおつて日本とは大分情勢が違う。アメリカ、イギリスの場合においては私的独占の幅が日本に比較して非常に少い。そういう点から言つて、イギリスがこうだから日本もこうだというようにすることは適当でないと私は思う。そういう面において、独禁法の四十条の規定にも、公取は調査をしようと思えば幾らでも調査できる権限を持つているのですから、公取さえしつかりしていれば、主務官庁に伺つて、こういう資料を出せとか、主務大臣の考え方はどうだということで、どんどん連絡をとつて、適当な処置が幾らでもできる、かように考えているということと、もう一つ非常に心配をすることは、こういう経済憲法的なものの中に、主務大臣が特に入つて来ると、認可権の上で政党なり財界の圧力によつてこの認可が非常に左右されるじやないかというようなことを心配するのでありますが、その点いかがですか。
  43. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 もちろん今度の独禁法改正日本独自の考え方考えているのであります。イギリスの例を申しましたのは、そういうことをやると、ガツト加入等にさしつかえないか云々というようなお話がございましたから、さような心配はいらない。これは現にガツトに加入しているイギリスでもそうじやないか、また西欧諸国もそうじやないかということを話したのでありまして、これはたまたま例として話したので、何もイギリスにならつてこれを出したのではございません。またならえばもつとゆるやかなものになるでありまして、これがならつたのでない証拠は、日本独自のものであるということでよくおわかりになると思います。  なお、今産業についてのお話がございましたが、あるいはそういうふうにお考えになるかもしれません。何と申しましても、やはり平素から産業に関係しており、またこれをおあずかりしているものが一番よく承知しているのであつてちようど法の解釈その他につきまして公取の委員の方が一番よく御存じになつていると同様であります。従いまして、今言う通り、やはり渾然一体となつてこれを処理して行くということが、日本独禁法に一番ふさわしいと考えております。
  44. 栗田英男

    ○栗田委員 ただいま私が特に大臣にお答えを願いたいと思つたことは、主務大臣がこういう中に入つて来ると、時の政界あるいは財界の圧力によつて左右されるのではないかということを私は非常に心配していることと、特に今までは行政措置によつて操短カルテルなり価格カルテルをやりました。たとえば綿紡であるとか、あるいは過燐酸石灰とか、あるいはスフであるとか、自動車タイヤの価格協定であるとか、あるいは最近の硫安の問題であるとか、これらはことごとく通産省の行政指導が失敗していると私は思つているのであります。この点あわせてお答えを願いたいと思います。
  45. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今御懸念のような点は、私どもは万ないことと思つております。私どもは一部の業者のために動かされるようなことは断じていたしません。日本の財界のため必要に応じまして、その時のよろしきを制するようにやるのでありまして、この点に対しましては、今後とも法の運用上万遺憾なきを期することをかたく申し上げておきます。  それから操短その他は失敗じやないかというような仰せがございましたが、これは御承知のごとく、あの時分の綿紡の操短につきましては、あのときの綿業界状況等をごらんくださいますと、これが失敗でなかつたということはよくおわかり願えるじやないかと思います。  なお硫安その他につきましては、何も私の方から特に申しておるのではございません。それから自動車タイヤ過燐酸等については、私ちよつと実情を存じませんから、栗田さんにもし必要あれば、事務当局からお答えいたさせます。
  46. 中野哲夫

    中野政府委員 自動車タイヤと申しますか、ゴム製品につきましては、昨年綿紡の勧告操短から少し遅れまして、通産省で内容は非常に大まかでありましたが、市場の安定のために、御承知通り、ゴム等の輸入を非常に促進いたしまして、在庫が非常に豊富になつて、先行き非常な値下りの危険、混乱の危険がありましたので、勧告操短も数箇月継続いたしました。その際も、私の了解では、公正取引委員会とも打合せは遂げまして行いましたが、間もなくその必要もなくなりましたので、これをとりやめた次第であります。
  47. 栗田英男

    ○栗田委員 今の自動車のタイヤの問題ですが、これはしさいに検討してみますと、通産省業者とのなれ合いが――これは偶然かどうかわかりませんが、非常に一致をしておるという事実があるのであります。たとえば数量においても価格の点においても、通産省考えておつたことと業者が相談しておることとが、まつたく同じであつたこと、あるいは調査官の任命方法等が、たまたまその会合に出席した者を、そつくり通産省が調査官に任命した、このような非常にぐあいの悪い事実が私の調査では出て参りましたので、特にこれが指導にあたりましては、こういう点が業界から誤解のないようにお願いをいたしたい。
  48. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今栗田さんの言われたようなことがもしありますれば、それは偶然であつたかもしれません。今後の運用につきましては、さような遺憾のないように十分いたします。
  49. 栗田英男

    ○栗田委員 今通産大臣からそういうお答えがありましたが、公取委員長はこういう事実を知つておりますか、あるいはそういうことを聞いたことがあるか、卒直にお答えを願います。
  50. 横田正俊

    横田政府委員 ゴムタイヤの問題につきましては、委員会において事件として取上げ、すでに審判をいたし、同意審決でありますが、審決をいたしておりまして、その間に多少今申されたような点が見られたようでございます。
  51. 秋田大助

    ○秋田委員 経審長官お急ぎのようでございますから、先に経審長官に一、二お尋ねいたします。  不況カルテルを容認する規定が二十四条の三に提案されたわけでありまして、趣旨として私どもけつこうだと思います。それで不況カルテルを容認するときの認可権の問題について多少われわれ異論がありますので、その点繰返しの形になりますが、経審長官にお尋ねいたしたいことは、この不況カルテルを認めようという提案をされた以上、やはり時局に対してこれが必要性を認められたんだろうと思う。そこで不況カルテルの容認を求める申請が相当出て来るんじやないかと私は思いますが、どうお考えですか。
  52. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そうたくさん出て来るような情勢でもないと思つております。
  53. 秋田大助

    ○秋田委員 あまり出ては困るのでありますが、しかしやはり私は相当出て来るのではなかろうかとも思います。少くともこれを政府が提案をされたゆえんのものは、時局が相当不況の過程に入つておるという認識があればこそ、必要性を認めてこういうものを出して来られたんだと思う。この独占禁止法の改正ということは、去年、少くともおととしの末ごろから相当やかましく言われておつた、要するにそのときから、もう必要性のあつた状態であつたとわれわれは考える。ところが自由党の第三次吉田内閣のときでありましたか、池田前大蔵大臣は、これは深刻な不況じやないんだ、インフレ経済から安定に至る過渡的な状況であるというようなお話があつた、その認識と、この法案に不況カルテルを盛られて来たときの日本経済に対する認識とは多少違つておる。いまさら私はこの点を政治的に追究するのではないのでありますが、その点に関連して経審長官としてあなたの御意見をお伺いしたいと思います。
  54. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 非常に経済の変動がはなはだしいので、この必要性はむしろ過去の一定時期に非常にあつたと思うのですが、こういう改正がなされていなかつた、従つて業界の実情に応じて、何らか産業官庁がこれに対処しなければいかぬということが、この間ごろから問題になつた。いろいろな勧告とか指導の措置が、その必要性によつてとられたのですが、これは先ほどから問題になつておりますように、やはりいろいろな問題があり、こういう変動に対して対処し得るように、この法律にもいろいろ弾力性を持たせておかなければいかぬということで、過去の経験等からこの改正がどうしても必要になつた。どころが先ほど申しましたように、景気の変動がいろいろございますので、きわめて悪くなつたときと同時に、少し小康を得て来るという時期がございまして、ちようど現在は昨年のいろいろな行政措置によつて若干小康を得たというようなときにぶつかつておりますので、この法律改正によつて急速にこのカルテルの申請が出て来るとは思いません。しかし経済の変転によつてそういう時期というものも日本経済の特質から十分予想されますので、そういう意味で将来そういう問題のときに、政府が違法性の勧告をしたり、独禁法違反の行為をするということのないように、ここに一つの道をあけておこうというのが今度の改正案趣旨ということで、経済認識においては過去に今よりももつと必要があつた時期はあるのですが、現在はそういう意味ちよつと小康を得ておる時期だと考えております。
  55. 秋田大助

    ○秋田委員 この独占禁止法の目的が日本の経済の健全な発達を期するということにあることはもちろんでありまして、この目的を達するために独禁法が主要な役割をしておるわけでありますが、しかしこの独禁法というものはやはり取締り的な性格が多分にあるのであります。事が起つてからの措置でなしに、むしろ政治の要諦はそういう事態を起さないようにすることにあるのであります。従つて独禁法の根本的あ趣旨を達成するためには、独禁法の底にある政府の一般経済財政政策の性格、方向というものがより重要あ問題であるということが言えると思う。そこでわれわれはこの独禁法考えるときに、この改正条文考えると同時に、その底にあるところの政府の経済財政政策というものをやはりいつも考えて行かなければならぬ、これだけで事は済まあい、これはお認めになると思う。そこで問題になつております綿紡の実質的操短カルテル通産省が勧告されというような事態を引起した点に、私は政府の財政政策の責任があると思う。けれども私はその点をここに今追究しようというのではないのであります。経審長官として日本の今日の経済を認識される場合に、単純な自由経済政策で行かないということをお認めにあつておるかどうか。ことにこの独禁法改正にあたつてその必要を痛感されておるだろうと思う。その証拠には数日前水田長官は長期の経済計画を作成したいというようあことを言われた、まさにわが意を得たと私は考えておる。社会党の諸君、あるいは共産党の諸君は、この独禁法の基盤として社会主義の経済政策を必要とすると力説されるだろうと思う。われわれはそこまでは考えていない。また現在それが日本経済のためになるとは考えない。けれども少くとも長期にわたつての見通し図、計画図だけは絶対に必要だ。その大わく、大方針に従つて業界を指導されることが必要だ。それが欠けておると、これをいくら考えても何にもならない。独禁法をいかに改正しようと、何にもならないという感じがするのであります。その点長官の忌憚なき御抱負をここに承りたい。
  56. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 お説の通りでございまして、産業政策に関しましては、それこそ国会で小笠原大臣の大演説がございましたので、この演説の趣旨に沿つた政策を遂行したいと思つております。そうして、長期の計画という銘を打つたものをつくることはなかなかむずかしいのでございますが、現状を基礎にして、将来起り得るいろいろな要素を考慮して、相当長めの構図というものを持たなければならぬことは確かでございますし、この点に関しましては、衆議院におきまして議決となつた事項でもございますので、長めの見通し、それによる構想というようなものは、さつそく全力をあげてりつぱなものをつくり上げたいと考えております。
  57. 秋田大助

    ○秋田委員 長官は、ほぼわれわれの考えるところに接近しておられるようでありまして、大いにわが意を得ておる次第でありますが、しかしながら、やはり全般的に施政方針の質疑等において吉田首相の言われること、ないしは通産大臣の言われておることは、公開の席上でかた苦しくなると、どうもわれわれの考えとは大分違うように思われるのでありますが、どうぞ水田君は、今度閣僚の席を占められたのでありますから、大いにひとつ活躍されて、自由党の経済財政政策を、われわれの言うように移すように御努力を願いたい。これが実際独禁法趣旨を貫徹する上において、私は根本的に必要なことと思いますので、申し上げる次第であります。
  58. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 きよう不信任案が通らない以上は、御期待に沿いたいと思います。
  59. 秋田大助

    ○秋田委員 続いて通産大臣にお伺いいたします。先ほど通産大臣は、栗田君の質問に対しまして、公取と主務大臣とは、渾然一体になつて行くのだ、こういう御答弁でありました。そこで、その点やや疑問を持ちますのでお尋ねするのでありますが、通産大臣にお尋ねする前に、その点をはつきりさすために横田さんにお尋ねいたしたいのであります。二十四条の三で、不況カルテルを容認する場合には、認可と認定と相まつて、まさに通産大臣の言われるような渾然一体の形になつております。これが渾然一体であるかどうかということの実質については、私は異論がありますが、とにかく形はそうなつております。ところがこれが取消す場合、二十四条の三の第五項でございますが、大臣だけで認可を取消すことができるのでございますか。
  60. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これは大臣だけでできることであります。それはいわゆる不況カルテルあるいは合理化カルテルというものは、例外的にこれを認めようというのでありまして、認めるときには、ほかへの影響等も十分考慮しなければなりませんので、きわめて慎重を要して、一体となる必要があるのでございます。この問題はやはりこういうふうになつておりますが、この第四項に「次項の規定による処分をしようとするときも、同様とする。」ということになつておりますから、やはり同様になつております。
  61. 秋田大助

    ○秋田委員 横田さんにお尋ねいたします、が第六項で「公正取引委員会は、前項の規定による処分をする必要があると認めるときは、主務大臣に対し、当該処分をすべきことを請求することができる。」これは三十日たつと効力が発生するという御説明でありましたが、そうするとこれは主務大臣と関連をどこでいたすのでございますか。
  62. 横田正俊

    横田政府委員 その点だけが条文で見ますと、委員会の見解と主務大臣の見解とが異なりました場合に、一月たつと独占禁止法の適用除外の効力がなくなる。この点は法文上から見ますと渾然一体でないような形になつておりますが、この点もいつかの委員会で申し上げましたように、こういうような当該処分の請求をいたします場合には、あらかじめ諸般の事情を十分考えまして特に主務大臣の意見等ももちろん考えましていよいよいけない場合にこの規定が発動することになりますので、法制的に申しますと、渾然一体とは申せませんけれども、実際の取扱いにおいては、あまり意見のはなはだしい食い違いはないだろうと考えます。
  63. 秋田大助

    ○秋田委員 それではそのあとの第十項でございますが、「第二項又は第三項の認可に対して不服がある利害関係人は、認可があつた日から三十日以内に、その旨を記載した書面をもつて公正取引委員会に不服の申立をすることができる。」そうするとまた十一項、十二項と続いて行きますが、この十項から十二項までを見ますと、最後に主務大臣がちよつと顔を出していますが、十二項で、「主務大臣は、前項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、その決定に従い必要な措置を採らなければならない。」必要な措置というのは主として事務的な措置だと私は解釈しますが、遅滞なく主務大臣はその決定に従う。そうすると、これはや仕り渾然一体でなく、公正取引委員会の権限が強いと考えますが、この点横田さん及び通産大臣、おのおのの御意見を聞きたい。
  64. 横田正俊

    横田政府委員 この点は、今御指摘になりました通り公正取引委員会の決定によつて通産大臣が適当な処置をされるわけでございまして、ここは渾然一体になるわけであります。
  65. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今横田委員長説明通りでございます。
  66. 秋田大助

    ○秋田委員 どうも、少くとも私のお尋ねしたところによりますと、法の形式上完全に渾然一体になつておらないところがあるように思われます。私が想像いたしますに、通産大臣認可を与える創設的な場合と、与えたものを取消す場合とは多少違うというような認識から、こういうふうに違つてもやむを得ないと、あるいは弁解されるかと私は先まわりに想像いたしますが、私は新たにカルテルを認容する場合の考慮と、それを取消す場合の考慮は同じような重要度を持つておる。ここに違いが出ておることはおかしい。そこにこの法律の欠陥もあるし、政府部内の不統一もここに現われておるし、ここに政府と公取との苦悶の象徴が出ておる。ここをひとつ掘り下げて通産大臣に御一考を煩わしたいと思う。また一般論にまで立ち返るわけでありますけれども、そもそもこの独禁法の根本趣旨が、生産業者消費者との利益の調節をはかつて、わが国民経済の民主的で健全な発達を促進するという目的のためには、これが消費者一本にかたまつてもいけないことだし、事業者一本にかたまつて、イデオロギー的に両々対立することもいけない。ここを渾然一体をはかる必要がある。それがためには、これはどこか一点で調和をさせておかないと、二つの対立機関を置くということはよろしくない。それで公正取引委員会に対する財界側の非難をわれわれは耳にしておる。しかし私はこの非難は当らないと思う。この改正法律案の前の現行独禁法ならば、法それ自体が厳格なのでありますから、これは甘く解釈できない。公正取引委員会としての今までの立場は当然のことだ。もし公正取引委員会に対する非難があるといたしましても、その非難は公正取引委員会に当るべきものでなくて、法自体の欠陥である。法自体の欠陥を見ずして、現われたところの公正取引委員会に当つて非難が行つておるというのが、私は今までの実情であると思う。だからこの改正法律案でこの不況カルテルを認めるとか、合理化カルテルを認めるとか、トラストに至るところのいろいろの予防規定を緩和するとか、業界の要望も入れ、実情に沿うたところの規定をいたしまして、この消費者と事業者との利益の調和をはかり、渾然一本化せしめて、日本の経済の健全な発達をはかるためには、一本になつた、その中立性を持つた、ニユートラリテーを持つたところの機関が当るのが当然である。公正取引委員会のメンバーは法律、経済両方にわたるところの学識経験者もおられるのでありますから、この規定が健全に円満に実情に沿うようなものになつたならば、その上でなお公正取引委員会が不当なとは言い過ぎでありましようが、妥当な、適当な、適正な、措置ができないはずは私はないと思う。日本の今度の改正独禁法が、西南ドイツの、あれはまだ法律にはなつていないと聞いておりますが、あの改正案趣旨によつておるとするならば、この認可権はたしかカルテル局というものがあつてカルテル局で認可ができるようになつておると聞いておる。まさにこれはこの趣旨から行くならば、公取委員会にまかすべきものである。これの方が早く行くのです。二つ意見が対立した場合に一体どうなるか。また十一条の規定においても公正取引委員会に申請するようになつておる。こういう点を見ましても、公取に認可権を与えようという意図がほの見えておる。そこがまた二十四条の三では主務大臣になつておる。これはどうも平仄が合つておらないと思います。ひとつ通産大臣はお考え直しになつて、この点を譲られて、一本にされるお考えがないかどうか、ひとつ意見を伺いたいと思います。
  67. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 御意見はよく承りましたが、さような考えは持つておりません。原案をもつて最善最良なりと信じております。
  68. 遠藤三郎

    遠藤委員長 内田常雄毅。
  69. 内田常雄

    ○内田(常)委員 私はごく簡単に最後の一点だけお伺いいたしたいのであります。罰則でありますけれども、八十九条の第二項というものを今度の改正で置かれでおります。つまり未遂罪を処罰する規定であります。今回この法律改正案におきまして、カルテルについては主務大臣の認可を受ければその結成ができるということに改められております。「共同行為をしようとするときは、主務大臣の認可を受けることができる。」こういたしたのであるから、そうするとこの未遂罪の適用上、認可を申請してもこれが認可なつたときに、業者カルテル結成の主観的意思と、数業者相提携して客観的にもカルテル結成する準備をいたしておるのでありますから、認可なつた場合には未遂が成り立つ、こういうようにも思います。昨日の公聴会でも業者方面からこの心配が開陳されておりましたが、これはどのように解釈すべきであるか、あるいはこの法の改正漏れであるか。
  70. 横田正俊

    横田政府委員 その点はかつて、たしか物価統制にから見まして同様な問題を考えたことがございます。今回のように二十四条の三において、ある範囲においてカルテルが認められるということになりますと、その認可の前提として、事業者が集まつていろいろな案を練るということは、それ自体違法性がございませんので、かりにその後に認可申請をいたしまして認可がおりましても、それは刑罰の対象にはならないというふうに考えております。ただ初めから認可のないことがわかつてつて、ただ名を認可申請にかりて話合いをしておるという場合、または認可なつた、不認可なつた後もそういう活動が続いておるという場合は、そこで問題になるわけであります。まじめに認可申請をいたしまして、その前提としていろいろ考慮いたしましたものは、決して刑罰の対象になるとは考えていないのであります。
  71. 内田常雄

    ○内田(常)委員 私もいろいろ他に伺う用意をいたしておりましたけれども、おおむね他党の同僚の諸君からの質問とそれに対する応答で尽されておりますので、私の質問はこれで打切ります。
  72. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これにて私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案及び同法施行法案に対する質疑通告者全部の質疑は終りました。よつて右両案に対する質疑はそれぞれ終局いたしました。  次会は明後十六日、午前は右両案に対する各党の態度を御決定願い、午後一時より委員会を開き、両案の討論採決を行いたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十八分散会