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1952-12-09 第15回国会 衆議院 経済安定委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月九日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 遠藤 三郎君    現事 福井  勇君 理事 前田 正男君    理事 吉川 兼光君 理事 下川儀太郎君       加藤 宗平君    小林 絹治君       横川 重次君    秋田 大助君       千葉 三郎君    三浦 一雄君       志村 茂治君    八木 一男君  出席国務大臣        国 務 大 臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済審議庁調         整部長)    岩武 照彦君         総理府事務官         (経済審議庁計         画部長)    佐々木義武君         総理府事務官         (経済審議庁調         査部長)    須賀 賢二君  委員外出席者         農 林 技 官         (農地局計画部         資源課長)   伊藤 茂松君         建設事務官         (河川局次長) 伊藤 大三君         建設事務官   青木 義雄君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  電源開発に関する件     —————————————
  2. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  それではこれより電源開発に関する件を議題として、その調査を進めます  本件について、政府当局よりその説明を求めます。佐々木政府委員
  3. 佐々木義武

    佐々木政府委員 電源開発促進法が去る七月三十日に設立されまして、その法の施行に関する責任を、経済審議庁といたしましては法の趣旨に従いまして持つておりますので、法令施行以来の経過並びに現状を御報告申し上げたいと思います。  この前に資料をお配りしてございまして、電源開発促進法施行後の主要業務進捗状況という表と、それから電源開発調整審議会委員及び幹事名簿、それから電源開発促進法に関する法令集、それから電源開発基本計画策定方針、並びに法に従いまして公に官報に発表いたしました事項、それから昭和二十六、七年度電源開発資金供給実績及び見込み並びに昭和二十八年度暫定見込みという表をお配りしてございます。きようはそれに引続きまして、この前に三浦委員から御要求のございました審議会決定事項の表をお配りしてございます。なお審議会速記録の件でございますが、速記録の件に関しましては、まだ資料も整備しておりませんし、審議会具体的内容につきましては公表しておりませんので、もし今後の運用上非常に障害があつたりするといかぬという考えもございまして、できましたら配付は御猶予いただきたいというふうに考えております。きようはただいままでお配りいたしました資料に関しまして、その後の経過とあわせて御説明申し上げたいと思います。  電源開発促進法の成立いたしました以降、作業の手順と申しますか、仕事が二つにわかれまして、法の内容にもあります通り、第二章が電源開発調整審議会のこと、第三章が電源開発株式会社のことをうたつておるのでございますが、電源開発株式会社創立事務に関しましては、主として通産省の方が主務官庁でございまするので、これを主管いたしまして、そうして八月以降数回にわたりまして創立委員会を開きました結果、九月十六日に電源開発株式会社を設立したわけでございます。その電源開発株式会社の設立に至る創立事務経過は、一応省略させていただきまして、経済審議庁といたしまして主として担当いたしました電源開発調整審議会のその後の進捗状況を主といたしまして、御説明申し上げたいと思います。  まず初めに、電源開発調整審議会を運営いたします際に、二つ政令がとりあえず必要でございましたので、この電源開発促進法に関する法令集という中の最後にあります電源開発促進法施行令、並びに電源開発調整審議会令という二つ政令を、八月二十二日付をもつて公布してございます。電源開発促進法施行令の問題に関しましては、内容は、法の第三条にあります基本計画を公布して、その公布に対して意見のある者は意見を申し立てろということになつておりまして、基本計画内容並びに公表手続等政令にゆだねたのであります。その点を規定したのが促進法施行令でございます。もう一つは、電源開発調整審議会令でありますが、これの特色と申しますと、審議会法形式といたしましてはあくまでも諮問機関ではありますけれども、この審議会の精神といたしましては、一種決議機関あるいは調停機関というふうな任務を持つておりますので、その実を実際的に上げる意味におきまして、第二条に議事の運用規定を設けました。読み上げますと、「審議会は、議題なつ事項を所管する国の行政機関の長たる委員を含み、委員の半数以上が出席するのでなければ会議を開き、議決をすることができない。」というふうになつておりまして、これを裏返しに御説明申し上げますと、たとえば水利権の問題であれば、建設大臣が御出席ないときには、その議決をしてはいけないというふうに規定いたしまして、その議題なつ事項決議を経れば行政処分に付し得るというふうな特殊な規定を設けました。従来の審議会にはこういう規定はほとんどありません。ただ今の外貨審議会、これには、これに準じた同じような規定がありますが、それ以外の審議会にはこういう規定はほとんどないのであります。こういうふうに形式上は、諮問機関ではありますが、問題を決定する際には、必ず決定する事項を、所管する大臣行政機関の長がこれに出席して、そうしてきめるということになつております。きまつた事項はすぐ行政処分に付し得るというふうな体制にしてございます。この点が電源開発調整審議会令の非常な特色でございまして、それだけ非常に実質的にはある一種決議機関あるいは調停機関のような強い性格を持つておる次第でございます。その後の経過を見ましても審議会できめましたものは、大体各省並びに地方公共団体とともに順調に行政事務が進むようになつております。  以上が電源開発調整審議会令に関しましての特色的な部面でございまして、それ以外には部会とか、あるいは幹事とか庶務とかいつたような事項でございますので、取立てて申し上げる事項はございません。  それから審議会は前後五回開いたわけでございまして、この審議会の第一回から五回までの審議したおもなる事項に関しましてお話申し上げたいと思います。  第一回の審議会は九月の十三日に開催いたしまして、この席上では主として電源開発促進法の御説明を申し上げ、それから今申し上げました促進法施行令電源開発審議会令といつたようなものを御説明申し上げまして御了承を得たわけでございます。並びに参議院でこの法案議決する際に、附帯決議が五項ばかりございましたので、この附帯決議の件に関しましても、議会で討議がありました経過を申し上げまして、今後の審議に誤りがないように御説明した次第でございます。それから審議会運用をどうするかという問題がありましたが、その主たる点は、代理者を認めるかどうかという点がおもな点でございましたが、政府の方はあるいは大臣が欠席の場合には次官の御出席でけつこう、代理権は認めるといつたような解釈で済んだわけですが、民間委員に関しましては、学識経験という趣旨本人を選んでございます理由からいたしまして、代理を認めるということは妥当でなかろうということで、いろいろその際議論があつたのですが、特に日銀の一万田総裁あるいは小林中氏等が必ず出る、代理は出さぬということで、本人が出るということで、その問題は解決したように記憶しております。その後の経過を見ましても、委員の方は御出張その他の理由がない限りは必ず御出席をいただきまして、非常に熱心に審議を重ねてくださつております。それから電源開発基本計画策定方針というものをつくりまして、これは第一回の審議会では一応趣旨を御説明した程度といたしまして、次回で御決定することにしてございます。それから公表事項促進法趣旨に従いまして、二十七年度電源開発計画に対して、公表の要がありましたので、公表事項に関しましても一応資料をお配りいたしまして御説明申し上げた次第でございます。第一回はそういう次第でございまして、大体今後の審議会を進めます際の基礎的準備段階という意味で、第一回は決議というものをせずに終つております。  第二回の審議会では主として電源開発基本計画策定方針の案につきまして、いろいろ御討論いただきまして、同時に電源開発株式会社が第一次に着工する地点選定に関しまして、御相談を申し上げた次第でございまする第二回は九月十七日に開催してございます。この際審議いたしました電源開発基本計画策定方針は、きようお手元に資料を配つてございますので、ごらんいただけるかと思いますが、この電源開発基本計画策定方針に関しまして、若干御説明申し上げたいと思います。  第一の長期開発目標でありますが、昭和三十一年度電力需給量をおおむね四百八十億キロワつトアワー、これを確保するに必要な発電のボリュームは四百万キロワつトというふうに一応書いてございますが、これは前議会で御説明申し上げた資料でございまして、その後の情勢を織込み、現在は若干かわつた想定をしておりますが、まだ最終的にきまつたという段階に至つておりません。しかしこの開発目標のままでよいかどうかということはまだ疑問がございまして、目下研究中でありますが、今の考えではこれより相当大幅に事業量考える必要があるのではないかというふうに考えております。その理由はこの開発目標は非常に各産業の原単位をシヴイアにされておりまして、もう一つはいわゆる民需を三十一年、二年になつても今のようにある程度統制して行くという想定のもとにおいてつくつておりますので、そういう考え方を抜きにいたしまして、石炭にかわる良質電気あるいは民需等に対しても、相当豊富な電力を供給するという着眼にいたしますと、この目標が若干かわつて来るわけでございますが、はつきり正式にきまりました際には、あらためてまた御報告を申し上げたいと思います。現在のところではこれは官報公表いたしました目標がこの通りなつておる次第でございます。  次の開発方針でありますが、基本方針の一でございますけれども、まずエネルギー資源という面から問題を考えまして、どうしても水力重点を置くべきだ、火力電気開発に関しては水力電気不足を補うという程度にとどめまして、従いまして火力使用石炭現状の一千トン程度で、今後これを越えない、これをすえ置きにして今後の開発というものをやつて行つたらどうだろう。ただ設備の近代化をはかりまして、わずかの石炭最大の効果を上げるというふうな点は十分考えるべきだろうというふうに考えております。  それから開発資金の効果的な活用の問題でございますが、これは皆さんも御承知のように、電気開発にはもちろんコストを下げる点からいたしますと、金利の問題が大きい要素ではありまするが、もう一つの点は一旦着手した工事は一刻も早くこれを完成するというのが非常に大きいフアクターになつておりますので、特に水力事業の完遂に重点を置くという方針を立てまして、爾後の計画策定なりあるいは地点選定なりに当りたいというので、この基本方針の一項を立てたのでございます。  その次は新規地点開発に関しましては、電力需給状況あるいは火力依存度あるいは開発経済性等を総合的に考えまして、そうして電源開発地点に関しましても地帯間の融通というものを相当広範囲に行うということを想定しながら定めるというふうに基本方針をつくつた次第でございます。  それから次に水力電源火力電源開発方針がございますが、水力電源開発の方に関しましては、どうしても石炭にかわる良質電力というものを確保するというのが今後の開発の最重点方針でありますので、それをまずうたいまして、あわせて中小規模電源開発についても、経済的に有利なものであつてしかも早期に完成ができるというものについては、とりあえず電気不足関係上、やむを得ずこれもとらざるを得ないということにいたしております。それから火力に関しましては、もつぱら従来の作業工程と有機的に結びついたものだけに重点を置きまして、自家発電開発いたしますが、電力会社等開発するものに関しては、非常に高能率なものに限るということにいたしております。  この基本方針をきめました一番のねらいと申しますか、それが第三の点でございまして、これは各電力開発担当者が四つあるわけであります。九電力会社とそれから自家発電と県でやつております公営事業、それから今度できました電源開発株式会社、この四つの担当者のグルーブがそれぞれ開発をして行くのでございますが、その各担当者開発の分野、性格というものを一応明確にしておきまして、爾後の開発の全般的な秩序というものを保つた姿で開発をして行きたいというので、各担当者性格をうたつたわけでございます。今の九電力会社開発地点といたしましては、できるだけ需給関係の逼迫した地点、あるいは料金差のはげしい地点といつたような地点を、主たる開発必要地点というふうに考えまして、しかもその中で調査あるいは工事準備状況資金調達等よりいたしまして、早くこれの着工ができるという地点を主としてねらつてやらそう。それから県営でありますが、これは非常に問題になつた点でありますけれども、県で電気を起します際には、あくまでもこれは治水、灌漑等の多目的を有するダム建設というものであつて、しかも府県営でやるにふさわしい比較的早期に完成するといつたような地点を選んだらどうだろう、これはあくまでも原則でありまして、これが全部じやありませんけれども、主としてそういう趣旨のものを県営として見て行く。それから自家発に関しましては、河川有効利用を妨げないで、かつ消費地に近い地点を選ぶよう、やりかけて途中でやめたりされると困りますので、どうしても実際に開発の能力を有するものに開発させるべきだという考えでございます。この意味は、一つ自家発だからといつて、川の水の総合利用というものを考慮せずに小さいダムをぽつぽつつくられますと、爾後の開発に非常な支障を来しますので、こういうふうな方針をつくりまして自家発電をやらしたらどうだろうか。それから電源開発会社開発地点に関しましては、法の十三条で明確にうたつてございますので、ここでは特にうたつてないのでございますが、もちろん法の規定に従いまして決定するつもりでございます。  大体以上が電源開発基本計画策定方針というものでございますが、こういう方針委員の方々にも頭を一本にしていただきまして、今後の開発地点選定あるいはその他の諸問題をお願いしたいというので、政府決定ではありませんが、審議会を進める際の基本としてまずこういう前提を置いたわけでございます。  それから第二回の審議会では、同時に電源開発株式会社の第一次に着工する地点の設定に関しましてお諮りいたしまして、第二回ではきめないのでありますが、一応問題として提起したわけでございます。
  4. 遠藤三郎

    遠藤委員長 この際佐々木政府委員に申し上げます。大臣が時間の都合で長く御出席が得られませんので、この際福井委員より特に大臣に対し質疑いたしたい旨申出がありますので、暫時その説明を中止していただきたいと存じます。この際福井君の発言を許します。
  5. 福井勇

    福井(勇)委員 日本動力源として最も重大な関連があります電力開発計画に関しまして、審議庁において最近再検討されておるということでありますが、確定案でなくてもよろしゆうございますから、その概要大臣から特に承りたいと存じます。
  6. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 福井さんの御質疑にお答え申し上げます。  経済審議庁におきましては、電源開発五箇年計画を実は立てておるのでございます。経済審議庁の今事務当局の素案と申しますかを大体申し上げますと、わが国民所得生活水準の向上をはかることを目的といたしまして、わが国生産力をできるだけ増加させますために、その最大のネつクでありまする電力供給量をできるだけ急速に増加させることを考えておるのでございます。これによりますと、電力供給量は現在の年間三百八十八億キロワつト・アワーより三十二年度に五百三十四億キロワつト・アワーに増加することを目標としておるのでありまするが、その概要を簡単に申し上げますと、増加出力水力で約四百万キロワつト、火力で約百五十万キロワつト、合計約五百五十万キロワつトであります。これに要しまする開発所要資金は約七千七百億円でございまして、大体今後五箇年間毎年千五百億円から千六百億円程度資金を必要とするのでございます。従いましてこの計画達成のためには、所要資金供給確保の事柄につきまして格段の努力を必要とすると考えておるのでございます。この電源開発目標としておりまする五箇年後、すなわち三十二年度の生産目標及び国民所得規定いたしますると、大体次の通りでございます。一、鉱工業生産は現在の約二割五分増しでありまして、つまり昭和九、十、十一年ベースに比べますと一七〇、二、農林水産業生産を現在の約一割二分増しの百二十。三、国民所得を現在の約二割増しの六兆三千億円とする、というのであります。この案は、最初にお断り申し上げた通り事務当局の一応の案でございまして、なお研究を進めておりまするが、私といたしましては、電源開発審議会におきまして、右の電源開発計画検討を受けまするとともに、経済審議会委員を速急に決定いたしまして、またそのほかにも必要な専門部会を設けまして、なるべく早く同審議会において、わが国経済発展長期目標、その他長期経済計画検討を受けたいと考えておる次第でございます。
  7. 遠藤三郎

    遠藤委員長 大臣質疑がございましたら。—別質疑もないようでありますから、佐々木政府委員説明を続けます。佐々木政府委員
  8. 佐々木義武

    佐々木政府委員 それでは先ほどの説明に引続きまして、その後の経過を申し上げたいと思います。  第二回目の電源開発調整審議会では、先ほど御説明いたしましたような基本計画策定方針を定め、同時に第一の着工地点の詳細を申し上げて、爾後の審議資料を提供したわけでございます。その際出しました地点は、天龍川佐久間地点庄川御母衣地点北海道十勝川の糖平、芽登地点でございます。十津川は和歌山と奈良の県境にある川でございまして、これの西吉野地点、それから岩手県の北上川猿ヶ石胆沢地点という、この五河川を選びまして、御審議をいただいた次第でございます。その際なぜこの地点を選んだのかという理由があるのでございますが、当時ちようど選挙のまつ最中でございまして、その選挙の最中に、開発に関して数個の開発案が錯綜するとか、あるいは調査がまだ不十分だとか、あるいは中央行政機関地方行政機関との間に意見の一致を見ないといつたような地点に関しましては、この際決定するのは後日に延ばして、新しい内閣ができてから、かりに電源開発促進法の第十三条に合致する趣旨地点があつても、そういう地点は新内閣で処理してもらつたらどうだろう—開発会社が発足しておるわけでございまするから、開発点をきめないというわけには参りませんので、とりあえずの開発地点をきめまして、そして開発会社の業務に支障を来さぬようにしたらどうだろうという、前山崎大臣の御趣旨がございましたので、その趣旨委員方たちにはかりましたところ、それでよかろう、そういう趣旨でとりあえずきめようということになりましたので、各省間に資料の提出をいただきまして、そして一番法案趣旨に合致し、しかもそういう問題のない地点を御提出願いましたところ、大体五箇地点に関しましては各省とも、また地方機関といたしましても異存がないように見受けられましたので、まずこの五箇地点を選びまして、御審議をいただいた次第でございます。  第二回の審議会までは以上のような経過でございますが、第三回後の審議会決定事項に関しましては、きようお配りいたしました、三浦委員からの御要求で出しました決定事項内容にそれぞれありますので、それについてお話申し上げたいと思います。第三回の審議では、ただいま申し上げました地点の中からさらに、あまり問題のない地点、たとえば北海道十勝川の糠平、北上川猿ヶ石、胆沢、それから十津川西吉野、この三箇地点をまず御決定いただきました。十勝川は、北海道では一番大きい開発地点でございますので、大規模の開発地点ということに該当するかと思います。2と3の方は、どちらかと申しますと国土の総合開発という面から必要な地点でございまして、この二箇地点はそういう意味合いから決定したのでございます。二番目の庄川御母衣地点でございますが、この地点に関しましては、関西電力の方でこの地点開発したいという御希望がございましたが、電源開発株式会社関西電力さんの方で話合いが進められました結果、電源開発株式会社の方でやることに対して協力しましようということで円満に妥結いたしましたので、この地区を電源開発株式会社に担当さすということにきめたのでございます。ただこの地点に関しましては補償の問題が非常に問題でございまして、岐阜県でございますが、県知事の意向もございまして、相なるべくはこの開発に着手する前に、この補償の問題を十分納得の行く方式、あるいは程度において解決して、そして開発にかかつてもらいたいという希望がございましたので、その希望を織り込みまして、爾後審議会の方でも補償基準の問題を今いろいろ審議しておりますし、事務当局としてはいろいろ考えておりますが、そういうものがまとまり次第、補償の問題もなるべく地元側の御要望に沿い得るがごとく措置しながら、この開発をしたいという趣旨を織り込みまして、この地点開発開発会社にやらすというふうにしたわけでございます。  第四回の審議会天龍川佐久間地点でございまして、この地点は一箇地点開発としては日本最大のものでございます。一箇所で三十六万キロワつトでございますから非常に大きい地点でございまして、この地点に関しましても中部電力東京電力が合同出資いたしまして、そして新しい一つ民間会社をつくつて、そこの会社でもつて開発したいというふうに事業の認可並びに水利権の許可を届け出ておつたわけでありますが、促進法の第十三条第二項に、そういう先願事項のあるものに関してはまずその先願を優先しまして、そしてその計画が妥当であるか、適切であるか、あるいはその計画実施が可能であるかどうかということを確認しなければいけない。そしてその確認が満たされた場合には先願を優先にして、その地点は調べなければやつて行けないというようになつておりますが、先ほど申し上げましたように第三回の審議会までにはその点がまだ十分でありませんでしたので、さらに資料を整えまして、第四回の審議会はこの問題を中心にして開催した次第でございます。それだけにまた非常に慎重に審議をいたしました結果、大体その先願事項に対しましては実施が必ずしも容易じやない。むしろ電源開発株式会社の方に開発さした方が—主として資金面からの問題でありますが、困難なしに遂行できるのではないかという結論になりまして、佐久間地点電源開発会社をして行わしめるというふうに決定した次第であります。但し具体的な工事実施方法等に関しましては、どうしても中部あるいは東京両電力会社の協力が必要な地点でございますので、関係官庁があつせんいたしまして、両者の間に具体的な話合いをつけさすようにという附帯決議をしましてこの決定行つた次第でございます。爾後通産省が主になりまして、開発会社首脳部並びに中部、東京電力首脳部、三者間で協議を進めました結果、最近円満に何らの問題も残さずに妥結した次第でございます。それからこの地点に関しましては、佐久間の下流に秋葉という地点がございます。この秋葉地点もいろいろ問題があるところでございます。しかし第四回の調整審議会におきましては、秋葉の地点に関しましてはただいまお手元に差上げましたような決定をなすにとどめまして、この最後決定は今後の審議会にまかせられたというふうなかつこうになつております。そこで新内閣ができまして以来十一月二十八日に第五回の審議会を開催したのでございますが、先ほどちよつと言い落しましたので附加いたしたいと思います。たしか第三回の審議会でありましたが、このほかに調査地点というものを選びまして、只見川、それから琵琶湖、熊野川、それから四国の吉野川、九州の球磨川、この五つはいずれも非常に大きい、しかもあらゆる意味で問題の錯綜した地点でありますし、さらに開発工事に関しましてはそれぞれ数案あるといつたような地点であります。ので、開発会社がみずからその調査に当つて解決方策を見出すというふうにしたらどうだろうかということで、これを調査地点に指定しております。第五回の審議会はそれに引続きまして新内閣のもとで行つたのでございますが、十一月二十八日に開催されまして、この第五回の審議会では、先ほど申しました天龍の佐久聞の下流地点にある秋葉地点をどういうふうにするかという問題と、従来から工事に着手しているかあるいは開発会社でやりたいと思う地点であつて先願事項がございますので、その先願事項をどう処理するかといつた、問題がある地点を一応事務的には保留地点と申しておつたのでありますが、その保留地点に関しまして決定をした次第であります。その第一の秋葉地点でございますが、秋葉地点に関しましては、前から国鉄が東海道線並びに中央線電化の際に、この地点電気を使用したいというので調査を進めておつたのでございますが、この地点は御承知のように佐久間ダムに対する逆調整池として開発することになつておつたのであります。逆調整池と申しますと、もちろん皆さん御存じだろうと思いますが、上の佐久問地点でピーク時に、言いかえますと昼とか夕方の電気を一番使いますときに、どつと水を流しまして、そうして夜は水を貯めるというふうな操作になるわけでありますが、そういたしますと、その佐久間ダムだけでやりますと、下流の農業用水の点から見ますと、昼はどんどん流れて来るけれども夜はちつとも流れて来ないというふうで、コンスタントに常時同じ量の水をとるということが不可能でありますので、その下流にこういう逆調整池を設けまして、水の調整をしまして、必要な水の量は夜といわず昼といわず常に一定した量でもつてこれを下流へ流すというふうにいたしまして、農業用水の実を上げるのでありますが、そういう趣旨もございまして、この点の開発をいかにし、できたものの運営、処分をどうするかということに対していろいろ問題があつたのでございます。その結果お手元に差上げました資料に書いてございますような五つの条件が付せられまして、一応建設工事開発会社がやるというふうにきめた次第であります。読んでみますと、「秋葉地点は、佐久間発電所の逆調整池として開発し、その目的に反しない範囲内において発電を行うものとする。なお、実施設計に関しては、地元関係者の意向を聴いて決定するものとする。」というふうにございます。この意味は、秋葉地点開発はあくまでも逆調整池として農業その他の水利、なかんずく農業用水を確保する意味においてつくるのだということで、それを第一項にうたいました。ただその際、この秋葉地点ダムをなお調整の実を上げるために、二つにしたらどうだろうという議論もございますので、そういう点は実施設計の面で地元の県あるいは農民側の意向を十分聞いた上でさらに審議をしてきめたらどうだろうということにいたしました。それから建設に関しましては、秋葉の地点は今申しましたように逆調整池であります関係上、どうしても佐久間地点と同時に工事が完成いたしませんと、両方とも動かないのであります。そこで、その他の理由もいろいろございまするけれども、主として工事を同時に完成ざせるという意味合いから、これを一貫してやらせた方がよかろうというので、開発会社開発をまかせたわけでございます。  それから発電設備の設計とか工事要員に関しましては、先ほど申しましたように、隻からいろいろ調査を進めておりましたので、そういう既成事実というものを十分尊重すべきだというので、この三つをうたいまして、さらにこの発電設備の完成後における処分運営等に関しましては、国鉄側の意向を十分尊重いたしまして、国鉄の電化の所要電力を確保できるように措置しよう—これを確実に国鉄に譲り渡すというふうに、今から四、五年先の行政処分事項を処分するわけには参りませんので、こういうふうな決議にいたしまして、できた以後の処分、運営に関しては、国鉄側の意向を十分尊重してやらなければならぬというように書いてございます。  それから天龍の水を、水運とか流木とかあるいは水利とか、いろいろ総合的の面で、電気あるいは農業水利の面ばかりでなしに、これを運用する必要がございまするので、そういう総合事業に関しては、関係官庁でさらに協議をしてはつきりきめましようということで、この地点決定を見たわけでございます。  次の球磨川、これは九州でございますが、電源開発促進法にも、例示的に球磨川は開発地点として出しておりますし、先ほど申しましたように開発会社調査地点としてこの地点は選んでございまするが、たまたま最下臨点の荒瀬という地点がございまして、この地点は県で開発をしたいという先願事項がございまして、この先願をどう処分すべきかという問題があつたわけでございます。そこでいろいろ審議した結果、この地点に関しては、先願を尊重して熊本県にやらせたらどうか、それで熊本県側では、この地点はなかなか補償の問題が大きい問題でございますので、模範的な、総合開発にふさわしい解決をしていただいて、開発会社が爾後の上流の開発に際しましては、十分その解決を基本にして、県の協力を得ながら、さらに円満にやれるようにするためにはかえつてその方がいいのではなかろうかという御議論が支配的でございまして、この地点は熊本県にやらせたらどうだろうかというふうに、先願事項を尊重したわけでございます。北海道石狩川の幾春別川、芦別川の地点に関しましては、これは従来から総合開発の面からいたしまして、建設省側で、現地の開発局が主体になりまして、みずからダム建設を行つておつたわけでございまして、もう工事がどんどん進んでおりますが、規模は割合に小規模ではございまするけれども、総合開発という面からして、開発会社にやらせた方が妥当であろうということになりまして、この地点決定を見たわけでございます。  第五回までの電源開発調整審議会審議し並びに決定いたしました事項は以上の通りでありまして、審議内容の主たる点は今申し上げた通りでございます。  次に、この前お配り申し上げました資料の中で資金計画の表がございますが、それに関しまして若干申し上げたいと思います。二十八年度に関しましては、もちろんまだ事務的に大蔵省当局と折衝の最中で、未決定でございまして、来年度の予算の提出のときまでには本ぎまりになると思いますが、それまではまだ事務的折衝の過程でございまして、単なる原案でございますので、そのつもりでお聞取りを願いたいと思います。  二十六年度には六百三十五億、電源開発のために資金を使つてございます。その内訳は、九つの電力会社が五百十億、それから県営等でやつている総合開発の面からする電気事業がございますが、これは一つは公共事業費から一部を使いまして、一部は資金運用資金が地方起債という形で、発電設備の完成のたびに出ておるわけでございますが、この資金運用資金から出ます金が二十五億、それから自家用の発電でございますが、これは百億、合せまして六百三十五億の資金が投入されてございます。それが二十七年度になりまして—この年から本格的な電源開発の段階に入つたわけでございますが、ただいまの見込みでは、九つの電力会社は九百七十億、県営電気事業に対しては資金運用資金から五十七億、自家発電には百四十一億、それから開発会社の方は当初百十億という予算でおりましたが、そういうのを全部合せますと千二百七十八億ということになつたのでございます。但しこの開発会社の方は、法案が四月には上るだろうという予定でやつておつたのでございまするが、実際会社ができましたのは法案の通るのが遅れた関係上、九月十六日になりましたので、今後この百十億というものはとても使えませんので、ただいまの見込みでは約七十億ぐらい、今年度の調査あるいは着工に使い得るのじやなかろうかというふうに考えております。  それから二十八年度に対しましては、この前お手元に差上げました案では、電力会社が千百五十億、公営事業には百十億、それから自家用には百五十億、特殊会社は百九十億という資料を差上げてございますが、その後いろいろ審議をいたしました結果、九電力会社には千百七十五億、それから県営は百十億そのままでございます。自家用の方は、ほかの三つのものに対して、それぞれ発電をどんどん進めておりますので、現在資金は割に申込みございませんし、実績もそれほど芳ばしくございませんので、来年度は七十五億というふうに現在大体考えております。それから電源開発株式会社の方は反対に、今後大規模の電力をそれぞれ担当して参ります関係上、二百五十億ぐらい見る必要があるのではなかろうかというので、二百五十億ぐらいまでに一応見積りまして、合せて千六百十億という予算で、大蔵当局と事務的折喜衝を進めつつございます。  この中であるいは今後一番問題になるのではなかろうかと思われますのは、県営の問題でございまして、時間をお借りいたしまして、この点もう少し詳しく御説明申し上げたいと思いますが、各県から—半分以上の県は今電気をやつておるわけでございますが、各県からそれぞれ来年度やりたいという全部の要求をそのまま集計いたしますと、約二百四十億近くになる次第でございます。その内訳を申し上げますと、継続事業が八十五億ございまして、それに準継続と申しますか、公共事業費が今までついておつて、来年度あたりから地方起債分をぼつくつけなければいかぬ、そうしませんと、工事そのものがちんぱになるといつたような、どうしても来年度から金をつけなければいかぬ継続分がございます。公共事業費の方から申しますと継続でありますが、地方起債の面から考えますと、新規ということになりますので、かりに準継続分というふうに事務的には言つておるのでございますが、この点も合せますと、百三十億近くになります。それ以外は全部新規地点でございますが、それではそういう資金に対して預金部資金の方はそれに見合うほど出せるかという問題でございますが、御承知のように預金部資金の方は零細な貯金が主でございますので、それほどふえません。そこで一方需要面のみがこういうふうに非常に飛躍的にふえて参りますので、その間の調整をどうすべきかという問題が非常に大きい問題になつて来るのでございます。大体今の考え方としましては、まず先ほど申し上げましたように、来年度が一番工事の最盛期でございますので、継続分のみは何としても早く工事が完了するように努めて行きたい。準継続の分に関しましても、なるたけ見たい。しかし新規の分に関しましては、新規の分を大幅にとりますと、それだけ継続その他が食われるかつこうになりますので、新規の中でもやむを得ざる分は、と申しますのは、特に先ほど申しましたように、需給関係が逼迫している—どこでも需給関係は逼迫しているわけでございますが、とりわけひどく需給関係が逼迫し、あるいは料金差がはげしいというようなところは、この際忍んでもある程度開発に手をつけべきじやなかろうかというふうな感じも持つておりまして、大体ここに掲げましたように、百十億という線を切つてみたわけでございますが、これをいかに確保するか、またこれで十分なのかという点に関しましては、今後いろいろ問題があるのじやなかろうかと思います。  資金の問題に関しましては大体以上の通りでございまして、最後に先ほど大臣からお話ございました電力の五箇年計画の問題でございますが、これに関しましては、大臣も先ほどお話になりましたように、まだ正式にこれでよかろうというところまで最後的にきまつておりませんので、詳しい説明は省略させていただきまして、もう少し固まりましてから御説明を申し上げたいと思います。非常に長くなりましたのでこれで終ります。
  9. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これにて説明は終りました。この際質疑があればこれを許します。—下川君。
  10. 下川儀太郎

    ○下川委員 今後の電源開発審議にあたりまして非常に参考になると思いますので、昨日建設委員会でちよつと問題になりました只見川の水利権の問題につきまして、そのいきさつを具体的にお話し願いたいと思います。問題は、東京電力の持つておる既得権の問題なのですが、これが抹殺されて、その当時存置されていた公益委を省いて、閣議において天くだり式に東北電力に許可になつた。これが目下係争中のようでございますが、その点に関して参考までにひとつ御説明願いたいと思います。
  11. 青木義雄

    ○青木説明員 それでは御説明申し上げます。只見川筋の本名、上田付近の水利権の変更につきましては、七月の二十五日の閣議決定に基きまして、早期電源開発並びに運営管理上の点を考慮いたしまして、政府といたしましては、従来東京電力に属しておりました水利権を取消しまして、東北電力に許可するのやむを得ないという結論に達しまして許可したような次第でございます。その早期開発上非常に有利であるということにつきましては、現在この地点の下流におきましては、柳津、片門という地点建設しておりまして、準備態勢が非常に容易であるということと、それから東北電力会社に対しまする地元の態度が非常に好意的でありますこと、また日発当時からこの只見川の調査に当つておりました資料が東北電力に属しましたこと、並びに只見川の実態に精通いたします技術陣営が東北電力におりますこと、そういう点から東北電力早期開発が可能であるということを認めたのであります。それから次に運営管理上非常に有利でありますということにつきましては、東北電力の持つております下流の既設の発電所との一貫性を考慮いたしまして、総合的な運営が可能でありますため、水資源の活用上非常に有利であるということ、それから送電設備が直下流まで来ておりますため、これに発生した電力を乗せることが容易であります。その他また送電ロスが非常に軽少であるといつた観点からいたしまして、この際電源の開発が非常に各方面から要望されておりますときに東北電力にやらせるのはやむを得ないじやないかという結論に達した次第であります。  次にこの水利権の変更につきましては、従来御承知のように、本流案、分流案というのがございまして、もめておるような次第でございますけれども、この処分につきましては、将来かりに分流案が採用されまして、新潟県側に水を流すということになりましても、OCIの勧告の数量等からその数量だけは本流、分流にかかわらず流すだけの水量しか許可していないのであります。従いまして本流、分流案には関係ないという考えでおるのであります。
  12. 下川儀太郎

    ○下川委員 本流案、分流案の問題は別として、この水利権が変更された問題は、これはいろいろ早期電源開発の問題に関連することもあろうと思いますけれども、やはりいろいろな資料を見ますると、東京電力一つの保有財産になつておる。この保有財産がこういう建前から簡単に変更ができるかどうかという問題、それからもう一つは、当時公益事業委員会が存置されておつた。これに当然諮らなければならないが、どうしてこれを省いて許可したのか、こういう点をひとつ具体的に説明願いたいと思います。
  13. 伊藤六三

    伊藤説明員 ただいまの水利権の問題でございまするが、この問題につきましては、実は取消しにあたりましては、その処分の問題について、新許可者から見て補償するように、許可権者の地位においてとりはからうように命じておるのであります。なお本来問題になりましたように、原案処分でございますので、従来におきましても取消し、または譲り渡す場合において、この補償の問題は常に取上げまして、そしてこれを協議いたさせて、片方から片方へ払わしておるようなわけでございます。従つて今度の場合におきましても、ただ取消してしまいまして、補償しないというわけではなくて、急ぎました関係上この補償をあとにまわすという関係なつておるのでございます。なお公共事業令との関係でございまするが、実は公共事業令におきましては、知事が水利権の許可なり変更の申請のありました場合においては、公益事業委員会に意見を求めるということになつておりまして、意見を求める書類は知事から出しておるのでございます。知事としては意見を求めておりまして、その意見がまだ十分に向うへ届いていなかつたということはございまするが、一応知事といたしての手続は踏んでおるのでございます。
  14. 下川儀太郎

    ○下川委員 今のお答えによつてみると、民間の財産が補償されれば変更ができるというふうに聞きとれるのですが、そういうことは従来公益事業としてなかつたように私は考えておりますが、その点もう少し明確に御答弁願いたい。  それから当時の公益委員長の松本蒸治さんですか、ある資料の中で発表しているところを見ると、非常にこの点について憤慨しておられる。相談がなかつたということよりも相談されなかつたのじやないかというふうに私たちには推察されるのですが、この点についてもう一度お答え願いたいと思います。
  15. 伊藤六三

    伊藤説明員 何ら理由なしに取消すということにつきましては、これはできないことでございまするが、実は先ほど説明いたしたと存じまするが、河川法の二十条の規定の公益上の判断というところによりまして、法規に基いて実はいたしたわけでございます。なお処分の問題についてのいろいろの知事から東京電力への話はいたしたのでございますが、係争中につぎその金の問題については御返答もできないというようなことが知事の方に言うてあるような状態でございます。
  16. 下川儀太郎

    ○下川委員 相手方が納得していないのに補償する、補償するといつてもこれはやむを得ないと思うのですが、この点について目下係争中らしいのですが、もしこれが東京電力の方が勝訴となつた場合は、一体当局側はどういうふうな態度をとるのですか。これは主務大臣でなければわからないと思いますが、ひとつ参考にあなた方の御意見を伺いたいと思います。
  17. 伊藤六三

    伊藤説明員 この問題につきましては、われわれは正しいと思つていたわけでございまするので、負けるか、勝つかという問題を前提といたしましてどうするかという答弁はいたしかねると申し上げるほかしかたがないのです。
  18. 下川儀太郎

    ○下川委員 一応事務当局としての御意見を伺つたもので、次会にひとつ主務大臣から御答弁願いたいと思います。保留しておきます。
  19. 前田正男

    ○前田(正)委員 今の御説明の中で、ちよつと私わかりかねるところがあるのですが、東北電力の方は、技術陣営とかその他全部そろつておる、こういうようなお話であつて東京電力の方は、将来そういう技術陣営とかそういうものを持つことができないという御判断であつたのかどうか、その辺ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  20. 伊藤六三

    伊藤説明員 そういう意味に申し上げたわけではないのでありまして、今すぐ開発するという問題になつて参りますれば、ちようど東北電力の方が、その当時の調査をしたものもあり、あるいは人間に精通した者がおるという点を理由に申し上げたわけであります。
  21. 前田正男

    ○前田(正)委員 早期開発するということになりますならば、従来持つておるところの方が、準備は完全にできておるのが当然じやないかと思いますが、新しく権利を所有した方が早期開発できるという根拠、従来権利を持つている方が当然長年にわたつて準備を行つておるわけですから、早期開発できるわけなんですが、新しく権利を所有してからかかつた方が早く準備ができるという根拠をひとつ具体的に明確にしていただきたい。
  22. 伊藤六三

    伊藤説明員 現実の状態といたしましては、只見川の東電の所有になりました当時の水利権というのは水路式のものでございまして、最近の開発方式によりますと、ダム方式が採用されるという問題に関連しまして、この電源開発を非常に大きく開発するような観点から調査が進められたのでありまするが、その調査資料並びに調査せられた人々というようなものが東北電力に実は配属しておるという現実の事実でございまして、ほかの場合と若干その事情がかわつておると存じます。
  23. 前田正男

    ○前田(正)委員 その点について私は、東京電力にそれだけの能力がないものかどうか、よく聞く必要があると思いますので、この問題はいずれ将来のこともあり、場合によりましては電力会社から来ていただいて、われわれの方に質疑を与える時間を委員長にいただきたいと思うのです。商売会社ですから、当然開発するだけの陣容を整えることは、そうむずかしくないと私は思います。しかし今の御説明の中でもう一つふに落ちない点は、OCIの勧告があつて、そうして将来の分流案、本流案がきまつたときにも、その流量には影響がないというようなお話があつたのですが、ここに経済審議庁の人もおられるようですが、これは只見川の流量を分流にするか本流にするかということは未決定であると思つておるのでありますが、これは非常に重大問題だと思うのであります。そういう将来の未決定の問題は影響がないからということで決定をしたということは、どうもふに落ちないのですが、まず審議庁の方で将来この本流、分流案についてはOCIの勧告に従つて、その水量を決定する御意思であるのかどうか、その点をお聞かせを願いたい。
  24. 佐々木義武

    佐々木政府委員 ただいまの上田、本名に対しまする使用水量の問題でありまするが、建設省の方で御許可になりました水量は、本名の方は百三十七トン、上田の方が百八十九トンになつておるのでございますが、常時流れますのは宮下の発電所で二百トンくらいございますので、本流、分流案の決定いかんにかかわらず、この程度の水量は上田、本名で使用できるのではないかと思います。
  25. 前田正男

    ○前田(正)委員 決定いかんにかかわらずやるということでありますが、只見川は総合開発方式で将来やつて行かなければならぬと思うのでありまして、本流案、分流案にかかわらず、その水量には影響ないとしましても、これは御承知の通り電源開発特殊会社でやるという案でおられるのか、あるいはまた電力会社によつてつて行くのか。これは開議式とか、いろいろな方面に影響がある問題であつて、そう将来のことを全部OCIの勧告の通りに進めて行くというお考えでおられるというふうにはちよつと考えられないのですが、只見川の総合開発計画というものの全体の考え方がまとまつていないときに、その一部だけ特に係争中の問題を切り離してやつていいかどうか、非常に疑問に思つております。審議庁とされては、こういう方面の全体の総合開発計画というものはOCIの勧告に従つてやるとか、あるいはどこの会社へやらすというような見通しというか、それとも腹案を持つておられますか。
  26. 佐々木義武

    佐々木政府委員 只見川中上流の全般の開発問題は、分流案がいいのか、あるいは本流案がいいのか、あるいは別の案がいいのか、いろいろ議論があるだろうと思います。従来から資料も立案もたくさんございますので、先ほど申し上げましたように、審議会といたしましては、只見川を調査地点に指定いたしまして、そうして法案にも、おそらく電源開発会社が只見川の中上流地点開発するのが至当ではなかろうかというような例示がございますので、審議会といたしましては、電源開発株式会社の方に調査地点として指定いたしまして、十分調査研究を進めてもらいたいというふうにきめたのでございます。その結果、もちろん官庁側といたしましても、それぞれ新潟県、あるいは福島県、あるいは関係会社、あるいはOCIの方にも来ていただきまして、審議を進めておるのでございますが、それと並行いたしまして開発会社の方でも十分調査研究を進めてもらいたいというので、両々相まちまして目下研究中でございます。まだ結論の段階までは至つておりませんが、できるだけ早い機会に結論を見出しまして、この問題の解決をはかりたいと思つております。
  27. 前田正男

    ○前田(正)委員 その問題はまた責任者から聞くことにいたしまして、今の御説明の中で、もう一つ公益事業委員会には申請を知事側が出しておつたというお話ですが、それに対しまして公益事業委員会の何らかの意思表示がされておつたのかどうか、その点について御説明を願いたい。東北電力東京電力のどちらがいいかということは、公益事業委員会においては、すでに意見がきまつてつたかどうか。
  28. 伊藤六三

    伊藤説明員 私、公益事業委員会の責任者でございませんから、はつきりしたことを申し上げてあとで問題が起つては困りますが、ただ私の知つているところによりますと、意見の申出はその当時なかつたと聞いております。
  29. 前田正男

    ○前田(正)委員 そうしますと、知事側の方は意見を申請しておつて、そうしてまだ公益事業委員会の方では意見の未決定の間に建設省としては法律に基いて裁定を下した、こういうふうに解釈していいわけですか。
  30. 伊藤六三

    伊藤説明員 水利権の問題としましては、これは意見を公益事業委員会から出されるものでありまして、そこらの処分と両々相まつて向うへ行くのでありまして、私といたしましては、お互いの官庁間の連絡手続に事前に欠けたりしたという点はありますけれども、法律的にはこれは両々相まちまして、知事のところへ行きまして、これが処分せられるものであり、知事といたしましては、十分その公益事業委員会の意見も聞いてやるべきでありますが、必ずしもそれに法的に拘束されるという問題でもないと思います。
  31. 福井勇

    福井(勇)委員 簡単にお尋ねしますから、簡単にお答え願いたいと思います。電源開発株式会社の今年度の調査河川としては左の通り決定した、只見川、熊野川、琵琶湖、吉野川、球磨川、この以外の河川については時間の関係審議しなかつたと書いてありますが、その他の審議しようとしておる河川は、今ここでわかつてつたらお答え願いたい。
  32. 佐々木義武

    佐々木政府委員 今後の審議会の主たる問題は、先ほども申し上げました調査河川調査が済み次第至急この解決をはかりたいと思つております。それ以外の地点といたしましては、まだ、審議会にかくべきか、あるいは事務的に問題を処理して片づく問題か、判断のつきかねる点がございますけれども、今のところ、たつて申し上げますと、東京の小河内地区の問題が一つ建設省の方から申出がございます。この問題に関しましては、先ほど申しましたように、さらに事務的にいろいろ研究いたしまして、その後に審議会にかけるべきかどうかということをきめたいと思つております。
  33. 福井勇

    福井(勇)委員 ただいまの大臣説明によりますると、五箇年計画七千七百億円という厖大な計画が立てられておるようでありまして、これは日本経済に大きな影響があると思います。ついてはこれは委員長に対する私の希望でございますが、私の調べたところによりますと、電気の専門技術者出身の各党の代議士もこの委員会に相当おりますので、そういう方をこの大問題には極力入れていただくように御努力をお願い申し上げたい。これは私の委員長に対する希望でございます。  それから次は電源開発のことにつきまして、審議庁の方でかく熱心に検討されておりまする際、私は現段階においては日本水力資源の開発が第一であるということは十分承知しております。石炭不足の折柄火力発電にまつことはとうてい困難でありましよう。ただその他にわずかに科学的な発電もありますし、また地熱発電などというものも千葉さんなどがすでにテストして若干成功したこともあると記憶しておりますが、日本全体の問題としては大して取上げるほどのことになつていないようであります。ついては今海外において原子力の発電が着々研究過程を脱して、今日においてはキロワつト当りの予想設備費として、火力水力のまん中ぐらいで行けそうだという予想が立てられております。今まで日本の科学技術の世界においては、電力関係研究についてはほかの部門よりも相当飛躍しておりまして、海外の一流国家と対等に行ける程度まで行つていると承知しております。そこで今まで学術会議や文部省関係などあるいはまた通産省関係でこの発電問題について視察員を派遣したことが相当あります。大体向うの大きな設備であるボールダー・ダムやグランドクーリー・ダムなどを見て来て、非常に大きかつたということ、あるいはまたウエスティングハウスやあるいはゼネラル・エレクトリつクあたりの発電所の施設が大きかつたぐらいの報告しか私たちの承知しておるところでは受けておりません。従つて今後ひとつ審議庁あたりで飛躍的に他の項目ともかね合せて、原子力発電などのことも数年後に調査するなどということのないように、平和産業の面における問題でありますから、今から特に注意をしてその研究施設などの段取りをしてもらいたい。学術会議などではすでにいろいろ取上げておりますが、これが戦争科学に関連しておるというような懸念から、本格的に取上げるのはどうかというようなことを言つておりますけれども、審議庁の方ではそういうことに顧慮することなく、技術的な面では特に促進をしていただきたい、これは私の審議庁に対する希望であります。  それからなお先ほど各議員から説明がありました河川法第二十条の問題から、只見川の係争問題が大きくクローズ・アつプされておりますが、他にも相当こういう水利権の問題が私の承知しておるところではございます。今後そういうことについては、ここに第五回電源開発調整審議会決定事項につきましての第一項に地元関係者の意向を聞いて決定するということがうたわれておりますから、私は心配はしておりませんが、なお一層地元関係者の意向を手落ちなく聞いて、従来獲得しておつた所有者に対する水利権を尊重してもらうように円満なる進め方に注意をお願いしたい、こう思つております。
  34. 遠藤三郎

    遠藤委員長 他に質疑はございませんか。—別質疑もないようでありますので、本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十六分散会